説明

証券処理装置およびプログラム

【課題】手形と小切手とが混在して証券収納部内に収められている状態でも、特別な作業を強要することなく、手形に関する処理と同様、小切手にも一連番号などの証券識別情報を印字することができると共に、この証券識別情報をキーとして小切手に関する証券情報を管理できるようにする。
【解決手段】証券処理装置は、手形と小切手とが混在して収納されているホッパー部2から証券が取り出された際、証券の形状特性に応じて当該証券は手形か小切手かを判別し、手形であれば、一連番号を生成すると共にMICRプリンタ部12を使用して手形のMICR文字印字欄の空白部分に一連番号をMICR文字にて印字するほか、この一連番号を証券情報検索用のキー情報として手形の証券情報に対応付けて記憶管理し、小切手であれば、一連番号を生成すると共に券面プリンタ部13を使用して小切手のMICR文字印字欄以外の券面空白部分に一連番号を印字するほかに、この一連番号を証券情報検索用のキー情報として小切手の証券情報に対応付けて記憶管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、証券収納部から取り出された証券の種類に応じて手形処理あるいは小切手処理を選択的に実行する証券処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手形を処理する証券処理装置としては、たとえば、全ての手形証券類を統一して取り扱い、手形証券類の仕訳処理を効率良く行うようにするために、手形から読み取った磁気文字、たとえば、MICR(Magnetic Ink Character Recognition:磁気文字認識)用の文字データ、手形から読み取った表面イメージ、この表面イメージを文字認識した文字認識データおよび画像処理を施した特徴データを生成すると共に、この表面イメージに基づいてMICR文字(磁気文字)を印字する際に、特徴データの一致を条件にMICR文字を印字するようにした帳票処理装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−282387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1の帳票処理装置にあっては、処理対象を手形とすると共に、手形の特徴データの一致を条件としてMICR文字を印字するようにしたもので、証券の種類に応じて手形処理あるいは小切手処理を選択的に実行することを前提とするものではなく、手形を統一して取り扱うようにしたものであった。
ところで、金融機関の事務センタにおいて、手形、小切手を印刷発行した後の流通証券を処理する場合、顧客から代金の取り立てを委託された銀行では、その手形を支払期日まで保管する期日管理を行うようにしている。すなわち、たとえば、A銀行から発行された手形を受け取ったA顧客は、この手形に要件(金額、支払期日)を記入した後に、その支払先であるB顧客に手形を渡すと、B顧客は、自己の口座があるB銀行に対して代金の取り立てを依頼する。B銀行は、この手形をその支払期日まで保管した後に、その支払期日に達した際、その手形を交換所に持ち出す。A銀行は、持ち帰った手形を処理し、そのA顧客の口座からB銀行側のB顧客の口座に資金を振り込んで決済を行う。このようにB銀行は、顧客から代金の取り立てを委託された手形をその支払期日まで保管する期日管理を行うが、この期日管理は、一般に次ぎの手順で行うようにしていた。
【0004】
すなわち、手形の期日管理は、一般に、「事前読込処理」、「要件入力処理」、「要件印字処理」、「入庫処理」、「出庫処理」の順で行われる。ここで、「事前読込処理」では、受入手形のMICR文字印字欄の空白部分(補助自行欄)に一連番号をMICR文字にて印字すると共に、MICR文字印字欄から読み取ったMICR情報を一連番号に対応付けて手形明細管理トランザクションファイルに格納しておく。その後、「要件入力処理」では、MICR情報以外の要件データ(金額、支払期日など)が入力されると、一連番号をキーにして手形明細管理トランザクションファイルを検索し、対応するレコード位置に入力要件データを格納する。次ぎの「要件印字処理」では、MICR文字印字欄から一連番号を読み取って認識し、この一連番号をキーとして手形明細管理トランザクションファイルをアクセスし、金額などの入力要件データを取得してMICR文字印字欄の空白部分(補助自行欄)にMICR文字にて印字する。
【0005】
このようにして要件印字を終えた手形をその支払期日ごとなどに分類して保管庫に収納する。その際、手形から一連番号を読み取って、手形明細管理トランザクションファイルの内容と照合することによって分類特定を行う。そして、支払期日となった手形を保管庫から取り出し、手形を持ち出す準備を行う。この場合、出庫対象の手形から一連番号を読み取って、手形明細管理トランザクションファイルの内容と照合することによって出庫対象かどうかの判断を行う。このように手形に一連番号を印字することによって手形現物と手形明細管理トランザクションファイルの内容との関連付けが可能となり、期日管理を確実かつ安全に行うことができる。
【0006】
図18は、持出銀行側(B銀行側)における受入手形(約束手形)のフォーマット例を示した図である。
この手形のMICR文字印字欄Xには、MICR用の特殊文字によって「種別コード」、「交換所番号」、「支払銀行コード」、「支払支店コード」、「支払口座番号」などがMICRプリンタを使用して印字されるMICR文字印字欄Xが設けられ、また、MICR文字印字欄X以外の券面部Yには、「表題」、「金融機関名」、「支払地」、「支払期日」、「ロゴマーク」などが通常文字にて印字されていると共に、金額記入欄などが印字されている。なお、MICR文字印字欄Xには、一連番号などの印字領域X−1と金額の印字領域X−2が設けられている。図19は、手形のMICR文字印字欄Xに「一連番号」をMICR文字にて印字した例を示し、図20は、手形のMICR文字印字欄Xに「一連番号」と要件データとしての「支払期日」、「金額」をMICR文字にて印字した例を示している。
【0007】
このように手形には、持出銀行(B銀行)が自由に使用可能な補助自行欄(MICR文字印字欄の空白部分)が存在しているため、一連番号などをMICR文字にて印字することが可能であるが、小切手は手形と比較して横縦サイズが小さく、そのMICR文字印字欄には、一連番号をMICR文字にて印字することができるスペースは存在していない。そこで、従来においては、手形と同様に代金取り立ての期日が先となる小切手、つまり、先日付小切手を処理するために、以下の方法を採用している。すなわち、キャリアエンベロープと呼ばれる半透明袋が設けられた台紙に先日付小切手を収めて処理する方法と、先日付小切手の一端部に用紙を貼り付けて継ぎ足す方法を採用するようにしている。
【0008】
図21は、持出銀行側における受入小切手をキャリアエンベロープに格納した状態を示し、台紙の左下部分に「一連番号」を印字することができ、また、図22は、小切手の一端に用紙を貼り付けた状態を示し、用紙の左下部分に「一連番号」を印字することができるが、キャリアエンベロープ、貼り付け用紙を用意しておく必要があるほか、キャリア内に先日付小切手を収納したり、用紙を貼り付ける手作業を必要とし、また、現物の小切手自体には金額などの要件を印字することができず、さらに、キャリア内から小切手が抜け落ちたり、用紙が剥がれるなどの事故が発生する危険性があった。
【0009】
この発明の課題は、手形と小切手とが混在して証券収納部内に収められている状態でも、特別な作業を強要することなく、手形に関する処理と同様、小切手にも一連番号などの証券識別情報を印字することができると共に、この証券識別情報をキーとして小切手に関する証券情報を管理できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、証券収納部から取り出された証券の種類に応じて手形処理あるいは小切手処理を選択的に実行する証券処理装置であって、手形と小切手とが混在して収納されている証券収納部から証券が取り出された際に、その証券の特性に応じて当該証券は手形か小切手かを判別する判別手段と、この判別手段によって手形であることが判別された場合に、証券識別情報を生成すると共に、手形の磁気文字印字欄の空白部分に証券識別情報を磁気文字にて印字するほかに、この証券識別情報を証券情報検索用のキー情報として当該手形の証券情報に対応付けて記憶管理する手形処理手段と、前記判別手段によって小切手であることが判別された場合に、証券識別情報を生成すると共に、小切手の磁気文字印字欄以外の券面空白部分に証券識別情報を印字するほかに、この証券識別情報を証券情報検索用のキー情報として当該小切手の証券情報に対応付けて記憶管理する小切手処理手段とを具備したことを特徴とする。
さらに、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項11記載の発明)。
ここで、証券情報とは、「MICR文字情報」、「金額、支払期日などの要件」などであったり、「一連番号」、「証券イメージ」などであってもよく、証券に関する情報であることを示している。
【0011】
なお、請求項1記載の発明は次のようなものであってもよい。
前記証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの時間を計時する計時手段と、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの間に証券搬送用の駆動モータに印加された駆動パルス数を計数する駆動パルス計数手段とを設け、前記判別手段は、前記計測時間が予め決められている制限時間に達していないことを条件に、前記モータに印加された駆動パルスの計数値を証券の長さとして特定し、この証券の長さに基づいて手形か小切手かを判別する(請求項2記載の発明)。
