護岸ブロック及びその製造方法
【課題】河川の自然環境に合った外観を保ちつつ、しかも河川に生息する魚類の十分な生息場所を確保することができ、製造コストも低くてすむ護岸ブロックを得る。
【解決手段】コンクリートからなる基部11aと該基部11aの上に積層されたモルタルからなる固着部11bとによりブロック本体11が構成され、複数個の玉石12が並んだ状態で且つそれぞれ一部を露出した状態で固着部11bの表面に固定されることで自然環境と調和しているとともに、表面に通ずる魚道部13を備えた魚巣空洞部14がブロック本体11内に少なくとも1つ以上設けられることで魚類を始めとする水中生物の生息空間を提供している。ブロック本体11を高流動コンクリートのみで形成してもよい。
【解決手段】コンクリートからなる基部11aと該基部11aの上に積層されたモルタルからなる固着部11bとによりブロック本体11が構成され、複数個の玉石12が並んだ状態で且つそれぞれ一部を露出した状態で固着部11bの表面に固定されることで自然環境と調和しているとともに、表面に通ずる魚道部13を備えた魚巣空洞部14がブロック本体11内に少なくとも1つ以上設けられることで魚類を始めとする水中生物の生息空間を提供している。ブロック本体11を高流動コンクリートのみで形成してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の浸食防止、流砂防止等を目的として河川の壁面(底面も含む)に用いられる護岸ブロックの技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国は山岳地帯が多く、かつ河川が急勾配である。したがって、集中豪雨が発生すると、河川水量が短時間に増大して甚大な水災害を引き起こす恐れがある。そこで、河川の浸食防止、流砂防止等のために、多くの河川では護岸工事が行われている。そして、特に河川の上流では、流木や土砂が大きなエネルギーで移動するため、護岸は安全性の確保という観点から所要の強度が要求される。
【0003】
旧来より、河川の護岸には「蛇籠」に代表される石積み方式が利用されており、それによって環境との調和が図られ、かつ護岸の強度が確保されていた。それが時代の変化とともに、職人の確保が困難となり、このタイプの護岸方式はコスト的に見ても公共工事に採用できない状況にある。
【0004】
一方、近年特に、護岸の強度確保を短時間にかつ低コストで実施することが要請されており、これに対応してコンクリートを使用した護岸整備が進んできている。そして、昨今の環境への配慮から、河川護岸への取組みも変化してきており、その一つにポーラスコンクリートを用いる方法がある。このポーラスコンクリートは、コンクリートに空隙を設けることで表面部の植生を容易にしたものであり、河川の壁面における定水位より上部に設けられる。これに対して、定水位以下の壁面では、十分な強度を有するブロック構造が主になっている。この護岸用のブロックとしては、単なるコンクリートブロックを使用する場合もあるが、表面に自然石の玉石を配置するなどして景観を配慮したものも使用されてきている。また、河川水量が小さい箇所では自然石の玉石をネットに固定した護岸ブロックも使用されている。
【特許文献1】特開平6−108437号公報
【特許文献2】登録実用新案第3033900号公報
【特許文献3】登録実用新案第3037169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自然石の玉石を利用した従来の護岸ブロックは、自然の景観とマッチするという利点があるものの、一方では次のような問題点がある。すなわち、玉石をコンクリートにしっかりと固定するためには、玉石にアンカーを埋め込むなどの手法が必要となり、単なるコンクリートブロックに比べて製造コストが非常に高くなる。また、河川に生息する川魚や稚魚が入り込めるのに十分なサイズの魚巣を形成することができないという欠点がある。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、河川の自然環境に合った外観を保ちつつ、しかも河川に生息する魚類の十分な生息場所を確保することができ、製造コストも低くてすむ護岸ブロックを提供し、併せてその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明である護岸ブロックは、コンクリートからなる基部と該基部の上に積層されたモルタルからなる固着部とによりブロック本体が構成され、複数個の玉石が並んだ状態で且つそれぞれ一部を露出した状態で前記固着部の表面に固定されることで自然環境と調和しているとともに、表面に通ずる魚道部を備えた魚巣空洞部がブロック本体内に少なくとも1つ以上設けられることで魚類を始めとする水中生物の生息空間を提供していることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明である護岸ブロックは、請求項1に記載の護岸ブロックにおいて、ブロック本体が高流動コンクリートにより構成され、そのブロック本体の表面に複数個の玉石が固定されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明である護岸ブロックは、請求項1又は2に記載の護岸ブロックにおいて、ブロック本体の表面が砂地状を呈していることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明である護岸ブロックは、請求項1〜3のいずれかに記載の護岸ブロックにおいて、ネット材固定用の線材を取り付けた金網が玉石の下に埋め込まれ、その線材の端が表面に露出しており、網目のところで玉石を抑え込むようにしてネット材が線材の露出部分により固定されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明である護岸ブロックの製造方法は、上面が開口した型枠の中に砂を敷き、その砂の上に複数個の玉石を並べて設置するとともに魚道部を備えた魚巣空洞部を少なくとも1つ以上設置した後、水を散布して砂締めを行うとともに玉石の表面に接着剤を塗布してから、玉石が略埋まる状態になるまで玉石の間にモルタルを流し込み、そのモルタルの上から型枠内にコンクリートを打ち込み、所定時間の養生を経た後に型枠から取り出すことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明である護岸ブロックの製造方法は、請求項5に記載の護岸ブロックの製造方法において、玉石が略埋まる状態になるまで玉石の間にモルタルを流し込み、そのモルタルの上から型枠内にコンクリートを打ち込む工程を行う代わりに、型枠内に高流動コンクリートを打ち込む工程を行うようにしたことを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の発明である護岸ブロックの製造方法は、請求項5又は6に記載の護岸ブロックの製造方法において、砂の上に複数個の玉石を並べて設置するとともに魚道部を備えた魚巣空洞部を少なくとも1つ以上設置する際に、ネット材固定用の線材を取り付けた金網を線材の先端が砂の中に入る状態で玉石の上に設置するとともに、型枠から取り出した後で、網目のところで玉石を抑え込むようにしてネット材を線材の露出部分により固定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の護岸ブロックは、ブロック本体の表側に複数個の玉石が露出状態で埋め込まれた構成になっているので、自然物に近い外観を呈することができ、しかもブロック本体には魚道から内部に至る魚巣があるので、河川に住む魚類などの水中生物は玉石の間から出入りすることにより空洞部を生息場所とすることができる。
【0015】
そして、ブロック本体が、コンクリートからなる基部と該基部の上に積層されるモルタルからなる固着部とにより構成されるものでは、玉石がモルタルによってしっかりと固定したものとなるので、アンカー等の固定手段を用いる必要がなく、製造コストを低く抑えることができる。一方、ブロック本体が高流動コンクリートにより構成されるものでは、同様の効果を奏する上に、バイブレーター等による締固めが不要であるため、製造工程の短縮を図ることができる。
【0016】
また、ブロック本体の表面が砂地状を呈することにより、ブロック本体に露出状態で埋め込まれた複数の玉石と砂地状外観とが相まって、より自然物に近い外観を呈することができる。
【0017】
そして、本発明の護岸ブロックの製造方法によれば、型枠の中に敷いた砂の上に複数個の玉石を並べて設置するとともに魚道部を備えた魚巣空洞部を少なくとも1つ以上設置した後、モルタルとコンクリート、或いは高流動コンクリートを流し込むだけでよいので、玉石にアンカー等を埋め込むなどの面倒な工程がないことから、低コストで製造することができる。しかも、ブロック本体の表面が砂地状となり、自然物に近い外観を呈する護岸ブロックを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明に係る護岸ブロックの一例を示す平面図、図2は図1に示す護岸ブロックの側面図である。
【0019】
この護岸ブロック10は、コンクリートからなる基部11aと該基部11aの上に積層されたモルタルからなる固着部11bとによりブロック本体11が構成され、複数個の玉石12が並んだ状態で且つそれぞれ一部を露出した状態で固着部11bの表面に固定されており、表面に通ずる魚道部13を備えた魚巣空洞部14がブロック本体11内に設けられている。そして、ブロック本体11の表面、すなわち固着部11bの表面は砂地状を呈している。
【0020】
護岸ブロック10の形状は、□1000×1000mm、厚さ350mm(基部:250〜300mm、固着部:50〜100mm)を基本とし、表面に自然石(径:10〜25cm)からなる複数個の玉石12を20〜50個程度配置している。護岸ブロック10は表面が砂地状であることで、より自然物に近い外観を呈するが、玉石12の径を比較的不揃いとすることで、より一層自然物に近い印象を与えることができる。
【0021】
図3は図1及び図2に示す護岸ブロックの製造方法を示す工程図であり、以下にこの図3により製造手順を説明する。
【0022】
まず、図3(a)に示すように、上面が開口した型枠21の中に砂22を所定の厚みで敷きつめる。次に、図3(b)に示すように、砂22の上に複数個の玉石12を砂22の中に少し埋め込む状態で並べて設置するとともに、魚道部13を備えた魚巣空洞部14を設置する。ここで示す例では、玉石12の隙間に砂を詰めて魚道部13を形成し、その上に素焼きの壺を載せて魚巣空洞部14を設置している。
【0023】
なお、図3の工程では、魚道部13を図4(a)に示すような玉石間の砂詰めによる方法で形成したが、その他に、図4(b)に示すようなゴムホース31を用いた方法、図4(c)に示すようなゴム治具32を用いた方法などがある。また、図3の工程では、魚巣空洞部14を図5(a)のような素焼きの壺33を用いる方法で形成したが、植木鉢を流用してもよいし、図5(b)に示すペットボトルの如き樹脂製容器34を用いてもよいし、或いは、図5(c)に示すように、番線35により石囲いを形成し、その中に砂詰めを行う方法を採ることもできる。そして、魚道部13及び魚巣空洞部14は一つに限るものではなく、その個数と形状は、護岸ブロックの形状や用途に応じて設定すればよい。
