説明

記録媒体

【課題】 記録媒体の取り外しが発生しても、新たなCPUを必要とすることなく短時間で高速に撮像装置を起動できるようにする。
【解決手段】 記録媒体200のコントローラ201は、汎用インタフェース205によるPCと記録媒体200の接続の場合には、PCから受信する画像データを第2の不揮発性メモリ203に対して読み書き処理を実行できるが、第1の不揮発性メモリ202内の管理情報300に対する読み書き処理を実行できない。また、カメラインタフェース204によるデジタルカメラ100と記録媒体200の接続の場合には、第1の不揮発性メモリ202と第2の不揮発性メモリ203のいずれに対しても読み書き処理を実行できる。第1の不揮発性メモリ202は、記録媒体200が更新されているか否かを示す更新フラグ301を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置に用いられる取り外し可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SDメモリカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)等の記録媒体に撮影画像データを格納するデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置が開発されている。
【0003】
通常、撮像装置では、記録媒体に撮影画像データが記録できるか確認するために、ファイルシステムの初期化処理が必要になる。具体的には、ファイルシステムの起動時間の制約や、記録媒体に関する情報(記録媒体の種別情報、記録媒体の全体容量、現在までの使用容量、現在の空き容量、ファイルフォーマット及び現在の最新ファイル情報等)をこの記録媒体から読み出す時間のために、メカニカルな機構の初期化動作や、電気的な機構の初期化動作が完了したにもかからわらず、撮影動作を行うことが不可能であった。
【0004】
また、記録媒体の記録容量の増加に伴い、ファイルシステムの初期化に要する時間が増加し、システム起動時間全体が長くなっている。そこで、撮像装置内にある主CPUに加えて、副CPUを配有することにより、ファイルシステムの初期化動作と他のメカニカルな機構の初期化動作を行うものや、撮像装置の主CPUへ供給する電源を停止しても記録媒体が取り外されない限りは、副CPUが記録媒体に関する情報を保持することにより、撮像装置を高速に起動させるものが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−209485号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の撮像装置では、新たなCPUを必要とするためにコストがかかり、安価な撮像装置を提供することが困難であるという問題がある。また、記録媒体の取り外しが発生すると、撮像装置を短時間で高速に起動させることができず、シャッターチャンスを逃してしまうという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、記録媒体の取り外しが発生しても、新たなCPUを必要とすることなく短時間で高速に撮像装置を起動できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による記録媒体は、第1の記録領域と、第2の記録領域と、撮像装置に適合する第1のインタフェースと、前記第1のインタフェースと異なる第2のインタフェースと、前記第1のインタフェースからは前記第1の記録領域と前記第2の記録領域の両方にアクセス可能とし、前記第2のインタフェースからは前記第2の記録領域のみにアクセス可能とする制御手段とを備え、前記第1の記録領域が該記録媒体が更新されているか否かを示すフラグを保持する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体の取り外しが発生しても、新たなCPUを必要とすることなく短時間で撮像装置を起動することができ、シャッターチャンスを逃してしまうことを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1〜第3の実施形態に係る記録媒体の主要な構成要素を示す図である。図1において、200は記録媒体である。記録媒体200は、コントローラ201、第1の不揮発性メモリ202、第2の不揮発性メモリ203、カメラインタフェース204、汎用インタフェース205から構成されている。
【0011】
第1の不揮発性メモリ202及び第2の不揮発性メモリ203は、フラッシュROM等の不揮発性メモリであり、ハードディスク、CD−R又はDVD等の媒体であっても良い。2つの不揮発性メモリは物理的に異なるメモリでも良いし、同一メモリ内を2つの領域に論理的に分けて実現しても良い。この2つの不揮発性メモリの1つである第1の不揮発性メモリ202は、デジタルカメラ100を高速に起動するために、後述する図2に示す記録媒体200が更新されているか否かを示す更新フラグ301とデジタルカメラ100を高速に起動するのに必要な管理情報300を保持している。
【0012】
カメラインタフェース204は、後述するデジタルカメラ100のコネクタ92に適合するインタフェースである。
【0013】
汎用インタフェース205は、標準的なPC(パーソナルコンピュータ)に適合するインタフェースである。例えばUSB(Universal Serial Bus)である。
【0014】
コントローラ201は、外部コネクタと接続する記録媒体200のインタフェースがカメラインタフェース204か、汎用インタフェース205かにより動作が異なり、第1の不揮発性メモリ202と第2の不揮発性メモリ203へのアクセスを制御する。
【0015】
