説明

記録装置

【課題】記録装置において、測色センサを搭載したキャリッジを記録媒体搬送によって相対に移動するために記録媒体を押圧する押圧板を離間させる構成において、キャリッジの移動に関してさらなる測色スループットの向上を図ることを可能とする。
【解決手段】測色CR21による測色走査後、測色ユニット24が記録媒体から離間する間に、走査後の測色CR21の位置から、次の走査対象であるパッチ列の端部のうち、距離が短い方の端部(2)の待機位置へ測色CR21を移動させる。以下、同様に測色走査と短い方の端部の待機位置への移動を繰り返すことにより、押圧板の離間及び押圧の間に、位置(1)〜(3)へと順に待機位置を変えパッチ列間の測色CR21の待機移動距離を最短にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録を行うための記録機構および記録されたパッチなどの画像を測色する測色機構を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録装置によってパッチを記録し、それを測色装置によって測色し、その測色結果に基づいて、記録装置のキャリブレーション行ったり、記録データ生成の画像処理で用いるカラープロファイルを生成したりすることが行われている。このようなシステムの中には、測色装置を一体に備えた形態の記録装置がある。この記録装置では、一般に、記録媒体の搬送路において、測色部は記録ヘッドによる記録部より下流側に配置されている。そして、記録媒体の一部に記録されたパッチなどを測色するときに、同じ記録媒体の他の部分に記録ヘッドが対向し記録が可能なサイズの記録媒体を用いることがある。この場合、測色のための走査の間に行なわれる記録媒体の搬送と、記録動作において行われる記録媒体の搬送と、のタイミングや搬送量が相互に異なることから、測色動作中は記録動作を行うことができず、装置の記録稼働率が下がる。このため、一連の測色動作の時間をより短縮すること(測色スループット向上)が求められている。
【0003】
特許文献1には、測色用パターンが記録された記録媒体を、回動する押圧板によって押圧し、この押圧板上に回転コロを備えた測色センサを当接させながら上記パターンの走査を行うことが記載されている。このような特許文献1に記載の構成によれば、回動押圧板による記録媒体の押圧により測色対象エリアの記録媒体の平面を保つことができるため、測色のための走査速度を上げても安定した測色結果を得ることができる。また、回転コロによる当接キズを防ぐことができるため、測色走査速度を上げることができる。つまり、測色走査毎に押圧板の回動(記録媒体に対して押圧及び離間)を行う特許文献1の構成によれば、測色走査速度を上げることができ測色スループットの向上が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−281549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、測色センサを搭載したキャリッジの走査の間に記録媒体を搬送するために押圧板を離間させる動作を行い、その際にキャリッジを押圧板が存在する領域外の所定の場所に退避させる。つまり、記録媒体において記録されている測色用パターンが存在する位置に係わらず、一律に所定の場所に待機移動させる。このため、所定位置への退避移動のための時間を要し、さらなる測色スループットの向上を図ることができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、測色センサを搭載したキャリッジを記録媒体搬送によって相対に移動するために記録媒体を押圧する押圧板を離間させる構成において、キャリッジの移動に関してさらなる測色スループットの向上を図ることが可能な記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために本発明では、記録ヘッドによって搬送される記録媒体に記録を行なう記録装置であって、記録媒体の搬送路において、前記記録ヘッドより下流側に配された、記録媒体に対する押圧位置と離間位置との間で移動可能な押圧板と、前記押圧板が前記押圧位置にあるとき、当該押圧板上を移動可能な測色キャリッジであって、測色のためのセンサを搭載した測色キャリッジと、前記記録ヘッドによって記録媒体に記録された複数の測色用パッチ列に対して、前記測色キャリッジを移動させることにより測色走査を行う測色走査手段と、前記記録ヘッドによって記録媒体に記録された複数の測色用パッチ列に対して、前記押圧板が離間位置にあるときの記録媒体の搬送による相対的な前記測色キャリッジの移動を含む移動によって前記測色キャリッジの移動を行なう測色移動手段と、を具え、前記測色移動手段は、前記複数の測色用