説明

記録装置

【課題】記録媒体からローラに付着した液体が記録媒体に再付着するのを抑制する。
【解決手段】支持フレーム22が、ローラ21の回転軸と平行な中心軸を中心とする同一円周上において、各ローラ21の回転軸が互いに平行となるように、5つのローラ21を支持している。ローラ21のいずれか1つのみが、搬送された用紙Pと接触する接触位置に配置されている。制御装置16のローラ切替部が、単位時間当たりにインクジェットヘッド1から用紙Pに吐出されたインク滴の総量が所定値以上になったと判断したとき、支持フレーム22を回転させることによって、接触位置に配置されるローラ21を他のローラ21に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴を吐出して記録媒体に画像を記録する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送機構によって搬送された記録用紙等の記録媒体にインク滴を吐出して画像を記録するインクジェットプリンタにおいては、記録媒体にインク滴が吐出された後に、当該記録媒体が、ニップローラや拍車ローラなどの各種ローラと接触しつつさらに搬送されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−206292号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体にインク滴が着弾した直後においては、記録媒体上のインクが十分に乾燥しておらず、この状態で記録媒体がローラと接触すると、記録媒体上のインクがローラに付着する。そして、インクが付着したローラがさらに記録媒体と接触することによって、ローラに付着したインクが記録媒体に再付着し、記録媒体が汚れることがある。
【0005】
そこで、本発明は、記録媒体からローラに付着した液体が記録媒体に再付着するのを抑制することができる記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の記録装置は、記録媒体を搬送する搬送機構と、前記搬送機構に搬送される前記記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドとを備えている。前記搬送機構が、前記記録媒体の搬送方向と直交する回転軸を中心に回転可能にそれぞれ支持された複数のローラと、前記複数のローラのいずれか1つのみが、前記記録媒体と接触する接触位置に配置されるように、前記複数のローラの配置位置を切り替え可能なローラ切替機構とを有している。
【0007】
本発明によると、ローラ切替機構によって接触位置に配置されるローラを順次切り替えることができるため、記録媒体からローラに付着した液体が記録媒体に再付着するのを抑制することができる。
【0008】
本発明においては、前記記録媒体の後端が前記接触位置に配置された前記ローラを通過してから、当該記録媒体の次に搬送される前記記録媒体の先端が前記接触位置に配置された前記ローラに接触するまでの間に、前記接触位置に配置されたローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御する制御手段をさらに備えていてもよい。これによると、記録媒体が接触位置に配置されたローラと接触しているときに、ローラが切り替わることがないため、記録媒体が搬送されているときの記録媒体とローラとの接触状態が安定し、記録媒体が損傷したり記録媒体が詰まったりするのを防止することができる。
【0009】
このとき、前記制御手段が、単位時間当たりに前記記録ヘッドから吐出された液滴の総量が所定値以上となったとき、前記接触位置に配置されたローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御してもよい。
【0010】
または、前記制御手段が、前記記録ヘッドから吐出された液滴の積算量が所定値以上になったとき、前記接触位置に配置されたローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御してもよい。これらによると、記録媒体に多量の液滴が吐出されたときに接触位置に配置されたローラが切り替わるため、記録媒体からローラに付着した液体が記録媒体に再付着するのを効率よく抑制することができる。
【0011】
さらに、このとき、前記記録ヘッドから吐出する液滴のサイズ及び吐出タイミングを示す駆動データを記憶する記憶手段をさらに備えており、前記制御手段が、前記駆動データに基づいて、前記接触位置に配置されたローラを他の前記ローラに切り替えるタイミングを決定することが好ましい。これによると、接触位置に配置されたローラを切り替えるタイミングを容易に決定することができる。
【0012】
本発明においては、前記制御手段が、前記記録媒体の後端が前記接触位置に配置された前記ローラを通過する毎に、前記接触位置に配置された前記ローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御することが好ましい。これによると、記録媒体が通過する毎に、接触位置に配置されるローラが切り替わるため、記録媒体からローラに付着した液体が他の記録媒体に再付着するのを確実に抑制することができる。
