説明

調整器ケーシングに直接的に支持されている螺合部材を備えた、コンパクトブレーキキャリパユニットのための押棒調整器

本発明は、レール車両のディスクブレーキ(100)のブレーキキャリパ(7)のための摩耗調整器(16)に関し、a)摩耗調整器(16)は、螺合部材として、ねじ山付きスピンドル(27)と、ねじ山付きスピンドル(27)に螺合可能なナット(31)とを有するねじ伝動装置を有し、一方の前記螺合部材(27;31)と、該螺合部材を回動するように駆動するための調整レバー(24)とが、摩耗調整方向において第1の摩耗調整器ケーシング(21)に回動可能に支承されていて、かつ他方の前記螺合部材(27;31)は、第2の摩耗調整器ケーシング(22)に相対回動不能に支承されており、b)摩耗調整器(16)は、回動可能な螺合部材(27;31)の、摩耗調整に抗する回動方向においてロックし、かつ逆の回動方向においてフリーホイール状態にあるラップスプリング型フリーホイール(29)を有し、ラップスプリング型フリーホイール(29)により回動可能な螺合部材は、相対回動不能な部材に連結可能である。本発明は、相対回動不能な部材は、第1の摩耗調整器ケーシング(21)により直接的に形成されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載した、レール車両のディスクブレーキのブレーキキャリパのための摩耗調整器に関し、摩耗調整器は、螺合部材として、ねじ山付きスピンドルと、このねじ山付きスピンドルに螺合可能なナットとを有するねじ伝動装置を有し、一方の前記螺合部材と、螺合部材を回動するように駆動するための調整部材とが、摩耗調整方向において第1の摩耗調整器ケーシングで回動可能に支承されていて、かつ他方の螺合部材は、第2の摩耗調整器ケーシングで相対回動不能に支承されており、回動可能な螺合部材の、摩耗調整に抗する回動方向においてロックし、かつ逆の回動方向においてフリーホイール状態にあるラップスプリング型フリーホイールを有し、このラップスプリング型フリーホイールにより、回動可能な螺合部材は相対回動不能な部材に連結可能である。
【0002】
レール車両のコンパクトブレーキキャリパユニットにおいて、ブレーキパッド及びブレーキディスクの摩耗は、押棒又は引張棒調整器の伸長又は短縮により自動的に補償される。調整器の伸長若しくは短縮は、ナット・スピンドルシステムであるねじ伝動装置により行われる。操作毎に可能な限り大きな調整量を達成するために、極めて大きなピッチを備えたねじ山が構成される。したがってこのねじ山は自縛式ではない。一方の螺合部材、例えばナットが相対回動不能に保持されているのに対し、他方の螺合部材、例えばスピンドルは回動可能に支承されている。
【0003】
調整器、例えば伸長するように回動するフリーホイール(例えばスリーブ型フリーホイール)を備えた調整レバーは、制御機構を介して、やはり押棒調整器のスピンドル又はナットを回動させる。したがって、調整のために調整レバーは、調整レバーの球冠内に係合する、ボールヘッドを備えた押圧ロッドを介して操作される。調整レバーにおいて圧入されているスリーブ型フリーホイールを介して、スピンドルは一緒に回動する。この構成において、ラップスプリング型フリーホイールは、フリーホイール方向に空転する。ブレーキの解除時に押圧ロッドが調整レバーを再び解放すると、調整レバーは再調整ばねにより再度、調整レバーが調整器ケーシングの剛性の高いストッパに衝突している初期状態に戻るように回動する。スリーブ型フリーホイールは、フリーホイール方向において空転する。この構成において、スピンドルは、ラップスプリング型フリーホイールのラップスプリングにより、一緒に回動することは防がれる。調整レバーが調整器ケーシングにおけるストッパに衝突するか、又は、パッドがブレーキディスクに接触する場合に、調整器において、調整器の制御機構がもはや克服できない軸線方向力が形成されると、調整工程は終了する。
【0004】
押棒調整器において、例えばスピンドル・ナット伝導装置のスピンドルの、押棒調整器を短縮する方向での回動は、スピンドルと調整器ケーシングとの間のラップスプリング型フリーホイールにより防がれる。上記ラップスプリング型フリーホイールは、調整部材のフリーホイールの他に、他の又は第2のフリーホイールを形成する。調整部材がその戻しばねの力により、初期状態に戻すように回動するか、若しくは制動時に高い緊締力が調整器に作用し、ひいては大きなトルクがスピンドルに作用する場合に、回動可能なスピンドルはラップスプリング型フリーホイールにより位置に関して保持される。
【0005】
上位概念を形成する欧州特許第0732247号明細書に、レール車両のディスクブレーキのブレーキキャリパの押棒調整器が開示されている。図3に示した押棒調整器において、ナットは右側の摩耗調整器ケーシング(符号22)に相対回動不能に位置固定されていて、スピンドルは、左側の摩耗調整器ケーシング(符号21)に結合されている案内管に回動可能に支承されている。さらに、摩耗調整に抗する、スピンドルの回動方向においてロックし、かつ逆の回動方向においてフリーホイール状態のラップスプリング型フリーホイールが設けられている。このラップスプリング型フリーホイールにより、スピンドルは別体の案内管に連結可能である。この案内管は左側の摩耗調整器ケーシングに取り付けられている。ラップスプリング型フリーホイールのラップスプリングは、調整レバー(符号24)及び調整レバーのスリーブ型フリーホイールを収容もする、左側の摩耗調整器ケーシングによって半径方向に取り囲まれる。