パッチ列における1つのパッチ列に対する前記測色走査手段による測色走査のための待機位置で前記押圧板が存在する範囲を外れた領域の待機位置と、前記1つのパッチ列に対する前記測色走査手段による測色走査の開始位置と、について、その測色走査の前の測色走査の終了位置から前記待機位置まで移動する距離と、前記待機位置から前記開始位置までの距離と、の合計を、前記1つのパッチ列に対する前記測色走査手段による測色走査の2つの前記開始位置について求め、当該合計の短い方の待機位置および開始位置に前記測色キャリッジを移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上の構成によれば、測色センサを搭載したキャリッジを記録媒体搬送によって相対に移動するために記録媒体を押圧する押圧板を離間させる構成において、キャリッジの移動に関してさらなる測色スループットの向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る測色器を一体に備えた記録装置の要部を示す斜視図である。
【図2】図1に示す記録装置の縦断面図である。
【図3】図1および図2に示した本実施形態の記録装置における、主に、上述した記録部、測色部および乾燥部それぞれの動作に係る制御構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態の測色処理の概略を示すフローチャートである。
【図5】図4に示した処理に基づく本実施形態の測色動作における測色キャリッジの待機位置をどのように定めるかを説明する図である。
【図6】(a)は、第1実施形態の押圧板に係る構成を示す図であり、(b)および(c)は、第1実施形態に採用可能なそれぞれ押圧板に係る構成の他の例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る測色ユニット24を示す模式図である。
【図8】(a)および(b)は、第2実施形態における測色CR21の走査移動経路を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る測色ユニット24を模式敵に示す図である。
【図10】第4実施形態による測色CR21の移動経路および待機位置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態に記載されている構成はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する主旨のものではない。なお、各図面を通して同一符号は、同一又は対応部分を示すものである。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る測色器を一体に備えた記録装置の要部を示す斜視図である。図2は、図1に示す記録装置の縦断面図である。
【0012】
図1および図2において、記録装置1は、記録ヘッド2から記録媒体へインクを吐出して記録を行うものであり、本実施形態では、記録媒体としてロール状に巻回されたロール紙(用紙)Prが用いられる。このロール紙は、搬送ローラ3等を有した搬送機構によって搬送される。すなわち、先端部分を搬送ローラ3とピンチローラ4のニップで挟持されたロール紙Prは、搬送ローラ3の回転によりロール給紙部5から巻き出され、搬送下ガイド6及び搬送上ガイド7によって形成される搬送路に沿って記録部に給紙される。搬送ローラ3の搬送路下流側には、ロール紙を吸着させる負圧発生機構と連結されたプラテン9が配設されている。プラテン9と対向する位置には、記録ヘッド2を搭載したヘッドキャリッジ(ヘッドCR)10が往復移動可能に配置されている。記録ヘッド2は、記録データに基づいてインクを吐出することによりロール紙に画像を記録する。記録ヘッド2、ヘッドCR10およびプラテン9を有して記録部11が構成される。記録されたロール紙Prの部分は、カッター12により切断され、排紙部13から装置外へ排出される。
【0013】
以上の搬送機構において、搬送ローラ3の軸には搬送プーリ14が固定されており、搬送モータ15の駆動力が搬送プーリ14とそれに券回される搬送ベルト16を介して伝達することにより搬送ローラ3が回転駆動される。ピンチローラアーム17は、ピンチローラ4を回転自在に軸支し、搬送ローラ3に圧接可能にピンチローラアーム17の後端部を弾性支持(図示せず)する。
【0014】
記録ヘッド2を搭載したヘッドCR10は、メインレール18及びサブレール19に沿って主走査方向(図1に示すX方向)に、不図示のモータの駆動力によって往復移動可能に案内支持されている。記録ヘッド2の記録媒体と対向する吐出面には、所定ピッチで配列した複数の吐出口からなる吐出口列が形成されている。記録ヘッド2において、カラー記録等のために複数色のインクを使用するため、インク色ごとの複数の吐出口列が形成されている。
