説明

調相制御システム、調相制御装置、スマートメータ及び調相制御方法

【課題】 電圧調整機能を向上させるとともに、コストを抑える。
【解決手段】 調相制御装置3は、必要な無効電力調整量を演算し、所定の調相設備7a(7b,7c,…)を選択して、スマートメータ8に、対応する遮断器6a(6b,6c,…)の開閉制御をさせて無効電力を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、変電所の母線の電圧を調整するための調相制御システム、調相制御装置、スマートメータ及び調相制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電力系統においては、電圧値を適正範囲内に保つために、需要家で力率改善用の調相設備(電力用コンデンサ(以下、SC(Static Condenser)という。)等を含む。)が設けられている。しかしながら、この調相設備は、需要家設備(負荷)の稼働状況にかかわらず、常時投入されていることが想定される。需要家設備が停止中にもかかわらず調相設備が接続されていると、電力系統の力率が進相となり、電圧が上昇して適正範囲を超えてしまう虞がある。このため、電力系統側に別に調相設備を設ける等の対策が必要となる。
【0003】
さらに、太陽光発電等の分散型電源が電力系統に多く導入されている場合には、配電線末端等で電圧が上昇して適正範囲を超えてしまう可能性がある。この場合も、電力系統側に別に調相設備を設ける等の対策が必要となる。したがって、これらの対策のためのコスト上昇が懸念される。
【0004】
ところで、近年、スマートメータを用いた自動検針方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このスマートメータに、負荷に接続された遮断器を開閉制御して、需要家の需要制御(有効電力の制御)を行う機能を付加する提案もなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010―128810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記スマートメータを用いた技術でも、上述したような電圧の調整までは行うことはできない。
【0007】
この発明は、前記の課題を解決し、例えば、変電所における母線電圧や、需要家における受電電圧等の電圧が、適正範囲内となるように確実に調整して、電圧調整機能を向上させることができるとともに、コストを抑えることができる調相制御システム、調相制御装置、スマートメータ及び調相制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、電気所から電力が供給される需要家設備に配置され、使用電力量を計測する機能を有するとともに、力率を改善させるための調相設備を制御するスマートメータと、前記電気所に配置される調相制御装置とが、通信路を介して接続可能とされた調相制御システムであって、前記スマートメータは、少なくとも前記調相設備に関する設備現況情報を取得するための第1の設備現況情報取得手段と、前記調相制御装置からの制御指令に基づいて前記調相設備を制御する調相設備制御手段とを有し、前記調相制御装置は、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得する被監視量取得手段と、前記被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定する被監視量良否判定手段と、前記被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算する調整量演算手段と、前記スマートメータから前記設備現況情報を取得するための第2の設備現況情報取得手段と、前記無効電力調整量及び前記設備現況情報に基づいて、制御対象の前記調相設備を選択する制御対象選択手段と、選択された前記調相設備を制御させるための前記制御指令を前記スマートメータへ出力する制御指令出力手段とを有することを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明では、調相制御装置は、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得し、被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定し、被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算し、スマートメータから少なくとも調相設備に関する設備現況情報を取得し、無効電力調整量及び設備現況情報に基づいて、制御対象の調相設備を選択し、選択された調相設備を制御させるための制御指令をスマートメータへ出力し、スマートメータは、調相制御装置からの制御指令に基づいて調相設備を制御する。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の調相制御システムであって、前記所定の箇所は、前記電気所としての変電所の母線であり、前記被監視量は、前記母線の電圧、又は力率であることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の調相制御システムであって、前記被監視量良否判定手段は、取得した前記被監視量としての前記電圧が、目標電圧から低下側許容誤差を減算した値と、前記目標電圧に上昇側許容誤差を加算した値との間の前記適正範囲にあるか否かを判定することを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の調相制御システムであって、前記調整量演算手段は、前記電圧と、目標電圧と、前記母線の短絡容量とに基づいて、前記無効電力調整量を演算することを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項2、3又は4に記載の調相制御システムであって、前記制御対象選択手段は、複数の前記調相設備のうち、制御後に前記電圧が目標電圧に最も近くなると推定される前記調相設備を選択することを特徴としている。
