説明

貨車

【課題】滑り軸受でターンテーブルの上下方向の荷重を受ける場合であっても、ターンテーブルを回転させる駆動装置の大型化を抑制することができる貨車を提供すること。
【解決手段】積載物の重量が所定値以下の場合は、支持台22に配設される軸収容部32の底面および回転軸31の下面31aの対向面間に配設され回転軸31を支える第1滑り軸受33のみでターンテーブル10の上下方向の荷重を受け、積載物の重量が所定値を超える場合には、支持台22の上面に配設されると共に回転軸31を中心とする仮想円D上に位置する複数の第2滑り軸受34が、ターンテーブル10の下面に配設されると共に積載物が積載されない状態で第2滑り軸受34との間に所定の隙間が設定される当接部35と接触して、第1滑り軸受33及び第2滑り軸受34でターンテーブル10の上下方向の荷重を受けるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貨車に関し、特に、滑り軸受でターンテーブルの上下方向の荷重を受ける場合であっても、ターンテーブルを回転させる駆動装置の大型化を抑制することができる貨車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場の敷地内において重量物を搬送するために、工場内に設置されたレール上を走行する貨車が利用されている。かかる貨車はレール上を走行するので、クレーンに対する位置を自由に変更することができない。従って、クレーンによって積載物を積載する際に、積載物の長手方向を貨車の長手方向に沿わせることができず、積載物が積載台からはみ出すことがある。
【0003】
この場合、貨車を走行させることができないので、貨車の積載台に設置されたターンテーブルによって積載台に積載物が沿うように積載物の方向転換を行い、貨車の走行を可能としている。特許文献1に従来の貨車が開示されている。
【0004】
この貨車は、積載物が積載されるターンテーブルと、そのターンテーブルが配設される積載台と、その積載台に対してターンテーブルを回転可能とするために回転軸を中心とする円周上でターンテーブルを支持する滑り軸受と、その滑り軸受により積載台に対して回転可能に支持されたターンテーブルを回転させる駆動装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭63−58458号(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の貨車のように、ターンテーブルの上下方向の荷重を滑り軸受で受ける構成では、転がり軸受でターンテーブルの上下方向の荷重を受ける構成に比べて、高さ方向の小型化を図ることができるが、ターンテーブルの回転時において摩擦抵抗が大きくなり、ターンテーブルを回転させるのに大きな駆動力が必要となるので、駆動装置が大型化するという問題点があった。
【0007】
しかも、滑り軸受の摩擦抵抗は、回転軸からの旋回半径に応じて増加するところ、上述した従来の貨車では、ターンテーブルの上下方向の荷重を受ける滑り軸受が、回転軸から所定の距離を空けた回転軸を中心とする仮想円上に位置されているため、摩擦抵抗が大きくなる。そのため、ターンテーブルを回転させるのに必要な駆動力が増加して、駆動装置が大型化するという問題点があった。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、滑り軸受でターンテーブルの上下方向の荷重を受ける場合であっても、ターンテーブルを回転させる駆動装置の大型化を抑制することができる貨車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1記載の貨車は、積載物が積載されるターンテーブルと、そのターンテーブルが配設される積載台と、その積載台に対して前記ターンテーブルを回転可能に支持する回転支持機構と、その回転支持機構により前記積載台に対して回転可能に支持されたターンテーブルを回転させる駆動装置と、を備え、レール上を走行すると共に、前記駆動装置により前記ターンテーブルを回転させて前記積載物の方向転換を行うものであって、前記回転支持機構は、前記ターンテーブルの下面から突設される回転軸と、その回転軸を収容する凹部として形成され前記積載台に配設される軸収容部と、その軸収容部の底面および前記回転軸の下面の対向面間に配設され前記回転軸を支える第1滑り軸受と、前記ターンテーブルの下面又は前記積載台の上面の一方に配設されると共に、前記回転軸を中心とする仮想円上に位置する複数の第2滑り軸受と、その第2滑り軸受と当接し、前記ターンテーブルの下面又は前記積載台の上面の他方に配設されると共に前記第2滑り軸受との間に所定の隙間が設定される当接部と、を備え、前記積載物の重量が所定値以下の場合は、前記隙間が維持され前記第1滑り軸受のみで前記ターンテーブルの上下方向の荷重を受け、前記積載物の重量が前記所定値を超える場合には、少なくとも前記ターンテーブルが変形して前記隙間が埋まることで、前記第1滑り軸受と前記第2滑り軸受とで前記ターンテーブルの上下方向の荷重を受けるように構成されている。
【0010】
請求項2記載の貨車は、請求項1記載の貨車において、前記軸収容部は、前記回転軸の外径よりも大きな内径に形成される内側周面を備え、前記軸収容部の内側周面と前記回転軸の外側周面との間の隙間に緩衝材が配設されている。
【0011】