【0015】
本実施形態の測色センサ20は、記録媒体の搬送路において、記録ヘッド2の下流側に配置されている。そして、測色センサ20は、測色キャリッジ(測色CR)21に搭載されて、不図示のモータの駆動力によってヘッドCRと同じ主走査方向に走査することができる。これにより、記録媒体に記録された測色パッチを走査して測色することが可能となる。また、測色CR21は、記録媒体を押圧する押圧板33上に配置され測色ユニット24の回動に伴って測色CR21と押圧板33が共に回動するよう構成されている。これにより、押圧板33は、記録媒体対する押圧位置と離間位置との間を回動することができる。この一体の回動は不図示のモータの駆動力によって行なわれる。この構成により、図5にて後述するように、押圧板33の離間に伴う測色CR21の回避位置ないし待機位置を、特許文献1に記載されるように押圧板を外れた位置とする必要がなくなる。すなわち、押圧板33は、搬送される記録媒体の幅(搬送方向と直交する方向の長さ)全体を覆う長さを有している。これに対し、特許文献1では、測色CRが押圧板と共に回動できないため、押圧板の離間の際は押圧板を外れた位置まで測色CRを退避させる必要があるが、本実施形態では、測色CR21が押圧板33と共に回動することからその必要がない。
【0016】
本実施形態の測色処理としては、色補正を行うキャリブレーション、記録した画像に対して色認証を行うカラーベリファイがある。いずれ処理でも、図2に示すように、記録媒体の測色パッチが記録された部分は、下流側にある測色CR21等の測色部を通り過ぎて、乾燥部まで搬送されパッチ画像の乾燥が行われる。本実施形態の乾燥部は、記録媒体の幅方向全域に亘って設けられる送風ダクト22と、これに送風するための送風ファン23とを有して構成される。この乾燥部構成によって、記録媒体に記録されたパッチなどの記録画像に対して強制送風による乾燥を行い、パッチの色安定性を素早く確保することができる。
【0017】
乾燥部よる乾燥の後、記録媒体の測色パッチが記録された部分は、記録の際の搬送方向とは逆方向に測色部まで搬送される。測色部に測色パッチが記録された部分が搬送されると、測色ユニット24が回動軸25を中心に回動し、測色ユニット24に一体の押圧板33によってガイド26に記録媒体を押圧する。その後、測色センサ20を搭載した測色CR21を主走査方向に走査させ測色を行なう。測色ユニット24と一体の押圧板33は、上述したように、記録媒体の幅方向の領域全体を覆う長さを有するが、図2に示すように、走査方向に延在する隙間を形成するように設けられる。これにより、測色センサ20が押圧板の隙間を介して記録媒体に記録されたパッチの測色をすることができる。
【0018】
図3は、図1および図2に示した本実施形態の記録装置における、主に、上述した記録部、測色部および乾燥部それぞれの動作に係る制御構成を示すブロック図である。図3に示すように、記録部では、記録ヘッド駆動回路304による駆動によって記録ヘッド2からインクが吐出される。また、CR駆動回路305の駆動制御によってCR(キャリッジ)モータ312の回転が制御され、LF駆動回路306の駆動制御によってLF(搬送)モータ15の回転が制御される。さらに、不圧発生機構駆動回路307の駆動制御によって負圧発生機構313による、プラテン9における負圧の発生が制御される。測色部では、測色センサ駆動回路308の駆動によって測色センサ20による色測定を行う。また、測色CR駆動回路309による駆動制御によって測色CR21の移動が制御される。さらに、測色ユニット回動駆動回路310による駆動制御によって押圧板と一体の測色ユニット24を回動させる回動モータ315の回転が制御される。乾燥部では、送風ファン駆動回路311の駆動制御によって送風ファンによる送風が制御される。以上の各動作部の動作は、電源301の電力で動作するCPU302の処理実行に基づく、I/O(インターフェース)303を介した制御信号によって各駆動部が制御される。例えば、CPU302は、図4にて後述する処理を実行する。
【0019】
以上の制御構成を有する記録装置では、ホストPC(不図示)からの画像データを受信すると、CPU302は、その記録品位に応じてヘッドCR10の走査速度や記録媒体の搬送速度、記録ヘッド2のインク出吐制御、負圧発生機構8の強さなどを決定する。また、CPU302は、図4を参照して後述する測色シーケンスに応じて、測色CR21の測色位置や走査速度、測色位置までの紙搬送速度や位置、測色センサ20のセンシング制御及び送風ファン23の制御を行なう。この際に、通常記録か縁無し記録の情報や、ロール紙/カット紙情報も画像データとともにPCから送信される。
【0020】