【0013】
また、本発明においては、前記接触位置に配置された前記ローラが1回転する毎に、前記接触位置に配置される前記ローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御する制御手段をさらに備えていてもよい。これによると、接触位置に配置されたローラが1回転する毎に、接触位置に配置されるローラが切り替わるため、記録媒体からローラに付着した液体が記録媒体に再付着するのを確実に抑制することができる。
【0014】
さらに、本発明においては、前記ローラ切替機構が、前記接触位置に配置された前記ローラの回転軸と平行な中心軸を中心とする同一円周上において、各ローラの回転軸が互いに平行となるように、前記複数のローラを支持する支持フレームと、前記支持フレームを、前記中心軸を中心に回転させる回転機構とを有しており、前記制御手段が、前記接触位置に配置された前記ローラが前記搬送方向に沿って移動するように前記支持フレームを回転させることによって、前記接触位置に配置される前記ローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御することが好ましい。これによると、ローラ移動機構を安価に構成することができる。また、接触位置に配置されたローラが搬送方向に移動しつつ切り替わるため、記録媒体が接触した状態でローラを切り替えることきに記録媒体が損傷するのを抑制することができる。
【0015】
加えて、本発明においては、前記搬送機構が、前記接触位置に配置された前記ローラとの間で前記記録媒体を挟持するニップローラと、前記接触位置に配置された前記ローラ及び前記ニップローラのいずれかを駆動する駆動機構とをさらに備えていてもよい。これによると、記録媒体に搬送力を付与しつつ、ローラに付着した液体が記録媒体に再付着するのを抑制することができる。
【0016】
また、本発明においては、前記接触位置に配置された前記ローラが、前記記録ヘッドの前記搬送方向に関する下流側において、前記記録媒体の前記記録ヘッド側の面と接触することが好ましい。これによると、記録媒体からローラに付着した液体が記録媒体に再付着するのを効率よく抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る一実施形態であるインクジェットプリンタの全体的な構成を示す概略側面図である。図2は、インクジェットプリンタ101の平面図である。図1及び図2に示すように、インクジェットプリンタ101は、4つのインクジェットヘッド1を有するカラーインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタ101には、図中左方に給紙部11が、図中右方に排紙部12がそれぞれ構成されている。
【0019】
インクジェットプリンタ101の内部には、給紙部11から排紙部12に向かって用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙部11のすぐ下流側には、用紙を狭持搬送する一対の送りローラ5a、5bが配置されている。一対の送りローラ5a、5bは、用紙Pを給紙部11から図中右方に送り出すためのものである。用紙搬送経路の中間部には、搬送機構13が設けられている。この搬送機構13は、2つのベルトローラ6、7と、両ローラ6、7の間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8と、搬送ベルト8によって囲まれた領域内に配置されたプラテン15と、ローラユニット20とを含む。プラテン15は、インクジェットヘッド1と対向する位置において搬送ベルト8が下方に撓まないように搬送ベルト8を支持するものである。ベルトローラ7と対向する位置には、ニップローラ4が配置されている。ニップローラ4は、給紙部11から送りローラ5a、5bによって送り出された用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに押さえ付けるものである。
【0020】
搬送モータ19(図3参照)がベルトローラ6を回転させることによって、搬送ベルト8が走行される。これにより、搬送ベルト8が、ニップローラ4によって外周面8aに押さえ付けられた用紙Pを粘着保持しつつ排紙部12に向けて搬送する。なお、搬送ベルト8の表面には、弱粘着性のシリコン樹脂層が形成されている。
【0021】
搬送ベルト8上におけるインクジェットヘッド1の下流側に、ローラユニット20が配置されている。ローラユニット20は、用紙搬送方向と直交する方向に延在しているとともに用紙搬送方向と直交する回転軸を中心に回転可能にそれぞれ支持された5つのローラ21と、これら5つのローラ21を互いに回転軸が平行になるように回転可能に支持している一対の支持フレーム22と、一対の支持フレーム22の中心同士を結ぶ中心軸を中心に、支持フレーム22を5つのローラ21と共に回転させる切替モータ23とを有している。支持フレーム22は、ローラ21の回転軸と平行な中心軸を中心とする同一円周上において、各ローラ21の回転軸が互いに平行となるように、5つのローラ21を支持している。
