説明

試料位置調整装置、放射線回折装置及び放射線回折法

【課題】X線及び中性子線等の放射線の回折ピークを高精度且つ短時間で検出可能とする試料位置調整装置、放射線回折装置及び放射線回折法を提供する。
【解決手段】ゴニオメータに搭載された試料(結晶)10を、ピエゾ素子34により振動させながらX線の回折ピークを探索する。回折ピークが検出されない場合はピエゾ素子34に印加する交流電圧の振幅を大きくする。また、回折ピークが検出された場合は、ピエゾ素子34に印加する交流電圧の振幅を小さくするとともに、中心電圧を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線及び中性子線等の放射線に対する試料の位置を調整する試料位置調整装置、その試料位置調整装置を用いた放射線回折装置及び放射線回折法に関し、特に放射線の回折角を迅速且つ高精度に測定できる試料位置調整装置、放射線回折装置及び放射線回折法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線回折法は試料の結晶構造や結晶方位の分析に有用であり、結晶の格子定数の変化からその試料に加わる応力を測定することもできるため、電子素子や電子部品の材料の評価に欠かせない応力測定方法の一つとなっている。
【0003】
X線回折法を用いた応力測定では、回折角の決定精度が応力の決定精度に直接反映されるため、回折角を高精度に決定できることが要求される。一般的に、回折角を高精度に決定するためには、試料に入射するX線が平行光であること、及びX線の波長(エネルギー)が均一であること(単色性)が要求される。そのため、結晶分光器を利用したX線回折法や放射光を利用したX線回折法などの方法が開発されている。
【0004】
X線回折装置では、ゴニオメータと呼ばれる試料位置調整装置を用いて、試料に対するX線の入射角や検出器の角度を変化させている。X線の波長、試料の結晶格子定数及びX線の入射角等の条件が回折条件を満たすと、X線の回折ピークが出現する。回折角を高精度に決定するためには、このX線の回折ピークをX線検出器で検出することが必要である。特許文献1には、ゴニオメータの駆動部の角度を高精度に制御することを目的とし、従来のパルスモータとウォーム機構(ウォームギア)とによる駆動方式に替えて、超音波モータを使用することが記載されている。
【特許文献1】特開2002−311199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、市販のX線装置を用いたX線回折、放射光を用いたX線回折、及び放射光とアナライザ結晶とを用いたX線回折における入射角ωと回折X線強度との関係(角度分解能)を示す図である。この図1に示すように、通常のX線装置を用いた場合に比べて、放射光を用いたX線回折ではX線の平行性が高いため回折強度分布のピーク(以下、X線の回折ピークという)が高く、ピーク幅は狭くなる。放射光とアナライザ結晶とを用いたX線回折では、X線の平行性が高く且つエネルギーが均一(単色)なため、回折ピークは更に高くなり、ピーク幅は更に狭くなる。
【0006】
このように、平行性が高く且つ単色のX線を使用した高精度のX線回折では、X線の回折ピークの幅が極めて狭くなるため、回折ピークを検出するためにはゴニオメータの各軸を少しづつ高精度に変化させる必要がある。このため、X線の回折ピークの検出に要する時間が極めて長くなるという問題が発生している。
【0007】
以上から、本発明の目的は、X線及び中性子線等の放射線の回折ピークを高精度且つ短時間で検出可能とする試料位置調整装置、放射線回折装置及び放射線回折法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、試料に対する放射線の入射角を調整する試料位置調整装置において、前記試料が搭載される試料搭載部と、前記試料を所定の軸に対し回転させる回転台と、電気信号に応じて前記試料に振動を加える振動子とを有する試料位置調整装置が提供される。
【0009】
X線回折ピークは、X線の波長、結晶定数及びX線の入射角等の条件が回折条件を満たしたときに出現する。本発明では、試料に振動を加えることによりX線の入射角等の条件を高速且つ連続的に変化させるので、回折ピークを容易に出現させることができる。
