説明

試料分析装置および試料分析方法

【課題】試料を良好に分析することができながら、人が試験片に触れなくても、試験片を自動的に廃棄することができる試料分析装置および試料分析方法を提供する。
【解決手段】試験片1が試験片ホルダ31に装着された状態で、試験片1の端部に設けられた試料添加部に試料が添加されると、試料が、試料添加部から試験片1に設けられた展開部に展開され、試験片に坦持された試薬と、試料との反応状態を検出することで、試料中の成分を分析する試料分析装置であって、試験片ホルダ31に装着された試験片1が複数の姿勢にわたって切り換えられるよう試験片ホルダ31を移動自在に構成し、試料中の成分の測定後に、試験片ホルダ31を、この試験片ホルダ31から試験片1を排出させるための排出用姿勢に移動させる。そして、試験片ホルダ31を排出用姿勢に移動させた際に、試験片ホルダ31から試験片1を自動的に排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験片において試料を展開させて、試料中の成分を分析する試料分析装置および試料分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液や血漿、尿などの液体の試料中に含まれる成分(測定対象物とも称す)を測定して分析する試料分析装置や試料分析方法として、免疫クロマトグラフィ法による試料分析装置や試料分析方法が広く用いられている(特許文献1等)。図7(a)、(b)は、免疫クロマトグラフィ法を用いて分析するための試験片の一例を示しており、図7(a)は試験片の平面図、図7(b)は試験片の断面図である。試験片1は、薄板矩形状の液体不透過性シート材からなる支持体2上に、血液などの液体の試料が点着されるなどして添加される試料添加部3と、添加された試料を毛細管現象により展開させる展開層4とが形成された構成とされている。また、展開層4の長手方向中央部または下流側(以下、試験片1の長手方向一端側の試料添加部3側を上流側(展開方向の上流側)、他端側を下流側(展開方向の下流側)と称す)に設けられた試薬坦持部5に抗体試薬が担持されて固定化されており、また、展開層4の上流側に設けられた色素標識試薬部6に、試料中の測定対象物となる特定の抗原に結合する色素標識試薬が保持されている。なお、試料添加部3は、透明な空間形成材7と、支持体2との間の空隙部により形成されており、試験片1の上流端では、試料添加部3の開口部である試料添加口3aが外部に臨んでいる。展開層4は不織布あるいは多孔質材料からなる。また、展開層4の表面に、試料展開時の試料の乾燥を防ぐために透明シートなどの保護部材(図示せず)を貼付したものもある。
【0003】
試料の分析は以下のようにして行われる。試料を試験片1の試料添加口3aから添加すると、試料添加部3に試料が満たされて、下流側に設けられた展開層4の上流端に達する。展開層4に達した試料は、展開層4の上流側の色素標識試薬部6に保持された色素標識試薬を溶出させ、この際に、試料中の特定の抗原と色素標識試薬とが結合する。色素標識試薬と反応した試料は、更に毛細管現象により展開層4の下流側に流れて、試薬坦持部5まで達する。ここで、試薬坦持部5の抗体試薬は、抗原抗体反応により、試料中の特定の抗原を捕捉する。捕捉された前記抗原には色素標識試薬が結合しているため、展開層4上の、抗体試薬が担持された試薬坦持部5において、試料中の特定抗原の濃度に応じた呈色を生じる。
【0004】
この呈色状態を光学的に検出することにより、試料中の特定抗原(特定成分)の濃度を測定することができる。光学的な検出方法としては、試験片1にレーザ光を照射して、そのときの試験片1からの散乱光をフォトダイオードで検出する方法、試験片1をイメージセンサで撮像して撮像画像を画像処理して吸光度を求める方法などがあり、これらの方法を用いた試料分析装置が既に多種提案されている。
【0005】
なお、試料として、血液を血球分離などの前処理なしで用いる場合、血液中には赤血球などの血球成分が固形物として存在するため、試料である血液をそのまま展開層4に流すと、不織布の繊維部あるいは多孔質材料の孔部に血球成分が詰まってしまい、試料が正常に展開されない不具合を生じることがある。このような不具合の発生を最小限に抑える方法として、試料添加部3に、試料に混合させる混合剤の一例としての血球収縮剤8を保持しておき、点着するなどして添加された血液中の血球成分を試料添加部3において血球収縮剤8により収縮させてから展開層4に流す方法が用いられている(例えば、特許文献2等)。
【0006】
ところで、従来の試料分析方法では、試験片1が一定の姿勢に保たれた状態で、試料の添加、展開、測定の全ての工程が行われていた。つまり、一般的には、図8(a)の斜視図に示すように、試験片1を水平に配置した状態で試料を試料添加部3に添加し、この後も試験片1を水平姿勢で保持して展開させ、測定することが行われている。しかしながら、試料が血液などの場合に、試験片1を水平姿勢で保持した状態で試料を試料添加部3に添加し、この後も試験片1を水平姿勢で保持して展開させると、血液の粘度などの、試料が有する性質の違いにより、展開層4中を進む試料の展開速度に違いを生じる場合がある。この場合には、所定の時間内に展開層4における試薬担持部5を流れる試料の量に違いが生じて、分析結果に誤差が生じてしまう。特に、試料の粘度が極めて高い場合、所定の時間内に試料が展開層4の試薬担持部5まで到達しない恐れがあり、分析精度の信頼性が大きく低下するという問題を生じる。