コントローラ201は、汎用インタフェース205によるPCと記録媒体200の接続の場合には、PCから受信する画像データを第2の不揮発性メモリ203に対して読み書き処理を実行できるが、第1の不揮発性メモリ202内の管理情報300に対する読み書き処理を実行できない。
【0016】
一方、コントローラ201は、カメラインタフェース204によるデジタルカメラ100と記録媒体200の接続の場合には、第1の不揮発性メモリ202と第2の不揮発性メモリ203のいずれに対しても読み書き処理を実行できる。
【0017】
また、図1において、206はデジタルカメラ100からの書込・読出等の命令、或いは、それによる反応を送受信するコマンド線である。207は画像データや管理情報等の情報を送受信するデータ線である。
【0018】
図2は、第1の不揮発性メモリ202が保持する情報の一例を説明する図である。図2において、301は記録媒体200が更新されているか否かを示す更新フラグであり、本例では記録媒体200が更新されていないことを意味する値「1」となっている。
【0019】
300は管理情報であり、空きクラスタサイズ302、記録媒体200内の画像数303、最後に記録媒体200に記録された画像の最終撮影時間304、管理情報300のバージョンを示す管理rev305から構成されている。ここで、「空きクラスタサイズ」は、空きクラスタサイズを示すものであるので、「空き領域サイズ」と呼ぶこともできる。なお、管理rev305は、同一の管理revの場合、同一の管理情報300における空きクラスタサイズ302等の各項目のフォーマットが同一である。それ故、同一の管理rev305を有する管理情報300間においては整合性があり、両者における管理情報300の各項目に関して信頼性があると言える。本例では、同一の管理rev305のみ信頼性があるとしているが、管理rev305を上位互換にしても良い。図2における例では、管理情報300はそれぞれ「105」クラスタ、「34」枚、「2005年08月04日13時47分」、バージョン「1.2」である。この管理情報は、デジタルカメラ100の後述する画像表示部28に画像数や空きクラスタサイズから計算される撮影可能枚数を表示するために必要な情報である。それ故、デジタルカメラ100内の制御を司るシステム制御部50は、この管理情報を予め保持することによって、起動時に実行する記録媒体200の画像数や空きクラスタサイズ等の検出作業を省略できる。
【0020】
図3は、本発明の第1〜3の実施形態に係る撮像装置の一例であるデジタルカメラ100の主要な構成要素を示す図である。なお、本発明を適用可能な撮像装置は、デジタルカメラに限るものではなく、デジタルカメラとして動作する装置であってもよい。例えば、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話等の装置であってもよい。
【0021】
図3において、10は撮影レンズ、12は絞り機能を有するシャッター、14は光学像を電気信号に変換する撮像素子、16は撮像素子14のアナログ信号出力をディジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0022】
18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生部であり、メモリ制御部22及びシステム制御部50により制御される。
【0023】
20は画像処理部であり、A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御部22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理部20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御手段40、測距制御手段42に対して制御を行う、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理を行っている。さらに、画像処理部20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0024】
22はメモリ制御部であり、A/D変換器16、タイミング発生部18、画像処理部20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮伸長部32を制御する。A/D変換器16のデータが画像処理部20、メモリ制御部22を介して、或いはA/D変換器16のデータが直接メモリ制御部22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書き込まれる。
【0025】
24は画像表示メモリ、26はD/A変換器、28はTFT LCD等から成る画像表示部であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、電子ファインダ機能を実現することが可能である。また、画像表示部28は、システム制御部50の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合にはデジタルカメラ100の電力消費を大幅に低減することができる。
【0026】
30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を有する。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連射撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。また、メモリ30はシステム制御部50の作業領域としても使用することが可能である。
【0027】
