説明

診断又は治療用薬剤の調製方法及び装置

【課題】可搬性の高い機器を用いた、サブミクロン以下の直径を有する造影剤の用時調製方法及び装置の提供。
【解決手段】第1の難水性化合物1と乳化剤3と水相を含む第1の混合液に所定の圧力を印加して生成された直径0.5ミクロン以下の第1の微小エマルション4に、前記第1の難水性化合物と相溶する第2の難水性化合物2を加えて第2の混合液を調製する工程と、前記第2の混合液を密閉状態で撹拌振とうして前記第1の微小エマルション中に前記第2の難水性化合物を包理し、直径0.5ミクロン以下の第2の微小エマルション5を調製する工程と、を含むことを特徴とする診断又は治療用薬剤の調製方法、前記方法によって調製される診断又は治療用薬剤、及び前記方法を実施するための装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断又は治療用薬剤の製造装置、及び調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、生体内の物質の音響インピーダンス、すなわち密度に音速を乗じた物性値の違いを可視化する装置である。X線CTやMRIなどに比べて装置構成が比較的小さく安価であり、また放射線や磁気による被爆などが無いために、胎児検診にも使えるほど低浸襲な画像診断モダリティである。従来、特に検診に広く用いられてきたが、近年の画質向上や高機能化により、検診目的での使用にとどまることなく、精密な診断を行うことも可能となってきている。特に、造影剤を用いた病態の詳細な画像化に関する注目度があがってきている。
【0003】
現在、最も一般的な超音波の造影剤は、界面活性剤などで安定化したミクロンサイズの気泡(マイクロバブル)である。このマイクロバブル造影剤は、血管の可視化に適しているが、血管以外の造影を行うには別形態の薬剤が必要となる。このような目的には、組織到達性、感度の点から相変化型造影剤が適している(非特許文献1)。相変化型造影剤は、あらかじめ低沸点の難水溶性液体を過熱状態でカプセル化し、目的部位において過熱を超音波エネルギーにより解消させ該液体本来の沸点を回復させることで気化させ、気泡とするタイプの造影剤である。粒子の直径を0.5ミクロン以下にすることによりマイクロバブルでは困難な、血管以外の組織への到達を実現可能とする。特に病変組織などを詳細に画像化する超音波の造影剤として適している。
【0004】
また相変化型造影剤は、組織において気化させて診断を行うのみでなく、治療用の目的で用いることも可能である。特に、HIFU(High Intensity Focused Ultrasound)を用いる加熱凝固治療の増感剤として有用である。これは、マイクロバブルが存在する状態で超音波を照射すると、系のみかけの超音波吸収係数が上昇し、吸収されたエネルギーは熱へと変換されることから、気泡近辺で局所的に温度上昇が起こることによる(非特許文献2)。この現象を利用すると、超音波による、部位選択的な加熱凝固治療が可能となる。
【0005】
相変化型造影剤は形態的にはサブミクロンサイズの微小エマルションであり、その調製は、典型的には、常圧乳化処理装置を用いて界面活性剤と低沸点の難水溶性液体とを混和させた後、さらに高圧乳化処理により粒子径を1ミクロン以下にする微小化工程により行われる。高圧乳化の工程で用いられる乳化装置は一般に大型であり、可搬性は低い。なお、可搬性の高い装置のみで相変化型造影剤を得る手法として、PIT Method(非特許文献3)があるが、適用可能である界面活性剤や内包物が限られてしまうため、汎用性に乏しい。また、「卓上型の振とう機を用いた比較的簡易なエマルション製造法」が報告されているが(非特許文献4)、この方法で1ミクロン以下の粒子を得ることは難しい。
【0006】
【非特許文献1】K.Kawabata et al.:(2005)Jpn. J. Appl.Phys.44:4548
【非特許文献2】S.Umemura et al.:(2001) Proc.IEEE Ultrasonics Symposium 2:1311
【非特許文献3】S.Shinoda et al.:(1968) J.Colloid Interface Sci. 26:70
【非特許文献4】O.Krifptgan et al.:(2000) Ultrasound in Med.&Biol.,26:1177
