説明

貝殻カルシウムの崩壊性造粒物の製造方法。

【課題】従来、貝殻カルシウムは、飼料、肥料、土壌改良材などの粉末原料に、微粉砕した状態で混合されていた。しかし、飼料で混入されているカルシウム剤は粉末なので、例えば牛、豚などの舌等にべた付くために食べづらく又、餌の容器内に残りやすいために家畜へのカルシウムが不足がちである。肥料、土壌改良材などの使用では、貝殻カルシウムはミネラル分を多く含有しているが、硬いために吸収が悪い。また、貝殻焼成カルシウムは微粉であり、pH11以上の高アルカリ性の特長があるために使用しづらいという難点がある。
【解決手段】貝殻カルシウムに酢酸を添加後、さらに酸化カルシウムを加え混合して混合物を得る。該混合物に糖蜜を添加し、粒状形状に造粒して崩壊性を有する飼料、肥料、土壌改良材を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、崩壊性を特長とする貝殻カルシウムを主剤とした飼料、肥料、土壌改良材および/または融雪材として、粒状形状で、貝殻カルシウムのカルシウム溶出量をアップし、糖蜜は、土壌菌の餌となりまた、菌の活性効果が出るようにしたものである。
【技術背景】
【0002】
従来から、カルシウムを主剤とした飼料、肥料、土壌改良材および/または融雪材は天然鉱物系の炭酸カルシウム、酸化カルシウム、天然資源の貝殻系の貝殻カルシウム、貝殻焼成カルシウムが大量に商品化されているが大多数が粉末であり、使用し難いという問題があり粒状が望まれており、粒状固化体を製造する方法として、けい酸質肥料粉末に、微粉砕した貝殻カルシウムの貝殻を一種以上混合し、これに水溶性バインダーのリグニン化合物を添加・混練して、造粒せしめたことを特徴とする一粒混合肥料。貝殻焼成カルシウムとクエン酸粉末とを無水アルコールにて造粒して発泡剤として製剤化する形成顆粒方法が利用されている。この例として、特許文献1や、特許文献2に開示されているものがある。
【特許文献1】 特開平9−208350号公報
【特許文献2】 特願平9−104515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のような製造方法での、粒状固化体では、肥料粉末に、微粉砕した貝殻カルシウムの貝殻を一種以上混合や発泡作用でカルシウム溶出率向上の目的は達成されているが、現状は、飼料で混入のカルシウム剤で例えば牛、豚などは粉状なので舌にべた付くために食べづらく又、餌の容器内に残りやすいために家畜へのカルシウムが不足がちであり、土壌改良材などの用途での使用は、炭酸カルシウムは遅効性、酸化カルシウムは即効性の位地づけで粉末のため撒きづらい又、貝殻カルシウムはミネラル分が多くあるが、硬いために吸収が悪い、貝殻焼成カルシウムは微粉でありpH11以上の高アルカリ性の特長があるために使用しずらいと難点があるという不都合を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するための請求項の発明は、粒状なので撒きやすく、時間経過後、水分により崩壊するため、貝殻カルシウムは一部酢酸カルシウムであり溶出量が高く、その他のカルシウムは、細かいカルシウム剤で作用し、糖蜜は微生物の餌となり分解するので活性化になる。また、飼料としては、カルシウム補給量が増え、造粒のため食いやすく、糖蜜により嗜好性が上り、また、安価な製造方法の一般的な転動等による造粒方法で可能であり、乾燥に於いても高温を必要とせず、安価に大量生産が可能である。
【0005】
請求項1の発明は、天然資源廃棄物である貝殻カルシウムは、現在、土壌改良剤や飼料、肥料などに再利用されているが、形状が微粉または、5mm位で硬いため扱いにくいが、貝殻カルシウムに酢酸を添加にて、一部酢酸カルシウムになっており、カルシウムの溶出量が高く、および酸化カルシウム剤の混合物に糖蜜をバインダーとして粒状形状に加工し、乾燥する事による固形物粒状であり、散布後、水分での崩壊性を特長とする。
【0006】
