説明

貫通孔補強材及びそれを用いた鉄筋コンクリート建造物の貫通孔補強構造

【課題】打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられず、さらに初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)を抑制し、貫通孔の周囲の強度を増大させるとともに変形性能も増大させることができ高い剪断強度が得られる貫通孔補強材を提供することを目的とする。
【解決手段】中心軸の周囲に1周以上折曲形成された第一補強筋2と、中心軸の周囲を1周する第一補強筋2に4ヶ所形成され中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角αが80〜98°に形成された第一補強部2cと、第一補強筋2と連続して中心軸の周囲に1周以上折曲形成された第二補強筋3と、中心軸の周囲を1周する第二補強筋3に4ヶ所形成され中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角βが100〜120°に形成された第二補強部3cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート若しくは鉄骨鉄筋コンクリート等の鉄筋コンクリート建造物において、形成された貫通孔によって生ずる梁等の強度低下を防止する貫通孔補強材及びそれを用いた鉄筋コンクリート建造物の貫通孔補強構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート若しくは鉄骨鉄筋コンクリート等の鉄筋コンクリート建造物では、高層化や高密度化に伴い、空調設備や上下水等の配管が階高に大きな制約を与えるため、梁等の腹部に配管を通すための貫通孔を設けることが多くなっている。このような貫通孔を設けた梁に剪断力が作用すると、貫通孔の周囲に応力が集中してコンクリートにひび割れが生じることが知られている。
また、本発明者等の強度実験によれば、貫通孔が形成された鉄筋コンクリート梁では、始めに、貫通孔の中心から梁材軸に対して45°方向にひび割れ(以下、対角線ひび割れという。)が発生し、続いて貫通孔周辺に斜め剪断ひび割れが分散して発生し、その後、最大荷重の70〜85%付近で梁材軸に対して約35°方向に貫通孔に接してひび割れ(以下、接線ひび割れという。)が発生し、接線ひび割れが対角線ひび割れに卓越して進展して剥離が生じ、コンクリートと鉄筋の付着力を失い最終破壊することが明らかになっている。
そこで、鉄筋で折曲形成された貫通孔補強材を貫通孔の周囲に埋設することによって、貫通孔による断面の欠損を補い、ひび割れの発生や進展を抑制し貫通孔の周囲を補強するための種々の技術が開発されている。
従来の技術としては、例えば、(特許文献1)に「長辺が梁の長さ方向に平行する線に対し略45°になるようにして貫通孔の周囲に配される主補強筋を用いる鉄筋コンクリート有孔梁の補強構造」が開示されている。
(特許文献2)には「一本の連続する折れ曲がり鉄筋からなり、開口中央の上下部を折れ曲がり頂点とし、2組の長方形を異なる角度で左右対称に配置する梁開口部補強材」が開示されている。
【0003】
図13は、(特許文献2)に図示された従来の梁開口部補強材の正面図である。
図中、100は梁開口部補強材、101は梁開口部補強材100で周囲が補強される貫通孔、Aは梁の材軸、102は一本の鉄筋の端部を内側に折曲して形成し貫通孔101を形成するスリーブからなる型枠材を支持する型枠材支持部、103は型枠材支持部102を約90°に折曲して形成された下部補強筋、104は下部補強筋103を約90°に折曲し材軸Aの平行線に対し約52°に形成された接線割れ抑制筋、105は接線割れ抑制筋104を約90°に折曲し材軸Aの平行線に対し約38°に形成された対角線割れ抑制筋、106は対角線割れ抑制筋105を約90°に折曲し材軸Aの平行線に対し約52°に形成された接線割れ抑制筋、107は接線割れ抑制筋106を約90°に折曲し材軸Aの平行線に対し約38°に形成された対角線割れ抑制筋、108は対角線割れ抑制筋107を約100°に折曲し材軸Aの平行線に対し約38°に形成された対角線割れ抑制筋、109は対角線割れ抑制筋108を約90°に折曲し材軸Aの平行線に対し約52°に形成された接線割れ抑制筋、110は接線割れ抑制筋109を約90°に折曲し材軸Aの平行線に対して約38°に形成された対角線割れ抑制筋、111は対角線割れ抑制筋110を約90°に折曲し材軸Aの平行線に対し約52°に形成された接線割れ抑制筋、112は鉄筋の端部を内側に折曲して形成したスリーブ等の型枠材を支持する型枠材支持部、Dは貫通孔101の中心軸から材軸Aの平行線に対し45°方向に生じるひび割れ(対角線ひび割れ)、Tは貫通孔101に接して材軸Aの平行線に対し約35°方向に生じるひび割れ(接線ひび割れ)、Xは対角線ひび割れDの進展方向と対角線割れ抑制筋110との交点である。
【特許文献1】特公平8−3236号公報
【特許文献2】特開平10−82136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、材軸に対し略45°に配される主補強筋を有しているので、対角線ひび割れに略直交する主補強筋が引張力を受けるため対角線ひび割れの進展は抑制できるが、主補強筋は、接線ひび割れの進展を抑制するにはほとんど効果を発揮しないため、接線ひび割れが卓越して進展し剥離が生じ、比較的低い荷重でコンクリートと鉄筋の付着力を失ってしまうため、剪断力に対する補強効果が乏しいという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術は、2組の長方形を異なる角度で左右対称に配置することで、図13に示すように、材軸Aの平行線に対し約38°に形成された対角線割れ抑制筋105,107,108,110、材軸Aの平行線に対し約52°に形成された接線割れ抑制筋104,106,109,111を貫通孔101の周囲に配置することができるため、対角線ひび割れDの進展方向に対して対角線割れ抑制筋105,107,108,110を略直交させるとともに、最終破壊の主因となる接線ひび割れTの進展方向に対して接線割れ抑制筋104,106,109,111を略直交させて、ひび割れの進展を抑制することができる。しかしながら、貫通孔101の周囲を周回する鉄筋は、型枠材支持部102からみると、接線割れ抑制筋104、対角線割れ抑制筋105、接線割れ抑制筋106、対角線割れ抑制筋107が交互に現れ、さらに対角線割れ抑制筋108、接線割れ抑制筋109、対角線割れ抑制筋110、接線割れ抑制筋111が交互に現れており、鉄筋が複数個所で交錯しているため、交錯した箇所ではコンクリートを打設したときに個々の鉄筋に対する付着が不十分になり易いという課題を有していた。