【0007】
この問題に対処する方法として、図8(b)に示すように、試験片1を、その展開層4の上流側が鉛直方向に沿って上方となる垂直姿勢に配置して、試料を、試料添加口3aを通して試料添加部3に添加するとともに展開、測定させて分析を行うことが考えられる。この場合には、展開時において、試料に毛細管現象の力に加えて重力が付加されるので、展開速度を速めることができると考えられる。しかし、この場合には、試料を試料添加部3に添加した時に、試料添加部3の内部に保持されている血球収縮剤8が十分溶けないうちに試料が重力により展開層4内に流れ出すため、血球の収縮が良好に行われず、試料が展開層4の下流まで正常に展開されない恐れがある。
【0008】
そこで、本発明の発明者らは、試料と混合剤との混合に適した姿勢と、試料の展開や測定に適した姿勢とに、試験片の姿勢を切り換えることで、上記のような問題を解決することを考え出した。すなわち、試験片1を水平姿勢などの混合動作に適した姿勢に保持した状態で、試料を試料添加部3に添加して血球収縮剤8を混合させ、この後、重力方向に対する試験片1の姿勢を変化させる、具体的には、試料添加部3が上向きとなるように試験片を立てた状態(鉛直姿勢)に保持することで、試料の展開速度と、血球収縮剤8などの混合剤と試料との混合状態との両者を安定させるように構成した試料分析方法および試料分析装置を考え出した。
【0009】
図9は、この試料分析装置の構成の一例を示す図であり、図9(a)は試料を添加してから混合させる際の状態を示す斜視図、図9(b)は試料展開時および測定時の状態を示す斜視図である。ここで、図9(a)、(b)において、1は試験片、11は試験片1を保持する試験片ホルダ、12は試験片ホルダ11を回動させるモータ、15は試験片1の呈色部である試薬坦持部5を撮像するための光学系である。また、この光学系15において、16はレンズ、17はイメージセンサ、18は試験片1の表面を照明する光源である。前記光学系15は、レンズ16により試験片1の呈色部(試薬坦持部5)の像をイメージセンサ17の撮像面に結像させるように構成されている。
【0010】
分析の際は、まず、図9(a)に示すように、試験片1を水平姿勢に保持して試料添加部3に試料(血液)を点着するなどして添加する。試料添加部3内には血球収縮剤8が保持されており、添加された試料により薬剤である血球収縮剤8が溶出して試料と混ざり合い、試料である血液中の血球成分が収縮する。血球収縮が完了するまでの所定の時間が経過した時点で、モータ12により試験片ホルダ11を回動させて、図9(b)に示すように、試験片1の上流側(すなわち、試料添加口3a)が鉛直方向に沿う上方を向くようにする。すると、血球収縮剤8により血球が十分収縮した試料が展開層4の下流側に向かって流れる。ここで、試料には、展開層4による毛細管現象の力だけでなく、展開層4の下流側への重力が同時に作用するので、試料の展開速度が安定し、試料の粘度が高い場合でも、試薬坦持部5まで所定時間内に展開することが可能となる。この試料分析方法および試料分析装置によれば、試料と血球収縮剤8との混合時には、試験片1が水平姿勢であるので、試料と血球収縮剤8との混合が良好に行われる。また、展開時には、試験片1が鉛直姿勢であるので、試料の展開速度が安定し、このように安定した状態で測定することができる。
【0011】
なお、試験片1に対する測定が終わると、図8(a)に示すように試験片1を水平姿勢に戻した状態、あるいは、図8(a)に示すように試験片1が鉛直姿勢に保持された状態で、係員などの試料分析装置の取扱者が試験片1の試料添加部3などを指でつまみ、試験片1を試験片ホルダ11から引き抜いて廃棄(排出)している。
【特許文献1】再公表特許WO01/090754号公報
【特許文献2】特許第3655283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記した従来の試料分析方法および試料分析装置では、測定が終わると、試験片1を廃棄すべく、試験片1の試料添加部3を取扱者がつまんで試験片ホルダ11から引き抜かなければならないため、手間がかかる欠点がある。また、測定の終わった試験片1を廃棄すべく、試験片1の試料添加部3を取扱者がつまんで試験片ホルダ11から引き抜く際に、試料添加部3の試料添加口3aに付着した血液などの試料が取扱者の指などに付くことがある。この際、検体(試料)に対応する人とは別の人が取り扱かっており、取扱者の指に傷があった場合などには、血液などの試料に含まれる病原菌などが傷などから体内に侵入するなどして取扱者に感染するおそれがある。
【0013】
また、測定の終わった試験片1を取り出す際に取扱者の指に試験片1の血液が付着した場合、この際に指を洗浄せずに、そのままの状態で同じ取扱者が次の検体の試験片1を扱うと、この試験片1を持った際や、試験片1を試験片ホルダ11に挿入する際に、付着した血液が次回の試験片1の試料添加口3aから試料添加部3内に混入して、次回の試料(血液)と混ざってしまうおそれがあり、この場合には測定結果が不正確となってしまう。
【0014】
