説明

記録媒体判別装置および画像形成装置

【課題】 超音波を用いた記録媒体判別装置において、受信した超音波から一定のタイミングで記録媒体の判別のための出力値を得ると、周辺の部材からの反射波や環境変動の影響により、記録媒体の判別精度が低下することがあった。
【解決手段】 受信した超音波とその超音波を遅延させた波形を用いて、記録媒体の判別のための出力値を得るタイミングを生成することで、周辺の部材からの反射波や環境変動の影響を低減させることができ、記録媒体の判別精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の種類を判別する判別装置および、その判別装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、例えば、外部装置としてのコンピュータ等による設定、もしくは画像形成装置本体に設けられた操作パネルで記録媒体の種類(以下、紙種ともいう)がユーザによって設定されていた。記録媒体の種類を設定することで、記録媒体の種類に応じて画像形成条件を変更して、記録媒体の種類に適した条件で画像形成を行っていた。このようなコンピュータや操作パネルからのユーザ設定の負担を軽減するために、近年では、画像形成装置の内部に記録媒体の種類を判別するセンサ等を備えて、記録媒体の種類を自動に判別する機能を持たせた装置が提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1のように、超音波で記録媒体の坪量を測定する場合、超音波発信部と超音波受信部の間における超音波の伝搬時間を予め計算しておき、計算した伝搬時間に基づいて測定を行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−132055
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、記録媒体判別装置の設置される環境は常に一定の温度、気圧下にあるとは限らない。よって、環境が変わると超音波の空気中における伝搬速度が変化してしまうため、予め求めた伝搬時間に基づいた検知では精度の良い測定結果が得られない可能性がある。
【0006】
本発明に係る発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、予め超音波の伝搬時間を算出することなく記録媒体の検知を行っても、精度良く短時間で測定結果を得ることができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、記録媒体に超音波を発信する発信手段と、記録媒体を透過した前記超音波を受信し、受信した超音波から受信信号を生成する受信手段と、前記受信信号に基づき、前記受信信号から所定時間遅延させた遅延信号を生成する遅延手段と、前記受信信号と前記遅延信号から、前記受信信号の出力値を検出するタイミングを生成する生成手段と、前記生成手段により生成されたタイミングでの前記受信信号又は遅延信号の出力値を用いて記録媒体の判別を行う制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、予め超音波の伝搬時間を算出することなく記録媒体の検知を行っても、精度良く短時間で測定結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明における画像形成装置の概略図
【図2】本発明における動作制御を行う制御部のブロック図
【図3】本発明における坪量センサの構成図
【図4】第1の実施形態における制御回路のブロック図
【図5】第1の実施形態におけるタイミング生成部の回路構成図
【図6】第1の実施形態における信号波形を示す図
【図7】第1の実施形態における強度信号204の極大値と坪量の関係を示した図
【図8】第1の実施形態におけるCPU301の動作を示したフローチャート
【図9】第2の実施形態における制御回路のブロック図
【図10】第2の実施形態におけるタイミング生成部の回路構成図
【図11】第2の実施形態における信号波形を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の記録媒体の種類を判別する記録媒体判別装置は、例えば複写機やプリンタ等の画像形成装置で用いることが可能である。図1は、その一例として記録媒体判別装置を搭載している画像形成装置を示す構成図である。
【0012】
