説明

記録媒体供給装置及び画像形成装置

【課題】搬送する用紙の種類に応じて用紙束の最上面から吸着ベルトまでの高さを調整可能にし、これによって用紙を確実に一枚ずつ分離して吸着ベルトで確実に吸着して搬送可能にする記録媒体供給装置を提供する。
【解決手段】シート状記録媒体を積層状態で搭載可能な記録媒体搭載部と、積層状態の記録媒体にエアを吹き付けて最上位置の一枚の記録媒体を浮上させるエア吐出手段と、浮上させた当該最上位置の一枚の記録媒体を吸着して搬送する搬送手段と、積層状態の記録媒体の最上面に接触してその高さ位置を検知する上面位置検知手段と、記録媒体搭載部を上下方向に昇降させるための昇降手段と、上面位置検知手段により検知した最上面位置に基づいて積層状態の記録媒体の最上面高さが所定の高さになるように昇降手段を制御する制御手段を備える記録媒体供給装置である。この記録媒体供給装置に、最上面から搬送手段までの高さを調整する高さ調整機構(高さ調整装置75)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体を供給する記録媒体供給装置、及びその記録媒体供給装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、紙やOHPフィルム等を1枚ずつ供給する給紙装置が知られている。給紙装置には、トレイに積層状態で搭載された束状の用紙にエアを吹き付けて用紙(記録媒体)を捌きつつ浮上させて互いに分離させ、最上位に位置する用紙を吸引力によって吸着ベルトに吸着させて搬送するエア分離給紙装置がある。従来のエア分離給紙装置としては、例えば、特許文献1(特開2001−247229号公報)や特許文献2(特開2007−45630号公報)に記載されたものがある。
【0003】
図13に、前記エア分離給紙装置の概略構成を示す。
図13に示すエア分離給紙装置301は、複数枚の用紙Pを搭載するトレイ302と、搭載された用紙Pの上部前端と上部側端にエアを吹き付けるフロントブロワ303及びサイドブロワ304と、搭載された用紙Pを1枚ずつ吸着して搬送する吸着ベルト305を備えている。用紙Pはトレイ302上で用紙Pのサイズに合わせるように、前端面を基準面としてのフロントフェンス306に当てて揃えている。
【0004】
このエア分離給紙装置301で用紙Pを供給するには、まず、フロントブロワ303とサイドブロワ304からトレイ302に搭載された用紙Pの束に向かってエアを吹き付け、このエアによって用紙P間に空気を送り込んで用紙Pを捌きながら吸着ベルト305の高さhまで浮上させる。そして、浮上させた用紙のうち、最上位置の用紙P1を吸着ベルト305に吸着させ、この状態で吸着ベルト305が回転することによって、当該用紙P1が図示しない画像形成部へと搬送され、画像形成が行われる。
【0005】
また、前記特許文献1や2に記載されたエア分離給紙装置は、搭載された用紙の最上面の位置を検知する上面位置検知手段を備えている。この上面位置検知手段としては、例えば、図13に示すように、用紙束の最上面に当接すると共に揺動可能に構成されたアクチュエータ310と、アクチュエータ310の揺動を検知する揺動検知センサ311を有するものがある。アクチュエータ310の取り付け位置は、用紙サイズの大小によらず安定した精度で狙いの距離hを保ち続けるように、吸着ベルト305近傍に設けられている。
【0006】
この場合、用紙が供給されて用紙束の高さが低くなると、それに伴ってアクチュエータ310が揺動する。そして、アクチュエータ310の揺動量を揺動検知センサ311が検知し、そのときの検知信号に基づいて、図示しない押上げ手段がトレイ302の底板を上昇させることにより、用紙束の上面から吸着ベルト305までの高さh(距離)が一定になるように制御されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年のエア分離給紙装置は、薄紙から厚紙までの幅広い紙厚、紙種、秤量(g/m2)にかかわらず、用紙を確実に搬送できる性能が要求されている。しかし、従来の給紙装置は用紙束の最上面から吸着ベルトまでの高さhが一定とされていたため、普通紙とは厚さが異なる薄紙や厚紙を搬送する場合に以下の課題があることが判明した。すなわち、秤量が軽い薄紙の場合は最上位置の用紙とその下側の用紙が分離しにくく、用紙が複数枚の束として吸着ベルト33に吸着されてそのまま搬送(重送)されてしまうことがある。また、秤量が重い厚紙の場合は吸着ベルト33に吸着されるまでに時間がかかるため、吸着ベルト33に吸着されないで空送りが発生することがある。