本発明は上記不具合を解決するもので、試料を良好に分析することができながら、取扱者が試験片に触れなくても、試験片を自動的に廃棄することができる試料分析装置および試料分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明の試料分析装置は、試料が添加される試料添加部と試料が展開される展開層と試薬が坦持された試薬坦持部とを有する試験片が、試験片を保持する試験片ホルダに装着自在とされ、試料添加部に添加された試料が試験片の展開層において展開され、試薬と試料との反応状態を検出することで、試料中の成分を定量もしくは定性的に測定して分析する試料分析装置であって、試験片ホルダに装着された試験片が複数の姿勢にわたって切り換えられるよう試験片ホルダを移動自在に支持する移動支持手段と、試料中の成分の測定後に、試験片ホルダを、この試験片ホルダから試験片を排出させるための排出用姿勢に移動させる姿勢切換手段とを備え、前記姿勢切換手段により試験片ホルダを排出用姿勢に移動させた際に、試験片ホルダから試験片を排出させることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、試料中の成分の測定が終了すると、この後に、試験片ホルダが排出用姿勢に移動され、試験片ホルダから試験片が自動的に排出される。この結果、測定の終わった試験片を取扱者などの人が触らずに、かつ手間をかけることなく廃棄することができる。
【0017】
また、本発明は、姿勢切換手段により試験片ホルダを排出用姿勢に移動させた際に、試験片ホルダから試験片を、外力および試験片の重力の少なくとも一方の力により排出させることを特徴とする。この構成により、試験片を、外力、または試験片の重力、または外力および試験片の重力により自動的に排出させることができる。
【0018】
また、本発明は、試験片ホルダに対して試験片が、試験片における試料添加部が設けられている側と反対の側から挿入されて装着されるよう、試験片ホルダを構成し、前記排出用姿勢が、試験片の試料添加部が下方になるように試験片ホルダが位置する姿勢であることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、試料中の成分の測定が終わって試験片を排出させる際には、試験片ホルダを排出用姿勢に移動させることにより、試験片がその試料添加部が下方になる排出用姿勢となって、試験片が試験片ホルダからその重力で抜け出し可能な状態となる。したがって、これにより、試験片に対して人が持って操作しなくても、試験片が試験片ホルダからその重力で排出されたり、またはさらに外力を加えて試験片を試験片ホルダから排出させたりすることができる。
【0020】
また、本発明は、前記移動支持手段は、試験片ホルダを、展開層における試料の展開方向に直交しかつ展開層の幅方向に沿う直線に対して平行となる回動軸心を中心として、回動自在に支持していることを特徴とする。
【0021】
この構成により、比較的簡単な構造でありがながら、試験片を、この展開層の面全体が、水平面に沿う姿勢、あるいは鉛直面に沿う姿勢となるように安定した状態で回動させることができる。
【0022】
また、本発明は、試験片ホルダ側から試験片に外力を与えて試験片を強制的に排出させる排出手段を設けたことを特徴とする。この構成により、排出手段によって試験片ホルダから試験片を強制的に排出させることができるので、試験片ホルダからの試験片の排出をより確実に行うことができる。
【0023】
また、本発明の排出手段は、試験片ホルダから試験片を押し出して強制的に外部に排出させる排出具を有し、排出具は、試験片ホルダが排出用姿勢に配置された状態において、試験片の展開方向下流端部を押圧して、試験片ホルダに対して試験片を装着挿入方向と逆方向に押し出すことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の排出手段は、試験片ホルダから試験片を押し出して強制的に外部に排出させる排出具を有し、排出具は、試験片ホルダを排出用姿勢に移動させる力を利用して試験片を押し出すことを特徴とする。この構成により、試験片ホルダを移動させるための力を利用して排出具を押し出すので、排出具を押し出すためだけの駆動手段などを別途に設けなくて済み、部品点数の削減や製造コストの削減を行うことができる。
【0025】
また、本発明の排出手段は、試験片を押し出す排出具と、排出具を排出姿勢側に付勢する付勢手段と、排出具を非排出姿勢にロックするロック体とを備え、試験片ホルダが排出用姿勢に移動された際に、排出具が非排出姿勢に対してロック解除されることで、付勢手段の付勢力により排出具を介して試験片を強制的に排出することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の姿勢切換手段は、試験片が、試料を展開させるに適した姿勢と、試験片を排出させるに適した姿勢とにわたって切り換えられるように、試験片ホルダを移動させることを特徴とする。この構成により、試料を展開させる際に、試料を展開させるに適した姿勢に試験片が切り換えられ、試料を良好に展開させることができる。
【0027】
また、本発明の姿勢切換手段は、試験片が、試料を展開させるに適した姿勢と、試料と混合剤とを混合させるに適した姿勢と、試験片を排出させるに適した姿勢とにわたって切り換えられるように、試験片ホルダを移動させることを特徴とする。この構成により、試料と混合剤とを混合させる際に、試料と混合剤とを混合させるに適した姿勢に試験片が切り換えられ、良好に混合させることができる。
【0028】
また、本発明は試料が血液であることを特徴とする。