(3)また、2組の長方形を異なる角度で左右対称に配置しているので、対角線割れ抑制筋105,107,108,110は、材軸Aの平行線に対して45°よりも小さな角度(図13では約38°)で形成されることになる。このため、対角線ひび割れDの進展方向と対角線割れ抑制筋110との交点Xの両側の対角線割れ抑制筋110の定着長に違いが生じる(図13ではl>l)。対角線ひび割れDは、材軸Aに対して45°より小さな角度で生じることもあり、この場合はlがさらに短くなるため、定着長が不足して比較的低い荷重でコンクリートと鉄筋の付着力を失ってしまうことがあるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられず、さらに初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)を抑制し、貫通孔の周囲の強度を増大させるとともに変形性能も増大させることができ高い剪断強度が得られる貫通孔補強材を提供することを目的とする。
また、本発明は、打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられず、さらに初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)が抑制され、貫通孔の周囲の強度が高く、変形性能にも優れる鉄筋コンクリート建造物の貫通孔補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために本発明の貫通孔補強材及びそれを用いた鉄筋コンクリート建造物の貫通孔補強構造は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の貫通孔補強材は、鉄筋で折曲形成され鉄筋コンクリート建造物に形成される貫通孔の周囲を補強する貫通孔補強材であって、中心軸の周囲に1周以上折曲形成された第一補強筋と、前記中心軸の周囲を1周する前記第一補強筋に4ヶ所形成され前記中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角αが80〜98°に形成された第一補強部と、前記第一補強筋と連続して前記中心軸の周囲に1周以上折曲形成された第二補強筋と、前記中心軸の周囲を1周する前記第二補強筋に4ヶ所形成され前記中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角βが100〜120°に形成された第二補強部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)中心軸の周囲に1周以上折曲形成された第一補強筋と、中心軸の周囲を1周する第一補強筋に4ヶ所形成され中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角αが80〜98°に形成された第一補強部と、中心軸の周囲に1周以上折曲形成された第二補強筋と、中心軸の周囲を1周する第二補強筋に4ヶ所形成され中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角βが100〜120°に形成された第二補強部と、を備えているので、貫通孔補強材の中心軸と貫通孔の中心軸とを一致させて配置すると、第一補強部を材軸に対して40〜49°の角度で配置し、第二補強部を材軸に対して50〜60°の角度で配置できるので、第一補強部及び第二補強部が対角線ひび割れ及び接線ひび割れにそれぞれ略直交するため、初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)を抑制し、貫通孔の周囲の強度を増大させるとともに、変形性能も増大させることができる。
(2)中心軸の周囲を1周する第一補強筋に第一補強部が4ヶ所形成され、中心軸の周囲を1周する第二補強筋に第二補強部が4ヶ所形成されているので、貫通孔の周囲に配置された貫通孔補強材を端部から周回してみたときに、第一補強筋と第二補強筋とが交錯していないので、打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられないため、高い剪断強度が得られる。
【0007】
ここで、鉄筋としては、直径が6〜16mm程度のものが用いられる。補強される鉄筋コンクリート建造物に必要とされる剪断強度に応じて、適宜選択することができる。
第一補強筋と第二補強筋は、各々別個の鉄筋で形成した後、溶接して連続させることもできるが、1本の鉄筋を折曲して第一補強筋と第二補強筋とを連続して形成すると、生産性に優れるため好ましい。
【0008】
第一補強部は、中心軸の周囲を1周する第一補強筋に4ヶ所形成され中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角αは、80〜98°好ましくは84〜96°が好適である。角αが84°より小さくなるか96°より大きくなるにつれ、対角線ひび割れに対する抵抗力が低下する傾向がみられ、80°未満になるか98°を超えると、この傾向が著しくなるためである。なお、特に好ましいのは角αが略90°に形成された場合である。対角線ひび割れの進展方向と略直交させることができるからである。
第二補強部は、中心軸の周囲を1周する第二補強筋に4ヶ所形成され中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角βは、100〜120°好ましくは104〜116°が好適である。角βが104°より小さくなるか116°より大きくなるにつれ、接線ひび割れに対する抵抗力が低下する傾向がみられ、100°未満になるか120°を超えると、この傾向が著しくなるためである。なお、特に好ましいのは角βが略55°に形成された場合である。接線ひび割れの進展方向と略直交させることができるからである。
第一補強筋や第二補強筋が螺旋状に形成された場合には、ねじれの位置に第一補強部や第二補強部が存在するため、なす角αやβは、中心軸からみたときの投影線における角度で特定する。
【0009】
また、貫通孔補強材は、コンクリートの打設によって貫通孔が形成される紙スリーブや樹脂発泡体等の型枠材を支持する型枠材支持部が形成される。型枠材支持部は、端部の鉄筋を折曲して形成することができる。また、別個の鉄筋等を溶接して形成することもできる。
【0010】
本貫通孔補強材が適用できる鉄筋コンクリート建造物としては、貫通孔が形成されているものであれば特に制限なく用いることができ、例えば、梁、壁、床等を挙げることができる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の貫通孔補強材であって、前記第一補強部が、前記中心軸方向から見たときの投影線において、前記中心軸を通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成された構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第一補強部が、中心軸方向から見たときの投影線において、中心軸を通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されているので、貫通孔補強材の中心軸と貫通孔の中心軸とを一致させて配置すると、対角線ひび割れの進展方向と第一補強部との交点が第一補強部の中点とほぼ一致するので、交点の両側の第一補強部の定着長が略等しくなるため、第一補強部に必要な定着長を確保することができ、安定して貫通孔の周囲の強度を増大させることができる。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の貫通孔補強材であって、前記第一補強筋及び/又は前記第二補強筋が、前記中心軸の周囲に螺旋状に形成された構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第一補強筋や第二補強筋が中心軸の周囲に螺旋状に形成されているので、貫通孔の周囲に沿って貫通孔補強材が埋設されることになるため補強強度が増大し、さらにひび割れが発生してからもコンクリートの剥離や剥落を抑制し、貫通孔の周囲に配置された主筋やあばら筋とコンクリートとの付着性を高めることができ、鉄筋コンクリート建造物全体の強度及び変形性能を増大させることができる。
