説明

調理器

【課題】スピーカーに水分や埃などの異物が付着しにくく、高品質の音声を発する調理器を提供する。
【解決手段】鍋34と、前記鍋34を加熱する底内誘導コイル35aと底外誘導コイル35bを内蔵する本体31とを備え、前記本体31内に、本体内部部品を冷却するためのファンモーター50を設け、ファンモーター50の風の流れがある位置にスピーカーを設置することで、スピーカー38に、水分、埃、油煙など音質を低下させる異物が付着した際、ファンモーター50の風で異物を除去することができる為、高品質の音声の確保が容易にできるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や業務用として使用される調理器に関するもので、特に音声ガイド機能を有する調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の調理器として、スピーカーを搭載し、音声ガイドを行うようにした調理器がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、上記特許文献1に記載された従来の調理器の外郭カバーを取り外した状態を示す図である。図4において、調理器は、調理庫1と、調理庫1の全面に開閉自在に設けた扉2を備え、この扉2の右側前面に操作部3が形成されている。操作部3には、表示管4、タイマ5、メニュー選択スイッチ6等が図のように配設されている。調理庫1内には、電気ヒータ7が調理庫1の壁を貫通して設けられている。
【0004】
調理庫1の右側の空間部には図示しない各種制御部品が配設されている。調理器の底板8上には、スピーカー10がその音声放射方向を下方に向けて図示しないネジでとりつけられ、底板8のスピーカー10の音声放射方向に対応する部分には、音声を通過しやすくするためにパンチング穴(図示せず)が設けられている。9は、底板8に裏面よりネジ止めされた脚である。
【特許文献1】特開昭58−13944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の調理器の構成では、スピーカー10を底板8に直接とりつけている構成のため、スピーカー10を設置している底板8の平面度が正確に確保できていないと、スピーカー10の音声放出時の振動により、音割れが発生するという課題があった。加えて、調理器は、通常調理場で使用されるので、調理場特有の使用環境である水分が付着したり、高湿度、埃、油煙などが底板8に直接取り付けられたスピーカー10に悪影響を与えてしまい、音声が劣化するという課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、調理器特有の使用環境に左右されず、高品質の音声を確保することができる調理器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の調理器は、鍋と、鍋を加熱する鍋加熱手段を内蔵する本体と、本体内に設けられたスピーカーと、本体内の発熱部品を冷却するファンモーターとを備え、ファンモーターによる風の流れの中にスピーカーの少なくとも一部を臨ませたもので、水分、埃、油煙などスピーカーの音質を低下させる異物が付着した際でも、ファンモーターの風により異物を除去することができる為、高品質の音声の確保が容易にできるようになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の調理器は、スピーカーに水や異物が付着し難く、高品質の音声が確保された音声ガイドを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段を内蔵する本体と、前記本体内に設
けられたスピーカーと、前記本体内の発熱部品を冷却するファンモーターとを備え、前記ファンモーターによる風の流れの中にスピーカーの少なくとも一部を臨ませたもので、水分、埃、油煙などスピーカーの音質を低下させる異物が付着した際でも、ファンモーターの風により異物を除去することができる為、高品質の音声の確保が容易にできるようになる。
【0010】
(参考の実施の形態1)
本発明の第1の参考の実施の形態における調理器について、炊飯器を例に、図1、2を用いて説明する。図1は、本参考の実施の形態における炊飯器の断面図、図2は、同炊飯器のスピーカーの取り付け構成を示す図である。
【0011】
図1において、31は、炊飯器の本体で、上面が開口する略円筒形をしている。この本体31の開口部31aには上枠32が嵌着されている。前記本体31内部には、上枠32とコイルベース33とで鍋34を収納する鍋収納部31cが形成されている。コイルベース33は、有底円筒状に形成され、コイルベース33の上端部は上枠32に固定されている。コイルベース33には、鍋34を誘導加熱する鍋加熱手段として底内誘導コイル35aが設置されている。
【0012】
また、コイルベース33の側面には、鍋34の側底面を誘導加熱する為の鍋加熱手段として底外誘導コイル35bが設置されている。底内誘導コイル35a及び底外誘導コイル35bに高周波電流を通電し、鍋34を誘導加熱する為の加熱基板37は、コイルベース33と本体31の内面で構成される空間に設置されており、この加熱基板37上に設置している発熱部品(図示しない)を冷却する為に、ヒートシンク36が、加熱基板47の下方に設置されている。
【0013】
38は、音声ガイド用のスピーカーで、床面方向に向けてスピーカー台39に設置し、スピーカー押え40で固定され、コイルベース33にセットされており、このスピーカー38が設置されたスピーカー台39とコイルベース33は本体31と共締めされて固定されている。
