説明

記録装置

【課題】 複数のノズルチップを規則的に配置したライン型記録ヘッドのノズル面をより確実にクリーニングする。
【解決手段】 シートが搬送される第1方向と交差する第2方向に沿ってノズルチップが千鳥配列された記録ヘッドと、千鳥配列の第1列のノズルチップに対応した第1吸引手段と、第2列のノズルチップに対応した第2吸引手段を有し、第1吸引手段と第2吸引手段とは、隣接する第1列の第1ノズルチップと第2列の第2ノズルチップの第2方向でのずれに対応して、第2方向でずれた位置関係となっている。さらに、記録ヘッドを第1方向および第2方向とそれぞれ交差する第3方向において複数の位置に位置決めするための複数の基準面を有する位置決め手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はライン型記録ヘッドを用いたインクジェット方式の記録装置に関する
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の記録装置においては、ヘッドのノズル内のインクが乾燥して増粘・固着することがある。またノズル内のインクに紙粉や塵埃や気泡等が混入するなど、目詰まりに起因するインク吐出不良により記録品質の低下が生じることがある。そのため、記録ヘッドのクリーニングが必要である。
【0003】
特許文献1には、記録ヘッドから強制的にインクを吸引して回復を図るクリーニング機構が開示される。このクリーニング機構は、記録ヘッドの全ノズル列の長さよりも短い吸引口を備え、吸引口をノズル列の形成方向に移動させながらノズル全体の吸引を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−201028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のノズルチップを千鳥配列のように規則的に配置したライン型記録ヘッドが知られる。通常、千鳥配列の各列において隣り合うノズルチップの間には所定の隙間が設けられている。この隙間がノズル面とは異なる高さを持っている場合がある。例えば、図5に示すように、電極保護のためノズル面122よりも盛り上がった凸部からなる封止部123を持っている場合がある。このような構造の記録ヘッドに対して、特許文献1の吸引機構を適用しようとすると、以下のような解決すべき課題を生じる。
【0006】
吸引口11がノズル列に沿って移動する最中、吸引口が高さの異なる封止部123を乗り越える際には吸引口11が持ち上がる。吸引口11が移動する方向において、あるノズルチップ列における封止部123の位置は、隣のノズルチップ列においてはノズル列121である。吸引口の一部があるノズルチップ列の封止部123に乗り上げると、吸引口11全体がつられて持ち上がり、隣のノズルチップ列のノズルと吸引口11との密着が不完全になり、吸引不良を引き起こす畏れがある。
【0007】
本発明は上述の技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一つは、複数のノズルチップを規則的に配置したライン型記録ヘッドのノズル面を、より確実にクリーニングすることができる記録装置の提供である。本発明のさらなる目的は、吸引モードやワイピングモードなど記録装置が有する種々の動作モードにおける、記録ヘッドの適切な位置決めを簡単な位置決め構造で行うことができ、各動作モードをより確実に実行することができる記録装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決する本発明の記録装置は、第1方向に移動するシートに対向する位置に設けられ、それぞれがノズル列を有する複数の第1ノズルチップと複数の第2ノズルチップが、異なる列として前記第1方向と交差する第2方向に沿って並べられ、且つ隣接する前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップは前記第2方向でずれた位置関係となっている構造を有する記録ヘッドと、前記第1ノズルチップに対向して、前記第1ノズルチップに含まれる前記ノズル列の一部からインクを吸引する第1吸引手段と、前記第2ノズルチップに対向して、前記第2ノズルチップに含まれる前記ノズル列の一部からインクを吸引する第2吸引手段と、前記第1吸引手段および前記第2吸引手段を保持する吸引ホルダと、吸引しながら前記記録ヘッドと前記吸引ホルダの間で前記第2方向に沿って相対的な移動を行なわせる移動機構と、前記記録ヘッドを前記第1方向および前記第2方向とそれぞれ交差する第3方向において複数の位置に位置決めするための複数の基準面を有する位置決め手段とを備え、前記第1吸引手段と前記第2吸引手段とは、前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップのずれに対応して、前記第2方向でずれた位置関係となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のノズルチップを規則的に配置したライン型記録ヘッドのノズル面をより確実にクリーニングすることができる記録装置が実現する。また、記録装置が有する種々の動作モードをより確実に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の記録装置の主要部の斜視図
【図2】記録装置の主要部の断面図
【図3】クリーニング動作時の状態を示す斜視図
【図4】記録ヘッドの構造を示す図
【図5】ノズルチップの構造を示す図
