説明

調整方法、調整装置及びプログラム

【課題】最適な位置で自動的に改行処理が行われた画像データを生成することが可能な調整方法を提供する。
【解決手段】1行分の歌詞データが携帯電話機に表示される背景画像データの列方向の表示領域内に収まるか否かを判断手段により判断する。この判断手段により、表示領域内に収まらないと判断した場合、歌詞データ内に含まれる歌詞を分割するためのスペース(1)〜(6)を抽出する。抽出手段により抽出したスペース(1)〜(6)に基づき1行分の歌詞データを分割手段により複数行に分割する。分割手段により分割した各行に係る歌詞データの末尾には改行コマンドが付加される。そして、分割手段により分割した歌詞データは画像データへ変換手段により変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歌詞データを携帯端末機に表示すべく歌詞データの表示位置を調整装置により調整する調整方法、調整装置及びコンピュータを調整装置として機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末機に音声データ及び歌詞データを配信するサービスが普及している。ユーザは携帯端末機にダウンロードした歌詞データを表示し、併せて音声データを再生することで、カラオケを楽しむことができる。歌詞データは複数行に及ぶことから、歌詞データ中には改行コマンドが挿入される。この改行コマンドは、読点、句点または歌詞間を区切るスペースの後に挿入される(例えば特許文献1及び2参照)。
【0003】
ところで、配信される歌詞データは業務用のカラオケで提供されるものを携帯端末機に流用することが多い。業務用カラオケでは横長の大画面ディスプレイを用いた歌詞データの表示が行われる。その一方で、携帯端末機においては小画面ディスプレイ、ひいては縦長の小画面ディスプレイに歌詞データが表示される。そのため、業務用の歌詞データに挿入されている改行コマンドに従い改行した場合、携帯端末機では不適切な改行が行われる。この問題を解消するために、業務用カラオケの歌詞データを携帯端末機へ適用する場合、従来はオペレータが、携帯端末機向けに最適な歌詞データの表示が可能となるよう、歌詞データの改行コマンドを新たに打ち込む処理を行っていた。
【特許文献1】特表2004−521385号公報
【特許文献2】特開2000−39892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リリースされる歌詞データは数多く、毎回オペレータが改行コマンドを挿入するのは負担の大きいものであった。また背景画像を歌詞データに併せて表示する場合、この背景画像の表示領域をも考慮する必要がある。さらに、歌詞データの表示は単に歌詞を羅列すればよいというものではなく、ユーザに対する見栄えが重視される。なお、特許文献1及び2には係る問題を解決するための手段が何ら開示されていない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、背景画像データの表示領域に1行文の歌詞データが収まらないと判断した場合に、分割情報を抽出し、これに従い1行分の歌詞データを複数行に分割して画像データへ変換することにより、最適な位置で自動的に改行処理が行われた画像データを生成することが可能な調整方法、調整装置及びコンピュータを調整装置として機能させるためのプログラムを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、分割した各行のバランス調整を行うことにより、見栄えの良い歌詞データの提供が可能となる調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る調整方法は、歌詞データを携帯端末機に表示すべく前記歌詞データの表示位置を調整装置により調整する調整方法において、1行分の歌詞データが前記携帯端末機に表示される背景画像データの列方向の表示領域内に収まるか否かを前記調整装置の制御部により判断する判断ステップと、該判断ステップにより、表示領域内に収まらないと判断した場合に、前記歌詞データ内に含まれる歌詞を分割するための分割情報を前記制御部により抽出する抽出ステップと、該抽出ステップにより抽出した分割情報に基づき1行分の歌詞データを前記制御部により複数行に分割する分割ステップと、該分割ステップにより分割した歌詞データを前記制御部により画像データへ変換する変換ステップとを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る調整装置は、歌詞データを携帯端末機に表示すべく前記歌詞データの表示位置を調整する調整装置において、1行分の歌詞データが前記携帯端末機に表示される背景画像データの列方向の表示領域内に収まるか否かを判断する判断手段と、該判断手段により、表示領域内に収まらないと判断した場合に、前記歌詞データ内に含まれる歌詞を分割するための分割情報を抽出する抽出手段と、該抽出手段により抽出した分割情報に基づき1行分の歌詞データを複数行に分割する分割手段と、該分割手段により分割した歌詞データを画像データへ変換する変換手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る調整装置は、前記分割手段は、前記抽出手段により抽出した分割情報が複数存在する場合に、各行の表示領域の差が最も小さくなる分割情報に基づき、1行分の歌詞データを複数行に分割するよう構成してあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る調整装置は、前記分割手段にて分割する行数の上限値を受け付ける手段をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る調整装置は、前記分割情報は、歌詞データ内に含まれるスペースであることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る調整装置は、前記分割手段により分割した各行に係る歌詞データ末尾に改行コマンドを付加する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る調整装置は、背景画像データを記憶部から読み出す手段と、前記変換手段により変換した歌詞データに係る画像データを前記読み出した背景画像データに合成する合成手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るプログラムは、歌詞データを携帯端末機に表示すべく前記歌詞データの表示位置をコンピュータにより調整するためのプログラムにおいて、コンピュータに、1行分の歌詞データが前記携帯端末機に表示される背景画像データの列方向の表示領域内に収まるか否かを前記コンピュータの制御部により判断する判断ステップと、該判断ステップにより、表示領域内に収まらないと判断した場合に、前記歌詞データ内に含まれる歌詞を分割するための分割情報を前記制御部により抽出する抽出ステップと、該抽出ステップにより抽出した分割情報に基づき1行分の歌詞データを前記制御部により複数行に分割する分割ステップと、該分割ステップにより分割した歌詞データを前記制御部により画像データへ変換する変換ステップとを実行させることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、1行分の歌詞データが携帯端末機に表示される背景画像データの列方向の表示領域内に収まるか否かを判断手段により判断する。この判断手段により、表示領域内に収まらないと判断した場合、歌詞データ内に含まれる歌詞を分割するための分割情報を抽出手段により抽出する。この分割情報は例えば、歌詞データ内に含まれるスペースである。抽出手段により抽出した分割情報に基づき1行分の歌詞データを分割手段により複数行に分割する。分割手段により分割した各行に係る歌詞データの末尾には改行コマンドが付加される。そして、分割手段により分割した歌詞データは画像データへ変換手段により変換される。