32は適応離散コサイン変換(ADCT)であり、JPEG等を用いて画像圧縮方式を従って画像データを圧縮したり、伸長したりする圧縮伸長部である。圧縮伸長部32は、メモリ30から読み出された画像データを圧縮又は伸長し、圧縮又は伸長した画像データをメモリ30に書き込む。
【0028】
40は絞り機能を有するシャッター12を制御する露光制御手段であり、フラッシュ48と連携することによりフラッシュ調光機能も有するものである。
【0029】
42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御する測距制御手段、44は撮影レンズ10のズーミングを制御するズーム制御手段、46はバリアである保護手段102の動作を制御するバリア制御手段である。
【0030】
48はフラッシュであり、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能も有する。露光制御手段40、測距制御手段42はTTL方式を用いて制御されており、撮像した画像データを画像処理部20によって演算した演算結果に基づき、システム制御部50が露光制御手段40、測距制御手段42に対して制御を行う。
【0031】
50はデジタルカメラ100を制御するシステム制御部、52はシステム制御部50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。
【0032】
54はシステム制御部50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する液晶表示装置、スピーカー等の表示部であり、デジタルカメラ100の操作部近辺の視認し易い位置に単数或いは複数個所設置され、例えばLCDやLED、発音素子等の組み合わせにより構成されている。また、表示部54は、その一部の機能が光学ファインダ104内に設置されている。表示部54の表示内容のうち、LCD等に表示するものとしては、シングルショット/連写撮影表示、セルフタイマー表示、圧縮率表示、記録画素数表示、記録枚数表示、残撮影可能枚数表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示、フラッシュ表示、赤目緩和表示、マクロ撮影表示、ブザー設定表示、時計用電池残量表示、電池残量表示、エラー表示、複数桁の数字による情報表示、外部記録媒体200の着脱状態表示、通信インタフェース動作表示、日付け・時刻表示、等がある。また、表示部54の表示内容のうち、光学ファインダ104内に表示するものとしては、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示、等がある。
【0033】
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、EEPROM等が用いられる。
【0034】
60、62、64、66、68及び70は、システム制御部50の各種の動作指示を入力するための操作手段であり、スイッチやダイアル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等の単数或いは複数の組み合わせで構成される。
【0035】
ここで、これらの操作手段の具体的な説明を行う。60はモードダイアルスイッチであり、電源オフ、自動撮影モード、撮影モード、パノラマ撮影モード、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード等の各機能モードを切り替え設定することができる。
【0036】
62はシャッタースイッチSW1であり、不図示のシャッターボタンの操作途中でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作開始を指示する。
【0037】
64はシャッタースイッチSW2であり、不図示のシャッターボタンの操作完了でONとなり、撮像素子12から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御部22を介してメモリ30に画像データを書き込む露光処理、画像処理部20やメモリ制御部22での演算を用いた現像処理、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮伸長部32で圧縮を行い、記録媒体200或いは210に画像データを書き込む記録処理という一連の処理の動作開始を指示する。
【0038】
66は画像表示ON/OFFスイッチであり、画像表示部28のON/OFFを設定することができる。この機能により、光学ファインダ104を用いて撮影を行う際に、TFT LCD等から成る画像表示部への電流供給を遮断することにより、省電力を図ることが可能となる。
【0039】
68はクイックレビューON/OFFスイッチであり、撮影直後に撮影した画像データを自動再生するクイックレビュー機能を設定する。なお、本実施形態では特に、画像表示部28をOFFとした場合におけるクイックレビュー機能の設定をする機能を有するものとする。
【0040】
70は各種ボタンやタッチパネル等からなる操作部であり、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連写/セルフタイマー切り替えボタン、メニュー移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタン、再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像−(マイナス)ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正ボタン、日付/時間設定ボタン、等がある。
【0041】
80は電源制御手段であり、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されており、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。