まず、画像形成装置の各部の構成について説明する。101は画像形成を行うための画像形成装置である。102は、記録媒体Pを積載する給紙カセットである。103は、給紙カセット102に積載された記録媒体Pを給紙するための給紙ローラである。20は、記録媒体Pを判別するための超音波を発信する超音波発信手段であり、30は超音波発信手段から発信された超音波を受信する超音波受信手段である。この超音波発信手段20及び超音波受信手段30を記録媒体判別装置と定義する。127及び128は、記録媒体Pを搬送する搬送ローラである。104は、転写ベルトを回転駆動させるための転写ベルト駆動ローラである。105は、転写ベルト駆動ローラ104によって駆動される転写ベルトである。
【0013】
106乃至109は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーにより画像を形成される感光ドラムである。110乃至113は、各色の感光ドラム106乃至109に夫々対応しており、感光ドラムに形成された画像を転写ベルト105上に搬送されてきた記録媒体Pに転写する転写ローラである。114乃至117は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成するためのカートリッジである。118乃至121は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成するための、感光ドラムに潜像を形成するための光学ユニットである。122は、記録媒体Pに形成された画像を定着する定着ユニットである。129及び130は、定着ユニット122で定着された記録媒体Pを排紙する排紙ローラである。123は、記録媒体Pが排出される排出トレイである。124は、排出トレイ123の満載を検知する満載検知センサである。
【0014】
次に、画像形成装置101の画像形成動作について説明する。不図示のホストコンピュータ等から画像形成装置101に、印刷命令や画像情報等を含んだ印刷データが入力される。すると、画像形成装置101は印刷動作を開始し、記録媒体Pは給紙カセット102から給紙ローラ103によって搬送路に送り出される。画像形成動作として、感光ドラム106、107、108、109は帯電ローラによって、一定の電位に帯電される。入力された印刷データにあわせて光学ユニット118、119、120、121は、帯電された感光ドラム106、107、108、109の表面をレーザビームによって露光走査して静電潜像を形成する。形成した静電潜像を可視化するためにカートリッジ114、115、116、117内の現像装置によって現像を行う。現像された各画像は、記録媒体P上に転写される。記録媒体Pに転写された画像は定着ローラ等から構成される定着ユニット122によって定着される。定着された記録媒体Pは排紙ローラ130によって排紙トレイ123に排紙され、画像形成動作を終了する。
【0015】
図2は画像形成装置101の動作制御を行う制御部のブロック図の一例である。CPU301は、ポリゴンミラー、モータ及びレーザ発光素子などを含む各色用の光学ユニット312乃至315に、制御回路302を介して接続されている。感光ドラム106乃至109にレーザを走査することにより潜像を形成するため、制御回路302に対して制御信号を出力することによって光学ユニット312乃至315の制御を行う。同様に、CPU301は、記録媒体Pを搬送するために給紙ローラ103及び搬送ローラ128を駆動するための給紙モータ316等を制御する。また、CPU301は、定着ユニット122に設けられたサーミスタ(図示せず)により温度をモニタし、定着温度を一定に保つ制御を行う。また、CPU301は、バス等(図示せず)を介してメモリ324に接続されており、メモリ324に格納されたプログラム及びデータを用いて動作の制御を行う。
【0016】
CPU301は、記録媒体判別装置の判別結果に応じて、例えば記録媒体Pの定着条件を変更する制御を行う。具体的には、比較的厚みのある記録媒体Pは熱容量が大きいので定着温度を高めに制御し、比較的厚みの少ない記録媒体Pは熱容量が小さいので定着温度を低めにして定着する。なお、CPU301で記録媒体Pの判別を行わずに、検出値そのものに基づいて上記の定着温度条件を変更することも可能である。この場合は検出値とその値に対応した定着温度条件を対応付けたテーブルをメモリ324に記憶しておけばよい。なお、制御する対象は定着条件に限られるものではなく、搬送速度等にフィードバックしてもよい。制御回路302は、CPU301の指示に基づいて光学ユニット312〜315の内部のモータ速度制御や給紙モータ316の速度制御を行う。制御回路302のようにハードウエアによる回路で制御手段を構成することにより、CPU301の負荷の低減が図れる。
【0017】
図3は、記録媒体判別装置の概略図である。20は、超音波を発信する超音波発信手段である。30は、超音波発信手段20から発信された超音波を受信する超音波受信手段である。超音波発信手段20と超音波受信手段30とは対向するように配置されている。搬送路10と搬送ローラ128及び搬送対向ローラ127により搬送される記録媒体Pは、超音波発信手段20と超音波受信手段30との間を搬送される。
