説明

調整されたラウンドトリップ時間測定を使用した無線位置決定

移動局の位置を無線で決定するための一方法は、複数の無線アクセスポイントへのラウンドトリップ時間(RTT)を測定する段階と、各無線アクセスポイントに関連するラウンドトリップ時間遅延および初期処理時間に基づいて各無線アクセスポイントへの第1距離を推定する段階と、補足的情報に基づいて各無線アクセスポイントへの第2距離を推定する段階と、各無線アクセスポイントへの第1距離推定と第2距離推定とを組み合わせる段階と、組み合わされた距離推定に基づいて位置を計算する段階とを含む。別の方法は、無線信号モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの距離を測定する段階と、測定された距離に基づいて移動局の位置を計算する段階と、移動局の計算された位置に基づいて各無線アクセスポイントへの計算された距離を決定する段階と、無線信号モデルを更新する段階と、無線信号モデルが収束したかどうか決定する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条に基づく優先権の主張
本特許出願は、それぞれが本発明の譲受人に譲渡され、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる、2008年11月21日に出願された米国特許仮出願第61/116,996号、「DETERMINATION OF PROCESSING DELAY FOR ACCURATE TWO−WAY RANGING IN A WIRELESS NETWORK」および2008年11月21日に出願された米国特許仮出願第61/117,055号、「LOCALIZATION VIA SIGNAL STRENGTH」に対する優先権を主張するものである。
【0002】
同時係属特許出願の参照
本特許出願は、以下の同時係属米国特許出願に関する。
本発明と同時出願され、本発明の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、整理番号第090215号、Aggarwalらによる「BEACON SECTORING FOR POSITION DETERMINATION」。
本発明と同時出願され、本発明の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、整理番号第090505号、Aggarwalらによる「NETWORK−CENTRIC DETERMINATION OF NODE PROCESSING DELAY」。
本発明と同時出願され、本発明の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、整理番号第090533号、Aggarwalらによる「WIRELESS−BASED POSITIONING ADJUSTMENTS USING A MOTION SENSOR」。
【0003】
本開示の態様は、一般には、無線通信システムに関し、より詳細には、無線移動装置と共に、かつ/または無線移動装置によって使用される改良型の位置決定方法および装置に関する。
【背景技術】
【0004】
移動体通信網は、移動装置の動きおよび/または位置検出(position location sensing)に関連した、ますます高度化する能力を提供している過程にある。たとえば個人の生産性、協調通信、ソーシャルネットワーキングおよび/またはデータ取得に関連するものなど、新しいソフトウェアアプリケーションは、動きおよび/または位置センサを使用して、新しい特徴およびサービスを消費者に提供することができる。さらに、様々な管轄区域のいくつかの規制上の要件では、移動装置が米国の911番などの救急サービスに電話をするときにネットワークオペレータが移動装置の位置を報告することを求めることがある。
【0005】
従来のデジタルセルラ網では、位置特定能力は、様々な時間および/または位相測定技法によって提供することができる。たとえば、CDMA網では、使用される1つの位置決定手法は、拡張型順方向リンク三角測定(AFLT:Advanced Forward Link Trilateration)である。AFLTを使用して、移動装置は、複数の基地局から送信されたパイロット信号の位相測定からその位置を計算することができる。AFLTへの改良は、移動局が衛星測位システム(SPS:Satellite Positioning System)受信機を使用し得るハイブリッド位置特定技法を使用することによって実現されてきた。SPS受信機は、基地局によって送信された信号から導出された情報とは独立した位置情報を提供することができる。さらに、位置精度は、従来の技法を使用したSPSシステムとAFLTシステムの両方から導出された測定を組み合わせることによって改良することができる。
【0006】
しかしながら、SPSおよび/またはセルラ基地局によって提供された信号に基づく従来の位置特定技法は、移動装置が建物内および/または都市環境内で動作しているときに問題に遭遇することがある。こうした状況では、信号反射および屈折、マルチパスおよび/または信号減衰は、位置精度を著しく低下させることがあり、また位置決定時間(time-to-fix)を許容できないほど長い期間へと緩慢にすることがある。これらの欠点は、移動装置に、位置情報導出のためにWi―Fi(たとえばIEEE 802.11x規格)など他の既存の無線網からの信号を利用させることによって克服することができる。他の既存の無線網で使用される従来の位置決定技法は、これらのネットワーク内で使用された信号から導出されたラウンドトリップ時間(RTT:round trip time)測定を使用することができる。
【0007】
正確な位置決定のためにRTT測定技法を使用することは典型的に、ネットワークを備える様々なネットワークデバイス中を無線信号が伝搬する間に無線信号が受ける時間遅延について知っていることを要する。こうした遅延は、たとえばマルチパスおよび/または信号干渉により、空間的に異なることがある。さらに、こうした処理遅延は、ネットワークデバイスのタイプおよび/またはネットワークデバイスの現在のネットワーク負荷に基づいて時間と共に変化することがある。実際には、従来のRTT測位技法を使用する場合、処理遅延期間の推定は、無線アクセスポイント内のハードウェア変更、ならびに/または、時間のかかる事前配置のフィンガープリンティングおよび/もしくは動作環境の較正を要することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/116996号明細書
【特許文献2】米国特許仮出願第61/117055号明細書
【特許文献3】Aggarwal et al., "BEACON SECTORING FOR POSITION DETERMINATION"
【特許文献4】Aggarwal et al., "NETWORK-CENTRIC DETERMINATION OF NODE PROCESSING DELAY"
【特許文献5】Aggarwal et al., "WIRELESS-BASED POSITIONING ADJUSTMENTS USING A MOTION SENSOR"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、高価な事前配置の作業、および/またはネットワーク基盤への変更を回避しながら位置決定を向上させることができる、無線信号特性(たとえばRTT、信号強度など)を利用する様々なモデルを単独でまたは組み合わせて実装することが望ましいことがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の例示的な実施態様は、移動局の位置を無線で決定するための装置および方法を対象とする。一実施態様では、方法が、複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間(RTT)を測定する段階と、各無線アクセスポイントに関連するラウンドトリップ時間遅延および初期処理時間に基づいて各無線アクセスポイントへの第1の距離を推定する段階とを含んでよい。この方法は、補足的情報に基づいて各無線アクセスポイントへの第2の距離を推定する段階と、各無線アクセスポイントへの第1と第2の距離推定を組み合わせる段階と、組み合わされた距離推定に基づいて移動局の位置を計算する段階とをさらに含んでよい。
【0011】
別の実施態様では、無線位置決定のための装置が提示される。この装置は、無線トランシーバ、無線トランシーバに接続されたプロセッサと、プロセッサに接続されたメモリとを含んでよい。このメモリは、プロセッサに、複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間(RTT)を測定させ、各無線アクセスポイントに関連するラウンドトリップ時間遅延および初期処理時間に基づいて各無線アクセスポイントへの第1の距離を推定させ、補足的情報に基づいて各無線アクセスポイントへの第2の距離を推定させ、各無線アクセスポイントへの第1と第2の推定距離を組み合わさせ、組み合わされた距離推定に基づいて移動局の位置を計算させるための実行可能命令およびデータを格納してよい。
【0012】
さらに別の実施態様では、複数の無線アクセスポイントによって提供された信号を使用して移動局の位置を無線で決定するための方法が提示される。この方法は、無線信号モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの距離を測定する段階と、測定された距離に基づいて移動局の位置を計算する段階とを含んでよい。この方法は、移動局の計算された位置に基づいて各無線アクセスポイントへの計算された距離を決定する段階と、各無線アクセスポイントへの測定され計算された距離に基づいて無線信号モデルを更新する段階と、無線信号モデルが収束したかどうか決定する段階とをさらに含んでよい。
【0013】
さらに別の実施態様では、複数の無線アクセスポイントによって提供された信号を使用して移動局の位置を無線で決定するための装置が提示される。この装置は、無線トランシーバと、無線トランシーバに接続されたプロセッサと、プロセッサに接続されたメモリとを含んでよい。このメモリは、プロセッサに、無線信号モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの距離を測定させ、測定された距離に基づいて移動局の位置を計算させ、移動局の計算された位置に基づいて各無線アクセスポイントへの計算された距離を決定させ、各無線アクセスポイントへの測定され計算された距離に基づいて無線信号モデルを更新させ、無線信号モデルが収束したかどうか決定させるための実行可能命令およびデータを格納してよい。
【0014】
さらに別の実施態様では、移動局の位置を無線で決定するための方法は、複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間遅延を測定する段階と、無線アクセスポイントのそれぞれについて初期処理時間を推定する段階とを含んでよい。この方法は、測定されたラウンドトリップ時間遅延および推定された処理時間に基づいて移動局の位置を計算する段階と、移動局の計算された位置に基づいて無線アクセスポイントのそれぞれについて推定された処理時間を更新する段階とをさらに含んでよい。
【0015】
さらに別の実施態様では、移動局の位置を無線で決定するための装置は、無線トランシーバと、無線トランシーバに接続されたプロセッサと、プロセッサに接続されたメモリとを含んでよい。このメモリは、プロセッサに、複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間遅延を測定させ、無線アクセスポイントのそれぞれについて初期処理時間を推定させ、測定されたラウンドトリップ時間遅延および推定された処理時間に基づいて移動局の位置を計算させ、移動局の計算された位置に基づいて無線アクセスポイントのそれぞれについて推定された処理時間を更新させるための実行可能命令およびデータを格納してよい。
【発明の効果】
【0016】
様々な実施態様は、無線アクセスポイントの処理時間についての知識を必要とせず、かつ/またはビーコン、レンジングパケット(ranging packet)および/もしくはルックアップテーブルを使用してこの情報を移動局に提供することを必要としない無線アクセスポイントを有することにより利益を得ることができる。こうした利点により、無線アクセスポイント製造元の負担を軽減させることができ、それによって、無線アクセスポイント製造元のハードウェアおよび/またはプロトコルの修正が回避可能となり得る。さらに、様々な実施態様は、無線アクセスポイントのそれぞれ異なる製造の処理時間値の中央データベースを維持する複雑さを緩和することを可能にすることができる。
【0017】
添付の図面は、本発明の実施形態についての説明に役立てるために提示されており、本発明を限定するためではなく、諸実施形態を例示するためにだけに示されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本開示の実施形態による、移動局の例示的な動作環境を示す図である。
【図2】例示的な移動局の様々なコンポーネントを示すブロック図である。
【図3】複数の無線アクセスポイントから取得された情報を使用して移動局の位置を決定するための例示的な技法を示す図である。
【図4】無線プローブ要求と応答の間に生じるラウンドトリップ時間(RTT)内の例示的なタイミングを示す図である。
【図5】受信信号強度表示(RSSI:received signal strength indication)と、移動局と無線アクセスポイントの間の距離との例示的な関係を示すグラフである。
【図6】移動局の位置決定を向上させるために無線信号モデルを組み合わせる例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【図7】測定された信号強度(RSSI)およびRTTに基づく距離が移動局の位置の向上のために組み合わされてよい、図6に示されたプロセスの別の実施形態のフローチャートである。
【図8】無線信号モデルを適応的に向上させるための例示的な方法を示すフローチャートである。
【図9】RSSIに基づいて移動局と無線アクセスポイントの間の距離を決定するために使用される例示的なレンジングモデルのグラフである。
【図10】RSSIに基づいて無線アクセスポイントと移動局の間の距離推定を向上させるためにモデル化され得る例示的な屋内環境を示す図である。
【図11】位置決定のためにRSSIレンジングモデルと、適応モデルであるRTTレンジングモデルの両方を使用する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の態様は、本発明の特定の実施形態を対象とする下記説明および関連する図面に開示されている。本発明の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態を案出することができる。さらに、本発明のよく知られている要素については、詳細には説明されておらず、または本発明の関連する詳細を不明瞭にしないために省略される。
【0020】
単語「例示的な」は、本明細書では、「例、事例または例証となる」ことを意味するために用いられている。本明細書で「例示的」と記載されるいずれの実施形態も、他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈すべきでない。同様に、用語「本発明の実施形態」は、本発明のすべての実施形態が、記載された特徴、利点または操作モードを含むことを必要としない。
【0021】
本明細書で用いられた用語は、特定の実施形態について説明するためのものにすぎず、本発明の実施形態を限定するものではない。本明細書では、単数形「1つの(a、an、the)」は、文脈により明らかに示されていない限り、複数形をも含むことを意図している。用語「備える(comprises、comprising)」および/または「含む(includes、including)」は、本明細書では、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素および/またはコンポーネントが存在することを指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネントおよび/またはそのグループの存在または追加を除外するものでないことがさらに理解されよう。
【0022】
さらに、多くの実施形態について、たとえばコンピューティングデバイスの要素によって実施される動作シーケンスに関して説明されている。本明細書に記載された様々な動作は、特定回路(たとえば特定用途向け集積回路(ASIC))によって、1つまたは複数のプロセッサにより実行されるプログラム命令によって、またはそれらの組合せによって実施できることが認識されよう。さらに、本明細書に記載されたこれらの動作シーケンスは、対応する1組のコンピュータ命令がその中に格納された任意の形のコンピュータ読取り可能記憶媒体内に完全に具現化されると見なすことができ、この1組のコンピュータ命令は、実行されると、関連するプロセッサに、本明細書に記載された機能を実施させる。したがって、本発明の様々な態様は、複数の異なる形で具現化することができ、そのすべてが、特許請求された主題の範囲内であることを意図している。さらに、本明細書に記載された諸実施形態のそれぞれについて、いずれかのこうした実施形態の対応する形は、本明細書ではたとえば、記載された動作を実施する「ように構成された論理」として記載され得る。
【0023】
図1は、移動局108の例示的な動作環境100の図である。本発明の実施形態は、レンジモデル(range model)の組合せを使用し得る移動局108、および/または位置決定を対象とする。他の実施形態は、たとえば、無線アクセスポイントによってもたらされた処理遅延に対処するように調整されるラウンドトリップ時間測定(RTT)を使用して、レンジングモデルを適応的に変更することができる。処理遅延は、それぞれ異なるアクセスポイント間で異なることがあり、時間と共に変化することもある。たとえば受信信号強度表示(RSSI)など補足的情報を使用することによって基地局は、位置を決定し、かつ/または反復技法を使用して、無線アクセスポイントによってもたらされた処理遅延の影響を較正することができる。
【0024】
動作環境100は、1つまたは複数の異なるタイプの無線通信システムおよび/または無線測位システムを含んでよい。図1に示された実施形態では、衛星測位システム(SPS:Satellite Positioning System)102は、移動局108に関する独立した位置情報源として使用することができる。移動局108は、SPS衛星から地理位置情報を導出するための信号を受信するように特に設計された1つまたは複数の専用SPS受信機を含んでよい。
