説明

負荷制御装置

【課題】スイッチ素子の点数を削減しつつ、開閉タイミングを正確に制御できる負荷制御装置を提供する。
【解決手段】制御部13は、電圧検出部18からバッファコンデンサ29の充電完了信号を受けた後、第1所定時間だけ主開閉部11を導通させるよう、第1パルスを出力し、ゼロクロス検出部19が負荷電流のゼロクロス点を検出した後、負荷電流の半周期未満の第2所定時間で主開閉部11の開状態に制限をかけるように第2パルスを出力する。主開閉制御部25は、第1パルス及び第2パルスの論理積をとり、主開閉部11に出力する。これにより、主開閉部11は、第1パルスが立ち上がっている第1所定時間と第2パルスが立ち上がっている第2所定時間の重複している時間だけ閉じ、導通される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源と照明装置などの負荷の間に直列に接続される2線式の負荷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トライアックやサイリスタなどの無接点スイッチ素子を用いた照明装置用の負荷制御装置が実用化されている。これらの負荷制御装置は、省配線の見地から、2線式結線が一般的であり、交流電源と負荷との間に直列に接続される。このように交流電源と負荷との間に直列に接続される負荷制御装置においては、如何にして自己の回路電源を確保するかが問題となる。
【0003】
図6に示す第1従来例の負荷制御装置50は、交流電源2と負荷3との間に直列に接続され、主開閉部51と、整流部52と、制御部53と、制御部53に安定した電源を供給するための第1電源部54と、負荷3への電力停止状態のときに第1電源部54へ電力を供給する第2電源部55と、負荷3への電力供給が行われているときに第1電源部54へ電力を供給する第3電源部56と、負荷電流のうち微小電流の通電を行う補助開閉部57などで構成されている。主開閉部51のスイッチ素子51aは、トライアックで構成されている。
【0004】
負荷3へ電力供給が行われていない負荷制御装置50のオフ状態では、交流電源2から負荷制御装置50に印加される電圧は、整流部52を介して第2電源部55に供給される。第2電源部55は、抵抗とツェナーダイオードで構成された定電圧回路である。このときに負荷3に流れる電流は、負荷3が誤動作しない程度の微小電流であり、制御部53の消費電流は小さく、第2電源部55のインピーダンスは高く維持されるように設定されている。
【0005】
一方、負荷3へ電力供給が行われている負荷制御装置50のオン状態では、制御部53からの制御信号により第3電源部56がオンし、負荷制御装置50のインピーダンスが低下して負荷3に流れる電流量が増加すると共に、第3電源部56に流れる電流は第1電源部54にも流れ、バッファコンデンサ59の充電を開始する。バッファコンデンサ59の充電電圧が所定の閾値よりも高くなると、第3電源部56を構成するツェナーダイオード56aがブレークダウンして電流が流れ始め、補助開閉部57のゲートに電流が流れ込み、補助開閉部57が導通する(閉状態)。その結果、整流部52から第3電源部56に流れていた電流は補助開閉部57へ転流し、さらに主開閉部51のスイッチ素子51aのゲートに流れ込み、主開閉部51が導通する(閉状態)。そのため、負荷61に対してほぼ全ての電力が供給される。一旦、主開閉部51が導通する(閉状態)と電流を流し続けるが、交流電流がゼロクロス点に達したときにスイッチ素子51aは自己消弧し、主開閉部51が非導通(開状態)になる。主開閉部51が非導通(開状態)になると、再び整流部52から第3電源部56を経て第1電源部54に電流が流れ、負荷制御装置50の自己回路電源を確保する動作を行う。すなわち、交流の1/2周期ごとに、負荷制御装置50の自己回路電源確保、補助開閉部57の導通及び主開閉部51の導通動作が繰り返される。
【0006】
図7に示す第2従来例の負荷制御装置60は、交流電源2と負荷3との間に直列に接続され、主開閉部61と、整流部62と、制御部63と、制御部63に安定した電源を供給するための第1電源部64と、負荷3への電力停止状態のときに第1電源部64へ電力を供給する第2電源部65と、負荷3への電力供給が行われているときに第1電源部64へ電力を供給する第3電源部66と、負荷電流のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部67などで構成されている。主開閉部61のスイッチ素子61aとしてMOSFETを用いており、白熱灯を制御対象負荷としている。
【0007】