【0008】
本発明は、前記した問題点に鑑みてなされたものであり、搬送する用紙の種類に応じて用紙束の最上面から吸着ベルトまでの高さを調整可能にし、これによって用紙を確実に一枚ずつ分離して吸着ベルトで確実に吸着して搬送可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、シート状記録媒体を積層状態で搭載可能な記録媒体搭載部と、前記積層状態の記録媒体にエアを吹き付けて最上位置の一枚の記録媒体を浮上させるエア吐出手段と、浮上させた当該最上位置の一枚の記録媒体を吸着して搬送する搬送手段と、前記積層状態の記録媒体の最上面に接触してその高さ位置を検知する上面位置検知手段と、前記記録媒体搭載部を上下方向に昇降させるための昇降手段と、前記上面位置検知手段により検知した最上面位置に基づいて前記積層状態の記録媒体の最上面高さが所定の高さになるように前記昇降手段を制御する制御手段を備える給紙装置において、前記最上面から前記搬送手段までの高さを調整する高さ調整機構を有する記録媒体供給装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、記録媒体の最上面から搬送手段までの高さを調整する高さ調整機構を有するので、搬送する記録媒体の種類に応じて記録媒体最上面から搬送手段までの高さを調整し、これによって記録媒体を確実に一枚ずつ分離して搬送手段によって確実に吸着して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の給紙装置を備えた画像形成装置の実施の一形態を示す外観図である。
【図2】画像形成装置本体の概略構成図である。
【図3】給紙装置の全体の概略構成図である。
【図4】給紙装置の内部構造を示す斜視図である。
【図5】給紙装置の内部構造を示す斜視図である。
【図6】吸着ベルトユニットを下から見た斜視図である。
【図7】吸着ベルトユニットに設けられた高さ調整装置を下から見た斜視図である。
【図8】高さ調整装置の側面図である。
【図9A】高さ調整装置でフォトセンサを高くした状態の側面図である。
【図9B】高さ調整装置でフォトセンサを低くした状態の側面図である。
【図10】従来のエア分離給紙装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面に基づき、本発明の記録媒体供給装置の実施形態について説明する。
なお、この実施形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0013】
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態に係る給紙装置を備えた画像形成装置の実施の一形態を示す外観図である。
図1に示すように、この画像形成装置1は、画像形成装置本体2と、その画像形成装置本体2の一側面に接続されて、画像形成装置本体2に対して用紙を供給する給紙装置3とから構成されている。
【0014】
図2は、前記画像形成装置本体の概略構成図である。
図2に示すように、画像形成装置本体2は、4つのプロセスユニット4Y,4C,4M,4Bkを備えている。各プロセスユニット4Y,4C,4M,4Bkは、画像形成装置本体2に対して着脱可能に構成してある。各プロセスユニット4Y,4C,4M,4Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0015】
具体的には、各プロセスユニット4Y,4C,4M,4Bkは、静電潜像担持体としての感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ6と、感光体5の表面にトナー像を形成する現像手段としての現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード8を備えている。
【0016】
図1において、各プロセスユニット4Y,4C,4M,4Bkの上方には、露光手段としての露光装置9が配設されている。露光装置9は、各プロセスユニット4Y,4C,4M,4Bkの感光体5にレーザ光を照射するように構成されている。
【0017】