請求項3記載の貨車は、請求項2記載の貨車において、前記第2滑り軸受は少なくとも3つ以上が周方向に等間隔で配設されると共に、前記第2滑り軸受は周方向に等間隔で配設されると共に、前記レール上を転動する車輪の車軸を支持する基台と前記積載台との間に介設される支持部材に対して前記積載台の上下方向で重なる箇所に前記第2滑り軸受が配設されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の貨車によれば、積載台に配設されるターンテーブルは、駆動装置によって回転支持機構を介して積載台に対して回転可能に支持されている。よって、クレーンによって積載物を積載台に搭載する際に、積載物の長手方向を貨車の長手方向に沿わせることができず、積載物が積載台からはみ出した場合であっても、ターンテーブルが積載台に対して回転されることにより、積載台に積載物が沿うように積載物の方向転換がなされる。
【0013】
ここで、請求項1記載の貨車によれば、ターンテーブルの下面から突設される回転軸の下面と、その回転軸を収容する凹部として形成され積載台に配設される軸収容部の底面との対向面間に回転軸を支える第1滑り軸受が配設されると共に、回転軸を中心とする仮想円上であってターンテーブルの下面又は積載台の上面の一方に第2滑り軸受が配設され、ターンテーブルの下面又は積載台の上面の他方に第2滑り軸受と当接する当接部が配設され、当接部と第2滑り軸受との間には、所定の隙間が設定されている。
【0014】
かかる隙間は、積載物の重量が所定値以下の場合には維持され、第1滑り軸受のみでターンテーブルの上下方向の荷重を受ける一方で、積載物の重量が所定値を超える場合には、第1滑り軸受と隙間が埋まることで当接部に当接する第2滑り軸受とでターンテーブルの上下方向の荷重を受けるように設定されるので、滑り軸受でターンテーブルの上下方向の荷重を受ける場合であっても、ターンテーブルを回転させる駆動装置の大型化を抑制することができるという効果がある。
【0015】
即ち、積載物の重量が所定値以下の場合は、第2滑り軸受と当接部との間で所定の隙間が維持されるので、ターンテーブルの回転時に第1滑り軸受のみでターンテーブルの上下方向の荷重が受けられる。これに対して、積載物の重量が所定値を超える場合には、少なくともターンテーブルが変形することにより、上述した隙間が埋められて、第2滑り軸受と当接部とが接触するので、ターンテーブルの回転時に第1滑り軸受と第2滑り軸受とでターンテーブルの上下方向の荷重が受けられる。
【0016】
よって、回転中心に位置する第1滑り軸受は、回転軸を中心とする仮想円上に位置される第2滑り軸受に比べて旋回半径が短く設定されるので、積載物の重量が所定値以下であって第1滑り軸受のみで荷重を受ける場合だけでなく、積載物の重量が所定値を超えて第1滑り軸受と第2滑り軸受とで荷重を受ける場合であっても、第2滑り軸受のみでターンテーブルの上下方向の全荷重を受ける場合に比べて、回転軸を中心とするターンテーブルの回転時にターンテーブルと積載台との間で発生する全体としての摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0017】
従って、ターンテーブルを回転させるのに必要な駆動力を小さくすることができるので、駆動装置の大型化を抑制することができる。結果として、ターンテーブルと積載台との間に駆動装置を収容することができるという効果がある。
【0018】
加えて、積載物をターンテーブルに積載する際に、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受)のみで受ける場合は、受圧面積が少ないので積載時の衝撃荷重によって回転軸および回転軸を収容する軸収容部が破損しないように、回転軸および軸収容部の剛性を向上させなければならない。従って、回転軸の大型化、および軸収容部の補強等の対策が必要となる。
【0019】
これに対して、請求項1記載の貨車によれば、積載物をターンテーブルに積載する際に衝撃荷重が発生する場合でも、積載物の積載時における積載荷重によって、少なくともターンテーブルが変形することで、第2滑り軸受と当接部との間で設定された隙間を埋め、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受)と回転軸を中心とする仮想円上(第2滑り軸受)との両方で受けることができる。
【0020】
この場合は、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受)だけでなく、回転軸を中心とする仮想円上(第2滑り軸受)でも受けるので、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受)のみで受ける場合に比べて、受圧面積を増加させることができる。よって、積載荷重の衝撃によって回転軸および回転軸を収容する軸収容部が破損することを防止することができ、回転軸および積載台の耐久性を向上させることができるという効果がある。
【0021】
また、積載物の積載時における積載荷重を回転中心の第1滑り軸受と、仮想円上の第2滑り軸受とで受ける場合は、まず、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受)で受け、少なくともターンテーブルが変形することにより隙間が埋められた後に積載荷重を仮想円上(第2滑り軸受)で受ける。よって、ターンテーブルの変形により、積載荷重を吸収することができると共に、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受)のみで受ける場合に比べて、積載台にかかる負荷を少なくすることができるという効果がある。
【0022】