【0024】
玉石12の設置と魚道部13及び魚巣空洞部14の設置を終えた後、水を散布して砂締めを行うとともに玉石12の表面に接着剤を塗布してから、図3(c)に示すように、玉石12が略埋まる状態になるまで玉石12の間にモルタル23を流し込む。この場合、普通のモルタルを用いるが、玉石12の固定をより確実なものとするためには、高流動モルタル(スランプ20〜25cm)を用いることが望ましい。
【0025】
次いで、図3(d)に示すように、モルタル23の上から型枠21内にコンクリート24を打ち込み、バイブレーター等により締め固める。コンクリートとしては、スランプ8〜18cmのものを使用し、表面を平坦に仕上げる。しかる後、所定時間の養生を経た後に型枠21から取り出すことで、図3(e)に示す製品としての護岸ブロック10が製造される。
【0026】
また、別の方法として、モルタル23を用いずに、型枠21内に高流動コンクリート(スランプ60〜80cm)を打ち込む形態を採ることもできる。このように高流動コンクリートを型枠内に直接打ち込むことで、バイブレーター等による締固めが不要となる。そして、この方法を採ることにより、ブロック本体11が高流動コンクリートで構成された護岸ブロックが製造される。すなわち、高流動コンクリートからなるブロック本体11の表面に複数個の玉石が固定され、しかもブロック本体11の表面は砂地状を呈したものとなる。
【0027】
図6は図1及び図2に示す護岸ブロックの変形例の製造方法を示す工程図である。この護岸ブロックは、図1及び図2に示した護岸ブロックにおいて、ネット材固定用の線材を取り付けた金網が玉石12の下に埋め込まれ、その線材の端が表面に露出しており、網目のところで玉石12を抑え込むようにしてネット材が線材の露出部分により固定されている形態のものであり、以下にその製造手順を説明する。
【0028】
まず、図6(a)に示すように、上面が開口した型枠21の中に砂22を所定の厚みで敷きつめる。次に、図6(b)に示すように、砂22の上に複数個の玉石12を砂22の中に少し埋め込む状態で並べて設置するとともに、魚道部13を備えた魚巣空洞部14を設置するが、この際に、ネット材固定用の線材25を取り付けた金網26を線材25の先端が砂22の中に入る状態で玉石12の上に設置する。
【0029】
このように、玉石12の設置と魚道部13及び魚巣空洞部14の設置に加え、線材25を取り付けた金網26の設置を終えた後、水を散布して砂締めを行うとともに玉石12の表面に接着剤を塗布してから、図6(c)に示すように、玉石12が略埋まる状態になるまで玉石12の間にモルタル23を流し込む。この場合も、前記したのと同様、玉石12の固定をより確実なものとするためには、高流動モルタル(スランプ20〜25cm)を用いることが望ましい。
【0030】
次いで、図6(d)に示すように、モルタル23の上から型枠21内にコンクリート24を打ち込み、バイブレーター等により締め固める。コンクリートとしては、スランプ8〜18cmのものを使用し、表面を平坦に仕上げる。なお、図6の工程では金網26がコンクリート24に埋まっているが、モルタル23の方に埋まるようにしても構わない。
【0031】
そして、所定時間の養生を経た後に型枠21から取り出すことで、玉石12の間から線材25の先が露出した状態の護岸ブロック10が得られる。このように護岸ブロック10を型枠21から取り出した後で、図6(e)に示すように、網目のところで玉石12を抑え込むようにしてネット材27を線材25の露出部分により結んで固定する。このネット材27としては、漁網等を用いるのがよく、網目のサイズは玉石12より小さいものとする。これにより、護岸ブロック10は玉石12が確実に一体化したものとなる。
【0032】
なお、このネット材付きの護岸ブロック10についても、先に説明したのと同様、モルタル23を用いずに、型枠21内に高流動コンクリート(スランプ60〜80cm)を打ち込む形態を採ることができるものである。
【0033】
図7は本発明に係る護岸ブロックの別の例を示す平面図、図8は図7に示す護岸ブロックの背面図、図9は図7の護岸ブロックをA方向から見た状態で示す側面図、図10は図7の護岸ブロックをB方向から見た状態で示す側面図である。
【0034】
この護岸ブロック10は、ブロック本体11の表面に複数個の玉石12が並んだ状態で且つそれぞれ一部を露出した状態で固定されている点では図1及び図2に示したものと同様であるが、図示の如く、表面に通ずる4本の放射状の魚道部13を備えた魚巣空洞部14がブロック本体11内に設けられている点が異なる。すなわち、ブロック本体11の側面にはブロック本体11を周回するようにして半円状の側面魚道部13aが設けられ、4辺のそれぞれには側面魚道部13aから上方に向かう半円状の入口魚道部13bが設けられており、さらに、側面魚道部13aから魚巣空洞部14に繋がる3本の水平魚道部13cと入口魚道部13bから魚巣空洞部14に繋がる1本の斜め魚道部13dとが設けられたものとなっている。
【0035】
この護岸ブロック10の製造手順は、設置する魚道部13と魚巣空洞部14が異なる以外は前記したのと同様である。例えば、魚巣空洞部14はポリタンクを、また水平魚道部13c及び斜め魚道部13dはビニールホースを用いて形成することができる。また、側面魚道部13aと入口魚道部13bは樋状の型枠を設置しておくことで形成することができる。そして、この護岸ブロック10は、工事現場にて並べて設置すると、隣接する護岸部10の側面魚道部13aが互いに向き合って断面円形状の魚道を構成し、また入口魚道部13cも互いに向き合って断面円形状の魚道を構成することとなり、その結果、魚巣空洞部14に対する出入口が多く、しかも魚道部13の数が多いという水中生物が好む良好な生息空間を有したものとなる。
