説明

記録装置

【課題】1つの駆動源によって、搬送機構の構成部品とメンテナンス機構の複数のメンテナンス部品を選択的に駆動可能とするとともに、前記1つの駆動源に連結された切換ギヤが噛み合う出力ギヤの数を少なく抑えること。
【解決手段】駆動源に接続される切換ギヤ64は、搬送機構用の第1出力ギヤ62とメンテナンスユニット用の第2出力ギヤ63との間で移動可能である。第2出力ギヤ63には2つのワンウェイクラッチ72,73が連結されている。第2出力ギヤ63が一方向に回転したときには第1ワンウェイクラッチ72のみが回転駆動され、伝達ギヤ74と噛み合う部品駆動ギヤ71が回転駆動される。また、第2出力ギヤ63が逆方向に回転したときには、第2ワンウェイクラッチ73のみが回転駆動され、伝達位置切換部材75によって伝達ギヤ74と噛み合う部品駆動ギヤ71が切り換えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に画像等を記録する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被記録媒体に画像等を記録する記録装置として、従来から、記録ヘッドの一定以上の記録性能を維持するために、適宜のタイミングで記録ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス用の機構が設けられているものがある。
【0003】
その中でも、本願出願人が先に出願した特許文献1には、インクジェットヘッド(記録ヘッド)の液滴噴射性能の回復/維持を行うメンテナンスユニット(メンテナンス機構)を備えたインクジェットプリンタが開示されている。メンテナンスユニットは、昇降駆動されてインクジェットヘッドのノズル(インク噴射面)を覆うキャップや、キャップ内を減圧するための吸引ポンプ等の様々な部品(メンテナンス部品)を備えている。また、メンテナンスユニットはその駆動源であるモータと動力伝達可能に連結され、前記モータの駆動力によって、キャップの昇降や吸引ポンプの作動といった、各メンテナンス部品の駆動を独立して行うようになっている。
【0004】
また、特許文献1では、上記メンテナンスユニットのメンテナンス部品のうち、一部のメンテナンス部品(吸引ポンプ)は、記録用紙の搬送を行う第1駆動源(LFモータ)からの駆動力が伝達されて作動するようになっている。一方、残りのメンテナンス部品(キャップ)は、トレイに収容された記録用紙を送り出す給紙ローラを駆動する、第2駆動源(ASFモータ)から駆動力が伝達されて作動するようになっている。即ち、第2駆動源は、画像記録時には用紙搬送機構の給紙ローラを駆動し、インクジェットヘッドのメンテナンス時にはメンテナンスユニットのキャップを駆動するというように、給紙ローラとキャップを選択的に駆動する。具体的には、インクジェットヘッドを搭載したキャリッジによって、第2駆動源に連結された切換ギヤを、給紙ローラ用の出力ギヤとの噛み合い位置とキャップ昇降用の出力ギヤとの噛み合い位置との間で移動させることで、第2駆動源からの動力伝達先を給紙ローラとキャップとの間で切り換えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−34847号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1においては、2種類のモータを使用して、搬送機構の構成部品、及び、メンテナンスユニットの複数のメンテナンス部品を駆動しているが、本願出願人は、コスト削減等の観点から、1種類のモータで複数の部品をそれぞれ駆動することを検討している。
【0007】
例えば、搬送機構の3つの構成部品(例えば、給紙ローラ)と、メンテナンスユニットの3つのメンテナンス部品(例えば、キャップや吸引ポンプ)の、合計6つの部品を1つのモータで駆動しようとする場合、図8に示すように、搬送機構用の3つの構成部品にそれぞれ連結された3つの第1出力ギヤ102と、3つのメンテナンス部品にそれぞれ連結された3つの第2出力ギヤ102を一列に並べ、モータ100に連結された1つの切換ギヤ101を、6つの出力ギヤ102,103との噛み合い位置にわたって移動させる構成が考えられる。しかし、駆動対象となる部品数が多くなるほど、1つの切換ギヤ101が噛み合う出力ギヤ102,103の数が多くなるために、切換ギヤ101の移動範囲が大きくなって装置の大型化に繋がるし、また、切換に要する時間も長くなる。
【0008】
本発明の目的は、1つの駆動源によって、搬送機構の構成部品とメンテナンス機構の複数のメンテナンス部品を選択的に駆動可能とするとともに、前記1つの駆動源に連結された切換ギヤが噛み合う出力ギヤの数を少なく抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明の記録装置は、記録ヘッドと、前記記録ヘッドで記録される被記録媒体を搬送する搬送機構と、複数のメンテナンス部品を有し、前記複数のメンテナンス部品を作動させることにより前記記録ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス機構と、前記搬送機構と前記メンテナンス機構を駆動する駆動力を発生させる駆動源と、前記駆動源で発生した駆動力の伝達先を、前記搬送機構と前記メンテナンス機構との間で切り換える第1切換機構と、前記第1切換機構から前記メンテナンス機構に伝達される駆動力を、前記複数のメンテナンス部品の何れか1つに伝達する第2切換機構を備え、
前記第1切換機構は、前記搬送機構に接続される第1出力ギヤと、前記第1出力ギヤと所定の第1方向に並べて配置され、前記第2切換機構を介して前記メンテナンス機構の前記複数のメンテナンス部品と接続される第2出力ギヤと、前記駆動源に接続され、前記第1出力ギヤとの噛み合い位置と前記第2出力ギヤとの噛み合い位置にわたって、前記第1方向に沿って移動可能な切換ギヤと、前記切換ギヤを前記第1方向に移動させて、前記切換ギヤと噛み合う出力ギヤを前記第1出力ギヤと前記第2出力ギヤとの間で切り換える切換ギヤ駆動手段を有し、
前記第2切換機構は、所定の第2方向に並べて配置され、前記複数のメンテナンス部品とそれぞれ接続される複数の部品駆動ギヤと、前記第2出力ギヤと連結され、前記第2出力ギヤが一方向に回転したときにのみ回転駆動される第1ワンウェイクラッチと、同じく前記第2出力ギヤと連結され、前記第2出力ギヤが前記一方向と逆方向に回転したときのみ回転駆動される第2ワンウェイクラッチと、前記第1ワンウェイクラッチによって回転駆動され、且つ、前記複数の部品駆動ギヤのそれぞれとの噛み合い位置にわたって前記第2方向に移動可能な伝達ギヤと、前記第2ワンウェイクラッチの回転に伴って前記伝達ギヤを前記第2方向に移動させて、前記伝達ギヤと噛み合う前記部品駆動ギヤを切り換える、伝達位置切換部材とを有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、メンテナンス機構の複数のメンテナンス部品を個々に駆動する複数の部品駆動ギヤを、搬送機構用の第1出力ギヤと共に並べることはせず、第1出力ギヤに対して、メンテナンス機構に対して割り当てた1つの出力ギヤ(第2出力ギヤ)のみを並べることで、切換ギヤで切り換える出力ギヤの数を少なくする。そのため、切換ギヤの移動範囲が小さく抑えられ、また、切換時間も少なくて済む。
