説明

認証式キーシステムの読取装置

【課題】部品点数を削減してコストダウンを図ることができ、安全性をも確保する。
【解決手段】ドア10に設けた貫通孔16に対して、外側に位置するように配設された外側ケース41と、貫通孔16に対して、ドア10の内側に位置するように配設された内側ケース55と、外側ケース41と内側ケース55との間に配設された遮炎プレート70と、ドア10の内側に固定されるとともに遮炎プレート70に対して固定されることにより、両ケース41,55をドア10に固定する固定プレート76と、外側ケース41内に配設された第1読取手段(受信機)と、内側ケース55内に配設された第2読取手段(受信機)と、遮炎プレート70により区画された外側ケース41内および内側ケース55内の少なくとも一方に収容された回路基板88,92,93と、を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証式キーシステムの読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の住宅や車両のドアは、ドアの開放時に特定のユーザを自動認証して解錠可能または自動解錠したり、ドアの閉塞時に自動施錠したりする認証式キーシステムが採用されている。そして、特定のユーザを認証するための手段としては、予め設定された特定のコードを送信するICタグなどの電子部品が使用されている。
【0003】
このような認証式キーシステムに関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−343131号公報
【特許文献2】特開2004−068483号公報
【0005】
特許文献1の認証式キーシステムでは、室外から室内に入室するときだけでなく、室内から室外に退室する際の利便性をも向上するために、ドアの内面側と外面側の両方に、電子部品からの信号の読取手段を搭載した読取装置をそれぞれ配設する構成としている。
【0006】
しかしながら、この認証式キーシステムでは、同一機能を有する読取装置を2個設け、ドアの内外に配設する必要があるため、部品点数が増大するうえ、取付作業工数も増え、コスト高になるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2の認証式キーシステムでは、ドアの周囲である住宅の壁に室内側から室外側に向けて窪む収容凹部を設け、この収容凹部に読取装置を配設する構成としている。また、この収容凹部の室内側の開口には、金属製の防火用蓋を配設している。
【0008】
この引用文献2では、室内側に配設した防火用蓋によって、室内で送信された信号は遮断されるため、室内から室外に退室する際の利便性については考慮していない。但し、防火用蓋を開放することにより、退室を認証することは可能である。しかし、このように構成した場合、認証の際には蓋を開放操作する必要があるため、利便性が悪いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、部品点数を削減してコストダウンを図ることができ、安全性をも確保できる認証式キーシステムの読取装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の認証式キーシステムの読取装置は、読み取った読取ユーザ情報を予め登録された特定ユーザ情報と比較し、一致すると、少なくともドアを自動解錠または解錠可能とする認証式キーシステムの読取装置において、前記ドアに内外を貫通するように設けた貫通孔に対して、前記ドアの外側に位置するように配設された外側ケースと、前記外側ケースに組み付けられるとともに、前記貫通孔に対して、前記ドアの内側に位置するように配設された内側ケースと、前記外側ケースと内側ケースとの間に配設された遮炎プレートと、前記ドアの内側に固定されるとともに前記遮炎プレートに対して固定されることにより、前記両ケースを前記ドアに固定する固定プレートと、前記外側ケース内に配設され、前記ドアの外側に位置するユーザ情報を読み取る第1読取手段と、前記内側ケース内に配設され、前記ドアの内側に位置するユーザ情報を読み取る第2読取手段と、前記遮炎プレートにより区画された外側ケース内および内側ケース内の少なくとも一方に収容され、前記読取手段を接続または実装した回路基板と、を備えた構成としている。
【0011】
この読取装置によれば、外側ケースと内側ケースの内部に、ドアの外側に位置するユーザ情報を読み取る第1読取手段と、内側に位置するユーザ情報を読み取る第2読取手段とを配設している。そのため、1個の読取装置でドアの内外のユーザ情報を読み取ることができるため、部品点数を削減できる。また、この読取装置をドアに組み付ける際には、外側ケースと内側ケースとを組み付けた状態でドアの貫通孔に配設し、両ケースの間に位置する遮炎プレートをドアの内側に固定される固定プレートに固定するだけで、少ない作業工数で簡単に完了する。そして、このように部品点数を削減できるとともに、組付時の作業工数を削減できるため、コストダウンを図ることができる。
【0012】
なお、本発明によれば、ドアには、内外を貫通する貫通孔を設ける必要がある。そして、例えば住宅のドアに貫通孔を設けた場合、その住宅に火災が発生すると、その貫通孔から炎が放出されるため、防災の面で好ましくない。しかし、本発明では、外側ケースと内側ケースとの間に遮炎プレートを配設しているため、万が一、住宅に火災が発生しても、内部の炎が外部に放出されることを防止できる。
【0013】
ここで、ユーザを特定するためのユーザ情報としては、第1に、予め設定した送信コードに基づく所定周波数の信号を出力するICタグなどの電子部品が適用できる。この場合、読取手段としては、その周波数帯の信号を読み取って出力する受信機が適用される。また、ユーザを特定するためのユーザ情報としては、第2に、全ての人が異なるバイオメトリクス(Biometrics:生物計測学的認証)全般を利用できる。ここで、バイオメトリクスとは、指紋をはじめ、顔、手型、虹彩、網膜、血管などの生体的特徴や、筆跡、音声などの行動的特徴を数値化し、予め登録した特定ユーザ情報と照合することで行う認証方法である。