負荷3に電力を供給する場合、外部入力される調光レベルに応じた期間だけ主開閉部61のスイッチ素子61aを導通させるが、ゼロクロス検出部67が電圧のゼロクロス点を検出するタイミングでスイッチ素子61aを導通させ(閉状態)、上記期間経過後にスイッチ素子61aを非導通(開状態)にさせる。主開閉部61が非導通(開状態)の間、上記第1従来例と同様に負荷制御装置60の自己回路電源が確保される。主開閉部61が非導通(開状態)にされると、再びゼロクロス検出部67がゼロクロス点を検出し、スイッチ素子61aを導通(閉状態)にさせる動作を交流の1/2周期ごとに繰り返す。
【0008】
第1従来例の負荷制御装置50のように主開閉部51のスイッチ素子がトライアックやサイリスタの場合、負荷3に電力を供給する際に発生するノイズを低減するため、及び負荷3への電力供給を停止する際に電源2から伝播されるノイズによる誤動作を防止するために、フィルタを設ける必要があるが、フィルタを構成するコイル58の大きさやコイルによる発熱が問題となり、負荷制御装置の小型化が困難である。
【0009】
フィルタを用いずに負荷制御装置によるノイズを低減するために、例えば特許文献1に記載された負荷制御装置(第3従来例)では、主開閉部のスイッチ素子の他に、このスイッチ素子(第1スイッチ部)よりもオン抵抗の大きい第2スイッチ部を設け、第2スイッチ部をオンさせた後第1スイッチ部をオンさせるようにしている。しかしながら、このような第3従来例では、スイッチ素子の数が多くなり、回路構成が複雑になると共に、スイッチオンのタイミングの制御が複雑になる。
【0010】
また、第1従来例の負荷制御装置60のように主開閉部61のスイッチ素子61aがトランジスタの場合、負荷が白熱灯のような負荷電流と負荷電圧が同位相(力率1)になる負荷に限定される。
【0011】
さらに、主開閉部のスイッチ素子として用いられるトライアックやトランジスタはSiで構成され、素子の縦方向に電流が流れる縦型が一般的である。トライアックの場合、通電経路にPNジャンクションが存在するため、通電時にこの障壁を乗り越えるために損失が発生する。また、トランジスタの場合、2つの素子を逆方向に接続する必要があること、及び耐電圧維持層となる低キャリア濃度層の抵抗が高いため、通電時に損失が発生する。これらの損失によりスイッチ素子自体の発熱が大きく、大型のヒートシンクを必要とするため、負荷制御装置の大容量化や小型化の妨げとなっていた。一般的に、このような負荷制御装置は、壁面に設けられた金属製のボックスなどに収納されて使用されるが、従来の負荷制御装置では小型化には限界があるため、現在一般的に使用されているボックスの大きさでは、負荷制御装置と他のセンサやスイッチなどとの併用ができない。従って、一般的な大きさのボックスにおいて、負荷制御装置と他のセンサやスイッチなどの併設を可能にするために、負荷制御装置のさらなる小型化が求められている。
【特許文献1】特開2006−92859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、スイッチ素子の点数を削減しつつ、開閉タイミングを正確に制御できる負荷制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、トランジスタ構造のスイッチ素子を有し、負荷に対して電源の供給を制御する主開閉部と、サイリスタ構造のスイッチ素子を有し、前記主開閉部が非導通のときに、負荷に対して電源の供給を制御する補助開閉部と、前記主開閉部及び前記補助開閉部の開閉を制御する制御部と、前記主開閉部の両端から整流部を介して電力供給され、前記制御部に安定した電圧を供給する第1電源部と、前記主開閉部の両端から整流部を介して電力供給され、負荷への電力供給を停止しているときに、前記第1電源部への電源を供給する第2電源部と、前記主開閉部又は前記補助開閉部が閉状態で、負荷への電力供給を行っているときに、前記第1電源部への電源を供給する第3電源部を備えた負荷制御装置において、前記第3電源部に入力される電圧を検出する電圧検出部と、負荷電流のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部をさらに備え、前記制御部は、負荷へ電力を供給しているときに、前記電圧検出部が前記第3電源部に入力される電圧が所定の閾値に達したときから計数される第1所定時間と、前記ゼロクロス検出部が負荷電流のゼロクロス点を検出してから計数される負荷電流の半周期未満の第2所定時間とが重複している時間だけ、前記主開閉部を導通させることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記制御部は、前記主開閉部が非導通のときに前記補助開閉部を第3所定時間導通させることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の負荷制御装置において、前記補助開閉部に流れる電流を検出する電流検出部をさらに備え、前記制御部は、所定の閾値以上の電流が前記補助開閉部に流れると、一旦前記主開閉部を導通状態とし、その後、前記主開閉部が非導通となる際に、前記補助開閉部を導通させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、電圧検出部が第3電源部に入力される電圧が所定の閾値に達したことを検出すると、制御部は、主開閉部を第1所定時間導通させる(閉状態にさせる)ので、商用電源の半周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部から負荷に電力を供給することになる。