説明

誘導加熱器の加熱構造

【課題】釜3内でカラメルなどの被処理物が加熱されたとき、釜3が過度に熱変形して、誘導コイル14と釜3との相対配置が不適正となって加熱効率が低下する問題を解消する。
【解決手段】本体フレーム1に支持され誘導コイル14を上向きの弾力に抗しつつ任意傾斜姿勢での下方変位自在に支持する上下案内弾性支持手段15を具備し、釜3が使用位置にあるとき、釜3の外面が上下案内弾性支持手段15をこれの上縁箇所に形成された隙間形成部位を介し弾力に抗して押し下げた状態となることにより、誘導コイル14が釜3の下部外面に倣うように押し下げられ該下部外面から隙間形成部位の高さに対応した距離だけ離間された状態となるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラメルなどの製造に使用される誘導加熱器の加熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の誘導加熱処理器として、家庭などで使用される炊飯器のように被処理物を収容する釜の加熱温度が300℃以下のものとか、工場など使用されるもので金属を溶解させる誘導加熱溶解炉のように被処理物の加熱温度が1000℃を超えるものなどが存在している(特許文献1〜4)。
【0003】
上記炊飯器などでは処理物の収容される釜と、これを誘導加熱するための誘導コイルとは分離可能になされている。特許文献1の炊飯器では、誘導コイル側の形状が釜の底に合わせて整形されており、一方、特許文献2の炊飯器では釜の底の形状とは必ずしも一致していないものとなっている。このように、温度の低い領域の器具においては、被加熱容器側とコイル側の形状とでは一致しておれば良く、一致していなくても殆ど考慮の必要のないものである。
【0004】
一方、特許文献3、4の高温の領域となる金属の誘導加熱溶解炉などでは、炉に収容された被処理物に磁力線を浸透させ該被処理物に渦電流を生じさせ誘導加熱するための誘導コイルは、コイルセメントなどを介して炉本体外側に同体状に固定されている。
【0005】
このように、高温の領域では容器自体に誘導コイルが固定され、低温の領域においては誘導コイルとは別体となっている。
【特許文献1】特開2004−31290号公報
【特許文献2】特開2004−105596号公報
【特許文献3】特開2002−62054号公報
【特許文献4】特開平09−303968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、被処理物を400℃〜600℃程度の中温域についての誘導加熱処理器については、中間的なものは存在していないのが実情である。中温域の用途としては、例えば薬品の着色材料としてのカラメルなどの用途があり、このような用途においては、炉本体に誘導コイルを固定する高温の金属の誘導加熱溶解炉とは違い、炊飯器などの低温の調理器のように釜と誘導コイルとを分離可能とするが、温度が高いため新たな課題が生じた。
【0007】
すなわち、本発明者等はこのような温度帯域においては、被処理物がかなり高温(400℃〜600℃程度)で加熱されるため、収容物を収容する釜に熱変形が生じ、誘導コイルと釜との相対配置が不適正となって加熱効率が低下するなどの問題が生じることを見出した。
【0008】
本発明はこれらの実情に対処できるものとした誘導加熱器の加熱構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る誘導加熱器の加熱構造は、本体フレームに支持された釜と、該釜の下部外面を取り囲むように形成され前記本体フレームに支持された誘導加熱手段とを備え、該誘導加熱手段の誘導コイルが前記釜の下部外面に沿った状態に配置されている誘導加熱器の加熱構造であって、前記本体フレームに支持され前記誘導コイルを上向きの弾力に抗しつつ任意傾斜姿勢での下方変位可能に支持する上下案内弾性支持手段を具備し、前記釜が使用位置にあるとき、前記釜の外面が前記上下案内弾性支持手段をこれの上縁箇所に形成された隙間形成部位を介し前記弾力に抗して押し下げた状態となることにより、前記誘導コイルが前記釜の下部外面に倣うように押し下げられ該下部外面から前記隙間形成部位の高さに対応した距離だけ離間された状態となることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
上記した本発明によれば次のような効果が得られる。
即ち、請求項1記載の発明によれば、たとえ釜が加熱されてその外面下部に熱歪みが生じ縦面に沿って任意角度に傾斜しても或いは本体フレーム上での高さ位置が変化されても、加熱コイルは隙間形成部位を介して釜との距離を適当大きさに確保されつつ外面下部に追従して傾斜変位や上下変位を行うものとなるのであり、したがって釜の熱歪みにも拘わらず誘導コイルに釜を効率的に誘導加熱させることができるものである。
【0011】