【0036】
この護岸ブロック10のブロック本体11は、コンクリートからなる基部とその上に積層されたモルタルからなる固着部とにより構成されたものであってもよいし、高流動コンクリートのみにより構成されていてもよいが、いずれにしても前記したのと同様の手順で製造され、その表面は砂地状を呈したものになる。
【0037】
また、本発明の護岸ブロックは、上述したような直方体形状のものに限らず、用途に応じて種々の形状としてよい。例えば、図11に示すように、ブロック本体11の固着部11bを窪ませた形状の護岸ブロック10とすることもできる。このような形状の護岸ブロック10は、コンクリートを打ち込む際に所定形状の型枠を設置しておくことで製造できる。そして、この護岸ブロック10の場合、複数個を並べて設置した後、間にできた空間に胴込コンクリートを打って一体化することができる。
【0038】
また、本発明の護岸ブロックは、施工した際に確実に固定するため、連結用の金具を埋め込むようにしてもよく、そのための空間としてブロック本体のコーナー部分を切り欠いた形状としてもよい。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による護岸ブロック及びその製造方法は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る護岸ブロックの一例を示す平面図である。
【図2】図1に示す護岸ブロックの側面図である。
【図3】図1及び図2に示す護岸ブロックの製造方法を示す工程図である。
【図4】魚道部の形成方法を例示して示す説明図である。
【図5】魚巣空洞部の形成方法を例示して示す説明図である。
【図6】図1及び図2に示す護岸ブロックの変形例の製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明に係る護岸ブロックの別の例を示す平面図である。
【図8】図7に示す護岸ブロックの背面図である。
【図9】図7の護岸ブロックをA方向から見た状態で示す側面図である。
【図10】図7の護岸ブロックをB方向から見た状態で示す側面図である。
【図11】形状を谷積ブロックとした護岸ブロックの側面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 護岸ブロック
11 ブロック本体
11a 基部
11b 固着部
12 玉石
13 魚道部
13a 側面魚道部
13b 入口魚道部
13c 水平魚道部
13d 斜め魚道部
14 魚巣空洞部
21 型枠
22 砂
23 モルタル
24 コンクリート
25 線材
26 金網
27 ネット材
31 ゴムホース
32 ゴム治具
33 壺
34 樹脂製容器
35 番線
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の浸食防止、流砂防止等を目的として河川の壁面(底面も含む)に用いられる護岸ブロックの技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国は山岳地帯が多く、かつ河川が急勾配である。したがって、集中豪雨が発生すると、河川水量が短時間に増大して甚大な水災害を引き起こす恐れがある。そこで、河川の浸食防止、流砂防止等のために、多くの河川では護岸工事が行われている。そして、特に河川の上流では、流木や土砂が大きなエネルギーで移動するため、護岸は安全性の確保という観点から所要の強度が要求される。
【0003】
旧来より、河川の護岸には「蛇籠」に代表される石積み方式が利用されており、それによって環境との調和が図られ、かつ護岸の強度が確保されていた。それが時代の変化とともに、職人の確保が困難となり、このタイプの護岸方式はコスト的に見ても公共工事に採用できない状況にある。
【0004】
一方、近年特に、護岸の強度確保を短時間にかつ低コストで実施することが要請されており、これに対応してコンクリートを使用した護岸整備が進んできている。そして、昨今の環境への配慮から、河川護岸への取組みも変化してきており、その一つにポーラスコンクリートを用いる方法がある。このポーラスコンクリートは、コンクリートに空隙を設けることで表面部の植生を容易にしたものであり、河川の壁面における定水位より上部に設けられる。これに対して、定水位以下の壁面では、十分な強度を有するブロック構造が主になっている。この護岸用のブロックとしては、単なるコンクリートブロックを使用する場合もあるが、表面に自然石の玉石を配置するなどして景観を配慮したものも使用されてきている。また、河川水量が小さい箇所では自然石の玉石をネットに固定した護岸ブロックも使用されている。
【特許文献1】特開平6−108437号公報
【特許文献2】登録実用新案第3033900号公報