(2)螺旋状に形成された第一補強筋や第二補強筋は、バネ状に弾性を有することになるため、保管時や施工現場に運搬する時にはワイヤや紐等で縛って収縮させておき、施工時にはワイヤ等を外せば復元されるので、保管時や運搬時の嵩を小さくすることができ取扱性に優れる。
(3)貫通孔1ヶ所に対して1個の貫通孔補強材で補強することができるとともに、貫通孔の長さに応じ貫通孔補強材を伸縮させて取り付けることができ、施工性に優れる。
【0013】
ここで、螺旋の数は、補強される鉄筋コンクリート建造物に必要とされる剪断強度に応じて適宜設定することができる。
【0014】
本発明の請求項4に記載の鉄筋コンクリート建造物の貫通孔補強構造は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の貫通孔補強材の第一補強部が、鉄筋コンクリート建造物の材軸に対して40〜49°になるように貫通孔の周囲に配置され、前記貫通孔補強材の第二補強部が、前記材軸に対して50〜60°になるように前記貫通孔の周囲に配置された構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)貫通孔補強材の第一補強部が、鉄筋コンクリート建造物の材軸に対して40〜49°になるように貫通孔の周囲に配置され、前記貫通孔補強材の第二補強部が、前記材軸に対して50〜60°になるように前記貫通孔の周囲に配置されているので、初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)が抑制され、貫通孔の周囲の強度を増大させるとともに、変形性能も増大させることができる。
(2)貫通孔の周囲に配置された貫通孔補強材を端部から周回してみたときに、第一補強筋と第二補強筋とが交錯していないので、打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられないため、高い剪断強度が得られる。
【0015】
ここで、貫通孔補強材の第一補強部は、鉄筋コンクリート建造物の材軸に対して40〜49°好ましくは42〜48°になるように配置されるのが好適である。42°より小さくなるか48°より大きくなるにつれ、対角線ひび割れに対する抵抗力が低下する傾向がみられ、40°未満になるか49°を超えると、この傾向が著しくなるためである。なお、特に好ましいのは略45°に配置された場合である。対角線ひび割れの進展方向と略直交させることができるからである。
また、貫通孔補強材の第二補強部は、材軸に対して50〜60°好ましくは52〜58°になるように配置されるのが好適である。52°より小さくなるか58°より大きくなるにつれ、接線ひび割れに対する抵抗力が低下する傾向がみられ、50°未満になるか60°を超えると、この傾向が著しくなるためである。なお、特に好ましいのは略55°に配置された場合である。接線ひび割れの進展方向と略直交させることができるからである。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の貫通孔補強材及びそれを用いた鉄筋コンクリート建造物の貫通孔補強構造によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)中心軸の周囲に1周以上折曲形成された第一補強筋と、中心軸の周囲を1周する第一補強筋に4ヶ所形成され中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角αが80〜98°に形成された第一補強部と、中心軸の周囲に1周以上折曲形成された第二補強筋と、中心軸の周囲を1周する第二補強筋に4ヶ所形成され中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角βが100〜120°に形成された第二補強部と、を備えているので、初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)を抑制し、貫通孔の周囲の強度を増大させるとともに、変形性能も増大させることができる貫通孔補強材を提供できる。
(2)中心軸の周囲を1周する第一補強筋に第一補強部が4ヶ所形成され、中心軸の周囲を1周する第二補強筋に第二補強部が4ヶ所形成されているので、貫通孔の周囲に配置された貫通孔補強材を端部から周回してみたときに、第一補強筋と第二補強筋とが交錯していないので、打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられないため、高い剪断強度が得られる貫通孔補強材を提供できる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)第一補強部が、中心軸方向から見たときの投影線において、中心軸を通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されているので、貫通孔補強材の中心軸と貫通孔の中心軸とを一致させて配置すると、対角線ひび割れの進展方向と第一補強部との交点が第一補強部の中点とほぼ一致するので、交点の両側の第一補強部の定着長が略等しくなるため、第一補強部に必要な定着長を確保することができ、安定して貫通孔の周囲の強度を増大させることができる貫通孔補強材を提供できる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)第一補強筋や第二補強筋が中心軸の周囲に螺旋状に形成されているので、貫通孔の周囲に沿って貫通孔補強材が埋設されることになるため補強強度が増大し、さらにひび割れが発生してからもコンクリートの剥離や剥落を抑制し、貫通孔の周囲に配置された主筋やあばら筋とコンクリートとの付着性を高めることができ、鉄筋コンクリート建造物全体の強度及び変形性能を増大させることができる貫通孔補強材を提供できる。
(2)螺旋状に形成された第一補強筋や第二補強筋は、バネ状に弾性を有することになるため、保管時や施工現場に運搬する時にはワイヤや紐等で縛って収縮させておき、施工時にはワイヤ等を外せば復元されるので、保管時や運搬時の嵩を小さくすることができ取扱性に優れた貫通孔補強材を提供できる。
(3)貫通孔1ヶ所に対して1個の貫通孔補強材で補強することができるとともに、貫通孔の長さに応じ貫通孔補強材を伸縮させて取り付けることができ施工性に優れた貫通孔補強材を提供できる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、
(1)貫通孔補強材の第一補強部が、鉄筋コンクリート建造物の材軸に対して40〜49°になるように貫通孔の周囲に配置され、前記貫通孔補強材の第二補強部が、前記材軸に対して50〜60°になるように前記貫通孔の周囲に配置されているので、初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)が抑制され、貫通孔の周囲の強度が高く、また変形性能にも優れた鉄筋コンクリート建造物の貫通孔補強構造を提供できる。