また例えば直径が500mm以上となされ誘導加熱手段から離反させることを可能となされた釜でカラメルなどを製造する場合において、たとえ釜が500℃〜600℃の温度まで加熱され釜に比較的大きい熱歪みが生じても、釜と誘導コイルとの距離を適当大きさに保持することができ、釜を効率的に誘導加熱することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る誘導加熱処理器の正面図、図2は該誘導加熱処理器の一部を省略した側面図、図3は誘導加熱手段を示す斜視図、図4は誘導コイル及び上下案内弾性支持手段を示す斜視図、図5は誘導コイル及び上下案内弾性支持手段を示す正面図、図6は誘導コイル及び上下案内弾性支持手段を示す平面図、図7は単位支持機構部の斜視図、図8は単位支持機構部とその周辺を示す正面視説明図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、本発明に係る誘導加熱器の加熱構造は、床面a1に定置された本体フレーム1、誘導加熱手段2、釜3及び攪拌装置4などからなっている。
【0014】
本体フレーム1は上方視方形状の枠体となされた基礎台5を備え、該基礎台5の右端部に直方体状の支持台6が固定されると共に、該支持台6の左側の基礎台5部分の上面の前端左右箇所のそれぞれから支柱7a、7bが起立されている。
【0015】
各支柱7a、7bの奥側となる基礎台5部分上には上下方向部材8a、前後方向部材8b及び傾斜部材8cなどからなる枠構造が形成され、各支柱部7a、7b材の起立姿勢を補強している。
【0016】
9は水平状の方形枠体で、左右の支柱7a、7bの上端と略同じ高さ位置でこれら支柱7a、7b間の奥側となる基礎台5部分の真上位置に配置されている。該方形枠体9の前端部側面からは軸部材10a、10bが左右方向f1の外方へ突出されている。これら軸部材10a、10bのそれぞれはその対応する側の支柱7a又は7bの上端面に固定された軸受11a、11bにより回動自在に支持されている。
【0017】
一方、方形枠体9の奥方端の左右方向部材の長さ中央箇所にはさらに奥方へ突出された図2に示す被支持片12が固着されており、該被支持片12はこれの真下となる基礎台5箇所に固設された起立状の支持棒部材13の上端で受け止められることにより、方形枠体9を水平姿勢に維持させるものとなされている。
【0018】
釜3は回転体形状となされた有底筒状体となされており、方形枠体9の内方に挿入されると共に方形枠体の上面を覆うように固着された環状の上面板9aの複数箇所から張り出させた支持片を介して方形枠体9に同体状に結合されている。このさい、釜3は誘導加熱手段2により最高で略500℃〜600℃程度の温度まで加熱されるため、大きく熱変形することになるが、この熱変形によってもその中心位置が方形枠体9上の略定位置に保持されるように熱変形吸収結合構造を介して方形枠体9に結合させるのがよい。釜3は電磁誘導発熱性材である鉄、ニッケル、強磁性SUS又は、ニッケル−コバルト合金などで形成されるものであり、またその容量は例えば、数十リットルから数百リットル程度となされるのであって、このさいの釜3の直径は略、800mm〜1000mm程度となる。
【0019】
誘導加熱手段2は、加熱枠フレーム2a、誘導コイル14及び上下案内弾性支持手段15などからなっている。
【0020】
図3に示すように、加熱枠フレーム2aは、上方視方形状の水平枠構造となされた加熱台16を備え、該加熱台16に前後方向部材17、左右方向部材18、上下方向部材19などを組み付けた直方体状の枠構造体となされているもので、枠構造体の内方の上段には、前後方向で対向するように配置されると共に側面部b1及び水平面部b2とを具備した2つの反射板20a、20bを固設されると共にこれら2つの反射板20a、20bの水平面部b2、b2の間に水平面部b2、b2と同一平面をなす水平支持板21を固設され、加熱台2aの透孔箇所のそれぞれを平板部材22a、22bで覆った構造となされている。このさい、反射板20a、20bは誘導コイル14から発せられる磁力線が外方へ漏れ出ないように機能するものである。
【0021】
加熱枠フレーム2aの最上部の内方には釜3の下部に密状に外嵌される案内リング23が配置されている。該案内リング23は加熱台16の4つの隅角部の傾斜状枠部材16aから立ち上げられ反射板20a、20bの水平面部b2の透孔を通じて上方へ導かれた起立支持棒24を介して加熱台16と同体状に固定されているものであり、釜3と案内リング23との相対関係は、釜3が誘導コイル14の上方へ離れた状態から近接されるとき、案内リング23内に釜3が上方から進入され密状に嵌合されるようになり、このさい案内リング23が加熱枠フレーム2aに釜3中心へ向かう求心力を付与して、釜3に対する加熱枠フレーム2aの相対位置を適正化させるように機能するものとなされている。
【0022】