【0014】
請求項6の発明は、請求項2、3又は4に記載の調相制御システムであって、前記制御対象選択手段は、複数の前記調相設備のうち、前記電圧が比較的高い場合は力率が最も進相側である前記調相設備を選択し、前記電圧が比較的低い場合は力率が最も遅相側である前記調相設備を選択することを特徴としている。
【0015】
請求項7の発明は、電気所から電力が供給される需要家設備に配置され、使用電力量を計測する機能を有するとともに、力率を改善させるための調相設備を制御するスマートメータに、通信路を介して接続可能とされ、前記電気所に配置された調相制御装置であって、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得する被監視量取得手段と、前記被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定する被監視量良否判定手段と、前記被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算する調整量演算手段と、前記スマートメータから少なくとも前記調相設備に関する設備現況情報を取得するための設備現況情報取得手段と、前記無効電力調整量及び前記設備現況情報に基づいて、制御対象の前記調相設備を選択する制御対象選択手段と、選択された前記調相設備を制御させるための制御指令を前記スマートメータへ出力する制御指令出力手段とを有することを特徴としている。
【0016】
請求項8の発明は、電気所から電力が供給される需要家設備に配置され、使用電力量を計測する機能を有するとともに、力率を改善させるための調相設備を制御するスマートメータであって、少なくとも前記調相設備に関する設備現況情報を取得するための設備現況情報取得手段と、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得する被監視量取得手段と、前記被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定する被監視量良否判定手段と、前記被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算する調整量演算手段と、前記無効電力調整量及び前記設備現況情報に基づいて、制御対象の前記調相設備を選択する制御対象選択手段と、選択された前記調相設備を制御する調相設備制御手段とを有することを特徴としている。
【0017】
請求項9の発明に係る調相制御方法は、電気所から電力が供給される需要家設備に配置され、使用電力量を計測する機能を有するとともに、力率を改善させるための調相設備を制御するスマートメータと、前記電気所に配置される調相制御装置とが、通信路を介して接続可能とされ、前記スマートメータは、少なくとも前記調相設備に関する設備現況情報を取得するための第1の設備現況情報取得処理と、前記調相制御装置からの制御指令に基づいて前記調相設備を制御する調相設備制御処理とを実行し、前記調相制御装置は、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得する被監視量取得処理と、前記被監視量が適正範囲内にあるかを否か判定する被監視量良否判定処理と、前記被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算する調整量演算処理と、前記スマートメータから前記設備現況情報を取得するための第2の設備現況情報取得処理と、前記無効電力調整量及び前記設備現況情報に基づいて、制御対象の前記調相設備を選択する制御対象選択処理と、選択された前記調相設備を制御させるための前記制御指令を前記スマートメータへ出力する制御指令出力処理とを実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、調相制御装置は、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得し、被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定し、被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算し、スマートメータから少なくとも調相設備に関する設備現況情報を取得し、無効電力調整量及び設備現況情報に基づいて、制御対象の調相設備を選択し、選択された調相設備を制御させるための制御指令をスマートメータへ出力し、スマートメータは、調相制御装置からの制御指令に基づいて調相設備を制御するので、電圧調整機能を向上させることができるとともに、コストを抑えることができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、被監視量として、変電所の母線の電圧、又は力率を用いることによって、確実に電圧調整を実施することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、被監視量としての電圧が、目標電圧から低下側許容誤差を減算した値と、目標電圧に上昇側許容誤差を加算した値との間の適正範囲にあるか否かを判定することによって、正確に被監視量の良否を判定することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