説明

貯湯式の給湯装置

【課題】非加熱状態で貯留される時間が長くなる湯水が存在することによる水質低下を抑制し得る貯湯式の給湯装置を提供する。
【解決手段】貯湯槽2と、貯湯用循環路18を通して貯湯槽2の湯水を循環させる湯水循環手段19と、貯湯用循環路18を通流する湯水を加熱する加熱手段Hと、運転制御手段5とが設けられ、運転制御手段5が、時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ、及び、貯湯槽2の容量データに基づいて、湯水が給水路16を通して供給されてから加熱手段Hにて加熱されることなく貯湯槽2に貯留される非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、湯水が加熱手段Hにて加熱されてから加熱手段Hにて再加熱されることなく貯湯槽2に貯留される非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、水質向上処理を実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底部に接続された給水路を通して水が供給され且つ上部に接続された給湯路を通して湯水が送出される貯湯槽と、
槽底部から取り出した湯水を槽上部に戻す形態で貯湯用循環路を通して前記貯湯槽の湯水を循環させる湯水循環手段と、
前記貯湯用循環路を通流する湯水を加熱する加熱手段と、
運転を制御する運転制御手段とが設けられた貯湯式の給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる貯湯式の給湯装置は、例えば一般家庭に設置されるものであり、湯水循環手段により、槽底部から取り出した湯水を槽上部に戻す形態で貯湯用循環路を通して貯湯槽の湯水を循環させながら、その貯湯用循環路を通流する湯水を加熱手段により加熱することにより、貯湯槽に温度成層を形成する状態で湯水を貯留することになる。
そして、給湯路を通して貯湯槽の上部から湯水が送出されて、台所や風呂等の給湯箇所に供給され、その湯水の送出に伴って、給水路を通して貯湯槽の底部に水が供給される。
ちなみに、加熱手段は、例えば、燃料電池等の熱電併給装置から発生する熱を熱源として加熱作用するように構成される。
【0003】
ところで、このような貯湯式の給湯装置においては、貯湯槽の湯水の水質が低下する前にその水質低下を抑制するための水質向上処理を行う必要があるので、その水質向上処理の要否を判別する必要がある。
【0004】
従来は、給湯路を通して貯湯槽から送出される湯水の流量を検出する流量センサが設けられ、並びに、貯湯槽の湯水の温度を検出する複数の湯水温度検出手段が貯湯槽の底部から上部にわたって間隔を隔てて設けられて、運転制御手段は、複数の湯水温度検出手段のうちの少なくとも1つの検出温度が設定水質維持温度よりも低い低貯湯温状態になると、その低貯湯温状態が継続する低貯湯温状態継続時間の計測及び流量センサの検出流量の積算を開始し、流量センサの検出流量の積算流量が湯水入替判別用設定容量に達せず且つ複数の湯水温度検出手段のうちの少なくとも1つの検出温度が設定水質維持温度よりも低い状態で、低貯湯温状態継続時間が設定低貯湯温状態許容時間に達すると、水質向上処理を実行するように構成されていた。ちなみに、前記設定水質維持温度は、湯水の水質の維持が可能な所定の温度、例えば、前記加熱手段による湯水の加熱温度よりも多少低い温度に設定され、前記湯水入替判別用設定容量は、貯湯槽の容量に設定されている。
【0005】
説明を加えると、給水路を通して水道水が貯湯槽に供給されるものであることから、貯湯槽の湯水の全量又は略全量が加熱手段にて加熱されていない湯水に入れ替わると、貯湯槽の全体又は略全体が塩素を含有した湯水にて満たされた状態となって、貯湯槽の湯水の水質が向上することになる。
そこで、流量センサの検出流量の積算流量が湯水入替判別用設定容量に達すると、貯湯槽の湯水の全量又は略全量が給水路を通して供給されたのち加熱手段にて加熱されていない湯水に入れ替わった状態になったとして、低貯湯温状態継続時間の計測を停止して、計測した低貯湯温状態継続時間を0にリセットするように構成されていた。
又、複数の湯水温度検出手段全ての検出温度が設定水質維持温度以上になると、貯湯槽の全体又は略全体が水質維持温度以上の湯水にて満たされた状態となって、貯湯槽の湯水の水質低下が抑制されたとして、低貯湯温状態継続時間の計測を停止して、計測した低貯湯温状態継続時間を0にリセットするように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2006−29745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の貯湯式の給湯装置では、貯湯槽の湯水の全量又は略全量が加熱手段にて加熱されていない湯水に入れ替わっていないにも拘らず、貯湯槽の湯水の全量又は略全量が加熱手段にて加熱されていない湯水に入れ替わった湯水入れ替わり状態であると誤判別する虞があるので、加熱手段にて加熱されることなく非加熱状態で貯留される時間が長くなって水質が低下する虞のある湯水が貯湯槽に存在するにも拘らず、水質向上処理が実行されない場合があり、貯湯槽の湯水の水質低下を抑制する上で改善の余地があった。
【0008】
即ち、貯湯槽の底部から取り出された湯水が加熱手段にて加熱されたのち貯湯槽の上部に戻される形態で、貯湯槽の湯水が貯湯用循環路を通して循環されるものであることから、給湯路を通して貯湯槽の上部から湯水が送出されるに伴って、給水路を通して供給された湯水が貯湯用循環路を通して循環されて直ちに給湯路を通して送出されることになるので、先に貯湯槽に供給された湯水よりも後から貯湯槽に供給された湯水の方が先に給湯路を通して送出される虞がある。
【0009】
従って、後から貯湯槽に供給された湯水の方が先に貯湯槽に供給された湯水よりも先に給湯路を通して送出されているにも拘らず、そのときの湯水も流量センサの検出流量として積算されることから、流量センサの検出流量の積算が開始された時点において貯湯槽に貯留されていた湯水が全量又は略全量送出されていないにも拘らず、流量センサの検出流量を積算した積算流量が湯水入替判別用設定容量に達することになるので、湯水入れ替わり状態を誤判別することになる。
つまり、非加熱状態で貯留される時間が設定低貯湯温状態許容時間以上となる湯水が貯湯槽に存在する場合があり、そして、そのような湯水が貯湯槽に存在しても水質向上処理が行われないので、貯湯槽の湯水の水質低下を抑制する上で改善の余地があった。
【0010】
又、貯湯槽の湯水は加熱手段により加熱されるとその水質低下が抑制されるとしていたが、給湯路を通して貯湯槽から送出されずに貯湯槽に滞留している間に、貯湯用循環路を通して循環されて加熱手段にて加熱されるにしても、貯湯槽に滞留する滞留時間が長くなり過ぎると、湯水の水質が低下する虞がある。
しかしながら、従来の貯湯式の給湯装置では、複数の湯水温度検出手段全ての検出温度が設定水質維持温度以上になると、低貯湯温状態継続時間をリセットすることから、貯湯槽に滞留している間に加熱手段にて加熱されるものの貯湯槽に滞留する時間が長くなり過ぎる湯水が貯湯槽に存在する虞があり、この点においても、貯湯槽の湯水の水質低下を抑制する上で改善の余地があった。
【0011】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、非加熱状態で貯留される時間が長くなる湯水が存在することによる水質低下を抑制し得る貯湯式の給湯装置を提供することにあり、その第2の目的は、加熱手段にて加熱されるとしても貯湯槽に滞留する時間が長くなる湯水が存在することによる水質低下を抑制し得る貯湯式の給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の貯湯式の給湯装置は、底部に接続された給水路を通して水が供給され且つ上部に接続された給湯路を通して湯水が送出される貯湯槽と、
槽底部から取り出した湯水を槽上部に戻す形態で貯湯用循環路を通して前記貯湯槽の湯水を循環させる湯水循環手段と、
前記貯湯用循環路を通流する湯水を加熱する加熱手段と、
運転を制御する運転制御手段とが設けられたものであって、
第1特徴構成は、前記運転制御手段が、前記給水路から前記貯湯槽への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ、前記貯湯用循環路を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データ、及び、前記貯湯槽の容量データに基づいて、湯水が前記給水路を通して供給されてから前記加熱手段にて加熱されることなく前記貯湯槽に貯留される非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、湯水が前記加熱手段にて加熱されてから前記加熱手段にて再加熱されることなく前記貯湯槽に貯留される非再加熱貯留時間が前記設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、前記貯湯槽の湯水の水質低下を抑制するための水質向上処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0013】
即ち、運転制御手段は、時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ及び貯湯槽の容量データに基づいて、貯湯槽内の湯水について、給水路を通して供給されたのち加熱手段にて加熱されていない湯水か、給水路を通して供給されたのち加熱手段にて加熱された湯水かを把握し、並びに、加熱されていない湯水については、給水路を通して供給されてから加熱手段にて加熱されることなく貯湯槽に貯留される非加熱貯留時間を管理し、加熱手段にて加熱された湯水については、加熱手段にて加熱されてから加熱手段にて再加熱されることなく貯湯槽に貯留される非再加熱貯留時間を管理して、その非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、水質向上処理を実行する。
【0014】
つまり、給水路を通しての貯湯槽への給水と貯湯用循環路を通しての貯湯槽の湯水の循環とのうち、給水のみが行われるときは、貯湯槽内の湯水が上方に流動しつつ、給水路を通して貯湯槽の底部に供給されて貯留される湯水と同量の湯水が貯湯槽の上部から給湯路を通して送出され、循環のみが行われるときは、貯湯槽内の湯水が下方に流動しつつ、底部から貯湯用循環路に取り出された湯水が加熱手段にて加熱されたのち上部に戻され、給水と循環とが並行して行われるときは、給水路を通して供給された湯水のうちの貯湯用循環路を通して循環される循環量に相当する分が貯湯槽の上部に戻されて給湯路を通して送出されると共に、給水路を通して供給された湯水のうちの貯湯用循環路を通して循環されなかった分が貯湯槽の底部に貯留され且つその底部に貯留される湯水と同量の湯水が貯湯槽の上部から給湯路を通して送出されることになる。
このような貯湯槽の底部への給水及び貯湯槽の湯水の循環に伴う貯湯槽における湯水の出入り及び流動形態に鑑みて、時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ及び貯湯槽の容量データに基づいて、貯湯槽内の湯水について、加熱手段にて加熱されていない湯水か加熱手段にて加熱された湯水かを把握し、加熱されていない湯水については非加熱貯留時間を管理し、加熱手段にて加熱された湯水については非再加熱貯留時間を管理することができるのである。
【0015】
そして、湯水が給水路を通して供給されてから加熱手段にて加熱されることなく貯湯槽に貯留される状態、あるいは、湯水が加熱手段にて加熱されたのちその加熱手段にて再加熱されることなく貯湯槽に貯留される状態が継続しても、湯水の水質を良好な状態に維持できる時間に設定非加熱許容時間を設定して、上述のように、非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、水質向上処理を実行するようにすることにより、給水路を通して供給されてから加熱手段にて加熱されることなく貯湯槽に貯留される時間、あるいは、加熱手段にて加熱されたのちその加熱手段にて再加熱されることなく貯湯槽に貯留される時間が長くなって、湯水の水質が低下するよりも前に、的確に水質向上処理が実行されるようにすることが可能となり、貯湯槽の湯水の水質を良好な状態に維持することが可能となる。
従って、非加熱状態で貯留される時間が長くなる湯水が存在することによる水質低下を抑制し得る貯湯式の給湯装置を提供することができるようになった。
【0016】
本発明の貯湯式の給湯装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成と同じ前提構成を備えるものにおいて、
前記運転制御手段が、前記給水路から前記貯湯槽への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ、前記貯湯用循環路を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データ、及び、前記貯湯槽の容量データに基づいて、前記給水路を通して供給されてから前記貯湯槽に滞留する滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水が存在すると判別すると、前記貯湯槽の湯水の水質低下を抑制するための水質向上処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0017】
即ち、運転制御手段は、時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ及び貯湯槽の容量データに基づいて、貯湯槽内の湯水について、給水路を通して供給されてから貯湯槽に滞留する滞留時間を管理して、その滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水が存在すると判別すると、水質向上処理を実行する。
【0018】
つまり、上記の第1特徴構成についての説明において述べた如き貯湯槽における湯水の出入り及び流動形態に鑑みて、時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ及び貯湯槽の容量データに基づいて、貯湯槽内の湯水について、貯湯槽に滞留する滞留時間を管理することができるのである。
【0019】
そして、加熱手段にて加熱されることなく貯留されるか、加熱手段にて加熱されたのち貯留されるかに拘わらず、湯水が貯湯槽に貯留される状態が継続してもその水質を良好な状態に維持できる時間に設定滞留許容時間を設定して、上述のように、滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水が存在すると判別すると、水質向上処理を実行するようにすることにより、加熱手段にて加熱されることなく貯留されるか、加熱手段にて加熱されたのち貯留されるかに拘わらず、貯湯槽に滞留する時間が長くなって湯水の水質が低下するよりも前に、的確に水質向上処理が実行されるようにすることが可能となり、貯湯槽の湯水の水質を良好な状態に維持することが可能となる。
従って、加熱手段にて加熱されるとしても貯湯槽に滞留する時間が長くなる湯水が存在することによる水質低下を抑制し得る貯湯式の給湯装置を提供することができるようになった。
【0020】
本発明の貯湯式の給湯装置の第3特徴構成は、上記第1特徴構成と同じ前提構成を備えるものにおいて、