【0042】
82はコネクタ、84はコネクタ、86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる電源手段である。
【0043】
90はメモリカード等の記録媒体とデータの送受信を行うカードコントローラ、91はメモリカード等の外部記録媒体とのインタフェース、92はメモリカードと接続を行うコネクタであり、カメラインタフェース204と適合する。98はコネクタ92に記録媒体200が装着されているか否かを検知する記録媒体着脱検知手段である。
【0044】
なお、本実施形態では記録媒体を取り付けるインタフェースやコネクタは、単数或いは複数、いずれの系統数を有する構成としても構わない。また、異なる規格のインタフェース及びコネクタを組み合わせて有する構成としても構わない。インタフェース及びコネクタとしては、PCMCIAカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成して構わない。さらに、インタフェース91、そしてコネクタ92をPCMCIAカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成した場合、LANカードやモデムカード、USBカード、IEEE1394カード、P1284カード、SCSIカード、PHS等の通信カード、等の各種通信カードを接続することにより、他のコンピュータやプリンタ等の周辺機器との間で画像データや画像データに付属した管理情報を転送し合うことができる。
【0045】
102はデジタルカメラ100のレンズ10を含む撮像部を覆うことにより、撮像部の汚れや破損を防止するバリアである保護手段である。
【0046】
104は光学ファインダであり、画像表示部28による電子ファインダ機能を使用すること無しに、光学ファインダのみを用いて撮影を行うことが可能である。また、光学ファインダ104内には、表示部54の一部の機能、例えば、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示、等が設置されている。
【0047】
次に、図4〜図8までのフローチャートを参照して、デジタルカメラ100を高速に起動するためのデジタルカメラ100と記録媒体200の動作について、デジタルカメラ100が自身の電源停止時に記録媒体200に管理情報300を書き込み(図4及び図5のフローチャート)、起動時に記録媒体200から管理情報300を読み取る(図6及び図7のフローチャート)処理の流れ、及び記録媒体200がデジタルカメラ100のコマンドによって処理する流れ(図8のフローチャート)を説明する。
【0048】
まず、図4及び図5のフローチャートを参照して、デジタルカメラ100の電源停止時のシーケンスの一例を説明する。図4におけるフローチャートは、ユーザによるカメラ電源停止操作が行われることによって開始される。例えば、操作部70内の電源ボタンの操作や図示しない電池の蓋開け等がそれに当たる。システム制御部50は、図6及び図7のデジタルカメラ100の次回の起動を高速に行うために、起動時に必要な管理情報300を更新する(ステップS100)。
【0049】
続いてシステム制御部50は、更新フラグ301を「1」に設定する「フラグ設定」コマンドを記録媒体200に送信し(ステップS101)、更新フラグ301を設定し終わると速やかにデジタルカメラ100の電源をOFFにする(ステップS102)。
【0050】
次に、図5のフローチャートを参照して管理情報更新処理を説明する。システム制御部50は、「管理情報書込」コマンドを記録媒体200に送り、第1の不揮発性メモリ202内の管理情報300に空きクラスタサイズ302を書き込み(ステップS200)、画像数303を書き込み(ステップS201)、最後に記録媒体200に記録された画像の最終撮影時間304を書き込み(ステップS202)、デジタルカメラ100が起動時に各管理情報300のフォーマット(例えば、データの開始アドレス、項目数、各項目の内容)を保証するためのバージョン情報である管理rev305を書き込む(ステップS203)。なお、空きクラスタサイズ302、画像数303、最終撮影時間304及び管理rev305は、別々に記録媒体200に書き込むようにしても、これらを一括して記録媒体200に書き込むようにようにしてもよい。
【0051】
次に、図6及び図7のフローチャートを参照して、デジタルカメラ100の起動時のシーケンスを説明する。まず、ユーザによるカメラ起動操作が行われる。例えば、操作部70内の電源ボタンの操作等がそれに当たる。システム制御部50は、記録媒体200に対するアクセスを可能とするために、電源制御80を制御し記録媒体200の電源を入れる(ステップS300)。その上でシステム制御部50は、記録媒体200内の更新フラグ301を読み取る「フラグ読込」コマンドを記録媒体200に送信する(ステップS301)。
【0052】
続いてシステム制御部50は、記録媒体200内において画像データの更新及び管理情報300の信頼性を判定するために更新判定処理(後述する図7のフローチャート)を実行し(ステップS302)、その結果得られる記録媒体200が更新されておらず、管理情報300が信用できることを示す「TRUE」、或いは記録媒体200が更新されている、或いは管理情報300が信用できず、管理情報300の更新が必要であることを示す「FALSE」により、記録媒体200が更新されているかを判定する(ステップS303)。
【0053】
記録媒体200が更新されている場合は(ステップS303において「YES」)、カメラ起動完了時に画像表示28に表示するために空きクラスタサイズ302や必要な画像数303から計算される撮影可能枚数を取得するために、システム制御部50は、記録媒体200から記録済みの画像データの情報を取得し(ステップS304)、その結果を用いて記録媒体200内の空きクラスタサイズの検索(ステップS305)や記録媒体200内の総画像数のカウント(ステップS306)を実行する。
