説明

診断支援装置、画像処理装置、診断システム及びプログラム

【課題】画像処理装置が検知困難な不具合を診断できる可能性を高める。
【解決手段】画像形成装置の主制御部40において、異常情報受付部41が、ユーザから異常情報の入力を受け付け、診断データ抽出部43が、異常情報を識別する異常情報IDを保持すると共に、診断データ記憶部42に記憶された診断データの中から、異常情報に応じた送信対象診断データを抽出し、送信制御部45が、異常情報ID及び送信対象診断データのセンタ装置への送信を制御する。その後、センタ装置が、異常情報ID及び送信対象診断データに基づいて、画像形成装置で実行すべきアクションを指示する指示情報を取得し、画像形成装置に送信すると、受信制御部46が、指示情報のセンタ装置からの受信を制御し、指示実行部47が、指示情報により指示されるアクションを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断支援装置、画像処理装置、診断システム、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の診断システムは知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、複写機に故障が発生すると、故障診断に必要な全てのデータに対して、予め設定されている種々の故障診断ルールを適用し、その条件を満足した場合にはその故障診断ルールのレベルを検知し、未だにホストにデータが送信されていない場合には検知した故障診断ルールのデータを送信するが、既にホストに送信している場合には、今回検知した故障診断ルールのレベルが前回送信した故障診断ルールのレベルよりも高い場合に限り、その故障診断ルールのデータをホストに送信する。
【0003】
複数色の画像形成が可能な画像形成装置における機能不良等の故障予兆を来している色の判定を行う技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2では、色すじの発生が予測された場合、潜像担持体の一つずつに対して転写体に対する転写バイアスを印加して故障検知手段により転写体の表面状態を検知するモードを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−205127号公報
【特許文献2】特開2008−292973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、画像処理装置が検知困難な不具合を診断できる可能性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、画像処理装置の状態を示す状態情報を記憶する記憶手段と、前記画像処理装置の不具合を示す不具合情報の当該画像処理装置の使用者による入力に応じて、当該不具合情報を受け付ける受付手段と、前記記憶手段に記憶された前記状態情報から、前記受付手段にて受け付けた前記不具合情報に関連付けられた情報であって、前記不具合の診断に用いられる情報である診断用状態情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記診断用状態情報を、前記不具合を診断する診断装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする診断支援装置である。
請求項2に記載の発明は、前記送信手段により送信された前記診断用状態情報に基づいて前記診断装置で特定された動作であって、前記不具合を解決するための動作として定義された動作を、前記画像処理装置で実行する実行手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置である。
請求項3に記載の発明は、前記受付手段は、画面に表示された複数の選択肢から前記不具合を表す選択肢を選択することによる前記不具合情報の前記使用者による入力に応じて、当該不具合情報を受け付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の診断支援装置である。
請求項4に記載の発明は、前記診断装置から受信した情報に基づいて前記画面を更新する更新手段を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の診断支援装置である。
請求項5に記載の発明は、入力された画像データに基づいて画像処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段により画像処理が行われる際に自装置の状態を示す状態情報を記録する記録手段と、自装置の不具合を示す不具合情報の自装置の使用者による入力に応じて、当該不具合情報を受け付ける受付手段と、前記記録手段により記録された前記状態情報から、前記受付手段にて受け付けた前記不具合情報に関連付けられた情報であって、前記不具合の診断に用いられる情報である診断用状態情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記診断用状態情報を、前記不具合を診断する診断装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置である。