図4は、本実施形態の測色処理の概略を示すフローチャートである。この処理が開始されると、ステップS1で、測色CR21の待機位置を定めてそこへ移動させる。この測色移動は、測色CR21の走査方向への移動と、測色CR21に対する記録媒体の搬送と、によるものであり、2つの移動量を定めることにより測色CR21の待機位置を定めることができる。測色CR21がその待機位置に移動すると、ステップS2で、測色ユニット24を回動させて押圧板33によって記録媒体を押圧する。そして、ステップS3で、測色CR21を移動させて測色走査を行なう。この走査が終了すると、ステップS4で、測色ユニット24を、押圧の場合と逆方向に回動させて押圧板33を記録媒体から離間させる。ステップS5で測色が終了していないと判断したときは、ステップ1以降の処理を繰り返す。
【0021】
図5は、図4に示した処理に基づく本実施形態の測色動作を説明する図であり、特に、測色CR21の待機位置をどのように定めるかを説明する図である。本実施形態は、測色CR21の走査の対象である測色パッチの列ごと、測色開始時の位置である、測色CR21の待機位置を変える。つまり測色CR21の走査ごとにその測色用パッチ列の位置に応じて待機位置を定める。これにより、測色スループットをさらに向上させることができる。
【0022】
図5に示す例では、測色対象である、複数の測色用パッチ列群が、記録画像と共に記録媒体の記録領域内に存在している。これに対し、本実施形態では、先ず、パッチ列群Aに対して、測色ユニット24が記録媒体から離間している間に(図4のS4、以下同様)、測色CR21を、測色用パッチ列の測色開始位置(待機位置)に移動させる(図4のS1、以下同様)。すなわち、第1列(最も上の列)のパッチ列27の測色開始位置であるパッチ列端部(1)へ移動させる。次に、押圧板で記録媒体を押圧した後(図4のS2)、測色のための走査を行なう(図4のS3、以下同様)。
【0023】
そして、測色走査後は、同様にして、測色ユニット24が記録媒体から離間する間に、走査後の測色CR21の位置から、次の走査対象であるパッチ列の端部のうち、距離が短い方の端部(2)の待機位置へ測色CR21を移動させる。この移動は、測色CR21に対する相対的な記録媒体の搬送によって行なわれる。以下、同様に測色走査と短い方の端部の待機位置への移動を繰り返すことにより、押圧板の離間及び押圧回動の間に、位置(1)〜(3)へと順に待機位置を変えパッチ列間の測色CR21の待機移動距離を最短にすることができる。
【0024】
また、本実施形態は、複数のパッチ列群があり、それらのパッチ列群間を移動して測色を行う場合、パッチ列群間を移動する際の測色CR21の待機位置を次のように定める。パッチ列群間で測色CR21が主走査方向(図5において横方向)に移動する「測色CR移動距離29」の合計が最も短くになるように測色CR21の移動経路(待機位置)を定める。図5に示す例において、パッチ列群AからBへ移動するときは、パッチ列群Bの最も上に位置する第一パッチ列27の左側の位置(4)に移動させその位置を待機位置とする。また、パッチ列群BからCへ移動するときは、パッチ列群Cの最も上に第一パッチ列27の左側(7)に移動させその位置を待機位置とする。これにより、パッチ列群間の測色CR21の待機位置間の移動距離を最短にすることができる。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、測色用パッチ列群毎に測色ユニット24の離間から押圧の間に測色CR21の待機位置間の移動経路を、図5に示す例において、位置(1)から位置(12)へと順に待機位置を定めることができる。これにより、測色チャート内での測色CR21の待機移動距離を最短にすることができ、測色スループットを向上させることが可能となる。
【0026】
図6(a)は、本実施形態の押圧板に係る構成を示す図である。本実施形態は、上述したように、押圧板33と測色CR21が一体になって回動する。詳しくは、押圧板33を一体に備えた測色ユニット24は、不図示の回動用モータの駆動力によって回動軸25の回りに回動することができる。測色の際には、押圧板33によって記録媒体Prをガイド板26に対して押圧する。また、測色走査の後の測色CR21の位置の移動では、上記押圧の場合とは逆方向に回動して押圧板33を記録媒体Prから離間させ、これにより、記録媒体に対する測色CR21の相対位置の移動のための記録媒体搬送が可能となる。
【0027】
図6(b)および(c)は、本実施形態に採用可能なそれぞれ押圧板に係る構成の他の例を示す図である。このうち、図6(b)は、記録媒体を回動式ガイド30によって下から記録媒体Prを測色ユニット24の押圧板33に押圧する構成を示している。この例では、測色ユニット24は回動しない。また、図6(c)は、測色ユニット24およびその押圧板33と、ガイド26のいずれも回動せずに固定された構成を示している。すなわち、記録媒体Prは、押圧板33とガイド板26との間の隙間に入ることによって、記録媒体の平坦性が確保される。