、電圧と目標電圧と母線の短絡容量とに基づいて、無効電力調整量を演算するので、簡単に無効電力調整量を求めることができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、複数の調相設備のうち、制御後に電圧が目標電圧に最も近くなると推定される調相設備を選択するので、一段と確実に電圧調整を実施することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、複数の調相設備のうち、電圧が比較的高い場合は力率が最も進相側である調相設備を選択し、電圧が比較的低い場合は力率が最も遅相側である調相設備を選択するので、一段と確実に電圧調整を実施することができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得し、被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定し、被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算し、スマートメータから少なくとも調相設備に関する設備現況情報を取得し、無効電力調整量及び設備現況情報に基づいて、制御対象の調相設備を選択し、選択された調相設備を制御させるための制御指令をスマートメータへ出力するので、電圧調整機能を向上させることができるとともに、コストを抑えることができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、少なくとも調相設備に関する設備現況情報を取得し、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得し、被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定し、被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算し、無効電力調整量及び設備現況情報に基づいて、制御対象の調相設備を選択し、選択された調相設備を制御するので、電圧調整機能を向上させることができるとともに、コストを抑えることができる。
【0026】
請求項9の発明によれば、調相制御装置は、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得し、被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定し、被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算し、スマートメータから少なくとも調相設備に関する設備現況情報を取得し、無効電力調整量及び設備現況情報に基づいて、制御対象の調相設備を選択し、選択された調相設備を制御させるための制御指令をスマートメータへ出力し、スマートメータは、調相制御装置からの制御指令に基づいて調相設備を制御するので、電圧調整機能を向上させることができるとともに、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施の形態1による調相制御システムの構成を説明するための説明図である。
【図2】同調相制御システムの構成を説明するための説明図である。
【図3】同調相制御システムの調相制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】同調相制御装置の記憶部の構成を示すブロック図である。
【図5】同記憶部の設備現況情報記憶部の記憶内容例を示す図である。
【図6】同調相制御システムのスマートメータの構成を示すブロック図である。
【図7】同調相制御システムの動作を説明するための説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による調相制御システムの構成を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1による調相制御システムの構成を説明するための説明図、図2は、同調相制御システムの構成を説明するための説明図、図3は、同調相制御システムの調相制御装置の構成を示すブロック図、図4は、同調相制御装置の記憶部の構成を示すブロック図、図5は、同記憶部の設備現況情報記憶部の記憶内容例を示す図、図6は、同調相制御システムのスマートメータの構成を示すブロック図、図7は、同調相制御システムの動作を説明するための説明図である。
【0030】
図1に示すように、この実施の形態の調相制御システム1は、電力会社が管理する変電所2に配置された調相制御装置3と、変電所2から配電網4を介して電力が供給される需要家設備5a(5b,5c,…)に配置され、遮断器6a(6b,6c,…)を介して調相設備7a(7b,7c,…)を制御するスマートメータ8とを備えている。また、各需要家設備5a(5b,5c,…)に配置されたスマートメータ8は、図2に示すように、通信網9を介して調相制御装置3に接続されている。なお、通信網9は、集約装置を含んでいても良い。また、各スマートメータ8と調相制御装置3との通信は、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)によっても良い。
【0031】
変電所2においては、図1に示すように、変圧器12が、一次側で送電線に、二次側で遮断器13を介して下位の母線Bに接続され、母線Bには、対応する遮断器14a,14b,…を介して、回線(配電線)が接続されている。また、母線Bには、変成器(計器用変成器)15が接続され、変成器15には、電圧等を計測するための計測装置16が接続されている。
【0032】
