説明

記録装置

【課題】 音声符号化/復号化が同時に実行できない装置で音声モニタ付き(音声を再生しながら)のアフレコを行う。
【解決手段】 規格上定まっているアフレコフォーマットとは別のフォーマット(処理の軽いフォーマット)でアフレコ信号を一時的に記録し、アフレコ記録後に規格上定まっているフォーマットへ変換、復号化器の処理を簡略化して規格上定まっているフォーマットへ変換(復号化器がねている間に符号化を行う)、記録媒体の残量に応じてアフレコのモード(音声モニタあり/音声モニタなし/アフレコ禁止)を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置に関し、特にアフターレコーディング処理に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ディジタルビデオカメラのような撮像装置ではDVテープを記録媒体に用いている。このDVテープを記録媒体に持つディジタルビデオカメラにおいて、アフターレコーディング(以下アフレコ)を行うには、DVテープにあらかじめ設けられているアフレコ領域に対して音声信号を記録すればよく、その実現手法についても数多くの特許が出願されている。
【0003】
一方、DVテープ以外の記録媒体として、DVDやBlu−rayディスクを始めとした光ディスク、ハードディスク、シリコンメモリなどが挙げられる。ランダムアクセス性やPCとの親和性を考慮した場合、ディジタルビデオカメラの記録媒体は光ディスクなどへ移行すると予想される。その際、光ディスクを記録媒体に持つディジタルビデオカメラにもDVテープと同様アフレコ機能への要求があると考えられる。
【0004】
更に、DVテープを記録媒体に用いた撮像装置では、記録/再生ヘッドの構造上、DVテープに記録されている音声信号を再生しながらのアフレコ記録(音声モニタ付きのアフレコ)が困難であったが、ディスクを記録媒体に用いた撮像装置になると、音声モニタ付きのアフレコ記録が可能となる。
【0005】
光ディスクに対して記録再生を行う撮像装置にてアフレコ記録を行う場合、光ディスクからの再生信号(以下、オリジナルストリームともよぶ)にアフレコする信号(以下、アフレコストリームともよぶ)を加算して、この信号を光ディスクに上書きまたは挿入記録する方法がある。なお、映像信号と音声信号が多重化されている場合は、これらを分離して、分離された信号に入力信号を加算して、再度多重化して追加記録する(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、アフレコストリームを光ディスクに記録されているオリジナルストリームとは別の領域に記録してアフレコストリームのパケットとオリジナルストリームのパケット間でタイムスタンプが一致するように記録する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−32606号(第3頁)
【特許文献2】特開平11−298845号(第5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術の構成では以下の問題が存在する。
【0008】
従来技術である特許文献1ならびに特許文献2に示されている処理を実現しようとすると、オリジナルストリームの復号化/再生を行いながら、ディジタルビデオに具備されているマイクなどから入力される音声信号の符号化/記録を行うため、記録装置の内部では符号化処理と復号化処理を同時に行う必要がある。
【0009】
音声信号の符号化方式として、最近では、PCM(Pulse Code Module)方式ではなく、MPEG−AudioやDolby−AC3といった高能率符号化方式が用いられるようになっている。これらの符号化方式はPCM方式に比べて演算処理量も多く、符号化/復号化処理を例えばDSPなどのプロセッサで処理しようとすると、高いクロックでの動作が求められ消費電力の増加にもつながる。また、プロセッサによるソフトウエア処理ではなく、ハードウエアにより処理する場合であっても、符号化回路と復号化回路を同時に動作させる必要があるため、プロセッサ処理と同様の現象が起こる。
【0010】
そこで、本発明は、この様な問題を解決し、音声信号を高能率符号化して記録する場合であっても、再生音声をモニタしながら容易にアフレコ記録を可能とする記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この様な目的を達成するため、本発明では、符号化された映像符号化信号と第1の音声符号化方式で符号化された第1の音声信号が多重化された多重化信号列として記録されている記録媒体から前記多重化信号列を再生する再生手段と、前記再生手段により再生された多重化信号列中の第1の音声信号を復号する第1の音声復号手段と、第2の音声信号を入力する音声入力手段と、前記音声入力手段により入力された第2の音声信号を前記第1の音声符号化方式よりも演算量が少ない第2の音声符号化方式にて符号化する第2の音声符号化手段と、前記音声符号化手段により符号化された第2の音声信号を前記記録媒体に記録する記録手段と、前記第1の音声信号の代えて再生すべきアフレコ音声信号を記録するアフターレコーディングモードにおいて、前記再生手段による前記多重化信号列の再生処理と前記第1の音声復号手段による前記第1の音声信号の復号処理を行いながら、前記第2の音声符号化手段による符号化処理を行い、前記第2の符号化方式にて符号化された第2の音声信号を前記記録媒体に記録するよう前記第2の音声符号化手段と前記記録手段とを制御する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録媒体から再生された音声信号をモニタしながら、演算量が少ない符号化処理にて符号化した音声信号をアフレコ音声として記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