【0016】
本発明にあっては、分割手段は、抽出手段により抽出した分割情報が複数存在する場合に、各行の表示領域の差が最も小さくなる分割情報に基づき、1行分の歌詞データを複数行に分割する。
【0017】
本発明にあっては、分割手段にて分割する行数の上限値を受け付ける。分割手段はこの上限値に従い1行分の歌詞データを分割する。
【0018】
本発明にあっては、調整装置は背景画像データを記憶部から読み出す。そして、合成手段は、変換手段により変換した歌詞データに係る画像データと読み出した背景画像データと合成する。
【発明の効果】
【0019】
本発明にあっては、判断手段により、表示領域内に収まらないと判断した場合、歌詞データ内に含まれる歌詞を分割するための分割情報を抽出手段により抽出する。抽出手段により抽出した分割情報に基づき1行分の歌詞データは分割手段により複数行に分割され、画像データへ変換される。これにより、携帯端末機の背景画像データの表示領域内に収まる場合は、予め挿入された改行コマンドに従い改行が行われ、その一方で表示領域を超える場合は、分割情報に従う複数行への分割が行われる。従って現状の歌詞データを活用しつつ、オペレータの作業負担を軽減でき、また最適な位置での改行が可能となる。
【0020】
本発明にあっては、分割手段は、抽出手段により抽出した分割情報が複数存在する場合に、各行の表示領域の差が最も小さくなる分割情報に基づき、1行分の歌詞データを複数行に分割する。これにより、分割した一の行が他の行と比較して極端に長い、または短い等の不具合を解消でき、より見栄えの良い歌詞データに係る画像を提供することが可能となる。
【0021】
本発明にあっては、分割手段にて分割する行数の上限値を受け付ける。分割手段はこの上限値に従い1行分の歌詞データを分割する。これにより、歌詞データの行数が増加し、生成される画像データの容量が増大することを解消できる。
【0022】
本発明にあっては、調整装置は背景画像データを記憶部から読み出す。そして、合成手段は、変換手段により変換した歌詞データに係る画像データと読み出した背景画像データと合成する。これにより、適切に改行処理された歌詞データと背景画像データとが一体化されたデータをユーザに配信することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
実施の形態1
図1は調整システムの概要を示す模式図である。調整システムは調整装置1、通信網N、歌詞データベース(以下歌詞DB)10及び携帯端末機2、2、2、・・・を含んで構成される。調整装置1は、例えばサーバコンピュータが用いられる。以下では調整装置1をサーバコンピュータ1であるものとして説明する。携帯端末機2は例えば、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)、表示部を備える可搬型オーディオプレーヤまたは可搬型ゲーム機等であり、一般のカラオケ店舗に設置されるモニタより小型の表示画面を備える可搬型の携帯端末機である。本実施の形態においては、携帯端末機2を携帯電話機2であるものとして説明する。
【0024】
サーバコンピュータ1と携帯電話機2、2、2、・・・とはインターネット及び携帯電話網等の通信網Nを介して接続されている。歌詞DB10には複数の歌詞データ及び音声データが記憶されている。サーバコンピュータ1は、携帯電話機2からのリクエストに応じて選択された歌詞データを背景画像データに合成すべく調整処理を行う。調整処理の後、合成された画像データ及び歌詞データに対応する音声データはサーバコンピュータ1から携帯電話機2へ送信される。携帯電話機2は受信した画像データの表示及び音声データの再生を行う。
【0025】
図2はサーバコンピュータ1のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバコンピュータ1は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、入力部13、表示部14、通信部16及び記憶部15を含んで構成される。CPU11は、バス17を介してサーバコンピュータ1のハードウェア各部と接続されていて、それらを制御すると共に、記憶部15に格納された制御プログラム15Pに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。制御プログラム15Pは、C言語等のプログラミング言語で記述されている。
【0026】
通信部16はファイアウォールとしての機能を果たすゲートウェイ等であり、携帯電話機2との間で必要な情報を送受信する。記憶部15は例えばハードディスクで構成され、内部には上述した制御プログラム15Pの他、書式ファイル152及び背景画像ファイル151が記憶されている。背景画像ファイル151には複数種類の背景画像データが記憶されている。背景画像データは例えばjpeg(Joint Photographic Experts Group)等のフォーマットで複数種類記憶されており後述するように、ユーザが好みの画像を選択できる。書式ファイル152は例えばテキストデータである歌詞データを表示する際のフォントサイズ、フォント、行間等の情報を記憶している。なお、背景画像ファイル151及び書式ファイル152の詳細については後述する。
【0027】
歌詞DB10には複数の歌詞データ及び音声データが記憶されている。CPU11は歌詞DB10のフィールドのキーを関連付けたスキーマにおいてSQL(Structured Query Language)等を用いて対話することにより、必要な情報の記憶、検索等の処理を実行する。図3は歌詞DB10のレコードレイアウトを示す説明図である。歌詞DB10は、歌詞IDフィールド、歌詞データフィールド及び音声データフィールドを含んで構成される。
【0028】
歌詞IDフィールドには、歌詞データ及び音声データを特定するための固有の識別情報(以下、歌詞IDという)が記憶されている。歌詞データフィールドには、歌詞IDに対応づけて例えばテキスト形式で歌詞データが記憶されている。さらに音声データフィールドには、歌詞ID及び歌詞データに対応づけて、当該歌詞データのメロディとなる音声データが、例えばmmfまたはmld等のデータ形式で記憶されている。
【0029】
図に示すように歌詞ID「T1」、「T2」及び「T3」で示す複数の歌詞データ及び音声データが記憶されている。これら歌詞データ及び音声データは、業務用カラオケで用いられている歌詞データ及び音声データを、通信部16を介して歌詞DB10にダウンロードしたものである。なお、図示しない記録媒体読み取り装置に、業務用カラオケの歌詞データ及び音声データが記録されたCD−ROM等を挿入し、歌詞DB10にこれらの内容を記憶するようにしても良い。なお、歌詞DB10はサーバコンピュータ1からアクセスが可能なデータベースサーバ内に記憶する形態を示したが、サーバコンピュータ1の記憶部15に歌詞DB10を格納しても良いことはもちろんである。
【0030】