調相制御装置3は、図3に示すように、所定の制御プログラムに従って構成各部を制御する制御部24と、各種制御プログラムやデータが記憶される記憶部25と、データ通信を行うための通信部26と、操作部27と、表示部28とを有している。
【0033】
制御部24は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、記憶部25に記憶された所定の制御プログラムに従って構成各部を制御する。調相制御装置3においては、例えば、各スマートメータ8から電力量情報を取得する電力量情報取得処理等のほか、電圧値取得処理や、電圧値良否判定処理、調整量演算処理、設備現況情報取得処理、調整可否判定処理、制御対象選択可否判定処理、制御指令出力処理等が実行される。
【0034】
調相制御装置3は、電圧値取得処理で、計測装置16から変電所2の母線Bの電圧値を取得する。なお、取得する電圧値には、上位系の電圧が含まれていても良い。調相制御装置3は、電圧値良否判定処理で、目標電圧値Vrefと、取得した計測電圧値V0との差の絶対値を算出し、この絶対値が、電圧許容誤差ΔVref未満か否か判定して、電圧が適正範囲内にあるか否か判定する。すなわち、式(1)のような関係が成り立つか否か判定する。
【0035】
|Vref−V0|<ΔVref (1)
この場合は、調相制御装置3は、計測電圧値V0が、目標電圧値Vrefから電圧許容誤差ΔVref(>0)を減算した値と、目標電圧値Vrefに電圧許容誤差ΔVrefを加算した値との間の範囲にあるか否かを判定している。すなわち、上昇側及び低下側への電圧許容誤差として、同一の値ΔVrefを用いているが、一般には、上昇側電圧許容誤差と、低下側電圧許容誤差とで、異なる値を設定し、計測電圧値V0が、目標電圧値Vrefから低下側電圧許容誤差(>0)を減算した値と、目標電圧値Vrefに上昇側電圧許容誤差(>0)を加算した値との間の範囲にあるか否かを判定するようにしても良い。
【0036】
調相制御装置3は、調整量演算処理で、例えば、目標電圧値Vrefと、計測電圧値V0と、変電所2の母線Bの短絡容量Psとに基づいて、式(2)に従って、無効電力調整量Qを演算する。
【0037】
Q=(Vref−V0)×Ps (2)
ここで、(Q>0)でSC(電力用コンデンサ)投入、(Q<0)でSC開放とする。
【0038】
さらに、調相制御装置3は、無効電力調整量の上限値Qu及び下限値Qlを、それぞれ、式(3)、式(4)に従って演算する。
【0039】
Qu=(Vref+ΔVref−V0)×Ps (3)
Ql=(Vref−ΔVref−V0)×Ps (4)
【0040】
調相制御装置3は、設備現況情報取得処理で、各スマートメータ8から、通信網9を介して、例えば図5に示すような内容の設備現況情報を取得する。調相制御装置3は、調整可否判定処理で、SC投入又はSC開放による調整が可能か否か判定する。すなわち、調相制御装置3は、SC投入による調整が必要なときに投入可能なSCがあるか、又はSC開放による調整が必要なときに開放可能なSCがあるか否か判定する。
【0041】
制御対象選択可否判定処理は、制御対象候補選択処理と、制御実施時電圧推定処理と、変電所母線電圧良否判定処理と、需要家受電電圧良否判定処理とを含んでいる。調相制御装置3は、制御対象候補選択処理で、例えば、電圧が最も目標値(例えば、適正範囲の中央値等)に近いSC(又はその組合せ)を選択する。ここで、調相制御装置3は、上限値Quと下限値Qlとの間にあるSCを参照して、Qに最も近くなるSCを選択する。
【0042】
例えば、電圧が適正範囲を越えて上昇し、(Q=−10[MVA])で、SC開放要で、(Qu=−8[MVA])、(Ql=−12[MVA])の場合は、図5に示すような設備現況情報において、「SC切可能量」の欄で、−8[MVA]〜−12[MVA]の範囲で、10[MVA]である調相設備7a(7b,7c,…)(識別符号:0001)を選択する。
【0043】
対象のSC(例えば、10MVA)が複数あった場合は、他の指標(例えば、力率に基づく選択)や、予め設定された優先順位に基づいて選択しても良い。また、無作為に選択しても良い。これ以外に、調相制御装置3は、力率がより進相側である箇所のSCから優先的に選択しても良い。この場合、調相制御装置3は、例えば、力率の進相の程度が大きい順に、参照し、最初に現れた、上限値Quと下限値Qlとの間にあるSCを選択する。この場合は、図5に示すような設備現況情報において、「力率」の欄から選択する。さらに、調相制御装置3は、制御台数が最も少なくなるSC(又はその組合せ)を選択しても良いし、系統全体の電力損失が最小となるSC(又はその組合せ)を選択しても良い。
【0044】
ここで、制御対象の各調相設備7a(7b,7c,…)は、所定の単一又は複数の需要家設備5a(5b,5c,…)に属するものとしても良いし、変電所2から電力を供給され、調相設備7a(7b,7c,…)及びスマートメータ8が備えられた全ての需要家設備5a,5b,…に属するものとしても良い。したがって、例えば、図5に示すような設備現況情報は、各需要家設備5a(5b,5c,…)毎に、記憶されていても良いし、複数の需要家設備5a,5b,…の情報を含んでいても良い。複数の需要家設備5a,5b,…の情報を含む場合は、各需要家設備5a(5b,5c,…)の各調相設備7a(7b,7c,…)について、需要家識別情報を付加して管理しても良い。
【0045】
複数の需要家設備5a,5b,…に亘って、制御対象のSCが複数あった場合は、複数の指標や、予め設定された優先順位に基づいて選択しても良いし、無作為に選択しても良い。各需要家設備5a(5b,5c,…)間の優先順位は、例えば、需要家の力率改善の要望の程度や、力率改善結果が需要家間で一定期間内で平準化されるように設定しても良い。また、負荷の運転スケジュールや運転履歴等を参照しても良い。例えば、比較的短時間後に、対応する負荷が停止される予定の場合は、そのSCを選択しないようにしても良い。また、設定される優先順位は、必ずしも電圧調整効果が高い順としなくても良い。