【0012】
前記証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、証券の形状イメージを読み取るイメージ読取手段を設け、前記判別手段は、前記イメージ読取手段によって読み取られた証券イメージの全体形状を解析することで当該証券の形状特性を特定し、この特定形状に基づいて手形か小切手かを判別する(請求項3記載の発明)。
【0013】
前記証券識別情報は、証券、手形に共通する一連番号であり、前記手形処理手段、小切手処理手段は、証券識別情報を生成する際に、一連番号を更新することによって証券識別情報を自動生成する(請求項4記載の発明)。
【0014】
前記証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、手形、小切手の全体イメージを読み取るイメージ読取手段を設け、前記手形処理手段は、前記判別手段によって手形であることが判別された場合に、前記証券識別情報を磁気文字印字欄の空白部分に印字するほかに、前記イメージ読取手段によって読み取られた手形の全体イメージを当該証券識別情報に対応付けて記憶管理し、前記小切手処理手段は、前記判別手段によって小切手であることが判別された場合に、前記証券識別情報を磁気文字印字欄以外の券面空白部分に印字するほかに、前記イメージ読取手段によって読み取られた小切手の全体イメージを当該証券識別情報に対応付けて記憶管理する(請求項5記載の発明)。
【0015】
この場合、前記証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、手形、小切手の磁気文字印字欄から磁気文字情報を読み取る磁気文字情報読取手段を設け、前記手形処理手段は、前記判別手段によって手形であることが判別された場合に、前記証券識別情報を磁気文字印字欄の空白部分に印字するほかに、前記磁気文字情報読取手段によって読み取られた磁気文字情報を当該証券識別情報に対応付けて記憶管理し、前記小切手処理手段は、前記判別手段によって小切手であることが判別された場合に、前記証券識別情報を磁気文字印字欄以外の券面空白部分に印字するほかに、磁気文字情報読取手段によって読み取られた磁気文字情報を当該証券識別情報に対応付けて記憶管理するようにしてもよい(請求項6記載の発明)。
【0016】
証券に記入されている金額、支払期日の各要件のうち、少なくとも、金額データが入力された際に、この入力要件データを前記証券識別情報に対応付けて記憶管理する(請求項7記載の発明)。
【0017】
この場合、証券の磁気文字印字欄に記録されているデータ以外の要件データを証券の券面に印字する際に、前記判別手段によって手形であることが判別された場合に、磁気文字印字欄から証券識別情報を光学的に読み取って認識すると共に、この証券識別情報に対応付けて記憶管理されている入力要件データを読み出し、この入力要件データを磁気文字印字欄の空白部分に磁気文字にて印字し、前記判別手段によって小切手であることが判別された場合に、小切手の券面に印字されている証券識別情報を光学的に読み取って認識すると共に、この証券識別情報に対応付けて記憶管理されている入力要件としての金額データを読み出し、この金額データを磁気文字印字欄の空白部分に磁気文字にて印字するようにしてもよい(請求項8記載の発明)。
【0018】
さらに、証券識別情報を光学的に読み取るための光源として、赤外線光源、白色光源の何れかを点灯駆動させるかを切り換える光源切換手段を設け、この光源切換手段は、小切手の券面に印字されている証券識別情報を読み取る際に、予め設定されている使用光源設定情報に基づいて白色光源を点灯駆動させるか、赤外線光源を点灯駆動させるかの切り換えを制御するようにしてもよい(請求項9記載の発明)。
【0019】
前記小切手処理手段は、予め小切手の券面に証券識別情報を印字させるか否かが任意に設定されていると共に、証券識別情報の印字領域を示す座標値が任意に設定されている印字設定データを参照し、証券識別情報を印字すべきことが設定されている場合には、前記印字設定データから証券識別情報の印字領域を示す座標値を読み出し、この座標値で示される印字領域内に証券識別情報を印字する(請求項10記載の発明)。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、手形と小切手とが混在して収納されている証券収納部から証券が取り出された際に、その証券の特性(たとえば、形状特性、データ特性)に応じて当該証券は手形か小切手かを判別し、手形であれば、証券識別情報を生成すると共に、手形の磁気文字印字欄の空白部分に証券識別情報を磁気文字にて印字するほかに、この証券識別情報を証券情報検索用のキー情報として当該手形の証券情報に対応付けて記憶管理し、小切手であれば、証券識別情報を生成すると共に、小切手の磁気文字印字欄以外の券面空白部分に証券識別情報を印字するほかに、この証券識別情報を証券情報検索用のキー情報として当該小切手の証券情報に対応付けて記憶管理するようにしたから、手形と小切手とが混在して証券収納部内に収められている状態でも、金融機関側に特別な作業を強要することなく、手形に関する処理と同様に、小切手にも証券識別情報を印字することができると共に、この証券識別情報をキーとして小切手に関する証券情報を管理することができ、手形と小切手とを同様に取り扱うことが可能となる。
したがって、手形の期日管理のほか、先日付付き小切手に対しても手形と同様な期日管理が可能となり、従来のように、キャリアエンベロープと呼ばれる半透明袋が設けられた台紙に先日付小切手を収めて処理したり、先日付小切手の一端部に用紙を貼り付けて処理する必要もなく、また、証券を出庫するときに小切手をキャリアエンベロープから抜き取ったり、継ぎ足した用紙を剥がし取る作業も不要となるなど、処理全体を効率良く行うことが可能となる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有する他、証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの時間を計時すると共に、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの間に証券搬送用の駆動モータに印加された駆動パルス数を計数し、この計測時間が予め決められている制限時間に達していないことを条件に、モータ駆動パルスの計数値を証券の長さとして特定し、この証券の長さに基づいて手形か小切手かを判別するようにしたから、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの時間がその制限時間内であることを条件に、つまり、紙詰まり、用紙のスリップなどのトラブルが発生していないことを条件に、証券搬送用の駆動モータに印加された駆動パルス数を証券の長さとして特定することができ、確実な判別が可能となる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有する他、証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、証券の形状イメージを読み取り、この証券イメージの全体形状を解析することによって当該証券の形状特性を特定し、この特定形状に基づいて手形か小切手かを判別するようにしたから、イメージ画像を解析することによって証券の縦の長さ、横の長さ、縦横比などを総合的に考慮して手形か小切手かをより正確に判別することができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有する他、証券識別情報は、証券、手形に共通する一連番号であり、証券識別情報を生成する際に、一連番号を更新することによって証券識別情報を自動生成するようにしたから、手形と小切手に分けず、同じ証券として取り扱うことができ、手形と小切手との一元管理が可能となる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有する他、証券が手形であれば、証券識別情報を磁気文字印字欄の空白部分に印字するほかに、この手形の全体イメージを当該証券識別情報に対応付けて記憶管理し、小切手であれば、証券識別情報を磁気文字印字欄以外の券面空白部分に印字するほかに、この小切手の全体イメージを当該証券識別情報に対応付けて記憶管理するようにしたから、手形、小切手のイメージと証券識別情報とを対応付けて記憶管理することができ、証券識別情報を検索キーとして指定するだけでその証券イメージを自由に取得することが可能となる。
【0025】
この場合、証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、手形、小切手の磁気文字印字欄から磁気文字情報を読み取り、その証券が手形であれば、証券識別情報を磁気文字印字欄の空白部分に印字するほかに、この磁気文字情報を当該証券識別情報に対応付けて記憶管理し、小切手であれば、証券識別情報を磁気文字印字欄以外の券面空白部分に印字するほかに、この磁気文字情報を当該証券識別情報に対応付けて記憶管理するようにしたから(請求項6記載の発明)、証券識別情報を検索キーとして指定するだけで、証券毎にその全体イメージと共にその磁気文字情報も自由に取得することが可能となる。
【0026】
請求項7記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有する他、証券に記入されている金額、「支払期日の各要件のうち、少なくとも、金額データが入力された際に、この入力要件データを前記証券識別情報に対応付けて記憶管理するようにしたから、たとえば、先日付小切手において、その券面の任意の個所に支払期日が記入されている場合、この小切手イメージが証券識別情報に対応付けて記憶管理されているので、証券識別情報を指定するだけで対応する小切手イメージを呼び出すことができる。