請求項2記載の貨車によれば、請求項1記載の貨車の奏する効果に加え、軸収容部は、回転軸の外径よりも大きな内径に形成される内側周面を備え、その内側周面と回転軸の外側周面との間の隙間に緩衝材が配設されるので、回転軸が軸心方向に対して傾斜した場合であっても、ターンテーブルの回転に必要な駆動力の抑制と回転軸の破損とを防止することができるという効果がある。
【0023】
即ち、ターンテーブルの一方に偏って積載物が積載され、回転軸が軸心方向に対して傾斜した状態で、ターンテーブルが回転しようとした場合に、軸収容部の内側周面と回転軸の外側周面との間の隙間に緩衝材が配設されていないと、軸収容部の内側周面に回転軸が押圧され、回転抵抗が増加されるので、ターンテーブルを回転させるのに必要な駆動力が増加する。あるいは、回転により回転軸と軸収容部の内側周面との衝突によって、回転軸が破損する。
【0024】
これに対して、請求項2記載の貨車によれば、軸収容部の内側周面と回転軸の外側周面との間の隙間に緩衝材が配設されるので、回転軸が軸心方向に対して傾斜した状態で、ターンテーブルが回転しようとした場合であっても、回転軸は緩衝材に押圧される。よって、回転軸の外側周面に回転軸が押圧される場合に比べて、回転軸と緩衝材との間に発生する回転抵抗の増加が抑制されるので、ターンテーブルを回転させるのに必要な駆動力の増加を抑制することができる。従って、ターンテーブルの回転に必要な駆動力の抑制と回転軸の破損を防止することができる。
【0025】
請求項3記載の貨車によれば、請求項2記載の貨車の奏する効果に加え、第2滑り軸受は周方向に少なくとも3つ以上が等間隔で配設され、レール上を転動する車輪の車軸を支持する基台と積載台との間に介設される支持部材に対して積載台の上下方向で重なる箇所に第2滑り軸受が配設されているので、積載物の重量が所定値を超えて第2滑り軸受に過大な荷重が負荷された場合であっても、回転軸がその軸心方向に対して傾斜することを防止することができるという効果がある。
【0026】
即ち、第2滑り軸受は、少なくとも3つ以上が周方向で等間隔に配設されるので、積載物の重量が所定値を超えて、隙間が塞がれて積載台の上面にターンテーブルが接触する場合に、例えば、積載物の重量がターンテーブルの偏った位置に負荷されても、複数の第2滑り軸受の内少なくとも1又は2以上の第2滑り軸受における隙間を塞ぐことができるので、ターンテーブルを水平状態に保ち、回転軸が軸心方向に対して傾斜することを防止できる。
【0027】
しかも、レール上を転動する車輪の車軸を支持する基台と積載台との間に介設される支持部材に対して積載台の上下方向で重なる箇所に第2滑り軸受が配設されているので、積載台の剛性を確保することができる。よって、ターンテーブルに過大な荷重が負荷された場合であっても、積載台の変形を防止できるので、第2滑り軸受でも荷重を受ける場合に回転軸が軸心方向に対して傾斜することを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1及び図2を参照して、本発明の一実施の形態における貨車1について説明する。図1は、貨車1の略式側面図であり、後述するターンテーブル10が配設される部分の一部が断面で図示されている。図2は図1のII方向から視た貨車1のターンテーブル10が配設される部分を拡大した貨車1の一部拡大平面図である。
【0029】
図1で示すように、貨車1は、工場の敷地内において重量物である積載物を搬送する車両であり、工場内に設置されたレールR上を走行可能とされている。
【0030】
貨車1は、レールR上を転動する複数の車輪3と、車輪3を軸支する複数の車軸4と、走行用駆動装置5(図3参照)と、を備え、車軸4に嵌合された車軸4側スプロケット4a(図4参照)と走行用駆動装置5の駆動軸6(図4参照)に嵌合された駆動側スプロケット6a(図4参照)とに巻きかけられたチェーン7を介して走行用駆動装置5の駆動力が車軸4(車輪3)に伝達されることにより、レールR上を走行するように構成されている。
【0031】
さらに、貨車1は、積載物が積載されるターンテーブル10と、そのターンテーブル10が配設される積載台20と、その積載台20に対してターンテーブル10を回転可能に支持する回転支持機構30と、その回転支持機構30により積載台20に対して回転可能に支持されたターンテーブル10を回転させるモータ装置40(図2参照)と、を備えている。
【0032】
よって、ターンテーブル10は、モータ装置40によって回転支持機構30を介して積載台20に対して回転可能に支持されるので、クレーン(図示せず)によって積載物を積載台20に搭載する際に、積載物の長手方向を貨車1の長手方向(図1左右方向)に沿わせることができず、積載物が積載台20から外側(図1紙面手前側又は紙面奥側)へはみ出した場合であっても、ターンテーブル10が積載台20に対して回転されることにより、積載台20に積載物が沿うように積載物の方向転換がなされる。
【0033】
従って、積載物が工場内の設備等に干渉することなく、貨車1がレールR上を走行することができるので、貨車1による積載物の運搬を円滑に行うことができる。
【0034】
図1及び図2に示すように、ターンテーブル10は、上側テーブル11と、その上側テーブル11より小径に設定される下側テーブル12とで構成され、下側テーブル12の下面に後述するチェーン13と調整部材14とが固定されている。なお、本実施の形態では、上側テーブル11と下側テーブル12とは別体で構成され、ボルト15を介して一体的に結合されることにより一体化されているが、上側テーブル11と下側テーブル12とが一体的に形成される場合でもよい。
【0035】