第1の実施例を図に基づいて説明する。図1は実施例1おける全体システム構成図であり、図2は本実施形態を説明するフローチャートであり、図3は第1の実施例を説明するための記録媒体図であり、図4ならびに図5はアフレコ実行時における本装置の各ブロックの動作状態を示す図である。
【0015】
第1の実施例は、映像信号をMPEG2、音声信号ならびにアフレコ信号をAC3で符号化して光ディスクなどの記録媒体に記録する形態であって、音声信号の符号化/復号化同時実行可能なスペックを持たないディジタルビデオカメラにおいても記録媒体に記録されている音声信号を再生しながらアフレコを行うための好適な実施形態を示す。
【0016】
図1において、101は撮像部、102は撮像部101からの映像信号をMPEG方式で符号化すると共に、再生時においては多重化処理部104からの符号化映像信号を復号する映像符号化処理部、103は撮像部101からの映像、または、再生された映像を表示する表示部、104は記録時には符号化された映像信号と音声信号とを所定量のパケット単位に多重して多重化信号列を生成し、再生時には再生された多重化信号列から映像信号と音声信号のパケットを分離して出力する多重化処理部、105は記録媒体106に対して多重化信号列や後述のアフレコ音声信号を記録再生する記録再生部、106は光ディスクや半導体メモリカードなど、ランダムアクセス可能な記録媒体である。なお、本形態では、記録媒体106から多重化信号列を再生しながら、実質的に同時に後述のアフレコ音声信号を記録可能である。
【0017】
また、107はマイク、108はドルビーAC3フォーマットやMPEG2−AACフォーマットなどの高能率符号化方式により音声信号を符号化すると共に、高能率符号化された音声信号を復号して出力する第1の音声符号化処理部、109は音声信号をPCMフォーマットで符号化すると共に、PCMフォーマットで符号化された音声信号を復号する第2の音声符号化処理部、110は第1の音声符号化処理部108または第2の音声符号化処理部109で符号化された音声信号の一方を選択して多重化処理部104に出力すると共に、多重化処理部104からの音声信号のうち、高能率符号化された音声信号(以下第1の音声信号)とPCM符号化された音声信号(以下第2の音声信号)を分離して出力する音声選択部、111は復号された音声信号を出力するスピーカ、112は装置全体を制御するシステムコントローラ、113は各種のスイッチを備えた操作部である。
【0018】
次に本装置の動作について、図1のシステム構成図と図3の記録媒体図を交えながら図2のフローチャートを用いて説明する。
【0019】
現在、記録媒体106には図3に示すような映像音声多重化信号(file_1〜file_n 図3における301〜304)が記録されており、305に示す空き領域が存在するものとする。
【0020】
ステップS201において、本装置利用者が本装置における記録媒体106に記録されている映像音声多重化信号304に対してアフレコ命令を行う。
【0021】
ステップS202において、映像音声多重化信号304の記録時間306(n_time)を算出する。この記録時間算出方法は、映像音声多重化信号304を記録する際に本装置側で記録時間を測定して記録媒体106の一部に記録しておき、記録媒体106から読み出して算出するか、映像音声多重化信号304における音声信号の総ビット数と符号化ビットレートから算出する。
【0022】
ステップS203において、記録媒体106の空き領域305のビット数を算出する。
【0023】
ステップS204において、記録媒体106の空き領域305にPCMフォーマットで音声信号を記録した場合の記録時間を算出する。ここで、記録媒体106の空き領域305のビット数をextra_bit[bit]とすると、PCMフォーマットの符号化ビットレートはサンプリング周波数により多少の違いはあるものの、約1.5Mbpsであるので、記録媒体106の空き領域305へPCM信号が記録できる時間307(pcm_time)は、
pcm_time[sec]=extra_bit/1.5M
と算出される。
【0024】
ステップS205において、記録媒体106の空き領域305にAC3フォーマットで音声信号を記録した場合の記録時間を算出する。ステップS204と同様に、記録媒体106の空き領域305のビット数をextra_bit[bit]、AC3フォーマットの符号化ビットレートをac3_brt[bit/sec]とすると、記録媒体106の空き領域305へAC3信号が記録できる時間308(ac3_time)は