図4〜図6に示すように、誘導コイル14は、直径の異なる複数(6個)の単位コイル14aを備え、これら単位コイル14aを釜3の下部外面に沿わせるように釜3中心からその半径方向外側へ、直径の小さいものから順に且つ単層状に配置したものとなされている。各単位コイル14aは銅管からなる導電条部材25を単層状且つ渦巻き状且つ密状配列となるように巻かれている。それぞれの単位コイル14aにおける銅管25の巻き数は単位コイル14aの直径の小さいものほど多くなされているのであり、これにより釜3の中心に近くなるほど磁束密度が疎となって加熱能力が不足するという従来の傾向を修正することができて、釜3の下部は誘導コイル14の誘導加熱により比較的均等に加熱されるものとなる。
【0023】
さらに具体的には、銅管25は外形を例えば、3mm〜15mm程度となされるのであり、また各単位コイル14aの銅管25の巻き数は最も直径の小さい単位コイル14aで「8」となされ、最も直径の大きい単位コイル14aで「2」となされている。該銅管25の内孔には銅管25を冷却するための冷却水が流動されており、該冷却水は図示しない制御手段で適当温度に制御される。そして、各単位コイル14aごとの銅管25は、任意な周波数の交流電力を出力することのできる図示しない電源装置から高周波数(例えば25MHz程度)の交流電力を供給され、その略全長箇所から交番磁場を発生するものとなされている。
【0024】
上下案内弾性支持手段15は、誘導コイル14を上向きの弾力に抗しつつ任意傾斜姿勢の下方変位自在に支持するもので、多数の単位支持機構部26を備えている。各単位支持機構部26は図7及び図8などに示すように、固定部材27、上下動部材28及びコイル保持部29などを備えており、誘導コイル14の銅管25長さ方向へ離間した複数の被支持箇所のそれぞれを単独に支持するものとなされている。
【0025】
固定部材27は下部材30と上部材31からなる。下部材30は細長状のアングル材を主体としたもので、2つの平面部c1、c1のそれぞれの上端部を水平外側へ折り曲げて固定片30a、30aを形成されると共に、各平面部c1、c1にネジ部材32を挿通させるための透孔30bを上下方向へ多数列設されている。
【0026】
上部材31は、固定部材30のアングル材と同じものを主体としたもので、2つの平面部d1、d1に固定部材30の透孔30aに対応した多数のネジ孔31aを上下方向へ列設されると共に、90℃を挟む内面の上下2箇所のそれぞれに縦向きの案内筒部材33a、33bを固着されている。
【0027】
このように形成された固定部材27は、下部材30の透孔30aと上部材31のネジ孔31aとを適宜に選択して、ネジ部材32を透孔30aに挿通させネジ孔31aに螺着することにより、上下方向の全長が段階的な任意な長さに変更されるものである。
【0028】
上下動部材28は、丸棒部材28aを主体とするもので、上端部の直径箇所に軸挿通孔を形成されると共に、下半分範囲内にも前記軸挿通孔と同一方向の直径箇所に位置されたピン孔e1を上下方向へ列設されている。この上下動部材28は上部材31に上向きの弾力に抗しつつ下方変位可能に装着されるのであり、この装着にさいしては、先ず丸棒部材28aを上側の案内筒部材33aに挿通させると共に上寄り側に位置したピン孔e1にピン部材34aを挿通状に止着し、次に該ピン部材34aの下側の丸棒部材28a箇所にバネ受け部材35及びコイルスプリング36を外挿した状態となし、この状態で丸棒部材28aの下端側を下側の案内筒部材33bに挿通させ、次にコイルスプリング36を適当な圧縮状態となして、下端側のピン孔e1にピン部材34bを挿通状に止着するのであり、このさい丸棒部材28aの自由状態でコイルスプリング36が圧縮状態となり、またピン部材34a、34bが上部材31であるアングル材の90℃折り線g1に近接して丸棒部材28aの回転変位を一定範囲(例えば略、10度〜20度程度の範囲)内に規制する状態となる。
【0029】
コイル保持部29は、上下動部材28に係着手段37を介して必要範囲内の遊動自在に結合されたもので、碍子からなる単体の板状構造体となされた方形状のコイル受け止め部材38と、同じく碍子からなる単体の板状構造体となされたコ字形のコイル覆い部材39とを備えている。
【0030】
コイル受け止め部材38は略長方形板状となされてあって、上縁箇所に単位コイル14aにおいて複数巻きされた銅管25の全てが入る巾となされた溝h1を有し、溝底には各巻きの銅管25が係合される円弧状凹みh2が巾方向へ列設されたものとなされている。図示例では同一形態の単位支持機構部26を全ての単位コイル14aの被支持箇所の支持に使用できるものとするため、溝h1における円弧状凹みh2の数は銅管25の巻き数が最大である単位コイル14aの巻き数よりも多くなされている。またコイル受け止め部材38の厚さは例えば5mm〜10mm程度となされる。
【0031】
コイル覆い部材39は、水平状の中央辺部39aと一対からなる縦向きの側辺部39b、39bとを備えたもので、全体を板状となされている。厚さは成る可く薄くなすのがよく、例えば2mm〜4mm程度となされており、また各側辺部39bは水平外側へ突出された突起部39cを有している。
【0032】
