説明

記録装置

【課題】支持部材を装置本体に確実に組み付けながらも、交換作業時には容易に交換することの可能な記録装置を提供する。
【解決手段】排紙受けトレイ7は、収納位置と使用位置との間を、トレイガイド41によってガイドされながら変位する。排紙受けトレイ7に形成された第2ボス7fをガイドする第2ガイド溝41cは、排紙受けトレイ7の使用位置側の端部が閉塞されておらず、開口形状となっているとともに(開口部41a)、この開口部41aが装置外観を構成するハウジング部材である前面パネル38によって閉塞されているので、前面パネル38を取り外すことで、トレイガイド41を取り外すことなく、排紙受けトレイ7を取り外す(交換する)ことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納位置と、当該収納位置より装置外側に引き出された位置である使用位置と、の間を変位可能に設けられた、被記録媒体を支持する被記録媒体支持部材を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被記録媒体に記録を行う記録装置においては、記録が行われ、装置外部に排出される被記録媒体を支持する支持部材(スタッカ或いは排紙トレイなどとも呼ばれる)が設けられている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
この支持部材は、特許文献1、2に示される様に装置内部に収納される収納位置と、装置外側に突出して排出される用紙を受けることが可能な使用位置と、の間をスライド変位する様に設けられる場合があり、この場合支持部材は装置本体側に形成されたガイド溝によって案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−157173号公報
【特許文献2】特開2007−290801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、支持部材が装置本体から引き出される際に容易に抜けることが無い様、ガイド溝の前端は閉塞されている。従って装置の組立時には、先ず支持部材の両側にガイド溝が形成されたガイド部材を配置し、次いで装置のハウジング部材を順次組み付けていくこととなる。従って逆に、支持部材を取り外す場合にはガイド部材まわりの構成部材を全て取り外し、その後にガイド部材を取り外すことになる。
【0006】
ところが、支持部材は使用位置において装置前方に突出した状態となる為、想定外の外力が加えられ易く、この様な想定外の外力によって破損してしまう場合がある。すると、支持部材を交換する場合には、上述の様にガイド部材まわり構成部材を全て取り外し、そしてガイド部材を取り外す必要があることから、支持部材の交換作業が煩雑なものとなっていた。
【0007】
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、支持部材を装置本体に確実に組み付けながらも、交換作業時には容易に交換することの可能な記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為の、本発明の第1の態様に係る記録装置は、収納位置と、当該収納位置より装置外側に引き出された位置である使用位置と、の間を変位可能に設けられた、被記録媒体を支持する被記録媒体支持部材と、前記被記録媒体支持部材に設けられたボスが挿入されるガイド溝を有し、当該ガイド溝によって前記被記録媒体支持部材を前記収納位置と前記使用位置との間でガイドするガイド部材と、を備え、前記ガイド溝は、前記被記録媒体支持部材の引き出し方向端部が前記ボスの入り込みを許容する開口部を有しており、前記開口部が、装置の外観を構成するハウジング部材によって閉塞されていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、被記録媒体支持部材をガイドするガイド溝は、被記録媒体支持部材の引き出し方向端部が閉塞されておらず、開口形状となっているとともに、この開口部が装置外観を構成するハウジング部材によって閉塞されているので、前記ハウジング部材を取り外すことで、被記録媒体支持部材を取り外す(交換する)ことが可能となる。