【0027】
この場合、証券の磁気文字印字欄に記録されているデータ以外の要件データを証券の券面に印字する際に、その証券が手形であれば、磁気文字印字欄から証券識別情報を光学的に読み取って認識すると共に、この証券識別情報に対応付けて記憶管理されている入力要件データを読み出し、この入力要件データを磁気文字印字欄の空白部分に磁気文字にて印字し、小切手であれば、小切手の券面に印字されている証券識別情報を光学的に読み取って認識すると共に、この証券識別情報に対応付けて記憶管理されている入力要件としての金額データを読み出し、この金額データを磁気文字印字欄の空白部分に磁気文字にて印字するようにしたから(請求項8記載の発明)、証券イメージ内から視読した「金額」、「支払期日」などを要件データとして入力することによって、証券識別情報と要件データとを対応付けて記憶管理することができ、手形の期日管理のほか、先日付小切手に対しても同様な期日管理が可能となる。
【0028】
さらに、小切手の券面に印字されている証券識別情報を読み取る際に、予め設定されている使用光源設定情報に基づいて白色光源を点灯駆動させるか、赤外線光源を点灯駆動させるかの切り換えを制御するようにしたから(請求項9記載の発明)、小切手の券面に印字されている証券識別情報を読み取る際に、必要に応じて光源を任意に切り換えることができると共に、券面全体に施されている地紋の印刷色などの影響を赤外線光源によって極力抑えることができ、証券識別情報を良好に読み取ることが可能となる。
【0029】
請求項10記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有する他、予め小切手の券面に証券識別情報を印字させるか否かが任意に設定されていると共に、証券識別情報の印字領域を示す座標値が任意に設定されている印字設定データを参照し、証券識別情報を印字すべきことが設定されている場合には、印字設定データから証券識別情報の印字領域を示す座標値を読み出し、この座標値で示される印字領域内に証券識別情報を印字するようにしたから、小切手の券面に証券識別情報を印字させるか否かを任意に選択可能であると共に、証券識別情報の印字領域も任意に変更可能となり、必要に応じた対応によって自由度を増すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図1〜図17を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、この実施例における証券処理装置の外観斜視図である。
この証券処理装置は、金融機関側において顧客から代金の取り立てを委託された証券(手形、小切手)をその支払期日まで保管する期日管理処理を行うもので、この期日管理処理は、上述したように「事前読込処理」、「要件入力処理」、「要件印字処理」のほか、「入庫処理」、「出庫処理」を順次実行する。この場合、「事前読込処理」では、手形のほか、先日付小切手にも一連番号(証券識別情報)を印字すると共に、この一連番号と証券情報とを対応付けて記憶管理するほか、証券の要件データを印字する「要件印字処理」の際に、一連番号を読み取って認識すると共に、この一連番号に対応付けて記憶管理されている入力要件データを読み出し、この入力要件データを証券のMICR文字(磁気文字)印字欄の空白部分にMICR文字(磁気文字)にて印字するようにしている。
なお、MICR文字の印刷には、一般に特殊の磁気インクを使用しているが、磁気成分(酸化鉄)を適量配合した磁気トナーを使用して印刷するようにしてもよい(以下、同様)。
【0031】
この証券処理装置において、その装置本体1は、その全体形状が細長の机状を成しており、この本体1の上面一端部(図中、左端部)には、証券を収納するホッパー部2が設けられ、また、上面他端部(図中、右端部)には、分類別ポケット付きスタッカ部3が設けられており、このホッパー部2とスタッカ部3とは、証券搬送路4を介して接続されている。この証券搬送路4は、搬送用モータ群(図示せず)を駆動することによって搬送ローラ群(駆動ローラ、送りローラ)によって証券をホッパー部2からスタッカ部3まで一定速度で走行移動させるものである。なお、装置本体1の机面において、その中央部分は任意に使用可能な作業台となっている。また、ホッパー部2の近傍には、証券に関する情報などを表示する液晶画面等の表示装置5と、証券データなどを入力するキーボード6などが配置されている。さらに、証券搬送路4に沿ってその近傍には、各種のデバイスユニット(後述する)が配置されている。
【0032】
なお、この実施例において、ホッパー部2に収納可能な証券としては、手形に限らず、先日付小切手も混在して収納してもよく、しかも、上述したキャリアエンベロープに先日付小切手を収めたり、先日付小切手の一端部に用紙を貼り付けて継ぎ足す必要はなく、ホッパー部2に先日付小切手をそのまま収納するようにしている。すなわち、手形と小切手の縦幅サイズ、横幅サイズは、かなり相違しており、手形>小切手の関係にあるが、この実施例の証券処理装置においては、手形と小切手とを処理対象としてホッパー部2に混在して収納しても、小切手を手形と同様に処理可能となっている。ここで、ホッパー部2から1枚ずつ繰り出された証券は、その搬送路4を介してスタッカ部3まで搬送されてその分類別ポケット内に投入収納されるが、その際、証券搬送路4に沿って配置されている各デバイスユニットによって各種の処理が逐次実行される。
【0033】
図2は、ホッパー部2とスタッカ部3とを接続する証券搬送路4に沿って順次配置されている各種のデバイスユニットを示した図である。
なお、図中のシンボル表記において、証券搬送路4に沿って示した「上下一対の丸印」は、証券を搬送するための搬送ローラを示したシンボルであり、また、証券搬送路4に対して直角に引いた「1本の線分」は、各種のセンサを示したシンボルであり、この搬送ローラおよびセンサは、証券搬送路4上の必要個所にそれぞれ配置されている。ここで、各デバイスユニットの入口側には、証券の到来を検出するための入口センサESが設けられ、また、各デバイスユニットの出口側には、証券の通過を検出するための出口センサOSが設けられている。なお、入口センサESと出口センサOSは、証券によって赤外線が遮断したか否かを光学的に検知する通常の赤外線センサであるが、勿論、その他のセンサを使用してもよい。
【0034】
先ず、ホッパー部2からスタッカ部3まで証券搬送路4を介して証券が搬送されてゆく過程において、ホッパー部2の近傍には、給紙ローラ群7と証券の長さを検出するための証券長さ検出部8が設けられている。
図3は、証券長さ検出部8の付近において、証券搬送路4の構成を詳述に示すと共に、証券長さ検出部8の配置状態を示した図であり、(A)は、証券搬送路4の概略側面図、(B)は、その概略上面図である。この証券搬送路4は、搬送ベース板4Aの両側にガイド板4Bを直角に立ち上げることによって搬送用の走行溝(走行レール)を有する構成で、このガイド板4Bの開口部には、搬送ローラ群9の一部分が挿入配置されている。
【0035】
証券長さ検出部8は、ガイド板4Bに取り付けられた発光側センサ8Aと受光側センサ8Bとを有する構成で、ホッパー部2から1枚毎に繰り出された証券によって光が遮断されたか否かに応じて証券が到来したか、通過したかを検出する。ここで、この実施例における証券処理装置は、この証券長さ検出部8によって証券の到来が検出されてから証券の通過が検出されるまでの時間を計時すると共に、証券の到来が検出されてから証券の通過が検出されるまでの間に証券搬送用の駆動モータ(図示せず)に印加された駆動パルス数を計数し、この計測時間が予め決められている制限時間に達していないことを条件(紙詰まり、用紙スリップなどが発生していないことを条件)に、当該モータに印加された駆動パルスの計数値を証券の長さとして特定し、この証券の長さに基づいて手形か小切手かを判別するようにしている。
【0036】
証券長さ検出部8を通過した証券は、フロントイメージキャプチャ部10に送られる。このフロントイメージキャプチャ部10は、上述した「事前読込処理」、「要件入力処理」を実行した後の「要件印字処理」において、搬送中の証券が小切手であると判別された際に、小切手の表面全体のイメージを読み取るイメージリーダである。ここで、この実施例における証券処理装置は、フロントイメージキャプチャ部10によって読み取られた小切手のイメージデータから一連番号部分を切り出すと共に、この切り出した一連番号部分を文字認識することによって一連番号(数値列データ)を得るようにしている。
図4は、フロントイメージキャプチャ部10の構成を示し、(A)は、フロントイメージキャプチャ部10の概略側面図、(B)は、その概略上面図である。フロントイメージキャプチャ部10は、後述するCIS本体(光源付きのコンタクトイメージセンサ)10Aを有する構成で、証券搬送路4を構成する一方のガイド板4Bにおいて、その開口部にCIS固定金具10Bを介して取り付けられており、ガイド板4Bの反対側に取りつけられたピンチローラ10Cと対向し、また、その全体の長さは、証券の高さ以上のサイズを持ち、証券全体のイメージを読み取るようにしている。
【0037】
図5は、フロントイメージキャプチャ部10において、そのCIS本体10Aの構成を示した図である。
