説明

豆乳

【課題】従来の製造方法とは全く違った方法で、産業廃棄物となるおからを出さない豆乳を作り、大豆成分を除去することなく、豆乳に大豆成分を余すことなく含有させることが出来る製造方法を発明した。
【解決手段】生の乾燥大豆を水に長時間浸漬することなく、生の乾燥大豆をそのまま微粉末にして、分解酵素を利用して豆乳を製造することを考案した。この方法で重要なことは、分解酵素の能力を破壊しないように加熱温度を設定すること、一定時間加熱すること、空気を必要とするため攪拌をし続けることである。
あとは、豆乳の濃度は水加減だけで、簡単な装置で、おいしい豆乳を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おからを出さない豆乳に関するものであり、特に従来の豆乳の作り方とは全く違う製造方法で豆乳を作ることに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の豆乳の作り方は、大豆を用意し、大豆は前日にきれいに洗い、水に浸漬する。浸漬時間は、およそ夏で12時間、冬で24時間。大豆の中に空間がなくなるまでが目安となる。
浸漬の終わった大豆は、ザルに上げて水を切っておく。次に、加工用具の殺菌と暖めのため回転釜に湯を沸かす。湯が沸いたら圧搾機、豆摺機に湯をかけ、寄せ桶に湯をはる。
回転釜に湯を適量入れ、暖める。適量のぬるま湯を使い大豆を豆摺機ですりつぶし「呉」にする。呉を回転釜の中に静かに入れる。沸騰するまで強火で煮る。沸騰したらかき混ぜながら10分程度煮る。呉の温度を85℃〜95℃に維持するのが重要。次に、圧搾機の上に袋を置き、適温に煮沸した呉を入れて絞る。絞った液が豆乳で、絞り粕がおからになる。このように従来の豆乳の製造方法は、原料大豆−脱皮−浸漬−磨砕(呉)−加熱(85〜95℃)−分離(おからの除去)−調整−殺菌−均質化−充填の製造工程を経て、豆乳の製品化が行われている。
豆乳の規格は、日本農林規格(JAS)で大豆固形分8%以上、タンパク質3.5%以上のものと規格されている。
【発明の開示】