図4は携帯電話機2のハードウェア構成を示すブロック図である。携帯電話機2は、制御部としてのCPU21、RAM22、入力部23、表示部24、通信部26、マイク28、スピーカ29、時計部210及び記憶部25を含んで構成される。CPU21は、バス27を介して携帯電話機2のハードウェア各部と接続されていて、それらを制御すると共に、記憶部25に格納された制御プログラム25Pに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。
【0031】
表示部24は例えば液晶ディスプレイ等であり、入力部23はプッシュボタン等により構成される。なお、タッチパネルのように表示部24と入力部23とを一体的に構成するようにしても良い。スピーカ29は音声データ、通話データ、またはマイク28から入力された音声に係る音声信号を増幅して出力する。マイク28は外部から入力された音声信号を電気信号へ変換する。変換後の電気信号は図示しないA/D変換器によりデジタルデータへ変換されてCPU21へ出力される。通信部26は高周波送受信部及びアンテナ等を備え、音声データ、文字データ等を含む各種データの送受信を行う。時計部210は日時情報をCPU21へ出力する。
【0032】
記憶部25には制御プログラム25P、ブラウザ251、及び再生アプリケーション252が記憶されている。ブラウザ251はHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)により通信部26を介して送受信されるHTML(HyperText Markup Language)ファイルを解析して表示部24に表示する。再生アプリケーション252は音楽データの再生と、歌詞データが背景画像データに合成された画像データの表示との同期を行うソフトウェアである。再生アプリケーション252は音楽データの再生と共に複数ページからなる画像データの第1ページ目の表示を行う。そして時計部210から出力される日時情報を参照して、所定時間の経過後画像データのページの切り替えを行う。CPU11は再生アプリケーション252のプログラムに従い、音声をマイク28から出力し、時計部210からの日時情報を参照して、表示部24に表示する画像データのページ切り替えを行う。
【0033】
図5は背景画像ファイル151のレコードレイアウトを示す説明図である。サーバコンピュータ1の記憶部15には背景画像ファイル151が格納されている。背景画像ファイル151は背景画像IDフィールド、背景画像データフィールド、表示領域(行)フィールド及び表示領域(列)フィールドを含んで構成される。背景画像IDフィールドには、背景画像データを特定するための固有の識別情報(以下、背景画像ID)が記憶されている。背景画像データフィールドには背景画像IDに対応づけて、歌詞データの背景となる背景画像データが記憶されている。
【0034】
表示領域(行)フィールドには歌詞データを表示することが可能な表示部24の縦(行)方向画素数を記憶している。また表示領域(列)フィールドには歌詞データを表示することが可能な表示部24の横(列)方向の画素数を記憶している。例えば、背景画像ID「IM1」の背景画像は、歌詞データの表示領域が、行方向350画素、列方向220画素である。なお、背景画像ファイル151は歌詞DB10内に記憶するようにしても良い。
【0035】
図6は表示部24に表示される画像データのイメージを示す説明図である。表示部24上には歌詞データに係る画像データと背景画像データとを合成した合成画像データが表示される。背景画像データは表示部24の表示領域に合わせて表示される。背景画像データは背景となる画像データ上に例えば透過画像データ241を貼り合わせた形態としている。透過画像データ241は背景となる画像データが視認できるような透過率としている。透過画像データ241は、歌詞が背景となる画像により視認することが困難となる事態を防止するために張り合わされるものであり、例えば、歌詞が黒色の場合、透過画像データ241は透過率25%の白色画像が用いられる。
【0036】
背景画像データ上の透過画像データ241内に歌詞データに係る画像が表示され、矩形上の透過画像データ241で規定する領域が歌詞データの表示領域である。サーバコンピュータ1のCPU11は歌詞データに係る画像が、透過画像データ241内である歌詞データに係る画像の表示領域内に適切に収まるよう調整処理を実行する。図6に示す表示領域のx軸方向は列(横)方向を示し、また表示領域のy軸方向は行(縦)方向を示す。xy座標系における(0,0)は原点であり、x軸方向の表示領域はx=0からx=Xまでである。またy軸方向の表示領域はy=0からy=Yまでである。従って表示領域は(0,0)、(X,0)、(X,Y)及び(0,Y)となる。図5に示す例では背景画像ID「IM1」の画像はXが220であり、Yが350である。
【0037】
図7は改行処理のイメージを示す説明図である。サーバコンピュータ1のCPU11は背景画像ファイル151から対象となる背景画像データ及び表示領域を読み出す。またCPU11は歌詞DB10から対象となる歌詞データを読み出す。さらにCPU11は書式ファイル152からフォント、フォントサイズ、各行の表示開始位置、行間等の書式を読み出す。CPU11は読み出した歌詞データを書式に従い変換する。CPU11は書式を変換した後の各行の歌詞データが、読み出した列方向の表示領域内に収まるか否かを判断する。
【0038】
具体的にはCPU11は、書式ファイル152に従い変換した1行の歌詞データを画像データへ変換し、列方向の画素数が背景画像ファイル151に記憶された列方向の表示領域に係る画素数内に収まるか否かを判断する。例えば、背景画像が「IM1」である場合、列方向の表示領域の画素数は220であるので、書式変換した歌詞データの画像データの列方向画素数が、220を超えるか否かにより判断する。なお、CPU11は画像データへ変換することなく、書式に従い変換した1行の歌詞データの文字数及びフォントサイズから、背景画像ファイル151に記憶した列方向の表示領域内に収まるか否かにより判断してもよい。表示領域内に収まる場合は、予め歌詞データに付与されている改行コマンドに従い改行処理が行われる。その一方で、1行が表示領域内に収まらない場合は、1行の歌詞データを複数行に分割する処理を行う。
【0039】
図7aは歌詞データ1行が「AAA BBB CCCC DD EEEEE FFFF GGG」である例を示す。歌詞データの1行は一の文字ブロック「AAA」と他の文字ブロック「BBB」との間にスペースが挿入されている。図7aの例では各文字ブロック間にスペース(1)〜(6)が挿入されている状態を示す。また歌詞データ1行の末尾、本例では文字ブロック「GGG」末尾には改行コマンドが挿入されている。なお、改行コマンドは図示していない。
【0040】
図7aの横軸(x軸)は列方向の画素数を示し、x軸上のXは背景画像の列方向の表示領域を示す。図7aの例では1行分の歌詞データが列方向の表示領域Xを超えている。この場合CPU11は、1行分の歌詞データ内に含まれる歌詞を分割するための分割情報を抽出する。分割情報は歌詞を分割するためのものであり、例えばスペース、読点、句点、ピリオド、クエッションマーク及びエクスクラメーションマーク等である。なお、以下では説明を容易にするために分割情報を文字ブロック間に挿入されるスペースであるものとして説明し、また1行分の歌詞データを2行に分割する例を説明する。
【0041】
