説明

負極および電池、並びにそれらの製造方法

【課題】負極集電体と負極活物質層との密着性を確保しつつ応力を緩和し、特性を向上させることができる負極およびそれを用いた電池、並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】負極集電体11にSiを構成元素として含む負極活物質層12が設けられている。負極活物質層12は気相法により負極集電体11に成長させることにより形成した第1粒子を有する第1負極活物質層121と、第1負極活物質層121に塗布することにより堆積させた平均粒径0.2μm〜20μmの第2粒子を有する第2負極活物質層122とを備える。第1負極活物質層121は更に構成元素としてOを含み、その平均酸素含有量は3原子数%〜40原子数%が好ましい。第1負極活物質層121の厚みは0.01μm〜15μmが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成元素としてケイ素(Si)を含む負極およびそれを用いた電池、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の高性能化および多機能化に伴い、それらの電源である二次電池の高容量化が要求されている。この要求に応える二次電池としてはリチウムイオン二次電池があるが、現在実用化されているものは負極に黒鉛を用いているので、電池容量は飽和状態にあり、大幅な高容量化は難しい。そこで、負極にケイ素などを用いることが検討されている。しかし、負極にケイ素粉末を用いると、充放電に伴いケイ素粉末が大きく膨張収縮して微粉化してしまい、集電性が低下したり、表面積が増大して電解液の分解反応が促進され、サイクル特性は極めて劣悪であった。そこで、最近では、気相法などによりケイ素を含む負極活物質層を形成することも報告されている(例えば、特許文献1,特許文献2,特許文献3参照)。気相法により負極活物質層を形成すれば、微細化を抑制することができると共に、負極集電体と負極活物質層とを一体化することができるので負極における電子伝導性が極めて良好となり、容量的にもサイクル寿命的にも高性能化が期待されている。
【特許文献1】特開平8−50922号公報
【特許文献2】特許第2948205号公報
【特許文献3】特開平11−135115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、気相法により負極活物質層を形成した場合、充放電に伴う膨張収縮により応力がかかり、負極が変形したり、活物質が破壊してしまうという問題があった。また、気相法は、粉末状の活物質を塗布する場合に比べて負極活物質層を形成するのに時間がかかり、生産性が悪いという問題もあった。更に、気相法の場合、成膜時間が長くなると、負極集電体に対する熱の影響が大きくなり、特性が低下したり、取り扱いが難しくなってしまうという問題もあった。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、負極集電体と負極活物質層との密着性を確保しつつ応力を緩和し、特性を向上させることができる負極およびそれを用いた電池、並びにそれらの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による負極は、負極集電体に負極活物質層が設けられたものであって、負極活物質層は、負極集電体に成長させることにより形成した複数の第1粒子を有する第1負極活物質層と、この第1負極活物質層に堆積させた複数の第2粒子を有する第2負極活物質層とを備え、第1粒子および第2粒子は、構成元素としてケイ素を含み、第2粒子の平均粒径は0.2μm以上20μm以下のものである。
【0006】
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、負極集電体と、この負極集電体に成長させることにより形成した複数の第1粒子を有する第1負極活物質層と、この第1負極活物質層に堆積させた複数の第2粒子を有する第2負極活物質層とを備え、第1粒子および第2粒子は、構成元素としてケイ素を含み、第2粒子の平均粒径は0.2μm以上20μm以下のものである。
【0007】
本発明による負極の製造方法は、負極集電体に、構成元素としてケイ素を含む複数の第1粒子を成長させることにより第1負極活物質層を成膜する工程と、第1負極活物質層に、構成元素としてケイ素を含む平均粒径が0.2μm以上20μm以下の複数の第2粒子を堆積させることにより第2負極活物質層を成膜する工程とを含むものである。
【0008】
本発明による電池の製造方法は、正極および負極と共に電解質を備えた電池を製造するものであって、負極集電体に、構成元素としてケイ素を含む複数の第1粒子を成長させることにより第1負極活物質層を成膜する工程と、第1負極活物質層に、構成元素としてケイ素を含む平均粒径が0.2μm以上20μm以下の複数の第2粒子を堆積させることにより第2負極活物質層を成膜する工程とを含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の負極および電池によれば、負極集電体に成長させることにより形成した第1粒子を有する第1負極活物質層を設けるようにしたので、負極集電体と負極活物質層との密着性を向上させることができる。また、第1負極活物質層に堆積させた平均粒径が0.2μm以上20μm以下の第2粒子を有する第2負極活物質層を設けるようにしたので、膨張収縮による応力を緩和することができると共に、製造時に負極集電体に与える熱の影響を小さくすることができる。よって、容量およびサイクル特性などの電池特性を向上させることができる。更に、製造に要する時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【0010】