係着手段37は弾性に富んだ2つの金属板40、40を備えている。各金属板40はコイル受け止め部材38の一面を押圧する押圧面部40aと、押圧面部40aの水平長さ中央箇所から下方へ突出させた支持面部40bと、押圧面部40aの水平方向一端から下方へ突出させた第1結合面部40cと、押圧面部40aの水平方向他端寄り位置から下方へ延出させ水平面箇所と垂直面箇所を順に連続形成した第2結合面部40dと、押圧面部40aの水平方向他端から上方へ延出させ水平面箇所と垂直面箇所と傾斜面箇所を順に連続形成した係合面部40eとを具備したものとされている。
【0033】
これら2つの金属板40、40は逆対称の対向状に配置された状態で第1結合面部40aと第2結合面部40dとをネジ部材41で締結状に結合し、これら金属板40、40の押圧面部40a、40a間に位置されたコイル受け止め部材38の下部を押圧面部40a、40aで弾圧状に挟持させて同体状に保持させており、またこれら金属板40、40の支持面部40b、40bとこれら間に位置された上下動部材28の上端とを丸棒部材28aの上端部の軸挿通孔に挿通され支持面部40b、40b間に橋渡しされた支点軸部材42を介して結合され、上下動部材28に対し支点軸部材42回りへ揺動可能となされるほか、必要な範囲で任意方向へ移動され傾斜される状態とされている。
【0034】
係着手段37はコイル覆い部材39を位置保持する上でも寄与するのであり、コイル受け止め部材38から分離されたコイル覆い部材39を図7及び図8に示すような使用状態に位置保持させるには、コイル覆い部材39の中央辺部39aをコイル受け止め部材38の溝h1内に位置させると共に溝h1底に沿って中央辺部39aを略水平方向へ傾斜させて、一方の側辺部39bをコイル受け止め部材38の一面側に位置させると共に他方の側辺部39bをコイル受け止め部材38の他面側に位置させ、この状態でそれぞれの側辺部39bの突起部39cをこれの対応する側の係合面部40eの水平面箇所、垂直面箇所及び傾斜面箇所とで囲まれた領域内に上側から弾撥状に押し入れるようにする。
【0035】
こうしてコイル覆い部材39が使用位置に位置保持された状態では、コイル受け止め部材38の溝h1を形成した各側壁部h3、h3の上端はコイル覆い部材39の中央辺部39aよりも僅かな距離(例えば1mm〜2mm程度)だけ上方へ張り出されると共に溝h1底の円弧状凹みh2に載置された銅管25の上面から支障のない距離だけ高くなされているのであり、このさい各側壁部h3、h3においてこれの上端から銅管25の周面の最上位置に至る範囲の側壁部h3箇所が銅管25と釜3との最小隙間を決定づけるものとなる上方突起部38aをなし、該上方突起部38aが隙間形成部位をなすものである。
【0036】
上記した単位支持機構部26は、各単位コイル14aにおいて銅管25の長さ方向へ離間した複数の被支持箇所のそれぞれを単独に支持するものとなされるのであり、各単位コイル14aごとの単位支持機構部26の数は、単位コイル14aの直径が大きくなるにしたがって多くなされ且つ単位コイル14aの撓曲容易性が増大するに従って多くなされる。各単位コイル14aにおいて銅管25の長さ方向で隣接した2つの単位支持機構部26、26の間隔は、釜3が使用位置にあるときで2つの隙間形成部位38a、38aが釜3の外面に当接したときに、釜3の外面と銅管25との最小隙間が支障のない大きさ(少なくとも、零よりも大きい距離)となるように決定される。
【0037】
上記のようにして各単位コイル14aについて単位支持機構部26による被支持位置が決定されることにより、該被支持位置の真下となる箇所、即ち水平支持板21箇所とこれの真下の平板部材22b箇所との2箇所が特定され、それぞれの箇所に透孔が形成されるのである。これら透孔には単位支持機構部26の固定部材27が縦向きに挿通されると共に下部材30の固定片30a、30aが水平支持板21に載置されネジ部材で固定される。
【0038】
このさい、単位支持機構部26の縦線回りの方向は、当該単位支持機構部26で支持される単位コイル14aにおいて当該単位支持機構部26による被支持位置を含む単位コイル14a半径面を特定し、該半径面にコイル受け止め部材38の厚さ中心線を沿わせることにより決定される
【0039】
コイル保持部29はその対応する固定部材27が加熱台16に固定された状態の下で、誘導コイル14の半径方向に略直交した支点軸部材42の変位可能範囲内で遊動するものとなる。またコイル保持部29の上縁箇所であって該上縁箇所を含む誘導コイル14半径方向へ離れた2位置箇所に隙間形成部位38a、38aが形成された状態となる。
【0040】
このようにして加熱枠フレーム2aに位置決めされた各単位支持機構部26にその対応する単位コイル14aの銅管25を支持させるのであり、具体的には、単位支持機構部26のそれぞれについて、その対応する単位コイル14aの銅管25、即ちコイル保持部29の位置を含む半径方向上に並列状に存在した全ての銅管25を溝h1内に入れ、それぞれ銅管25をその対応する円弧状凹みh2に嵌まり込んだ状態となして、コイル受け止め部材38に下方から受け止めさせ、この後、コイル覆い部材39をコイル受け止め部材38上から下方へ挿入し弾撥状に押し込み、その2つの隙間形成部位38a、38aを図8に示すように係合面部40e、40eに位置保持させる。