【0025】
動作環境100は、無線音声および/またはデータ通信用に使用できる1つまたは複数のタイプの複数の広域ネットワーク無線アクセスポイント(WAN−WAP:Wide Area Network Wireless Access Point)104、ならびに移動局108についての別の独立した位置情報源を含むこともできる。WAN−WAP 104は、既知の位置にセルラ基地局を含み得る広域無線ネットワーク(WWAN:wide area wireless network)、および/またはたとえばWiMAX(たとえば802.16)など、他の広域無線システムの一部であってよい。WWANは、単純にするために図1には示されていない他の既知のネットワーク要素を含んでよい。典型的には、WWAN内の各WAN−WAP 104a〜104cは、固定位置から動作し、大きい都市および/または地方の領域にわたるネットワークサービスエリアを提供することができる。
【0026】
動作環境100は、無線音声および/またはデータ通信用に使用できるローカルエリアネットワーク無線アクセスポイント(LAN−WAP:Local Area Network Wireless Access Point)106、ならびに別の独立した位置データ源をさらに含んでよい。LAN−WAPは、建物内で動作し、WWANより小さい地理的領域に渡って通信を実施できる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:Wireless Local Area Network)の一部であってよい。こうしたLAN−WAP 106は、たとえば、WiFi網(802.11x)、セルラピコネットおよび/またはフェムトセル、Bluetooth(登録商標)網などの一部であってよい。
【0027】
移動局108は、SPS衛星102、WAM−WAP 104および/またはLAN−WAP 106のうちの1つまたは組合せから位置情報を導出してよい。上記システムはそれぞれ、異なる技法を使用して移動局108の位置の独立した推定を提供することができる。一部の実施形態では、移動局は、位置データの精度を向上させるために、それぞれ異なるタイプのアクセスポイントのそれぞれから導出された解決法を組み合わせることができる。
【0028】
SPS 102を使用して位置を導出するとき、移動局は、従来の技法を使用して、SPS衛星102によって送信された複数の信号から位置を抽出するSPSで使用するように特に設計された受信機を使用することができる。本明細書に記載された方法および装置は、様々な衛星測位システムで使用することができ、この衛星測位システムは典型的には、送信機から受信された信号に少なくとも部分的に基づいてエンティティが地球上または地球上空のその位置を決定することを可能にするように置かれた送信機のシステムを含む。こうした送信機は典型的には、1組の複数のチップの反復する疑似ランダム雑音(PN:pseudo-random noise)コードでマーク付けされた信号を送信し、地上の制御局、ユーザ機器および/または宇宙船上に置かれ得る。特定の例では、こうした送信機は、地球周回軌道衛星ビークル(SV:satellite vehicle)に置かれてよい。たとえば、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)、Galileo、GlonassまたはCompassなど、全地球的航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)のコンステレーション内のSVは、PN符号でマーク付けされた信号を送信することができ、このPN符号は、(たとえば、GPSの場合のように各衛星についてそれぞれ異なるPN符号を使用して、またはGlonassの場合のようにそれぞれ異なる周波数上で同じコードを使用して)コンステレーション内の他のSVによって送信されたPN符号と区別することができる。特定の態様によれば、本明細書に提示された技法は、SPSのための全地球システム(たとえばGNSS)に限定されない。たとえば、本明細書に示された諸技法は、たとえば日本の準天頂衛星システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellite System)、インドのインド地域衛星航法システム(IRNSS:Indian Regional Navigational Satellite System)、中国のBeidouなど、様々な地域システム、ならびに/あるいは様々な補強システム(たとえば衛星型補強システム(SBAS:Satellite Based Augmentation System)に適応され、または別のやり方でそれにおいて使用できるようにされてよく、この補強システムは、1つまたは複数の全地球および/または地域衛星航法システムに関連付けられ、または別のやり方でそれにおいて使用できるようにされ得る。限定ではなく、例を挙げると、SBASは、たとえば広域補強システム(WAAS:Wide Area Augmentation System)、欧州静止衛星航法補強サービス(EGNOS:European Geostationary Navigation Overlay Service)、多機能衛星補強システム(MSAS:Multi-functional Satellite Augmentation System)、GPS補助Geo補強航法またはGPS・Geo補強航法システム(GAGAN:GPS and Geo Augmented Navigation system)など、保全性情報、微分補正などを提供する補強システムを含んでよい。したがって、本明細書では、SPSは、1つまたは複数の全地球および/または地域航法衛星システム、および/または増強システムの任意の組合せを含むことができ、SPS信号は、SPS、SPSライクな、および/またはこうした1つまたは複数のSPSに関連する他の信号を含んでよい。
【0029】
さらに、開示された方法および装置は、疑似衛星、または衛星と疑似衛星の組合せを使用する位置決定システムで使用することができる。疑似衛星は、GPS時間と同期され得る、L帯(または他の周波数)搬送波信号上で変調されたPN符号また他のレンジングコード(GPSまたはCDMAセルラ信号に類似)をブロードキャストする地上送信機である。こうした各送信機には、遠隔受信機による識別を可能にするための一意のPN符号が割り当てられてよい。疑似衛星は、トンネル、鉱山、建物、都市の谷間または他の囲まれた領域など、周回軌道衛星からのGPS信号が使用できないことがある状況において有用である。疑似衛星の別の実装形態は、無線ビーコンとして知られている。用語「衛星」は、本明細書では、疑似衛星、疑似衛星の等価物、およびその他を含むことが意図される。用語「SPS信号」は、本明細書では、疑似衛星または疑似衛星の等価物からのSPSライクな信号を含むことが意図される。
【0030】
WWANから位置を導出するとき、各WAN−WAP 104a〜104cは、デジタルセルラ網内の基地局の形をとることができ、移動局108は、セルラ送受信機と、位置を導出するために基地局信号を利用できるプロセッサとを含んでよい。デジタルセルラ網は、図1に示された追加の基地局または他のリソースを含んでよいことを理解されたい。WAN−WAP 104は実際には移動可能であり、または別のやり方で再配置可能であり得るが、例示するために、WAN−WAP 104は、本質的に固定位置に配置されると仮定する。
【0031】
移動局108は、たとえば拡張型順方向リンク三角測定(AFLT)など、既知の到着時間技法を使用して位置決定を実施することができる。他の実施形態では、それぞれのWAN−WAP 104a〜104cは、WiMax無線ネットワーキング基地局の形をとることができる。この場合、移動局108は、WAN−WAP 104によって提供された信号から、到着時間(TOA:time-of-arrival)技法を使用して移動局108の位置を決定してもよい。移動局108は、以下により詳細に記載されるように、位置をスタンドアロンモードで決定してもよいし、TOA技法を使用して測位サーバ110およびネットワーク112の助けを借りて決定してもよい。本開示の実施形態は、移動局108に、それぞれ異なるタイプのWAN−WAP 104を使用して位置情報を決定させることを含むことに留意されたい。たとえば、一部のWAN−WAP 104は、セルラ基地局であってよく、また他のWAN−WAPは、WiMax基地局であってよい。こうした動作環境では、移動局108は、個々の異なるタイプのWAN−WAPからの信号を利用し、導出された位置解決法をさらに組み合わせて精度を向上させることが可能であってよい。
【0032】
WLANを使用して位置を導出する場合、移動局108は、測位サーバ110およびネットワーク112の助けにより到着時間技法を使用することができる。測位サーバ110は、ネットワーク112を介して移動局に通信してよい。ネットワーク112は、LAN−WAP 106を組み込む、有線網と無線網の組合せを含んでよい。一実施形態では、それぞれのLAN−WAP 106a〜106eは、たとえばWiFi無線アクセスポイントであってよく、このWiFi無線アクセスポイントは、必ずしも固定位置に設定されるとは限らず、位置を変更することができる。各LAN−WAP 106a〜106eの位置は、測位サーバ110内で、共通座標系に格納されてよい。一実施形態では、移動局108の位置は、移動局108に、各LAN−WAP 106a〜106eから信号を受信させることによって決定することができる。それぞれの信号は、受信信号に含まれ得る何らかの形の識別情報(たとえばMACアドレスなど)に基づいて、信号の発信元のLAN−WAPに関連付けることができる。次いで、移動局108は、受信信号のそれぞれに関連する時間遅延を導出してよい。次いで、移動局108は、各LAN−WAPの時間遅延および識別情報を含んでよいメッセージを形成し、ネットワーク112を介して測位サーバ110にメッセージを送ることができる。次いで、受信されたメッセージに基づいて、測位サーバは、関連するLAN−WAP 106の格納された位置を使用して、移動局108の位置を決定することができる。測位サーバ110は、局所座標系内の移動局の位置へのポインタを含む位置構成情報(LCI:Location Configuration Information)メッセージを生成し、基地局に提供してよい。LCIメッセージは、移動局108の位置に関する他の関心地点を含むこともできる。移動局108の位置を計算するとき、測位サーバは、無線網内の要素によってもたらされ得る、それぞれ異なる遅延を考慮に入れることができる。
【0033】
本明細書に記載された位置決定技法は、広域無線ネットワーク(WWAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルネットワーク(WPAN:wireless personal area network)など、様々な無線通信網に使用することができる。用語「ネットワーク」と「システム」はしばしば、区別なく用いられる。WWANは、符号分割多元接続(CDMA)網、時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)網、周波数分割多元接続(FDMA:Frequency Division Multiple Access)網、直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)網、単一搬送波周波数分割多元接続(SC−FDMA:Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)網、WiMax(IEEE 802.16)などであってよい。CDMA網は、cdma2000、広帯域CDMA(W−CDMA:Wideband-CDMA)など、1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT:radio access technology)を実装してよい。cdma2000は、IS−95規格、IS−2000規格およびIS−856規格を含む。TDMA網は、移動通信用グローバルシステム(GSM:Global System for Mobile Communications)、デジタル拡張携帯電話システム(D−AMPS:Digital Advanced Mobile Phone System)、または他の何らかのRATを実装してよい。GSMおよびW−CDMAは、「第3世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP:3rd Generation Partnership Project)と称するコンソーシアムからの文献に記載されている。cdma2000は、「第3世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP2:3rd Generation Partnership Project 2)と称するコンソーシアムからの文献に記載されている。3GPPおよび3GPP2の文献は、公的に入手可能である。WLANは、IEEE 802.11x網であってよく、WPANは、Bluetooth網、IEEE 802.15xまたは他の何らかのタイプのネットワークであってよい。これらの技法は、WWAN、WLANおよび/またはWPANの任意の組合せに使用することもできる。
【0034】
図2は、例示的な移動局200の様々なコンポーネントを示すブロック図である。単純にするために、図2のボックス図に示された様々な特徴および機能は、共通のバスを使用して互いに接続されており、それは、これらの様々な特徴および機能が動作可能に互いに接続されることを表すものである。他の接続、機構、特徴、機能などが、実際の携帯型無線デバイスを動作可能に接続し構成するために必要に応じて提供され適応され得ることが当業者には認識されよう。さらに、図2の例に示された諸特徴または機能のうちの1つまたは複数は、さらに分割されてもよいし、図2に示された諸特徴または機能のうちの2つ以上が組み合わされてもよいことも認識されよう。
【0035】
移動局は、1つまたは複数のアンテナ202に接続され得る1つまたは複数の広域ネットワークトランシーバ204を含んでよい。広域ネットワークトランシーバ204は、WAN−WAP 104と通信し、かつ/またはWAN−WAP 104への/からの信号を検出し、かつ/またはネットワーク内の他の無線デバイスと直接通信するのに適したデバイス、ハードウェア、および/またはソフトウェアを備える。一態様では、広域ネットワークトランシーバ204は、無線基地局のCDMA網と通信するのに適したCDMA通信システムを備えてよいが、他の態様では、無線通信システムは、たとえばTDMAやGSMなど、別のタイプの携帯電話網を備えてよい。さらに、たとえばWiMaxなど(802.16)など、他の任意のタイプの無線ネットワーキング技術が使用されてよい。移動局は、1つまたは複数のアンテナ202に接続されてよい1つまたは複数のローカルエリアネットワークトランシーバ206を含むこともできる。ローカルエリアネットワークトランシーバ206は、LAN−WAP 106と通信し、かつ/またはLAN−WAP 106への/からの信号を検出し、かつ/またはネットワーク内の他の無線デバイスと直接通信するのに適したデバイス、ハードウェア、および/またはソフトウェアを備える。一態様では、ローカルエリアネットワークトランシーバ206は、1つまたは複数の無線アクセスポイントと通信するのに適したWiFi(802.11x)通信システムを備えてよいが、他の態様では、ローカルエリアネットワークトランシーバ206は、別のタイプのローカルエリアネットワーク、パーソナルエリアネットワーク(たとえばBluetooth)を備える。さらに、たとえば超広帯域幅、Zigbee、ワイヤレスUSBなど、他の任意のタイプの無線ネットワーキング技術が使用されてよい。
【0036】
本明細書では、略語「無線アクセスポイント」(WAP:wireless access point)は、LAN−WAP 106および/またはWAN−WAP 104に言及するためにされ得る。具体的には、下記に提示された説明では、「WAP」が使用されるとき、実施形態は、複数のLAN−WAP 106、複数のWAN−WAP 104、またはその2つの任意の組合せからの信号を利用できる移動局200を含んでよいことを理解されたい。移動局200によって使用される特定のタイプのWAPは、動作環境によって決まり得る。さらに、移動局200は、正確な位置解決法を得るために、様々なタイプのWAP間で動的に選択することができる。
【0037】
SPS受信機208もまた、移動局200に含まれてよい。SPS受信機208は、衛星信号を受信するための1つまたは複数のアンテナ202に接続されてよい。SPS受信機208は、SPS信号を受信し処理するのに適した任意のハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えてよい。SPS受信機208は、他のシステムに情報および操作を適宜要求し、任意の適切なSPSアルゴリズムによって得られた測定を使用して移動局200の位置を決定するのに必要な計算を実施する。
【0038】
動きセンサ212は、広域ネットワークトランシーバ204、ローカルエリアネットワークトランシーバ206およびSPS受信機208によって受信された信号から導出された動きデータに依存しない相対運動および/または方向情報を提供するために、プロセッサ210に接続されてよい。限定するためではなく、例を挙げると、動きセンサ212は、加速計(たとえばMEMSデバイス)、ジャイロスコープ、地磁気センサ(たとえばコンパス)、高度計(たとえば気圧高度計)および/または他の任意のタイプの移動検出センサを使用してよい。さらに、動きセンサ212は、複数の異なるタイプのデバイスを含み、動き情報を提供するためにデバイスの出力を組み合わせてよい。
【0039】
プロセッサ210は、広域ネットワークトランシーバ204、ローカルエリアネットワークトランシーバ206、SPS受信機208および動きセンサ212に接続されてよい。プロセッサは、処理機能、ならびに他の計算および制御機能性を提供する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、および/またはデジタル信号プロセッサを含んでよい。プロセッサ210は、移動局内のプログラムされた機能を実行するためのデータおよびソフトウェア命令を格納するメモリ214を含むこともできる。メモリ214は、プロセッサ210(たとえば同じICパッケージ内)に搭載されてもよいし、かつ/またはメモリは、プロセッサの外部メモリであり、データバスを介して機能的に接続されてよい。本開示の態様に関連するソフトウェア機能性の詳細について、下記により詳細に記載される。
【0040】
