説明

誰にでも出来る簡便、確実、軽量、安価な屋上緑化

【課題】誰にでも簡便、確実、軽量、安価に屋上を緑化することが出来るようにする。
【解決手段】防水材40の周縁41を立ち上げて構成した二次水槽42に格子枠45を嵌め込み、その格子枠の凹部69に保水機能を有するブロック14を嵌め込んで形成した緑化パネル51を屋上に敷き詰め、その上に敷き込んだ砂防シート63の上に天然芝生を敷設する。ブロックは、その周縁15に接する外接円16の直径が70〜420mmとなるサイズp・qにし、天然芝生の上を踏み歩く足跡66がブロック間の目地68に出来、歩行者の体重が緑化パネル51の格子枠全体45に分散して体が安定に支えられるようにする。ブロックの内部には一次水槽30を形成するか、又は、平板素材25の集積体によってブロックを構成し、その平板素材間の空隙18に水分が蓄えられるようにする。一次水槽には糸束22を装填するとよい。平板素材には繊維製内装材の廃棄物が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として屋上緑化に使用される天然芝生植栽ブロックと緑化パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋上緑化工法には、係脱自在に繋ぎ合わせて敷き詰められるブロックに排水孔を底面に設けた多数の凹部を碁盤状に設け、その凹部に装填した土壌層に天然芝生を植栽する方法(例えば、特許文献1参照)、深さが0.5〜2.0cmの平板な容器に培養土を装填して盛り上げ、その培養土に天然芝生を植栽する方法(例えば、特許文献2参照)、係脱自在に繋ぎ合わせて敷き詰められる基盤枠内に装填した培養土に天然芝生を植栽する方法(例えば、特許文献3参照)、発泡コンクリート容器に装填した培養土に天然芝生を植栽する方法(例えば、特許文献4参照)、排水溝付き導水シートに積層した土壌層に天然芝生を植栽する方法(例えば、特許文献5参照)、ポットを並べたパネルの各ポットに天然芝生を植栽する方法(例えば、特許文献6参照)等が知られている。しかし、これらの屋上緑化工法では、何れも培養土が使用されており、培養土を装填する容器自体も重く、既存建築物の屋上緑化には不向きである。
【0003】
本願発明者は、水耕栽培式プランターを屋上に並べ、プランター間を給水パイプで連結し、その並べた全てのプランターに同時に給水して屋上を緑化する方法(例えば、特許文献7参照)や、屋上に設けた広大な水槽に有孔基盤に成る表面と底面の間に5〜30cm間隔でスペーサーを配置して形成した空隙層に繊維集積物を挿填すると共に表面に天然芝生の植栽層を形成した緑化パネルを敷き詰めて屋上を緑化する方法(例えば、特許文献8参照)を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平07−079638号公報
【特許文献2】特開2002−017170号公報
【特許文献3】特開2003−061457号公報
【特許文献4】特開2005−341869号公報
【特許文献5】特開2007−289207号公報
【特許文献6】特開2008−017850号公報
【特許文献7】特開平11−289864号公報
【特許文献8】特開2001−49670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者が特許文献7に開示したプランターを給水ポンプで連結する方法(以下、先願技術1と言う。)では、プランターと給水ポンプとの接合箇所の防水処理に格別な技術を要し、プランター自体が太陽光を受けて劣化して亀裂し破損し易く、脆化して汚れ易く、又、その連結するプランターとプランターの間に給水ポンプを配置するためのスペースを要するので、屋上の全面を隙間なくプランターで埋め尽くすことは出来ず、先願技術1による完全な屋上緑化は困難である。
【0006】
本願発明者が特許文献8に開示した表面と底面が有孔基盤に成る緑化パネルを水槽に敷き詰める方法(以下、先願技術2と言う。)では、(1) 一般市販のプラスチックフィルムの幅は概して2m以下であり、縦横寸法が2mを超える広大な水槽を形成することは難しく、(2) 仮に端々を溶着して広幅のプラスチックフィルムを形成することが出来たとしても、その継ぎ目での防水処理には格別な技術を要し、(3) コールタールやビチューメンによる防水層を何層にも重ねて積層する在来の防水工事によるときは、緑化パネルを敷き詰めるための水槽がコスト高になると共に、その水槽が高重量物になるので、既設の屋上緑化には不向きであり、(4) 緑化パネルを表面の有孔基盤と底面の有孔基盤をスペーサーで連結して一体成形するためには大型のプラスチック成形機と金型を必要とするが、そのような大型のプラスチック成形機を備えたプラスチック成形業者は少なく、その金型も高価なことから、先願技術2の実用化が頓挫している。
【0007】
本願発明者は、ホームセンターから排出される苗鉢用トレーを利用して表面と底面の有孔基盤をスペーサーで連結した先願技術2に係る緑化パネルを手作りで造り、それに繊維集積物を挿填し、その上に天然芝生を戴設して植栽する緑化実験を、1997年と2001年の2期にわたって開始している。1997年開始の第1期実験では、建物3階のパラペット(ベランダ)に下基布と厚手のビニールフィルムと上基布を重ね敷き積層し、その積層の周囲をレンガで囲んで立ち上げて、深さ約5cm、面積約2m2 の水槽を構成し、その水槽に敷き詰めた緑化パネルの上に天然芝生を戴設して緑化実験を開始し、その実験開始の3年後に一度だけ消石灰を散布し、そのまま放置して現在に至るが、天然芝生の葉軸は綺麗に生い茂り、茎はレンガを越えて伸び、水槽の周囲も葉軸によって緑化されている。
【0008】
2001年開始の第2期実験では、屋根裏施工用ルーヒングを二重に敷き込んだ幅約45cm、長さ約10mの水路状水槽と、幅約40cm、奥行約60cm、深さ約7cmの苗鉢用トレーに、カーボンブラックを練り込んだ厚み約40μmのポリプロピレン黒色フィルムを二重に敷き込んだ簡易水槽を、それとは別に苗鉢用トレーを積み上げて嵩上げした棚状基盤の上に縦6列・横6列に並べ、その配列した苗鉢用トレーの周囲を積み上げたレンガで囲んで外観を整えた嵩上げ花壇に敷き込み、その水路状水槽と嵩上げ花壇に並べた簡易水槽との各水槽に、第1期実験と同様に手作り緑化パネルを嵌め込み、その上に天然芝生を戴設して緑化実験を開始した。
【0009】
第2期実験の水路状水槽は、その実験開始の5年後に漏水が生じているものと思われたがそのまま放置し、実験開始の7年目(2008年)に全ての緑化パネルを引き揚げて見ると、加水分解によるものと思われるところ、ルーヒングは到る処で裂け、その裂け目からドクダミが芽を出して繁茂していることが確認された。
【0010】
第2期実験の花壇に並べた簡易水槽では、その実験開始の5年後に一部の簡易水槽に漏水が生じているものと思われたがそのまま放置し、実験開始後の7年目(2008年)に、その漏水が生じているものと思われる簡易水槽の緑化パネルを引き揚げ、その水槽に水を満たして見たところ、その底面から水が滴り落ち、そのポリプロピレン黒色フィルムの何れかの箇所にピンホールが生じていることが確認された。その実験開始の5年後に簡易水槽に漏水が生じていると思われた由縁は、緑化パネルの全面で生い茂っていた天然芝生が、その5年後には緑化パネルの内側中央部において枯れて緑化パネルが露になり、ただ緑化パネルの周縁部分の天然芝生だけが枯れずに生い茂っていたことによる。嵩上げ花壇に敷き込んだ他の一部の簡易水槽では、実験開始後の7年目(2008年)の現在においても天然芝生が綺麗に生い茂っている。そのことからして、緑化パネルに挿填した繊維集積物の挿填量が、プラスチック黒色フィルムの劣化と天然芝生の生育に大きく影響しているものと思われた。
【0011】
本願発明者は、上記実験によって次の知見を得た。
(1) 繊維集積物は、鉱物質土壌と同様に保水性を有し、その緑化パネルへの挿填量が多ければ、繊維集積物による太陽光の赤外線や熱線などの電磁波遮蔽効果も高まってプラスチック黒色フィルムが劣化し難く、又、繊維集積物の保水機能も高まり、仮にピンホールによる漏水が生じても、天然芝生が枯れ難くなる。
(2) 嵩上げ花壇に敷き込まれた一部の簡易水槽にピンホールが生じて貯水機能が損なわれても、それに隣り合う他の簡易水槽が貯水していれば、その貯水している簡易水槽に敷き込まれた天然芝生の茎が、その隣り合う貯水機能の失われた簡易水槽の緑化パネルへと伸び、その隣り合う緑化パネルの緑化状態が辛うじて維持される。
(3) 嵩上げ花壇に敷き込まれた一部の簡易水槽にピンホールが生じて貯水機能が損なわれても、それに隣り合う他の簡易水槽が貯水していれば、隣り合う簡易水槽と簡易水槽の間の僅かな隙間に降ろした天然芝生の根は、隣り合う簡易水槽の側壁間に挟まれて乾燥し難く、その根に続く緑化パネルの周縁部分の天然芝生だけが枯れずに茂り続ける。
(4) 屋上緑化のためには、屋上の全面を覆う連続した広大な水槽は必ずしも必要ではなく、小さな水槽が点在していても、その点在する水槽と水槽の間の距離が、天然芝生の茎が伸びる範囲であれば、その水槽と水槽の間の水のない部分では、その点在する水槽の水を得て生育する天然芝生から伸びた茎によって緑化される。
(5) 水槽に配置された緑化パネルでは、それに保水機能を有する細かい隙間があれば、水槽の水が枯れても、その緑化パネルの内部の隙間に降ろした天然芝生の根は、その隙間に囲まれていて乾燥し難く、生命力を保ち続ける。
(6) ルーヒング等の可撓性に富むプラスチック黒色フィルムでは、その素材である高分子物質(ポリマー)が耐候性を有するとしても、その可撓性を保つために配合される可塑剤その他の助剤が加水分解を起こし、或いは、その加水分解を太陽光の赤外線や熱線などの電磁波が促進し、プラスチック黒色フィルムが劣化・変質・脆化してピンホールが生じ易くなる。
(7) 緑化パネルに挿填される繊維集積物の挿填量が多ければ、太陽光の赤外線や熱線などの電磁波が繊維集積物に奪われ、水槽を構成するプラスチック黒色フィルムが劣化・変質・脆化し難くなる。
(8) 繊維集積物は、形状が不安定で取り扱い難く押し潰され易く、緑化パネルに装填し難く、その使用に手間取り、その使用においては定形性のある形状にブロック化する必要がある。
【0012】
本願発明者は、更に、タイル敷き床面や路面での足跡を見るとき、履物のサイズが概して30cm前後であることからして、サイズが8cm、10cm、15cm、20cm、30cm等の30cm以下のタイル敷き床面や路面では足跡の多くはタイル間の目地(継ぎ目)に出来、サイズが履物のサイズと同じ30cm前後のタイルにおいても1個のタイルにだけ足跡が纏まって出来ることは稀であり、このことからして、緑化パネルのサイズを30cm以下にするときは、上記特許文献8に開示した緑化パネルのように、表面と底面の間にスペーサーを配置する必要がないものと思われた。そして、サイズが30cm以下で直径が420mm以下の外接円に囲まれる緑化パネル、特に、サイズが15cm以下で直径が230mm以下の外接円に囲まれる緑化パネルでは、プラスチック成形に使用される金型も小さく、従って、大型のプラスチック成形機を必要とせず、種々のプラスチック容器に汎用される小型のプラスチック成形機によって緑化パネルを成形することが出来、在来のコンクリートブロックやレンガに比して遥かに軽く持ち運び易いことから、屋上に施工し易く、それによる屋上緑化が現実的に実施可能となる、との知見を得た。
【0013】
本願発明者は、更に、繊維集積物と土壌(土砂)との貯水機能と保水機能調べ、繊維集積物の貯水機能が土壌の貯水機能に比して著しく大きく、又、繊維集積物の保水機能が土壌の保水機能に比して著しく大きい、との知見を得た。即ち、充分に圧縮したカーペットの裁断片の集積圧縮物の貯水可能な微細隙間の容積は、その集積圧縮物の容積の60〜80容積%であるが、畑の充分に乾燥した土壌に含まれる貯水可能な微細隙間の容積は、その乾燥土壌の30〜40容積%であり、カーペットの厚みが5cmの集積圧縮物の微細隙間の容積は、畑の乾燥土壌の厚みが5cmの堆積物の微細隙間の容積の2〜3倍もあり、カーペットの集積圧縮物の貯水機能は、畑の乾燥土壌の貯水機能に比して著しく大きく、カーペットの厚みが5cmの集積圧縮物は、畑の乾燥土壌の厚みが15cmの堆積物と同等の貯水機能を有する。
このことは、室内での実験結果によるものであるが、そのカーペットを集積した厚みが5cmの集積圧縮物の微細隙間に蓄えられた水分は約45日間に亙って保持されていたが、堆積厚み5cmの畑の乾燥土壌の堆積物の微細隙間に蓄えられた水分は15日間前後で完全に無くなって乾燥土壌の堆積物は絶乾状態になり、カーペットの集積圧縮物の保水機能が畑の乾燥土壌の堆積物の保水機能に比して優れている。そして、微細隙間の容積が60〜80容積%になるまで圧縮されたカーペットの集積圧縮物は、その上に体重を掛けて微細隙間の容積が60容積%以下になるように更に圧縮することは困難である。
そのカーペットの集積圧縮物の嵩比重は概して0.35であり、畑の乾燥土壌の堆積物の嵩比重は概して1.40であり、カーペットの集積圧縮物の嵩比重は乾燥土壌の嵩比重の30%以下であり、畑の乾燥土壌に比してカーペットの集積圧縮物は著しく軽い。
仮に、微細隙間の容積が60容積%以下になるようカーペットの集積圧縮物を加圧し圧縮しても、その圧縮荷重を解除するとカーペットの集積圧縮物は元の嵩に弾性的に復元し、その微細隙間の容積は60容積%以上になってしまい、圧縮された土壌のように固い塊を形成することはなく、微細隙間の容積が60容積%以上の嵩高い繊維集合体の形態が弾性的に保たれる。
【0014】
本願発明者は、その繊維集合体の上に天然芝生を戴設すると、その繊維間の隙間に根を降ろして天然芝生が生育する事実からして、軽量化の要求される屋上緑化には、カーペットその他の布帛の集積圧縮物が、乾燥土壌に代わる人工土壌として極めて有用である、との知見を得た。
【0015】
