誘導加熱調理器
【課題】 温度変動に敏感であると共にトッププレート上の被加熱物の温度を高精度に測定可能な赤外線センサを備えた誘導加熱調理器を提供すること。
【解決手段】 被加熱物を載置するトッププレートと、該トッププレートの下部に設置され被加熱物を電磁誘導加熱により加熱する電磁コイルと、トッププレートの下方に該トッププレートから離間して設置された赤外線センサ1とを備えた誘導加熱調理器であって、赤外線センサが、絶縁性フィルム2と、絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bと、絶縁性フィルムの一方の面に形成され第1の感熱素子に接続された導電性の第1の配線膜及び第2の感熱素子に接続された導電性の第2の配線膜と、第2の感熱素子に対向して前記絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜6とを備えている。
【解決手段】 被加熱物を載置するトッププレートと、該トッププレートの下部に設置され被加熱物を電磁誘導加熱により加熱する電磁コイルと、トッププレートの下方に該トッププレートから離間して設置された赤外線センサ1とを備えた誘導加熱調理器であって、赤外線センサが、絶縁性フィルム2と、絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bと、絶縁性フィルムの一方の面に形成され第1の感熱素子に接続された導電性の第1の配線膜及び第2の感熱素子に接続された導電性の第2の配線膜と、第2の感熱素子に対向して前記絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜6とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッププレート上の鍋等の被加熱物を電磁誘導加熱(IH)で加熱すると共に鍋底温度を検出可能な誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トッププレート上の鍋等の被加熱物を電磁誘導加熱で加熱すると共に鍋底温度を検出可能な誘導加熱調理器として、例えば、特許文献1には、上部が開口した箱状の本体ケースと、本体ケースの上面開口を覆う天板と、本体ケース内で天板の下方に配置され、加熱コイル、及び加熱コイルを保持する加熱コイル保持部材を有する加熱コイルユニットと、天板上に載置された被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサユニットとを備え、赤外線センサユニットを、加熱コイルユニットの下方に配置した電磁誘導加熱調理器が提案されている。この電磁誘導加熱調理器の赤外線センサユニットは、サーモパイルとレンズとを有する赤外線センサを備えており、被加熱物から放射される赤外線検出信号を電圧として出力するようになっている。また、この電磁誘導加熱調理器では、赤外線センサユニットを冷却するために冷却風が赤外線センサユニットに当たるようにした構造を採用している。
【0003】
また、サーモパイル以外に被加熱物の温度センサとしては、特許文献2に、電磁誘導加熱調理器用ではないが、複写機の定着装置に使用されている加熱定着ローラ等の温度を測定する赤外線センサとして、保持体に設置した樹脂フィルムと、該樹脂フィルムに設けられ保持体の導光部を介して赤外線を検知する赤外線検知用感熱素子と、樹脂フィルムに遮光状態に設けられ保持体の温度を検知する温度補償用感熱素子とを備えた赤外線センサが提案されている。この赤外線センサでは、導光部の内側面に赤外線吸収膜を形成すると共に、樹脂フィルムにカーボンブラック等の赤外線吸収材料を含有させて赤外線の吸収を高めている。また、この赤外線センサでは、アルミニウムなどの熱伝導率が大きく熱放射率の小さい金属材料から略ブロック状に形成された筐体である保持体に感熱素子が内蔵されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−287533号公報
【特許文献2】特開2002−156284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、電磁コイル(加熱コイル)の温度上昇により赤外線センサ周辺の温度が急激に変化するために検出誤差が生じてしまう問題があった。このため、特許文献1に記載の誘導加熱調理器のように赤外線センサを冷却するなどの構造や装置が必要になり、構造が複雑化したり高コストになってしまうと共に急速に加熱することができないという不都合があった。
また、特許文献1に記載の誘導加熱調理器では、赤外線センサにサーモパイルを用いているが、サーモパイルは、素子がガスで封止され周囲の温度変動に鈍感なため、高精度な温度検出が困難であった。さらに、トッププレート上の被加熱物からの赤外線を受ける温度検知用の赤外線センサと周囲温度だけを検出する温度補償用の赤外線センサとを別々に設置した場合、検知側と補償側とで材料、構造および設置状態などが異なるので、熱容量に差が生じ、温度分布が生じてしまうことから高精度な温度測定ができないという問題があった。
例えば、特許文献2に記載の赤外線温度センサを用いた場合、この赤外線温度センサでは、樹脂フィルムにカーボンブラック等の赤外線吸収材料を含有させると共に一方の感熱素子側を温度補償用に遮光する構造が採用されているが、赤外線吸収材料を含有した樹脂フィルムの熱伝導が高く、赤外線検知用と温度補償用との感熱素子間で温度差分が生じ難いという不都合があった。また、これら感熱素子間で温度差分を大きくするためには、感熱素子間の距離を大きくする必要があり、全体形状が大きくなってしまい、小型化が困難になる問題がある。さらに、温度補償用の感熱素子を遮光する構造をケース自体に設ける必要があるため、高価になってしまう。
さらに、一方の感熱素子について赤外線を筐体で遮光する構造を採用しているが、赤外線を遮っているだけで遮蔽部分が赤外線を吸収してしまい、遮蔽部分の温度が変化してしまうことからリファレンスとして不完全となってしまう不都合があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、温度変動に敏感であると共にトッププレート上の被加熱物の温度を高精度に測定可能な赤外線センサを備えた誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明の誘導加熱調理器は、被加熱物を載置するトッププレートと、該トッププレートの下部に設置され前記被加熱物を電磁誘導加熱により加熱する電磁コイルと、前記トッププレートの下方に該トッププレートから離間して設置され前記トッププレートを介して被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサとを備えた誘導加熱調理器であって、前記赤外線センサが、絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、前記絶縁性フィルムの一方の面に形成され前記第1の感熱素子に接続された導電性の第1の配線膜及び前記第2の感熱素子に接続された導電性の第2の配線膜と、前記第2の感熱素子に対向して前記絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この誘導加熱調理器では、赤外線センサが、絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、第2の感熱素子に対向して絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えているので、互いに絶縁性フィルム上に並んだ検知用の第1の感熱素子と補償用の第2の感熱素子とに生じる温度分布が小さくなる。このため、電磁コイルからの熱による温度変動の影響を絶縁性フィルム上の両方の感熱素子が同時に受けると共に敏感に反応することから、鍋底(被加熱物)からの輻射熱を精度良く検出することができる。したがって、赤外線センサが受ける熱量が大きくても、高精度に鍋底(被加熱物)の温度を非接触に検出可能であると共に、電磁コイルから熱隔離するための空間や支持構造の必要が無く、赤外線センサの支持構造が簡略化されて冷却装置も不要となる。また、簡略化された支持構造であっても、高精度に温度検出することができる。さらに、小さなスペースで内部に設置することができ、全体の小型化や低コスト化が可能になる。