即ち、被記録媒体支持部材の取り外し(交換)に際してガイド部材を取り外す必要がなく、被記録媒体支持部材を装置本体に確実に組み付けながらも、交換作業時にはこれを容易に交換することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ボスは、前記被記録媒体支持部材の変位方向に沿って適宜の間隔を空けて複数設けられ、前記複数のボスは、第1のボスと、当該第1のボスより前記被記録媒体支持部材の引き出し方向に位置する第2のボスと、で構成され、前記ガイド溝は、前記第1のボスをガイドする第1のガイド溝と、前記第2のボスをガイドする、前記開口部が形成された第2のガイド溝と、により構成されているとともに、前記第1のガイド溝と前記第2のガイド溝とが接続されており、前記被記録媒体支持部材の装置への取り付け時、前記第1のボスが、前記第2のガイド溝を通って前記第1のガイド溝に入り込むことが可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、被記録媒体支持部材は第1のボスと第2のボスとを備えており、ガイド部材においては前記第1のボスをガイドする第1のガイド溝と、前記第2のボスをガイドする第2のガイド溝と、を備えているが、これら前記第1のガイド溝と前記第2のガイド溝とが接続されている。そして被記録媒体支持部材の取り付け時には、第1のボスを第2のガイド溝を経由して第1のガイド溝に入り込ませることができるので、第1のボスと第2のボスとをそれぞれ別個にガイド溝に挿入する必要がなく、第1のボス及び第2のボスを使用位置側から挿入すれば、それぞれ前記第1のガイド溝と前記第2のガイド溝とに挿入することができ、前記被記録媒体支持部材の組み付け時の作業性が向上する。
【0012】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記第1のボスは、前記第2のボスより突出高さが高く形成され、前記第1のガイド溝と前記第2のガイド溝との接続部位には、前記第2のガイド溝の底面が前記第1のガイド溝の底面より高位置となる段差が形成され、前記被記録媒体支持部材の取付時に前記第1のボスが前記第2のガイド溝を通る際、前記第2のガイド溝の底面に前記第1のボスの先端が圧接し、当該第1のボスが前記段差を通って前記第1のガイド溝に入り込むことで、前記圧接した状態が解消される構成を備えることを特徴とする。
【0013】
上述のように前記第1のガイド溝と前記第2のガイド溝は接続されているので、前記被記録媒体支持部材が取り付けられた後に、前記第1ガイド溝部に入り込んでいる前記第1のボスが、前記被記録媒体支持部材の変位動作の際、前記第1のガイド溝と前記第2のガイド溝との接続部位から前記第2のガイド溝に入り込んでしまう虞がある。しかし、前記接続部位には段差が形成されているので、この段差によって前記第1のボスが前記ガイド溝に入り込んだ状態が維持され、前記被記録媒体支持部材の変位動作が適切に維持される。
【0014】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記第1のボス及び前記第2のボスにより、前記被記録媒体支持部材の前記使用位置における姿勢が規定されることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1のボス及び前記第2のボスにより、前記被記録媒体支持部材の前記使用位置における姿勢が規定されるので、前記被記録媒体支持部材の前記使用位置における姿勢を規定する手段をそれ専用に設ける構成に比して、装置のコストアップを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンターの斜視図。
【図2】本発明に係るインクジェットプリンターから排紙受けトレイを取り外した状態の斜視図。
【図3】本発明に係るインクジェットプリンターの側断面概略図。
【図4】下部ハウジングにトレイガイドが取り付けられた状態の斜視図。
【図5】トレイガイドと排紙受けトレイとの位置関係を示す斜視図。
【図6】トレイガイドの正面図。
【図7】トレイガイドの部分拡大斜視図。
【図8】排紙受けトレイの各ボスとトレイガイドの各ガイド溝との位置関係を示す図。
【図9】排紙受けトレイの各ボスとトレイガイドの各ガイド溝との位置関係を示す図。
【図10】排紙受けトレイの各ボスとトレイガイドの各ガイド溝との位置関係を示す図。