【0011】
一方で、第2出力ギヤによって、メンテナンス機構の複数の部品駆動ギヤの中から1つを選択して駆動するには、部品駆動ギヤの選択(切換)と、その選択したギヤの回転駆動(駆動力伝達)という、2つの異なる動作を行わせる必要があるが、本発明では、第2出力ギヤに連結された2つのワンウェイクラッチを用いて、第2出力ギヤの2方向の回転を使い分けることによって上記2つの動作をそれぞれ行わせる。尚、本発明において、「ワンウェイクラッチが回転駆動される」とは、ワンウェイクラッチの外輪と内輪との間でトルクが伝達されて、両者が一体的に回転することを言う。
【0012】
即ち、切換ギヤが第2出力ギヤと噛み合っている状態で、切換ギヤにより第2出力ギヤが一方向に回転駆動されたときには、第1ワンウェイクラッチのみが回転駆動され、第2出力ギヤの回転が伝達ギヤを介して1つの部品駆動ギヤに伝達される。一方、第2出力ギヤが前記一方向と逆の方向に回転駆動されたときには、第2ワンウェイクラッチのみが回転駆動され、その回転に伴って伝達位置切換部材が伝達ギヤを第2方向に移動させ、伝達ギヤを所望の部品駆動ギヤとの噛み合い位置に移動させる。このように、第2出力ギヤの回転方向を切り換えることによって、部品駆動ギヤの回転駆動(メンテナンス部品の駆動)と、部品駆動ギヤの切換をそれぞれ行うことができる。
【0013】
第2の発明の記録装置は、前記第1の発明において、前記記録ヘッドは前記第1方向に移動するキャリッジに搭載されて、前記キャリッジと共に前記第1方向に移動しながら前記被記録媒体に対して記録を行うものであり、前記メンテナンス機構は、前記被記録媒体に対して前記第1方向に関して外側の位置に配置され、前記キャリッジは、前記記録ヘッドが前記メンテナンス機構と対向する位置まで移動したときに、前記切換ギヤを前記第1方向の一方に押し出すことが可能に構成されるとともに、前記切換ギヤを前記第1方向の他方に付勢する復帰バネが設けられ、前記キャリッジと前記復帰バネが前記切換ギヤ駆動手段を構成していることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のように、キャリッジによって切換ギヤを第1方向に移動させるように構成すれば、切換ギヤを移動させるための専用の駆動源が不要である。また、切換ギヤと噛み合う出力ギヤの数が多いほど切換ギヤの移動範囲が大きくなるが、本発明のようにキャリッジをメンテナンス位置まで移動させて切換ギヤの噛み合い位置を切換える場合には、記録時における移動範囲(被記録媒体と対向する範囲)よりも外側の、メンテナンス位置においてキャリッジの移動範囲を大きくせざるを得なくなり、第1方向(キャリッジ移動方向)の装置サイズが大きくなる。従って、キャリッジによって切換ギヤを移動させる構成において、切換ギヤと噛み合う出力ギヤの数を少なくすることには大きな意義がある。
【0015】
第3の発明の記録装置は、環状の前記第2ワンウェイクラッチの内側に筒状の前記伝達位置切換部材が前記第2方向に移動可能に挿入されており、環状の前記第2ワンウェイクラッチの内周面と筒状の前記伝達位置切換部材の外周面の一方には突起が形成され、他方には、前記突起が係合し、前記第2ワンウェイクラッチの回転に伴って前記伝達位置切換部材を前記第2方向に移動させる形状を有するカム溝が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、第2ワンウェイクラッチが回転したときに、第2ワンウェイクラッチの内周面と伝達位置切換部材の外周面の一方に形成された突起が、他方に形成されたカム溝に沿って移動することで、伝達位置切換部材が第2方向に移動して伝達ギヤと噛み合う部品駆動ギヤが切り換えられる。
【0017】
第4の発明の記録装置は、前記第3の発明において、前記伝達ギヤは、筒状の前記伝達位置切換部材に、前記第2方向に相対移動可能に外挿され、前記伝達位置切換部材に、前記伝達ギヤを前記第2方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
伝達ギヤが伝達位置切換部材に対して第2方向に相対移動不能であると、伝達ギヤが、所望の部品駆動ギヤとの噛み合い位置に移動する前に、歯の位相がずれた他の部品駆動ギヤにひっかかって移動できなくなったときに、伝達位置切換部材がさらに第2方向に移動しようとすると、歯部に局所的に大きな力がかかって歯部が欠けてしまうなど破損する虞がある。本発明では、伝達ギヤが部品駆動ギヤとひっかかったときに、伝達ギヤを第2方向に付勢する付勢手段によって伝達ギヤに作用する力の一部を吸収することができるから、ギヤの破損を防止することができる。尚、伝達ギヤと部品駆動ギヤとがひっかかった状態を解消するには、第2出力ギヤの回転を逆転させて(伝達ギヤへの回転伝達方向にして)、伝達ギヤを少し回転させて歯の位相をずらせばよい。
【0019】
第5の発明の記録装置は、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記メンテナンス機構は3以上の複数の前記メンテナンス部品を有し、前記3以上の複数の前記メンテナンス部品にそれぞれ接続される、3以上の複数の前記部品駆動ギヤが、前記メンテナンス機構により前記記録ヘッドのメンテナンスを行う際に作動する順に、前記第2方向に並んでいることを特徴とするものである。
【0020】
本発明によれば、メンテナンス時における作動順に3以上の複数の部品駆動ギヤが並んでいることから、いくつかの部品駆動ギヤを飛ばして伝達ギヤを移動させたりする必要がなく、また、伝達ギヤと部品駆動ギヤの間のひっかかりが生じる頻度も減る。
【0021】
