説明

試験エレメント用の搬送路を装備した分析携行端末

本発明は、試料を分析するために用いられる携帯型装置に関するものであり、とりわけ、生物学的流体である、医学的に重要な成分を分析するために用いられる携帯型装置に関するものであり、搬送路に沿って導かれる分析用の使用材料(9)に対する分析センサー(15)および表示装置(3)、分析用の使用材料(9)に対する開口部(10)からなり、該搬送路が接続されているハウジング(4)からなる。本発明によれば、該携帯型分析用装置は、該搬送路に突き出し、該搬送路に沿って動き得る分析用の使用材料(9)をつかむために用いられる駆動可能な輸送ローラー(16、18)からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的に重要となる成分において試料、特に生物学的液体を検査するための分析携行端末に関するものであり、搬送路において分析用の使用材料を供給することが可能となる分析センサ、表示装置、分析用の使用材料用のケーシング開口部を装備して搬送路と接続しているケーシングを含む。
【背景技術】
【0002】
固体および液体のサンプル材料を化学的および生物学的に分析するために、専用の試験室および特に試験室の外側において使用するためのキャリア結合高速試験が設けられている。複雑な反応となるにもかかわらず敏感な試薬を使用することで素人でさえも簡単かつ扱いやすく前記キャリア結合高速試験を実施することが可能である。
【0003】
キャリア結合高速試験に関する公知の実施例は、糖尿病患者の血糖濃度を測定するための試験エレメントである。帯状に作られた診断用の試験エレメントはテストストライプとも呼ばれている。公知の実施例はたとえば尿分析用の一重または二重のテストストライプおよびさまざまな検知紙である。帯状の試験エレメントとともに他の形態のキャリア結合の試験が存在するため、一般的には分析用の使用材料にたとえばランセットまたはサンプリングエレメントも数に含める。
【0004】
前記分析用の使用材料は携行可能な携行端末において使用され、たとえば光学分析センサによりテストストライプの色の変化について判定する。たとえばEP 1 022 565 A2において説明したように、分析用の使用材料はドラムマガジンに保存される。ここで示したドラムマガジンは環状に配置された複数のチャンバを有し、これらのチャンバは分析用の使用材料を含み、ドラムマガジンの前面に取り出し開口部を有する。分析用の使用材料をたとえば湿気、光または埃といった有害となる周囲条件の影響から保護するために、これらのチャンバは通常封印フォイルによって封印されている。
【発明の開示】
【0005】
たとえば血糖濃度を測定するための端末といった試料の医学的に重要となる成分を検査するための分析携行端末を使用者は通常毎日何回も使用し、常に携行する。したがって前記分析携行端末をできる限り小型に製造し、できる限り操作しやすくする必要が生じる。
【0006】
はじめに説明した分析携行端末の場合、搬送路において突出している使用材料を保持し、搬送路に沿って作動することが可能な搬送ローラを有することによって本課題は解決される。
【0007】
先行技術に基づく分析携行端末である場合にたとえば一滴の血液または尿を塗布した分析用の使用材料は、本発明に基づく分析携行端末では搬送ローラによって必要となる位置精度で端末の内側にある分析センサによって基本的に容易に供給される。
【0008】
分析携行端末は、好ましくは使用材料をケーシング開口部に入れる際に操作し搬送ローラの駆動を作動させるスイッチを有する。前記スイッチは、たとえば自動スイッチである挿入された使用材料による搬送ローラへの加圧によって発生する搬送ローラの小さな回転運動によって作動する。スイッチはたとえば光電子センサとして作られている。別の方法となるのは、搬送開口部に挿入される使用材料から電気接点に取り付ける相互に離した2つの接触フィールドとしてのスイッチを作ることである。たとえば合成樹脂または紙で作られた使用材料によって生じる2つの接触フィールドのあいだにおける電気抵抗の非常に僅かな変更は、適切なトランジスタスイッチによって信頼性のあるものとなる。
【0009】