【図6】ノズルチップと吸収口の位置関係を示す部分拡大図
【図7】クリーニング機構の構成を示す斜視図
【図8】クリーニング機構の構成を示す斜視図
【図9】ワイパユニットの構成を示す図
【図10】ブレードの位置切り換えの動作を示す斜視図
【図11】ブレードの位置切り換えの動作を示す斜視図
【図12】クリーニング機構の動作を示す斜視図
【図13】別のノズルチップ配列の例
【図14】クリーニング動作のシーケンスを示すフローチャート
【図15】吸引手段として吸収体を例の構成図
【図16】基準部材の周辺を拡大した図
【図17】基準部材と位置決め部材との位置関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。図1は実施形態に係る記録装置の記録部を中心とした主要部の構成を示す斜視図であり、図2は図1の断面構造を示す断面図である。図3はクリーニング動作時の状態を示す断面図である。
【0012】
本実施形態の記録装置は、長尺のラインヘッドを用いて、シートを搬送方向(第1方向)に連続搬送しながらプリントを行なうラインプリンタである。ロール状に巻かれた連続紙などのシート4を保持するホルダ、シート4を所定速度で第1方向に搬送する搬送機構7、シート4に対してラインヘッドで記録を行なう記録部3を備える。なお、シートは連続したロールシートに限らず、カットシートであってもよい。記録装置1は更に、記録ヘッドのノズル面をワイピングによってクリーニングするクリーニング部6を備える。さらに、シート搬送路に沿って、記録部3の下流にはシート4を切断するカッタユニット、シートを強制乾燥する乾燥ユニット、排出トレイを備えている。
【0013】
記録部3は、異なるインク色にそれぞれ対応した複数の記録ヘッド2を備える。本例ではCMYKの4色に対応した4つの記録ヘッドとしているが、色数はこれには限定されない。各色のインクはインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド2に供給される。複数の記録ヘッド2はヘッドホルダ5で一体に保持されており複数の記録ヘッド2とシート4の表面との間の距離を変更できるよう、ヘッドホルダ5が上下移動することができる機構を有している。さらに、ヘッドホルダ5が第1方向と交差する方向(第2方向)に平行移動することができる機構も有している。
【0014】
クリーニング部6は、複数(4つ)の記録ヘッド2に対応して複数(4つ)のクリーニング機構9を有する。クリーニング機構9の詳細は後述する。クリーニング部6は駆動モータにより、第1方向にスライド移動可能な構成となっている。図1、図2は記録時の状態を示し、クリーニング部6は記録部3に対してシート搬送方向下流に位置している。一方、図3はクリーニング動作時の状態を示し、クリーニング部6は記録部3の記録ヘッド2の直下に位置している。図2、図3にクリーニング部6の移動可能範囲を矢印で示している。
【0015】
図4は1つの記録ヘッド2の構造を示す。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。記録ヘッド2は、使用が想定されるシートの最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型記録ヘッドである。ノズル列の並び方向は、第1方向と交差する方向(第2方向)、例えば直交する方向である。大きなベース基板124の上に、複数のノズルチップ120が第2方向に沿って並んでいる。図4(b)に示すように、同一寸法且つ同一構造の複数(本例では12個)のノズルチップ120が2列の千鳥配列で規則的に幅方向全域に渡って形成されている。すなわち、記録ヘッド2は、それぞれがノズル列を有する複数の第1ノズルチップと複数の第2ノズルチップが、異なる列として第2方向に沿って並べられ、且つ隣接する前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップは前記第2方向でずれた位置関係となっている。隣接する第1ノズルチップと第2ノズルチップは、これらに含まれるノズル列の一部が、第2方向においてオーバーラップしている。
【0016】
図5は記録ヘッド2を構成するノズルチップ120の1つの構造を示す。ノズルチップ120は、インク吐出する複数のノズル列121が形成されたノズル面122を備えると共に、各ノズルに対応して形成されたエネルギ素子が埋め込まれているノズル基板を有する。複数(本例では4つ)のノズル列121は第1方向に4列平行に並んでいる。ノズルチップ120のノズル基板はベース基板124の上に設けられている。ノズル基板とベース基板124との間は電気接続部で接続され、電気接続部は樹脂材からなる封止部123で被覆され、腐食や断線が起きないように保護されている。図5(b)に示すように、ノズル面122を側方から見たとき、封止部123はベース基板124上に形成され、且つ、ノズル面122よりもインク吐出方向(第1方向および第2方向とそれぞれ交差する方向:第3方向)に突出した凸部となっている。1つのノズルチップ120において、封止部123はノズル列の形成方向(第2方向)に関してノズル面122の両端2箇所の端部近傍に設けられている。このように、封止部123は複数のノズル列121に近接し、且つノズル面122よりもインク吐出方向に少なくとも一部が突出するようになだらかな段差を持って盛り上がった形状を有している。
【0017】