【特許文献3】登録実用新案第3037169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自然石の玉石を利用した従来の護岸ブロックは、自然の景観とマッチするという利点があるものの、一方では次のような問題点がある。すなわち、玉石をコンクリートにしっかりと固定するためには、玉石にアンカーを埋め込むなどの手法が必要となり、単なるコンクリートブロックに比べて製造コストが非常に高くなる。また、河川に生息する川魚や稚魚が入り込めるのに十分なサイズの魚巣を形成することができないという欠点がある。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、河川の自然環境に合った外観を保ちつつ、しかも河川に生息する魚類の十分な生息場所を確保することができ、製造コストも低くてすむ護岸ブロックを提供し、併せてその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明である護岸ブロックは、コンクリートからなる基部と該基部の上に積層されたモルタルからなる固着部とによりブロック本体が構成され、複数個の玉石が並んだ状態で且つそれぞれ一部を露出した状態で前記固着部の表面に固定されることで自然環境と調和しているとともに、表面に通ずる魚道部を備えた魚巣空洞部がブロック本体内に少なくとも1つ以上設けられることで魚類を始めとする水中生物の生息空間を提供していることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明である護岸ブロックは、請求項1に記載の護岸ブロックにおいて、ブロック本体が高流動コンクリートにより構成され、そのブロック本体の表面に複数個の玉石が固定されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明である護岸ブロックは、請求項1又は2に記載の護岸ブロックにおいて、ブロック本体の表面が砂地状を呈していることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明である護岸ブロックは、請求項1〜3のいずれかに記載の護岸ブロックにおいて、ネット材固定用の線材を取り付けた金網が玉石の下に埋め込まれ、その線材の端が表面に露出しており、網目のところで玉石を抑え込むようにしてネット材が線材の露出部分により固定されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明である護岸ブロックの製造方法は、上面が開口した型枠の中に砂を敷き、その砂の上に複数個の玉石を並べて設置するとともに魚道部を備えた魚巣空洞部を少なくとも1つ以上設置した後、水を散布して砂締めを行うとともに玉石の表面に接着剤を塗布してから、玉石が略埋まる状態になるまで玉石の間にモルタルを流し込み、そのモルタルの上から型枠内にコンクリートを打ち込み、所定時間の養生を経た後に型枠から取り出すことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明である護岸ブロックの製造方法は、請求項5に記載の護岸ブロックの製造方法において、玉石が略埋まる状態になるまで玉石の間にモルタルを流し込み、そのモルタルの上から型枠内にコンクリートを打ち込む工程を行う代わりに、型枠内に高流動コンクリートを打ち込む工程を行うようにしたことを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の発明である護岸ブロックの製造方法は、請求項5又は6に記載の護岸ブロックの製造方法において、砂の上に複数個の玉石を並べて設置するとともに魚道部を備えた魚巣空洞部を少なくとも1つ以上設置する際に、ネット材固定用の線材を取り付けた金網を線材の先端が砂の中に入る状態で玉石の上に設置するとともに、型枠から取り出した後で、網目のところで玉石を抑え込むようにしてネット材を線材の露出部分により固定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の護岸ブロックは、ブロック本体の表側に複数個の玉石が露出状態で埋め込まれた構成になっているので、自然物に近い外観を呈することができ、しかもブロック本体には魚道から内部に至る魚巣があるので、河川に住む魚類などの水中生物は玉石の間から出入りすることにより空洞部を生息場所とすることができる。
【0015】
そして、ブロック本体が、コンクリートからなる基部と該基部の上に積層されるモルタルからなる固着部とにより構成されるものでは、玉石がモルタルによってしっかりと固定したものとなるので、アンカー等の固定手段を用いる必要がなく、製造コストを低く抑えることができる。一方、ブロック本体が高流動コンクリートにより構成されるものでは、同様の効果を奏する上に、バイブレーター等による締固めが不要であるため、製造工程の短縮を図ることができる。
【0016】
また、ブロック本体の表面が砂地状を呈することにより、ブロック本体に露出状態で埋め込まれた複数の玉石と砂地状外観とが相まって、より自然物に近い外観を呈することができる。
【0017】
そして、本発明の護岸ブロックの製造方法によれば、型枠の中に敷いた砂の上に複数個の玉石を並べて設置するとともに魚道部を備えた魚巣空洞部を少なくとも1つ以上設置した後、モルタルとコンクリート、或いは高流動コンクリートを流し込むだけでよいので、玉石にアンカー等を埋め込むなどの面倒な工程がないことから、低コストで製造することができる。しかも、ブロック本体の表面が砂地状となり、自然物に近い外観を呈する護岸ブロックを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明に係る護岸ブロックの一例を示す平面図、図2は図1に示す護岸ブロックの側面図である。
【0019】
この護岸ブロック10は、コンクリートからなる基部11aと該基部11aの上に積層されたモルタルからなる固着部11bとによりブロック本体11が構成され、複数個の玉石12が並んだ状態で且つそれぞれ一部を露出した状態で固着部11bの表面に固定されており、表面に通ずる魚道部13を備えた魚巣空洞部14がブロック本体11内に設けられている。そして、ブロック本体11の表面、すなわち固着部11bの表面は砂地状を呈している。