【0006】
ブレーキ操作時に押棒調整器に荷重をかけ、押棒調整器を縮めようとする軸線方向力は、相対回動不能のナット及びねじ山付きスピンドルの力伝達経路において、調整レバーを介して左側の摩耗調整器ケーシングに支持される。これにより摩耗調整器による正確な調整はねじ伝動装置のねじ山摩擦によってだけでなく、調整レバーと左側の摩耗調整器ケーシングとの摩擦比、若しくは調整レバーとねじ山付きスピンドルとの摩擦比とによっても影響を与えられる。
【0007】
上位概念を形成する欧州特許第0699846号明細書は、同様にブレーキキャリパ及び自動的な摩耗調整器を備えたレール車両のためのディスクブレーキを開示する。上記明細書に記載されている押棒調整器としての構成において、調整レバーは外側歯列を備えた調整スリーブにより形成される。この調整スリーブ内に、スリーブ型フリーホイールが圧入されている。レバーにより調整スリーブを、再調整ばねの力に抗して回動させることができる歯車セグメントが、調整スリーブの歯列に係合している。スリーブ型フリーホイールを介してナットが連行され、これにより押棒調整器は伸長する。図2によれば、スピンドルは左側の摩耗調整器ケーシングに相対回動不能に支承されており、ナットは右側の摩耗調整器ケーシングに回動可能に支承されている。ラップスプリング型フリーホイールのラップスプリングを介して、回動可能なナットは、半径方向内側の管部分(符号29)に取り付けることができる。この半径方向内側の管部分は、右側の摩耗調整器ケーシングに結合されている。さらに、右側の摩耗調整器ケーシングの管状のケーシング部分(符号30)が、ラップスプリング型フリーホイールを取り囲む。
【0008】
先行技術の上記押棒調整器においては夫々、少なくとも1つの摩耗調整器ケーシングが複数の部材、特に二重管形式において構成されている。この構成において、ラップスプリング型フリーホイールのラップスプリングは、当該摩耗調整器ケーシングに結合されている別体の管と協働し、他方で、ラップスプリング型フリーホイールは、摩耗調整器ケーシングの管状の延長部によって夫々、半径方向に取り囲まれる。しかし上記二重管状の摩耗調整器ケーシングの構造は、製造及び組付け若しくは修理のための取外しの際にある程度の支出を伴う。
【0009】
さらに、別体の管と、当該摩耗調整器ケーシングとの結合のための所要面積は、ラップスプリング型フリーホイールのための構成スペースを減じるので、上記先行技術に基づいたラップスプリング型フリーホイールは、フックを介して相対回動不能及び別体の管に取り付ける必要がある。しかしこのようなフックは、ラップスプリング型フリーホイールの正確な切換え、ひいては摩耗調整器の正確な調整に不都合な影響を与える。さらに製造時においても、フックを製造するための独自のステップを必要とする。
【0010】
したがって本発明の目的は、冒頭で述べた形式の摩耗調整器を改良して、簡単に製造することができると同時に、比較的高い正確性で調整する摩耗調整器を提供することにある。
【0011】
発明の開示
本発明は、相対回動不能な部材が、第1の摩耗調整器ケーシングにより直接的に形成されるようになっている。「直接的」という概念は、本発明においては、回動可能な螺合部材が、ラップスプリング型フリーホイール若しくはラップスプリングを介して、直接的に、つまり例えば管といった他の構成部材を介在させることなく、第1の摩耗調整器ケーシングに支持することができる、と理解される。この意味において、第1の摩耗調整器ケーシングは、例えばワンピースに構成されていて、摩耗調整器が、この摩耗調整器を短縮方向に負荷をかける軸線方向力を支持する必要がある場合に、力伝達経路に設けられている別体の部材として形成されている延長部又は管といった構成部材は、第1の摩耗調整器ケーシングに取り付けられていない。
【0012】
「第1の」摩耗調整器ケーシングとは、ブレーキキャリパの一方のキャリパレバーに枢着されている摩耗調整器のケーシング部分であり、「第2の」摩耗調整器ケーシングとは、他方のキャリパレバーに枢着されているケーシング部分と理解されたい。専門分野の慣用語においては、第1の摩耗調整器ケーシングに対しては「ケーシング」が通常でもあり、第2の摩耗調整器ケーシングに対しては「ヨーク(Joch)」が通常である。
【0013】
これにより、先行技術の第1の摩耗調整器ケーシングの二重管状の構成、特に第1の摩耗調整器ケーシングに取り付けられている、場合によってはある別体の案内管を省略することができる。これにより摩耗調整器の構成部材の数、ひいては製造及び組付けコストは、有利には減じられる。
【0014】
さらに、ラップスプリング型フリーホイールのラップスプリングは、相対回動不能な螺合部材との摩擦接続若しくは摩擦接続による連結により、回動可能な螺合部材の回動を防ぐために、回動可能な螺合部材の作用面に係合する一方で、第1の摩耗調整器ケーシングの外面を形成する作用面に係合し、第1の摩耗調整器ケーシングの内部に配置されている、別体の管の作用面にはもはや係合しない。これにより比較的有利な面積比がもたらされる。こうして特にラップスプリング型フリーホイールのラップスプリングのための大きな構成スペースが設けられる。これにより摩耗調整器の軸線方向における、ラップスプリングの長手方向の延びを拡大することができる。第1の摩耗調整器ケーシング若しくは相対回動不能な螺合部材の作用面に多くの巻条が係合することができるので、ラップスプリング型フリーホイールの摩擦接続、ひいては力伝達は改良される。したがって、ラップスプリングを取り付けるためのフックを省略することができる。この手段はまた、ラップスプリング型フリーホイールの正確な切換えに、ひいては摩耗調整器の正確な調整に有利に影響を与える。この構成において、ラップスプリング型フリーホイールにおける力伝達は専ら、ラップスプリング巻条と、第1の摩耗調整器ケーシング及び回動可能な螺合部材における対応配置された作用面との間の摩擦接続により行うことができる。