ac3_time[sec]=extra_bit/ac3_brt
と算出される。
【0025】
次にステップS202からS205において算出した各パラメータの値に応じて以下の動作を行う。
【0026】
ステップS206において、記録媒体106の空き領域305へAC3信号が記録できる時間308が映像音声多重化信号304の記録時間306よりも短いと判定された場合、映像音声多重化信号304にアフレコを行うための記録媒体106の容量が不十分である。よって、この場合映像音声多重化信号304へのアフレコは禁止状態とする。なお、このモードをアフレコ禁止モードとよぶ。
【0027】
ステップS206において、記録媒体106の空き領域305へAC3信号が記録できる時間308が映像音声多重化信号304の記録時間306よりも長いと判定された場合、映像音声多重化信号304にアフレコを行うための記録媒体106の容量は十分にある。よって、この場合映像音声多重化信号304へのアフレコは可能状態となる。
【0028】
ステップS206において、映像音声多重化信号304へのアフレコが可能状態になったとき、記録媒体106の空き領域305への音声信号記録時間を考慮しながらアフレコを行うモードを切り替える。
【0029】
ステップS207において、記録媒体106の空き領域305へPCM信号が記録できる時間307が映像音声多重化信号304の記録時間306よりも短いと判断された場合、記録媒体106の空き領域305には映像音声多重化信号304と同じ時間分のPCM信号を記録することができない。このアフレコモード時ではアフレコ音声信号をPCMフォーマットで符号化して記録していくが、そのPCM信号を記録する領域が存在しなくなるため直接AC3フォーマットで符号化せざるを得ない。よって、AC3の符号化/復号化が同時に行えない本装置では映像音声多重化信号304の音声信号を再生できない。つまり、映像音声多重化信号304に対してアフレコを行う際は音声モニタがない状態でアフレコを行うことになるため、映像音声多重化信号304に多重化されている音声信号の再生は行わず映像信号のみを再生する。本装置利用者は、ディジタルビデオカメラに具備されているビューアなどの映像信号を見ながら音声信号の再生音がない状態で音声信号のアフレコを行うことになる。なお、このモードを音声モニタ無しアフレコモードとよぶ。
【0030】
このときの本装置における音声符号化器ならびに音声復号化器の動作について図4を用いて説明する。401はアフレコ状態であり、本装置にアフレコ命令があった時にhighになる。402は音声復号化器の状態であり、403は第1の音声符号化処理部108の状態であり、404は第2の音声符号化処理部109の状態であり、402、403、404はそれぞれの符号化処理、ならびに復号化処理が実行されている時にhighになる。また、アフレコ開始点からアフレコ終了点までの時間は映像音声多重化信号304の記録時間と同じであるため、図4においてn_timeと表記してある。
【0031】
本装置に対して、アフレコ命令401がlowの時は映像音声多重化信号304の音声を再生せずアフレコも行わないため、すべての音声符号化/復号化器は処理を行っていない。アフレコ命令401がhighの時は、映像音声多重化信号304の音声は再生せず、第2の符号化器でアフレコ信号を符号化しているので第2の音声符号化処理部109のみが処理を行っていることとなる。
【0032】
また、ステップS207において、記録媒体106の空き領域305へPCM信号が記録できる時間307が映像音声多重化信号304の記録時間306よりも長いと判断された場合、記録媒体106の空き領域305には映像音声多重化信号304よりも長い時間分のPCM信号を記録することができる。このアフレコモード時では映像音声多重化信号304の音声信号を再生しながらアフレコ音声信号を一旦PCMフォーマットのような処理の軽い符号化方式で符号化した第2の音声信号を記録媒体106に記録しておく。このとき、映像音声多重化信号304に対してアフレコを行う際は音声モニタがある状態でアフレコを行うことになるため、映像音声多重化信号304に多重化されている音声信号と映像信号の両方を再生する。本装置利用者は、ディジタルビデオカメラに具備されているビューアなどの映像信号を見ながら、更に音声信号の再生音を聞いた状態で音声信号のアフレコを行うことになる。
【0033】
この様にアフレコが終了した時点で、システムコントローラ112は記録再生部105を制御し、記録媒体106の空き領域305に記録された第2の音声信号を読み出す。再生された第2の音声信号は多重化処理部104を介して音声選択部110に出力される。音声選択部110はこの第2の音声信号を第2の音声符号化処理部109に出力し、第2の音声符号化処理部109にてPCM符号化された第2の音声信号を復号して第1の音声符号化処理部108に出力する。そして、第2の音声信号は第1の音声符号化処理部108により映像音声多重化信号304に多重化されている音声信号と同じフォーマットであるAC3フォーマットで符号化され、音声選択部110を介して多重化処理部104に出力される。多重化処理部104はAC3符号化された第2の音声信号を所定量のパケット単位に分割して記録再生部105に送り、記録再生部105により記録媒体106に記録する。このとき、元のPCM符号化された第2の音声信号が記録されていた領域に上書き記録することも可能である。なお、このモードを音声モニタ付きアフレコモードとよぶ。