【0009】
第2の発明の誘導加熱調理器は、第1の発明において、前記第1の配線膜が、前記第1の感熱素子の周囲にまで配されて前記第2の配線膜よりも大きな面積で形成されていることを特徴とする。
すなわち、赤外線センサの第1の配線膜が、第1の感熱素子の周囲にまで配されて第2の配線膜よりも大きな面積で形成されているので、絶縁性フィルムの赤外線を吸収した部分からの熱収集を改善すると共に、絶縁性フィルムの赤外線反射膜が形成された部分と熱容量が近づくので、変動誤差を小さくすることができる。このため、周囲の温度変動の影響を絶縁性フィルム上の両方の感熱素子が同時に受けると共に敏感に反応することから、トッププレートを介した被加熱物からの輻射熱を精度良く検出することができる。なお、第1の配線膜の面積及び形状は、絶縁性フィルムの赤外線反射膜が形成された部分と熱容量がほぼ等しくなるように設定することが好ましい。
【0010】
第3の発明の誘導加熱調理器は、第1または第2の発明において、前記絶縁性フィルムが、ポリイミド基板で形成され、前記赤外線反射膜、前記第1の配線膜及び前記第2の配線膜が銅箔で形成されていることを特徴とする。
すなわち、この誘導加熱調理器では、絶縁性フィルムが、ポリイミド基板で形成され、赤外線反射膜、第1の配線膜及び第2の配線膜が銅箔で形成されているので、材料費が安い汎用的な両面フレキシブル基板を利用することができ、低コスト化を図ることができる。
【0011】
第4の発明の誘導加熱調理器は、第1から第3のいずれかの発明において、前記赤外線反射膜が、前記銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されていることを特徴とする。
すなわち、この誘導加熱調理器では、赤外線反射膜が、銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されているので、金メッキ膜が、銅箔の酸化防止膜として機能すると共に赤外線の反射率を向上させることができる。
【0012】
第5の発明の誘導加熱調理器は、第1から第4のいずれかの発明において、前記第1の感熱素子および前記第2の感熱素子が、サーミスタ素子であることを特徴とする。
すなわち、この誘導加熱調理器では、第1の感熱素子および第2の感熱素子が、サーミスタ素子であるので、フォトダイオードの赤外線センサに比べて、高温での特性劣化が少なく、高い耐熱性を有しており、高温のトッププレート等に近接させて設置することが可能になる。また、トッププレート等に近接させて設置可能になるため、赤外線センサにおける赤外線の視界内に他のものが入り難くなり、外部からの赤外線による干渉を抑制することができるため、より正確な温度測定が可能になる。なお、赤外線センサをトッププレートから離して使用する場合、焦点を絞るレンズ等の光学機構が必要になるが、本発明の場合は、トッププレートへの近接設置が可能であるため、前記光学機構が不要になり、部品コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る誘導加熱調理器によれば、赤外線センサが、絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、第2の感熱素子に対向して絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えているので、赤外線センサが受ける熱量が大きくても、高精度に鍋底(被加熱物)の温度を非接触に検出可能であると共に、簡易な支持構造ですみ、小型化や低コスト化が可能になる。
したがって、高精度に鍋底(被加熱物)の温度が制御されて、安定した調理が可能になると共に全体の小型化や低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る誘導加熱調理器の一実施形態において、誘導加熱調理器を示す概略的な断面図である。
【図2】本実施形態において、赤外線センサを示す斜視図である。
【図3】本実施形態において、筐体を外した状態のセンサ本体を示す斜視図である。
【図4】本実施形態において、赤外線センサを示す断面図である。
【図5】第1実施形態において、感熱素子が接着される前の絶縁性フィルムを示す底面図である。
【図6】第1実施形態において、感熱素子が接着される前の絶縁性フィルムを示す平面図である。
【図7】本発明に用いる赤外線センサの性能比較を行うための装置を示す構成図である。
【図8】本発明に用いる赤外線センサにおいて、ペルチェ素子の温度変化に対する吸収膜温度および反射膜温度の変化を示すグラフである。
【図9】特許文献2の赤外線温度センサにおいて、ペルチェ素子の温度変化に対する吸収膜温度および反射膜温度の変化を示すグラフである。
【図10】本発明に用いる赤外線センサにおいて、赤外線センサの温度と机の実測温度と机の算出温度とを示すグラフである。
【図11】特許文献2の赤外線温度センサにおいて、赤外線温度センサの温度と机の実測温度および反射膜温度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る誘導加熱調理器の一実施形態を、図1から図11を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0016】
本実施形態の誘導加熱調理器10は、図1に示すように、被加熱物Nを載置するトッププレート12と、該トッププレート12の下部に設置され被加熱物Nを電磁誘導加熱により加熱する電磁コイル13と、トッププレート12の下方に該トッププレート12から離間して設置されトッププレート12を介して被加熱物Nから放射される赤外線を検出する赤外線センサ1と、電磁コイル13および赤外線センサ1に電気的に接続された制御部Cと、これらが設置された本体ケース14とを備えている。
【0017】
上記トッププレート12は、結晶化ガラス等で形成されて高い耐熱性を有しており、本体ケース14の上部に取り付けられている。
このトッププレート12の下面には、該下面を覆うと共に一部が赤外線透過窓(図示略)として開けられた赤外線遮蔽層(図示略)が設けられている。
該赤外線遮蔽層は、例えばトッププレート12下面に貼り付けられたカーボンブラックを含む結晶化ガラスの吹付材などの赤外線遮蔽シートである。なお、この赤外線遮蔽層は、赤外線遮蔽シート以外にも赤外線遮蔽効果のある塗料をトッププレート12の下面に塗って形成しても構わない。また、上記赤外線透過窓は、赤外線センサ1の直上に位置する部分のみ赤外線遮蔽層に開口部を設けてトッププレート12を露出させて形成したものである。
【0018】