【0014】
スピーカー38を、床面方向に設置するのは、炊飯器など調理器特有の使用環境が関係しており、スピーカー38からの音声の為には、炊飯器の側面前方に設置すれば良いが、炊飯器の側面は、調理で使用する水がスピーカー38に付着する可能性が高く、スピーカー38の音質確保をすることが不可能である。この為に、スピーカー38に水が付着しにくい、炊飯器の底面方向にスピーカー38をセットしているのである。
【0015】
スピーカー台39の形状をもう少し詳しく説明すると、スピーカー台39はスピーカー38をセットする為の凹部39aが設けられており、この凹部39aにスピーカー38の音声放射方向側をスピーカー台39側に向けて設置する。更にこのスピーカー38をスピーカー押え40で固定するが、このスピーカー押え40は、一端をスピーカー台39のスピーカー押え嵌合部39bに差込み、他端をスピーカー台39にネジ止めすることで、スピーカー38の中央マグネット部38aを押え込む構成でスピーカー38とスピーカー台39を固定している。
【0016】
また、このスピーカー台39には、スピーカー38の振動板(図示せず)を保護するように、多数個のスリット39cが設けられている。また、本体31の、スピーカー台39に設けたスリット39cに対向する位置に、スリット31aが設けられており、スピーカー38からの音声が効率よく放射される形状になっている。
【0017】
また、この本体31のスリット31aは通常のスリットと異なり、炊飯器外部からの水
分や埃、油煙が直接スピーカー38に接触することを防ぐ為に、ルーバー形状をしている。更にスピーカー台39と本体31の底面の間には、鉛直方向にある一定の距離を確保することで、炊飯器外部とスピーカー38との間に所定の距離を確保する事ができるために、スピーカー38は、本体31のスリット31a、スピーカー台39のスリット39cとで二重に保護される。加えて、本体31とスピーカー台39は、スピーカー38の音声放射方向は密封空間にするのではなく、必ず、本体31とスピーカー台39の間には隙間を設ける構成にしているのである。
【0018】
以上のように、本参考の実施の形態によれば、スピーカー38をスピーカー台39に固定し、本体31外形面より一定の距離を確保し、更に、本体31のスリット31aとスピーカー台39のスリット39cとで、スピーカー38を2重に保護することができるので、炊飯器が、水が多く存在する流し台の上に置かれて使用されても、スピーカー38への水付着を低減することができる。万一この2重の保護をすり抜けて、水が浸入しスピーカー38に付着したとしても、スピーカー38と本体31の間に隙間が設けられているので、スピーカー38に付着した水分の蒸発を促すことができるのである。
【0019】
また、調理場というものは、水分だけでなく、細かな埃、油煙などスピーカー38の音質を低下させる異物が多く存在しているが、これらの異物の浸入からも、本体31とスピーカーカバー39とで2重に保護され、スピーカー38の音質低下を防ぐことができるものである。
【0020】
なお、本体31に設けたスリット31aのルーバーの開口方向は、スピーカー38の音声を前方に効率よく放射させるために、前方方向に開口させている。
【0021】
また、スピーカー台39に設けたスリット39cは、スピーカー38の組み立て時にスピーカー39の振動板を保護する役割も果たしている。
【0022】
また、スピーカー38を固定するためのスピーカー押え40を弾性材料で形成すれば、その弾性力を利用して、振動部品であるスピーカー38の固定を十分に行うことができ、スピーカー38の振動による音質低下を防ぐことができる。
【0023】
また、このスピーカー押え40は樹脂の弾性力を利用しても、金属の弾性力を利用しても同じ効果を得ることができる。
【0024】
上記参考の実施の形態では、スピーカー押え40の一端をスピーカー台39のスピーカー押え嵌合部39bに差込み、他端をスピーカー台39にネジ止めするようにしたが、スピーカー押え40の弾性力を利用しスピーカー38を固定することで、ネジ固定ではなく両端とも係止により固定し、スピーカー38の振動を押えることが可能である。
【0025】
また、スピーカー台39に、スピーカー38を設置する為の凹部39aの外周に一定の高さのリブ(図示せず)を設けるようにすれば、スピーカー台39の平面度の確保が容易になり、スピーカー38を安定して設置することができるものである。
【0026】
また、本参考の実施の形態では、スピーカー台39側を通常のスリットにし、本体31側のスリット31aをルーバー形状にした構成を説明したが、スピーカー台39側のスリット39cをルーバー形状にし、本体31側のスリット31aを通常のスリットにしても同様の効果を得ることができるものである。
【0027】
また、スピーカー38をスピーカー台39にスピーカー押え40で固定した後、このスピーカー台39を本体31内部に固定する構成で説明したが、コイルベース33に、スピ
ーカー設置部(図示せず)を設け、このスピーカー設置部にスピーカー38をセットし、スピーカー台39で固定する構成でも同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、鍋34底面には、鍋34温度を検知する底センサー20がセンサーバネ(図示しない)により付勢されており、炊飯及び、保温時の鍋34の温度を検知し、鍋34内の調理物が最適な温度状態になるよう、図示しない制御手段が制御している。
【0029】
