説明

診断用テープユニットおよびその製法

【課題】従来技術で知られている方法および製品を引き続き開発し、大量生産に関して最適化された確実に作動するテストユニットの構成方法を提示する。
【解決手段】巻上可能の搬送テープ18上に使い捨てテストユニット20が取り付けられ、かつ搬送テープが巻戻コイル14上に巻き付けられ、かつ巻付コイル16に接続され、その結果、テストユニットが利用者に対して搬送テープの巻戻しによって連続的に供給可能である診断用テープユニットの製造方法を提案する。搬送テープが補助テープ24を介してその先走する端部24”で巻付コイルと、および/またはその追走する端部24’で巻戻コイルと接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻上可能の搬送テープ上に分析要素および/または穿刺要素として形成された使い捨てテストユニットが取り付けられ、かつ搬送テープが巻戻コイル上に巻き付けられ、かつ巻付コイルに接続され、その結果、テストユニットが利用者に対して搬送テープの巻戻しによって連続的に供給可能である診断用テープユニットの製法に関する。本発明は、さらに該製法による製品に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなテストユニットは、特に市場にあるテストストリップシステムに対して利用者利便性をさらに改善するために血糖テスト用として考案された。つまり巻上可能の搬送テープ上の簡便な取り扱いのために多数のテストユニットをコンパクトに貯蔵し、かつ使用後にテープ搬送によって再び廃棄処分することもできる。このようなテストユニットは、目的に応じて利用者に実質的に自動的に処理する自己テストを可能にするために、カセットの形態で消費材として携帯装置に使用可能にされている。従来の公開は、たとえばWO2005/104948のように、特に担体テープ上の簡便なテストユニットの集積を扱っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記に基づき、本発明の目的は、従来技術で知られている方法および製品を引き続き開発し、かつ冒頭に挙げた形式の大量生産に関して最適化された確実に作動するテストユニットの構成方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題の解決のために独立特許請求の範囲に記載された特徴の組合せが提案される。本発明の好ましい態様および変形例は従属請求項から明らかである。
【0005】
それに応じて、方法上の観点において搬送テープが補助テープを介してその先走する端部で巻付コイルと、および/またはその追走する端部で巻戻コイルと接続されることが提案されている。
【発明の効果】
【0006】
コイルへのテープ固定は前記方法で簡便にすることができ、かつテストテープ材料もしくは製品材料の巻付工程に組み込む必要がない。特に、材料をもはやテストに必要なものとして巻き付ける必要がない。つまり最後のテストユニットもまだ問題なく利用することができ、製品テープが応力を失わず、かつ巻戻コイルから引き離されることがない。補助テープによって、材料の特殊な構成、たとえばテストの範囲による特殊な構成を省くことができる。もう1つの長所は、補助テープを特にコイル接続に対して短いサイクル時間で最適化し、かつ、たとえばトルク試験の別の製造工程でコイルに利用することができ、そのために製品テープを使用する必要がないことである。
【0007】
さらに簡略化された製造の態様は、巻付コイルおよび巻戻コイルがまず補助テープを介して接続され、次いで補助テープがコイルのあいだで先走テープおよび追走テープの形成下に分離され、かつ搬送テープのテープ端に接続されることを考慮する。
【0008】
開いた接着ギャップなしに簡単なテープ接続部を作るために、搬送テープが一片の接着テープを介して突き合わされて補助テープと接続される場合が有利である。
【0009】
別法として、搬送テープが重ね合わされて補助テープと接続されることも可能である。そのために搬送テープおよび補助テープが端部側の重ね合せ領域で実質的に互いに接続され、好ましくは接着される場合に好適である。
【0010】
本発明のもう1つの特別の態様は、搬送テープまたはそれに接続される補助テープが自由なテープ端部で、実質的(一体的)なテープ接続により巻戻コイルおよび/または巻付コイルに固定的に接続され、その結果、テープ端部がコイル巻戻し時に自発的に弛まないことにある。このような接続方式によって、さらに組立を簡素化することができ、かつ付加的な補助手段または部品なしにコンパクトなコイルを作ることができる。
【0011】
素材テープ接続部は、好ましくは溶接または接着によって製造される。これは、素材テープ接続部が熱接着剤によって製造されることによって特に簡単に実現することができる。そのために準備された工程において、テープ端部および/またはそれに接続されるコイルを接続相手として熱接着剤で被覆することができ、それに続き接続相手は加圧と加熱によって好ましくは溶接スタンプを利用して互いに平坦に接続することができる。