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、広大な水槽や大型の緑化パネルを使用することなく広大な屋上を簡便に緑化することを第1の目的とする。
本発明の第2の目的は、主として繊維業界から排出されるカーペットやタイルカーペットその他の布帛の耳端や、自動車内装材の仕立工程から排出される繊維製内装材の裁断屑、或いは、廃車される自動車に使用されていた内装材の廃棄物などの産業廃棄物を定形性のある形にブロック化して取り扱い易くし、それを有効活用して広大な屋上を簡便に緑化することにある。
本発明の第3の目的は、屋上緑化に使用後に廃棄される繊維質緑化資材を燃焼し易い形にブロック化し、固形燃料として有効活用し易くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、(イ) 断面において表面11と底面12が平行に向かい合っており、その表面11から底面12へと続く正面と背面と左右側面との周囲4面を構成する周側面13が筒形形状を成す立体構造のブロック14であり、(ロ) 周側面13に囲まれるブロック14の内部に、表面11から底面12へと続く空隙18を有し、(ハ) 表面11の周縁15に接する表面外接円16と底面12の周縁に接する底面外接円の各直径(Do ) が共に70〜420mmであり、(ニ) 表面11の周縁15に接する表面内接円17と底面12の周縁に接する底面内接円の各直径(Di ) が共に50mm以上であり、(ホ)
表面11から底面12に至るブロック14の厚み(T) が、20mm以上であり、且つ、表面内接円17と底面内接円の各直径(Di ) 以下である天然芝生植栽ブロックを第1の特徴とする。
【0017】
このように、ブロック14の表面11の周縁15に接する表面外接円16と底面12の周縁に接する底面外接円の各直径(Do ) が共に420mm以下にすると、履物のサイズが概して30cm前後であることからして、足跡66の多くはブロック14とブロック14の間の目地68に出来、1個のブロック14にだけ足圧が集中して作用することは稀であり(図3参照)、表面11での足圧による凹みを防ぐために表面11と底面12の間にスペーサーを介在させる必要がなく、ブロック14が比較的小型になることからしても、小型のプラスチック成形機によって成形することが出来、サイズが小さく軽量なことから持ち運び易く屋上に施工し易くなる。
【0018】
その点では、床面や路面に敷設されるサイズが15cm以下のレンガやタイルのように、ブロック14の表面11の周縁15に接する表面外接円16と底面12の周縁に接する底面外接円の各直径(Do ) を共に230mm以下にすることが好ましい。
【0019】
そして、ブロック14は、床面や路面に敷設されるレンガやタイルのように、表面11の形状を敷き詰め可能な正三角形や対内角の和が180°の四辺形(矩形、菱形)、或いは、正六角形にするとよく、そうすることによって、レンガやタイルを敷設する感覚をもってブロック14を敷き込み施工することが出来る。
【0020】
本発明の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、ブロック14が填料を装填し得る容器式ブロックであり、周側面13に囲まれるブロック14の内部の空隙18が填料を装填し得る空洞19になっており、周側面13が空洞19を囲む厚み(S)が1〜5mmの周壁20を構成している点にある。
【0021】
本発明の第3の特徴は、上記第2の特徴に加えて、周側面13に囲まれる容器式ブロック14の内部の空洞19に多孔質填料21が挿填されている点にある。
【0022】
その空洞19に挿填する多孔質填料21は、(1) 繊維破片57の堆積物、(2)
多数の繊維糸条を締束して成り、その繊維糸条の長さ方向をブロック14の厚み(T)方向に向けて装填し得る糸束22、或いは、(3) 平板素材25の厚み(t)方向をブロック14の厚み(T)方向に直交する方向に向けて装填し得、多数の平板素材間25・25にブロックの表面11から底面12に続く隙間26が介在する多数の平板素材25の集積体65であってもよい。これらの多孔質填料21は、定形性を欠くが、空洞19に挿填することによってブロック化されて取り扱い易くなる。
【0023】
その糸束22は、扁平断面形状の多数の繊維糸条を締束して成り、容器式ブロック14の底面側において多数の繊維糸条の端末24が互いに溶着して一体化されており、容器式ブロック14の表面側において多数の繊維糸条の端末23が互いに分離しているものであればよい(図7参照)。そのように表面側において繊維糸条の端末23が分離しているので、嵩比重が0.02〜0.06になる程度に糸束22をほかの多孔質填料21に比して嵩高にすることが出来る。
その場合、繊維糸条には断面の扁平率が10以上、好ましくは扁平率が100以上、更に好ましくは扁平率が1000以上のポリプロピレンテープヤーン、即ち、厚みが100μm以下であり、長さ方向に延伸されていて縦割れし易いポリプロピレンテープヤーンを使用するとよい。
複数本の糸束22を空洞19に挿填する場合には、セパレーター67によって空洞内19を仕切り、その装填する糸束22が空洞内19で偏らないようにする。セパレーター67は、空洞内19に嵌め込む横型のものであってもよいし、縦型のものであってもよい。横型セパレーター67では、図7に示すように、糸束22を嵌め込む嵌込孔を設ける。縦型セパレーター67では、複数枚の仕切板によって構成し、その仕切板によって糸束22と糸束22が仕切られるように、例えば図11に示すように、2枚の仕切板をブロックの空洞19の矩形断面の頂点を結ぶ対角線上に配置すると、容器式ブロック14が2枚の仕切板に補強されて安定した構造となる。図11に示す仕切板の容器式ブロックの空洞19の矩形断面の2つの対角線の交点に位置する中心部分には、その2枚の仕切板が互いに嵌合する嵌合溝が付けられている。そのように、空洞内19を2枚の仕切板でたすき掛けに仕切ると、容器式ブロック14の構造が安定して押し潰され難くなる。
【0024】
平板素材25の集積体65は、布帛の破断片になるものであってもよい。その布帛は、嵩高で微細な内部空隙が多く、踏まれても容易には押し倒されない強い圧縮弾性回復力を有する基布からパイルが突き出たウイルトンカーペット、基布からパイルが突き出たタフテッドカーペット、繊維が絡みあったフェルトカーペット等のカーペットが好適に使用される。それらのカーペットは、その製造過程で裁断屑として生じる長さが数十mにも及ぶ長い帯状の耳端であってもよいし、合成樹脂組成物に成る1mm以上の厚みの裏打層を有するタイルカーペットの裁断屑であってもよい。
【0025】
平板素材25に成る多孔質填料21では、カーペットその他の布帛は、幅がブロック14の内接円17の直径(Di ) 未満となる30cm以下、好ましくは15cm以下であり、長さがブロック14の厚み(T)に等しくなる15cm以下、好ましくは3〜10cm、更に好ましくは4〜7cmの帯状裁断片として多数用意して束ね(図8と図9参照)、ブロック14の底面側において融着して一体的に、或いは、結束部材27によって結束して一体的に構成する。
【0026】
多孔質填料21に使用する繊維破片57の堆積物は、繊維が不織布状に絡みあって布団綿のように嵩高に脹らんだものであってもよく、接着剤や接着性繊維によって不織布状に絡みあった繊維と繊維の間が接合された所謂硬綿或いは樹脂綿と称されるものであってもよい。多孔質填料21は、顆粒56の堆積物として構成することも出来る。
多孔質填料21に使用する顆粒56は、プラスチック製品や陶磁器類の粉砕物のようにプラスチックや鉱物質のものでもよく、その粒径は概して1〜10mmにする。
しかし、鉱物質のものであっても水中にあって植栽に不都合な黴菌の発生し易い土砂やヘドロなどの微粉末を含むものは、多孔質にはならず多孔質填料21としては使用されない。
尚、多孔質填料21では、水槽内の水58の蒸発と共に、水中の不純物や腐敗成分が、多孔質填料21を介して水面に移行し、更に、多孔質填料21を伝って植栽槽39へと移行する所謂マイグレーション現象によって水中から除去され、而も、植物の根が水を吸い上げ、その植物の根による消費量に伴って新鮮な水が供給されるので、水腐れや根腐れが起きることは絶対にない。この点では、繊維糸条が容器式ブロック14の厚み(T)方向に連続しているカーペット等の布帛の破断片の平板素材集積体、特に多数の繊維糸条を締束して成る糸束22を多孔質填料21に用いると有効である。
【0027】
本発明の第4の特徴は、上記第2と第3の何れかの特徴に加えて、周側面13に囲まれる容器式ブロック14の内部の空洞19の表面側11において向き合う周縁15と周縁15の間に桿材28が架け渡されており、その桿材28によって容器式ブロックの表面11が仕切られており、その仕切る桿材28が複数の網目隙間29から成る網目構造を構成している点にある(図5と図8参照)。
【0028】
本発明の第5の特徴は、上記第2と第3の何れかの特徴に加えて、周側面13に囲まれる容器式ブロック14の内部の空洞19の底面側12において向き合う周縁(15)と周縁(15)の間に桿材28が架け渡されており、その桿材28によってブロックの底面12が仕切られており、その仕切る桿材28が複数の網目隙間29から成る網目構造を構成している点にある(図6参照)。
【0029】
本発明の第6の特徴は、上記第2と第3の何れかの特徴に加えて、周側面13に囲まれる容器式ブロック14の内部の空洞19が底面側12において塞がれており、容器式ブロック14が一次水槽30を構成している点にある(図7参照)。容器式ブロック14の内部空洞19の底面側12を塞いで一次水槽30とする場合には、その空洞19を囲む周側面13の底面12から表面11に到る間に溢水口31を設け、一次水槽30の水面(水位)48が容器式ブロック14の表面11に達しないようにする(図7参照)。
【0030】
天然芝生植栽ブロック14は、平板素材25を集積し、平板素材25の厚み(t)方向をブロック14の厚み(T)方向に直交する方向に向け、ブロック14の表面11と底面12を平板素材25の断面32によって構成し、ブロック14の正面33と背面34をそれぞれ平板素材25の平板面35によって構成し、ブロック14の左右側面36を平板素材25の側縁37によって構成し、平板素材相互間25・25の隙間26がブロック14の表面11から底面12へと続く空隙18を構成した平板素材製ブロックとすることが出来る。即ち、平板素材25に成る多孔質填料21は、それだけで天然芝生植栽ブロック14として使用することも出来る。その場合、前記の平板素材25に成る多孔質填料21の如く、平板素材25をカーペットその他の布帛の帯状裁断片として多数用意して束ね、平板素材製ブロック14の底面側において融着して一体的に、或いは、結束部材27によって結束して一体的にブロック14を構成するとよい。
【0031】
平板素材製ブロック14や平板素材に成る多孔質填料21の底面側12において、その構成する平板素材25と平板素材25の間を融着して一体化するためには、多数の平板素材25を積み重ねて集積体65とし、刃先が高速移動する切れ味の悪いベルトカッターやサークルカッターを当てて切創裁断する。平板素材25として適用されるカーペットその他の布帛類の多くは、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等の熱可塑性高分子物質によって構成されており、ベルトカッターやサークルカッターの切れ味が悪ければ、その切創裁断過程で発生する摩擦熱によって裁断口において平板素材相互間が極めて強固に融着する(図9参照)。
平板素材25として木綿繊維や麻繊維、羊毛繊維、紙パルプ等の非熱可塑性高分子物質に成るものを適用する場合には、熱可塑性高分子物質に成る布帛類をフィルムと入り混ぜた集積体とし、切れ味の悪いベルトカッターやサークルカッターを当てて切創裁断する。そうすると、非熱可塑性高分子物質に成る平板素材の切り口が毛羽立ち、それに熱可塑性高分子物質に成る平板素材の熱溶融物が融着し、非熱可塑性高分子物質の毛羽と熱可塑性高分子物質の熱溶融物が絡まり合った強固な皮膜が裁断口に出来、それらの平板素材が一体化した平板素材製ブロック14や多孔質填料21が出来る。
【0032】
しかし、平板素材製ブロック14や平板素材に成る多孔質填料21の表面側11には、平板素材相互間を強固に融着させず、裁断口に植物が根を降ろすに必要な空隙18が出来るようにする。そのためには、切れ味のよいベルトカッターやサークルカッターを使用するか、又は、切れ味の悪いカッターを使用するとしても刃先が移動速度を遅くして高い摩擦熱が発生しないようにする。
従って、平板素材の集積体65を連続して切創裁断する場合には、切れ味のよいベルトカッターやサークルカッターと切れ味の悪いベルトカッターやサークルカッターとを交互に使用するか、又は、高速回転するベルトカッターやサークルカッターと低速回転するベルトカッターやサークルカッターとを交互に使用する。
切れ味の悪いベルトカッターやサークルカッターとしては、鋼材の裁断に使用されるグラインダー等の刃先が砥粒に成るカッターや、刃先のないベルトカッターやサークルカッター(金属板)を使用し、鋸刃を使用する場合は、刃先を逆向きにして使用する。
【0033】
平板素材の集積体65の内部の隙間26(空隙18)の空隙率が80%以上になり、その集積体65の嵩比重が0.30以下になると、それを切創裁断して出来るブロック14の裁断口には、平板素材の熱溶融物による厚みが一定の皮膜は出来難くなり、平板素材の熱溶融物が途切れ途切れに裁断口に融着し、裁断口に平板素材間の隙間26や空隙18が現われ、表面側11と底面側12とに区別せずに使用し得る平板素材製ブロック14や多孔質填料21が得られる。平板素材の集積体65は、電熱ヒーターを用いたヒートカッターによって裁断することも出来、嵩比重が0.1以下の集積体65では、裁断口に空隙18を残した状態で裁断することも出来る。
このことは、繊維糸条によって多孔質填料21をつくる場合も同様である。
紐状に加撚することの出来る小幅の平板素材や薄手の平板素材は、繊維糸条として使用することが出来、それによって糸束22をつくることも出来る。