【0015】
従属請求項に記載の手段により、独立請求項に係る発明の有利な構成及び改良形が可能である。
【0016】
特に有利には、ラップスプリング型フリーホイールのラップスプリングが、第1の摩耗調整器ケーシングの外側表面を形成する半径方向外側の作用面と摩擦接続式に協働する一方で、回動可能な螺合部材又はこの螺合部材と一緒に回動する部材の半径方向外側の作用面と摩擦接続式に協働する。換言すれば、ラップスプリングのための作用面は、既に第1の摩耗調整器ケーシングの外側表面の一部分を形成し、この構成において作用面は、他の管又はケーシング区分によって取り囲まれることはない。この構成において「作用面」とは、ラップスプリングと当該構成部材との間の摩擦接続を形成するために、ラップスプリングの巻条が半径方向外側から係合する当該構成部材の面であると理解されたい。
【0017】
ねじ伝動装置、ラップスプリング型フリーホイール及び摩耗調整器の他の構成部材を、汚染及び湿気から、例えば密に保護するために、ラップスプリング型フリーホイールのラップスプリングは、半径方向に見て、摩耗調整器の軸線方向に弾性的なベローズによってのみ取り囲まれている。このベローズは一端部側で、第1の摩耗調整器ケーシングに取り付けられており、他端部側で、第2の摩耗調整器ケーシングに取り付けられている。ラップスプリング型フリーホイール及びラップスプリングは、軸線方向に見て有利には、摩耗調整器ケーシングにおけるベローズの両連結個所の間に配置されている。
【0018】
本発明に係る手段により可能となる、ラップスプリング型フリーホイールの適切な最短の長さにおいて、ラップスプリングは、第1の摩耗調整器ケーシングの作用面、及び回動可能な螺合部材又はこの螺合部材と一緒に回動する部材の作用面を、形状接続式のフックを用いずに単に摩擦接続より連結することができる。既に説明したように、ラップスプリングにおいてフックを省略することは、ラップスプリング型フリーホイールの正確な切換え、ひいては摩耗調整器の正確な調整に有利に影響を与える。これにより特に、ラップスプリングの軸線方向での自由な運動に基づいて、局地的に大きな応力ピークを伴うラップスプリングの傾きは発生することはないので、作用面若しくはラップスプリングの摩耗を回避することができる。
【0019】
別の有利な構成によれば、回動可能な螺合部材又はこの螺合部材と一緒に回動する部材は、軸線方向を向いている端面を有する。この端面は、第1の摩耗調整器ケーシングに対応する端面に、摩耗調整器に作用する軸線方向の力を支持するために接続する。したがってこの構成において、軸線方向の力伝達経路は、例えば第2の摩耗調整器ケーシングから、この第2の摩耗調整器ケーシングに相対回動不能に保持されている螺合部材、及びこの螺合部材に螺合されていて、ラップスプリング型フリーホイールにより回動を防止されていて自体回動可能な螺合部材を介して、互いに接続する2つの端面を介し直接的に第1の摩耗調整器ケーシングに通じる。つまり摩耗調整器に作用し、キャリパレバーを介して導入される押圧力は、直接的にかつ迂回せずに調整レバーを介して、例えば欧州特許第0732247号明細書に開示されているように、第1の摩耗調整器ケーシングに導入される。こうして調整レバーの摩擦の状況が、正確な調整に影響を与えることはもはやできない。特に上記力伝達経路により、接合面はラップスプリング型フリーホイールの下側において閉鎖される。
【0020】
有利には、回動可能な螺合部材はねじ山付きスピンドルを形成し、ねじ伝動装置の相対回動不能な螺合部材はナットを形成する。次いでねじ山付きスピンドルに、一緒に回動する部材としてクラッチスリーブが連結されていてよい。クラッチスリーブの半径方向外側の周面に、ラップスプリング型フリーホイールのラップスプリングが係合するための作用面が形成されている。上記クラッチスリーブは、例えば第1の摩耗調整器ケーシングに回動支承されている。クラッチスリーブは、ねじ山付きスピンドルが、ナットの内側に配置されていて、ラップスプリングが半径方向外側に配置されているので必要である。これによりねじ山付きスピンドルの回動運動は、半径方向外側に伝達されなければならない。
【0021】
択一的な構成によれば、回動可能な螺合部材はナットにより形成され、相対回動不能な螺合部材はねじ山付きスピンドルにより形成される。いずれにしてもナットが半径方向外側に配置されているので、例えばラップスプリング型フリーホイールのラップスプリングが係合するための作用面は、ナットの半径方向外側の周面に直接的に形成されている。
【0022】
本発明には、特に上記摩耗調整器を内蔵するレール車両のディスクブレーキも包含する。
【0023】
以下に、本発明の実施の形態を図面に示し、以下の説明において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の有利な実施の形態に係る摩耗調整器である、ブレーキキャリパの押棒調整器を備えた、レール車両のディスクブレーキの平面図である。
【図2】図1に示したブレーキキャリパを部分的に断面にした図である。