【0041】
各単位支持機構部26において、隙間形成部位38aはコイル保持部29の溝h1内に支持した全ての銅管25の、誘導コイル14半径方向上の存在範囲の内外各側の外方範囲に位置するものとなる。
【0042】
図3中、43は誘導コイル14の中心に存在する空所に配設された温度センサである。この温度センサ43は釜3の下部外面の中心に接触して釜3の温度を検出するのであり、検出された温度情報は誘導加熱手段2の加熱温度を制御するための制御装置44に入力されるのであり、制御装置44は該入力情報に基づいて誘導コイル14に供給される交番電流を変化させ、釜3の温度が適正値となるように制御する。
【0043】
上記誘導加熱手段2の下側となる基礎枠体5部分上の平面視方形範囲内には誘導加熱手段2全体を上下移動させるための駆動手段45が形成されている。該駆動手段45は基礎枠体5上面の平面視方形範囲の四隅箇所に設けられ油圧で上下方向へ伸縮作動される流体圧シリンダ装置46と、これら流体圧シリンダ装置46により水平姿勢を保持されつつ上下作動される平面視方形状の駆動台47とを備えている。各流体圧シリンダ装置46は下端を基礎枠台に固定され、上端を駆動台47の下面に固定されており、駆動台47は上面の四隅箇所に高さ調整ネジ機構48を固設されると共に、これら高さ調整ネジ機構48を介して加熱台16の下面と結合されている。したがって加熱台16は、作業者が各高さ調整ネジ機構48の全高を調整することで、その高さ位置及び水平面に対する傾斜角度を任意に変更調整されるものとなる。
【0044】
49は釜3を方形枠体9と共に軸部材10a、10b回りへ揺動変位させるための転回駆動部である。該転回駆動部49は各支柱部材7a、7bの奥側に配置された2つの流体圧シリンダ装置50a、50bを備えており、それぞれの流体圧シリンダ装置50a、50bは、下端部を上下方向部材8aの上端面に軸着され、上端部を方形枠体9の左右側面から左右方向の外方へ張り出された結合片に軸着されている。方形枠体9及びこれに固定された釜3はこれら流体圧シリンダ装置50a、50bが最大限に伸長されたとき、図2に仮想線jで示すようにこれらの使用位置から90度を超えて上方へ揺動されるようになされている。このさい、51はバランスウエイトであり、釜3などを上方へ揺動させるさいの流体圧シリンダ装置50a、50aの出力を低減させる上で寄与する。
【0045】
52は釜3内の被処理物を攪拌するための攪拌装置であり、腕フレーム53の下端部が前後向き軸を介して支持台6の上面に枢着され、腕フレーム53の上端に上部フレーム54が固着され、上部フレーム54の先部に底部攪拌パドル55a及び側部攪拌パドル55bがその対応する回転軸56a、56b回りに回転可能に装着されるほか、上部フレーム54の基端部にパドル駆動部57が固定されたものとなされている。腕部材53は揺動駆動部58を介して上下揺動されるものとなされている。揺動駆動部58は、支持台6の前面に突状に固着された結合片に流体圧シリンダ装置59の一端を軸着され、一方、攪拌装置4の腕フレーム53の側面に突状に固着された結合片に流体圧シリンダ装置59の他端を軸着され、流体圧シリンダ装置59が最大限に短縮作動したとき各部を符号で示す使用位置に移動させ、それが最大限に伸長作動したとき各部を使用位置から90度を超えてて上方へ揺動させるものとなされている。
【0046】
次に上記した本発明に係る誘導加熱器の加熱構造の使用例及び作用について説明する。
【0047】
〈釜3を図1の状態から図2に示す状態に転回変位させる場合〉
先ず、揺動駆動部58の流体圧シリンダ装置59を伸長作動させて攪拌装置4を図1中の実線で示す位置まで上方揺動させると共に、駆動手段45の流体圧シリンダ装置46を図1の状態から例えば10cm程度短縮させる。
【0048】
流体圧シリンダ装置46の短縮作動が開始されると、駆動台47及び加熱台16が同体状に降下し、加熱台16はコイル保持部29の上方移動を規制している釜3から漸次に離反する。これに関連して、誘導加熱手段2の案内リング23が釜3から次第に大きく離反される。
【0049】
一方、各単位支持機構部26のコイル保持部29は駆動台47が降下するのに伴って、コイルスプリング36の上向きの弾力により釜3との弾圧接触を維持したまま上下動部材28と共に次第に加熱台16に対し上方へ相対移動される。
【0050】
加熱台16の降下量がさらに増大して、ピン部材34が下側の案内筒部材33bに衝接したとき、コイル保持部29はそれ以上の上方移動を規制されて加熱台16に対し最大限に上方へ相対移動された状態となる。この後、さらに流体圧シリンダ装置46が短縮されると、全ての単位支持機構部26のコイル保持部29は釜3から必要距離だけ下方へ離れた状態となる。