【0010】
本発明の他の観点によれば、試料が搭載される試料搭載部と、前記試料を所定の軸に対し回転させる回転台と、電気信号に応じて前記試料に振動を加える振動子と、前記試料により回折された放射線を検出する放射線検出器と、前記振動子に印加する前記電気信号を発生する信号発生部と、前記回転台を駆動する回転台駆動部と、前記信号発生部及び前記回転台駆動部を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記放射線検出器の検出結果に応じて前記信号発生部を制御し、前記振動子に印加する前記電気信号の中心電圧及び振幅を変化させる放射線回折装置が提供される。
【0011】
本発明の放射線回折装置によれば、制御部が、信号発生部を介して振動子に印加する電気信号の中心電圧及び振幅を制御して、試料に振動を加える。これにより、回折ピークを容易に出現させることができる。試料を振動させても回折ピークを検出できない場合は、更に振幅を大きくすればよい。また、回折ピークを検出した場合は、振動子に印加する電気信号の振幅を小さくするとともに中心電圧を変更して、回折ピークの位置を探索することが可能である。このようにして、本発明の放射線回折装置によれば、回折ピークの位置を迅速且つ高精度に確定することができる。
【0012】
本発明の更に他の観点によれば、試料により回折された放射線の回折ピークを検出する放射線回折ピーク検出方法において、前記試料を振動させ、その振動中心及び振幅を変化させて前記試料により回折された放射線を検出する放射線回折法が提供される。
【0013】
本発明方法によれば、試料を振動させながら回折放射線を検出し、その振動中心及び振幅を変化させて回折ピークの位置を探索するので、回折ピークの位置を迅速且つ高精度に確定することができる。
【0014】
なお、本発明は、X線の回折を利用した試料の分析に適用できるだけでなく、中性子線又はその他の放射線の回折を利用して試料の分析を行う場合にも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0016】
図2は、本発明の実施形態の試料位置調整装置を示す模式的側面図である。なお、本実施形態は、本発明を4軸ゴニオメータに適用した例を示している。
【0017】
ゴニオメータのベース14上には、鉛直方向を回転軸(ω軸)として回転するω軸回転台21と、同じくω軸を回転軸としてω軸回転台21の外側を回転する2θ回転台22とが設けられている。X線検出器13は、2θ回転台22に固定された検出器支持台13a上に取り付けられるようになっている。
【0018】
ω軸回転台21の上には、ω軸に垂直な方向を回転軸(χ軸)として回転するリング状のχ軸回転台23が設けられている。また、このχ軸回転台23の内周側には、χ軸に垂直な方向を回転軸(φ軸)として回転するφ軸回転台24が設けられている。試料(結晶)10は、φ軸回転台24に固定される試料搭載部11の先端に搭載される。
【0019】
図3は、ω軸回転台21の回転方向(ω方向)と、2θ回転台22の回転方向(2θ方向)と、χ軸回転台23の回転方向(χ方向)と、φ軸回転台24の回転方向(φ方向)を示している。この図2に示すように、試料10は、ω軸回転台21、χ軸回転台23及びφ軸回転台24が回転してもその位置が変化しないように、ω軸、χ軸及びφ軸が交差する位置に配置される。また、X線検出器13は、2θ回転台22が回転することにより試料10で回折したX線が入射する位置に配置される。ここまで説明した部分は、従来のゴニオメータの構成と基本的に同一である。
【0020】
図4は試料搭載部11の先端部分を上から見たときの状態を示す模式図である。この図4に示すように、試料搭載部11の先端には、試料10を保持する試料保持部31と、試料搭載部本体33に固定されて試料保持部31を揺動可能に支持する支持アーム32とが設けられている。また、試料搭載部本体33と試料保持部31との間には、振動子として圧電素子の1種であるピエゾ素子34が取り付けられている。なお、図4において、角度ωは試料10に対するX線の入射角を示し、角度2θはX線の回折角を示している。