CIS本体10Aは、その長さ方向に沿った撮像素子(CCD)搭載基板100Aと証券(小切手)を照明する光源としての複数の白色LED(発光ダイオード)100Bおよび赤外線LED100Cを有している。この複数の白色LED100B、赤外線LED100Cは、直線的に配列されたもので、各LEDは個別に発光制御可能となっている。この場合、小切手の券面に印字されている一連番号を読み取る際に、予め設定されている使用光源設定データ(図15参照)に基づいて白色LED100Bを点灯駆動させるか、赤外線LED100Cを点灯駆動させるかを切り換え制御するようにしている。すなわち、赤外線LED100Cを点灯駆動によって券面全体に施されている地紋の印刷色などの影響を極力抑えるようにしている。この場合、白色LED100Bを点灯駆動させるか、赤外線LED100Cを点灯駆動させるかは、オペレータが使用光源設定データの内容を変えることによって任意に選択可能となっている。
【0038】
フロントイメージキャプチャ部10を通過した証券は、MICR(Magnetic Ink Character Recognition:磁気文字認識)リーダ部11に送られる。このMICRリーダ部11は、証券(手形、小切手)の一部であるMICR文字(磁気インク)印字欄の内容を読み取るリーダで、上述した「事前読込処理」、「要件入力処理」を実行した後の「要件印字処理」において搬送中の証券が手形であると判別された際には、MICR文字印字欄に印字されている一連番号をも含めて読み取るようにしている。
このMICRリーダ部11を通過した証券は、MICRプリンタ部12に搬送される。このMICRプリンタ12は、インクリボン式のプリンタであり、MICR文字(磁気文字)を印字するもので、「事前読込処理」において、搬送中の証券が手形であれば、そのMICR文字印字欄の空白部分(補助自行欄)に「一連番号」を印字し、「要件入力処理」において搬送中の証券が手形であれば、「支払期日」、「金額」を印字するようにしている。
【0039】
MICRプリンタ12を通過した証券は、券面プリンタ部13に搬送される。この券面プリンタ部13は、通常の券面印字用のインクリボン式プリンタであり、「事前読込処理」において、搬送中の証券が小切手であれば、この小切手の券面所定位置(MICR文字印字欄以外の空白部分)に「一連番号」を印字するものである。
図6は、小切手の券面所定位置に「一連番号」が印字された小切手の印字例を示した図である。小切手のMICR文字(磁気文字)印字欄とそれ以外の券面との境界付近において、図中、左端部の空白部分に「一連番号」として“20341”を印字した場合である。なお、「一連番号」の印字位置は、当該部分に限らず、任意であり、たとえば、金額欄の右側近傍に印字するようにしてもよい。
【0040】
券面プリンタ部13を通過した証券は、リヤイメージキャプチャ部14に搬送される。このイメージキャプチャ部14は、証券の表裏両面のイメージを読み取るもので、表面イメージ読み取り用のCIS本体14Aと、裏面イメージ読み取り用のCIS本体14Bとを有している。このCIS本体14A、14Bは、光源付きのコンタクトイメージセンサである。そして、このイメージキャプチャ部14を通過した証券は、分類別ポケット付きスタッカ部3に搬送されるが、その際、この証券は金融機関別に分類されて対応する分類別ポケット内に投入格納される。
【0041】
図7は、証券処理装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
CPU21は、記憶部22内のオペレーティングシステム、各種アプリケーションソフトに応じてこの証券処理装置の全体動作を制御する中央演算処理装置である。記憶部22は、プログラム領域とデータ領域とを有し、磁気的メモリ、光学的メモリ、半導体メモリ等の他、その駆動系を有する構成となっている。この記憶部22内のプログラム領域には、後述する図8〜図14に示す動作手順に応じて本実施例を実現する為のアプリケーションプログラムが格納され、また、そのデータ領域には、後述する図15〜図17に示すデータ(一連番号管理データ、小切手番号印字位置設定データ、使用光源設定データ、証券明細管理トランザクションファイル、イメージデータ格納専用ファイル)が格納されている。この記憶部22内のプログラム、データは、必要に応じてRAM(たとえば、スタティックRAM)23にロードされたり、このRAM23内のデータが記憶部22にセーブされる。なお、RAM23は、プログラム実行領域と作業領域とを有している。
【0042】
さらに、CPU21は、通信装置24を介して他の電子機器側のプログラム/データを直接アクセスしたり、通信装置24を介してダウンロード受信することもできる。一方、CPU21には、その入出力周辺デバイスである表示装置5およびキーボード6がバスラインを介して接続されていると共に、証券搬送路4に沿って配置されている各種デバイスユニット、すなわち、ホッパー部2、証券長さ検出部8、フロントイメージキャプチャ部10、MICRリーダ部11、MICRプリンタ部12、券面プリンタ部13、リヤイメージキャプチャ部14、スタッカ部3が対応する制御部25〜32、メイン制御部33を介して接続されている。また、CPU21にはメイン制御部33を介して搬送制御部34が接続されている。搬送制御部34は、搬送ローラ群9、センサ群などの駆動を制御するもので、この搬送制御部34には、各種デバイスユニットとしてホッパー部2、証券長さ検出部8、フロントイメージキャプチャ部10、MICRリーダ部11、MICRプリンタ部12、券面プリンタ部13、リヤイメージキャプチャ部14、スタッカ部3にそれぞれ接続されている。
【0043】
次ぎに、この実施例における証券処理装置の動作概念を図8〜図14に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体の他に、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施例特有の動作を実行することもできる。
【0044】
図8は、事前読込処理の開始指示に応答して実行される事前読込処理の全体概要を示したフローチャートである。
先ず、CPU21は、事前読込処理の開始が指示されると、証券搬送路4上の各種のデバイスユニット、モータ群、センサ群に対して駆動指令を与えた後(ステップA1)、各種のデバイスユニットの動作が安定するまでの時間(たとえば、数秒程度)待機する(ステップA2)。その後、給紙ローラ群7を制御してホッパー部2内の証券を搬送路4に給紙する搬送動作を開始させる(ステップA3)。
【0045】
ここで、証券が給紙されたことがセンサ検出されると(ステップA4でYES)、この証券は手形か小切手かの判別を行う証券種別判別処理を実行し(ステップA5)、給紙証券が手形であれば、手形の事前読込処理を実行するが(ステップA6)、小切手であれば、小切手の事前読込処理を実行する(ステップA7)。そして、ホッパー部2内の全ての証券を処理し終わったこと(証券無し)がセンサ検出されたり、オペレータ指示によって事前読込処理の終了が指示されたか否かをチェックする(ステップA8)。ここで、ホッパー部2内に未処理の証券が残っていたり、オペレータ指示からの終了指示がない場合には、ステップA4に戻り、以下、ホッパー部2から次ぎの証券が給紙される毎に、上述の動作が繰り返される(ステップA4〜A8)。
【0046】
図9は、図8の証券種別判別処理(ステップA5)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、CPU21は、証券長さ検出部8からのセンサ検出信号を受け取ってそのON/OFF状態をチェックし、証券の到来によって光が遮断されてセンサ検出信号がONされた際には(ステップA50でYES)、タイマの計時動作をスタート (クリアスタート) させる(ステップA51)。そして、証券搬送用の駆動モータ(図示せず)の印加パルス数をカウントする(ステップA52)。そして、証券長さ検出部8からのセンサ検出信号を受け取って証券の通過によってセンサ検出信号がOFFされたか否かをチェックし(ステップA53)、センサ検出信号がONのままであれば(ステップA53でNO)、ステップA51に戻って証券搬送用の駆動モータの印加パルス数をカウントし続ける。
【0047】
ここで、証券の通過によってセンサ検出信号がOFFされた場合には(ステップA53でYES)、タイマ計時をストップさせると共に(ステップA54)、上述のパルスカウントをストップさせる(ステップA55)。そして、このタイマ時間は予め設定されている制限時間内か否かをチェックする(ステップA56)。この場合、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの時間がその制限時間内であることを条件、つまり、紙詰まり、用紙のスリップなどのトラブルが発生していないことを条件に(ステップA56でYES)、証券搬送用の駆動モータに印加された駆動パルス数(パルスカウント値)に基づいて証券の長さ(長手方向のサイズ)を特定する(ステップA57)。
【0048】
この場合、「1パルスの送り量×パルスカウント数=証券の長さ」となるが、証券搬送時のわずかなスリップなどを考慮した値を証券の長さとして特定すると共に、この証券の長さに基づいて手形か小切手かの判別を行う(ステップA58)。すなわち、いま、小切手の長さが「169mm」で、手形の長さが「216mm」であり、その差が「47mm」である場合に、パルスカウント値に証券搬送時のわずかなスリップなどを考慮した値を「169+α」とすると、証券は手形であると判別し、パルスカウント値に証券搬送時のわずかなスリップなどを考慮した値を「216+β」とすると、証券は小切手であると判別する。
一方、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの時間がその制限時間を超えた場合には(ステップA56でNO)、紙詰まり、用紙のスリップなどのトラブルが発生したものとして認識し、CPU21は、証券ジャム警告などをアラーム音で報知したり、警告メッセージを表示出力させる(ステップA59)。
【0049】