CPU11はテキスト中に存在するスペース(1)〜(6)を抽出し、スペース(1)〜(6)に改行コマンドを挿入する。図7bはスペース(1)により1行の歌詞データを2行の歌詞データへ分割した図であり、図7cはスペース(2)により1行の歌詞データを2行の歌詞データへ分割した図であり、図7dはスペース(3)により1行の歌詞データを2行の歌詞データへ分割した図であり、図7eはスペース(4)により1行の歌詞データを2行の歌詞データへ分割した図であり、図7fはスペース(5)により1行の歌詞データを2行の歌詞データへ分割した図であり、図7gはスペース(6)により1行の歌詞データを2行の歌詞データへ分割した図である。このようにして候補となる歌詞データb〜gが作成される。
【0042】
CPU11はスペースにより分割された2行分の歌詞データが表示領域内に収まるか否かを判断する。図7bにおいては2行目の文字ブロック「GGG」において、表示領域を超えており、また図7gにおいては1行目の文字ブロック「FFFF」において、表示領域を超えている。CPU11は表示領域を超える歌詞データb及びgは候補から削除する。CPU11は複数行にわたって表示される歌詞データの表示バランスがよい歌詞データを候補である歌詞データc、d、e、fから選択する。
【0043】
CPU11は歌詞データの各行の表示領域の差を算出し、その差が最小である歌詞データを選択する。具体的にはCPU11は各行の文字数の差を算出する、または、各行の歌詞データを画像データへ変換し、列方向の画素数の差を算出する。図7の例では各行の表示領域の差が最小であるのは図7eの歌詞データである。つまり、スペース(4)に改行コマンドを挿入した場合が、最も見栄えが良くなる。なお、必ずしもこの差が最小である歌詞データを選択する必要はなく、次に差の小さい歌詞データ、本例では図7d、を選択するようにしても良い。CPU11はスペース(4)の後に改行コマンドを挿入し、2行に分割した歌詞データを記憶部15に記憶する。
【0044】
本例では分割する行数の上限値を2としたが、3以上としても良い。この場合、オペレータは入力部13から最大値を入力する。CPU11は入力された最大値を受け付け記憶部15に記憶する。上限値が3である場合も同様に、スペースに基づき、3行分全ての組み合わせに係る候補の歌詞データを作成し、各行の歌詞データの差の総和が最小となる歌詞データを選択すればよい。また本実施の形態においては各行の表示領域の差または差の総和に基づき最適なスペースを選択する構成を説明したが、他の構成としても良い。例えば、各行の表示領域の分散または標準偏差が最小となるスペースを分割する位置として選択するようにしても良い。
【0045】
以上のハードウェア構成において改行処理の手順等を、フローチャートを用いて説明する。図8及び図9は改行処理の手順を示すフローチャートである。CPU11は合成の対象となる歌詞データを歌詞DB10から読み出し、また背景画像データを背景画像ファイル151から読み出す(ステップS81)。CPU11は記憶部15に記憶した書式ファイル152を読み出す(ステップS82)。CPU11は読み出した書式に従い、ステップS81で読み出した歌詞データの書式を変換する(ステップS83)。これにより、歌詞データ各行の列方向の表示領域が決定される。
【0046】
CPU11はステップS81で読み出した背景画像データの列方向の表示領域を背景画像ファイル151から読み出す。CPU11は書式変換した1行分の歌詞データが列方向の表示領域内に収まるか否かを判断する(ステップS84)。CPU11は、1行分の歌詞データが列方向の表示領域内に収まらないと判断した場合(ステップS84でNO)、1行分の歌詞データのテキストを参照し分割情報たるスペースを抽出する(ステップS85)。CPU11は分割する行数の上限値を記憶部15から読み出す(ステップS86)。
【0047】
CPU11は読み出した上限値を限度に、1行の歌詞データを抽出したスペースで分割し、複数行からなる複数の候補となる歌詞データを作成する(ステップS87)。CPU11は候補となる歌詞データが列方向の表示領域内に収まるか否かを判断する(ステップS88)。CPU11は候補となる歌詞データが列方向の表示領域内に収まらないと判断した場合(ステップS88でNO)、この収まらない当該候補歌詞データを候補から削除し(ステップS89)、ステップS88へ移行する。一方、CPU11は候補となる歌詞データが列方向の表示領域内に収まると判断した場合(ステップS88でYES)、分割した各行の表示領域の差の総和を算出する(ステップS810)。なお、上限値が2の場合は総和ではなく、CPU11は各行の表示領域の差を算出する。
【0048】
CPU11はステップS810の処理をステップS88の条件を満たす全ての候補歌詞データについて行う。CPU11は差の総和が最小の候補歌詞データを選択する(ステップS811)。CPU11は選択した候補歌詞データの分割したスペースに改行コマンドを挿入する(ステップS812)。すなわち分割する対象となった行の末尾に改行コマンドを付加する。CPU11は以上の処理により分割した歌詞データを記憶部15に記憶する(ステップS813)。
【0049】
CPU11はステップS813の処理の後、及び、ステップS84において1行分の歌詞データが列方向の表示領域内に収まると判断した場合(ステップS84でYES)、全ての行について上述した処理を実行したか否かを判断する(ステップS91)。CPU11は全ての行について処理を実行していないと判断した場合(ステップS91でNO)、次の行へ処理を移行し(ステップS92)、再度ステップS84以降の処理を実行する。
【0050】
CPU11は全ての行について処理を実行したと判断した場合(ステップS91でYES)、改行処理後の歌詞データを画像データへ変換する(ステップS93)。CPU11は変換後の歌詞データに係る画像データとステップS81で読み出した背景画像データとを合成する処理を行う(ステップS94)。なお、歌詞データに係る画像データの貼り付け位置は、例えば図6に示す座標値(0,0)とすれば良い。CPU11は合成画像データを背景画像ID及び歌詞IDに対応づけて記憶する(ステップS95)。以上の処理が各歌詞データ及び各背景画像データの組み合わせにおいて実行される。これにより、複数種類の背景画像ID及び歌詞IDそれぞれに対して最適な改行処理が実行された合成画像データが記憶される。
【0051】
図10及び図11は合成画像データの配信処理の手順を示すフローチャートである。携帯電話機2のCPU21はブラウザ251を起動し、サーバコンピュータ1のURLを入力することによりサーバコンピュータ1に対する接続要求を行う(ステップS101)。サーバコンピュータ1のCPU11は接続要求を受けて、歌詞DB10から歌詞データを読み出し(ステップS102)、歌詞データの選択画面を送信する。この歌詞データの選択画面は、読み出した複数の歌詞データのタイトル、歌手名、歌詞の1フレーズ及び歌詞IDを含む情報がHTML(HyperText Markup Language)形式で記述されている。CPU11は読み出した複数の歌詞データのタイトル、歌手名、歌詞の1フレーズ及び歌詞IDを含む情報をHTML形式で作成した歌詞データ選択画面を携帯電話機2へ送信する(ステップS103)。
【0052】
携帯電話機2のCPU21は送信された歌詞データ選択画面を受信する(ステップS104)。CPU21は入力部23から配信を希望する歌詞データの選択を受け付ける(ステップS105)。CPU21は入力部23を介してユーザが選択した配信を希望する歌詞データに係る歌詞IDをサーバコンピュータ1へ送信する(ステップS106)。サーバコンピュータ1のCPU11は歌詞IDを受信する(ステップS107)。これにより、歌詞データの選択が終了する。
【0053】