特に、第1粒子が構成元素として更に酸素(O)を含み、第1負極活物質層における酸素の平均含有量を3原子数%以上40原子数%以下とするようにすれば、負極集電体と負極活物質層との密着性をより向上させることができると共に、膨張収縮による応力をより緩和することができる。
【0011】
また、第1負極活物質層の厚みを10nm以上15μm以下とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
【0012】
更に、本発明の負極の製造方法および電池の製造方法によれば、負極集電体に、第1粒子を成長させることにより第1負極活物質層を成膜する工程と、第1負極活物質層に、平均粒径が0.2μm以上20μm以下の第2粒子を堆積させることにより第2負極活物質層を成膜する工程とを含むようにしたので、本発明の負極および電池を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る負極10の構成を表すものである。負極10は、例えば、負極集電体11に、構成元素としてケイ素を含む負極活物質層12が設けられた構造を有している。ケイ素はリチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。ケイ素は、単体で含まれていてもよく、合金で含まれていてもよく、化合物で含まれていてもよい。なお、図1では負極集電体11の片面に負極活物質層12が設けられた場合を示したが、負極活物質層12は負極集電体11の両面に設けられていてもよい。
【0015】
負極集電体11は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない金属元素を含む金属材料により構成されていることが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、充放電に伴い膨張および収縮し、構造破壊が起こって、集電性が低下する他、負極活物質層12を支える能力が小さくなるからである。なお、本明細書において金属材料には、金属元素の単体だけでなく、2種以上の金属元素あるいは1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含む合金も含める。リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素としては、例えば、銅(Cu),ニッケル(Ni),チタン(Ti),鉄(Fe)あるいはクロム(Cr)が挙げられる。
【0016】
中でも、負極活物質層12と合金化する金属元素を含むことが好ましい。負極集電体11と負極活物質層12との密着性を向上させることができるからである。リチウムと金属間化合物を形成せず、負極活物質層12と合金化する金属元素、すなわちケイ素と合金化する金属元素としては、例えば銅,ニッケル,あるいは鉄が挙げられる。なお、負極集電体11は、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。その場合、負極活物質層12と接する層をケイ素と合金化する金属材料により構成し、他の層を他の金属材料により構成するようにしてもよい。
【0017】
負極集電体11の負極活物質層12が設けられた領域における表面粗さは、JIS B0601に記載の十点平均粗さRzで、1μm以上であることが好ましく、9μm以下であればより好ましく、1.3μm以上3.5μm以下の範囲内であれば更に好ましい。負極活物質層12との密着性を向上させることができるからである。負極集電体11の表面粗さは、例えば、ラッピング加工などで表面を荒らすことにより調節してもよく、また、めっきあるいは蒸着などにより粒子状の突起部を形成することにより調節するようにしてもよい。但し、表面に突起部を有するようにすれば、より高い効果を得ることができるので好ましい。突起部は、銅を構成元素として含む材料により構成されることが好ましいが、他の材料により構成されていてもよい。
【0018】
負極活物質層12は、負極集電体11に設けられた第1負極活物質層121と、負極集電体11に第1負極活物質層121を介して設けられた第2負極活物質層122とを有している。図2は負極活物質層12の粒子構造を表す走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope ;SEM)写真であり、図3は図2を説明するためのものである。
【0019】
第1負極活物質層121は、負極集電体11に成長させることにより形成した複数の第1粒子121Aを有している。第1粒子121Aは、構成元素としてケイ素を含んでおり、例えば気相法により形成されたものである。これによりこの負極10では、負極集電体11と負極活物質層12との密着性を向上させることができるようになっている。また、第1粒子121Aは、構成元素として更に酸素を含んでいることが好ましく、第1負極活物質層121における酸素の平均含有量は3原子数%以上40原子数%以下であることが好ましい。負極集電体11との密着性をより向上させることができると共に、第1負極活物質層121の膨張収縮を抑制して応力を緩和することができるからである。酸素は、ケイ素と結合していてもよく、結合していなくてもよい。
【0020】
第1負極活物質層121における平均酸素含有量は、例えば、集束イオンビーム(FIB;Forcused Ion Beam )により負極活物質層12の断面を切り出し、オージェ電子分光法(AES;Auger Electron Spectroscopy )を用いた断面のライン分析により、負極活物質層12の厚み方向の組成を任意の複数箇所について測定し、その結果を平均したものである。測定数は多い方が好ましい。例えば、無作為に抽出した5箇所以上とすることが好ましく、無作為に抽出した10箇所以上とすればより好ましい。