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の相変化型造影剤は、低沸点の難水性化合物を系中に含むため、保存・運搬に際し温度管理などの厳重な注意が必要であり、保存の状態によっては生成直後と成分の濃度・比率が変化することも十分考えられる。このため、特に複数の難水性化合物を混合して体内での滞留性や超音波などへの外部刺激への感受性を制御する必要がある場合の使用に制限を生じることが従来の課題であった。このような、複数の難水性化合物の混合比を厳密に調整したい場合には、事前に調製された薬剤を用いるのではなく、用時調製により薬剤を得ることが有効である。しかしながら、従来の調製方法は、高圧乳化装置などの大型の装置が必要となるため、用時調製には適さなかった。また、前述の通り、高圧乳化装置などの大型の装置を用いずに歯科用撹拌器を用いる用時調製方法が知られているが、血管以外への適用が困難な数ミクロン以上の直径のものしか得ることができなかった。
【0008】
すなわち、本発明の課題は、従来の技術では困難であった、簡易な機器を用いてミクロン以下の直径を有する造影剤を調製する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、発明者らは、広範囲の内容物に適用可能であり、かつ、微小エマルションの内包成分を簡便に調節しうる用時調製方法、特に、相変化型造影剤に代表される、複数の難水溶性物質を内包するO/W型微小エマルションを、可搬性を損なうことなく、必要とされる濃度比で調製可能な手法について鋭意検討を行った。
【0010】
その結果、あらかじめ第1の難水性化合物を内包して調製された第1の微小エマルションに、第2の難水性化合物を混合して撹拌することにより、前記第1及び第2の難水性化合物を任意量埋包した粒子径0.5ミクロン以下の第2の微小エマルションを得ることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、あらかじめ調製された、第1の難水性化合物と乳化剤と水相を含む第1混合液に所定の圧力を印加して生成された粒径0.5ミクロン以下の第1の微小エマルションに、前記第1の難水性化合物と相溶する第2の難水性化合物を加える工程と、前記第2の混合液を撹拌振とうし、前記第1の微小エマルションに前記第2の難水性化合物を包理させて粒径0.5ミクロン以下の第2の微小エマルションを調製する工程とを含むことを特徴とする診断又は治療用薬剤の調製方法に関する。本手法によれば、相変化型造影剤の微小エマルション中に存在する高沸点化合物と低沸点化合物との割合を使用に供される直前に決定し、相変化型造影剤の体内滞留時間および超音波感受性といった特性を必要に応じて制御することが可能となる。
【0012】
前述第1及び第2の難水性化合物は生体毒性が低ければ特に制限はないが、直鎖炭化水素、分岐炭化水素、直鎖フッ化炭化水素、分岐フッ化炭化水素の中から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことが好ましい。
【0013】
前述第1の難水性化合物と第2の難水性化合物は、両者の組み合わせに関しては相溶性、及び相互作用の強さが重要であり、化学構造がなるべく近いことが求められる。このため、片方の化合物は、他方の化合物にアルキル基等の疎水性官能基が付加された構造、および上記低沸点水不溶性物質のフッ素原子のうち概ね3個以下が水素に置換されたものを有する類似体(アナログ)であることが望ましい。
【0014】
また、難水性化合物のうちの一方は、Kawabataら(前掲)に記載されるように投与時に液体であり沸点が37℃未満の低沸点難水性化合物であり、他方もう一つの成分は特に沸点が37℃以上であることが好ましい。そのような低沸点難水性化合物としては、パーフルオロ−n−ヘプタン、イソペンタンを、高沸点難水性化合物としてはパーフルオロへキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、ヘキサンを挙げることができる。
【0015】
本発明で用いられる乳化剤は、Kawabataらに記載されるような生体適合性が高い界面活性剤であればよい。例えば、リン脂質、コレステロールなどによる脂質混合系、ビタミンE誘導体、アルブミンなどの水脂両溶性タンパクなどがあげられる。その際、微小エマルションの表面をポリエチレングリコール等の水溶性高分子で覆うことも可能である。
【0016】
本発明におけるエマルション微粒子の分散媒は、生体適合性があれば特に限定されないが、特に生理食塩水、リン酸緩衝液などが望ましい。
【0017】
本発明における薬剤調製方法では、撹拌時に熱が発生するのを防ぐため、撹拌部は使用する水相の融点以上、すなわち10℃以下、好ましくは0℃〜10℃以下に保たれることが望ましい。
【0018】
また、前記撹拌工程は、概ね3000rpm以上の速度で撹拌することが望ましい。
本発明はまた、前記した方法によって調製される治療又は診断用薬剤を提供する。本発明の診断又は治療用薬剤は、パーフルオロへキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、及びヘキサンから選ばれる少なくとも一つの化合物と乳化剤と水相とを含む直径0.5ミクロン以下の第1の微小エマルション中に、パーフルオロ-n-ペンタン及びイソペンタンから選ばれる少なくとも一つの化合物を包理してなる直径0.5ミクロン以下の第2の微小エマルションを含む。このような薬剤は、主として造影剤として利用可能である。