【0018】
超音波発信手段20と超音波受信手段30は、発信面と受信面との間の距離がDとなるように配置されている。記録媒体Pは超音波発信手段20と超音波受信手段30との間を搬送され、記録媒体Pと超音波発信手段20と超音波受信手段30との距離は、d=D/2となるように配置されている。しかし、実際には記録媒体Pは搬送される際にばたつくので、d≒D/2と変動する。
【0019】
超音波発信手段20と超音波受信手段30は、共に同様の構成をしており、電気−機械エネルギー変換素子である圧電素子と電極端子から構成される。超音波発信手段20は、電極端子にパルス電圧が入力されると圧電素子が発振する。これにより超音波が発信され空気中を伝搬する。超音波が記録媒体Pまで到達すると、超音波の疎密に応じて記録媒体Pが振動を起こす。記録媒体Pが振動を起こすことにより、対向側の空気も振動することによって、超音波発信手段20から発信された超音波が記録媒体Pを介して超音波受信手段30に伝搬する。超音波受信手段30の圧電素子は、空気の振動の振幅に応じた出力電圧を電極端子に発生する。これが超音波圧電素子を用いた記録媒体Pの判別方法の原理となる。
【0020】
なお、超音波発信手段20から発信される超音波をガイドするガイド部材、及び記録媒体Pを透過した超音波を超音波受信手段30へガイドするガイド部材を配置することも可能である。これにより周辺部材からの超音波の反射波の影響を低減するとともに、超音波発信手段20から発信される超音波の指向性を向上させ、超音波受信手段30で受信する超音波の減衰を低減することができる。
【0021】
図4に記録媒体判別装置の制御回路についてのブロック図を示す。CPU301は、高周波生成部202を駆動し高周波信号203を生成させる。高周波生成部202は、指定された周波数の駆動信号203を生成し、発信部に送信する。発信部は、受信した駆動信号203を駆動回路210によって増幅し、超音波発信手段20に送信する。増幅された駆動信号203に基づき、超音波発信手段20は超音波を発信する。
【0022】
ここで、超音波発信手段20を駆動する周波数は、本実施形態では40kHzとしており、約9mmの波長を有する超音波である。これは、超音波発信手段20と超音波受信手段30の圧電素子の共振周波数が40kHzであるからである。これは本実施形態における一例であり、圧電素子の特性が変われば超音波の周波数は40kHzに限定されるものでない。
【0023】
超音波受信手段30は、超音波発信手段20から発信された超音波、又は記録媒体Pを透過した超音波を受信する。受信した超音波を増幅回路220にて増幅した後、超音波の強度信号204としてタイミング生成部に送信する。タイミング生成部は受信した強度信号204を遅延回路230にて遅延させる。遅延信号205と強度信号204を比較回路240によって比較し、A/Dタイミング出力信号206を生成する。A/Dタイミング出力信号206はCPU301に送信され、A/Dタイミング出力信号206の立ち下がりタイミングにてA/D変換回路201を動作させる。CPU301は、A/D変換回路201でのA/D変換結果を用いて、記録媒体Pの判別を行う。
【0024】
図5に、タイミング生成部の具体的な回路構成の例を示す。また回路内の信号波形の一部を図6に示す。抵抗R1は超音波受信手段30の負荷抵抗である。増幅回路220は、2段構成となっておりまず超音波受信手段30の出力を初段の増幅回路Amp1、抵抗R2からなる増幅回路で電流−電圧変換する。続いて後段の増幅回路Amp2、抵抗R3、R4からなる増幅回路で電圧増幅し、受信信号を増幅し強度信号204(図6(a)の204)を出力する。遅延回路230は、抵抗R5とコンデンサC1とによって構成される。遅延回路230は、入力された強度信号204をあらかじめ抵抗R5とコンデンサC1によって決められた時定数によって遅延させ、遅延信号205(図6(a)の205)を出力する。比較器Comp1と、抵抗R6とで構成される比較回路240は、強度信号204と遅延信号205とを比較し、A/Dタイミング出力信号206(図6(b)の206)を生成する。
【0025】
図6(a)において204は、超音波受信手段30で受信された超音波を増幅した強度信号の波形を示している。超音波発信手段20より超音波が発信されてから所定時間t1後に、徐々に出力が増加している。この所定時間t1は超音波発信手段20と超音波受信手段30との距離や周囲の環境(温度、湿度)等によって変化する。一般に音速は以下の式で表される。
【0026】
【数1】

【0027】
t:温度[℃]、p:圧力、d:密度、v:音速、γ:空気の定圧比熱と定積比熱の比
ここで、超音波発信手段20と超音波受信手段30との間隔Dは変化しないとすると、所定時間t1の変化は、温度の変動から求めることができる。例えば、温度が20℃から30℃に変化した場合、Δt1は以下の式で表される。