【0014】
また、受信機からなる第1の読取手段では、読取方法(時期)は、ユーザの読取意思を検出することによって起動する方式と、所定時間毎に間欠的に自動読み込みを実行する方式とが適用可能である。そのうち、特に後者の読取方法の場合、前記遮炎プレートを、少なくとも送信コードを送受信する周波数帯の信号は遮断する材質によって構成することが好ましい。このようにすれば、外側または内側から送信された信号を、内側用または外側用の第2読取手段または第1読取手段で読み取ることを防止できる。即ち、ドアの外側に存在するユーザと内側に存在するユーザとを、区別して認識することができる。
【0015】
この読取装置では、前記固定プレートに、前記内側ケースを内部に挿通する挿通孔を設け、該内側ケースの周囲に配設する装飾枠を前記固定プレートに固定することが好ましい。このようにすれば、ドアに対して外側ケースおよび内側ケースを装着した状態で、ドアの内側から意匠性を向上するための装飾枠を簡単に取り付けることができる。また、装飾枠は、金属製の固定プレートに固定されるため、固定状態での安定を図ることができる。
【0016】
また、前記回路基板に、外部機器と接続するためのコネクタを実装し、前記外側ケースまたは内側ケースに、前記コネクタの相手方コネクタの接続面を露出させる露出孔を設けることが好ましい。このようにすれば、読取装置をドアに組み付ける際に、外部機器と接続するための作業を容易に行うことができる。
【0017】
さらに、前記回路基板を、前記外側ケースから内側ケースにかけて延びるように配設するとともに、前記遮炎プレートに、前記回路基板を挿通する挿通溝を設けることが好ましい。このようにすれば、遮炎プレートによってケース内を内外に区画しても、確実に回路基板を配設できる。また、遮炎プレートには、回路基板との当接を避けるために大きな切り欠きを設けるのではなく、スリット状の挿通溝を設けるだけであるため、遮炎性能は十分に確保できる。
【0018】
具体的には、前記外側ケース内に、前記第1読取手段を実装した外側回路基板を配設するとともに、前記内側ケース内に、前記第2読取手段を実装した内側回路基板を配設し、前記回路基板に、前記外側ケース内および内側ケース内に位置するようにコネクタをそれぞれ実装するとともに、前記内外の各回路基板に前記コネクタに接続する相手方のコネクタをそれぞれ実装することが好ましい。このようにすれば、外側ケースに外側回路基板を配設するとともに、内側ケースに内側回路基板を配設した状態で、これらケースを遮炎プレートを挟んで組み付けるだけで、読取手段を実装した一対の回路基板と主となる回路基板の3つを簡単に接続することができる。
【0019】
さらにまた、前記外側ケースおよび内側ケースに、前記第1および第2読取手段によるユーザ情報の読み取りを実行するための操作部を設けることが好ましい。ここで、操作部は、ユーザの読取意思を検出するための手段である。そして、このように外側ケースおよび内側ケースのそれぞれに、読取意思検出手段である操作部を設けることにより、無駄な読取動作が不要になるため、無駄な電力消費を削減できる。また、ドアの開放を希望するユーザがドアの内側に存在するのか、内側に存在するのかを認識することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の認証式キーシステムの読取装置では、外側ケースと内側ケースとの内部に、外側用の第1読取手段と内側用の第2読取手段とを配設しているため、1個の読取装置でドアの内外のユーザ情報を読み取ることができる。また、この読取装置をドアに組み付ける際には、ドアの貫通孔に配設し、両ケースの間に位置する遮炎プレートをドアの内側に固定される固定プレートに固定するだけで、少ない作業工数で簡単に完了する。よって、部品点数を削減できるとともに、組付時の作業工数を削減できるため、コストダウンを図ることができる。また、ドアには貫通孔を設けているが、外側ケースと内側ケースとの間には遮炎プレートを配設しているため、万が一、火災が発生しても、ドア内部の炎が外部に放出されることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0022】
図1および図2は、本発明の実施形態に係る読取装置40を適用した認証式キーシステムを示す。まず、本実施形態の認証式キーシステムは、図1(A),(B),(C)に示すように、住宅のドア10内に配設されるもので、本発明に係る読取装置40の他に、錠箱20と、制御器内蔵錠箱26と、電池ボックス33とを備えている。
【0023】
住宅のドア10は、長方形状をなす金属製の外面パネル11および内面パネル12と、これらの外周縁を連続させるように閉塞する端面パネル13とを備え、その内部には所定間隔の空間を有するものである。
【0024】
前記錠箱20は、ドア10においてヒンジ接続された回転軸側の端面と逆側に位置する回転先端側に位置する端面パネル13に開口を設け、この開口から内部に挿入して固定される。この錠箱20は、外部に進出可能な第1デッドボルト21を備え、この第1デッドボルト21が図示しないドア枠の係止穴に進入することにより、ドア10を開放不可能(施錠状態)とする。また、この錠箱20は、ドア10の外側から施錠および解錠するための第1シリンダ22と、ドア10の内側から施錠および解錠するための第1電動サムターン23とを備えている。第1シリンダ22は、ドア10の外面パネル11に配設され、予め設定されたキー溝を有する構造的な鍵材を挿入して手動によって回転操作することにより、前記第1デッドボルト21を進出(係止穴内に進入係止)または後退(錠箱内に退避)させるものである。第1電動サムターン23は、ドア10の内面パネル12に配設され、第1ケーシング24に対して回転可能に突設された第1ボルト操作部25をユーザが手動によって回転操作することにより、第1デッドボルト21を進出または後退させるものである。また、第1ケーシング24の内部には周知のモータおよびリンク機構が内蔵され、メインマイコン32からの施錠指示または解錠指示により、第1デッドボルト21を自動進出または自動後退させるものである。