【0034】
摩擦熱に平板素材相互間25・25を融着する場合、平板素材製ブロック14や多孔質填料21をつくるために平板素材の集積体65を結束するための結束部材27(図9参照)は、必ずしも必要とされない。その場合には、平板素材25の表面に直角に向けて例えば非鋭利なエンドミリや非鋭利なドリル等の硬質軸桿70を回転しつつ集積体65に押し込み、そのとき発生する摩擦熱によって集積体65に貫通孔71を開けると同時に平板素材の熱溶融物によって平板素材相互間25・25を融着させる(図12参照)。貫通孔71は、硬質軸桿70によるほかヒール付き加熱桿を集積体65に押し込んで開けることも出来る。そのように貫通孔71の開けられた平板素材製ブロック14は、その貫通孔71に連結桿72を通し、ブロック間14・14を数珠繋ぎにし、そのまま緑化パネル51として使用することも出来、屋上緑化とは別に、それ自体を吸音材や遮音材、断熱材や保温材、クッション材その他の内装材として使用することも出来る(図12参照)。
【0035】
断面において表面11と底面12が平行に向かい合っており、その表面11から底面12へと続く正面と背面と左右側面との周囲4面を構成する周側面13が筒形形状を成す立体構造のブロック14の表面11の上には、天然芝生38の植栽層39が積層される。
市販の天然芝生の根60や茎61には土砂が付着しており、その土砂が植栽層39を形成している。ブロック14の表面11の上に市販の天然芝生を載せる場合には、その根60や茎61に付着している土砂を取り除くとよく、そうすることによって軽量に屋上緑化をすることが出来る。
そのように、根60や茎61から土砂を取り除いても、天然芝生は自然にブロック14や多孔質填料21の空隙18に根を降ろして生育する。
とは言え、水槽に装填した多孔質填料21の上に積層された土砂には、その多孔質填料21の表面(11)が多孔質填料内の水面(48)から離れていても、多孔質填料内から立ち上る水分を捉えて湿潤状態になる水分捕捉機能と捕捉した水分を根60に供給する給水媒体機能が認められ、このことは多孔質填料を糸束22とし、その上端(23)(図7参照)に積層された鹿沼土や赤玉土等の吸湿性と保水性に富む多孔質土砂では恰も結露しているかのように顕著に認められる。
従って、ブロック内部14からの水分の蒸発を防ぐと共に、植栽層39を加湿状態に維持し、天然芝生を土壌菌の介在するアルカリ雰囲気下におくためには、根60や茎61に付着している土砂を高圧水流によって完全に洗い落すことなく、根や茎に土砂が僅かながらも付着して残る程度に、市販の天然芝生から土砂を叩き落すことが推奨される。その土砂が根や茎に付着して残る程度は、その付着して残っている土砂を洗い落して厚さが5mm前後の積層とし得る程度であればよく、その残って付着している土砂が多孔質填料内の水分を捕捉して根60に供給する給水媒体機能を発揮することになる。
【0036】
本発明の天然芝生植栽ブロックの第7の特徴は、(1) 断面において表面11と底面12が平行に向かい合っており、その表面11から底面12へと続く正面と背面と左右側面との周囲4面を構成する周側面13が筒形形状を成し、(2) 周側面13に囲まれるブロック14の内部に表面11から底面12へと続く空隙18を有し、(3) 表面11の周縁15に接する表面外接円16と底面12の周縁に接する底面外接円の各直径(Do ) が共に420mm以下であり、(4) 表面11の周縁15に接する表面内接円17と底面12の周縁に接する底面内接円の各直径(Di ) が共に50mm以上であり、(5) 表面11から底面12に至るブロックの厚み(T) が、20mm以上であり、且つ、表面内接円17と底面内接円の各直径(Di ) 以下である第1ブロックと第2ブロックとの2つのブロック14・14から成り、(6) 第1ブロックが容器式ブロック14Aであり、第2ブロックが容器式または平板素材製ブロック14Bであり、(7) 容器式第1ブロック14Aが第2ブロック14Bに外嵌し、第2ブロック14Bが容器式第1ブロック14Aの空洞19Aに挿抜自在に内嵌している点にある。
【0037】
容器式第1ブロック14Aの表面側11において向き合う周縁15と周縁15の間には桿材28を架け渡し、その桿材28によって容器式第1ブロック14Aの表面11を仕切り、その仕切る桿材28によって容器式第1ブロック14Aの表面側11を複数の網目隙間29から成る網目構造にすることが出来る。
容器式第2ブロック14Bの底面側12において向き合う周縁(15)と周縁(15)の間にも桿材28を架け渡たし、その桿材28によって容器式第2ブロック14Bの底面12を仕切り、その仕切る桿材28によって、容器式第2ブロック14Bの底面側12を複数の網目隙間29から成る網目構造にすることも出来る。
それとは異なり、容器式第2ブロック14Bの底面側12を塞ぎ、容器式第2ブロック14Bを一次水槽30とすることも出来る。
【0038】
容器式第2ブロック14Bの空洞19Bには、(1) 繊維破片57の堆積物、(2) 長さ方向を容器式第2ブロック14Bの厚み(T)方向に向けられた多数の繊維糸条を締束して成る糸束22、(3) 長さ方向を容器式第2ブロック14Bの厚み(T)方向に向けられた多数の繊維糸条の一端23が互いに溶着して一体化されており、それら多数の繊維糸条の他端24が互いに分離している糸束22、(4) 多数の平板素材25を集積して成り、その平板素材25の厚み(t)方向が容器式第2ブロック14Bの厚み(T)方向に直交する方向に向けられており、多数の平板素材間25・25に隙間26が介在している平板素材集積体、(5) 多数の布帛の破断片(25)を集積して成り、その布帛の破断片(25)の厚み(t)方向が容器式第2ブロック14Bの厚み(T)方向に直交する方向に向けられており、多数の布帛の破断片間(25・25)に隙間26が介在している布帛破断片集積体、(6) 多数のカーペットの破断片(25)を集積して成り、そのカーペットの破断片(25)の厚み(t)方向が容器式第2ブロック14Bの厚み(T)方向に直交する方向に向けられており、多数のカーペットの破断片間(25・25)に隙間26が介在しているカーペット破断片集積体、(7) 多数の平板素材25を集積して結束して成り、その平板素材25の厚み(t)方向が容器式第2ブロック14Bの厚み(T)方向に直交する方向に向けられており、多数の平板素材間25・25に隙間26が介在している平板素材集積体、(8) 顆粒56、の何れかの多孔質填料21が挿填される。
【0039】
容器式第2ブロック14Bの空洞19Bに装填される多孔質填料21は、嵩比重が0.10以下で概して0.02〜0.06となる嵩高なものであってもよく、そのように嵩高なものであっても容器式第1ブロック14Aと容器式第2ブロック14Bに包まれているので、足圧を受けて押し潰されることはない。
特に、平板素材の集積体に成る多孔質填料21では、それが裁断口において平板素材の熱溶融物が途切れ途切れに融着しており、表面側11と底面側12とに区別せずに使用し得る嵩比重が0.02〜0.30の多孔質填料21であっても、植物が根を降ろし易い大きな空隙18や隙間26が内部に出来るので、天然芝生が生育し易くなる。
【0040】
本発明の第8の特徴は、平板な防水材40の周縁41を立ち上げ、その立ち上げた防水材40の周縁41によって止水壁43を構成した水槽42と、水槽42の中に縦横に配置されて交叉する複数条の仕切材44A・44Bによって構成されて水槽42の中を縦横に仕切る格子枠45とから成り、水槽42の中を縦横に仕切る格子枠45の仕切材44が水槽42の向かい合う止水壁43から止水壁43まで連続しており、その縦横に配置されて交叉する仕切材44A・44Bに囲まれる多数の凹部69が格子枠内45に構成されており、その凹部69が直径70〜420mmの外接円(Do ) に外接し且つ直径50mm以上の内接円(Di ) に内接する大きさである緑化パネル51にある。上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7の特徴を有するブロック14は、格子枠内45の仕切材44A・44Bに囲まれる凹部69に嵌め込んで水槽内42に敷き詰められる。
容器式ブロック14では、その内部空洞19に、(1) 繊維破片57の堆積物、(2) 多数の繊維糸条を締束して成る糸束22、(3) 多数の平板素材25を集積して成り、その平板素材25の厚み(t)方向が水槽42の深さ方向に直交する方向に向けられており、多数の平板素材間25・25に隙間26が介在している平板素材集積体65、(4) 布団綿状の繊維集合体、(5) 顆粒56、の何れかの多孔質填料21を挿填することが出来る。
又、格子枠内45の仕切材44A・44Bに囲まれる凹部69には、ブロック14に代えて、(1) 繊維破片57の堆積物、(2) 多数の繊維糸条を締束して成る糸束22、(3) 多数の平板素材25を集積して成り、その平板素材25の厚み(t)方向が水槽42の深さ方向に直交する方向に向けられており、多数の平板素材間25・25に隙間26が介在している平板素材集積体65、(4) 布団綿状の繊維集合体、(5) 顆粒56、の何れかの多孔質填料21を挿填することも出来る。
【0041】
本発明の屋上緑化工法によると、天然芝生38は、ブロック14や多孔質填料21が凹部69に装填された緑化パネル51の上に敷設される。
凹部69に多孔質填料21、平板素材製ブロック14、多孔質填料21の装填された容器式ブロック14を装填する場合には、それらの平板素材25や多孔質填料21が水槽42への土砂の流入を防ぐ砂防材にもなり、又、成長した天然芝生38ではその茎61の絡み合った植栽層自体39が砂防材にもなるので、砂防シート63は、必ずしも必要とされない。
しかし、砂防シート63を使用すると、天然芝生の上を踏み歩く足跡から水槽42に作用する体重、即ち、足圧が水槽に敷き詰められた多数のブロック14や水槽に配置された多数の仕切材44に分散され、一部のブロック14や仕切材44に足圧が集中せず、ブロック14や仕切材44が破損し難くなる。従って、平板素材製ブロック14や多孔質填料21を使用する場合でも、足圧分散緩衝材として、砂防シート63を使用することが推奨される。
その足圧分散緩衝材としての砂防シート63には、ブロック14の縦横の寸法(m,n)や仕切材44の配置間隔(p,q)よりも細かい10〜50mmで概して20mm前後となる間隔をもって太さが1〜7mmの線状部材を配置したネットやメッシュ材を使用するとよい。
タフテッドパイル布帛の基布には、タフティング時にパイル糸の差し込まれた差込跡としての貫通孔があり、その貫通孔を通して天然芝生38が根60を降ろすので、タフテッドパイル布帛も砂防シート63として使用することが出来る。
【0042】
ブロック14は、断面において表面11と底面12が平行に向かい合い、その表面11から底面12へと続く正面と背面と左右側面との周囲4面を構成する周側面13が筒形形状を成している。このため、水槽42の中に敷き詰められて隣り合うブロック間14・14は、仕切材44A・44Bによって仕切られる。
そのためには、縦横の仕切材44Aと仕切材44Bに囲まれる格子枠45の凹部69の縦横の寸法(p,q)をブロック14の縦横の寸法(m,n)と同じにし、その凹部69にブロック14を嵌め込む。従って、ブロック14が直径70〜230mmの外接円(Do ) に外接し且つ直径50mm以上の内接円(Di ) に内接する大きさであれば、凹部69も直径70〜230mmの外接円(Do ) に外接し且つ直径50mm以上の内接円(Di ) に内接する大きさにする。
凹部69の縦横の寸法(p,q)がブロック14の縦横の寸法(m,n)よりも大きい場合には、凹部内69をブロック14の縦横の寸法(m,n)に合わせて仕切材によって細かく仕切る。そのブロック14が、容器式ブロックであり、その底面側12において塞がれて一次水槽30を構成している場合は、緑化パネル51の水槽42は、その容器式ブロックの一次水槽30に対する二次水槽を構成することになる。
【0043】
容器式第1ブロック14Aと容器式第2ブロック14Bに成るブロック14では、容器式第2ブロック14Bに外嵌する容器式第1ブロック14Aの周壁20Aの内側の高さaが、容器式第2ブロック14Bの周壁20Bの外側の高さbよりも長い場合(a>b)には、容器式第1ブロック14Aの尖った底面14Aに足圧が集中して水槽42が裂け易くなる。従って、容器式第1ブロック14Aの周壁20Aの内側の高さaは、容器式第2ブロック14Bの周壁20Bの外側の高さbよりも短くし(a<b)、足圧が容器式第2ブロック14Bの底面14Bの全面に分散するようにする。
又、水槽42への足圧を緩和するためには、容器式第2ブロック14Bに装填する多孔質填料21の高さcを容器式第2ブロック14Bの周壁20Bの内側の高さb’よりも長くし(b’<c)、その差d(=c−b’)に相応する分だけ、多孔質填料21の先端が容器式第2ブロック14Bの表面11Bから突き出て容器式第1ブロック14Aを押し上げるようにする(図6参照)。
【0044】
二次水槽42の中を縦横に仕切る格子枠45を構成している仕切材44Aと仕切材44Bの交叉箇所には、その交叉する少なくとも何れか一方の仕切材44Aに他方の仕切材44Bが嵌合する嵌合溝46を設けるとよい。その防水材40の周縁41を立ち上げて構成される二次水槽42の止水壁43の槽底47からの高さ(h)は、二次水槽42に敷き詰めたブロック14の表面11に到る槽底47からの高さ(H=T)よりも低くし(H≧h)、ブロックの表面11が二次水槽42の水面48よりも高く突き出す。ブロックの表面11から水面48までの距離は5mm以上であれば充分である。二次水槽42の水位gは1cm以上に保たれるようにする。
【0045】
防水材40には、カーボンブラックを練り込んだ厚みが0.3mm以上、好ましくは厚みが0.5mm以上の比較的厚手のプラスチックフィルムを使用し得るが、好ましくはカーボンブラックを練り込んだ厚みが0.3mm以上で可塑剤の含有量が少ない一辺の長さが80〜350cmの矩形形状の比較的硬質のプラスチック板、又は、カーボンブラックを練り込んだ厚みが0.3mm以上のゴムシートを使用する。
