説明

誘導加熱装置及び画像形成装置

【課題】サージ電圧や異常な入力変動電圧等の異常電圧を検出した場合の装置の停止を可及的に抑制できる誘導加熱装置等を提供する。
【解決手段】異常電圧検出手段108により異常電圧が検出されたときは、被加熱体30への電力供給を一旦停止させるとともに、ゼロクロス検出手段110により検出されたゼロクロスのタイミングで電力供給を再開し、再度異常が検出されたときのゼロクロスから異常電圧までの時間が、前回の異常電圧検出時のゼロクロスから異常電圧までの時間と一定範囲内であるときに、被加熱体30への電力供給を完全停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば画像形成装置の定着装置の加熱源等として用いられる誘導加熱装置、及び該誘導加熱装置が用いられた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コピー機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置、さらにはこれらの装置の機能を集約したMFP(Multi Function Peripherals)と称される多機能デジタル画像形成装置等には、定着装置における定着ローラを加熱する加熱源として誘導加熱装置が用いられているものがある。
【0003】
このような誘導加熱装置として、誘導加熱用のコイルへ例えば商用の交流電圧を全波整流し直流に変換して印加するとともに、誘導加熱用のコイルと直列に接続された例えば絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等からなるスイッチング素子のオン・オフを制御することにより、加熱ローラへ供給する電力を制御する方式のものが従来より用いられている。
【0004】
また、定着装置として、画像形成装置に対するウォームアップ時間の短縮や省エネルギ等の要請から、熱容量の小さいものが求められている。この熱容量の小さい定着装置は、急速に加熱できる反面、急速に温度低下してしまう特徴がある。従って、熱容量の小さい定着装置で温度を一定に保つためには、加熱誘導装置の細やかな電力制御が必要となる。
【0005】
ところで、誘導加熱装置の動作中において、商用の入力交流(50/60Hz)にサージ電圧が入力された場合、誘導加熱用のコイルをスイッチングする前記スイッチング素子に過大な電圧が印加され、スイッチング素子が破壊されることがある。また、入力電圧が異常に大きく変動したような場合にも、スイッチング素子が破壊されることがあるが、サージ電圧が単発的に発生するのに対し、異常な変動電圧は規則的に繰り返される傾向にある。
【0006】
そこで、上記のようなサージ電圧や異常な変動電圧を検出する回路を設け、これらの異常電圧が発生した場合は誘導加熱装置の動作を停止することが一般に行われているが、検出された異常電圧がサージ電圧によるものか異常な変動電圧によるものかの区別が容易でない。このため従来では、サージ電圧の場合であっても、異常な変動電圧であるか否かを判断するための比較的長い停止時間が確保されていた。
【0007】
なお、特許文献1には、局所的に加熱されるよう加熱ヒータが配置されるとともに、局所的な加熱箇所の過剰な温度上昇を防止するため、ウォームアップ時に定着ローラを回転させるようにした定着装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−40871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、誘導加熱装置の停止時間が長いと、定着装置の温度が低下し定着性能に影響を及ぼす恐れがあった。
【0010】
特に、前述したような昨今の熱容量の小さい定着装置の場合には、誘導加熱装置からの電力供給が停止すると、定着ローラの温度が瞬間的に低下することから、未定着画像が発生しやすく定着不良となるという問題があった。
【0011】
なお、このような問題は、前記特許文献1に記載の技術によっては解決することはできなかった。
【0012】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、サージ電圧や異常な入力変動電圧等の異常電圧を検出した場合の装置の停止を可及的に抑制できる誘導加熱装置、及び該誘導加熱装置が用いられた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)交流電源からの交流電圧を直流に整流する整流回路と、該整流回路で得られた直流電圧を印加されるとともに、被加熱体を誘導加熱するためのコイルと、該コイルに直列に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子をオン・オフ制御することにより、前記被加熱体への供給電力を制御する電力制御手段と、異常電圧を検出する異常電圧検出手段と、前記交流電圧のゼロクロスを検出するゼロクロス検出手段と、該ゼロクロス検出手段により検出されたゼロクロスから、前記異常電圧検出手段により検出された異常電圧までの時間をカウントする計時手段と、を備え、前記電力制御手段は、前記異常電圧検出手段により異常電圧が検出されたときは、前記被加熱体への電力供給を一旦停止させるとともに、前記ゼロクロス検出手段により検出されたゼロクロスのタイミングで電力供給を再開し、再度異常が検出されたときのゼロクロスから異常電圧までの時間が、前回の異常電圧検出時のゼロクロスから異常電圧までの時間と一定範囲内であるときに、前記被加熱体への電力供給を完全停止させることを特徴とする誘導加熱装置。