前記運転制御手段が、前記給水路から前記貯湯槽への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ、前記貯湯用循環路を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データ、及び、前記貯湯槽の容量データに基づいて、
湯水が前記給水路を通して供給されてから前記加熱手段にて加熱されることなく前記貯湯槽に貯留される非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、湯水が前記加熱手段にて加熱されてから前記加熱手段にて再加熱されることなく前記貯湯槽に貯留される非再加熱貯留時間が前記設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、前記貯湯槽の全体又は略全体を前記加熱手段又はその加熱手段とは別の前記貯湯用循環路を通流する湯水を加熱する別加熱手段にて加熱した湯で満たすように前記湯水循環手段を作動させ且つ前記加熱手段又は前記別加熱手段を加熱作動させる全体加熱処理を実行し、且つ、
前記給水路を通して供給されてから前記貯湯槽に滞留する滞留時間が前記設定非加熱許容時間よりも長い設定滞留許容時間以上となる湯水が存在すると判別すると、前記貯湯槽の湯水の全量又は略全量を前記給水路からの水に入れ替える湯水入替処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0021】
即ち、運転制御手段は、時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ及び貯湯槽の容量データに基づいて、貯湯槽内の湯水について、給水路を通して供給されたのち加熱手段にて加熱されていない湯水か、給水路を通して供給されたのち加熱手段にて加熱された湯水かを把握し、並びに、加熱されていない湯水については、給水路を通して供給されてから加熱手段にて加熱されることなく貯湯槽に貯留される非加熱貯留時間を管理し、加熱手段にて加熱された湯水については、加熱手段にて加熱されてから加熱手段にて再加熱されることなく貯湯槽に貯留される非再加熱貯留時間を管理して、その非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、貯湯槽の全体又は略全体を加熱手段又は別加熱手段にて加熱した湯で満たすように湯水循環手段を作動させ且つ加熱手段又は別加熱手段を加熱作動させる全体加熱処理を水質向上処理として実行する。
又、運転制御手段は、時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ及び貯湯槽の容量データに基づいて、貯湯槽内の湯水について、給水路を通して供給されてから貯湯槽に滞留する滞留時間を管理して、滞留時間が設定非加熱許容時間よりも長い設定滞留許容時間以上となる湯水が存在すると判別すると、貯湯槽の湯水の全量又は略全量を給水路からの水に入れ替える湯水入替処理を水質向上処理として実行する。
【0022】
つまり、上記の第1特徴構成についての説明において述べた如き貯湯槽における湯水の出入り及び流動形態に鑑みて、時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ及び貯湯槽の容量データに基づいて、貯湯槽内の湯水について、加熱手段にて加熱されていない湯水か加熱手段にて加熱された湯水かを把握し、加熱されていない湯水については非加熱貯留時間及び滞留時間を管理し、加熱手段にて加熱された湯水については非再加熱貯留時間及び滞留時間を管理することができるのである。
【0023】
設定非加熱許容時間を、上記の第1特徴構成についての説明において述べたのと同様に設定し、設定滞留許容時間を、設定非加熱許容時間よりも長く、しかも、貯湯槽に滞留している間に加熱手段により加熱される状態で貯湯槽に貯留される状態が継続してもその水質を良好な状態に維持できる時間に設定する。
そして、上述のように、非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、全体加熱処理を実行し、且つ、滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水が存在すると判別すると、湯水入替処理を実行するようにすることにより、給水路を通して供給されてから加熱手段にて加熱されることなく貯湯槽に貯留される時間、あるいは、加熱手段にて加熱されたのちその加熱手段にて再加熱されることなく貯湯槽に貯留される時間が長くなって、湯水の水質が低下するよりも前に、的確に全体加熱処理が実行されるようにして、湯水の水質低下を抑制することを可能となり、しかも、そのようにして水質低下を抑制しながらも、貯湯槽に滞留する時間が長くなり過ぎて水質が低下することをも回避することが可能となるので、貯湯槽の湯水の水質をより一層良好な状態に維持することが可能となる。
従って、非加熱状態で貯留される時間が長くなる湯水が存在することによる水質低下、及び、加熱手段にて加熱されるとしても貯湯槽に滞留する時間が長くなる湯水が存在することによる水質低下の両方を抑制し得る貯湯式の給湯装置を提供することができるようになった。
【0024】
本発明の貯湯式の給湯装置の第4特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記運転制御手段が、前記水質向上処理として、前記貯湯槽の湯水の全量又は略全量を前記給水路からの水に入れ替える湯水入替処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0025】
即ち、運転制御手段は、水質向上処理として、貯湯槽の湯水の全量又は略全量を給水路からの水に入れ替える湯水入替処理を実行するので、貯湯槽の湯水の全量又は略全量が給水路からの新鮮な水に入れ替えられる。
【0026】
つまり、貯湯槽の湯水が給湯路を通して貯湯槽から送出されずに貯湯槽に滞留している間に、加熱手段にて加熱されてその水質低下が抑制されるにしても、貯湯槽に滞留する時間が長くなると、水質低下を抑制し難くなる虞がある。
そこで、水質向上処理として湯水入替処理を実行することにより、貯湯槽に滞留している間に加熱手段により加熱されることにより水質が向上されながらも貯湯槽に滞留する時間が長くなって水質低下を抑制し難くなった湯水が給水路からの新鮮な水に入れ替えられる。
従って、貯湯槽の湯水の水質低下をより一層抑制することができるようになった。
【0027】
本発明の貯湯式の給湯装置の第5特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記運転制御手段が、前記水質向上処理として、前記貯湯槽の全体又は略全体を前記加熱手段又はその加熱手段とは別の前記貯湯用循環路を通流する湯水を加熱する別加熱手段にて加熱した湯で満たすように前記湯水循環手段を作動させ且つ前記加熱手段又は前記別加熱手段を加熱作動させる全体加熱処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0028】
即ち、運転制御手段が、水質向上処理として、貯湯槽の全体又は略全体を加熱手段又はその加熱手段とは別の前記貯湯用循環路を通流する湯水を加熱する別加熱手段にて加熱した湯で満たすように湯水循環手段を作動させ且つ加熱手段又は別加熱手段を加熱作動させる全体加熱処理を実行するので、貯湯槽の全体又は略全体が加熱手段又は別加熱手段にて加熱した湯で満たされる。
【0029】
つまり、貯湯槽の湯水は加熱手段又は別加熱手段により加熱されることにより殺菌が行われて水質低下が抑制されるので、全体加熱処理を実行することにより、貯湯槽の全体又は略全体が加熱手段又は別加熱手段による加熱により殺菌された湯水で満たされることになり、貯湯槽の湯水の水質低下を抑制することができる。
ちなみに、水質向上処理として、貯湯槽の湯水の全量を排水して給水路からの水に入れ替える形態で、湯水入替処理を実行することが想定されるが、この場合は、湯水及びその加熱に消費されたエネルギを無駄にすることになる。
従って、湯水及びその加熱に消費されたエネルギを無駄にすることなく、貯湯槽の湯水の水質低下を抑制することができるようになった。
【0030】
本発明の貯湯式の給湯装置の第6特徴構成は、上記第1〜第5特徴構成のいずれかに加えて、
前記運転制御手段が、前記給水路を通しての前記貯湯槽への給水と前記貯湯用循環路を通しての前記貯湯槽の湯水の循環とが並行して行われるときは、前記時系列的な給水量データ及び前記時系列的な湯水循環量データについては、前記時系列的な給水量データのみを管理するように構成されている点を特徴とする。
【0031】
即ち、運転制御手段は、給水路を通しての貯湯槽への給水と貯湯用循環路を通しての貯湯槽の湯水の循環とが並行して行われるときは、時系列的な給水量データ及び時系列的な湯水循環量データについては、時系列的な給水量データのみを管理して、滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理、あるいは、非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理及び非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理を実行する。
【0032】
つまり、単位時間当たりの湯水循環量は、単位時間当たりの給水量に比べてかなり少ないものであるので、貯湯槽への給水と貯湯槽の湯水の循環とが並行して行われるときは、時系列的な給水量データ及び時系列的な湯水循環量データについては、時系列的な給水量データのみを管理するようにすることにより、演算処理構成を簡略化しながらも、滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理、あるいは、非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理及び非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理を的確に実行して、水質向上処理を的確に実行することができる。
従って、演算処理構成を簡略化しながら、貯湯槽の湯水の水質低下を抑制することができるようになった。
【0033】
本発明の貯湯式の給湯装置の第7特徴構成は、上記第1〜第5特徴構成のいずれかに加えて、
前記運転制御手段が、前記給水路を通しての前記貯湯槽への給水と前記貯湯用循環路を通しての前記貯湯槽の湯水の循環とが並行して行われるときは、前記時系列的な給水量データ及び前記時系列的な湯水循環量データについては、それらの両方を管理するように構成されている点を特徴とする。
【0034】
即ち、運転制御手段は、給水路を通しての貯湯槽への給水と貯湯用循環路を通しての貯湯槽の湯水の循環とが並行して行われるときは、時系列的な給水量データ及び時系列的な湯水循環量データについては、それらの両方を管理して、滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理、あるいは、非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理及び非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理を実行する。
【0035】
つまり、単位時間当たりの湯水循環量は、単位時間当たりの給水量に比べてかなり少ないものの、貯湯槽への給水と貯湯槽の湯水の循環とが並行して行われるときは、時系列的な給水量データ及び時系列的な湯水循環量データについては、それらの両方を管理することにより、滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理、あるいは、非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理及び非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水が存在するか否かの判別処理をより一層的確に実行することができるようになって、水質向上処理をより一層的確に実行することができるようになる。
従って、貯湯槽の湯水の水質低下をより一層抑制することができるようになった。
【0036】
本発明の貯湯式の給湯装置の第8特徴構成は、上記第1〜第7特徴構成のいずれかに加えて、
前記運転制御手段が、前記貯湯槽から前記給湯路に送出される単位時間当たりの湯水送出量についての時系列的な湯水送出量データを、前記時系列的な給水量データとして管理するように構成されている点を特徴とする。
【0037】
即ち、運転制御手段は、貯湯槽から給湯路に送出される単位時間当たりの湯水送出量についての時系列的な湯水送出量データを、時系列的な給水量データとして管理する。
【0038】
つまり、給湯路を通して貯湯槽の上部から湯水が送出されるのに伴って、その貯湯槽の上部から送出された湯水の量と同量の水が貯湯槽の底部に供給されるので、時系列的な湯水送出量データを時系列的な給水量データとして代用することができる。
そして、通常、給湯先への給湯量の計測用、あるいは、給湯先の給湯負荷の計測用等として、給湯路に流量センサが設けられているので、その流量センサの検出情報に基づいて計測される時系列的な湯水送出量データを時系列的な給水量データとして代用することができる。
従って、時系列的な給水量データを計測するための手段の追加を不要にして低廉化を図りながら、貯湯槽の湯水の水質低下を抑制することができるようになった。
【0039】
本発明の貯湯式の給湯装置の第9特徴構成は、上記第1〜第8特徴構成のいずれかに加えて、
前記給水路からの水を前記貯湯槽を迂回して前記給湯路に供給する混合給水路、及び、その混合給水路を通して供給される水と前記貯湯槽から前記給湯路を通して送出される湯水との混合比率を調節自在な混合手段が設けられ、
前記給水路における前記混合給水路の分岐箇所よりも上流側の箇所にて前記給水路を通流する水の単位時間当たりの流量を検出する分岐前水供給量検出手段、又は、前記給湯路における前記混合給水路の接続箇所よりも下流側にて前記給湯路を通流する湯水の単位時間当たりの流量を検出する混合後湯水送出量検出手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記混合手段にて混合されたのちの湯水の温度が目標給湯温度になるように前記混合手段の作動を制御し、且つ、
前記貯湯槽から送出される湯水の温度、前記混合給水路にて供給される水の温度、前記目標給湯温度及び前記分岐前水供給量検出手段の検出情報若しくは前記混合後湯水送出量検出手段の検出情報に基づいて、又は、前記混合手段の制御情報及び前記分岐前水供給量検出手段の検出情報若しくは前記混合後湯水送出量検出手段の検出情報に基づいて、前記時系列的な給水量データを求めるように構成されている点を特徴とする。
【0040】
即ち、運転制御手段は、混合手段にて混合されたのちの湯水の温度が目標給湯温度になるように混合手段の作動を制御する。
又、運転制御手段は、貯湯槽から送出される湯水の温度、混合給水路にて供給される水の温度、目標給湯温度及び分岐前水供給量検出手段の検出情報若しくは混合後湯水送出量検出手段の検出情報に基づいて、又は、混合手段の制御情報及び分岐前水供給量検出手段の検出情報若しくは混合後湯水送出量検出手段の検出情報に基づいて、時系列的な給水量データを求める。
【0041】