【0021】
また、第1負極活物質層121と負極集電体11との界面は、例えば、ケイ素の含有量と、負極集電体11を構成する金属元素の含有量とが反転したところとする。すなわち、例えば負極集電体11を構成する金属元素の含有量よりもケイ素の含有量が多くなったところからを第1負極活物質層121とする。第1負極活物質層121と第2負極活物質層122との界面も、例えば、ケイ素の含有量と、ケイ素以外の元素の含有量とが反転したところとする。すなわち、例えばケイ素の含有量の方が他の元素の含有量よりも多いところまでを負極活物質層12とする。第1負極活物質層121と第2負極活物質層122との界面には被膜が形成されていることが多く、また、空隙が存在したり、あるいは結着材などの他の成分が存在していることもあるからである。更に、平均酸素含有量を算出する際には、第1負極活物質層121に割れなどが存在している場合には、その箇所は含めない。なお、上述した第1負極活物質層121と負極集電体11または第2負極活物質層122との界面の判断は、一例であり、SEMなどによる断面観察を併用することにより判断してもよい。
【0022】
第1負極活物質層121は、また、負極集電体11と界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体11の構成元素が第1負極活物質層121に、または第1負極活物質層121の構成元素が負極集電体11に、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。密着性をより向上させることができるからである。なお、本明細書では、上述した元素の拡散も合金化の一形態に含める。
【0023】
第1負極活物質層121の厚みは、10nm以上15μm以下であることをが好ましい。この範囲内においてより高い効果を得ることができるからである。
【0024】
第2負極活物質層122は、第1負極活物質層121に堆積させた複数の第2粒子122Aを有している。第2粒子122Aは、構成元素としてケイ素を含んでおり、その平均粒径は0.2μm以上20μm以下となっている。第2負極活物質層122は、例えば、第2粒子122Aを含む塗布材を塗布することにより第2粒子122Aを堆積させたものであり、必要に応じて結着材または導電材などの他の材料を含んでいてもよい。これにより第2負極活物質層122は、第2粒子122Aの粒子間に第1負極活物質層121よりも多くの間隙122Bを有し、膨張収縮による応力を緩和することができるようになっている。
【0025】
負極10は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0026】
まず、例えば金属箔よりなる負極集電体11を用意し、負極集電体11に、気相法により第1粒子121Aを成長させることにより第1負極活物質層121を成膜する。気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法が挙げられ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法などが挙げられる。その際、例えば雰囲気中に酸素を導入することにより第1負極活物質層121に酸素を添加する。
【0027】
次いで、第1負極活物質層121に、第2粒子122Aを含む塗布材を塗布することにより第2負極活物質層122を成膜する。塗布材には、第2粒子122Aに加えて、必要に応じて結着材、導電材または分散媒などを添加してもよい。例えば、第2粒子122Aと結着材と分散媒とを混合した塗布材を用いる場合には、第1負極活物質層121に塗布材と塗布したのち、分散媒を揮発させることにより除去し、必要に応じて加圧成形することにより第2負極活物質層122を成膜する。よって、気相法により成膜する場合に比べて、成膜時間が短縮される。また、負極集電体11に与える熱の影響が小さくなる。
【0028】
そののち、必要に応じて真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行うことが好ましい。第1負極活物質層121の成膜時に第1負極活物質層121と負極集電体11との合金化が同時に起こる場合もあるが、熱処理を行うことにより、合金化をより促進させることができるからである。また、熱処理により第2負極活物質層122における第2粒子122Aの密着性を向上させることができ、特性を向上させることができるからである。これにより図1に示した負極10が得られる。
【0029】
この負極10は、例えば、次のような二次電池に用いられる。
【0030】
図4は、その二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるコイン型といわれるものであり、外装カップ21に収容された負極10と、外装缶22の内に収容された正極23とが、セパレータ24を介して積層されたものである。
【0031】
外装カップ21および外装缶22の周縁部は絶縁性のガスケット25を介してかしめることにより密閉されている。外装カップ21および外装缶22は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウムなどの金属によりそれぞれ構成されている。
【0032】
正極23は、例えば、正極集電体23Aと、正極集電体23Aに設けられた正極活物質層23Bとを有しており、正極活物質層23Bの側が負極活物質層12と対向するように配置されている。正極集電体23Aは、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
【0033】