【0025】
前記制御器内蔵錠箱26は、錠箱20と同様に、ドア10において回転先端側に位置する端面パネル13に開口を設け、この開口から内部に挿入して固定されるものである。この制御器内蔵錠箱26は、外部に進出可能な第2デッドボルト27と、ドア10の外側から施錠および解錠するための第2シリンダ28と、ドア10の内側から施錠および解錠するための第2電動サムターン29とを備えている。また、第2電動サムターン29は、第2ケーシング30に第2ボルト操作部31が回転可能に配設され、内部にモータおよびリンク機構が内蔵されている。さらに、この制御器内蔵錠箱26には、後述する読取装置40から送信される信号に基づいて、電動サムターン23,29を制御する制御手段であるメインマイコン32を実装した制御基板が配設されている。さらに、制御器内蔵錠箱26の内部には、予め設定された検出範囲内の磁気を検出するマグネットスイッチ(図示せず)が配設され、ドア枠の対応位置にマグネットが配設されている。これらマグネットスイッチおよびマグネットは、ドア10の開閉状態を検出する開閉検出手段の役割をなす。なお、この開閉検出手段は、マグネットスイッチおよびマグネットの代わりにマイクロスイッチを用いることも可能であり、ドア10の開閉状態を検出できる構成であればいずれでも適用可能である。
【0026】
前記電池ボックス33は、ドア10の回転先端側に位置する端面パネル13に開口を設け、この開口から内部に挿入して固定されている。そして、メインマイコン32を実装した制御基板に電力線34によって接続されている。また、この制御基板は、第1電動サムターン23および読取装置40にリード線35a,35bによって接続されている。そして、制御基板から第1電動サムターン23および読取装置40に対して、これらを動作させるための電力および制御信号をリード線35a,35bによって伝達するように構成している。
【0027】
本実施形態の読取装置40は、図1および図2に示すように、ドア10の外面パネル11に第1開口部14を設けるとともに内面パネル12に第2開口部15を設け、これら開口部14,15により、ドア10の内外にかけて貫通する貫通孔16を構成し、この貫通孔16に対して装着するものである。なお、開口部14,15は、それぞれ長方形状をなすが、その開口面積は、第1開口部14より第2開口部15が小さくなるように形成されている。また、第2開口部15の周囲には、ネジを挿通して読取装置40を固定するためのネジ挿通孔17が設けられている。
【0028】
具体的には、この読取装置40は、ドア10の外側に位置するように配設された外側ケース41と、ドア10の内側に位置するように配設された内側ケース55とからなる外装体を備えている。そして、これらケース41,55の間には遮炎プレート70が配設され、この遮炎プレート70によって内部の収容空間が外側ケース41の側と内側ケース55の側とに区画されている。組付状態の外装体は、貫通孔16に対して外側から挿入してドア10に配置され、ドア10の内側から固定プレート76によって固定されるとともに、装飾枠83を固定することによって意匠的な装飾が施される。
【0029】
前記外側ケース41は耐熱性を有する樹脂からなり、図2、図3および図4に示すように、垂直方向が長尺な四角筒状をなす第1枠部42と、該第1枠部42の一端を閉塞する第1閉塞部47とを備えた一端開口の箱形状のものである。
【0030】
前記第1枠部42は、その4隅に内側ケース55をネジ止めによって固定するためのネジ止め部43が略半円形状をなすように外向きに膨出するように設けられている。また、第1枠部42は、膨出したネジ止め部43を含む外形が、第1開口部14より小さく形成されている。そして、第1枠部42の短尺な一端面、具体的には、ドア10に対して下側に配置する端面には、後述する主回路基板88の第1コネクタ90を露出させる矩形状の露出孔44が設けられている。また、第1枠部42の開口端には、上下枠縁の幅方向中央に位置するように、外向き(ドア10の厚さ方向)に突出する第1位置決め凸部45a,45bが突設されている。本実施形態では、上側に位置する第1位置決め凸部45aは、断面円形状をなすように突設されている。また、下側に位置する第1位置決め凸部45bは、横方向に長尺な断面長円形状をなすように突設されている。さらに、第1枠部42の上下端面には、内向きに突出する一対の第1案内板部46,46が、ドア10の内外面にかけて延びるようにそれぞれ突設されている。
【0031】
前記第1閉塞部47は、ドア10の外面パネル11に対して外部に露出(突出)するように組み付けられるものである。この第1閉塞部47は、その外形が第1開口部14より大きく、その外面は、意匠性を向上するために、上下方向にかけて湾曲した曲面により構成されている。また、第1閉塞部47の外面には、均一な深さで窪ませた第1凹部48が設けられ、この第1凹部48内に透光性を有する図示しないポリカーボネイト製の表面シートを貼着する構成としている。また、この第1閉塞部47の中央には、凹状をなすように下端および左右にかけて延びる第1分離溝49を設けることにより、その内部に上端を連続させた第1弾性操作部50が設けられている。この第1弾性操作部50の内面側には、後述する外側回路基板92に実装したスイッチ95Aを押圧作動させる第1押圧部51が突設されている。また、第1弾性操作部50には、第1押圧部51の上側に位置するように、第1枠部42内にかけて貫通した第1透光孔52が設けられている。なお、この第1透光孔52の内面側の縁にはリブ52aが突設されている。また、図中符号53は、第1弾性操作部50を補強するためのリブである。さらに、第1閉塞部47の内面には、外側回路基板92をネジ止めによって固定するための第1ボス54が突設されている。