【0046】
本発明の第9の特徴は、上記1〜7の何れかの特徴を有する2種類以上の仕様の異なる数種類のブロック14が入り混じって二次水槽42の中に敷き詰められている点にある。
【0047】
本発明の第10の特徴は、地上に固定された基盤49の表面に仕切材50によって縦横に仕切られて緑化パネル51を嵌め込む凹部52が形成されており、上記第8と第9の何れかの特徴を有する緑化パネル51がその凹部52に嵌め込まれて、基盤49の上に敷き詰められている緑化装置にある。
【0048】
仕切材50に仕切られて緑化パネル51の敷き詰められる基盤49の表面には防水処理を施し、その基盤49の周囲を堰54で囲み、基盤49の表面に三次水槽53を形成するとよい。
【0049】
基盤49の表面に構成される三次水槽53の堰54の高さ(X)は、ブロック14の表面11の高さ(H)よりも低くする。そのようにすると、三次水槽53が満杯になっても、その水面(水位)48はブロック14の表面11に達することがなく、天然芝生の植栽層39が冠水するようなことはなくなる。
又、基盤49の表面に構成される三次水槽53の堰54の高さ(X)は、緑化パネル51の止水壁43の高さ(h)よりも高くするとよい(X≧h)。そのようにすると、三次水槽53が満杯になるときは、三次水槽53の水が緑化パネル51の止水壁43を越えて二次水槽42に流れ込む。そうして、溢水口31のある容器式ブロック14では、二次水槽42が満杯になると、その二次水槽42の水が容器式ブロック14の溢水口31から流れ込んで一次水槽30も満杯になる。こうして、三次水槽53が満杯になるまで散水するときは、二次水槽42も一次水槽30も満杯状態になる。
従って、三次水槽53を設ける場合は、基盤49の表面に配置された個々の緑化パネル51に個別に給水する手間が省け、又、緑化パネル51に配置された個々の容器式ブロック14に個別に給水する手間が省け、緑化装置の給水管理が楽になる。
容器式ブロック14の溢水口31から槽底47までの深さeは2cm前後であればよく、緑化パネル51の止水壁43から容器式ブロック14の溢水口31までの水面48の落差fは1cm前後であればよい。
【0050】
基盤49の表面の防水処理は、基盤49の表面に防水シート55を敷き込んで施すことが出来る。その基盤49の表面に敷き込んだ防水シート55の周縁が立ち上げて三次水槽53の堰54としてもよい。そのように、三次水槽53は、防水シート55を敷き込んだ簡易式水槽であっても、その中に敷き詰められる二次水槽42に対する三次水槽であり、又、二次水槽42それ自体も、その中に敷き詰められる一次水槽30に対する三次水槽にもなるので、その構成する防水シート55にピンホールが発生しても問題は生じない。
【発明の効果】
【0051】
履物のサイズが概して30cm前後であることからして、サイズが8cm、10cm、15cm、20cm、30cm等の30cm以下のタイル敷き床面や路面では、足跡66の多くはタイル間の目地(継ぎ目)に出来、サイズが履物のサイズと同じ30cm前後のタイルにおいても1個のタイルにだけ足跡66が纏まって出来ることは稀である(図3参照)。
【0052】
本発明第1の特徴においては、この点に関し、表面11の周縁15に接する表面外接円16と底面12の周縁に接する底面外接円の各直径(Do ) が共に420mm以下になるようにブロック14を構成しており、表面と底面の間にブロック14を補強するためのスペーサーを配置する必要はなくなる。そして、本発明では、表面11の周縁15に接する表面内接円17と底面12の周縁に接する底面内接円の各直径(Di ) が共に50mm以上のサイズ(m,n)に容器式ブロック14を構成し、その表面11から底面12に至る容器式ブロック14の厚み(T) を20mm以上であって表面内接円17と底面内接円の各直径(Di ) 以下にしている。
【0053】
このため、容器式ブロック14をプラスチック成形するとしても大型のプラスチック成形機を必要とせず、種々のプラスチック容器に汎用される小型のプラスチック成形機によって緑化パネルを成形することが出来、在来のコンクリートブロックやレンガに比して遥かに軽く持ち運び易いことから、屋上に施工し易く、それによる屋上緑化が現実的に実施可能となる。
【0054】
本発明第2の特徴においては、容器式ブロック14の内部空隙18を、厚み(S)が5mm以下の周壁20に囲まれる大きな内部空洞19としており、その内部空洞19には多孔質填料21を挿填することが出来る。その内部空洞19に装填する多孔質填料21を仕切る縦型セパレーター67を嵌め込む場合には、その縦型セパレーター67によって補強されるので、周壁20の厚み(S)は1mm以下で0.5mm前後にすることが出来る。
【0055】
本発明第3の特徴においては、その内部空洞19に多孔質填料21の挿填された容器式ブロック14を二次水槽42に配置して緑化パネル51を形成しており、太陽光の赤外線や熱線などの電磁波は、その多孔質填料21に遮られて二次水槽42には達し難い。
従って、本発明第3の特徴によると、二次水槽42の太陽光による劣化・変質・脆化が回避され、二次水槽42の耐候性が高まる。特に、ウイルトンカーペット、タフテッドカーペット、フェルトカーペット、タイルカーペット等の多数の平板素材25を集積して結束した多孔質填料21を、それらの平板素材25の厚み(t)方向を容器式ブロック14の厚み(T)方向に直交する方向に向けて内部空洞19に挿填すると、多孔質填料21は、容器式ブロック14の周壁20に補強されて押し潰され難く、足圧から解放されるときは、繊維の有する弾性回復力によって元の高さを回復することになるので、クッション性に富む緑化パネル51が得られる。
自然に生える植物の根が、土壌によって太陽光から遮られ、乾期には土壌に被覆されて乾かないように保護されているように、本発明において、多孔質填料21は、太陽光を遮る遮光材として、又、根60を乾かないように被覆保護する防乾材として機能する。
【0056】
そして、平板素材25には、繊維業界から排出されるウイルトンカーペット、タフテッドカーペット、フェルトカーペット、タイルカーペット等その他の布帛の耳端等が使用されるので、本発明は、産業廃棄物の再利用にも有効である。特に、平板素材による嵩比重が0.30以下の集積体65を切創裁断し、その切創裁断時に生じる熱溶融物によって平板素材相互間を融着した多孔質填料21では、泥土の入り込む空隙18が多いので、屋上緑化に使用後の多孔質填料21を泥土で処理し、泥土と平板素材とが渾然一体になった固形燃料とすることが出来る。
そのような固形燃料は、その燃焼時に可燃物である平板素材が溶融しても、不燃物である泥土が多孔質填料21としての形状を維持するので、練炭や豆炭のように燃やし易く、その燃焼熱による燃焼窯の損傷は避けられる。
【0057】
本発明第4の特徴においては、更に、周側面13に囲まれる容器式ブロック14の内部の空洞19の表面側11において向き合う周縁15と周縁15の間に桿材28が架け渡し、その桿材28によってブロックの表面12を仕切って複数の網目隙間29から成る網目構造にしている。このため、多孔質填料21として内部空洞19に装填された全ての平板素材25に足圧が均等に作用し、一部の平板素材25にだけ足圧が集中することがなく、従って、一部の平板素材25だけが押し倒された座屈状態にならず、全ての平板素材25が直立状態に維持される。平板素材25の座屈防止のためには、ゴムシート等の弾性体の裁断屑や、タイルカーペット等の厚手の裁断屑、ペットポトル等の硬質プラスチックの裁断屑等を補強材として多孔質填料21に混用するとよい。
【0058】
本発明第5の特徴においては、更に、周側面13に囲まれる容器式ブロック14の内部の空洞19の底面側12において向き合う周縁(15)と周縁(15)の間に桿材28が架け渡し、その桿材28によって容器式ブロックの底面12を仕切って複数の網目隙間29から成る網目構造にしている。このため、繊維破片57や顆粒56を多孔質填料21に使用する場合でも、その内部空洞19に装填した繊維破片57や顆粒56が内部空洞19の底面12から散逸することはなく、容器式ブロック14が取り扱い易くなる。
【0059】
本発明第6の特徴においては、周側面13に囲まれる容器式ブロック14の内部空洞19を底面側12において塞いで一次水槽30としている。このため、二次水槽42や三次水槽53に漏水が生じても、その一次水槽30からの水を得て天然芝生が生育し続け、芝枯れすることはない。従って、容器式ブロック14を敷き詰めるための二次水槽42や三次水槽53は、必ずしも必要せず、二次水槽42や三次水槽53を簡略にしても屋上緑化が可能となる。
又、基盤49が傾斜している屋上や屋根等の斜面に法面に施工された緑化パネル51や緑化装置59では、それらの二次水槽42や三次水槽53の水は緑化パネル51や緑化装置59の傾斜している片側に偏り、天然芝生38への給水量が不均一になるが、一次水槽付き容器式ブロック14を使用するときは、その各容器式ブロックの一次水槽内30の水は偏るとしても、その容器式ブロックが緑化パネル51や緑化装置59の全面に均等に分布しているので、緑化パネル51や緑化装置59の全体としては水は偏ることはなく、天然芝生全体38に均等に給水されることになる。
従って、本発明は、斜面に法面の緑化に頗る好都合である。
【0060】
本発明第7の特徴においては、天然芝生植栽ブロックが、(1) 断面において表面11と底面12が平行に向かい合っており、その表面11から底面12へと続く正面と背面と左右側面との周囲4面を構成する周側面13が筒形形状を成し、(2) 周側面13に囲まれるブロック14の内部に表面11から底面12へと続く空隙18を有し、(3)
表面11の周縁15に接する表面外接円16と底面12の周縁に接する底面外接円の各直径(Do ) が共に420mm以下であり、(4) 表面11の周縁15に接する表面内接円17と底面12の周縁に接する底面内接円の各直径(Di ) が共に50mm以上であり、(5) 表面11から底面12に至るブロックの厚み(T) が、20mm以上であり、且つ、表面内接円17と底面内接円の各直径(Di ) 以下である第1ブロックと第2ブロックとの2つのブロック14・14から成り、(6) 第1ブロックが容器式ブロック14Aであり、第2ブロックが容器式または平板素材製ブロック14Bであり、(7) 容器式第1ブロック14Aが第2ブロック14Bに外嵌し、第2ブロック14Bが容器式第1ブロック14Aの空洞19Aに挿抜自在に内嵌している。
【0061】
そのように、表面側11が桿材28に仕切られた複数の網目隙間29から成る網目構造になっている第1ブロック14Aの空洞19Aに第2ブロック14Bが内嵌してレンガやタイルの恰好になっているので、天然芝生植栽ブロックが取り扱い易く、レンガやタイルを敷き詰めるように天然芝生植栽ブロックを二次水槽42に敷き詰めて、効率的に屋上緑化することが出来る。
【0062】
第1ブロック14Aと第2ブロック14Bとの2つのブロックによって構成される天然芝生植栽ブロックについて具体的に説明すると、図4〜図8に示すように、ブロック14には、厚み(S)が5mm以下の周壁20に囲まれた大きな内部空洞19を有する容器式ブロックと、その大きな内部空洞19を有しない平板素材製ブロック、即ち、平板素材25を集積し、平板素材25の厚み(t)方向をブロック14の厚み(T)方向に直交する方向に向け、ブロック14の表面11と底面12を平板素材25の断面32によって構成し、ブロック14の正面33と背面34をそれぞれ平板素材25の平板面35によって構成し、ブロック14の左右側面36を平板素材25の側縁37によって構成し、平板素材相互間25・25の隙間26がブロック14の表面11から底面12へと続く空隙18を構成している平板素材25に成る平板素材製ブロックとがある。
【0063】
その平板素材製ブロックを第2ブロック14Bに使用する場合、平板素材製第2ブロック14Bに外嵌する第1ブロック14Aは表面側11Aと底面側11Bが共に開放された筒体とすることも出来るが(図4参照)、好ましくは、第1ブロック14Aを容器式ブロックとし、その容器式第1ブロック14Aの表面側11Aにおいて向き合う周縁15と周縁15の間に桿材28を架け渡たし、その桿材28によって容器式第1ブロック14Aの表面11Aを仕切り、その仕切る桿材28が複数の網目隙間29を構成した網目構造にする(図5と図8参照)。
第1ブロック14Aと第2ブロック14Bの双方に容器式ブロックを使用する場合、容器式第2ブロック14Bは、(1) その底面側12において向き合う周縁(15)と周縁(15)の間に桿材28を架け渡たし、その桿材28によって底面12を仕切り、その仕切る桿材28が複数の網目隙間29した網目構造にするか(図6参照)、または、(2) その底面側12を塞いで一次水槽30を構成し(図7参照)、(3) 一方、容器式第1ブロック14Aは、その表面側11Aにおいて向き合う周縁15と周縁15の間に桿材28を架け渡たし、その桿材28によって表面11Aを仕切り、その仕切る桿材28が複数の網目隙間29を構成した網目構造にし、(4) 容器式第2ブロック14Bの上に容器式第1ブロック14Aを被せる。
【0064】
図6と図7に示すように、第1ブロック14Aと第2ブロック14Bとの嵌合状態においては、空洞19Aの表面側11と底面側12が、桿材28(図6参照)や一次水槽30(図7参照)に塞がれてレンガやタイルの恰好になり、又、第1ブロック14Aの空洞19Aに内嵌する第2ブロック14Bを平板素材製ブロックに場合も、その第1ブロック14Aと第2ブロック14Bとの嵌合状態はレンガやタイルの恰好になる。このように、天然芝生植栽ブロックを第1ブロック14Aと第2ブロック14Bとの嵌合構造にすると、レンガやタイルと同様に施工して効率的に屋上緑化することが出来る。
【0065】