(2)貫通孔の周囲に配置された貫通孔補強材を端部から周回してみたときに、第一補強筋と第二補強筋とが交錯していないので、打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられないため、高い剪断強度が得られる鉄筋コンクリート建造物の貫通孔補強構造を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の実施の形態1における貫通孔補強材の平面図であり、(b)は実施の形態1における貫通孔補強材の正面図であり、(c)は実施の形態1における貫通孔補強材の側面図であり、(d)は実施の形態1における貫通孔補強材の底面図である。
図中、1は1本の鉄筋を折曲して形成された実施の形態1における貫通孔補強材、Cは貫通孔補強材1の中心軸であり、貫通孔101の周囲を補強する場合には、中心軸Cと貫通孔101の中心軸とを一致させて配置するため、中心軸Cが貫通孔101の中心に位置するよう図示している。2は貫通孔補強材1の一端側に中心軸Cの周囲に1周折曲形成された略方形状の第一補強筋、2aは中心軸Cを通る水平線上に位置する略90°に折曲された第一補強筋2の頂点、2bは貫通孔101の中心軸Cを通る垂直線上に位置する略90°に折曲された第一補強筋2の頂点、2cは中心軸Cの周囲を1周する第一補強筋2の頂点2a,2bの間に4ヶ所形成された第一補強部であり、中心軸Cを通る垂直線の左右に各々配置された2ヶ所の第一補強部2cのなす角α(第一補強部2c,頂点2a,第一補強部2cの角度α)が80〜98°好ましくは84〜96°(本実施の形態では略90°)に形成されている。また、第一補強部2cは、中心軸C方向から見たときの投影線(図1(b))において、中心軸Cを通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されている。なお、第一補強部2cは貫通孔101の周囲では、材軸Aに対して40〜49°好ましくは42〜48°(本実施の形態では略45°)の角度で配置される。
3は中心軸C方向から見たときの投影線が縦長の略菱形に形成され第一補強筋2と連続して螺旋状に形成された第二補強筋、3aは中心軸Cを通る水平線上で頂点2aの内側に位置する略110°に折曲された第二補強筋3の頂点、3bは中心軸Cを通る垂直線上に位置する略70°に折曲された第二補強筋3の頂点、3cは中心軸Cの周囲を1周する毎に第二補強筋3の頂点3a,3bの間に4ヶ所ずつ形成された第二補強部であり、中心軸Cを通る垂直線の左右に各々配置された2ヶ所の第二補強部3cのなす角β(第二補強部3c,頂点3a,第二補強部3cの角度β)が100〜120°好ましくは104〜116°(本実施の形態では略110°)に形成されている。なお、第二補強部3cは貫通孔101の周囲では、材軸Aに対して50〜60°好ましくは52〜58°(本実施の形態では略55°)の角度で配置される。
4は第二補強筋3と連続して貫通孔補強材1の他端側に略方形状に形成された第一補強筋、4aは中心軸Cを通る水平線上に位置する略90°に折曲された第一補強筋4の頂点、4bは中心軸Cを通る垂直線上に位置する略90°に折曲された第一補強筋4の頂点である。図1(b)の正面図において、第一補強筋4は第一補強筋2と重なっているため図面には現れていないが、第一補強筋4は、第一補強筋2と同様に、頂点4a,4bの間に第一補強部4cが4ヶ所形成されており、中心軸Cを通る垂直線の左右に各々配置された2ヶ所の第一補強部4cのなす角α(第一補強部4c,頂点4a,第一補強部4cの角度α)が略90°に形成されている。また、中心軸C方向から見たときの投影線において、第一補強部4cが中心軸Cを通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されているのも、第一補強部2cと同様である。なお、本実施の形態においては、頂点3bは頂点2b,4bと略同一の高さで形成されている。梁等の鉄筋コンクリート建造物に配置したときに、接線ひび割れ位置からの第二補強部3cの定着長をできるだけ長く確保するためである。
5は第一補強筋2の端部から第一補強部2cと併設して延設された下部補強筋、6は下部補強筋5を第二補強筋2の内側に略水平に折曲したスリーブ管等の型枠材支持部、7は第一補強筋4の端部から第一補強部2cと併設して延設された下部補強筋、8は下部補強筋7を第二補強筋4の内側に略水平(略45°)に折曲したスリーブ管等の型枠材支持部、9は第一補強筋2の頂点2bと第二補強筋3の頂点3bとをスポット溶接等で固着した固着部、10は第一補強筋4の頂点4bと第二補強筋3の頂点3bとをスポット溶接等で固着した固着部である。
【0021】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における貫通孔補強材について、以下その施工方法を、図面を参照しながら説明する。
図2(a)は鉄筋コンクリート建造物の一つである有孔梁に貫通孔補強材を使用した正面図であり、(b)はその側面図である。
図中、11は主筋、12はあばら筋、13は型枠材である。
始めに、型枠材13を貫通孔補強材1の中央部空間に挿入し、型枠材支持部6,8で支持させる。次に、主筋11及びあばら筋12を配筋した後、貫通孔補強材1の第1補強筋2,4を所定のあばら筋12に固定し、貫通孔の位置が墨出しされた図示しない型枠内に貫通孔補強材1が固定された主筋11及びあばら筋12を落とし込み、貫通孔補強材1を設置する。次いで、型枠内にコンクリートを打設することで、周囲が補強された貫通孔を得ることができる。
【0022】
以上のように、本発明の実施の形態1における貫通孔補強材は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)中心軸Cの周囲に1周折曲形成された第一補強筋2(及び4)と、第一補強筋2に4ヶ所形成された第一補強部2c(及び4c)と、中心軸Cの周囲に1周以上折曲形成された第二補強筋3と、中心軸Cの周囲を1周する第二補強筋3に4ヶ所形成された第二補強部3cと、を備え、中心軸Cの左右に各々配された第一補強部2c,2cのなす角αが略90°に形成され、中心軸Cの左右に各々配された第二補強部3c,3cが略110°に形成されているので、中心軸Cと貫通孔101の中心軸とを一致させて配置すると、第一補強部2c(及び4c)を材軸に対して略45°の角度で配置し、第二補強部3cを材軸Aに対して略55°の角度で配置できるので、第一補強部2c,4c及び第二補強部3cが対角線ひび割れ及び接線ひび割れにそれぞれ略直交するため、初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)を抑制し、貫通孔101の周囲の強度を増大させるとともに、変形性能も増大させることができる。
(2)中心軸Cの周囲を1周する第一補強筋2(及び4)に第一補強部2c(及び4c)が4ヶ所形成され、中心軸Cの周囲を1周する第二補強筋3に第二補強部3cが4ヶ所形成されているので、貫通孔101の周囲に配置された貫通孔補強材1を端部から周回してみたときに、第一補強筋2,4と第二補強筋3とが交錯していないので、打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられないため、高い剪断強度が得られる。