【0032】
前記内側ケース55は耐熱性を有する樹脂からなり、図2、図3および図5に示すように、垂直方向が長尺な四角筒状をなす第2枠部56と、該第2枠部56の一端を閉塞する第2閉塞部62とを備えた一端開口の箱形状のものである。
【0033】
前記第2枠部56は、第2開口部15より若干小さ外形状をなし、第2閉塞部62と逆側に位置する開口端の上下縁には、外向きに突出する突出片57が設けられている。この突出片57には、外側ケース41に組み合わせた状態でネジ止め部43に一致するネジ挿通孔58が設けられている。また、突出片57において、幅方向の中央から一方に偏った位置には、後述する遮炎プレート70のネジ固定部73との干渉を防止するための切欠部59が半円形状をなすように設けられている。さらに、突出片57において、外側ケース41と対向する開口端面には、幅方向中央に位置するように、外向きに突出する第2位置決め凸部60a,60bが突設されている。これら第2位置決め凸部60a,60bは、断面円形状をなすように突設されている。そのうち、上側に位置する第2位置決め凸部60aは、第1位置決め凸部45aの直径と同一に形成されている。また、下側に位置する第2位置決め凸部60bは、第1位置決め凸部45bの円弧部分の直径と同一に形成されている。さらに、第2枠部56の上下端面には、内向きに突出する一対の第2案内板部61,61が、ドア10の内外面にかけて延びるようにそれぞれ突設されている。
【0034】
前記第2閉塞部62は、その外形が第2枠部56と同一に形成され、ドア10の内面パネル12に対して内部(室内側)に突出して露出するように組み付けられるものである。また、この第2閉塞部62の外面は、意匠性を向上するために、上下方向にかけて湾曲した曲面により構成されている。さらに、第2閉塞部62の外面には、均一な深さで窪ませた第2凹部63が設けられ、この第2凹部63内に透光性を有する図示しないポリカーボネイト製の表面シートを貼着する構成としている。また、この第2閉塞部62の中央には、凹状をなすように下端および左右にかけて延びる第2分離溝64を設けることにより、その内部に上端を連続させた第2弾性操作部65が設けられている。この第2弾性操作部65の内面側には、後述する内側回路基板93に実装したスイッチ95Bを押圧作動させる第2押圧部66が突設されている。また、第2弾性操作部65には、第2押圧部66の上側に位置するように、第2枠部56内にかけて貫通した第2透光孔67が設けられている。なお、この第2透光孔67の内面側の縁にはリブ67aが突設されている。また、図中符号68は、第2弾性操作部65を補強するためのリブである。さらに、第2閉塞部62の内面には、内側回路基板93をネジ止めによって固定するための第2ボス69が突設されている。
【0035】
前記遮炎プレート70は、炎を遮る遮炎性および予め設定した所定の周波数帯の信号を遮断する特性を有する金属材料(例えばステンレス)からなるものである。この遮炎プレート70は、図2、図3および図6に示すように、内側ケース55の上下にかけた突出片57と同一の外形をなす板状のもので、その4隅には、ネジ止め部43およびネジ挿通孔58に一致するネジ挿通孔71が設けられている。また、突出片57の切欠部59と対応するように、幅方向の中央から一方に偏った上下縁には、略半円形状をなすように突出する突出部72が設けられ、この突出部72の一面から円筒状をなすようにネジ固定部73が突設されている。このネジ固定部73は、ドア10への組付状態で、内面パネル12に設けたネジ挿通孔17と一致する。さらに、遮炎プレート70の中央上部には、位置決め凸部45a,60aと一致し、これらを内部に挿入して位置決めする位置決め孔74が設けられている。即ち、遮炎プレート70は、位置決め凸部45a,60aの突出寸法を合わせた寸法より若干厚肉に形成されている。また、遮炎プレート70には、後述する主回路基板88を挿通するスリット状をなす挿通溝75が下端から上向きに延びるように設けられている。この挿通溝75は、位置決め凸部45b,60bの直径より僅かに大きく形成され、後述する主回路基板88の位置決めと、両ケース41,55の位置決めの両方を兼ねるように構成されている。
【0036】
前記固定プレート76は、図2、図3および図7に示すように、内部に内側ケース55を挿通可能な第1挿通孔77を設けた四角枠状をなす金属製のものである。この固定プレート76の上下枠において中央から一方に偏った位置には、第1挿通孔77に内側ケース55を挿通した状態で、組付状態の遮炎プレート70のネジ固定部73に一致するネジ固定孔78a,78bが設けられている。そのうち、上側に位置するネジ固定孔78aは円形状をなすように設けられ、下側に位置するネジ固定孔78bは、製造誤差および組付誤差を吸収するために、上下方向に延びるようにした長円形状をなすように設けられている。また、固定プレート76には、第1挿通孔77の上下縁に室内側に向けて突出する枠片79が設けられている。さらに、固定プレート76の両側縁には、後述する装飾枠83を固定するための取付枠80が設けられている。この取付枠80の中央には、室内側に向けて突出する凸部81が設けられ、この凸部81にネジ止め孔82が設けられている。なお、凸部81の先端は、装飾枠83の取付作業性を向上させるために、内向きに傾斜させたガイド部81aとされている。
【0037】
前記装飾枠83は耐熱性を有する樹脂からなり、図2、図3および図8に示すように、装着状態の内側ケース55においてドア10の内面パネル12から室内側に突出する部分は勿論、固定プレート76を覆う上下方向に長尺な受皿形状をなすものである。この装飾枠83の中央には、内側ケース55を挿通する第2挿通孔84が設けられている。また、この装飾枠83の第2挿通孔84の両側には、内側ケース55の第2閉塞部62の外面形状と一致するように曲面状に膨出する隆起部85が設けられている。さらに、装飾枠83の両側部には、固定プレート76の取付枠80の外側に外嵌した状態で前記ネジ止め孔82に一致するように、内側に向けて略U字形状をなすように窪む凹部86が設けられ、この凹部86にネジ止め溝87が設けられている。