本発明に基づく分析携行端末の場合には、使用者は使用材料を終端によってのみケーシング開口部に挿入しなければならない。その後搬送ローラは使用材料を保持する。使用材料の搬送および分析センサに関する使用材料の正確な配置は自動的に行なわれる。搬送ローラの駆動を停止するポジションスイッチによって使用材料の最終位置を機械的、電気化学的または光学的に検知することが可能となる。本発明に基づく方法にはさらに取り出し装置を小型に設計したという長所があり、特にドラムマガジンを使用する場合には先行技術に比べてより小型の分析携行端末を可能にする。EP 1 022 565 A2記載のドラムマガジン用の取り出し装置を装備した公知の分析携行端末には、使用材料を取り出す際に取り出し開口部とは反対側にあるドラムマガジンのチャンバの挿入開口部に挿入されるタペットとして作られている必要な長さのスラストロッドが必要となり、チャンバに含まれる使用材料は端末のチャンバおよびケーシング開口部から押し出される。スラストロッドがこうした機能を満たすことができるように、取り出す際に使用材料を搬送する搬送路の長さと少なくとも同じ長さでなければならない。このスラストロッドを取り付けるためには、先行技術に基づく前記分析携行端末はスラストロッドとドラムマガジンの長さの合計と少なくとも同じ長さでなければならない。
【0010】
好ましくは本発明に基づく分析携行端末の場合にスラストロッドおよびケーシングを基本的に短縮することが可能となる。すなわち本発明に基づく分析携行端末の場合、搬送ローラによって保持され、取り出し装置において作動するようにスラストロッドによって使用材料をチャンバから押し出す。好ましくは搬送ローラが挿入されたドラムマガジンの取り出し開口部に直接隣接して配置されており、その結果使用材料の幅がスラストロッドからおよそ0.5cmないし1cmほどチャンバから押し出されている時には十分である。この時すでにスラストロッドは1cmないし2cmの長さで十分であるため、本発明に基づく分析携行端末は先行技術に基づく端末に比べておよそ10cm短くなる。
【0011】
好ましくは分析携行端末が試料によって汚れるという危険性が生じることなく、たとえば一滴の血液を使用材料に塗布するように搬送ローラによって使用材料をケーシングのケーシング開口部から簡単に押し出すことが可能である。分析用の使用材料において試料が塗布することに関して簡略化されることは、基本的には本発明に基づく分析携行端末をより快適に使用できることおよびより操作しやすくなることを意味している。本発明に基づく分析携行端末の場合には使用材料を分析携行端末のケーシング開口部から押し出さなければならないほど長いスラストロッドが必要となる。したがって公知の分析携行端末では使用材料に試料を塗布する場合における操作のしやすさは、分析携行端末の寸法がより大きくなっているという短所と常に関係している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明におけるその他の詳細事項および長所については、添付した図面に関する実施例に基づいて説明する。同じ部分および相互に対応している部分については同一の関連番号で示している。ここで示した特徴については、本発明の好ましい実施例を実現するために個別に使用することまたは組み合わせて使用することが可能である。
【0013】
第1図では、たとえば血液、尿または唾液といった医学的に重要となる成分において試料、特に生物学的液体を検査するための小型で携行可能な分析携行端末1について示している。第1図において示した分析携行端末1は血糖濃度を測定するために使用され、市販の電池または太陽電池という形による電源2を有する。検査結果は表示装置3、好ましくは液晶ディスプレイによって表示される。分析携行端末1は交換することが可能なドラムマガジン6を支持する挿入開口部5をマガジンコンソール7に装備したケーシング4を有する。マガジンコンソール7ではドラムマガジン6は電気モータ8によって幾何学的な縦軸の周囲を回転することが可能であるため、ケーシング4のケーシング開口部10を経由してドラムマガジン6に保存されている分析用の使用材料9を取り出すことが可能となる。
【0014】
基本的に円筒形に形成されたドラムマガジン6は分析用の使用材料9を含む環状に幾何学的に縦軸の周囲に配置されたチャンバ11を有する。チャンバ11の数を任意に選択することが可能である。10ないし100のチャンバ11が一般的であり、15ないし30のチャンバ11を有するのが好ましい。個々のチャンバ11はドラムマガジン6の前面に使用材料9を取り出すための取り出し開口部12を有し、取り出し開口部12の反対側に取り出し装置29のタペット14を挿入するための挿入開口部13を有する。取り出し開口部12および挿入開口部13は、周囲条件の影響から使用材料9を保護するために封印フォイルによって封印されている。EP 1 022 565 A2において説明したように、チャンバ11から使用するためにタペットとして作られたスラストロッド14は使用材料9を押し出し、この時挿入開口部13の封印フォイルはタペット14によって押し出され、取り出し開口部12の封印フォイルは使用材料9によって押し出される。