【図3】図1に示したディスクブレーキの押棒調整器の横断面図である。
【図4】調整器ケーシングにおいてスリーブ型フリーホイールと共に支承されている、初期状態にある調整部材を示す、図3の線IV−IVに沿った横断面図である。
【図5】初期状態から荷重をかけられた状態にある、図4に示した調整部材を示す図である。
【図6】図5の一部を拡大して示す図である。
【図7】図3の押棒調整器の最大の調整距離に相当する状態にある、図4に示した調整部材を示す図である。
【図8】押棒調整器の別の実施の形態の横断面図である。
【図9】図3に示した押棒調整器を、伸長した状態において示す横断面図である。
【図10】押棒調整器のさらに別の実施の形態の横断面図である。
【0025】
実施の形態の説明
図1,2は、偏心的に駆動されるブレーキキャリパ7を備える、レール車両の特に横方向に可動の輪軸のためのディスクブレーキ100を示す。ブレーキキャリパ7の2つのキャリパレバー6,8はその一方の端部において、ブレーキパッド15と連結されていて、キャリパレバー6,8の中央の領域において制動力モータ14に連結されている。ブレーキディスク1は、アクスルディスクとして部分的にしか示していない。
【0026】
ブレーキケーシング2に、空間固定式に保持されていると見なされる連結個所10において、ブレーキキャリパ7の二重側壁のキャリパレバー6の両側壁は、ピン9により、回動軸線を中心に回動可能に連結されている。他方のキャリパレバー8は、連結個所10においてピン9を介してブレーキケーシング2に回動可能に連結されている。この実施の形態においてピン9は、上記回動軸線に対して平行な回動軸線を中心に回動可能にブレーキケーシング2に支承されていて、偏心的であって、軸線は平行なピン突設部11を支持する。このピン突設部11にキャリパレバー8が支承されている。
【0027】
ピン9から回動アーム12が突出している。この回動アーム12の端部に、制動力モータ14の力伝達機構13としてのブレーキシリンダのピストンロッドが枢着されている。2つキャリパレバー6,8は、一方の端部において、ブレーキディスク1に圧着可能なブレーキパッド15に連結されており、他方の端部において、2つのキャリパレバー6,8を結合する摩耗調整器16に連結されている。この実施の形態において押棒調整器は、連結個所17,18,19,20に回動可能に連結されている。押棒調整器16若しくはその調整器ケーシングには、枢着のために、キャリパレバー6,8の2つの側壁4,5の間に夫々延びている支承部分21,22が設けられている。これらの支承部分は、以下、第1若しくは第2の摩耗調整器ケーシング21,22とも称呼する。
【0028】
例えばニューマチック式の制動力モータ14の圧力媒体供給時に、制動力モータ14の力伝達機構13は回動アーム12を回動させる。これにより、ピン突設部11の偏心的な配置に基づき、キャリパレバー8は、押棒調整器16に対するキャリパレバー8の連結個所20を中心に、キャリパレバー8のブレーキパッド15のブレーキディスク1への圧着方向に回動する。したがって、ブレーキキャリパ7の偏心体による緊締(Exzenter-Zuspannung)の構造及び機能形式は、既に言及した欧州特許公開第0732247号明細書に基づく構造及び機能形式と同じである。キャリパレバー8に対して配置されているブレーキパッド15がブレーキディスク1に接触した後に、キャリパレバー8はその連結個所18を中心に上記ブレーキパッド15に対して回動する。この実施の形態において、連結個所20、棒16及び連結個所19を介して、キャリパレバー6は、このキャリパレバー6のブレーキパッド15をブレーキディスク1に接触させるために、連結個所10を中心に回動する。
【0029】
押棒調整器16は、ブレーキパッド15の摩耗に応じてその長さを拡張する。このために押棒調整器16は、キャリパレバー6に対して配置されている第1の摩耗調整器ケーシング21において、押棒調整器16の長手方向軸線25を中心に回動可能に支承されている調整レバー24を有している。この調整レバー24の棒状の衝突区分23は、第1の摩耗調整器ケーシング21に対して支持されている再調整ばね26により、調整レバー24の初期状態へと押され、かつ図3〜8に記載のストッパ37に押し付けられる。
【0030】
図3から明らかであるように、予付勢された歯列53を介して回動しないようになって延びているねじ山付きスピンドル27は、長手方向軸線25に対して同軸的に相対回動不能にかつ軸線方向に運動せずに、第2の摩耗調整器ケーシング22に保持されている。これに対して、ねじ山付きスピンドル27に螺合締結されている調整ナット31が、第1の摩耗調整器ケーシング21に回動可能に支承されている。ねじ山付きスピンドル27及び調整ナットは一緒になって、押棒調整器16のねじ伝動装置を形成する。
【0031】
調整ナット31は、ラップスプリング28を備えたワンウェイ回転クラッチ又はラップスプリング型フリーホイール29を介して、第1の摩耗調整器ケーシング21に相対回動不能に連結可能である。その一方で、調整ナット31は、スリーブ型フリーホイール38を介して調整レバー24により押棒調整器16の伸長方向において駆動される。ねじ伝動装置及び2つのワンウェイ回転クラッチ若しくはフリーホイールを備えた上記摩耗調整器の基本構造及び機能形式は、一般的に公知であるので、全てを詳細に記載する必要はない。しかし、摩耗調整器として、例えば引張棒調整器の他の構造を使用することもでき、重要なことはとりわけ、引張棒調整器が、調整レバー24に相当する調整部材を有するということだけである。