【0012】
もう1つの改善は、熱接着剤が湿式塗布され、かつそれに続いて乾燥され、その結果、固形物成分が接着層として残留することを考慮する。接着層は、有利には50μm未満、好ましくは約10μmの層厚で塗布される。
【0013】
製造技術的に、補助テープが好ましくは共押出法によってその全長にわたり熱接着剤で被覆される場合も有利である。
【0014】
確実に固定するために、テープ端部が180°未満、好ましくは90°未満の巻回領域を介してコイルと固定接続される場合に十分であることが実証されている。
【0015】
摩擦係合のテープ接続部がテープ端部と組み込まれたコイルとのあいだの締付接続によって製造されることも考え得る。その際にテープ端部が組み込まれたコイルの締付ギャップの中で締め付けられることによって部品コストをさらに低減することができる。
【0016】
本発明のもう1つの変形は、搬送テープが接続箇所で接合される2つの搬送テープから形成されることを考慮する。このような組継接続は、無端材料として製造されたテストテープの標定した構造化を可能にする。その際に有利な一態様にしたがって第1の工程において搬送テープの接続部として把握された部分が切断され、かつそれに続き残留する搬送テープが一緒に接続される。
【0017】
搬送テープは、好ましくは一片の接着テープを介して接続箇所で互いに接続され、前記搬送テープが接続箇所で突き合わせにより互いに接続される場合に特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】テープカセットの形態における診断用テープユニットの簡略化した断面図。
【図2】図1記載のテープユニットの前組立用装置。
【図3】巻付コイルと接続するための接着するテープ保持手段を有するテープユニットのテープ配列。
【図4】巻付コイルと接続するための接着するテープ保持手段を有するテープユニットのテープ配列。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図面に模式的に示した実施例を利用してより詳しく説明する。
【0020】
血糖テストを実施するための図1に示した診断用テープカセット10は、テストテープ12、未使用のテストテープを巻戻すためのスプール(ないしは巻戻コイル)14および使用済みのテストテープを巻き付けるための巻付コイル16を含み、テストテープ12は巻上可能の搬送テープもしくは担体テープ18および多数の連続的な一回使用のためにその上に貯蔵されたテープユニット20を有する。図示したテストユニット20は試験対象としてグルコース検出用の試験化学品を具備している。択一的または補足的に皮膚穿刺用の図示しない穿刺要素も搬送テープ18上に具備してもよい。テストテープ12は、巻付コイル16の回転駆動装置を介して巻戻すことができ、その結果、テストユニット20は投与箇所22で利用者に供給可能である。このようなテープカセット10は、目的に応じて図示しない携帯装置の中に利用者の自己テストに対する消費材として使用することができる。このような適用のその他の詳細は、たとえばこの関連性において引用される出願EP−A1878379から明らかである。
【0021】
図2は、テープカセット10の前組立用の生産工程を具体的に示す。テープ固定のために、まず補助テープ24がそのテープ端で一体的に巻付コイル14および巻戻コイル16に接続される。これは、熱接着接続によって、熱接着剤を活性化するためにコイル要素に押圧可能である溶接スタンプ26を利用して行うことができる。次に、補助テープ24は、テストユニット20を具備した搬送テープ18を所望の長さに接続するために切断装置28によって分離される。
【0022】
図3に示した態様において、補助テープ24は熱接着層30で被覆される。そのために熱接着剤は共押出法によって補助テープの製造時に片側に液状で塗布かつ乾燥され、その結果、固形物成分が約10μmの層厚を有する熱接着層30として残留する。それに続く溶接スタンプ26による接着時に、次に補助テープ24を自己脱落から確保するコイル14、16上にテープ接続部32が作られる。
【0023】
もう1つの製造工程において、巻戻コイル14に接続される追走テープ24’と、巻付コイル16に接続される先走テープ24”とに分割された補助テープが搬送テープ18と接続される。図3に間欠的に示した搬送テープ18は、その際に無端材料から好適な長さに切り取られ、かつ所望の数のテープユニット20を供給するために接続される。このために自由なテープ端が重ね合わされて接合され、かつ熱接着層30の活性下に重ね合せ領域30に固着される。カセット10内の未使用の状態でテープ材料12が巻付コイル14上に巻き付けられ、かつテープ引込みは、まず第1のテストユニット20が準備できるまで先走テープ24”を介して行われる。