【0022】
そして、後述する制御装置16のローラ切替部65(図3参照)が、ローラ21のいずれか1つのみが、ベルトローラ6と対向するとともに搬送された用紙Pと接触する接触位置に配置されるように、支持フレーム22の回転位置を制御する。接触位置に配置されたローラ21は、用紙Pと接触することによって、用紙Pが搬送ベルト8から浮き上がるのを防止する拍車ローラとして機能する。また、接触位置に配置されたローラ21が用紙Pと接触したとき、当該ローラ21の外周面が用紙Pの印刷面と接触する。そして、用紙Pが搬送されるに伴って、当該ローラ21が図1中矢印Cの方向に回転する。
【0023】
さらに、後述するように、ローラ切替部65が、接触位置に配置されたローラ21が図1中矢印Dに支持フレーム22を回転させることによって、接触位置に配置されるローラ21が他のローラ21に切り替えられる。このとき、接触位置に配置されたローラ21が用紙搬送方向に沿って移動しつつ切り替わるため、用紙Pがローラ21と接触していたとしても、用紙Pが損傷するのを防止することができる。このように、支持フレーム22及び切替モータ23が、5つのローラ21の位置を切り替えるローラ切替機構となっている。
【0024】
以上のように、支持フレーム22とローラ21とベルトローラ6の各回転中心は、1つの直線上に並んでいるといえる。本実施形態では、用紙Pがローラ21との接触位置に突入したとき、不必要な振動が搬送ベルト8の上流側部分(インクジェットヘッド1と対向する部分)に伝搬しにくくなるという観点から、各回転中心の並びが搬送方向の下流側に若干傾いて配置されている。各回転中心を通る直線を仮想すると、この直線は鉛直方向に対して約1度だけ傾いている。この傾斜角は、0.5度から3度であればよい。また、用紙Pをローラユニット20の下流にある剥離プレート14に安定して送ることができる。
【0025】
搬送ベルト8のすぐ下流側には、剥離プレート14が設けられている。剥離プレート14は、搬送ベルト8の外周面8aに粘着されている用紙Pを外周面8aから剥離して、図中右方の排紙部12に向けて導くように構成されている。
【0026】
4つのインクジェットヘッド1は、4色のインク(マゼンタ、イエロー、シアン、ブラック)に対応して、搬送方向に沿って4つ並べて固定されている。つまり、このインクジェットプリンタ101は、ライン式プリンタである。インクジェットヘッド1は、その下端にヘッド本体2をそれぞれ有している。ヘッド本体2は、搬送方向に直交した方向に長尺な細長い直方体形状となっている。また、ヘッド本体2の底面が外周面8aに対向するインク吐出面2aとなっている。搬送ベルト8によって搬送される用紙Pが4つのヘッド本体2のすぐ下方側を順に通過する際に、この用紙Pの上面すなわち印刷面に向けてインク吐出面2aから各色のインクが吐出されることで、用紙Pの印刷面に所望のカラー画像を形成できるようになっている。
【0027】
4つのインクジェットヘッド1のすぐ上流側には、用紙センサ18が配置されている。用紙センサ18は、搬送機構13に搬送された用紙Pの先端が用紙センサ18の下方を通過したことを検知するものである。用紙センサ18の検知信号は制御装置16に出力される。用紙センサ18からの検知信号を監視することによって、用紙Pの正確な位置を把握することができる。
【0028】
次に、制御装置16について図3を参照しつつ詳細に説明する。図3は、制御装置16の機能ブロック図である。なお、図3においては、4つのインクジェットヘッド1のうち1つのみを模式的に示している。図3に示すように、制御装置16は、印刷データ記憶部63と、ヘッド制御部64と、ローラ切替部65と、搬送モータ制御部66とを有している。
【0029】
印刷データ記憶部63は、図示しないホストコンピュータから転送された印刷データを記憶するものである。印刷データには、用紙Pに形成すべき画像に関する画像データが含まれる。
【0030】
ヘッド制御部64は、ドライバIC51に制御信号を出力することによってインクジェットヘッド1からのインク滴の吐出を制御するものであり、用紙センサ18からの検知信号に基づいて搬送機構13によって搬送された用紙Pの位置を把握するとともに、当該用紙Pに印刷データ記憶部63に記憶された印刷データに基づいた画像が形成されるように、インクジェットヘッド1からインク滴を吐出させる。このように、印刷データが、インクジェットヘッド1から吐出するインク滴のサイズ及び吐出タイミングを示す駆動データとなっている。
【0031】
搬送モータ制御部66は、所定の速度パターン(加速パターン、定速パターン及び減速パターンを含む)で搬送ベルト8が駆動されるように搬送モータ19の駆動速度を制御するものである。
【0032】