請求項6に記載の発明は、入力された画像データに基づいて画像処理を行う画像処理装置と、前記画像処理装置の不具合を診断する診断装置とを備え、前記画像処理装置は、前記画像処理が行われる際に自装置の状態を示す状態情報を記録する記録手段と、自装置の不具合を示す不具合情報の自装置の使用者による入力に応じて、当該不具合情報を受け付ける受付手段と、前記記録手段により記録された前記状態情報から、前記受付手段にて受け付けた前記不具合情報に関連付けられた情報であって、前記不具合の診断に用いられる情報である診断用状態情報を抽出する抽出手段と、前記受付手段にて受け付けた前記不具合情報と、前記抽出手段により抽出された前記診断用状態情報とを、前記診断装置に送信する送信手段とを備え、前記診断装置は、前記送信手段により送信された前記不具合情報と前記診断用状態情報とを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記不具合情報が示す前記不具合を、前記受信手段により受信された前記診断用状態情報に基づいて診断する診断手段とを備えたことを特徴とする診断システムである。
請求項7に記載の発明は、前記診断手段は、前記不具合を解決するための動作として定義された動作を、前記診断用状態情報に基づいて特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記動作を前記画像処理装置で実行するよう指示する指示手段とを含むことを特徴とする請求項6に記載の診断システムである。
請求項8に記載の発明は、コンピュータに、画像処理装置の不具合を示す不具合情報の当該画像処理装置の使用者による入力に応じて、当該不具合情報を受け付ける機能と、記憶手段に記憶された前記画像処理装置の状態を示す状態情報から、前記不具合情報に関連付けられた情報であって、前記不具合の診断に用いられる情報である診断用状態情報を抽出する機能と、抽出された前記診断用状態情報を、前記不具合を診断する診断装置に送信する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理装置が検知困難な不具合を診断できる可能性が高まる。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理装置が検知困難な不具合を解決する可能性が高まる。
請求項3の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理装置が検知困難な不具合を示す情報の入力が容易になる。
請求項4の発明によれば、不具合を示す情報を入力するための画面を診断装置から制御することができる。
請求項5の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理装置が検知困難な不具合を診断できる可能性が高まる。
請求項6の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理装置が検知困難な不具合を診断できる可能性が高まる。
請求項7の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理装置が検知困難な不具合を解決する可能性が高まる。
請求項8の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理装置が検知困難な不具合を診断できる可能性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるコンピュータシステムの構成例を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態が適用される画像形成装置の構成例を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態における主制御部の機能構成例を示したブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における主制御部が保持するメニューテーブルの一例を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態における主制御部が保持する診断データテーブルの一例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態における主制御部が保持する診断データテーブルの詳細情報の一例を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態における主制御部が保持する診断データテーブルの詳細情報の一例を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるセンタ装置の機能構成例を示したブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるセンタ装置が保持する指示情報テーブルの一例を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態における主制御部の動作例を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態におけるセンタ装置の動作例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるコンピュータシステムの全体構成例を示したものである。