【0020】
護岸ブロック10の形状は、□1000×1000mm、厚さ350mm(基部:250〜300mm、固着部:50〜100mm)を基本とし、表面に自然石(径:10〜25cm)からなる複数個の玉石12を20〜50個程度配置している。護岸ブロック10は表面が砂地状であることで、より自然物に近い外観を呈するが、玉石12の径を比較的不揃いとすることで、より一層自然物に近い印象を与えることができる。
【0021】
図3は図1及び図2に示す護岸ブロックの製造方法を示す工程図であり、以下にこの図3により製造手順を説明する。
【0022】
まず、図3(a)に示すように、上面が開口した型枠21の中に砂22を所定の厚みで敷きつめる。次に、図3(b)に示すように、砂22の上に複数個の玉石12を砂22の中に少し埋め込む状態で並べて設置するとともに、魚道部13を備えた魚巣空洞部14を設置する。ここで示す例では、玉石12の隙間に砂を詰めて魚道部13を形成し、その上に素焼きの壺を載せて魚巣空洞部14を設置している。
【0023】
なお、図3の工程では、魚道部13を図4(a)に示すような玉石間の砂詰めによる方法で形成したが、その他に、図4(b)に示すようなゴムホース31を用いた方法、図4(c)に示すようなゴム治具32を用いた方法などがある。また、図3の工程では、魚巣空洞部14を図5(a)のような素焼きの壺33を用いる方法で形成したが、植木鉢を流用してもよいし、図5(b)に示すペットボトルの如き樹脂製容器34を用いてもよいし、或いは、図5(c)に示すように、番線35により石囲いを形成し、その中に砂詰めを行う方法を採ることもできる。そして、魚道部13及び魚巣空洞部14は一つに限るものではなく、その個数と形状は、護岸ブロックの形状や用途に応じて設定すればよい。
【0024】
玉石12の設置と魚道部13及び魚巣空洞部14の設置を終えた後、水を散布して砂締めを行うとともに玉石12の表面に接着剤を塗布してから、図3(c)に示すように、玉石12が略埋まる状態になるまで玉石12の間にモルタル23を流し込む。この場合、普通のモルタルを用いるが、玉石12の固定をより確実なものとするためには、高流動モルタル(スランプ20〜25cm)を用いることが望ましい。
【0025】
次いで、図3(d)に示すように、モルタル23の上から型枠21内にコンクリート24を打ち込み、バイブレーター等により締め固める。コンクリートとしては、スランプ8〜18cmのものを使用し、表面を平坦に仕上げる。しかる後、所定時間の養生を経た後に型枠21から取り出すことで、図3(e)に示す製品としての護岸ブロック10が製造される。
【0026】
また、別の方法として、モルタル23を用いずに、型枠21内に高流動コンクリート(スランプ60〜80cm)を打ち込む形態を採ることもできる。このように高流動コンクリートを型枠内に直接打ち込むことで、バイブレーター等による締固めが不要となる。そして、この方法を採ることにより、ブロック本体11が高流動コンクリートで構成された護岸ブロックが製造される。すなわち、高流動コンクリートからなるブロック本体11の表面に複数個の玉石が固定され、しかもブロック本体11の表面は砂地状を呈したものとなる。
【0027】
図6は図1及び図2に示す護岸ブロックの変形例の製造方法を示す工程図である。この護岸ブロックは、図1及び図2に示した護岸ブロックにおいて、ネット材固定用の線材を取り付けた金網が玉石12の下に埋め込まれ、その線材の端が表面に露出しており、網目のところで玉石12を抑え込むようにしてネット材が線材の露出部分により固定されている形態のものであり、以下にその製造手順を説明する。
【0028】
まず、図6(a)に示すように、上面が開口した型枠21の中に砂22を所定の厚みで敷きつめる。次に、図6(b)に示すように、砂22の上に複数個の玉石12を砂22の中に少し埋め込む状態で並べて設置するとともに、魚道部13を備えた魚巣空洞部14を設置するが、この際に、ネット材固定用の線材25を取り付けた金網26を線材25の先端が砂22の中に入る状態で玉石12の上に設置する。
【0029】
このように、玉石12の設置と魚道部13及び魚巣空洞部14の設置に加え、線材25を取り付けた金網26の設置を終えた後、水を散布して砂締めを行うとともに玉石12の表面に接着剤を塗布してから、図6(c)に示すように、玉石12が略埋まる状態になるまで玉石12の間にモルタル23を流し込む。この場合も、前記したのと同様、玉石12の固定をより確実なものとするためには、高流動モルタル(スランプ20〜25cm)を用いることが望ましい。
【0030】
次いで、図6(d)に示すように、モルタル23の上から型枠21内にコンクリート24を打ち込み、バイブレーター等により締め固める。コンクリートとしては、スランプ8〜18cmのものを使用し、表面を平坦に仕上げる。なお、図6の工程では金網26がコンクリート24に埋まっているが、モルタル23の方に埋まるようにしても構わない。
【0031】
そして、所定時間の養生を経た後に型枠21から取り出すことで、玉石12の間から線材25の先が露出した状態の護岸ブロック10が得られる。このように護岸ブロック10を型枠21から取り出した後で、図6(e)に示すように、網目のところで玉石12を抑え込むようにしてネット材27を線材25の露出部分により結んで固定する。このネット材27としては、漁網等を用いるのがよく、網目のサイズは玉石12より小さいものとする。これにより、護岸ブロック10は玉石12が確実に一体化したものとなる。