図7、図8はクリーニング部6に含まれる1つのクリーニング機構9の詳細構成を示す斜視図である。図7は、クリーニング部6が図3のように記録ヘッド2の下にあるときのクリーニング機構9の状態(クリーニング動作時)である。図8は、クリーニング部6が図2のように記録ヘッド2の下にないときのクリーニング機構9の状態を示す。1つのクリーニング機構9には、1つのキャップ51、および4つの基準部材71が設けられている。
【0018】
クリーニング機構9は、大きくは、記録ヘッド2のノズル面に付着したインクおよびゴミを払拭するワイパユニット46と、ワイパユニット46を払拭方向(第2方向)に沿って移動させる移動機構、これらを一体に支持するフレーム47を有する。ワイパユニット46は後述するワイパブレードや吸引口が1つの移動可能なユニットとなっている。移動機構は、駆動源の駆動によって、2本のシャフト45によって案内支持されたワイパユニット46を第2方向に移動させる。駆動源は、駆動モータ41と減速ギア42、43を有し、ドライブシャフト37を回転させる。ドライブシャフト37の回転は、ベルト44とプーリで伝達されてワイパユニット46を移動させる。ワイパユニット46は、後述するようにブレードと吸引口の組み合わせによって、記録ヘッド2のノズル面のインクやゴミの除去を行なうものである。フレーム47のワイピング領域外には、後述するブレード21の向きの切り替えを行なうためにトリガレバー27が設けられている。
【0019】
図8において、キャップ51はキャップホルダ52に保持されている。キャップホルダ52は記録ヘッド2のノズル面に対して垂直方向に弾性体であるバネで付勢され、バネに抗して移動可能となっている。フレーム47がキャップ位置にある状態で記録ヘッド2がノズル面に対して垂直方向に移動して、キャップ51と密着および離間を行なう。密着によってノズル面をキャッピングすることでノズルの乾燥が抑制される。
【0020】
4つの基準部材71は、クリーニング機構9には、記録ヘッド2とクリーニング部6の位置関係を決めるために設けられたものである、4つの基準部材71は、ヘッドホルダ5の下面に固定された4つの位置決め部材81(図17参照)と当接して位置決めされる。キャッピング、クリーニング、ワイピングの各モードにおいて異なる高さ(ノズル面に垂直な方向、第3方向)において位置決めされる。また、第1方向、第2方向についても位置決めされる。
【0021】
図9はワイパユニット46の構成を示す図である。第1、第2のノズルチップ列に対応して2つの吸引口11(第1、第2の吸引手段)が設けられている。2つの吸引口11は、第1方向においては2つのノズルチップ列の間隔と同じ間隔を有する。2つの吸引口11は、第2方向においては2つのノズルチップ列の隣り合うノズルチップの間のずれ量(所定距離)と同じかほぼ同じずれ量を有している。吸引口11は吸引ホルダ12に保持され、吸引ホルダ12は記録ヘッド2のノズル面に対して垂直方向(第3方向)に弾性体であるバネ14で付勢され、バネに抗して第3方向に移動可能となっている。つまり、吸引ホルダ12は、ノズル面とシートの間隔方向(第3方向)での直進変位が可能となるよう、弾性体を有する変位機構によって支持されている。この変位機構は、移動中の吸引口11が封止部123を乗り越える際の動きを吸収するためのものである。詳しくは後述する。
【0022】
2つの吸引口11には吸引ホルダ12を介してチューブ15が接続されており、チューブ15には吸引ポンプ等の負圧発生手段が接続されている。負圧発生手段を動作させると、吸引口11内部にインクやゴミを吸い取るための負圧が与えられる。ブレード21は左右2枚ずつ、計4枚のブレードがブレードホルダ22に保持されている。ブレードホルダ22は第1方向における両端が軸支され、第1方向を回転軸として回転可能な構造となっており、通常はブレードホルダ22はストッパ26にバネ25によって付勢されている。ブレード21は、後述する切換機構の動作によりワイピング位置と退避位置とでブレード面の向きを切り換えることができる。吸引ホルダ12とブレードホルダ22はワイパユニット46の共通の支持体上に設置されている。
【0023】
図6は記録ヘッドのノズルチップ120と吸引口11の位置関係を示す部分拡大図である。2列の千鳥配列において、あるノズルチップ120と、そのノズルチップ120に隣の列で隣接しているノズルチップ120とは、第2方向において所定の距離Lhだけ離れて配置されている。一方、2つの吸引口11は、第1のノズルチップ列125に対応した第1吸引口11aと、第2のノズルチップ列126に対応した第2吸引口11bからなる。第1吸引口11aと第2吸引口11bは、第1方向においては、第1ノズルチップ列125と第2ノズルチップ列126の間の距離(中心間の距離)と同じ距離だけ離れて配置されている。また、第1吸引口11aと第2吸引口11bは、第1方向において対応するノズルチップ120に含まれる複数のノズル列をカバーする範囲に吸引口の開口が位置するように配置されている。第1吸引口11aと第2吸引口11bとは、第2方向においては距離Lcだけ離れてずれて配置されている。ここで、第2方向において、ノズルチップ120のずれの距離Lhと吸引口のずれの距離Lcは等しい。ここで言う「等しい」とは厳密に一致することには限定されず、略等しいことも含む意味であり、本発明において「等しい」との表現は同意味とする。ここでいう略等しいとは、第1吸引口11aが封止部123aに、第2吸引口11bが封止部123bに同時に当接する瞬間が存在する程度ということである。言い換えると、ずれの距離Lhとずれの距離Lcとは、2つの吸引口が対応するノズルチップの封止部に同時に触れないことはない程度に等しい。このように、第1吸引手段と第2吸引手段とは、異なる列の隣接する第1ノズルチップと第2ノズルチップの第2方向でのずれに対応して、第2方向でずれた位置関係となっている。