【0028】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る測色ユニット24を示す模式図である。また、図8(a)および(b)は、第2実施形態における測色CR21の走査移動経路を示す図である。
【0029】
図7に示すように、本実施形態では、記録媒体を押圧するときに押圧板33のみが回動し、この押圧後に押圧板33上を測色CR21が移動することにより、測色のための走査を行なう。詳しくは、測色走査ごとに回動駆動機構(図示せず)によって押圧板33が回動してガイド26上の記録媒体を押圧する。この押圧状態で、回転コロ(図示せず)を備えた測色CR21が押圧板33上を回転コロで当接しながら走査および測色を行う。
【0030】
このように、測色走査のための測色CR21の待機位置は、押圧板33が存在する領域外の両端部の、押圧板33の回動に影響を与えない位置に待機位置31、32を設ける。そして、測色チャートにおけるパッチが記録された領域に応じて測色走査ごとに測色CR21の待機位置を、上記位置31、32のどちらかを選択する。
【0031】
具体的には、図8(a)示すように、先ず、最も上位の第1パッチ列27の測色開始位置(1)から測色終了位置(2)へ測色走査する。次に、図8(a)示す、この終了位置(2)から左側の待機位置(3)を経て次のパッチ列の左端部位置(4)までの距離と、図8(b)で示す、終了位置(2)から右側の待機位置(3)を経て次のパッチ列の右端部位置(4)までの距離とを比較する。そして、この比較で短い方の距離となる位置に測色CR21の待機位置を定める。より詳しくは、図8(a)示す場合は、左側の待機位置(3)までの主走査方向の距離ALと、この左側待機位置(3)と次のパッチ列の左端部位置(4)までの距離BLの合計が、測色CR21が移動する距離となる。一方、図8(b)に示す場合は、測色終了位置(2)から右待機位置(3)までの距離ARと、右側待機位置(3)と次パッチ列の右端部(4)までの距離BRの合計が、測色CR21が移動する距離となる。これらの距離ARとBRの合計と、距離ALとBLの合計とを比較して短い方の距離となる待機位置を定める。なお、図8(b)に示す位置(2)から位置(3)への移動は、先ず、押圧板が記録媒体から離間している間に記録媒体を搬送することにより、測色CR21の搬送方向における位置を相対的に移動させる。その後、押圧板で記録媒体を押圧した状態で押圧板上を測色CR21を走査方向に移動させることにより実行される。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、測色CR21の待機位置に移動する際の移動距離を短縮することにより測色スループットを向上させることができる。
【0033】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態に係る測色ユニット24を模式敵に示す図である。また、図10は第4実施形態による測色CR21の移動経路および待機位置を説明する図である。
【0034】
図9に示すように、測色ユニット24が、記録媒体を押圧する押圧板が記録媒体の幅方向において分割され、分割されたそれぞれの押圧板が独立して回動可能とした押圧板ユニット34と、この押圧板上を走査する測色CR21を備えた構成である。これにより、搬送される記録媒体の幅に応じて押圧に用いる押圧板の範囲を変えることが可能となり、その範囲に応じて測色CR21の待機位置を定めることができる。
【0035】
詳しくは、押圧板ユニット34は、搬送される記録媒体の幅に応じた範囲の押圧板群35(回動範囲)を回動させて、測色走査ごとに押圧と離間させる。一方、これら回動押圧板群35以外の押圧に用いられない固定押圧板群36(非回動範囲)は、測色動作時は常に押圧位置に固定された状態となり、これら押圧板の位置を測色CR21の待機位置とすることができる。これにより、測色CR21の待機位置として、記録媒体におけるパッチ列群の位置に応じて右側の待機位置37または固定押圧板群36上の待機位置(押圧板上待機位置38)のいずれかの位置を選択することができる。
【0036】
具体的には、図10に示すように、第1パッチ列27の測色開始位置(1)から最終パッチ列の測色終了位置(8)まで、各パッチ列の測色終了位置と左右の待機位置までの距離と、待機位置から測色開始位置までの距離と、の合計が最も短くなるような待機位置(3)、(5)、(7)を定める。図10に示す、位置(1)〜(8)の順番に待機及び測色走査を行うことにより、搬送される記録媒体の幅と測色チャートに応じて測色スループットの向上が図ることができる。