図示するように、このコンピュータシステムは、画像形成装置1a,1b,1cと、センタ装置6とがネットワーク8に接続されることにより構成されている。尚、図では、画像形成装置1a,1b,1cを示したが、これらを区別する必要がない場合は、画像形成装置1と称することもある。また、図には、3つの画像形成装置1しか示していないが、4つ以上の画像形成装置1を設けてもよい。
【0010】
画像形成装置1は、画像処理装置の一例であり、紙等の記録媒体に画像を形成し、印刷文書として出力する装置である。この画像形成装置1は、プリンタの機能のみを備えたものであってもよいし、他にスキャナやファクシミリの機能を備えたものであってもよい。この画像形成装置1の構成の詳細については後述する。
センタ装置6は、診断装置の一例であり、画像形成装置1で故障が発生した場合等にその保守を行う保守センタに設置されたコンピュータ装置である。具体的には、各画像形成装置1で発生した故障の情報を蓄積しておき、何れかの画像形成装置1で故障が発生した場合に、蓄積した故障の情報を用いて故障に対する対処方法の特定等を行う。ここで、センタ装置6としては、例えば、PC(Personal Computer)を用いるとよい。
ネットワーク8は、各種情報の交換に用いる通信手段である。このネットワーク8としては、インターネットやLAN(Local Area Network)が例示される。
【0011】
次に、図1のコンピュータシステムにおける画像形成装置1について説明する。
図2は、画像形成装置1の構成例を示した図である。図2に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像処理手段の一例としての画像形成部10と、画像形成装置1全体の動作を制御する主制御部40と、を備えている。更には、例えば端末装置3との通信を行って画像データを受信する通信部51と、原稿から画像を読み取って読取画像データを生成する画像処理手段の一例としての画像読取部52と、通信部51にて受信された画像データや画像読取部52によって生成された読取画像データ等に対し予め定めた画像処理を施し画像形成部10に転送する画像処理部53と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部54とを備えている。
【0012】
画像形成部10は、例えば電子写真方式により画像を形成する構成部であって、並列して配置される4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K(以下、「画像形成ユニット11」という)を備えている。各画像形成ユニット11は、機能部材として、例えば、矢印A方向に回転しながら静電潜像が形成され、その後にトナー像が形成される感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器13と、帯電器13により帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光器14と、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を各色トナーにより現像する現像器15と、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するドラムクリーナ16とを備えている。
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収容されるトナーを除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0013】
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト20と、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に順次転写(一次転写)する一次転写ロール21とを備えている。更に、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を記録媒体(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ロール22と、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着させる定着器25とを備えている。
【0014】
画像形成部10の画像形成ユニット11各々は、上記の機能部材を用いた電子写真プロセスによりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像は、一次転写ロール21により中間転写ベルト20上に順に静電転写され、各色トナーが重畳された合成トナー像を形成する。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動(矢印B方向)に伴って二次転写ロール22が配置された二次転写領域Trに搬送され、用紙収容容器30から供給される用紙P上に一括して静電転写される。その後、用紙P上に静電転写された合成トナー像は、定着器25によって定着処理を受けて用紙P上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の排出部に設けられた用紙積載部35に搬送され集積される。