また、本発明は、試験片を保持する試験片ホルダに試験片が装着自在とされ、試験片が前記試験片ホルダに装着された状態で、試験片の端部に設けられた試料添加部に試料が添加されると、試料が、試料添加部から試験片に設けられた展開部において展開され、試験片に坦持された試薬と、前記試料との反応状態を検出することで、試料中の成分を定量もしくは定性的に分析する試料分析方法であって、試料中の成分の測定後に、試験片ホルダを、試験片に対して測定するに適した姿勢から、試験片ホルダから試験片を排出させるに適した排出用姿勢に移動させ、試験片ホルダから試験片を排出させることを特徴とする。
【0029】
この方法によれば、試料中の成分の測定が終了すると、この後に、試験片ホルダが排出用姿勢に移動され、試験片ホルダから試験片が自動的に排出される。この結果、測定の終わった試験片を取扱者などの人が触らずに、かつ手間をかけることなく廃棄することができる。
【0030】
また、本発明は、試験片への試料添加後に、試験片が、試料を展開させるに適した姿勢となるように、試験片ホルダを移動させることを特徴とする。この方法によれば、試料を良好に展開させることができて、分析精度を向上させることができる。
【0031】
また、本発明は、試験片への試料添加後に、試料と被混合剤とを混合させるに適した姿勢となるように試験片ホルダを移動させ、この後に、試験片を、試料を展開させるに適した姿勢となるように試験片ホルダを移動させることを特徴とする。この方法によれば、試料と被混合剤とを良好に混合させることができ、この後に、互いに混合した試料と被混合剤とを良好に展開させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の試料分析装置および試料分析方法によれば、試験片ホルダに装着された試験片が複数の姿勢にわたって切り換えられるよう試験片ホルダを移動自在に配設させ、試料中の成分の測定後には、試験片ホルダが、この試験片ホルダから試験片を排出させるための排出用姿勢に移動され、試験片ホルダから試験片が排出されるので、測定の終わった試験片を取扱者などの人が触らずに、手間をかけることなく、廃棄することができる。この結果、従来、取扱者が行っていた試験片の排出作業を行わなくて済んで、手間を省くことができるとともに、測定の終わった試験片を取扱者などが触らずに済むので、血液の付着による感染を防止できる。また、他の試験片を扱う際に、前回の付着した血液が取扱者などの手を介して次に測定を行う試験片に付着することを防止できるので、測定結果の信頼性が向上する。
【0033】
また、試験片ホルダを、展開層における試料の展開方向に直交しかつ試験片の展開層の幅方向に沿う直線に対して平行となる回動軸心を中心として回動自在に支持させることで、比較的簡単な構造でありがながら、試験片を安定した状態で回動させることができる。
【0034】
また、試験片ホルダを移動させる力を利用して排出具により試験片を押し出すよう構成したことにより、排出具を押し出すための駆動手段などを別途に設けなくて済み、部品点数の削減や製造コストの削減を行うことができる。
【0035】
また、試料の展開時に、試験片を、試料を展開させるに適した展開用姿勢にすることで、良好に試料を展開することができる。また、試料が血液である場合に、試料の粘度が異なる際でも試料間での展開速度を均一に近づけることができ、ひいては、測定精度を向上させることができる。
【0036】
また、試料と混合剤との混合時に、試験片を、混合させるに適した混合用姿勢にすることで、試料と混合剤とを良好に混合させることができ、ひいては、測定精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、本発明の試料分析装置および試料分析方法に係る実施の形態を図面とともに説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る試料分析装置の斜視図、図2(a)、(b)、および図3は、それぞれ試験片ホルダの移動状態などを簡略的に示す正面断面図である。なお、この実施の形態に係る試料分析装置および試料分析方法においては、図7、図8において説明した試験片1と同様な構成要素および機能を有する試験片1と、図9において説明した光学系15と同様な構成要素および機能を有する光学系15とを用いている。なお、試験片1や光学系15における同様の構成要素については同じ符号を付す。
【0038】
図1に示すように、試料分析装置は、試験片1を装着自在に保持する試験片ホルダ31と、試験片ホルダ31に装着された試験片1が複数の姿勢(混合用姿勢と展開用姿勢)にわたって切り換えられるよう試験片ホルダ31を移動自在に支持する移動支持手段としての支持回動アーム33およびモータ(駆動源)32と、試験片1の呈色部である試薬坦持部5を撮像するための光学系15と、試料中の成分の測定後に、試験片ホルダ31を、この試験片ホルダ31から試験片1を排出させるための排出用姿勢に移動させる姿勢切換手段としても機能する制御部(図示せず)などを備えている。なお、この光学系15においても、レンズ16、イメージセンサ17、試験片1の表面を照明する光源18を有しており、前記光学系15は、試験片1に臨む姿勢で配設されている。そして、レンズ16により試験片1の呈色部(試薬坦持部5)の像をイメージセンサ17の撮像面に結像させるように構成されている。なお、図示しないが、前記光学系15は、試験片ホルダ51に固定された固定枠に取り付けられており、光学系15と試験片ホルダ31とは一体的に回動するよう構成されている。また、図示しないが、例えば、この試料分析装置には、試験片1に対して試料を添加したことを通知する添加通知ボタンが設けられている。