【図11】(A)、(B)は排紙受けトレイの各ボスがトレイガイドの各ガイド溝に沿って挿入される際の状態を模式的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、以下説明する実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることを前提として、以下本発明の一実施形態を説明するものとする。
【0017】
図1は、本発明に係る記録装置、そして更にその一例としてのインクジェットプリンター1の外観斜視図、図2はインクジェットプリンター1から被記録媒体支持部材としての排紙受けトレイ7を取り外した状態の斜視図、図3はインクジェットプリンター1の側断面概略図、図4は下部ハウジング39にトレイガイド41が取り付けられた状態の斜視図である。
【0018】
また、図5はトレイガイド41と排紙受けトレイ7との位置関係を示す斜視図、図6はトレイガイド41の正面図、図7はトレイガイド41の部分拡大斜視図、図8〜図10は排紙受けトレイ7の各ボス(第1ボス7e、第2ボス7f)とトレイガイド41の各ガイド溝(第1ガイド溝7b、第2ガイド溝7c)との位置関係を示す図である。更に、図11(A)、(B)は排紙受けトレイ7の各ボスがトレイガイド41の各ガイド溝に沿って挿入される際の状態を模式的に示した図である。
【0019】
以下では先ず、インクジェットプリンター1の全体構成を概説する。図1、図2において符号2は記録用紙にインクジェット記録を行う記録部を、符号3は記録部2の上部に設けられるスキャナ部を、それぞれ示しており、即ちインクジェットプリンター1はインクジェット記録機能に加えてスキャナ機能を備える複合機として構成されている。
【0020】
装置前面において符号5は記録用紙をセットする着脱可能な用紙カセットであり、符号6は記録が行われた用紙が排出される用紙排出口であり、符号7は排出された記録用紙を受ける、本発明に係る被記録媒体支持部材としての排紙受けトレイである。
【0021】
符号8は前面カバーであり、この前面カバー8を開くことで、紙ジャム処理時に詰まった用紙を取り出すことができ、またインクカートリッジ(不図示)を交換できる様になっている。また符号9は、電源ボタンや各種印刷設定・記録実行を行う操作ボタン、印刷設定内容や印刷画像のプレビュー表示などを行う表示部、等を備えて成る操作パネルである。
【0022】
更に、装置上部において符号10はスキャナ部3の原稿台(不図示)を開閉するカバーを示し、符号37、38はそれぞれ装置外観を構成する中央ハウジング、前面パネル、を示している。また符号39は装置外観のうち底部を構成する下部ハウジングを示している。尚、図2において符号41は排紙受けトレイ7をガイドするガイド部材としてのトレイガイドを示しているが、これについては後に詳述する。
【0023】
続いて図3を参照しながら記録部2における用紙搬送経路について概説する。尚、図3は記録部2の構成を模式的に示したものであり、全ての構成を示すものではなく、説明に不要な構成要素は図示を省略している。
【0024】
記録部2は2つの用紙給送経路を備えており、1つは装置下部に設けられた用紙カセット5からの用紙給送経路であり、他の1つは装置後部(図3において右側)に設けられた用紙給送部4からの用紙給送経路である。尚、破線P1は用紙カセット5から送り出される用紙の通過軌跡を示し、破線P2は用紙給送部4から送り出される用紙の通過軌跡を示している。
【0025】
用紙カセット5と対向する位置に設けられた符号18で示すローラーは給送ローラーであり、この給送ローラー18は実線と仮想線(符号18’)で示す様に用紙カセット5に対し進退可能に設けられ、用紙カセット5に収容された用紙の最上位のものと接して回転することで、当該最上位の用紙を下流側に送り出す。送り出された用紙は、大径の反転ローラー20によって湾曲反転させられた後、搬送手段としての搬送駆動ローラー24及び搬送従動ローラー25に到達する。尚、符号21は反転ローラー20との間で用紙をニップすることにより用紙の分離を行う分離ローラーを示している。
【0026】