(3)第一補強部2c,4cが、中心軸C方向から見たときの投影線において、中心軸Cを通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されているので、貫通孔補強材1の中心軸Cと貫通孔の中心軸とを一致させて配置すると、対角線ひび割れの進展方向と第一補強部2c,4cとの交点が第一補強部2c,4cの中点とほぼ一致するので、交点の両側の第一補強部2c,4cの定着長が略等しくなるため、第一補強部2c,4cに必要な定着長を確保することができ、安定して貫通孔101の周囲の強度を増大させることができる。
(4)第二補強筋3が中心軸Cの周囲に螺旋状に形成されているので、貫通孔101の周囲に沿って貫通孔補強材1が埋設されることになるため補強強度が増大し、さらにひび割れが発生してからもコンクリートの剥離や剥落を抑制し、貫通孔101の周囲に配置された主筋11やあばら筋12とコンクリートとの付着性を高めることができ、鉄筋コンクリート建造物全体の強度及び変形性能を増大させることができる。
(5)螺旋状に形成された第二補強筋3は、バネ状に弾性を有することになるため、保管時や施工現場に運搬する時にはワイヤや紐等で縛って収縮させておき、施工時にはワイヤ等を外せば復元されるので、保管時や運搬時の嵩を小さくすることができ取扱性に優れる。
(6)螺旋状に形成された第二補強筋3の両端に連続して第一補強筋2,4が折曲形成されているので、貫通孔1ヶ所に対して1個の貫通孔補強材1で補強することができるとともに、貫通孔101の長さに応じ貫通孔補強材1を伸縮させて取り付けることができ、施工性に優れる。
【0023】
(実施の形態2)
図3(a)は本発明の実施の形態2における貫通孔補強材の正面図であり、(b)は実施の形態2における貫通孔補強材の側面図であり、(c)は実施の形態2における貫通孔補強材の底面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1aは実施の形態2における貫通孔補強材である。実施の形態2における貫通孔補強材1aが実施の形態1における貫通孔補強材1と異なる点は、第一補強筋2の頂点2bと第二補強筋3の頂点3bとをスポット溶接等で固着した固着部9、第一補強筋4の頂点4bと第二補強筋3の頂点3bとをスポット溶接等で固着した固着部10を備えていない点であるが、貫通孔補強材1aをあばら筋12に固定する施工の際に、第1補強筋2,4を被りがとれるようにあばら筋12に固定すれば、実施の形態1で説明した場合と同様に使用することができ、実施の形態1に記載したのと同様の作用が得られる。
【0024】
(実施の形態3)
図4(a)は本発明の実施の形態3における貫通孔補強材の平面図であり、(b)は実施の形態3における貫通孔補強材の正面図であり、(c)は実施の形態3における貫通孔補強材の側面図であり、(d)は実施の形態3における貫通孔補強材の底面図であり、(e)は実施の形態3における貫通孔補強材の背面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、21は1本の鉄筋を折曲して形成された実施の形態3における貫通孔補強材、22は第一補強筋2と連続して中心軸Cの周囲を1周する略菱形に形成された第二補強筋、22aは中心軸Cを通る水平線上で頂点2aの内側に配置される略110°に折曲された第二補強筋22の頂点、22bは中心軸Cを通る垂直線上に配置される略70°に折曲された第二補強筋22の頂点、22cは第二補強筋22の頂点22a,22bの間に4ヶ所形成された第二補強部であり、中心軸Cを通る垂直線の左右に各々配置された2ヶ所の第二補強部22cのなす角β(第二補強部22c,頂点22a,第二補強部22cの角度β)が略110°に形成されている。なお、頂点2b,22bをスポット溶接等で固着して使用することもできる。
6aは下部補強筋5を略90°に折曲し第二補強筋22の内側に突設したスリーブ管等の型枠材支持部、8aは下部補強筋7を略90°に折曲し第二補強筋22の内側に突設したスリーブ管等の型枠材支持部である。
【0025】
以上のように構成された実施の形態3における貫通孔補強材21は、貫通孔1ヶ所につき、少なくとも2個設置することによって、型枠材の支持と貫通孔の補強を行うことができる。
【0026】
以上のように構成された本発明の実施の形態3における貫通孔補強材によれば、以下のような作用が得られる。
(1)中心軸Cの周囲に1周折曲形成された第一補強筋2と、第一補強筋21に4ヶ所形成され中心軸Cの左右に各々配される2ヶ所のなす角αが略90°に形成された第一補強部2cと、中心軸Cの周囲に1周折曲形成された第二補強筋22と、第二補強筋22に4ヶ所形成され中心軸Cの左右に各々配される2ヶ所のなす角βが略110°に形成された第二補強部22cと、を備えているので、貫通孔補強材21の中心軸Cと貫通孔101の中心軸とを一致させて配置すると、第一補強部2cを材軸に対して略45°の角度で配置し、第二補強部22cを材軸に対して略55°の角度で配置できるので、第一補強部2c及び第二補強部22cが対角線ひび割れ及び接線ひび割れにそれぞれ略直交するため、初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)を抑制し、貫通孔101の周囲の強度を増大させるとともに、変形性能も増大させることができる。
(2)中心軸Cの周囲を1周する第一補強筋2に第一補強部2cが4ヶ所形成され、中心軸Cの周囲を1周する第二補強筋22に第二補強部22cが4ヶ所形成されているので、貫通孔101の周囲に配置された貫通孔補強材21を端部から周回してみたときに、第一補強筋2と第二補強筋22とが交錯していないので、打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられないため、高い剪断強度が得られる。
(3)第一補強部2cが、中心軸C方向から見たときの投影線において、中心軸Cを通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されているので、貫通孔補強材21の中心軸Cと貫通孔101の中心軸とを一致させて配置すると、対角線ひび割れの進展方向と第一補強部2cとの交点が第一補強部2cの中点とほぼ一致するので、交点の両側の第一補強部2cの定着長が略等しくなるため、第一補強部2cに必要な定着長を確保することができ、安定して貫通孔101の周囲の強度を増大させることができる。
【0027】
(実施の形態4)