一方、各プロセスユニット4Y,4C,4M,4Bkの下方には、転写装置10が配設されている。転写装置10は、複数のローラ11〜14に掛け渡された無端状のベルトから成る中間転写ベルト15を有する。中間転写ベルト15は、複数のローラ11〜14のうちの1つが駆動ローラとして回転することによって、図の矢印に示す方向に周回走行可能に構成されている。
【0018】
4つの感光体5に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ16が配設されている。各一次転写ローラ16はそれぞれの位置で中間転写ベルト15の内周面を押圧しており、中間転写ベルト15の押圧された部分と各感光体5とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。また、中間転写ベルト15を掛け回した1つのローラ14に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ17が配設されている。この二次転写ローラ17は中間転写ベルト15の外周面を押圧しており、二次転写ローラ17と中間転写ベルト15とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。
【0019】
画像形成装置本体2内には、前記給紙装置3から供給された用紙を、二次転写ニップを通して機外に設けた排紙トレイ18へ案内するための搬送経路Rが配設されている。搬送経路Rにおいて、二次転写ローラ17の位置よりも用紙搬送方向上流側にはタイミングローラ19が配設されている。二次転写ローラ17の位置よりも用紙搬送方向下流側には、定着装置20が配設されている。さらに、定着装置20の用紙搬送方向の下流側には、一対の排紙ローラ21が配設してある。
【0020】
定着装置20は、内部に加熱源を有する加熱ローラ20aと、その加熱ローラ20aを加圧する加圧ローラ20bを有する。加熱ローラ20aと加圧ローラ20bは互いに圧接しており、その圧接部において定着ニップを形成している。
【0021】
以下、図2を参照して前記画像形成装置の基本的動作について説明する。
各プロセスユニット4Y,4C,4M,4Bkの感光体5が図の反時計回りに回転駆動され、帯電ローラ6によって各感光体5の表面が所定の極性に一様に帯電される。図示しない読取装置によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、露光装置9から帯電された各感光体5の表面にレーザ光が照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として可視像化される。
【0022】
中間転写ベルト15を加圧するローラの1つが回転駆動し、中間転写ベルト15を図の矢印の方向に周回走行させる。また、各一次転写ローラ16に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ16と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体5に形成された各色のトナー画像が、前記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト15上に順次重ね合わせて転写される。
【0023】
このようにして、中間転写ベルト15はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、転写後の各感光体5の表面には、中間転写ベルト15に転写しきれなかったトナーが残留している。この感光体5上に残留したトナーは、クリーニングブレード8によって除去される。
【0024】
用紙は、図1に示す給紙装置3から搬出され、この搬出された用紙は、タイミングローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ17と中間転写ベルト15との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ17に、中間転写ベルト15上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、二次転写ニップに転写電界が形成される。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト15上のトナー画像が用紙上に一括して転写される。
【0025】