一方、装置後部に設けられた用紙給送部4において符号13、14はセットされた用紙を傾斜姿勢に支持する支持部材であり、このうち支持部材14は上部の図示しない揺動軸を中心に揺動することで、支持している用紙の最上位のものを給送ローラー15に圧接させる。給送ローラー15は、回転することにより、圧接している用紙を下流側へ送り出す。尚、符号16は給送ローラー15との間で用紙をニップすることにより用紙の分離を行う分離ローラーを示している。
【0027】
搬送駆動ローラー24及び搬送従動ローラー25は、下流側へと用紙を精密送りするローラー対であり、このローラー対の下流側にはインクジェット式の記録ヘッド31と、用紙を下流側へ案内する案内部材28と、が対向配置されている。
【0028】
記録ヘッド31は、用紙搬送方向と直交する方向(図3の紙面表裏方向:以下では適宜「主走査方向」と言うこととする)に往復動可能なキャリッジ30の底部に設けられ、主走査方向に移動しながら、案内部材28によって支持された用紙に対してインクを吐出することにより記録を行う。
【0029】
記録ヘッド31の下流側において、符号33は用紙の浮きを防止する従動ローラーであり、符号34は回転することにより用紙を排出する排出駆動ローラーであり、符号35は排出駆動ローラー34との間で用紙をニップする排出従動ローラーである。これらローラー対により、記録の行われた用紙は、排紙受けトレイ7に向けて排出される。
【0030】
尚、インクジェットプリンター1は、おもて面(第1面)に記録の行われた用紙を排紙受けトレイ7に向けて排出せずに、バックフィードして反転ローラー20により湾曲反転させることで、うら面(第2面)への記録が可能となっている。
以上がインクジェットプリンター1の大略構成であり、以下、排紙受けトレイ7及びこれをガイドするトレイガイド41について詳述する。
【0031】
用紙排出口6の両側には、上述したトレイガイド41が設けられている。このトレイガイド41は、図4に示す様に下部ハウジング39に取り付けられており、排紙受けトレイ7を収納位置(図1、図8)と、当該収納位置から引き出した位置である使用位置(図5、図10)と、の間でガイドする第1ガイド溝41b、第2ガイド溝41cが形成されている。
【0032】
排紙受けトレイ7は、図5に示す様に基部7aの内部に引き出し部7bが引き出し可能に収納されており、またこの引き出し部7bの内部に引き出し部7cが引き出し可能に収納されていて、多段型に構成されている。更に、最も自由端側に位置する引き出し部7cにはストッパー7dが回動可能に設けられており、使用時には基部7a、引き出し部7b、7c、のこれらよりも急角度な姿勢をとることで、排出される用紙が排紙受けトレイ7から飛び出さない様に構成されている。そしてこの排紙受けトレイ7の両サイドに対向して、トレイガイド41L、41Rが設けられている。尚、トレイガイド41L、41Rは、その形状が左右対称であることから、本明細書では特に区別する必要無い場合はトレイガイド41と言い、その形状については図5に示すトレイガイド41Rについて説明する。
【0033】
排紙受けトレイ7の最も基端側を構成する基部7aの両サイドには、第1ボス7eと第2ボス7fが、基部7aの両サイドから外側に突出する様に設けられており(図11(A)、(B)も参照)、これら第1ボス7eと第2ボス7fが、それぞれトレイガイド41に形成された第1ガイド溝41b、第2ガイド溝41cに挿入され、そして案内される様になっている。
【0034】
第1ガイド溝41b、第2ガイド溝41c、のこれらは、図6に示す様に第1ガイド溝41bが装置奥側(図6において左側)、第2ガイド溝41cが第1ガイド溝41bよりも装置外側(図6において右側)に位置しているとともに、第1ガイド溝41bの途中に、第2ガイド溝41cが接続された状態となっている(符号41dで示す位置)。
【0035】
第1ガイド溝41bは、その底面が弾性変形可能に構成されており、符号41e、41fはそれぞれ第1ガイド溝41bの底面を構成する舌片状の第1変形片、第2変形片を示している。第1変形片41e、第2変形片41fは、それぞれ第1ガイド溝41bの中央付近から端部に向かって延びており、それぞれ先端部に突起41g、41hが形成されている(図7も参照)。
【0036】