【0032】
図3に示す実施の形態において、ねじ山付きスピンドル27は、第2の摩耗調整器ケーシング22に相対回動不能に支承されており、これに対して調整ナット31は、第1の摩耗調整器ケーシング21に回動可能に支承されている。スリーブ型フリーホイール38を備えた調整レバー24を介して、パイプナット31は、押棒調整器16が摩耗調整のために伸長する方向に回動することができる。また、ねじ山付きスピンドル27が、調整レバー24によって回動可能に駆動され、調整ナット31が、相対回動不能に支承されている(図10に示す実施の形態に基づいて、後にさらに説明する)、例えば欧州特許公開第0732247号に記載の実施の形態も考慮可能である。
【0033】
ラップスプリング28は、押棒調整器16に作用する軸線方向力から発生する、回動が防がれている調整ナット31からのトルクを、第1の摩耗調整器ケーシング21の半径方向外側の作用面54において直接的に支持する。この作用面54は、同時に第1の摩耗調整器ケーシング21の外側の表面を形成する。半径方向外側の作用面54は、この実施の形態において有利には、管状ではあるが、第1の摩耗調整器ケーシング21と一体の延長部57に形成されている。
【0034】
図3において、有利には回動可能な調整ナット31は、同様にラップスプリング28のための作用面55を有する。つまり、ラップスプリング28の巻条が、作用面に係合することができるということである。ラップスプリング28の他の巻条は、第1の摩耗調整器ケーシング21の作用面54に、ラップスプリング28の縮径により、調整ナット31の回動、ひいては押棒調整器16の短縮を軸線方向力負荷時に阻止するために係合する。ラップスプリング型フリーホイールのラップスプリング28は、第1の摩耗調整器ケーシング21の作用面54及び調整ナット31の作用面に、例えばフックといった形状接続式の手段を使わずに、単に摩擦接続により連結する。
【0035】
ねじ伝動装置27,31、ラップスプリング型フリーホイール29及び他の構成部材を汚染及び湿気から保護するために、ラップスプリング型フリーホイール29のラップスプリング28は、半径方向に見て、押棒調整器16の軸線方向において弾性的なベローズ56によってのみ取り囲まれている。このベローズ56は、一端部側において第1の摩耗調整器ケーシング21に、他端部側において第2の摩耗調整器ケーシング22に、例えば緊締リングを介して固定されている。
【0036】
調整ナット31は、軸線方向を向いている端面58を有している。この端面58は、押棒調整器16に作用する軸線方向力の支持のために、第1の摩耗調整器ケーシング21の対応する端面59に接続する。したがって、軸線方向の力伝達経路は、例えば第2の摩耗調整器ケーシング22から、この第2の摩耗調整器ケーシング22に相対回動不能に保持されているねじ山付きスピンドル27、及びこのねじ山付きスピンドル27に螺合されていて、かつラップスプリング型フリーホイール29により回動を防止された調整ナット31、及び互いに接続している2つの端面58,59を介して直にかつ直接的に第1の摩耗調整器ケーシング21へと通じる。
【0037】
図9に、図3に示した押棒調整器を伸ばした状態、つまり、調整ナット31が調整レバー24によってねじ山付きスピンドル27において回動方向に駆動される、ということを示す。ねじ山付きスピンドル27は、ブレーキパッド15の摩耗を自動的に調整するために、押棒調整器16を伸長する。ラップスプリング型フリーホイール29は、この実施の形態において、フリーホイール状態であり、つまり、ラップスプリング28の巻条が、ラップスプリング28の直径を拡大した状態において、作用面54若しくは55と係合していない状態であり、これにより調整ナット31は摩耗調整方向において自由に回動することができる。認識できるように、2つの摩耗調整器ケーシング21,22が互いに離間したので、ベローズ56は押棒調整器16の伸長時に弾性的に変形した。
【0038】
図10に、ねじ伝動装置の回動可能な螺合部材が、ねじ山付きスピンドル27により形成され、ねじ伝動装置の相対回動不能の螺合部材が、調整ナット31により形成される押棒調整器16の別の実施の形態を示す。ねじ山付きスピンドル27に、一緒に回動する部材としてクラッチスリーブ60が回動連結されている。このクラッチスリーブ60の半径方向外側の周面において、ラップスプリング型フリーホイール29のラップスプリング28の係合のための作用面55が形成されている。クラッチスリーブ60は、ねじ山付きスピンドル27と一緒に、例えば第1の摩耗調整器ケーシング21において回動支承されており、調整ナット31は第2の摩耗調整器ケーシング22において相対回動不能に保持されている。この実施の形態において、クラッチスリーブ60は、第1の摩耗調整器ケーシング21を向いている、ねじ山付きスピンドル27の少なくとも1つの区分を取り囲む。クラッチスリーブ60は、スリーブ型フリーホイール38を介して調整レバー24に連結されている。押棒調整器16が軸線方向における荷重下にある場合、クラッチスリーブ60の端面58は、第1の摩耗調整器ケーシング21の対応する端面59若しくは第1の摩耗調整器ケーシング21の延長部57に支持される。
【0039】