【0024】
第1吸引口11a、第2吸引口11bは共に、第2方向において幅Dcを有している。幅Dcは第2方向においてノズル列の一部をカバーする範囲であり、ノズル数本〜数十本に相当する幅である。記録ヘッド2は、第2方向に沿った各列において、同じ列の隣り合うノズルチップ(第1ノズルチップと第2ノズルチップ)120の間隔(封止部の端部の間隔)はいずれも距離Dhである。ここで、幅Dcと距離Dhを比較すると、Dc<Dhの関係を満たしている。このような位置関係を満たすことで、隣接する吸引口11の間隔を狭めることでき、第1方向にノズルチップ間の間隔が広がることを抑え、装置の大型化が抑制される。
【0025】
次に、ブレード21をワイピング位置から退避位置に切り換える動作について、図10を用いて説明する。図10(a)〜図10(c)において、ワイピング領域外においてワイパユニット46と対向する位置にクリーナホルダ31が設けられている。クリーナホルダ31には、記録ヘッド2をワイピングした際にブレード21に付着したインクを掻き取るためのブレードクリーナ30が保持されている。クリーナホルダ31には、リリースレバー28がバネ29の引張りによって付勢されながら回動可能に支持されている。リリースレバー28は当接部23と当接し得る位置に設けられている。
【0026】
図10(a)はノズル面ワイピングの際のブレード21の状態を示す。ブレードホルダ22は通常の向きであり、ブレード21はブレード面が記録ヘッド2のノズル面に対して垂直な向き(ワイピング位置)となっている。この状態においては、ブレード21の先端部は吸引口11の先端部より、記録ヘッド2のノズル面により近い位置関係となっている。ここで、図10(a)の矢印方向にワイパユニット46が移動すると、ブレード21はブレードクリーナ30と接触して、ブレード21に付着したインクやゴミがブレードクリーナ30に掻き取られる。この動作の途中で、ワイパユニット46の当接部23がリリースレバー28の斜面に当接し、リリースレバー28の斜面は当接部23に押圧されてバネ29の付勢に抗して徐々に回動する。当接部23がリリースレバー28の斜面を通り過ぎると、バネ29の付勢によってリリースレバー28は元の状態に戻る。
【0027】
図10(b)は、ブレード21のクリーニングが終了した状態を示す。ここで、図10(b)の矢印の方向にワイパユニット46が移動すると、当接部23がリリースレバー28の端面に当接する。この方向からリリースレバー28を押しても、リリースレバー28はクリーナホルダ31の係止部によって固定されており回動しない。そのため、リリースレバー28に当接部23が押されて、ブレードホルダ22がバネ25の引張りによる付勢に抗してワイパユニット46の進行方向と反対方向に回動する。回動が終わるとバネ25の引張力が回動した状態を維持する方向の力として働く。
【0028】
図10(c)は、ブレードホルダ22が回動した結果の状態を示す。ブレードホルダ22は傾いた向きであり、ブレード21はブレード面が記録ヘッド2のノズル面に対して傾いた向き(退避位置)となっている。この状態においては、ブレード21の先端部は、先のワイピング位置に較べてノズル面からより離れた位置になり、ノズル面とは非接触である。つまり、第3方向において、ワイピング位置におけるブレード先端部の位置と、退避位置におけるブレード先端部の位置の間に、吸引口11の先端部(吸引手段のノズル面に最も近い部位)があるような位置関係となっている。
【0029】
ブレード21を退避位置からワイピング位置に切り換える動作について、図11を用いて説明する。ブレード21が退避位置にある図11(a)の状態において、ワイパユニット46が矢印方向へ移動する。ブレードホルダ22の当接部23は、フレーム47に固設されたトリガレバー27の先端部に当接する。さらに移動すると、トリガレバー27に押圧されてブレードホルダ22が回動して、ブレード21は、図11(b)に示すワイピング位置に移行して切り換えが完了する。
【0030】
図12はクリーニング機構の動作を説明するための側面図である。図12(a)は吸引口11によって記録ヘッド2のクリーニングを行っている吸引モードの状態である。図12(b)はブレード21によって記録ヘッド2のクリーニングを行っているワイピングモードの状態である。
【0031】
吸引モードでは、図12(a)のように、ブレード21を退避位置にする。吸引口11の先端部と記録ヘッド2のノズル面とが接触するように、記録ヘッド2の第3方向における位置(吸引モード位置)を設定して保持する。負圧発生手段により吸引口11内に負圧を発生させながら、ワイパユニット46を第2方向に移動させると、ノズルに付着したインクやゴミを吸引口11から吸引し除去することができる。ワイパユニット46が第2方向に移動する最中に、記録ヘッド2からノズル面よりも突出した封止部123に吸引口11が第3方向に押される。上述したように、ワイパユニット46において吸引ホルダ12は、ノズル面に対して逃げる方向(第3方向)に変位可能となっているので、吸引口11が押されもその動きを吸引ホルダ12の変位によって逃がすことができる。なお、吸引のクリーニングの際に、吸引口11とノズル面とを接触させることは必須ではない。接触させずに極めて近い位置まで近づけた状態で負圧を与えても吸引を行なうことができる。すなわち、吸引モードにおいては、吸引口11とノズル面とは近接(当接を含む)させればよい。