通信と位置決定機能性の両方を管理するために、複数のソフトウェアモジュールおよびデータテーブルが、メモリ214に常駐し、プロセッサ210によって使用されてよい。図2に示されたように、メモリ214は、測位モジュール216と、アプリケーションモジュール218と、受信信号強度表示(RSSI)モジュール220と、ラウンドトリップ時間(RTT)モジュール222とを含み、かつ/または他のやり方で受信してよい。図2に示されたメモリの内容の編成は例示的なものにすぎず、したがって、モジュールおよび/またはデータ構造体の機能性は、移動局200の実装に依存するそれぞれ異なるやり方で組み合わされ、分離され、かつ/または構造化されてよいことを理解されたい。
【0041】
アプリケーションモジュール218は、移動装置200のプロセッサ210上で実行されるプロセスであってよく、この移動装置200は、測位モジュール216に位置情報を要求する。アプリケーションは、典型的に、ソフトウェアアーキテクチャの上位層内で実行され、屋内ナビゲーション、バディロケータ(Buddy Locator)、ショッピング・クーポン(Shopping and Coupons)、アセットトラッキング(Asset Tracking)および位置認識サービス発見(Location Aware Service Discovery)を含んでよい。測位モジュール216は、複数のWAPと交換された信号から測定されたRTTから導出された情報を使用して、移動装置200の位置を導出してよい。RTT技法を使用して位置を正確に決定するために、各WAPによってもたらされた処理時間遅延の妥当な推定を使用して、測定されたRTTを較正/調整することができる。測定されたRTTは、RTTモジュール222によって決定されてよく、このRTTモジュール222は、移動局200とWAPの間で交換された信号のタイミングを測定して、ラウンドトリップ時間(RTT)情報を導出することができる。
【0042】
RTT値は、測定されると、移動装置200の位置決定の助けとするために、測位モジュール216に渡されてよい。測位モジュール216は、WAPの処理時間を推定するために補足的情報を使用してよい。一実施形態では、WAPによって送信された信号の振幅値を使用して、この情報を提供することができる。これらの振幅値は、RSSIモジュール220によって決定されたRSSI測定の形で決定されてよい。RSSIモジュール220は、信号に関する振幅および統計情報を位置モジュール216に提供してよい。次いで、位置モジュールは、処理時間を推定して、RTT測定を較正し、位置を正確に決定することができる。次いで、位置は、上記に言及されたアプリケーションモジュール218の要求に応答して、アプリケーションモジュール218に出力されてよい。さらに、測位モジュール216は、動作パラメータの交換のためにパラメータデータベース224を使用することができる。こうしたパラメータは、各WAPについて決定された処理時間、共通座標フレーム内のWAP位置、ネットワークに関連する様々なパラメータ、初期処理時間推定、以前に決定された処理時間推定などを含んでよい。これらのパラメータの詳細については、下記の次節に示される。
【0043】
他の実施形態では、補足的情報は任意選択により、他のソースから決定され得る補助位置および/または動きデータを含んでよい。補助位置データは、不完全であり、または雑音が入っていることがあるが、WAPの処理時間を推定するための別の独立した情報源として有用であり得る。破線を使用して図2に示されたように、移動装置200は、以下に記載されたように他のソースから受信された情報から導出可能な補助位置/動きデータ226を任意選択でメモリに格納することができる。さらに、他の実施形態では、補足的情報は、それだけに限らないが、Bluetooth信号、ビーコン、RFIDタグから導出され、またはそれに基づき得る情報、ならびに/あるいは地図から導出される情報(たとえばユーザがデジタルマップと対話することによって、たとえば地理的な地図のデジタル表現から座標を受信)を含んでよい。
【0044】
一実施形態では、補助位置/動きデータ226のすべてまたは一部が、動きセンサ212および/またはSPS受信機208によって供給された情報から導出されてよい。他の実施形態では、補助位置/動きデータ226は、非RTT技法(たとえばCDMA網内のAFLT)を使用して追加のネットワークを介して決定されてよい。特定の実装形態では、補助の位置/動きデータ226のすべてまたは一部は、プロセッサ210によるさらなる処理なしに、動きセンサ212および/またはSPS受信機208によって提供することもできる。一部の実施形態では、補助の位置/動きデータ226は、動きセンサ212および/またはSPS受信機208によって処理装置210に直接提供されてよい。位置/動きデータ226は、方向および速度を提供し得る加速データおよび/または速度データを含むこともできる。他の実施形態では、位置/動きデータ226は、移動方向だけを提供できる方向性データをさらに含んでよい。
【0045】
図2に示されたモジュールは、この例ではメモリ214に含まれるものとして示されているが、特定の実装形態では、こうした手順が提供され、あるいは別のやり方で他のまたは追加の機構を使用して動作可能に構成されてよいことが認識されよう。たとえば、測位モジュール216および/またはアプリケーションモジュール218のすべてまたは一部は、ファームウェア内に提供されてよい。さらに、この例では測位モジュール216およびアプリケーションモジュール218は、別個の特徴として示されているが、たとえば、こうした手順は、1つの手順として共に組み合わされてもよいし、他の手順と組み合わされてもよいし、または別のやり方で複数の下位手順にさらに分割されてもよいことが認識されよう。
【0046】
プロセッサ210は、少なくとも本明細書に提供された諸技法を実施するのに適した任意の形の論理を含んでよい。たとえば、プロセッサ210は、移動装置の他の部分で使用される動きデータを利用する1つまたは複数のルーチンを選択的に開始するように、メモリ214内の命令に基づいて動作可能に構成可能であってよい。
【0047】
移動局200は、移動局200とのユーザ対話を可能にするマイクロホン/スピーカ252、キーパッド254およびディスプレイ256など、任意の適切なインターフェースシステムを提供するユーザインターフェース250を含んでよい。マイクロホン/スピーカ252は、広域ネットワークトランシーバ204および/またはローカルエリアネットワークトランシーバ206を使用して音声通信サービスを提供する。キーパッド254は、ユーザ入力に適した任意のボタンを備える。ディスプレイ256は、たとえばバックライトLCDディスプレイなど、任意の適切なディスプレイを備え、追加のユーザ入力モード用のタッチスクリーンディスプレイをさらに含んでよい。
【0048】
本明細書では、移動局108は、1つまたは複数の無線通信装置デバイスまたはネットワークから送信された無線信号を取得し、またそこに無線信号を送信するように構成可能な任意の携帯型または移動可能デバイスまたはマシンであってよい。図1および図2に示されたように、移動装置は、こうした携帯型無線デバイスを表すものである。したがって、限定するためではなく、例示するために、移動装置108は、無線デバイス、携帯電話デバイス、コンピューティングデバイス、パーソナル通信システム(PCS:personal communication system)デバイス、あるいは他の同様の移動可能無線通信装備のデバイス、器具またはマシンを含んでよい。用語「移動局」は、衛星信号受信、補助データ受信、および/または位置関連処理がデバイスで行われるか、それともパーソナルナビゲーションデバイス(PND:personal navigation device)で行われるかに関係なく、短距離無線、赤外線、有線接続、または他の接続などによってPNDと通信するデバイスを含むことも意図している。「移動局」は、インターネット、WiFiまたは他のネットワークなどを介して、また衛星信号受信、補助データ受信、および/または位置関連処理がデバイスで行われるか、サーバで行われるか、それともネットワークに関連する別のデバイスで行われるかに関係なくサーバと通信することができる無線通信デバイス、コンピュータ、ラップトップなどを含めて、すべてのデバイスを含むことも意図している。上記内容の動作可能な任意の組合せもまた、「移動局」と見なされる。
【0049】
本明細書では、用語「無線デバイス」は、ネットワークを介して情報を転送し、また位置決定および/またはナビゲーション機能性をも有してよい任意のタイプの無線通信デバイスを指し得る。無線デバイスは、任意のセルラモバイル端末、パーソナル通信システム(PCS)デバイス、パーソナルナビゲーションデバイス、ラップトップ、携帯情報端末であってもよいし、ネットワークおよび/またはSPS信号を受信し処理可能な他の任意の適切な移動デバイスであってもよい。
【0050】
I.無線位置決定のためのモデル
図3に、移動局108の位置を決定するための例示的な技法を示すための簡略化された環境が示されている。移動局108は、RF信号(たとえば2.4 GHz)およびRF信号の変調および情報パケットの交換のための標準化されプロトコル(たとえばIEEE 802.11)を使用して、複数のWAP 311と無線で通信してよい。交換された信号からそれぞれ異なるタイプの情報を抽出し、ネットワークのレイアウト(すなわちネットワーク形状)を使用することによって、移動局108は、事前定義された基準座標系でその位置を決定することができる。図3に示されたように、移動局は、2次元座標系を使用して、その位置(x,y)を指定してよいが、本明細書に開示された実施形態はそれに限定されず、追加の次元が望まれる場合には、3次元座標系を使用して位置を決定することにも適用可能であってよい。さらに、図3には3つのWAP 311a〜311cが示されているが、実施形態は、追加のWAPを使用し、過剰決定系に適用可能な技法を使用して位置について解決することができ、それによって、それぞれ異なる雑音効果によってもたらされた様々な誤差を平均し、したがって、決定された位置の精度を向上させることができる。移動局108は、その位置(x,y)を決定するために、まずネットワーク形状を決定する必要があり得る。ネットワーク形状は、基準座標系((x,y)、ここで、k=1,2,3)内の各WAP 311の位置を含むことができる。ネットワーク形状は、たとえばビーコン信号でこの情報を提供し、外部ネットワーク上の外部の専用サーバを使用して情報を提供し、ユニフォームリソース識別子を使用して情報を提供するなど、任意のやり方で移動局108に提供することができる。
【0051】
次いで、移動局は、各WAP 311への距離(d、ここで、k=1,2,3)を決定してよい。以下により詳細に記載されるように、移動局108とWAP 311の間で交換されたRF信号のそれぞれ異なる特性を利用することによってこれらの距離(d)を推定するための複数の異なる手法がある。こうした特性は、以下に記載されるように、信号のラウンドトリップ伝搬時間、および/または信号の強度(RSSI)を含んでよい。
【0052】
他の実施形態では、距離(d)は、WAPに関連しない他の情報源を使用して部分的に決定され、または改良されてよい。たとえば、GPSなど、他の測位システムを使用して、dのおおよその推定を提供することができる。(GPSは、見込まれる動作環境(屋内、都市など)においてdの一貫して正確な推定を提供するには不十分な信号しか有し得ない可能性が高いことに留意されたい。しかしながら、GPS信号は、位置決定プロセスの助けとするために他の情報と組み合わせることができる。)他の相対測位デバイスは、相対位置および/または方向のおおよその推定を提供するためのベースとして使用されてよい移動局108(たとえば搭載加速計)に常駐することができる。
【0053】
それぞれの距離が決定されると、移動局は、たとえば三辺測量など、既知の様々な幾何学的技法を使用することによってその位置(x,y)について解決することができる。図3から、移動局108の位置は理想的には、点線を使用して描かれた円の交差に位置することが見て分かる。それぞれの円は、k=1,2,3として、半径dおよび中心(x,y)で定義される。実際には、これらの円の交差は、ネットワークキングシステム内の雑音および他の誤差のせいで単一点に位置しないことがある。
【0054】
以下の1.および2.において、次の無線信号モデル、すなわち、1)距離と無線信号ラウンドトリップ時間を関連付ける例示的なモデル、および2)距離と無線信号強度を関連付ける例示的なモデル、についてより詳細に説明する。例示的なモデルの両方は、それぞれ異なる信号パラメータへの距離を関連付けるので、「レンジング」モデルと呼ばれることもある。本発明の様々な実施形態は、これらのレンジングモデルに限定されず、他の無線信号モデルが使用されてよいことを理解されたい。
【0055】
1.ラウンドトリップ時間(RTT)レンジングモデルを使用した距離決定
移動局108と各WAP 311の間の距離を決定することは、RF信号の時間情報を利用することを要することがある。一実施形態では、移動局108とWAP 311との間で交換された信号のラウンドトリップ時間(RTT)の決定が実施され、距離(d)に変換されてよい。RTT技法は、データパケットの送信と応答の受信との間の時間を測定してよい。これらの方法は、どんな処理遅延をも取り除くために較正を使用する。一部の環境では、移動局と無線アクセスポイントの処理遅延が同じであると仮定することができる。しかしながら、こうした仮定は、実際には真ではないことがある。
【0056】
図4は、無線プローブ要求と応答との間で生じるラウンドトリップ時間(RTT)内の例示的なタイミングを示す図である。一実施形態では、応答は、肯定応答パケット(ACK)の形をとってよいが、いずれのタイプの応答パケットもが、本発明の様々な実施形態と一致する。たとえば、RTS(request to send:送信要求)送信パケットおよび/またはCTS(clear to send:送信可)応答パケットが適切であり得る。
【0057】
所与のWAP 311kに関してRTTを測定するために、移動局108は、指示プローブ要求(directed probe request)をWAP 311kに送信し、次いで、図4の移動局(MS:mobile station)タイムラインに示されるように、プローブ要求パケットが送信された時間(tTXパケット)を記録してよい。移動局108からWAP 311kへの伝搬時間tの後、WAPは、パケットを受信する。次いで、WAP 311kは、指示プローブ要求を処理することができ、図4のWAPタイムラインに示されたように、いくらかの処理時間Δの後、移動局108にACKを送信してよい。第2の伝搬時間tの後、移動局108は、MSタイムラインに示されたように、ACKパケットが受信された時間(tRXACK)を記録してよい。次いで、移動局は、RTTを、時差tRXACK−tTXパケットとして決定することができる。
【0058】
移動局108は、WAP 311k処理時間Δを知っている場合は、WAP 311kへの伝搬時間を(RTT−Δ)/2として推定することができ、この(RTT−Δ)/2は、移動局108とWAP 311kの間の距離(d)に対応する。しかしながら、移動局108は典型的にはWAP 311k処理時間について知らないので、移動局108は、それがWAP 311kへの距離を推定可能となる前に、処理時間Δの正確な推定を取得すべきである。下記に提示された様々な技法は、移動局108が、移動局の空間位置の決定を可能するために、3つ以上のWAP 311に対する収集されたRSSIおよびRTT測定を処理してWAP 311の処理時間を正確に推定する実施形態について説明している。
【0059】
先に記載されたように指示プローブ要求に基づくRTTレンジングを使用することによって無線デバイス108は、WAP 311のうちのいずれかと関連をもつ必要がなくなることが理解されよう。指示アクセスプローブがユニキャストパケットと見なされるので、WAPは典型的には、所定期間の後、アクセスプローブパケットの復号成功についてACKする。WAP 311と関連をもつ必要なしこのレンジングを行う能力によって、関与する追加のオーバヘッドを大幅に減少させることができる。
【0060】
移動局108とWAP kの間のラウンドトリップ時間は、下記のようにレンジングモデルで解析することができる。
RTT=2d+Δ+ΔMS+n (1)
ここで、dは、移動局108とWAP 311kの間の実際の距離(ft)である。
Δは、第kのWAPのハードウェア処理時間(ns)である。
ΔMSは、移動局108内のハードウェア処理時間(ns)である。ここで、処理遅延は、移動局108によって較正可能であると仮定され得る。したがって、それは、0に設定されてよい。
=nz,k+nMS,k+nAP,kであり、それはRTT測定の誤差(ns)である。この誤差は、WAPの高さ、移動局タイミング誤差およびWAPタイミング誤差が知られていないことによる誤差の和である。
【0061】
距離の単位がフィートで示され、時間の単位がナノ秒で提供されることを考慮すると、光の速度は、モデルを単純化し、乗算演算を回避することにより計算時間を減少させるために1と近似できることを理解されたい。
【0062】
全体的な雑音nは、上記に列挙されたWAP高さ誤差、移動局タイミング誤差およびWAPタイミング誤差の和であってよい。これらのすべての誤差を組み合わせた後、結果として生じる確率密度関数はガウス分布に非常に近いものとなり得る。したがって、雑音は、距離依存の平均および標準偏差を有するガウス分布としてモデル化することができる。
【0063】
2.信号強度(RSSI)レンジングモデルを使用した距離決定
各WAP 311と移動局108の間の距離は、上記に説明された処理時間の推定を得るためのRTTに加えて情報を使用することによって推定することもできる。この情報は一般に、本明細書では補足的情報と呼ばれる。補足的情報の1つの形は、各WAP 311から受信されたACKパケットに関連する測定された信号強度(RSSI)の形をとってよい。図5は、RSSIの例示的な関係、および移動局と無線アクセスポイントの間の距離を示すグラフである。
【0064】
RSSIを有効に利用するために、移動局108は、受信信号強度(RSSI)の関数として、距離の近似レンジングモデルおよび距離の分散を使用してよい。このモデルは、移動局108が最初にWAP処理遅延を学習しようとするときに使用されてよい。RTTベースの測位アルゴリズムの1つの特徴は、広範な事前配置フィンガープリンティングを必要とせずに、RSSIモデルが非常に単純になり得るということである。一実施形態では、このモデルは、移動局に知られている唯一のRSSI情報が、RSSI(dBm)の関数としての近似最大距離dmaxフィートであると仮定してよい。225フィートの最大範囲を有するWAPを含む屋内環境の初期伝搬シミュレーションに基づいて、この関数は、図5にグラフ化された以下の数式2に示されている。
【0065】
【数1】