続いてCPU11は背景画像ファイル151から背景画像データ及び背景画像IDを読み出す(ステップS108)。CPU11は背景画像データのサムネイル画像を作成する。そして、CPU11は背景画像を選択するための背景画像選択画面を作成する。この背景画像選択画面は、複数の背景画像データのサムネイル画像及び各サムネイル画像に対応する背景画像IDを含むHTML文書により構成される。CPU11は作成した背景画像選択画面を携帯電話機2へ送信する(ステップS109)。
【0054】
携帯電話機2のCPU21は背景画像選択画面を受信する(ステップS110)。CPU21はブラウザ251に背景画像選択画面を表示する。ユーザは歌詞の背景として希望する一の背景画像に係るサムネイルを入力部23から選択する。CPU21は入力部23から入力された背景画像の選択を受け付ける(ステップS111)。CPU21は選択されたサムネイル画像に対応する背景画像IDをサーバコンピュータ1へ送信する(ステップS112)。これにより合成対象となる背景画像データが決定される。
【0055】
サーバコンピュータ1のCPU11は背景画像IDを受信する(ステップS1120)。CPU11は受信した背景画像ID及びステップS107で受信した歌詞IDに対応する合成画像データを記憶部15から読み出す(ステップS113)。すなわちCPU11はステップS95で記憶した複数の合成画像データの中から、歌詞ID及び背景画像IDをアンド条件で満たす合成画像データを読み出す。
【0056】
続いてCPU11は歌詞IDに対応する音声データを歌詞DB10から読み出す(ステップS114)。CPU11は合成画像データ及び読み出した音声データを携帯電話機2へ送信する(ステップS115)。携帯電話機2のCPU21は送信された合成画像データ及び音声データを受信する(ステップS116)。CPU21は再生アプリケーション252を起動する(ステップS117)。CPU21は再生アプリケーション252の指示に従い、合成画像データを表示部24へ表示する(ステップS118)。さらに、所定のタイミングで音声データをスピーカ29から出力する(ステップS119)。
【0057】
実施の形態2
図12は実施の形態2に係るサーバコンピュータ1の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係るサーバコンピュータ1を動作させるためのコンピュータプログラムは、本実施の形態2のように、CD−ROM、MO、またはDVD−ROM等の可搬型記録媒体1Aで提供することも可能である。さらに、コンピュータプログラムを、通信網Nを介して図示しないサーバコンピュータからダウンロードすることも可能である。以下に、その内容を説明する。
【0058】
図12に示すサーバコンピュータ1の図示しないリーダ/ライタに、表示領域に収まるか否か判断させ、分割情報を抽出させ、複数行に分割させ、画像データへ変換させるコンピュータプログラムが記録された可搬型記録媒体1A(CD−ROM、MO又はDVD−ROM等)を、挿入して記憶部15の制御プログラム内にこのプログラムをインストールする。または、かかるプログラムを、通信部16を介して外部の図示しないサーバコンピュータからダウンロードし、記憶部15にインストールするようにしても良い。かかるプログラムはRAM12にロードして実行される。これにより、上述のような本発明のサーバコンピュータ1として機能する。
【0059】
本実施の形態2は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0060】
実施の形態3
実施の形態3は実施の形態1により改行処理が行われた歌詞データを複数ページに分断する形態に関する。以下では合成装置をサーバコンピュータ1であるものとして説明する。図13は書式ファイル152の記憶内容を示す説明図である。書式ファイル152はテキストデータである歌詞データに対するフォント、フォントサイズ、行間、表示開始位置、各項目を表示する際の行を含む各種情報を記憶している。書式ファイルはINIファイルであり、その内容はテキスト形式で記述されている。x座標開始位置はx軸方向における歌詞データの表示開始位置を規定しており、本例ではx=0と記憶されている。同様に、y座標開始位置はy軸方向における歌詞データの表示開始位置を規定しており、本例ではy=0と記憶されている。
【0061】
図14は表示部24に表示される画像データのイメージを示す説明図である。図14に示すように、透過画像データ241のxy座標系における座標(0,0)が歌詞データの表示開始位置となる。なお、表示部24の左上端をxy座標系とし、左上の座標を(0,0)としても良い。この場合、x座標開始位置は18とし、y座標開始位置は20とすれば良い。図13の書式ファイル152に示す行間は3と記憶されている。これは表示される歌詞データの行と行との間の画素数である。
【0062】
また書式ファイル152には各行に対応づけて各行に表示する歌詞データの項目、フォント、及びフォントサイズが記憶されている。例えば1行目には曲名、Pゴシック、フォントサイズ18と記憶されている。図14に示すように座標値(0,0)を起点として1行目には曲名「111」がPゴシック、フォントサイズ18で表示される。同様に2行目には歌手名、Pゴシック、フォントサイズ18と記憶されている。図14に示すように1行目から画素数3の行間を空けて2行目には歌手名「222」がPゴシック、フォントサイズ18で表示される。
【0063】
3行目には作詞名、Pゴシック、フォントサイズ11と記憶されている。図14に示すように3行目には作詞名「333」がPゴシック、フォントサイズ11で表示される。なお図14上ではフォント及びフォントサイズは同一のものを記載している。4行目には作曲名、Pゴシック、フォントサイズ11と記憶されている。図14に示すように4行目には作曲名「444」がPゴシック、フォントサイズ11で表示される。5行目及び6行目には歌詞データを記述しないため空白と記憶されている。図14に示すごとく5行目及び6行目には歌詞データが表示されない。
【0064】
7行目には項目として歌詞データ、フォントがゴシック、またフォントサイズが11と記憶されている。7行目以降は曲名、歌手名、作詞名及び作曲名を除く歌唱対象となる歌詞データを表示する際の書式が記憶されている。歌唱対象となる歌詞データは、図14に示すごとく、7行目以降からフォントがゴシックで、フォントサイズが11で表示される。なお、実施の形態1で述べたごとくすでに歌詞データは改行処理がなされている。なお、歌詞データの曲名、歌手名、作詞名及び作曲名等の情報は歌詞DB10に歌詞IDに対応づけて記憶されている。
【0065】
図14の例では7行目以降に歌唱対象となる歌詞データが表示されている。ただし11行目においては歌詞データ「OOO PP QQQ」が行方向の表示領域の限界となる座標Yを超えている。以下では行方向の表示領域の限界となる座標Yを限界座標Yという。この限界座標Yは背景画像IDが「IM1」の場合、Y=350である。CPU11はRAM12上に書式に従い変換した歌詞データを展開し、展開した複数行からなる歌詞データが、背景画像データの行方向における表示領域内に収まるか否かを判断する。CPU11は書式ファイルに記憶したy座標開始位置、行間、及びフォントサイズに基づき、行方向の限界座標Yに一致する行を検出する。
【0066】
任意の行Lの行方向の表示領域のうち記述が開始される最も上のラインの画素数をLstart、記述が終了する最も下のラインの画素数をLendとする場合、任意の行LのLendは下記の式(1)で表すことができる。
Lend=y座標開始位置+(H+行間画素数)×(L−1)+H (1)