【0019】
本発明はさらに、本発明の方法によって診断又は治療用薬剤の調製するための装置も提供する。前記装置は、試料収容部と、密封状態で内容物を保持可能なリザーバー部と、前記リザーバー内容物を撹拌するための攪拌部と、装置内の各部の温度を調節するための温度調節部と、前記各部を制御する制御部とを含む。
【0020】
本発明の装置において、前記攪拌部は、0℃以上10℃以下の制御下、密閉状態で3000rpm以上の速度で撹拌を行なえるように設計されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば体内滞留時間や超音波感受性といった相変化造影剤の特性を制御可能な用時調製が可能となる。本方式は、可搬性に優れかつ調製に要する時間が短いため、用時調製法として適している。また、全ての工程において薬剤を露出することなく、きわめて無菌性が高く安定した状態で薬剤を提供することが可能である。
【実施例】
【0022】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0023】
実施例1:薬剤の用時製造法
まず、0.1g大豆由来フォスファチジルコリン、0.05gコレステロールをクロロフォルムに溶解し、37℃の水槽に入れ減圧下で乾燥させ、20mLのリン酸緩衝食塩水を加え、超音波ホモジナイザで1秒パルスを5分間加えることによりリポソームを得た。この溶液に、1-5%(v/v)量のパーフルオロへキサンを加え9500rpmで氷温にて1分間ホモジナイズした。このエマルションをEmulsiflex−C5(Avestin,Ottawa Canada)中で20MPaにて高圧乳化処理を5分間行い、ポアサイズ0.45ミクロンのメンブレンフィルタによりろ過した。以上の処理によりほぼ透明のエマルションを得た。得られたエマルションは平均粒径100nm程度であることがLB−550(堀場製作所、東京)にて測定された。以上の工程によりストックエマルションを得た。ストックエマルションは冷蔵庫(4℃)にて6ヶ月以上安定であった。
【0024】
続いて行った相変化型造影剤の用時調製を、図1を用いて説明する。第1の難水性化合物1であるパーフルオロへキサン及び乳化剤3を含む第1の微小エマルション4である上記ストックエマルションを2mLバイアル瓶に封入した後ゴム製キャップで密栓した。氷中で冷却しながら、第2の難水性化合物2である1-5%のパーフルオロ−n−ペンタンを注射器で加え、温度を4℃に保った容器内で3000rpmの速度で5秒撹拌し、第2の微小エマルション5を得た。5秒の撹拌時間は、エマルション溶液と、後から追加されたパーフルオロ−n−ペンタンとが相分離を起こすことなく見かけ上単一の相となるまでの撹拌時間であり、加えられる溶液の種類、総量また割合によって調整可能である。撹拌速度は上昇させるに従い撹拌効果が高くなるものの、同時にサンプルの温度上昇により目的の微小エマルションが得られなくなる。本実施例においては4000、6000rpmの速度での撹拌により3000rpmで撹拌を行った場合と同等の効果を得ることができた。
【0025】
得られた第2の微小エマルション5から撹拌によって発生した気泡等夾雑物を除くために、0.45ミクロンポアサイズのメンブレンフィルタによりろ過した。以上により、第1の難水性化合物1と第2の難水性化合物2とを乳化剤3中に含有する第2の微小エマルション5を得た。得られたエマルションの粒度分布を上記粒度分布計により計測した結果を図2に示す。図2から撹拌前のエマルションの粒度分布と撹拌後のエマルションの粒度分布がほぼ同様で平均粒径が0.5ミクロン以下であることが明らかである。撹拌後のエマルション得られたエマルションの内包物についてガスクロマトグラフ測定装置G−6000(日立ハイテクノロジーズ、東京)を用いて分析を行った結果を図3に示す。撹拌前のエマルションについてはパーフルオロへキサンのピークしかみられなかったのに対し、撹拌後のエマルションについてはパーフルオロ−n−ペンタンのピークがみられたことから撹拌によりパーフルオロ−n−ペンタンが内包されたことが確認された。これらのことから本手法が粒子径を0.5ミクロン以下の状態でパーフルオロ−n−ペンタンを包理するのに有効な手段であることが明らかである。
【0026】
試験例1:薬剤の体内滞留時間制御効果
上記実施例1にて調製された微小エマルションの体内滞留時間制御効果に関する検討を行った結果について説明する。本微小エマルションは、低沸点難水性化合物(パーフルオロ−n−ペンタン)を有するために、その安定性は温度への依存性が高い。生体内37℃温度を模擬した恒温槽中での有効成分であるパーフルオロペンタンの液相中の量を指標として評価を行った。