第6の発明の記録装置は、前記第1〜第5の何れかの発明において、前記記録ヘッドは、前記被記録媒体に向けてそれぞれインクの液滴を噴射する複数のノズルを有するインクジェットヘッドであり、前記メンテナンス機構の前記複数のメンテナンス部品には、少なくとも、前記インクジェットヘッドの前記複数のノズルが開口したインク噴射面に対して、その直交方向に駆動されて、前記インク噴射面を覆うキャップと、前記キャップに接続され、前記キャップに覆われた前記複数のノズルからインクを吸引する吸引ポンプとが含まれていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明によれば、1つの駆動源によって、キャップのインク噴射面に対する離接(インク噴射面と直交する方向への駆動)と、吸引ポンプの作動を個別に行わせることができる。従って、キャップをインク噴射面に密着させてから、吸引ポンプを作動させてキャップ内を減圧し、ノズル内の気泡や異物をインクとともに排出させる、いわゆる吸引パージの実行が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第1出力ギヤに対して、メンテナンス機構に対して割り当てた1つの出力ギヤ(第2出力ギヤ)のみを並べることで、切換ギヤで切り換える出力ギヤの数を少なくする。そのため、切換ギヤの移動範囲が小さく抑えられ、また、切換時間も少なくて済む。一方で、第2出力ギヤの2方向の回転を使い分けることによって、部品駆動ギヤの選択(切換)と、その選択したギヤの回転駆動(駆動力伝達)という、2つの異なる動作を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の複合機の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の複合機の縦断面図である。
【図3】記録ユニットの概略平面図である。
【図4】動力伝達ユニットの概略構成図である。
【図5】筒状の伝達位置切換部材の外周面の360度全周の展開図である。
【図6】伝達ギヤと部品駆動ギヤとがひっかかっている状態を示す、第2切換機構の概略構成図である。
【図7】変更形態の第2切換機構の概略構成図である。
【図8】1つの駆動源で搬送機構及びメンテナンス機構の複数の部品を駆動する場合の、動力伝達機構の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は本実施形態の複合機の外観を示す斜視図である。図2は複合機の縦断面図である。
【0026】
図1に示すように、複合機1は、下部にプリンタ部2を、上部にスキャナ部3を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。尚、複合機1のうち、プリンタ部2が本願の記録装置に相当する。
【0027】
プリンタ部2は、主にコンピュータなどの外部情報機器と接続されて、外部情報機器から送信された画像データや文書データを含む印刷データに基づいて、被記録媒体である記録用紙に画像や文書を記録する。尚、複合機1は、メモリカードなどの各種記憶媒体が装填されて、記憶媒体に記録された画像データなどを記録用紙に記録することも可能である。
【0028】
複合機1は、略直方体の外形の複合機本体10を有し、この複合機本体10の正面に開口4が形成されている。開口4の内側に、給紙トレイ5及び排紙トレイ6が上下2段に設けられている。給紙トレイ5には記録用紙Pが収容される。給紙トレイ5が収容可能な記録用紙の大きさは、例えば、リーガルサイズ以下のA4サイズ、B5サイズ、はがきサイズなどの各種定形サイズである。給紙トレイ5に収容された記録用紙Pはプリンタ部2の内部へ給送されて所望の画像が記録され、排紙トレイ6へ排出される。
【0029】
開口4の下側には給紙カセット7が取り外し可能に装着される。給紙カセット7には、例えば、リーガルサイズ、A4サイズ、B5サイズなどの記録用紙Pが収容可能である。給紙カセット7は、給紙トレイ5が収容可能な記録用紙の枚数の数倍から十倍程度の枚数の記録用紙を収容可能である。従って、給紙カセット7には、A4サイズのように使用頻度の高い記録用紙が大量に収容される。
【0030】
スキャナ部3は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。図1及び図2に示すように、複合機1の上面に原稿カバー8が開閉自在に設けられている。原稿カバー8を開くと、プラテンガラス9が露出される。プラテンガラス9の下側にはイメージセンサ(図示省略)が設けられている。プラテンガラス9に載置された原稿に対して、イメージセンサが移動しながら画像読取りを行う。また、原稿カバー8には、自動原稿搬送機構であるオート・ドキュメント・フィーダ(ADF;Auto Document Feeder)11が設けられている。
【0031】
複合機1の正面上部には、操作パネル12が設けられている。操作パネル12は、複数の操作ボタンや液晶表示部から構成されている。操作ボタンは、例えば、電源のオン/オフを行う電源ボタン、画像読取りや画像記録の開始を入力するスタートボタン、動作の停止を入力するストップボタン、コピーモード、スキャナモード、ファクシミリモードなどのモード設定を行うモードボタン、画像記録条件や読取条件などの各種設定やファクシミリ番号の入力を行うテンキーなどである。複合機1は、操作パネル12からの操作指示に基づいて動作する。複合機1が外部のコンピュータに接続されている場合には、コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても複合機1が動作する。
【0032】
次に、プリンタ部2について詳細に説明する。図2に示すように、プリンタ部2は、記録用紙Pを搬送する搬送機構14と、記録用紙Pにインクを噴射して画像等を記録するインクジェットヘッドを有する記録ユニット15を備えている。
【0033】
まず、搬送機構14について説明する。図2に示すように、搬送機構14は、第1給紙ローラ20、第2給紙ローラ21、搬送ローラ22、排紙ローラ23、スイッチバック機構24等を備えている。
【0034】
第1給紙ローラ20は給紙トレイ5の上方に配置され、給紙トレイ5に収容された記録用紙Pを、この給紙トレイ5からU字状に湾曲して上方の記録ユニット15に至る第1搬送路25に送り出す。また、第2給紙ローラ21は複合機本体10に装着された給紙カセット7内に位置しており、この給紙カセット7に収容された記録用紙Pを、この給紙カセット7からU字状に湾曲して上方の記録ユニット15に至り、且つ、前記第1搬送路25と分離された第2搬送路26に送り出す。尚、2つの給紙ローラ20,21は後述するLFモータ30(図3参照)によって選択的に回転駆動される。
【0035】
記録ユニット15の後側(開口4と反対側)には搬送ローラ22とピンチローラ27が記録用紙Pを上下に挟持するように配置されている。搬送ローラ22はその一端部に連結されたLFモータ30(図3参照)によって回転駆動される。また、ピンチローラ27は搬送ローラ22の回転に伴い従動回転する従動ローラである。そして、搬送ローラ22とピンチローラ27は、記録用紙Pを挟持した状態で回転することによって、第1搬送路25又は第2搬送路26を経由して送られてきた記録用紙Pを、前方の記録ユニット15へ所定の送り量で間欠的に搬送する。
【0036】
記録ユニット15のインクジェットヘッド41と対向する位置にはプラテン29が配置され、プラテン29上を搬送される記録用紙Pに対して、インクジェットヘッド41からインクが噴射されて、記録用紙Pに画像等が記録される。
【0037】
記録ユニット15の前側(開口4側)には排紙ローラ23と拍車28が記録用紙Pを上下に挟持するように配置されている。排紙ローラ23は、LFモータ30(図3参照)によって搬送ローラ22と同期して回転駆動される。また、拍車28は排紙ローラ23の回転に伴い従動回転する。そして、排紙ローラ23と拍車28は、記録用紙Pを挟持した状態で回転することによって、記録ユニット15において画像等が記録された記録用紙Pを前方の排紙トレイ6へ排出する。