【0037】
(他の実施形態)
以上説明した実施形態は、記録媒体に対して記録ヘッドを走査して記録を行なう、いわゆるシリアルタイプの記録装置に係るものであるが、本発明の適用はこの形態に限られない。記録部が、搬送される記録媒体の幅に対応してインク吐出口などの記録素子を配列した、いわゆるフルラインタイプの記録ヘッドで構成される形態でも、本発明を適用できることは以上の説明からも明らかである。また、記録方式はインクジェット方式以外の他の方式であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
2 記録ヘッド
10 記録ヘッドキャリッジ(ヘッドCR)
20 測色センサ
21 測色キャリッジ(測色CR)
24 測色ユニット
26 ガイド
33 押圧板
34 押圧板ユニット
35 回動押圧板群(回動範囲)
36 固定押圧板群(非回動範囲)
Pr ロール状の記録媒体
302 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドによって搬送される記録媒体に記録を行なう記録装置であって、
記録媒体の搬送路において、前記記録ヘッドより下流側に配された、記録媒体に対する押圧位置と離間位置との間で移動可能な押圧板と、
前記押圧板が前記押圧位置にあるとき、当該押圧板上を移動可能な測色キャリッジであって、測色のためのセンサを搭載した測色キャリッジと、
前記記録ヘッドによって記録媒体に記録された複数の測色用パッチ列に対して、前記測色キャリッジを移動させることにより測色走査を行う測色走査手段と、
前記記録ヘッドによって記録媒体に記録された複数の測色用パッチ列に対して、前記押圧板が離間位置にあるときの記録媒体の搬送による相対的な前記測色キャリッジの移動を含む移動によって前記測色キャリッジの移動を行なう測色移動手段と、
を具え、
前記測色移動手段は、前記複数の測色用パッチ列における1つのパッチ列に対する前記測色走査手段による測色走査のための2つの待機位置のうち、その測色走査の前の測色走査の終了位置から移動する距離が短い方の待機位置に前記測色キャリッジを移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
記録ヘッドによって搬送される記録媒体に記録を行なう記録装置であって、
記録媒体の搬送路において、前記記録ヘッドより下流側に配された、記録媒体に対する押圧位置と離間位置との間で移動可能な押圧板と、
前記押圧板が前記押圧位置にあるとき、当該押圧板上を移動可能な測色キャリッジであって、測色のためのセンサを搭載した測色キャリッジと、
前記記録ヘッドによって記録媒体に記録された複数の測色用パッチ列に対して、前記測色キャリッジを移動させることにより測色走査を行う測色走査手段と、
前記記録ヘッドによって記録媒体に記録された複数の測色用パッチ列に対して、前記押圧板が離間位置にあるときの記録媒体の搬送による相対的な前記測色キャリッジの移動を含む移動によって前記測色キャリッジの移動を行なう測色移動手段と、
を具え、
前記測色移動手段は、前記複数の測色用パッチ列における1つのパッチ列に対する前記測色走査手段による測色走査のための待機位置で前記押圧板が存在する範囲を外れた領域の待機位置と、前記1つのパッチ列に対する前記測色走査手段による測色走査の開始位置と、について、その測色走査の前の測色走査の終了位置から前記待機位置まで移動する距離と、前記待機位置から前記開始位置までの距離と、の合計を、前記1つのパッチ列に対する前記測色走査手段による測色走査の2つの前記開始位置について求め、当該合計の短い方の待機位置および開始位置に前記測色キャリッジを移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
前記押圧板が記録媒体の幅方向に複数に分割され、それぞれが独立して記録媒体に対する押圧位置と離間位置との間で移動可能であることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記押圧板は、搬送される記録媒体の幅に応じた数の押圧板によって記録媒体に対する押圧および離間を行なうことを特徴とする請求項2または3に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−111754(P2013−111754A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256948(P2011−256948)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】