【0067】
ただしHはフォントサイズに対応する文字の行方向の画素数であり、Lend−Lstart+1で定義される。例えばフォントサイズが11の場合は画素数20等である。CPU11は記憶部15に記憶した式(1)にy座標開始位置、行間画素数及びフォントサイズに対応する文字の行方向の画素数を代入することにより、各行の記述が終了する画素数Lendを算出する。図14の例では11行目の歌詞データが限界座標Yを超えている。この場合、CPU11は歌詞データを複数ページに分断すべく、限界座標Yに達する前の行末尾に改ページコマンド(リターンコマンド)を挿入する。図14の例では、限界座標Yに達する前の10行目の文字ブロック「NN」の末尾に改ページコマンドを挿入する。
【0068】
これにより1ページに表示すべき列方向及び行方向の歌詞データが決定される。CPU11は上述した処理を次のページにも同様に行う。CPU11は改行処理により挿入された改行コマンド及び改ページコマンドを歌詞データの文字ブロックに対応づけて記憶する。図15は表示部24に表示される画像データのイメージを示す説明図である。11行目の歌詞データ「OOO PP QQQ」は次ページの第1行目に表示されており、またこのページの最終行には限界座標Yに達することなく歌詞データ「UUUUU VVV XXXX」が表示されている。
【0069】
CPU11は以上の処理により改ページコマンドが挿入された各ページ用の複数行からなる歌詞データをjpeg等の形式で、画像データへ変換する。そして、貼り付け座標位置(0,0)を基準に、変換した画像データを背景画像データへ合成する。これを各ページについて行うことにより複数ページから構成される合成画像データが作成される。CPU11は、歌詞ID及び背景画像IDに対応づけて合成した合成画像データを記憶部15に記憶する。
【0070】
図16及び図17は分断処理の手順を示すフローチャートである。CPU11は歌詞DB10から分断対象となる歌詞データを読み出し、また合成の対象となる背景画像データを背景画像ファイル151から読み出す(ステップS161)。なお、ここで読み出した歌詞データはすでに実施の形態1で述べた改行処理が行われているものとして説明する。CPU11は読み出した背景画像データに対応する行方向の表示領域(限界領域Y)を背景画像ファイル151から読み出す(ステップS162)。CPU11は記憶部15の書式ファイル152から記憶された書式を読み出す(ステップS163)。CPU11は読み出した歌詞データを書式に従い変換しRAM12上に展開する(ステップS164)。
【0071】
CPU11はRAM12上に展開した歌詞データ各行の行方向の記述が終了する画素数を記憶部15に記憶した式(1)に従い算出する(ステップS165)。CPU11は算出した画素数が限界領域Yを超えるか否かを判断する(ステップS166)。CPU11は算出した画素数が限界領域Yを超えると判断した場合(ステップS166でYES)、算出した画素数が限界領域Yを超える行の前の行を抽出する(ステップS167)。
【0072】
CPU11は抽出した行の末尾に改ページコマンドを挿入する(ステップS168)。またCPU11は改ページコマンドの挿入に併せて、ページ番号を設定する(ステップS169)。図14の例では文字ブロック「NN」の末尾に改ページ番号が挿入され、またページ番号1が設定される。さらにページを切り替えるための時間情報も記憶される。すなわち、歌詞データの各文字ブロックには音声データと同期をとるための時間情報が記憶部15に記憶されており、例えば文字ブロック「OOO」には音声データの再生開始後、2分10秒〜2分12秒とする時間情報が記憶部15に記憶されている。ここで2分10秒は当該文字ブロックの歌唱開始時間であり、2分12秒は当該文字ブロックの歌唱終了時間である。
【0073】
CPU11は抽出した行の次の行の先頭文字ブロックの時間情報を記憶部15から読み出す。CPU11は読み出した歌唱開始時間から切り替えのための余裕時間(例えば0.5秒)を減算し、減算した時間情報をページ切り替え時間としてページ番号に対応づけて、歌詞データとともにRAM12に記憶する(ステップS1610)。例えば第1ページ目のページ切り替え時間は2分9秒50msとなる。なお、この余裕時間はオペレータが入力部13から適宜の値を入力することができ、入力された余裕時間は記憶部15に記憶される。
【0074】
さらに本実施の形態においてはページ切り替え時間を抽出した行の次の行の先頭文字ブロックの時間情報に基づき算出したが、抽出した行の最後の文字ブロックに対する時間情報に基づき算出するようにしても良い。例えば抽出行の最終文字ブロック「NN」の時間情報が音声データ再生開始後、2分5秒〜2分7秒と記憶部に記憶されている場合、歌唱終了時間である2分7秒に余裕時間を加算した時間をページ切り替え時間としても良い。この場合CPU11は、ステップS167で抽出した前の行の最終文字ブロックの歌唱終了時間を記憶部15から読み出し、この歌唱終了時間に余裕時間を加算してページ切り替え時間とし、このページ切り替え時間を歌詞データ及びページ番号と共にRAM12に記憶する。
【0075】
そして次のページの処理を行うべく、CPU11はステップS165へ移行し、ステップS167で限界領域Yを超えた行について、ステップS165以降の処理を繰り返し行う。CPU11はステップS166において算出した行方向の記述が終了する画素数が限界領域Yを超えないと判断した場合(ステップS166でNO)、歌詞データの最後と判断し(ステップS171)、最終のページ番号を設定する。CPU11はRAM12に記憶した各ページの歌詞データを読み出し画像データへ変換する(ステップS172)。CPU11は各ページの歌詞データに係る画像データを、座標(0,0)を基準にステップS161で読み出した背景画像データに合成する(ステップS173)。
【0076】
CPU11は歌詞ID及び背景画像IDに対応づけて複数ページから構成される合成画像データをページ番号及びページ切り替え時間と共に記憶部15に記憶する(ステップS174)。以上述べた改行及び分断処理を歌詞データ及び背景画像データの全ての組み合わせにおいて、CPU11に実行させることにより、見栄えの良い合成画像データを容易に作成することが可能となる。
【0077】
図18は合成画像データの再生手順を示すフローチャートである。携帯電話機2のCPU21は実施の形態1で述べた手順により歌詞ID及び背景画像IDを選択することにより、合成画像データ及び音声データをサーバコンピュータ1からダウンロードする(ステップS181)。CPU21は再生アプリケーション252を起動する(ステップS182)。CPU21は複数ページから構成される合成画像データ、各ページのページ切り替え時間及び音声データをRAM22に展開する(ステップS183)。
【0078】
CPU21は合成画像データを表示部24に表示し、これと同期させて音声データをスピーカ29から出力する(ステップS184)。時計部210は音声データの再生開始と共に計時を開始する。CPU21は時計部210からの出力を参照し、音楽データ再生後、表示中のページに対するページ切り替え時間に到達したか否かを判断する(ステップS185)。CPU21はページ切り替え時間に到達していないと判断した場合(ステップS185でNO)、到達するまで待機する。
【0079】