【0046】
調相制御装置3は、制御実施後状態推定処理で、選択したSCを投入した場合又は開放した場合の変電所母線電圧変動量ΔVを、SC調整量Qaと、変電所2の母線Bの短絡容量Psとに基づいて、式(5)に従って演算する。
【0047】
ΔV=Qa/Ps (5)
【0048】
調相制御装置3は、制御実施後状態推定処理で、選択したSCを投入した場合又は開放した場合の需要家受電電圧変動量ΔVcを、SC調整量Qaと、各需要家設備5a(5b,5c,…)の受電母線の短絡容量Pscとに基づいて、式(6)に従って演算する。
【0049】
ΔVc=Qa/Psc (6)
【0050】
調相制御装置3は、変電所母線電圧良否判定処理で、変電所母線電圧変動量ΔVが許容範囲内にあるか否か判定する。調相制御装置3は、需要家受電電圧良否判定処理で、需要家受電電圧変動量ΔVcが許容範囲内にあるか否か判定する。
【0051】
調相制御装置3は、変電所母線電圧良否判定処理及び需要家受電電圧良否判定処理で、ともに良判定とされた場合に、選択した制御対象候補を制御対象として決定する。変電所母線電圧良否判定処理及び需要家受電電圧良否判定処理のうち、いずれか一方で、不良判定とされると、次候補を選定し、制御実施後状態推定処理、変電所母線電圧良否判定処理及び需要家受電電圧良否判定処理を実行し、制御対象を決定する。調相制御装置3は、適切な制御対象が得られなかった場合は、制御対象選択不可と判定する。
【0052】
調相制御装置3は、制御指令出力処理で、制御対象選択可と判定され、制御対象が決定されると、制御指令(投入指令又は開放指令)を、制御対象の識別情報とともに、対応するスマートメータ8へ送信する。
【0053】
記憶部25は、図4に示すように、各種プログラムを記憶するプログラム記憶部29と、各種情報を記憶する情報記憶部31とを有している。情報記憶部31は、設定値情報記憶部31aと、需要家設備情報記憶部31bと、設備現況情報記憶部31cと、調整量情報記憶部31dとを有している。
【0054】
設定値情報記憶部31aには、目標電圧値Vrefや、電圧許容誤差ΔVref、変電所2の母線Bの短絡容量Ps、各需要家設備5a(5b,5c,…)の受電母線の短絡容量Psc等の設定値情報が記憶されている。なお、電圧許容誤差ΔVrefに代えて、上昇側電圧許容誤差、及び低下側電圧許容誤差が記憶されても良い。
【0055】
需要家設備情報記憶部31bには、各需要家設備5a(5b,5c,…)の需要家設備情報が記憶されている。需要家設備情報は、需要家識別情報に対応付けられて、調相設備情報や、受電設備情報、負荷情報等を含んでいる。調相設備情報は、SCの投入又は開放の優先順位情報を含んでいても良い。負荷情報は、運転履歴情報や運転スケジュール情報を含んでいても良い。
【0056】
設備現況情報記憶部31cには、例えば、図5に示すように、各需要家設備5a(5b,5c,…)の各スマートメータ8を介して取得した設備現況情報が記憶されている。図5には、調相設備7a,7b,…の識別情報に対応付けて、有効電力、無効電力、力率、電圧、SC切可能量(入中SC量)、SC入可能量(切中SC量)等が記憶される例を示している。設備現況情報は、常に更新された状態で記憶されている。調整量情報記憶部31dには、調整量演算処理で得られた調整量情報が記憶されている。調整量情報も、常に更新された状態で記憶されている。
【0057】
各需要家設備5a(5b,5c,…)においては、図1に示すように、受電設備18を介して電力が受給され、負荷21a,21b,…に供給され、さらに、力率改善のための調相設備7a,7b,…が配置されている。各調相設備7a(7b,7c,…)、各負荷21a(21b,21c,…)は、それぞれ、遮断器6a(6b,6c,…)、遮断器19a(19b,19c,…)を介して、受電設備18に接続されている。各調相設備7a(7b,7c,…)は、単数のSCから構成するほか、複数のSCを含んでいても良い。
【0058】
また、各調相設備7a(7b,7c,…)は、リアクトルを含んでいても良いし、同期調相機を含んでいても良いし、静止形無効電力補償装置であっても良い。また、調相設備7a(7b,7c,…)は、単数であっても良い。なお、遮断器19a(19b,19c,…)は、対応する各負荷21a(21b,21c,…)の稼働状況に応じて制御(投入/開放)される。
【0059】
スマートメータ8は、変成器22を介して、電力量等を検出する。スマートメータ8は、図6に示すように、所定の制御プログラムに従って構成各部を制御する制御部33と、各種制御プログラムやデータが記憶される記憶部34と、データ通信を行うための通信部35と、入出力部36とを有している。
【0060】
制御部33は、CPU等からなり、記憶部34に記憶された所定の制御プログラムに従って構成各部を制御する。スマートメータ8においては、例えば、電力量情報を取得する電力量情報取得処理や、電力量情報を調相制御装置3へ送信する電力量送信処理のほか、設備現況情報取得処理や、設備現況情報送信処理、制御指令受信処理、遮断器制御処理等が実行される。
【0061】
スマートメータ8は、設備現況情報取得処理で、変成器22や、分岐箇所に配置した変成器(不図示)を介して得られた計測情報、又は遮断器6a(6b,6c,…)から得られる遮断器6a(6b,6c,…)開閉情報等に基づいて、各調相設備7a(7b,7c,…)の設備現況情報を取得する。スマートメータ8は、設備現況情報送信処理で、取得した設備現況情報を調相制御装置3へ送信する。
【0062】