また、この第1所定時間内であっても第2所定時間が経過すると、制御部は、主開閉部を非導通とさせる(開状態にさせる)ので、例えば低負荷時において第1所定時間が開始されるタイミングが遅延しても、負荷電流が零となる前に主開閉部が確実に非導通とされる。これにより、主開閉部が負荷電流のゼロクロスを越えて導通されることがなくなる。
【0017】
請求項2の発明によれば、第1所定時間経過後、主開閉部が非導通になるとき、補助開閉部を第3所定時間だけ導通させるので、商用電源の半周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部から負荷に電力を供給した後、通電電流が少なくなってから、補助開閉部から負荷に電力を供給することになる。これらの動作は負荷電流に対して行われるため、主開閉部がトランジスタ構造を有するスイッチ素子で構成されていても、負荷は力率1のものに限定されず、蛍光灯及び白熱灯のいずれにも適した2線式の負荷制御装置を実現することができる。また、負荷制御装置の動作時に発生するノイズのレベルが低く抑えられるため、小型で、かつ適合負荷範囲の広い負荷制御装置を実現することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、電流検出部が、補助開閉部に許容値を超える電流が流れたことを検出すると、一旦主開閉部を導通させ(閉状態にさせ)るので、補助開閉部のスイッチ素子の破損を防止すると共に、小型のスイッチ素子で補助開閉部を構成することができ、負荷制御装置の小型化が可能であり、商用電源の種類に対する対応性や過負荷に対する対応性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る負荷制御装置について説明する。図1は、第1実施形態に係る負荷制御装置1Aの構成を示す回路図であり、図2乃至図4は、負荷制御装置1Aの各部における信号波形を示すタイムチャートである。
【0020】
図1に示す第1実施形態の負荷制御装置1Aは、交流電源2と負荷3との間に直列に接続され、負荷3に対して電源の供給を制御する主開閉部11と、整流部12と、負荷制御装置1A全体を制御する制御部13と、制御部13に安定した電源を供給するための第1電源部14と、負荷3への電力停止状態のときに第1電源部14へ電力を供給する第2電源部15と、負荷3への電力供給が行われているときに第1電源部14へ電力を供給する第3電源部16と、負荷電流のうち微小電流の通電を行う補助開閉部17などで構成されている。また、第3電源部16には、第3電源部に入力される電圧を検出する電圧検出部18と、負荷電流のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部19が設けられている。主開閉部11は、トランジスタ構造のスイッチ素子11aを有し、補助開閉部17は、サイリスタ構造のスイッチ素子17aを有している。また、制御部13には、CPUなどで構成された主制御部20と、第1パルス出力部21と、第2パルス出力部22と、第3パルス出力部23が設けられている。
【0021】
第1パルス出力部21は、電圧検出部18からバッファコンデンサ29の充電完了信号を受けた後、第1所定時間だけ主開閉部11を導通させるよう、第1パルスを出力する。すなわち、第1パルスは、電圧検出部18から充電完了信号を受けて立上がり、第1所定時間経過後立ち下がる。第2パルス出力部22は、ゼロクロス検出部19が負荷電流のゼロクロス点を検出した後、第2所定時間で主開閉部11の開状態に制限をかけるように第2パルスを出力する。すなわち、第2パルスは、ゼロクロス検出部19からゼロクロス検出信号を受けて立上がり、第2所定時間経過後立ち下がる。第3パルス出力部23は、主開閉部11が非導通(開状態)になったことを検出してから、第3所定時間だけ補助開閉部17を導通させるように、所定時間の第3パルス信号を出力する。すなわち、第2パルスは、主開閉部11が非導通(開状態)になったことを検出して立上がり、第3所定時間経過後立ち下がる。
【0022】
負荷3への電力供給が行われていない負荷制御装置1Aのオフ状態においても、電源2から整流部12を介して第2電源部15に電流が流れるため、負荷3にも微小電流が流れているが、その電流は負荷3を誤動作させない程度に低く抑えられており、第2電源部15のインピーダンスが高い値に維持されている。