つまり、貯湯槽から送出される湯水の温度が目標給湯温度よりも高いときには、混合手段にて混合されたのちの湯水の温度を目標給湯温度にすべく、混合給水路を通して供給される水と貯湯槽から給湯路を通して送出される湯水との混合比率を調節するように混合手段の作動が制御されることになって、貯湯槽から送出される湯水の温度が目標給湯温度よりも高いときでも、目標給湯温度の湯水が給湯先に供給される。
ちなみに、給湯路を通して貯湯槽の上部から湯水が送出されるのに伴って、その貯湯槽の上部から送出された湯水の量と同量の水が貯湯槽の底部に供給されることになるので、混合手段にて混合されたのちの湯水の温度を目標給湯温度にすべく、混合給水路を通して供給される水と貯湯槽から給湯路を通して送出される湯水との混合比率を調節することは、混合手段にて混合されたのちの湯水の温度を目標給湯温度にすべく、混合給水路を通して供給される水と給水路を通して貯湯槽に供給される水との混合比率を調節することにもなる。
【0042】
そして、そのように目標給湯温度の湯水を供給できるように混合手段を設ける場合に、通常は、給湯先での時系列的な給湯熱負荷の検出用として、上述の如き分岐前水供給量検出手段又は混合後湯水送出量検出手段が設けられることになり、上述のように、給湯路を通して貯湯槽の上部から湯水が送出されるのに伴って、その貯湯槽の上部から送出された湯水の量と同量の水が貯湯槽の底部に供給されることになるので、分岐前水供給量検出手段にて検出される流量と混合後湯水送出量検出手段にて検出される流量は同一である。
【0043】
そこで、混合手段にて混合されたのちの湯水の温度が目標給湯温度になるように混合手段の作動が制御される場合に、貯湯槽から送出される湯水の温度、混合給水路にて供給される水の温度、目標給湯温度及び分岐前水供給量検出手段の検出情報若しくは混合後湯水送出量検出手段の検出情報に基づいて、又は、混合手段の制御情報及び分岐前水供給量検出手段の検出情報若しくは混合後湯水送出量検出手段の検出情報に基づいて、時系列的な送水量データ、即ち、時系列的な給水量データを求めることができ、そして、そのように、分岐前水供給量検出手段の検出情報若しくは混合後湯水送出量検出手段の検出情報に基づいて時系列的な給水量データを求めるように構成することにより、給水路から貯湯槽への単位時間当たりの給水量、又は、貯湯槽から給湯路に送出される単位時間当たりの湯水送出量を検出するために、新たに流量検出手段を設けることなく、時系列的な給水量データを求めることができる。
従って、目標給湯温度の湯水を供給できるように混合手段を設けた場合に、時系列的な給水量データを計測するための手段の追加を不要にして低廉化を図りながら、貯湯槽の湯水の水質低下を抑制することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明にかかる貯湯式の給湯装置をコージェネレーションシステムに適用した場合の第1実施形態を説明する。
コージェネレーションシステムは、図1に示すように、電力と熱とを発生する熱電併給装置としての燃料電池1と、その燃料電池1が発生する熱を冷却水にて回収し、その冷却水を利用して貯湯槽2への貯湯及び熱消費端末3への熱媒供給を行う貯湯暖房ユニット4と、燃料電池1及び貯湯暖房ユニット4の運転を制御する運転制御手段としての運転制御部5などから構成されている。ちなみに、前記熱消費端末3として、床暖房装置、浴室暖房乾燥機又はファンコンベクタ等が設けられる。
【0045】
前記燃料電池1は、周知であるので、詳細な説明及び図示を省略して簡単に説明すると、燃料電池1は、水素を含有する燃料ガス及び酸素含有ガスが供給されて発電するセルスタック、そのセルスタックに供給する燃料ガスを生成する燃料ガス生成部、前記セルスタックに酸素含有ガスとして空気を供給するブロア等を備えて構成されている。
前記燃料ガス生成部は、供給される都市ガス(例えば、天然ガスベースの都市ガス)等の炭化水素系の原燃料ガスを脱硫処理する脱硫器、その脱硫器から供給される脱硫原燃料ガスと別途供給される水蒸気とを改質反応させて水素を主成分とする改質ガスを生成する改質器、その改質器から供給される改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気にて二酸化炭素に変成処理する変成器、その変成器から供給される改質ガス中の一酸化炭素を別途供給される選択酸化用空気にて選択酸化する一酸化炭素除去器等から構成され、一酸化炭素を変成処理及び選択酸化処理により低減した改質ガスを前記燃料ガスとして前記セルスタックに供給するように構成されている。
【0046】
そして、前記燃料ガス生成部への原燃料ガスの供給量を調節することにより、前記燃料電池1の発電出力を調節するように構成されている。
前記燃料電池1の電力の出力側には、系統連系用のインバータ6が設けられ、そのインバータ6は、燃料電池1の発電電力を商用電源7から受電する受電電力と同じ電圧及び同じ周波数にするように構成されている。
前記商用電源7は受電電力供給ライン8を介して、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電力負荷9に電気的に接続されている。
また、インバータ6は、発電電力供給ライン10を介して受電電力供給ライン8に電気的に接続され、燃料電池1の発電電力がインバータ6及び発電電力供給ライン10を介して電力負荷9に供給されるように構成されている。
【0047】
前記受電電力供給ライン8には、電力負荷9の負荷電力を計測する電力負荷計測手段11が設けられ、この電力負荷計測手段11は、受電電力供給ライン8を通して流れる電流に逆潮流が発生するか否かも検出するように構成されている。
そして、逆潮流が生じないように、インバータ6により燃料電池1から受電電力供給ライン8に供給される電力が制御され、発電出力の余剰電力は、その余剰電力を熱に代えて回収する電気ヒータ12に供給されるように構成されている。
【0048】
前記電気ヒータ12は、複数の電気ヒータから構成されて、冷却水循環ポンプ15の作動により冷却水循環路13を通流する燃料電池1の冷却水を加熱するように設けられ、インバータ6の出力側に接続された作動スイッチ14により各別にON/OFFが切り換えられるように構成されている。
又、作動スイッチ14は、余剰電力の大きさが大きくなるほど、電気ヒータ12の消費電力が大きくなるように、余剰電力の大きさに応じて電気ヒータ12の消費電力を調整するように構成されている。
尚、電気ヒータ12の消費電力を調整する構成については、上記のように複数の電気ヒータ12のON/OFFを切り換える構成以外に、その電気ヒータ12の出力を例えば位相制御等により調整する構成を採用しても構わない。
【0049】
前記貯湯暖房ユニット4は、底部に接続された給水路16を通して水が供給され且つ上部に接続された給湯路17を通して湯水が送出される前記貯湯槽2、槽底部から取り出した湯水を槽上部に戻す形態で貯湯用循環路18を通して前記貯湯槽2の湯水を循環させる湯水循環手段としての湯水循環ポンプ19、熱媒循環路20を通して熱媒を前記熱消費端末3に循環供給させる熱媒循環ポンプ21、前記貯湯用循環路18を通流する湯水を加熱する貯湯用熱交換器22、前記熱媒循環路20を通流する熱媒を加熱する熱媒加熱用熱交換器23、前記貯湯槽2から送出されて給湯路17を通流する湯水を加熱する給湯用補助加熱器24、及び、前記熱媒循環路20を通流する熱媒を加熱する熱媒用補助加熱器25などを備えて構成されている。
【0050】
前記貯湯用循環路18は、前記貯湯槽2の底部と上部とに接続され、前記貯湯用熱交換器22は、前記冷却水循環路13を通流する燃料電池1の冷却水と前記貯湯用循環路18を通流する湯水とを熱交換させるように設けられている。
【0051】
前記冷却水循環路13における前記貯湯用熱交換器22から燃料電池1に戻る戻り流路部分には、燃料電池1に戻る冷却水を冷却するラジエータ33が設けられ、更に、前記戻り流路部分におけるラジエータ33と燃料電池1との間の箇所には、燃料電池1に戻る冷却水の温度を検出する冷却水戻り温度センサSrが設けられている。
【0052】
前記貯湯用循環路18における前記貯湯用熱交換器22と前記貯湯槽2の上部とを接続する部分に、貯湯用循環路18から分岐させたのち、再び合流させる形態で、熱媒加熱用流路部分18bが設けられ、前記熱媒加熱用熱交換器23が、熱媒加熱用流路部分18bを通流する湯水と前記熱媒循環路20を通流する熱媒とを熱交換させるように設けられ、更に、貯湯用循環路18における熱媒加熱用流路部分18bの分岐部分に、湯水を熱媒加熱用流路部分18bに通流させる熱媒加熱状態と湯水を熱媒加熱用流路部分18bに通流させない熱媒非加熱状態とに切り換える加熱切換用三方弁26が設けられている。
【0053】
そして、燃料電池1の発生熱を回収した冷却水を冷却水循環ポンプ15により冷却水循環路13を通して貯湯用熱交換器22を通過させて循環させ、並びに、貯湯槽2の湯水を湯水循環ポンプ19により貯湯用循環路18を通して貯湯用熱交換器22を通過させて循環させる状態で、加熱切換用三方弁26を前記熱媒非加熱状態に切り換えることにより、貯湯用熱交換器22にて燃料電池1の冷却水にて加熱された湯水がそのまま貯湯槽2の上部に供給され、加熱切換用三方弁26を前記熱媒加熱状態に切り換えることにより、貯湯用熱交換器22にて燃料電池1の冷却水にて加熱された湯水が熱媒加熱用熱交換器23において前記熱媒循環路20を通流する熱媒を加熱したのち、貯湯槽2の上部に供給されることになって、貯湯槽2に温度成層を形成する状態で湯水が貯留される。
つまり、前記貯湯用循環路18を通流する湯水を加熱する加熱手段としての加熱部Hが、前記燃料電池1、前記冷却水循環路13、前記冷却水循環ポンプ15、前記貯湯用循環路18、前記湯水循環ポンプ19及び前記貯湯用熱交換器22等を備えて構成される。
【0054】
前記給水路16と前記給湯路17における前記給湯用補助加熱器24よりも上流側の箇所とに接続して、前記貯湯槽2を迂回する形態で、槽迂回給水路27が設けられ、その槽迂回給水路27と給湯路17との接続部分に、給湯路17における貯湯槽2側の部分と給湯用補助加熱器24側の部分とを連通する通常給水状態と、前記槽迂回給水路27と給湯路17における給湯用補助加熱器24側の部分とを連通する槽迂回給水状態とに切り換える給水切換三方弁28が設けられている。
尚、この給水切換三方弁28は、給湯路17における給水切換三方弁28よりも貯湯槽2側の部分及び槽迂回給水路27の両方を、給湯路17における給水切換三方弁28よりも給湯用補助加熱器24側の部分に連通させた状態で、給湯路17からの湯水と槽迂回給水路27からの水との混合比率を調節自在な混合比調節状態にも切り換え可能なように構成されている。
【0055】
そして、前記給水切換三方弁28が前記通常給水状態に切り換えられた状態では、前記給湯路17の先端に設けられた給湯栓(図示省略)等が開栓されると、貯湯槽2の上部から湯水が給湯路17に送出されると共に、それに伴って、前記給水路16を通して水が貯湯槽2の底部に供給され、一方、給水切換三方弁28が前記槽迂回給水状態に切り換えられた状態では、前記給湯栓が開栓されると、槽迂回給水路27を通して水が給湯路17に供給されて、貯湯槽2からの湯水の送出が停止されることになる。
つまり、前記給水切換三方弁28が、前記給湯路17を通しての前記貯湯槽2の湯水の送出を停止する湯水送出停止状態に切り換え自在な湯水送出停止手段に相当する。
【0056】
前記熱媒循環路20には、熱媒を前記熱消費端末3を迂回さて通流させる端末迂回路29が設けられ、更に、熱媒循環路20と端末迂回路29との接続部には、熱媒を熱消費端末3に循環させる通常通流状態と、端末迂回路29を通して通流させて熱消費端末3を迂回させる端末迂回通流状態とに切り換え自在な熱媒循環切換三方弁30が設けられている。
【0057】
前記給湯用補助加熱器24及び前記熱媒用補助加熱器25は同様の構成であり、夫々、湯水又は熱媒を加熱する熱交換器h、その熱交換器hを加熱するバーナb、そのバーナbに燃焼用空気を供給するファンf、熱交換器hに流入する湯水又は熱媒の流入温度を検出する流入温度センサ(図示省略)、熱交換器hから流出する湯水又は熱媒の流出温度を検出する流出温度センサ(図示省略)、熱交換器hに流入する湯水又は熱媒の流量を検出する流量センサ(図示省略)等を備えて構成され、これら給湯用補助加熱器24及び熱媒用補助加熱器25の運転は前記運転制御部5により制御される。
尚、給湯用補助加熱器24の熱交換器hは、前記給湯路17を通流する湯水を加熱するように設けられ、熱媒用補助加熱器25の熱交換器hは、前記熱媒循環路20を通流する熱媒を加熱するように設けられている。
【0058】
前記運転制御部5による前記給湯用補助加熱器24及び前記熱媒用補助加熱器25夫々の運転制御について簡単に説明すると、前記流量センサが設定流量以上の流量を検出している状態で、前記流入温度センサにて検出される流入温度が目標加熱温度未満になると前記バーナbを燃焼させ、且つ、前記流出温度センサにて検出される流出温度が前記目標加熱温度になるように前記バーナbの燃焼量を調節し、前記バーナbの燃焼中に前記流量センサの検出流量が前記設定流量未満になると、前記バーナbを消火させる。
ちなみに、前記給湯用補助加熱器24における前記目標加熱温度は、このコージェネレーションシステムのリモコン操作部(図示省略)の温度設定部(図示省略)にて設定される目標給湯温度に基づいて設定され、前記熱媒用補助加熱器25における前記目標加熱温度は、予め設定された所定の温度(例えば、60°C)に設定される。
【0059】
前記給水路16には、その給水路16を通して前記貯湯槽2に供給される水の温度を検出する給水温度検出手段としての給水温度センサSiが設けられ、前記貯湯用循環路18における前記貯湯用熱交換器22と前記加熱切換用三方弁26との間の箇所には、貯湯用熱交換器22にて加熱された湯水の温度を検出する貯湯温度センサSh、及び、貯湯用循環路18を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量を検出する循環量センサQcが設けられている。
又、前記貯湯槽2には、その上部の湯水の温度を検出する槽上部湯水温度検出手段としての槽上部湯水温度センサSt、貯湯槽2を上下方向に概ね3等分した等分部分の中層部における上端部分の湯水の温度を検出する中間上位湯水温度センサSm、貯湯槽2の中層部における下端部分の湯水の温度を検出する中間下位湯水温度センサSn、及び、貯湯槽2の底部の湯水の温度を検出する槽底部湯水温度検出手段としての槽底部湯水温度センサSbが設けられている。
【0060】
前記運転制御部5は、槽上部、中間上位、中間下位及び槽底部の各湯水温度センサSt,Sm,Sn,Sb並びに給水温度センサSi夫々の検出温度に基づいて、前記貯湯槽2の貯湯熱量を演算するように構成され、以下、その貯湯熱量の演算方法について説明する。
前記槽上部湯水温度センサSt、中間上位湯水温度センサSm、中間下位湯水温度センサSn、槽底部湯水温度センサSb夫々にて検出される貯湯槽2の湯水の温度を、夫々、Tt、Tm、Tn、Tbとし、前記給水温度センサSiにて検出される給水温度をTiとし、上層部、中層部、下層部夫々の容量をV(リットル)とする。
又、前記上層部における重み係数をA1とし、前記中層部における重み係数をA2とし、前記下層部における重み係数をA3とすると、貯湯熱量(kcal)は、下記の(式1)にて演算することができる。尚、この実施形態では、熱量の単位をkcalにて示す場合があるが、1kWh=860kcalの関係に基づいて860に設定される係数αにて各値を除することにより、kWhの単位として求めることができる。
【0061】
貯湯熱量=(A1×Tt+(1−A1)×Tm−Ti)×V