【0015】
使用材料9は好ましくはテストストライプとして作られており、この使用材料に試料を塗布することが可能である。テストストライプに含有する試薬は試料の医学的に重要な成分に反応するため、分析携行端末1の分析センサ15によって反応結果を評価することができる。前記分析センサ15はたとえばテストストライプとして作られた使用材料9の色の変化について検知する光学センサであるか、または試料の伝導率変調について検知する電気センサである。
【0016】
電気モータ8によってドラムマガジン6を段階的に回転させることができるため、個々の取り出し開口部12はケーシング4のケーシング開口部10と直列に配置されており、その後取り出し装置29のタペット14は配置されたチャンバ11を取り出すために使用材料9を押し出すことが可能である。上述の実施例の特徴となるのは、取り出し装置29がタペット14に加えて第2図に示した駆動可能な搬送ローラ16を含んでいることである。搬送ローラ16はドラムマガジン6から突出した使用材料9を保持し、取り出し方向に向かってすべてまたは一部をドラムマガジンから動かすことが可能である。搬送ローラ16により可能となるのは先行技術において公知の端末に比べてタペット14を基本的に短く設計することであり、タペット14を経由して使用材料9を少しだけチャンバ11から押し出すことが可能である時に十分なものとなる。
【0017】
搬送ローラ16によって保持されることができるように使用材料9をできる限り少なくチャンバ11から突出させる必要があるために、好ましくは挿入したドラムマガジン6の取り出し開口部12に直接隣接して搬送ローラ16を配置する。挿入したドラムマガジン6と搬送ローラ16とのあいだにはおよそ1mmの僅かな最小間隔のみが必要となり、これによって搬送ローラ16および挿入したドラムマガジン6が円滑に回転することができる。取り出し開口部12のできる限り近くで搬送ローラ16によって使用材料9を保持し、タペット14をできる限り短く設計するための別の方法として、搬送ローラ16は好ましくは直径およそ3mmないし10mmであり、特に好ましくは4mmないし7mmである。
【0018】
搬送ローラ16は搬送ローラに固定された搬送面とともに搬送用間隙を形成し、搬送用間隙を経由して搬送方向に向かって使用材料9を動かす。これ以外に―――第3図ないし第7図において示したように―――搬送ローラ16は搬送ローラと反対側に配置された対向ローラ31とともに搬送用間隙を形成する。搬送用間隙は好ましくはたとえば搬送面または対向ローラにある溝という形で使用材料9に合わせた形状を有し、取り出す際の使用材料9の試験領域は押し込まれることがなく、これによって損傷することはない。搬送ローラ16が固定された搬送面とともに作用することによる第2図において示した実施例において長所となるのは、取り出し装置29には動く部分がより少なくてすむことであり、したがって特に安価でかつ不具合が少なくなるように設計するのが可能になることである。
【0019】
分析携行端末1は取り出された使用材料9を支持するために取り出し方向に向かって伸びている搬送ウェブ17を有する。搬送ローラ16とともに搬送用間隙33を形成する搬送面は搬送ウェブ17の一部であるため、マガジンコンソール7からケーシング開口部10にかけて伸びている。この方法によって取り出された使用材料9はすべての搬送路において搬送ウェブ17により支持および誘導される。
【0020】
搬送方向に向かって搬送ローラ16とは間隔を置いて別の搬送ローラ18が配置されており、搬送ウェブ17とともに第2番目の搬送用間隙を形成している。第1番目の搬送ローラ16が挿入したドラムマガジン6の取り出し開口部12にできる限り密接して配置され、これにより使用材料9は保持することができるようにチャンバ11からできる限り少なく突出していなければならないのと同時に、第2番目の搬送ローラ18はケーシング4のケーシング開口部10にできる限り密接して配置され、これにより使用材料9はケーシング4のケーシング開口部10からできる限り遠くに押し出される。すなわちたとえばテストストライプとして作られた使用材料9がケーシング4のケーシング開口部10から遠くに押し出されるほど、たとえば一滴の血液といった試料を使用材料9に塗布する量は少なくなり、試料によってケーシング4が汚れることはなくなる。
【0021】