摩耗調整のために、調整スリーブ24は、同様にスリーブ型フリーホイール38及びクラッチスリーブ60を介して、ねじ山付きスピンドル27を駆動する。これによりねじ山付きスピンドル27は、押棒調整器16の伸長のために調整ナット31からねじり出る。ラップスプリング型フリーホイール29は、フリーホイール状態、つまり、ラップスプリング28の巻条が、ラップスプリング28の直径が拡大している状態において、作用面54若しくは55との係合から外れているので、ねじ山付きスピンドル27は、摩耗調整方向において自由に回動することができる。これに対して、ねじ山付きスピンドル27の反対方向における回動は、ロックされているラップスプリング型フリーホイール29により防がれる。
【0040】
キャリパレバー6の2つの側壁4,5の間で制御棒32が延びている。この制御棒32の丸味付けされた後方の端部は、支承ソケットにおいて調整レバー24の自由端部に接触する。したがって、この制御棒32は、連結個所33を介して操作レバー24に連結されている。しかし図2には、操作レバー24は示されていない。制御棒32の中央領域において制御棒32は、他の構成部材、特に制動力モータ14との衝突を避けるために、ブレーキキャリパの外側に向かって屈曲されている。制御棒32の同様に丸味付けされた前方の端部は、図2において看取可能であるように、回動レバー35の支承ソケット(図示せず)に載っている。両腕の回動レバー35は、中央の領域において枢着個所36に回動可能に支承されていて、自由な脚部35aを有する。隣接する構成部材との関係における回動レバー35の機能形式は、欧州特許公開第0732247号明細書に詳細に説明されている。
【0041】
回動レバー35の自由端部35aは、図2から看取可能であるように、デッドストローク装置(Tothubeinrichtung)44を形成するために、ブレーキディスク側でレバー部分45に対して間隔sを持って相対している。レバー部分45は、回動アーム12の延長部として形成されている。間隔sは、正確な解除ストロークでもって解除されるディスクブレーキに基づき、レバー部分45の端部が、ブレーキディスク1へ2つのブレーキパッド15が、まだ緊締力のない状態で接触した場合に進む距離に相当する。ブレーキをかける際に、レバー部分45は回動レバー35の脚部35aに正確に衝突する。
【0042】
例えばブレーキパッド摩耗による、ディスクブレーキの極めて大きな解除ストロークに基づくブレーキ作動工程時の解除オーバストロークの達成の開始から、レバー部分45はそのさらなる運動時に、ブレーキの作動が達成されるまで、回動レバー35を回動させつつ脚部35aを連行する。この実施の形態において、制御棒32は調整レバー24に向かって移動し、押棒調整器16を操作する。したがって、制御棒32のブレーキディスク側の前側端部は、回動レバー35を共に含む連結個所46を介して、制動力モータ14の力伝達機構13に連結可能である。
【0043】
上記実施の形態に対して変更した実施の形態において、ブレーキキャリパにおいてキャリパレバーが引張棒調整器16の真ん中に枢着されていてよい。この引張棒調整器16は、調整レバー24により引張棒調整器の短縮方向に操作可能である。摩耗調整器16は、任意の構造形式であってよい。摩耗調整器16は、既述したように1つの調整レバーを有するだけでよい。ブレーキキャリパの、空間固定された部分、つまり車両フレーム又は回転台車フレームへの保持は、連結個所10とは別の連結個所において行うことができる。場合によってはブレーキケーシングを備えるブレーキキャリパユニットの型は省略することができる。ブレーキキャリパ7の緊締は、別様に多数の公知の形式において、例えば直接的に又はレバー伝動装置を介してキャリパレバー6,8に連結されているブレーキシリンダにより行うこともできる。
【0044】
したがって押棒調整器の長さは、制動力モータのストロークに基づいて、制御機構を介して調整可能である。この制御機構は、制御棒32によって押棒調整器16の調整レバー24に作用する。特に図3〜図8から分かるように、スリーブ型フリーホイール38を備えた調整レバー24は、押棒調整器16の調整器ケーシング若しくは支承部分21に支承されていて、調整されていない初期状態において、棒状の衝突区分23でもって、支承部分21のストッパ37若しくは支承部分21のカバー21aに対して、再調整ばね26により荷重をかけられている。この状況は、特に図4に示されている。図4において調整レバー24は、そのばね負荷をかけられた初期状態にある。
【0045】
初期状態にある調整部材24に対するストッパ37は、衝突方向に弾性的な少なくとも1つの部材39、有利には圧縮ばねを含む。この圧縮ばね39には予付勢が加えられている。この実施の形態において、圧縮ばね39の予付勢力は、ストッパ37に対して調整レバー24に荷重をかけている再調整ばね26の力よりも大きい。調整レバー24が再調整ばね26の力により初期位置に回動すると、調整レバー24が圧縮ばね39に接触するように、圧縮ばね39は、支承部分21若しくは支承部分21のカバー21aに位置決めされている。予付勢された圧縮ばね39の予付勢力が、再調整ばね26の力よりも大きいので、調整レバー24の決められた初期位置が確保される。
【0046】
特に圧縮ばね39は、例えば押棒調整器16の支承部分21若しくはこの支承部分21のカバー21aの円柱状の切欠き40内に収容されていて、この切欠き40において両端部で予付勢をかけられて支持されている。圧縮ばね39は調整レバー24に、図4,6に最も良く示すように、切欠き40において衝突方向に移動可能に支承されている押圧部材41を介して接続している。押圧部材41は、例えばカバー21aにおける切欠き40の半径方向内側の環状溝内に挿入されているロックリング42により、切欠き40からの進出について防がれるか、若しくはこれにより圧縮ばね39の予付勢を形成する。具体的には、押圧部材41は、予付勢を加えられている圧縮ばね39により、切欠き40内に形成されているストッパに対して軸線方向に緊張する。このストッパは、ロックリング42により形成される。図4から、圧縮ばね39、押圧部材41及び再調整ばね26が、カバー21aに基づいて簡単に組み付けられるということが、簡単に想像可能である。