【0038】
また、排紙ローラ23の前側には、記録用紙Pの両面記録(印刷)のための構成として、下方の給紙トレイ5に向けて斜め後方に傾斜した第3搬送路31と、排紙ローラ23から排出された記録用紙Pの向きを変えて第3搬送路31に送るスイッチバック機構24が設けられている。スイッチバック機構24は複数のローラを有し、これらのローラを用いて記録用紙Pを一旦前方へ送った後に逆方向(後方)に戻しつつ第3搬送路31へ記録用紙Pを送り込む。スイッチバック機構24によって記録用紙Pは第3搬送路31を経由して給紙トレイ5に送られ、さらに、給紙トレイ5から再度湾曲した第1搬送路25を経由して記録ユニット15に搬送されることで、記録用紙Pは先に画像等が記録された面とは反対側の面が上面となって記録ユニット15に送られることになるため、両面印刷が可能となる。尚、スイッチバック機構24も搬送ローラ22や排紙ローラ23を回転駆動するLFモータ30によって回転駆動される。
【0039】
次に、記録ユニット15について説明する。図3は記録ユニット15の概略平面図である。尚、図3には、記録ユニット15への記録用紙Pの搬送、及び、記録ユニット15からの記録用紙Pの排出を行う、上述した搬送ローラ22と排紙ローラ23も示されている。
【0040】
記録ユニット15は、プラテン29と平行な走査方向(図2の紙面垂直方向、即ち、複合機1の横幅方向)に往復移動可能なキャリッジ40と、キャリッジ40に搭載されたインクジェットヘッド41(記録ヘッド)と、インクジェットヘッド41のメンテナンスを行うメンテナンスユニット42(メンテナンス機構)等を備えている。また、図3に示される制御部49は、キャリッジ40、インクジェットヘッド41、メンテナンスユニット42、及び、図2にも示される搬送機構14等、プリンタ部の各部を制御する。
【0041】
キャリッジ40は、プラテン29と対向する領域において2本のガイドレール43,44に沿って走査方向に往復移動可能に構成されている。また、2本のガイドレール43,44は、記録用紙Pが搬送されるプラテン29よりも走査方向外側(図3の右側)に離れた位置(メンテナンス位置)まで延在しており、キャリッジ40は、プラテン29上の記録用紙Pと対向する領域(記録領域)から、非記録領域である上記メンテナンス位置まで移動可能に構成されている。また、キャリッジ40には、2つのプーリ45,46間に巻き掛けられた無端ベルト47が連結されており、キャリッジ駆動モータ48によって無端ベルト47が走行駆動されたときに、キャリッジ40は、無端ベルト47の走行に伴って走査方向に移動するようになっている。
【0042】
インクジェットヘッド41は、キャリッジ40の下部に取り付けられており、プラテン29の上面と平行な、インクジェットヘッド41の下面が、複数のノズル50が開口するインク噴射面となっている。尚、本実施形態では、インクジェットヘッド41は、4色のインク(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)をそれぞれ噴射する4種類のノズル50を備えたカラーインクジェットヘッド41であり、これら4種類のノズル50はそれぞれ搬送方向に沿って配列されて4列のノズル列を構成している。そして、インク噴射面の複数のノズル50から、搬送ローラ22によってプラテン29上を搬送される記録用紙Pに対してインクが噴射される。
【0043】
メンテナンスユニット42(メンテナンス機構)は、走査方向に関して、記録用紙Pが搬送されるプラテン29よりも外側に離れた、メンテナンス位置に設置されている。このメンテナンスユニット42は、吸引キャップ51、切換ユニット52、及び、吸引ポンプ53等を備えている。
【0044】
吸引キャップ51はゴムや合成樹脂等の可撓性材料で形成されている。そして、インクジェットヘッド41がメンテナンス位置にある状態で、吸引キャップ51は、その下側に設置されたキャップ昇降機構54によって、インク噴射面(インクジェットヘッド41の下面)と直交する上下方向(図3の紙面垂直方向)に昇降駆動されることで、インク噴射面に対する密着及び離間が可能となっている。吸引キャップ51がインク噴射面に密着したときには、インクジェットヘッド41のノズル50が吸引キャップ51によって覆われた状態となる。この状態で、吸引キャップ51に接続された吸引ポンプ53が駆動されると、吸引キャップ51内の圧力が低下するため、インクジェットヘッド41内のインクがノズル50から吸引キャップ51内へ吸引排出される(吸引パージ)。
【0045】
また、吸引キャップ51は、インクジェットヘッド41の複数のノズル50のうち、ブラックインクを噴射するノズル50を覆う第1キャップ部51aと、3色のカラーインクを噴射するノズル50を覆う第2キャップ部51bとを有し、第1キャップ部51aと第2キャップ部51bは仕切り壁で仕切られている。また、第1キャップ部51aと第2キャップ部51bは、それぞれチューブを介して切換ユニット52に接続され、この切換ユニット52は吸引ポンプ53と接続されている。切換ユニット52は図示しない切換弁を有し、吸引キャップ51がノズル50を覆うキャッピング状態にあるときに、吸引ポンプ53を、第1キャップ部51aと第2キャップ部51bの何れか一方に連通させるものである。このように、切換ユニット52によって吸引ポンプ53の連通先を第1キャップ部51aと第2キャップ部51bの間で切り換えることで、吸引ポンプ53による吸引パージが、ブラックインクのノズル50とカラーインクのノズル50で個別に行われる。
【0046】
以上説明した、メンテナンスユニット42の構成部品(メンテナンス部品)である、吸引キャップ51(キャップ昇降機構54)、切換ユニット52、及び、吸引ポンプ53は、後で詳述するが、LFモータ30の駆動力が順に伝達されて作動することで、一連の吸引パージが実行される。即ち、キャップ昇降機構54によって吸引キャップ51が上方へ駆動されて、インクジェットヘッド41のインク噴射面に密着した後、切換ユニット52が作動して、吸引ポンプ53を吸引キャップ51の第1キャップ部51aと第2キャップ部51bの何れかと連通させる。次に、吸引ポンプ53が作動することにより、第1キャップ部51a又は第2キャップ部51bの内部空間が減圧され、そのキャップ部で覆われているノズル50からインクが排出される。
【0047】
ところで、先に少し触れたように、本実施形態では、搬送ローラ22及び排紙ローラ23を駆動するLFモータ30の駆動力は、これらローラ22,23以外の搬送機構14の他の構成部品や、メンテナンスユニット42の構成部品(メンテナンス部品)にも伝達されてそれぞれを個別に駆動する。言い換えれば、プリンタ部2は、LFモータ30の駆動力を、搬送機構14やメンテナンスユニット42を構成する複数の部品に選択的に伝達する動力伝達ユニット60を備えている。尚、図3に示すように、動力伝達ユニット60は、メンテナンスユニット42の近傍に設置されている。