【0021】
ピエゾ素子34は、電圧を印加すると電圧に応じた振幅で伸縮する。これにより、試料10を支持する試料保持部31が揺動して、X線の入射角ωが変化する。入射角ω以外の回折条件は既に満たしているものとすると、入射角ωが回折条件を満たしたときに回折ピークが出現する。図4では、ピエゾ素子34による入射角ωの変化分をΔωとしている。本実施形態では、このように試料10をω方向に振動させることにより回折ピークを容易に出現させるものである。
【0022】
図5は、上述した構造のゴニオメータを用いたX線回折装置の駆動回路を示すブロック図である。この図5に示すように、本実施形態のゴニオメータの駆動回路は、コンピュータ(制御部)40と、X線検出器(放射線検出器)13に接続されたカウンタ41と、ゴニオコントローラ42と、モータドライバ43と、回転台駆動モータ44と、ファンクションジェネレータ(関数発生部)45と、ピエゾ素子34に接続されたアンプ46とにより構成されている。
【0023】
カウンタ41は、X線検出器13で検出した回折X線をカウントし、その結果をコンピュータ40に伝達する。また、ゴニオコントローラ42は、コンピュータ40からの信号に応じてモータドライバ43のパラメータを設定する。モータドライバ43は、ゴニオコントローラ42により設定されたパラメータに応じて、ω軸回転台21、2θ回転台22、χ軸回転台23及びφ軸回転台24の各回転台駆動モータ44を駆動する。これらの回転台駆動モータ44により、ω軸回転台21、2θ回転台22、χ軸回転台23及びφ軸回転台24はそれぞれ所定の位置まで回転する。各回転台21,22,23,24にはエンコーダ(図示せず)が設けられており、それらのエンコーダから出力される信号はモータドライバ43にフィードバックされ、各回転台21,22,23,24の回転が高精度に制御されるようになっている。
【0024】
ファンクションジェネレータ45は、コンピュータ40からの信号に応じた中心電圧及び振幅の三角波状の交流信号を発生する。アンプ46はファンクションジェネレータ45から出力された交流信号を増幅してピエゾ素子34に伝達する。この交流信号によりピエゾ素子34が伸縮し、試料10を支持する試料保持部31が揺動して、試料10がω方向に振動する。すなわち、X線の入射角ωが変化する。
【0025】
以下、本実施形態のX線回折装置を用いたX線回折法について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。なお、予めコンピュータ40には、測定条件として試料10の格子定数、回折面の指数の情報、並びにX線の波長及び入射方向等の情報が入力されているものとする。また、本実施形態ではω/2θ走査の場合について説明する。
【0026】
まず、ステップS11において、コンピュータ40は、入力された測定条件からX線の回折ピーク出現位置を計算により求める。そして、ゴニオコントローラ42及びモータドライバ43を介して回転台駆動モータ44を制御し、ゴニオ軸(ω軸、2θ軸、χ軸及びφ軸)をX線の回折ピーク出現位置(計算値)に移動する。
【0027】
次に、ステップS12に移行し、コンピュータ40はファンクションジェネレータ45を制御して、ピエゾ素子34に、図7に示すような中心電圧Vp、振幅ΔV、周波数が数kHzの交流電圧を印加する。これにより、ピエゾ素子34が伸縮して試料10を保持する試料保持部31が揺動し、X線の入射角ωがΔωの範囲で変化する。その後、X線源から放出されるX線を試料10に向けて照射する。X線源としては、平行性が高く且つ単色のX線を発生するものを使用する。入射角ω以外の回折条件が満たされているものとすると、X線の入射角ωが回折条件を満たしたときに回折ピークが出現し、X線検出器13で回折X線が検出される。但し、上述したように本実施形態では平行性が高く且つ単色のX線を使用するので、回折ピークの幅は極めて狭くなる。
【0028】