正極活物質層23Bは、例えば、正極活物質としてリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどの結着材を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、一般式Lix MIO2 で表されるリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることができるからである。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルトおよびニッケルのうちの少なくとも一方が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 あるいはLiNiO2 などが挙げられる。
【0034】
なお、正極23は、例えば、正極活物質と導電材と結着材とを混合して合剤を調製し、この合剤を分散媒に分散させて合剤スラリーを作製し、この合剤スラリーを金属箔よりなる正極集電体23Aに塗布し乾燥させたのち、圧縮成型し正極活物質層23Bを形成することにより作製することができる。
【0035】
セパレータ24は、負極10と正極23とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ24は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンにより構成されている。
【0036】
セパレータ24には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、1,3−ジオキソール−2−オン、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいはハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体などの非水溶媒が挙げられる。中でも、1,3−ジオキソール−2−オンおよび4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンの少なくとも一方を用いるようにすれば、電解液の分解反応を抑制することができるので好ましい。また、ハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体を用いるようにしても、電解液の分解反応を抑制することができるので好ましい。
【0037】
ハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体は、環式化合物でも鎖式化合物でもよいが、環式化合物の方がより高い効果を得ることができるので好ましい。このような環式化合物としては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ブロモ−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられ、中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましい。より高い効果を得ることができるからである。
【0038】
溶媒はいずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、ハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体であれば、1種を単独で用いてもよいが、ハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体の2種以上を混合して用いてもよく、また、他の1種または2種以上の溶媒と混合して用いてもよい。また、1,3−ジオキソール−2−オンまたは4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンであれば、他の1種または2種以上の溶媒と混合して用いることが好ましい。
【0039】
電解質塩としては、例えば、LiPF6 ,LiCF3 SO3 あるいはLiClO4 などのリチウム塩が挙げられる。電解質塩は、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
この二次電池は、例えば、負極10、電解液が含浸されたセパレータ24および正極23を積層して、外装カップ21と外装缶22との中に入れ、それらをかしめることにより製造することができる。
【0041】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極23からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極10に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極10からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極23に吸蔵される。本実施の形態では、第1負極活物質層121により負極集電体11と負極活物質層12との密着性が向上されており、また、第2負極活物質層122により膨張収縮による応力が緩和される。よって、充放電に伴い負極活物質層12が大きく膨張収縮しても、高いサイクル特性が得られる。
【0042】
本実施の形態に係る負極10は、次のような二次電池に用いてもよい。
【0043】
図5は、その二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、リード31,32が取り付けられた電極巻回体30をフィルム状の外装部材41内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。リード31,32は、それぞれ、外装部材41の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。リード31,32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0044】