従って第1ガイド溝41b内において第1ボス7eが変位するとき、第1ボス7eが装置奥側に移動する際には第1変形片41eを弾性変形させることで突起41gを押し退け、図8に示す位置(排紙受けトレイ7の収納位置)に保持される。また、第1ボス7eが装置外側に移動する際には第2変形片41fを弾性変形させることで突起41hを押し退け、図10に示す位置(排紙受けトレイ7の使用位置)に保持される。この様な保持構造によって、排紙受けトレイ7は収納位置と使用位置のそれぞれにおいて容易に動いてしまうことが無い様に構成されている。
【0037】
また、第1ガイド溝41bと第2ガイド溝41cとの接続位置には、段差41d(図7)が形成されている。段差41dは、第1ガイド溝41bの底面41jが、第2ガイド溝41cの底面(第1変形片41e、第2変形片41f)よりも低位置となる様な段差である。
【0038】
第2ガイド溝41cの前方側端部には開口部41aが形成されており、即ち第2ガイド溝41cは閉鎖構造ではなく開放構造となっていて、装置の組立状態では開口部41aが、装置外観を構成する前面パネル38によって閉塞される様になっている(図2)。
【0039】
以上の様に形成されたトレイガイド41に対し、排紙受けトレイ7を組み付けるには、2つのトレイガイド41が下部ハウジング39に取り付けられ、且つ前面パネル38が取り外された状態、即ち開口部41aが開放された状態において、排紙受けトレイ7の第1ボス7eを、開口部41aを介して第2ガイド溝41cに遊挿する。また同様に、第2ボス7fを、開口部41aを介して第2ガイド溝41cに遊挿する。
【0040】
そして第1ガイド溝41bと第2ガイド溝41cは、上述した様に接続されているので、第1ボス7eを、第2ガイド溝41cから第1ガイド溝41bへと入り込ませることができる。ここで、第1ボス7eは、図11(A)、(B)に示す様に第2ボス7fよりも若干突出高さが高く形成されており、これにより第1ボス7eが第2ガイド溝41cを通る際には、第1ボス7eの変形を伴って、或いは排紙受けトレイ7全体の変形を伴って、先端が第2ガイド溝41cの底面41jにやや圧接した状態となる(図11(A))。
【0041】
従って排紙受けトレイ7の取り付け時、第1ボス7eが第2ガイド溝41cを通る際には若干の抵抗が生じるが、第1ボス7eが段差41dを通って第1ガイド溝41bに入り込むことで(図11(B))、上記変形が解消され(第1ボス7eが第2ガイド溝41cの底面41jに圧接した状態が解消され)、排紙受けトレイ7が抵抗なく変位動作できる様になっている。そして取り付け後は、段差41dによって第1ボス7eが第2ガイド溝41cに入り込むことがなく、排紙受けトレイ7の適切な変位動作を維持することができる。
【0042】
そして第1ボス7eが第1ガイド溝41bに入り込み、第2ボス7fが第2ガイド溝41cに入り込んだ状態では、各ボスが各ガイド溝にガイドされることで、排紙受けトレイ7は図8の収納位置と、図10の使用位置との間を変位することができる。そして収納位置と使用位置とでは、第1ボス7eと第2ボス7fによって、排紙受けトレイ7の姿勢が規定される。尚、排紙受けトレイ7は、使用位置においては排出された用紙が排紙受けトレイ7から滑り落ちない様に、所定の上向き傾斜角を有する姿勢に置かれる。
【0043】
尚、第1ボス7eは、第1ガイド溝7bと第2ガイド溝7cとの接続位置(段差41d)において第2ガイド溝7cの側に入り込もうとしても、段差41dが形成されていることで、第1ボス7eが容易に第2ガイド溝7cに入り込むことはない。
【0044】
以上説明した様に、被記録媒体支持部材としての排紙受けトレイ7をガイドする第2ガイド溝41cは、排紙受けトレイ7の引き出し方向側の端部が閉塞されておらず、開口形状となっているとともに(開口部41a)、この開口部41aが装置外観を構成するハウジング部材である前面パネル38によって閉塞されているので、前面パネル38を取り外すことで、排紙受けトレイ7を取り外す(交換する)ことが可能となる。
【0045】
つまり、排紙受けトレイ7の取り外し(交換)に際してトレイガイド41を取り外す必要がなく、排紙受けトレイ7を装置本体に確実に組み付けながらも、交換作業時にはこれを容易に交換することが可能となる。
【0046】
また、第1ガイド溝41bと第2ガイド溝41cとが接続されているので、排紙受けトレイ7の取り付け時には、第1ボス7eと第2ボス7fとをそれぞれ別個にガイド溝に挿入する必要がなく、第1ボス7e及び第2ボス7fを使用位置側から挿入すれば、それぞれ第1ガイド溝41bと第2ガイド溝41cとに挿入することができ、排紙受けトレイ7取付時の作業性が向上する様になっている。
