説明

記録装置

【課題】 ACアダプタまたは電池で駆動可能な記録装置においてインク残量、電池残量等の装置内部情報を、装置の電源を入れることなく表示出来る記録装置を提供する。
【解決手段】 電池または交流電源からのいずれかの電力供給源から電力供給を受けて動作可能であり、電力供給の入力部に設けられた半導体スイッチと、電源のオン/オフの操作のための第1のスイッチと、表示部のオン/オフを制御する第2のスイッチを有する記録装置であって、前記第1のスイッチの操作により電源オン時には、前記半導体スイッチをオンした後、前記電力供給源からの電力供給を開始して所定の動作を行う制御手段を有し、前記制御手段は、前記電力供給源からの電力供給がなされていない場合、前記第2のスイッチの操作により、前記半導体スイッチをオンして装置への電力供給を開始し、前記所定の動作は行わず、前記表示手段に、前記装置の内部情報を表示させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、特に携帯可能な小型記録装置のインク残量、バッテリ残量等記録装置の内部情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、携帯型のパーソナルコンピュータ(ノートパソコン)、PDA、デジタルカメラ、携帯電話機、ビデオカメラ等の電子機器が市場に多く投入されている。これらの電子機器は、携帯性を考慮し、家庭用電源に接続されていない状態、つまりコードレスで使用可能に構成されている。従って、電源コードを用いて家庭用の交流電源に接続されることなく、電池等を電子機器に内蔵したり、電池を内蔵した電池パックのようなユニットを電子機器の外部に接続して使用できるように構成されており、家庭内及びオフィスのどこでも、また外出先、室外等場所を選ばず使用可能である。近年では、繰返し充電可能な電池、いわゆる二次電池が多用されている。二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、などが知られている。
【0003】
近年、上記電子機器のデータ、写真等の画像出力用として携帯型の記録装置が一般的になってきた。この種の携帯型記録装置は、上記電子機器と同様に、交流電源と電池の両方で駆動可能になっており、家庭内及びオフィスのどこでも、また外出先、室外等場所を選ばずプリントアウト可能である。
【0004】
また、持ち運びを考慮していない据え置き型(デスクトップ型)の記録装置は、装置のパワーオフ時でも装置側に電力を供給し、MPUを動作させておき、常に装置上のパワースイッチのオンオフを検知しており、パワーオフ時の消費電力を低下させるために、装置の制御を司るMPU及び制御回路のクロック周波数をパワーオン時に比べて低下させたり、又は、停止したりすることが一般的に行われているのに対して、携帯型の記録装置は、最近の省エネに関する関心(特に、装置のパワーオフ時の無効電力)及び規制の強化、更にはパワーオフ時の電池の消耗を抑えるために、特許文献1で示される記録装置のように、交流電源からDC電源に変換するACアダプタ、または電池の外部電源ユニットから記録装置内の電源入力部にFET等の半導体スイッチを設け、装置のパワーオフ時には装置外部からの電源を遮断する構成である。この装置は、装置のパワースイッチの押下している間半導体スイッチをオンして装置の制御を司るMPUを含むロジック回路に電源を供給し、MPUが動作したらMPUの制御で出力ポートにより、半導体スイッチをON固定にし、装置に電源を供給し続ける。装置のパワーオフ時には、パワースイッチが押されたら、MPU制御により出力ポートを制御して半導体スイッチをオフにして電源の入力を遮断する。
【0005】
また、特許文献2で示す記録装置は、装置のパワーオフ時には、装置内で外部電源からMPUを含む制御ロジック電圧に電圧変換を行うDC−DCコンバータの発振を止めて、装置への電源供給をシャットアウトする構成である。この装置は、装置のパワースイッチの押下している間DC−DCコンバータを発振させて装置の制御を司るMPUを含むロジック回路に電源を供給し、MPUが動作したらMPUの制御で出力ポートにより、DC−DCコンバータを発振状態に固定にし、装置に電源を供給し続ける。装置のパワーオフ時には、パワースイッチが押されたら、MPU制御により出力ポートを制御してDC−DCコンバータの発振を停止して電源の入力を遮断する。
【0006】