【0051】
この状態の後に、転回駆動部49の流体圧シリンダ装置50a、50bを伸長作動させる。これにより方形枠体9が軸部材10a、10b回りへ揺動され、釜3は方形枠体9と同体状に揺動される。このさい、誘導加熱手段2の全ての部材は既に釜3から離反されているため、釜3は誘導加熱手段2と接触することなく円弧軌跡を経て上方移動される。このさい釜3がその移動時にコイル保持部29に接触していないことは、外力の影響を受けやすい誘導加熱手段2の損傷を回避する上で効果的である。
【0052】
流体圧シリンダ装置50a、50bが最大限に伸長されたとき、釜3は図2に仮想線jで示すように反転位置まで転回された状態となる。この状態では釜3内の処理物は自重により外方へ円滑に流出するのであり、また作業者による釜3内の清掃が床面a1上から容易に行える状態となる。
【0053】
〈図2中に仮想線で示すように反転された釜を、図1に示す使用位置に復帰させる場合〉
先ず、駆動手段45の流体圧シリンダ装置50a、50bを短縮状態となしておき、この状態の下で、転回駆動部49の流体圧シリンダ装置50a、50bを短縮作動させて、釜3を方形枠体9と共に下方へ揺動させる。この揺動が進行すると、方形枠体9の被支持片12が支持棒部材13の上端で受け止められて方形枠体9のそれ以上の下方揺動が規制される。この規制状態では、方形枠体9は水平姿勢に保持され、釜3は使用位置に位置決めされる。このとき、未だ流体圧シリンダ装置46が短縮状態にあるため、誘導加熱手段2は釜3から下方へ離反した状態であり、したがって釜が円弧軌跡を経て下方揺動しても、誘導加熱手段2が釜3に接触して損傷することはない。
【0054】
この後、流体圧シリンダ装置46を伸長作動させる。これにより、誘導加熱手段2が上昇され、先ず案内リング23が釜3の真下から釜3の下部外周に外嵌されていき、次第に釜3に密状に接触していくのであり、このさい釜3と誘導加熱手段2との上方視相対位置にそれらの遊動範囲内で誤差が生じていても、案内リング23がその誤差を矯正するように誘導加熱手段2を位置決めするものとなる。
【0055】
釜3と誘導加熱手段2との水平方向上の遊動は各部の温度差による変形を無理なく行わせるために意図的に付与されることがあるほか、各可動部の消耗などによっても生じるものである。しかし、該遊動は釜と誘導加熱手段との相対位置を不適正となして誘導加熱効率を低下させる要因をなすものであり、このため、この案内リング23の矯正作用は、誘導加熱手段2の効率的な作動を得る上で有益である。
【0056】
案内リング23による矯正作用が得られる程度に誘導加熱手段2が上昇されたとき、上下案内弾性支持手段15の単位支持機構部26のコイル保持部29が釜3の下部外面に接触を開始する。この接触は単位支持機構部26の全てについて同時に開始されることは実際上殆どないのであって、誘導加熱手段2の上昇に伴ってその接触に係る単位支持機構部26の数が増大していくように行われる。そして、先に接触したものからコイル保持部29は釜3に押されてコイルスプリングの上向きの弾力に抗しつつ加熱台16に対し降下変位される。この後、さらに流体圧シリンダ装置46が伸長作動されて駆動台47が図1に示す最上位置に達したとき、全ての単位支持機構部26のコイル保持部29が適当な弾力で釜3の下部外面に圧接された状態となる。
【0057】
各コイル保持部29と釜3との圧接状態は、コイル保持部29が上下動部材28に対し許容範囲内で遊動すると共に銅管25が任意に撓み変形することから、釜3の外面の任意水平方向の縦面に沿う傾斜角度が許容範囲内でどのように変化しても、図7に示すように、2つの隙間形成部位38a、38aは釜3の外面に衝接した状態となる。特にコイル保持部29が誘導コイル14の半径方向と直交する方向の支点軸部材42回りに揺動自在となされているため、誘導コイル14の半径方向上で釜3の外面の傾斜が比較的大きく変化しても2つの隙間形成部位38a、38aは釜3の外面に同時に衝接した状態となる。そして、釜3の外面と銅管25との隙間は隙間形成部位38aに対応した大きさとなされ安定的に保持されるのであり、また2つの隙間形成部位38a、38aはその対応するコイル保持部29の溝h1内の全ての銅管25の誘導コイル14半径方向上の存在範囲の内外各側の外方範囲となる箇所に形成されているため、銅管25と釜3との隙間は、隙間形成部位38a、38aの高さよりも大きくなることはない。また2つの隙間形成部位38a、38aの高さは、各単位コイル14aにおける銅管25の長手方向の単位支持機構部26の間隔と、釜3の外形とを考慮した大きさとなされているため、2つの隙間形成部位38a、38aが釜3の外面に同時に接触している限り、各単位コイル14aにおいて銅管25と釜3が接触することはない。
【0058】
また、駆動台47が図1に示す最上位置に達したときには、温度センサ43も、図示しない弾性部材の弾力を介して釜3の外面の底部中央箇所に圧接され、釜3の温度の検出が可能となる。
【0059】