【0066】
上記の距離限界から、移動局108は、測定されたどんなRSSIをも、以下の数式3の関係で正規分布しているものとしてモデル化できる距離推定に変換することができる。
【0067】
【数2】

【0068】
ここで、分散は、
【数3】

であると仮定する。
【0069】
他の実施形態では、移動局は、最小距離を信号強度の関数としてモデル化してもよい。しかしながら、2D測位では、移動局がX−Y面(測位目的により使用される距離)内ではWAPの近くにいるが、Z次元の距離と障害により任意の信号強度を見ることがあり得る。したがって、単純なRSSIモデルは、最小距離対信号強度を、すべてのRSSIについて0フィートと見なす。
【0070】
II.無線位置決定のためのレンジングモデルの組合せ
下記の説明は、RTT、およびたとえばRSSIなど他の補足的測定に基づき得るレンジングモデルを使用した位置決定のための移動局中心のアルゴリズムについて詳細を示している。この実施形態では、移動装置108は、2つ以上のレンジングモデルを使用して3つ以上の無線アクセスポイントへの距離を推定することができる。それぞれの無線アクセスポイントは、上記に言及された技法を使用してネットワーク形状情報を提供することにより移動装置に知られている位置を有する。これらの距離推定、および無線アクセスポイント311の位置を使用して、移動局108は、既知の測位技法を使用してその位置を決定することができる。
【0071】
この実施形態では、以下の仮定が使用され得る。
1.移動局108は、ローカルまたはグローバル座標系(先に記載された方法を使用して取得可能)内のWAP 311位置を有する。
2.移動局108は、2次元測位では、少なくとも3つの非共線形WAP 311の無線範囲内にある。
3.WAPがユニキャストパケットを受信するときと、WAPがACK応答を送信するときとの間に一貫した処理時間がある(すなわち処理時間が低分散を有する)。
4.各WAP 311は、それぞれ異なる処理時間遅延を有することがある。
5.移動局108は、RTTのナノ秒スケールの測定を行うことが可能であってよい。これは、無線トランシーバ204および/または206内の現在の移動局108チップセットへの変更を必要とすることがある。
6.移動局108は、RSSIの関数としての距離の近似モデルを有する。
7.完全な1組のRSSIとRTTの測定(すべてのターゲットWAPに対する)は、測定が行われる間、移動局108が静止していると見なされ得るほど高速に完了することができる。
8.移動局108は、RSSI、RTTの著しい変化、最後の1組の測定からの経過時間、および/または(たとえば動きセンサ212など)追加のセンサデータに基づいて、移動局108がいつ新しい位置に移動したか決定する方法を有する。
【0072】
図6は、移動局108の位置決定を向上させるためにレンジングモデルを組み合わせるための例示的な方法600を示すフローチャートである。この方法は、移動局108で、メモリ214に格納された様々なモジュールおよびデータを使用してプロセッサ210上で実施されてよい。
【0073】
新しい環境に入ると、移動装置108は、位置決定に使用された各WAP 311k(ここで、k=1,…,N)に関連するパラメータ/モデルを初期化してよい(ブロック605)。
【0074】
したがって、各WAP 311kについて、パラメータ/モデルは、以下を含んでよい。
1.ローカルまたはユニバーサル座標系内の位置。
2.WAPに関連するネットワークの識別子(たとえばSSID)。
3.WAPハードウェアに関連する識別子(たとえばMACID)。
4.初期処理時間遅延の推定および分散。
5.一部の実施形態について、距離対信号強度(RSSI)のモデル。
【0075】
上記パラメータは、取得されると(ここで、上記パラメータはサーバ110からダウンロードされたかもしれない)、メモリ内でパラメータデータベース224に格納されてよい。先に記載されたように、上記のパラメータ1〜3は、マップからの注釈から得ることができる。代替実施形態では、パラメータ2および3は、移動局108によって、WAP 311により提供され得るビーコンをリスンすることにより学習することができる(たとえばWiFi網では、移動局108は、標準ビーコン信号からSSIDおよびMACIDを決定することができる)。上記のパラメータ4は、WAP仕様書に基づく事前の粗い初期推定、および/または移動局108によって以前に学習された、より改良された値であってよい。あるいは、パラメータデータベース224から読み出された初期処理時間は、サーバ110から提供されたかもしれず、この初期処理時間は、以前に移動局108によって学習されていることも、別の移動局によって学習されていることもある。
【0076】
図4の説明で上記に示されたように、各WAP 311の処理時間Δは、ユニキャストパケットへの応答の送信のターンアラウンドタイムであってよい。たとえば、802.11aまたは802.11 WiFi網では、この処理時間は、短フレーム間スペース(SIFS:short interframe space)として知られている遅延に対応することがあり、典型的には、20 MHzチャネルでは16000±900 ns内にある。Δを、WAP 311kについての実際の、知られていない処理遅延とし、
【数4】

を、移動局の最良の処理遅延推定とする。移動局108は最初に、
【数5】

の分散(3σ=900の正規分布を仮定)をもつ
【数6】

を得ることができる。あるいは、移動装置は、WAP 311kの初期処理遅延を、ローカルキャッシュ内のそのハードウェア識別子(たとえばMACID)を使用することによって得ることができ、このハードウェア識別子は、処理時間の推定を得るためにパラメータデータベース224に格納してもよいし、外部データベースに格納してもよい。
【0077】
以下でより詳細に説明されるように、一部の実施形態は、各WAP 311について、距離対RSSIのモデルを使用してよく、このモデルは、各信号強度測定RSSIを、平均dRSSI,kおよび分散
【数7】

で正規分布し得る距離にマップすることができる。モデルが使用可能でない場合、移動装置は、デフォルトのモデル(たとえば、先の数式2で示されたモデルなど)を使用することができる。
【0078】
ブロック605の初期化の後、移動局108は、各WAP 311へのラウンドトリップ時間(RTT)を測定してよい(B610)。この時点で、移動局108は、広域ネットワークトランシーバ204、ローカルエリアネットワークトランシーバ206、またはその2つの組合せを使用して、ハードウェア識別子(たとえばWAP 311kのMACID)に基づいて、各WAP 311を使用して指示プローブ要求を送信してよい。たとえば指示プローブ要求を使用することによって移動局は、WAP 311との関連付けなしにRTTレンジング測定を実施することができる。これによって、何らかの形の無線暗号化(たとえばWEP、WAP、RADIUSなど)を使用してロックされ(locked down)、アクセス用のパスコードを必要とするRTT測定のためにWAPが使用不可能である問題を回避することができる。しかしながら、実施形態は、プローブ要求パケットに限定されず、他のタイプのパケットを使用できることを理解されたい。WAPは、プローブ要求を処理すると、ACK応答を提供することができ、このACK応答は、広域ネットワークトランシーバ204および/またはローカルエリアネットワークトランシーバ206によって受信されてよい。ACK応答を受信すると、移動局108は、RTTモジュール222を使用してRTTを計算してよい。
【0079】
先に記載されたように、RTTレンジングモデルに基づいて、WAP 311kの各RTT測定は、
RTT=2d+Δ+n (4)
で示すことができる。
ここで、dは、移動局108とWAP 311kの間の実際の距離(ft)であり、
Δは、WAP 311kの実際の処理時間(ns)であり、
は、距離dに依存する平均および分散をもつガウス雑音である。
【0080】
上記数式では、距離および時間の単位は、それぞれフィートおよびナノ秒であり、したがって光伝搬速度は、〜1 ft/nsと推定することができる、この近似は、それによって距離と時間の変換時の乗算演算が不要になり、したがって処理時間および電力消費を節約できるので、有用であり得る。
【0081】
RTT測定および先に記載されたRTTレンジングモデルを使用して、移動局と各WAP 311kの間の距離が推定されてよい(B615)。各WAP 311kの実際の処理時間遅延Δは、製造元仕様書および/または較正技法を使用して以前に決定され、その後に、移動局108によって使用されるパラメータデータベース224に格納されてよい。
【0082】
第2のモデルを使用して、各WAPへの補足の距離が、信号のRTTに依存するのではなく、他の何らかの補足的情報に依存し得る別の手法を使用して推定されてよい(B620)。本明細書では、補足の距離は、先に記載されたのと同じ距離(d)であるが、それは、RTT以外の技法を使用して推定される。一部の実施形態では、補足的情報は、たとえば振幅および/または位相など、移動局108とWAP 311の間で交換された信号の1つまたは複数の代替特性を利用することができる。他の実施形態では、補足的情報は、以前に決定された位置であってよい。先に記載され、図7の説明で下記に詳細に提示されるように、補足の距離を推定するために振幅(たとえばRSSI)が使用されてよい。
【0083】
他の実施形態では、他の独立したセンサが、有用であり得る補足的情報を提供することができる。たとえば、加速度計または他の何らかの形のネットワーク化された位置決定(AFLTなど)が、WAPと移動局108の間の距離推定に役立つことがある。さらに、SPS信号は、方法600の動作環境の一部では弱く、かつ/または断続的となることがあるが、一部の環境では、移動局108とWAP 311との間の補足の距離を決定するのに十分であり得る適したSPS信号強度が存在することがある。
【0084】
たとえば、1組の有効な天体位置表を有する移動局は、衛星を検出する能力に基づいて、移動局がいつ屋内にあるか、屋外にあるか検出可能であってよい。これは、初期の境界のある空間の一部が外部である場合の条件を取り除くのに役立ち得る。WAPのWGS84座標また地図上のWGS84ランドマークがシステムに提供されている場合、移動局108は、SPSからその最後の知られている位置を使用して、その現在位置を限定することも可能であり得る。
【0085】
別の例では、移動局108は、以前に確立された位置にその現在位置を関連付け得る(動きセンサ212からの)動きセンサベースの情報を有することができる。たとえば、移動局は、加速度計を含む場合、以前に確立された位置から4メートルほどの移動を経たことを知ることがある。移動局は、それが現在存在し得る位置の範囲を限定するためにそのデータを使用することができる。3軸加速度計および高度計もまた、Z軸に沿った移動を決定するために組み合わされてよい。
【0086】
B615およびB620で各WAPへの2つの距離推定が決定されると、距離推定を処理して、組み合わされた各WAPへの距離推定を生成することができる(B625)。この処理は、カルマンフィルタ、フェージングメモリフィルタ、最小平均二乗誤差(MMSE:minimal mean square error)技法などを含めて、任意のタイプの統計的および/または決定論的手法を含んでよい。
【0087】
組み合わされた各WAP 311kへの距離を使用して、移動局108は、組み合わされた距離およびネットワーク形状に基づいて、従来の三辺測量方法を使用してその位置を決定してよい(B630)。
【0088】
図7は、図6に示された処理ブロック615〜625への代替手法を提供する別の実施形態700のフローチャートである。図7で、補足の距離は、WAP 311によって提供されたACK応答に関連する測定された信号強度RSSIに基づく。各WAPのRSSI測定は、先に記載されたモデルを使用して、距離にマップすることができる。これらのRSSIベースの距離は、移動局108の位置を決定し、またWAP 311の処理時間を較正するために、RTTベースの距離と共に使用されてよい。
【0089】
さらに図7を参照すると、各WAP 311kへのRTTが測定された(図6、610)後、RSSIに基づいて各WAP 311kへの距離が決定される(B715)。(各WAPの)測定されたRSSI値は、各WAP 311kから測定されたRTTレンジングパケットの平均であってよい。移動局108は、次式に基づいて、RSSIを使用して各WAP 311kへの距離を決定してよい。
【0090】
【数8】