【発明を解決しようとする課題】
【0003】
従来の豆乳製造方法は、廃棄物としてのおからの処理及びそれに伴うコスト。煮沸したときに消泡剤を使用する。
生の乾燥大豆を前日に洗って、水に長時間(夏12時間、冬24時間)浸漬しなければならない。装置が大掛かりである。製造工程が多い。豆乳の栄養成分がおからと分離されるため、大豆の栄養成分を十分に含んでいない。これらの課題を全て解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来の豆乳製造方法の課題を解決するための手段として、前もって生の乾燥大豆を長時間水に浸漬することなく、乾燥大豆を生のまま適度の微粉末にする。
この適度に微粉末にされた適量の大豆と適切に配合された分解酵素を適量加え、釜の中に適量の水をたくわえ、微粉末の大豆と適切に配合された分解酵素を釜の中に入れる。「呉」を作ることもない。そのまま加熱すればよい。
加熱温度は50℃程度に設定して、2時間から3時間程度温度を保ちながら、加熱しつづける。加熱温度を60℃以上にすると、分解酵素が破壊され効果を失うので十分注意が必要である。
加熱している間、空気を取り入れることが大切で、大豆、分解酵素、水が十分混ざり合うように攪拌し続ける。2〜3時間程度が経過した後、豆乳が出来上がったら、一度85℃〜95℃に温度を上げて、分解酵素の効果を止めて、加熱を終了する。
この豆乳の製造方法は、おからを出さない。前もって長時間乾燥大豆を水に浸漬することがないため、時間が短縮できる。簡単な装置で製造工程を短く出来、人手もかからない。大豆の栄養成分を全て摂取できる。豆乳の濃度を水加減で簡単に調整できる。新鮮な豆乳を提供できる。
従来の豆乳製造方法とは全く違う画期的な豆乳製造方法である。
【発明の効果】
【0005】
従来の豆乳とは、全く違った豆乳が出来上がる。製造工程の違いはもとより、大豆丸ごとが成分とおからと分離された豆乳とでは、豆乳の栄養成分が全く違う。
今、日本は医療費の高騰に悩み、その解決策に苦しんでいる。この医療費を圧迫している原因は、生活習慣病の増加である。生活習慣病の増加の原因は、食生活と運動不足にある。食生活においては、食材に本来の力があれば、生活習慣病を克服できる。
日本人は、世界中で一番大豆を摂取している民族である。しかし、最近は加工され、食品添加物が含まれる食材が多く、天然素材の食材を摂取することが出来にくい。
豆乳の日本農林規格(JAS)は、大豆固形分8%以上、タンパク質3.5%以上のものと規格されている。調整豆乳は、大豆固形分6%以上、タンパク質3%以上、豆乳飲料は、大豆固形分4%以上、タンパク質1.8%以上となっている。
本発明の豆乳は生の大豆をそのまま利用し、丸ごと豆乳にしたもので、大豆が持つ栄養成分(イソフラボン・サポニン等)を十分摂取できる。本発明の豆乳は、大豆固形成分、タンパク質の含有量はかなり高いことは間違いない。
また、大豆の効能効果は十分知られているが、女性ホルモン(エストロゲン)に化学構造が類似しているイソフラボンは女性の更年期障害(不定愁訴)の改善に役立ち、その他の成分は抗コレステロール作用、血圧効果作用、抗腫瘍作用、甲状腺肥大、糖尿病の治療と予防、ビフィズス菌増殖作用、脂質代謝改善作用などすばらしい効能効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
生の乾燥大豆を丸ごと活かした豆乳は、自然状態に維持しかつその新鮮さを保持しつつ素材から商品化への加工工程において、酵素や熱、水、圧力、空気、酸化等の品質劣化要因の少ない商品形態に考慮しなければならない。また、一日の生産量、消費量、摂取量、取扱い易さ、コスト、関係法規の要因も考慮しなければならない。
製品化は、自体公知の酵素或は食品添加物、賦形剤、医薬担体と自体公知の方法で配合し、効能効果を有する豆乳にすることができる。用いる酵素或いは食品添加物は特に限定するものではなく、目的とする効能効果の具体的用途に応じて当業者が適宜選択できる。また、形態も特に限定するものではなく、具体的用途に応じていろいろな形状にすることができる。
【実施例】
【0007】
国産の大豆1kg重量を微粉末にして、適切な比率で配合された酵素を10g重量、大豆成分と同じ比率で配合した果糖・ブドウ糖・蔗糖を20g重量に水6リットル重量を加え、鉄の寸胴にそれぞれを入れて、電磁パネルで50℃の温度に設定し、2時間30分間程度加熱した。
加熱している間、空気を入れる必要があるため攪拌機を使用した。
出来上がった豆乳は、濃厚で、とろみとこくさらに甘味があり、すばらしい豆乳でした。
乾燥生大豆からすぐに適量の水を入れ、加熱して簡単に出来る豆乳は画期的である。
【産業上の利用可能性】
【0008】
豆乳の製造方法は、非常に簡単で、おからを出さないため廃棄物がなく、小規模で家庭でも製造可能である。
この利点を生かし、病院の食事に、学校給食に、運動選手の合宿所に、旅館の食事に、食堂のメニューに、社員食堂に取り入れることが可能になる。
当然、豆腐製造会社が本発明の豆乳製造方法を導入することも考えられる。さらに、濃度の高い豆乳を粉末化して、粉末豆乳も製品化できる。非常に利用範囲の広い豆乳製造方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おからを出さない豆乳の作り方

【公開番号】特開2007−54033(P2007−54033A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274635(P2005−274635)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505308179)有限会社健康の駅 (10)
【Fターム(参考)】