【0038】
このように、遮炎プレート70によって内部を区画した内側ケース55と外側ケース41とからなる外装体の内部には、図2に示すように、3枚の回路基板88,92,93が収容されている。そのうち、主回路基板88は両ケース41,55にかけて延びるように配設され、外側回路基板92は外側ケース41内に配設され内側回路基板93は内側ケース55内に配設される。
【0039】
前記主回路基板88は、図2および図9に示すように、遮炎プレート70によって区画されたケース41,55内において、遮炎プレート70の挿通溝75を通して両ケース41,55内にかけて延びるように配設されるものである。この主回路基板88は、両ケース41,55の案内板部46,46,61,61によって上下端縁が位置決めされ、安定状態で収容される。そして、この主回路基板88には、後述するLED96A,96B、送信機97A,97Bおよび受信機98A,98Bの制御手段としてマイコン89が実装されている。また、主回路基板88の下端には、組付状態で外側ケース41の露出孔44に対応する第1コネクタ90が実装されている。この第1コネクタ90は、外部機器である制御器内蔵錠箱26に接続したリード線35aのコネクタ(図示せず)と電気接続するもので、その接続面が露出孔44を通して外部を臨むように構成されている。さらに、主回路基板88の両側縁には、両ケース41,55内に位置する第2コネクタ91a,91bがそれぞれ実装されている。これら第2コネクタ91a,91bは、後述する外側回路基板92および内側回路基板93と電気的に接続するもので、その接続面がドア10の厚さ方向において外向きに臨むように構成されている。
【0040】
前記外側回路基板92および内側回路基板93は、同一のものである。なお、以下の説明では、外側回路基板92の側の構成と内側回路基板93の側の構成とを区別するために、外側回路基板92の側の構成に「A」を付し、内側回路基板93の側の構成に「B」を付して説明する。まず、回路基板92,93は、図2および図10に示すように、長方形状をなし、その中央上下に両ケース41,55のボス54,69に対応する固定孔94A,94Bが設けられている。また、閉塞部47,62の側に位置する一面中央には、押圧部51,66によって作動されるスイッチ95A,95Bが実装されている。このスイッチ95A,95Bは、ユーザが弾性操作部50,65を操作することによる認証読取意思を検出する手段の役割をなす。このスイッチ95A,95Bの上部には、透光孔52,67を通してユーザに動作状態であるか否かを光によって示すためのLED96A,96Bが実装されている。さらに、回路基板92,93において、収容空間の側に位置する他面には、所定の起動信号を出力する呼出手段である送信機97A,97Bが実装されるとともに、送信されたユーザ情報を含む信号を読み取る(受信する)読取手段である受信機98A,98Bが実装されている。また、主回路基板88の第2コネクタ91a,91bに嵌合して電気接続されるコネクタ99A,99Bが実装されている。
【0041】
このように、本実施形態では、ユーザを特定するためのユーザ情報として、予め設定した送信コードに基づく所定周波数の信号を、受信機98A,98Bによって受信して読み取ることにより構成している。そして、このような信号の送受信による認証方式を適用可能な電子部品としては、RF信号(電波)を発信するリモコンを使用する構成と、LF信号(電磁波)を発信するICタグを使用する構成とがある。
【0042】
リモコンを使用する場合、ユーザが弾性操作部50,65を操作すると、即ち、スイッチ95A,95Bによってユーザの読取意思を検出すると、マイコン89は、315MHzの周波数の起動RF信号を送信機97A,97Bから出力させる。ついで、その起動RF信号をユーザが携帯したリモコンが受信すると、予め登録されているコードを有する応答RF信号を出力する。その後、この応答RF信号を受信機98A,98Bが受信すると、その信号に基づいた受信信号をマイコン89に出力する。
【0043】
ICタグを使用する場合、ユーザが弾性操作部50,65を操作すると、マイコン89は、125KHzの周波数の起動LF信号を送信機97A,97Bから出力させる。ついで、その起動LF信号をユーザが携帯したICタグを内蔵したカード等が受信すると、予め登録されているコードを有する応答LF信号を出力する。その後、この応答LF信号を受信機98A,98Bが受信すると、その信号に基づいた受信信号をマイコン89に出力する。
【0044】
次に、前記読取装置40をドア10に組み付ける作業について説明する。
【0045】
まず、外側ケース41の内部に外側回路基板92を配置し、ネジ止めによって固定する。同様に、内側ケース55の内部に内側回路基板93を配置し、ネジ止めによって固定する。その後、主回路基板88を外側ケース41の第1案内板部46,46の間に差し込む。この際、主回路基板88の第1コネクタ90を外側ケース41の露出孔44に位置させる。また、主回路基板88の第2コネクタ91aと外側回路基板92のコネクタ99Aとを嵌合させて、電気的に接続する。
【0046】
ついで、外側ケース41に組み付けた主回路基板88が挿通溝75内を挿通するように、主回路基板88の略中央に遮炎プレート70を噛み合わせるように配置する。その後、外側ケース41の第1位置決め凸部45aを位置決め孔74内に挿入させるとともに、第1位置決め凸部45bを挿通孔75内に挿入させて、外側ケース41と遮炎プレート70とを位置決めする。
【0047】