外装部材41は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材41は、例えば、ポリエチレンフィルム側と電極巻回体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材41とリード31,32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム42が挿入されている。密着フィルム42は、リード31,32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0045】
なお、外装部材41は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0046】
図6は、図5に示した電極巻回体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。電極巻回体30は、負極10と正極33とをセパレータ34および電解質層35を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ36により保護されている。
【0047】
負極10は、負極集電体11の両面に負極活物質層12が設けられた構造を有している。正極33も、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有しており、正極活物質層33Bと負極活物質層12とが対向するように配置されている。正極集電体33A,正極活物質層33Bおよびセパレータ34の構成は、それぞれ上述した正極集電体23A,正極活物質層23Bおよびセパレータ24と同様である。
【0048】
電解質層35は、高分子化合物よりなる保持体に電解液を保持させたいわゆるゲル状の電解質により構成されている。ゲル状の電解質は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液の構成は、図4に示したコイン型の二次電池と同様である。高分子材料としては、例えばポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0049】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0050】
まず、負極10および正極33のそれぞれに、保持体に電解液を保持させた電解質層35を形成し、リード31,32を取り付ける。次いで、電解質層35が形成された負極10と正極33とをセパレータ34を介して積層し、巻回して、最外周部に保護テープ36を接着して電極巻回体30を形成する。続いて、例えば、外装部材41の間に電極巻回体30を挟み込み、外装部材41の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、リード31,32と外装部材41との間には密着フィルム42を挿入する。これにより、図5および図6に示した二次電池が完成する。
【0051】
また、次のようにして製造してもよい。まず、負極10および正極33のそれぞれにリード31,32を取り付けたのち、負極10と正極33とをセパレータ34を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ36を接着して、電極巻回体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材41に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状としたのち、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を、外装部材41の内部に注入する。続いて、外装部材41の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封し、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層35を形成する。これにより、図5および図6に示した二次電池が完成する。
【0052】
この二次電池の作用は、図4に示したコイン型の二次電池と同様である。
【0053】
このように本実施の形態によれば、負極集電体11に成長させることにより形成した第1粒子121Aを有する第1負極活物質層121を設けるようにしたので、負極集電体11と負極活物質層12との密着性を向上させることができる。また、第1負極活物質層121に堆積させた第2粒子122Aを有する第2負極活物質層122を設けるようにしたので、膨張収縮による応力を緩和することができると共に、製造時に負極集電体11に与える熱の影響を小さくすることができる。よって、容量およびサイクル特性などの電池特性を向上させることができる。更に、製造に要する時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【0054】
特に、第1粒子121Aが構成元素として更に酸素を含み、第1負極活物質層121における酸素の平均含有量を3原子数%以上40原子数%以下とするようにすれば、負極集電体11と負極活物質層12との密着性をより向上させることができると共に、膨張収縮による応力をより緩和することができる。
【0055】
また、第1負極活物質層121の厚みを10nm以上15μm以下とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
【0056】