【0054】
一方、記録媒体200が更新されていない場合は(ステップS303において「NO」)、管理情報300の情報を流用することができるので、システム制御部50は、カメラ起動時における空きクラスタサイズの検出等の処理(ステップS304〜S306)を省略する。
【0055】
このように、更新フラグ301と管理情報300によって、システム制御部50は、記録媒体200が更新されているか判定することによって、より高速にデジタルカメラ100を起動することができる。
【0056】
次に、図7を参照して更新判定処理の詳細な処理を説明する。まず、システム制御部50は、図6の「フラグ読込」コマンド送信(ステップS301参照)処理によって得られる更新フラグ301を図7のフローチャートの第1工程で判定(ステップS400)する。
【0057】
更新フラグ301が更新されていることを示す「0」である場合(ステップS400において「NO」)、システム制御部50は、この更新判定処理の結果として、記録媒体200が更新されており、管理情報300の更新が必要であることを示す「FALSE」を得る(ステップS406)。
【0058】
一方、更新フラグ301が更新されていないことを示す「1」である場合(ステップS400において「YES」)、システム制御部50は、デジタルカメラ100の不揮発性メモリ56に予め記録されている管理rev305を取得する(ステップS401)。
【0059】
続いてシステム制御部50は、記録媒体200から管理情報300を取得しデジタルカメラ100内のメモリ30に保持し(ステップS402)、管理情報300内の管理rev305を抽出する(ステップS403)。
【0060】
そして、システム制御部50は、不揮発性メモリ56とメモリ30にある管理rev305を比較し一致しているか判定する(ステップS404)。
【0061】
不揮発性メモリ56とメモリ30にある管理rev305が一致する場合(ステップS404において「YES」)、システム制御部50は、この更新判定処理の結果として、記録媒体200が更新されておらず、管理情報300を信頼して使用できることを示す「TRUE」を得る(ステップS405)。
【0062】
一方、不揮発性メモリ56とメモリ30にある管理rev305が一致しない場合(ステップS404において「NO」)、システム制御部50は、この更新判定処理の結果として、管理情報300内の各項目のフォーマットが一致するか確定しないので、管理情報300を信頼して使用できないので、管理情報300の更新が必要であることを示す「FALSE」を得る(ステップS406)。
【0063】
この更新判定処理の結果(「TRUE」或いは「FALSE」)を用いて、システム制御部50は、図6のカメラ起動時のフローチャートにおいて記録媒体200が更新されているかを判定する(ステップS303参照)。
【0064】
次に、図8のフローチャートを参照して、記録媒体200がデジタルカメラ100のコマンドによって処理する流れを説明する。まず、記録媒体200内のコントローラ201は、デジタルカメラ100から受信したコマンドに応じて図12に示す処理1及び処理2を行う(ステップS500)。
【0065】
コントローラ201は、各コマンドに対して次のように処理する。「書込」或いは「消去」コマンドを受信した場合、記録媒体200内の画像データが更新されたことを示す更新フラグ301を「0」にし、その更新フラグを「0」にする処理の後で、第2の不揮発性メモリ203にデータの書き込み或いはデータブロックの消去を実行する。
【0066】
デジタルカメラ100の電源停止直前(ステップS102参照)に受け取る「フラグ設定」コマンドにより、第1の不揮発性メモリ202内の更新フラグ301を「1」に設定する。
【0067】
デジタルカメラ100の起動時(ステップS303参照)に受け取る「フラグ読込」コマンドにより、第1の不揮発性メモリ202から更新フラグ301の値「0」或いは「1」を読み取り、デジタルカメラ100に通知する。
【0068】
デジタルカメラ100の電源停止直前(ステップS303参照)に受け取る「管理情報書込」コマンドにより、管理情報300を第1の不揮発性メモリ202に書き込む。
【0069】
デジタルカメラ100の起動時(ステップS303参照)に受け取る「管理情報読込」コマンドにより、第1の不揮発性メモリ202から管理情報300を読み取り、デジタルカメラ100に通知する。
【0070】
なお、USB等の汎用的なインタフェースは、「書込」及び「消去」コマンドのみ使用可能で、他の「フラグ設定」、「フラグ読込」、「管理情報書込」及び「管理情報読込」コマンドはカメラインタフェースでしか使用できない。
【0071】
このように、本実施形態によれば、記録媒体の取り外しが発生しても、新たなCPUを必要とすることなく短時間で撮像装置を起動することができ、シャッターチャンスを逃してしまうことを少なくすることができる。
【0072】
[第2の実施形態]
続いて、図9〜図11を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、管理revによって記録媒体200の更新判定を行っていたが、本実施形態では記録媒体200固有のIDとデジタルカメラ100と記録媒体200が有するフラグ設定回数が一致する場合に、デジタルカメラ100を高速に起動できるというところが異なる。
【0073】