次に、ステップS13に移行し、コンピュータ40はカウンタ41によるX線のカウント値を入力して、X線の回折ピークを検出したか否かを判定する。カウンタ41のカウント値が一定の値以上の場合(YESの場合)はX線の回折ピークを検出したと判定してステップS15に移行する。一方、X線の回折ピークを検出していないと判定した場合(NOの場合)は、ステップS14に移行して振幅ΔVの値を増加した後、ステップS12に戻って、ピエゾ素子34を振動させる。これにより、ピエゾ素子34は前回よりも大きく振動する。
【0029】
図8は、横軸に入射角ωをとり、縦軸にX線回折強度をとって、ピエゾ素子34に印加される交流電圧の振幅と回折X線の検出範囲とを示す図である。この図8のように、ピエゾ素子34に印加する交流電圧の振幅(ΔV1,ΔV2)が大きくなるほど入射角ωが大きく変化する。図8では、ピエゾ素子34に印加する電圧がVp±ΔV1のときには回折条件を満たすことができなくても、ピエゾ素子34に印加する電圧がVp±ΔV2(但し、ΔV1<ΔV2)のときには回折条件を満たすことができて、回折ピークを検出できることを示している。
【0030】
このように、本実施形態ではピエゾ素子34が振動してX線の入射角ωが変化するので、回折ピークを容易に出現させることができる。ここでは、ピエゾ素子34に印加する交流信号の中心電圧がVp、振幅がΔVのときに回折X線を検出し、ステップS13からステップS15に移行したものとする。
【0031】
ステップS15において、コンピュータ40はピエゾ素子34の振幅範囲を分割し、X線の回折ピークがどの振幅範囲にあるのかを調べる。この例では、ステップS15においてピエゾ素子34に印加する交流信号の中心電圧をVp−ΔV/2、振幅をΔV/2として、回折X線をカウントする。その後、ステップS16に移行して、コンピュータ40はピエゾ素子34に印加する交流信号の中心電圧をVp+ΔV/2、振幅をΔV/2として、回折X線をカウントする。
【0032】
次に、ステップS17に移行して、コンピュータ40はステップS15,S16における回折X線のカウント値を比較し、X線の回折ピークがVp−ΔV/2側にあるのか、Vp+ΔV/2側にあるのかを判定する。ここでは、Vp+ΔV/2側にX線の回折ピークがあると判定したものとする。
【0033】
次に、ステップS18に移行して、中心電圧Vp及び振幅ΔVを変更する。この例では回折ピークがVpからVp+ΔVまでの間にあるので、コンピュータ40は電圧Vp+ΔV/2を新たに中心電圧Vpとするとともに、振幅ΔVの値をΔV/2に減少するものとする。ステップS17でX線の回折ピークがVp−ΔV/2側にあると判定したときは、電圧Vp−ΔV/2を新たに中心電圧Vpとし、振幅ΔVをΔV/2に減少させる。なお、電圧の振幅を角度分解能(図1参照)と対応させて設定しておくことが好ましい。これにより角度分解能を指標としながら回折ピークを探索することができる。
【0034】
次に、ステップS19に移行して、ΔVが予め設定された最小振幅ΔVminより小さいか否かを判定する。ΔVが最小振幅ΔVminより大きい場合は、ステップS15に戻って上述した処理を実行する。すなわち、中心電圧がVp−ΔV/2、振幅がΔV/2の交流信号をピエゾ素子34に印加して回折X線をカウントし、次に、ステップS16に移行して、中心電圧がVp+ΔV/2、振幅がΔV/2の交流信号をピエゾ素子34に印加して回折X線をカウントする。そして、ステップS17に移行して、X線の回折ピークがVp−ΔV/2側にあるのか、Vp+ΔV/2側にあるのかを判定する。その後、ステップS18で中心電圧Vp及び振幅ΔVを変更し、ステップS19で振幅ΔVが最小振幅ΔVminより小さいか否かを判定する。
【0035】
このようにして、本実施形態では振幅ΔVが最小振幅ΔVmin以下になるまで中心電圧Vp及び振幅ΔVの値を自動的に変化させて、X線の回折ピークを追跡する。ステップS19において振幅ΔVが最小振幅ΔVmin以下と判定すると、ステップS20に移行し、振幅ΔVを0に設定し、最小振幅内で電圧Vを走査させ、検出強度が最大になる電圧に設定し、X線の回折ピークの位置を確定する。本実施形態では、このようにして回折ピークの位置を迅速且つ高精度に検出することができるので、回折角2θを高精度に求めることができる。なお、必要に応じて他のゴニオ軸(χ軸、φ軸)の微調整を行ってから回折ピークの位置を確定してもよい。
