説明

調理器具

【課題】 簡単な加工方法を提供し、便利に使え、かつ、鍋底が外側に反り返ったり、あるいは、内側がくぼんだりすることを防止することができる多層複合フッ素樹脂加工調理器具の提供.
【解決手段】 鍋本体1、外電磁誘導発熱層21、及び内ステンレス層22を有する多層複合フッ素樹脂加工調理器具であって、鍋本体1は、鍋底に金属層23を有し、外電磁誘導発熱層21及び内ステンレス層22は、鍋底において、両者の間に金属層23が位置するように、金属層23に固定され、一体とされる。これにより、使用時に、鍋底の外側が反り返ったり、あるいは、内側がくぼんだりすることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器具の製造技術領域に属し、特に新型の多層複合フッ素樹脂加工調理器具(以下、多層複合鍋とする)に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な、例えば圧力鍋、炒め鍋、フライパン、鍋等は、一般的にアルミニウム材料を用いて製造される。アルミニウムは非電磁誘導材料の一つであり、このため、これらのアルミニウム製鍋は、電磁調理器での使用には適さない。この問題に対して、いまのところ、もとからあるアルミニウム製鍋の鍋底の外表面に一層のステンレス層を複合した多層複合鍋が登場した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−313767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、上述の多層複合鍋にも十分でない点がある。ステンレス層を鍋底の外表面に複合しても、アルミニウム及びステンレスの熱膨張係数が同一ではないので、多層複合鍋は、使用時に、鍋底が外側に反り返ったり、或いは、内側にくぼんだりすることがある。外側に反り返ることによって、安定せず、容易に回転し、受熱が不均一となり、事故が起こりやすくなる。内側にくぼむことによって、調理器具内の油が不均一となり、周囲に流れることがある。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な加工方法を提供し、便利に使え、かつ、鍋底が外側に反り返ったり、あるいは、内側がくぼんだりすることを防止することができる多層複合フッ素樹脂加工調理器具を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0007】
本発明に係る調理器具は、多層複合フッ素樹脂加工調理器具であって、鍋底を含み、鍋底は、外電磁誘導発熱層、内ステンレス層、及び両者の間に位置するアルミニウム層を有し、外電磁誘導発熱層、内ステンレス層は、中間のアルミニウム層に固定され、一体とされる。
【0008】
本発明に係る調理器具では、外電磁誘導発熱層は、磁性ステンレスによって生成され、外電磁誘導発熱層及び内ステンレス層は、共に、いくつかの開孔を有し、冷間プレス方式を用いて、中間のアルミニウム層を変形させて、外電磁誘導発熱層及び内ステンレス層の開孔内に押入する。
【0009】
本発明に係る調理器具では、前記内ステンレス層が複合された後、わずかに凹凸状に形成され、食物と鍋底との接触面積を減少させ、非粘着性を向上させる。
【0010】
本発明に係る調理器具では、外電磁誘導発熱層及び内ステンレス層の開孔は、一様に分布して設けられ、開孔の周縁は、挿入部を形成する。
【0011】
本発明に係る調理器具では、開孔は、矩形或いは環状配列を呈し、外電磁誘導発熱層及び内ステンレス層上に配列されている。
【0012】
本発明に係る調理器具では、開孔の形状は、円形、扇形、或いは多角形である。
【0013】
本発明に係る調理器具では、開孔の形状は、矩形或いは正六角形である。
【0014】
本発明に係る調理器具では、前記内ステンレス層、外電磁誘導発熱層の厚さは、0.2〜0.8mmであり、アルミニウム層の厚さは、2〜8mmである。
【0015】
本発明に係る調理器具は、その使用時に、鍋底の外側が反り返ったり、あるいは、内側がくぼんだりする現象が出ることを防止する。それは、冷間プレス方式を用いてアルミニウム金属層を変形させた後、外電磁誘導発熱層及び内ステンレス層の開孔周縁に形成される挿入部まで押し入れることによって、内外二つの層のステンレス金属材質とアルミニウム金属材質との鍋底の結合を頑丈にする。さらに、鍋底の耐磨耗性を著しく増強し、鍋の使用寿命を延ばす。