【0039】
試験片ホルダ31は、支持回動アーム33を介して、モータ32の回転軸に固定されており、モータ32の回転軸を回動軸心として、回動自在に支持されている。支持回動アーム33は略L字形状とされており、一端部がモータ32の回転軸に固定されてモータ32の回転軸の径方向外側に延びる径方向延長部33aと、この径方向延長部の終端部分からモータ32の回転軸の軸心方向に沿って延びる軸平行方向延長部33bとから構成されている。そして、支持回動アーム33の軸平行方向延長部33bの終端部が、試験片ホルダ31の長手方向に対する中央部に側方から結合されており、試験片ホルダ31は図1、図2(a)、図2(b)に示す各姿勢にわたって回動可能とされている。そして、姿勢切換手段としても機能する制御部によってモータ32が駆動制御されることにより、試験片ホルダ31が、図1、図2(a)に示すような、試験片1において血球収縮剤8など混合剤と試料とを混合させるに適した混合姿勢と、図2(b)に示すような、試験片1において試薬を展開させるに適した展開用姿勢と、図3に示すような、試験片1を試験片ホルダ31から排出するに適した排出用姿勢との3つの姿勢にわたって移動されるように切り換えられる。なお、この実施の形態では、試験片ホルダ31と支持回動アーム33とが一体的に形成されており、部品点数の低減化が図られているが、これに限るものではない。
【0040】
試験片ホルダ31には、図1においては上面側が外部に開放された断面略凹形状の収容部31aが形成されており、この収容部31aの側方に設けられた挿入口31bから試験片1が収容部31a内に挿入されて装着自在とされている。そして、試験片ホルダ31に装着された試験片1は、展開層4などが設けられている表面側がほぼ外部に露出するよう装着されて、試験片ホルダ31が何れの姿勢であっても試験片1に対して光学系15が臨んで測定可能に配置されている。なお、図示しないが、収容部31aの断面形状は、詳しく述べると、試験片1が収納されている箇所よりも、この収容箇所から少しだけ上方(開放側)箇所の開口幅が少しだけ小さく形成されており、試験片ホルダ31の姿勢にかかわらず、収容部31aの開放部分(すなわち、図1においては、収容部31aの上面部分)を通しては試験片1が試験片ホルダ31から離脱することのないよう構成されている。
【0041】
また、試験片ホルダ31に対して、試験片1は、試料添加部3が設けられている側と反対側である端部(ここで、試験片1において、試料添加部3が設けられている側と反対側である端部は、試験片1における試料が展開される方向に対して下流側になるので、展開方向下流端部とも称す)から挿入口31bを通して挿入される構成とされている。そして、試験片1が試験片ホルダ31に装着された際には、図1に示すように、試料添加部3の箇所だけが試験片ホルダ31よりも外側に突出した状態で装着される。
【0042】
さらに、上記構成に加えて、試験片ホルダ31などには、図1、図3に示すように、試験片ホルダ31に装着された試験片1を試験片ホルダ31から押し出して排出する排出手段40が設けられている。なお、図3における45は、使い終わった試験片を収容する廃棄用容器である。
【0043】
図1〜図3に示すように、排出手段40は、試験片ホルダ31の長手方向(試験片1における試料の展開方向でもある)に沿って試験片ホルダ31に形成されたスライド溝31c内をスライド自在に配設され、その先端部が、試験片ホルダ31に装着された試験片1の展開方向下流端部に当接可能とされている排出具(排出ロッド)41と、この排出具41を、試験片1の押し出し方向(試験片1の試験片ホルダ31への挿入方向と逆方向)に付勢する付勢ばね42と、排出具41の一部に設けられた係合溝41aにその先端のロック爪43aが係合離脱可能に配設されたロック体43と、所定位置に固定されて、図3に示す位置まで試験片ホルダ31が回動された際に、ロック体43の当接片部43bに当接して、ロック爪43aが排出具41から離脱するようにロック体43を弾性変形させるロック解除リブ44とから構成されている。なお、この実施の形態においては、ロック体43は、試験片ホルダ31の端部31cからロック体43の配設箇所側に延びる弾性片部43cと、弾性片部43cの一部から試験片ホルダ31の裏面側に突出する前記当接片部43bと、弾性片部43cの先端に設けられた前記ロック爪43aとを有し、試験片ホルダ31と一体形成されて、部品点数の低減化が図られているが、これに限るものではない。
【0044】
さらに、この実施の形態では、ロック体43の当接片部43bはその先端が丸められ、また、ロック解除リブ44におけるロック体43の当接片部43bが当接する箇所には傾斜面44aが形成されている。そして、後述するように、試験片ホルダ31が図2(b)に示す状態(試験片1が展開姿勢となる状態)から、図3に示すように、試験片ホルダ31が排出用姿勢側に移動する際に、排出用姿勢に近づくにつれて、ロック体43の当接片部43bの押し出し量が徐々に大きくなって、試験片ホルダ31が排出用姿勢側に達した際にロック体43のロック爪43aが排出具41の係合溝41aから良好に離脱して、排出具41の排出用のスライド動作を確実に行えるよう構成されている。
【0045】