【0091】
ここで、dRSSI,kは、移動局108からWAP 311kへの距離である。
【数9】

は、RSSIに基づく距離dRSSI,kの分散である。
(RSSI)は、距離とRSSIを関連付ける数学的モデルである。
【数10】

は、分散とRSSIを関連付ける数学的モデルである。
【0092】
次いで、移動局108は、RTT雑音nの平均および分散を推定してよい。移動局108がRTT雑音を決定すると、下記を推定することができる。
【0093】
【数11】

【0094】
ここで、
【数12】

は、RTT雑音の平均の推定である。
【数13】

は、RTT雑音の分散の推定である。
μn,k(dRSSI,k)は、WAP 311kへの距離の関数としての平均RTT雑音の数学的モデルである。
【数14】

は、WAP 311への距離の関数としてのRTT雑音の分散の数学的モデルであり、ここで、移動局は、RTT雑音分散をより控えめに推定するために、
【数15】

を加算する。
【0095】
移動局108は、RTT統計について知らない場合、たとえば、RTTタイミングが50 ns分解能を有する20 MHzクロックを使用して推定されるとして、
【数16】

かつ
【数17】

と仮定することができる。
【0096】
次いで、移動装置108は、測定されたRTTに基づいて各WAP 311kへの距離を決定することができ(B720)、以下の数式を使用して、測定されたRTTに基づいて距離の分散を決定することもできる。
【0097】
【数18】

【0098】
ここで、dRTT,kは、各WAP 311kへのRTTベースの距離である。
【数19】

は、WAP 311kへのm回の測定の平均RTT時間である。
【数20】

は、WAP 311kの推定処理時間である。
【数21】

は、dRTT,kの分散である。
【数22】

は、
【数23】

の分散である。
【数24】

は、RTT雑音の分散の推定である。
は、WAP 311kに関連するRTT測定回数である。
【0099】
移動局108は、必要に応じてdRTT,kを切り捨てて、0と最大WAP 311範囲に入るようにしてよい。
【0100】
上記のようにRTTベースの距離および分散が決定されると、移動局108は、各WAP 311kへの組み合わされた距離推定を決定してよい(B723)。一実施形態では、組み合わされた距離推定は、距離推定dest,kを決定するために、各WAP 311kについて、RTTベースの距離dRTT,kとRSSIベースの距離dRSSI,kとの重み付き組合せを使用して実施することができる。この距離推定は、次式に基づいて最小平均二乗誤差(MMSE)推定量を使用することによって決定してよい。
【0101】
【数25】

【0102】
【数26】

として推定された分散を有する。
【0103】
上記の数式は、RSSIおよびRTT雑音を無相関のガウス分布としてモデル化できると仮定することができる。
【0104】
上記の距離推定量は、処理時間が不確かであること、またはRTT測定が非常に多くの雑音を含むことから
【数27】

が大きいときは、RSSIに依存してよい。しかしながら、処理時間が知られると(たとえば低い
【数28】

)、上記MMSE推定量は、RTT測定に、より大きく重み付けしてよい。
【0105】
各WAP 311kへの1組の距離{dest,k}が決定されると、次いでこの方法は、ブロック725に進んでよく、既知の三辺測量技法を使用して移動装置108の位置を決定することができる。他の実施形態では、三辺測量法または他の測位アルゴリズムが使用されてよい。そのアルゴリズムでは、より低い分散
【数29】

を有する距離にはより大きい重みを与えてよい。三辺測量アルゴリズムは、たとえばカーマンフィルタリングを使用して軌道円滑化を実施するために過去の局所化データを使用することもできる。
【0106】
III.位置決定を向上させるためのレンジングモデルの更新
位置決定プロセスを向上させるために、本発明の様々な実施形態は、その精度を適応的に向上させるためにレンジングモデルを更新することを提供する。一実施形態では、RTTレンジングモデルで使用される各WAP 311kに関連する処理時間
【数30】

が、反復手法を使用して更新されてよい。したがって、これらの処理時間
【数31】

は、より適切な値を得るための「学習」プロセスを通じて改良することができる。他の実施形態では、RSSIレンジングモデルは、その忠実度を向上させるための適応プロセスを用いて調整されてよい。モデルの様々な側面を連続的に監視し、モデルを向上させるべきと決定される場合には更新してよい。
【0107】
図8は、無線信号モデルを適応的に向上させるための例示的な方法800を示すフローチャートを示している。移動局108は、無線信号モデルを使用して各WAP 311kへの距離を測定してよい(B815)。説明し易くするために、ここでは1つのモデルについてしか説明していないが、他の実施形態は、複数の無線信号モデルを使用してよい。次いで、移動局108の位置が、従来の局所化(たとえば三辺測量)技法を使用して計算されてよい(B820)。移動局108の位置が推定されると、移動局108は、推定された位置と各WAP 311kの間の距離を計算することができる。B825で決定された計算された距離、およびB815で決定された測定された距離を使用して、移動局108は、その忠実度を向上させるために無線信号モデルを更新してよい。以下に示されるように、たとえば、RTTレンジングモデルは、各WAP 311kに関連する処理時間
【数32】

を更新することによって向上させることができる。他の実施形態では、やはり以下でより詳細に説明されるように、RSSIレンジングモデルに関連する係数を更新してよい。
【0108】
B830でモデルが更新されると、モデルが収束したかどうか決定するためのテストを実施してよい(B835)。このテストは、モデル内の関心パラメータの単純なしきい値であってもよいし、統計的測定に基づくより精巧なメトリックであってもよい。モデルが収束すると、さらなる反復は、モデルへのわずかな向上しかもたらし得ず、したがって実施するに値しないことがある。B835でさらなる収束が観測されない場合は、その後の位置決定は、更新された無線モデルを使用して実施してよい(B840)。
【0109】
3.1 最小平均二乗誤差を使用したRTTモデルの更新
図8をさらに参照すると、先に記載されたプロセス800の別の実施形態では、無線信号モデルがRTTレンジングモデルである場合の詳細が、下記に提供されている。移動局の位置が決定されると、移動局108は、位置に基づいて、各WAP 311kの推定された処理時間
【数33】

を更新してよい。B820で位置決定(たとえば三辺測量)を実施した後、移動局108は、処理時間
【数34】

、(たとえばMACIDに基づく)観測されたWAP 311kに関する情報で、ローカルデータベース(たとえばパラメータデータベース224)またはリモートデータベースを更新するオプションを有する。実施形態は、局所化システムが、多大な事前の配置コストを必要とせずに、それぞれの
【数35】

を変化させることによって時間をかけて学習し適応させることを可能にする。
【0110】
下記のさらなる詳細は、移動局108が処理遅延の推定を更新することを可能にするために提示されている。このアルゴリズムは、空間内の現在位置での三辺測量誤差は、以前の測定とは相関がないと仮定し得る。すなわち、移動局108は、空間内の前の位置から十分に遠く移動したときにこの処理遅延更新手順を実施すべきである。移動局108は、RSSIまたはRTT測定の大きい変化を検出し、かつ/または他のセンサ(たとえば動きセンサ212)を使用することによってこうした移動を推定してよい。
【0111】
三辺測量の後、移動局108は、推定された位置とWAP 311kの間の距離dtri,kを計算してよい。平均ラウンドトリップ時間
【数36】

と三辺測量後の距離dtri,kは、以下の行列方程式によって関連付けることができる。
【0112】
【数37】

【0113】
ここで、Δは、WAP 311の正確な処理時間遅延であり、dは、WAP 311への正確な距離であり、
【数38】

は、RTT測定における平均雑音であり、εは、三辺測量後の誤差である。知られていない三辺測量後の誤差分散を、
【数39】

と定義する。妥当なヒューリスティックは、三辺測量には測位誤差への平均化効果が有り得るので、次式を使用してモデル化された三辺測量前の距離の平均分散をとることであってよい。
【0114】
【数40】

【0115】
移動局108は、上記の行列方程式の右辺のすべての変数を、以下で説明されるように、無相関であり、正規分布したものとしてモデル化することができる。
【0116】
【数41】

【0117】
次いで、移動局108は、以下の数式を用いて示されるように、最小平均二乗誤差(MMSE)技法を使用して、処理時間遅延の更新された推定を形成することができる。
【0118】
【数42】

【0119】
ここで、
【数43】

かつ
【数44】

である。
【0120】
新しい処理時間
【数45】

は、現在の処理時間
【数46】

と、RTT測定、RSSI距離および三辺測量後距離から導出され得る測定された処理時間
【数47】

との重み付けされた和である。重み付けは、処理時間の推定された分散によって決まり得る。学習の初期段階では典型的に、
【数48】

であり、処理時間は
【数49】

で更新される。中間段階では、
【数50】

は、測定が
【数51】

の大幅な減少をもたらすときはいつでも更新されてよい。
【数52】

が収束すると、
【数53】

に基づいて、処理時間は、
【数54】

で安定状態に達し得る。
【0121】
3.2 反復技法を使用したRSSIモデルの更新
図8に示されたプロセスの別の実施形態では、無線信号モデルは、RSSIレンジングモデルに基づいてよい。図9は、RSSIに基づいて移動局と無線アクセスポイントの間の距離を決定するのに使用される例示的なレンジングモデルのグラフである。様々な実施形態では、移動局108は、各WAP 311kによって送信された信号を「リスン」することができ、この信号はビーコンの形であってよい。各送信の信号強度は、たとえばオフィスビルやショッピングモールなど、配置環境に基づき得るモデルを使用して距離に変換することができる。図9に示されたように、RSSI対距離の例示的なプロットは、屋内環境を表すものであり、上限および下限が示されている。これらの限界は、RSSIの分散に基づいてよい。他の実施形態では、このモデルは、図10について下記により詳細に示されるように、WAP配置のマップに基づく伝搬モデルに基づいてよい。
【0122】
このモデルは、各WAP 311kについて、信号強度を距離に変換するために使用されてよい。初期の距離推定は、RSSIからの最小/最大範囲の中間点によって決定することができるが、より精巧な手法が使用されてもよい。移動局108の位置を大まかに近似するために初期距離推定を使用して、三辺測量が実施されてよい。一部の実施形態では、RSSI測定の分散を使用して、三辺測量の前に信頼度に基づいて距離推定を重み付けすることができる(たとえば、低分散の距離推定は、高分散の推定よりも大きく重み付けされ得る)。さらに、平均化、フィルタリングおよび/または他の処理により雑音を減少させるために、各WAP 311に対して複数の測定を短期間に実施してよい。他の実施形態では、様々なモデルが、RSSIの関数として平均距離、およびこの距離における分散を提供してよい。
【0123】
こうしたモデルを使用することの利点には、多大な時間を要する関心環境のフィンガープリンティングを回避すること、推定を決定するのに追加の無線トラヒックを生成しないこと、および標準無線プロトコル(たとえば802.11a/b/g/nなど)を、それらを変更せずに使用することが含まれ得る。
【0124】
図10は、RSSIに基づいて無線アクセスポイントと移動局の間の距離推定を向上させるためにモデル化され得る例示的な屋内環境1000の図を示している。この環境では、移動局108は、複数のローカルエリアネットワーク無線アクセスポイント(LAN−WAP)1006と無線信号が交換可能であってよい。一部のLAN−WAP、たとえば1006a、1006cおよび1006eは、移動局108との直接の見通し線内にあってよい。他の形の電子干渉がない状態では、LAN−WAP 1006a、1006cおよび1006eから受信された信号は、比較的強力であると期待され得る。他のLAN−WAP、たとえば1006bおよび1006dは、それぞれ異なる部屋に常駐することがあり、壁などの建物の障害物によって信号を減衰させることがある。LAN−WAP 1006bおよび1006eと交換された信号の減衰は、壁を構築する際に使用された素材によって変化することがある。距離と信号強度を関連付けるRSSIモデルは、屋内環境1000に基づいて生成することができる。こうしたモデルは、移動装置108に対する各LAN−WAPの形状、および/または環境内の障害物に対する各LAN−WAPの形状を含んでよい。さらに、こうしたモデルは、たとえばモジュールに対する障害物の素材、その減衰効果(たとえば金属壁対乾式壁)、LAN−WAPアンテナの放射パターン、望ましくないソース(たとえばLANの外部の他のWAP)からの干渉信号、個々の各LAN−WAP 1006の型およびモデルなど、信号に影響を及ぼす他の要因をも含むことがある。
【0125】
一部の実施形態では、移動局は、特定のチャネルを介してLAN−WAPネットワーク形状を既に受け取っていることがある。こうしたチャネルは、存在すると見なされ得る局地的条件に関する情報を提供するために使用されてよい。たとえば、チャネルは、基礎RSSIモデルの忠実度を向上させる局地的条件のレイトレーシングベースのモデルを提供するために使用されてよい。このモデルは、現場のレイトレーシングと同じように詳細な形で提供してもよいし、既知の1組の一般的なモデル(たとえば「講堂」、「キューブファーム」、「高層オフィス」)への言及のように単純な形で提供してもよい。他の実施形態では、環境の完全な地図を提供することができ、移動局108は、それ自体のレイトレーシングモデルを作成し、かつ/またはより適切なRSSIモデルを選ぶためにパターンマッチングを実施することもできる。
【0126】
他の実施形態では、RSSIモデルは、動的な性質のものであってよく、したがって、移動局108が環境1000全体に渡って移動する間、時間をかけて反復するやり方で改良することができる。たとえば、移動局108は最初に、(たとえば先の図5および図9で説明されたように)環境の地図から、かつ/またはオフィス、倉庫、モールなどの一般的なモデルから生成されたレイトレーシングモデルを使用して、RSSIが距離と共にどのように振る舞うかについての単純なモデルから開始してよい。次いで、移動局108は、環境内を動き回って、先に記載された測位アルゴリズムを使用してそれ自体の場所を局所に定めることができる(localize oneself)。モデルからの偏差を比較してよく、移動局108の計算された位置に基づいてモデルが更新される。
【0127】
3.3 RSSIモデルを使用した境界範囲によるRTTモジュールの更新
図11は、移動局の位置を決定し、RTTモデルを適応的に向上させるためにRTTレンジングモジュールとRSSIレンジングモジュールの両方を使用する別の例示的なプロセス1100を示すフローチャートである。
【0128】
この実施形態では、移動局は、WAP無線範囲の既知の制限に基づいてWAP 311処理時間の初期推定を決定してよい。移動局108は、三辺測量アルゴリズムを使用してその位置を計算してよく、典型的には2次元空間で少なくとも3つのWAP 311が見える。移動局は、その最新の計算された位置を以前の位置解決法と比べることによって、WAP 311の処理時間の以前の推定への更新を実施してよい。更新された位置計算および追加のRTT測定を使用して、移動局108は、より多くの測定値が得られる間、処理時間推定を改良し続けることができる。このプロセスの詳細が、下記に提示される。
【0129】
プロセス1100は、移動装置108に各WAP 311kに関連する様々なパラメータを初期化させることにより開始してよい(B1105)。このプロセスは、B605で説明された初期化に類似し得る。次いで、移動局108は、各WAP 311kへのRTT測定を実施してよい(B1110)。上記と同様に、RTTのモデルは、次式のように示すことができる。
RTT=2d+Δ+n (12)
ここで、
は、移動局108とWAP 311kとの間の実際の距離(ft)である。
Δは、WAP 311kの実際の処理時間(ns)である。
は、距離dによって決まる平均および分散をもつ均一の雑音である。
【0130】
上記実施形態と同様に、上記の方法は、各WAP 311kの処理時間Δを推定してよい。このモデルは、雑音nがここでは一様分布を使用してモデル化できるが、プロセス800ではガウス分布が使用され得るという点で、先の3.1に記載された上記プロセス800で使用されるモデルとは異なることに留意されたい。雑音nは、同じ位置で得られたいくつかの測定を平均することにより緩和することができる。移動局108が静止しており、または低速で移動している場合、この仮定は妥当であり得る。
【0131】
上記に提示されたように、距離および時間の単位がそれぞれフィートおよびナノ秒であるので、光伝搬速度は、〜1 ft/nsと推定できることに留意されたい。
【0132】
RTTが決定されると、移動局は、信号強度測定に基づいて各WAP 311k処理時間
【数55】