図1に示すように、積載台20は、貨車1の前後方向(図1左右方向)に延設されると共に積載物が搭載される台であって、貨車1の前側(図1右側)及び後側(図1左側)それぞれ配設される基台8を介して車軸4に支持されている。
【0036】
また、図1及び図2に示すように積載台20は、貨車1の前後方向(図1左右方向)に延設されると共に積載台20の両側のフレームを構成する一対の縦梁部材21と、一対の縦梁部材21の間に敷設されると共に一対の縦梁部材21に連結される台座である支持台22とで構成されている。かかる縦梁部材21と支持台22とは、その上面と下面との間がプレート23(図3参照)を介して連結されている。よって、縦梁部材21及び支持台22がプレート23により補強されるので、積載台20の剛性が確保されている。
【0037】
図1に示すように、積載台20は、支持台22の中央部分に下向きに凹む収容凹部24が形成されている。この収容凹部24にターンテーブル10が収容されるので、支持台22(縦梁部材21)からの突出量を低く抑えることができる。
【0038】
図1に示すように、積載台20と基台8との間には支持部材9が介設されている。支持部材9は隣設する車軸4の間であって、図2に示すように、回転軸31の中心O1を通り積載台20の長手方向に延びる積載台20の中心線E(図5参照)を挟んだ両側に配設され、後述する仮想円D(図5参照)上に配設されている。この支持部材9により積載台20が基台8に支持されている。
【0039】
この支持部材9は、一対の車輪3の間に配設されているので、ターンテーブル10に積載される積載物を一対の車輪3の車軸4で均等に保持することができる。よって、ターンテーブル10に積載される積載物の上下方向の荷重が一対の車軸4に均等に作用する。従って、一対の車軸4のうちどちらか一方にかかる上下荷重が作用することにより、その一方の車軸4の車輪3が他方の車軸4の車輪3に比べてレールR上を転動しにくくなることを防止できるので、貨車1を円滑に走行させることができる。
【0040】
図2に示すように、モータ装置40は、モータ収容部26に収容されている。このモータ収容部26は、後述する軸収容部32よりも深く支持台22に凹設される凹み(図3参照)であって、後述する軸支持部25の後方(図2左方)に位置し、収容凹部24と支持台22の上下方向で重なる箇所に配設されている。
【0041】
よって、モータ装置40が外部に露出することを防止することができるので、工場内の粉塵等により、モータ装置40に不具合が生じることを防止できる。
【0042】
また、モータ装置40は、支持台22に固定されると共に駆動力を発生させる駆動部41と、下側テーブル12の下面に固定された後述するチェーン13に噛合するスプロケット42と、駆動部41の駆動力をスプロケット42に伝達する伝達部43とで構成されている。
【0043】
よって、後述するチェーン13のピン13aにスプロケット42の溝が噛み合った状態で、駆動部41によってスプロケット42が回転することにより、ターンテーブル10がスプロケット42の回転方向に回転する。よって、積載物の方向転換を行うことができる。なお、本発明の一実施の形態においては、ターンテーブルの回転角度は、正方向に45度、逆方向に45度の合計90度に設定されている。
【0044】
次に、図3及び図4を参照して、回転支持機構30(図1参照)について説明する。図3は、図2のIII―III線における貨車1の断面図であり、図4は、図2のIV―IV線における貨車1の断面図である。なお、図3のAで示す部分、図4のBで示す部分、及び図4のCで示す部分についてそれぞれ各図において拡大図示されている。
【0045】
図3及び図4に示すように、回転支持機構30(図1参照)は、ターンテーブル10の下面から突設される回転軸31と、その回転軸31を収容する凹部として形成され支持台22に配設される軸収容部32と、その軸収容部32の底面および回転軸31の下面31aの対向面間に配設され回転軸31を支える第1滑り軸受33と、支持台22の上面に配設されると共に、回転軸31を中心とする仮想円D上に位置する複数の第2滑り軸受34と、第2滑り軸受34と当接し、ターンテーブル10の下面に配設されると共に第2滑り軸受34との間に所定の隙間L1(図7(a)参照)が設定される当接部35と、で構成されている。
【0046】
よって、積載物の重量が所定値以下の場合は、第1滑り軸受33のみでターンテーブル10の上下方向の荷重を受け、積載物の重量が所定値を超える場合には、第1滑り軸受33と第2滑り軸受34とでターンテーブル10の上下方向の荷重を受けるように構成されている。
【0047】
ここで、図7を参照して、積載物の重量によって変形するターンテーブル10について説明する。図7は、図3のVIIで示す部分における貨車1の一部拡大断面図であり、図7(a)は、積載物の重量が所定値以下の場合について図示されており、図7(b)は、積載物の重量が所定値を超える場合について図示されている。
【0048】
図7(a)に示すように、積載物の重量が所定値以下の場合は、ターンテーブル10の下側テーブル12の下面に調整部材14を介して固定される当接部35と、第2滑り軸受34との間に所定の隙間L1が設定されているので、当接部35と第2滑り軸受34とは当接しない。一方、積載物の重量が所定値を超えると、上側テーブル11及び下側テーブル12は支持台22側(図7(a)下側)に撓んで変形する。
【0049】
図7(b)に示すように、下側テーブル12の第2滑り軸受34が取り付けられている外周部分(図7右側部分)の移動量が隙間L1の距離に達すると、上側テーブル11及び下側テーブル12は下向き(図7(b)下向き)に傾斜した状態となり、隙間L1が埋められて消失し、当接部35と第2滑り軸受34とが当接する。