本発明第8の特徴においては、プラスチック成形によらず、平板な防水材40の周縁41を立ち上げ、その立ち上げた防水材40の周縁41を止水壁43として二次水槽42を構成したので、その二次水槽42にブロック14を敷き詰めて簡便且つ安価に緑化パネル51を得ることが出来る。そして、その敷き詰められて隣り合うブロック14とブロック14の間には、天然芝生が根を降ろせる細かい隙間が出来、その細かい隙間に降ろした天然芝生の根は、ブロック14とブロック14の間に挟まれて乾燥から守られるので、仮に二次水槽42が一時的に枯渇することがあっても、芝枯れは生じ難く、緑化状態が維持される。
【0066】
容器式ブロックに装填される繊維破片57の堆積物、繊維糸条を締束して成る糸束22、平板素材集積体65、布団綿状の繊維集合体、顆粒56等の多孔質填料21や平板素材製ブロック14に、ウイルトンカーペット、タフテッドカーペット、フェルトカーペット、タイルカーペット等の裁断屑、プラスチック製品や陶磁器類の粉砕物、ゴムシート等の弾性体の裁断屑、ペットポトル等の硬質プラスチックの裁断屑等の産業廃棄物を再利用しようとするとき、多孔質填料21や平板素材製ブロック14の嵩比重を一定に揃えることは難しく、その嵩比重は不可避的に大きくばらつく。
しかし、その嵩比重の異なる多孔質填料21を装填した容器式ブロックや平板素材製ブロックなど、仕様の異なる数種類のブロック14を入り混ぜて二次水槽42の中に敷き詰めるときは、緑化パネル全体51の嵩比重を略均等に揃えることが出来る。
その場合、緑化パネル内51において平板素材製ブロックや容器式ブロックの嵩比重が大きくばらついていても、天然芝生の茎が隣り合う複数個のブロックを跨いで伸び、その複数個のそれぞれのブロックに根を降ろすので、天然芝生の生育に不都合は生じない。
従って、本発明第9の特徴においては、仕様の大きく異なる種々の産業廃棄物を再利用することが出来る点で大きなメリットがあり、防水材40の周縁41を立ち上げて構成した二次水槽42の中に、平板素材製ブロックや(図8と図9参照)、内部空洞19に顆粒56の堆積物、繊維破片57の堆積物、繊維糸条の糸束22、布帛の裁断屑等の多孔質填料21の装填された容器式ブロック(図4、図5、図6、図7参照)、内部空洞19に平板素材25を集積して成る多孔質填料21の装填された容器式ブロック(図1参照)、内部空洞19の底面側12を塞いで一次水槽30を形成したブロック(図2と図7参照)、第1ブロック14Aと第2ブロック14Bとの嵌合ブロック(図2と図4と図5と図6と図7と図8参照)等の仕様の異なる数種類のブロック14を入り混ぜて敷き詰めるときは、その仕様の相異によって各ブロックから天然芝生への給水量が異なるので、給水量が部分的に異なる地面と同様に極自然な屋上緑化のための植栽環境が整えられる。
【0067】
本発明第10の特徴においては、地上に固定された基盤49の表面を仕切材50によって縦横に仕切り、緑化パネル51を嵌め込む凹部52を形成し、ブロック14の敷き詰められた緑化パネル51を凹部52に嵌め込んで基盤49の上に敷き詰めることとしており、又、成長した天然芝生38ではその茎61の絡み合った植栽層自体39がブロック間14・14や緑化パネル間51・51を連結する連結材にもなるので、屋上(基盤49)に施工する場合でもブロック14や緑化パネル51がズレ動くことはなく、屋上が綺麗に緑化される。基盤49の表面に構成される三次水槽53の堰54の高さ(X)を、ブロック14の表面11の高さ(H)よりも低くし、天然芝生の植栽層39が冠水することがないようにするとしても、緑化パネル51の止水壁43の高さ(h)よりも高くし(X≧h)、且つ、緑化パネル51の止水壁43の高さ(h)をブロック14の溢水口31の高さ(e)よりも高くすると(X>h>e)、三次水槽53が満杯になるときは二次水槽42も一次水槽30も満杯状態になる。従って、三次水槽53の一部分に散水することによって全ての二次水槽42と全ての一次水槽30に給水したと同じことになる。
【0068】
その屋上(基盤49)において隣り合う緑化パネル51と緑化パネル51の間では、レンガ状の小さいブロック14・14が隣り合うことになり、その隣り合うブロック14・14を取り外すときは、その隣り合う緑化パネル51・51の止水壁43と止水壁43が隣り合って現われるので、その隣り合う止水壁43と止水壁43に貫通孔を開けて給水パイプを通し、その給水パイプの周面に螺子山を刻設したナットを螺着し、自転車のチューブに取り付けられた螺子山付きパイプのナットを締めてホィールに固定するように、そのナットを締めつけて止水壁43と止水壁43の間を接続し、隣り合う緑化パネル51・51の二次水槽42・42を連続させることが出来る。
【0069】
従って、その一部の二次水槽42に給水することによって全ての緑化パネルに給水することも可能となり、一部の緑化パネルにホースから放水される水は、全ての緑化パネルの何れかの部分から滲み込むので、ホースから散水する給水管理も容易になる。その隣り合う緑化パネル51・51の二次水槽42・42を連続させるためには、カーボンブラックを練り込んだ厚みが0.3mm以上で可塑剤の含有量が少ない一辺の長さが80〜350cmの矩形形状の比較的硬質のプラスチック板かゴムシートを防水材40に使用すると、隣り合う止水壁43と止水壁43に開ける貫通孔の加工精度が高まり、螺着した給水パイプにナットが締めつけ易くなり、その締めつけ箇所が安定する。そして、各緑化パネル51に敷き詰められるブロック14は、その表面11の周縁15に接する表面外接円16と底面12の周縁に接する底面外接円の各直径(Do ) が共に420mm以下であってレンガやタイルの形状を成しているので、それが損傷しても取り替え易く、植栽する天然芝生の維持管理が容易になる。
【0070】
ブロック14を二次水槽42に敷き詰めた緑化パネル51や、緑化パネル51を三次水槽53に敷き詰めた緑化装置59は、仕切材44・50に補強されているので移動することが出来る。従って、敷き詰めて天然芝生38の植栽されている緑化パネルや緑化装置は、需要に応じて個々の緑化パネル51や緑化装置59に分離し、種々のイベント会場やレストラン、ビャガーデン等、所要の場所へと運び出し、畳みを敷き詰めるように敷き詰めて使用することも可能となる。そのような場合には、多孔質填料21として、嵩比重が0.02〜0.06で嵩高く、又、移動に際して水切れがよく、軽い糸束22を使用することが推奨される。
イベント会場やレストラン、ビヤガーデン等、不特定多数の来客のある場所では、砂防シート63としてタフテッドパイル布帛を使用することが推奨される。それは、タフテッドパイル布帛は、タフテッドカーペットの資材であり、ヒール等の先の尖った履物でも突き刺さり難くためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
緑化パネル51は、屋上に限らず、ベランダや階下の地面にも施工することが出来る。しかし、屋上では、地面に生える雑草の種が飛来し難い。従って、緑化パネル51は、階上、特に2階建て屋上や3階以上のベランダに施工することが実用的である。
ブロック14や緑化パネル51は、屋上やベランダ等の建物に限らず、畑、花壇、歩道、道路、中央分離帯、競技グランド、橋梁等に使用することも出来る。
【0072】
天然芝生38は、洋芝よりも寧ろ竹のように茎61が横に伸びる高麗芝がよい。
ブロック14や緑化パネル51は、天然芝生38に限らず、高麗芝や竹のように茎が横に伸び、茎の節目から根を降ろすドクダミ、苔類等の植栽に適用することが出来る。
苔類を植栽する場合には、砂防シート63としてタフテッドパイル布帛を使用することが推奨される。それは、苔類が下から湿気が立ち上がる場所でよく繁殖し、タフテッドパイル布帛では、湿気がパイル糸の差し込まれた差込跡としての貫通孔を透過し、基布から直立しているパイルに沿って立ち上がるからである。
苔類ではパイル層が植栽層39となり、タフテッドパイル布帛の上で繁殖している苔類等は、そのままタフテッドパイル布帛と一緒に移動しても枯れることはなく、タフテッドパイル布帛を植栽層39とする苔類等植栽マットが出来上がる。
【0073】
緑化パネル51は、比較的大型の植物、例えば茄子の植栽に適用することも出来る。
その場合、幹が倒れないように根元に土盛りをし、必要に応じて吊り降ろすように支柱を立てる。例えば、茄子の場合は、土饅頭のように根元に土盛りをすると幹が倒れ難くなる。丈50〜60cmに成長した茄子1株当たりの一日の吸水量は総じて2.5リットル前後あり、その根は周囲のブロックへと広がり、その周囲のブロックの空洞へと根を降ろすので、一次水槽付きの容器式ブロックを使用する場合は一次水槽内30に油粕、鶏糞、牛糞、化成肥料等の肥料を予め投入し、底面11に網目隙間29を有する容器式ブロックや平板素材製ブロックを使用する場合は緑化パネル51の二次水槽内42に油粕、鶏糞、牛糞、化成肥料等の肥料を予め投入しておく。
土饅頭状に土盛りした茄子の根元の周囲には、厚み2cm程度の土壌層を積層しておく。土壌層は、茄子1株の根元を中心にして半径10cm前後の円を描くように積層し、その周囲を囲むように天然芝生38を敷き込む。
因みに、丈20〜30cmに成長したペチュニア1株当たりの一日の吸水量は約2リットルであった。
茄子やペチュニア等の炎天下で渇き撓りつつも暑さに耐える植物の多くは、水があればあるだけ吸い上げるようであり、そのことからすれば、多孔質填料21は、そのような植物を植栽することによって汚水処理資材としても利用し得、又、緑化パネル51や緑化装置59を汚水処理装置として利用することも出来る。
【0074】
真夏の屋外水槽の水位は1日に付き総じて10mm前後下がり、屋外水槽に嵌め込んだ嵩比重0.25・厚さ50mmのカーペット廃棄物製多孔質填料内(21)の水位は1日に付き総じて5mm前後下がり、屋外水槽に嵌め込んで天然芝生38を敷き込んだ嵩比重0.25・厚さ50mmのカーペット廃棄物製多孔質填料内(21)の水位は1日に付き総じて7mm前後下がる。従って、ブロック14の溢水口31から槽底47までの深さeを2cm前後とし、緑化パネル51の止水壁43からブロック14の溢水口31までの水面48の落差fを1cm前後にし、三次水槽53の堰54の高さ(X)を緑化パネル51の止水壁43の高さ(h)よりも若干高くし(X≧h)、三次水槽53の堰54の高さ(X)を概して3cm前後にすれば、2〜3日に付き1回、即ち、週に2回程度の割合で三次水槽53の一部分、或いは、三次水槽53に敷き詰めた一部の緑化パネル51に水道ホースから放水して給水すればよく、屋上緑化に伴う水遣りに格別手間取ることはない。
【0075】
勿論、屋上の基盤49に敷き詰めた一部の緑化パネル51の一部のブロック14の空洞に水道栓をセットし、その一部のブロック14から緑化装置全体59にチョロチョロと常時極僅かな給水量をもって垂れ流すように給水することも出来る。
その場合、三次水槽53の堰54の高さ(X)を概して3cm前後に設定しておけば、屋上の基盤49に作用する水の総質量は30kg/m2 以下となり、ブロック14や多孔質填料21、防水材40、仕切材44・50、防水シート55、足圧分散緩衝材兼砂防シート63等の屋上緑化資材に水の総質量を加えた屋上緑化に伴う総質量が50kg/m2 を越えることはなく、天然芝生38も土砂を払い除けて敷き込むので、降雨量の多いときでも天然芝生を加えた屋上緑化に伴う総質量が60kg/m2 を越えることはない。
屋上緑化に伴い屋上の基盤49に作用する総質量の軽量化のためには、ブロック14や多孔質填料21、仕切材44・50、足圧分散緩衝材兼砂防シート63には、質量の軽いポリオレフィン系繊維・樹脂を使用するとよく、多孔質填料21としては、ポリオレフィン系扁平断面繊維糸条に成る嵩比重が0.02〜0.06の糸束22を使用することが推奨される。しかし、水槽42・53の漏水防止のためには、防水材40と防水シート55には、耐候・耐光性の点でポリエステル樹脂か天然または合成ゴムを使用することが推奨される。
【0076】
先に述べたように、土砂、特に、鹿沼土や赤玉土等の吸湿性と保水性に富む多孔質土砂では、多孔質填料内から立ち上る水分を捉えて湿潤状態になる水分捕捉機能が認められ、多孔質填料にポリプロピレンテープヤーンに成る嵩比重が0.04の糸束22を使用した場合、夏期の日照りの日に多孔質填料内(21)の水位(水面48)が多孔質填料の上端に積層された赤玉土の積層(植栽層39)から10cm前後下がっていても、赤玉土は結露しているかのように濡れて輝いており、 タフテッドカーペットの耳端に成る嵩比重が0.35の平板素材製ブロック内(14)の水位(水面48)が表面11に積層された畑の土壌の積層(植栽層39)から5cm前後下がっていても、夏期の日照りの日に畑の土壌は黒ずんで湿潤している。
又、過去の実験において、ポリプロピレンテープヤーンに成る嵩比重が0.04の糸束22を使用した場合、夏期の日照りの日に多孔質填料内(21)の水位(水面48)が多孔質填料の上端に積層された層厚み2cm前後の畑の土壌の積層(植栽層39)から20cm前後下がっていても、その層厚み2cm前後の畑の土壌の積層に植栽されたネギやケール等の野菜類が枯れることはなく生えていることが確認されている。
従って、基盤49が水深20cmの水圧200kg/m2 に耐える耐力屋上では、嵩比重が0.10以下の平板素材製ブロック14や多孔質填料21、特に、ポリプロピレンテープヤーンに成る嵩比重が0.02〜0.06の糸束22を使用し、その上に根60や茎61に付着して残る程度に土砂を叩き落した天然芝生38を敷き込むことによって、1ヶ月に付き1回程度の割合で水道ホースから放水して給水すれば済み、屋上緑化に伴う水遣りが大きく軽減されることになる。
【0077】
先に述べたように、屋上緑化のためには、屋上の全面を覆う連続した広大な水槽は必ずしも必要ではなく、小さな水槽が点在していても、その点在する水槽と水槽の間の距離が、天然芝生の茎が伸びる範囲であれば、その水槽と水槽の間の水のない部分では、その点在する水槽の水を得て生育する天然芝生から伸びた茎によって緑化される。従って、緑化パネル51の二次水槽42に敷き詰める一部のブロック14を、レンガやタイルに替えることも出来、その飛び飛びに配置されるレンガやタイルによって緑化パネルに足場を設け、天然芝生を踏み歩かずに済むようにすることも出来る。その場合、レンガやタイルによって二次水槽42が傷つけられないようにするため、底面側12を塞いで一次水槽30を形成したブロック14(図7参照)のような容器を不織布その他の布帛によって作り、その布製容器にレンガやタイルを納めて使用することが望ましい。