上記2方式とも装置のパワーオフ時の消費電力を0.1W以下にすることが可能である。
【0007】
また、携帯可能な記録装置は、記録方式がインクジェット方式のときは、据え置き型(デスクトップ型)の記録装置に比べて装置サイズの制約により、インク容量を大きくすることができないため、インク残量を装置上のLED等の表示手段により表示する記録装置がある。また、携帯可能な記録装置では、電池で駆動可能な構成をとっている場合が多く、その電池残量を上記表示手段により表示するのが一般的である。
【0008】
ユーザが外出先でプリントするために携帯可能な記録装置を携行しようとした場合、装置に搭載されているインク残量は十分で、予備のインクタンクを携行する必要がないか、また電池残量は十分で外出前に電池を充電する必要がないか、電池がなくなる可能性があるので、ACアダプタも携行する必要があるか等を知りたいというニーズが強い。
【特許文献1】特開2003−80800号公報
【特許文献2】特開2003−72057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、装置のパワーオフ時に入力電源を遮断する上記従来技術を採用した記録装置では、パワースイッチを押して装置に電源を供給し、装置の初期設定を行わないとインク残量、バッテリ残量を表示できないという問題があった。ユーザは、外出前の忙しい時間に、記録装置の電源を入れて装置の初期設定を行った後にインク残量、バッテリ残量を確認し、その後記録装置の電源をオフして装置の電源オフシーケンスを終了するのに数十秒から数分の時間を要し、非常に使い勝手が悪い。また、この電源オンシーケンス、電源オフシーケンスは、ロジック電流の消費の他に、モータも駆動する必要があるため、省エネに反する、電池を消費し、電池寿命に悪影響するという問題があった。
【0010】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであって、ACアダプタまたは電池で駆動可能な記録装置においてインク残量、電池残量等の装置内部情報を、装置の電源を入れることなく表示出来る記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の問題点を解決するために、電池または交流電源からのいずれかの電力供給源から電力供給を受けて動作可能であり、電力供給の入力部に設けられた半導体スイッチと、電源のオン/オフの操作のための第1のスイッチと、表示部のオン/オフを制御する第2のスイッチを有する記録装置であって、前記第1のスイッチの操作により電源オン時には、前記半導体スイッチをオンした後、前記電力供給源からの電力供給を開始して所定の動作を行う制御手段を有し、前記制御手段は、前記電力供給源からの電力供給がなされていない場合、前記第2のスイッチの操作により、前記半導体スイッチをオンして装置への電力供給を開始し、前記所定の動作は行わず、前記表示手段に、前記装置の内部情報を表示させる。
【発明の効果】
【0012】
記録装置の起動時に、装置に無駄な動作をさせることなく、装置の内部情報をユーザに知らせることができ、省エネルギーとユーザの利便性を両立した記録装置を提供可能できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0014】
図2は本発明の代表的な実施形態である携帯型インクジェット記録装置1(以下記録装置と記述する)の外観斜視図である。また、この記録装置は、カラープリント、白黒モノカラープリントの両方が可能な構成を示している。
【0015】
図2に示すように、キャリッジ101上には多くのノズルを有したマルチノズルの記録ヘッド102とカートリッジガイド103とが搭載されており、記録ヘッド102はブラック(K)のインク、或いは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)のインクを夫々吐出する。記録装置の記録動作時、記録ヘッド102にはブラックインクを収容したインクカートリッジ110と他の3色のインクを収容したインクカートリッジ111が装着されている。そして、それぞれのインクカートリッジからマゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクが供給されるとともに、多数の導線を配列したフレキシブルケーブル(不図示)を介して記録ヘッド各ノズルの駆動信号が供給される。
【0016】