【0050】
よって、ターンテーブル10の上下方向の荷重を、第1滑り軸受33だけでなく、外周側の第2滑り軸受34とで受けることができる。従って、ターンテーブル10が水平状態を保つことができ、ターンテーブル10の回転軸31が軸心方向(図7上下方向)に対して傾斜することを防止できる。なお、図7(b)において、下向き(図7(b)下向き)に傾斜する上側テーブル11及び下側テーブル12は、その一部が拡大図示されているため、上側テーブル11及び下側テーブル12は支持台22側(図7(b)左側部分)に撓んで変形する状態が水平状態で図示されている。
【0051】
なお、一実施の形態である貨車1では、ターンテーブル10が変形する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ターンテーブル10及び支持台22の収容凹部24部分が共に変形する場合であってもよい。
【0052】
図3及び図4に戻って説明する。よって、図3及び図4に示すように、積載物の重量が所定値以下の場合は、第2滑り軸受34と当接部35との間で隙間L1(図7(a)参照)が維持されるので、ターンテーブル10の回転時に第1滑り軸受33のみでターンテーブル10の上下方向の荷重が受けられる。これに対して、積載物の重量が所定値を超える場合には、ターンテーブル10が変形することにより、上述した隙間L1が埋められて、第2滑り軸受34と当接部35とが接触するので、ターンテーブル10の回転時に第1滑り軸受33と第2滑り軸受34とでターンテーブル10の上下方向の荷重を受けることができる。
【0053】
回転中心に位置する第1滑り軸受33の旋回半径(回転軸31の中心と第1滑り軸受33の外端との離間距離)は、回転軸31を中心とする仮想円D(図5参照)上に位置される第2滑り軸受34の旋回半径(回転軸31の中心と第2滑り軸受34の外端との離間距離)に比べて短く設定されるので、積載物の重量が所定値以下であって第1滑り軸受33のみで荷重を受ける場合だけでなく、積載物の重量が所定値を超えて第1滑り軸受33と第2滑り軸受34とで荷重を受ける場合であっても、第2滑り軸受34のみでターンテーブル10の上下方向の全荷重を受ける場合に比べて、回転軸31を中心とするターンテーブル10の回転時にターンテーブル10と支持台22との間で発生する全体としての摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0054】
従って、ターンテーブル10を回転させるのに必要なモータ装置40の駆動力を小さくすることができるので、モータ装置40の大型化を抑制することができる。結果として、ターンテーブル10と支持台22との間(収容凹部24)にモータ装置40を収容することができる。
【0055】
加えて、積載物をターンテーブル10に積載する際に、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受33)のみで受ける場合は、受圧面積が少ないので積載時の衝撃荷重によって回転軸31および回転軸31を収容する軸収容部32が破損しないように、回転軸31および軸収容部32の剛性を向上させなければならない。従って、回転軸31の大型化、および軸収容部32の補強等の対策が必要となる。
【0056】
これに対して、一実施の形態の貨車1によれば、積載物をターンテーブル10に積載する際に衝撃荷重が発生する場合でも、積載物の積載時における積載荷重によって、少なくともターンテーブル10が変形することで、第2滑り軸受34と当接部35との間で設定された隙間L1(図7(a)参照)を埋め、当接部35に第2滑り軸受34が当接するので、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受33)と回転軸31を中心とする仮想円D上(第2滑り軸受34)との両方で受けることができる。
【0057】
この場合は、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受33)だけでなく、回転軸31を中心とする仮想円D上(第2滑り軸受34)でも受けるので、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受33)のみで受ける場合に比べて、受圧面積を増加させることができる。よって、積載荷重の衝撃によって回転軸31および回転軸31を収容する軸収容部32が破損することを防止することができ、回転軸31および支持台22の耐久性を向上させることができる。
【0058】
また、積載物の積載時における積載荷重を回転中心の第1滑り軸受33と、仮想円D上の第2滑り軸受34とで受ける場合は、まず、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受33)で受け、少なくともターンテーブル10が変形することにより隙間L1(図7(a)参照)が埋められた後に積載荷重を仮想円D上(第2滑り軸受34)で受ける。よって、ターンテーブル10の変形により、積載荷重を吸収することができると共に、積載荷重を回転中心(第1滑り軸受33)のみで受ける場合に比べて、支持台22にかかる負荷を少なくすることができる。
【0059】
図3及び図4に示すように、回転軸31は、ターンテーブル10の回転中心となる軸であって、軸心方向(図3及び図4上下方向)に所定の長さL2を有している。回転軸31の下面31aの中心から下方(図3及び図4下方向)に棒状の抜け止め部31cが延設されており、その抜け止め部31cは後述する軸支持部25を貫通する穴に挿入される。その抜け止め部31cの下端(図3及び図4下側端部)に軸支持部25を貫通する穴より大径の板材31dが固定されることによって、回転軸31の抜けが防止される。