(2)前記異常電圧の発生回数をカウントする計数手段を備え、前記計数手段によりカウントされた異常電圧の単位時間内の発生回数が一定以上の場合にも、前記電力制御手段は、前記被加熱体への電力供給を完全停止させる前項1に記載の誘導加熱装置。
(3)前項1または2に記載の誘導加熱装置が、定着装置の加熱源に用いられていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0014】
前項(1)に記載の発明によれば、異常電圧が検出されたときは、被加熱体への電力供給を一旦停止させるとともに、交流電圧のゼロクロスのタイミングで電力供給を再開し、再度異常が検出されたときのゼロクロスから異常電圧までの時間が、前回の異常電圧検出時のゼロクロスから異常電圧までの時間と一定範囲内であるときに、被加熱体への電力供給を完全停止させ、一定範囲内でなければ電力供給は停止しない。従って、サージ電圧のような不定期で単発的な異常電圧については、電力供給の完全停止がなされないから、その分、異常電圧を検出した場合の電力供給の停止時間を少なくできる。
【0015】
前項(2)に記載の発明によれば、異常電圧の単位時間内の発生回数が一定以上の場合にも、被加熱体への電力供給が完全停止されるから、スイッチング素子の破壊の危険性を確実に回避することができる。
【0016】
前項(3)に記載の発明によれば、サージ電圧のような不定期で単発的な異常電圧については、電力供給の完全停止がなされないから、その分、異常電圧を検出した場合の定着装置の加熱停止時間を少なくできる結果、定着ローラの温度の温度低下を防止でき、未定着画像の発生を防止できる画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(A)は商用電源の交流電圧にサージ電圧が入力された状態を示し、(B)は交流電圧の異常変動により、正負のピーク電圧がいずれもスイッチング素子の破損レベルを超えている状態を示す図である。
【図3】異常電圧検出時の処理を説明するための図である。
【図4】異常電圧検出時の他の処理を説明するための図である。
【図5】異常電圧検出時の処理を示すフローチャートである。
【図6】ゼロクロス割り込み処理のフローチャートである。
【図7】従来の異常電圧検出時の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、この発明の一実施形態に係る誘導加熱装置の構成を示すブロック図である。この実施形態では、誘導加熱装置10は前述したMFP等の画像形成装置1に搭載され、定着部における被加熱体としての定着ローラ30を加熱するものとなされている。
【0020】
誘導加熱装置10は、商用電源101と、全波整流回路102と、誘導加熱用のコイル(インダクタ)103と、コンデンサ104と、スイッチング素子105と、IGBT駆動回路106と、電力制御部107と、異常電圧検出回路108と、入力電圧検出回路109と、ゼロクロス検出回路110と、入力電流検出回路111を備えている。
【0021】
商用電源11は50/60Hzの100Vの交流電源であり、全波整流回路12は商用電源11の100Vの交流電圧を全波整流して直流に変換するものである。
【0022】
コイル13は、前記全波整流回路12の出力電圧を受領し、磁気的に結合された被加熱体としての定着ローラ30を誘導加熱する。
【0023】
コンデンサ104はコイル103と並列に接続され、コイル103とで共振回路112を形成する。
【0024】
スイッチング素子105はコイル103と直列に接続され、全波整流回路12から共振回路112及びスイッチング素子105を巡って全波整流回路102へと至る閉ループを形成している。スイッチング素子105の種類は限定されないが、この実施形態では、前述した絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。
【0025】
IGBT駆動回路106は、電力制御部107からの指示に基づいてスイッチング素子105をオン・オフすることにより、スイッチング素子105を高周波スイッチング駆動するものである。
【0026】
電力制御部107は、IGBT駆動回路106を介してスイッチング素子105のオン・オフを制御することにより、定着ローラへの供給電力を制御するものであり、図示しないCPU、ROM、RAM等により構成されている。