図10は、図8の手形事前読込処理 (ステップA6)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、CPU21は、フロントイメージキャプチャ部10および券面プリンタ部13を無効にする使用対象外デバイスとする(ステップA60)。なお、使用対象外として指定された各デバイスユニットは、使用対象外となっても動作可能な状態を保持しているが、CPU21と当該デバイスユニットとの間でデータの授受は行われず、これらのデバイスユニットを処理的に単に通過するだけであることを意味している(以下、同様)。この状態において、手形がMICRリーダ部11の近傍に達したことがセンサ検出されると、MICRリーダ部11は、手形のMICR文字(磁気文字)印字欄からMICR(Magnetic Ink Character Recognition:磁気文字認識)情報「種別コード」、「交換所番号」、「支払銀行コード」、「支払支店コード」、「支払口座番号」を読み取る(ステップA61)。
【0050】
すると、CPU21は、図15で示した一連番号管理データ41を読み出し、この一連番号を「+1」する更新処理を実行することによって新たな一連番号を生成する(ステップA62)。なお、一連番号管理データ41は、現時点における最新の一連番号、つまり、最終の一連番号を記憶管理するもので、この一連番号は、たとえば、6桁〜12桁構成となっており、新たな一連番号が生成される毎に、一連番号管理データ41の内容が「+1」ずつ更新される。このようにして新たな一連番号を生成した後、CPU21は、MICRリーダ部11によって読み取られたMICR情報を当該新たな一連番号に対応付けて証券明細管理トランザクションファイル44に格納する(ステップA63)。
【0051】
図16は、証券明細管理トランザクションファイル44の1レコード分のデータ内容を示した図である。
この証券明細レコードは、証券毎に生成されたレコードであり、「一連番号」、「支払期日」、「交換所番号」、「支払銀行コード」、「支払支店コード」、「支払口座番号」、「金額」、「支払人カナ名」、「支払人漢字名」の各項目を有していいる。この証券明細レコードを構成する各項目のうち、「交換所番号」、「支払銀行コード」、「支払支店コード」、「支払口座番号」は、MICRリーダ部11によって現物から読み取ったMICR情報であり、また、「一連番号」は、上述のようにして自動生成した情報であり、その他の「支払期日」、「金額」、「支払人カナ名」、「支払人漢字名」は、要件入力処理によってオペレータがキー入力したデータである。
【0052】
そして、手形がMICRプリンタ部12の近傍に達したことがセンサ検出されると、CPU21は、上述のようにして自動生成した新たな一連番号をMICR文字(磁気文字)としてMICRプリンタ部12に送り、手形のMICR文字印字欄の空白部分(補助自行欄)に「一連番号」を通常と同様に印字させる(ステップA64)。さらに、手形がリヤイメージキャプチャ部14の近傍に達したことがセンサ検出されると、リヤイメージキャプチャ部14は、手形の表裏両面の全体イメージを読み取る(ステップA65)。すると、CPU21は、手形の表面イメージおよび裏面イメージを取得し、上述のようにして自動生成した新たな一連番号に対応付けて表面イメージおよび裏面イメージをイメージデータ格納専用ファイル45にセットする(ステップA66)。
【0053】
図17は、イメージデータ格納専用ファイル45の内容を示した図である。
このイメージデータ格納専用ファイル45は、証券毎に自動生成された一連番号に対応付けてその証券の全体イメージデータ(表面イメージ、裏面イメージ)を記憶管理するもので、このイメージデータは、一連番号をキーとして証券毎に読み出される。
次ぎに、リヤイメージキャプチャ部14を通過した手形が分類別ポケット付きスタッカ部3の近傍に達したことがセンサ検出されると、この手形は通常と同様に、その支払銀行に対応する分類別ポケットに投入格納される(ステップA67)。
【0054】
図11は、図8の小切手事前読込処理 (ステップA7)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、CPU21は、フロントイメージキャプチャ部10およびMICRプリンタ部12を無効とする使用対象外デバイスとする(ステップA70)。この状態において、小切手がMICRリーダ部11の近傍に達したことがセンサ検出されると、MICRリーダ部11は、小切手のMICR文字印字欄からMICR情報を読み取る(ステップA71)。すると、CPU21は、図15に示した一連番号管理データ41を読み出し、この一連番号を「+1」する更新処理を実行して新たな一連番号を生成すると共に(ステップA72)、MICRリーダ部11によって読み取られたMICR情報を新たな一連番号に対応付けて証券明細管理トランザクションファイル44に格納する(ステップA73)。
【0055】
そして、小切手が券面プリンタ部13の近傍に達したことがセンサ検出されると、小切手の券面に一連番号を印字するか否かをチェックする(ステップA74)。この場合、図15に示す小切手番号印字位置設定データ42を参照して一連番号を印字するか否かの判別を行う。すなわち、小切手番号印字位置設定データ42は、小切手の券面所定位置に一連番号を印字させるか否かを任意に選択可能な制御データとしての「ON/OFF」の設定データと、「一連番号の印字位置を示すためのX座標」、「一連番号の印字位置を示すためのY座標」を有し、これらは予め任意に設定されたものであり、必要に応じてその設定内容を変更できる。ここで、制御データが「ON」に設定されていれば、券面プリンタ部13にて小切手の券面に一連番号の印字を行うが(ステップA75)、制御データが「OFF」に設定されていれば、ステップA75はスキップされ、通常と同様、一連番号の印字は行われない。
【0056】
ここで、小切手の券面に一連番号を印字すべきことが設定されている場合において、CPU21は、小切手番号印字位置設定データ42内から「一連番号の印字位置を示すX座標」、「一連番号の印字位置を示すY座標」を読み出し、この「X座標」、「Y座標」で示される券面の所定位置に「一連番号」を券面プリンタ部13にて印字させるが、この「X座標」、「Y座標」は、一連番号が印字される領域の一点を示すもので、たとえば、証券の左上の角部を座標系の原点とすると、この原点から一連番号印字領域の一点(たとえば、その左上角部)を示している。ここで、図6で示したように、小切手のMICR文字印字欄と券面との境界付近において、図中、左端部の空白部分に「一連番号」が印字される。すなわち、小切手の券面には、「振出地」の項目が存在しているが、この「振出地」と「MICR文字印字欄」との間には、1行分程度の空白領域が存在しているため、この「振出地」の下側の当該空白領域を利用して、たとえば、6桁〜12桁構成の「一連番号」を印字するようにしている。
【0057】
次ぎに、小切手がリヤイメージキャプチャ部14の近傍に達したことがセンサ検出されると、このイメージキャプチャ部14は、小切手の表裏両面の全体イメージを読み取る(ステップA76)。すると、CPU21は、手形の表面イメージおよび裏面イメージを当該キャプチャ部14から取得し、上述のようにして自動生成した新たな一連番号に対応付けて当該表面イメージおよび裏面イメージをイメージデータ格納専用ファイル45にセットする(ステップA77)。そして、このイメージキャプチャ部14を通過した小切手が分類別ポケット付きスタッカ部3の近傍に達したことがセンサ検出されると、この小切手は該当ポケットに投入格納される(ステップA78)。
【0058】
このようにして「事前読込処理」が終了した後、オペレータは、証券に記入されている「金額」、「支払期日」、「支払人かな名」、「支払人漢字名」の要件データを入力するための「要件入力処理」を行うようにしているが、この「要件入力処理」は、基本的には通常と同様であるため、そのフローチャートは図示省略する。この場合、証券毎に各要件データを入力する際に、その証券の一連番号に基づいてイメージデータ格納専用ファイル45をアクセスして対応する証券のイメージを読み出して表示出力させ、現物の証券と照合しながら行うことができ、また、証券の一連番号に基づいて証券明細管理トランザクションファイル44をアクセスし、入力された要件データを対応する証券明細レコード内の対応項目位置にセットすることができる。このようにして証券1枚毎に要件データを入力して証券明細管理トランザクションファイル44に登録する処理が終了すると、オペレータは、「要件印字処理」の実行を指示する。
【0059】
図12は、要件印字処理の開始指示に応答して実行される要件印字処理の全体概要を示したフローチャートである。
先ず、CPU21は、要件印字処理の開始が指示されると、証券搬送路4上の各種のデバイスユニット、モータ群、センサ群に対して駆動指令を与えた後(ステップB1)、各種のデバイスユニットの動作が安定するまでの時間(たとえば、数秒間程度)待機する(ステップB2)。その後、給紙ローラ群7を制御してホッパー部2内の証券を搬送路4に給紙する搬送動作を開始する(ステップB3)。ここで、証券が給紙されたことがセンサ検出されると(ステップB4でYES)、この証券は手形か小切手かの判別を行う証券種別判別処理を実行する(ステップB5)。なお、この場合の証券種別判別処理も上述した図9のフローチャートと同様である。
【0060】
この証券種別判別処理において、給紙された証券が手形であることが判別された場合には、手形の要件印字処理を実行するが(ステップB6)、小切手であることが判別された場合には、小切手の要件印字処理を実行する(ステップB7)。そして、ホッパー部2内の全ての証券を処理し終わったこと(証券無し)がセンサ検出されたり、オペレータ指示によって要件印字処理の終了が指示されたか否かをチェックする(ステップB8)。ここで、ホッパー部2内に未処理の証券が残っていたり、オペレータ指示からの終了指示がない場合には、ステップB4に戻り、以下、ホッパー部2から次ぎの証券が給紙される毎に上述の動作が繰り返される(ステップB4〜B8)。