上記被加熱物Nは、磁性体(鉄等)または非磁性体(アルミニウム等)で形成された鍋等である。
上記電磁コイル13は、トッププレート12の下方かつ本体ケース14内に円環形状または渦巻き形状に配置され、交流電流による電力が供給されると高周波磁界を発生させてトッププレート12上の被加熱物Nを誘導加熱するものである。
【0019】
上記制御部Cは、電磁コイル13に接続され該電磁コイル13に電力を供給するインバータ回路(図示略)と、赤外線センサ1に接続され第1の感熱素子3Aおよび第2の感熱素子3Bの出力に基づいて被加熱物Nの温度を算出するセンサ回路(図示略)とを備え、得られた被加熱物Nの温度に基づいて、電磁コイル13に供給する電力を制御する機能を有している。
【0020】
上記センサ回路は、第1の感熱素子3Aと第2の感熱素子3Bとで検出された赤外線の差分(出力の差分)を演算処理し、第2の感熱素子3Bをリファレンスとして第1の感熱素子3Aで検出された温度を算出する機能を有している。
【0021】
上記赤外線センサ1は、基板15上に実装されて電磁コイル3の中央に設置されている。また、基板15上には、赤外線センサ1の周囲に断熱用筒部材16が設置されている。該断熱用筒部材16は、例えば内面にアルミ膜が形成された樹脂製のものが採用される。この断熱用筒部材16は、外周からの空気の流れを遮断する風防の機能を有していると共に周囲の熱を断熱性の高い樹脂材により内側に伝え難くする断熱機能を有している。
【0022】
赤外線センサ1は、図2から図6に示すように、絶縁性フィルム2と、該絶縁性フィルム2の一方の面(下面)に互いに離間させて並べて設けられた第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bと、絶縁性フィルム2の一方の面に形成され第1の感熱素子3Aに接続された導電性金属膜である一対の第1の配線膜4A及び第2の感熱素子3Bに接続された導電性金属膜である一対の第2の配線膜4Bと、第2の感熱素子3Bに対向して絶縁性フィルム2の他方の面に設けられた赤外線反射膜6と、絶縁性フィルム2の一方の面に固定されて該絶縁性フィルム2を支持すると共に第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bを内部の収納部7aに収納する筐体7とを備えている。
【0023】
上記第1の配線膜4Aは、図5に示すように、第1の感熱素子3Aの周囲にまで配されて第2の配線膜4Bよりも大きな面積で形成されている。これらの第1の配線膜4Aは、一対の中央に第1の感熱素子3Aを配し、一対で外形状が赤外線反射膜6と略同じの四角形状に設定されている。すなわち、第1の配線膜4Aの面積及び形状は赤外線反射膜6と略同じとし、絶縁性フィルム2の赤外線反射膜6が形成された部分と熱容量がほぼ等しくなるように設定している。
【0024】
また、一対の第1の配線膜4Aには、その一端部にそれぞれ絶縁性フィルム2上に形成された第1の接着電極5Aが接続されていると共に、他端部にそれぞれ絶縁性フィルム2上に形成された第1の端子電極7Aが接続されている。
また、一対の第2の配線膜4Bは、線状に形成されており、その一端部にそれぞれ絶縁性フィルム2上に形成された第2の接着電極5Bが接続されていると共に、他端部にそれぞれ絶縁性フィルム2上に形成された第2の端子電極7Bが接続されている。
なお、上記第1の接着電極5A及び第2の接着電極5Bには、それぞれ第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bの端子電極3aが半田等の導電性接着剤で接着される。
【0025】
上記絶縁性フィルム2は、ポリイミド樹脂シートで形成され、赤外線反射膜6、第1の配線膜4A及び第2の配線膜4Bが銅箔で形成されている。すなわち、これらは、絶縁性フィルム2とされるポリイミド基板の両面に、赤外線反射膜6、第1の配線膜4A及び第2の配線膜4Bとされる銅箔のフロート電極がパターン形成された両面フレキシブル基板によって作製されたものである。
【0026】
さらに、上記赤外線反射膜6は、図6に示すように、第2の感熱素子3Bの直上に四角形状で配されており、銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されている。なお、絶縁性フィルム2の下面には、第1の端子電極7A及び第2の端子電極7Bを除いて第1の配線膜4A及び第2の配線膜4Bを含む下面全体を覆うポリイミド樹脂のカバーレイが形成されている。
【0027】
この赤外線反射膜6は、絶縁性フィルム2よりも高い赤外線放射率を有する材料で形成され、上述したように、銅箔上に金メッキ膜が施されて形成されている。なお、金メッキ膜の他に、例えば鏡面のアルミニウム蒸着膜やアルミニウム箔等で形成しても構わない。この赤外線反射膜6は、第2の感熱素子3Bよりも大きなサイズでこれを覆うように形成されている。
【0028】
上記第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bは、両端部に端子電極3aが形成されたチップサーミスタである。このサーミスタとしては、NTC型、PTC型、CTR型等のサーミスタがあるが、本実施形態では、第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bとして、例えばNTC型サーミスタを採用している。このサーミスタは、Mn−Co−Cu系材料、Mn−Co−Fe系材料等のサーミスタ材料で形成されている。なお、これら第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bは、各端子電極3aを対応する第1の接着電極5A上又は第2の接着電極5B上に接合させて絶縁性フィルム2に実装されている。
【0029】
上記筐体7は、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等の樹脂で形成されており、図4に示すように、第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bを収納すると共に絶縁性フィルム2よりも熱伝導率の低い空気で覆う空間である収納部7aが内部に設けられている。
【0030】
この筐体7内の絶縁性フィルム2に対向する底面には、赤外線を反射する底面反射膜9が形成されている。この底面反射膜9は、上記赤外線反射膜6と同様の膜が採用可能である。このように筐体7内の底面から放射される輻射熱を底面反射膜9で直接反射させて遮断することで、対向する絶縁性フィルム2や感熱素子3A,3Bへの影響を抑制することができる。
【0031】
この筐体7は、図2に示すように、側面に設けられ第1の配線膜4Aまたは第2の配線膜4Bの第2の端子電極7Bに上端が接続されていると共に底部まで延在された複数の側面電極部10aと、側面下部において側面電極部10aの下端に接続されて設けられ外部の基板15上に接続させる複数の実装用外部端子10bとを備えている。すなわち、本実施形態の赤外線センサ1は表面実装型とされている。なお、側面電極部10aと実装用外部端子10bとは、例えば錫めっきされた銅合金で形成されている。
【0032】