【0048】
搬送機構14について言えば、LFモータ30は、図2に示す、第1給紙ローラ20、第2給紙ローラ21、及び、スイッチバック機構24をそれぞれ駆動する。第1給紙ローラ20と第2給紙ローラ21は、給紙トレイ5と給紙カセット7からそれぞれ記録用紙Pを給紙するためのものであり、両者が同時に使用されることはなく何れか一方が選択的に使用される。また、スイッチバック機構24は両面記録(印刷)時に、排紙ローラ23から排出された記録用紙Pを反転させながら搬送ローラ22に戻すものであり、給紙トレイ5や給紙カセット7からの給紙時とは異なるタイミングで作動する。このように、第1給紙ローラ20、第2給紙ローラ21、及び、スイッチバック機構24は、同じタイミングで作動させるものではないから、動力伝達ユニット60は、上記3つの部品(機構)の何れか1つに対してLFモータ30の駆動力を選択的に伝達する。
【0049】
また、メンテナンスユニット42に関しては、LFモータ30は、図3に示す、吸引キャップ51の昇降機構54、切換ユニット52、及び、吸引ポンプ53をそれぞれ駆動する。これらのメンテナンス部品は順番に作動して一連の吸引パージを実行するものであり、同じタイミングで作動するものではないから、動力伝達ユニット60は、上記3つのメンテナンス部品の何れか1つに対してLFモータ30の駆動力を選択的に伝達する。
【0050】
図4は、動力伝達ユニット60の概略構成図である。動力伝達ユニット60は、駆動源であるLFモータ30の駆動力の伝達先を、まず、搬送機構14とメンテナンスユニット42との間で切り換える第1切換機構61を有する。この第1切換機構61は、搬送機構14の第1給紙ローラ20、第2給紙ローラ21、及び、スイッチバック機構24にそれぞれ接続された3つの第1出力ギヤ62(62a,62b,62c)と、メンテナンスユニット42に接続された1つの第2出力ギヤ63と、LFモータ30の駆動力を3つの第1出力ギヤ62と1つの第2出力ギヤ63から1つを選択して伝達する切換ギヤ64とを有する。
【0051】
搬送機構14に連なる3つの第1出力ギヤ62a〜62cと、メンテナンスユニット42に連なる1つの第2出力ギヤ63は、キャリッジ40の走査方向(本願発明の第1方向)に並べて配置されており、軸65を中心にそれぞれ回転自在である。尚、軸65は、動力伝達ユニット60の図示しないユニットフレームに両端を支持されている。
【0052】
切換ギヤ64は、軸65と並行なガイド軸66に沿って走査方向に移動可能である。また、切換ギヤ64は、ユニットフレームとの間に設けられた復帰バネ67によって図中左方に付勢されている。また、図3に示すように、LFモータ30が搬送ローラ22の一端部(図中左端部)に連結される一方で、動力伝達ユニット60は、搬送ローラ22の他端部(図中右端部)に近接した位置にあり、切換ギヤ64は、搬送ローラ22の図中右端部近傍にあって、この搬送ローラ22の端部と図示しない別のギヤを介して連結されている。従って、その一端部に連結されたLFモータ30によって搬送ローラ22が駆動されたときに、搬送ローラ22の他端部から切換ギヤ64にLFモータ30の駆動力が伝達されるようになっている。
【0053】
また、図4に示すように、切換ギヤ64には切換レバー68が一体的に連結されている。一方で、図3に示すように、動力伝達ユニット60はメンテナンスユニット42の近傍に位置しており、キャリッジ40が図中右方へ移動してメンテナンス位置まで到達したときに、このキャリッジ40と接触する位置に切換レバー68が設置されている。
【0054】
そして、キャリッジ40が記録用紙Pと対向する位置にあるときには、切換ギヤ64が復帰バネ67によって図4の左方へ付勢されているために、切換ギヤ64は一番左側の第1出力ギヤ62aと噛み合った基準位置にあり、LFモータ30の駆動力が第1給紙ローラ20に伝達される状態である。切換ギヤ64が基準位置にある状態から、キャリッジ40がメンテナンス位置まで移動して、このキャリッジ40によって切換レバー68が図中右方へ押し出されると、切換ギヤ64が復帰バネの付勢力に抗して切換レバー68とともに右方へ移動する。そして、切換ギヤ64が他の出力ギヤ62a,62b,63との噛み合い位置まで移動し、LFモータ30の駆動力の伝達先が前記他の出力ギヤ62a,62b,63に切り換えられる。このように、走査方向に移動するキャリッジ40によって、切換ギヤ64を出力ギヤ62,63が並ぶ方向(走査方向)に移動させるように構成することで、切換ギヤ64を移動させるための専用の駆動源が不要である。尚、切換ギヤ64を図中右方へ押し出すキャリッジ40と、切換ギヤ64を左方へ付勢する復帰バネ67とが、本願発明の切換ギヤ駆動手段に相当する。
【0055】
上記のように、動力伝達ユニット60は、搬送機構14に対しては、切換ギヤ64から駆動対象である構成部品のそれぞれに連結された第1出力ギヤ62a〜62cにLFモータ30の駆動力を直接伝達するようになっているが、メンテナンスユニット42に対しては、切換ギヤ64から、駆動対象である複数のメンテナンス部品にそれぞれ対応した複数の出力ギヤに直接駆動力を伝達するのではなく、一旦、メンテナンスユニット42に対応した1つの第2出力ギヤ63に駆動力を伝達する。その上で、動力伝達ユニット60は、第1切換機構61から第2出力ギヤ63に伝達される駆動力を、3つのメンテナンス部品(吸引キャップ51、切換ユニット52、吸引ポンプ53)の何れか1つに伝達する第2切換機構70を備えている。
【0056】
図4に示すように、第2切換機構70は、3つの部品駆動ギヤ71(71a〜71c)と、第1ワンウェイクラッチ72及び第2ワンウェイクラッチ73と、伝達ギヤ74と、伝達位置切換部材75とを有する。
【0057】
3つの部品駆動ギヤ71a〜71cは、3つのメンテナンス部品(吸引キャップ51のキャップ昇降機構54、切換ユニット52、吸引ポンプ53)にそれぞれ接続されている。これら3つの部品駆動ギヤ71a〜71cは、走査方向(本願発明の第2方向)に並べて配置されるとともに、動力伝達ユニット60のユニットフレーム(図示省略)によって両端支持された軸76を中心に回転自在に構成されている。
【0058】
第1ワンウェイクラッチ72と第2ワンウェイクラッチ73は、共に、ある一方向の回転のみを伝達する機械要素である。ワンウェイクラッチについては周知の技術であり詳細な説明は省略するが、一般的には、内輪と外輪を有し、内輪と外輪の一方がある一方向に回転駆動されたときには内輪と外輪とが噛み合って他方にトルクが伝達されるとともに、それとは逆方向に回転駆動されたときには空転して回転が伝達されない構造となっている。
【0059】