【0015】
一方、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、及び二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれドラムクリーナ16、及びベルトクリーナ23によって除去される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
【0016】
ところで、このような画像形成装置1で異常が発生した場合、画像形成装置1自らが異常を検知し、検知した異常を診断するための診断データをセンタ装置6へ送信することが考えられる。しかしながら、画像形成装置1で発生する異常には、画像形成装置1自らが検知不可能な異常や、画像形成装置1自らが検知するためにセンサの追加等が必要でコストアップが生ずる異常もある。例えば、画質異常、アライメント異常、紙しわ、異音等である。画像形成装置1自らが異常を検知する手法では、これらの画像形成装置1自らが検知困難な異常については、異常を診断するための診断データをセンタ装置6へ送信することができないため、異常の解消が迅速にできないことになる。
そこで、本実施の形態では、画像形成装置1自らが検知困難な異常を診断するための診断データを、ユーザが情報を入力することでセンタ装置6に送信できるようにする。
【0017】
図3は、このような動作を行う主制御部40の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、この主制御部40は、異常情報受付部41と、診断データ記憶部42と、診断データ抽出部43と、テーブル記憶部44と、送信制御部45と、受信制御部46と、指示実行部47とを備える。
【0018】
異常情報受付部41は、ユーザが入力した画像形成装置1の異常を示す情報(以下、「異常情報」という)を受け付ける。本実施の形態では、画像処理装置の不具合を示す不具合情報の一例として、異常情報を用いており、不具合情報を受け付ける受付手段の一例として、異常情報受付部41を設けている。
【0019】
診断データ記憶部42は、画像形成装置1の異常をセンタ装置6で診断するために必要なデータ(以下、「診断データ」という)を記憶する。診断データは、例えば、画像出力、画像読み取り等の画像処理時に取得して記憶すればよい。本実施の形態では、画像処理装置の状態を示す状態情報の一例として、診断データを用いており、状態情報を記憶する記憶手段、状態情報を記録する記録手段の一例として、診断データ記憶部42を設けている。
診断データ抽出部43は、診断データ記憶部42に記憶された診断データの中から、異常情報受付部41が受け付けた異常情報に応じてセンタ装置6に送信すべき診断データ(以下、「送信対象診断データ」という)を抽出する。本実施の形態では、診断用状態情報の一例として、送信対象診断データを用いており、診断用状態情報を抽出する抽出手段の一例として、診断データ抽出部43を設けている。
【0020】
テーブル記憶部44は、異常情報受付部41及び診断データ抽出部43が参照する各種テーブルを記憶する。1つは、異常情報受付部41が異常情報入力用のメニュー画面(以下、「異常情報メニュー」という)を表示する際に参照するメニューテーブルである。もう1つは、診断データ抽出部43が異常情報に応じて送信対象診断データを抽出する際に参照する診断データテーブルである。
【0021】
送信制御部45は、異常情報受付部41が受け付けた異常情報に対応する異常情報ID及び診断データ抽出部43が抽出した送信対象診断データを通信部51に出力し、通信部51を介したセンタ装置6への情報の送信を制御する。本実施の形態では、診断用状態情報を送信する送信手段の一例として、送信制御部45を設けている。
受信制御部46は、センタ装置6が異常情報ID及び送信対象診断データに応答して取得した指示情報の通信部51を介した受信を制御し、通信部51から指示情報を取得する。
指示実行部47は、受信制御部46が取得した指示情報で指示されたアクションを実行する。本実施の形態では、不具合を解決するための動作として定義された動作を実行する実行手段の一例として、指示実行部47を設けている。
【0022】
ここで、テーブル記憶部44に記憶された各種テーブルについて具体的に説明する。
図4は、メニューテーブルの一例を示した図である。
図示するように、メニューテーブルは、第1選択画面、第2選択画面、第3選択画面、第4選択画面、異常情報IDを項目として有する。
【0023】
第1選択画面は、例えばユーザが画像形成装置1の異常を感じたときにボタンを押下することによって最初にUI部54に表示される第1選択画面を定義する項目である。この項目を参照することにより、「画質の異常」、「音の異常」を選択肢として含む第1選択画面が表示される。
第2選択画面は、第1選択画面の何れかの選択肢を選択したときにUI部54に表示される第2選択画面を定義する項目である。例えば、第1選択画面で「画質の異常」を選択したとすると、この項目を参照することにより、「色合い」、「かすれ」、「スジ」、「汚れ」を選択肢として含む第2選択画面が表示される。