このように本実施形態の誘導加熱調理器10では、赤外線センサ1が、絶縁性フィルム2の一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bと、第2の感熱素子3Bに対向して絶縁性フィルム2の他方の面に設けられた赤外線反射膜6とを備えているので、互いに絶縁性フィルム2上に並んだ検知用の第1の感熱素子3Aと補償用の第2の感熱素子3Bとに生じる温度分布が小さくなる。このため、電磁コイル13からの熱による温度変動の影響を絶縁性フィルム2上の両方の感熱素子が同時に受けると共に敏感に反応することから、鍋底(被加熱物N)からの輻射熱を精度良く検出することができる。
【0033】
したがって、赤外線センサ1が受ける熱量が大きくても、高精度に鍋底(被加熱物N)の温度を非接触に検出可能であると共に、電磁コイル13から熱隔離するための空間や支持構造の必要が無く、赤外線センサ1の支持構造が簡略化されて冷却装置も不要となる。また、簡略化された支持構造であっても、高精度に温度検出することができる。さらに、小さなスペースで内部に設置することができ、全体の小型化や低コスト化が可能になる。
【0034】
また、赤外線センサ1の第1の配線膜4Aが、第1の感熱素子3Aの周囲にまで配されて第2の配線膜4Bよりも大きな面積で形成されているので、絶縁性フィルム2の赤外線を吸収した部分からの熱収集を改善すると共に、絶縁性フィルム2の赤外線反射膜6が形成された部分と熱容量が近づくので、変動誤差を小さくすることができる。このため、周囲の温度変動の影響を絶縁性フィルム2上の両方の感熱素子が同時に受けると共に敏感に反応することから、トッププレート12を介した被加熱物Nからの輻射熱を精度良く検出することができる。また、大きな面積の第1の配線膜4Aが、絶縁性フィルム2を透過して筐体7に照射される赤外線を遮断すると共に筐体7から放射される輻射熱を遮断して絶縁性フィルム2への熱影響を抑制することができる。
【実施例】
【0035】
本発明の誘導加熱調理器に用いられる赤外線センサ1について、特許文献2の従来の赤外線温度センサと比較した実験を行った。
この実験では、センサ性能を比較し易くするために、図7に示すように、誘導加熱調理器のトッププレートではなく、黒体テープTを貼った机Dを測定対象物とし、この机Dの上方に間隔を空けて赤外線センサ1を設置し、さらに赤外線センサ1上にペルチェ素子Pを載せ、赤外線センサ1を直接加熱冷却しながら机Dの温度を測定した。なお、机Dには、別途、他の温度センサ(図示略)を直接取り付けて、机Dの温度(実測値)を測定した。
【0036】
まず、ペルチェ素子Pにより赤外線センサ1を加熱した際、本発明に用いられる赤外線センサ1における吸収膜温度(第1の感熱素子3Aでの温度)と反射膜温度(第2の感熱素子3Bでの温度)とペルチェ素子Pの温度との時間変化を、図8に示す。また、比較として同様に設置して測定した上記従来の赤外線温度センサにおける各温度を、図9に示す。
図8および図9からわかるように、上記従来の赤外線センサでは、吸収膜温度と反射膜温度との温度差の時間変化(両者の傾き差)が大きいのに対し、本発明に用いられる赤外線センサ1では、吸収膜温度と反射膜温度との温度差の時間変化が小さい。
【0037】
次に、ペルチェ素子Pを動作させていない状態(机Dの温度は22℃)からペルチェ素子Pを48℃に加熱し、その後4℃まで冷却した際、本発明に用いる赤外線センサ1の温度(図中の「センサ」)と、机Dの実測温度(図中の机(実測))と、赤外線センサ1により測定した机Dの算出温度(図中の机(算出))との時間変化を、図10に示す。また、比較として同様に設置して測定した上記従来の赤外線温度センサにおける各温度を、図11に示す。
【0038】
図10および図11からわかるように、上記従来の赤外線温度センサでは、ペルチェ素子Pにより赤外線温度センサの温度が大きく変化すると、赤外線温度センサにより測定した机Dの算出温度が、机Dの実測温度と大きく解離した値となってしまうのに対し、本発明に用いられる赤外線センサ1では、赤外線センサ1により測定した机Dの算出温度が、机Dの実測温度とほぼ同じ値となっている。したがって、本発明に用いられる赤外線センサ1は、自己の温度が変化しても、従来の赤外線センサに比べて測定対象物の温度を正確に見積もることが可能である。
【0039】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、第1の感熱素子が赤外線を直接吸収した絶縁性フィルムから伝導される熱を検出しているが、第1の感熱素子の直上であって絶縁性フィルム上に赤外線吸収膜を形成しても構わない。この場合、さらに第1の感熱素子における赤外線吸収効果が向上して、第1の感熱素子と第2の感熱素子とのより良好な温度差分を得ることができる。すなわち、この赤外線吸収膜によって被加熱物からの輻射による赤外線を吸収するようにし、赤外線を吸収し発熱した赤外線吸収膜から絶縁性フィルムを介した熱伝導によって、直下の第1の感熱素子の温度が変化するようにしてもよい。
【0041】
この赤外線吸収膜は、絶縁性フィルムよりも高い赤外線吸収率を有する材料で形成され、例えば、カーボンブラック等の赤外線吸収材料を含むフィルムや赤外線吸収性ガラス膜(二酸化珪素を71%含有するホウケイ酸ガラス膜など)で形成されているもの等が採用可能である。特に、赤外線吸収膜は、アンチモンドープ酸化錫(ATO)膜であることが望ましい。このATO膜は、カーボンブラック等に比べて赤外線の吸収率が良いと共に耐光性に優れている。また、ATO膜は、紫外線で硬化させるので、接着強度が強く、カーボンブラック等に比べて剥がれ難い。
なお、この赤外線吸収膜は、第1の感熱素子よりも大きなサイズでこれを覆うように形成することが好ましい。
【0042】
また、チップサーミスタの第1の感熱素子及び第2の感熱素子を採用しているが、薄膜サーミスタで形成された第1の感熱素子及び第2の感熱素子を採用しても構わない。
なお、感熱素子としては、上述したように薄膜サーミスタやチップサーミスタが好ましいが、サーミスタ素子以外に焦電素子等も採用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…赤外線センサ、2…絶縁性フィルム、3A…第1の感熱素子、3B…第2の感熱素子、4A…第1の配線膜、4B…第2の配線膜、6…赤外線反射膜、10…誘導加熱調理器、12…トッププレート、13…電磁コイル、C…制御部、N…被加熱物
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッププレート上の鍋等の被加熱物を電磁誘導加熱(IH)で加熱すると共に鍋底温度を検出可能な誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トッププレート上の鍋等の被加熱物を電磁誘導加熱で加熱すると共に鍋底温度を検出可能な誘導加熱調理器として、例えば、特許文献1には、上部が開口した箱状の本体ケースと、本体ケースの上面開口を覆う天板と、本体ケース内で天板の下方に配置され、加熱コイル、及び加熱コイルを保持する加熱コイル保持部材を有する加熱コイルユニットと、天板上に載置された被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサユニットとを備え、赤外線センサユニットを、加熱コイルユニットの下方に配置した電磁誘導加熱調理器が提案されている。この電磁誘導加熱調理器の赤外線センサユニットは、サーモパイルとレンズとを有する赤外線センサを備えており、被加熱物から放射される赤外線検出信号を電圧として出力するようになっている。また、この電磁誘導加熱調理器では、赤外線センサユニットを冷却するために冷却風が赤外線センサユニットに当たるようにした構造を採用している。
【0003】