本実施の形態では、第1の実施形態と異なる部分のみを説明し、その他の部分は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。第1の実施形態と異なる部分は、(1)図9に示す管理情報400の内容、(2)図10に示す管理情報更新処理、(3)図11に示す記録媒体200が更新しているかを判定する更新判定処理である。なお、図4のステップS100では、管理情報300ではなく、管理情報400を更新することは言うまでもない。
【0074】
まず、図9を参照して、本実施形態に対応する第1の不揮発性メモリ202内で保持する情報の一例を説明する。管理情報400内で前述の実施形態と異なる項目を以下で説明する。本実施形態では、管理rev305の替わりに、記録媒体ID405及びフラグ設定回数406を用いる。記録媒体ID405は、記録媒体200毎に割り当てられた固有の値であり、本例では、「MID_001234」である。フラグ設定回数406は、「フラグ設定」コマンドが実行された回数であり、本例では「5」回である。以上が第1の不揮発性メモリ202内で保持する情報の説明である。
【0075】
次に、図10のフローチャートを参照して管理情報更新処理を説明する。システム制御部50は、第1の不揮発性メモリ202内の管理情報400に空きクラスタサイズ402を書き込み(ステップS600)、画像数403及び最終撮影時間404を書き込む(ステップS601)。また、システム制御部50は、デジタルカメラ100が不揮発性メモリ56に保持するフラグ設定回数をインクリメントした上で(ステップS602)、第1の不揮発性メモリ202内の管理情報400にフラグ設定回数406を書き込む(ステップS603)。続いてシステム制御部50は、不揮発性メモリ56に記録媒体200から読み取った記録媒体ID405と記録媒体200に書き込んだフラグ設定回数406を書き込む(ステップS604)。なお、空きクラスタサイズ402、画像数403、最終撮影時間404及びフラグ設定回数406は、別々に記録媒体200に書き込むようにしても、これらを一括して記録媒体200に書き込むようにようにしてもよい。
【0076】
次に、図11のフローチャートを参照して記録媒体200が更新しているかを判定する更新判定処理を説明する。まずシステム制御部50は、図6の「フラグ読込」コマンド送信(ステップS301参照)処理によって得られる更新フラグ401を図7のフローチャートの第1工程で判定(ステップS700)する。
【0077】
更新フラグ401が更新されていることを示す「0」である場合(ステップS700において「NO」)、システム制御部50は、この更新判定処理の結果として、記録媒体200が更新されており、管理情報400の更新が必要であることを示す「FALSE」を得る(ステップS707)。
【0078】
一方、更新フラグ401が更新されていないことを示す「1」である場合(ステップS700において「YES」)、システム制御部50は、デジタルカメラ100の不揮発性メモリ56に予め記録されている記録媒体ID405を取得し(ステップS701)、フラグ設定回数406を取得する(ステップS702)。
【0079】
システム制御部50は、記録媒体200から管理情報400を取得しデジタルカメラ100内のメモリ30に保持し(ステップS703)、管理情報400内の記録媒体ID405及びフラグ設定回数406を抽出する(ステップS704)。そして、システム制御部50は、不揮発性メモリ56とメモリ30にある記録媒体ID405及びフラグ設定回数406を比較し一致しているか判定する(ステップS705)。
【0080】
不揮発性メモリ56とメモリ30にある記録媒体ID405及びフラグ設定回数406が一致する場合(ステップS705において「YES」)、システム制御部50は、この更新判定処理の結果として、記録媒体200が更新されておらず、管理情報400を信頼して使用できることを示す「TRUE」を得る(ステップS706)。
【0081】
一方、不揮発性メモリ56とメモリ30にある記録媒体ID405及びフラグ設定回数406が一致しない場合(ステップS705において「NO」)、システム制御部50は、この更新判定処理の結果として、管理情報400内の各項目のフォーマットが一致するか確定しないので、管理情報400を信頼して使用できないので、管理情報400の更新が必要であることを示す「FALSE」を得る(ステップS707)。
【0082】
この更新判定処理の結果(「TRUE」或いは「FALSE」)を用いて、システム制御部50は、図6のカメラ起動時のフローチャートにおいて記録媒体200が更新されているかを判定する(ステップS303参照)。
【0083】
このように、第2の実施形態においても、デジタルカメラ100及び記録媒体200を動作させることにより、デジタルカメラ100の起動処理の高速化を図ることができる。
【0084】
[第3の実施形態]
第1の実施形態では、更新フラグ301と管理rev305によって記録媒体200の更新判定を行っていたが、本実施形態では、更新フラグ301と不図示のデジタルカメラ100の識別IDにより記録媒体の更新を判定する。このように、上記管理rev305から上記識別IDに変更された差異があるだけで、本実施形態による処理の流れは、第1の実施形態と同様であり、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1〜第3の実施形態に係る記録媒体の主要な構成要素を示す図である。
【図2】第1の不揮発性メモリが保持する情報の一例を説明する図である。
【図3】第1〜第3の実施形態に係る撮像装置の一例であるデジタルカメラの主要な構成要素を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係るデジタルカメラの電源停止時における処理の一例を説明するフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る管理情報更新処理の一例を説明するフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係るデジタルカメラの起動時における処理の一例を説明するフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係るデジタルカメラの記録媒体の更新判定における処理の一例を説明するフローチャートである。