この試料分析装置を用いた本発明の試料分析方法について説明する。まず、試験片1を試験片ホルダ31の収容部31aに挿入口31bを通して挿入して装着する。この際の試験片ホルダ31の姿勢としては、例えば、図1、図2(a)に示すように、試験片1が水平となる、後述する混合用姿勢と同じ姿勢とすればよいが、これに限るものではなく、装着するに便利な姿勢に配置してもよい。
【0046】
この後、試験片ホルダ31に試験片1が装着された状態で、試料を添加させる。例えば、指先から出した血液を試験片1の試料添加部3に点着して、試料を添加させる。そして、試料の添加が終わった段階で、添加通知ボタンを押して、制御部に対して、添加操作が終了したことを通知する。なお、これに代えて、試験片ホルダ31に装着された試験片1の試料添加部3への試料の添加状態を検知する添加状態検知センサを設けて、試料の添加を自動的に検知するよう構成してもよい。
【0047】
試料の添加が制御部に通知されると、試験片1が、血球収縮剤8などの混合剤と試料とを混合させるに適した混合姿勢(この実施の形態では、試験片1が水平となる姿勢)となる状態に、試験片ホルダ31が維持される。そして、良好に混合されるまで、例えば所定時間、前記混合用姿勢が維持される。これにより、混合剤としての血球収縮剤8と試料である血液とが試料添加部3に溜った状態で良好に混合される。
【0048】
このように混合用姿勢に維持された状態で、所定時間経過するなどして、良好に混合したと考えられる条件に達した後には、図2(b)に示すように、試験片1が、その試料添加部3の試料添加口3aが上向きとなるような鉛直な姿勢である展開用姿勢となるように試験片ホルダ31がb方向に移動(回動)される。これにより、試料に、展開層4による毛細管現象の力だけでなく、展開層4の下流側への重力が同時に作用し、試料の展開速度が安定して、試料の粘度が高い場合でも、抗体試薬5の担持部まで所定時間内に展開可能となる。この結果、試料の粘度が標準的なものと比較して差がある場合でも展開速度を均一な値に近づけることができ、ひいては、試料の粘度の違いによる測定精度の低下を最小限に抑えることができて、測定精度を向上させることができる。
【0049】
この後、試料が展開完了位置まで試料が展開したことが光学系15により検知された場合には、光学系15により試験片1の試薬坦持部5の呈色状態が測定される。そして、試料中の成分が定量的に分析される。
【0050】
測定が終了すると、図3に示すように、この後、制御部によりモータ32が駆動されて試験片ホルダ31が排出用姿勢に向かってc方向に移動される。すると、試験片ホルダ31が排出用姿勢に移動された際に、ロック体43がロック解除リブ44に当接し、排出具41がロック解除されて試験片1の展開方向下流端部を押圧して、試験片1が装着挿入方向と逆方向(この場合には下方)に押し出され、この結果、試験片1が自動的に排出されて、廃棄用容器45に廃棄される。なお、この後、図1、図2(a)に示すような装着に適した姿勢(この実施の形態では、混合用姿勢と同じ姿勢)に戻され、次の試験片1の装着、添加、測定動作に備えられる。
【0051】
上記構成によれば、試料中の成分の測定が終了すると、この後に、試験片ホルダ31が排出用姿勢に移動され、試験片ホルダ31から試験片1が自動的に排出されるので、測定の終わった試験片1を人が触らずに、かつ手間をかけることなく廃棄することができる。この結果、従来、係員などの取扱者が行っていた試験片1の排出作業を行わなくて済んで、手間を省くことができるとともに、測定の終わった試験片1を取扱者が触らずに済むので、血液の付着による感染を防止できる。また、他の試験片1を扱う際に、前回の付着した血液が取扱者などの手を介して次に測定を行う試験片1に付着することを防止できるので、測定結果の信頼性が向上する。
【0052】
また、上記の構成によれば、モータ32および支持回動アーム33からなる移動支持手段により、試験片ホルダ1を、展開層4における試料の展開方向に直交しかつ展開層4の幅方向に沿う直線に対して平行となる回動軸心を中心として、回動自在に支持する構造としたことで、比較的簡単な構造でありながら、試験片1を、この展開層4の面全体が、水平面に沿う混合用姿勢(図1、図2(a)参照)、あるいは鉛直面に沿う展開用姿勢(図2(b)参照)や廃棄用姿勢(図3参照)となるように安定した状態で回動させることができる。
【0053】
また、上記の構成によれば、試験片ホルダ31側から試験片1に付勢ばね42の外力を与えて試験片1を強制的に排出させる構成としたので、試験片ホルダ31から試験片1を強制的に排出させて、試験片1の排出をより確実に行うことができ、信頼性が向上する。
【0054】
また、試料と、血球収縮剤8などの混合剤との混合時に、試験片1を、混合させるに適した混合用姿勢にすることで、試料と混合剤とを良好に混合させることができ、ひいては、測定精度を向上させることができる。また、試料の展開時に、試験片1を、試料を展開させるに適した展開用姿勢にすることで、良好に試料を展開することができる。また、試料が血液である場合に、試料の粘度が異なる際でも試料間での展開速度を均一に近づけることができ、ひいては、測定精度ならびにその信頼性を向上させることができる。
【0055】