【0023】
負荷3へ電力供給が行われているとき、第3電源部16のインピーダンスを低くし、負荷制御装置1Aの内部の回路側に電流を流し、第1電源部14のバッファコンデンサ29を充電する。上記のように、第3電源部16には、電圧検出部(充電監視部)18が設けられており、第3電源部16に入力される電圧を検出する。電圧検出部18が第3電源部16に入力される電圧が所定の閾値に達したことを検出すると、電圧検出部18は所定の検出信号を制御部13に出力する。制御部13は、電圧検出部18からの検出信号を受信すると、主開閉部11を第1所定時間導通させる(閉状態にさせる)。図1では、電圧検出部18からの検出信号に応じて、直接的に第1パルス信号を出力するように、専用のICなどを用いてハードウエア的に構成された第1パルス出力部21を制御部13の一部として設けた構成例を示している。あるいは、図示した構成に限定されず、電圧検出部18からの出力を、CPUなどで構成された主制御部20に入力し、ソフトウエア的に第1パルス信号を出力するように構成してもよい。主開閉部11を導通させる第1所定時間としては、商用周波数電源の半周期よりも少し短い時間にする設定することが好ましい。
【0024】
次に、上記第1所定時間経過後、主開閉部11が非導通(開状態)になる動作を開始する際、制御部13は、補助開閉部17を第3所定時間(例えば、数百μ秒)だけ導通させる(閉状態にさせる)。この動作は、補助開閉部17が主開閉部11よりも少し遅れて非導通(開状態)になればよい。または、上記主制御部20から、主開閉部11に対して出力する第1パルス信号よりも第3所定時間分だけ長いパルス信号を補助開閉部17に対して出力するようにしてもよい。あるいは、ダイオードやコンデンサを用いて遅延回路を構成してもよい。
【0025】
これらの動作により、バッファコンデンサ29の充電完了後、商用電源の半周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部11から負荷3に電力を供給した後、通電電流が少なくなってから、補助開閉部17から負荷3に電力を供給することになる。なお、補助開閉部17は、サイリスタ構造のスイッチ素子17aを有しているので、電流値が零となる時点(ゼロクロス点)で非導通(開状態)となる。補助開閉部17が非導通(開状態)になると、再び第3電源部16に電流が流れ込むため、上記の動作を商用電源の半周期ごとに繰り返す。
【0026】
図2は、高負荷時の負荷制御装置1Aの各部における信号波形を示し、図3及び図4は低負荷時の負荷制御装置1Aの各部における信号波形を示している。なお、図3は、仮に上記第1パルスのみを用いて主開閉部11を制御する場合を、図4は、上記第1パルス及び第2パルスを用いて主開閉部11を制御する場合をそれぞれ示している。
【0027】
高負荷時すなわち接続される負荷3が高容量の場合においては、図2に示すように、バッファコンデンサ29は短時間で充電され、その充電完了後、商用電源の半周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部11から負荷3に電力を供給することになる。このとき、電流値が零となる時点(ゼロクロス点)の前に主開閉部11が非導通とされるように第1所定時間が設定されているので、ゼロクロス点を越えて主開閉部11が導通状態とされることはない。
【0028】
ところが、低負荷時すなわち接続される負荷3が低容量の場合においては、負荷電流が小さいため充電に多くの時間を必要とする。そのため、図3に示すように、ゼロクロス検出部19がゼロクロスを検出した時間から、電圧検出部18で充電完了を検出するまでの時間が長くなり、第1パルスの立上がりが遅延する。第1所定時間は、上述した高負荷時に応じて設定されているので、第1パルスの立上がりが過度に遅延すると、負荷電流がゼロクロス点を越えた後、第1パルスは立下がる。従って、第1パルスのみを用いて主開閉部11を制御する場合にあっては、低負荷時にゼロクロス点を越えて主開閉部11が導通状態とされ、半周期ごとの充電動作が安定しない。
【0029】
そこで、本実施形態においては、第2パルス出力部22から出力される第2パルスを用いて、第2所定時間で主開閉部11の開状態に制限をかけることとしている。第2パルスは、ゼロクロス検出部19がゼロクロスを検出したことを受けて立上がり、第2所定時間の経過後に立ち下がる。この第2所定時間は、負荷電流の半周期よりも短く設定されている。
【0030】