【0032】
上述した図6のように、距離Lhと距離Lcが等しいので、第1吸引口11aと第2吸引口11bがそれぞれ対応するノズルチップ120の封止部123と対向するタイミングは等しくなる。その後、第1吸引口11aと第2吸引口11bが第1および第2のノズルチップ120に含まれるノズル列に対向するタイミングも等しくなる。吸引口11が封止部123の段差に乗り上げる際には、吸引口11をチルトさせる方向の力が、吸引口11を介して吸引ホルダ12に加わって傾く。また、乗り上げている最中には吸引口11は第3方向に押圧されて変位する。第1吸引口11a、第2吸引口11bが各列の封止部123に略同時の乗り上げて略同入るタイミングは略同じなので、これら2つの吸引口による吸引ホルダ12が傾くタイミングは略同じである。第1吸引口11a、第2吸引口11bが第3方向に押し込まれるタイミングもほぼ同じである。そのため、第1吸引口11aと第2吸引口11bがノズル吸引を行なっている最中に、吸引ホルダ12が傾いたり押し込まれたりして、吸引が不安定になることがない。以上の理由により、ノズルのクリーニング信頼性が向上する。
【0033】
吸引モードでは、移動機構によりワイパユニット46が第2方向で往復移動し、往路移動時と復路移動時とで吸引口11内部に与える負圧、すなわち吸引力が異なるように負圧発生手段が制御される。具体的には、往路移動時の方が復路移動時よりも負圧が大きい。更に、吸引モードでは、ワイパユニット46が第2方向に往復移動し、往路移動時と復路移動時で移動速度が異なる。具体的には、往路移動時の方が復路移動時よりも速度が小さい。往復で吸引する際には、最初の往路で大半のインクやゴミが吸収され、次の復路では残った僅かなインクやゴミを除去するに過ぎない。従って、より多くのインクを吸収する往路において復路よりも負圧を大きくする/移動速度を小さくしてゆっくり動かすことで、最初の動作でより確実に多量の吸引が行なわれる。復路では負圧を小さくする/速度を大きくすることで、消費電力や動作音の低減/往復動作のトータル時間を短くすることができる。
【0034】
一方、ワイピングモードでは、図12(b)のように、ブレード21をワイピング位置に切り換える。ブレード21の先端部と記録ヘッド2のノズル面とが適切に接触するように、記録ヘッド2の第3方向における位置(ワイピングモード位置)を設定して保持する。このとき、吸引口11の先端部と記録ヘッド2のノズル面とは、図12(a)の状態よりも離れる。負圧発生手段は停止する。ワイパユニット46を第2方向に走査移動させると、ブレード21によりノズル面をワイピングしてインクやゴミを払拭して除去することができる。
【0035】
以上のように、クリーニング機構は、吸引モードとワイピングモードの2つのモードを有し、同一のワイパユニット46でいずれかのモードを選択的に実施することが可能である。例えば、ノズルのインク吐出状態を判断して、この判断結果に応じて適切なモードを選択する。
【0036】
図16はクリーニング部6に設けられた基準部材71の周辺を拡大した図であり、図16(a)は斜視図、図16(b)は側面図である。図17は実際に当接している様子を示す図である。基準部材71は第3方向において異なる高さに設けられた3つの基準面、すなわち第1当接面73、第2当接面74、第3当接面72を有する。基準部材71はさらに、位置決め部材81と第1方向において当接する2つの第4当接面76、第5当接面77と、第2方向において当接する第6当接面75を有する。つまり、基準部材71は第1方向、第2方向、第3方向の各方向においてヘッドホルダ5を位置決めするために用いられ、第3方向においては3つの基準面を提供する。
【0037】
図17(a)はキャッピングモードにおける、基準部材71とヘッドホルダ5に固設された位置決め部材81との位置関係を示す(キャッピングモード位置)。図17(b)は吸引モードにおける基準部材71と位置決め部材81の位置関係を示す(吸引モード位置)。図17(c)はワイピングモードにおける基準部材71と位置決め部材81の位置関係を示す(ワイピングモード位置)。いずれのモードにおいても、4箇所において対になる基準部材71と位置決め部材81は同じ位置関係となる。
【0038】
キャッピングモードでは、記録ヘッド2はキャップ51と密着し、ノズル面をキャッピングすることでノズルの乾燥が抑制される。図17(a)に示すように、位置決め部材81は基準部材71に対して、第1方向では第4当接面76と当接し、第2方向では第6当接面75と当接して、第3方向では第3当接面72と当接して、キャッピングモード位置となる。
【0039】
吸引モードでは、吸引口11の先端部と記録ヘッド2のノズル面とが接触し、負圧発生手段により吸引口11内に負圧を発生させながら、ワイパユニット46を第2方向に走査移動させながら吸引口11からノズルに付着したインクやゴミを吸引し除去する。図17(b)に示すように、位置決め部材81は基準部材71に対して、第1方向では第5当接面77と当接し、第3方向では第3当接面73と当接して、吸引モード位置となる。なお、第2方向においては当接はない。
【0040】
ワイピングモードでは、ブレード21の先端部と記録ヘッド2のノズル面とが適切な圧力で接触した状態で、ワイパユニット46を第2方向に走査移動することで、ブレード21でノズル面をワイピングしてインクやゴミを払拭する。図17(c)に示すように、位置決め部材81は基準部材71に対して、第1方向では第5当接面77と当接し、第3方向では第2当接面74と当接して、ワイピングモード位置となる。なお、第2方向においては当接はない。このように、簡単な構造でありながら各動作モードにおける記録ヘッド2の位置決めを正確に行うことができ、各動作モードをより確実に実行することができる。