上記の実施の形態では、試験片ホルダ31が排出用姿勢に移動された際に、ロック体43のロック動作が解除されて、排出具41が、付勢ばね42の付勢力により移動されて、試験片1が強制的に排出される場合を述べたが、これに限るものではない。図4〜図6は他の実施の形態に係る試料分析装置を示すもので、この実施の形態では、排出具41が、試験片ホルダ31のスライド溝31c内を単にスライド自在に配設されている構造であり、この排出具41を付勢する付勢ばねなどは設けられていない。しかし、試験片ホルダ31が排出用姿勢に移動された場合には、ロック解除用リブ44に設けられた傾斜面44aおよび水平押圧面44bにより、排出具41が下方に押圧されて強制的に下方に移動し、この排出具41の押し出し力および試験片1の重力により、排出具41を介して試験片1が下方に排出されて、廃棄用容器45に廃棄される。
【0056】
このような構成によっても、図1〜図3に示す上記実施の形態と同様な作用効果を得ることが可能である。また、この構成によれば、試験片ホルダ31を移動させるモータ32の駆動力を利用して排出具41により試験片1を押し出すよう構成したことにより、排出具41を押し出すための付勢手段や駆動部品などを別途に設けなくて済み、部品点数の削減や製造コストの削減を行うことができる。
【0057】
なお、上記の実施の形態では、付勢ばね42の付勢力により試験片1を強制的に排出したり、試験片ホルダ31を移動させるモータ32の駆動力を利用して排出具41により試験片1を押し出したりする構成の場合を述べたが、これに限るものではなく、試験片ホルダ31の試験片1を収容する収容部31aに臨む部分を摩擦の少ないフッ素樹脂などの部材を用いて、試験片ホルダ31が廃棄用姿勢に移動された際に、試験片1自体の重力のみにより、試験片1が排出されるよう構成することも可能である。
【0058】
なお、上記の実施の形態では、試験片1の試料添加部3に混合剤として血球収縮剤8を配設した場合を述べたが、これに限るものではなく、色素標識試薬(色素標識試薬部6)を展開層4に設ける代わりに、混合剤として色素標識試薬を試験片1の試料添加部3に配設して、試料添加部3において、色素標識試薬と試料とが混合されるように構成した場合にも同様に適用することができる。色素標識試薬(色素標識試薬部6)を展開層4に設けた場合には、色素標識試薬の一部が展開層4に残ってしまう場合があるが、これに対して、色素標識試薬を試験片1の試料添加部3に配設した場合には、試験片1の試料添加部3に設けた色素標識試薬のほぼ全量を試料に良好に溶解させることができる利点がある。
【0059】
なお、試料として血液ではなくて血漿が添加される場合には、血球収縮剤8は必要ないので、この場合において、展開層4上に色素標識試薬部6が設けられる場合には、試料添加部3において、混合剤(血球収縮剤8や色素標識試薬)と試料との混合作業が不要である。したがって、このような場合には、試料添加時において試験片1を添加姿勢とした後に、試験片1が混合用姿勢となるように移動させることなく、試験片ホルダ31を展開用姿勢まで移動すればよい。
【0060】
また、上記の実施の形態では、試験片1を試験片ホルダ31に装着する際に、試験片1が混合用姿勢(水平姿勢)となるように試験片ホルダ31を位置させた場合を述べたが、これに限るものではなく、装着時の試験片1の姿勢として展開用姿勢と同じ姿勢としたり、装着に適した別途姿勢(例えば、試料添加口3aが上向きになるよう傾斜した姿勢)としたりしてもよい。
【0061】
また、上記の実施の形態では、排出用姿勢として試験片1の試料添加口3aが真下に向く鉛直姿勢となる場合を述べ、この場合には、排出時に試験片1の重力が良好に排出方向に作用する利点があるが、これに限るものではなく、斜め下方に傾斜させるなどして、所定の廃棄部に排出させるよう構成してもよい。この場合には、排出容器42の配置場所などの自由度が大きくなる。
【0062】
また、上記の実施の形態では、試料中の成分を定量的に分析する試料分析装置および試料分析方法の場合を述べたが、これに限るものではなく、試料中の成分を定性的に分析する試料分析装置および試料分析方法の場合にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明にかかる試料分析装置および試料分析方法は、試料分析装置に装着した試験片に対して試料を展開させて分析する各種の試料分析装置および試料分析方法に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る試料分析装置の混合用姿勢での斜視図
【図2】(a)は同試料分析装置の混合用姿勢での状態を簡略的に示す正面断面図、(b)は同試料分析装置の展開用姿勢での状態を簡略的に示す正面断面図
【図3】同試料分析装置の排出用姿勢での状態を簡略的に示す正面断面図
【図4】本発明の他の実施の形態に係る試料分析装置の混合用姿勢での斜視図
【図5】(a)は同試料分析装置の混合用姿勢での状態を簡略的に示す正面断面図、(b)は同試料分析装置の展開用姿勢での状態を簡略的に示す正面断面図
【図6】同試料分析装置の排出用姿勢での状態を簡略的に示す正面断面図
【図7】(a)および(b)は試験片の平面図および断面図
【図8】(a)および(b)は、同試験片の、従来の混合・添加用姿勢での斜視図および展開用姿勢での斜視図
【図9】(a)および(b)は、従来の試料分析装置の混合・添加用姿勢での斜視図および展開用姿勢での斜視図
【符号の説明】
【0065】
1 試験片
2 支持体
3 試料添加部
3a 試料添加口
4 展開層
5 試薬坦持部
6 色素標識試薬部
7 空間形成材
8 血球収縮剤(混合剤)
15 光学系
31 試験片ホルダ
32 モータ
33 支持回動アーム
40 排出手段
41 排出具
42 付勢ばね
43 ロック体