更に、負極集電体11に、第1粒子121Aを成長させることにより第1負極活物質層121を成膜する工程と、第1負極活物質層121に、第2粒子122Aを堆積させることにより第2負極活物質層122を成膜する工程とを含むようにしたので、本実施の形態に係る負極10および電池を容易に製造することができる。
【実施例】
【0057】
更に、本発明の具体的な実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0058】
(実施例1−1〜1−4)
図5,6に示したラミネートフィルム型の二次電池を作製した。まず、表面粗さRzが2μm、厚みが18μmの銅箔よりなる負極集電体11の上に、電子ビーム蒸着法によりケイ素を含む第1粒子121Aを成長させ、第1負極活物質層121を成膜した。その際、雰囲気中に酸素ガスを導入し、第1負極活物質層121に酸素を添加した。次いで、第2粒子122Aであるケイ素粉末90質量部と、結着材であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合し、分散媒を加えてスラリー状の塗布材を作製した。ケイ素粉末の平均粒径は、実施例1−1が0.2μm、実施例1−2が2μm、実施例1−3が15μm、実施例1−4が20μmと変化させた。続いて、この塗布材を第1負極活物質層121の上に塗布し、乾燥させて分散媒を除去したのち、加圧成形して第2負極活物質層122を成膜した。これにより負極10を作製した。
【0059】
また、正極活物質である平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2 )粉末92質量部と、導電材であるカーボンブラック3質量部と、結着材であるポリフッ化ビニリデン5質量部とを混合し、分散媒を加えてスラリーとしたのち、これをアルミニウム箔よりなる正極集電体33Aに塗布して乾燥させ、加圧成形して正極活物質層33Bを形成し、正極33を作製した。
【0060】
次いで、炭酸エチレン37.5質量%と、炭酸プロピレン37.5質量%と、1,3−ジオキソール−2−オン10質量%と、LiPF6 15質量%とを混合して電解液を調整し、この電解液と重量平均分子量60万のブロック共重合体であるポリフッ化ビニリデンとを混合して、負極10および正極33の両面にそれぞれ塗布し電解質層35を形成した。続いて、リード31,32を取り付け、負極10と正極33とをセパレータ34を介して積層して巻回し、アルミラミネートフィルムよりなる外装部材41に封入した。これにより実施例1−1〜1−4の二次電池を得た。
【0061】
実施例1−1〜1−4に対する比較例1−1として、第1負極活物質層を成膜せずに、負極集電体11に第2負極活物質層を直接成膜したことを除き、他は実施例1−1〜1−4と同様にして二次電池を作製した。また、比較例1−2,1−3として、第2負極活物質層を成膜する際に用いた第2粒子の平均粒径を0.1μmまたは25μmとしたことを除き、他は実施例1−1〜1−4と同様にして二次電池を作製した。
【0062】
作製した実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−3の二次電池について、25℃の条件下で充放電試験を行い、2サイクル目に対する101サイクル目の容量維持率を求めた。その際、充電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が4.2Vに達するまで行ったのち、4.2Vの定電圧で電流密度が0.05mA/cm2 に達するまで行い、放電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。なお、充電を行う際には、負極10の容量の利用率が80%となるようにし、負極10に金属リチウムが析出しないようにした。容量維持率は、2サイクル目の放電容量に対する101サイクル目の放電容量の比率、すなわち(101サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100として算出した。得られた結果を表1に示す。
【0063】
また、作製した実施例1−1〜1−4および比較例1−2,1−3の二次電池について、1サイクル充放電を行った後に解体し、負極10を取り出して炭酸ジメチルで洗浄し、乾燥させて、集束イオンビームにより負極10の断面を切り出した。そののち、切り出した断面について、オージェ電子分光法のライン分析により、第1負極活物質層121における平均酸素含有量を測定した。平均酸素含有量は無作為に抽出した5箇所について測定し、その平均値を算出した。また、SEMにより第1負極活物質層121および第2負極活物質層122の厚みを測定した。これらの結果についても表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
表1に示したように、第1負極活物質層121を形成し、第2粒子122Aの平均粒径を0.2μm以上20μm以下とした実施例1−1〜1−4によれば、第1負極活物質層を形成しなかった比較例1−1に比べて容量維持率を大幅に向上させることができた。これに対して、第2粒子の平均粒径を0.2μmよりも小さくした比較例1−2および20μmよりも大きくした比較例1−3では、比較例1−1とほとんど容量維持率は変わらなかった。
【0066】
すなわち、負極集電体11に第1粒子121Aを成長させることにより第1負極活物質層121を形成すると共に、第1負極活物質層121に平均粒径0.2μm以上20μm以下の第2粒子122Aを堆積させることにより第2負極活物質層122を形成するようにすれば、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
【0067】
(実施例2−1〜2−9)