ローラ切替部65は、切替モータ23を制御することによって、接触位置に配置されるローラ21を切り替えるものである。ローラ切替部65は、印刷データ記憶部63に記録された印刷データに基づいて、単位時間当たりにインクジェットヘッド1から用紙Pに吐出されたインク滴の総量が所定値以上になったと判断したとき、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替えることを決定する。つまり、ローラ切替部65は、印刷データに基づいて、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替えるタイミングを決定する。
【0033】
そして、ローラ切替部65は、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替えることを決定した後に、用紙Pの後端が接触位置に配置されたローラ21を通過してから、当該用紙Pの次に搬送される用紙Pの先端が接触位置に配置されたローラ21に接触するまでの間に、接触位置に配置されたローラ21が他のローラ21に切り替わるように、切替モータ23を制御する。このとき、ローラ切替部65は、用紙Pの位置を用紙センサ18からの検知信号に基づいて把握する。つまり、単位時間当たりにインクジェットヘッド1から用紙Pに吐出されたインク滴の総量が所定値以上になったとき、当該用紙Pの印刷が完了してから次の用紙Pの先端が接触位置に配置されたローラ21に接触するまでの間に、接触位置に配置されたローラ21が他のローラ21に切り替わる。これにより、次の用紙Pが、新たに接触位置に配置されたローラ21と接触することになり、先に接触位置に配置されていたローラ21と接触することがない。このため、先に接触位置に配置されていたローラ21に付着したインクが次の用紙Pに付着することがない。接触位置から離隔したローラ21に付着しているインクは、当該ローラ21が再び接触位置に配置されるまでの間に自然乾燥するため、当該ローラ21が再び接触位置に配置されたときにおいても、用紙Pに再付着することがない。なお、接触位置を離隔したローラ21が、別途設けられたクリーニング機構によってクリーニングされる構成であってもよい。
【0034】
なお、上述の単位時間は、任意に設定することが可能となっている。例えば、インクジェットヘッド1に関するインク滴の吐出周期を単位時間としてもよいし、用紙Pが所定距離を搬送される時間を単位時間としてもよい。また、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替えるタイミングを決定する他の方法として、ローラ切替部65が、印刷データに基づいて、インクジェットヘッド1から吐出されたインク滴の量を積算し、この積算量が所定値以上になったと判断したときに、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替えることを決定してもよい。
【0035】
以上、説明した本実施形態によると、多量のインク滴が用紙Pに吐出されたとき、接触位置に配置されるローラ21が切り替わるため、用紙Pの印刷面からローラ21に付着したインクが用紙Pに再付着するのを抑制することができる。
【0036】
また、ローラ切替部65が、用紙Pの後端が接触位置に配置されたローラ21を通過してから、当該用紙Pの次に搬送される用紙Pの先端が接触位置に配置されたローラ21に接触するまでの間に、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替える。これにより、用紙Pがローラ21と接触しているときに接触位置に配置されたローラ21が切り替わることがないため、用紙Pが搬送されているときの用紙Pと接触位置に配置されたローラ21との接触状態が安定し、用紙Pが損傷したり用紙Pが詰まったりするのを抑制することができる。
【0037】
さらに、ローラ切替部65が、単位時間当たりにインクジェットヘッド1から用紙Pに吐出されたインク滴の総量が所定値以上になったと判断したとき、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替えることによって、用紙Pに多量のインク滴が吐出されたときに接触位置に配置されたローラ21が切り替わるため、用紙Pからローラ21に付着したインクが用紙Pに再付着するのを効率的に抑制することができる。
【0038】
このとき、ローラ切替部65が、印刷データ記憶部63に記録された印刷データに基づいて、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替えるタイミングを決定するため、接触位置に配置されたローラ21を切り替えるタイミングを容易に決定することができる。
【0039】
また、切替モータ23が、支持フレーム22の中心軸を中心に支持フレーム22を5つのローラ21と共に回転させることによって、接触位置に配置されるローラ21が切り替わる。このとき、接触位置に配置されたローラ21が用紙搬送方向に沿って移動しつつ切り替わるため、ローラ21と用紙Pが接触したとしても、用紙Pが損傷するのを抑制することができる。さらに、ローラユニット20を安価に構成することができる。
【0040】