【0078】
施工された天然芝生の上を踏み歩くとき、ブロック間の目地68に足跡66が確実に重なって付き、歩行者の体重が目地68を構成している周壁20や仕切材14に支えられて安定するようにするためには、履物のサイズが概して30cm前後であり、又、床面や路面に汎用されるレンガやタイルのサイズ(縦横の寸法)が概して70〜150mmであることから、ブロック14のサイズ(m,n)をレンガやタイルのサイズに合わせて70〜150mmにし、ブロック14の表面11の周縁15に接する表面外接円16と底面12の周縁に接する底面外接円の各直径(Do ) が共に70〜230mmにすることが推奨される。
そのようにブロック14のサイズ(m,n)をレンガやタイルのサイズと同等にすると、レンガやタイルを扱う感覚でブロック14を取り扱うことが出来、屋上緑化の施工効率が高まる。又、ブロック14のサイズ(m,n)をレンガやタイルのサイズと同等にする場合は、一部のブロック14の一次水槽30が枯渇しても、そのブロック14から続く茎61が近隣のブロック14の一次水槽30の水を得ることが出来、又、根60を降ろすブロック間の隙間も多くなるので、天然芝生の生育に好ましい環境が整えられる。
本発明において、ブロック14の周縁15が接する表面外接円16の直径(Do ) を70mm以上とするのは、ブロックのサイズが小さくなると、多孔質填料のブロックへの装填作業に手間取り、又、施工するブロックの数が増えて、施工的に屋上緑化し難くなるためである。
【0079】
嵩上げ花壇に敷き込まれた一部の簡易水槽にピンホールが生じて貯水機能が損なわれても、それに隣り合う他の簡易水槽が貯水していれば、その貯水している簡易水槽に敷き込まれた天然芝生の茎が、その隣り合う貯水機能の失われた簡易水槽の緑化パネルへと伸び、その隣り合う緑化パネルの緑化状態が辛うじて維持される。
従って、二次水槽42に敷き詰める一部のブロック14を内部空洞19のあるものとし、その内部空洞19に顆粒56の堆積物、繊維破片57の堆積物、繊維糸条の糸束22、布帛の裁断屑や平板素材25の集積物を装填し、それらの多孔質填料21によって保水機能をブロック14に付与し、或いは又、その内部空洞19の底面側12を塞いだ一次水槽30によって貯水機能をブロック14に付与することが望ましい。
【0080】
その一次水槽30を形成したブロック14では、その周側面13の底面12から表面11に到る間に溢水口31を設けると、一次水槽30の水位が表面11に達することはなく、水面48と植栽層39との間に空隙が保たれて天然芝生38の生育に好ましい環境が出来、二次水槽42に給水すれば一次水槽30に水が流れ込むことになり、一次水槽に逐一個別に給水する手間が省け、給水管理が楽になる。
ブロックの周側面13が二次水槽の止水壁43や仕切材44に触れて溢水口31が塞がれることがないようするため、又、第1ブロック14Aと第2ブロック14Bから成るブロック14では、第2ブロック14Bの溢水口31が第1ブロック14Aの周側面13Aに塞がれることがないようするために、ブロックの周側面13に窪み64を付設し、その窪み64の内部に、好ましくは図6に図示するように、ブロック14の上下方向に向けて溢水口31が開けることが望ましい。
【0081】
平板素材25に使用する布帛は織物でも編物でも不織布でもよく、又、パイルや起毛毛羽のある有毛布帛でもよく、タイルカーペットやカーペットはパイルのないニードルパンチフエルトであってもタフテッドカーペットやウイルトンカーペットのようにパイルを有するものであってもよい。平板素材25には、布帛の他にプラスチックフィルムやシート、プラスチック製平板等も使用することが出来、又、ペットボトル等のプラスチック製容器も裁断して用いることが出来る。
【0082】
先に述べたように、ルーヒング等の可撓性に富むプラスチック黒色フィルムでは、その素材である高分子物質(ポリマー)が耐候性を有するとしても、その可撓性を保つために配合される可塑剤その他の助剤が加水分解を起こし、或いは、その加水分解を太陽光の赤外線や熱線などの電磁波が促進し、プラスチック黒色フィルムが劣化・変質・脆化してピンホールが生じ易くなる。又、可撓性を付与するためにルーヒング等のプラスチックフィルムやプラスチックシートに付与されて溶出する可塑剤は、植物の生育を阻害する。従って、二次水槽42に用いる防水材40には、ポリエステル樹脂塩化ビニル、ポリオレフィン樹脂等の高分子物質(ポリマー)成分に対する可塑剤の配合量が100P.H.R以下、好ましくは50P.H.R以下の硬質板状の防水材を使用し、又、可塑剤には分子量の高い高分子量可塑剤を使用する。
【0083】
三次水槽53は、必ずしも必要ではないが、屋上やベランダでは防水処理が施されているので、その防水処理の施された屋上やベランダの周辺を堰止めて三次水槽とすることも出来る。漏水防止のためには、一次水槽30を二次水槽42に敷き詰め、二次水槽42を三次水槽53に敷き詰めているが、更に、三次水槽53を四次水槽に敷き詰め、四次水槽を五次水槽に敷き詰め、五次水槽を六次水槽に敷き詰め、六次水槽を七次水槽に敷き詰めると言うように水槽を嵌込式多重分割複合水槽にすることも出来る。その場合、二次水槽42と三次水槽53を仕切材44・50によって仕切っているように、四次水槽以降の多次水槽の内部を仕切材によって縦横に仕切り、そこに敷き詰める水槽を嵌め込む凹部を形成する。
成長した天然芝生38ではその茎61の絡み合った植栽層自体39によってブロック間14・14や緑化パネル間51・51が連結され、それらの間でブロック14や緑化パネル51がズレ動くことはないので、それらの間を仕切る仕切材44・50は格別強いものとする必要はなく、それらの仕切材44・50の厚みは2mm前後の薄いものであってもよい。
【0084】
容器式ブロック14の空洞19は、溢水口31を設ける場合を除き、二次水槽の槽底47と植栽層39によって表面11と底面12が塞がれた気密空間を形成するように非通気性の周壁20で囲んで構成し、空洞19に降ろした根が外気に触れて乾燥することがないように空洞内19を加湿状態に保つ。
【0085】
ブロック14の表面11の上には、植栽層39からの土砂等が空洞19に流入するのを防ぐために、網目構造物(ネット)や通気性布帛(薄手の不織布やメッシュ布帛)等の砂防シート63を積層するとよい。
【0086】
緑化パネル51の格子枠内45には、内部空洞19を有する容器式ブロック14や内部空洞19を有しない平板素材製ブロック14の他に多孔質填料21だけを装填して使用することも出来る。その場合には、三次水槽53の中に敷き詰めた緑化パネル51の上に砂防シート63が積層される。
【0087】
最も簡便、軽量、且つ、安価な屋上緑化法は、ブロック14や多孔質填料21を使用することなく、格子枠45を二次水槽内部42に嵌め込んだ緑化パネル51を屋上の基盤49に敷き詰め、その上に敷き込んだ砂防シート63の上に天然芝生38を敷き詰めることである。しかし、その方法では、二次水槽42が枯渇した場合、天然芝生の根60は、太陽光や基盤49からの輻射熱を直接受ける過酷な乾燥状態に曝され、一日の中に枯死する危険は余りにも高い。そのような危険を避けるためには、緑化パネル51の格子枠内45に遮光機能と防乾機能を有する平板素材製ブロック14(図9参照)を嵌め込み、その平板素材製ブロック14によって基盤49からの輻射熱を防ぐと共に、その平板素材製ブロック14の内部空隙18によって天然芝生の根60を包んで根60からの水分に蒸発を防ぐ方法と、緑化パネル51の格子枠内45に一次水槽30付き容器式ブロック14(図6参照)を嵌め込み、その容器式ブロック14の一次水槽30の水によって天然芝生の根60を加湿状態にする方法との何れかの方法をとることが推奨される。
【0088】
これらの二つの方法には、それぞれ一長一短がある。即ち、平板素材製ブロックは、カーペットその他の布帛の耳端等の産業廃棄物によって安価に得られ、遮光機能と防乾機能と保水機能を有するが、産業廃棄物のリサイクル品であるが故に色が不揃いになり、天然芝生の下に隠れるとしても商品としての見映えが悪い。一方、一次水槽30付き容器式ブロックは、小型の成形機で済むとしてもプラスチック成形品としてそれなりのコストがかかる。
【0089】
しかし、これらの二つの方法を比較した場合、一次水槽付き容器式ブロックは、コスト高になるとしても、内部が空洞になっている一種のプラスチック容器であり、平板素材製ブロックに比して軽量であり、商品としての見映えもよい。
これらの点を考慮すると、一般家庭での屋上緑化には貯水機能を有する一次水槽付き容器式ブロックが推奨され、建築土木業者や造園業者が施工する屋上緑化には遮光機能と防乾機能と保水機能を有する平板素材製ブロックが推奨される。
一次水槽付き容器式と平板素材製の何れのブロック14を使用する場合にも、ブロック14のサイズ(m,n)、即ち、ブロック14の周縁15に接する外接円16の直径(Do ) を70〜230mmにし、天然芝生の上を踏み歩く足跡66がブロック間の目地68に出来、歩行者の体重が緑化パネル51の格子枠全体45に分散して体が安定に支えられるようにすることが推奨される。又、天然芝生の上を踏み歩く足圧(体重)が緑化パネル51の格子枠全体45に分散して体が安定に支えられるようにするために、砂防シート63を足圧分散緩衝材として緑化パネル51の上に敷き込むことが推奨される。
【0090】
一次水槽付き容器式ブロックの使用においては、その内部が空洞19に、荷造り紐に汎用されている純正のブラスチック扁平糸に成る嵩比重が0.1以下の軽く嵩高に脹らんだ糸束22を装填して使用することが、簡便、軽量、安価、且つ、確実な屋上緑化法として推奨される。
【0091】
一般家庭において純個人的に最も簡便、軽量、安価、且つ、確実に屋上やベランダ、テラス等を緑化するには、矩形断面のペットポトルを輪切りにして深さ(b)5〜7cmの簡易一次水槽付き容器式ブロック30とし、それに古着や廃棄する使い古しの毛布や簡易敷物等のボロ切れを平板素材25として束ね、或いは、巻き鮨のように丸めて装填して多孔質填料21とし、その装填した簡易一次水槽付き容器式ブロック30を屋上やベランダ、テラス等に並べ、その上に使い古しの防虫網等のメッシュ材を足圧分散緩衝材兼砂防シート63として被せ、その上に市販の天然芝生38を敷き込み、水を掛けて簡易一次水槽付き容器式ブロック30を満杯状態に維持する。
土砂を取り除いて天然芝生を敷き込む場合は、ブロックに根を降ろし易くするために、その敷込後少なくとも2〜3週間程度はフェンス等を被せて天然芝生をブロックの表面11に圧着状態にしておくとよい。
ペットポトルを利用した簡易一次水槽付き容器式ブロック30は、その縦横の寸法(m,n)が直径(Do ) 150mm前後の外接円16に外接する大きさであり、足跡66は並べた簡易一次水槽付き容器式ブロック30の目地68に出来、又、足圧分散緩衝材兼砂防シート63として敷き込んだ防虫網等のメッシュ材や天然芝生38にペットポトル内の空洞19が塞がれるので、爪先や踵がペットポトル内にめり込むことはない。
尚、成長した天然芝生の植栽層39は、足圧分散緩衝材兼砂防シート63ともなるので、一般家庭において個人的に屋上やベランダ、テラスを緑化する場合には、防虫網等をペットポトル(30)の上に被せることは必ずしも必要とされない。
【0092】
そのように、一般家庭において輪切りにしたペットポトル(30)を並べて緑化する場合でも、仕切材44A・44Aによってペットポトル(30)のズレを無くし、又、その並べるペットポトル(30)の下に使い古しの毛布や簡易敷物等と共にブラスチックフィルムを敷き込んで簡易二次水槽42とすることが推奨される。その場合、輪切りにしたペットポトル(30)の底面12から2cm前後となる位置(e)に溢水口31を開けておくとよい。
【0093】
輪切りにしたペットポトルやボロ切れは、見映えが悪いとしても天然芝生38に覆われているので屋上やベランダ、テラス等の外観を損なうことはなく、敷き込んだ天然芝生38によって綺麗に飾られ、本発明の実用性が評価される。
このようにしてペットポトルやボロ切れ等のゴミ類も新たな資源として再生され、産業廃棄物だけではなく一般家庭ゴミの排出量も少なくなる等、本発明は、産業廃棄物や一般家庭ゴミのリサイクルによって生活環境の改善を図る上でも効果的である。
【0094】
緑化パネル41や緑化装置59を、イベント会場やレストラン、ビャガーデン等に搬入し、畳みを敷き詰めるように敷き詰めて使用するレンタル式にする場合は、凹部69にブロック14や多孔質填料21を装填した緑化パネル41の格子枠45の底面に下敷き材を張設すると共に表面に足圧分散緩衝材兼用砂防シート63を張設し、又、や緑化装置59では仕切材50に囲まれる凹部69に緑化パネル41を装填すると共に底面に下敷き材を張設すると共に表面に足圧分散緩衝材兼用砂防シート63を張設し、それら表裏の下敷き材と足圧分散緩衝材兼用砂防シート63を仕切材44・50を間に挟んで紐で繋ぎ合わせるなど縫合するように連結し、表裏の下敷き材と足圧分散緩衝材兼用砂防シート63と表裏間の仕切材44・50を一体化し、緑化パネル41や緑化装置59を襖や屏風のように内部空隙層を有する複合積層構造物として二次水槽42や三次水槽53に嵌め込んで構成するとよい。
そのようにすると、緑化パネル41や緑化装置59は、仕切材44・50を間に挟んで表裏する下敷き材と足圧分散緩衝材兼用砂防シート63に補強され、襖や屏風や畳みのように構造が安定して軽く移動し易いものとなる。