【0047】
したがって再調整ばね26、この実施の形態においては、有利には円錐ばねは、調整レバー24をその初期位置に保持する。この初期位置において調整レバー24は、支承部分21における、例えば止まり孔として形成されている切欠き40内で移動可能に支承されていて、かつ予付勢された圧縮ばね39に抗して移動することができる押圧部材41に接触している。
【0048】
図4,5,7から分かるように、調整レバー24の初期状態に対応配置されていて、圧縮ばね39を備えたストッパ37に対して付加的に、他のストッパ43が、支承部分21若しくは支承部分21のカバー21aに設けられている。押棒調整器16が最大の調整距離を調整すると、調整レバー24は再調整ばね26の作用に抗して、他の棒状のストッパ区分49でもってストッパ43に衝突する。この状況は図7に示してある。
【0049】
ラップスプリング型フリーホイール29のラップスプリング28が大きく弾性変形した場合、圧縮ばね39は、図5,6に示したように過剰に押圧される。調整レバー24、ひいてはスリーブ型フリーホイール38に作用するモーメントは、圧縮ばね39によりスリーブ型フリーホイール38に導入されるモーメント若しくは力に限定される。押圧部材41は、図6に示したように、圧縮ばね39の弾性変形時に、一部分だけ切欠き若しくは止まり孔40内へ動かされ、通常であれば、初期状態において押圧部材41のための軸線方向のストッパを形成するロックリング42から離れる。
【0050】
したがって、ラップスプリング型フリーホイール29は、荷重をかけられた状態における弾性的な伸びのため、短縮する方向でのパイプナット31のある程度の回動を許容する場合、調整レバー24は、圧縮ばねの力に抗して上記回動に従うことができる。押圧部材41は、この実施の形態においては、線形に移動する(図6参照)。スリーブ型フリーホイール38は、圧縮ばね39のばね力と、長手方向軸線25に対して同軸的である、調整ナット31の回動軸線からの圧縮ばね39の作用線の間隔とからもたらされるモーメントによってのみ負荷をかけられる。
【0051】
図8に示したさらに別の実施の形態によれば、圧縮ばね39及び押圧部材41は、中空ねじ51の内部に保持されている。この中空ねじ51は外部から、ねじ山付き孔として形成されている、支承部分21の貫通孔52内にねじ込まれている。こうして上記弾性的なストッパ37は、簡単に既存の押棒調整器16に後付けすることができる。その他、弾性的なストッパ37の構造及び機能形式は、上記実施の形態と同様である。とりわけ、図8に示した実施の形態からは、図4〜6に示した実施の形態のカバー21aを省いてある。
【0052】
さらに別の実施の形態(図示せず)によれば、弾性的な部材は、圧縮ばね39の代わりに、任意の弾性的な部材として構成されていてよい。特に円錐形ばね、調整器ケーシング又は支承部分21に加硫されているか、又は別体に配置若しくは支承されているエラストマとしての実施の形態が可能である。
【0053】
とりわけ、弾性的な部材の実施の形態は、支承部分21に一体の区分として可能でもある。この区分は、特に幾何学的な構成に基づき、支承部分21の上記区分に隣接する領域よりも高い弾性を有している。したがって、この実施の形態において、比較的高い撓曲性若しくは弾性は、比較的低い材料剛性に起因するのではなく、支承部分21の隣接する領域と比較して、ストッパ37の幾何学に基づき比較的低い剛性に起因する。
【符号の説明】
【0054】
1 ブレーキディスク
2 ブレーキケーシング
6 キャリパレバー
7 ブレーキキャリパ
8 キャリパレバー
9 ピン
10 連結個所
11 ピン突設部
12 回動アーム
13 力伝達機構
14 制動力モータ
15 ブレーキパッド
16 押棒調整器
17 連結個所
18 連結個所
19 連結個所
20 連結個所
21 第1の摩耗調整器ケーシング
21a カバー
22 第2の摩耗調整器ケーシング
23 衝突区分
24 調整レバー
25 長手方向軸線
26 再調整ばね
27 ねじ山付きスピンドル
28 ラップスプリング
29 ラップスプリング型フリーホイール
31 調整ナット
32 制御棒
33 連結個所
35 回動レバー
35a 端部
36 枢着個所
37 ストッパ
38 スリーブ型フリーホイール
39 圧縮ばね
40 切欠き
41 押圧部材
42 ロックリング
43 ストッパ
44 デッドストローク装置
45 レバー部分
46 連結個所
49 衝突区分
51 中空ねじ
52 貫通孔
53 歯列
54 作用面
55 作用面
56 ベローズ
57 延長部
58 端面
59 端面
60 クラッチスリーブ
100 ディスクブレーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール車両のディスクブレーキ(100)のブレーキキャリパ(7)のための摩耗調整器(16)であって、