の初期推定を決定してよい(B1115)。
【0133】
ブロック1110でRTT測定を行う際に使用された1つまたは複数の受信パケットの強度を決定することによって、移動局108は、次式で表されたように、WAP 311kへの距離dを、最大範囲(Rk,max)と最小範囲(Rk,min)の間の間隔内にあるものとして定めることができる。
k,min≦d≦Rk,max (13)
【0134】
各WAP 311kごとに処理時間が異なる場合、処理時間
【数56】

の初期推定は、各WAP 311kの上記間隔の中間点として近似することができる。
【0135】
【数57】

【0136】
各WAP 311kについて処理時間が同じである場合は、処理時間
【数58】

の初期推定は、WAP 311の上記間隔の交差の中間点として近似することができる。
【0137】
【数59】

【0138】
プロセス1100は、次に、測定されたRTTに基づいて移動局の位置を、次いでWAP処理時間推定を計算してよい(B1120)。位置を決定するために、移動局108は、各WAP 311kに関連するRTT測定を、推定された距離
【数60】

に変換してよい。各WAP 311kへの推定された距離は、次式を使用して決定することができる。
【0139】
【数61】

【0140】
使用可能なWAP 311kについて1組の推定された距離
【数62】

が決定されると、移動局108は、三辺測量を使用してその位置(x,y)を計算してよい。典型的には、計算された位置(x,y)の誤差は、各推定された距離に関連する誤差より小さい。
【0141】
次いで、このプロセスは、各WAP 311への距離を更新し、次いで、新しい距離に基づいて各WAPの新しい処理時間を決定してよい(B1125)。各WAP 311kへの新しい距離は、次式を使用して決定することができる。
【0142】
【数63】

【0143】
ここで、
(x,y)は、移動局の最新の位置である。
(x,y)は、各WAP 311kの位置である。
【0144】
移動局108は、各WAP 311kがそれぞれ異なる処理時間を有する場合には、新しい距離推定
【数64】

から、次式を使用して処理時間推定
【数65】

を更新することができる。
【0145】
【数66】

【0146】
それぞれのWAP 311kが実質的に同じ処理時間を有すると仮定できる場合は、次式を使用して、処理時間推定を更新することができる。
【0147】
【数67】

【0148】
処理時間推定をさらに改良するためにさらなる反復を行うべきか判断するためのテストが実施されてよい。一実施形態では、WAP 311処理推定は、それが収束したかどうか決定するためにテストされてよい(B1135)。あるいは、処理時間のさらなる改良を実施すべきか判断するために、各WAPへの距離、またはその数学的関数(たとえば平均距離)に対してテストが実施されてよい。さらなる反復が有用である場合、プロセス1100は、ループしてブロック1140に戻り、各WAP 311kへのラウンドトリップ時間が再び測定される。雑音の影響を緩和するために、複数の測定を実施してよく、また従来の測定(たとえば平均化、FIR/IIRをフィルタリングなど)と数学的に組み合わせてよいことを理解されたい。次いで、新しいRTT測定は、各WAP 311kに関連する処理時間推定
【数68】