その場合、多孔質填料21として嵩比重が0.02〜0.06の糸束22を使用すると、移動に際して水切れがよく、水を含んだ布団にように重くならず、軽く移動し易い緑化パネル41や緑化装置59が得られる。そして、二次水槽42や三次水槽53は、天然芝生38の根60を覆って保湿状態にまもる乾燥防止材として機能するので、移動中に天然芝生38が枯れることはなく、従って、二次水槽42や三次水槽53を貯水状態にする必要はなく、二次水槽42や三次水槽53の水を抜いて移動することも出来、又、緑化パネル41や緑化装置59を傾斜させ或いは裏返しにして移動することも可能になる。
【0095】
従って、本発明の特徴は、仕切材(44・50)を縦横に配置してブロック14や多孔質填料21や緑化パネル41などの資材を嵌込・装填する縦横の仕切材(44・50)に囲まれた凹部(52・69)を形成した格子枠(45)の表面に足圧分散緩衝材兼用砂防シート63を重ね合わせ、その格子枠(45)の裏面に下敷き材を重ね合わせて嵌込・装填するブロック14や多孔質填料21や緑化パネル41などの資材の脱落を防ぐ凹部(52・69)の裏底を形成し、凹部(52・69)を貫通する連結材によって格子枠(45)の表裏の足圧分散緩衝材兼用砂防シート63と下敷き材を格子枠(45)を介して連結し、表裏の足圧分散緩衝材兼用砂防シート63と下敷き材と格子枠(45)を一体化して成り、格子枠(45)の少なくとも何れかの凹部(52・69)にブロック14と多孔質填料21と緑化パネル41の何れかが嵌込・装填されている緑化下敷きフレームにもある。
【0096】
この緑化下敷きフレームは、二次水槽42や三次水槽53などの水槽に嵌め込まれ、その嵌め込んだ緑化下敷きフレームの上に天然芝生を敷き詰めて使用される。
その緑化下敷きフレームの格子枠(45)の凹部(52・69)の内部の大きさは、直径70〜420mmの外接円(Do ) に外接し且つ直径50mm以上の内接円(Di ) に内接する大きさであればよい。
従って、その凹部52に嵌め込む緑化パネル41の大きさも直径420mm以下の外接円(Do ) に外接する大きさにする。
しかし、直径420mm以上の外接円(Do ) に外接する大きさの緑化パネルを使用する場合は、凹部52も直径420mm以上の外接円(Do ) に外接する大きさにし、その大きい凹部52に大きい大型の緑化パネルを嵌込・装填し、それとは別の大きい凹部52には、その大きい凹部52の内部を仕切材で縦横に仕切って小さい凹部(69)を設け、その小さい凹部(69)には小型の緑化パネルやブロック14や多孔質填料21を嵌込・装填する。
そのように格子枠(45)の凹部(52・69)には、仕切材で縦横に仕切って小さい凹部(69)を設けることも出来る。
【0097】
格子枠(45)の表裏に重ね合わせる足圧分散緩衝材兼用砂防シート63と下敷き材には、10〜50mmの概して20mm前後となる間隔をもって太さが1〜7mmの線状部材を配置したネットやメッシュ材を使用するとよい。
足圧分散緩衝材兼用砂防シート63と下敷き材は、それぞれその複数枚を重ね合わせて格子枠(45)の表裏に重ね合わせることが出来る。
格子枠(45)の厚みは50〜100mmとし、それに足圧分散緩衝材兼用砂防シート63と下敷き材を重ね合わせた緑化下敷きフレーム全体の厚みは120mm以下になるようにする。
緑化下敷きフレームの縦横の寸法は80〜350cmに、好ましくは80〜240cmに、更に好ましくは横80〜120cm・縦160〜240cmの長方形にし、移動時にエレベータに持ち込める大きさにする。
多孔質填料21に紡績原綿や布団綿状の繊維集合体や顆粒56を使用する場合は、飛散しないように袋等に装填して使用するとよい。
【0098】
その場合、多孔質填料21として扁平率が1000以上のポリプロピレンテープヤーンに成る糸束22を使用すると、緑化パネル41や緑化装置59を著しく軽量化することが出来、多孔質填料21の嵩比重が0.02〜0.06であることから、極軽く、移動し易く、敷き詰め易く、極安価な緑化パネル41や緑化装置59が得られる。
その移動する各緑化パネル41や緑化装置59には記号や番号などの符号を付け、その符号に従って敷き詰めると、敷き詰められて隣り合う緑化パネル41や緑化装置59の天然芝生38の生え具合の差異をつなぎ目が目立たず、移動して敷き詰めた後に移動前の外観が再現される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る緑化装置の断面図である。
【図2】本発明に係る緑化装置の断面図である。
【図3】本発明に係る緑化装置の平面図である。
【図4】本発明に係る天然芝生植栽ブロックの断面図である。
【図5】本発明に係る天然芝生植栽ブロックの断面図である。
【図6】本発明に係る天然芝生植栽ブロックの断面図である。
【図7】本発明に係る天然芝生植栽ブロックの断面図である。
【図8】本発明に係る天然芝生植栽ブロックの一部切截組立斜視図である。
【図9】本発明に係る天然芝生植栽ブロックの製造過程での斜視図である。
【図10】本発明に係る緑化パネルの組立斜視図である。
【図11】本発明に係る一次水槽付きブロックの組立斜視図である。
【図12】本発明に係る天然芝生植栽ブロックの斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
11:表面
12:底面
13:周側面
14:ブロック
15:表面の周縁
16:外接円
17:内接円
18:空隙
19:空洞
20:周壁
21:填料
22:糸束
23:繊維糸条の端末(上端)
24:繊維糸条の端末(下端)
25:平板素材
26:平板素材間隙間
27:結束部材
28:桿材
29:網目隙間
30:一次水槽
31:溢水口
32:平板素材の断面
33:ブロックの正面
34:ブロックの背面
35:平板素材の平板面
36:ブロックの側面
37:平板素材の側縁
38:天然芝生
39:植栽層
40:防水材
41:周縁
42:二次水槽
43:止水壁
44:仕切材
45:格子枠
46:嵌合溝
47:槽底
48:二次水槽の水面
49:基盤
50:仕切材
51:緑化パネル
52:凹部
53:三次水槽
54:堰
55:防水シート
56:顆粒
57:繊維破片
58:水
59:緑化装置
60:根
61:茎
62:葉軸
63:砂防シート
64:窪み
65:集積体
66:足跡
67:セパレーター
68:目地
69:凹部
70:ドリル
71:貫通孔
72:連結桿
a :第1ブロックの周壁の内側の高さ
b :第2ブロックの周壁の外側の高さ
c :多孔質填料の高さ
d :多孔質填料の高さと第2ブロックの周壁の外側の高さの差
e :ブロックの溢水口から槽底までの深さ
f :緑化パネルの止水壁からブロックの溢水口までの水面の落差
g :緑化パネルの水位
h :止水壁の高さ
m :ブロックの寸法
n :ブロックの寸法
p :仕切材の配置間隔
q :仕切材の配置間隔
t :平板素材の厚み
o :外接円の直径
i :内接円の直径
H :ブロックの高さ
S :周壁の厚み
T :ブロックの厚み
X :堰の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ) 断面において表面(11)と底面(12)が平行に向かい合っており、その表面(11)から底面(12)へと続く正面と背面と左右側面との周囲4面を構成する周側面(13)が筒形形状を成す立体構造のブロック(14)であり、
(ロ) 周側面(13)に囲まれるブロック(14)の内部に、表面(11)から底面(12)へと続く空隙(18)を有し、
(ハ) 表面(11)の周縁(15)に接する表面外接円(16)と底面(12)の周縁に接する底面外接円の各直径(Do ) が共に70〜420mmであり、
(ニ) 表面(11)の周縁(15)に接する表面内接円(17)と底面(12)の周縁に接する底面内接円の各直径(Di ) が共に50mm以上であり、
(ホ) 表面(11)から底面(12)に至るブロック(14)の厚み(T) が、20mm以上であり、且つ、表面内接円(17)と底面内接円の各直径(Di ) 以下である天然芝生植栽ブロック。
【請求項2】
表面外接円(16)と底面外接円の各直径(Do ) が70〜230mmである前掲請求項1に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項3】
表面(11)が、敷き詰め可能な正三角形、対内角の和が180°の四辺形(矩形、菱形)、正六角形の何れかの形状を成している前掲請求項1〜2の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項4】
ブロック(14)が填料を装填し得る容器式ブロックであり、周側面(13)に囲まれるブロック(14)の内部の空隙(18)が填料を装填し得る空洞(19)になっており、周側面(13)が空洞(19)を囲む厚み(S)が1〜5mmの周壁(20)を構成している前掲請求項1〜3の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項5】
周側面(13)に囲まれる容器式ブロック(14)の内部の空洞(19)に多孔質填料(21)が挿填されている前掲請求項4に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項6】
容器式ブロック(14)の内部の空洞(19)に挿填されている多孔質填料(21)が繊維破片(57)の堆積物である前掲請求項5に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項7】
容器式ブロック(14)の内部の空洞(19)に挿填されている多孔質填料(21)が多数の繊維糸条を締束して成る糸束(22)であり、その繊維糸条の長さ方向が容器式ブロック(14)の厚み(T)方向に向けられている前掲請求項5に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項8】
容器式ブロック(14)の内部の空洞(19)に挿填されている糸束(22)が扁平断面形状の多数の繊維糸条を締束して成り、容器式ブロック(14)の底面側において多数の繊維糸条の端末(23)が互いに溶着して一体化されており、ブロック(14)の表面側において多数の繊維糸条の端末(24)が互いに分離している前掲請求項7に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項9】
容器式ブロック(14)の内部の空洞(19)に挿填されている多孔質填料(21)が多数の平板素材(25)を集積して成り、その平板素材(25)の厚み(t)方向が容器式ブロック(14)の厚み(T)方向に直交する方向に向けられており、多数の平板素材間(25・25)にブロックの表面(11)から底面(12)に続く隙間(26)が介在している前掲請求項5に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項10】
多孔質填料(21)を構成している平板素材(25)が布帛の破断片である前掲請求項9に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項11】
多孔質填料(21)を構成している平板素材(25)の布帛が、基布からパイルが突き出たウイルトンカーペット、基布からパイルが突き出たタフテッドカーペット、繊維が絡みあったフェルトカーペットの何れかを包含している前掲請求項10に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項12】
カーペットが合成樹脂組成物に成る1mm以上の厚みの裏打層を有するタイルカーペットである前掲請求項11に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項13】
多孔質填料(21)を構成している多数の平板素材(25)が結束部材(27)によって結束されている前掲請求項9〜12の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項14】
容器式ブロック(14)の内部の空洞(19)に挿填されている多孔質填料(21)が顆粒(56)を堆積して構成されている前掲請求項5に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項15】
堆積されて多孔質填料(21)を構成している顆粒(56)がプラスチックを包含している前掲請求項14に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項16】
堆積されて多孔質填料(21)を構成している顆粒(56)が土砂鉱物を含有している前掲請求項14に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項17】
周側面(13)に囲まれるブロック(14)の内部の空洞(19)の表面側(11)において向き合う周縁(15)と周縁(15)の間に桿材(28)が架け渡されており、その桿材(28)によってブロックの表面(11)が仕切られており、その仕切る桿材(28)が複数の網目隙間(29)から成る網目構造を構成している前掲請求項4〜16の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項18】
周側面(13)に囲まれる容器式ブロック(14)の内部の空洞(19)の底面側(12)において向き合う周縁(15)と周縁(15)の間に桿材(28)が架け渡されており、その桿材(28)によってブロックの底面(12)が仕切られており、その仕切る桿材(28)が複数の網目隙間(29)から成る網目構造を構成している前掲請求項4〜17の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項19】
周側面(13)に囲まれる容器式ブロック(14)の内部の空洞(19)が底面側(12)において塞がれており、ブロック(14)が一次水槽(30)を構成している前掲請求項4〜17の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項20】