+(A2×Tm+(1−A2)×Tn−Ti)×V
+(A3×Tn+(1−A3)×Tb−Ti)×V……………(式1)
【0062】
重み係数A1、A2、A3は、貯湯槽2の各層における過去の温度分布データを考慮した経験値である。ここで、A1、A2、A3としては、例えば、A1=A2=0.2、A3=0.5である。A1=A2=0.2とは、上層部においては温度Tmの影響が温度Ttの影響よりも大きいことを示す。これは、上層部の8割の部分は温度Tmに近く、2割の部分は温度Ttに近いことを示す。これは、中層部においても同様である。下層部においては、温度TnとTbの影響が同じであることを示す。
【0063】
前記給湯路17における前記給水切換三方弁28よりも上流側の箇所には、前記貯湯槽2から送出される単位時間当たりの湯水送出量を検出する送出量センサQsが設けられている。
又、前記給湯路17における前記給湯用補助加熱器25よりも下流側の箇所には、給湯先に湯水を給湯するときの給湯熱負荷を計測する給湯熱負荷計測手段31が設けられ、又、前記熱消費端末3での端末熱負荷を計測する端末熱負荷計測手段32も設けられている。尚、これら給湯熱負荷計測手段31及び端末熱負荷計測手段32は、通流する湯水や熱媒の温度を検出する負荷検出用温度センサ(図示省略)、湯水や熱媒の流量を検出する負荷検出用流量センサ(図示省略)及び前記給水温度センサSiを備えて構成され、前記運転制御部5により前記負荷検出用温度センサの検出温度、前記負荷検出用流量センサの検出流量及び前記給水温度センサSiの検出温度に基づいて熱負荷を検出するように構成されている。
【0064】
前記運転制御部5は、前記燃料電池1の運転中には前記冷却水循環ポンプ15を作動させる状態で、燃料電池1の運転を制御し、並びに、前記湯水循環ポンプ19、前記熱媒循環ポンプ21及び前記加熱切換用三方弁26夫々の作動を制御することによって、貯湯槽2内に湯水を貯湯する貯湯運転や、熱消費端末3に熱媒を供給する熱媒供給運転を行うように構成されている。又、前記運転制御部5は、後述する水質向上運転を実行しているときは前記給水切換三方弁28を前記迂回給水状態に切り換え、その水質向上運転を実行していないときは、前記給水切換三方弁28を前記通常給水状態に切り換えるように構成されている。
【0065】
前記運転制御部5は、熱消費端末3用の端末用リモコン(図示省略)から運転の指令がされない状態では、前記貯湯運転を行い、その貯湯運転では、前記加熱切換用三方弁26を前記熱媒非加熱状態に切り換えた状態で、前記貯湯温度センサShの検出温度が予め設定された目標貯湯温度(例えば60°C)になるように湯水循環量を調節すべく、前記湯水循環ポンプ19の作動を制御するように構成されている。
【0066】
又、前記運転制御部5は、前記端末用リモコンから運転が指令されると、前記熱媒供給運転を行い、その熱媒供給運転では、前記加熱切換用三方弁26を前記熱媒加熱状態に切り換えた状態で、前記熱媒循環ポンプ21を予め設定された設定回転速度で作動させ、並びに、前記貯湯温度センサShの検出温度が前記目標貯湯温度になるように湯水循環量を調節すべく、前記湯水循環ポンプ19の作動を制御するように構成されている。尚、運転制御部5は、この熱媒供給運転を実行する間は、前記熱媒循環切換三方弁30を前記通常通流状態に切り換えるように構成されている。
又、前記運転制御部5は、前記熱媒供給運転の実行中に前記端末用リモコンから運転の停止が指令されると、前記加熱切換用三方弁26を前記熱媒非加熱状態に切り換え、前記熱媒循環ポンプ21を停止させることにより、前記熱媒供給運転から前記貯湯運転に切り換えるように構成されている。
【0067】
前記運転制御部5は、前記燃料電池1の運転中は、前記冷却水戻り温度センサSrの検出温度を監視して、その検出温度が設定戻り許容温度よりも高くなると、前記ラジエータ33を作動させて、冷却水を冷却するように構成されている。
例えば、前記貯湯槽2の貯湯量が満杯になって、前記貯湯用熱交換器22において、貯湯槽2からの湯水との熱交換により冷却水が前記設定戻り許容温度にまで冷却されない場合は、ラジエータ33が作動して、燃料電池1に戻る冷却水を強制的に冷却する構成となっている。
【0068】
次に、運転制御部5による燃料電池1の運転の制御について説明する。
この運転制御部5は、運転周期の開始時点において、時系列的な予測電力負荷及び時系列的な予測熱負荷に基づいて、予測電力負荷に対する燃料電池1の電力の出力形態又は燃料電池1を運転する運転時間帯を異ならせた複数種の運転形態夫々の運転メリットを求め、その求めた運転メリットが最も高い運転形態を燃料電池1の運転形態に定めて、その定めた運転形態にて燃料電池1を運転するように構成されている。
例えば、前記運転周期は1日に設定され、その運転周期を構成する複数の管理用時間が1時間に設定されている。又、前記運転メリットとして、燃料電池1を運転することにより得られると予測される予測エネルギ削減量を求めるように構成されている。
【0069】
前記運転制御部5により時系列的な予測電力負荷及び時系列的な予測熱負荷を求める処理について、説明を加える。ちなみに、熱負荷は、前記給湯先に湯水を給湯するときの給湯熱負荷と、前記熱消費端末3での端末熱負荷とからなる。
前記運転制御部5は、実電力負荷データ、実給湯熱負荷データ及び実端末熱負荷データを運転周期及び管理用時間に対応付けてメモリに記憶することにより、過去の時系列的な電力負荷データ及び過去の時系列的な熱負荷データを、設定期間(例えば、運転日前の4週間)にわたって、運転周期毎に管理用時間毎に対応付けて管理するように構成されている。
ちなみに、実電力負荷は、前記電力負荷計測手段11の計測値及び前記インバータ6の出力値に基づいて計測され、実給湯熱負荷は前記給湯熱負荷計測手段31にて計測され、実端末熱負荷は前記端末熱負荷計測手段32にて計測される。
【0070】
そして、前記運転制御部5は、運転周期の開始時点(例えば午前3時)において、時系列的な過去電力負荷データ及び時系列的な過去熱負荷データの管理データに基づいて、連続する予測用設定回数(例えば3回)の運転周期のうちの最初の運転周期の時系列的な予測熱負荷データ及び時系列的な予測電力負荷データ、並びに、予測用設定回数の運転周期のうちの最初の運転周期に後続する運転周期の時系列的な予測熱負荷データを管理用時間毎に区分けして求めるように構成されている。ちなみに、時系列的な予測熱負荷データは、時系列的な予測給湯熱負荷データと時系列的な予測端末熱負荷データとを加えたデータであるが、この実施形態においては、熱の負荷状態としては、前記熱消費端末3での端末熱負荷が発生しておらず、給湯熱負荷のみが発生するとして説明する。
【0071】
前記複数種の運転形態について、説明を加える。
前記複数種の運転形態として、運転周期中、燃料電池1を連続して運転する連続運転形態、及び、運転周期中、燃料電池1を断続して運転する断続運転形態を含み、更に、連続運転形態として、予測電力負荷に対する燃料電池1の電力の出力形態を異ならせた複数種の運転形態が含まれ、前記断続運転形態として、予測電力負荷に対する燃料電池1の電力の出力形態又は燃料電池1を運転する運転時間帯を異ならせた複数種の運転形態が含まれている。
【0072】
前記複数種の連続運転形態として、前記運転周期の全時間帯において燃料電池1の発電出力を予測電力負荷に追従させる負荷追従連続運転形態、前記運転周期の複数の管理用時間のうちの一部の管理用時間において前記燃料電池1の発電出力を前記予測電力負荷よりも小さな設定抑制出力とし且つ残りの管理用時間において前記燃料電池1の発電出力を前記予測電力負荷に追従させる抑制連続運転形態、及び、前記運転周期の複数の管理用時間のうちの一部の管理用時間において前記燃料電池1の発電出力を前記予測電力負荷よりも大きな設定増大出力とし且つ残りの管理用時間において前記燃料電池1の発電出力を前記予測電力負荷に追従させる強制連続運転形態が含まれる。
【0073】
更に、抑制連続運転形態が、前記設定抑制出力とする管理用時間を、前記負荷追従連続運転形態にて前記燃料電池1を運転するときに前記運転周期の複数の管理用時間のうちに前記貯湯槽2の予測貯湯熱量が貯湯槽2における予め設定された上限貯湯熱量以上になる熱余り状態が発生する管理用時間が存在する場合に、前記熱余り状態が発生する管理用時間よりも以前の管理用時間のうちで、前記熱余り状態が解消し且つ予測エネルギ削減量が最も大きくなる管理用時間に定めるものであり、前記強制連続運転形態が、前記設定増大出力とする管理用時間を、前記負荷追従連続運転形態にて前記燃料電池1を運転するときに前記運転周期の複数の管理用時間のうちに前記貯湯槽2の予測貯湯熱量が予測熱負荷に対して不足する熱不足状態が発生する管理用時間が存在する場合に、前記熱不足状態が発生する管理用時間よりも以前の管理用時間のうちで、前記熱不足状態が解消し且つ予測エネルギ削減量が最も大きくなる管理用時間に定めるものである。
【0074】
前記貯湯槽2の予測貯湯熱量は、貯湯槽2に湯水にて蓄えられると予測される熱量であり、各管理用時間の予測貯湯熱量(kcal/h)は、下記の式2、式3にて求められる。尚、各式において、添え字「n」は、運転周期における管理用時間の順序を示し、例えば、n=1のときは、運転周期の1番目の管理用時間を示す。
但し、n=1のときの式2における予測貯湯熱量n-1としての予測貯湯熱量0は、運転周期の開始時点の予測貯湯熱量であり、上記の式1に基づいて求められた値とされる。
【0075】
予測貯湯熱量n=(予測貯湯熱量n-1−予測熱負荷n+予測熱出力n)×(1−槽放熱率)……………(式2)
予測熱出力n=α×{(予測発電出力n÷電池発電効率)×電池熱効率}+余剰電力×α×β−ベース放熱量……………(式3)
【0076】
但し、
槽放熱率は、貯湯槽2からの放熱率であり、予め設定されている。
電池発電効率は、燃料電池1における単位エネルギ消費量(kWh)に対する発電出力(kWh)の比率を示し、電池熱効率は、燃料電池1における単位エネルギ消費量(kWh)に対する発生熱量(kWh)の比率を示し、これら電池発電効率及び電池熱効率は発電出力に応じて設定されている。
ベース放熱量は、このコージェネレーションシステムにおいて、燃料電池1の発生熱量のうち、貯湯槽2への貯湯及び熱消費端末3による暖房に用いられることなく放熱される熱量であり、予め設定されている。
余剰電力は、予測発電出力が予測電力負荷よりも大きい場合に、予測発電出力から予測電力負荷を減じることにより求められる。
例えば、予測電力負荷が燃料電池1の最小出力よりも小さいときは、余剰電力は、燃料電池1の最小出力から予測電力負荷を減じることにより求められる。又、後述するが、燃料電池1の発電出力を予測電力負荷に追従する電主出力よりも大きい設定増大出力に設定するときは、余剰電力は、その設定増大出力から予測電力負荷を減じることにより求められる。尚、予測電力負荷が発電出力調節範囲の最小出力よりも小さいときは、その最小出力が電主出力となり、予測電力負荷が発電出力調節範囲の最大出力よりも大きいときは、その最大出力が電主出力となる。
αは、上述したように860に設定される係数である。
βは、電気ヒータ12にて余剰電力(kWh)を熱(kWh)に変換するときの効率であるヒータ効率であり、予め設定されている。
【0077】
前記複数種の断続運転形態として、燃料電池1の発電出力を前記予測電力負荷に追従させる管理用時間を、前記運転時間帯として、前記運転周期の複数の管理用時間のうちで最も予測エネルギ削減量が大きくなる管理用時間に定める負荷追従断続運転形態、燃料電池1の発電出力を前記予測電力負荷よりも小さな設定抑制出力に調節する管理用時間を、前記運転時間帯として、前記運転周期の複数の管理用時間のうちで最も予測エネルギ削減量が大きくなる管理用時間に定める抑制断続運転形態、及び、燃料電池1の発電出力を前記予測電力負荷よりも大きな設定増大出力に調節する管理用時間を、前記運転時間帯として、前記運転周期の複数の管理用時間のうちで最も予測エネルギ削減量が大きくなる管理用時間に定める強制断続運転形態が含まれる。
【0078】
更に、前記負荷追従断続運転形態として、燃料電池1の発電出力を前記予測電力負荷に追従させる管理用時間を、それを定める前記運転周期における予測電力負荷及び予測熱負荷に基づく予測エネルギ削減量が最も大きくなる管理用時間に定める単周期対応型の負荷追従断続運転形態と、燃料電池1の発電出力を前記予測電力負荷に追従させる管理用時間を、それを定める前記運転周期における予測電力負荷及び予測熱負荷並びに後続する運転周期における予測熱負荷に基づく予測エネルギ削減量が最も大きくなる管理用時間に定める複数周期対応型の負荷追従断続運転形態とが含まれる。
前記抑制断続運転形態として、燃料電池1の発電出力を前記設定抑制出力に調節する管理用時間を、それを定める前記運転周期における予測電力負荷及び予測熱負荷に基づく予測エネルギ削減量が最も大きくなる管理用時間に定める単周期対応型の抑制断続運転形態と、燃料電池1の発電出力を前記設定抑制出力に調節する管理用時間を、それを定める前記運転周期における予測電力負荷及び予測熱負荷並びに後続する運転周期における予測熱負荷に基づく予測エネルギ削減量が最も大きくなる管理用時間に定める複数周期対応型の抑制断続運転形態とが含まれる。
前記強制断続運転形態として、燃料電池1の発電出力を前記設定増大出力に調節する管理用時間を、それを定める前記運転周期における予測電力負荷及び予測熱負荷に基づく予測エネルギ削減量が最も大きくなる管理用時間に定める単周期対応型の強制断続運転形態と、燃料電池1の発電出力を前記設定増大出力に調節する管理用時間を、それを定める前記運転周期における予測電力負荷及び予測熱負荷並びに後続する運転周期における予測熱負荷に基づく予測エネルギ削減量が最も大きくなる管理用時間に定める複数周期対応型の強制断続運転形態とが含まれる。
【0079】
この実施形態では、運転周期が1日に設定されるので、負荷追従断続運転形態、抑制断続運転形態及び強制断続運転形態夫々の単周期対応型を1日対応型と記載する。又、負荷追従断続運転形態、抑制断続運転形態及び強制断続運転形態夫々の複数周期対応型としては、後続する運転周期が1回の2日対応型のものと、後続する運転周期が2回の3日対応型のものとが含まれる。
【0080】
以下、強制連続運転形態、及び、1日対応型、2日対応型、3日対応型の各強制断続運転形態夫々における設定増大出力、並びに、抑制連続運転形態、及び、1日対応型、2日対応型、3日対応型の各抑制断続運転形態夫々における設定抑制出力の設定方法について、説明する。
増大出力設定用又は抑制出力設定用の仮設定出力を前記燃料電池1の発電出力調節範囲(例えば、0.25〜0.75kW)内で段階的(例えば、0.05kW間隔)に設定し、各仮設定出力について、前記燃料電池1の発電出力を仮設定出力に調節したときに燃料電池1から発生する出力増大時発生熱量(kW)を下記の式4にて求め、仮設定出力を燃料電池1にて得る場合と商用電源7にて得る場合とのエネルギ消費量の差である出力抑制時発電用エネルギ量差(kW)を下記の式5にて求めて、それら出力増大時発生熱量及び出力抑制時発電用エネルギ量差を各仮設定出力に対応付けて、メモリに記憶させてある。
【0081】
出力増大時発生熱量=(仮設定出力÷電池発電効率)×電池熱効率……………(式4)
出力抑制時発電用エネルギ量差=仮設定出力÷電池発電効率−仮設定出力÷商用電源発電効率……………(式5)
但し、商用電源発電効率は、商用電源7における単位エネルギ消費量(kWh)に対する発電出力(kWh)の比率である。
【0082】
ちなみに、電池発電効率よりも商用電源発電効率の方が大きいため、出力抑制時発電用エネルギ量差は負の値として求められるので、出力抑制時発電用エネルギ量差の絶対値が小さいほど、エネルギ消費の面で有利となる。