a)該摩耗調整器(16)は、螺合部材として、ねじ山付きスピンドル(27)と、該ねじ山付きスピンドル(27)に螺合可能なナット(31)とを有するねじ伝動装置を有し、前記螺合部材(27;31)の一方及び摩耗調整方向において該螺合部材を回動駆動するための調整レバー(24)が、第1の摩耗調整器ケーシング(21)に回動可能に支承されていて、前記螺合部材(27;31)の他方は、第2の摩耗調整器ケーシング(22)に相対回動不能に支承されており、
b)前記摩耗調整器(16)は、前記回動可能な螺合部材(27;31)の、摩耗調整に抗する回動方向においてロックし、かつ逆の回動方向においてフリーホイール状態にあるラップスプリング型フリーホイール(29)を有し、該ラップスプリング型フリーホイール(29)を介して前記回動可能な螺合部材は、相対回動不能な部材に連結可能である、
レール車両のディスクブレーキのブレーキキャリパのための摩耗調整器において、
c)前記相対回動不能な部材は、前記第1の摩耗調整器ケーシング(21)により直接的に形成されることを特徴とする、レール車両のディスクブレーキのブレーキキャリパのための摩耗調整器。
【請求項2】
前記ラップスプリング型フリーホイール(29)のラップスプリング(28)が、一方で前記第1の摩耗調整器ケーシング(21)の外側表面を形成する半径方向外側の作用面(54)と摩擦接続により協働し、他方で前記回動可能な螺合部材(27;31)の半径方向外側の作用面(55)と、又は螺合部材(27;31)と一緒に回動する部材(60)の半径方向外側の作用面(55)と摩擦接続により協働することを特徴とする、請求項1記載の摩耗調整器。
【請求項3】
前記ラップスプリング型フリーホイール(29)のラップスプリング(28)は、半径方向において見て、ベローズ(56)によってのみ取り囲まれており、前記ベローズ(56)は、一端部側で、前記第1の摩耗調整器ケーシング(21)に固定されていて、かつ、他端部側で、前記第2の摩耗調整器ケーシング(22)に固定されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の摩耗調整器。
【請求項4】
前記ラップスプリング(28)は摩擦接続によってのみ、前記第1の摩耗調整器ケーシング(21)の作用面(54)と、前記回動可能な螺合部材(27;31)の作用面(55)又は螺合部材(27;31)と一緒に回動する部材(60)の作用面(55)とを連結することを特徴とする、請求項2又は3記載の摩耗調整器。
【請求項5】
前記回動可能な螺合部材(27;31)又は螺合部材(27;31)と一緒に回動する部材(60)は、軸線方向を向いている端面(58)を有しており、該端面(58)は、前記摩耗調整器(16)に作用する軸線方向力を支持するための、前記第1の摩耗調整器ケーシング(21)の対応する端面(59)に接続することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項記載の摩耗調整器。
【請求項6】
前記回動可能な螺合部材は、ねじ山付きスピンドル(27)であり、前記ねじ伝動装置の相対回動不能の螺合部材は、ナット(31)であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項記載の摩耗調整器。
【請求項7】
前記ねじ山付きスピンドル(27)は、一緒に回動する部材であるクラッチスリーブ(60)に連結されており、該クラッチスリーブ(60)の半径方向外側の周面に、前記ラップスプリング型フリーホイール(29)のラップスプリング(28)の係合のための作用面(55)が形成されていることを特徴とする、請求項6記載の摩耗調整器。
【請求項8】
前記クラッチスリーブ(60)は、前記第1の摩耗調整器ケーシング(21)において、前記ねじ山付きスピンドル(27)に対して同軸的に回動支承されていることを特徴とする、請求項7記載の摩耗調整器。
【請求項9】
前記回動可能な螺合部材は、ナット(31)であり、前記相対回動不能な螺合部材は、ねじ山付きスピンドル(27)であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項記載の摩耗調整器。
【請求項10】
前記ラップスプリング型フリーホイール(29)のラップスプリング(28)の係合のための作用面(55)は、前記ナット(31)の半径方向外側の周面に直接的に形成されていることを特徴とする、請求項9記載の摩耗調整器。
【請求項11】
請求項1から10までの少なくともいずれか一項記載の摩耗調整器を含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項記載のディスクブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−519048(P2013−519048A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551578(P2012−551578)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051098
【国際公開番号】WO2011/095423
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(503159597)クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (44)
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80,D−80809 Muenchen,Germany
【Fターム(参考)】