図5(a)は本発明の実施の形態4における貫通孔補強材の平面図であり、(b)は実施の形態4における貫通孔補強材の正面図であり、(c)は実施の形態4における貫通孔補強材の側面図であり、(d)は実施の形態4における貫通孔補強材の底面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、31は1本の鉄筋を折曲して形成された実施の形態4における貫通孔補強材、32は貫通孔補強材31の一端側に八角形状に形成された第一補強筋、32aは中心軸Cを通る水平線の上下に配置される第一補強筋32の頂点、32bは中心軸Cを通る垂直線の左右に配置される第一補強筋32の頂点、32cは頂点32a,32bの間に形成された第一補強部であり、中心軸Cの左右に各々配される2ヶ所の第一補強部32c,32cの延長線のなす角αが略90°に形成されている。また、第一補強部32cは、第一補強筋32が中心軸Cの周囲を1周する間に4ヶ所形成されており、中心軸C方向から見たときの投影線(図5(b))において、中心軸Cを通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されている。32dは頂点32a,32aの間に形成され中心軸Cを通る垂直線に対して略平行に形成された短辺、32fは頂点32b,32bの間に形成され中心軸Cを通る水平線に対して略平行に形成された短辺である。
33は第一補強筋32と連続し中心軸C方向から見たときの投影線が六角形状の螺旋状に形成された第二補強筋、33aは中心軸Cを通る水平線上で短辺32dの内側に配置され略110°に折曲された第二補強筋33の頂点、33bは中心軸Cを通る垂直線の左右に配置された第二補強筋33の頂点、33cは頂点33a,33bの間に形成され中心軸Cの左右に配される2ヶ所のなす角βが略110°に形成された第二補強部である。第二補強部33cは第二補強筋33が中心軸Cの周囲を1周する間に4ヶ所ずつ形成されている。
34は第二補強筋33と連続して貫通孔補強材31の他端側に八角形状に形成された第一補強筋であり、第一補強筋32と同様に、頂点34a,34bの間に延長線のなす角αが略90°の第一補強部が形成されている。なお、本実施の形態においては、頂点32b,33b,34bは略同一の高さで形成されている。貫通孔101が梁せいの上下に偏って設けられた場合でも、配置したときに、第一補強筋32,34や第二補強筋33が主筋等から突き出て被りが不足するのを防止するためである。
【0028】
以上のように構成された本発明の実施の形態4における貫通孔補強材によれば、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第一補強筋32,34が八角形状に形成され、第二補強筋33を中心軸C方向から見たときの投影線が六角形状に形成されており、貫通孔補強材31の高さを低く抑えているので、貫通孔101が梁せいの上下に偏って設けられた場合でも、第一補強筋32,34や第二補強筋33が主筋等から突き出て被りが不足するのを防止できる。
(2)また、貫通孔補強材31の横幅を短く形成しているので、梁等に連続的に近接して貫通孔101が設けられた場合でも、貫通孔補強材31を隣り合う貫通孔101に接触させないで配置することができ自在性に優れる。
【0029】
(実施の形態5)
図6(a)は本発明の実施の形態5における貫通孔補強材の平面図であり、(b)は実施の形態5における貫通孔補強材の正面図であり、(c)は実施の形態5における貫通孔補強材の側面図であり、(d)は実施の形態5における貫通孔補強材の底面図であり、(e)は実施の形態5における貫通孔補強材の背面図である。なお、実施の形態4で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、41は1本の鉄筋を折曲して形成された実施の形態5における貫通孔補強材、42は第一補強筋32と連続して六角形状に形成された第二補強筋、42aは中心軸Cを通る水平線上で短辺32dの内側に配置される略110°に折曲された第二補強筋42の頂点、42bは中心軸Cを通る垂直線の左右に配置される第二補強筋42の頂点、42cは頂点42a,42bの間に形成され2ヶ所のなす角βが略110°に形成された第二補強部、42dは頂点42b,42bの間に形成され中心軸Cを通る水平線に対して略平行に配置された短辺である。第二補強部42cは第二補強筋42が中心軸Cの周囲を1周する間に4ヶ所形成されている。なお、短辺32f,42dはスポット溶接等で固着して使用することもできる。
【0030】
以上のように構成された本発明の実施の形態5における貫通孔補強材によれば、実施の形態3に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第一補強筋32が八角形状に形成され、第二補強筋42が六角形状に形成されており、貫通孔補強材41の高さを低く抑えているので、貫通孔101が梁せいの上下に偏って設けられた場合でも、第一補強筋32や第二補強筋42が主筋等から突き出てしまうのを防止できる。
(2)また、貫通孔補強材41の横幅を短く形成しているので、梁等に連続的に近接して貫通孔101が設けられた場合でも、貫通孔補強材41を隣り合う貫通孔101に接触させないで配置することができ自在性に優れる。
【0031】
(実施の形態6)
図7(a)は本発明の実施の形態6における貫通孔補強材の正面図であり、(b)はその側面図である。
図中、51は1本の鉄筋を折曲して形成された実施の形態6における貫通孔補強材、52は貫通孔補強材1の一端側に形成された第一補強筋、52aは中心軸Cを通る水平線上に配置され略90°に折曲された第一補強筋52の頂点、52bは中心軸Cを通る垂直線上に配置され略90°に折曲された第一補強筋52の頂点、52cは頂点52a,52bの間に形成され中心軸Cの左右に各々配される2ヶ所のなす角αが略90°に形成された第一補強部である。第一補強部52cは、第一補強筋52が中心軸Cの周囲を1周する間に4ヶ所形成されており、また中心軸C方向から見たときの投影線(図7(a))において、中心軸Cを通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されている。52dは第一補強部52c,52cの間の頂点52bから内側(中心軸C側)にリング状に折曲したリング筋である。リング筋52dは、形成される貫通孔101と接するような直径で形成されている。
53は中心軸C方向から見たときの投影線が略菱形の螺旋状に形成され第一補強筋52と連続して形成された第二補強筋、53aは中心軸Cを通る水平線上で頂点52aの内側に配置され略110°に折曲された第二補強筋53の頂点、53bは中心軸Cを通る垂直線上に配置された略70°に折曲された第二補強筋53の頂点、53cは頂点53a,53bの間に形成されなす角βが略110°に形成された第二補強部である。第二補強部53cは第二補強筋53が中心軸Cの周囲を1周する間に4ヶ所ずつ形成されている。
54は第二補強筋53と連続して貫通孔補強材51の他端側に第一補強筋52と同様に折曲形成された第一補強筋である。
【0032】
以上のように構成された本発明の実施の形態6における貫通孔補強材によれば、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)貫通孔101の上下に配置されるリング筋52dを備えているので、接線ひび割れの抑制効果を増大させることができ、ひび割れによるコンクリートの膨らみや剥離を抑制させて、貫通孔101の上下に配筋される主筋の座屈を防止することができる。
【0033】
(実施の形態7)
図8(a)は本発明の実施の形態7における貫通孔補強材の正面図であり、(b)は実施の形態7における貫通孔補強材の側面図である。