【0041】
図14は、クリーニング動作のシーケンスを示すフローチャートである。不吐出のノズルがないとの判断結果であれば、ワイピングモードを選択する。ステップS101では、ブレード21をワイピング位置に切り換える(図12(b)参照)。ステップS102では、記録ヘッド2をワイピングモード位置に保持する。これは、基準部材71と位置決め部材81の位置関係をワイピングモード位置にすることでなされる(図17(c)参照)。ステップS103では、ワイパユニット46を第2方向に走査移動させてワイピングを行う。ブレード21によりノズル面およびベース基板124のインクやゴミを払拭して除去する。こうして、ノズルからインクを消費することなくノズル面のワイピングによるクリーニングを実施することができる。
【0042】
次いで、ステップS104では、不吐出のノズルがあるか否かに応じて、吸引モードを実施する(Yes)か否か(No)を判断する選択する。判断がYesの場合はステップS105に移行し、判断がNoの場合はシーケンスを終了する。ステップS105では、吸引モードを実施するためブレード21を退避位置に切り換える(図12(a)参照)。ステップS106では、記録ヘッドを吸引モード位置に保持する。これは、基準部材71と位置決め部材81の位置関係を吸引モード位置にすることでなされる(図17(b)参照)。ステップS107では、負圧発生手段により吸引口11内に負圧を発生させる。ステップS108では、ワイパユニット46を第2方向に走査移動させながら吸引を行う。吸引口11によりノズル面およびノズルに付着したインクやゴミを吸引する。こうして、ノズルからのインク消費量を抑えつつ、吸引によるクリーニングを実施することができる。
【0043】
シートに連続で大量の記録を行なった場合には、ノズル面およびベース基板124に多くのインクやゴミが付着している可能性がある。このような場合には、ワイピンクモードでクリーニングを実行した後に続けて吸引モードでクリーニングを実行する。ワイピングモードによりノズル面およびベース基板124のインクやゴミを払拭して除去し、次いで、吸引モードによりノズル面およびノズルに付着したインクやゴミを吸引する。これにより、クリーニング動作のトータル時間を短くでき、且つノズルからのインク消費量を抑えたクリーニングを実施することができる。
【0044】
以上の実施形態では負圧によって吸引を行なう吸引手段であるが、これに限定されるものではない。例えば、図15に示すように負圧ではなくインク吸収体61を用いて吸引を行なう吸引手段であってもよい。インク吸収体61は吸収体ホルダ62に支持され、吸収体ホルダ62は記録ヘッド2のノズル面に対して垂直方向(第3方向)に弾性体であるバネ64で付勢され、バネに抗して第3方向に移動可能となっている。上述した図6の第1吸引口11aと第2吸引口11bと同じ位置に、第1インク吸収体と第2インク吸収体の接触部を位置させる。インク吸収体61は、多孔質体等の吸水性の高い材質を用いれば、単位時間により多くのインクの吸引を行なうことができる。距離Lhと距離Lcは等しいので、第1インク吸収体と第2インク吸収体の接触部がそれぞれ対応するノズルチップ120の封止部123と対向するタイミングは等しくなる。その後、第1インク吸収体と第2インク吸収体が第1および第2のノズルチップ120に含まれるノズル列に対向するタイミングも等しくなる。そのため、吸引モードにおいてはノズルのクリーニング信頼性が向上する。
【0045】
以上の実施形態では、2列の千鳥配列でノズルチップ120を並べた例を示したが、これ以外の規則的な配列であってもよい。いずれにせよ、記録ヘッド2は、それぞれがノズル列を有する複数の第1ノズルチップと複数の第2ノズルチップが、異なる列として第2方向に沿って並べられ、且つ隣接する前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップは前記第2方向でずれた位置関係とする。そして、隣接する第1ノズルチップと第2ノズルチップは、これらに含まれるノズル列の一部が、第2方向においてオーバーラップする。
【0046】
図13はノズルチップの別の配列の例を示す。第1ノズルチップ列125、第2ノズルチップ列126、第3ノズルチップ列127の3列を有し規則的に配列されている。これに合わせて、第1吸引口11a、第2吸引口11b、第3吸引口11cの3つが対向して配されている。第2方向において、第1吸引口11aと第2吸引口11bの間の距離(ずれ量)、第2吸引口11bと第3吸引口11c間の距離、第3吸引口11cと第1吸引口11aの間の距離は、いずれもLcである。第2方向において、第1列と第2列の隣接するノズルチップの間の距離(ずれ量)、第2列と第3列の隣接するノズルチップの間の距離、第3列と第1列の隣接するノズルチップの間の距離は、いずれもLhである。図6の例と同様、LcとLhは等しい(前述したように略等しいを含む)。また、Dc<Dhを満たす。従って、第1吸引口11a、第2吸引口11b、第3吸引口11bがノズル吸引を行なっている最中に、吸引ホルダ12が傾いたり押し込まれたりして吸引が不安定になることがなく、ノズルのクリーニング信頼性が向上する。このように、複数列のうちの2つを取り出してみたとき、第1吸引手段と第2吸引手段とは、異なる列の隣接する第1ノズルチップと第2ノズルチップの第2方向でのずれに対応して、第2方向でずれた位置関係となっている。