一方、キャリッジ101は2本のガイドレール104〜105上に載置されており、キャリッジ101に連結した無端ベルト109をキャリアモータ(後述)で駆動することによりキャリッジ101をX方向(以下、このX方向を主走査方向という)に往復走行させる。また、記録用紙106は補助ローラ107によって展張されて記録用紙の搬送がスムーズになされるように助けられている。また、搬送ローラ108は搬送モータ(後述)によって駆動され記録用紙106をY方向(以下、このY方向を副走査方向という)に給送する。
【0017】
図1は記録装置の制御回路の構成を示すブロック図である。図1において、MPU(マイクロプロセッサユニット)10は、ROM11に格納されたプログラムに従って記録装置全体を制御する。ホスト機器12との間には、記録データを受信する送受信手段13を有し、受信した記録データは、図示しないDMA(ダイレクトメモリアクセス)制御回路により、MPU10の介在無しに、RAM14の受信バッファに格納される。受信した記録データは、圧縮を解凍した後に、ラスタ方向(キャリッジの主操作方向)のデータ並びを記録ヘッド102のノズル列方向(紙送り方向)のデータ並びに変換して、RAM14内のプリントバッファに格納する。これによりMPU10は、ホスト機器12から転送されてくる指令データ及び記録データに基づいて、モータ制御回路15、モータ駆動回路16を介してキャリアモータ17や搬送モータ18などの回転を制御するとともに、RAM14内のプリントバッファからヘッド制御部19及びヘッド駆動部20を介して記録ヘッド(インクジェットヘッド)102に記録データを出力して、その記録動作を制御している。
【0018】
21は、公知のインク残量検知手段であり、発光ダイオードとフォトトランジスタの組合せで、インク有無による光の透過率の変化を検出する光学式、実際にインクを吐出したインク滴の数を数えるドットカウント式等が一般的に用いられている。MPU10は、光学式の場合はADコンバータ、ドットカウント式の場合は、図示しないEEPROM等不揮発性メモリから読み取り、出力ポート22を介してLED等の表示手段23にインク残量を表示する。
【0019】
30は家庭用コンセント等交流電源からDC電源に変換して、記録装置全体の制御部1に電力を供給するACアダプタ、31は、記録装置全体の制御部1に電力を供給する二次電池である。この記録装置に二次電池31のみが接続されている時には、1a→充電制御回路10→1bを経由して電力を供給する。
【0020】
また、この記録装置全体の制御部1にACアダプタ30が接続されている時には、二次電池31の接続いかんに関わらず、ACアダプタ30から電力が供給される。つまり、交流電源1cがACアダプタ30によりDC電圧に変換されて経路1dを経て入力される。本実施例では、二次電池31またはACアダプタ30から供給された電圧1dは、DC−DCコンバータ33により所定の電圧に降圧され、記録装置全体の制御部1のロジック動作用電圧Vccとして供給される。
【0021】
また、二次電池31またはACアダプタ30から供給された電圧1dは、同様にDC−DCコンバータ34に入力され、所定の電圧に昇圧され、記録装置のモータや記録ヘッドの駆動用電圧VHとして供給される。
【0022】
二次電池31が接続されており、かつ満充電状態でないときで、かつ記録装置の消費電力に余裕がある場合は、ACアダプタ30→充電制御回路32経由で充電が行なわれる。
【0023】
なお、この二次電池は例えば、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池の繰返し充電可能な電池である。
【0024】
次に、記録装置1の構成と電源オンオフのシーケンスについて図1に示した主要な信号についてのタイミングチャートである図3を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1に示すように、記録装置1には記録装置の動作のオンオフを指示するパワースイッチ35が設けられ、パワースイッチ35から出力される出力信号1fは入力ポート36を介してMPU20に読み込まれ、出力ポート22の出力信号1gによりトランジスタ38のオン/オフが制御される。
【0026】