第1負極活物質層121を形成する際に導入する酸素ガスの量を変化させることにより第1負極活物質層121における平均酸素含有量を変化させたことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。作製した実施例2−1〜2−9の二次電池についても、実施例1−2と同様にして充放電を行い、容量維持率を求めた。また、実施例1−2と同様にして、第1負極活物質層121の平均酸素含有量、並びに第1負極活物質層121および第2負極活物質層の厚みを測定した。それらの結果を実施例1−2および比較例1−1〜1−3の結果と合わせて表2に示す。
【0068】
【表2】

【0069】
表2に示したように、第1負極活物質層121の平均酸素含有量を増加させると容量維持率は向上し、極大値を示したのち低下する傾向がみられた。すなわち、第1負極活物質層121の平均酸素含有量を3原子数%以上40原子数%以下とするようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
【0070】
(実施例3−1〜3−7)
第1負極活物質層121および第2負極活物質層122の厚みを変化させたことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。作製した実施例3−1〜3−7の二次電池についても、実施例1−2と同様にして充放電を行い、容量維持率を求めた。また、実施例1−2と同様にして、第1負極活物質層121の平均酸素含有量、並びに第1負極活物質層121および第2負極活物質層122の厚みを測定した。それらの結果を実施例1−2および比較例1−1の結果と合わせて表3に示す。
【0071】
【表3】

【0072】
表3に示したように、第1負極活物質層121の厚みを増加させると容量維持率は向上し、極大値を示したのち低下する傾向がみられた。すなわち、第1負極活物質層121の厚みを0.01μm以上15μm以下とするようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
【0073】
(実施例4−1)
第1負極活物質層121および第2負極活物質層122を成膜したのち、300℃で10時間の熱処理を行ったことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。作製した実施例4−1の二次電池についても、実施例1−2と同様にして充放電を行い、容量維持率を求めた。また、実施例1−2と同様にして、第1負極活物質層121の平均酸素含有量、並びに第1負極活物質層121および第2負極活物質層122の厚みを測定した。それらの結果を実施例1−2および実施例2−1の結果と合わせて表4に示す。
【0074】
【表4】

【0075】
表4に示したように、実施例4−1によれば実施例1−2,2−1よりもサイクル特性を向上させることができた。すなわち、熱処理を行うようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
【0076】
(実施例5−1,5−2)
実施例5−1,5−2では、1,3−ジオキソール−2−オン10質量%に代えて、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン10質量%を混合した電解液を用い、更に実施例5−2では、第1負極活物質層121および第2負極活物質層122を成膜したのちに300℃で10時間の熱処理を行ったことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。作製した実施例5−1,5−2の二次電池についても、実施例1−2と同様にして充放電を行い、容量維持率を求めた。また、実施例1−2と同様にして、第1負極活物質層121の平均酸素含有量、並びに第1負極活物質層121および第2負極活物質層122の厚みを測定した。それらの結果を実施例1−2,2−1,4−1の結果と合わせて表5に示す。
【0077】
【表5】

【0078】
表5に示したように、実施例5−1,5−2によれば実施例1−2,2−1または実施例4−1よりもサイクル特性を向上させることができた。すなわち、電解液に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いるようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
【0079】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液、またはいわゆるゲル状の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、イオン伝導性を有する固体電解質、固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
【0080】
なお、固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。高分子固体電解質の高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはリン酸リチウムなどを含むもの用いることができる。
【0081】
また、上記実施の形態および実施例では、コイン型および巻回ラミネート型の二次電池について説明したが、本発明は、円筒型,角型,ボタン型,薄型,大型あるいは積層ラミネート型などの他の形状を有する二次電池についても同様に適用することができる。加えて、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施の形態に係る負極の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した負極活物質層の粒子構造を表すSEM写真である。