〈釜3内でカラメルなどを製造する場合〉
図1に示す使用位置にある釜3内に材料を投入し、誘導加熱手段2の銅管25に高周波数(例えば25MHz程度)の交番電力を供給すると共に、銅管25の内孔に冷却水を循環流動させる。
【0060】
交番電力の供給により、銅管25は磁力線を発生し、この磁力線が釜3の下部に渦電流を誘導し、この渦電流が釜3材料の電気抵抗でジュール熱を発生させ、このジュール熱が釜3の温度を上昇させ内部の被処理物を加熱する。
【0061】
このさい、誘導加熱手段2による誘導加熱は予め決定したプログラムに従って自動的に制御させるのがよいのであり、具体的には、温度センサ43で釜3の温度を検出しつつ、この検出情報に基づいて、図示しない制御手段により、釜3の温度をプログラムのとおりに制御させるように実施する。
【0062】
被処理物の加熱中には、必要に応じて攪拌装置4を使用状態にして被処理物を攪拌するのであり、またカラメルの製造においては、釜3の最高温度を500℃〜600℃程度の温度領域に到達させる。
【0063】
釜3の温度が500℃〜600℃程度になると、その直径が例えば500mmを超えるような比較的大きいものでは、釜3の熱歪みも看過できない程度となるのであり、何らの対策も講じないときは、熱歪みに起因して、釜3と銅管25との隙間が過大になったり、釜3と銅管25とが接触するなどの現象が生じて、釜3の誘導加熱が効率的に行えなくなる。
【0064】
当該実施形態においては、コイル保持部29が釜3の外面にコイルスプリング36による上向きの弾力で上下変位可能に圧接されると共に加熱台16に対し遊動するものとなされているため、釜3が熱歪みで変形して部分的に釜3外面の、縦面に沿った傾斜角度や加熱台16からの高さが変化しても、コイル保持部29の2つの隙間形成部位38a、38aの上端が図8に示す場合とほぼ同様に釜3の外面に同時に圧接された状態を確実に維持される。したがって、誘導加熱手段2において多数のコイル保持部29により位置保持されている銅管25は加熱中、常に、釜3との隙間を適正に保持され、誘導コイル14による誘導加熱は歪み変形の生じない場合と変わりなく実行されるのである。
【0065】
上記のように、本実施例によれば、直径が500mm以上とした釜でカラメルなどを製造する場合においても、たとえ釜が500℃〜600℃の温度まで加熱され釜に比較的大きい熱歪みが生じても、釜と誘導コイルとの距離を適当大きさに保持することができ、釜を効率的に誘導加熱することができるものである。
【0066】
また、複数の単位支持機構部により誘導コイルの適当に離れた多数箇所のそれぞれを弾力を介して支持するため、釜の下部外面の多数部分に種々異なる傾斜角度や高さの熱歪みが生じても、それぞれの部分において、対応した単位支持機構部の弾力により誘導コイルを撓ませて釜の外面に沿わせることができるのであり、このさい誘導コイルの一部範囲であると全体であるとに拘わらず、釜と誘導コイルとの距離が隙間形成部位により適当大きさとなされるため、釜を効率的に誘導加熱することができる。
【0067】
さらに、単位支持機構部が上向きの弾力で誘導コイルを釜の外面に押しつけるようにしても、単位支持機構部が誘導コイルを押した位置の誘導コイルと釜との隙間は前記弾力の大小とは無関係に隙間形成部位の高さと同等となすことができ、したがって各単位支持機構部の弾力に大小の相違があっても、誘導コイルと釜との隙間を安定的に確保させることができる。さらには隙間形成部位を簡易且つ簡便に形成することができる。
【0068】
また、釜は熱歪みにより誘導コイル半径方向を含む縦面に沿って傾斜変位されることが多いが、コイル保持部の上縁箇所の2箇所の隙間形成部位としての上方突起部が釜の外面に同時に圧接されることで、各単位コイルは前記傾斜変位に的確に追従して釜の外面に正確に沿った状態になるものである。
【0069】
さらに、誘導コイル及び上下案内弾性支持手段を動力で下方変位させることにより、釜と誘導加熱手段とを上下方向へ簡便に離反させて非接触状態となすことができるのであり、また釜と誘導加熱手段との非接触状態で釜を反転移動させることができて、誘導加熱手段に無理な力が作用することによる損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る誘導加熱処理器の正面図である。
【図2】上記誘導加熱処理器の一部を省略した側面図である。
【図3】上記誘導加熱手段2を示す斜視図である。
【図4】上記誘導加熱手段2に係る誘導コイル14及び上下案内弾性支持手段を示す斜視図である。
【図5】上記した誘導コイル14及び上下案内弾性支持手段を示す正面図である。
【図6】上記した誘導コイル14及び上下案内弾性支持手段を示す平面図である。
【図7】上記上下案内弾性支持手段の単位支持機構部26を示す斜視図である。
【図8】上記単位支持機構部26とその周辺を示す正面視説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1 本体フレーム