トナー画像が転写された用紙は、定着装置20へと搬送される。定着装置20内で、用紙は加熱ローラ20aと加圧ローラ20bとの間に挟まれて加熱・加圧され、トナー画像が用紙上に定着される。その後、用紙は一対の排紙ローラ21によって排紙トレイ18に排出される。
【0026】
以上の説明は、用紙にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット4Y,4C,4M,4Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0027】
(給紙装置)
次に、図3〜図9Bに基づいて、本発明の記録媒体供給装置の実施形態に係る、給紙装置の構成について説明する。図3は給紙装置3の全体の概略構成図である。同図に示す給紙装置3は、複数枚の用紙Pを積層状態で搭載可能な記録媒体搭載部としての給紙トレイ32と、用紙を搬送する搬送手段としての吸着ベルト33と、搭載された用紙束の上面位置を検知する上面位置検知手段としての上面位置検知装置34と、上面位置検知装置34の検知結果に基づいて用紙束の上面の高さを所定の高さまで上昇させる図示しない押し上げ手段と、搭載された用紙束にエアを吹き付けて最上位置の一枚の用紙を浮上させるエア吐出手段としてのフロントブロワ35及びサイドブロワ36と、吸着ベルト33よりも用紙搬送方向の下流側に配設された一対の搬送ローラ37と、さらに下流側に配設された用紙検知センサ38を備える。
【0028】
前記上面位置検知装置34は、アクチュエータ40、フォトセンサ41、押し付け部材としての押し付けコロ42、付勢手段としての付勢レバー43と付勢コロ44を有する。ここで「付勢手段」とは弾性的な力を作用させる手段をいう。この上面位置検知装置34の詳細は後述する。
【0029】
給紙トレイ32は、給紙装置3の不図示の前扉を開くことにより、手前側に取り出し可能に構成されている。そして、給紙装置3から取り出した状態の給紙トレイ32に対して、用紙を交換又は補充することができるようになっている。この給紙トレイ32に搭載可能な用紙Pは、厚紙、はがき、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等を含む。本発明の実施形態に係る給紙装置は、用紙以外のシート状の記録媒体として、OHPシートもしくはOHPフィルム等も供給可能に構成されている。
【0030】
図4は、本発明の給紙装置の内部構造を示す斜視図である。
図4に示すように、記録媒体搭載部としての給紙トレイ32は、上方が開放された箱状をなす。給紙トレイ32は、底板32aと、底板32a上に搭載された用紙束の搬送方向前端を位置決めするフロントフェンス32bと、前記用紙束の幅方向(搬送方向と直交する方向)の両端を位置決めする一対のサイドフェンス32cと、前記用紙束の搬送方向後端を位置決めするエンドフェンス32dとを有する。用紙の交換又は補充は、給紙トレイ32の上方から行う。
【0031】
給紙トレイ32のフロントフェンス32b側の上部に、前記吸着ベルト33等を有する吸着ベルトユニット48が、給紙トレイ32の上方を幅方向(図3で見て紙面に垂直方向)に横断する形で取り付けられている。この吸着ベルトユニット48に吸引ダクト49が接続されている。吸着ベルトユニット48は第1支持部材57と第2支持部材58を有し、第1支持部材57の下側に吸着ベルト33が配置されている。第1と第2の2つの支持部材57、58に分けているのは主として組立を容易にするためであり、これら2つの支持部材57、58を一体形の一つの支持部材にすることも可能である。
【0032】
図5は、吸着ベルトユニット48を取り外した状態の図4の給紙装置を示す。
図5に示すように、フロントフェンス32bの上部近傍に一つのフロントエア吐出口35aが配設され、2つのサイドフェンス32cの上部に、それぞれ一対のサイドエア吐出口36a、36aが設けられている。これら吐出口35a、36aは、不図示のダクトを介して各フェンス内に配設されたフロントブロワ35とサイドブロワ36にそれぞれ接続されている。そして各吐出口35a、36aから吐出されたエアが、給紙トレイ32に搭載された用紙束の上層に吹き付けられるようになっている。
【0033】
図6は、図4に示す吸着ベルトユニット48を下方から見た斜視図である。図6に示すように、吸着ベルトユニット48は、吸着ベルト33と、吸着ベルト33を回転駆動させる駆動手段としての駆動モータ50と、吸着ベルトユニット48を不図示の吸引ブロワに接続する吸引ダクト49と、前記上面位置検知装置34を有する。上面位置検知装置34以外は第1支持部材57に配置され、上面位置検知装置34は第2支持部材58に配置されている。