一方CPU21はページ切り替え時間に到達したと判断した場合(ステップS185でYES)、当該表示している合成画像データのページ番号を参照し、最終ページであるか否かを判断する(ステップS186)。CPU21は最終ページでないと判断した場合(ステップS186でNO)、次ページを表示すべく合成画像データのページを切り替える(ステップS187)。表示部24には切り替え後の次のページに係る合成画像データが表示される。そして、再びステップS185へ移行し以上の処理を繰り返す。ステップS186においてCPU21は現在表示部24に表示している合成画像データが最終ページであると判断した場合(ステップS186でYES)、音楽データの再生終了と共に一連の処理を終了する。
【0080】
本実施の形態3は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1及び2と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0081】
実施の形態4
図19は実施の形態4に係るサーバコンピュータ1の構成を示すブロック図である。実施の形態4に係るサーバコンピュータ1を動作させるためのコンピュータプログラムは、本実施の形態4のように、CD−ROM、MO、またはDVD−ROM等の可搬型記録媒体1Aで提供することも可能である。さらに、コンピュータプログラムを、通信網Nを介して図示しないサーバコンピュータからダウンロードすることも可能である。以下に、その内容を説明する。
【0082】
図19に示すサーバコンピュータ1の図示しないリーダ/ライタに、書式を記憶させ、歌詞データを展開させ、歌詞データを分断させ、画像データへ変換させ、合成させるコンピュータプログラムが記録された可搬型記録媒体1A(CD−ROM、MO又はDVD−ROM等)を、挿入して記憶部15の制御プログラム内にこのプログラムをインストールする。または、かかるプログラムを、通信部16を介して外部の図示しないサーバコンピュータからダウンロードし、記憶部15にインストールするようにしても良い。かかるプログラムはRAM12にロードして実行される。これにより、上述のような本発明のサーバコンピュータ1として機能する。
【0083】
本実施の形態4は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1乃至3と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0084】
実施の形態5
実施の形態5は複数の書式ファイルを有する形態に関する。図20は実施の形態5のサーバコンピュータ1のハードウェア構成を示すブロック図である。記憶部15には新たに補助書式ファイル153及び上限ページ数記憶部154が記憶されている。補助書式ファイル153は書式ファイル152とは異なる書式を記憶したINIファイルであり、テキスト形式で各種書式が記憶されている。なお、本実施の形態においては書式ファイル152及び補助書式ファイル153の2種類を用意する形態を説明するが、3種類以上書式を規定するファイルを用意しても良い。
【0085】
上限ページ数記憶部154には歌詞データに係る画像データと背景画像データとを合成した合成画像データのページ数の上限値を記憶している。例えば上限となるページ数は7ページである。CPU11は実施の形態1及び実施の形態3で述べた改行処理及び分断処理により総ページ数が上限となるページ数(以下上限ページ数という)を超える場合は、補助書式ファイル153から書式を読み出し、この新たな書式に従い、再度改行処理及び分断処理を行う。補助書式ファイル153には、上限ページ数に収めるべく、書式ファイル152の書式よりも小さなフォントサイズ及び狭い行間等が記憶されている。
【0086】
図21は補助書式ファイル153の記憶内容を示す説明図である。補助書式ファイル153は書式ファイル152と同じく、テキストデータである歌詞データに対するフォント、フォントサイズ、行間、表示開始位置、各項目を表示する際の行を含む各種情報を記憶している。x座標開始位置はx軸方向における歌詞データの表示開始位置を規定しており、本例ではx=0と記憶されている。同様に、y座標開始位置はy軸方向における歌詞データの表示開始位置を規定しており、本例ではy=0と記憶されている。
【0087】
行間は書式ファイル152の行間「3」と異なり、行間が「2」と狭く設定されている。これは上限ページ数内に合成画像データを収めるためである。1行目には項目「曲名」、2行目には項目「歌手名」の書式が記憶されているがフォントサイズは書式ファイル152の「18」から「11」と小さくなるよう変更されている。また3行目には項目「作詞名」、4行目には項目「作曲名」の書式が記憶されているがフォントサイズは書式ファイル152の「11」から「10」と小さくなるよう変更されている。
【0088】
また補助書式ファイル153では、書式ファイル152の5行目及び6行目の空白は削除されており、5行目には項目「歌詞データ」の書式が次に記憶されている。また歌詞データのフォントサイズは書式ファイル152の「11」から「10」へと変更されている。
【0089】
図22は補助書式ファイルを利用する際の処理手順を示すフローチャートである。サーバコンピュータ1のCPU11は入力部13から上限ページ数の入力を受け付ける(ステップS221)。CPU11は受け付けた上限ページ数を上限ページ数記憶部154に記憶する(ステップS222)。またCPU11は補助書式ファイル153を記憶部15に記憶する(ステップS223)。CPU11は実施の形態1及び3で述べた如く、合成対象となる歌詞データ及び背景画像データを読み出す(ステップS224)。またCPU11は書式ファイル152から書式を読み出す(ステップS225)。
【0090】
CPU11は実施の形態1の図8及び図9で示した改行処理及び実施の形態3の図16及び図17で示した分断処理を実行する(ステップS226)。なお、これらの処理の詳細はすでに説明したとおりであるので省略する。CPU11はステップS171で歌詞データの最後と判断した場合の総ページ数が、上限ページ数記憶部154に記憶した上限ページ数を超えるか否かを判断する(ステップS227)。
【0091】
ここでCPU11は歌詞データの総ページ数が上限ページ数を超えない場合(ステップS227でNO)、処理を終了する。一方、CPU11は歌詞データの総ページ数が上限ページ数を超える場合(ステップS227でYES)、記憶部15に記憶した補助書式ファイル153の書式を読み出す(ステップS228)。CPU11は歌詞データを補助書式ファイル153から読み出した書式に従い変換しRAM22へ展開する(ステップS229)。その後、CPU11は実施の形態1の図8及び図9で示した改行処理及び実施の形態3の図16及び図17で示した分断処理を実行する(ステップS2210)。これにより、歌詞が長く上限ページ数を超える場合でも書式が適切に設定され、上限ページ数内に収まることになる。
【0092】
本実施の形態5は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1乃至4と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
(付記1)
複数行から構成される歌詞データを複数ページから構成される携帯端末機用の背景画像データに合成する合成装置において、
前記歌詞データを表示する際の書式を記憶する書式ファイルと、
該書式ファイルに記憶した書式に従い前記歌詞データを展開する展開手段と、
該展開手段により展開した複数行からなる歌詞データが、前記背景画像データの各ページの行方向における表示領域内に収まるよう複数ページに分断する分断手段と、
該分断手段により分断した各ページの歌詞データを画像データへ変換する変換手段と、
