説明

試験管バーコード読取り方法

【課題】 自動分析装置ではなく、一般的な用途として100ないし数100の試験管がラックに収納され、一列ではなくパレット上X・Y平面に配列された状態のままで試験管に貼られたバーコードを簡単な操作で素早く読取る。
【解決手段】
本発明は試験管ラックに収められたバーコード付の試験管群をそのままの状態で、隣接する試験管に妨害されず、斜め上方から試験管一本毎複数のカメラで撮影し、その複数のデータを合成ないし補正して正確に読取る方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
化学の研究や医療分野で用いられる多数の試験管に貼付されたバーコードを読取る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一つの試験管ラックに配列される試験管は1×10または5×10で、このラックが数台から数十台トレイ上に並べられ100ないし数100本の試験管を使って各種反応の経時試験や調査に利用される。通常一定時間毎に試験管を試験環境から取り出しチェックするようなことが行なわれるが、検体の番号を表すバーコードが貼付されており、検体の変化についてデータ取りに利用されている。
【0003】
しかしバーコードを見るため試験管を一本毎抜取って調べるのは大変な手数と時間が必要であって、研究上の問題点として長年変わっていない煩わしい作業である。試料や反応液などの注入には合理的なツールが開発され利用されているが、試験管につけられた番号を確認するための便利なバーコードが使用されていても、バーコードの内容を確認するための作業改善は図られていない。
【0004】
特許文献によれば、検体自動分析装置によって使用される試験管のラックは構造が指定されており、一列に並んだ状態で試験管に貼られたバーコードを読取り、医療用の分析装置として説明されている。しかるにバーコード面に対して垂直面で読取り、極普通の使い方がされている。 また別の文献でもラックは構造物として固定(回転型)されていて試験管一列毎にバーコードを読取るものであってバーコード面に対して垂直面で読取る方法である。
【特許文献1】実開平07−018266号公報
【特許文献1】特開2001−099841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動分析装置ではなく、一般的な用途として100ないし数100の試験管がラックに収納され、一列ではなくパレット上X・Y平面に配列された状態のままで試験管に貼られたバーコードを簡単な操作で素早く読取る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は試験管ラックに収められたバーコード付の試験管群をそのままの状態で、隣接する試験管に妨害されず、斜め上方から試験管一本毎複数のカメラで撮影し、その複数のデータを合成ないし補正して正確に読取る方法である。
【発明の効果】
【0007】
病院や大学の研究室で極普通に用いられている1×10または5×10本用の試験管ラックにバーコードの貼付された試験管を並べ、更にパレット上に数100本並べて検体の研究や調査をしている例は非常に多く、探し出そうとしている試験管を見つける作業などの時間短縮に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
測定対象試験管中心軸に対し30度から45度上方で円を描いた円周上に2台以上のカメラを90度程度離して設置することによって、バーコードの向きに関係なく確実に視野に入ったバーコードを読むことができる。更に得られたデータは斜め上から見たための歪んだパターンでできており、このデータを基にコンピュータで補正して四角形の正確なバーコードデータを得ることができる。
【実施例】
【0009】
図1のようにラックに挿入された試験管の配列は図2のように10×5本の20mmピッチであって、試験管の径は15.8mmであるから配列された間隔は平均4.2mmとなる。通常ラックは図3に示すようなパレットにセット(図3では5個のラックを並べるパレット)されて種々の環境に保存したり、試験・検査に使用される。
【0010】
いま図4(a)のように試験管4の側壁上部・円周方向にバーコード5を貼付する。バーコードは試験管の円周上図4(b)のように最大約270度にわたって表示されており、従来方法で試験管4を一本毎ラックから抜き出しバーコード5を見る代わりに、試験管4をラック1の収納穴に挿入したまま、前記配列した状態で任意の試験管を選択して、図5のように管軸より45度傾きを持った位置の上部約50mmから、2台のCCDカメラ6を約90度離した位置にセットして撮影すれば確実に読むことが可能であった。少なくとも円周上90度はバーコード5の貼ってない領域が原則的に存在し、小さなバーコードを使ったときは180度程度となり2台のCCDカメラ6ではバーコードが読めないなど不都合なことが想定されるので図6の矢印のようにカメラ4台(最小3台)設置するのが望ましい。前記2台のカメラ6から得られたデータをパソコン7に入力して演算・補正して正しいバーコードの値を読取ることができた。なおカメラを4台に増設してもパソコン7の演算になんら支障を生じないことは言うまでも無い。
【0011】
この方法を使ったシステムは図7のようなブロックダイアグラムで構成すれば実現される。即ちパソコン7からカメラ6の位置をコントロールする信号をコントローラ9に送り、ドライバ8によってX・Y方向にカメラ6を動かし目的とする試験管位置に焦点を合わす。カメラ6で読んだバーコードデータはパソコン7に取り込んだ後表示し、次の試験管位置にカメラ6を移動する。このような動作を繰返して順次試験管4を上に引き抜かなくともバーコード5の読取りが可能になり探索する試験管を見つけ出すことが極めて簡単になる。バーコードリーダー10はラックやパレット面のバーコードを読む場合に利用するものであって本発明とは関係ないので説明を省略する。
【0012】
図7のシステムを具体化したものの外観を図8に示す。操作を容易にするためパソコンのディスプレイやパレットの挿入位置から装置全体の高さを設定してある。
【産業上の利用可能性】
【0013】
化学や医学系の大学研究室でのニーズはある。特にバイオの領域では多数の検体を同時に処理しており自動分析機の導入が間に合っていない状態である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】試験管ラックに試験管を並べた俯瞰図の例
【図2】試験管ラックの構造を示す
【図3】試験管ラックを並べるパレットの構造を示す
【図4】バーコード付きの試験管を示す
【図5】カメラと試験管の位置を示す
【図6】任意の試験管を四方のカメラで見る概念図
【図7】バーコード読取りシステム構成(ブロックダイアグラム)
【図8】バーコード読取りシステム外観(正面)
【符号の説明】
【0015】
1 試験管ラック 2 試験管用挿入穴 3 パレット 4 試験管 5 バーコード 6 CCDカメラ 7 制御用パソコン 8 X・Y ドライバ 9 コントローラ 10 バーコードリーダー 11 X・Y軸 12 ラックバーコード用X軸 13 ラックバーコード用リーダー 14 パレット用バーコード用リーダー 15 副操作盤 16 制御盤 17 パワー回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の試験管をラックに配列した状態で、該試験管の周囲に貼付されたバーコードを斜め上部から読取る方法。
【請求項2】
前記試験管の周囲に貼付されたバーコードを複数のCCDカメラによって斜め上部から読取ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試験管の周囲に貼付されたバーコードを斜め上部から読取ったデータの画像歪を電子的に補正することを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−133065(P2006−133065A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321994(P2004−321994)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(591051852)株式会社エヌエステイー (13)
【Fターム(参考)】