【0032】
なお、このネット材付きの護岸ブロック10についても、先に説明したのと同様、モルタル23を用いずに、型枠21内に高流動コンクリート(スランプ60〜80cm)を打ち込む形態を採ることができるものである。
【0033】
図7は本発明に係る護岸ブロックの別の例を示す平面図、図8は図7に示す護岸ブロックの背面図、図9は図7の護岸ブロックをA方向から見た状態で示す側面図、図10は図7の護岸ブロックをB方向から見た状態で示す側面図である。
【0034】
この護岸ブロック10は、ブロック本体11の表面に複数個の玉石12が並んだ状態で且つそれぞれ一部を露出した状態で固定されている点では図1及び図2に示したものと同様であるが、図示の如く、表面に通ずる4本の放射状の魚道部13を備えた魚巣空洞部14がブロック本体11内に設けられている点が異なる。すなわち、ブロック本体11の側面にはブロック本体11を周回するようにして半円状の側面魚道部13aが設けられ、4辺のそれぞれには側面魚道部13aから上方に向かう半円状の入口魚道部13bが設けられており、さらに、側面魚道部13aから魚巣空洞部14に繋がる3本の水平魚道部13cと入口魚道部13bから魚巣空洞部14に繋がる1本の斜め魚道部13dとが設けられたものとなっている。
【0035】
この護岸ブロック10の製造手順は、設置する魚道部13と魚巣空洞部14が異なる以外は前記したのと同様である。例えば、魚巣空洞部14はポリタンクを、また水平魚道部13c及び斜め魚道部13dはビニールホースを用いて形成することができる。また、側面魚道部13aと入口魚道部13bは樋状の型枠を設置しておくことで形成することができる。そして、この護岸ブロック10は、工事現場にて並べて設置すると、隣接する護岸部10の側面魚道部13aが互いに向き合って断面円形状の魚道を構成し、また入口魚道部13cも互いに向き合って断面円形状の魚道を構成することとなり、その結果、魚巣空洞部14に対する出入口が多く、しかも魚道部13の数が多いという水中生物が好む良好な生息空間を有したものとなる。
【0036】
この護岸ブロック10のブロック本体11は、コンクリートからなる基部とその上に積層されたモルタルからなる固着部とにより構成されたものであってもよいし、高流動コンクリートのみにより構成されていてもよいが、いずれにしても前記したのと同様の手順で製造され、その表面は砂地状を呈したものになる。
【0037】
また、本発明の護岸ブロックは、上述したような直方体形状のものに限らず、用途に応じて種々の形状としてよい。例えば、図11に示すように、ブロック本体11の固着部11bを窪ませた形状の護岸ブロック10とすることもできる。このような形状の護岸ブロック10は、コンクリートを打ち込む際に所定形状の型枠を設置しておくことで製造できる。そして、この護岸ブロック10の場合、複数個を並べて設置した後、間にできた空間に胴込コンクリートを打って一体化することができる。
【0038】
また、本発明の護岸ブロックは、施工した際に確実に固定するため、連結用の金具を埋め込むようにしてもよく、そのための空間としてブロック本体のコーナー部分を切り欠いた形状としてもよい。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による護岸ブロック及びその製造方法は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る護岸ブロックの一例を示す平面図である。
【図2】図1に示す護岸ブロックの側面図である。
【図3】図1及び図2に示す護岸ブロックの製造方法を示す工程図である。
【図4】魚道部の形成方法を例示して示す説明図である。
【図5】魚巣空洞部の形成方法を例示して示す説明図である。
【図6】図1及び図2に示す護岸ブロックの変形例の製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明に係る護岸ブロックの別の例を示す平面図である。
【図8】図7に示す護岸ブロックの背面図である。
【図9】図7の護岸ブロックをA方向から見た状態で示す側面図である。
【図10】図7の護岸ブロックをB方向から見た状態で示す側面図である。
【図11】形状を谷積ブロックとした護岸ブロックの側面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 護岸ブロック
11 ブロック本体
11a 基部
11b 固着部
12 玉石
13 魚道部
13a 側面魚道部
13b 入口魚道部
13c 水平魚道部
13d 斜め魚道部
14 魚巣空洞部
21 型枠
22 砂
23 モルタル
24 コンクリート
25 線材
26 金網
27 ネット材
31 ゴムホース
32 ゴム治具
33 壺
34 樹脂製容器
35 番線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートからなる基部と該基部の上に積層されたモルタルからなる固着部とによりブロック本体が構成され、複数個の玉石が並んだ状態で且つそれぞれ一部を露出した状態で前記固着部の表面に固定されることで自然環境と調和しているとともに、表面に通ずる魚道部を備えた魚巣空洞部がブロック本体内に少なくとも1つ以上設けられることで魚類を始めとする水中生物の生息空間を提供していることを特徴とする護岸ブロック。
【請求項2】
ブロック本体が高流動コンクリートにより構成され、そのブロック本体の表面に複数個の玉石が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の護岸ブロック。