【0024】
図4は、複数片の接着テープ34を介してテープ接続がなされるもう1つの実施形態を示す。その際に追走テープ24’および先走テープ24”は重ね合せなしに突き合わされて接合され、接着テープ30は使用中に発生する引張応力を吸収する。
【0025】
このような接着テープ接続部は、好ましくは粗悪材料をテストテープ12から導き出すためにも使用される。このためにテストユニット20が不良品を検査され、かつ搬送テープ18の対応する部分が切断される。次に残留する搬送テープは接続箇所36で一片の接着テープ34を利用して再び組み立てられる。
【0026】
コイル14、16と補助テープ24の接続は接着剤なしで、たとえば超音波溶接によってまたは締付接続によって、テープ端が該当するコイルの締付ギャップの中に摩擦係合に保持されることによって行うこともできる。
【符号の説明】
【0027】
10 テープユニット(テープカセット)
14 スプール(巻戻コイル)
16 スプール(巻付コイル)
18 搬送テープ
20 テストユニット
24 補助テープ
24’ 追走テープ
24” 先走テープ
30 熱圧着層
32 テープ接続
34 接着テープ
36 接続箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻上可能の搬送テープ(18)上に分析要素および/または穿刺要素として形成された、好ましくは血糖テスト用の使い捨てテストユニット(20)が取り付けられ、かつ搬送テープ(18)が巻戻コイル(14)に巻き付けられ、かつ巻付コイル(16)に接続され、その結果、テストユニット(20)が利用者に対して搬送テープ(18)の巻戻しによって連続的に供給可能である診断用テープユニット(10)の製造方法であって、
搬送テープ(18)の先端が補助テープ(24)により巻付コイル(16)に接続され、および/または搬送テープの追走する端部が補助テープ(24)により巻戻コイル(14)に接続されることを特徴とする方法。
【請求項2】
巻付コイル(16)および巻戻コイル(14)がまず補助テープ(24)を介して接続され、かつ次に補助テープ(24)がコイル(14、16)のあいだで先走テープ(24”)および追走テープ(24’)の形成下に分離され、かつ搬送テープ(18)のテープ端と接続されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
搬送テープ(18)が一片の接着テープ(34)を介して突き合わされて補助テープ(24)と接続されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
搬送テープ(18)が重ね合わされて補助テープ(24)と接続されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
搬送テープ(18)および補助テープ(24)が端部側の重ね合せ領域で実質的に互いに接続され、好ましくは補助テープ(24)の熱接着層(30)を介して接着されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
巻上可能の搬送テープ(18)と、多数の搬送テープ(18)上に貯蔵された、分析要素および/または穿刺要素として形成された、好ましくは血糖テスト用の使い捨てテストユニット(20)と、搬送テープ(18)用の巻戻コイル(14)ならびに巻付コイル(16)と、コイル(14、16)を回動可能に支承するためのハウジングとを備え、テストユニット(20)がテープ先走下に連続的に利用者に供給可能であって、
搬送テープ(18)が片側で補助テープ(24)を介して巻戻コイル(14)および/または巻付コイル(16)に接続されていることを特徴とする診断用テープユニット(10)。
【請求項7】
巻上可能の搬送テープ(18)上に分析要素および/または穿刺要素として形成された、好ましくは血糖テスト用の使い捨てテストユニット(20)が取り付けられ、かつ搬送テープ(18)が巻戻コイル(14)上に巻き付けられ、かつ巻付コイル(16)に接続され、その結果、テストユニット(20)が利用者に搬送テープ(18)の巻戻しによって連続的に供給可能である診断用テープユニット(10)の製造方法であって、
搬送テープ(18)またはそれに接続される補助テープ(24)が自由なテープ端部に実質的なテープ接続または摩擦によるテープ接続により巻戻コイル(14)および/または巻付コイル(16)に固定接続され、その結果、テープ端部がコイル巻戻し時に自発的に弛まないことを特徴とする方法。
【請求項8】
素材テープ接続部(32)が溶接または接着によって製造されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