44 ロック解除リブ
45 廃棄用容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が添加される試料添加部と試料が展開される展開層と試薬が坦持された試薬坦持部とを有する試験片が、試験片を保持する試験片ホルダに装着自在とされ、試料添加部に添加された試料が試験片の展開層において展開され、試薬と試料との反応状態を検出することで、試料中の成分を定量もしくは定性的に測定して分析する試料分析装置であって、
試験片ホルダに装着された試験片が複数の姿勢にわたって切り換えられるよう試験片ホルダを移動自在に支持する移動支持手段と、
試料中の成分の測定後に、試験片ホルダを、試験片ホルダから試験片を排出させるための排出用姿勢に移動させる姿勢切換手段とを備え、
前記姿勢切換手段により試験片ホルダを排出用姿勢に移動させた際に、試験片ホルダから試験片を排出させることを特徴とする試料分析装置。
【請求項2】
姿勢切換手段により試験片ホルダを排出用姿勢に移動させた際に、試験片ホルダから試験片を、外力および試験片の重力の少なくとも一方の力により排出させることを特徴とする請求項1記載の試料分析装置。
【請求項3】
試験片ホルダに対して試験片が、試験片における試料添加部が設けられている側と反対の側から挿入されて装着されるよう、試験片ホルダを構成し、前記排出用姿勢が、試験片の試料添加部が下方になるように試験片ホルダが位置する姿勢であることを特徴とする請求項1または2に記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記移動支持手段は、試験片ホルダを、展開層における試料の展開方向に直交しかつ展開層の幅方向に沿う直線に対して平行となる回動軸心を中心として、回動自在に支持していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の試料分析装置。
【請求項5】
試験片ホルダ側から試験片に外力を与えて試験片を強制的に排出させる排出手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の試料分析装置。
【請求項6】
排出手段は、試験片ホルダから試験片を押し出して強制的に外部に排出させる排出具を有し、排出具は、試験片ホルダが排出用姿勢に配置された状態において、試験片の展開方向下流端部を押圧して、試験片ホルダに対して試験片を装着挿入方向と逆方向に押し出すことを特徴とする請求項5に記載の試料分析装置。
【請求項7】
排出手段は、試験片ホルダから試験片を押し出して強制的に外部に排出させる排出具を有し、排出具は、試験片ホルダを排出用姿勢に移動させる力を利用して試験片を押し出すことを特徴とする請求項5または6に記載の試料分析装置。
【請求項8】
排出手段は、試験片を押し出す排出具と、排出具を排出姿勢側に付勢する付勢手段と、排出具を非排出姿勢にロックするロック体とを備え、試験片ホルダが排出用姿勢に移動された際に、排出具が非排出姿勢に対してロック解除されることで、付勢手段の付勢力により排出具を介して試験片を強制的に排出することを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の試料分析装置。
【請求項9】
姿勢切換手段は、試験片が、試料を展開させるに適した姿勢と、試験片を排出させるに適した姿勢とにわたって切り換えられるように、試験片ホルダを移動させることを特徴とする請求項1〜8に記載の試料分析装置。
【請求項10】
姿勢切換手段は、試験片が、試料を展開させるに適した姿勢と、試料と混合剤とを混合させるに適した姿勢と、試験片を排出させるに適した姿勢とにわたって切り換えられるように、試験片ホルダを移動させることを特徴とする請求項1〜8に記載の試料分析装置。
【請求項11】
試料が血液であることを特徴とする請求項1〜10に記載の試料分析装置。
【請求項12】
試験片を保持する試験片ホルダに試験片が装着自在とされ、試験片が前記試験片ホルダに装着された状態で、試験片の端部に設けられた試料添加部に試料が添加されると、試料が、試料添加部から試験片に設けられた展開部において展開され、試験片に坦持された試薬と、前記試料との反応状態を検出することで、試料中の成分を定量もしくは定性的に分析する試料分析方法であって、
試料中の成分の測定後に、試験片ホルダを、試験片に対して測定するに適した姿勢から、試験片ホルダから試験片を排出させるに適した排出用姿勢に移動させ、試験片ホルダから試験片を排出させることを特徴とする試料分析方法。
【請求項13】
試験片への試料添加後に、試験片が、試料を展開させるに適した姿勢となるように、試験片ホルダを移動させることを特徴とする請求項12に記載の試料分析方法。
【請求項14】
試験片への試料添加後に、試料と混合剤とを混合させるに適した姿勢となるように試験片ホルダを移動させ、この後に、試験片を、試料を展開させるに適した姿勢となるように試験片ホルダを移動させることを特徴とする請求項12に記載の試料分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−122126(P2010−122126A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297424(P2008−297424)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】