また、本発明においては、接触位置に配置されたローラ21が、インクジェットヘッド1の用紙搬送方向に関する下流側において、用紙Pの印刷面と接触するため、用紙Pから接触位置に配置されたローラ21に付着したインクが用紙Pに再付着するのを抑制しつつ画像が形成された用紙Pが搬送ベルト8から浮き上がるのを防止することができる。
【0041】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0042】
例えば、上述した実施形態においては、ローラ切替部65が、単位時間当たりにインクジェットヘッド1から用紙Pに吐出されたインク滴の総量が所定値以上になったと判断したとき、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替える構成であるが、ローラ切替部65が、用紙Pの後端が接触位置に配置されたローラ21を通過する毎に、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替える構成であってもよい。これによると、用紙Pが通過する毎に、接触位置に配置されるローラ21が確実に切り替わるため、用紙Pからローラ21に付着したインクが次の用紙Pに再付着するのを確実に抑制することができる。
【0043】
または、ローラ切替部65が、接触位置に配置されたローラ21が1回転する毎に、接触位置に配置されるローラ21を他のローラ21に切り替える構成であってもよい。なお、ローラ21の回転が用紙Pの搬送距離と同期しているため、用紙Pの搬送距離に基づいてローラ21が1回転したことを検出することができる。これによると、用紙Pからローラ21に付着したインクが用紙Pに再付着するのを確実に抑制することができる。
【0044】
さらに、上述した実施形態においては、ローラ切替部65が、用紙Pの後端が接触位置に配置されたローラ21を通過してから、当該用紙Pの次に搬送される用紙Pの先端が接触位置に配置されたローラ21に接触するまでの間に、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替える構成であるが、接触位置に配置されるローラ21の切替タイミングは任意のものであってよい。例えば、ローラ切替部65は、用紙Pが接触位置に配置されたローラ21と接触しているときに、接触位置に配置されたローラ21を他のローラ21に切り替える構成であってもよい。
【0045】
また、上述した実施形態においては、ローラ切替部65が、印刷データ記憶部63に記録された印刷データに基づいて、接触位置に配置されたローラを他の前記ローラに切り替えるタイミングを決定する構成であるが、インク滴を吐出するための駆動信号に基づいて接触位置に配置されたローラを他の前記ローラに切り替えるタイミングを決定する構成であってもよい。
【0046】
さらに、上述した実施形態においては、支持フレーム22が、ローラ21の回転軸と平行な中心軸を中心とする同一円周上において、各ローラ21の回転軸が互いに平行となるように、5つのローラ21を支持しており、ローラ切替部65が、図1中矢印Dに支持フレーム22を回転させることによって、接触位置に配置されたローラ21が用紙搬送方向に沿って移動しつつ切り替わる構成となっているが、支持フレームの回転方向は図1中矢印Dの反対方向であってもよい。また、ローラ21を切り替え可能な機械的な構成は任意のものであってよい。
【0047】
加えて、上述した実施形態においては、ローラユニット20が5つのローラ21を有する構成であるが、ローラユニット20が、2〜3又は6以上のローラを有する構成であってもよい。
【0048】
また、上述した実施形態においては、インクジェットヘッド1の用紙搬送方向に関する下流側において、接触位置に配置されたローラ21が、用紙Pの印刷面と接触するようにローラユニット20が配置されている構成であるが、用紙Pの印刷面と接触し得るあらゆる箇所にローラユニット20が配置される構成であってもよい。例えば、インクジェットプリンタにおいて両面印刷可能な用紙搬送経路が形成されている場合、インクジェットヘッド1の用紙搬送方向に関する上流側において、ローラ21が用紙Pの印刷面と接触するようにローラユニット20が配置されていてもよい。別の例として、ローラユニット20は、ローラ21がベルトローラ6と対向する位置を用紙Pとの接触位置としているが、用紙Pとの接触位置が、用紙搬送方向に関して、一番下流側のインクジェットヘッド1とベルトローラ6との間に配置されていてもよい。この場合には、搬送ベルト8を挟んでローラ21と対向する位置に別のローラ(ニップローラ)を配置することが好ましい。
【0049】
さらに、上述した実施形態においては、接触位置に配置されたローラ21が、用紙Pと接触することによって、用紙Pが搬送ベルト8から浮き上がるのを防止する拍車ローラとして機能する構成であるが、本発明は、用紙Pと接触するあらゆる機能を有するローラに適用可能である。例えば、用紙Pを挟持しつつ駆動されることによって、用紙Pに搬送力を与えるニップローラに本発明を適用してもよい。この場合、ローラユニットが有する複数のローラのうち、少なくとも用紙Pと接触する接触位置に配置されたローラが駆動される構成であってもよいし、接触位置に配置されたローラと対向するローラが駆動される構成であってもよい。また、用紙Pをガイドするガイドローラに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの外観側面図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの平面図である。