ついで、遮炎プレート70から突出した主回路基板88が、内側ケース55の第2案内板部61,61の間に位置するように、内側ケース55を被せて配置する。この際、遮炎プレート70から突出しているネジ固定部73を、内側ケース55の切欠部59内に位置させる。また、主回路基板88の第2コネクタ91Bと内側回路基板93のコネクタ99Bとを嵌合させて、電気的に接続する。さらに、内側ケース55の第2位置決め凸部60aを位置決め孔74内に挿入させるとともに、第2位置決め凸部60bを挿通溝75内に挿入させて、内側ケース55と遮炎プレート70とを位置決めする。
【0048】
ついで、内側ケース55のネジ挿通孔58から、遮炎プレート70のネジ挿通孔71を通して、ネジを外側ケース41のネジ止め部43にネジ止めして、外側ケース41と内側ケース55とを、間に遮炎プレート70を介在させた状態で固定する。
【0049】
なお、以上の説明では、主回路基板88を外側ケース41に組み付けた後に、内側ケース55を組み付けるようにしたが、主回路基板88を内側ケース55に組み付けた後に、外側ケース41を組み付けるようにしてもよく、その組立順番は希望に応じて変更が可能である。
【0050】
このように、本実施形態の読取装置40は、外側ケース41と内側ケース55との間を遮炎プレート70によって外側と内側とに区画する構成としているが、遮炎プレート70に挿通溝75を設けているため、確実に主回路基板88を内外にかけて延びるように配設することができる。
【0051】
次に、図11に示すように、このように予め組み付けたケース41,55を、ドア10の外面パネル11の第1開口部14から挿入する。この際、ドア10の内部空間に配線された外部機器である制御器内蔵錠箱26からのリード線35aに取り付けられたコネクタを、外側ケース41の露出孔44から挿入し、露出した第1コネクタ90に嵌合して接続する。また、この第1開口部14への挿入作業は、内側ケース55の側から行い、この内側ケース55の先端部が内面パネル12に設けた第2開口部15を貫通し、外側ケース41の第1閉塞部47が外面パネル11の表面に当接した状態で完了する。このように、外部機器と接続するための第1コネクタ90を外側ケース41に設けた露出孔44から露出させる構成としているため、その接続作業を容易に行うことができる。
【0052】
ついで、第2開口部15から突出した内側ケース55を囲むように、ドア10の内面パネル12の側から、固定プレート76を配置する。そして、固定プレート76のネジ固定孔78a,78bから、内面パネル12のネジ挿通孔17を通して、ネジを遮炎プレート70のネジ固定部73に対してネジ止め固定する。これにより、遮炎プレート70を介在させた組付状態の外側ケース41と内側ケース55とを、ドア10の内面パネル12を挟み込んだ状態で固定できる。
【0053】
ついで、内面パネル12から突出した内側ケース55の先端部分および固定プレート76を覆うように装飾枠83を被せる。そして、装飾枠83のネジ止め溝87を通して固定プレート76のネジ止め孔82にネジを締め付けて、ドア10に対して装飾枠83を固定する。このように、装飾枠83を固定プレート76に固定する構成としているため、ドア10に対して外側ケース41および内側ケース55を装着した状態で、ドア10の内側から装飾枠83を簡単に取り付けることができる。また、意匠性を向上するための装飾枠83は、金属製の固定プレート76に固定されるため、固定状態での安定を図ることができる。
【0054】
このように、本発明の読取装置40では、外側ケース41と内側ケース55とを組み付けた状態で、これらをドア10の貫通孔16に配設し、両ケース41,55の間に位置する遮炎プレート70をドア10の内側に固定する固定プレート76に固定するだけで、少ない作業工数で簡単に完了する。そのため、組付作業工数を削減でき、コストダウンを図ることができる。
【0055】
ここで、住宅のドア10などは、火災が発生した際に、炎が外部に放出されることを防止する必要がある。しかし、本実施形態の読取装置40をドア10に組み付けるには、ドア10に内外を貫通する貫通孔16を設ける必要があるため、火災が発生した場合に、その熱で読取装置40の外装体が溶けて焼失すると、貫通孔16から炎が外部に放出する問題が生じる。しかし、本実施形態の読取装置40は、両ケース41,55の間に遮炎プレート70を介設しているため、万が一、住宅に火災が発生しても、内部の炎が外部に放出されることを防止できる。
【0056】
因みに、本実施形態の遮炎プレート70には、主回路基板88を挿通させるための挿通溝75を設けているため、この主回路基板88が焼失すると、挿通溝75を通して炎が外部に放出する可能性が生じる。しかし、本実施形態の挿通溝75は、主回路基板88との当接を避けるための大きな切り欠きではなく、スリット状の非常に小さい開口面積のものであるため、遮炎性能は十分に確保できる。
【0057】
また、本実施形態では、3枚の回路基板88,92,93により構成しているが、外側回路基板92を外側ケース41に配設し、内側回路基板93を内側ケース55に配設した状態で、主回路基板88を挟み込むように配設するだけで、コネクタ91a,99A,91b,99Bによって簡単に電気的に接続できる。
【0058】
次に、前記読取装置40を用いた認証式キーシステムの動作について説明する。
【0059】
例えば、リモコンまたはカードキーを携帯したユーザがドア10の外側の第1弾性操作部50を操作したことを第1のスイッチ95Aを介してマイコン89が検出すると、マイコン89は、外側回路基板92の送信機97Aから起動信号を出力させる。その後、読取装置40は、リモコンまたはカードキーからの応答信号の受信待機状態に遷移する。
【0060】
出力された起動信号をリモコンまたはカードキーが受信すると、リモコンまたはカードキーは、予め登録されたユーザ情報であるコードを含む応答信号を送信する。そして、送信された応答信号を受信待機状態の読取装置40が受信機98Aによって受信すると、マイコン89は、その受信情報に基づく信号を制御器内蔵錠箱26に搭載したメインマイコン32に出力する。
【0061】