【0034】
このときの本装置における音声符号化回路ならびに音声復号化回路の動作について図5を用いて説明する。501はアフレコ状態であり、本装置にアフレコ命令があった時にhighになる。502は第1の音声符号化処理部108による復号処理の状態であり、503は第1の音声符号化処理部108による符号化処理の状態であり、504は第2の音声符号化処理部109による符号化処理の状態であり、502、503、504はそれぞれの符号化処理ならびに復号化処理が実行されている時にhighになる。また、アフレコ開始点からアフレコ終了点までの時間は映像音声多重化信号304の記録時間と同じであるため、図5においてn_timeと表記してある点は図4と同じである。
【0035】
本装置に対して、アフレコ命令501がlowの時は映像音声多重化信号304の音声を再生してアフレコは行わないため、第1の符号化処理部108による復号処理のみを行っている。アフレコ命令501がhighの時は、映像音声多重化信号304の音声を再生し、第2の符号化処理部109でアフレコ信号をPCMフォーマットで符号化しているので、第1の音声符号化処理部108による復号処理と第2の音声符号化処理部109による符号化処理を行い、第1の音声符号化処理部108による符号化処理を行っていなことになる。アフレコが終了した時点で、第1の音声符号化処理部108による復号処理と第2の音声符号化処理部109による符号化処理は終了して、記録媒体106から読み出した第2の音声信号を第1の音声符号化処理部108で符号化するので、第1の音声符号化処理部108による符号化処理を行っている。
【実施例2】
【0036】
第2の実施例を図に基づいて説明する。図6は実施例2おける全体システム構成図であり基本的な構成は第1の実施例と同じである。図7はアフレコ実行時における本装置の各ブロックの動作状態を示す図である。
【0037】
第2の実施例は、第1の実施例と同様のディジタルビデオカメラにおいて記録媒体に記録されている音声信号を再生しながらアフレコを行うための好適な実施形態を示す。
【0038】
図6において、601はディジタルビデオカメラに具備されているマイクであり、602はマイク601から得られたアナログ音声信号をディジタル化するA/D変換器であり、603ならびに606はスイッチであり、613ならびに614は内部メモリであり、604は第1の音声符号化器であり、605は第2の音声符号化器であり、音声信号が第1の音声符号化器604ならびに第2の音声符号化器605において符号化されて一旦内部メモリ614に保持される。また第1の音声符号化器604で符号化された音声符号化信号は一旦内部メモリ613ならびにメモリ614に保持される。なお、第1の音声符号化器604はドルビーAC3フォーマットやMPEG2−AACフォーマットを始めた高能率符号化方式で符号化する音声符号化回路であり、通常撮影時は第1の音声符号化器604を用いて音声符号化を行うものとし、第2の実施例では第1の音声符号化器604における符号化方式はAC3であるものとする。また第2の音声符号化回路605はPCMフォーマットで符号化する音声符号化回路である。607はディジタルビデオカメラ装置内部に存在する内部メモリであり、第1の音声符号化器604ならびに第2の音声符号化器605において符号化された符号化信号を一時的に保持する。608は映像信号、音声信号ならびに映像信号と音声信号を多重化した多重化信号を記録するための記録媒体であり、内部メモリ607に保持された音声符号化信号と映像符号化信号が図示しない多重化器で多重化されて記録媒体608に記録される。
【0039】
また609は音声復号化器であり、記録媒体608に記録されている音声信号ならびに図示しない多重分離回路で多重化信号を分離した音声信号を復号化する。610はD/A変換器であり、611はディジタルビデオカメラに具備されているスピーカであり、音声復号化器609で復号されたディジタル音声信号をD/A変換器610でアナログ音声信号に変換しスピーカ611を通じて音声信号を再生する。
【0040】
また、612はシステムコントローラであり、内部メモリ607、613、614を含む本装置に存在するメモリや記録媒体608への書き込みや読み出しなどの本装置全体を制御する機能の他に、スイッチ603ならびにスイッチ606を制御する機能を持ち、音声信号を符号化する際に、第1の音声符号化器604と第2の音声符号化器605の切り替えを行う。
【0041】
次に本装置の動作について、図6のシステム構成図と図3の記録媒体図と図7の動作チャートを用いて説明する。なお、アフレコ禁止モードとモニタ無しアフレコ記録モードは第1の実施例と同じ構成になるので省略する。
【0042】