第3選択画面は、第2選択画面の何れかの選択肢を選択したときにUI部54に表示される第3選択画面を定義する項目である。例えば、第2選択画面で「スジ」を選択したとすると、この項目を参照することにより、「たて方向」、「よこ方向」を選択肢として含む第3選択画面が表示される。
第4選択画面は、第3選択画面の何れかの選択肢を選択したときにUI部54に表示される第4選択画面を定義する項目である。例えば、第3選択画面で「たて方向」を選択したとすると、この項目を参照することにより、「鋭いスジ」、「ぼやけたスジ」を選択肢として含む第4選択画面が表示される。
異常情報IDは、第1選択画面、第2選択画面、第3の選択画面、及び第4選択画面の選択肢の組み合わせを識別するための識別情報である。
【0024】
図5は、診断データテーブルの一例を示した図である。
図示するように、診断データテーブルは、異常情報ID及び送信対象診断データを項目として有する。
【0025】
異常情報IDは、図4のメニューテーブルで説明したので、ここでの詳しい説明は省略する。
送信対象診断データは、診断データ記憶部42に記憶された診断データのうち、対応する異常情報が入力された場合にセンタ装置6に送信する対象として抽出すべき送信対象診断データを定義する項目である。例えば、第1選択画面で「画質の異常」を選択し、第2選択画面で「スジ」を選択し、第3選択画面で「たて方向」を選択し、第4選択画面で「鋭いスジ」を選択したとすると、図4のメニューテーブルのこれらの選択肢の行を参照することにより、異常情報IDは「ABN1311」となる。そして、図5の診断データテーブルのこの異常情報IDの行を参照することにより、送信対象診断データとして「LPH通電時間」、「LPHロット番号」を抽出すべきことが分かる。また、異常情報ID「ABN1312」、「ABN1321」、「ABN213x」に対応する送信対象診断データは「−」となっているが、これは、センタ装置6に送信する対象として抽出すべき送信対象診断データがないことを意味する。つまり、第1選択画面で「画質の異常」を選択し、第2選択画面で「スジ」を選択し、第3選択画面で「たて方向」を選択し、第4選択画面で「ぼやけたスジ」を選択した場合や、第1選択画面で「画質の異常」を選択し、第2選択画面で「スジ」を選択し、第3選択画面で「よこ方向」を選択し、第4選択画面で「鋭いスジ」を選択した場合や、第1選択画面で「音の異常」を選択し、第2選択画面で「本体」を選択し、第3選択画面で「その他」を選択した場合、センタ装置6は、送信対象診断データが送信されなくても、異常情報メニューからの選択入力のみに応じて指示情報を取得して画像形成装置1に送信する。尚、図では、送信対象診断データを「紙質」、「プロセススピード」といった言葉で示しているが、各診断データに診断データ識別情報を付与し、この診断データ識別情報を記憶するようにしてもよい。
【0026】
ところで、図5では、送信対象診断データとして、抽出すべき送信対象診断データの主たるもののみを示しているので、次に一部の異常情報について送信対象診断データの詳細な内容を示す。
図6は、診断データテーブルの異常情報ID「ABN1110」、「ABN1120」、「ABN1130」に対応する部分を詳細に示した図である。尚、図では、異常情報ID「ABN1110」、「ABN1120」、「ABN1130」をまとめて「ABN11xx」と表記している。また、図6において、備考は、診断データテーブルの項目ではないが、各送信対象診断データについての説明を記述する欄として設けている。
【0027】
また、図7は、診断データテーブルの異常情報ID「ABN1210」に対応する部分を詳細に示した図である。尚、図7においても、備考は、診断データテーブルの項目ではないが、各送信対象診断データについての説明を記述する欄として設けている。
【0028】
本実施の形態では、上記でも若干触れたように、このような構成を有する画像形成装置1からセンタ装置6が送信対象診断データを受信し、この送信対象診断データに応じて取得した指示情報を画像形成装置1に送信する。
【0029】
図8は、このような動作を行うセンタ装置6の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、このセンタ装置6は、受信部61と、指示情報取得部62と、テーブル記憶部64と、送信部69とを備える。
【0030】
受信部61は、画像形成装置1から異常情報ID及び送信対象診断データを受信する。本実施の形態では、不具合情報と診断用状態情報とを受信する受信手段の一例として、受信部61を設けている。
指示情報取得部62は、受信部61が受信した異常情報ID及び送信対象診断データに基づいて、画像形成装置1で行うべきアクションを指示する指示情報を取得する。本実施の形態では、不具合を解決するための動作として定義された動作を特定する特定手段の一例として、指示情報取得部62を設けている。
テーブル記憶部64は、指示情報取得部62が参照するテーブルを記憶する。具体的には、指示情報取得部62が異常情報ID及び送信対象診断データに基づいて指示情報を取得する際に参照する指示情報テーブルを記憶する。
送信部69は、指示情報取得部62が取得した指示情報を画像形成装置1に送信する。本実施の形態では、動作を実行するよう指示する指示手段の一例として、送信部69を設けている。
ここで、指示情報取得部62と送信部69とを合わせた部分は、不具合を診断する診断手段の一例である。
【0031】