【0047】
以上の実施形態は、固定された記録ヘッド2に対してワイパユニット46が移動するもであるが本発明はこれに限定されず、ワイパユニットに対して記録ヘッドが移動してクリーニングを行なうシステムであってもよい。すなわち、本発明は、記録ヘッドのノズル列のうちの一部のノズルに対向して、ノズル列の形成方向に沿って相対的な移動がなされるインク吸引手段を有する記録装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
2 記録ヘッド
11 吸引口
21 ブレード
23 封止部
46 ワイパユニット
71 基準部材
81 位置決め部材
120 ノズルチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に移動するシートに対向する位置に設けられ、それぞれがノズル列を有する複数の第1ノズルチップと複数の第2ノズルチップが、異なる列として前記第1方向と交差する第2方向に沿って並べられ、且つ隣接する前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップは前記第2方向でずれた位置関係となっている構造を有する記録ヘッドと、
前記第1ノズルチップに対向して、前記第1ノズルチップに含まれる前記ノズル列の一部からインクを吸引する第1吸引手段と、
前記第2ノズルチップに対向して、前記第2ノズルチップに含まれる前記ノズル列の一部からインクを吸引する第2吸引手段と、
前記第1吸引手段および前記第2吸引手段を保持する吸引ホルダと、
吸引しながら前記記録ヘッドと前記吸引ホルダの間で前記第2方向に沿って相対的な移動を行なわせる移動機構と、
前記記録ヘッドを前記第1方向および前記第2方向とそれぞれ交差する第3方向において複数の位置に位置決めするための複数の基準面を有する位置決め手段と、を備え、
前記第1吸引手段と前記第2吸引手段とは、前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップのずれに対応して、前記第2方向でずれた位置関係となっていることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第2方向において、隣接する前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップの間のずれの距離と、前記第1吸引手段と前記第2吸引手段の間のずれの距離とが等しいことを特徴とする、請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記第1吸引手段は前記第1ノズルチップに近接する第1吸引口を有し、前記第2吸引手段は前記第2ノズルチップと近接する第2吸引口を有し、前記第1吸引口および前記第2吸引口にはそれぞれ前記ノズル列からインクを吸引するための負圧が与えられることを特徴とする、請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記吸引ホルダは、前記記録ヘッドのノズル面とシートの間隔方向での直進変位が可能となるよう弾性体を有する変位機構によって支持されていることを特徴とする、請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第1吸引口または前記第2吸引口の前記第2方向における幅をDc、同じ列の隣り合う前記ノズルチップの前記第2方向のおける間隔をDhとしたとき、Dc<Dhの関係を満たしていることを特徴とする、請求項3または4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記移動機構による往路移動時と復路移動時とで、前記第1吸引手段および前記第2吸引手段の吸引力が異なることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の記録装置。
【請求項7】
前記移動機構による往路移動時と復路移動時とで前記移動機構の移動速度が異なることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の記録装置。
【請求項8】
前記第1吸引手段は前記第1ノズルチップと当接し且つ前記一部のノズルからインクを吸収する第1インク吸収体を有し、前記第2吸引手段は前記第2ノズルチップと当接し且つ前記一部のノズルからインクを吸収する第2インク吸収体を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項9】
前記第1ノズルチップのノズル面をワイピングするための第1ブレードと、前記第2ノズルチップのノズル面をワイピングするための第2ブレードとを有し、前記第1ブレードおよび前記第2ブレードが前記移動機構によって前記記録ヘッドとの間で前記第2方向に沿って相対的な移動しながらワイピングが行なわれることを特徴とする、請求項1から8のいずれか記載の記録装置。
【請求項10】
前記第1ブレードおよび前記第2ブレードを保持するブレードホルダと、前記ブレードホルダをワイピング位置と退避位置とで切り換える切換手段とを備えることを特徴とする、請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