【0034】
吸着ベルト33は、駆動ローラ51と従動ローラ52との間に所定の張力をかけた状態で掛け渡されている。駆動ローラ51に駆動モータ50が連結され、駆動モータ50があらかじめ設定された給紙タイミングで駆動されると、駆動ローラ51が回転駆動して吸着ベルト33が矢印方向に回転するようになっている。
【0035】
駆動ローラ51と従動ローラ52との間であって吸着ベルト33で囲まれた領域には、下向き(図6では上向き)の開口が形成された箱状の吸引チャンバ53が設けられている。この吸引チャンバ53は吸引ダクト49を介して不図示の吸引ブロワに接続されている。この不図示の吸引ブロワが駆動して、吸引ダクト49を介して吸引チャンバ53からエアが吸引されると、吸引チャンバ53の内部が負圧になる。これにより、吸着ベルト33に形成された複数の吸引口33aからエアが吸引され、その吸引されるエアによって吸着ベルト33の下面に用紙を吸着するようになっている。
【0036】
吸着ベルト33の従動ローラ52の側方に、従動ローラ52と平行に回動軸77が配置されている。この回動軸77は図7のように第2支持部材58に配置され、後述のようにフォトセンサ41が取り付けられて高さ調整装置75を構成している。回動軸77の一端は、トルクリミッタ80とその軸部80aを介して、第1支持部材57のアクセス側(給紙装置3前面側)に配置された操作部としての多角柱状のグリップ78に連結されている。そして、このグリップ78を時計方向に回転させることによって、後述のフォトセンサ41の位置を低くし、この反対に反時計方向に回転させることによって、フォトセンサ41の位置を高くすることができるようになっている。一方、図7から分かるように、回動軸77の他端に、後述するアクチュエータ40が回動自在に取り付けられている。
【0037】
前述した回動軸77は、トルクリミッタ80の拘束力によって、自由な回動が規制されるようになっている。トルクリミッタ80としては、例えば公知のコイルスプリング方式やパウダー方式を使用可能である。グリップ78は、このトルクリミッタ80に抗して回動軸77を無段階に回動させるためのものである。なお、トルクリミッタ80に代えて、段階的に回動位置をロックするロック部材を設けてもよい。
【0038】
回動軸77の奥側端部(アクセス側とは反対側)に、前記アクチュエータ40が回動自在に取り付けられている。また、このアクチュエータ40の近傍の回動軸77に、投光部と受光部が対向配置された一体形のフォトセンサ41がブラケット79を介して取り付けられている。フォトセンサ41はアクチュエータ40の回動位置を検知するためのもので、接触式又は非接触式にかかわらず、同等の機能を有する他のセンサに代替可能なことは勿論である。
この実施形態では、上面位置検知装置の構成部材であるフォトセンサ41を、押し付け部材としての押し付けコロ42の揺動中心となる軸線(アクチュエータ40の回動軸線)と同軸をなす回動軸77に取り付けることで、装置をコンパクトなものにすることができる。
【0039】
アクチュエータ40は板金をゲート状(門形)に折り曲げ形成したもので、アクチュエータ40の片側に、回動軸77から見て半径方向外方に張り出したフィラー40aが形成されている。そして、このフィラー40aを両側から挟むようにして、フォトセンサ41の投光部と受光部が配置され、フォトセンサ41によって、アクチュエータ40が所定の回動位置に到達したか否かが検知されるようになっている。一方、アクチュエータ40の反対側に、水平に延びたアーム部40bが形成され、このアーム部40bの先端に、用紙最上面を押圧する押し付けコロ42が支軸45によって回転自在に取り付けられている。この押し付けコロ42は、給紙トレイ32の幅方向ほぼ中央に位置し、その支軸45を給紙方向と直交する方向に向けている。
【0040】
アクチュエータ40のフィラー40aとアーム部40bは、ほぼ水平な連結板部40cで連結され、この連結板部40cの上面に、図3に概略的に示すように、付勢コロ44が所定の当接圧で当接している。従って、アクチュエータ40は付勢コロ44の付勢力によって図3で反時計方向に付勢され、押し付けコロ42が用紙最上面の幅方向ほぼ中央に所定の押し付け力を与えている。
【0041】