外蓋41は合成樹脂製で、この外蓋41は外蓋カバー42に嵌着されており、この外蓋41は外蓋カバー42に設置されたヒンジ軸(図示せず)を、上枠32の後部に一体形成されたヒンジ部材32aにピン(図示せず)を介して回動自在に支持されている。
【0030】
発熱板43は、鍋パッキン44付の着脱式発熱板であり、外蓋41下面を構成する外蓋カバー42に取り付けられている。この発熱板43には炊飯中の蒸気などを本体外部に放出する蒸気孔43aが設けられており、鍋34内の空間と外部とを連通するように構成されている。また外蓋カバー42には、発熱板43を誘導加熱するための蓋誘導加熱コイル45が設置されている。また、この蓋誘導加熱コイル45の上方にはアルミ製の蓋反射板46が設置されており、蓋誘導加熱コイル45から発生する輻射ノイズなどを防いでいる。
【0031】
発熱板43は、電磁調理器の加熱原理と同様に蓋誘導加熱コイル45に通電される電流の大きさと、蓋誘導加熱コイル45の巻数等により発熱板43の加熱量が決定されるのである。ここで蓋誘導加熱コイル45の巻数はインダクタンスの大きさに比例しており、コイル巻数を増やせば増やすほど、インダクタンスも大きくなるのである。また、発熱量はインダクタンスに比例する為、蓋誘導加熱コイル45が設置されている部分の発熱量は多くなるのである。
【0032】
また、発熱板43に、蓋センサー47がコイルバネ(図示しない)により圧接されており、発熱板43の温度を制御するのに用いられている。上記の底センサー20及び、蓋センサー47の温度信号により、鍋34及び発熱板43に通電する通電率を制御しているのが、操作基板48に設置されているマイコン49であり、このマイコン49には、あらかじめ決められた制御プログラムが記憶されてり、炊飯及び保温を行うのである。
【0033】
(実施の形態1)
図3は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の断面図を示すものである。
【0034】
本実施の形態は、図3に示すように、スピーカー38を、本体31の床面向きにし、かつ鍋34の下方部に設置したもので、他の構成は、上記第1の参考の実施の形態と同一なので、その部分の説明を省略する。
【0035】
また、本体31内部には、加熱基板37上に設置された基板部品(図示しない)を冷却するためのヒートシンク36が設置されている。基板部品で熱せられ発熱部品となったヒートシンク36を冷却する為のファンモーター50が、ヒートシンク36に取り付けられている。また、このファンモーター50は本体31の形状に添うように、傾斜した状態で取り付けられている。
【0036】
上記構成により、スピーカー38を鍋34下方に設置することで、炊飯毎に、鍋34は高温になるために、スピーカー38に付着した水分を鍋34の熱により、蒸発させることができる。更にファンモーター50の風の流路上にスピーカー38を設置すれば、鍋34からの熱だけでなくファンモーター50の風により、更に効果的に、スピーカー38に付着した水分を蒸発させることができ、さらに、ファンモーター50の風は水分の蒸発に使
われるだけでなく、スピーカー38に付着した埃などの異物も吹き飛ばすことが可能になるのである。
【0037】
また、水分などの異物の除去においては、スピーカー38を鍋34に下方に設置し、かつ本体31内部にファンモーター50を設置する必要は無く、どちらか一方を実施すれば、同じ作用を得ることができ、両方を実施すれば更に効果的に異物除去の効果を得ることができるものである。
【0038】
また、スピーカー38の一部を、鍋34の下方に設置すれば良く、スピーカー38全体が完全に鍋34の下面に設置しなくても、同様の効果を得ることができる。
【0039】
また、スピーカー38の設置位置は、ファンモーター50の風の流路に設置すれば効率よく、異物などの除去が可能であるが、スピーカー38を直接風の流路に設置しなくても、ファンモーター50を本体31内部に設置することで、本体31内部の空気の循環が可能になる為、スピーカー38の水や埃の異物除去が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかる調理器は、スピーカーに水や、異物が付着し難く、またついても除去されやすいもので、音声ガイド用のスピーカーを有する各種調理機器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の参考の第1の実施の形態における炊飯器の断面図
【図2】(a)同炊飯器のスピーカー台の平面図(b)図2(a)のA−A断面図(c)図2(a)のB−B断面図
【図3】本発明の第1の実施の形態における炊飯器の断面図
【図4】従来の調理器の外郭カバーを外した状態を示す斜視図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段を内蔵する本体と、前記本体内に設けられたスピーカーと、前記本体内の発熱部品を冷却するファンモーターとを備え、前記ファンモーターによる風の流れの中にスピーカーの少なくとも一部を臨ませた調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−121815(P2009−121815A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57733(P2009−57733)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【分割の表示】特願2004−281805(P2004−281805)の分割
【原出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】