生理食塩水を用いて希釈した微小エマルションを開放型容器に注入し、37℃に設定された恒温槽に固定し、液相からのパーフルオロ−n−ペンタン量を経時的に定量した。その結果の一例を図4に示す。微小エマルション中に存在するパーフルオロ−n−ペンタンに対するパーフルオロへキサンの割合が大きくなるにしたがって、パーフルオロペンタンの残存率が高くなる効果が得られた。このことから、内包するパーフルオロへキサンの割合を変えることによって体内滞留時間を調整することが可能であることが明らかである。
なお、パーフルオロへキサンの代わりにパーフルオロヘプタン及びパーフルオロオクタンを用いた場合にも同様の効果が得られた。
【0027】
実施例2:水溶性高分子を含有する微小エマルションの用時調製法(実施例1の変形)
調製方法は、乳化剤として0.1g大豆由来フォスファチジルコリン、0.05gコレステロールに加えて0.05gのポリエチレングリコール(分子量2000)付フォスファチジルエタノールアミンが添加される点を除き、実施例1と同様である。得られたエマルションは、実施例1及び試験例1の微小エマルションと同じ特性を有していた。
【0028】
実施例3:イソペンタンとヘキサンとの混合物を含有する微小エマルションの用時調製法(実施例1の変形)
調製方法は、パーフルオロへキサンをヘキサン、パーフルオロ−n−ペンタンをイソペンタンによって代替した点を除き、実施例1と同様である。得られたエマルションは、実施例1及び試験例1の微小エマルションと同じ特性を有していた。
【0029】
実施例4:アルブミンを含有する微小エマルションの用時調製法(実施例1の変形)
調製方法は、乳化剤をアルブミン3gとした点を除き、実施例1と同様である。得られたエマルションは、実施例1及び試験例1の微小エマルションと同じ特性を有していた。
【0030】
実施例5:薬剤用時調製装置
本発明に用いる調製装置の実施形態について、図5の構成図を参照しながら詳細に説明する。ただし、図面は一部概念的なものであり、具体的な設計を示すものではない。
図5に示すように、本装置は前述第2の難水性化合物を保存するリザーバー部10と、前述第一混合液を含む容器7の固定部8、及び固定部に連結された高速撹拌部9、前述第2の難水性化合物の所定量を前述第1の微小エマルションを含む容器に加えるための送液管6を備えている。全ての部位は、密閉型の箱11に配置され、また温度調節を行うための温度センサ12とそれに連結した温度調節部13、また外部制御部14を備えている。
【0031】
この装置と共に使用される前述の第1の微小エマルションを含む容器7は、あらかじめ調製された、第1の難水性化合物と乳化剤と水相を含む第1の混合液を所定の圧力の印加により生成された粒径0.5ミクロン以下の微小エマルションを格納するものである。この容器7は図示されないゴム状の栓を有することから、密閉状態を保ちつつリザーバー部10に保持された第2の難水性化合物を上記送液管6を経て注入することが可能となっている。
【0032】
以下に本装置を用いた薬剤調製法について述べる。図5に示す調製装置のリザーバー部10においては、前述第2の難水性化合物を保有しており、数種類の難水性化合物を有する複数のリザーバーを設置することができる。このリザーバーから、シリンジ6によって一定量の第2の難水性化合物を取り出し、固定部8に固定された前述第1の微小エマルションを含む容器に注入する。密閉状態が保たれた容器を、撹拌部において概ね3000rpm以上の速度で第1のエマルション溶液と第2の難水性化合とが相分離を起こすことなく見かけ上単一の相となるまで撹拌することにより、前記第1の微小エマルション中に前記第2の難水性化合物を包理させ、粒径0.5ミクロン以下の第2の微小エマルションを調製することができる。以上のようにして、本実施例に示す構成の装置により、実施例1〜5に示すような、可搬性が高く、ミクロン以下のサイズの診断及び治療用薬剤の用時調製が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば体内滞留時間や超音波感受性といった相変化造影剤の特性を制御可能な用時調製が可能となる。したがって、本発明は、製薬、診断、医療分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の薬剤調製法の一部概念を模式的に表した図。
【図2】図2は、本発明により調製されたエマルションの粒度分布分析結果の一例を示す図。
【図3】図3は、本発明により調製されたエマルションの内包成分分析結果の一例を示す図。
【図4】図4は、本発明により調製されたエマルションの体内滞留時間に及ぼす効果を示す試験の一例を示す図。
【図5】図5は、本発明による方式を用いて薬剤調製の一実施例の構成を示す図。
【符号の説明】
【0035】
1.第1の難水性化合物
2.第2の難水性化合物