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る多層複合フッ素樹脂加工調理器具の断面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】内ステンレス層の構成図である。
【図4】内ステンレス層の断面図である。
【図5】図4のB部拡大図である。
【図6】外ステンレス層の構成図である。
【図7】外ステンレス層の断面図である。
【図8】図7のC部拡大図である。
【図9】本発明に係る多層複合フッ素樹脂加工調理器具の組み立て図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例1】
【0018】
図1〜図9に示すように、本発明に係る調理器具は、鍋本体1及び鍋底2を有している。鍋底2は、外表面に位置する外電磁誘導発熱層21、内表面に位置する内ステンレス層22、及び中間の金属層23を有している。中間の金属層23は、アルミニウムを用いて生成され、それと鍋本体1とは一体形状を呈している。外電磁誘導発熱層21と内ステンレス層22とは、冷間プレス方式によって、鍋底のアルミニウム製の金属層23の両表面と複合する。内ステンレス層22、外電磁誘導発熱層21の厚さは、0.2〜0.8mmであり、鍋底のアルミニウム製の金属層23の厚さは、2〜8mmである。
【0019】
外電磁誘導発熱層21は、磁性ステンレスを用いて、生成されている。内ステンレス層22は、ステンレスを用いて、生成されている。内ステンレス層上の開孔24は、正六角形を呈している。当然に、円形孔、扇形孔、矩形孔、あるいはその他の多角形孔であってもよい。外ステンレス層の開孔24は、円形孔を呈している。当然に、矩形孔、扇形孔、あるいはその他の多角形孔でもよい。開孔24の周縁は、折れ曲がって、挿入部を形成する。本実施例中では、内層及び外層ステンレスをアルムニウム製の鍋底にはめ込み、冷間プレスを実行する。内層及び外層ステンレスとアルミニウム製鍋底とは、しっかりと一体的に複合成形される。アルミニウム製鍋底は変形し、ステンレスの開孔を周縁の挿入部に至るまで押し入れる。本発明に係る調理器具は、冷間プレス方法を採用し、簡単な加工技術で、コストが低いという特徴を有している。また、本発明に係る調理器具は、ステンレス及びアルミニウム製鍋底を迅速、かつ、強固に結合させることができる。
【0020】
開孔24は、環状配列を呈して、外電磁誘導発熱層21及び内ステンレス層22上に分布して配置される。また、開孔24は、行列型の矩形状配列を呈して、外電磁誘導発熱層21及び内ステンレス層22の上に分布して配置することも可能である。このように、アルミニウム製鍋底と内、外ステンレス層との結合力を一様に分布させることができる。
【0021】
アルミニウム底の内外がステンレスに複合された後は、多層複合フッ素樹脂加工調理器具に、鍋底が外側に反り返ったり、或いは、内側にくぼんだりする現象が使用時に現れること防止する効果が得られる。同時に、内ステンレス層に、複合の後、わずかな凹凸形状を形成し、非粘着性及び鍋底の耐摩耗性を増加させる。
【0022】
本技術領域の当業者は、前述のことは本発明に係る調理器具の最適な実施例と解し、さらにそれに限定されず、いかなる本発明に係る調理器具に対する変更も、変換も、全て、本発明に係る調理器具の保護範囲に属することを認識しなければならない。
なお、フッ素樹脂加工ではなく、セラミック塗装などほかの表面処理でも保護範囲に属することを認識しなければならない。
【0023】
また、本発明に係る調理器具を製造は、冷間プレス方式に限られるものではなく、外電磁誘導発熱層21、内ステンレス層22、及び中間の金属層23を一体とできる方法であればよいことは、当業者であれば容易に理解できることである。

【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る調理器具は、例えば、電磁調理器用のフライパンに用いることができる。