スマートメータ8は、制御指令受信処理で、調相制御装置3から、制御指令(投入指令又は開放指令)を、制御対象の識別情報とともに受信する。スマートメータ8は、遮断器制御処理で、制御指令に基づいて、対応する遮断器6a(6b,6c,…)を投入制御又は開放制御する。なお、スマートメータ8は、遮断器19a(19b,19c,…)も制御するようにしても良い。
【0063】
記憶部34は、各種プログラムを記憶するプログラム記憶部と、各種情報を記憶する情報記憶部とを有している。情報記憶部には、設備現況情報等が記憶される。
【0064】
次に、調相制御システム1の動作について説明する。まず、調相制御装置3は、計測装置16から変電所2の母線Bの電圧値を取得する(ステップSA11(図7))。次に、調相制御装置3は、目標電圧値Vrefと、取得した計測電圧値V0との差の絶対値を算出し、この絶対値が、電圧許容誤差ΔVref未満か否か判定して、電圧が適正範囲内にあるか否か判定し(ステップSA12)、ステップSA13で、計測電圧値V0が、適正範囲を越えて高い場合は、ステップSA14へ進み、これ以外の場合は、ステップSA20へ進む。
【0065】
ステップSA12では、調相制御装置3は、計測電圧値V0が、目標電圧値Vrefから電圧許容誤差ΔVref(>0)を減算した値と、目標電圧値Vrefに電圧許容誤差ΔVrefを加算した値との間の範囲にあるか否かを判定している。すなわち、上昇側及び低下側への電圧許容誤差として、同一の値ΔVrefを用いているが、一般には、上昇側電圧許容誤差と、低下側電圧許容誤差とで、異なる値を設定し、計測電圧値V0が、目標電圧値Vrefから低下側電圧許容誤差(>0)を減算した値と、目標電圧値Vrefに上昇側電圧許容誤差(>0)を加算した値との間の範囲にあるか否かを判定するようにしても良い。
【0066】
ステップSA14で、調相制御装置3は、例えば、目標電圧値Vrefと、計測電圧値V0と、変電所2の母線Bの短絡容量Psとに基づいて、無効電力調整量Qを演算する。さらに、調相制御装置3は、無効電力調整量の上限値Qu及び下限値Qlを、それぞれ、演算する。
【0067】
次に、ステップSA15で、調相制御装置3は、各スマートメータ8から、通信網9を介して、例えば図5に示すような内容の設備現況情報を取得する。各スマートメータ8が、取得し、調相制御装置3に送信された設備現況情報は、記憶部25に記憶される。次に、ステップSA16で、調相制御装置3は、SC投入又はSC開放による調整が可能か否か判定し、調整可の場合は、ステップSA17へ進み、これ以外の場合は、ステップSA11に戻る。すなわち、調相制御装置3は、開放可能なSCがあるか否か判定する。次に、ステップSA17で、調相制御装置3は、制御対象が選択可か否か判定し、選択可の場合は、ステップSA18へ進み、これ以外の場合は、ステップSA11に戻る。
【0068】
ステップSA17で、調相制御装置3は、例えば、電圧が最も目標値(例えば、適正範囲の中央値等)に近いSC(又はその組合せ)を選択する。次に、調相制御装置3は、選択したSCを投入した場合又は開放した場合の変電所母線電圧変動量ΔVを、SC調整量Qaと、変電所2の母線Bの短絡容量Psとに基づいて演算する。次に、調相制御装置3は、選択したSCを投入した場合又は開放した場合の需要家受電電圧変動量ΔVcを、SC調整量Qaと、各需要家設備5a(5b,5c,…)の受電母線の短絡容量Pscとに基づいて演算する。
【0069】
次に、調相制御装置3は、変電所母線電圧変動量ΔVが許容範囲内にあるか否か判定する。次に、調相制御装置3は、需要家受電電圧変動量ΔVcが許容範囲内にあるか否か判定する。次に、調相制御装置3は、変電所母線電圧良否判定処理及び需要家受電電圧良否判定処理で、ともに良判定とされた場合に、選択した制御対象候補を制御対象として決定する。変電所母線電圧良否判定処理及び需要家受電電圧良否判定処理のうち、いずれか一方で、不良判定とされると、次候補を選定し、制御実施後状態推定処理、変電所母線電圧良否判定処理及び需要家受電電圧良否判定処理を実行し、制御対象を決定する。調相制御装置3は、適切な制御対象が得られなかった場合は、制御対象選択不可と判定する。
【0070】
ステップSA18で、調相制御装置3は、制御対象選択可と判定され、制御対象が決定されると、制御指令(開放指令)を、制御対象の識別情報とともに、対応するスマートメータ8へ送信し、ステップSA19へ進む。スマートメータ8は、調相制御装置3から、制御指令(開放指令)を、制御対象の識別情報とともに受信すると、対応する遮断器6a(6b,6c,…)を開放制御する。
【0071】
ステップSA20で、調相制御装置3は、計測電圧値V0が、適正範囲に達せず低い場合は、ステップSA21へ進み、これ以外の場合は、ステップSA11に戻る。ステップSA21で、調相制御装置3は、例えば、目標電圧値Vrefと、計測電圧値V0と、変電所2の母線Bの短絡容量Psとに基づいて、無効電力調整量Qを演算する。さらに、調相制御装置3は、無効電力調整量の上限値Qu及び下限値Qlを、それぞれ、演算する。
【0072】
次に、ステップSA22で、調相制御装置3は、各スマートメータ8から、通信網9を介して、例えば図5に示すような内容の設備現況情報を取得する。次に、ステップSA23で、調相制御装置3は、SC投入又はSC開放による調整が可能か否か判定し、調整可の場合は、ステップSA24へ進み、これ以外の場合は、ステップSA11に戻る。すなわち、調相制御装置3は、投入可能なSCがあるか否か判定する。
【0073】
次に、ステップSA24で、調相制御装置3は、制御対象が選択可か否か判定し、選択可の場合は、ステップSA25へ進み、これ以外の場合は、ステップSA11に戻る。ステップSA25で、調相制御装置3は、制御対象選択可と判定され、制御対象が決定されると、制御指令(投入指令)を、制御対象の識別情報とともに、対応するスマートメータ8へ送信し、ステップSA19へ進む。