搬送ウェブ17には搬送方向に向かって伸びた溝19が設けられており、好ましくは使用材料9と搬送ウェブ17とのあいだにおいて生じる摩擦を最小限にする。搬送ウェブ17がたとえばポリカーボネートといった少ない摩擦係数によるできる限り滑らかな材料で作られているのと同時に、搬送ローラ16、18は好ましくは摩擦が大きくなるように作られたできる限り摩擦係数の大きな表面を有する。たとえば摩擦を増大させるためのローラの表面は粗く、硬質ゴムまたは軟質ゴムによって作られ、ゴムに類似した合成樹脂によって被覆されている。使用材料9の厚さが長さによって異なる場合、厚さの差を考慮して搬送ローラをばねで支えることが可能である。
【0022】
上述の実施例において取り出し装置29の搬送ローラ16、18およびタペット14は唯一の駆動装置30によって作動する。これ以外に可能となるのは、タペット14用および搬送ローラ16、18用またはさらに個々の搬送ローラ16、18用に駆動装置としての独自のマイクロモータを装備することである。取り出し装置29が駆動装置30のみを有する場合には搬送ローラ16、18と同様にタペット14も駆動することが可能であり、安価で好ましい。
【0023】
取り出し装置29の共通の駆動装置30によって生じる動力をタペット14と同様に搬送ローラ16、18にも伝達することができるように、取り出し装置29はねじ21のついたねじ付きロッド20を有しており、挿入したドラムマガジン6付近で伸びて前面に突出している。第2図において示した実施例では取り出し装置29はギヤ22を有し、このギヤを介して駆動装置30の一部である電気モータがタペット14を作動する。ねじ付きロッド20はギヤ21とともに作用する歯車23を有するため、ねじ付きロッド20はギヤ22および歯車23を介して回転しながら滑動することが可能である。歯車23はこの時たとえばねじ付きロッド20の一部分に歯が設けられることにより、ねじ付きロッド20に固定されるかまたはねじ付きロッド20に一体化された別の部品として作られている。ねじ付きロッド20をできる限り短く作るために、歯車23は好ましくはねじ付きロッド20の一方の終端に配置され、ねじ21は別の終端に配置される。
【0024】
ねじ付きロッド20の回転はねじ付きロッド20の別の終端に配置された外ねじ21を介して搬送ローラ16、18に伝達することが可能である。この時2つの搬送ローラ16、18のそれぞれにはねじ付きロッド20のねじ21と噛み合う歯車25を装備したシャフト24が設けられている。シャフト24およびねじ付きロッド20は、少ない摩擦抵抗によって回転可能となるようにキャリア28の凹部27にあるベアリングリング26によって軸受けしている。
【0025】
取り出し方向と同様にその反対側の方向にも使用材料9を動かすために、好ましくは搬送ローラ16、18は幾何学的な縦軸の周囲において時計方向と同様に反時計方向にも駆動することが可能である。この方法によって可能となるのは、試料を塗布する量を軽減したり使用材料9を再度分析携行端末1に挿入するためにたとえばテストストライプといった使用材料9をケーシング4のケーシング開口部10からできる限り遠くに押し出すことである。これによって可能となるのは分析センサ15をケーシング4の内側にあるたとえば散光といった好ましくない周囲条件の影響を最小限にした保護された箇所に配置することである。好ましくは2つの搬送ローラ16、18のあいだに、特に搬送ウェブ17の搬送ローラ16、18と反対側に分析センサ15が配置される。搬送ウェブ17には2つの搬送ローラ16、18のあいだに凹部が設けられているため、分析センサ15は使用材料9に塗布された試料を検知することが可能である。使用材料9に塗布された試料が搬送ウェブ17と接触している幅および奥行について搬送方向に伸びた搬送ウェブ17の溝19を測定する。
【0026】
搬送ローラ16、18が幾何学的な縦軸の周囲を時計方向と同様に反時計方向にも回転することが可能である場合、使用材料9は取り出し方向と同様にその反対側の方向にも作動することが可能であり、好ましくは可能となるのは、検査を終了したあとに使用した使用材料9をドラムマガジン6のチャンバ11に再度挿入することである。使用した使用材料9の再保存を促進するために、タペット14には使用材料9を挿入することの可能な保持エレメントが装備され、これによって可能となるのは、タペット14を介して引張力が使用材料9に影響を及ぼすことである。たとえば保持エレメントは、使用材料の鉄の部分を引きつける電磁石としてまたは搬送ローラ16による影響を受けたようにあらかじめ定められた引張力の場合には折り曲げられ、使用材料9を解除する機械的なフックとして設計されている。
【0027】