第1ワンウェイクラッチ72は、内輪が第2出力ギヤ63と連結されるとともに軸65に回転自在に支持されており、第2出力ギヤ63が図中矢印A方向に回転したときにのみ、その回転が内輪から外輪に伝達されて外輪が回転駆動される。また、第2ワンウェイクラッチ73は、外輪の外周面に形成されたギヤ歯(図示省略)が第2出力ギヤ63のギヤ歯と噛み合い、第2出力ギヤ63が、矢印A方向とは逆方向の、矢印B方向に回転したときにのみ、その回転が外輪から内輪に伝達されて内輪が回転駆動される。即ち、第2出力ギヤ63が矢印A方向に回転したときには、第1ワンウェイクラッチ72のみが回転駆動され、逆に、第2出力ギヤ63が矢印B方向に回転したときには、第2ワンウェイクラッチ73のみが回転駆動される。
【0060】
第2ワンウェイクラッチ73の内輪には、筒状の伝達位置切換部材75の図中左半部が挿入されるとともに、この伝達位置切換部材75は、走査方向に延びるガイド軸77に沿って第2ワンウェイクラッチ73に対して移動可能である。また、伝達位置切換部材75の図中右半部には2つのフランジ部75a,75bが形成され、これら2つのフランジ部75a,75bの間において伝達ギヤ74が回転自在に設けられている。この伝達ギヤ74は、第1ワンウェイクラッチ72の外輪に形成されたギヤ歯(図示省略)と噛み合うとともに、3つの部品駆動ギヤ71の何れか1つとも噛み合って、第1ワンウェイクラッチ72の外輪の回転を部品駆動ギヤ71に伝達する。尚、伝達ギヤ74は伝達位置切換部材75に対して径方向に多少の隙間(ガタ)が存在する状態で外挿されて、伝達位置切換部材75に対して走査方向に相対移動可能である。但し、伝達ギヤ74は図中右側のフランジ部75bとの間に介挿されたバネ78によって左方へ付勢され、左側のフランジ部75aに押しつけられており、次に述べるように、伝達位置切換部材75が軸方向(走査方向)に移動したときには、これと一体的に移動するようになっている。
【0061】
伝達位置切換部材75は、第2ワンウェイクラッチ73の回転に伴って伝達ギヤ74を走査方向に移動させ、伝達ギヤ74と噛み合う部品駆動ギヤ71を切り換える。詳細には、環状の第2ワンウェイクラッチ73(内輪)の内周面に突起73aが設けられる一方で、筒状の伝達位置切換部材75の外周面には突起73aが係合するカム溝75cが形成されている。図5は、筒状の伝達位置切換部材75の外周面の360度全周の展開図である。図5に示すように、カム溝75cは周方向(図5の展開図における上下方向)に対して軸方向(走査方向)に傾斜している。そのため、第2ワンウェイクラッチ73が回転して突起73aの周方向位置(角度位相)が変化したときに、突起73aがカム溝75cに沿って移動する結果、伝達位置切換部材75が第2ワンウェイクラッチ73に対して軸方向に移動することになる。この伝達位置切換部材75の移動に伴って、伝達位置切換部材75に外挿されている伝達ギヤ74も一体的に移動する。尚、上記構成とは逆に、突起が伝達位置切換部材75の外周面に設けられるとともに、カム溝が第2ワンウェイクラッチ73の内周面に設けられてもよい。
【0062】
尚、図5から分かるように、第2ワンウェイクラッチ73の内輪が180度回転することによって、伝達位置切換部材75の移動量が最大となる。即ち、伝達ギヤ74が、一方の端に位置する部品駆動ギヤ71との噛み合い位置から、他方の端に位置する部品駆動ギヤ71の噛み合い位置まで移動する。さらに言えば、第2ワンウェイクラッチ73が360度回転すると、伝達位置切換部材75の位置が元に戻る、つまり、伝達ギヤ74の位置が最初の部品駆動ギヤ71との噛み合い位置に戻ることになる。
【0063】
次に、動力伝達ユニット60による駆動力伝達先の切換について、主に図4を参照して説明する。
【0064】
(記録時)
記録用紙Pへの画像等の記録時において、キャリッジ40によって切換レバー68が押し出されていない状態では、LFモータ30に接続された切換ギヤ64は復帰バネ67の付勢力によって図4の左方に付勢され、図4に実線で示される基準位置にある。このとき、切換ギヤ64は第1給紙ローラ20用の第1出力ギヤ62aと噛み合っていることから、LFモータ30の駆動力によって第1給紙ローラ20が駆動され、第1給紙ローラ20によって給紙トレイ5から記録用紙Pの給紙が行われる。
【0065】
また、給紙カセット7から給紙を行う場合には、プリンタ部2の制御部49(図3参照)の制御指令に基づいてキャリッジ40をメンテナンス位置まで移動させ、さらに、キャリッジ40で切換ギヤ64を右方へ押し出して第2給紙ローラ21用の第1出力ギヤ62bとの噛み合い位置まで移動させる。これにより給紙カセット7からの給紙を行う第2給紙ローラ21が駆動される。また、両面記録を行う場合には、キャリッジ40で切換ギヤ64をさらに右方へ押し出してスイッチバック機構24用の第1出力ギヤ62cとの噛み合い位置まで移動させる。これにより、スイッチバック機構24が駆動され、記録ユニット15によって一方の面に記録がなされた記録用紙Pを反転させる。
【0066】
(メンテナンス時)
一方、インクジェットヘッド41に対して吸引パージ(メンテナンス)を行う場合には、キャリッジ40をメンテナンス位置まで移動させ、さらに、キャリッジ40で切換ギヤ64を右方へ押し出して、メンテナンスユニット42用の第2出力ギヤ63との噛み合い位置まで移動させる。
【0067】
その上で、LFモータ30により、切換ギヤ64を介して第2出力ギヤ63を矢印B方向に回転させ、第2ワンウェイクラッチ73のみを回転駆動し、伝達位置切換部材75を軸方向(走査方向)に移動させることで、伝達ギヤ74を吸引キャップ51(キャップ昇降機構54)用の部品駆動ギヤ71aとの噛み合い位置に移動させる。この状態で、LFモータ30により、第2出力ギヤ63を矢印A方向に回転させ、第1ワンウェイクラッチ72のみを回転駆動することで、伝達ギヤ74を介して部品駆動ギヤ71aを回転駆動する。これにより、吸引キャップ51の昇降機構54が作動して吸引キャップ51がインクジェットヘッド41のインク噴射面に密着する。
【0068】
吸引キャップ51がインクジェットヘッド41のインク噴射面に密着すると、再び第2出力ギヤ63を矢印B方向に回転させ、伝達ギヤ74を、右側に位置する、切換ユニット52用の部品駆動ギヤ71bとの噛み合い位置まで移動させる。その後、第2出力ギヤ63を矢印A方向に回転させ、伝達ギヤ74を介して部品駆動ギヤ71bを回転駆動する。これにより、切換ユニット52が作動して、吸引ポンプ53の連通先が吸引キャップ51の2つのキャップ部51a,51bの間で切り換えられる。
【0069】
さらに、再び第2出力ギヤ63を矢印B方向に回転させ、伝達ギヤ74を、右側の吸引ポンプ53用の部品駆動ギヤ71cとの噛み合い位置まで移動させる。そして、第2出力ギヤ63を矢印A方向に回転させ、伝達ギヤ74を介して部品駆動ギヤ71cを回転駆動する。これにより、吸引ポンプ53が作動して、これに連通する吸引キャップ51の第1キャップ部51a又は第2キャップ部51b内が減圧され、そのキャップ部51a(51b)に覆われたノズル50からインクが排出される。