また、サーモパイル以外に被加熱物の温度センサとしては、特許文献2に、電磁誘導加熱調理器用ではないが、複写機の定着装置に使用されている加熱定着ローラ等の温度を測定する赤外線センサとして、保持体に設置した樹脂フィルムと、該樹脂フィルムに設けられ保持体の導光部を介して赤外線を検知する赤外線検知用感熱素子と、樹脂フィルムに遮光状態に設けられ保持体の温度を検知する温度補償用感熱素子とを備えた赤外線センサが提案されている。この赤外線センサでは、導光部の内側面に赤外線吸収膜を形成すると共に、樹脂フィルムにカーボンブラック等の赤外線吸収材料を含有させて赤外線の吸収を高めている。また、この赤外線センサでは、アルミニウムなどの熱伝導率が大きく熱放射率の小さい金属材料から略ブロック状に形成された筐体である保持体に感熱素子が内蔵されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−287533号公報
【特許文献2】特開2002−156284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、電磁コイル(加熱コイル)の温度上昇により赤外線センサ周辺の温度が急激に変化するために検出誤差が生じてしまう問題があった。このため、特許文献1に記載の誘導加熱調理器のように赤外線センサを冷却するなどの構造や装置が必要になり、構造が複雑化したり高コストになってしまうと共に急速に加熱することができないという不都合があった。
また、特許文献1に記載の誘導加熱調理器では、赤外線センサにサーモパイルを用いているが、サーモパイルは、素子がガスで封止され周囲の温度変動に鈍感なため、高精度な温度検出が困難であった。さらに、トッププレート上の被加熱物からの赤外線を受ける温度検知用の赤外線センサと周囲温度だけを検出する温度補償用の赤外線センサとを別々に設置した場合、検知側と補償側とで材料、構造および設置状態などが異なるので、熱容量に差が生じ、温度分布が生じてしまうことから高精度な温度測定ができないという問題があった。
例えば、特許文献2に記載の赤外線温度センサを用いた場合、この赤外線温度センサでは、樹脂フィルムにカーボンブラック等の赤外線吸収材料を含有させると共に一方の感熱素子側を温度補償用に遮光する構造が採用されているが、赤外線吸収材料を含有した樹脂フィルムの熱伝導が高く、赤外線検知用と温度補償用との感熱素子間で温度差分が生じ難いという不都合があった。また、これら感熱素子間で温度差分を大きくするためには、感熱素子間の距離を大きくする必要があり、全体形状が大きくなってしまい、小型化が困難になる問題がある。さらに、温度補償用の感熱素子を遮光する構造をケース自体に設ける必要があるため、高価になってしまう。
さらに、一方の感熱素子について赤外線を筐体で遮光する構造を採用しているが、赤外線を遮っているだけで遮蔽部分が赤外線を吸収してしまい、遮蔽部分の温度が変化してしまうことからリファレンスとして不完全となってしまう不都合があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、温度変動に敏感であると共にトッププレート上の被加熱物の温度を高精度に測定可能な赤外線センサを備えた誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明の誘導加熱調理器は、被加熱物を載置するトッププレートと、該トッププレートの下部に設置され前記被加熱物を電磁誘導加熱により加熱する電磁コイルと、前記トッププレートの下方に該トッププレートから離間して設置され前記トッププレートを介して被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサとを備えた誘導加熱調理器であって、前記赤外線センサが、絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、前記絶縁性フィルムの一方の面に形成され前記第1の感熱素子に接続された導電性の第1の配線膜及び前記第2の感熱素子に接続された導電性の第2の配線膜と、前記第2の感熱素子に対向して前記絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この誘導加熱調理器では、赤外線センサが、絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、第2の感熱素子に対向して絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えているので、互いに絶縁性フィルム上に並んだ検知用の第1の感熱素子と補償用の第2の感熱素子とに生じる温度分布が小さくなる。このため、電磁コイルからの熱による温度変動の影響を絶縁性フィルム上の両方の感熱素子が同時に受けると共に敏感に反応することから、鍋底(被加熱物)からの輻射熱を精度良く検出することができる。したがって、赤外線センサが受ける熱量が大きくても、高精度に鍋底(被加熱物)の温度を非接触に検出可能であると共に、電磁コイルから熱隔離するための空間や支持構造の必要が無く、赤外線センサの支持構造が簡略化されて冷却装置も不要となる。また、簡略化された支持構造であっても、高精度に温度検出することができる。さらに、小さなスペースで内部に設置することができ、全体の小型化や低コスト化が可能になる。
【0009】
第2の発明の誘導加熱調理器は、第1の発明において、前記第1の配線膜が、前記第1の感熱素子の周囲にまで配されて前記第2の配線膜よりも大きな面積で形成されていることを特徴とする。
すなわち、赤外線センサの第1の配線膜が、第1の感熱素子の周囲にまで配されて第2の配線膜よりも大きな面積で形成されているので、絶縁性フィルムの赤外線を吸収した部分からの熱収集を改善すると共に、絶縁性フィルムの赤外線反射膜が形成された部分と熱容量が近づくので、変動誤差を小さくすることができる。このため、周囲の温度変動の影響を絶縁性フィルム上の両方の感熱素子が同時に受けると共に敏感に反応することから、トッププレートを介した被加熱物からの輻射熱を精度良く検出することができる。なお、第1の配線膜の面積及び形状は、絶縁性フィルムの赤外線反射膜が形成された部分と熱容量がほぼ等しくなるように設定することが好ましい。
【0010】
第3の発明の誘導加熱調理器は、第1または第2の発明において、前記絶縁性フィルムが、ポリイミド基板で形成され、前記赤外線反射膜、前記第1の配線膜及び前記第2の配線膜が銅箔で形成されていることを特徴とする。
すなわち、この誘導加熱調理器では、絶縁性フィルムが、ポリイミド基板で形成され、赤外線反射膜、第1の配線膜及び第2の配線膜が銅箔で形成されているので、材料費が安い汎用的な両面フレキシブル基板を利用することができ、低コスト化を図ることができる。
【0011】
第4の発明の誘導加熱調理器は、第1から第3のいずれかの発明において、前記赤外線反射膜が、前記銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されていることを特徴とする。
すなわち、この誘導加熱調理器では、赤外線反射膜が、銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されているので、金メッキ膜が、銅箔の酸化防止膜として機能すると共に赤外線の反射率を向上させることができる。
【0012】
第5の発明の誘導加熱調理器は、第1から第4のいずれかの発明において、前記第1の感熱素子および前記第2の感熱素子が、サーミスタ素子であることを特徴とする。