尚、このようなセンタ装置6の機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。受信部61、指示情報取得部62、送信部69は、センタ装置6のCPUが、これらの機能を実現するプログラムを、例えばハードディスク等の外部記憶装置からメインメモリに読み込むことにより実現される。また、テーブル記憶部64は、例えばハードディスク等の外部記憶装置によって実現される。
【0032】
ここで、テーブル記憶部64に記憶されたテーブルについて具体的に説明する。
図9は、指示情報テーブルの一例を示した図である。
図示するように、指示情報テーブルは、異常情報ID、基準特徴データ、指示情報を項目として有する。
【0033】
異常情報IDは、図4のメニューテーブルで説明したので、ここでの詳しい説明は省略する。尚、図6と同様、異常情報ID「ABN1110」、「ABN1120」、「ABN1130」はまとめて「ABN11xx」と表記している。
基準特徴データは、画像形成装置1から受信した送信対象診断データの特徴データ(以下、「送信特徴データ」という)と比較する際の基準となる診断データの特徴データである。基準特徴データとしては、図5〜7に示した診断データにおける何れかの情報項目に関する条件が記憶されている。但し、異常情報ID「ABN2110」、「ABN2120」に対応する基準特徴データについては、「感光体サイクル数」、「現像器動作サイクル数」、「定着器通紙枚数」をまとめて「使用状況」と表記しており、「ジョブの紙質」、「カラー」、「用紙サイズ」、「片面/両面」をまとめてジョブモードと表記している。尚、異常情報ID「ABN1312」、「ABN1321」、「ABN213x」に対応する基準特徴データは「−」となっているが、これは、画像形成装置1から送信対象診断データが送られてこないので、比較対象の基準特徴データもないことを意味する。
指示情報は、画像形成装置1で実行すべきアクションを指示する情報である。例えば、指示情報テーブルの1行目に着目した場合、異常情報IDが「ABN1110」で、送信対象診断データ内の感光体電位がV1であれば、指示情報によって「感光体電位を変更する」というアクションが指示される。
ところで、この指示情報テーブルでは、基準特徴データがどのようなデータである場合に指示情報がどのようなアクションを指示すべきかを、複数の画像形成装置における過去のトラブル事例に基づいて作成し記憶する。従って、指示情報テーブルは、トラブル事例データベースと捉えることもできるものである。
【0034】
次に、本実施の形態におけるコンピュータシステムの動作について説明する。
まず、このコンピュータシステムにおける画像形成装置1の動作について説明する。
図10は、画像形成装置1の主制御部40の動作例を示したフローチャートである。
図示するように、主制御部40では、まず、異常情報受付部41が、図4のメニューテーブルを参照して、異常情報メニューをUI部54に表示する(ステップ401)。このとき、更新手段の一例としての図示しないメニュー更新部が、図4のメニューテーブルを参照して構成される異常情報メニューをセンタ装置6から受信した情報で更新し、異常情報受付部41はこの更新後の異常情報メニューをUI部54に表示してもよい。そして、異常情報受付部41は、ユーザにより異常情報が入力されたかどうかを判定する(ステップ402)。具体的には、第1選択画面、第2選択画面、第3選択画面、第4選択画面のうち選択肢を選択すべき選択画面で何れかの選択肢が選択されたかどうかを判定する。ここで、異常情報が入力されていなければ、ステップ402の判定を繰り返し、異常情報が入力されれば、診断データ抽出部43に制御を移す。
【0035】
これにより、診断データ抽出部43は、診断データ記憶部42に記憶された診断データの中から、ステップ402で入力された異常情報に応じた送信対象診断データを抽出する(ステップ403)。具体的には、各選択画面で選択された選択肢の組み合わせに対応する異常情報IDをメモリに記憶しておき、この異常情報IDを検索キーとして図5の診断データテーブルを検索し、送信対象診断データとして抽出すべき情報の種類を特定する。そして、診断データ記憶部42に記憶された診断データのうち、特定された情報の種類の診断データを、送信対象診断データとして抽出する。
【0036】
その後、診断データ抽出部43がメモリに記憶しておいた異常情報ID、及び、診断データ抽出部43が抽出した送信対象診断データは、送信制御部45に渡され、送信制御部45が、これらの情報をセンタ装置6に送信するための制御を行う(ステップ404)。具体的には、異常情報ID及び送信対象診断データを通信部51に出力し、これらの情報がセンタ装置6に送信されるように通信部51を制御する。
【0037】
すると、センタ装置6では、後述するように、異常情報ID及び送信対象診断データに基づいて、画像形成装置1で実行すべきアクションを指示する指示情報が取得される。そして、この指示情報がセンタ装置6から画像形成装置1へ送信されることになるので、画像形成装置1では、この指示情報を待ち受ける。
即ち、画像形成装置1の主制御部40では、受信制御部46が、通信部51で指示情報が受信されたかどうかを判定する(ステップ405)。ここで、指示情報が受信されていなければ、ステップ405の判定を繰り返し、指示情報が受信されれば、受信制御部46が指示情報を取得して指示実行部47に渡す。