【0036】
本実施形態では、上述したように、ピエゾ素子34により試料10をω方向に振動させながら回折X線の検出を行うので、X線の回折ピークの幅が狭い場合も、迅速且つ高精度に回折角を決定することができる。なお、試料10をω方向に振動させるためには、例えばω軸回転台の駆動モータ44を振動させることも考えられるが、その場合はギアのバックラッシュにより角度を高精度に検出することができなくなる。一方、本実施形態では試料搭載部11に設けられたピエゾ素子34により試料10をω方向に振動させるので、ギアのバックラッシュによる影響がなく、回折角を高精度に決定することができる。
【0037】
(変形例)
上記の実施形態ではピエゾ素子(圧電素子)により試料10をω方向に振動させる場合について説明したが、試料10を他のゴニオ軸についても振動させてもよい。図9には試料10をχ方向に振動させるピエゾ素子35を設けた例を示しているが、更に試料10をφ方向に振動させるピエゾ素子を設けてもよい。これらのピエゾ素子により試料10を複数のゴニオ軸に対し振動させることにより、回折ピークをより確実に出現させることができる。また、試料10のアオリ角(Rx,Ry)についても、同様にピエゾ素子を用いて調整できるようにしてもよい。
【0038】
更に、上記の方法はX線回折装置のコンピュータのソフトウエアとして組み込んでもよい。それにより、試料の自動調整や自動測定が可能になる。例えば、各種試料の結晶構造をテーブルとしてコンピュータ40の記憶装置(メモリ)に記憶しておき、測定条件に応じて回折X線が出現する位置までω軸回転台21、2θ回転台22、χ軸回転台23及びφ軸回転台24を回転させる。その後、上述したように圧電素子34により試料10を振動させてX線の回折ピークを検出し、回折角を決定する。試料(結晶)の指数に対応した角度でX線の回折ピークを検出することにより、詳細な結晶構造や高精度の応力評価が可能になる。
【0039】
更にまた,上記の実施形態では放射線としてX線を使用する場合について説明したが、本発明は中性子線又はその他の放射線の回折を利用した試料分析に適用することができる。
【0040】
以下、本発明の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
【0041】
(付記1)試料に対する放射線の入射角を調整する試料位置調整装置において、
前記試料が搭載される試料搭載部と、
前記試料を所定の軸に対し回転させる回転台と、
電気信号に応じて前記試料に振動を加える振動子と
を有することを特徴とする試料位置調整装置。
【0042】
(付記2)試料が搭載される試料搭載部と、
前記試料を所定の軸に対し回転させる回転台と、
電気信号に応じて前記試料に振動を加える振動子と、
前記試料により回折された放射線を検出する放射線検出器と、
前記振動子に印加する前記電気信号を発生する信号発生部と、
前記回転台を駆動する回転台駆動部と、
前記信号発生部及び前記回転台駆動部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記放射線検出器の検出結果に応じて前記信号発生部を制御し、前記振動子に印加する前記電気信号の中心電圧及び振幅を変化させることを特徴とする放射線回折装置。
【0043】
(付記3)前記制御部は、前記試料となる結晶の情報に基づいて放射線回折角を計算し、その計算結果に応じて前記回転台駆動部を制御して前記試料の位置及び前記放射線検出器の位置を決定することを特徴とする付記2に記載の放射線回折装置。
【0044】
(付記4)前記制御部は、前記試料となる結晶の情報のデータベースを有することを特徴とする付記3に記載の放射線回折装置。
【0045】
(付記5)前記振動子は、複数のゴニオ軸に対し個別に設けられていることを特徴とする付記3に記載の放射線回折装置。
【0046】
(付記6)前記振動子に印加する電圧の振幅が、角度分解能に応じて設定されていることを特徴とする付記3に記載の放射線回折装置。
【0047】
(付記7)試料により回折された放射線の回折ピークを検出する放射線回折ピーク検出方法において、
前記試料を振動させ、その振動中心及び振幅を変化させて前記試料により回折された放射線を検出することを特徴とする放射線回折法。