第1パルス出力部21から出力される第1パルス及び第2パルス出力部22から出力される第2パルスは、主開閉制御部25に入力される。主開閉制御部25は、AND回路25aを有し、第1パルス及び第2パルスの論理積をとり、主開閉部11に出力する。これにより、主開閉部11は、第1パルスが立ち上がっている第1所定時間と第2パルスが立ち上がっている第2所定時間の重複している時間だけ閉じる。上述したように、第2パルスは、ゼロクロス検出部19がゼロクロス点を検出したタイミングで立ち上がり、負荷電流の半周期よりも短い第2所定期間で立ち下がるため、バッファコンデンサ29の充電完了を検出するタイミング、すなわち第1所定時間が開始するタイミングが後にずれても、電源周波数のゼロクロス点を越えて主開閉部11を閉状態にすることが無くなる。これにより、確実に半周期毎に充電を行うことができ、動作の安定が図られる。これらの動作は負荷電流に対して行われるため、主開閉部11がトランジスタ構造を有するスイッチ素子11aで構成されていても、負荷3は力率1のものに限定されず、蛍光灯及び白熱灯のいずれにも適した2線式の負荷制御装置を実現することができ、主開閉部がデュアルゲート型のトランジスタ構成のスイッチ素子であることにより、負荷制御装置の小型・大容量化も同時に実現することができる。
【0031】
本第1実施形態に係る負荷制御装置1Aによれば、電圧検出部18が第3電源部16に入力される電圧が所定の閾値に達したことを検出すると、制御部13は、主開閉部11を第1所定時間導通させる(閉状態にさせる)ので、商用電源の半周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部11から負荷に電力を供給することになる。また、この第1所定時間内であっても第2所定時間が経過すると、制御部13は、主開閉部11を非導通とさせる(開状態にさせる)ので、例えば低負荷時において第1所定時間が開始されるタイミングが遅延しても、負荷電流が零となる前に主開閉部11が非導通とされる。これにより、主開閉部11が負荷電流のゼロクロスを越えて導通されることがなくなるので、交流電源の半周期の間に確実に充電を行うことができる。
【0032】
また、第1所定時間経過後、主開閉部11が非導通になるとき、補助開閉部17を第2所定時間だけ導通させるので、商用電源の半周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部から負荷に電力を供給した後、通電電流が少なくなってから、補助開閉部17から負荷に電力を供給することになる。これらの動作は負荷電流に対して行われるため、主開閉部11がトランジスタ構造を有するスイッチ素子11aで構成されていても、負荷は力率1のものに限定されず、蛍光灯及び白熱灯のいずれにも適した2線式の負荷制御装置を実現することができる。また、負荷制御装置の動作時に発生するノイズのレベルが低く抑えられるため、小型で、かつ適合負荷範囲の広い負荷制御装置を実現することができる。
【0033】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る負荷制御装置について説明する。図5は、第2実施形態に係る負荷制御装置1Bの構成を示す回路図である。負荷制御装置1Bは、補助開閉部17に流れる電流を検出するための電流検出部26と、電流検出部26から出力される信号等に応じて動作するOR回路25bをさらに備えている点で第1実施形態に係る負荷制御装置1Aと異なり、その他は同様である。OR回路25bは、主開閉制御部25のAND回路25aの後段に設けられている。
【0034】
補助開閉部17は、本来電流のゼロクロス点を検出することを目的としており、通電を主目的とはしておらず、小型のスイッチ素子で構成されることが期待されている。しかしながら、商用電源において周波数がずれたり、あるいは負荷制御装置を50Hzと60Hzの共用で動作させようとしたりすると、主開閉部が非導通になってから電流のゼロクロス点までの時間が長くなり、負荷電流が十分に小さくなる前に補助開閉部に通電が開始されてしまう。また、負荷として過負荷接続された場合、補助開閉部での通電時間は同じであっても、通電損失が大きくなり、補助開閉部17を構成するスイッチ素子が破損する可能性がある。そのため、第2実施形態では、電流検出部26により補助開閉部17に流れる電流値を検出し、補助開閉部17が許容できる電流値を超える電流が流れたときに、再び短時間(第4所定時間)だけ主開閉部11を導通させ(閉状態にさせ)、その後主開閉部11が非導通(開状態)になるときに、補助開閉部17を再び導通させる。
【0035】
より具体的には、補助開閉部17が許容できる電流値を超える電流が流れることを検知した電流検出部26は、その旨の信号を主開閉制御部25のOR回路25bに出力する。OR回路25bは、上述したAND回路25aからの出力信号又は電流検出部26からの出力信号のいずれかの入力を受けたとき、主開閉部11を短時間だけ導通させて補助開閉部17を保護する。このように主開閉部11と補助開閉部17を繰り返し切り換えることにより、補助開閉部17のスイッチ素子の破損を防止すると共に、商用電源の種類に対する対応性や過負荷に対する対応性が向上する。