好ましくはこの方法によってドラムマガジン6に含まれるすべての使用材料9を一度に処分することが可能となり、使用者は個々の検査後に使用した使用材料9を個別に処分する必要がなくなる。
【0028】
第3図ないし第7図では、ドラムマガジン6から使用材料9を取り出す場合における取り出し装置の別の実施例について図面で示している。はじめに説明した実施例との違いは、第3図ないし第7図で示した取り出し装置29では搬送用間隙33は搬送ローラ16および搬送ローラに対して固定された搬送面によってではなく、搬送ローラ16および搬送ローラと反対側に配置された対向ローラ31によって形成されていることである。第3図ないし第7図で示した実施例の場合には搬送ローラ16と同様に対向ローラ31も駆動することができるようにそれぞれ作られている。搬送ローラ16のみを駆動することが可能である場合にはこれで十分である。回転することが可能となるように軸受けしている場合には対向ローラ31についても十分であるため、搬送用間隙33を通って挿入される使用材料9が回転時に滑動可能である。
【0029】
第3図ないし第7図で示した実施例の場合、使用材料9は試料を塗布するための試験領域32を有するテストストライプとして作られている。使用材料9を取り出す際に試験領域32はドラムマガジン6による影響を受けることがなく、使用材料にある試料は取り出し装置29、特に搬送ローラ16および対向ローラ31を汚すことがないようにするために、上述の実施例では使用材料9が搬送用間隙を通っており、使用材料9の試験領域32が搬送ローラ16の幾何学的な回転軸に対して横方向に伸びている。こうした方法によって使用材料9の試験領域32の汚れはさらに軽減されるのは、第2図において示した実施例ではたとえば溝19という形によって搬送面を形成する搬送ウェブ17のように使用材料9に合わせた形状を搬送用間隙33によって実現する場合である。
【0030】
第3図では、定位置において取り出し装置29とともにドラムマガジンの中に使用材料9を装備したドラムマガジン6について示している。第4図において示しているように、搬送ローラ16と対向ローラ31とのあいだにある搬送用間隙33において突出するとすぐにタペット14によって使用材料9はドラムマガジン6から押し出され、搬送ローラ16によって保持される。第5図では使用材料9が搬送ローラ16によって分析携行端末1のケーシング開口部10からどのようにして押し出されているのかについて示しているため、たとえば一滴の血液といった試料を試料塗布面34に塗布することが可能となり、試料は試料塗布面から試験領域32に到達する。その後第6図において示したように、使用材料9は反対方向に回転する搬送ローラ16から再度分析携行端末1に挿入されるため、試料を検査するための試験領域32は分析センサ15の前に配置されている。タペット14が使用材料9をドラムマガジン6から押し出した後、第6図において示した定位置に戻る。検査を終了した後には第7図において示したように搬送ローラ16から再度取り出し方向に動き、分析携行端末1から放出される。
【0031】
第8図ないし第14図では、使用材料9を挿入する場合における分析携行端末1の別の実施例について示している。この分析携行端末1は、交換することが可能なドラムマガジンを支持するための挿入開口部を有しないという点で上述した分析携行端末1とは基本的に異なる。第8図ないし第14図において示した分析携行端末1では分析用の使用材料9はテストストライプという形ですなわち端末の外側にケーシング開口部10を経由して供給される。使用材料9をケーシング開口部10に挿入する場合にはマイクロスイッチ(図示していない)を操作し、このマイクロスイッチによって搬送ローラ16および対向ローラ31の駆動装置のスイッチをオンにする。第9図において示したように、使用材料9は搬送ローラ16および対向ローラ31によって保持され、搬送路に沿って端末内部に押し込まれる。
【0032】
分析携行端末1に取り付けられたドラムマガジン6から上述した実施例のような分析用の使用材料9を取り出すのではなく外部に供給する場合、劣化またはたとえば光、湿気または埃といった有害となる周囲条件の影響によって使用材料9が劣化するといった大きな危険性が生じる。したがって使用材料9は第10図において示した挿入位置からさしあたり第11図において示した試験位置に搬送され、劣化していないかどうかについての試験が行なわれる。この試験は光学測定装置を使用して行なわれ、使用材料9のフォイルホワイトレベルについて算出する。こうした目的のために、テストストライプとして作られた使用材料9はたとえば劣化および湿気の増大によって変色する白色の合成樹脂フォイルを試験領域32の領域に有する。フォイルホワイトレベルについて算出することによって挿入された使用材料9が劣化しているかどうかを決定する。使用材料9が劣化している場合には、搬送ローラ16および対向ローラ31によって分析携行端末1から押し込まれる。使用材料9がまだ正常に機能する場合、搬送ローラ16および対向ローラ31によって搬送路に沿って第14図において示した試料供給位置に供給される。試料塗布位置において使用材料9がケーシング開口部10から突出しているため、たとえば一滴の血液といった試料を試料塗布面34に塗布することが可能となる。