まず、二次電池31が記録装置に接続されている状態、または、二次電池31が装置に接続されていない状態で、ACアダプタ30が交流電源のコンセントに接続された状態で記録装置1に接続するか、または、記録装置1に接続状態で、交流電源のコンセントに接続すると、経路1dに入力電圧が立ち上がる。なお、ここではパワースイッチ35は押下げられてなく、パワー投入はされていない。
【0027】
この状態は、経路1dまでACアダプタ30から、または二次電池31からの電力は供給されているが、FET36がオフしていることにより、記録装置内部の回路への電力供給は遮断されている状態である。
【0028】
この状態で、ユーザが記録装置1を動作させるべくパワースイッチ35を押すと、パワースイッチ35の片側の端子がグランドに接続されているので、信号ライン1hの電位はダイオードD1を介してグランドレベル近傍になり、抵抗R1とR2で分圧されたゲート電位1iにバイアスがかかりFET36はオンする。その結果、FET36のドレイン電圧1eが立ち上がり、DC−DCコンバータ33を介してロジック電圧Vccが、記録装置内部のMPU10を含むロジック回路に供給される。
【0029】
ロジック電圧Vccが一定レベル以上になると、リセット回路37は規定時間(T)の間リセット信号1jを“L”レベルとし、MPU10をリセットする。このリセット動作を完了してMPU10のリセットが解除された後、MPU10は、ROM11に記憶された制御プログラムを実行して記録装置1を制御する。また、ROM11に記憶された制御プログラムに従う初期制御では、出力ポート22の出力信号1gが“H”レベルに制御され、トランジスタ38がオンとなる。この動作により、信号ライン1hの電位はパワースイッチ35の押下を終了した後も“L”レベルに固定されることになり、FET36はオンし続け、ACアダプタ30から、または二次電池31から電源が供給される状態が維持され、記録装置1は動作状態となる。
【0030】
次に、記録装置1が動作状態、つまりACアダプタ2または二次電池31からFET36経由で記録装置1の内部回路に電力が供給されている状態から、パワースイッチ35の押下により、記録装置1側への電源供給が遮断され、記録装置1がパワーオフ状態になるまでの回路の動作について、引き続き図3を参照して説明する。
【0031】
まず、ACアダプタ30または、二次電池31から記録装置1へ電力を供給している状態において信号ライン1hの電位は、上述したように出力ポート22を介してトランジスタ38がオンにしていることにより、グランドレベル近傍に固定されている。
【0032】
この状態でパワースイッチ35を押下し、続いて放すと、電源スイッチ出力信号1fには、図3に示すようなパルスPが出力され、これが入力ポート36に入力される。
【0033】
一方、MPU10はパワースイッチ35が押されたことを入力ポート36を介して検知すると電源オフシーケンスを開始する。このシーケンスにおいて、MPU10は、まず出力ポート22の出力信号1gを“L”レベルに変更する。出力信号1gが“L”レベルとなることでトランジスタ38がオフの状態となり、信号ライン1hの電位、及びFET36のゲート電圧1iは、ソース電位1dと同じになり、その結果、FET36はオフして、ACアダプタ30からの電力供給が遮断されて、DC−DCコンバータ33の出力である記録装置1のロジック電源Vccも低下する。そして、ロジック電源Vccが一定レベル以下になると、リセット回路37の出力、つまり信号1jが“L”レベルとなる。その結果、出力ポート22の出力信号が不定になることによって生じるトランジスタ38が誤ってオンを防止することができる。
【0034】
本実施例では、1hの信号ラインにパワースイッチ35の他にインク残量確認スイッチ39がダイオードD2を介してOR接続されており、パワースイッチ35を押して記録装置を動作状態にしなくても、インク残量確認スイッチ39を押すことにより、上述の通りパワースイッチ35を押したときと同様に、FET36をONにして装置に電源を供給することが可能である。また、インク残量確認スイッチ39を放した後も同様に、MPU10が出力ポート22の該当ビットをONすることにより、トランジスタ38をONさせFET36をONし続けることが可能である。更に、規定時間残量表示を行った後に、MUP10が出力ポートの該当ビットをOFFすることにより、トランジスタ38をOFFさせ、FET36をOFFさせることにより、記録装置への電源供給を遮断することが可能である。回路動作および各信号波形は図3と同じなので説明は省略する。
【0035】