【0061】
図13は、図12の手形要件印字処理(ステップB6)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、CPU21は、フロントイメージキャプチャ部10および券面プリンタ部13を無効にする使用対象外デバイスとする(ステップB60)。この状態において、手形がMICRリーダ部11の近傍に達したことがセンサ検出されると、MICRリーダ部11は、手形のMICR文字印字欄に印字されているMICR情報を読み取ると共に(ステップB61)、このMICR情報の中から「一連番号」の印字領域を特定し、この特定領域内のデータを「一連番号」として切り出して番号認識を行う(ステップB62)。これによって認識した「一連番号」に基づいて証券明細管理トランザクションファイル44を検索して(ステップB63)、該当する「金額」、「支払期日」の各項目データを読み出す(ステップB64)。
【0062】
ここで、手形がMICRプリンタ部12の近傍に達したことがセンサ検出されると、MICRプリンタ部12は、通常と同様に、手形のMICR文字印字欄における所定の空白領域(補助自行欄)に「金額」、「支払期日」をMICR文字にて印字する(ステップB65)。そして、手形がリヤイメージキャプチャ部14の近傍に達したことがセンサ検出されると、このイメージキャプチャ部14は、手形の表裏両面の全体イメージを読み取る(ステップB66)。すると、CPU21は、手形の表面イメージおよび裏面イメージを取得すると共に、当該一連番号に対応付けて表面イメージおよび裏面イメージをイメージデータ格納専用ファイル45にセットする(ステップB67)。次ぎに、手形が分類別ポケット付きスタッカ部3の近傍に達したことがセンサ検出されると、この手形はその支払銀行に対応する分類別ポケットに投入格納される(ステップB68)。
【0063】
図14は、図12の小切手要件印字処理 (ステップB7)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、CPU21は、MICRプリンタ部12を無効にする使用対象外デバイスとする(ステップB700)。この状態において、小切手がフロントイメージキャプチャ部10の近傍に達したことがセンサ検出されると、フロントイメージキャプチャ部10の白色LED100Bを点灯駆動させるか、赤外線LED100Cを点灯駆動させるかを図15に示した使用光源設定データ43によって、その切り換えを制御する(ステップB701)。ここで、使用光源設定データ43は、その設定値が“1”の場合には、赤外線LED100Cを点灯駆動させることを示し、“0”の場合には、白色LED100Bを点灯駆動させることを示し、予め任意に設定されたもので、必要に応じてその設定値を変更可能であるが、そのデフォルト値としては“1”が設定されている。
【0064】
このようにして使用光源を点灯駆動した後、フロントイメージキャプチャ部10にて小切手の表面イメージが読み取られると(ステップB702)、CPU21は、この表面イメージを取得してその中から一連番号の印字領域を特定すると共に、この特定領域内のイメージデータを切り出し(ステップB703)、一連番号の文字認識を行う(ステップB704)。この場合、上述したように小切手の「振出地」の項目と「MICR文字印字欄」との間の領域が一連番号の印字領域として予め決められているので、当該領域内のイメージデータを切り出して文字認識を行い、この認識結果(一連番号)に基づいて証券明細管理トランザクションファイル44を検索して(ステップB705)、該当する「金額」項目データを読み出す(ステップB706)。
【0065】
ここで、小切手がMICRプリンタ部12の近傍に達したことがセンサ検出されると、MICRプリンタ部12は、小切手のMICR文字印字欄における所定の空白領域(補助自行欄)に「金額」をMICR文字にて印字する(ステップB707)。そして、小切手がリヤイメージキャプチャ部14の近傍に達したことがセンサ検出されると、このイメージキャプチャ部14は、小切手の表裏両面の全体イメージを読み取る(ステップB708)。すると、CPU21は、小切手の表面イメージおよび裏面イメージを取得すると共に、当該一連番号に対応付けて表面イメージおよび裏面イメージをイメージデータ格納専用ファイル45にセットする(ステップB709)。次ぎに、小切手が分類別ポケット付きスタッカ部3の近傍に達したことがセンサ検出されると、この小切手は対応する分類別ポケットに投入格納される(ステップB710)。
【0066】
このようにして「事前読込処理」、「要件入力処理」、「要件印字処理」を順次実行した後に、通常の「入庫処理」、「出庫処理」が行われるが、この場合、証券明細管理トランザクションファイル44、イメージデータ格納専用ファイル45には、現物の証券に印字されている「一連番号」に対応付けて明細レコード、証券イメージが格納されているので、この「一連番号」をキーとして所望する明細レコード、証券イメージを自由に読み出して表示出力させることができ、後の確認作業、問い合わせ作業において、小切手を手形と同様に取り扱うことができる。
【0067】
以上のように、この実施例の証券処理装置においては、手形と小切手とが混在して収納されているホッパー部2から証券が取り出された際に、証券の形状特性に応じて当該証券は手形か小切手かを判別し、手形であれば、一連番号を生成すると共に、MICRプリンタ部12を使用して手形のMICR文字印字欄の空白部分に一連番号をMICR文字にて印字するほかに、この一連番号を証券情報検索用のキー情報として当該手形の証券情報に対応付けて記憶管理し、小切手であれば、一連番号を生成すると共に、券面プリンタ部13を使用して小切手のMICR文字印字欄以外の券面空白部分に一連番号を印字するほかに、この一連番号を証券情報検索用のキー情報として当該小切手の証券情報に対応付けて記憶管理するようにしたから、手形と小切手とが混在してホッパー部2に収められている状態でも、金融機関側に特別な作業を強要することなく、小切手自体にも一連番号を印字することができると共に、この一連番号をキーとして小切手に関する証券情報を管理することができ、手形と小切手とを同様に取り扱うことが可能となる。
【0068】
したがって、手形の期日管理のほか、先日付付き小切手に対しても同様な期日管理が可能となり、従来のように、キャリアエンベロープと呼ばれる半透明袋が設けられた台紙に先日付小切手を収めて処理したり、先日付小切手の一端部に用紙を貼り付けて処理する必要もなく、また、証券を出庫するときに小切手をキャリアエンベロープから抜き取ったり、継ぎ足した用紙を剥がし取る作業も不要となるなど、処理全体を効率良く行うことが可能となる。また、「一連番号」は、証券、手形に共通するものであるため、手形と小切手に分けず、同じ証券として取り扱うことができ、手形と小切手との一元管理が可能となる。
【0069】
ホッパー部2から取り出された証券が搬送される過程において、CPU21は、証券長さ検出部8によって証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの時間を計時すると共に、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの間に証券搬送用の駆動モータに印加された駆動パルス数を計数し、この計測時間が予め決められている制限時間に達していないことを条件に、モータ駆動パルスの計数値を証券の長さとして特定し、この証券の長さに基づいて手形か小切手かを判別するようにしたから、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの時間がその制限時間内であることを条件に、つまり、紙詰まり、用紙のスリップなどのトラブルが発生していないことを条件に、証券搬送用の駆動モータに印加された駆動パルス数を証券の長さとして特定することができ、手形か小切手かの判別を確実に行うことが可能となる。
【0070】
CPU21は、証券が手形であることを判別した場合に、一連番号をMICR文字印字欄の空白部分に印字させるほかに、この手形の全体イメージを当該一連番号に対応付けて記憶管理し、小切手であれば、一連番号をMICR文字印字欄以外の券面空白部分に印字させるほかに、この小切手の全体イメージを当該一連番号に対応付けて記憶管理するようにしたから、手形、小切手のイメージと一連番号とを対応付けて記憶管理することができ、一連番号を検索キーとして指定するだけでその証券イメージを自由に取得することが可能となる。
【0071】
この場合、証券が手形であれば、一連番号をMICR文字印字欄の空白部分に印字するほかに、このMICR情報を当該一連番号に対応付けて記憶管理し、小切手であれば、一連番号をMICR文字印字欄以外の券面空白部分に印字するほかに、このMICR情報を当該一連番号に対応付けて記憶管理するようにしたから、一連番号を検索キーとして指定するだけで証券イメージと共にそのMICR情報も自由に取得することが可能となる。
【0072】
証券に記入されている金額、支払期日の各要件のうち、少なくとも、金額データが入力された際に、CPU21は、この入力要件データを一連番号に対応付けて記憶管理するようにしたから、たとえば、先日付小切手において、その券面の任意の個所に支払期日が記入されている場合、この小切手イメージが一連番号に対応付けて記憶管理されているので、一連番号を指定するだけで対応する小切手イメージを呼び出すことができる。
【0073】