【0028】
【数2】

【0029】
また(1)式において、p、dは比例関係にあるため、圧力変化によって音速は変化しない。つまり所定時間t1は気圧変動の影響を受けない。また所定時間t1は、記録媒体Pの紙種によっても、1〜2μsの変動があることが実験によって明らかになっている。
【0030】
上記のような理由から、超音波駆動信号を送信してから、一定時間後に記録媒体Pを判別するための出力値を得る方法では、温度の変化や記録媒体Pの変化によって測定タイミングがばらついてしまうため、精度の高い坪量検知を行うことが出来ない状態であった。
【0031】
本実施形態においては、記録媒体Pを判別するための出力値を得るためのトリガとして、まず強度信号204と遅延信号205との交点から矩形波であるA/Dタイミング出力信号206を求める。CPU301に内蔵されたA/D変換回路201は、先ほど求めたA/Dタイミング出力信号206の立ち下がりのタイミングにてA/D変換を開始し、強度信号204の電圧値を取得し、記録媒体Pを判別するための出力値とする。このように、記録媒体Pを判別するための出力値を得るタイミングを超音波が発信されてから一定時間後とするのではなく、強度信号204と遅延信号205との交点からA/Dタイミング出力信号206の立下りとすることで、環境条件や記録媒体Pの種類に応じて、夫々に適したタイミングで出力値を得ることができるため、記録媒体Pの判別精度を向上させることが可能となる。なお、ここでは、A/Dタイミング出力信号206の立ち下がりを記録媒体Pを判別するための出力値を得るタイミングとしたが、立ち上がりをタイミングとしても良い。また、比較器Comp1の+側入力端子と−側入力端子を入れ替えて、反転したタイミング出力を得ても良い。また、正逆両方の極大値を使用することや、複数の極大値を使用することも可能である。また、ここでは強度信号204と遅延信号205の交点から矩形波を生成する方法を一例として挙げたが、強度信号204と遅延信号205の交点を検出した際の強度信号204又は遅延信号205の出力値を使って記録媒体Pの判別を行うことも可能である。
【0032】
また、本実施形態では、記録媒体Pを判別するための値をA/D変換結果の3サイクル目とした。これは、3サイクル目が記録媒体Pの判別に適した値となるためであるが、詳しくは後述する。なお、一例として3サイクル目としたが、強度信号204と遅延信号205が交わるタイミングは、先の図5で説明した遅延回路の特性により決めることができるため、記録媒体Pを判別する精度に問題がないくらいの振幅になった時点で強度信号204と遅延信号205の交点を検出するような構成の場合は、例えば1サイクル目の結果で記録媒体Pの判別を行うことも可能であり3サイクル目に限定されるものではない。
【0033】
図7は、強度信号204の3サイクル目の極大値と坪量との関係を示す図である。この図では、一例として坪量60[g/cm2]〜220[g/cm2]までの坪量と極大値との関係を示している。強度信号204の3サイクル目の極大値を記録媒体Pの判別に用いることで、各坪量における極大値をほぼ一意に決定できるようなグラフが得られている。例えば、坪量110[g/cm2]の記録媒体Pであれば、極大値は約500[mV]となる。このような極大値と坪量の関係が導き出せるため、精度良く記録媒体Pの判別を行うことができる。なお、このように極大値と坪量の関係を一意に決定できるような出力値を得ることが可能であれば、強度信号204の極大値を得るタイミングは3サイクル目に限定されるものではない。
【0034】
図8は、CPU301の動作を示したフローチャートである。CPU301は、記録媒体Pの判別を開始するために、超音波を駆動するための駆動信号をONとする(601)。そして、超音波が発信され、記録媒体Pを透過した超音波が受信された後、受信した超音波の強度信号204と遅延信号205からなるA/Dタイミング出力信号206の立下りを監視する(602)。A/Dタイミング出力信号206の立下りにあわせて強度信号204のA/D変換を行う(603)。記録媒体Pの判別に必要な測定数に達するまで、A/Dタイミング出力信号の監視と(602)A/D変換(603)を繰り返す(604)。必要な測定数に達すると、駆動信号をOFFとする(605)。
【0035】
このように、超音波の受信信号と、超音波の受信信号を所定時間遅延させた遅延信号から記録媒体Pを判別するための出力値を得るタイミングを生成することにより、周囲の部材からの反射の影響や環境変動の影響を低減して坪量検知の精度を向上させることが可能となる。
【0036】
(第2の実施形態)
本実施形態においては、先の第1の実施形態で説明したタイミング生成部の比較信号生成方法として、受信信号のピークホールドを使用して制御を行う。なお、先の第1の実施形態と同様の構成については、ここでの説明は省略する。