【図3】図1に示す制御装置の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1 インクジェットヘッド
2 ヘッド本体
4 ニップローラ
6、7 ベルトローラ
8 搬送ベルト
11 給紙部
12 排紙部
13 搬送機構
14 剥離プレート
15 プラテン
16 制御装置
19 搬送モータ
20 ローラユニット
21 ローラ
22 支持フレーム
23 切替モータ
63 印刷データ記憶部
64 ヘッド制御部
65 ローラ切替部
66 搬送モータ制御部
101 インクジェットプリンタ
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構に搬送される前記記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドとを備えており、
前記搬送機構が、
前記記録媒体の搬送方向と直交する回転軸を中心に回転可能にそれぞれ支持された複数のローラと、前記複数のローラのいずれか1つのみが、前記記録媒体と接触する接触位置に配置されるように、前記複数のローラの配置位置を切り替え可能なローラ切替機構とを有していることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体の後端が前記接触位置に配置された前記ローラを通過してから、当該記録媒体の次に搬送される前記記録媒体の先端が前記接触位置に配置された前記ローラに接触するまでの間に、前記接触位置に配置されたローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御手段が、単位時間当たりに前記記録ヘッドから吐出された液滴の総量が所定値以上となったとき、前記接触位置に配置されたローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記記録ヘッドから吐出された液滴の積算量が所定値以上になったとき、前記接触位置に配置されたローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドから吐出する液滴のサイズ及び吐出タイミングを示す駆動データを記憶する記憶手段をさらに備えており、
前記制御手段が、前記駆動データに基づいて、前記接触位置に配置されたローラを他の前記ローラに切り替えるタイミングを決定していることを特徴とする請求項3又は4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御手段が、前記記録媒体の後端が前記接触位置に配置された前記ローラを通過する毎に、前記接触位置に配置された前記ローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項7】
前記接触位置に配置された前記ローラが1回転する毎に、前記接触位置に配置される前記ローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項8】
前記ローラ切替機構は、
前記接触位置に配置された前記ローラの回転軸と平行な中心軸を中心とする同一円周上において、各ローラの回転軸が互いに平行となるように、前記複数のローラを支持する支持フレームと、
前記支持フレームを、前記中心軸を中心に回転させる回転機構とを有しており、
前記制御手段が、前記接触位置に配置された前記ローラが前記搬送方向に沿って移動するように前記支持フレームを回転させることによって、前記接触位置に配置される前記ローラが他の前記ローラに切り替わるように、前記ローラ切替機構を制御することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の記録装置。
【請求項9】
前記搬送機構が、
前記接触位置に配置された前記ローラとの間で前記記録媒体を挟持するニップローラと、
前記接触位置に配置された前記ローラ及び前記ニップローラのいずれかを駆動する駆動機構とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の記録装置。
【請求項10】
前記接触位置に配置された前記ローラが、前記記録ヘッドの前記搬送方向に関する下流側において、前記記録媒体の前記記録ヘッド側の面と接触することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−196732(P2009−196732A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37514(P2008−37514)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】