最後に、図4に示すフローチャートを参照して、記録装置1の電源オン/オフ時及びインク残量確認スイッチ39のオン/オフ時にMPU10が実行する制御手順について説明する。
【0036】
ここでは、上述したように、ユーザが記録装置1を動作させるべくパワースイッチ35または、残量確認スイッチ39を押し、その結果、ロジック電圧Vccが、記録装置内部のMPU10を含むロジック回路に供給され、記録装置1に電源が供給され、MPU10を含むロジック回路に電圧が印加された後の規定時間(T)後にリセットが解除されることを想定している。これにより、MPU10はROM15に記憶されたプログラムを実行し、制御を開始する。
【0037】
このリセット解除後、まず、ステップS101では出力ポート22の該当ビット(bit1とする)に“1”を書き込み1g信号に“H”レベルの信号を出力し、トランジスタ38をオンさせることにより、FET36をオン状態で固定し、ACアダプタ30から電力を供給し続けるようにする。また、同時に出力ポート22の該当ビット(bit2とする)に“0”を書き込み,インク残量表示手段のLEDを消灯させる。
【0038】
次に、ステップS102では入力ポート18への入力信号1fを読み込み、記録装置1のパワースイッチ35が押下されているかどうかをチェックする。
【0039】
ステップS102において、パワースイッチ17が押されていると判断したときは、処理はステップS103に進み、記録装置1の初期設定を行う。初期設定では、キャリッジモータ及び図示しない回復系モータを起動し、キャリッジを回復系のキャップをはずし、キャリッジのホームポジションを設定し、ホスト装置から記録データが送られて来るのを待つ。また、インク残量検出手段から読み取った情報をもとに、インク残量が規定値以下だったら、出力ポートのbit2に“1”を書き込みLED等の表示手段にインク残量エラーを表示する。記録装置が記録データを受信したら、モータ制御回路15およびモータ駆動回路16を介してキャリアモータ17や搬送モータ18などの回転を制御するとともに、RAM14内のプリントバッファからヘッド制御回路19及びヘッド駆動回路20を介して記録ヘッド(インクジェットヘッド)102に記録データを出力して、その記録動作を制御する。
【0040】
記録装置1の動作中、ステップS104では常にパワースイッチ35の状態をポーリングまたは割り込みでチェックする。ステップS104で記録装置1の動作中にパワースイッチ35が押されたと判断したときには、処理はステップS105に進み、現在実行中の動作を終了し、その後、処理はステップS107に進んで、出力ポート22のbit1に“0”を書き込み、トランジスタ38、FET36をOFFすることにより、ACアダプタ30又は二次電池31からの電力供給を遮断する。
【0041】
ステップS102で、パワースイッチ35が押されていないと判断したときは、ステップS107に移行し、インク残量確認スイッチ39が押されているか判断する。
【0042】
ステップS107で、インク残量確認スイッチ39が押されていたら、ステップS108でインク残量検出手段21からインク残量を読み取る。MPU10は、インク残量検出手段21から読み取った情報をもとに、インク残量が規定値以下だったら、ステップS110で出力ポート22のbit2に“1”を書き込み表示手段23であるLEDを点灯し、インク残量エラーを表示する。インク残量が規定値以上の場合には、ステップS111で出力ポート22のbit2に“0”を書き込み表示手段23であるLEDを消灯したままとする。次にステップS112でインク残量確認スイッチをポーリングし、インク残量確認スイッチが放されたら、前述のステップS106に移行し、出力ポート22のbit1に“0”を書き込み、トランジスタ38、FET36をOFFすることにより、ACアダプタ30または二次電池31からの電力供給を遮断する。なお、ステップS112でインク残量確認スイッチをポーリングしているが、所定時間経過した後、ステップS106へ進んでも構わない。
【0043】
ステップS107で、インク残量確認スイッチ39も押されていないと判断したときは、ユーザは記録装置1の起動およびインク残量の表示を望んでいないと判断し、前述のステップS106に移行し、出力ポート22のbit1に“0”を書き込み、トランジスタ38、FET36をOFFすることにより、ACアダプタ30または2次電池31からの電力供給を遮断する。
【0044】