2 誘導加熱手段
3 釜
14 誘導コイル
14a 単位コイル
15 上下案内弾性支持手段
26 単位支持機構部
27 固定部材
28 上下動部材
29 コイル保持部
35 導電条部材(銅管)
38a 前記隙間形成部位
45 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームに支持された釜と、該釜の下部外面を取り囲むように形成され前記本体フレームに支持された誘導加熱手段とを備え、該誘導加熱手段の誘導コイルが前記釜の下部外面に沿った状態に配置されている誘導加熱処理器であって、前記本体フレームに支持され前記誘導コイルを上向きの弾力に抗しつつ任意傾斜姿勢での下方変位可能に支持する上下案内弾性支持手段を具備し、前記釜が使用位置にあるとき、前記釜の外面が前記上下案内弾性支持手段をこれの上縁箇所に形成された隙間形成部位を介し前記弾力に抗して押し下げた状態となることにより、前記誘導コイルが前記釜の下部外面に倣うように押し下げられ該下部外面から前記隙間形成部位の高さに対応した距離だけ離間された状態となることを特徴とする誘導加熱器の加熱構造。
【請求項2】
前記上下案内弾性支持手段が前記本体フレームに支持された複数の単位支持機構部を具備しており、該単位支持機構部のそれぞれは前記誘導コイルの導電条部材の長さ方向へ離間した複数の被支持箇所のそれぞれを単独に支持するものであって、前記被支持箇所を上向きの弾力に抗しつつ下方変位可能に支持するものとなされていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱器の加熱構造。
【請求項3】
前記単位支持機構部が、前記本体フレームに支持された固定部材と、該固定部材に上向きの弾力に抗しつつ下方変位可能に係着された上下動部材と、該上下動部材に一定範囲内の遊動自在に係着されたコイル保持部とを具備した構成であることを特徴とする請求項2記載の誘導加熱器の加熱構造。
【請求項4】
前記コイル保持部の上縁箇所に前記隙間形成部位が形成されていることを特徴とする請求項3記載の誘導加熱器の加熱構造。
【請求項5】
前記誘導コイルが直径の異なる複数の単位コイルを備えたものとなされ、さらに、これら単位コイルが前記釜と略同心の単層状に配置されると共に、前記コイル保持部が前記誘導コイルの半径方向に略直交した線回りに遊動する構成となされたことを特徴とする請求項4記載の誘導加熱器の加熱構造。
【請求項6】
前記単位コイルのそれぞれを支持した単位支持機構部の数は、前記誘導コイルの直径が大きくなるにしたがって多くなされ且つ前記単位コイルの撓曲容易性が増大するに従って多くなされることを特徴とする請求項5記載の誘導加熱器の加熱構造。
【請求項7】
前記コイル保持部が碍子で形成されると共に、該コイル保持部の上縁箇所のうち前記誘導コイル半径方向へ離れた2位置箇所に前記隙間形成部位としての上方突起部が形成されていることを特徴とする請求項5又は6記載の誘導加熱器の加熱構造。
【請求項8】
前記単位コイルのうち、直径の小さいものほど導電条部材の巻き数を多くなされており、このさい、前記コイル保持部のそれぞれは、厚さ中心線を、これの支持する位置を含む前記誘導コイル半径面に沿わせられた板状構造体となされると共に、前記単位コイルのそれぞれについて当該コイル保持部の位置を含む半径方向上に存在した全ての導電条部材が該板状構造体に下方から受け止められるほか、前記上方突起部をこれら全ての導電条部材の前記誘導コイル半径方向上の存在範囲の内外各側の外方範囲となる前記板状構造体上縁箇所に形成されたものとなされていることを特徴とする請求項7記載の誘導加熱器の加熱構造。
【請求項9】
前記誘導コイル及び前記上下案内弾性支持手段を上下変位させるための駆動手段が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の誘導加熱器の加熱構造。
【請求項10】
前記誘導コイル及び前記上下案内弾性支持部が下方へ変位された状態で、前記釜が本体フレームに設けられた水平軸回りの上下方向へ揺動転回されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の誘導加熱器の加熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−81003(P2009−81003A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248449(P2007−248449)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【特許番号】特許第4106638号(P4106638)
【特許公報発行日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000216151)天野実業株式会社 (9)
【出願人】(395019801)株式会社三共冷熱 (2)
【Fターム(参考)】