【0083】
そして、前記運転制御部5は、運転周期の各管理用時間について、電主出力よりも大きい仮設定出力のうち、出力増大時発生熱量が最大のものを設定増大出力として設定し、電主出力よりも小さい仮設定出力のうち、出力抑制時発電用エネルギ量差の絶対値が最小のものを設定抑制出力として設定するように構成されている。
【0084】
次に、前記運転制御手段5により前記複数種の運転形態夫々についての予測エネルギ削減量を求める処理について、説明を加える。
各運転形態の予測エネルギ削減量は、下記の式6に示すように、燃料電池1を運転しない場合のエネルギ消費量から、燃料電池1を各運転形態にて運転した場合のエネルギ消費量を減じることにより演算する。
【0085】
予測エネルギ削減量P=燃料電池1を運転しない場合のエネルギ消費量E1−燃料電池1を運転した場合のエネルギ消費量E2……………(式6)
【0086】
前記燃料電池1を運転しない場合のエネルギ消費量E1(kWh)は、下記の式7に示すように、最初の運転周期の予測電力負荷の全てを商用電源7からの受電電力で補う場合の商用電源7におけるエネルギ消費量と、最初の運転周期の予測熱負荷の全てを給湯用補助加熱器24又は熱媒用補助加熱器25の発生熱で補う場合のエネルギ消費量との和として求められる。
つまり、どの運転形態の予測エネルギ削減量を求める場合でも、燃料電池1を運転しない場合のエネルギ消費量E1は、同様に求められる。
【0087】
E1=予測電力負荷/商用電源発電効率+予測熱負荷/補助加熱器熱効率……………(式7)
【0088】
但し、
予測熱負荷はkWhに変換した値である。
補助加熱器熱効率は、給湯用補助加熱器24や熱媒用補助加熱器25における単位エネルギ消費量(kWh又はkcal)に対する発生熱量(kWh又はkcal)の比率である。
【0089】
一方、燃料電池1を運転した場合のエネルギ消費量E2(kWh)は、下記の式8に示すように、最初の運転周期の予測電力負荷及び予測熱負荷を燃料電池1の予測発電出力及び予測熱出力で補う場合の燃料電池1の消費エネルギである運転周期エネルギ消費量と、予測電力負荷から予測発電出力を差し引いた分に相当する予測不足電力量の全てを商用電源7からの受電電力で補う場合の商用電源7におけるエネルギ消費量と、予測不足熱量の全てを給湯用補助加熱器24又は熱媒用補助加熱器25の発生熱で補う場合のエネルギ消費量との和にて求められる。
【0090】
E2=運転周期エネルギ消費量+予測不足電力量/商用電源発電効率+予測不足熱量/補助加熱器熱効率……………(式8)
【0091】
但し、予測不足熱量は、予測不足熱量を求める対象の管理用時間の予測熱負荷からその管理用時間の直前の管理用時間の予測貯湯熱量を減じることにより求められ、kWhの単位に変換される。
【0092】
運転周期エネルギ消費量は、下記の式9にて、各運転形態において燃料電池1を運転する管理用時間当たりのエネルギ消費量を求めて、その求めた管理用時間当たりのエネルギ消費量を積算することにより求める。
【0093】
エネルギ消費量=(発電出力÷電池発電効率)……………(式9)
【0094】
負荷追従連続運転形態の予測エネルギ削減量は、以下のようにして求める。
各管理用時間のエネルギ消費量を前記式9により発電出力を電主出力として求め、求めた各管理用時間のエネルギ消費量を積算することにより、運転周期エネルギ消費量を求め、その運転周期エネルギ消費量に基づいて、式8により、燃料電池1を運転した場合のエネルギ消費量E2を求める。そして、そのように求めた燃料電池1を運転した場合のエネルギ消費量E2と式7により求めた燃料電池1を運転しない場合のエネルギ消費量E1とに基づいて、式6により、予測エネルギ削減量Pを求める。
【0095】
強制連続運転形態の予測エネルギ削減量は、負荷追従連続運転形態にて前記燃料電池1を運転するとしたときに熱不足状態となる熱不足管理用時間が存在する場合に求められるものであり、以下のようにして求める。
即ち、運転周期における複数の管理用時間のうちの熱不足管理用時間(複数存在するときは、運転周期の開始時点に最も近いもの)よりも以前の管理用時間のうちで、選択した1つ又は連続する複数の管理用時間を発電出力を設定増大出力に調節する強制運転用時間帯とし且つ運転周期の残りの管理用時間を発電出力を電主出力に調節する電主運転用時間帯とする形態で、前記強制運転用時間帯として選択する管理用時間を異ならせることにより、強制運転用の仮運転パターンを全て形成し、全ての仮運転パターンについて、上記の式6〜式8に基づいて、予測エネルギ削減量を求める。
尚、強制運転用時間帯の管理用時間のエネルギ消費量を前記式9により発電出力を設定増大出力として求め、電主運転用時間帯の管理用時間のエネルギ消費量を前記式9により発電出力を電主出力として求めて、求めた各管理用時間のエネルギ消費量を積算することにより、運転周期エネルギ消費量を求める。
【0096】
そして、全ての強制運転用の仮運転パターンのうちで熱余り状態となる熱余り管理用時間が生じず且つ予測エネルギ削減量が最大の強制運転用の仮運転パターンを求め、その求めた仮運転パターンにおいて熱不足管理用時間が生じない場合は、その強制運転用の仮運転パターンを強制連続運転形態の運転パターンに定め、その強制運転用の仮運転パターンの予測エネルギ削減量を強制連続運転形態の予測エネルギ削減量として求める。
尚、熱余り管理用時間が生じず且つ予測エネルギ削減量が最大の強制運転用の仮運転パターンにおいて、未だ、熱不足管理用時間が生じるときは、熱不足管理用時間が生じなくなるまで、上述の処理を繰り返すことになる。
【0097】
抑制連続運転形態の予測エネルギ削減量は、負荷追従連続運転形態にて前記燃料電池1を運転するとしたときに熱余り管理用時間が存在する場合に求められるものであり、以下のようにして求める。
即ち、運転周期における複数の管理用時間のうちの熱余り管理用時間(複数存在するときは、運転周期の開始時点に最も近いもの)よりも以前の管理用時間のうちで、選択した1つ又は連続する複数の管理用時間を発電出力を設定抑制出力に調節する抑制運転用時間帯とし且つ運転周期の残りの管理用時間を発電出力を電主出力に調節する電主運転用時間帯とする形態で、前記抑制運転用時間帯として選択する管理用時間を異ならせることにより、抑制運転用の仮運転パターンを全て形成し、全ての仮運転パターンについて、上記の式6〜式8に基づいて、予測エネルギ削減量を求める。
尚、抑制運転用時間帯の管理用時間のエネルギ消費量を前記式9により発電出力を設定抑制出力として求め、電主運転用時間帯の管理用時間のエネルギ消費量を前記式9により発電出力を電主出力として求めて、求めた各管理用時間のエネルギ消費量を積算することにより、運転周期エネルギ消費量を求める。
【0098】
そして、全ての抑制運転用の仮運転パターンのうちで熱不足管理用時間が生じず且つ予測エネルギ削減量が最大の抑制運転用の仮運転パターンを求め、その求めた仮運転パターンにおいて熱余り管理用時間が生じない場合は、その抑制運転用の仮運転パターンを抑制連続運転形態の運転パターンに定め、その抑制運転用の仮運転パターンの予測エネルギ削減量を抑制連続運転形態の予測エネルギ削減量として求める。
尚、熱不足管理用時間が生じず且つ予測エネルギ削減量が最大の抑制運転用の仮運転パターンにおいて、未だ、熱余り管理用時間が生じるときは、熱余り管理用時間が生じなくなるまで、上述の処理を繰り返すことになる。
【0099】
1日対応型の負荷追従断続運転形態の予測エネルギ削減量は、以下のようにして求める。
運転周期の複数の管理用時間のうちで、選択した1つ又は連続する複数の管理用時間を前記運転時間帯を構成する管理用時間とし且つ運転周期の残りの管理用時間を燃料電池1を停止する停止時間帯を構成する管理用時間とする形態で、前記運転時間帯を構成する管理用時間として選択する管理用時間を異ならせることにより、全ての仮運転パターンが形成され、その全ての仮運転パターンのうち、運転周期の全管理用時間を運転時間帯とするパターンを除いた全ての仮運転パターンが、断続運転用の仮運転パターンとしてメモリに記憶されている。
【0100】
全ての断続運転用の仮運転パターンの夫々について、各仮運転パターンにて設定されている運転時間帯において発電出力を電主出力に調節する状態で燃料電池1を運転すると仮定して、前記式6〜式8に基づいて予測エネルギ削減量Pを求め、更に、最初の運転周期の各管理用時間について、予測熱出力、予測貯湯熱量を求める。
尚、運転時間帯に含まれる管理用時間のエネルギ消費量は前記式9により発電出力を電主出力として求め、運転時間帯に含まれない管理用時間のエネルギ消費量は0として、各管理用時間のエネルギ消費量を積算することにより、運転周期エネルギ消費量を求める。
又、運転時間帯に含まれない管理用時間の予測熱出力は0になり、運転時間帯に含まれない管理用時間の予測貯湯熱量は、前記式2により予測熱出力nを0として求める。
【0101】
そして、全ての断続運転用の仮運転パターンのうち、予測エネルギ削減量が最大の断続運転用の仮運転パターンを求めて、その断続運転用の仮運転パターンを1日対応型の負荷追従断続運転形態の運転パターンに設定し、その断続運転用の仮運転パターンの予測エネルギ削減量を1日対応型の負荷追従断続運転形態の予測エネルギ削減量として求める。
【0102】
2日対応型の負荷追従断続運転形態の予測エネルギ削減量は、以下のようにして求める。
即ち、全ての1日対応型の断続運転用の仮運転パターンのうち、上述のように運転時間帯において発電出力を電主出力に調節したときに最初の運転周期における最終の管理用時間の予測貯湯熱量が0よりも大きい仮運転パターンを2日対応型の仮運転パターンとして選択する。
そして、2日対応型の仮運転パターンの全てについて、最初の運転周期の最終の管理用時間の予測貯湯熱量が2回目の運転周期の予測熱負荷として利用されたとして、2回目の運転周期の複数の管理用時間夫々について、予測貯湯熱量及び予測熱負荷として利用された予測利用熱量を求める。
各管理用時間の予測貯湯熱量は、前記式2により、予測熱出力nを0として求める。
又、各管理用時間の予測利用熱量は、下記の式10〜式12により求める。
【0103】
予測貯湯熱量n-1≧予測熱負荷nのときは、
予測利用熱量n=予測熱負荷n……………(式10)
予測貯湯熱量n-1<予測熱負荷nのときは、
予測利用熱量n=予測貯湯熱量n-1……………(式11)
予測貯湯熱量n-1=0のときは、
予測利用熱量n=0……………(式12)
【0104】
2日対応型の仮運転パターンの夫々について、夫々について上述のように求めた1日対応型の負荷追従断続運転形態の予測エネルギ削減量に、2回目の運転周期における予測利用熱量(kWhに変換したもの)の合計を給湯用補助加熱器24の発生熱で補う場合のエネルギ消費量(予測利用熱量の合計/補助加熱器熱効率)を加えることにより予測エネルギ削減量を求め、その求めた予測エネルギ削減量を2で割って1運転周期(1日)当たりのエネルギ削減量としたものを、2日対応型の仮運転パターンの予測エネルギ削減量とする。
そして、全ての2日対応型の仮運転パターンのうちで予測エネルギ削減量が最大の2日対応型の仮運転パターンを、2日対応型の負荷追従断続運転形態の運転パターンに設定し、その2日対応型の仮運転パターンの予測エネルギ削減量を2日対応型の負荷追従断続運転形態の予測エネルギ削減量として求める。
【0105】
3日対応型の負荷追従断続運転形態の予測エネルギ削減量は、以下のようにして求める。
即ち、全ての2日対応型の仮運転パターンのうち、2回目の運転周期における最終の管理用時間の予測貯湯熱量が0よりも大きい仮運転パターンを3日対応型の仮運転パターンとして選択し、3日対応型の仮運転パターンの全てについて、2回目の運転周期の最終の管理用時間の予測貯湯熱量が3回目の運転周期の予測熱負荷として利用されたとして、上述した2回目の運転周期におけるのと同様に、3回目の運転周期の複数の管理用時間夫々について、予測貯湯熱量及び予測利用熱量を求める。
【0106】
3日対応型の仮運転パターンの夫々について、夫々について上述のように求めた1日対応型の負荷追従断続運転形態の予測エネルギ削減量に、2回目及び3回目の運転周期における予測利用熱量(kWhに変換したもの)の合計を給湯用補助加熱器24の発生熱で補う場合のエネルギ消費量(予測利用熱量の合計/補助加熱器熱効率)を加えることにより予測エネルギ削減量を求め、その求めた予測エネルギ削減量を3で割って1運転周期(1日)当たりのエネルギ削減量としたものを、3日対応型の仮運転パターンの予測エネルギ削減量とする。
そして、全ての3日対応型の仮運転パターンのうちで予測エネルギ削減量が最大の3日対応型の仮運転パターンを、3日対応型の負荷追従断続運転形態の運転パターンに設定し、その3日対応型の仮運転パターンの予測エネルギ削減量を3日対応型の負荷追従断続運転形態の予測エネルギ削減量として求める。
【0107】
1日対応型の強制断続運転形態の予測エネルギ削減量は、以下のようにして求める。
即ち、全ての断続運転用の仮運転パターンの夫々について、各仮運転パターンにて設定されている運転時間帯において発電出力を設定増大出力に調節する状態で燃料電池1を運転すると仮定して、前記式6〜式8に基づいて予測エネルギ削減量Pを求め、更に、最初の運転周期の各管理用時間について、予測熱出力、予測貯湯熱量を求める。
尚、運転時間帯に含まれる管理用時間のエネルギ消費量は前記式9により発電出力を設定増大出力として求め、運転時間帯に含まれない管理用時間のエネルギ消費量は0として、各管理用時間のエネルギ消費量を積算することにより、運転周期エネルギ消費量を求める。
【0108】
そして、全ての断続運転用の仮運転パターンのうち、予測エネルギ削減量が最大の断続運転用の仮運転パターンを求めて、その断続運転用の仮運転パターンを1日対応型の強制断続運転形態の運転パターンに設定し、その断続運転用の仮運転パターンの予測エネルギ削減量を1日対応型の強制断続運転形態の予測エネルギ削減量として求める。
【0109】
2日対応型の強制断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量は、上述した2日対応型の負荷追従断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量を求める手順と同様の手順で求め、並びに、3日対応型の強制断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量は、上述した3日対応型の負荷追従断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量を求める手順と同様の手順で求めるので、それら2日対応型の強制断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量、並びに、3日対応型の強制断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量夫々を求める手順の説明を省略する。
【0110】
1日対応型の抑制断続運転形態の予測エネルギ削減量は、以下のようにして求める。
即ち、全ての断続運転用の仮運転パターン夫々について、各仮運転パターンにて設定されている運転時間帯において発電出力を設定抑制出力に調節する状態で燃料電池1を運転すると仮定して、前記式6〜式8に基づいて予測エネルギ削減量Pを求め、更に、最初の運転周期の各管理用時間について、予測熱出力、予測貯湯熱量を求める。