【図8】第1の実施形態に係る記録媒体のデジタルカメラからコマンドを受信した場合の処理の一例を説明するフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係る第1の不揮発性メモリ内のデータの説明図である。
【図10】第2の実施形態に係る管理情報更新処理の一例を説明するフローチャートである。
【図11】第2の実施形態に係るデジタルカメラの記録媒体の更新判定における処理の一例を説明するフローチャートである。
【図12】第1〜第3の実施形態に係る記録媒体で実行される処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
100:デジタルカメラ
200:記録媒体
201:コントローラ
202:第1の不揮発性メモリ
203:第2の不揮発性メモリ
204:カメラインタフェース
205:汎用インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録領域と、
第2の記録領域と、
撮像装置に適合する第1のインタフェースと、
前記第1のインタフェースと異なる第2のインタフェースと、
前記第1のインタフェースからは前記第1の記録領域と前記第2の記録領域の両方にアクセス可能とし、前記第2のインタフェースからは前記第2の記録領域のみにアクセス可能とする制御手段とを備え、
前記第1の記録領域が該記録媒体が更新されているか否かを示すフラグを保持することを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記第1の記録領域は、該記録媒体内の画像の枚数、該記録媒体の空き領域サイズ等の前記撮像装置の起動時に必要な管理情報及び管理情報の整合性判定情報を保持することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記撮像装置により起動時に前記フラグが設定されているか検知され、該記録媒体と前記撮像装置各々から取得した前記管理情報の整合性が判定されることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記撮像装置の電源を停止する直前に、前記第1の記録領域に空き領域サイズ、画像数、前記管理領域の整合性判定情報が書き込まれることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項5】
前記第1の記録領域は、該記録媒体に前記フラグの設定命令が来た回数である前記フラグの設定回数、該記録媒体に固有のID、該記録媒体内の画像の枚数、該記録媒体の空き領域サイズ等の前記撮像装置の初期化時に必要な管理情報を保持することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項6】
前記撮像装置により起動時に前記フラグが設定されているか検知され、該記録媒体と前記撮像装置各々から取得した記録媒体ID、該記録媒体への前記フラグの設定回数が一致するか判定されることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項7】
前記撮像装置の電源を停止する直前に、前記第1の記録領域に空き領域サイズ、画像数、該記録媒体への前記フラグの設定回数が書き込まれることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項8】
前記フラグをクリアするために前記第1の又は第2のインタフェースから受信した第2の記録領域のデータ更新命令を検知する第1の命令検知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項9】
前記フラグを設定するために前記第1のインタフェースから受信した管理領域のフラグ設定命令を検知する第2の検知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項10】
前記フラグを前記撮像装置に通知するために前記第1のインタフェースから受信したフラグ通知命令を検知する第3の検知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項11】
管理情報を読み込むために前記第1のインタフェースから受信した管理情報読込命令を検知する第4の検知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項12】
管理情報に書き込むために前記第1のインタフェースから受信した管理情報書込命令を検知する第5の検知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項13】
前記フラグのクリアは、前記フラグをクリアした後に、前記第2の記録領域のデータ更新を実行することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項14】
前記フラグの設定は、前記撮像装置の電源を停止する直前に、前記フラグの設定を実行することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−53707(P2007−53707A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239216(P2005−239216)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】