【0027】
異常電圧検出回路108は、商用電源101に入力されるサージ電圧や異常な変動電圧等の異常電圧を速い応答性で検出するものである。異常電圧検出回路108の構成は限定されないが、例えば商用電源101の交流電圧を分圧して基準値と比較し、分圧電圧が基準値を超えると異常電圧検出信号を出力するものなどを挙げることができる。
【0028】
入力電圧検出回路109は、商用電源101から全波整流回路102を介してコイル103へ入力される電圧を検出し、入力電流検出回路111は、同じく入力電流を検出するものであり、電力制御部107は、入力電圧検出回路109及び入力電流検出回路111での検出結果を受けて、被加熱体である定着ローラ30への供給電力を安定化させる。なお、入力電圧検出回路109は、異常電圧検出回路108に較べて応答性に劣るものであっても良い。
【0029】
ゼロクロス検出回路110は、商用電源101の交流電圧のゼロクロスを検出してゼロクロス信号を出力する回路である。
【0030】
前記電力制御部107は、画像形成装置1の本体制御部20における制御回路21から、定着ローラ30への供給電力の設定値や制御の開始指示等を受信し、指示された電力出力値になるように、IGBT駆動回路106を介してスイッチング素子105のオン・オフを制御する。
【0031】
さらに、電力制御部107は、異常電圧検出回路108及びゼロクロス検出回路110の検出信号を受けて、スイッチング素子105の電力出力を以下のように制御する。
【0032】
まず、従来の制御方法を図2を用いて説明する。
【0033】
図2(A)は、商用電源101の交流電圧Vに時刻T1でサージ電圧Vsが入力された状態を示している。交流電圧Vは正負のピーク電圧Vpがいずれもスイッチング素子105の破損レベルVtよりも小さく、サージ電圧Vsは破損レベル±Vtを超えている。
【0034】
時刻T1でサージ電圧Vsが検出されると、電力制御部107は直ちにスイッチング素子105に対するスイッチング制御を停止し、定着ローラ30への電力供給(電力出力ともいう)を停止するが、サージ電圧Vsは単発的で不規則にしか発生しない。
【0035】
図2(B)は、交流電圧Vの異常変動により、正負のピーク電圧Vpがいずれもスイッチング素子105の破損レベル±Vtを超えている状態を示している。時刻T2で異常な変動電圧が検出されると、電力制御部107は直ちにスイッチング素子105に対するスイッチング制御を停止し、定着ローラ30への電力出力を停止する。この異常な変動電圧は繰り返されることから、異常な変動電圧と判定されるまで、定着ローラ30への電力出力を停止し、異常な変動電圧と判定された場合には完全停止して、点検等を行うものとなされている。
【0036】
一方、サージ電圧によるものか異常な変動電圧によるものかの区別が容易でないため、図2(A)のサージ電圧Vsの場合も、単発的で不規則にしか発生しないにも拘わらず、図2(B)の場合と同様に、異常な変動電圧ではないと判定されるまで、定着ローラ30への電力出力が停止されていた。
【0037】
次に、この実施形態に係る制御方法を、図3及び図4を用いて説明する。
【0038】
図3(A)は、商用電源101の交流電圧Vに時刻T3でサージ電圧Vsが入力された状態を示している。交流電圧Vは正負のピーク電圧Vpがいずれもスイッチング素子105の破損レベルVtよりも小さく、サージ電圧Vsは破損レベル±Vtを超えている。
【0039】
時刻T3でサージ電圧Vsが検出されると、電力制御部107は直ちにスイッチング素子105に対するスイッチング制御を停止し、定着ローラ30への電力出力を一旦停止するが、次のゼロクロス信号のタイミングT4で、スイッチング制御を再開する。ゼロクロス時は交流電圧が低い状態にあるため、スイッチング素子105を破損することなく電力出力を再開できる。
【0040】
また、サージ電圧Vsは単発的で不規則にしか発生しないから、このまま電力出力が継続される。
【0041】
図3(B)は、交流電圧Vの異常変動により、正負のピーク電圧Vpがいずれもスイッチング素子105の破損レベル±Vtを超えている状態を示している。
【0042】
時刻T5で異常な変動電圧が検出されると、電力制御部107は直ちにスイッチング素子105に対するスイッチング制御を停止し、定着ローラ30への電力出力を一旦停止するが、次のゼロクロス信号のタイミングT6で、スイッチング素子105に対するスイッチング制御を再開する。
【0043】
次に時刻T7で異常な変動電圧が検出されると、電力制御部107は直ちにスイッチング素子105に対するスイッチング制御を停止する。そして、電力制御部107はゼロクロスのタイミングT6から異常電圧が検出されたタイミングT7までの時間、換言すればスイッチング素子105の直近のオン時間をカウントし、その結果を保持したのち、次のゼロクロスのタイミングT8でスイッチング素子105に対するスイッチング制御を再開する。