該変換手段により変換した各ページに係る画像データを前記背景画像データの各ページに合成する合成手段と
を備えることを特徴とする合成装置。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】調整システムの概要を示す模式図である。
【図2】サーバコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】歌詞DBのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図4】携帯電話機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】背景画像ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図6】表示部に表示される画像データのイメージを示す説明図である。
【図7】改行処理のイメージを示す説明図である。
【図8】改行処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】改行処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】合成画像データの配信処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】合成画像データの配信処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2に係るサーバコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図13】書式ファイルの記憶内容を示す説明図である。
【図14】表示部に表示される画像データのイメージを示す説明図である。
【図15】表示部に表示される画像データのイメージを示す説明図である。
【図16】分断処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】分断処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】合成画像データの再生手順を示すフローチャートである。
【図19】実施の形態4に係るサーバコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図20】実施の形態5のサーバコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図21】補助書式ファイルの記憶内容を示す説明図である。
【図22】補助書式ファイルを利用する際の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1 サーバコンピュータ
1A 可搬型記録媒体
2 携帯電話機
10 歌詞DB
11 CPU(制御部)
12 RAM
13 入力部
14 表示部
15 記憶部
15P 制御プログラム
16 通信部
21 CPU(制御部)
22 RAM
23 入力部
24 表示部
25 記憶部
25P 制御プログラム
26 通信部
28 マイク
29 スピーカ
151 背景画像ファイル
152 書式ファイル
153 補助書式ファイル
154 上限ページ数記憶部
210 時計部
241 透過画像データ
251 ブラウザ
252 再生アプリケーション
N 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歌詞データを携帯端末機に表示すべく前記歌詞データの表示位置を調整装置により調整する調整方法において、
1行分の歌詞データが前記携帯端末機に表示される背景画像データの列方向の表示領域内に収まるか否かを前記調整装置の制御部により判断する判断ステップと、
該判断ステップにより、表示領域内に収まらないと判断した場合に、前記歌詞データ内に含まれる歌詞を分割するための分割情報を前記制御部により抽出する抽出ステップと、
該抽出ステップにより抽出した分割情報に基づき1行分の歌詞データを前記制御部により複数行に分割する分割ステップと、
該分割ステップにより分割した歌詞データを前記制御部により画像データへ変換する変換ステップと
を備えることを特徴とする調整方法。
【請求項2】
歌詞データを携帯端末機に表示すべく前記歌詞データの表示位置を調整する調整装置において、
1行分の歌詞データが前記携帯端末機に表示される背景画像データの列方向の表示領域内に収まるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段により、表示領域内に収まらないと判断した場合に、前記歌詞データ内に含まれる歌詞を分割するための分割情報を抽出する抽出手段と、
該抽出手段により抽出した分割情報に基づき1行分の歌詞データを複数行に分割する分割手段と、
該分割手段により分割した歌詞データを画像データへ変換する変換手段と
を備えることを特徴とする調整装置。
【請求項3】
前記分割手段は、
前記抽出手段により抽出した分割情報が複数存在する場合に、各行の表示領域の差が最も小さくなる分割情報に基づき、1行分の歌詞データを複数行に分割するよう構成してある
ことを特徴とする請求項2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記分割手段にて分割する行数の上限値を受け付ける手段
をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載の調整装置。
【請求項5】
前記分割情報は、歌詞データ内に含まれるスペースである
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一つに記載の調整装置。
【請求項6】
前記分割手段により分割した各行に係る歌詞データ末尾に改行コマンドを付加する手段
をさらに備えることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一つに記載の調整装置。
【請求項7】
背景画像データを記憶部から読み出す手段と、
前記変換手段により変換した歌詞データに係る画像データを前記読み出した背景画像データに合成する合成手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一つに記載の調整装置。
【請求項8】
歌詞データを携帯端末機に表示すべく前記歌詞データの表示位置をコンピュータにより調整するためのプログラムにおいて、
コンピュータに、
1行分の歌詞データが前記携帯端末機に表示される背景画像データの列方向の表示領域内に収まるか否かを前記コンピュータの制御部により判断する判断ステップと、
該判断ステップにより、表示領域内に収まらないと判断した場合に、前記歌詞データ内に含まれる歌詞を分割するための分割情報を前記制御部により抽出する抽出ステップと、
該抽出ステップにより抽出した分割情報に基づき1行分の歌詞データを前記制御部により複数行に分割する分割ステップと、
該分割ステップにより分割した歌詞データを前記制御部により画像データへ変換する変換ステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−225376(P2008−225376A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67373(P2007−67373)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【Fターム(参考)】