【0047】
以上説明した実施形態は一例であり、例えば本実施形態では本発明に係る被記録媒体支持部材を排紙受けトレイ7に適用したが、用紙給送部4に設けられた支持部材13に対して本発明を適用することもできる。即ち、本発明は排紙受けトレイに限られず、その他の被記録媒体を支持する被記録媒体支持部材に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 インクジェットプリンター、2 記録部、3 スキャナ部、4 用紙給送部、5 用紙カセット、6 用紙排出口、7 排紙受けトレイ、7a 基部、7b、7c 引き出し部、7d ストッパー部、7e 第1ボス、7f 第2ボス、8 前面カバー、9 操作パネル、10 スキャナカバー、13、14 支持部材、15 給送ローラー、16 分離ローラー、18 給送ローラー、20 反転ローラー、21 分離ローラー、24 搬送駆動ローラー、25 搬送従動ローラー、26 ローラー支持部材、28 案内部材、30 キャリッジ、31 インクジェット記録ヘッド、33 従動ローラー、34 排出駆動ローラー、35 排出従動ローラー、37 中央ハウジング、38 前面パネル、39 下部ハウジング、41 トレイガイド、41a 開口部、41b 第1ガイド溝、
41c 第2ガイド溝、41d 段差部、41e 第1変形片、41f 第2変形片、41g 突起、41h 突起、41j 底面、P1、P2 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納位置と、当該収納位置より装置外側に引き出された位置である使用位置と、の間を変位可能に設けられた、被記録媒体を支持する被記録媒体支持部材と、
前記被記録媒体支持部材に設けられたボスが挿入されるガイド溝を有し、当該ガイド溝によって前記被記録媒体支持部材を前記収納位置と前記使用位置との間でガイドするガイド部材と、を備え、
前記ガイド溝は、前記被記録媒体支持部材の引き出し方向端部が前記ボスの入り込みを許容する開口部を有しており、
前記開口部が、装置の外観を構成するハウジング部材によって閉塞されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記ボスは、前記被記録媒体支持部材の変位方向に沿って適宜の間隔を空けて複数設けられ、
前記複数のボスは、第1のボスと、当該第1のボスより前記被記録媒体支持部材の引き出し方向に位置する第2のボスと、で構成され、
前記ガイド溝は、前記第1のボスをガイドする第1のガイド溝と、前記第2のボスをガイドする、前記開口部が形成された第2のガイド溝と、により構成されているとともに、前記第1のガイド溝と前記第2のガイド溝とが接続されており、
前記被記録媒体支持部材の装置への取り付け時、前記第1のボスが、前記第2のガイド溝を通って前記第1のガイド溝に入り込むことが可能に構成されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、前記第1のボスは、前記第2のボスより突出高さが高く形成され、
前記第1のガイド溝と前記第2のガイド溝との接続部位には、前記第2のガイド溝の底面が前記第1のガイド溝の底面より高位置となる段差が形成され、
前記被記録媒体支持部材の取付時に前記第1のボスが前記第2のガイド溝を通る際、前記第2のガイド溝の底面に前記第1のボスの先端が圧接し、当該第1のボスが前記段差を通って前記第1のガイド溝に入り込むことで、前記圧接した状態が解消される構成を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の記録装置において、前記第1のボス及び前記第2のボスにより、前記被記録媒体支持部材の前記使用位置における姿勢が規定される、
ことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−206795(P2012−206795A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71860(P2011−71860)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】