素材テープ接続部(32)が熱接着剤によって製造されることを特徴とする請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
準備された工程においてテープ端部および/またはそれに接続されるコイルが接続相手として熱接着剤で被覆され、かつそれに続き該接続相手が圧力および熱の適用によって、好ましくは溶接スタンプを利用して互いに平坦に接続されることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
熱接着剤が湿式塗布され、かつそれに続き乾燥され、その結果、固形物成分が接着層(30)として残留することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
接着層(30)が50μm未満、好ましくは約10μmの層厚で塗布されることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
補助テープ(24)が好ましくは共押出法によってその全長にわたり熱接着剤で被覆されることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
テープ端部が180°未満、好ましくは90°未満の巻回領域にわたりコイル(14、16)に固定接続されることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
摩擦によるテープ接続(32)がテープ端部と組み込まれたコイル(14、16)とのあいだの締付接続によってなされることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項16】
テープ端部がコイル(14、16)の締付ギャップの中で締め付けられることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
巻上可能の搬送テープ(18)と、多数の搬送テープ(18)上に貯蔵された、分析要素および/または穿刺要素として形成された、好ましくは血糖テスト用の使い捨てテストユニット(20)と、搬送テープ(18)用の巻戻コイル(14)ならびに巻付コイル(16)と、コイル(14、16)を回動可能に支承するためのハウジングとを備え、テストユニット(20)が搬送テープ(18)の巻戻しによって連続的に利用者に供給可能であって、
搬送テープ(18)またはそれに接続される補助テープ(24)が自由なテープ端部に実質的な接続または摩擦による接続により巻戻コイル(14)および/または巻付コイル(16)に固定接続されることを特徴とする診断用テープユニット(10)。
【請求項18】
巻上可能の搬送テープ(18)上に分析要素および/または穿刺要素として形成された、好ましくは血糖テスト用の使い捨てテストユニット(20)が取り付けられ、かつ搬送テープ(18)が巻戻コイル(14)上に巻き付けられ、かつ巻付コイル(16)に接続され、その結果、テストユニット(20)が利用者に搬送テープ(18)の巻戻しによって連続的に供給可能である診断用テープユニット(10)の製造方法であって、
搬送テープが接続箇所(36)で接合される2つの搬送テープから形成されることを特徴とする方法。
【請求項19】
第1の工程において搬送テープ(18)の使用済と検知された部分が切断され、かつそれに続き残留する搬送テープが一緒に接続されることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
搬送テープが一片の接着テープ(34)を介して接続箇所(36)で互いに接続されることを特徴とする請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
前記搬送テープが接続箇所(36)で突き合わせにより互いに接続されることを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
巻上可能の搬送テープ(18)と、多数の搬送テープ(18)上に貯蔵された、分析要素および/または穿刺要素として形成された、好ましくは血糖テスト用の使い捨てテストユニット(20)と、搬送テープ(18)用の巻戻コイル(14)ならびに巻付コイル(16)と、コイル(14、16)を回動可能に支承するためのハウジングとを備え、テストユニット(20)がテープ先走下に連続的に利用者に供給可能であって、
搬送テープ(18)が接続箇所(36)で接合される2つの搬送テープを有することを特徴とする診断用テープユニット(10)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−233327(P2009−233327A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−65983(P2009−65983)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】