押し付けコロ42が用紙束の上面に接触している状態で、用紙が供給され用紙束の上面位置(高さ)が低くなると、それに追随してアクチュエータ40が回動軸77を中心として揺動する。そして、このアクチュエータ40の揺動に伴うフィラー40aの変位をフォトセンサ41が検知するようになっている。また、そのときのフォトセンサ41の検知信号に基づいて図示しない押上げ手段が給紙トレイ32の底板32aを上昇させて、用紙束の上面から吸着ベルト33までの高さh(図3参照)を所定の高さに維持するように構成されている。
【0042】
(給紙動作)
次に、給紙装置の給紙動作(給紙方法)について説明する。
画像形成装置本体から給紙指令が発せられると、ブロワ(フロントブロワ35及びサイドブロワ36)から搭載された用紙束の上層の用紙にエアを吹き付け、同時に吸着ベルト33のエア吸引を開始する。これにより、用紙束の最上位置にある1枚目の用紙を2枚目以降の用紙と分離しつつ吸着ベルト33の高さhまで浮上させ、吸着ベルト33の下面に吸着する。そして、1枚目の用紙を吸着ベルト33に吸着した状態で、吸着ベルト33と搬送ローラ37との回転を開始し1枚目の用紙を搬送する。
【0043】
その後、1枚目の用紙が図3の用紙検知センサ38に到達して検知されたら、吸着ベルト33の回転を停止する。搬送ローラ37は、吸着ベルト33が停止した状態で用紙の搬送を継続する。アクチュエータ40の押し付けコロ42が2枚目の用紙の上面に接触し、用紙束の上面位置の検知を行う。用紙束の上面位置を検知した結果、その上面位置が予め設定された基準高さを下回っている場合は、図示しない押上げ手段によって給紙トレイ32の底板32aを上昇させて、用紙束の上面から吸着ベルト33までの高さh(距離)が所定の値となるように高さ調整する。また、検知した用紙束の上面位置が予め設定された基準高さを下回っていない場合は、高さ調整は行わない。
【0044】
(用紙上面位置の高さ調整)
次に、用紙上面位置の高さhの調整について説明する。
給紙動作で説明したように、用紙束の上面位置が予め設定された基準高さを下回っている場合は、給紙トレイ32の底板32aを上昇させることによって用紙束の上面から吸着ベルト33までの高さh(距離)が所定の値となるように高さ調整する。用紙束の上面位置が予め設定された基準高さを下回っているか否かは、押し付けコロ42が取り付けられたアクチュエータ40のフィラー40aが、フォトセンサ41を遮光するか否かによって判定される。
【0045】
用紙束上面位置が下がってくると、図10に示すフィラー40aの遮光部が、回動軸77を中心とするアクチュエータ40の反時計方向の回動と共に下がってくる。そして、この遮光部がフォトセンサ41の光軸を遮った時の押し付けコロ42の高さで、押し上げ手段によって給紙トレイ32の底板32aを上昇させ始める。すなわち、押し上げ手段がフォトセンサ41からの信号を受けて、給紙トレイ32の底板32aを上昇させることによって前記高さ調整が開始される。この高さ調整により、フィラー40aの遮光部が上昇し、フォトセンサ41の投光部の光が受光部へ再び通るようになると、高さ調整が終了する(高さhが所定の値となる)。
【0046】
一般的な給紙装置では、用紙束の上面から吸着ベルト33までの高さhは一定とされている。しかし、この高さhが一定であると、普通紙とは厚さが異なる薄紙や厚紙を搬送する場合に問題がある。すなわち、秤量が軽い薄紙の場合は最上位置の用紙とその下側の用紙が分離しにくく、用紙が複数枚の束として吸着ベルト33に吸着されてそのまま搬送(重送)されてしまうことがある。また、秤量が重い厚紙の場合は吸着ベルト33に吸着されるまでに時間がかかるため、吸着ベルト33に吸着されないで空送りが発生することがある。この実施形態では、搬送する用紙の種類に応じて、グリップ78を回転することにより前記高さhを増減調整可能とした。
【0047】
すなわち、薄紙を搬送する場合はグリップ78を図7で矢印A方向に必要所定量だけ回転させる。これにより、当該グリップ78に連結された回動軸77が同方向に回転してフォトセンサ41の位置が図9Aのように低くなる。そして、その低くなった分だけ、前記押上げ手段によって給紙トレイ32の底板32aを上昇させる際に、フィラー40aの遮光部がフォトセンサ41の光軸から抜けるのが早まる。この結果、押し上げ手段による給紙トレイ32の底板32aの上昇時間が短くなって前記高さhが増大し、薄紙が確実に分離されるようになる。
【0048】