【0060】
図3及び図4に示すように、回転軸31と軸心方向(図3及び図4上下方向)で重なる位置に、支持台22の他の部分より補強された部分である軸支持部25が形成されている。この軸支持部25は、上述した支持台22の収容凹部24の略中央に配設されていると共に、収容凹部24の上側(図3及び図4上側)から視て矩形状に形成されている。また、軸支持部25は、収容凹部24の上面より上方(図4上方)に突設されている。
【0061】
よって、軸支持部25の上下方向(図3及び図4上下方向)の厚みL3を薄くすることなく、軸収容部32は、収容凹部24に収容される回転軸31を支持するために必要な長さが確保されている。従って、かかる軸支持部25の厚みL3によって軸収容部32の剛性を確保することができるので、ターンテーブル10の横方向(図3及び図4左右方向)の荷重により、軸収容部32の内側周面32bと回転軸31の外側周面31bとが衝突した場合であっても、軸収容部32の破損を防止することができる。
【0062】
軸収容部32は、軸支持部25に円柱状に凹設される凹みであって、その凹みは、円形の底面32aと、その底面32aの外縁から上方に立設され回転軸31の外径よりも大きな内径に形成される内側周面32bとで構成されている。この軸収容部32には、後述する第1滑り軸受33が収容されている。
【0063】
その軸収容部32の内側周面32bと回転軸31の外側周面31bとの間の隙間に緩衝材37が配設されている。図3及び図4に示すように、緩衝材37は、回転軸31の外側周面31bが軸収容部32の内側周面32bに衝突する場合に、その衝突の衝撃を吸収するための部材であって、回転軸31の軸心方向に延設される筒状に形成されている。
【0064】
かかる緩衝材37が、軸収容部32の内側周面32bと回転軸31の外側周面31bとの間の隙間に配設されていないと、ターンテーブル10の一方に偏って積載物が積載され、回転軸31が軸心方向に対して傾斜した状態で、ターンテーブル10が回転した場合に、軸収容部32の内側周面に回転軸31が押圧され、回転抵抗が増加されるので、ターンテーブル10を回転させるのに必要な駆動力が増加する。あるいは、回転により回転軸31の外側周面31bと軸収容部32の内側周面32bとの衝突によって、回転軸31が破損する。
【0065】
これに対して、軸収容部32の内側周面32bと回転軸31の外側周面31bとの間の隙間に緩衝材37が配設されるので、回転軸31が軸心方向に対して傾斜した状態で、ターンテーブル10が回転しようとした場合であっても、回転軸31は緩衝材37に押圧される。よって、回転軸31の外側周面に回転軸31が押圧される場合に比べて、回転軸31と緩衝材37との間に発生する回転抵抗の増加が抑制されるので、ターンテーブル10を回転させるのに必要な駆動力の増加を抑制することができる。従って、ターンテーブル10の回転に必要な駆動力の抑制と回転軸31の破損とを防止することができる。
【0066】
ここで、モータ装置40とターンテーブル10とを積載台20上に固定する行程について説明する。図4に示すように、モータ収容部26にモータ装置40が設置され、支持台22の下面に固定される。この場合、モータ装置40のスプロケット42が支持台22の上面から突出した状態となっている。
【0067】
次に、かかるスプロケット42に噛合するチェーン13を支持台22の上面に配設する。チェーン13は、モータ装置40の駆動力をターンテーブル10に伝達するための部材であって、スプロケット42に噛合される複数の柱状のピン13aが所定間隔で並設されている。
【0068】
そして、チェーン13と、そのチェーン13の高さに設定された複数の調整部材14(本発明の一実施の形態では4つ)とが1つのリング状なるように支持台22の上面で組み立てられる。そのリング状に組み立てられたチェーン13及び調整部材14の下面に当接部35が固定される。
【0069】
かかるリング状に組み立てられたチェーン13と調整部材14とが、上述した仮想円D(図5参照)上に設置され、これにより、当接部35が第2滑り軸受34に当接されると共に、スプロケット42とチェーン13のピン13aとが噛合される。
【0070】
次に、軸支持部25を貫通する穴に抜け止め部31cが挿入される共に、回転軸31が軸収容部32に収容される。その抜け止め部31cの下端(図3及び図4下側端部)に板材31dが固定されることにより、ターンテーブル10は支持台22から抜け止めされた状態で支持台22に固定される。
【0071】
そして、ボルト15(図2参照)等の締結部材で、リング状に形成されたチェーン13及び調整部材14がターンテーブル10(下側テーブル12)の下面に固定される。この場合において仮想円D上に設置されたチェーン13及び調整部材14がターンテーブル10側(図3及び図4)に引き上げられて固定されるので、仮想円D上に配設される第2滑り軸受34とチェーン13及び調整部材14の下面に固定される当接部35との間に隙間L1(図7(a)参照)が発生する。
【0072】
かかる隙間L1(図7(a)参照)の長さが所定値になるように、第2滑り軸受34と支持台22との間にシム(図示せず)が配設されて調整される。これにより、第2滑り軸受34と当接部35との間に所定の隙間L1を保持した状態でターンテーブル10が積載台20上に設置される。
【0073】