【0044】
次に、時刻T9で異常電圧が検出されると、電力制御部107は直ちにスイッチング素子105に対するスイッチング制御を停止する。そして、電力制御部107はゼロクロスのタイミングT8から異常な変動電圧が検出された時刻T9までの時間をカウントしたのち、このカウント値と前回の異常電圧の検出時のカウント値を比較する。
【0045】
両者のカウント値が同じであれば、サージ電圧ではなく異常な変動電圧と判断し、スイッチング制御の停止を継続する。従って、定着ローラ30への電力出力が完全に停止され、原因の究明等が行われる。
【0046】
なお、カウント値が同じとは完全同一を意味するものではなく、両者の差が予め設定された一定の範囲内にあれば良い。また、異常な変動電圧の検出を3回以上行い、カウント値が同じ状態が2回以上続いた場合に、異常と判断して、定着ローラ30への電力出力を完全に停止しても良い。
【0047】
また、単発的なサージ電圧の入力が頻発する場合や、規則的でない変動電圧が生じた場合には、図3に示した方法では異常が検知されない場合がある。
【0048】
そこで、この実施形態では、単位時間あたりの異常電圧の検出回数をカウントし、予め設定された閾値に達すると、異常と判定し、スイッチング素子105に対するスイッチング制御を停止して、定着ローラ30への電力出力を完全に停止させる構成となされている。
【0049】
例えば、図4(A)に示すように、サージ電圧Vsが時刻T11で発生した場合、直ちにスイッチング素子105に対するスイッチング制御を停止して電力出力を停止した後、次のゼロクロスのタイミングT12で再開させる。その後、時刻T14でサージ電圧Vsが再度発生した場合、電力出力を停止するが、単位時間内の発生回数が閾値に達した場合は、異常と判断して、次のゼロクロスで電力出力を再開させることなく、そのまま停止状態とする。
【0050】
また、図4(B)に示すように、電圧変動が不規則に生じており、例えば時刻T18で異常電圧が発生し、さらに時刻T20で異常電圧が発生した場合、前者と後者ではゼロクロスからの時間が前者では(T18−T17)、後者では(T20−T19)であり、ゼロクロスからの時間が相違する。このため、図3の方法では異常と判定されないが、時刻T20で異常電圧が発生したときの単位時間内の発生回数が閾値に達した場合は、異常と判断して、次のゼロクロスで電力出力を再開させることなく、そのまま停止状態とする。
【0051】
このように、異常電圧の単位時間内の発生回数が一定以上の場合にも、被加熱体への電力出力が完全停止されるから、スイッチング素子105の破壊の危険性を確実に回避することができる。
【0052】
図5は、電力制御部107の動作を説明するためのフローチャートである。
【0053】
ステップS01では、画像形成装置1における本体制御部20の制御回路21から、供給電力の設定値や制御開始指示を含む電力制御指示を受信し、これに基づいて、IGBT駆動回路106に電力出力を指示し、スイッチング素子105をスイッチング制御する。
【0054】
ステップS02では、異常電圧を検出したかどうかを異常電圧検出回路108の出力から判断し、検出していなければ(ステップS02でNO)、ステップS01に戻って電力出力を継続させる。異常電圧を検出すると(ステップS02でYES)、ステップS03で電力出力を停止したのち、ステップS04で、異常電圧検出タイマをスタートさせるとともに、ゼロクロス割り込み処理をスタートし、さらに異常電圧の検出回数をカウントするための異常カウンタに検出回数を設定する。
【0055】
図6にゼロクロス割り込み処理を示す。
【0056】
ステップS041で、ゼロクロス信号を検出したかどうかを、ゼロクロス検出回路110の出力から調べ、検出しなければ(ステップS041でNO)、検出するまで待ち、検出すると(ステップS041でYES)、ステップS042で、ゼロクロスタイマをリセットしたのちスタートさせる。また、電力出力を再開させる。
【0057】
次に、ステップS043で、異常電圧の検出があったかどうかを判断し、なければ(ステップS043でNO)、リターンする。異常電圧の検出があれば(ステップS043でYES)、ステップS044で、異常カウンタを1インクリメントするとともに、ステップS041で検出したゼロクロスから異常検出までの時間(ゼロクロスタイマ値)を記憶した後、リターンする。
【0058】
図5に戻って、ステップS05では、異常カウンタのカウント値が閾値に達したかどうかを調べ、達していれば(ステップS05でYES)、ステップS09に進み、異常であることを確定する。この場合は、電力出力を完全に停止する。閾値に達していなければ(ステップS05でNO)、ステップS06で、前回の異常電圧発生時に記憶したゼロクロスタイマ値と今回のゼロクロスタイマ値が同じかどうか(一定範囲かどうか)を調べる。
【0059】