すなわち、この誘導加熱調理器では、第1の感熱素子および第2の感熱素子が、サーミスタ素子であるので、フォトダイオードの赤外線センサに比べて、高温での特性劣化が少なく、高い耐熱性を有しており、高温のトッププレート等に近接させて設置することが可能になる。また、トッププレート等に近接させて設置可能になるため、赤外線センサにおける赤外線の視界内に他のものが入り難くなり、外部からの赤外線による干渉を抑制することができるため、より正確な温度測定が可能になる。なお、赤外線センサをトッププレートから離して使用する場合、焦点を絞るレンズ等の光学機構が必要になるが、本発明の場合は、トッププレートへの近接設置が可能であるため、前記光学機構が不要になり、部品コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る誘導加熱調理器によれば、赤外線センサが、絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、第2の感熱素子に対向して絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えているので、赤外線センサが受ける熱量が大きくても、高精度に鍋底(被加熱物)の温度を非接触に検出可能であると共に、簡易な支持構造ですみ、小型化や低コスト化が可能になる。
したがって、高精度に鍋底(被加熱物)の温度が制御されて、安定した調理が可能になると共に全体の小型化や低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る誘導加熱調理器の一実施形態において、誘導加熱調理器を示す概略的な断面図である。
【図2】本実施形態において、赤外線センサを示す斜視図である。
【図3】本実施形態において、筐体を外した状態のセンサ本体を示す斜視図である。
【図4】本実施形態において、赤外線センサを示す断面図である。
【図5】第1実施形態において、感熱素子が接着される前の絶縁性フィルムを示す底面図である。
【図6】第1実施形態において、感熱素子が接着される前の絶縁性フィルムを示す平面図である。
【図7】本発明に用いる赤外線センサの性能比較を行うための装置を示す構成図である。
【図8】本発明に用いる赤外線センサにおいて、ペルチェ素子の温度変化に対する吸収膜温度および反射膜温度の変化を示すグラフである。
【図9】特許文献2の赤外線温度センサにおいて、ペルチェ素子の温度変化に対する吸収膜温度および反射膜温度の変化を示すグラフである。
【図10】本発明に用いる赤外線センサにおいて、赤外線センサの温度と机の実測温度と机の算出温度とを示すグラフである。
【図11】特許文献2の赤外線温度センサにおいて、赤外線温度センサの温度と机の実測温度および反射膜温度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る誘導加熱調理器の一実施形態を、図1から図11を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0016】
本実施形態の誘導加熱調理器10は、図1に示すように、被加熱物Nを載置するトッププレート12と、該トッププレート12の下部に設置され被加熱物Nを電磁誘導加熱により加熱する電磁コイル13と、トッププレート12の下方に該トッププレート12から離間して設置されトッププレート12を介して被加熱物Nから放射される赤外線を検出する赤外線センサ1と、電磁コイル13および赤外線センサ1に電気的に接続された制御部Cと、これらが設置された本体ケース14とを備えている。
【0017】
上記トッププレート12は、結晶化ガラス等で形成されて高い耐熱性を有しており、本体ケース14の上部に取り付けられている。
このトッププレート12の下面には、該下面を覆うと共に一部が赤外線透過窓(図示略)として開けられた赤外線遮蔽層(図示略)が設けられている。
該赤外線遮蔽層は、例えばトッププレート12下面に貼り付けられたカーボンブラックを含む結晶化ガラスの吹付材などの赤外線遮蔽シートである。なお、この赤外線遮蔽層は、赤外線遮蔽シート以外にも赤外線遮蔽効果のある塗料をトッププレート12の下面に塗って形成しても構わない。また、上記赤外線透過窓は、赤外線センサ1の直上に位置する部分のみ赤外線遮蔽層に開口部を設けてトッププレート12を露出させて形成したものである。
【0018】
上記被加熱物Nは、磁性体(鉄等)または非磁性体(アルミニウム等)で形成された鍋等である。
上記電磁コイル13は、トッププレート12の下方かつ本体ケース14内に円環形状または渦巻き形状に配置され、交流電流による電力が供給されると高周波磁界を発生させてトッププレート12上の被加熱物Nを誘導加熱するものである。
【0019】
上記制御部Cは、電磁コイル13に接続され該電磁コイル13に電力を供給するインバータ回路(図示略)と、赤外線センサ1に接続され第1の感熱素子3Aおよび第2の感熱素子3Bの出力に基づいて被加熱物Nの温度を算出するセンサ回路(図示略)とを備え、得られた被加熱物Nの温度に基づいて、電磁コイル13に供給する電力を制御する機能を有している。
【0020】
上記センサ回路は、第1の感熱素子3Aと第2の感熱素子3Bとで検出された赤外線の差分(出力の差分)を演算処理し、第2の感熱素子3Bをリファレンスとして第1の感熱素子3Aで検出された温度を算出する機能を有している。
【0021】
上記赤外線センサ1は、基板15上に実装されて電磁コイル3の中央に設置されている。また、基板15上には、赤外線センサ1の周囲に断熱用筒部材16が設置されている。該断熱用筒部材16は、例えば内面にアルミ膜が形成された樹脂製のものが採用される。この断熱用筒部材16は、外周からの空気の流れを遮断する風防の機能を有していると共に周囲の熱を断熱性の高い樹脂材により内側に伝え難くする断熱機能を有している。
【0022】
赤外線センサ1は、図2から図6に示すように、絶縁性フィルム2と、該絶縁性フィルム2の一方の面(下面)に互いに離間させて並べて設けられた第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bと、絶縁性フィルム2の一方の面に形成され第1の感熱素子3Aに接続された導電性金属膜である一対の第1の配線膜4A及び第2の感熱素子3Bに接続された導電性金属膜である一対の第2の配線膜4Bと、第2の感熱素子3Bに対向して絶縁性フィルム2の他方の面に設けられた赤外線反射膜6と、絶縁性フィルム2の一方の面に固定されて該絶縁性フィルム2を支持すると共に第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bを内部の収納部7aに収納する筐体7とを備えている。
【0023】
上記第1の配線膜4Aは、図5に示すように、第1の感熱素子3Aの周囲にまで配されて第2の配線膜4Bよりも大きな面積で形成されている。これらの第1の配線膜4Aは、一対の中央に第1の感熱素子3Aを配し、一対で外形状が赤外線反射膜6と略同じの四角形状に設定されている。すなわち、第1の配線膜4Aの面積及び形状は赤外線反射膜6と略同じとし、絶縁性フィルム2の赤外線反射膜6が形成された部分と熱容量がほぼ等しくなるように設定している。
【0024】
また、一対の第1の配線膜4Aには、その一端部にそれぞれ絶縁性フィルム2上に形成された第1の接着電極5Aが接続されていると共に、他端部にそれぞれ絶縁性フィルム2上に形成された第1の端子電極7Aが接続されている。