【0070】
尚、伝達ギヤ74が伝達位置切換部材75と一体的に走査方向に移動して、これと噛み合う部品駆動ギヤ71を切り換える場合に、伝達ギヤ74のギヤ歯の位相と部品駆動ギヤ71のギヤ歯の位相がずれていると、伝達ギヤ74と部品駆動ギヤ71のギヤ歯同士がひっかかって伝達ギヤ74が移動できなくなる。図6は、伝達ギヤ74と部品駆動ギヤ71とがひっかかっている状態を示す、第2切換機構70の概略構成図である。
【0071】
ここで、伝達ギヤ74が伝達位置切換部材75に対して走査方向に相対移動不能であると、伝達ギヤ74が、所望の部品駆動ギヤ71との噛み合い位置に移動する前に、歯の位相がずれた他の部品駆動ギヤ71にひっかかって移動できなくなったときに、歯部に局所的に大きな力がかかって歯部が欠けてしまうなど破損する虞がある。この点、本実施形態では、伝達ギヤ74は伝達位置切換部材75に対して径方向に多少の隙間(ガタ)が存在する状態で外挿されて、伝達位置切換部材75に対して走査方向に相対移動可能であり、さらに、伝達ギヤ74はバネ78によって走査方向に付勢されている。従って、図6に示すように、伝達ギヤ74が部品駆動ギヤ71とひっかかったときに、バネ78によって伝達ギヤ74に作用する力の一部を吸収することができるから、ギヤ歯の破損を防止することができる。
【0072】
尚、伝達ギヤ74が部品駆動ギヤ71とひっかかった図6の状態は、部品駆動ギヤ71の切り換え後に、対応するメンテナンス部品の作動が正常に行われないことを検知することによって制御部49が認識することができる。そして、図6のように、伝達ギヤ74と部品駆動ギヤ71とがひっかかって傾いた状態を解消するには、第2出力ギヤ63を図4の矢印A方向に回転させ、伝達ギヤ74を少し回転させて歯の位相をずらした後、改めて、伝達ギヤ74を移動させればよい。
【0073】
以上のように、本実施形態においては、メンテナンスユニット42の3つのメンテナンス部品を個々に駆動する3つの部品駆動ギヤ71a〜71cを、搬送機構14用の3つの第1出力ギヤ62a〜62cと共に並べることはせず、第1出力ギヤ62に対しては、メンテナンスユニット42に対して割り当てた1つの出力ギヤ(第2出力ギヤ63)のみが並べられている。従って、切換ギヤ64で切り換える出力ギヤの数が少なくなっており、それ故、切換ギヤ64の移動範囲が小さく抑えられ、また、切換時間も少なくて済む。
【0074】
特に、本実施形態のように、キャリッジ40によって切換ギヤ64を移動させる場合には、出力ギヤの数が多いと、記録時における移動範囲(記録用紙Pと対向する範囲)よりも外側の、メンテナンス位置においてキャリッジ40の移動範囲を大きくせざるを得なくなり、走査方向の装置サイズ(複合機1の横幅)が大きくなる。従って、サイズを抑制するという観点からも、切換ギヤ64と噛み合う出力ギヤの数を少なくすることには大きな意義がある。
【0075】
一方で、メンテナンスユニット42に対して1つの第2出力ギヤ63しか割り当てられていないことから、メンテナンスユニット42の3つの部品駆動ギヤ71の中から1つを選択して駆動するために、第2出力ギヤ63のみで、部品駆動ギヤ71の選択(切換)と、その選択したギヤの回転駆動(駆動力伝達)という、2つの異なる動作を行わせる必要がある。本実施形態では、2つのワンウェイクラッチ72,73を用い、第2出力ギヤ63の2方向の回転を使い分けることによって上記2つの動作をそれぞれ行わせている。
【0076】
尚、吸引パージを実行する際の、メンテナンスユニット42のメンテナンス部品の作動順は、吸引キャップ51(キャップ昇降機構54)、切換ユニット52、吸引ポンプ53となっている。これに対して、図4に示すように、これら3つのメンテナンス部品にそれぞれ対応する3つの部品駆動ギヤ71a,71b,71cが、伝達ギヤ74の移動方向である走査方向に関して、上述した作動順に並んで配置されている。従って、吸引パージ実行時に、いくつかの部品駆動ギヤ71を飛ばして伝達ギヤ74を移動させる必要がなく、また、伝達ギヤ74と部品駆動ギヤ71の間のひっかかりが生じる頻度も減る。
【0077】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0078】
1]図7(a)に示すように、伝達ギヤ74の両側にそれぞれバネ78a,78bが配置され、伝達ギヤ74がその移動方向両側から2つのバネ78a,78bによって付勢されていてもよい。この場合には、伝達ギヤ74の移動時(噛み合い位置の切換時)に部品駆動ギヤ71とひっかかったときでも、両側のバネ78a,78bによって伝達ギヤ74の姿勢が維持され、図6とは異なり伝達ギヤ74が傾きにくくなる。
【0079】
あるいは、伝達ギヤ74を伝達位置切換部材75に対して軸方向に相対移動不能(回転は許容)とした構成を採用し、上記のバネ78を省略してもよい。
【0080】
2]前記実施形態では、図4に示すように、第1切換機構61の、切換ギヤ64に連結される第1出力ギヤ62と第2出力ギヤ63の配列方向(切換ギヤ64の移動方向:第1方向)と、第2切換機構70の、第2出力ギヤ63に連結される複数の部品駆動ギヤ71の配列方向(伝達ギヤ74の移動方向:第2方向)とが、同じ方向であったが、第1切換機構61や第2切換機構70に、図4で示される以外の種々の機械要素(ギヤ等)を追加することによって、第1切換機構61の前記第1方向と、第2切換機構70の前記第2方向を異ならせた構成も採用できる。
【0081】
3]前記実施形態では、1つの駆動源(LFモータ30)で発生した駆動力によって作動する、メンテナンスユニット42のメンテナンス部品として、吸引キャップ51(キャップ昇降機構54)、切換ユニット52、吸引ポンプ53を例示しているが、本発明のメンテナンス部品はこれらに限定されるものではなく、異なるタイミングで個別に作動するものであれば、本発明を適用することは可能である。
【0082】
例えば、吸引パージを行った後に吸引キャップ51をインク噴射面から離間させたときには、排出されたインクの一部がインク噴射面に付着し、この付着インクはノズル50からの液滴噴射に悪影響を及ぼす。そこで、吸引パージ後にインク噴射面を拭き取るワイパーが備えられている場合がある。この場合において、吸引キャップ51や吸引ポンプ53と同様に、LFモータ30の駆動力をワイパー(の駆動機構)に伝達し、ワイパーを作動させるようにしてもよい。
【0083】
また、吸引キャップ51が、1つのキャップ部でインクジェットヘッド41の全てのノズル50を覆うように構成され、全ノズル50に対して同時に吸引パージを行う場合には、吸引ポンプ53の連通先のキャップ部を切り換える、前記実施形態の切換ユニット52は不要である。
【0084】