同じであれば(ステップS06でYES)、ステップS09に進み、異常であることを確定する。同じでなければ(ステップS06でNO)、ステップS07で異常電圧検出タイマが終了したかどうかを判断する。終了していなければ(ステップS07でNO)、ステップS05に戻る。終了していれば(ステップS07でYES)、ステップS08で、ゼロクロス割り込み処理を終了する。
【0060】
ちなみに、異常電圧検出時の従来の処理を図7に示す。
【0061】
ステップS21では、画像形成装置1における本体制御部20の制御回路21から、供給電力の設定値や制御開始指示を含む電力制御指示を受信し、これに基づいて、IGBT駆動回路106に電力出力を指示し、スイッチング素子105をスイッチング制御する。
【0062】
ステップS22では、異常電圧を検出したかどうかを判断し、検出していなければ(ステップS22でNO)、ステップS21に戻って電力出力を継続させる。検出すると(ステップS22でYES)、ステップS23で電力出力を停止したのち、ステップS24で、停止タイマをスタートさせる。
【0063】
次に、ステップS25で、停止タイマによる設定時間が終了したかどうかを判断し、終了しなければ(ステップS25でNO)、終了まで待つ。終了すれば(ステップS25でYES)、ステップS26で、異常電圧検出タイマをスタートさせると共に、電力出力を再開する。
【0064】
次いで、ステップS27で、異常電圧が再度検出されたかどうかを調べ、検出されれば(ステップS27でYES)、ステップS29で異常であることを確定する。検出されなければ(ステップS27でNO)、ステップS28で、異常電圧検出タイマが終了したかどうかを判断し、終了しなければ(ステップS28でNO)、ステップS26に戻る。終了していれば(ステップS28でYES)、処理を終了する。
【0065】
以上、本発明の一実施形態を示したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。
【0066】
例えば、異常電圧の検出、ゼロクロスの検出等を誘導加熱装置10側で行うものとしたが、本体制御部20の制御回路21で行っても良い。
【0067】
また、誘導加熱装置10が画像形成装置1に用いられた場合を示したが、誘導加熱装置1の用途は限定されることはない。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
10 誘導加熱装置
20 本体制御部
21 制御回路
30 定着コイル
101 商用電源
102 全波整流回路
103 コイル
104 コンデンサ
105 スイッチング素子
107 電力制御部
108 異常電圧検出回路
110 ゼロクロス検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と、
該交流電源からの交流電圧を直流に整流する整流回路と、
該整流回路で得られた直流電圧を印加されるとともに、被加熱体を誘導加熱するためのコイルと、
該コイルに直列に接続されたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子をオン・オフ制御することにより、前記被加熱体への供給電力を制御する電力制御手段と、
異常電圧を検出する異常電圧検出手段と、
前記交流電圧のゼロクロスを検出するゼロクロス検出手段と、
該ゼロクロス検出手段により検出されたゼロクロスから、前記異常電圧検出手段により検出された異常電圧までの時間をカウントする計時手段と、
を備え、
前記電力制御手段は、前記異常電圧検出手段により異常電圧が検出されたときは、前記被加熱体への電力供給を一旦停止させるとともに、前記ゼロクロス検出手段により検出されたゼロクロスのタイミングで電力供給を再開し、再度異常が検出されたときのゼロクロスから異常電圧までの時間が、前回の異常電圧検出時のゼロクロスから異常電圧までの時間と一定範囲内であるときに、前記被加熱体への電力供給を完全停止させることを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項2】
前記異常電圧の発生回数をカウントする計数手段を備え、
前記計数手段によりカウントされた異常電圧の単位時間内の発生回数が一定以上の場合にも、前記電力制御手段は、前記被加熱体への電力供給を完全停止させる請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の誘導加熱装置が、定着装置の加熱源に用いられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−226833(P2012−226833A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90446(P2011−90446)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】