を改良するために、ブロック1120から1125の反復において使用することができる。
【0149】
B1135で、処理時間のさらなる改良を実施すべきでないと決定される場合、プロセス1100は、移動局108の位置が変化したかどうか決定するために移動局108の位置を監視してよい(B1141)。そうである場合は、移動局108は、プロセス1100を繰り返し、ブロック1110へと戻るループを開始する。この場合、新しいWAPが発見される場合、先のブロック1115で説明されたように、初期処理時間を計算してよい。しかしながら、改良された処理時間(それらがそれぞれ異なると仮定する)が既に決定された範囲内にまだ存在するWAPの場合、これらのWAPについての改良された時間を使用して、プロセス1100の効率を向上させることができる。ブロック1141で移動局108の位置が変化していないと決定される場合は、移動局は、位置の変更を検出するためにその位置を監視してよい(B1142)。
【0150】
一部の実施形態では、ブロック1141で移動局108が位置を変更したかどうか決定することは、動きセンサ212、または他の何らかの形の位置決定(たとえばAFLT、GPSなど)を使用して遂行されてよい。これらの実施形態では、移動装置の動きの状態を監視することができ、動きが検出されると、このプロセスは、先に記載されたように再開する。
【0151】
移動局が動きセンサ212をもたないことがあり、または他の手段による動き検出が環境により妨げられる(たとえば信号カバレッジがGPSおよび/またはAFLTに不十分である)他の実施形態では、移動局は、更新された処理時間を使用して各WAPへのRTTを測定し続け(B1145)、次いで先に記載されたように、更新されたWAP処理時間に基づいてその位置を決定することによって(B1150)、ブロック1142でその位置を監視することができる。
【0152】
情報および信号は、様々な異なる技術および技法のいずれかを使用して表され得ることが当業者には理解されよう。たとえば、上記説明を通して参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボルおよびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁粒子、光場または光粒子、あるいはその任意の組合せによって表すことができる。
【0153】
さらに、本明細書に開示された諸実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両者の組合せとして実装できることが当業者には理解されよう。ハードウェアとソフトウェアのこの可換性について明確に示すために、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路およびステップは、概してその機能性に関して上記に説明されている。こうした機能性がハードウェアとして実装されるか、それともソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課された特定の用途および設計制約によって決まる。当業者は、それぞれの特定の応用例について、説明された機能性を様々なやり方で実施してよいが、こうした実装上の決定は、本発明の範囲からの逸脱をもたらすものと解釈すべきではない。
【0154】
本明細書に記載された方法論は、応用例に応じて様々な手段によって実装することができる。たとえば、これらの方法論は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはその任意の組合せで実装されてよい。ハードウェア実装では、処理装置は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、デジタル信号処理デバイス(DSPD:digital signal processing device)、プログラマブル論理デバイス(PLD:programmable logic device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書に記載された機能を実施するように設計された他の電子装置、またはその組合せ内で実装されてよい。
【0155】
ファームウェアおよび/またはソフトウェア実装では、方法論は、本明細書に記載された機能を実施するモジュール(たとえば手順、関数など)で実装されてよい。命令を有形に具現化する任意の機械読取り可能な記録媒体が、本明細書に記載された方法論を実施する際に使用されてよい。たとえば、ソフトウェアコードは、メモリに格納され、処理装置によって実行されてよい。メモリは、処理装置内に実装されてもよいし、処理装置の外部に実装されてもよい。本明細書では、用語「メモリ」は、任意のタイプの長期、短期、揮発性、不揮発性または他のメモリを指し、特定のタイプのメモリまたは特定の数のメモリ、あるいはメモリが格納される媒体タイプに限定されない。
【0156】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ読取り可能な記録媒体内に1つまたは複数の命令またはコードとして格納することができる。例えば、データ構造体で符号化されたコンピュータ読取り可能な記録媒体、およびコンピュータプログラムで符号化されたコンピュータ読取り可能な記録媒体が含まれる。コンピュータ読取り可能な記録媒体は、物理的なコンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の使用可能媒体であってよい。限定のためではなく、例を挙げると、こうしたコンピュータ読取り可能な記録媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶デバイス、あるいは所望のプログラムコードを命令またはデータ構造体の形で格納するために使用可能であり、またコンピュータによってアクセス可能である他の任意の記録媒体を備えてよい。本明細書では、ディスク(disk、disc)は、コンパクトディスク(CD:compact disc)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disc)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイディスクを含む。ここで、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、データをレーザで光学的に再生する。上記内容の組合せもまた、コンピュータ読取り可能媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0157】
コンピュータ読取り可能媒体内の格納に加えて、命令および/またはデータは、通信装置内に含まれた伝送媒体内に信号として提供することができる。たとえば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含んでよい。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、特許請求の範囲内に略述された機能を実施させるように構成される。すなわち、通信装置は、開示された機能を実施する情報を示す信号を有する伝送媒体を含む。第1のときには、通信装置内に含まれた伝送媒体は、開示された機能を実施するための情報の第1の部分を含んでよく、第2のときには、通信装置内に含まれた伝送媒体は、開示された機能を実施するための情報の第2の部分を含んでよい。
【0158】
上記開示は、本発明の例示的な実施形態を示しているが、特許請求の範囲に定められた本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を加えてよいことに留意されたい。本明細書に記載された本発明の諸実施形態による方法クレームの機能、ステップおよび/または動作は、いずれかの特定の順序で実施する必要はない。さらに、本発明の要素は、単数形で記載されまたは特許請求され得るが、単数形に限定されることが明示的に示されていない限り、複数形であることも意図している。
【符号の説明】
【0159】
100 動作環境
102 衛星測位システム/SPS
104,104a,104b,104c 広域ネットワーク無線アクセスポイント/WAN−WAP
106,106a,106b,106c,106d,106e ローカルエリアネットワーク無線アクセスポイント/LAN−WAP
108 移動局
110 測位サーバ
112 ネットワーク
200 移動局
202 アンテナ
204 広域ネットワークトランシーバ
206 ローカルエリアネットワークトランシーバ
208 SPS受信機
210 プロセッサ
212 動きセンサ
214 メモリ
216 測位モジュール
218 アプリケーションモジュール
220 RSSIモジュール
222 RTTモジュール
224 パラメータデータベース
226 補助位置/動きデータ
250 ユーザインターフェース
252 マイクロホン/スピーカ
254 キーパッド
256 ディスプレイ
311,311a,311b,311c 無線アクセスポイント/WAP
1006,1006a,1006b,1006c,1006d,1006e ローカルエリアネットワーク無線アクセスポイント/LAN−WAP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局の位置を無線で決定するための方法であって、
複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間(RTT)を測定する段階と、
各無線アクセスポイントに関連する前記ラウンドトリップ時間遅延および初期処理時間に基づいて各無線アクセスポイントへの第1距離を推定する段階と、
補足的情報に基づいて各無線アクセスポイントへの第2距離を推定する段階と、
各無線アクセスポイントへの前記第1距離推定と前記第2距離推定とを組み合わせる段階と、
前記組み合わされた距離推定に基づいて前記移動局の前記位置を計算する段階と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記補足的情報が、受信信号強度(RSSI)、以前の位置推定、および/または、Bluetooth、ビーコン、RFIDタグ、地図からの座標、および/または衛星測位システム(SPS)信号から提供される情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各無線アクセスポイントへの前記第2距離を決定する段階が、
各無線アクセスポイントからのパケットの受信信号強度を測定する段階と、
前記測定された信号強度に基づいて各無線アクセスポイントへの距離を推定する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記測定された信号強度に基づいて各無線アクセスポイントへの距離を推定する段階が、
モデルを使用して受信信号強度(RSSI)と距離とを関連付ける段階をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記モデルが、RSSIの関数として平均距離および当該距離の分散を提供することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記モデルが、屋内環境を想定して、前記移動局と無線アクセスポイントとの間の距離の関数としてRSSIの上限および下限を提供することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記モデルが、各無線アクセスポイントの配置を示す地図に基づく伝搬モデルをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記モデルが、前記RSSIを、前記移動局と無線アクセスポイントとの間の近似最大距離に関連付けることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記無線アクセスポイントへのラウンドトリップ時間遅延を測定する段階が、
前記移動局から前記アクセスポイントにパケットを送信する段階と、
前記送信されたパケットが送られた第1時間を記録する段階と、
前記送信されたパケットに応答して前記無線アクセスポイントから応答パケットを受信する段階と、
前記応答パケットが受信された第2時間を記録する段階と、
記録された前記第2時間と記録された前記第1時間との間の差を計算する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記送信されたパケットが、前記移動局が前記無線アクセスポイントと関連をもたないユニキャストパケットを使用することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記送信されたパケットが、前記移動局が前記無線アクセスポイントと関連をもつパケットを使用することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記移動局および前記無線アクセスポイントが、IEEE 802.11規格、セルラピコネット、セルラフェムトセル、および/またはBluetoothネットワーキング規格に従って動作することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
受信信号強度表示に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれを選択する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
各無線アクセスポイントへの前記第1距離および前記第2距離を使用して前記移動局の前記位置を計算する段階が、
前記第1距離と前記第2距離との重み付きの組合せを実施することによって前記組み合わされた距離を決定する段階であって、前記第1距離が、RSSI測定に関連する第1分散によって重み付けされ、前記第2距離が、ラウンドトリップ時間雑音に関連する第2分散によって重み付けされる、段階と、
各無線アクセスポイントに関連する前記組み合わされた距離を使用して三辺測量を実施する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
無線位置決定のための装置であって、
無線トランシーバと、
前記無線トランシーバに接続されたプロセッサと、
前記プロセッサに接続されたメモリと
を具備し、
前記メモリは、実行可能命令及びデータを格納し、
前記実行可能命令及びデータは、前記プロセッサに、
複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間(RTT)を測定する手順と、
各無線アクセスポイントに関連する前記ラウンドトリップ時間遅延および初期処理時間に基づいて各無線アクセスポイントへの第1距離を推定する手順と、
補足的情報に基づいて各無線アクセスポイントへの第2距離を推定する手順と、
各無線アクセスポイントへの前記第1距離推定と前記第2距離推定を組み合わせる手順と、
前記組み合わされた距離推定に基づいて前記移動局の前記位置を計算する手順と
を実行させることを特徴とする装置。
【請求項16】
前記補足的情報が、受信信号強度(RSSI)、以前の位置推定、および/または、Bluetooth、ビーコン、RFIDタグ、地図からの座標、および/または衛星測位システム(SPS)信号から提供される情報を含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
各無線アクセスポイントへの前記第2距離を決定する手順が、
各無線アクセスポイントからのパケットの受信信号強度を測定する手順と、
前記測定された信号強度に基づいて各無線アクセスポイントへの距離を推定する手順と
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記測定された信号強度に基づいて各無線アクセスポイントへの距離を推定する手順が、
モデルを使用して受信信号強度(RSSI)と距離とを関連付けさせる手順をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記モデルが、RSSIの関数として平均距離および当該距離の分散を提供することを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記モデルが、屋内環境を想定して、前記移動局と無線アクセスポイントとの間の距離の関数としてRSSIの上限および下限を提供することを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記モデルが、各無線アクセスポイントの配置を示す地図に基づく伝搬モデルをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記モデルが、前記RSSIを、前記移動局と無線アクセスポイントとの間の近似最大距離に関連付けることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記無線アクセスポイントへのラウンドトリップ時間遅延の測定する手順が、
前記移動局から前記アクセスポイントにパケットを送信する手順と、
前記送信されたパケットが送られた第1時間を記録する手順と、
前記送信されたパケットに応答して前記無線アクセスポイントから応答パケットを受信する手順と、
前記応答パケットが受信された第2時間を記録する手順と、
記録された前記第2時間と記録された前記第1時間との間の差を計算する手順と
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項24】
前記送信されたパケットが、前記移動局が前記無線アクセスポイントと関連をもたないユニキャストパケットを使用することを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記送信されたパケットが、前記移動局が前記無線アクセスポイントと関連をもつパケットを使用することを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記移動局および前記無線アクセスポイントが、IEEE 802.11規格、セルラピコネット、セルラフェムトセル、および/またはBluetoothネットワーキング規格に従って動作することを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記実行可能命令及びデータが、前記プロセッサに、
受信信号強度表示に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれを選択する手順をさらに実行させることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項28】
各無線アクセスポイントへの前記第1距離および前記第2距離を使用して前記移動局の前記位置を計算する手順が、
前記第1距離と前記第2距離との重み付きの組合せを実施することによって前記組み合わされた距離を決定する手順であって、前記第1距離が、RSSI測定に関連する第1分散によって重み付けされ、前記第2距離が、ラウンドトリップ時間雑音に関連する第2分散によって重み付けされる、手順と、
各無線アクセスポイントに関連する前記組み合わされた距離を使用して三辺測量を実施する手順と
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項29】
無線位置決定のための装置であって、
複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間(RTT)を測定する手段と、
各無線アクセスポイントに関連する前記ラウンドトリップ時間遅延および初期処理時間に基づいて各無線アクセスポイントへの第1距離を推定する手段と、
補足的情報に基づいて各無線アクセスポイントへの第2距離を推定する手段と、
各無線アクセスポイントへの前記第1距離推定と前記第2距離推定を組み合わせる手段と、
前記組み合わされた距離推定に基づいて前記移動局の前記位置を計算する手段と
を具備することを特徴とする装置。
【請求項30】
前記補足的情報が、受信信号強度(RSSI)、以前の位置推定、および/または、Bluetooth、ビーコン、RFIDタグ、地図からの座標、および/または衛星測位システム(SPS)信号から提供される情報を含むことを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
各無線アクセスポイントへの前記第2距離を決定する手段が、
各無線アクセスポイントからのパケットの受信信号強度を測定する手段と、
前記測定された信号強度に基づいて各無線アクセスポイントへの距離を推定する手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記測定された信号強度に基づいて各無線アクセスポイントへの距離を推定する手段が、
モデルを使用して受信信号強度(RSSI)と距離とを関連付ける手段をさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記モデルが、RSSIの関数として平均距離および当該距離の分散を提供することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記モデルが、屋内環境を想定して、前記移動局と無線アクセスポイントとの間の距離の関数としてRSSIの上限および下限を提供することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記モデルが、各無線アクセスポイントの配置を示す地図に基づく伝搬モデルをさらに含むことを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記モデルが、前記RSSIを、前記移動局と無線アクセスポイントとの間の近似最大距離に関連付けることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記無線アクセスポイントへのラウンドトリップ時間遅延を測定する段階が、
前記移動局から前記アクセスポイントにパケットを送信する手段と、
前記送信されたパケットが送られた第1時間を記録する手段と、
前記送信されたパケットに応答して前記無線アクセスポイントから応答パケットを受信する手段と、
前記応答パケットが受信された第2時間を記録する手段と、
記録された前記第2時間と記録された前記第1時間との間の差を計算する手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項38】
前記送信されたパケットが、前記移動局が前記無線アクセスポイントと関連をもたないユニキャストパケットを使用することを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記送信されたパケットが、前記移動局が前記無線アクセスポイントと関連をもつパケットを使用することを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記移動局および前記無線アクセスポイントが、IEEE 802.11規格、セルラピコネット、セルラフェムトセル、および/またはBluetoothネットワーキング規格に従って動作することを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項41】
受信信号強度表示に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれを選択する手段をさらに具備することを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項42】
各無線アクセスポイントへの前記第1距離および前記第2距離を使用して前記移動局の前記位置を計算する手段が、
前記第1距離と前記第2距離との重み付きの組合せを実施することによって前記組み合わされた距離を決定する手段であって、前記第1距離が、RSSI測定に関連する第1分散によって重み付けされ、前記第2距離が、ラウンドトリップ時間雑音に関連する第2分散によって重み付けされる、手段と、
各無線アクセスポイントに関連する前記組み合わされた距離を使用して三辺測量を実施する手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項43】
複数の無線アクセスポイントによって提供された信号を使用して移動局の位置を無線で決定するための方法であって、
無線信号モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの距離を測定する段階と、
前記測定された距離に基づいて前記移動局の位置を計算する段階と、
前記移動局の前記計算された位置に基づいて各無線アクセスポイントへの計算された距離を決定する段階と、
各無線アクセスポイントへの前記測定され計算された距離に基づいて前記無線信号モデルを更新する段階と、
前記無線信号モデルが収束したかどうか決定する段階と
を有することを特徴とする方法。
【請求項44】
前記無線信号モデルが収束していない場合は請求項43に記載の方法を繰り返す段階をさらに有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記無線信号モデルが収束していないと決定する段階と、
前記更新された無線信号モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの前記距離測定を改良する段階と、
前記改良された距離測定に基づいて前記移動局の改良された位置を計算する段階と、
前記移動局の前記改良された位置に基づいて各無線アクセスポイントへの別の計算された距離を決定する段階と、
前記改良された測定、および各無線アクセスポイントへの計算された距離に基づいて前記無線信号モデルを更新する段階と
をさらに有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記無線信号モデルが、前記移動局と各無線アクセスポイントとの間の前記距離を前記無線信号のラウンドトリップ時間(RTT)に関連付けることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間(RTT)を測定する段階と、
前記ラウンドトリップ時間遅延に基づいて各無線アクセスポイントへの第1距離を決定する段階と、
補足的情報に基づいて各無線アクセスポイントへの第2距離を決定する段階と、
各無線アクセスポイントへの前記第1距離および前記第2距離を使用して前記移動局の前記位置を計算する段階と、
前記移動局の前記計算された位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて初期処理時間を更新する段階と
をさらに有することを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記更新された処理時間のうちの少なくとも1つが収束していないと決定する段階と、
前記複数の無線アクセスポイントのそれぞれへの前記ラウンドトリップ時間遅延を測定する段階と、
各無線アクセスポイントに関連する前記ラウンドトリップ時間遅延および前記更新された処理時間に基づいて各無線アクセスポイントへの改訂された第1距離を決定する段階と、
各無線アクセスポイントへの前記改訂された第1距離および前記第2距離を使用して前記移動局の後続の位置を計算する段階と、
前記移動局の前記後続の位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて前記更新された処理時間を改良する段階と
をさらに有することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記補足的情報が、RSSIモデル、以前の位置推定、および/または、Bluetooth、ビーコン、RFIDタグ、地図からの座標、および/または衛星測位システム(SPS)信号によって提供される情報から導出されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記無線信号モデルが、前記移動局と各無線アクセスポイントとの間の前記距離を、前記無線信号の受信信号強度(RSSI)に関連付けることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記モデルが屋内環境を想定して、
前記屋内環境の初期モデルを受信する段階と、
各無線アクセスポイントへの初期距離に基づいて前記移動局の初期位置を計算する段階と、
前記計算された初期位置および前記パケットの前記受信信号強度を使用して前記初期モデルを更新する段階と