この場合、証券のMICR文字印字欄に記録されているデータ以外の要件データを証券の券面に印字する際に、その証券が手形であれば、MICR文字印字欄から一連番号を光学的に読み取って認識すると共に、この一連番号に対応付けて記憶管理されている入力要件データを読み出し、この入力要件データをMICR文字印字欄の空白部分にMICR文字にて印字し、小切手であれば、小切手の券面に印字されている一連番号を光学的に読み取って認識すると共に、この一連番号に対応付けて記憶管理されている入力要件としての金額データを読み出し、この金額データをMICR文字印字欄の空白部分にMICR文字(磁気文字)にて印字するようにしたから、証券イメージ内から視読した金額、支払期日などを要件データとして入力することによって、一連番号と要件データとを対応付けて記憶管理することができ、手形の期日管理のほか、先日付小切手に対しても同様な期日管理が可能となる。
【0074】
フロントイメージキャプチャ部10において、小切手の券面に印字されている一連番号を読み取る際に、CPU21は、予め設定されている使用光源設定データ43に基づいて白色LED100Bを点灯駆動させるか、赤外線LED100Cを点灯駆動させるかの切り換えを制御するようにしたから、必要に応じて光源を任意に切り換えることができると共に、券面全体に施されている地紋の印刷色などの影響を赤外線LEDによって極力抑えることができ、一連番号を良好に読み取ることが可能となる。
【0075】
また、予め小切手の券面に一連番号を印字させるか否かが任意に設定されていると共に、一連番号の印字領域を示す座標値が任意に設定されている小切手番号印字位置設定データ42を参照し、一連番号を印字すべきことが設定されている場合には、一連番号の印字領域を示す座標値を読み出し、この座標値で示される印字領域内に一連番号を印字するようにしたから、小切手の券面に一連番号を印字させるか否かを任意に選択可能であると共に、一連番号の印字領域も任意に変更可能となり、必要に応じた対応によって自由度を増すことが可能となる。
【0076】
なお、上述した実施例においては、証券長さ検出部8によって証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの時間を計時すると共に、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの間に証券搬送用の駆動モータに印加された駆動パルス数を計数し、この計測時間が制限時間に達していないことを条件に、パルス計数値を証券の長さとして特定し、この証券の長さに基づいて手形か小切手かを判別するようにしたが、ホッパー部2から取り出された証券が搬送される過程において、たとえば、フロントイメージキャプチャ部10によって証券の形状イメージが読み取られると、CPU21は、この証券イメージの全体形状あるいはその一部分の形状を解析することによって当該証券の形状特性を特定し、この特定形状に基づいて手形か小切手かを判別するようにしてもよい。この場合、イメージ全体の形状を解析する際に、証券の縦の長さ、横の長さ、縦横比などを総合的に考慮するようにすれば、手形か小切手かをより正確に判別することが可能となる。
【0077】
また、上述した実施例においては、証券の形状特性を検出し、この形状特性に応じて手形か小切手かを判別するようにしたが、手形内の特徴的なデータ、小切手内の特徴的なデータを読み取って解析し、データ特性に応じて手形か小切手かを判別するようにしてもよい。この場合、一般に手形内には、たとえば、「支払期日」、「支払地」、「支払場所」のデータが存在するが、小切手内にはこれらのデータは存在しないために、証券イメージの中から「支払期日」、「支払地」、「支払場所」に対応する領域内のデータを切り出して文字認識を行い、この認識結果に基づいて当該データの有無をチェックすることによって手形か小切手かを判別するようにしてもよい。同様に、手形内のデータ印字位置、小切手内のデータ印字位置に基づいて手形か小切手かを判別したり、手形フォーマット、小切手フォーマットに基づいて手形か小切手かを判別するようにしてもよい。
【0078】
上述した実施例においては、小切手に「一連番号」を印字する位置として、MICR文字(磁気文字)印字欄と券面との境界付近における左端部分に印字するようにしたが、たとえば、金額欄の右側近傍に印字するようにしてもよい。つまり、小切手の券面空白部分であればよく、一連番号の印字位置は任意である。
また、上述した実施例においては、小切手の券面から一連番号を読み取るフロントイメージキャプチャ部10は、小切手の表面全体のイメージを読み取るようにしたが、一連番号の印字領域のみを部分的に読み取るようにしてもよい。この場合、CPU21は、小切手番号印字位置設定データ42を参照することによって一連番号の印字領域を示す座標値を読み出し、この座標値に基づいて一連番号の印字領域を特定すると共に、この特定領域のみを部分的に読み取らせるために、フロントイメージキャプチャ部10の読み取り範囲を制御すればよい。
【0079】
上述した実施例においては、「一連番号」を横方向(長手方向)に印字する場合を示したが、これに限らず、たとえば、「一連番号」を縦方向に印字するようにしてもよく、印字形態も任意である。さらに、小切手に「一連番号」を印字する場合に、黒色印字に限らず、蛍光性を持った特殊インクで印字したり、青色、緑色などのカラーで印字するようにしてもよい。このように特殊インクで印字したり、カラー印字することによって、小切手内の一連番号を強調することができ、一連番号を容易に確認することが可能となる。また、証券識別情報は、一連番号に限らず、記号付きあるいはアルファベット付きの番号などであってもよい。
【0080】
上述した実施例においては、フロントイメージキャプチャ部10に複数個の白色LED100B、赤外線LED100Cを直線的に配列して光源の切り換えを制御可能としたが、フロントイメージキャプチャ部10に限らず、たとえば、リヤイメージキャプチャ部14にも、フロントイメージキャプチャ部10と同様、複数の白色LED、赤外線LEDを直線的に配列し、証券が手形か小切手かなどに応じて光源の切り換えを制御するようにしてもよい。
【0081】
また、上述した実施例においては、特別に言及しなかったが、証券搬送路内に存在する証券の数は、1枚に限らず、証券搬送路内に7〜8枚の証券が存在するように、その搬送速度、処理速度などを制御するようにしてもよい。この場合、各証券毎にその現在位置を追跡管理しながら各デバイスユニットの設置位置と各証券の現在位置との対応関係を確認しながら各デバイスユニット毎に証券種に応じた処理を実行させればよい。
【0082】
その他、ホッパー部2から証券を自動給紙する場合に限らず、証券を手作業で給紙するようにしてもよく、また、MICRプリンタ部12、券面プリンタ部13は、インクリボン式のプリンタに限らず、たとえば、トナー式のプリンタであってもよい。
また、証券処理装置は、スタンドアロンタイプに限らず、その各構成要素が2以上の筐体に物理的に分離され、通信回線、ケーブル等の有線伝送路あるいは電波、マイクロウエーブ、赤外線等の無線伝送路を介してデータを送受信する分散型のシステムを構成するものであってもよい。
【0083】
一方、コンピュータに対して、上述した各手段を実行させるためのプログラムコードをそれぞれ記録した記録媒体(たとえば、CD−ROM、フレキシブルディスク、RAMカード等)を提供するようにしてもよい。すなわち、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードを有する記録媒体であって、手形と小切手とが混在して収納されている証券収納部から証券が取り出された際に、その証券の特性に応じて当該証券は手形か小切手かを判別する機能と、手形であることが判別された場合に、証券識別情報を生成すると共に、MICRプリンタを使用して手形のMICR文字印字欄の空白部分に証券識別情報をMICR文字にて印字するほかに、この証券識別情報を証券情報検索用のキー情報として当該手形の証券情報に対応付けて記憶管理する機能と、小切手であることが判別された場合に、証券識別情報を生成すると共に、券面印字用の通常プリンタを使用して小切手のMICR文字印字欄以外の券面空白部分に証券識別情報を印字するほかに、この証券識別情報を証券情報検索用のキー情報として当該小切手の証券情報に対応付けて記憶管理する機能とを実現させるためのプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体を提供するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】証券処理装置全体を示した外観斜視図。
【図2】ホッパー部2とスタッカ部3とを接続する証券搬送路4に沿ってその近傍にそれぞれ配置されている各種のデバイスユニットを説明するための概略図。
【図3】証券長さ検出部8の付近において、証券搬送路4の構成を詳述に示すと共に証券長さ検出部8の配置状態を示し、 (A)は、証券搬送路4の概略側面図、(B)は、その概略上面図。
【図4】フロントイメージキャプチャ部10の構成を示したもので、(A)は、フロントイメージキャプチャ部10の概略側面図、(B)は、その概略上面図。
【図5】フロントイメージキャプチャ部10において、複数の白色LED100B、赤外線LED100Cが直線的に配列されて成るCIS本体10Aの構成を示した図。
【図6】小切手の券面所定位置に「一連番号」が印字された状態における小切手の印字例を示した図。
【図7】証券処理装置の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図8】事前読込処理の開始指示に応答して実行される事前読込処理の全体概要を示したフローチャート。
【図9】図8の証券種別判別処理(ステップA5)を詳述するためのフローチャート。
【図10】図8の手形事前読込処理 (ステップA6)を詳述するためのフローチャート。
【図11】図8の小切手事前読込処理 (ステップA7)を詳述するためのフローチャート。
