説明

調理具

【課題】一つの調理具で、調理具野菜等の皮引き(皮剥き)と、各種形状の型抜き調理の両方を自在に行える調理具の提供。
【解決手段】把持部は、ステンレス製線材で構成し、該把持部1から延設してなる先端部は、中央共通保持部1aと引き刃保持部1bと抜き刃保持部1cで形成され、引き刃保持部1bと抜き刃保持部1cは、中央共通保持部1aを対称軸にして80度〜100度の角度を持たせて配置するようにした。なお、前記把持部1と各保持部1a、1b、1cはステンレス製帯材で構成しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜等の皮引き(皮剥き)と、各種形状の型抜き調理の両方を自在に行える調理具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜等の皮引き用の調理具としては、下記特許文献1に開示されるように、把持部の先端に直線形の引き刃を設けた皮むき器が知られている。また、各種野菜等の素材を花形、星形などの所望の形に型抜きするための調理具としては、下記特許文献2に開示されるように金属薄板からなる引き刃を花形、星形などの所望形状の輪郭に合わせて輪郭形成した抜き型が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3062728号公報
【特許文献2】実公平6−37919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記皮むき器は、皮むき専用で、それを用いて型抜きすることはできなかった。また、前記抜き型の場合、やはり型抜き専用であり、それを用いて皮むきすることはできず、また、所望の型ごとに専用の抜き型を用いなければならないという不都合も有するものであった。
このように、従来は、一つの調理具で皮引きと所望形状への型抜きの両方を行えるものは存在しなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の調理具は前記課題を解決するべくなされたもので、請求項1記載のとおり、把持部の先端に引き刃と抜き刃を設けたことを特徴とする。
また、請求項2記載の調理具は請求項1記載の調理具において、前記引き刃と抜き刃を隣接配置したことを特徴とする。
また、請求項3記載の調理具は、請求項1または2記載の調理具において、前記引き刃と抜き刃を80度〜100度の角度を持たせて隣接配置したことを特徴とする。
また、請求項4記載の調理具は、請求項1乃至3の何れかに記載の調理具において、前記抜き刃の一部を略山型形状にしたことを特徴とする。
また、請求項5記載の調理具は、請求項4に記載の調理具において、前記抜き刃の略山型形状の先端部を非鋭角にしたことを特徴とする。