【0033】
上述した分析携行端末1の重要な長所は、第14図で示した試料塗布位置において分析携行端末1を汚すことなく試料を簡単に試料塗布面34に塗布することができるように使用材料9がケーシング開口部10から突出していることである。試料供給位置においてケーシング開口部10から比較的遠くに突出した使用材料9により、試料を試料塗布面34に塗布することについて使用者にとって明らかに簡単に行なわれる。特に試験領域32にはたとえば毛細管引力によって試料を供給することが可能となり、必要となる試料の量が最小限になるように試料塗布面34の近くに配置される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】分析携行端末の実施例についての図である。
【図2】図示した分析携行端末の取り出し装置の実施例についての図である。
【図3】使用材料を取り出す場合における取り出し装置の別の実施例についての図である。
【図4】使用材料を取り出す場合における取り出し装置の別の実施例についての図である。
【図5】使用材料を取り出す場合における取り出し装置の別の実施例についての図である。
【図6】使用材料を取り出す場合における取り出し装置の別の実施例についての図である。
【図7】使用材料を取り出す場合における取り出し装置の別の実施例についての図である。
【図8】使用材料を挿入する場合における分析携行端末の別の実施例についての図である。
【図9】使用材料を挿入する場合における分析携行端末の別の実施例についての図である。
【図10】使用材料を挿入する場合における分析携行端末の別の実施例についての図である。
【図11】使用材料を挿入する場合における分析携行端末の別の実施例についての図である。
【図12】使用材料を挿入する場合における分析携行端末の別の実施例についての図である。
【図13】使用材料を挿入する場合における分析携行端末の別の実施例についての図である。
【図14】使用材料を挿入する場合における分析携行端末の別の実施例についての図である。
【符号の説明】
【0035】
1 分析携行端末
2 電源
3 表示装置
4 ケーシング
5 挿入開口部
6 ドラムマガジン
7 マガジンコンソール
8 電気モータ
9 使用材料
10 ケーシング開口部
11 チャンバ
12 取り出し開口部
13 挿入開口部
14 スラストロッド
15 分析センサ
16 搬送ローラ
17 搬送ウェブ
18 搬送ローラ
19 溝
20 ねじ付きロッド
21 ねじ
22 ギヤ
23 歯車
24 シャフト
25 歯車
26 ベアリングリング
27 凹部
28 キャリア
29 取り出し装置
30 駆動装置
31 対向ローラ
32 試験領域
33 搬送用間隙
34 試料塗布面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路において分析用の使用材料を供給することが可能となる分析センサ(15)、表示装置(3)、分析用の使用材料(9)用のケーシング開口部(10)を装備して搬送路と接続しているケーシング(4)からなり、
搬送路において突出している使用材料(9)を保持し、搬送路に沿って作動することが可能な搬送ローラ(16、18)を有してなる
ことを特徴とする医学的に重要である成分において試料、とりわけ生物学的液体を検査するための分析携行端末。
【請求項2】
交換することが可能なドラムマガジン(6)を支持する挿入開口部(5)をケーシング(4)が有し、分析用の使用材料(9)、特にテストストライプを含み、前面側には少なくとも1つの取り出し開口部(12)を有することと、
ケーシング(4)が分析用の使用材料(9)をドラムマガジン(6)から取り出すための取り出し装置(29)を取り囲んでいることを特徴とする請求項1記載の分析携行端末であり、この時取り出し装置(29)は駆動することが可能な搬送ローラ(16、18)を含んでおり、この搬送ローラはドラムマガジン(6)から突出した使用材料(9)を保持し、取り出し方向に向かってすべてまたは一部をドラムマガジン(6)から動かすことが可能である。