【図12】要件印字処理の開始指示に応答して実行される要件印字処理の全体概要を示したフローチャート。
【図13】図12の手形要件印字処理(ステップB6)を詳述するためのフローチャート。
【図14】図12の小切手要件印字処理 (ステップB7)を詳述するためのフローチャート。
【図15】一連番号管理データ41、小切手番号印字位置設定データ42、使用光源設定データ43を説明するための図。
【図16】証券明細管理トランザクションファイル44における1レコード分のデータ説明するための図。
【図17】イメージデータ格納専用ファイル45の内容を説明するための図。
【図18】従来例において、受入手形(約束手形)のフォーマット例を示した図。
【図19】従来例の手形印字に関する説明図であり、手形のMICR文字印字欄Xに一連番号をMICR印字した例を示した図。
【図20】従来例の手形印字に関する説明図であり、手形のMICR文字印字欄Xに要件データとして「支払期日」、「金額」を印字した例を示した図。
【図21】従来例の小切手印字に関する説明図であり、小切手をキャリアエンベロープに格納した状態において、この台紙の左下部分に「一連番号」を印字した例を示した図。
【図22】従来例の小切手印字に関する説明図であり、小切手の一端部に用紙を貼り付けて継ぎ足した状態において、この用紙の左下部分に「一連番号」を印字した例を示した図。
【符号の説明】
【0085】
1 装置本体
2 ホッパー部
3 分類別ポケット付きスタッカ部
4 証券搬送路
5 表示装置
6 キーボード
7 給紙ローラ群
8 証券長さ検出部
9 搬送ローラ群
10 フロントイメージキャプチャ部
11 MICRリーダ部
12 MICRプリンタ部
13 券面プリンタ部
14 リヤイメージキャプチャ部
21 CPU
22 記憶部
33 メイン制御部
34 搬送制御部
41 一連番号管理データ
42 小切手番号印字位置設定データ
43 使用光源設定データ
44 証券明細管理トランザクションファイル
45 イメージデータ格納専用ファイル
100B 白色LED、
100C 赤外線LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
証券収納部から取り出された証券の種類に応じて手形処理あるいは小切手処理を選択的に実行する証券処理装置であって、
手形と小切手とが混在して収納されている証券収納部から証券が取り出された際に、その証券の特性に応じて当該証券は手形か小切手かを判別する判別手段と、
この判別手段によって手形であることが判別された場合に、証券識別情報を生成すると共に、手形の磁気文字印字欄の空白部分に証券識別情報を磁気文字にて印字するほかに、この証券識別情報を証券情報検索用のキー情報として当該手形の証券情報に対応付けて記憶管理する手形処理手段と、
前記判別手段によって小切手であることが判別された場合に、証券識別情報を生成すると共に、小切手の磁気文字印字欄以外の券面空白部分に証券識別情報を印字するほかに、この証券識別情報を証券情報検索用のキー情報として当該小切手の証券情報に対応付けて記憶管理する小切手処理手段と、
を具備したことを特徴とする証券処理装置。
【請求項2】
前記証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの時間を計時する計時手段と、
証券の到来を検出してから証券の通過を検出するまでの間に証券搬送用の駆動モータに印加された駆動パルス数を計数する駆動パルス計数手段と、
を設け、前記判別手段は、前記計測時間が予め決められている制限時間に達していないことを条件に、前記モータに印加された駆動パルスの計数値を証券の長さとして特定し、この証券の長さに基づいて手形か小切手かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の証券処理装置。
【請求項3】
前記証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、証券の形状イメージを読み取るイメージ読取手段を設け、
前記判別手段は、前記イメージ読取手段によって読み取られた証券イメージの全体形状を解析することで当該証券の形状特性を特定し、この特定形状に基づいて手形か小切手かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の証券処理装置。
【請求項4】
前記証券識別情報は、証券、手形に共通する一連番号であり、前記手形処理手段、小切手処理手段は、証券識別情報を生成する際に、一連番号を更新することによって証券識別情報を自動生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の証券処理装置。
【請求項5】
前記証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、手形、小切手の全体イメージを読み取るイメージ読取手段を設け、
前記手形処理手段は、前記判別手段によって手形であることが判別された場合に、前記証券識別情報を磁気文字印字欄の空白部分に印字するほかに、前記イメージ読取手段によって読み取られた手形の全体イメージを当該証券識別情報に対応付けて記憶管理し、
前記小切手処理手段は、前記判別手段によって小切手であることが判別された場合に、前記証券識別情報を磁気文字印字欄以外の券面空白部分に印字するほかに、前記イメージ読取手段によって読み取られた小切手の全体イメージを当該証券識別情報に対応付けて記憶管理する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の証券処理装置。
【請求項6】
前記証券収納部から取り出された証券が搬送される過程において、手形、小切手の磁気文字印字欄から磁気文字情報を読み取る磁気文字情報読取手段を設け、
前記手形処理手段は、前記判別手段によって手形であることが判別された場合に、前記証券識別情報を磁気文字印字欄の空白部分に印字するほかに、前記磁気文字情報読取手段によって読み取られた磁気文字情報を当該証券識別情報に対応付けて記憶管理し、
前記小切手処理手段は、前記判別手段によって小切手であることが判別された場合に、前記証券識別情報を磁気文字印字欄以外の券面空白部分に印字するほかに、磁気文字情報読取手段によって読み取られた磁気文字情報を当該証券識別情報に対応付けて記憶管理する、
ようにしたことを特徴とする請求項5記載の証券処理装置。
【請求項7】
証券に記入されている金額、支払期日の各要件のうち、少なくとも、金額データが入力された際に、この入力要件データを前記証券識別情報に対応付けて記憶管理する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の証券処理装置。
【請求項8】
証券の磁気文字印字欄に記録されているデータ以外の要件データを証券の券面に印字する際に、前記判別手段によって手形であることが判別された場合に、磁気文字印字欄から証券識別情報を光学的に読み取って認識すると共に、この証券識別情報に対応付けて記憶管理されている入力要件データを読み出し、この入力要件データを磁気文字印字欄の空白部分に磁気文字にて印字し、前記判別手段によって小切手であることが判別された場合に、小切手の券面に印字されている証券識別情報を光学的に読み取って認識すると共に、この証券識別情報に対応付けて記憶管理されている入力要件としての金額データを読み出し、この金額データを磁気文字印字欄の空白部分に磁気文字にて印字する、
ようにしたことを特徴とする請求項7記載の証券処理装置。
【請求項9】
証券識別情報を光学的に読み取るための光源として、赤外線光源、白色光源の何れかを点灯駆動させるかを切り換える光源切換手段を設け、
この光源切換手段は、小切手の券面に印字されている証券識別情報を読み取る際に、予め設定されている使用光源設定情報に基づいて白色光源を点灯駆動させるか、赤外線光源を点灯駆動させるかの切り換えを制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項8記載の証券処理装置。
【請求項10】
前記小切手処理手段は、予め小切手の券面に証券識別情報を印字させるか否かが任意に設定されていると共に、証券識別情報の印字領域を示す座標値が任意に設定されている印字設定データを参照し、証券識別情報を印字すべきことが設定されている場合には、前記印字設定データから証券識別情報の印字領域を示す座標値を読み出し、この座標値で示される印字領域内に証券識別情報を印字する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の証券処理装置。
【請求項11】
コンピュータに対して、
手形と小切手とが混在して収納されている証券収納部から証券が取り出された際に、その証券の特性に応じて当該証券は手形か小切手かを判別する機能と、
手形であることが判別された場合に、証券識別情報を生成すると共に、手形の磁気文字印字欄の空白部分に証券識別情報を磁気文字にて印字するほかに、この証券識別情報を証券情報検索用のキー情報として当該手形の証券情報に対応付けて記憶管理する機能と、
小切手であることが判別された場合に、証券識別情報を生成すると共に、小切手の磁気文字印字欄以外の券面空白部分に証券識別情報を印字するほかに、この証券識別情報を証券情報検索用のキー情報として当該小切手の証券情報に対応付けて記憶管理する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−31298(P2006−31298A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207978(P2004−207978)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】