図中、61は1本の鉄筋を折曲して形成された実施の形態7における貫通孔補強材、62は鉄筋を折曲して中心軸Cの周囲に六角形状に形成された第二補強筋、62aは中心軸Cを通る水平線上に配置され略110°に折曲された第二補強筋62の頂点、62bは中心軸Cを通る垂直線の左右に配置される第二補強筋62の頂点、62cは頂点62a,62bの間に形成され2ヶ所のなす角βが略110°の第二補強部である。第二補強部62cは第二補強筋62が中心軸Cの周囲を1周する間に4ヶ所形成されている。62dは頂点62b,62bの間に形成された短辺、62eは短辺62dの延設部を中心軸C側に略90°折曲した短辺、62fは短辺62eを略90°に折曲し略水平に配設したスリーブ管等の型枠材支持部である。
63は第二補強筋62の他端側と連続して中心軸C方向から見たときの投影線が方形の螺旋状に形成された第一補強筋、63aは中心軸Cを通る水平線上に配置され略90°に折曲された第一補強筋63の頂点、63bは中心軸Cを通る垂直線上に配置され略90°に折曲された第一補強筋63の頂点、63cは頂点63a,63bの間に形成され2ヶ所のなす角αが略90°の第一補強部である。第一補強部63cは、第一補強筋63が中心軸Cの周囲を1周する間に4ヶ所ずつ形成されており、また中心軸C方向から見たときの投影線(図8(a))において、中心軸Cを通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されている。
64は第一補強筋63の他端側と連続して第二補強筋62と同様に折曲形成された第二補強筋、64eは第一補強筋64の端部の延設部を中心軸C側に折曲した短辺、64fは短辺64eを略90°に折曲し略水平に配設したスリーブ管等の型枠材支持部である。
なお、本実施の形態においては、頂点62b,63b,64bは同一の高さに形成され、頂点62a,63a,64aは同一の幅に形成されている。
【0034】
以上のように構成された本発明の実施の形態7における貫通孔補強材によれば、実施の形態1に記載したのと同様の作用が得られる。
【0035】
(実施の形態8)
図9(a)は本発明の実施の形態8における貫通孔補強材の正面図であり、(b)は実施の形態8における貫通孔補強材の側面図である。なお、実施の形態7と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、61aは1本の鉄筋を折曲して形成された実施の形態8における貫通孔補強材、65は第二補強筋62,64の内側に貫通孔101の中心軸C方向から見たときの投影線が方形の螺旋状に形成された第一補強筋、65aは中心軸Cを通る水平線上で頂点62aより中心軸C側に配置され角αが略90°に折曲された第一補強筋65の頂点、65bは中心軸Cを通る垂直線上で短辺62dより中心軸C側に配置され略90°に折曲された第一補強筋65の頂点、65cは頂点65a,65bの間に形成された第一補強部である。第一補強部65cは、第一補強筋65が中心軸Cの周囲を1周する間に4ヶ所ずつ形成されており、また中心軸C方向から見たときの投影線(図9(a))において、中心軸Cを通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されている。
実施の形態8における貫通孔補強材は、螺旋状に形成された第一補強筋65の外径が、実施の形態7における貫通孔補強材の第一補強筋63の外径よりも小さな点で、実施の形態7と相違する。
【0036】
以上のように構成された本発明の実施の形態8における貫通孔補強材も、実施の形態1に記載したのと同様の作用が得られる。
【0037】
(実施の形態9)
図10(a)は本発明の実施の形態9における貫通孔補強材の正面図であり、(b)は実施の形態9における貫通孔補強材の側面図である。なお、実施の形態7と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、61bは1本の鉄筋を折曲して形成された実施の形態9における貫通孔補強材、66は第二補強筋62,64の内側に中心軸C方向から見たときの投影線が外径の異なる方形の螺旋状に形成された第一補強筋である。
実施の形態9における貫通孔補強材は、螺旋状に形成された第一補強筋66の外径が、中心軸C方向に沿って変化している点で、実施の形態7と相違する。
【0038】
以上のように構成された本発明の実施の形態9における貫通孔補強材も、実施の形態1に記載したのと同様の作用が得られる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
試験体(有孔梁)を作成し、本発明の貫通孔補強材を埋設した試験体の強度性状及び変形性状を評価した。
図11は試験体の配筋図である。
図中、70は試験体、71は試験体70内に配設された主筋、72は主筋71間に配設されたあばら筋、73は支点、74は加力点、75は支点73及び加力点74の位置に配設された補強筋(帯筋)、76は剪断スパン及び梁せいの中央に形成された貫通孔である。
なお、試験体70の形状寸法は、梁幅b=200mm、梁せいD=420mm、全長L=2760mm、剪断スパン比a/d=1.62とし、主筋71(D25、SD390)、あばら筋(D10、SD295A)、補強筋(帯筋)(D6、KSS785)を配し、貫通孔76の開口直径He=133mm(He/D≒1/3)として、曲げ降伏に先行して剪断破壊するように試験体70を設計した。
貫通孔76には実施の形態1で説明した貫通孔補強材1を設置した。貫通孔補強材1は外径6mmの高強度鉄筋(σy=800N/mm級)を使用して、第一補強筋2の横幅(頂点2a,2a間の間隔)を326mmに形成し、第二補強筋3の螺旋を3周形成したものを用いた。
打設したコンクリートは、呼び強度27.0N/mm、スランプ18cm、材令33日、圧縮強度σc=28.2N/mmであった。
試験は有孔梁試験で一般的に採用されている逆対称曲げモーメント方式で行い、加力は一方向単調載荷とした。荷重、変位等の測定は、荷重をロードセルで、変位は2個の高感度変位計を用いて、剪断スパンにおける支点間相対変位を測定した。
比較のために、貫通孔補強材で補強しない有孔梁の荷重及び変位も測定した。
【0040】
この結果、貫通孔補強材で貫通孔を補強した有孔梁は剪断強度が810kN(補強しない場合は521kN)であった。また、貫通孔を補強した有孔梁の日本建築学会式(日本建築学会:鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説、1999,pp271−274)で求めた計算値に対する実験値の割合は、1.35であり、普通鉄筋コンクリート造有孔梁の設計において、低減係数算定の基準値(1.32)を上回る結果が得られた。
【0041】
図12は試験体の荷重−変位曲線である。実線で示したものは、実施の形態1の貫通孔補強材で補強した有孔梁の荷重変位曲線であり、破線で示したものは、貫通孔補強材で補強しない有孔梁の荷重変位曲線である。
図12によれば、実施の形態1の貫通孔補強材で貫通孔を補強した有孔梁試験体(実施例)の変形性状は、曲げひび割れ、対角線ひび割れ及び接線ひび割れ発生時による局部的な変形の増大もみられず、最大荷重までの剛性低下も小さく、緩やかな変形性能を示していることがわかる。
以上のことから、高強度鉄筋(σy=800N/mm級)を用いた本実施例の貫通孔補強材は、コンクリート強度FC=27N/mm級の普通コンクリート造有孔梁の開口補強に有効であることが確認できた。