【符号の説明】
【0025】
1・・・・・鍋本体
2・・・・・鍋底
21・・・・・外電磁誘導発熱層
22・・・・・内ステンレス層
23・・・・・金属層
24・・・・・開孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層複合フッ素樹脂加工調理器具であって、
前記鍋底は、
前記外電磁誘導発熱層及び前記内ステンレス層と両者の間に位置するアルミニウム層を有し、
前記外電磁誘導発熱層及び前記内ステンレス層が中間の前記アルミニウム層に固定され、一体とされること、
を特徴とする調理器具。
【請求項2】
請求項1に係る調理器具において、
前記外電磁誘導発熱層は、
磁性ステンレスによって生成されること、
を特徴とする調理器具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に係る調理器具において、
前記外電磁誘導発熱層及び前記内ステンレス層は、
共にいくつかの開孔を有すること、
を特徴とする調理器具。
【請求項4】
請求項3に係る調理器具において、
前記外電磁誘導発熱層及び前記内ステンレス層の前記開孔は、
一様に分布して設けられていること、
を特徴とする調理器具。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に係る調理器具において、
前記開孔は、
周縁に挿入部を形成すること、
を特徴とする調理器具。
【請求項6】
請求項3〜請求項5に係る調理器具のいずれかにおいて、
前記開孔は、
矩形或いは環状配列を呈し、前記外電磁誘導発熱層及び前記内ステンレス層上に配列されていること、
を特徴とする調理器具。
【請求項7】
請求項3〜請求項6に係る調理器具のいずれかにおいて、
前記開孔の形状は、
円形、扇形、或いは多角形であること、
を特徴とする調理器具。
【請求項8】
請求項3〜請求項6に係る調理器具のいずれかにおいて、
前記開孔の形状は、
矩形或いは正六角形であること、
を特徴とする調理器具。
【請求項9】
請求項1〜請求項8に係る調理器具のいずれかにおいて、
前記調理器具は、
前記内ステンレス層が複合された後、凹凸状に形成されること、
を特徴とする調理器具。
【請求項10】
請求項1〜請求項9に係る調理器具のいずれかにおいて、
前記内ステンレス層及び前記外電磁誘導発熱層のそれぞれの厚さは、
0.2〜0.8mmであり、
前記アルミニウム層の厚さは、
2〜8mmであること、
を特徴とする調理器具。
【請求項11】
鍋底にアルミニウム層を有する鍋本体、開孔を有する外電磁誘導発熱層、及び開孔を有する内ステンレス層を有する調理器具の製造方法であって、
前記鍋底において、前記外電磁誘導発熱層が前記アルミニウム層の外側に、前記内ステンレス層が前記アルミニウム層の内側に、それぞれ位置するように前記アルミニウム層に固定し、一体とするにあたって、冷間プレス方式を用いて、中間の前記アルミニウム層を変形させて、前記外電磁誘導発熱層及び前記内ステンレス層の開孔内に押入すること、
を特徴とする調理器具の製造方法。
【請求項12】
鍋本体、電磁誘導により発熱する外電磁誘導発熱層、及び所定の金属により形成される内層を有する調理器具であって、
前記外電磁誘導発熱層及び前記内層は、
前記鍋本体の鍋底において、前記外電磁誘導発熱層が前記鍋本体の外側に、前記内層が前記鍋本体の内側に、それぞれ位置するように前記鍋本体に固定され、一体とされること、
を特徴とする調理器具。
【請求項13】
鍋本体、電磁誘導により発熱する外電磁誘導発熱層であって所定の開孔を有する外電磁誘導発熱層、及び所定の金属により形成される内層であって所定の開孔を有する内層を有する調理器具の製造方法であって、
プレス方式を用いて、鍋底において、前記鍋本体を前記外電磁誘導発熱層及び前記内層のそれぞれの開孔内に押入し、前記鍋本体、前記外電磁誘導発熱層、及び前記内層を固定し、一体とすること、
を特徴とする調理器具の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−279673(P2010−279673A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177128(P2009−177128)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(506282517)
【Fターム(参考)】