よって、ターンテーブル10を移動させることなく、チェーン13及び調整部材14をスプロケット42側に移動させてチェーン13をスプロケット42に噛み合わせることができるので、チェーン13及び調整部材14が予め下側テーブル12に固定される場合に比べて、スプロケット42とチェーン13とを噛み合わせる作業の効率化を図ることができる。
【0074】
次に、図5及び図6を参照して、第1滑り軸受33及び第2滑り軸受34について説明する。図5は、図4のV―V線における貨車1のターンテーブル10の部分について拡大した貨車1の一部拡大平面図であり、図6は、図4のVI―VI線における貨車1のターンテーブル10部分について拡大した貨車1の一部拡大平面図である。
【0075】
図5に示すように、第1滑り軸受33は、軸収容部32に対して回転する回転軸31を軸支する部材であって、軸収容部32に配設されている。よって、回転軸31が第1滑り軸受33を介して軸収容部32に軸支されるので、回転軸31を正確かつ滑らかに回転させることができ、回転軸31と軸収容部32とが直接接触することによって発生する摩擦を少なくすることができる。これにより、回転軸31のエネルギー損失や発熱を減少させ、回転軸31の焼きつきを防止することができる。
【0076】
また、第1滑り軸受33は回転中心に配設されるので、旋回半径の増加による回転抵抗の増加を抑えることができる。よって、仮想円Dに配設された第2滑り軸受34のみでターンテーブル10の上下方向の荷重を受ける場合に比べて、第1滑り軸受33でターンテーブル10の上下方向の荷重を受ける場合の回転抵抗を少なくすることができ、モータ装置40の小型化を図ることができる。
【0077】
図5に示すように、第2滑り軸受34は、回転軸31を中心とする仮想円D上に位置する矩形状の軸受部材であって、支持台22に対して回転するターンテーブル10を回転可能に支持している。第2滑り軸受34と支持台22との間には、シム(図示せず)が介設されており、かかるシムによって所定の隙間L1(図7(a)参照)が調整されている。
【0078】
第2滑り軸受34は、仮想円D上の周方向に4つ均等に配設され、かかる4つの第2滑り軸受34のうち、貨車1の前側(図5右側)及び後側(図5左側)に配設される各第2滑り軸受34が、支持台22の上下方向(図5紙面手前から奥方向)で支持部材9と重なる箇所に配設されている。
【0079】
よって、積載物の重量が所定値を超えて、隙間L1(図7(a)参照)が塞がれて支持台22の上面と下側テーブル12の下面とが第2滑り軸受34を介して接触する場合に、例えば、積載物の重量がターンテーブル10の偏った位置に負荷されても、4つの第2滑り軸受34のうち、少なくとも1又は2以上の第2滑り軸受34における隙間L1(図7(a)参照)を塞ぐことができるので、ターンテーブル10を水平状態に保ち、回転軸31が軸心方向(図5紙面手前から奥方向)に対して傾斜することを防止できる。
【0080】
しかも、車輪3の車軸4を支持する基台8(図4参照)と支持台22との間に介設される支持部材9に対して、支持台22の上下方向で重なる箇所に第2滑り軸受34が配設されているので、支持台22の剛性を確保することができる。よって、ターンテーブル10に過大な荷重が負荷された場合であっても、支持台22の変形を防止できる。
【0081】
一方、貨車1の左側(図5上側)及び右側(図5下側)に配設される各第2滑り軸受34は、剛性部材である縦梁部材21との連結部分の近傍に配設されているので、支持台22の剛性を確保することができる。よって、ターンテーブル10に過大な荷重が負荷された場合であっても、支持台22の変形を防止できる。
【0082】
よって、第2滑り軸受34と後述する当接部35とが接触し、第1滑り軸受33に加えて第2滑り軸受34でもターンテーブル10に作用する上下方向の荷重を受ける場合に、回転軸31が軸心方向(図5紙面手前から奥方向)に対して傾斜することを防止することができる。従って、ターンテーブル10を円滑に回転させることができ、積載物の積み替え作業の効率化を図ることができる。
【0083】
また、貨車1の前側(図5右側)及び後側(図5左側)に配設される各第2滑り軸受34は、積載台20の中心線E上に配設されており、その両側に支持部材9がそれぞれ配設されている。よって、かかる第2滑り軸受34と後述する当接部35とが接触し、支持台22にターンテーブル10の上下方向の荷重が作用した場合に、かかる荷重を第2滑り軸受34の両側の支持部材9によって均等に支持することができる。従って、かかる荷重を車軸4(図4参照)に均等に作用させることができるので、貨車1による積載物の運搬を円滑に行うことができる。
【0084】
図6に示すように、当接部35は、リング状に形成された鉄製のプレートであって、下側テーブル12の下面に固定されたチェーン13及び調整部材14の下面にボルト等の締結部材で固定されている。
【0085】
例えば、仮想円Dに配設された第2滑り軸受34のみでターンテーブル10の上下方向の荷重を受けようとすると、第1滑り軸受33と第2滑り軸受34とでターンテーブル10の荷重を受ける場合に比べて、旋回半径が増加する。よって、第2滑り軸受34の摩擦抵抗が増加するので、第2滑り軸受34の耐久性を向上させるために第2滑り軸受34を大型化しなければならず、その数も増加させなければならない。よって、回転抵抗が増加し、モータ装置40が大型化する。
【0086】
さらに、第2滑り軸受34の大型化に対応するために、リング状の当接部35の幅も拡大しなければならず、鉄製の板材である当接部35の重量が増加し、当接部35が固定されるターンテーブル10の重量も増加する。よって、モータ装置40が大型化する。また、ターンテーブル10の重量が増加すると、ターンテーブル10に積載可能な積載物の重量をその増加分だけ減少させなければならない。