また、一対の第2の配線膜4Bは、線状に形成されており、その一端部にそれぞれ絶縁性フィルム2上に形成された第2の接着電極5Bが接続されていると共に、他端部にそれぞれ絶縁性フィルム2上に形成された第2の端子電極7Bが接続されている。
なお、上記第1の接着電極5A及び第2の接着電極5Bには、それぞれ第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bの端子電極3aが半田等の導電性接着剤で接着される。
【0025】
上記絶縁性フィルム2は、ポリイミド樹脂シートで形成され、赤外線反射膜6、第1の配線膜4A及び第2の配線膜4Bが銅箔で形成されている。すなわち、これらは、絶縁性フィルム2とされるポリイミド基板の両面に、赤外線反射膜6、第1の配線膜4A及び第2の配線膜4Bとされる銅箔のフロート電極がパターン形成された両面フレキシブル基板によって作製されたものである。
【0026】
さらに、上記赤外線反射膜6は、図6に示すように、第2の感熱素子3Bの直上に四角形状で配されており、銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されている。なお、絶縁性フィルム2の下面には、第1の端子電極7A及び第2の端子電極7Bを除いて第1の配線膜4A及び第2の配線膜4Bを含む下面全体を覆うポリイミド樹脂のカバーレイが形成されている。
【0027】
この赤外線反射膜6は、絶縁性フィルム2よりも高い赤外線放射率を有する材料で形成され、上述したように、銅箔上に金メッキ膜が施されて形成されている。なお、金メッキ膜の他に、例えば鏡面のアルミニウム蒸着膜やアルミニウム箔等で形成しても構わない。この赤外線反射膜6は、第2の感熱素子3Bよりも大きなサイズでこれを覆うように形成されている。
【0028】
上記第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bは、両端部に端子電極3aが形成されたチップサーミスタである。このサーミスタとしては、NTC型、PTC型、CTR型等のサーミスタがあるが、本実施形態では、第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bとして、例えばNTC型サーミスタを採用している。このサーミスタは、Mn−Co−Cu系材料、Mn−Co−Fe系材料等のサーミスタ材料で形成されている。なお、これら第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bは、各端子電極3aを対応する第1の接着電極5A上又は第2の接着電極5B上に接合させて絶縁性フィルム2に実装されている。
【0029】
上記筐体7は、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等の樹脂で形成されており、図4に示すように、第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bを収納すると共に絶縁性フィルム2よりも熱伝導率の低い空気で覆う空間である収納部7aが内部に設けられている。
【0030】
この筐体7内の絶縁性フィルム2に対向する底面には、赤外線を反射する底面反射膜9が形成されている。この底面反射膜9は、上記赤外線反射膜6と同様の膜が採用可能である。このように筐体7内の底面から放射される輻射熱を底面反射膜9で直接反射させて遮断することで、対向する絶縁性フィルム2や感熱素子3A,3Bへの影響を抑制することができる。
【0031】
この筐体7は、図2に示すように、側面に設けられ第1の配線膜4Aまたは第2の配線膜4Bの第2の端子電極7Bに上端が接続されていると共に底部まで延在された複数の側面電極部10aと、側面下部において側面電極部10aの下端に接続されて設けられ外部の基板15上に接続させる複数の実装用外部端子10bとを備えている。すなわち、本実施形態の赤外線センサ1は表面実装型とされている。なお、側面電極部10aと実装用外部端子10bとは、例えば錫めっきされた銅合金で形成されている。
【0032】
このように本実施形態の誘導加熱調理器10では、赤外線センサ1が、絶縁性フィルム2の一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bと、第2の感熱素子3Bに対向して絶縁性フィルム2の他方の面に設けられた赤外線反射膜6とを備えているので、互いに絶縁性フィルム2上に並んだ検知用の第1の感熱素子3Aと補償用の第2の感熱素子3Bとに生じる温度分布が小さくなる。このため、電磁コイル13からの熱による温度変動の影響を絶縁性フィルム2上の両方の感熱素子が同時に受けると共に敏感に反応することから、鍋底(被加熱物N)からの輻射熱を精度良く検出することができる。
【0033】
したがって、赤外線センサ1が受ける熱量が大きくても、高精度に鍋底(被加熱物N)の温度を非接触に検出可能であると共に、電磁コイル13から熱隔離するための空間や支持構造の必要が無く、赤外線センサ1の支持構造が簡略化されて冷却装置も不要となる。また、簡略化された支持構造であっても、高精度に温度検出することができる。さらに、小さなスペースで内部に設置することができ、全体の小型化や低コスト化が可能になる。
【0034】
また、赤外線センサ1の第1の配線膜4Aが、第1の感熱素子3Aの周囲にまで配されて第2の配線膜4Bよりも大きな面積で形成されているので、絶縁性フィルム2の赤外線を吸収した部分からの熱収集を改善すると共に、絶縁性フィルム2の赤外線反射膜6が形成された部分と熱容量が近づくので、変動誤差を小さくすることができる。このため、周囲の温度変動の影響を絶縁性フィルム2上の両方の感熱素子が同時に受けると共に敏感に反応することから、トッププレート12を介した被加熱物Nからの輻射熱を精度良く検出することができる。また、大きな面積の第1の配線膜4Aが、絶縁性フィルム2を透過して筐体7に照射される赤外線を遮断すると共に筐体7から放射される輻射熱を遮断して絶縁性フィルム2への熱影響を抑制することができる。
【実施例】
【0035】
本発明の誘導加熱調理器に用いられる赤外線センサ1について、特許文献2の従来の赤外線温度センサと比較した実験を行った。
この実験では、センサ性能を比較し易くするために、図7に示すように、誘導加熱調理器のトッププレートではなく、黒体テープTを貼った机Dを測定対象物とし、この机Dの上方に間隔を空けて赤外線センサ1を設置し、さらに赤外線センサ1上にペルチェ素子Pを載せ、赤外線センサ1を直接加熱冷却しながら机Dの温度を測定した。なお、机Dには、別途、他の温度センサ(図示略)を直接取り付けて、机Dの温度(実測値)を測定した。
【0036】
まず、ペルチェ素子Pにより赤外線センサ1を加熱した際、本発明に用いられる赤外線センサ1における吸収膜温度(第1の感熱素子3Aでの温度)と反射膜温度(第2の感熱素子3Bでの温度)とペルチェ素子Pの温度との時間変化を、図8に示す。また、比較として同様に設置して測定した上記従来の赤外線温度センサにおける各温度を、図9に示す。
図8および図9からわかるように、上記従来の赤外線センサでは、吸収膜温度と反射膜温度との温度差の時間変化(両者の傾き差)が大きいのに対し、本発明に用いられる赤外線センサ1では、吸収膜温度と反射膜温度との温度差の時間変化が小さい。
【0037】