尚、運転時間帯に含まれる管理用時間のエネルギ消費量は前記式9により発電出力を設定抑制出力として求め、運転時間帯に含まれない管理用時間のエネルギ消費量は0として、各管理用時間のエネルギ消費量を積算することにより、運転周期エネルギ消費量を求める。
【0111】
そして、全ての断続運転用の仮運転パターンのうち、予測エネルギ削減量が最大の断続運転用の仮運転パターンを求めて、その断続運転用の仮運転パターンを1日対応型の抑制断続運転形態の運転パターンに設定し、その断続運転用の仮運転パターンの予測エネルギ削減量を1日対応型の抑制断続運転形態の予測エネルギ削減量として求める。
【0112】
2日対応型の抑制断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量は、上述した2日対応型の負荷追従断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量を求める手順と同様の手順で求め、並びに、3日対応型の抑制断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量は、上述した3日対応型の負荷追従断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量を求める手順と同様の手順で求めるので、それら2日対応型の抑制断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量、並びに、3日対応型の抑制断続運転形態の運転パターン及び予測エネルギ削減量夫々を求める手順の説明を省略する。
【0113】
前記運転制御部5は、前記熱余り管理用時間が存在する場合は、上述のように、負荷追従連続運転形態の予測エネルギ削減量及び抑制連続運転形態の予測エネルギ削減量を求め、前記熱不足管理用時間が存在する場合は、上述のように、負荷追従連続運転形態の予測エネルギ削減量及び強制連続運転形態の予測エネルギ削減量を求め、更に、上述のように、1日対応型、2日対応型及び3日対応型夫々の負荷追従断続運転形態の予測エネルギ削減量、1日対応型、2日対応型及び3日対応型夫々の強制断続運転形態の予測エネルギ削減量、並びに、1日対応型、2日対応型及び3日対応型夫々の抑制断続運転形態の予測エネルギ削減量の9個の予測エネルギ削減量を求めて、そのように求めた予測エネルギ削減量が最大の運転形態を燃料電池1の運転形態に定め、その定めた運転形態にて燃料電池1を運転する。
【0114】
燃料電池1の運転形態を負荷追従連続運転形態に定めたときは、運転周期の全時間帯にわたって燃料電池1の発電出力を現在要求されている現電力負荷に追従させる現電力負荷追従運転を実行する。
その現電力負荷追従運転では、1分等の比較的短い所定の出力調整周期毎に現電力負荷を求め、最小出力から最大出力の範囲内で、連続的に現電力負荷に追従する電主出力を決定し、燃料電池1の発電出力をその決定した電主出力に調整する形態で運転する。
尚、前記現電力負荷は、前記電力負荷計測手段11の計測値及び前記インバータ6の出力値に基づいて計測し、更に、その現電力負荷は、前の出力調整周期において所定のサンプリング時間(例えば5秒)でサンプリングしたデータの平均値として求められる。
【0115】
燃料電池1の運転形態を抑制連続運転形態に定めたときは、燃料電池1の発電出力を設定抑制出力にすると定められている管理用時間では燃料電池1の発電出力を設定抑制出力に調節し、他の管理用時間では現電力負荷追従運転を実行する。
燃料電池1の運転形態を強制連続運転形態に定めたときは、燃料電池1の発電出力を設定増大出力にすると定められている管理用時間では燃料電池1の発電出力を設定増大出力に調節し、他の管理用時間では現電力負荷追従運転を実行する。
【0116】
燃料電池1の運転形態を1日対応型、2日対応型、3日対応型のいずれの負荷追従断続運転に定めたときも、運転時間帯に含まれる管理用時間においては現電力負荷追従運転を実行し、停止時間帯に含まれる管理用時間においては燃料電池1を停止させる。
燃料電池1の運転形態を1日対応型、2日対応型、3日対応型のいずれの抑制断続運転に定めたときも、運転時間帯に含まれる管理用時間では燃料電池1の発電出力を設定抑制出力に調節し、停止時間帯に含まれる管理用時間においては燃料電池1を停止させる。
燃料電池1の運転形態を1日対応型、2日対応型、3日対応型のいずれの強制断続運転に定めたときも、運転時間帯に含まれる管理用時間では燃料電池1の発電出力を設定増大出力に調節し、停止時間帯に含まれる管理用時間においては燃料電池1を停止させる。
【0117】
次に、貯湯槽2の湯水の水質低下を抑制するための水質向上処理の要否を判別する処理について、説明する。
前記運転制御部5は、前記給水路16から前記貯湯槽2への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ、前記貯湯用循環路18を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データ、及び、前記貯湯槽2の容量データに基づいて、湯水が前記給水路17を通して供給されてから前記加熱部H(即ち、貯湯用熱交換器22)にて加熱されることなく前記貯湯槽2に貯留される非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、湯水が前記貯湯用熱交換器22にて加熱されてから前記貯湯用熱交換器22にて再加熱されることなく前記貯湯槽2に貯留される非再加熱貯留時間が前記設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、前記貯湯槽2の湯水の水質低下を抑制するための水質向上処理を実行するように構成されている。
【0118】
先ず、前記運転制御部5により時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データを管理するデータ管理処理について、説明を加える。
前記貯湯槽2の容量データは、運転制御部5のメモリに記憶させてある。この実施形態では、貯湯槽2の容量は200リットルであるので、容量データとして200リットルをメモリに記憶させる。
【0119】
前記給湯路17を通して前記貯湯槽2の上部から湯水が送出されるのに伴って、その貯湯槽2の上部から送出された湯水の量と同量の水が前記給水路16を通して貯湯槽2の底部に供給されるので、時系列的な湯水送出量データを時系列的な給水量データとして代用することができる。
そこで、運転制御部5は、前記送出量センサQsにて検出される時系列的な単位時間当たりの湯水送出量データを単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データとして読み込み、その読み込みデータを管理用時間にわたって積算して、管理用時間当たりの給水量データを求めて、時系列的な管理用時間当たりの給水量データを管理するように構成されている。
【0120】
又、運転制御部5は、前記循環量センサQcにて検出される時系列的な単位時間当たりの湯水循環量データを読み込み、その読み込みデータを管理用時間にわたって積算して、管理用時間当たりの湯水循環量データを求めて、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データを管理するように構成されている。ちなみに、前記単位時間は、例えば1秒間に設定される。
【0121】
例えば、図2に示す如き時系列的な管理用時間当たりの給水量データ及び時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データが運転制御部5により管理される。
図2には、例えば、1月1日の1時台の管理用時間に200リットルの水が給水されて、貯湯槽2が給水路16からの水にて満杯になり、1月1日の8時台の管理用時間に40リットルの水が給水され、1月1日の19時台の管理用時間に100リットルの水が給水されたことが示され、又、1月1日の2時台の管理用時間から18時台の管理用時間まで、毎時10リットルの循環量で貯湯槽2の湯水が貯湯用循環路18を通して循環されたことが示されている。
又、図2には、例えば、1月1日の8時台の管理用時間は、給水路16を通しての貯湯槽2への給水と貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環とが並行して行われたことが示されている。
【0122】
次に、前記非加熱貯留時間及び前記非再加熱貯留時間夫々の管理について、説明を加える。
給湯路17を通して貯湯槽2の上部から湯水が送出されるのに伴って、貯湯槽2の湯水は上方に流動して、貯湯槽2の上部から送出された湯水の量と同量の水が給水路16を通して貯湯槽2の底部に供給され、又、貯湯用循環路18を通して貯湯槽2の湯水が循環されると、貯湯槽2の湯水が下方に流動しながら、槽底部から貯湯用循環路18に取り出された湯水は貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち槽上部に戻されることになる。
従って、貯湯槽2の底部への給水及び貯湯槽2の湯水の循環に伴う上述の如き貯湯槽2の湯水の流動形態に鑑みて、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データに基づいて、各管理用時間の開始時点毎に、貯湯槽2内の湯水を、管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックにて、各ブロックが給水路16を通しての給水の順序及び貯湯用循環路18を通しての湯水の循環の順序に対応して並び且つ各ブロックの湯水量を合計した合計湯水量が容量データに等しくなる状態で、上下方向にブロック分けすることができ、又、各給水ブロック毎に給水日時及び湯水量を特定し、各加熱済みブロック毎に貯湯用熱交換器22による加熱日時及び湯水量を特定することができる。
【0123】
ちなみに、前記給水ブロックは、管理用時間にわたって給水路16を通して貯湯槽2の底部に供給されたままで、貯湯用循環路18を通して循環されていない、即ち、貯湯用熱交換器22にて加熱されていない湯水のブロックを示し、前記加熱済みブロックは、管理用時間にわたって貯湯槽2の底部から取り出されて貯湯用循環路22を通して循環されることにより、貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち貯湯槽2の上部に戻された湯水のブロックを示す。
前記給水路16を通して供給されて貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち、再度、貯湯用熱交換器22にて加熱された加熱済みブロックについては、最も新しい再加熱日時を加熱日時として特定する。
【0124】
以下、図3に基づいて、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ及び時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データが図2に示す如き場合について、貯湯槽2内の湯水における管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックによるブロック分けについて説明を加える。
ちなみに、図3は、貯湯槽2内の湯水を上下方向に給水ブロック及び加熱済みブロックにてブロック分けした状態を示し、各ブロック内に、各ブロックの給水日時、加熱日時、湯水量をそれぞれ(1/1,1)(−)(140)、あるいは、(−)(1/1,2)(10)の如く示す。
つまり、各ブロック内における左端の()内に給水日時を、中央の()内に加熱日時を、右端の()内に湯水量を示す。
例えば、1月1日の8:00のブロック分けにおける最下部のブロックは給水ブロックであり、その内部の(1/1,1)(−)(140)については、左端の()内の「1/1,1」は、給水日時が1月1日の1時であることを示し、中央の()内の「−」は、給水されたままで加熱されていないことを示し、右端の()内の「140」は湯水量が140リットルであることを示す。
又、下から2番目のブロックは加熱済みブロックであり、その内部の(−)(1/1,2)(10)については、左端の()内の「−」は、給水されたのち貯湯用熱交換器22にて加熱済みであるので、給水日時は管理しないことを示し、中央の()内の「1/1,2」は、加熱日時が1月1日の2時であることを示し、右端の()内の「10」は湯水量が10リットルであることを示す。
【0125】
図示は省略するが、1月1日の1時台に200リットルの水が貯湯槽2の底部に給水されたので、2時台の管理用時間の開始時点では、貯湯槽2全体が、1月1日の1時に給水された給水ブロックになる。
1月1日の2時から7時までの6時間は、毎時10リットルずつ貯湯槽2の湯水が循環されるので、毎時、10リットルの湯水が貯湯槽2の底部から取り出されて、貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち貯湯槽2の上部に戻されることになり、1月1日の8時台の管理用時間の開始時点では、図3の(イ)に示すように、給水日時が1月1日の1時で湯水量が140リットルの給水ブロック、加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、……………、加熱日時が1月1日の7時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックの7個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0126】
1月1日の8時台は、給水路16を通しての貯湯槽2への給水と貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環とが並行して行われており、この実施形態では、このように給水と循環とが並行して行われる管理用時間においては、給水路16を通して給水された水のうち、貯湯用循環路18を通して循環される湯水循環量に相当する分は、貯湯槽2の底部に貯留されることなく、貯湯用循環路22を通して循環されて、貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち貯湯槽2の上部に戻されてから、給湯路17に送出されるとする。
つまり、管理用時間当たりの給水量データは40リットルであり、管理用時間当たりの湯水循環量データは10リットルであるので、貯湯槽2の底部に供給された40リットルの水のうち、貯湯用循環路22を通して循環された10リットルを除いた30リットルを給水循環並行時給水量として、その給水循環並行時給水量の水が貯湯槽2の底部に貯留されることとする。
従って、1月1日の9時台の管理用時間の開始時点では、図3の(ロ)に示すように、給水日時が1月1日の8時で湯水量が30リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時で湯水量が140リットルの給水ブロック、加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の4時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックの5個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0127】