一方、厚紙を搬送する場合はグリップ78を図7で反対の矢印B方向に必要所定量だけ回転させる。これにより、当該グリップ78に連結された回動軸77が同方向に回転してフォトセンサ41の位置が図9Bのように高くなる。そして、その高くなった分だけ、前記押上げ手段によって給紙トレイ32の底板32aを上昇させる際に、フィラー40aの遮光部がフォトセンサ41の光軸から抜けるのが遅れる。この結果、押し上げ手段による給紙トレイ32の底板32aの上昇時間が長くなって前記高さhが減少し、厚紙が確実に吸着ベルト33に吸着されるようになる。
【0049】
薄紙の場合も厚紙の場合も、グリップ78は無段階に回転調整可能であるので、用紙上面高さhを秤量に応じて細かく調整することができ、薄紙から厚紙まで正常に給紙ができることで用紙対応力を強化することができる。グリップ78は第1支持部材57のアクセス側(給紙装置3前面側)、すなわち給紙トレイ32の手前側端部に位置しているので、給紙トレイ32を装置本体から取り出すことなく用紙上面高さhを容易に調整可能である。用紙上面位置の高さhの調整は、以上のようにして行うことができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。また、本発明に係る給紙装置(記録媒体供給装置)は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 画像形成装置
2 画像形成装置本体
3 給紙装置(記録媒体供給装置)
32 給紙トレイ(記録媒体搭載部)
33 吸着ベルト(搬送手段)
34 上面位置検知装置(上面位置検知手段)
35 フロントブロワ(エア吐出手段)
36 サイドブロワ(エア吐出手段)
40 アクチュエータ
40a フィラー
41 フォトセンサ
42 押し付けコロ
43 付勢レバー
44 付勢コロ
48 吸着ベルトユニット
75 高さ調整装置(高さ調整機構)
77 回動軸
78 グリップ
80 トルクリミッタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2001−247229号公報
【特許文献2】特開2007−45630号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状記録媒体を積層状態で搭載可能な記録媒体搭載部と、前記積層状態の記録媒体にエアを吹き付けて最上位置の一枚の記録媒体を浮上させるエア吐出手段と、浮上させた当該最上位置の一枚の記録媒体を吸着して搬送する搬送手段と、前記積層状態の記録媒体の最上面に接触してその高さ位置を検知する上面位置検知手段と、前記記録媒体搭載部を上下方向に昇降させるための昇降手段と、前記上面位置検知手段により検知した最上面位置に基づいて前記積層状態の記録媒体の最上面高さが所定の高さになるように前記昇降手段を制御する制御手段を備える給紙装置において、
前記最上面から前記搬送手段までの高さを調整する高さ調整機構を有する記録媒体供給装置。
【請求項2】
前記上面位置検知手段が、前記記録媒体の最上面に接触する押し付け部材と、前記押し付け部材の高さ位置を検知する上面位置検知装置を有し、前記高さ調整機構が、前記上面位置検知装置自体の高さ位置を可変にする高さ調整装置を有する請求項1の記録媒体供給装置。
【請求項3】
前記押し付け部材が、当該押し付け部材を所定の軸線回りに揺動させて所定の力で前記最上面に押し付ける揺動自在なアクチュエータに取り付けられ、前記上面位置検知装置が、前記軸線と同軸をなす回動軸に取り付けられた請求項2の記録媒体供給装置。
【請求項4】
前記回動軸を所望の回動位置に無段階に位置決め可能にした請求項3の記録媒体供給装置。
【請求項5】
前記回動軸を所望の回動位置に段階的に位置決め可能にした請求項3の記録媒体供給装置。
【請求項6】
前記回動軸の一端を前記録媒体搭載部のアクセス側で操作部として配置した請求項3の記録媒体供給装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1の記録媒体供給装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−95557(P2013−95557A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240401(P2011−240401)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】