前記ブレードホルダと前記吸引ホルダは共通の支持体上に設置され、前記ワイピング位置における前記第1ブレードまたは前記第2ブレードの先端部の位置と、前記退避位置における前記先端部の位置の間に、前記吸引手段の前記ノズル面に最も近い部位があるような位置関係となっていることを特徴とする、請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記位置決め手段は、吸引モード、ワイピングモード、キャッピングモードでそれぞれ異なる位置に前記記録ヘッドを位置決めすることが可能であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の記録装置。
【請求項13】
前記第1ノズルチップのノズル面をワイピングするための第1ブレードと、前記第2ノズルチップのノズル面をワイピングするための第2ブレードと、前記第1ブレードおよび前記第2ブレードを保持するブレードホルダと、
前記吸引ホルダと前記ブレードホルダを保持する共通の支持体と、前記支持体に固定された基準部材と、
前記記録ヘッドを保持するヘッドホルダと、前記ヘッドホルダに固定され前記基準部材と当接することが可能な位置決め部材と、をさらに備え、
前記移動機構は、前記記録ヘッドと前記支持体の間で前記第2方向に沿って相対的な移動を行なわせるものであり、
前記基準部材は前記基準面として前記第3方向において位置が異なる第1当接面および第2当接面を持ち、吸引モードでは前記位置決め部材が前記第1当接面と当接して前記記録ヘッドが位置決めされ、ワイピングモードでは前記位置決め部材が前記第2当接面に当接して前記記録ヘッドが位置決めされることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の記録装置。
【請求項14】
前記記録ヘッドをキャッピングすることが可能なキャップをさらに備え、前記基準部材は前記第1当接面および前記第2当接面とは前記第3方向における位置が異なる第3当接面を持ち、キャッピングの際には前記位置決め部材が前記第3当接面に当接して前記記録ヘッドが位置決めされることを特徴とする、請求項13記載の記録装置。
【請求項15】
第1ノズルチップおよび第2ノズルチップの前記第2方向における端部近傍には封止部が形成され、前記封止部の少なくとも一部はノズル面よりもインク吐出方向に関して高くなっていることを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載の記録装置。
【請求項16】
第1方向に移動するシートに対向する位置に設けられ、それぞれがノズル列を有する複数の第1ノズルチップと複数の第2ノズルチップが、異なる列として前記第1方向と交差する第2方向に沿って並べられ、且つ隣接する前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップは前記第2方向でずれた位置関係となっている構造を有する記録ヘッドと、
吸引モードにおいて、前記第1ノズルチップに対向して、前記第1ノズルチップに含まれる前記ノズル列の一部からインクを吸引する第1吸引手段と、前記第2ノズルチップに対向して、前記第2ノズルチップに含まれる前記ノズル列の一部からインクを吸引する第2吸引手段と、前記第1吸引手段および前記第2吸引手段を保持する吸引ホルダと、
ワイピングモードにおいて、前記第1ノズルチップのノズル面をワイピングするための第1ブレードと、前記第2ノズルチップのノズル面をワイピングするための第2ブレードと、前記第1ブレードおよび前記第2ブレードを保持するブレードホルダと、
前記吸引ホルダと前記ブレードホルダを保持する共通の支持体と、前記支持体に固定された基準部材と、
前記記録ヘッドと前記支持体の間で前記第2方向に沿って相対的な移動を行なわせる移動機構と、
前記記録ヘッドを保持するヘッドホルダと、前記ヘッドホルダに固定され前記基準部材と当接することが可能な位置決め部材と、を備え、
前記基準部材は前記第1方向および前記第2方向とそれぞれ交差する第3方向において位置が異なる第1当接面および第2当接面を持ち、前記吸引モードでは前記位置決め部材が前記第1当接面と当接して前記記録ヘッドが位置決めされ、前記ワイピングモードでは前記位置決め部材が前記第2当接面に当接して前記記録ヘッドが位置決めされることを特徴とする記録装置。
【請求項17】
前記記録ヘッドをキャッピングすることが可能なキャップをさらに備え、前記基準部材は前記第1当接面および前記第2当接面とは前記第3方向における位置が異なる第3当接面を持ち、キャッピングの際には前記位置決め部材が前記第3当接面に当接して前記記録ヘッドが位置決めされることを特徴とする、請求項16記載の記録装置。
【請求項18】
前記基準部材は、前記位置決め部材と当接する前記第1方向における当接面を有し、前記吸引モードと前記ワイピングモードでは、前記記録ヘッドが前記第3方向と第1方向で位置決めされることを特徴とする、請求項16記載の記録装置。
【請求項19】
第1ノズルチップおよび第2ノズルチップの前記第2方向における端部近傍には封止部が形成され、前記封止部の少なくとも一部はノズル面よりもインク吐出方向に関して高くなっていることを特徴とする、請求項16から18のいずれかに記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−240550(P2011−240550A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113434(P2010−113434)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】