【0074】
スマートメータ8は、調相制御装置3から、制御指令(投入指令)を、制御対象の識別情報とともに受信すると、対応する遮断器6a(6b,6c,…)を投入制御する。ステップSA19で、調相制御装置3は、終了操作有りか否か判定し、終了操作有りの場合は、処理を終了し、これ以外の場合は、ステップSA11に戻る。
【0075】
こうして、この実施の形態の構成によれば、調相制御装置3は、必要な無効電力調整量を演算し、所定の調相設備7a(7b,7c,…)を選択して、スマートメータ8に対応する遮断器6a(6b,6c,…)の開閉制御をさせて無効電力を調整することができるので、電圧調整機能を向上させることができる。また、スマートメータのある程度の普及を前提として、従来のスマートメータに遮断器制御機能等を付加し、変電所2等に調相制御装置3を配置することによって、電圧調整のための調相制御システム1を低コストで設けることができる。
【0076】
(実施の形態2)
図8は、この発明の実施の形態2による調相制御システムの構成を説明するための説明図である。
【0077】
図8に示すように、この実施の形態の調相制御システムでは、スマートメータ8Aは、遮断器6a(6b,6c,…)を介して調相設備7a(7b,7c,…)を制御する。スマートメータ8Aは、電力量情報取得処理や、設備現況情報取得処理、遮断器制御処理のほか、実施の形態1で、調相制御装置3が実行していた電圧値取得処理、電圧値良否判定処理、調整量演算処理、調整可否判定処理、及び制御対象選択可否判定処理を実行する。
【0078】
調整可否判定処理、及び制御対象選択可否判定処理では、スマートメータ8Aが制御可能な、調相設備7a(7b,7c,…)が処理対象となる。また、スマートメータ8Aの記憶部の情報記憶部には、設備現況情報のほか、設定値情報や調整量情報等が記憶される。なお、電圧値取得処理で、変電所母線電圧の取得を略し、需要家受電電圧のみ取得するようにしても良い。
【0079】
この実施の形態の構成によれば、上述した実施の形態1と略同様の効果を得ることができる。加えて、需要家単位での確実な電圧調整が可能となる。
【0080】
以上、この発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述した実施の形態では、調相制御装置3において、電力量情報取得処理等や、電圧値取得処理、電圧値良否判定処理、調整量演算処理、設備現況情報取得処理、調整可否判定処理、制御対象選択可否判定処理、制御指令出力処理等は、対応する制御プログラムを実行することによって行うほかに、一部又は全部を専用のハードウェアを用いて行い、他の一部を対応するプログラムを実行して処理するようにしても良い。また、それぞれ別々のCPUが実行しても良いし、例えば、単一のCPUが実行しても良い。さらに、各処理を別々の情報処理装置が行うようにしても良い。
【0081】
また、実施の形態1及び実施の形態2で実行していた電圧値良否判定処理に代えて、力率の良否を判定する力率良否判定処理を実行しても良い。この力率良否判定処理では、力率が適正範囲内にあるか否か判定する。また、ステップSA13に対応する処理では、力率が適正範囲を越えて進相か否かが判定され、ステップSA20に対応する処理では、力率が適正範囲を越えて遅相か否かが判定される。また、力率及び無効電力調整量の演算のために、電圧に代えて、有効電力及び無効電力を計測する。各需要家で、力率は「1」が目標値となる。
【0082】
また、遮断器6a(6b,6c,…)の操作を、スマートメータ8による制御に代えて、人間系により実行するようにしても良い。この場合、スマートメータ8は計測情報の調相制御装置3への送信、調相制御装置3からの制御指令の受信及び表示等を行うものとする。また、実施の形態1で述べた調相制御装置3から制御指令を受信する場合と、実施の形態2で述べたスマートメータ8Aが直接制御する場合とで、切換制御が可能なようにしても良い。この場合、いずれかに優先性を設定しても良い。
【0083】
また、需要家設備として、無効電力の制御が可能な発電機(インバータ電源等)がある場合は、調相制御装置3による制御対象として、発電機の無効電力調整(励磁電流調整)を付加しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0084】
調相制御装置が、変電所のほか、電気所として、発電所や、制御所等に設置される場合について適用できる。
【符号の説明】
【0085】
1 調相制御システム
2 変電所(電気所)
3 調相制御装置
5a,5b,… 需要家設備
7a,7b,… 調相設備
8,8A スマートメータ
9 通信網(通信路)
24 制御部(被監視量取得手段、被監視量良否判定手段、調整量演算手段、第2の設備現況情報取得手段、制御対象選択手段、制御指令出力手段)
25 記憶部
33 制御部(第1の設備現況情報取得手段、調相設備制御手段)
34 記憶部
B 母線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気所から電力が供給される需要家設備に配置され、使用電力量を計測する機能を有するとともに、力率を改善させるための調相設備を制御するスマートメータと、前記電気所に配置される調相制御装置とが、通信路を介して接続可能とされた調相制御システムであって、
前記スマートメータは、少なくとも前記調相設備に関する設備現況情報を取得するための第1の設備現況情報取得手段と、前記調相制御装置からの制御指令に基づいて前記調相設備を制御する調相設備制御手段とを有し、