【0038】
これにより、指示実行部47は、受信制御部46から渡された指示情報が、画像形成装置1に設定されたパラメータの変更を指示する指示情報であるかどうかを判定する(ステップ406)。図9の例で言えば、「感光体電位を変更する」、「転写バイアスを変更する」といった指示情報が、パラメータの変更を指示する指示情報に相当する。
画像形成装置1に設定されたパラメータの変更を指示する指示情報であると判定された場合、指示実行部47は、指示情報に従って、画像形成装置1に設定されたパラメータを変更する(ステップ407)。
【0039】
一方、画像形成装置1に設定されたパラメータの変更を指示する指示情報でないと判定された場合、指示実行部47は、受信制御部46から渡された指示情報が、画像形成装置1のUI部54へのメッセージの表示を指示する指示情報であるかどうかを判定する(ステップ408)。図9の例で言えば、「LPH交換要求を保守センタに報知し、その旨をUI部に表示する」、「異物除去要求を保守センタに報知し、その旨をUI部に表示する」といった指示情報が、メッセージの表示を指示する指示情報に相当する。
画像形成装置1のUI部54へのメッセージの表示を指示する指示情報であると判定された場合、指示実行部47は、指示情報に従って、画像形成装置1のUI部54にメッセージを表示する(ステップ409)。尚、画像形成装置1のUI部54へのメッセージの表示を指示する指示情報でないと判定された場合は、そのまま処理を終了する。
【0040】
次に、ステップ404で異常情報ID及び送信対象診断データが送信されたときのセンタ装置6の動作について説明する。
図11は、このときのセンタ装置6の動作例を示したフローチャートである。
図示するように、センタ装置6では、まず、受信部61が、異常情報ID及び送信対象診断データを画像形成装置1から受信する(ステップ601)。
次に、異常情報ID及び送信対象診断データは受信部61から指示情報取得部62へと渡され、指示情報取得部62が、図9の指示情報テーブルから異常情報IDに対応する基準特徴データを取得する(ステップ602)。具体的には、異常情報IDを検索キーとして指示情報テーブルを検索し、異常情報IDに対応付けられた少なくとも1つの基準特徴データを取得する。
【0041】
次いで、指示情報取得部62は、ステップ602で取得した少なくとも1つの基準特徴データの中から、受信部61から渡された送信対象診断データの特徴データである送信特徴データに類似する基準特徴データを検索する(ステップ603)。具体的には、送信特徴データの値が基準特徴データの値に対して予め定めた範囲となるような基準特徴データを検索する。
そして、指示情報取得部62は、検索が成功したかどうかを判定する(ステップ604)。
検索が成功した場合、指示情報取得部62は、指示情報テーブルを参照し、検索によって得られた基準特徴データに対応する指示情報を取得する(ステップ605)。そして、指示情報は送信部69に渡され、送信部69が指示情報を画像形成装置1に送信する(ステップ606)。
また、検索が失敗した場合、指示情報取得部62は、その旨を送信部69に伝え、送信部69が、エラーメッセージの表示を指示する指示情報を画像形成装置1に送信する(ステップ607)。尚、ここで検索が失敗した場合とは、異常情報IDに対して少なくとも1つの基準特徴データが登録されているにも関わらず、その中に送信特徴データに類似する基準特徴データがなかった場合のことである。異常情報ID「ABN1312」、「ABN1321」、「ABN213x」のように基準特徴データが登録されていない場合は、ステップ603で検索を行わずに、ステップ604で検索成功とみなして、ステップ605で異常情報IDに対応する指示情報を取得すればよい。
【0042】
尚、本実施の形態では、ユーザが異常情報メニューから異常情報を入力することにより、その異常情報に応じた診断データの抽出のみを行うこととしたが、この診断データの抽出に先だって、又は、この診断データの抽出と同時に、予め決められた他の動作を行うようにしてもよい。ここで、他の動作としては、例えば、異常情報に応じたユニットの調整動作が考えられる。また、特に、異常情報が「ハングアップ」を示している場合、他の動作は、機械の停止や電源のオフ/オン等の復帰動作であってもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、ユーザが異常情報メニューから異常情報を入力すると、異常情報に関する説明の表示等を行うことなく、その異常情報に応じた診断データを抽出することとしたが、まずは、その異常情報への対処方法の説明を表示してもよい。そして、対処方法の説明を表示できない場合にのみ、その異常情報に応じた診断データを抽出してセンタ装置6に送信し、センタ装置6で異常の診断を行うようにしてもよい。
【0044】
更に、本実施の形態では、画像形成装置1内の主制御部40が、ユーザの異常情報の入力により診断データをセンタ装置6に送信する診断支援装置として機能した。しかしながら、この診断支援装置は、画像形成装置1の外部から、ユーザの異常情報の入力により画像形成装置1の診断データを取得してセンタ装置6に送信する装置であってもよい。