また、請求項2の発明は、微粉木炭を追加し、黒色の飼料、肥料、土壌改良材および/または融雪材とした事を特長とする。
【0007】
また、請求項3の発明は、請求項2の混合物にオガ粉を追加した、比重の軽い粒状融雪材および/または土壌改良材とした事を特長とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、保管および散布時は固形物として存在し、本発明品が雪または土中水分を吸収することにより、除々に粒体の外側より崩壊し、若干の糖蜜の糖分と微粉木炭の黒色が融雪効果となり、水分率及び経過時間により、糖蜜は分解され、カルシウム剤は微粉の状態になり、土壌中には、カルシウムは、アルカリ性のため酸性土壌中和効果とカルシウムとなり、一部酢酸カルシウムはカルシウム溶出率の向上と酢酸の浸透率向上、糖蜜との結着力強化となる。貝殻カルシウムに酢酸を浸漬させることにより、貝殻カルシウムの炭酸カルシウムは、CaCO+CHCOOH→Ca(CHCOO)2+HO+CO↑となり、酢酸カルシウムになるのでカルシウム溶出率が上がる、酢酸を使用する事により貝殻カルシウム中の炭酸カルシウムは、酢酸カルシウムと変化し、カルシウム溶出量が上がり、糖蜜との密着力向上となるために造粒化の強度が上がり又、乾燥が早まる。また、糖蜜は−25℃でも凍結しないために融雪の効果も併せ持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【009】
貝殻カルシウムは、天然資源廃棄物のほたて貝殻を使用し、主成分は炭酸カルシウム、粒度75μm〜0.3mm、pH8、湿分0.05%の製品を使用/酢酸は氷酢酸を希釈し、3%濃度液に調整/酸化カルシウムは微粉品、pH12の製品を使用/木炭は微粉を使用/オガ粉は微粉を使用/糖蜜は、精糖工場より排出される糖蜜を使用し、ブリックス50、pH9、を各分量で製造し比較を行った。
【0010】
各分量調整は、▲1▼貝殻カルシウム100重量%に対して、酢酸3%濃度液を5重量%入れ攪拌後、酸化カルシウム5重量%混合し攪拌した混合物に糖蜜を紛体へ直接滴下造粒、▲2▼貝殻カルシウム100重量%に対して、酢酸3%濃度液を3重量%入れ攪拌後、酸化カルシウム5重量%、微粉木炭を10重量%混合し、攪拌した混合物に糖蜜を紛体へ直接滴下造粒、▲3▼貝殻カルシウム100重量%に対して、酢酸3%濃度液を3重量%入れ攪拌後、酸化カルシウム5重量%、微粉木炭を10重量%、オガ粉10重量%混合し、攪拌した混合物に糖蜜を紛体へ直接滴下造粒、▲1▼から▲3▼の各粉体は、ホソカワミクロン製ナウタミキサーでミキシングし、パン型造粒機 As ONE 製 PZ−1に糖蜜を滴下造粒し、粒径2mm〜5mmの物を乾燥機YAMATO製DV61にて60℃24時間乾燥後、比較を行った。
【0011】
図1は、貝殻カルシウムに酢酸にて酢酸カルシウムに化学変化後粉体のカルシウム溶出量を測定した図であり成分調整は蒸留水を使用し各1wt%での比較を行った。当発明はカルシウム溶出量が上がった事が確認出来、酢酸濃度は3wt%以上であれば良いのが確認できる。なお、試験に使用した機器は、蛍光X線分析SIMAZU XRF−1800。
【0012】
図2は、硬度等を示した図であり、▲1▼から▲3▼が一般的な転動等による造粒方法でも、破壊圧は1kg/cm以上で製造出来る事が確認できる。
【0013】
図3は、▲1▼から▲3▼の試験体を、水分率40%、地温20℃と雪温度−1℃の環境下で溶解または分解される時間の図であり、▲1▼から▲3▼が溶解または分解される時間が短いのが確認できる。なお、試験に使用した機器は、恒温恒湿機日立 EC−85MHP 土と雪を使用。
【0014】
図4は、積雪量42cmの自然環境の雪原で平均気温+2℃の環境で効果比較表は1mあたり平均粒径1mmの物を30g散布し各10mを試験区域としての雪面低下量を1週間後に計測し平均値を出した。微粉末の石炭灰と比較し、本発明は比重が軽いため雪面に潜り込まなく、日光の吸収性が良く、糖蜜の相乗効果で融雪の効果が大きい。