【0037】
図9に記録媒体判別装置の制御回路についてのブロック図を示す。また、制御回路のうち受信部及びタイミング生成部の具体的な回路構成例を図10に示す。図9に示した制御回路と先の第1の実施形態で示した制御回路との違いは、タイミング生成部における波形生成手段としてピークホールド回路630を使用していることである。図10の具体的な回路構成にも示すとおり、ダイオードD1及びコンデンサC1を用いてピークホールド回路630を構成している。
【0038】
図11は、図10の回路内の信号波形の一部を示したものである。超音波受信手段30によって受信された受信信号は、増幅回路220によって増幅され、強度信号701となる。強度信号701の電圧がコンデンサC1に蓄積されている電荷量とダイオードD1の順方向電圧Vfを足した電圧を超えた場合に、コンデンサC1は充電される。強度信号701の電圧がコンデンサC1に蓄積されている電荷量とダイオードD1の順方向電圧Vfを足した電圧を超えない場合には、コンデンサC1は充電されない。よって図11(a)に示すように、ピークホールド信号702は、強度信号701のピーク電圧を保持する。ここで、ピークホールド信号702の放電曲線は、コンデンサC1と抵抗R5との時定数τによって決定される。ピークホールド回路630を正常に動作させるためには、時定数回路によってこの時定数τを、発信部で設定された超音波の周波数に比べ十分大きくする必要がある。
【0039】
比較回路240にて強度信号701とピークホールド信号702を比較することにより、A/Dタイミング出力信号703(図9(b)の703)を生成する。生成したA/Dタイミング出力信号703の立ち下がりを記録媒体Pの判別に用いる出力値の取得タイミングとする。なお、ここでは、A/Dタイミング出力信号703の立ち下がりを記録媒体Pを判別するための出力値を得るタイミングとしたが、立ち上がりをタイミングとしてもよい。また、ここでは強度信号701とピークホールド信号702の交点から矩形波を生成する方法を一例として挙げたが、強度信号701とピークホールド信号702の交点を検出した際の強度信号701又はピークホールド信号702の出力値を使って記録媒体Pの判別を行うことも可能である。
【0040】
このように、第1の実施形態においては遅延回路にて生成していたA/Dタイミング出力信号703を、ピークホールド回路630にて生成することが可能となる。ピークホールド回路630によって生成したA/Dタイミング出力信号703を用いることにより、周囲の部材からの反射の影響や環境変動の影響を低減して坪量検知の精度を向上させることが可能となる。なお、ここまでA/Dタイミング出力信号703を遅延回路又はピークホールド回路630によって生成したが、記録媒体Pを判別するためのA/Dタイミング出力信号703を生成できる回路であれば良く、これらの回路に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
20 超音波送信手段
30 超音波受信手段
201 A/D変換回路
204 強度信号
205 遅延信号
206 A/Dタイミング出力信号206
230 遅延回路
240 比較回路
301 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に超音波を発信する発信手段と、
記録媒体を透過した前記超音波を受信し、受信した超音波から受信信号を生成する受信手段と、
前記受信信号に基づき、前記受信信号から所定時間遅延させた遅延信号を生成する遅延手段と、
前記受信信号と前記遅延信号から、前記受信信号の出力値を検出するタイミングを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成されたタイミングでの前記受信信号又は遅延信号の出力値を用いて記録媒体の判別を行う制御手段を有することを特徴とする記録媒体判別装置。
【請求項2】
前記生成手段により生成されたタイミングは、前記受信信号と前記遅延信号が交差したタイミングであることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体判別装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記受信信号と前記遅延信号の交点から矩形波を生成することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体判別装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記矩形波の立ち下がりのタイミングでの前記受信信号の出力値を用いて記録媒体の判別を行うことを特徴とする