3.乳化剤
4.第1の微小エマルション
5.第2の微小エマルション
6.送液管
7.第1の微小エマルション含む容器
8.容器の固定部
9.高速撹拌部
10.リザーバー部
11.温度遮蔽性の箱
12.温度センサ
13.温度調節部
14.外部制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の難水性化合物と乳化剤と水相を含む第1の混合液に所定の圧力を印加して生成された直径0.5ミクロン以下の第1の微小エマルションに、前記第1の難水性化合物と相溶する第2の難水性化合物を加えて第2の混合液を調製する工程と、
前記第2の混合液を密閉状態で撹拌して前記第1の微小エマルション中に前記第2の難水性化合物を包理し、直径0.5ミクロン以下の第2の微小エマルションを調製する工程と、を含むことを特徴とする診断又は治療用薬剤の調製方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の難水性化合物が、直鎖炭化水素、分岐炭化水素、直鎖フッ化炭化水素、及び分岐フッ化炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前記第1の難水性化合物と第2の難水性化合物が構造類似体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の難水性化合物の沸点が37℃以上であり、第2の難溶性化合物の沸点が37℃未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の難水性化合物がパーフルオロへキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、及びヘキサンの中から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の難水性化合物がパーフルオロ-n-ペンタン及びイソペンタンから選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記乳化剤が、リン脂質、ビタミンE誘導体、アルブミンなどに代表される両親媒タンパク質、及びポリエチレングリコールを含む高分子から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記撹拌工程が0℃以上10℃以下に制御して行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の混合液を密閉状態で3000rpm以上の速度で撹拌することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の微小エマルションが1MPa以上40MPa以下の印加を含む工程により調製されたものであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
パーフルオロへキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、及びヘキサンから選ばれる少なくとも一つの化合物と乳化剤と水相とを含む直径0.5ミクロン以下の第1の微小エマルション中に、パーフルオロ-n-ペンタン及びイソペンタンから選ばれる少なくとも一つの化合物を包理してなる直径0.5ミクロン以下の第2の微小エマルションを含む診断又は治療用薬剤。
【請求項12】
前記乳化剤が、リン脂質、ビタミンE誘導体、アルブミンを含むタンパク質、及びポリエチレングリコールを含む高分子から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項11に記載の診断又は治療用薬剤。
【請求項13】
造影剤である、請求項11又は12に記載の診断又は治療用薬剤。
【請求項14】
試料収容部と、
密封状態で内容物を保持可能なリザーバー部と、
前記リザーバー内容物を撹拌するための攪拌部と、
装置内の各部の温度を調節するための温度調節部と、
前記各部を制御する制御部と、
を含むことを特徴とする診断又は治療用薬剤の調製装置。
【請求項15】
前記攪拌部が、0℃以上10℃以下で攪拌を行うものである請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記攪拌部が、密閉状態で3000rpm以上の速度で撹拌を行なうものである請求項14又は15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−13081(P2009−13081A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174239(P2007−174239)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】