【0045】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…画像形成装置、40…主制御部、41…異常情報受付部、42…診断データ記憶部、43…診断データ抽出部、44…テーブル記憶部、45…送信制御部、46…受信制御部、47…指示実行部、6…センタ装置、61…受信部、62…指示情報取得部、64…テーブル記憶部、69…送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置の状態を示す状態情報を記憶する記憶手段と、
前記画像処理装置の不具合を示す不具合情報の当該画像処理装置の使用者による入力に応じて、当該不具合情報を受け付ける受付手段と、
前記記憶手段に記憶された前記状態情報から、前記受付手段にて受け付けた前記不具合情報に関連付けられた情報であって、前記不具合の診断に用いられる情報である診断用状態情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記診断用状態情報を、前記不具合を診断する診断装置に送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする診断支援装置。
【請求項2】
前記送信手段により送信された前記診断用状態情報に基づいて前記診断装置で特定された動作であって、前記不具合を解決するための動作として定義された動作を、前記画像処理装置で実行する実行手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項3】
前記受付手段は、画面に表示された複数の選択肢から前記不具合を表す選択肢を選択することによる前記不具合情報の前記使用者による入力に応じて、当該不具合情報を受け付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の診断支援装置。
【請求項4】
前記診断装置から受信した情報に基づいて前記画面を更新する更新手段を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の診断支援装置。
【請求項5】
入力された画像データに基づいて画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により画像処理が行われる際に自装置の状態を示す状態情報を記録する記録手段と、
自装置の不具合を示す不具合情報の自装置の使用者による入力に応じて、当該不具合情報を受け付ける受付手段と、
前記記録手段により記録された前記状態情報から、前記受付手段にて受け付けた前記不具合情報に関連付けられた情報であって、前記不具合の診断に用いられる情報である診断用状態情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記診断用状態情報を、前記不具合を診断する診断装置に送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
入力された画像データに基づいて画像処理を行う画像処理装置と、
前記画像処理装置の不具合を診断する診断装置と
を備え、
前記画像処理装置は、
前記画像処理が行われる際に自装置の状態を示す状態情報を記録する記録手段と、
自装置の不具合を示す不具合情報の自装置の使用者による入力に応じて、当該不具合情報を受け付ける受付手段と、
前記記録手段により記録された前記状態情報から、前記受付手段にて受け付けた前記不具合情報に関連付けられた情報であって、前記不具合の診断に用いられる情報である診断用状態情報を抽出する抽出手段と、
前記受付手段にて受け付けた前記不具合情報と、前記抽出手段により抽出された前記診断用状態情報とを、前記診断装置に送信する送信手段と
を備え、
前記診断装置は、
前記送信手段により送信された前記不具合情報と前記診断用状態情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記不具合情報が示す前記不具合を、前記受信手段により受信された前記診断用状態情報に基づいて診断する診断手段と
を備えたことを特徴とする診断システム。
【請求項7】
前記診断手段は、
前記不具合を解決するための動作として定義された動作を、前記診断用状態情報に基づいて特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記動作を前記画像処理装置で実行するよう指示する指示手段と
を含むことを特徴とする請求項6に記載の診断システム。
【請求項8】
コンピュータに、
画像処理装置の不具合を示す不具合情報の当該画像処理装置の使用者による入力に応じて、当該不具合情報を受け付ける機能と、
記憶手段に記憶された前記画像処理装置の状態を示す状態情報から、前記不具合情報に関連付けられた情報であって、前記不具合の診断に用いられる情報である診断用状態情報を抽出する機能と、
抽出された前記診断用状態情報を、前記不具合を診断する診断装置に送信する機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−44573(P2012−44573A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185793(P2010−185793)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】