従って以上説明した実施形態に従えば、動作用電源として、電池と、交流電源からDC電源に変換するAC−DC回路から電力供給を受けて動作可能な記録装置において、前記電力供給を行うか否かを制御するスイッチを備える記録装置において、装置の電源オフ状態であっても装置の内部情報を表示するための専用スイッチを設け、この専用スイッチを操作することで、記録装置に備える表示手段にインク残量を表示することが可能となる。
【0045】
なお、本実施例では、記録装置に表示する内部情報としてインク残量を例示したが、公知の電池が接続されていれば、電池残量検知手段により検知された電池残量を表示してもよい。このときは、21のインク残量検知手段を電池残量検知手段に置き換えるだけで、他の回路構成、制御方法は実施例と同一なので、説明は省略する。
【0046】
また、表示手段に限定することなく、ブザーやメッセージを出力させる構成でも構わない。また、電池としてリチウムイオン等の充電可能な二次電池を例示したが、アルカリ電池等の一次電池を用いてもよい。
【0047】
また、本実施例では電源入力部にシリーズに半導体スイッチを挿入して、外部からの電源のオン/オフを行ったが、DC−DCコンバータの制御端子を直接オン/オフして、DC−DCコンバータの発振を止めることにより、装置の制御部への電力供給をオン/オフしてもよい。
【0048】
また記録装置側に設けられ記録装置を動作させるスイッチとして、スイッチが押下された状態の時にオンとなる構成のタクトスイッチを例として説明したが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、スライドスイッチ等他の方式のスイッチでも本発明に適用することができる。また、外部電源からの電力を遮断する半導体スイッチとしてFETを例示したが、他の種類のトランジスタを使用できることは言うまでもない。
【0049】
更に、表示手段として、LEDを例示したが、液晶等他の表示手段を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に関わる記録装置のブロック図
【図2】本発明に関わる記録装置の主要な構成を示す外観図
【図3】本発明に関わる記録装置の、パワースイッチオン・オフ時における、制御回路の主要な信号の遷移を示すタイミングチャート
【図4】本発明に関わる記録装置の制御を司るMPUの制御手順を示すフローチャート図
【符号の説明】
【0051】
1 記録装置
10 MPU
11 ROM
21 インク残量検出手段
22 出力ポート
23 表示手段
30 外部電力供給ユニット
31 二次電池
31 DC−DCコンバータ
35 パワースイッチ
39 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池または交流電源からのいずれかの電力供給源から電力供給を受けて動作可能であり、電力供給の入力部に設けられた半導体スイッチと、電源のオン/オフの操作のための第1のスイッチと、表示部のオン/オフを制御する第2のスイッチを有する記録装置であって、
前記第1のスイッチの操作により電源オン時には、前記半導体スイッチをオンした後、前記電力供給源からの電力供給を開始して所定の動作を行う制御手段を有し、
前記制御手段は、前記電力供給源からの電力供給がなされていない場合、前記第2のスイッチの操作により、前記半導体スイッチをオンして装置への電力供給を開始し、前記所定の動作は行わず、前記表示手段に、前記装置の内部情報を表示させることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記内部情報は、前記記録装置に備えられている記録材の残量であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録材は、インクであることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記内部情報は、前記電池の残量であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−315366(P2006−315366A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142505(P2005−142505)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】