音声モニタ付きアフレコ記録モード時における動作について図7を用いて説明する。701はアフレコ状態であり、本装置にアフレコ命令があった時にhighになる。702は音声復号化器609の状態であり、703は第1の音声符号化器604の状態であり、704は第2の音声符号化器605の状態であり、702、703、704はそれぞれの符号化器ならびに復号化器が実行されている時にhighになる。また、アフレコ開始点からアフレコ終了点までの時間は映像音声多重化信号304の記録時間と同じであるため、図7においてn_timeと表記してある点は図4と同じである。
【0043】
本装置に対して、アフレコ命令があると701がlowになり、音声復号化器609のみが処理を行い、映像音声多重化信号304の音声のみを再生している。このとき、音声復号化器609の処理量は通常復号時の約半分になるように簡略化する。例えば1アクセスユニットごとに間引いた符号化データに対して復号化を行う手法があるが、その実現手法はここでは限定しない。なお、1アクセスユニットごとに間引く手法では、再生音声が途切れた音声になってしまうので、オーディオのインターフェース部分でうまく調整をする必要がある。
【0044】
アフレコ命令701がhighになった時、映像音声多重化信号304の符号化音声信号を音声復号化器609の簡易処理で再生しながら、アフレコ音声信号を第2の音声符号化器605の処理でPCMフォーマットとして記録媒体608に記録する。このままPCM信号を記録媒体608に記録し続けていき、記録媒体608に記録されたPCM信号の符号量が規定量であるMAX値706に達すると、703がhighになり記録媒体608に記録されているPCM信号は記録媒体608から読み出され、第1の音声符号化器604でAC3フォーマットとして記録媒体608に書き戻される。
【0045】
このとき、音声復号化器609が動作しているため、符号化器と復号化器が同時実行できない装置においては、第1の音声符号化器604は通常符号化時の約半分のスペックでしか動作することができない。そのため、記録媒体608からのPCM信号の読み出し量は、記録媒体608への書き込み量の半分の量で読み出して分割して符号化を行うことになる。
【0046】
この状態で、アフレコ終了(あるいはアフレコ一時停止)の命令が与えられるまで702はhighのままで音声を再生し続け、記録媒体608に記録されているPCM信号のうちAC3フォーマットへ符号化された信号は記録媒体608から消されたものとして考えると、705のように、記録媒体608におけるPCMの記録領域がゼロになる地点がある。その地点は、AC3へ変換すべきPCM信号が存在しなくなるため、第1の符号化器604は停止する。再び本装置にアフレコ命令が与えられ701がhighになれば上記動作を繰り返す。
【0047】
本装置にアフレコ終了命令が与えられると701はlowになり、音声復号化器609は停止して音声信号の再生は終了するが、705がゼロになるまでは第1の音声符号化器604は動作し続け、ゼロになった時点でアフレコが終了したことになる。
【0048】
図7において、記録媒体308におけるPCMで記録された領域705は、記録媒体308のうち、PCM信号が記録されている領域を示すが、アフレコ命令と同時に上昇するが、MAX値706に達するとAC3への変換を始めるため、記録媒体308へのPCM記録領域の上昇カーブがゆるくなる。また、アフレコ停止または終了命令が与えられると、705は減少していくが、そのカーブはアフレコ開始地点のカーブよりもゆるいものとなる。
【0049】
以上の制御を行うことで音声モニタ付きのアフレコを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施例を説明するシステム構成図
【図2】第1の実施例においてアフレコモード時における動作フローチャート
【図3】第1、2の実施例において記録媒体のファイル構成図
【図4】第1の実施例においてアフレコモード時における各ブロックの動作チャート
【図5】第1の実施例においてアフレコモード時における各ブロックの動作チャート
【図6】第2の実施例を説明するシステム構成図
【図7】第2の実施例においてアフレコモード時における各ブロックの動作チャート
【符号の説明】
【0051】
101 撮像部
102 映像符号化処理部
103 表示部
104 多重化処理部
105 記録再生部
106 記録媒体
107 マイク
108 第1の音声符号化処理部
109 第2の音声符号化処理部
110 音声選択部
111 スピーカ
112 システムコントローラ
113 操作部
301〜304 映像音声多重化信号
601 マイク
602 A/D変換器
603 スイッチ
604 第1の音声符号化器
605 第2の音声符号化器
606 スイッチ
607 内部メモリ
608 記録媒体
609 音声復号化器
610 D/A
611 スピーカ
612 システムコントローラ
613 内部メモリ
614 内部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化された映像符号化信号と第1の音声符号化方式で符号化された第1の音声信号が多重化された多重化信号列として記録されている記録媒体から前記多重化信号列を再生する再生手段と、
前記再生手段により再生された多重化信号列中の第1の音声信号を復号する第1の音声復号手段と、
第2の音声信号を入力する音声入力手段と、