次に、ペルチェ素子Pを動作させていない状態(机Dの温度は22℃)からペルチェ素子Pを48℃に加熱し、その後4℃まで冷却した際、本発明に用いる赤外線センサ1の温度(図中の「センサ」)と、机Dの実測温度(図中の机(実測))と、赤外線センサ1により測定した机Dの算出温度(図中の机(算出))との時間変化を、図10に示す。また、比較として同様に設置して測定した上記従来の赤外線温度センサにおける各温度を、図11に示す。
【0038】
図10および図11からわかるように、上記従来の赤外線温度センサでは、ペルチェ素子Pにより赤外線温度センサの温度が大きく変化すると、赤外線温度センサにより測定した机Dの算出温度が、机Dの実測温度と大きく解離した値となってしまうのに対し、本発明に用いられる赤外線センサ1では、赤外線センサ1により測定した机Dの算出温度が、机Dの実測温度とほぼ同じ値となっている。したがって、本発明に用いられる赤外線センサ1は、自己の温度が変化しても、従来の赤外線センサに比べて測定対象物の温度を正確に見積もることが可能である。
【0039】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、第1の感熱素子が赤外線を直接吸収した絶縁性フィルムから伝導される熱を検出しているが、第1の感熱素子の直上であって絶縁性フィルム上に赤外線吸収膜を形成しても構わない。この場合、さらに第1の感熱素子における赤外線吸収効果が向上して、第1の感熱素子と第2の感熱素子とのより良好な温度差分を得ることができる。すなわち、この赤外線吸収膜によって被加熱物からの輻射による赤外線を吸収するようにし、赤外線を吸収し発熱した赤外線吸収膜から絶縁性フィルムを介した熱伝導によって、直下の第1の感熱素子の温度が変化するようにしてもよい。
【0041】
この赤外線吸収膜は、絶縁性フィルムよりも高い赤外線吸収率を有する材料で形成され、例えば、カーボンブラック等の赤外線吸収材料を含むフィルムや赤外線吸収性ガラス膜(二酸化珪素を71%含有するホウケイ酸ガラス膜など)で形成されているもの等が採用可能である。特に、赤外線吸収膜は、アンチモンドープ酸化錫(ATO)膜であることが望ましい。このATO膜は、カーボンブラック等に比べて赤外線の吸収率が良いと共に耐光性に優れている。また、ATO膜は、紫外線で硬化させるので、接着強度が強く、カーボンブラック等に比べて剥がれ難い。
なお、この赤外線吸収膜は、第1の感熱素子よりも大きなサイズでこれを覆うように形成することが好ましい。
【0042】
また、チップサーミスタの第1の感熱素子及び第2の感熱素子を採用しているが、薄膜サーミスタで形成された第1の感熱素子及び第2の感熱素子を採用しても構わない。
なお、感熱素子としては、上述したように薄膜サーミスタやチップサーミスタが好ましいが、サーミスタ素子以外に焦電素子等も採用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…赤外線センサ、2…絶縁性フィルム、3A…第1の感熱素子、3B…第2の感熱素子、4A…第1の配線膜、4B…第2の配線膜、6…赤外線反射膜、10…誘導加熱調理器、12…トッププレート、13…電磁コイル、C…制御部、N…被加熱物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を載置するトッププレートと、該トッププレートの下部に設置され前記被加熱物を電磁誘導加熱により加熱する電磁コイルと、前記トッププレートの下方に該トッププレートから離間して設置され前記トッププレートを介して被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサとを備えた誘導加熱調理器であって、
前記赤外線センサが、絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、前記絶縁性フィルムの一方の面に形成され前記第1の感熱素子に接続された導電性の第1の配線膜及び前記第2の感熱素子に接続された導電性の第2の配線膜と、前記第2の感熱素子に対向して前記絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の誘導加熱調理器において、
前記第1の配線膜が、前記第1の感熱素子の周囲にまで配されて前記第2の配線膜よりも大きな面積で形成されていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の誘導加熱調理器において、
前記絶縁性フィルムが、ポリイミド基板で形成され、
前記赤外線反射膜、前記第1の配線膜及び前記第2の配線膜が銅箔で形成されていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器において、
前記赤外線反射膜が、前記銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器において、
前記第1の感熱素子および前記第2の感熱素子が、サーミスタ素子であることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項1】
被加熱物を載置するトッププレートと、該トッププレートの下部に設置され前記被加熱物を電磁誘導加熱により加熱する電磁コイルと、前記トッププレートの下方に該トッププレートから離間して設置され前記トッププレートを介して被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサとを備えた誘導加熱調理器であって、
前記赤外線センサが、絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、前記絶縁性フィルムの一方の面に形成され前記第1の感熱素子に接続された導電性の第1の配線膜及び前記第2の感熱素子に接続された導電性の第2の配線膜と、前記第2の感熱素子に対向して前記絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の誘導加熱調理器において、
前記第1の配線膜が、前記第1の感熱素子の周囲にまで配されて前記第2の配線膜よりも大きな面積で形成されていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の誘導加熱調理器において、
前記絶縁性フィルムが、ポリイミド基板で形成され、
前記赤外線反射膜、前記第1の配線膜及び前記第2の配線膜が銅箔で形成されていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器において、
前記赤外線反射膜が、前記銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器において、
前記第1の感熱素子および前記第2の感熱素子が、サーミスタ素子であることを特徴とする誘導加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−226880(P2012−226880A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91617(P2011−91617)
【出願日】平成23年4月16日(2011.4.16)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月16日(2011.4.16)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】
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