【0087】
これに対して、本発明の一実施の形態においては、第1滑り軸受33と第2滑り軸受34とでターンテーブル10の荷重を受けるので、第2滑り軸受34の増加及び大型化、当接部35の重量増加を図る必要がない。よって、モータ装置40の大型化を防止することができる。
【0088】
以上、上記実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0089】
例えば、上記実施の形態では、貨車1に、第2滑り軸受34が4つ設置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2滑り軸受34が3つ設置されていてもよい。これにより、部品点数の削減によるコスト削減を図ることができる。但し、ターンテーブル10の水平状態を保つため、3つ以上設置されることが好ましい。
【0090】
また、上記実施の形態では、第2滑り軸受34が支持台22に固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2滑り軸受34がターンテーブル10に固定されていてもよい。この場合は、当接部35を省略して、当接部35を下側テーブルへ取り付ける取付作業を不要とすることができるので、ターンテーブル10の組立作業の効率化を図ることができる。
【0091】
更に、ターンテーブル10に固定される当接部35を第2滑り軸受34で構成してもよい。この場合において、ターンテーブル10と支持台22との摩擦抵抗をさらに低減させることができ、モータ装置40の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施の形態における貨車の側面図である。
【図2】図1のII方向から視た貨車のターンテーブルが配設される部分を拡大した貨車の一部拡大平面図である。
【図3】図2のIII―III線における貨車の断面図である。
【図4】図2のIV―IV線における貨車の断面図である。
【図5】図4のV―V線における貨車のターンテーブル部分について拡大した貨車の一部拡大平面図である。
【図6】図4のVI―VI線における貨車のターンテーブル部分について拡大した貨車の一部拡大平面図である。
【図7】図3のVIIで示す部分における貨車の一部拡大断面図であり、(a)は、積載物の重量が所定値以下の場合について図示されており、(b)は、積載物の重量が所定値を超える場合について図示されている。
【符号の説明】
【0093】
1 貨車
3 車輪
4 車軸
8 基台
9 支持部材
10 ターンテーブル
11 上側テーブル
12 下側テーブル
20 積載台
30 回転支持機構
31 回転軸
31b 外側周面
32 軸収容部
32b 内側周面
37 緩衝材
33 第1滑り軸受
34 第2滑り軸受
35 当接部
40 モータ装置(駆動装置)
R レール
D 仮想円
L1 隙間(第2滑り軸受と当接部との間に設定される所定の隙間)
L4 隙間(軸収容部の内側周面と回転軸31の外側周面との間の隙間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載物が積載されるターンテーブルと、そのターンテーブルが配設される積載台と、その積載台に対して前記ターンテーブルを回転可能に支持する回転支持機構と、その回転支持機構により前記積載台に対して回転可能に支持されたターンテーブルを回転させる駆動装置と、を備え、レール上を走行すると共に、前記駆動装置により前記ターンテーブルを回転させて前記積載物の方向転換を行う貨車において、
前記回転支持機構は、
前記ターンテーブルの下面から突設される回転軸と、
その回転軸を収容する凹部として形成され前記積載台に配設される軸収容部と、
その軸収容部の底面および前記回転軸の下面の対向面間に配設され前記回転軸を支える第1滑り軸受と、
前記ターンテーブルの下面又は前記積載台の上面の一方に配設されると共に、前記回転軸を中心とする仮想円上に位置する複数の第2滑り軸受と、
その第2滑り軸受と当接し、前記ターンテーブルの下面又は前記積載台の上面の他方に配設されると共に前記第2滑り軸受との間に所定の隙間が設定される当接部と、を備え、
前記積載物の重量が所定値以下の場合は、前記隙間が維持され前記第1滑り軸受のみで前記ターンテーブルの上下方向の荷重を受け、
前記積載物の重量が前記所定値を超える場合には、少なくとも前記ターンテーブルが変形して前記隙間が埋まることで、前記第1滑り軸受と前記第2滑り軸受とで前記ターンテーブルの上下方向の荷重を受けるように構成されることを特徴とする貨車。
【請求項2】
前記軸収容部は、前記回転軸の外径よりも大きな内径に形成される内側周面を備え、
前記軸収容部の内側周面と前記回転軸の外側周面との間の隙間に緩衝材が配設されることを特徴とする請求項1記載の貨車。
【請求項3】
前記第2滑り軸受は少なくとも3つ以上が周方向に等間隔で配設されると共に、
前記レール上を転動する車輪の車軸を支持する基台と前記積載台との間に介設される支持部材に対して前記積載台の上下方向で重なる箇所に前記第2滑り軸受が配設されることを特徴とする請求項2記載の貨車。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−214985(P2010−214985A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60586(P2009−60586)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】