【0015】
図5は、嗜好性の良否を確認のため、鳥、豚の各飼料に5重量%を添加し、嗜好性を確認した。ブランクは貝殻カルシウムの5mm以下との比較で、餌箱の残留量を比較し、明らかに嗜好性が上がった事が証明できる。
【0016】
故に上述の事から、安価な造粒製造法の転動式でも破壊圧を1kg/cm以上で製造出来、水分により崩壊され貝殻カルシウムに酢酸を添加後、酸化カルシウム剤を加えた混合物に糖蜜を添加された後、粒状形状に造粒した崩壊性の飼料、肥料、土壌改良材として有効が確認できた。また、本発明は、貝殻カルシウムは、ほたて貝殻、ホッキ貝殻、カキ貝殻などの二枚貝が良く、巻貝等は不純物が多く適さない、含有率は30から90重量%まで可能であるが望ましくは75から90重量%。酢酸は、濃度3%以上で良く10%以上の高濃度では酢酸臭のため3〜5重量%位で良く、工業性酢酸または、食酢でも可能で、貝殻カルシウムに対して3〜15wt%まで可能であるが望ましくは2〜8wt%で糖蜜に事前に投入攪拌でも同様の効果がある。酸化カルシウムはドロマイトでも可能であり酸化型の物で貝殻カルシウムに対して3から20重量%まで可能であるが望ましくは5から10重量%。木炭は微粉であれば良く、貝殻カルシウムに対して3から20重量%まで可能であるが望ましくは1から3重量%。オガ粉は微粉であれば良く、貝殻カルシウムに対して3から20重量%まで可能であるが望ましくは1から3重量%。糖蜜はブリックス20以上85位まで使用可能であるが望ましくはブリックス50から60位、バインダーとしての使用量は、ブリックスが各精糖工場等により違いがあり、投入量はブリックスに反比例する事から、粉体に対して10wt%〜70wt%まで可能であるが、望ましくは20から30wt%。乾燥は乾燥温度0℃〜75℃まで可能であるが40℃〜60℃の乾燥が望ましい。
【0017】
貝殻カルシウムおよび酸化カルシウム等は安価な土壌改良材で、バインダーとして使用する、糖蜜は、若干の糖分があるため嗜好性が良く、微生物の活動を促進する効果があり、環境にやさしい素材である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明に係る、貝殻カルシウムに酢酸を添加後、酸化カルシウム剤を加えた混合物に糖蜜を添加された後、粒状形状に造粒した崩壊性の飼料、肥料、土壌改良材の主剤は、土壌改良材であり、副材は精糖工場より出る廃糖蜜を使用しているため安価で工業的に量産することが可能であるため、産業上の利用可能性を有する。また、使用用途としては、家畜等の糞尿の醗酵促進材としての用途もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カルシウム溶出量を示した図。
【図2】 硬度比較を示した図。
【図3】 試験体の崩壊される時間の図。
【図4】 試験体の散布後1週間後の融雪効果の図。
【図5】 試験体の良否で残留量を比較した図で数字が低い方が食いが良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝殻カルシウムに酢酸を添加後、酸化カルシウム剤を加えた混合物に糖蜜を添加された後、粒状形状に造粒した崩壊性の飼料、肥料、土壌改良材。
【請求項2】
請求項1の混合物に微粉木炭を追加し、黒色にした、飼料、肥料、土壌改良材および/または融雪材。
【請求項3】
請求項2の混合物にオガ粉を追加した比重の軽い粒状融雪材および/または土壌改良材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−215526(P2007−215526A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68346(P2006−68346)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(597107467)
【Fターム(参考)】