1月1日の9時から18時までの10時間は、毎時10リットルずつ貯湯槽2の湯水が循環されるので、毎時、10リットルの湯水が貯湯槽2の底部から取り出されて、貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち貯湯槽2の上部に戻されることになり、1月1日の19時台の管理用時間の開始時点では、図3の(ハ)に示すように、給水日時が1月1日の1時で湯水量が70リットルの給水ブロック、加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、……………、加熱日時が1月1日の18時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックの14個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0128】
1月1日の19時台は、給水路16を通して100リットルの水が貯湯槽2の底部に供給され、貯湯用循環路18を通しての循環が行われていないので、貯湯槽2の上部の100リットル分の湯水が貯湯槽2から給湯路17に送出されたことになり、1月1日の20時台の管理用時間の開始時点では、図3の(ニ)に示すように、給水日時が1月1日の19時で湯水量が湯水量が100リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時で湯水量が70リットルの給水ブロック、加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の4時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックの5個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0129】
上述の如く、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データに基づいて、各管理用時間の開始時点において、貯湯槽2内の湯水における管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックによるブロック分けを更新すると共に、各ブロック毎に、給水日時、加熱日時、湯水量を特定することができ、例えば、1月3日の9時台、1月3日の20時台及び1月4日の2時台の夫々の管理用時間の開始時点においては、図3の(ホ)〜(ト)に示すように、貯湯槽2内の湯水を給水ブロック及び加熱済みブロックにてブロック分けすると共に、各給水ブロック毎に、給水日時、湯水量を特定し、各加熱済みブロック毎に、加熱日時、湯水量を特定することができる。
【0130】
そして、管理用時間の開始時点毎に、各給水ブロック毎の給水日時及び各加熱済みブロック毎の加熱日時に基づいて、各給水ブロック毎に非加熱貯留時間を求め、各加熱済みブロック毎に非再加熱貯留時間を求めることができる。
例えば、図3の(ホ)に基づいて説明すると、1月3日の9時台の管理用時間の開始時点においては、下から3番目のブロックは給水ブロックであり、その給水日時は1月1日の1時であるので、非加熱貯留時間は56時間となり、又、下から4番目のブロックは加熱済みブロックであり、その加熱日時は1月1日の2時であるので、非再加熱貯留時間は55時間となる。
又、図3の(ト)に基づいて説明すると、1月4日の2時台の管理用時間の開始時点においては、給水ブロックは最下部のブロックだけであり、その給水ブロックの給水日時は1月3日の19時であるので、非加熱貯留時間は7時間となり、又、加熱済みブロックは下から2番目から最上部までの6ブロックであり、そのうち、加熱日時が最も過去になるのは下から2番目の加熱済みブロックであり、その加熱日時は1月1日の2時であるので、非再加熱貯留時間は72時間となる。
【0131】
そして、前記設定非加熱許容時間を例えば72時間(3日間)に設定すると、1月4日の2時台の管理用時間の開始時点において、非再加熱貯留時間が設定非加熱貯留時間以上となる湯水のブロックが存在すると判別されることになる。
【0132】
つまり、前記運転制御部5は、管理用時間の開始時点において、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データに基づいて、貯湯槽2内の湯水を、管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックにて、各ブロックが給水路16を通しての給水の順序及び貯湯用循環路18を通しての湯水の循環の順序に対応して並び且つ各ブロックの湯水量を合計した合計湯水量が容量データに等しくなる状態で上下方向にブロック分けし、且つ、各給水ブロック毎に給水日時、湯水量を特定し、各加熱済みブロック毎に加熱日時、湯水量を特定するように構成されている。
ちなみに、前記運転制御部5は、前記給水路16を通して供給されて貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち、再度貯湯用熱交換器22にて加熱された加熱済みブロックについては、最も新しい再加熱日時を加熱日時として特定するように構成されている。
又、前記運転制御部5は、管理用時間の開始時点において、各給水ブロック毎に、夫々の給水日時に基づいて非加熱貯留時間を求め、各加熱済みブロック毎に、夫々の加熱日時に基づいて非再加熱貯留時間を求めるように構成されている。
【0133】
上述したように、給水路16を通しての貯湯槽2への給水と貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環とが並行して行われる管理用時間においては、給水路16を通して給水された水のうち、貯湯用循環路18を通して循環される湯水循環量に相当する分は、貯湯槽2の底部に貯留されることなく給湯路17に送出されるとして、管理用時間当たりの給水量データから管理用時間当たりの湯水循環量データを減じた給水循環並行時給水量の水が貯湯槽2の底部に貯留されるとするので、前記運転制御部5は、給水路16を通しての貯湯槽2への給水と貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環とが並行して行われるときは、前記時系列的な給水量データ及び前記時系列的な湯水循環量データについては、それらの両方を管理するように構成されていることになる。
【0134】
次に、前記水質向上処理について説明を加える。
前記運転制御部5は、前記水質向上処理として、前記貯湯槽2の全体又は略全体を前記加熱部Hにて加熱した湯で満たすように前記湯水循環ポンプ19を作動させ且つ前記加熱部Hを加熱作動させる全体加熱処理を実行するように構成されている。
更に、この実施形態では、全体加熱処理として、前記給水切換三方弁28を前記槽迂回給水状態、即ち、湯水送出停止状態に切り換えた状態で、前記貯湯温度センサShの検出温度が前記目標貯湯温度になるように前記湯水循環ポンプ19を作動させ且つ前記加熱部Hを加熱作動させる湯水送出停止状態の全体加熱処理を実行するように構成されている。
【0135】
説明を加えると、前記燃料電池1を運転させることにより、前記貯湯用熱交換器22に燃料電池1の発生熱を回収した冷却水が供給されて、その貯湯用熱交換器22が加熱作用して、加熱部Hが加熱作動することになるので、湯水送出停止状態の全体加熱処理を実行するときは、上述のように定めた運転形態における燃料電池1を運転させる運転予定時間帯及びその運転形態における燃料電池1の運転を停止させる運転停止予定時間帯に拘わらず、燃料電池1を運転させることになる。
ちなみに、この第1実施形態では、湯水送出停止状態の全体加熱処理においては、発電出力を現在要求されている現電力負荷に追従させる現電力負荷追従運転にて燃料電池1を運転させるように構成されている。
つまり、前記運転制御部5は、前記給水切換三方弁28を前記槽迂回給水状態に切り換えた状態で、前記貯湯温度センサShの検出温度が前記目標貯湯温度になるように前記湯水循環ポンプ19を作動させ且つ前記燃料電池1を現電力負荷追従運転させる形態で、前記湯水送出停止状態の全体加熱処理を実行するように構成されている。
【0136】
ところで、前記槽底部温度センサSbの検出温度が前記加熱部H、即ち貯湯用熱交換器22にて加熱されたのちに前記貯湯槽2に存在するとした場合における湯水の温度として予測される設定高温範囲の温度になると、貯湯槽2の全体又は略全体が貯湯用熱交換器22にて加熱されて殺菌された湯にて満たされた状態となって、貯湯槽2の全体の湯水の水質が向上されたことになる。
そこで、槽底部温度センサSbの検出温度が設定高温範囲の温度になると、水質向上処理としての湯水送出停止状態の全体加熱処理を終了する終了条件を満たすと判別するように構成されている。
つまり、前記運転制御部5は、前記槽底部温度センサSbの検出温度が前記設定高温範囲の温度になって終了条件を満たすまで、湯水送出停止状態の全体加熱処理を実行し、終了条件を満たすと、燃料電池1を停止させて湯水送出停止状態の全体加熱処理を終了し、次の運転周期の開始時点まで、燃料電池1の運転を待機するように構成されている。
【0137】
ちなみに、貯湯用熱交換器22による加熱により、殺菌が行われて湯水の水質が向上するので、貯湯用熱交換器22から貯湯槽2に至るまでの管路等での放熱や、貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち貯湯槽2に貯留されている間の放熱により、貯湯用熱交換器22にて加熱された湯水の温度が低下しても、ある程度の時間の間は湯水の水質が良好な状態に維持されるものである。
前記設定高温範囲は、例えば、40°C以上の温度範囲に設定される。
【0138】
前記湯水送出停止状態の全体加熱処理が実行されている間に、前記給湯栓が開栓されると、槽迂回給水路27を通して水が給湯路17に供給され、その水が給湯用補助加熱器24にて加熱されて給湯先に供給されることになるので、湯水送出停止状態の全体加熱処理が終了するまでの間は、貯湯槽2の湯水が給湯先に供給されることがない。
【0139】
以下、図4に示すフローチャートに基づいて、前記運転制御部5の制御動作について説明する。
ステップ#1にて、運転周期の開始時点になったと判別すると、運転形態設定処理を実行して、燃料電池1の運転形態を定め、その定めた運転形態にて燃料電池1を運転する燃料電池運転処理を実行する(ステップ#2,3)。
【0140】
尚、運転形態設定処理において、複数種の連続運転形態及び複数種の断続運転形態を含めた全ての運転形態のうち、いずれか1つの断続運転形態の予測エネルギ削減量が最大の場合は、運転周期の開始時点における貯湯熱量にてその運転周期の予測熱負荷を賄える程度を示す熱負荷賄い率U/Lと設定値Kとを比較して、熱負荷賄い率U/Lが設定値Kよりも大きいときは待機条件を満たすと判断して、運転周期の全時間帯にわたって燃料電池1を停止させる待機形態に燃料電池1の運転形態を定め、熱負荷賄い率U/Lが設定値K以下のときは待機条件を満たさないと判断して、予測エネルギ削減量が最大の断続運転形態に燃料電池1の運転形態を定めるように構成されている。
【0141】
ちなみに、熱負荷賄い率U/LのLは、最初の運転周期の各管理用時間の予測熱負荷を合計することにより求めた運転周期の予測熱負荷である。
又、熱負荷賄い率U/LのUは、燃料電池1の予測熱出力を0として、最初の運転周期の予測熱負荷のうち、最初の運転周期の開始時点における貯湯熱量にて賄えると予測される予測利用熱量である。
例えば、最初の運転周期の開始時点が、2日対応型の負荷追従断続運転形態、強制断続運転形態及び抑制断続運転形態のうちのいずれかの2回目の運転周期の開始時点に相当する場合、Lは、2回目の運転周期の各管理用時間の予測熱負荷を合計した値となり、Uは、2回目の運転周期の各管理用時間の予測利用熱量を合計した値となる。
尚、前記設定値Kは、例えば、0.4に設定する。
【0142】
つまり、運転周期の開始時点になる毎に運転形態設定処理を実行し、その運転形態設定処理では、上述のように、熱負荷賄い率U/Lが設定値Kよりも大きくて待機条件を満たすと判断したときは、待機形態に設定するように構成されているので、先の運転形態設定処理にて2日対応型又は3日対応型の負荷追従、抑制又は強制のいずれかの断続運転形態に定められて、今回の運転形態設定処理を行う時点が2日対応型又は3日対応型の断続運転形態における2回目の運転周期の開始時点に相当するときに、その運転形態設定処理にて前述のように待機形態に定められると、その2日対応型又は3日対応型の断続運転形態における2回目の運転周期の全時間帯にわたって燃料電池1が停止されることになり、2日対応型又は3日対応型の断続運転形態が継続される。
【0143】
ステップ#1にて、運転周期の開始時点ではないと判別すると、ステップ#4において、非加熱貯留時間及び非再加熱貯留時間を演算する処理を実行する。
この処理においては、管理用時間の開始時点毎に、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データに基づいて、貯湯槽2内の湯水における管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックによるブロック分けを更新して、各給水ブロック毎に、給水日時、湯水量を特定すると共に非加熱貯留時間を演算し、各加熱済みブロック毎に、貯湯用熱交換器22による加熱日時、湯水量を特定すると共に非再加熱貯留時間を演算する。
【0144】
続いて、ステップ#5において、非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となるブロックが存在するか否かを判別し、存在しないと判別するときは、ステップ#6において、非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となるブロックが存在するか否かを判別して、存在しないと判別するときは、ステップ#3に戻って燃料電池運転処理を継続する。
【0145】
ステップ#5において非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となるブロックが存在すると判別するとき、又は、ステップ#6において非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となるブロックが存在すると判別するときは、槽底部温度センサSbの検出温度が設定高温範囲の温度になって終了条件を満たすまで、水質向上処理として湯水送出停止状態の全体加熱処理を実行し、終了条件を満たすと、燃料電池1を停止させて、次の運転周期の開始時点になるまで燃料電池1の運転を待機し、次の運転周期の開始時点になると(ステップ#7〜10)、ステップ#2に戻って運転形態設定処理を実行する。
【0146】
以下、本発明の第2及び第3の各実施形態を説明するが、各実施形態は、主として水質向上処理の要否を判別する処理及び水質向上処理の別の実施形態を説明するものであって、コージェネレーションシステムの全体構成は第1実施形態と同様であるので、コージェネレーションシステムの全体構成についての図示及び説明を省略して、主として、水質向上処理の要否を判別する処理及び水質向上処理について説明する。
【0147】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態を説明する。
先ず、水質向上処理の要否を判別する処理について説明する。
前記運転制御部5が、前記給水路16から前記貯湯槽2への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ、前記貯湯用循環路18を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データ、及び、前記貯湯槽2の容量データに基づいて、前記給水路16を通して供給されてから前記貯湯槽2に滞留する滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水が存在すると判別すると、前記貯湯2の湯水の水質低下を抑制するための水質向上処理を実行するように構成されている。