【請求項3】
ブロック本体の表面が砂地状を呈していることを特徴とする請求項1又は2に記載の護岸ブロック。
【請求項4】
ネット材固定用の線材を取り付けた金網が玉石の下に埋め込まれ、その線材の端が表面に露出しており、網目のところで玉石を抑え込むようにしてネット材が線材の露出部分により固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の護岸ブロック。
【請求項5】
上面が開口した型枠の中に砂を敷き、その砂の上に複数個の玉石を並べて設置するとともに魚道部を備えた魚巣空洞部を少なくとも1つ以上設置した後、水を散布して砂締めを行うとともに玉石の表面に接着剤を塗布してから、玉石が略埋まる状態になるまで玉石の間にモルタルを流し込み、そのモルタルの上から型枠内にコンクリートを打ち込み、所定時間の養生を経た後に型枠から取り出すことを特徴とする護岸ブロックの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の護岸ブロックの製造方法において、玉石が略埋まる状態になるまで玉石の間にモルタルを流し込み、そのモルタルの上から型枠内にコンクリートを打ち込む工程を行う代わりに、型枠内に高流動コンクリートを打ち込む工程を行うようにしたことを特徴とする護岸ブロックの製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の護岸ブロックの製造方法において、砂の上に複数個の玉石を並べて設置するとともに魚道部を備えた魚巣空洞部を少なくとも1つ以上設置する際に、ネット材固定用の線材を取り付けた金網を線材の先端が砂の中に入る状態で玉石の上に設置するとともに、型枠から取り出した後で、網目のところで玉石を抑え込むようにしてネット材を線材の露出部分により固定することを特徴とする護岸ブロックの製造方法。
【請求項1】
コンクリートからなる基部と該基部の上に積層されたモルタルからなる固着部とによりブロック本体が構成され、複数個の玉石が並んだ状態で且つそれぞれ一部を露出した状態で前記固着部の表面に固定されることで自然環境と調和しているとともに、表面に通ずる魚道部を備えた魚巣空洞部がブロック本体内に少なくとも1つ以上設けられることで魚類を始めとする水中生物の生息空間を提供していることを特徴とする護岸ブロック。
【請求項2】
ブロック本体が高流動コンクリートにより構成され、そのブロック本体の表面に複数個の玉石が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の護岸ブロック。
【請求項3】
ブロック本体の表面が砂地状を呈していることを特徴とする請求項1又は2に記載の護岸ブロック。
【請求項4】
ネット材固定用の線材を取り付けた金網が玉石の下に埋め込まれ、その線材の端が表面に露出しており、網目のところで玉石を抑え込むようにしてネット材が線材の露出部分により固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の護岸ブロック。
【請求項5】
上面が開口した型枠の中に砂を敷き、その砂の上に複数個の玉石を並べて設置するとともに魚道部を備えた魚巣空洞部を少なくとも1つ以上設置した後、水を散布して砂締めを行うとともに玉石の表面に接着剤を塗布してから、玉石が略埋まる状態になるまで玉石の間にモルタルを流し込み、そのモルタルの上から型枠内にコンクリートを打ち込み、所定時間の養生を経た後に型枠から取り出すことを特徴とする護岸ブロックの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の護岸ブロックの製造方法において、玉石が略埋まる状態になるまで玉石の間にモルタルを流し込み、そのモルタルの上から型枠内にコンクリートを打ち込む工程を行う代わりに、型枠内に高流動コンクリートを打ち込む工程を行うようにしたことを特徴とする護岸ブロックの製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の護岸ブロックの製造方法において、砂の上に複数個の玉石を並べて設置するとともに魚道部を備えた魚巣空洞部を少なくとも1つ以上設置する際に、ネット材固定用の線材を取り付けた金網を線材の先端が砂の中に入る状態で玉石の上に設置するとともに、型枠から取り出した後で、網目のところで玉石を抑え込むようにしてネット材を線材の露出部分により固定することを特徴とする護岸ブロックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−125007(P2006−125007A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313280(P2004−313280)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(504167436)日本コンクリート技術株式会社 (7)
【出願人】(594005304)新和コンクリート工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(504167436)日本コンクリート技術株式会社 (7)
【出願人】(594005304)新和コンクリート工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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