なお、リモコンまたはカードキーを携帯したユーザがドア10の内側の第2弾性操作部65を操作した場合、第2のスイッチ95Bを介してマイコン89が検出することにより、起動信号を内側回路基板93の送信機97Bから出力し、受信機98Bにより受信待機状態に遷移する点でのみ相違する。
【0062】
一方、読取装置40のマイコン89から受信情報に基づく信号を受信したメインマイコン32は、その受信信号に含まれるユーザ情報と、予め登録された特定のユーザ情報とを比較し、一致する特定ユーザ情報が存在する場合には、正規信号であると認証する。そうすると、メインマイコン32は、電動サムターン23,29に対して解錠を意味する解錠駆動信号を出力する。その結果、電動サムターン23,29が解錠動作を実行し、デッドボルト21,27を後退させて、ドア10を解錠する。
【0063】
解錠信号を出力すると、メインマイコン32は、ドア10の閉塞待機状態に遷移する。そして、制御器内蔵錠箱26内のマグネットスイッチが、ドア枠に配設したマグネットの磁気を検出すると、メインマイコン32はドア10が閉塞されたと判断し、電動サムターン23,29に対して施錠を意味する施錠駆動信号を出力する。その結果、電動サムターン23,29が施錠動作を実行し、デッドボルト21,27を進出させて、ドア10を施錠する。
【0064】
このように、本発明の読取装置40を用いた認証式キーシステムでは、外側ケース41にドア10の外側のユーザ情報を読み取る読取手段として第1の受信機98Aを配設し、内側ケース55にドア10の内側のユーザ情報を読み取る読取手段として第2の受信機98Bを配設した構成としている。その結果、1個の読取装置40でドア10の内外のユーザ情報を読み取ることができるため、部品点数を削減でき、コストダウンを図ることができる。
【0065】
また、前記外側ケース41および内側ケース55に、受信機98A,98Bによってユーザ情報の読み取りを実行するため弾性操作部50,65を設けているため、その操作を検出した時のみ、送信機97A,97Bおよび受信機98A,98Bによる送受信動作を実行するように構成できる。即ち、所定時間毎に間欠的に送受信を行うような無駄な読取動作が不要になるため、電力消費を削減できる。
【0066】
さらに、弾性操作部50,65に対応するスイッチ95A,95Bによって読取意思を検出するため、ユーザが屋内に存在するのか屋外に存在するのかを容易に認識できる。その結果、例えば、リモコンまたはカードキーを携帯していない人物が、第1弾性操作部50を操作した際に、ドア10の内側、即ち、室内に置いている使用していないリモコンまたはカードキーが応答することにより解錠するという不都合を防止できる。しかも、本実施形態では、遮炎プレート70を、送受信する信号の周波数帯を遮断する特性の材料としている。その結果、外側の第1弾性操作部50が操作された場合に、第1の受信機98Aのみによって受信させることにより、確実に意図しない解錠を防止できる。
【0067】
なお、本発明の認証式キーシステムの読取装置40は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0068】
例えば、前記実施形態では、回路基板を、主回路基板88と外側回路基板92と内側回路基板93の3枚で構成したが、その数は希望に応じて変更が可能である。具体的には、1枚で構成する場合には、ドア10の内外に位置するユーザ情報をそれぞれ検出する目的から、回路基板は、主回路基板88のように両ケース41,55にかけて延びるように配設することが好ましい。但し、送信機97と受信機98をそれぞれケース41,55に直接固定する構成とし、これらを回路基板に対してリード線によって接続する場合には、両ケース41,55のいずれかに位置するように収容させればよい。また、2枚で構成する場合には、両ケース41,55にそれぞれ配設することが好ましい。
【0069】
また、前記実施形態では、特定のユーザを認証するユーザ情報として、予め設定した送信コードを登録した信号の送受信により構成したが、全ての人が異なる各自の指紋をユーザ情報として利用してもよい。この場合、読取手段としては、接触した指の指紋を読取可能なタッチパネルを適用する。また、この場合には、タッチパネルを読取意思検出手段として兼用できるため弾性操作部50,65は不要であるうえ、信号を送受信するための送信機97A,97Bおよび受信機98A,98Bも不要である。勿論、この指紋を含むバイオメトリクス(Biometrics:生物計測学的認証)全般を希望に応じて適用してもよい。ここで、バイオメトリクスとは、指紋をはじめ、顔、手型、虹彩、網膜、血管などの生体的特徴や、筆跡、音声などの行動的特徴を数値化し、予め登録した特定ユーザ情報と照合することで行う認証方法である。ここで、これらの読取手段としては、光学方式、半導体方式、熱感知方式、カメラを用いた画像解析方式、マイクを用いた音声解析方式のデバイスを適用できる。
【0070】
さらに、前記実施形態では、主回路基板88と外部機器とを接続するための第1コネクタ90を露出するための露出孔44を外側ケース41に設けたが、内側ケース55に設けてもよい。
【0071】
そして、本発明の読取装置40を適用すれば、全体の認証式キーシステムも種々の変更が可能である。
【0072】
例えば、前記実施形態では、電池ボックス33に蓄電した電力で動作する構成としたが、家庭に供給される商用電力を用いることも可能である。この場合、商用電力は、ドア10を開閉可能としたヒンジ部から電灯線を介して制御器内蔵錠箱26に供給する。
【0073】
また、前記実施形態では、特定のユーザを認証すると、電動サムターン23,29を動作させて自動解錠する構成としたが、デッドボルト21,27が後退不可能になるリンク機構を設けておき、特定ユーザを認証すると、デッドボルト21,27を後退可能とすることにより、解錠可能になるように構成してもよい。
【0074】