をさらに有することを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記移動局が前記屋内環境内を移動する間、後続の位置および受信信号強度測定に基づいて前記屋内環境の前記モデルを更新する段階をさらに有することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記初期モデルが、前記屋内環境の地図のレイトレーシングに基づいて生成されることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記初期モデルが、屋内環境の一般モデルに基づいて生成されることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項55】
屋内環境の前記一般モデルが、オフィス環境、倉庫環境、および/またはショッピングモール環境を含むことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記移動局の初期位置を計算する段階が、
前記初期モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの初期距離を決定する段階と、
前記初期距離を使用して三辺測量を実施する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記移動局の初期位置を計算する段階が、
観測されたRSSI値をフィンガープリンティングデータベースと一致させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項58】
各無線アクセスポイントへの前記第2距離を決定する段階が、
前記補足的情報から平均RTT雑音を決定する段階と、
前記RTTから前記初期処理時間および前記平均RTT雑音を引いて、調整された時間値を決定する段階と、
前記調整された時間を前記第2距離に変換する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項59】
前記平均RTT雑音値が、各無線アクセスポイントに関連する受信信号強度値に基づくことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記無線信号モデルが収束したと決定されたとき、
前記無線信号モデルに関連するパラメータを格納する段階をさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項61】
複数の無線アクセスポイントによって提供された信号を使用して移動局の位置を無線で決定するための装置であって、
無線トランシーバと、
前記無線トランシーバに接続されたプロセッサと、
前記プロセッサに接続されたメモリと
を具備し、
前記メモリは、実行可能命令およびデータを格納し、
前記実行可能命令およびデータは、前記プロセッサに、
無線信号モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの距離を測定する手順と、
前記測定された距離に基づいて前記移動局の位置を計算する手順と、
前記移動局の前記計算された位置に基づいて各無線アクセスポイントへの計算された距離を決定する手順と、
各無線アクセスポイントへの前記測定され計算された距離に基づいて前記無線信号モデルを更新する手順と、
前記無線信号モデルが収束したかどうか決定する手順と
を実行させることを特徴とする装置。
【請求項62】
前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
前記無線信号モデルが収束していない場合は請求項61に記載の命令を繰り返す手順をさらに実行させることを特徴とする請求項61に記載の装置。
【請求項63】
前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
前記無線信号モデルが収束していないと決定する手順と、
前記更新された無線信号モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの前記距離測定を改良する手順と、
前記改良された距離測定に基づいて前記移動局の改良された位置を計算する手順と、
前記移動局の前記改良された位置に基づいて各無線アクセスポイントへの別の計算された距離を決定する手順と、
前記改良された測定、および各無線アクセスポイントへの計算された距離に基づいて前記無線信号モデルを更新する手順と
をさらに実行させることを特徴とする請求項61に記載の装置。
【請求項64】
前記無線信号モデルが、前記移動局と各無線アクセスポイントとの間の前記距離を前記無線信号のラウンドトリップ時間(RTT)に関連付けることを特徴とする請求項61に記載の装置。
【請求項65】
前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
前記無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間(RTT)を測定する手順と、
前記ラウンドトリップ時間遅延に基づいて各無線アクセスポイントへの第1距離を決定する手順と、
補足的情報に基づいて各無線アクセスポイントへの第2距離を決定する手順と、
各無線アクセスポイントへの前記第1距離および前記第2距離を使用して前記移動局の前記位置を計算する手順と、
前記移動局の前記計算された位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて初期処理時間を更新する手順と
をさらに実行させることを特徴とする請求項64に記載の装置。
【請求項66】
前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
前記更新された処理時間のうちの少なくとも1つが収束していないと決定する手順と、
前記複数の無線アクセスポイントのそれぞれへの前記ラウンドトリップ時間遅延を測定する手順と、
各無線アクセスポイントに関連する前記ラウンドトリップ時間遅延および前記更新された処理時間に基づいて各無線アクセスポイントへの改訂された第1距離を決定する手順と、
各無線アクセスポイントへの前記改訂された第1距離および前記第2距離を使用して前記移動局の後続の位置を計算する手順と、
前記移動局の前記後続の位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて前記更新された処理時間を改良する手順と
をさらに実行させることを特徴とする請求項65に記載の装置。
【請求項67】
前記補足的情報が、RSSIモデル、以前の位置推定、および/または、Bluetooth、ビーコン、RFIDタグ、地図からの座標、および/または衛星測位システム(SPS)信号によって提供される情報から導出されることを特徴とする請求項65に記載の装置。
【請求項68】
前記無線信号モデルが、前記移動局と各無線アクセスポイントとの間の前記距離を、前記無線信号の受信信号強度(RSSI)に関連付けることを特徴とする請求項61に記載の装置。
【請求項69】
前記モデルが、屋内環境を想定して、前記実行可能命令およびデータ装置が、前記プロセッサに、
前記屋内環境の初期モデルを受信する手順と、
各無線アクセスポイントへの初期距離に基づいて前記移動局の初期位置を計算する手順と、
前記計算された初期位置および前記パケットの前記受信信号強度を使用して前記初期モデルを更新手順と
をさらに実行させることを特徴とする請求項68に記載の装置。
【請求項70】
前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
前記移動局が前記屋内環境内を移動する間、後続の位置および受信信号強度測定に基づいて前記屋内環境の前記モデルを更新する手順をさらに実行させることを特徴とする請求項69に記載の装置。
【請求項71】
前記初期モデルが、前記屋内環境の地図のレイトレーシングに基づいて生成されることを特徴とする請求項69に記載の装置。
【請求項72】
前記初期モデルが、屋内環境の一般モデルに基づいて生成されることを特徴とする請求項69に記載の装置。
【請求項73】
屋内環境の前記一般モデルが、オフィス環境、倉庫環境、および/またはショッピングモール環境を含むことを特徴とする請求項71に記載の装置。
【請求項74】
前記移動局の初期位置を計算する手順が、
前記初期モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの初期距離を決定する手順と、
前記初期距離を使用して三辺測量を実施する手順と
をさらに含むことを特徴とする請求項69に記載の装置。
【請求項75】
前記移動局の初期位置を計算する手順が、
観測されたRSSI値をフィンガープリンティングデータベースと一致させる手順をさらに含むことを特徴とする請求項69に記載の装置。
【請求項76】
各無線アクセスポイントへの前記第2距離を決定する手順が、
前記補足的情報から平均RTT雑音を決定する手順と、
前記RTTから前記初期処理時間および前記平均RTT雑音を引いて、調整された時間値を決定する手順と、
前記調整された時間を前記第2距離に変換する手順と
をさらに含むことを特徴とする請求項61に記載の装置。
【請求項77】
前記平均RTT雑音値が、各無線アクセスポイントに関連する受信信号強度値に基づくことを特徴とする請求項76に記載の装置。
【請求項78】
前記無線信号モデルが収束したと決定されたとき、
前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
前記無線信号モデルに関連するパラメータを格納する手順をさらに実行させることを特徴とする請求項61に記載の装置。
【請求項79】
複数の無線アクセスポイントによって提供された信号を使用して移動局の位置を無線で決定するための装置であって、
無線信号モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの距離を測定する手段と、
前記測定された距離に基づいて前記移動局の位置を計算する手段と、
前記移動局の前記計算された位置に基づいて各無線アクセスポイントへの計算された距離を決定する手段と、
各無線アクセスポイントへの前記測定され計算された距離に基づいて前記無線信号モデルを更新する手段と、
前記無線信号モデルが収束したかどうか決定する手段と
を具備することを特徴とする装置。
【請求項80】
前記無線信号モデルが収束していない場合は請求項79に記載の機能を繰り返す手段をさらに具備することを特徴とする請求項79に記載の装置。
【請求項81】
前記無線信号モデルが収束していないと決定する手段と、
前記更新された無線信号モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの前記距離測定を改良する手段と、
前記改良された距離測定に基づいて前記移動局の改良された位置を計算する手段と、
前記移動局の前記改良された位置に基づいて各無線アクセスポイントへの別の計算された距離を決定する手段と、
前記改良された測定、および各無線アクセスポイントへの計算された距離に基づいて前記無線信号モデルを更新する手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項79に記載の装置。
【請求項82】
前記無線信号モデルが、前記移動局と各無線アクセスポイントとの間の前記距離を前記無線信号のラウンドトリップ時間(RTT)に関連付けることを特徴とする請求項79に記載の装置。
【請求項83】
前記無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間(RTT)を測定する手段と、
前記ラウンドトリップ時間遅延に基づいて各無線アクセスポイントへの第1距離を決定する手段と、
補足的情報に基づいて各無線アクセスポイントへの第2距離を決定する手段と、
各無線アクセスポイントへの前記第1距離および前記第2距離を使用して前記移動局の前記位置を計算する手段と、
前記移動局の前記計算された位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて初期処理時間を更新する手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項82に記載の装置。
【請求項84】
前記更新された処理時間のうちの少なくとも1つが収束していないと決定する手段と、
前記複数の無線アクセスポイントのそれぞれへの前記ラウンドトリップ時間遅延を測定する手段と、
各無線アクセスポイントに関連する前記ラウンドトリップ時間遅延および前記更新された処理時間に基づいて各無線アクセスポイントへの改訂された第1距離を決定する手段と、
各無線アクセスポイントへの前記改訂された第1距離および前記第2距離を使用して前記移動局の後続の位置を計算する手段と、
前記移動局の前記後続の位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて前記更新された処理時間を改良する手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項83に記載の装置。
【請求項85】
前記無線信号モデルが、前記移動局と各無線アクセスポイントとの間の前記距離を、前記無線信号の受信信号強度(RSSI)に関連付けることを特徴とする請求項79に記載の装置。
【請求項86】
前記モデルが、屋内環境を想定して、
前記屋内環境の初期モデルを受信する手段と、
各無線アクセスポイントへの初期距離に基づいて前記移動局の初期位置を計算する手段と、
前記計算された初期位置および前記パケットの前記受信信号強度を使用して前記初期モデルを更新する手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項85に記載の装置。
【請求項87】
前記移動局が前記屋内環境内を移動する間、後続の位置および受信信号強度測定に基づいて前記屋内環境の前記モデルを更新する手段をさらに具備することを特徴とする請求項86に記載の装置。
【請求項88】
前記移動局の初期位置を計算する手段が、
前記初期モデルに基づいて各無線アクセスポイントへの初期距離を決定する手段と、
前記初期距離を使用して三辺測量を実施する手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項86に記載の装置。
【請求項89】
各無線アクセスポイントへの前記第2距離を決定する手段が、
前記補足的情報から平均RTT雑音を決定する手段と、
前記RTTから前記初期処理時間および前記平均RTT雑音を引いて、調整された時間値を決定する手段と、
前記調整された時間を前記第2距離に変換する手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項79に記載の装置。
【請求項90】
移動局の位置を無線で決定するための方法であって、
複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間遅延を測定する段階と、
前記無線アクセスポイントのそれぞれについて初期処理時間を推定する段階と、
前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および推定された処理時間に基づいて前記移動局の前記位置を計算する段階と、
前記移動局の前記計算された位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて前記推定された処理時間を更新する段階と
を有することを特徴とする方法。
【請求項91】
前記更新された処理時間が収束していないと決定する段階と、
前記複数の無線アクセスポイントのそれぞれへの前記ラウンドトリップ時間遅延を測定する段階と、
前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および更新された処理時間を使用して前記移動局の後続の位置を計算する段階と、
前記移動局の前記後続の位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて前記更新された処理時間を改良する段階と
をさらに有することを特徴とする請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記推定された処理時間が収束していないと決定する段階と、
前記移動局が位置を変更したと決定する段階と、
複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間遅延を測定する段階と、
前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および更新された推定された処理時間を使用して前記移動局の位置を計算する段階と
をさらに有することを特徴とする請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記無線アクセスポイントへのラウンドトリップ時間遅延を測定する段階が、
前記移動局から前記アクセスポイントにパケットを送信する段階と、
前記送信されたパケットが送られた第1時間を記録する段階と、
前記送信されたパケットに応答して前記無線アクセスポイントから応答パケットを受信する段階と、
前記応答パケットが受信された第2時間を記録する段階と、
記録された前記第2時間と記録された前記第1時間との間の差を計算する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記送信されたパケットが、前記移動局が前記無線アクセスポイントと関連をもたないユニキャストパケットを使用することを特徴とする請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記送信されたパケットが、前記移動局が前記無線アクセスポイントと関連をもつパケットを使用することを特徴とする請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記移動局および前記無線アクセスポイントが、IEEE 802.11規格、セルラピコネット、セルラフェムトセル、および/またはBluetoothネットワーキング規格に従って動作することを特徴とする請求項93に記載の方法。
【請求項97】
前記初期処理時間を推定する段階が、
各無線アクセスポイントからのパケットの受信信号強度を決定する段階と、
前記決定された信号強度に基づいて各無線アクセスポイントへの距離を推定する段階と、
前記推定された距離に基づいて各無線アクセスポイントの前記初期処理時間を計算する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項90に記載の方法。
【請求項98】
前記受信信号強度に基づいて各無線アクセスポイントへの前記距離を間隔内に入れる段階をさらに有することを特徴とする請求項97に記載の方法。
【請求項99】
少なくとも2つの無線アクセスポイントの前記処理時間が実質的に異なることが知られており、
各無線アクセスポイントの前記初期処理時間が、それぞれの間隔の中間点にあると推定する段階をさらに有することを特徴とする請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記無線アクセスポイントの前記処理時間が実質的に類似することが知られており、
前記初期処理時間が、前記無線アクセスポイントの前記間隔の交差の中間点にあると推定する段階をさらに有することを特徴とする請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記移動局の前記位置を計算する段階が、
受信信号強度に基づいて前記複数の無線アクセスポイントを選択する段階と、
前記選択された無線アクセスポイントのそれぞれの位置を決定する段階と、
前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および前記推定された処理時間を使用して前記移動局と各無線アクセスポイントとの間の距離を計算する段階と、
前記計算された距離および各無線アクセスポイントの位置に基づいて三辺測量を実施する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項90に記載の方法。
【請求項102】
前記選択された無線アクセスポイントのそれぞれの前記位置が標準座標系で定義されることを特徴とする請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記無線アクセスポイントのそれぞれについて前記推定された処理時間を更新する段階が、
前記移動局の前記計算された位置および前記無線アクセスポイントの位置に基づいて各無線アクセスポイントへの距離を計算する段階と、
各無線アクセスポイントへの前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および各無線アクセスポイントへの前記計算された距離に基づいて各無線アクセスポイントの新しい処理時間を計算する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項90に記載の方法。
【請求項104】
移動局の位置を無線で決定するための装置であって、
無線トランシーバと、
前記無線トランシーバに接続されたプロセッサと、
前記プロセッサに接続されたメモリと
を具備し、
前記メモリは、実行可能命令およびデータを格納し、
前記実行可能命令およびデータは、前記プロセッサに、
複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間遅延を測定する手順と、
前記無線アクセスポイントのそれぞれについて初期処理時間を推定する手順と、
前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および推定された処理時間に基づいて前記移動局の前記位置を計算する手順と、
前記移動局の前記計算された位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて前記推定された処理時間を更新する手順と
を実行させることを特徴とする装置。
【請求項105】
前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
前記更新された処理時間が収束していないと決定する手順と、
前記複数の無線アクセスポイントのそれぞれへの前記ラウンドトリップ時間遅延を測定する手順と、
前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および更新された推定された処理時間を使用して前記移動局の後続の位置を計算する手順と、
前記移動局の前記後続の位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて前記更新された処理時間を改良する手順と
をさらに実行させることを特徴とする請求項104に記載の装置。
【請求項106】
前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
前記推定された処理時間が収束していないと決定する手順と、
前記移動局が位置を変更したと決定する手順と、
複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間遅延を測定する手順と、
前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および更新された推定された処理時間を使用して前記移動局の位置を計算する手順と
をさらに実行させることを特徴とする請求項104に記載の装置。
【請求項107】
前記無線アクセスポイントへのラウンドトリップ時間遅延を測定する手順が、
前記移動局から前記アクセスポイントにパケットを送信する手順と、
前記送信されたパケットが送られた第1時間を記録する手順と、
前記送信されたパケットに応答して前記無線アクセスポイントから応答パケットを受信する手順と、
前記応答パケットが受信された第2時間を記録する手順と、
記録された前記第2時間と記録された前記第1時間との間の差を計算する手順と
をさらに含むことを特徴とする請求項104に記載の装置。
【請求項108】
前記送信されたパケットが、前記移動局が前記無線アクセスポイントと関連をもたないユニキャストパケットを使用することを特徴とする請求項107に記載の装置。
【請求項109】
前記送信されたパケットが、前記移動局が前記無線アクセスポイントと関連をもつパケットを使用することを特徴とする請求項107に記載の装置。
【請求項110】
前記移動局および前記無線アクセスポイントが、IEEE 802.11規格、セルラピコネット、セルラフェムトセル、および/またはBluetoothネットワーキング規格に従って動作することを特徴とする請求項107に記載の装置。
【請求項111】
前記初期処理時間を推定する手順が、
各無線アクセスポイントからのパケットの受信信号強度を決定する手順と、
前記決定された信号強度に基づいて各無線アクセスポイントへの距離を推定する手順と、
前記推定された距離に基づいて各無線アクセスポイントの前記初期処理時間を計算する手順と
をさらに含むことを特徴とする請求項104に記載の装置。
【請求項112】
前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
前記受信信号強度に基づいて各無線アクセスポイントへの前記距離を間隔内に入れる手順をさらに実行させることを特徴とする請求項111に記載の装置。
【請求項113】
少なくとも2つの無線アクセスポイントの前記処理時間が実質的に異なることが知られており、前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
各無線アクセスポイントの前記初期処理時間が、そのそれぞれの間隔の中間点にあると推定する手順をさらに実行させることを特徴とする請求項112に記載の装置。
【請求項114】
前記無線アクセスポイントの前記処理時間が実質的に類似すると知られており、前記実行可能命令およびデータが、前記プロセッサに、
前記初期処理時間が、前記無線アクセスポイントの前記間隔の交差の中間点にあると推定する手順をさらに実行させることを特徴とする請求項112に記載の装置。
【請求項115】
前記移動局の前記位置を計算する手順が、
受信信号強度に基づいて前記複数の無線アクセスポイントを選択する手順と、
前記選択された無線アクセスポイントのそれぞれの位置を決定する手順と、
前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および前記推定された処理時間を使用して前記移動局と各無線アクセスポイントとの間の距離を計算する手順と、
前記計算された距離および各無線アクセスポイントの位置に基づいて三辺測量を実施する手順と
をさらに含むことを特徴とする請求項104に記載の装置。
【請求項116】
前記無線アクセスポイントのそれぞれについて前記推定された処理時間を更新する手順が、
前記移動局の前記計算された位置および前記無線アクセスポイントの位置に基づいて各無線アクセスポイントへの距離を計算する手順と、
各無線アクセスポイントへの前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および各無線アクセスポイントへの前記計算された距離に基づいて各無線アクセスポイントの新しい処理時間を計算する手順と
をさらに含むことを特徴とする請求項104に記載の装置。
【請求項117】
移動局の位置を無線で決定するための装置であって、
複数の無線アクセスポイントのそれぞれへのラウンドトリップ時間遅延を測定する手段と、
前記無線アクセスポイントのそれぞれについて初期処理時間を推定する手段と、
前記測定されたラウンドトリップ時間遅延および推定された処理時間に基づいて前記移動局の前記位置を計算する手段と、
前記移動局の前記計算された位置に基づいて前記無線アクセスポイントのそれぞれについて前記推定された処理時間を更新する手段と
を具備することを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−509483(P2012−509483A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537651(P2011−537651)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/065319
【国際公開番号】WO2010/059934
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.GSM
3.Bluetooth
【出願人】(507364838)クアルコム,インコーポレイテッド (446)
【Fターム(参考)】