【請求項3】
取り出し方向と同様にその反対側の方向にも使用材料(9)を動かすために、好ましくは搬送ローラ(16、18)は幾何学的な縦軸の周囲において時計方向と同様に反時計方向にも駆動することが可能であることを特徴とする請求項1または2記載の分析携行端末。
【請求項4】
搬送ローラ(16、18)が対向ローラ(31)とともに搬送用間隙(33)を形成し、搬送用間隙を経由して使用材料(9)を動かすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析携行端末。
【請求項5】
搬送ローラ(16、18)が搬送ローラに固定された搬送面とともに搬送用間隙(33)を形成し、搬送用間隙を経由して使用材料(9)を動かすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析携行端末。
【請求項6】
搬送用間隙(33)が使用材料(9)に合わせた形状を有することを特徴とする請求項3または4記載の分析携行端末。
【請求項7】
搬送面または対抗ローラが搬送方向に向かって伸びた溝(19)を有することを特徴とする請求項6記載の分析携行端末。
【請求項8】
取り出された使用材料(9)を保護するために搬送路に沿って伸びる搬送ウェブ(17)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析携行端末。
【請求項9】
搬送面が搬送ウェブ(17)の一部であることを特徴とする請求項8記載の分析携行端末。
【請求項10】
搬送ローラ(16、18)が挿入されたドラムマガジン(6)における取り出し開口部(12)を有する前面側に直接隣接して配置されていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の分析携行端末。
【請求項11】
搬送ローラ(16、18)が摩擦係数の大きな表面を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の分析携行端末。
【請求項12】
取り出し装置(29)が使用材料(9)を動かすための別の搬送ローラ(18)を有し、この時第1番目の搬送ローラ(16)および別の搬送ローラ(18)は搬送路に沿って相互に間隔を置いて配置されていることを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載の分析携行端末。
【請求項13】
取り出し装置(29)がスラストロッド(14)を有し、ドラムマガジン(6)から使用材料(9)を押し出すために取り出し開口部(12)と反対側にある挿入開口部(13)に挿入することが可能であることを特徴とする請求項2〜12のいずれか1項に記載の分析携行端末。
【請求項14】
取り出し装置(29)が駆動装置(30)を有し、この駆動装置によって搬送ローラ(16、18)と同様にスラストロッド(14)も駆動することが可能となることを特徴とする請求項13記載の分析携行端末。
【請求項15】
取り出し装置(29)がねじ(21)のついたねじ付きロッド(20)を有し、このねじ付きロッドが挿入したドラムマガジン(6)付近で伸びて搬送ローラ(16、18)を駆動するためのシャフト(24)とともに作用していることを特徴とする請求項14記載の分析携行端末。
【請求項16】
駆動装置(30)がタペット(14)を動かすためのギヤ(22)を有し、このタペットがねじ付きロッド(20)に取り付けられた歯車(23)を介してこの歯車とともに作用していることを特徴とする請求項15記載の分析携行端末。
【請求項17】
使用した使用材料(9)をドラムマガジン(6)のチャンバ(11)に再度挿入することが可能となるように取り出し装置(29)が作られていることを特徴とする請求項2〜16のいずれか1項に記載の分析携行端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−526464(P2007−526464A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501140(P2007−501140)
【出願日】平成17年2月5日(2005.2.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001196
【国際公開番号】WO2005/085840
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】