さらに、前記実施形態では、特定ユーザの認証により自動解錠のみを行い、施錠はドア10の閉塞を検出することにより行うようにしたが、解錠状態で特定ユーザを認証することにより、間接的に自動施錠する構成としてもよい。このようにすれば、ドア10が確実に施錠されたことをユーザが確認できるため、安心感を与えることができる。
【0075】
そして、前記実施形態では、弾性操作部50,65およびスイッチ95A,95Bからなる読取意思検出手段を設けたため、読取意思を検出した場合にのみ、信号を送受信することにより特定ユーザの認証を行うようにしたが、所定時間毎に間欠的に信号の送受信を行う自動読込方式を採用することもできる。この場合、前記実施形態のように、遮炎プレート70を、送受信する信号の周波数帯を遮断する特性の材料とすることにより、ドア10の内側からの信号であるか外側からの信号であるかを区別して認識できるようにすることが好ましい。
【0076】
また、前記実施形態では、本発明の読取装置40およびそれを用いた認証式キーシステムを住宅のドア10に適用したが、車両のドア10に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態に係る読取装置を適用した認証式キーシステムを示し、(A)はドア外側である左側面図、(B)はドア先端面である正面図、(C)はドア内側である右側面図である。
【図2】実施形態の読取装置の構成を示す断面図である。
【図3】読取装置を示す分解断面斜視図である。
【図4】外側ケースの背面図である。
【図5】内側ケースの背面図である。
【図6】遮炎プレートの正面図である。
【図7】固定プレートの背面図である。
【図8】装飾枠の背面図である。
【図9】主回路基板の正面図である。
【図10】外側および内側回路基板の正面図である。
【図11】読取装置の組付工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0078】
10…ドア
11…外面パネル
12…内面パネル
16…貫通孔
20…錠箱
26…制御器内蔵錠箱
33…電池ボックス
40…読取装置
41…外側ケース
44…露出孔
50…第1弾性操作部
55…内側ケース
65…第2弾性操作部
70…遮炎プレート
75…挿通溝
76…固定プレート
77…第1挿通孔
80…取付枠
83…装飾枠
84…第2挿通孔
88…主回路基板
89…マイコン(制御手段)
90…第1コネクタ
91a,91b…第2コネクタ
92…外側回路基板
93…内側回路基板
97A,97B…送信機
98A,98B…受信機(読取手段)
99A,99B…コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取った読取ユーザ情報を予め登録された特定ユーザ情報と比較し、一致すると、少なくともドアを自動解錠または解錠可能とする認証式キーシステムの読取装置において、
前記ドアに内外を貫通するように設けた貫通孔に対して、前記ドアの外側に位置するように配設された外側ケースと、
前記外側ケースに組み付けられるとともに、前記貫通孔に対して、前記ドアの内側に位置するように配設された内側ケースと、
前記外側ケースと内側ケースとの間に配設された遮炎プレートと、
前記ドアの内側に固定されるとともに前記遮炎プレートに対して固定されることにより、前記両ケースを前記ドアに固定する固定プレートと、
前記外側ケース内に配設され、前記ドアの外側に位置するユーザ情報を読み取る第1読取手段と、
前記内側ケース内に配設され、前記ドアの内側に位置するユーザ情報を読み取る第2読取手段と、
前記遮炎プレートにより区画された外側ケース内および内側ケース内の少なくとも一方に収容され、前記読取手段を接続または実装した回路基板と、
を備えたことを特徴とする認証式キーシステムの読取装置。
【請求項2】
前記固定プレートに、前記内側ケースを内部に挿通する挿通孔を設け、該内側ケースの周囲に配設する装飾枠を前記固定プレートに固定したことを特徴とする請求項1に記載の認証式キーシステムの読取装置。
【請求項3】
前記回路基板に、外部機器と接続するためのコネクタを実装し、
前記外側ケースまたは内側ケースに、前記コネクタの相手方コネクタの接続面を露出させる露出孔を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の認証式キーシステムの読取装置。
【請求項4】
前記回路基板を、前記外側ケースから内側ケースにかけて延びるように配設するとともに、前記遮炎プレートに、前記回路基板を挿通する挿通溝を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の認証式キーシステムの読取装置。
【請求項5】
前記外側ケース内に、前記第1読取手段を実装した外側回路基板を配設するとともに、前記内側ケース内に、前記第2読取手段を実装した内側回路基板を配設し、
前記回路基板に、前記外側ケース内および内側ケース内に位置するようにコネクタをそれぞれ実装するとともに、前記内外の各回路基板に前記コネクタに接続する相手方のコネクタをそれぞれ実装したことを特徴とする請求項4に記載の認証式キーシステムの読取装置。
【請求項6】
前記外側ケースおよび内側ケースに、前記第1および第2読取手段によるユーザ情報の読み取りを実行するための操作部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の認証式キーシステムの読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−215030(P2008−215030A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57222(P2007−57222)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(598063683)株式会社 ユーシン・ショウワ (8)
【Fターム(参考)】