4]前記実施形態では、キャリッジ40によって切換レバー68を走査方向(第1方向)に押し出して、切換ギヤ64と噛み合う出力ギヤの切換を行っているが、キャリッジ40の走査とは別の、専用の駆動機構によって切換ギヤ64を移動させてもよい。例えば、ソレノイドや流体シリンダ等の直進駆動が可能なアクチュエータを用いて切換ギヤ64を出力ギヤの配列方向に移動させてもよい。あるいは、ボールネジとそのネジ軸を回転駆動するモータを用い、ボールネジのナットに切換ギヤ64を連結してネジ軸に沿って直進させるようにしてもよい。
【0085】
5]第2ワンウェイクラッチ73の回転に伴って伝達位置切換部材75を直進移動させる構成は、前記実施形態の突起73aとカム溝75c以外にも、例えば、ネジ機構やラック&ピニオンなど、回転運動を直進運動に変換する様々な周知技術を適用することが可能である。
【0086】
6]前記実施形態は、インクジェットヘッドを有するインクジェット式の記録装置に本発明を適用したものであるが、インクジェット以外の記録形式のヘッドを有する記録装置に本発明を適用することも可能である。例えば、記録形式にかかわらず、記録ヘッドの記録面の清掃や保護等の部材が設けられていることが多いが、そのような部材の駆動に本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 複合機
2 プリンタ部
14 搬送機構
20 第1給紙ローラ
21 第2給紙ローラ
24 スイッチバック機構
30 LFモータ
31 搬送路
40 キャリッジ
41 インクジェットヘッド
42 メンテナンスユニット
50 ノズル
51 吸引キャップ
52 切換ユニット
53 吸引ポンプ
61 第1切換機構
62 第1出力ギヤ
63 第2出力ギヤ
64 切換ギヤ
67 復帰バネ
70 第2切換機構
71 部品駆動ギヤ
72 第1ワンウェイクラッチ
73 第2ワンウェイクラッチ
73a 突起
74 伝達ギヤ
75 伝達位置切換部材
75c カム溝
78 バネ
P 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドと、
前記記録ヘッドで記録される被記録媒体を搬送する搬送機構と、
複数のメンテナンス部品を有し、前記複数のメンテナンス部品を作動させることにより前記記録ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス機構と、
前記搬送機構と前記メンテナンス機構を駆動する駆動力を発生させる駆動源と、
前記駆動源で発生した駆動力の伝達先を、前記搬送機構と前記メンテナンス機構との間で切り換える第1切換機構と、
前記第1切換機構から前記メンテナンス機構に伝達される駆動力を、前記複数のメンテナンス部品の何れか1つに伝達する第2切換機構を備え、
前記第1切換機構は、
前記搬送機構に接続される第1出力ギヤと、
前記第1出力ギヤと所定の第1方向に並べて配置され、前記第2切換機構を介して前記メンテナンス機構の前記複数のメンテナンス部品と接続される第2出力ギヤと、
前記駆動源に接続され、前記第1出力ギヤとの噛み合い位置と前記第2出力ギヤとの噛み合い位置にわたって、前記第1方向に沿って移動可能な切換ギヤと、
前記切換ギヤを前記第1方向に移動させて、前記切換ギヤと噛み合う出力ギヤを前記第1出力ギヤと前記第2出力ギヤとの間で切り換える切換ギヤ駆動手段を有し、
前記第2切換機構は、
所定の第2方向に並べて配置され、前記複数のメンテナンス部品とそれぞれ接続される複数の部品駆動ギヤと、
前記第2出力ギヤと連結され、前記第2出力ギヤが一方向に回転したときにのみ回転駆動される第1ワンウェイクラッチと、
同じく前記第2出力ギヤと連結され、前記第2出力ギヤが前記一方向と逆方向に回転したときのみ回転駆動される第2ワンウェイクラッチと、
前記第1ワンウェイクラッチによって回転駆動され、且つ、前記複数の部品駆動ギヤのそれぞれとの噛み合い位置にわたって前記第2方向に移動可能な伝達ギヤと、
前記第2ワンウェイクラッチの回転に伴って前記伝達ギヤを前記第2方向に移動させて、前記伝達ギヤと噛み合う前記部品駆動ギヤを切り換える、伝達位置切換部材と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドは前記第1方向に移動するキャリッジに搭載されて、前記キャリッジと共に前記第1方向に移動しながら前記被記録媒体に対して記録を行うものであり、
前記メンテナンス機構は、前記被記録媒体に対して前記第1方向に関して外側の位置に配置され、
前記キャリッジは、前記記録ヘッドが前記メンテナンス機構と対向する位置まで移動したときに、前記切換ギヤを前記第1方向の一方に押し出すことが可能に構成されるとともに、前記切換ギヤを前記第1方向の他方に付勢する復帰バネが設けられ、
前記キャリッジと前記復帰バネが前記切換ギヤ駆動手段を構成していることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
環状の前記第2ワンウェイクラッチの内側に筒状の前記伝達位置切換部材が前記第2方向に移動可能に挿入されており、
環状の前記第2ワンウェイクラッチの内周面と筒状の前記伝達位置切換部材の外周面の一方には突起が形成され、他方には、前記突起が係合し、前記第2ワンウェイクラッチの回転に伴って前記伝達位置切換部材を前記第2方向に移動させる形状を有するカム溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記伝達ギヤは、筒状の前記伝達位置切換部材に、前記第2方向に相対移動可能に外挿され、
前記伝達位置切換部材に、前記伝達ギヤを前記第2方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記メンテナンス機構は3以上の複数の前記メンテナンス部品を有し、
前記3以上の複数の前記メンテナンス部品にそれぞれ接続される、3以上の複数の前記部品駆動ギヤが、前記メンテナンス機構により前記記録ヘッドのメンテナンスを行う際に作動する順に、前記第2方向に並んでいることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録ヘッドは、前記被記録媒体に向けてそれぞれインクの液滴を噴射する複数のノズルを有するインクジェットヘッドであり、
前記メンテナンス機構の前記複数のメンテナンス部品には、少なくとも、
前記インクジェットヘッドの前記複数のノズルが開口したインク噴射面に対して、その直交方向に駆動されて、前記インク噴射面を覆うキャップと、
前記キャップに接続され、前記キャップに覆われた前記複数のノズルからインクを吸引する吸引ポンプと、
が含まれていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−116030(P2012−116030A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266189(P2010−266189)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】