【発明の効果】
【0006】
本発明の調理具は、把持部の先端に引き刃と抜き刃を設けたため、一つの調理具で皮引きと型抜きの調理を行える。
また、前記引き刃と抜き刃を80度〜100度の角度を持たせて隣接配置した場合、調理具を持つ手の手首の角度を変えるだけでそれぞれの刃の機能を確実に発揮させることができる。
また、前記抜き刃の形状を略山型形状にした場合、従前より知られている輪郭形成した抜き型のように、被調理野菜の大きさや長さ、厚さに制限を受けることなく所望形状の型抜きの調理を行える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明調理具を示した斜視図である。
【図2】本発明調理具を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照しながら、本発明調理具の実施の形態につき説明する。
図1は、本発明調理具の一実施の形態を示すもので、図中1は調理具の把持部を示し、ステンレス製線材で構成している。該把持部1から延設してなる先端部は、中央共通保持部1aと引き刃保持部1bと抜き刃保持部1cで形成され、引き刃保持部1bと抜き刃保持部1cは、中央共通保持部1aを対称軸にして80度〜100度の角度を持たせて配置するようにした。なお、前記把持部1と各保持部1a、1b、1cはステンレス製帯材で構成しても良い。
【0009】
中央共通保持部1aには引き刃2を保持する引き刃保持孔4aと抜き刃3を保持する抜き刃保持孔4cを設けるようにした。引き刃保持部1bには引き刃2を保持する引き刃保持孔4bを設け、抜き刃保持部1cには抜き刃3を保持する抜き刃保持孔4dを設けるようにした。
【0010】
次に引き刃2と抜き刃3の構成につき説明する。
図中2は引き刃を示し、厚さ0.6〜0.8mmの刃物用ステンレス鋼薄板で一体に形成されている。また、図中3は抜き刃を示し、引き刃2と同様に刃物用ステンレス鋼薄板で一体に形成されている。
【0011】
引き刃2の外寸は幅3〜4cm、高さ1〜1.5cmの矩形形状で、長手方向の一端には引き刃保持孔4aに挿入する引き刃保持突起2cを設け、他端には引き刃保持孔4bに挿入する引き刃保持突起2dを設け、内部には被調理野菜の皮を排出するための横幅の広い引き刃排出口2eを設けるようにした。
引き刃排出口2eの上側には、長手方向全長に渡って皮引き刃2aを設け、対向する下側には皮引きの際の案内となる引き刃ガイド部2bを設け、さらに、被調理野菜に対して皮引き刃2aの当たりを良くするため、長手方向全長に渡って120度〜150度の角度を持ったヘの字断面形状に成形している。このとき、ヘの字断面形状の外角側は被調理野菜への当接側となり、対向する皮引き刃2aと引き刃ガイド部2bの間隔は3〜5mmが適している。
【0012】
抜き刃3の外寸は幅3〜4cm、高さ1.5〜2.5cmの矩形形状で、長手方向の一端には抜き刃保持孔4cに挿入する抜き刃保持突起3cを設け、他端には抜き刃保持孔4dに挿入する抜き刃保持突起3dを設け、内部には被調理野菜を型抜きする際の抜きくずを排出するための横幅の広い抜き刃排出口3eを設けるようにした。
抜き刃排出口3eの上側には、長手方向全長に渡って型抜き刃3aを設け、対向する下側には型抜きの際の案内となる抜き刃ガイド部3bを設け、さらに、型抜き刃3aには型抜きの調理に用いる先端部が直径3〜6mmで、非鋭角の略山型形状部3fが、隣接配置する引き刃2から遠ざかる3分の2の距離の位置に設けられている。
また、前記引き刃2と同様に長手方向全長に渡って120度〜150度の角度を持ったヘの字断面形状に成形しており、このとき、ヘの字断面形状の外角側は被調理野菜への当接側となり、対向する型抜き刃3aと抜き刃ガイド部3bの間隔は、被調理野菜に対して略山型形状部3fを食い込みやすくするため5〜10mmが適している。
【0013】
次に、引き刃2と抜き刃3の保持と配置につき説明する。
引き刃2は中央共通保持部1aに設けた引き刃保持孔4aに、引き刃保持突起2cを挿入し、引き刃保持部1bに設けた引き刃保持孔4bに、引き刃保持突起2dを挿入して保持するようにした。
抜き刃3は中央共通保持部1aに設けた抜き刃保持孔4cに、抜き刃保持突起3cを挿入し、抜き刃保持部1cに設けた抜き刃保持孔4dに、抜き刃保持突起3dを挿入して保持するようにした。
前記保持方法により、引き刃2と抜き刃3は、中央共通保持部1aを対称軸にして80度〜100度の角度を持って互いに隣接配置するようになる。
【0014】
また、前記保持状態では引き刃2及び抜き刃3が回動自在であるため、それぞれの刃の回動角度を制限して、被調理野菜に適切な角度で当接させる役割を持つ制御ピンを各保持部1a、1b、1cに設けるようにした。
引き刃保持部1bに、引き刃2が回動して引き刃ガイド部2bと接触する位置に、引き刃制御ピン5bを配置し、抜き刃保持部1cには抜き刃3が回動して抜き刃ガイド部3bと接触する位置に抜き刃制御ピン5dを配置するようにした。
また、中央共通保持部1aには、引き刃制御ピン5bと対向するように、引き刃制御ピン5aを配置し、さらに抜き刃制御ピン5dと対向するように、抜き刃制御ピン5cを配置するようにした。
【実施例】
【0015】
以下に前記調理具の使用方法を説明する。
例えば、人参を花形に型抜きする場合は、まず、引き刃2を用いて被調理野菜の皮引きを行う。
皮引き刃2aと引き刃ガイド部2bを人参に当接させ、長手方向に沿って調理具を移動させると引き刃2の両端に設けた保持突起2c、2dを回転軸にして引き刃2が回動し、中央共通保持部1aと引き刃保持部1bに設けた引き刃制御ピン5a、5bに接触して回動角度が制限され、皮引きに適した角度に維持することができる。前記状態を維持しつつ、さらに長手方向に調理具を移動することで、引き刃排出口2eから皮を排出することができる。
【0016】
次に調理具を持つ手の手首の角度を変え、抜き刃3を用いて被調理野菜の型抜きを行う。
皮引きを終えた人参に、略山型形状部3fと抜き刃ガイド部3bを当接させ、略山型形状部3fを人参の表面に食込ませながら前記皮引きと同じ要領で長手方向に引くことで、抜き刃排出口3eから抜きくずが排出され、略山型形状の溝を成形することができる。
【0017】
花弁が四枚の花を型抜きする場合は、人参の外周を均等に四分割するように略山型形状の溝成形を行い、包丁などの刃物を用いて所望の厚さで輪切りにすることで、四枚の花弁を持つ花形を型抜きすることができる。
【0018】
また、抜き刃3を用いて略山型形状の溝成形をする際に、略山型形状部3fを人参の表面に食込ませる力の強弱を加減することで、略山型形状の溝の深さを変えることができ、花弁の輪郭形状などの細かい細工が可能となり、多種多様な花形を自在に型抜きすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
上述の発明は野菜などの被調理対象物の皮引きや所望形状の型抜きの用途に利用できる。
【符号の説明】
【0020】
1 把持部
1a中央共通保持部
1b引き刃保持部
1c抜き刃保持部
2 引き刃
2a皮引き刃
2b引き刃ガイド部
2c引き刃保持突起(中央共通保持部1a側)
2d引き刃保持突起(引き刃保持部1b側)
2e引き刃排出口
3 抜き刃
3a型抜き刃
3b抜き刃ガイド部
3c抜き刃保持突起(中央共通保持部1a側)
3d抜き刃保持突起(抜き刃保持部1c側)
3e抜き刃排出口
3f略山型形状部
4a引き刃保持孔(中央共通保持部1a側)
4b引き刃保持孔(引き刃保持部1b側)
4c抜き刃保持孔(中央共通保持部1a側)
4d抜き刃保持孔(抜き刃保持部1c側)
5a引き刃制御ピン(中央共通保持部1a側)
5b引き刃制御ピン(引き刃保持部1b側)
5c抜き刃制御ピン(中央共通保持部1a側)
5d抜き刃制御ピン(抜き刃保持部1c側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部の先端に引き刃と抜き刃を設けたことを特徴とする調理具。
【請求項2】
前記引き刃と抜き刃を隣接配置したことを特徴とする請求項1記載の調理具。
【請求項3】
前記引き刃と抜き刃を80度〜100度の角度を持たせて隣接配置したことを特徴とする請求項1または2記載の調理具。
【請求項4】
前記抜き刃の一部を略山型形状にしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の調理具。
【請求項5】
前記抜き刃の略山型形状の先端部を非鋭角にした請求項4記載の調理具。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−252822(P2010−252822A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102561(P2009−102561)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(309014850)スワオメッキ有限会社 (1)
【Fターム(参考)】