前記音声入力手段により入力された第2の音声信号を前記第1の音声符号化方式よりも演算量が少ない第2の音声符号化方式にて符号化する第2の音声符号化手段と、
前記音声符号化手段により符号化された第2の音声信号を前記記録媒体に記録する記録手段と、
前記第1の音声信号の代えて再生すべきアフレコ音声信号を記録するアフターレコーディングモードにおいて、前記再生手段による前記多重化信号列の再生処理と前記第1の音声復号手段による前記第1の音声信号の復号処理を行いながら、前記第2の音声符号化手段による符号化処理を行い、前記第2の符号化方式にて符号化された第2の音声信号を前記記録媒体に記録するよう前記第2の音声符号化手段と前記記録手段とを制御する制御手段とを備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第2の音声符号化方式にて符号化された音声信号を復号する第2の音声復号手段と、音声信号を前記第1の音声符号化方式にて符号化する第1の音声符号化手段とを備え、前記制御手段は更に、前記再生手段により再生された前記第2の音声信号を前記第2の音声復号手段により復号した後、この復号した第2の音声信号を前記第1の音声符号化手段により符号化し、再び前記記録媒体に記録するよう、前記第2の音声符号化手段と前記記録手段とを制御することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録手段は、前記第2の音声符号化方式にて符号化された第2の音声信号が記録されていた記録領域に対して、前記第1の音声符号化手段により符号化された第2の音声信号を記録することを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項4】
前記第2の音声符号化手段により符号化された前記第2の音声信号の記録を終了した後、この第2の音声信号を再生して前記第2の音声復号手段により復号すると共に前記第1の音声符号化手段による符号化を行って前記記録媒体に記録することを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体の未記録領域と前記第1または前記第2の音声符号化方式のビットレートを用いて前記未記録領域への記録可能時間を算出する算出手段を備えることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記記録媒体における未記録領域への記録可能時間と前記映像音声多重化信号の記録時間に応じて、アフターレコーディングの許可または禁止を決定することを特徴とする請求項5記載の記録装置。
【請求項7】
前記制御手段は第1の音声符号化方式に従って符号化した音声信号を前記未記録領域に記録したときの記録可能時間が、前記多重化信号列の記録時間よりも長い時、アフターレコーディングを許可することを特徴とする請求項6記載の記録装置。
【請求項8】
前記制御手段は更に、前記第2の音声符号化方式に従って符号化した音声信号を前記未記録領域に記録したときの記録可能時間が、前記多重化信号列の記録時間よりも短い時、前記第1の音声信号を再生することなく前記第2の音声信号をアフレコ音声として記録することを特徴とする請求項7記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録手段は、タイムスタンプ情報を前記第2の音声信号に付加して記録することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録手段は前記再生手段により再生された多重化信号列に同期して前記タイムスタンプ情報を記録することを特徴とする請求項10記載の記録装置。
【請求項11】
前記映像信号はMPEG方式にて符号化されていることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項12】
前記第1の音声符号化方式における復号化の処理量は、符号化に要する処理量と同程度であることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項13】
前記第1の音声符号化方式は、ドルビーAC3方式であることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項14】
前記第2の音声符号化方式は、PCM(Pulse Code Modulation)方式であることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項15】
前記記録媒体は、光ディスクであることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項16】
前記記録媒体は、ランダムアクセス媒体であることを特徴とする請求項1記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−65923(P2006−65923A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244958(P2004−244958)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】