【0036】
本第2実施形態に係る負荷制御装置1Bによれば、電流検出部26が、補助開閉部17に許容値を超える電流が流れることを検出すると、主開閉部を一旦導通させ(閉状態にさせ)、その後非導通状態にする。これにより、補助開閉部17のスイッチ素子の破損を防止すると共に、小型のスイッチ素子で補助開閉部17を構成することができ、負荷制御装置の小型化が可能となり、商用電源の種類に対する対応性や過負荷に対する対応性が向上する。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも制御部13が、電圧検出部18からバッファコンデンサ29の充電完了信号を受け出力する第1パルスと、ゼロクロス検出部19から負荷電流のゼロクロス点の検出信号を受け出力する第2パルスとの論理積に基づいて主開閉部11の動作を制御するように構成されていればよい。また、本発明は種々の変形が可能であり、例えば、第2パルスは、ゼロクロス検出部19からの出力を、CPUなどで構成された主制御部20に入力し、ソフトウエア的に第1パルス信号を出力するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に係る負荷制御装置の構成を示す回路図。
【図2】第1実施形態に係る負荷制御装置の高負荷時における各部の信号波形を示すタイムチャート。
【図3】第1実施形態に係る負荷制御装置の低負荷時において、主開閉部の制御に第2所定時間を用いないと仮定した場合の各部の信号波形を示すタイムチャート。
【図4】第1実施形態に係る負荷制御装置の低負荷時において、主開閉部の制御に第2所定時間を用いた場合の各部の信号波形を示すタイムチャート。
【図5】本発明の第2実施形態に係る負荷制御装置の構成を示す回路図。
【図6】第1従来例に係る負荷制御装置の構成を示す回路図。
【図7】第2従来例に係る負荷制御装置の構成を示す回路図。
【符号の説明】
【0039】
1A、1B 負荷制御装置
2 電源
3 負荷
11 主開閉部
11a スイッチ素子
12 整流部
13 制御部
14 第1電源部
15 第2電源部
16 第3電源部
17 補助開閉部
17a スイッチ素子
18 電圧検出部
19 ゼロクロス検出部
20 主制御部
21 第1パルス出力部
22 第2パルス出力部
23 第3パルス出力部
26 電流検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタ構造のスイッチ素子を有し、負荷に対して電源の供給を制御する主開閉部と、
サイリスタ構造のスイッチ素子を有し、前記主開閉部が非導通のときに、負荷に対して電源の供給を制御する補助開閉部と、
前記主開閉部及び前記補助開閉部の開閉を制御する制御部と、
前記主開閉部の両端から整流部を介して電力供給され、前記制御部に安定した電圧を供給する第1電源部と、
前記主開閉部の両端から整流部を介して電力供給され、負荷への電力供給を停止しているときに、前記第1電源部への電源を供給する第2電源部と、
前記主開閉部又は前記補助開閉部が閉状態で、負荷への電力供給を行っているときに、前記第1電源部への電源を供給する第3電源部を備えた負荷制御装置において、
前記第3電源部に入力される電圧を検出する電圧検出部と、負荷電流のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部をさらに備え、
前記制御部は、負荷へ電力を供給しているときに、前記電圧検出部が前記第3電源部に入力される電圧が所定の閾値に達したときから計数される第1所定時間と、前記ゼロクロス検出部が負荷電流のゼロクロス点を検出してから計数される負荷電流の半周期未満の第2所定時間とが重複している時間だけ、前記主開閉部を導通させることを特徴とする負荷制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記主開閉部が非導通のときに前記補助開閉部を第3所定時間導通させることを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
【請求項3】
前記補助開閉部に流れる電流を検出する電流検出部をさらに備え、
前記制御部は、所定の閾値以上の電流が前記補助開閉部に流れると、一旦前記主開閉部を導通状態とし、その後、前記主開閉部が非導通となる際に、前記補助開閉部を導通させることを特徴とする請求項2に記載の負荷制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−146527(P2010−146527A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326509(P2008−326509)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】