実施の形態3で説明したタイプの貫通孔補強材についても、同様の試験を行い、開口補強に有効であることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、鉄筋コンクリート若しくは鉄骨鉄筋コンクリート等の鉄筋コンクリート建造物において、形成された貫通孔によって生ずる梁等の強度低下を防止する貫通孔補強材及びそれを用いた鉄筋コンクリート建造物の補強構造に関し、打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられず、さらに初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)を抑制し、貫通孔の周囲の強度を増大させるとともに変形性能も増大させることができ高い剪断強度が得られる貫通孔補強材を提供することができ、また、打設されたコンクリートの付着が不十分な箇所が生じ難く付着力の低下がみられず、さらに初期ひび割れから最終破壊に至るまでの剪断ひび割れ(対角線ひび割れ及び接線ひび割れ)が抑制され、貫通孔の周囲の強度が高く、変形性能にも優れる鉄筋コンクリート建造物の貫通孔補強構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)実施の形態1における貫通孔補強材の平面図 (b)実施の形態1における貫通孔補強材の正面図 (c)実施の形態1における貫通孔補強材の側面図 (d)実施の形態1における貫通孔補強材の底面図
【図2】(a)鉄筋コンクリート建造物の一つである有孔梁に貫通孔補強材を使用した正面図 (b)その側面図
【図3】(a)実施の形態2における貫通孔補強材の正面図 (b)実施の形態2における貫通孔補強材の側面図 (c)実施の形態2における貫通孔補強材の底面図
【図4】(a)実施の形態3における貫通孔補強材の平面図 (b)実施の形態3における貫通孔補強材の正面図 (c)実施の形態3における貫通孔補強材の側面図 (d)実施の形態3における貫通孔補強材の底面図 (e)実施の形態3における貫通孔補強材の背面図
【図5】(a)実施の形態4における貫通孔補強材の平面図 (b)実施の形態4における貫通孔補強材の正面図 (c)実施の形態4における貫通孔補強材の側面図 (d)実施の形態4における貫通孔補強材の底面図
【図6】(a)実施の形態5における貫通孔補強材の平面図 (b)実施の形態5における貫通孔補強材の正面図 (c)実施の形態5における貫通孔補強材の側面図 (d)実施の形態5における貫通孔補強材の底面図 (e)実施の形態5における貫通孔補強材の背面図
【図7】(a)実施の形態6における貫通孔補強材の正面図 (b)実施の形態6における貫通孔補強材の側面図
【図8】(a)実施の形態7における貫通孔補強材の正面図 (b)実施の形態7における貫通孔補強材の側面図
【図9】(a)実施の形態8における貫通孔補強材の正面図 (b)実施の形態8における貫通孔補強材の側面図
【図10】(a)実施の形態9における貫通孔補強材の正面図 (b)実施の形態9における貫通孔補強材の側面図
【図11】試験体の配筋図
【図12】試験体の荷重−変位曲線
【図13】従来の梁開口補強材の正面図
【符号の説明】
【0044】
1,1a 貫通孔補強材
2 第一補強筋
2a,2b 頂点
2c 第一補強部
3 第二補強筋
3a,3b 頂点
3c 第二補強部
4 第一補強筋
4a,4b 頂点
5 下部補強筋
6,6a 型枠材支持部
7 下部補強筋
8,8a 型枠材支持部
9,10 固着部
11 主筋
12 あばら筋
13 型枠材
21 貫通孔補強材
22 第二補強筋
22a,22b 頂点
22c 第二補強部
31 貫通孔補強材
32 第一補強筋
32a,32b 頂点
32c 第一補強部
32d,32f 短辺
33 第二補強筋
33a,33b 頂点
33c 第二補強部
34 第一補強筋
41 貫通孔補強材
42 第二補強筋
42a,42b 頂点
42c 第二補強部
42d 短辺
51 貫通孔補強材
52 第一補強筋
52a,52b 頂点
52c 第一補強部
53 第二補強筋
53a,53b 頂点
53c 第二補強部
54 第一補強筋
61,61a,61b 貫通孔補強材
62 第二補強筋
62a,62b 頂点
62c 第二補強部
62d,62e,64e 短辺
62f 型枠材支持部
63 第一補強筋
63a,63b 頂点
63c 第一補強部
64 第二補強筋
64f 型枠材支持部
65 第一補強筋
65a,65b 頂点
65c 第一補強部
66 第一補強筋
70 試験体
71 主筋
72 あばら筋
73 支点
74 加力点
75 補強筋
76 貫通孔
100 梁開口部補強材
101 貫通孔
102 型枠材支持部
103 下部補強筋
104,106,109,111 接線割れ抑制筋
105,107,108,110 対角線割れ抑制筋
112 型枠材支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋で折曲形成され鉄筋コンクリート建造物に形成される貫通孔の周囲を補強する貫通孔補強材であって、中心軸の周囲に1周以上折曲形成された第一補強筋と、前記中心軸の周囲を1周する前記第一補強筋に4ヶ所形成され前記中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角αが80〜98°に形成された第一補強部と、前記第一補強筋と連続して前記中心軸の周囲に1周以上折曲形成された第二補強筋と、前記中心軸の周囲を1周する前記第二補強筋に4ヶ所形成され前記中心軸の左右に各々配される2ヶ所のなす角βが100〜120°に形成された第二補強部と、を備えていることを特徴とする貫通孔補強材。
【請求項2】
前記第一補強部が、前記中心軸方向から見たときの投影線において、前記中心軸を通る水平線及び垂直線に対して線対称位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の貫通孔補強材。
【請求項3】
前記第一補強筋及び/又は前記第二補強筋が、前記中心軸の周囲に螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の貫通孔補強材。
【請求項4】
請求項1乃至3の内いずれか1に記載の貫通孔補強材の第一補強部が、鉄筋コンクリート建造物の材軸に対して40〜49°になるように貫通孔の周囲に配置され、前記貫通孔補強材の第二補強部が、前記材軸に対して50〜60°になるように前記貫通孔の周囲に配置されていることを特徴とする鉄筋コンクリート建造物の貫通孔補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−50816(P2008−50816A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227216(P2006−227216)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年7月31日 社団法人 日本建築学会発行の「2006年度大会(関東)学術講演梗概集 C−2分冊」に発表
【出願人】(802000031)財団法人北九州産業学術推進機構 (187)
【Fターム(参考)】