前記調相制御装置は、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得する被監視量取得手段と、前記被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定する被監視量良否判定手段と、前記被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算する調整量演算手段と、前記スマートメータから前記設備現況情報を取得するための第2の設備現況情報取得手段と、前記無効電力調整量及び前記設備現況情報に基づいて、制御対象の前記調相設備を選択する制御対象選択手段と、選択された前記調相設備を制御させるための前記制御指令を前記スマートメータへ出力する制御指令出力手段とを有する
ことを特徴とする調相制御システム。
【請求項2】
前記所定の箇所は、前記電気所としての変電所の母線であり、前記被監視量は、前記母線の電圧、又は力率であることを特徴とする請求項1に記載の調相制御システム。
【請求項3】
前記被監視量良否判定手段は、取得した前記被監視量としての前記電圧が、目標電圧から低下側許容誤差を減算した値と、前記目標電圧に上昇側許容誤差を加算した値との間の前記適正範囲にあるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の調相制御システム。
【請求項4】
前記調整量演算手段は、前記電圧と、目標電圧と、前記母線の短絡容量とに基づいて、前記無効電力調整量を演算することを特徴とする請求項2又は3に記載の調相制御システム。
【請求項5】
前記制御対象選択手段は、複数の前記調相設備のうち、制御後に前記電圧が目標電圧に最も近くなると推定される前記調相設備を選択することを特徴とする請求項2、3又は4に記載の調相制御システム。
【請求項6】
前記制御対象選択手段は、複数の前記調相設備のうち、前記電圧が比較的高い場合は力率が最も進相側である前記調相設備を選択し、前記電圧が比較的低い場合は力率が最も遅相側である前記調相設備を選択することを特徴とする請求項2、3又は4に記載の調相制御システム。
【請求項7】
電気所から電力が供給される需要家設備に配置され、使用電力量を計測する機能を有するとともに、力率を改善させるための調相設備を制御するスマートメータに、通信路を介して接続可能とされ、前記電気所に配置された調相制御装置であって、
所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得する被監視量取得手段と、前記被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定する被監視量良否判定手段と、前記被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算する調整量演算手段と、前記スマートメータから少なくとも前記調相設備に関する設備現況情報を取得するための設備現況情報取得手段と、前記無効電力調整量及び前記設備現況情報に基づいて、制御対象の前記調相設備を選択する制御対象選択手段と、選択された前記調相設備を制御させるための制御指令を前記スマートメータへ出力する制御指令出力手段とを有する
ことを特徴とする調相制御装置。
【請求項8】
電気所から電力が供給される需要家設備に配置され、使用電力量を計測する機能を有するとともに、力率を改善させるための調相設備を制御するスマートメータであって、
少なくとも前記調相設備に関する設備現況情報を取得するための設備現況情報取得手段と、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得する被監視量取得手段と、前記被監視量が適正範囲内にあるか否かを判定する被監視量良否判定手段と、前記被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算する調整量演算手段と、前記無効電力調整量及び前記設備現況情報に基づいて、制御対象の前記調相設備を選択する制御対象選択手段と、選択された前記調相設備を制御する調相設備制御手段とを有する
ことを特徴とするスマートメータ。
【請求項9】
電気所から電力が供給される需要家設備に配置され、使用電力量を計測する機能を有するとともに、力率を改善させるための調相設備を制御するスマートメータと、前記電気所に配置される調相制御装置とが、通信路を介して接続可能とされ、
前記スマートメータは、少なくとも前記調相設備に関する設備現況情報を取得するための第1の設備現況情報取得処理と、前記調相制御装置からの制御指令に基づいて前記調相設備を制御する調相設備制御処理とを実行し、
前記調相制御装置は、所定の箇所の電圧を調整するための被監視量を取得する被監視量取得処理と、前記被監視量が適正範囲内にあるかを否か判定する被監視量良否判定処理と、前記被監視量を適正範囲内に戻すために必要な無効電力調整量を演算する調整量演算処理と、前記スマートメータから前記設備現況情報を取得するための第2の設備現況情報取得処理と、前記無効電力調整量及び前記設備現況情報に基づいて、制御対象の前記調相設備を選択する制御対象選択処理と、選択された前記調相設備を制御させるための前記制御指令を前記スマートメータへ出力する制御指令出力処理とを実行する
ことを特徴とする調相制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−39727(P2012−39727A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176711(P2010−176711)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】