空洞(19)を囲む周側面(13)の底面(12)から表面(11)に到る間に溢水口(31)が設けられており、一次水槽(30)の水位が表面(11)に達しないようになっている前掲請求項19に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項21】
平板素材(25)を集積し、平板素材(25)の厚み(t)方向をブロック(14)の厚み(T)方向に直交する方向に向け、ブロック(14)の表面(11)と底面(12)を平板素材(25)の断面(32)によって構成し、ブロック(14)の正面(33)と背面(34)をそれぞれ平板素材(25)の平板面(35)によって構成し、ブロック(14)の左右側面(36)を平板素材(25)の側縁(37)によって構成し、平板素材相互間(25・25)の隙間(26)がブロック(14)の表面(11)から底面(12)へと続く空隙(18)を構成している請求項1に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項22】
天然芝生植栽ブロック(14)を構成している平板素材(25)が布帛の破断片である前掲請求項21に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項23】
天然芝生植栽ブロック(14)を構成している多数の平板素材(25)が集積されて結束部材(27)によって結束されている前掲請求項21〜22の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項24】
断面において表面(11)と底面(12)が平行に向かい合っており、その表面(11)から底面(12)へと続く正面と背面と左右側面との周囲4面を構成する周側面(13)が筒形形状を成す立体構造のブロック(14)の表面(11)の上に天然芝生(38)の植栽層(39)が積層されている前掲請求項1〜23の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項25】
(1) 断面において表面(11)と底面(12)が平行に向かい合っており、その表面(11)から底面(12)へと続く正面と背面と左右側面との周囲4面を構成する周側面(13)が筒形形状を成し、(2) 周側面(13)に囲まれるブロック(14)の内部に表面(11)から底面(12)へと続く空隙(18)を有し、(3) 表面(11)の周縁(15)に接する表面外接円(16)と底面(12)の周縁に接する底面外接円の各直径(Do ) が共に420mm以下であり、(4) 表面(11)の周縁(15)に接する表面内接円(17)と底面(12)の周縁に接する底面内接円の各直径(Di ) が共に50mm以上であり、(5) 表面(11)から底面(12)に至るブロックの厚み(T) が20mm以上であり且つ表面内接円(17)と底面内接円の各直径(Di ) 以下である第1ブロックと第2ブロックとの2つのブロック(14・14)から成り、(6) 第1ブロックが容器式ブロック(14A)であり、第2ブロックが容器式または平板素材製ブロック(14B)であり、(7) 容器式第1ブロック(14A)が第2ブロック(14B)に外嵌し、第2ブロック(14B)が容器式第1ブロック(14A)の空洞(19A)に挿抜自在に内嵌している天然芝生植栽ブロック。
【請求項26】
容器式第1ブロック(14A)の表面側(11)において向き合う周縁(15)と周縁(15)の間に桿材(28)が架け渡されており、その桿材(28)によって容器式第1ブロック(14A)の表面(11)が仕切られており、その仕切る桿材(28)が複数の網目隙間(29)から成る網目構造を構成している前掲請求項25に記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項27】
第2ブロック(14B)が容器式ブロックであり、その底面側(12)において向き合う周縁(15)と周縁(15)の間に桿材(28)が架け渡されており、その桿材(28)によって容器式第2ブロック(14B)の底面(12)が仕切られており、その仕切る桿材(28)が複数の網目隙間(29)から成る網目構造を構成している前掲請求項25〜26の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項28】
第2ブロック(14B)が容器式ブロックであり、その底面側(12)において塞がれており、容器式第2ブロック(14B)が一次水槽(30)を構成している前掲請求項25〜26の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項29】
容器式第2ブロック(14B)の空洞(19B)に、(1) 繊維破片(57)の堆積物、(2) 長さ方向を容器式第2ブロック(14B)の厚み(T)方向に向けられた多数の繊維糸条を締束して成る糸束(22)、(3) 長さ方向を容器式第2ブロック(14B)の厚み(T)方向に向けられた多数の繊維糸条の一端(23)が互いに溶着して一体化されており、それら多数の繊維糸条の他端(24)が互いに分離している糸束(22)、(4) 多数の平板素材(25)を集積して成り、その平板素材(25)の厚み(t)方向が容器式第2ブロック(14B)の厚み(T)方向に直交する方向に向けられており、多数の平板素材間(25・25)に隙間(26)が介在している平板素材集積体、(5) 多数の布帛の破断片(25)を集積して成り、その布帛の破断片(25)の厚み(t)方向が容器式第2ブロック(14B)の厚み(T)方向に直交する方向に向けられており、多数の布帛の破断片間(25・25)に隙間(26)が介在している布帛破断片集積体(65)、(6) 多数のカーペットの破断片(25)を集積して成り、そのカーペットの破断片(25)の厚み(t)方向が容器式第2ブロック(14B)の厚み(T)方向に直交する方向に向けられており、多数のカーペットの破断片間(25・25)に隙間(26)が介在しているカーペット破断片集積体(65)、(7) 多数の平板素材(25)を集積して結束して成り、その平板素材(25)の厚み(t)方向が容器式第2ブロック(14B)の厚み(T)方向に直交する方向に向けられており、多数の平板素材間(25・25)に隙間(26)が介在している平板素材集積体(65)、(8) 顆粒(56)、の何れかの多孔質填料(21)が挿填されている前掲請求項25〜28の何れかに記載の天然芝生植栽ブロック。
【請求項30】
平板な防水材(40)の周縁(41)を立ち上げ、その立ち上げた防水材(40)の周縁(41)によって止水壁(43)を構成した水槽(42)と、水槽(42)の中に縦横に配置されて交叉する複数条の仕切材(44A・44B)によって構成されて水槽(42)の中を縦横に仕切る格子枠(45)とから成り、水槽(42)の中を縦横に仕切る格子枠(45)の仕切材(44)が水槽(42)の向かい合う止水壁(43)から止水壁(43)まで連続しており、その縦横に配置されて交叉する仕切材(44A・44B)に囲まれる多数の凹部(69)が格子枠内(45)に構成されており、その凹部(69)が直径70〜420mmの外接円(Do ) に外接し且つ直径50mm以上の内接円(Di ) に内接する大きさである緑化パネル。
【請求項31】
水槽(42)の中を縦横に仕切る格子枠(45)を構成している仕切材(44A)と仕切材(44B)の交叉箇所において、その交叉する少なくとも何れか一方の仕切材(44A)に他方の仕切材(44B)が嵌合する嵌合溝(46)が設けられている前掲請求項30に記載の緑化パネル。
【請求項32】
前掲請求項1〜29の何れかに記載のブロック(14)が格子枠内(45)の仕切材(44A・44B)に囲まれる凹部(69)に嵌め込まれて水槽(42)に敷き詰められており、その緑化パネル(51)の水槽(42)がブロック(14)に対する二次水槽を構成している前掲請求項30〜31の何れかに記載の緑化パネル。
【請求項33】
格子枠(45)の上に二次水槽(42)の上に土砂の流入を防ぐための砂防シート(63)が被せられている前掲請求項30〜32の何れかに記載の緑化パネル。
【請求項34】
防水材(40)の周縁(41)を立ち上げて構成される二次水槽(42)の止水壁(43)の槽底(47)からの高さ(h)が、二次水槽(42)に敷き詰めたブロック(14)の表面(11)に到る槽底(47)からの高さ(H=T)よりも低く(H≧h)、ブロックの表面(11)が二次水槽(42)の水面(48)よりも高く突出するようになっている前掲請求項32〜33の何れかに記載の緑化パネル。
【請求項35】
周縁(41)が立ち上げられて二次水槽(42)を構成している防水材(40)が一辺の長さが80〜350cmの矩形形状を成す前掲請求項30〜34の何れかに記載の緑化パネル。
【請求項36】
防水材(40)の周縁(41)を立ち上げて構成した二次水槽(42)の中に前掲請求項1〜29の何れかに記載の2種類以上の仕様の異なる数種類のブロック(14)が入り混じって敷き詰められている前掲請求項30〜35の何れかに記載の緑化パネル。
【請求項37】
地上に固定された基盤(49)の表面に仕切材(50)によって縦横に仕切られて緑化パネル(51)を嵌め込む凹部(52)が形成されており、前掲請求項30〜36の何れかに記載の緑化パネル(51)が、その凹部(52)に嵌め込まれて、基盤(49)の上に敷き詰められている緑化装置。
【請求項38】
仕切材(50)に仕切られて緑化パネル(51)の敷き詰められる基盤(49)の表面に防水処理が施されており、その基盤(49)の周囲が堰(54)に囲まれて三次水槽(53)を構成している前掲請求項37に記載の緑化装置。
【請求項39】
基盤(49)の表面に敷き込まれた防水シート(55)の周縁が立ち上げられて三次水槽(53)の堰(54)が構成されている前掲請求項38に記載の緑化装置。
【請求項40】
基盤(49)の表面に構成される三次水槽(53)の堰(54)の高さ(X)が、緑化パネル(51)の止水壁(43)の高さ(h)よりも高く(X≧h)、ブロック(14)の表面(11)に到る槽底(47)からの高さ(H)よりも低く(H≧X)なっている前掲請求項38〜39の何れかに記載の緑化装置。
【請求項41】
仕切材(44・50)を縦横に配置して前掲請求項1〜29の何れかに記載のブロック(14)と前掲請求項5〜16および(29)の何れかに記載の多孔質填料(21)と前掲請求項30〜36の何れかに記載の緑化パネル(41)の何れかを嵌込・装填する縦横の仕切材(44・50)に囲まれた凹部(52・69)を形成した格子枠(45)の表面に足圧分散緩衝材兼用砂防シート(63)を重ね合わせ、その格子枠(45)の裏面に下敷き材を重ね合わせて嵌込・装填する前掲請求項1〜29の何れかに記載のブロック(14)と前掲請求項5〜16および29の何れかに記載の多孔質填料(21)と前掲請求項30〜36の何れかに記載の緑化パネル(41)の何れかの脱落を防ぐ凹部(52・69)の裏底を形成し、凹部(52・69)を貫通する連結材によって格子枠(45)の表裏の足圧分散緩衝材兼用砂防シート(63)と下敷き材を格子枠(45)を介して連結し、表裏の足圧分散緩衝材兼用砂防シート(63)と下敷き材と格子枠(45)を一体化して成り、格子枠(45)の少なくとも何れかの凹部(52・69)に前掲請求項1〜29の何れかに記載のブロック(14)と前掲請求項5〜16および29の何れかに記載の多孔質填料(21)と前掲請求項30〜36の何れかに記載の緑化パネル(41)の何れかが嵌込・装填されている緑化下敷きフレーム。
【請求項42】
緑化下敷きフレームの格子枠(45)の凹部(52・69)が、直径70〜420mmの外接円(Do ) に外接し且つ直径50mm以上の内接円(Di ) に内接する大きさである前掲請求項41に記載の緑化下敷きフレーム。
【請求項43】
格子枠(45)の表裏に重ね合わせる足圧分散緩衝材兼用砂防シート(63)と下敷き材が、それぞれ10〜50mmの間隔をもって太さが1〜7mmの線状部材を縦横に配置したメッシュ材である前掲請求項41と42の何れかに記載の緑化下敷きフレーム。
【請求項44】
防水材(40)の周縁(41)を立ち上げて構成した二次水槽(42)に縦横の仕切材(44A・44B)が交叉した格子枠(45)を嵌め込み、その格子枠の縦横の仕切材(44A・44B)に囲まれる凹部(69)に、周縁(15)に接する外接円(16)の直径が70〜420mmとなるサイズ(p・q)の保水性ブロック(14)を嵌め込んで形成した緑化パネル(51)を屋上に敷き詰め、その上に敷き込んだ砂防シート(63)の上に天然芝生(38)を敷設する屋上緑化工法。
【請求項45】
ブロック(14)のサイズ(p・q)が、そのブロック(14)の周縁(15)に接する外接円(16)の直径が70〜230mmとなるサイズとする前掲請求項44に記載の屋上緑化工法。
【請求項46】
ブロック(14)に内部空洞(19)を設け、その空洞(19)の底面側(12)を塞いでブロック内部に一次水槽(30)を形成する前掲請求項44と45の何れかに記載の屋上緑化工法。
【請求項47】
一次水槽(30)に糸束(22)を装填する前掲請求項46に記載の屋上緑化工法。
【請求項48】
ブロック(14)を、多数の繊維質平板素材(25)を集積した平板素材集積体(65)によって構成し、平板素材間(25・25)に水分を蓄える空隙(18)を設ける前掲請求項44と45の何れかに記載の屋上緑化工法。
【請求項49】
前掲請求項41に記載の緑化下敷きフレームを屋上の基盤(49)に敷き詰め、周囲を堰で囲んで基盤(49)の上に水槽を形成し、その敷き詰めた緑化下敷きフレームの上に天然芝生(38)を敷設する屋上緑化工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−22312(P2010−22312A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189629(P2008−189629)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(301043328)
【Fターム(参考)】