【図3】図2に示したSEM写真を説明するための図である。
【図4】図1に示した負極を用いた二次電池の構成を表す断面図である。
【図5】図1に示した負極を用いた他の二次電池の構成を表す分解斜視図である。
【図6】図5に示した二次電池のI−I線に沿った構造を表す断面図である。
【符号の説明】
【0083】
10…負極、11…負極集電体、12…負極活物質層、21…外装カップ、22…外装缶、23,33…正極、23A,33A…正極集電体、23B,33B…正極活物質層、24,34…セパレータ、25…ガスケット、31,32…リード、30…電極巻回体、35…電解質層、36…保護テープ、121…第1負極活物質層、121A…第1粒子、122…第2負極活物質層、122A…第2粒子、122B…間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体に負極活物質層が設けられた負極であって、
前記負極活物質層は、前記負極集電体に成長させることにより形成した複数の第1粒子を有する第1負極活物質層と、この第1負極活物質層に堆積させた複数の第2粒子を有する第2負極活物質層とを備え、
前記第1粒子および第2粒子は、構成元素としてケイ素(Si)を含み、
前記第2粒子の平均粒径は0.2μm以上20μm以下である
ことを特徴とする負極。
【請求項2】
前記第1粒子は、構成元素として更に酸素(O)を含み、第1負極活物質層における酸素の平均含有量は3原子数%以上40原子数%以下であることを特徴とする請求項1記載の負極。
【請求項3】
前記第1負極活物質層の厚みは、10nm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1記載の負極。
【請求項4】
前記第1負極活物質層は、気相法により形成されたことを特徴とする請求項1記載の負極。
【請求項5】
前記第1負極活物質層は、前記負極集電体と界面の少なくとも一部において合金化していることを特徴とする請求項1記載の負極。
【請求項6】
正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に成長させることにより形成した複数の第1粒子を有する第1負極活物質層と、この第1負極活物質層に堆積させた複数の第2粒子を有する第2負極活物質層とを備え、
前記第1粒子および第2粒子は、構成元素としてケイ素(Si)を含み、
前記第2粒子の平均粒径は0.2μm以上20μm以下である
ことを特徴とする電池。
【請求項7】
前記第1粒子は、構成元素として更に酸素(O)を含み、第1負極活物質層における酸素の平均含有量は3原子数%以上40原子数%以下であることを特徴とする請求項6記載の電池。
【請求項8】
前記第1負極活物質層の厚みは、10nm以上15μm以下であることを特徴とする請求項6記載の電池。
【請求項9】
前記第1負極活物質層は、気相法により形成されたことを特徴とする請求項6記載の電池。
【請求項10】
前記第1負極活物質層は、前記負極集電体と界面の少なくとも一部において合金化していることを特徴とする請求項6記載の電池。
【請求項11】
前記電解質は、ハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体を含むことを特徴とする請求項6記載の電池。
【請求項12】
負極集電体に、構成元素としてケイ素(Si)を含む複数の第1粒子を成長させることにより第1負極活物質層を成膜する工程と、
第1負極活物質層に、構成元素としてケイ素を含む平均粒径が0.2μm以上20μm以下の複数の第2粒子を堆積させることにより第2負極活物質層を成膜する工程と
を含むことを特徴とする負極の製造方法。
【請求項13】
前記第1負極活物質層は、気相法により成膜することを特徴とする請求項12記載の負極の製造方法。
【請求項14】
前記第2負極活物質層は、前記第2粒子を含む塗布材を塗布することにより成膜することを特徴とする請求項12記載の負極の製造方法。
【請求項15】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層を成膜したのち、熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項12記載の負極の製造方法。
【請求項16】
正極および負極と共に電解質を備えた電池の製造方法であって、
負極集電体に、構成元素としてケイ素(Si)を含む複数の第1粒子を成長させることにより第1負極活物質層を成膜する工程と、
第1負極活物質層に、構成元素としてケイ素を含む平均粒径が0.2μm以上20μm以下の複数の第2粒子を堆積させることにより第2負極活物質層を成膜する工程と
を含むことを特徴とする電池の製造方法。
【請求項17】
前記第1負極活物質層は、気相法により成膜することを特徴とする請求項16記載の電池の製造方法。
【請求項18】
前記第2負極活物質層は、前記第2粒子を含む塗布材を塗布することにより成膜することを特徴とする請求項16記載の電池の製造方法。
【請求項19】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層を成膜したのち、熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項16記載の電池の製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−122915(P2007−122915A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309997(P2005−309997)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】