【0048】
(付記8)前記試料に照射する放射線が、平行性を有する単色のX線であることを特徴とする付記7に記載の放射線回折法。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、市販のX線装置を用いたX線回折、放射光を用いたX線回折、及び放射光とアナライザ結晶とを用いたX線回折における入射角ωと回折X線強度との関係を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態の試料位置調整装置を示す模式的側面図である。
【図3】図3は、ω軸回転台の回転方向(ω方向)と、2θ回転台の回転方向(2θ方向)と、χ軸回転台の回転方向(χ方向)と、φ軸回転台の回転方向(φ方向)とを示す図である。
【図4】図4は、試料搭載部の先端部分を上から見たときの状態を示す模式図である。
【図5】図5は、X線回折装置の駆動回路を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態のX線回折装置を用いたX線回折法を示すフローチャートである。
【図7】図7は、ピエゾ素子に印加する交流電圧の波形を示す図である。
【図8】図8は、ピエゾ素子に印加される交流電圧の振幅と回折X線の検出範囲とを示す図である。
【図9】図9は、試料をχ方向に振動させるピエゾ素子を設けた例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0050】
10…試料、
11…試料搭載部、
13…X線検出器、
13a…検出器支持台、
14…ゴニオメータのベース、
21…ω軸回転台、
22…2θ回転台、
23…χ軸回転台、
24…φ軸回転台、
31…試料保持部、
32…支持アーム、
33…試料搭載部本体、
34,35…ピエゾ素子、
40…コンピュータ、
41…カウンタ、
42…ゴニオコントローラ、
43…モータドライバ、
44…回転台駆動モータ、
45…ファンクションジェネレータ、
46…アンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に対する放射線の入射角を調整する試料位置調整装置において、
前記試料が搭載される試料搭載部と、
前記試料を所定の軸に対し回転させる回転台と、
電気信号に応じて前記試料に振動を加える振動子と
を有することを特徴とする試料位置調整装置。
【請求項2】
試料が搭載される試料搭載部と、
前記試料を所定の軸に対し回転させる回転台と、
電気信号に応じて前記試料に振動を加える振動子と、
前記試料により回折された放射線を検出する放射線検出器と、
前記振動子に印加する前記電気信号を発生する信号発生部と、
前記回転台を駆動する回転台駆動部と、
前記信号発生部及び前記回転台駆動部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記放射線検出器の検出結果に応じて前記信号発生部を制御し、前記振動子に印加する前記電気信号の中心電圧及び振幅を変化させることを特徴とする放射線回折装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記試料となる結晶の情報に基づいて放射線回折角を計算し、その計算結果に応じて前記回転台駆動部を制御して前記試料の位置及び前記放射線検出器の位置を決定することを特徴とする請求項2に記載の放射線回折装置。
【請求項4】
試料により回折された放射線の回折ピークを検出する放射線回折ピーク検出方法において、
前記試料を振動させ、その振動中心及び振幅を変化させて前記試料により回折された放射線を検出することを特徴とする放射線回折法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−256204(P2007−256204A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83834(P2006−83834)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】