請求項3に記載の記録媒体判別装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記矩形波の立ち上がりのタイミングでの前記受信信号の出力値を用いて記録媒体の判別を行うことを特徴とする請求項3に記載の記録媒体判別装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記矩形波の立ち下がりが所定回数経過した後の前記受信信号を用いて記録媒体の判別を行うことを特徴とする請求項4に記載の記録媒体判別装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記矩形波の立ち上がりが所定回数経過した後の前記受信信号を用いて記録媒体の判別を行うことを特徴とする請求項5に記載の記録媒体判別装置。
【請求項8】
前記制御手段は、記録媒体の坪量を判別することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の記録媒体判別装置。
【請求項9】
記録媒体に超音波を発信する発信手段と、
記録媒体を透過した前記超音波を受信し、受信した超音波から受信信号を生成する受信手段と、
前記受信信号の出力値に応じたピークホールド信号を生成するピークホールド信号生成手段と、
前記受信信号と前記ピークホールド信号から、前記受信信号を検出するタイミングを生成するタイミング生成手段と、
前記タイミング生成手段により生成されたタイミングでの前記受信信号又はピークホールド信号の出力値を用いて記録媒体の判別を行う制御手段を有することを特徴とする記録媒体判別装置。
【請求項10】
前記生成手段により生成されたタイミングは、前記受信信号と前記ピークホールド信号が交差したタイミングであることを特徴とする請求項9に記載の記録媒体判別装置。
【請求項11】
前記タイミング生成手段は、前記受信信号と前記ピークホールド信号の交点から矩形波を生成することを特徴とする請求項9に記載の記録媒体判別装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記矩形波の立ち下がりのタイミングでの前記受信信号の出力値を用いて記録媒体の判別を行うことを特徴とする請求項11に記載の記録媒体判別装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記矩形波の立ち上がりのタイミングでの前記受信信号の出力値を用いて記録媒体の判別を行うことを特徴とする請求項11に記載の記録媒体判別装置。
【請求項14】
前記制御手段は、記録媒体の坪量を判別することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の記録媒体判別装置。
【請求項15】
前記ピークホールド信号生成手段は、コンデンサと時定数回路を有することを特徴とする請求項9に記載の記録媒体判別装置。
【請求項16】
前記ピークホールド信号生成手段は、ダイオードを含むピークホールド回路を有することを特徴とする請求項9に記載の記録媒体判別装置。
【請求項17】
画像形成を行う画像形成手段と、
記録媒体に超音波を発信する発信手段と、
記録媒体を透過した前記超音波を受信し、受信した超音波から受信信号を生成する受信手段と、
前記受信信号に基づき、前記受信信号から所定時間遅延させた遅延信号を生成する遅延手段と、
前記受信信号と前記遅延信号から、前記受信信号の出力値を検出するタイミングを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成されたタイミングでの前記受信信号又は遅延信号の出力値を用いて前記画像形成手段を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
画像形成を行う画像形成手段と、
記録媒体に超音波を発信する発信手段と、
記録媒体を透過した前記超音波を受信し、受信した超音波から受信信号を生成する受信手段と、
前記受信信号の出力値に応じたピークホールド信号を生成するピークホールド信号生成手段と、
前記受信信号と前記ピークホールド信号から、前記受信信号の出力値を検出するタイミングを生成するタイミング生成手段と、
前記タイミング生成手段により生成されたタイミングでの前記受信信号又はピークホールド信号の出力値を用いて前記画像形成手段を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−145280(P2011−145280A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235489(P2010−235489)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】