【0148】
前記運転制御部5により時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データを管理するデータ管理処理は、上記の第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0149】
以下、前記滞留時間の管理について説明を加えるが、この第2実施形態においても、上記の第1実施形態と同様に、図2に示す如き時系列的な管理用時間当たりの給水量データ及び時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データが運転制御部5により管理されるとして、説明する。
図5に示すように、図3に示す第1実施形態と同様に、管理用時間の開始時点毎に、貯湯槽2内の湯水を管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックに分けるブロック分けが行われるが、図5においては、各ブロック内に、各ブロックの給水日時、湯水量をそれぞれ(1/1,1)(140)、あるいは、(1/1,1)(10)の如く示す。又、加熱済みブロックを、「#」の符合にて示す。
つまり、各ブロック内における左側の()内に給水日時を、右側の()内に湯水量を示す。
例えば、1月1日の8:00のブロック分けにおける最下部のブロックの(1/1,1)(140)については、左側の()内の「1/1,1」は、給水日時が1月1日の1時であることを示し、右側の()内の「140」は湯水量が140リットルであることを示す。
【0150】
1月1日の2時から7時までの6時間は、毎時10リットルずつ貯湯槽2の湯水が循環されるので、毎時、10リットルの湯水が貯湯槽2の底部から取り出されて、貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち貯湯槽2の上部に戻されることになり、1月1日の8時台の管理用時間の開始時点では、図5の(イ)に示すように、給水日時が1月1日の1時であり湯水量が140リットルの給水ブロックと、給水日時が1月1日の1時であり湯水量が10リットルの6個の加熱済みブロックとの7個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0151】
1月1日の8時台は、給水路16を通しての貯湯槽2への給水と貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環とが並行して行われており、上述の第1実施形態と同様に、貯湯槽2の底部に供給された40リットルの水のうち、貯湯用循環路22を通して循環された10リットルを除いた30リットルを給水循環並行時給水量として、その給水循環並行時給水量の水が貯湯槽2の底部に貯留されることとする。
従って、1月1日の9時台の管理用時間の開始時点では、図5の(ロ)に示すように、給水日時が1月1日の8時であり湯水量が30リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時であり湯水量が140リットルの給水ブロック、及び、給水日時が1月1日の1時であり湯水量が10リットルの3個の加熱済みブロックの5個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0152】
1月1日の9時から18時までの10時間は、毎時10リットルずつ貯湯槽2の湯水が循環されるので、毎時、10リットルの湯水が貯湯槽2の底部から取り出されて、貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち貯湯槽2の上部に戻されることになり、1月1日の19時台の管理用時間の開始時点では、図5の(ハ)に示すように、給水日時が1月1日の1時であり湯水量が70リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時であり湯水量が10リットルの3個の加熱済みブロック、給水日時が1月1日の8時であり湯水量が10リットルの3個の加熱済みブロック、及び、給水日時が1月1日の1時であり湯水量が10リットルである7個の加熱済みブロックの14個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0153】
1月1日の19時台は、給水路16を通して100リットルの水が貯湯槽2の底部に供給され、貯湯用循環路18を通しての循環が行われていないので、貯湯槽2の上部の100リットル分の湯水が貯湯槽2から給湯路17に送出されたことになり、1月1日の20時台の管理用時間の開始時点では、図5の(ニ)に示すように、給水日時が1月1日の19時であり湯水量が100リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時であり湯水量が70リットルの給水ブロック、及び、給水日時が1月1日の1時であり湯水量が10リットルの3個の加熱済みブロックの5個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0154】
上述の如く、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データに基づいて、各管理用時間の開始時点において、貯湯槽2内の湯水を給水ブロック及び加熱済みブロックにてブロック分けすると共に、各ブロック毎に、給水日時、湯水量を特定することができ、例えば、1月3日の9時台、1月3日の20時台及び1月4日の1時台の夫々の管理用時間の開始時点においては、図5の(ホ)〜(ト)に示すように、貯湯槽2内の湯水を、管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックにてブロック分けすると共に、各ブロック毎に、給水日時、湯水量を特定することができる。
【0155】
そして、管理用時間の開始時点毎に、各ブロック毎の給水日時に基づいて、各ブロック毎に滞留時間を求めることができる。
例えば、図5の(ホ)に基づいて説明すると、1月3日の9時台の管理用時間の開始時点においては、例えば、下から3番目のブロックは給水ブロックであり、その給水日時は1月1日の1時であるので、滞留時間は56時間となり、又、下から4番目のブロックは加熱済みブロックであり、その給水日時は1月1日の1時であるので、滞留時間は56時間となる。
又、図5の(ト)に基づいて説明すると、1月4日の1時台の管理用時間の開始時点においては、給水日時が1月3日の19時であり湯水量が140リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時であり湯水量が10リットルの3個の加熱済みブロック、及び、給水日時が1月1日の19時であり湯水量が10リットルの2個の加熱済みブロックの6個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされ、それらのブロックのうち、給水日時が最も過去になるのは下から2番目から4番目の3個の加熱済みブロックであり、その給水日時は1月1日の1時であるので、滞留時間は72時間となる。
【0156】
そして、前記設定滞留許容時間を例えば72時間(3日間)に設定すると、1月4日の2時台の管理用時間の開始時点において、滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水のブロックが存在すると判別されることになる。
【0157】
つまり、前記運転制御部5は、管理用時間の開始時点において、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データに基づいて、貯湯槽2内の湯水を、管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックにて、各ブロックが給水路16を通しての給水の順序及び貯湯用循環路18を通しての湯水の循環の順序に対応して並び且つ各ブロックの湯水量を合計した合計湯水量が容量データに等しくなる状態で上下方向にブロック分けし、且つ、各ブロック毎に給水日時、湯水量を特定するように構成されている。
又、前記運転制御部5は、管理用時間の開始時点において、各ブロック毎の給水日時に基づいて、各ブロック毎に滞留時間を求めるように構成されている。
【0158】
次に、前記水質向上処理について説明を加える。
運転制御部5が、前記水質向上処理として、前記貯湯槽2の湯水の全量又は略全量を前記給水路16からの水に入れ替える湯水入替処理を実行するように構成されている。
更に、この実施形態では、前記湯水入替処理として、前記貯湯用循環路18における湯水循環量を通常時よりも少なくすべく前記湯水循環ポンプ19の作動を制御する又は貯湯用循環路18における湯水の循環を停止させるべく湯水循環ポンプ19の作動を制御する湯水入替促進処理を実行するように構成されている。
【0159】
つまり、貯湯用循環路18における湯水循環量を通常時よりも少なくする形態での湯水入替促進処理では、貯湯槽2の底部から取り出されて貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち貯湯槽2の上部に供給される湯水の量が通常時よりも少なくなり、貯湯用循環路18における湯水の循環を停止させる形態での湯水入替促進処理では、貯湯用熱交換器22にて加熱された湯水が貯湯槽2の上部に供給されることがないので、いずれの形態の湯水入替処理でも、給湯路17を通して貯湯槽2の上部から湯水が送出されるに伴って給水路16を通して水が貯湯槽2の底部に供給される形態で貯湯槽2の湯水が給水路16を通して供給された水にて入れ替えられるのが、速められる。
【0160】
前記燃料電池1の運転中は、前記貯湯温度センサShの検出温度が目標貯湯温度になるように湯水循環量を調節すべく、湯水循環ポンプ19の作動を制御する。従って、燃料電池1をその発電出力が運転形態設定処理にて定めた運転形態にて燃料電池1を運転する通常時よりも小さくなるように運転することにより、燃料電池1の熱出力が通常時よりも少なくなって、冷却水により貯湯用熱交換器22に供給される熱量が通常時よりも少なくなるので、貯湯温度センサShの検出温度が目標貯湯温度になるように湯水循環量を調節すべく、湯水循環ポンプ19の作動を制御すると、貯湯用循環路18における湯水循環量が通常時よりも少なくなるように調節されることになる。
【0161】
つまり、貯湯用循環路18における湯水循環量を通常時よりも少なくすべく湯水循環ポンプ19の作動を制御する形態での湯水入替促進処理(以下、循環量減少用の湯水入替促進処理と記載する場合がある)は、燃料電池1をその発電出力が通常時よりも小さくなるように運転し、且つ、貯湯温度センサShの検出温度が目標貯湯温度になるように湯水循環量を調節すべく湯水循環ポンプ19の作動を制御する形態で実行することになる。
ちなみに、湯水入替促進処理用の発電出力を設定するための出力減少設定用比率を1よりも小さい値(例えば、0.8)に設定して、運転形態設定処理にて定めた運転形態において設定されている発電出力に出力減少設定用比率を乗ずることにより、湯水入替促進処理用の発電出力を設定して、循環量減少用の湯水入替促進処理では、湯水入替促進処理用の発電出力にて燃料電池1を運転することになる。
但し、運転形態設定処理にて定めた運転形態において設定されている発電出力に出力減少設定用比率を乗じた値が、燃料電池1の発電出力調節範囲における最小出力よりも小さくなる場合は、湯水入替促進処理用の発電出力を前記最小出力に設定する。
【0162】
又、貯湯用循環路18における湯水の循環が停止すると、貯湯式熱交換器22において燃料電池1の冷却水を冷却する冷却源がなくなるので、貯湯用循環路18における湯水の循環を停止させるべく湯水循環ポンプ19の作動を制御する形態での湯水入替促進処理(以下、循環停止用の湯水入替促進処理と記載する場合がある)は、燃料電池1を停止させ、且つ、貯湯用循環路18における湯水の循環を停止させるべく湯水循環ポンプ19の作動を制御する形態で実行することになる。
【0163】
そして、運転形態設定処理にて定めた運転形態における運転予定時間帯のときは、循環量減少用の湯水入替促進処理を実行し、その運転形態における運転停止予定時間帯のときは、循環停止用の湯水入替促進処理を実行することになる。
【0164】
例えば、燃料電池1の運転形態を負荷追従連続運転形態に定めている場合は、現電力負荷に出力減少設定用比率を乗じることにより湯水入替促進処理用の発電出力を設定して、循環量減少用の湯水入替促進処理を実行する。
燃料電池1の運転形態を強制連続運転形態に定めている場合は、強制運転用時間帯においては、設定増大出力に出力減少設定用比率を乗じることにより湯水入替促進処理用の発電出力を設定して、循環量減少用の湯水入替促進処理を実行し、電主運転用時間帯においては、負荷追従連続運転形態の場合と同様に湯水入替促進処理用の発電出力を設定して、循環量減少用の湯水入替促進処理を実行する。
【0165】
燃料電池1の運転形態を1日対応型、2日対応型及び3日対応型の各負荷追従断続運転形態に定めている場合、最初の運転周期における運転時間帯では、現電力負荷に出力減少設定用比率を乗じることにより湯水入替促進処理用の発電出力を設定して、循環量減少用の湯水入替促進処理を実行し、最初の運転周期における停止時間帯では、循環停止用の湯水入替促進処理を実行する。
燃料電池1の運転形態を1日対応型、2日対応型及び3日対応型の各強制断続運転形態に定めている場合、その最初の運転周期における運転時間帯では、設定増大出力に出力減少設定用比率を乗じることにより湯水入替促進処理用の発電出力を設定して、循環量減少用の湯水入替促進処理を実行し、最初の運転周期における停止時間帯では、循環停止用の湯水入替促進処理を実行する。
【0166】
燃料電池1の運転形態を2日対応型の負荷追従、強制及び抑制の各断続運転形態に定めている場合、その2回目の運転周期では、循環停止用の湯水入替促進処理を実行し、燃料電池1の運転形態を3日対応型の負荷追従、強制及び抑制の各断続運転形態に定めている場合、その2回目の運転周期及び3回目の運転周期では、循環停止用の湯水入替促進処理を実行する。
【0167】
ところで、前記給水路16を通して前記貯湯槽2に供給されたのち前記加熱部H、即ち前記貯湯用熱交換器22にて加熱されずに前記貯湯槽2に存在するとした場合における湯水の温度として予測される設定低温範囲内の温度を前記槽上部温度センサStにて検出する状態になると、貯湯槽2の湯水の全量又は略全量が前記給水路1からの水に入れ替えられた状態となる。
そこで、前記運転制御部5は、前記槽上部温度センサStの検出温度が前記設定低温範囲の温度になると、水質向上処理としての湯水入替促進処理を終了する終了条件を満たすと判別するように構成されている。
【0168】
つまり、前記運転制御部5は、前記槽上部温度センサStの検出温度が前記設定低温範囲の温度になって終了条件を満たすまで、前記湯水入替促進処理を実行し、終了条件を満たすと、燃料電池1を停止させて湯水入替促進処理を終了し、次の運転周期の開始時点まで、燃料電池1の運転を待機するように構成されている。
【0169】
この実施形態では、前記運転制御部5は、前記給水温度センサSiの検出温度に設定余裕温度を加えた温度以下の温度範囲を、前記設定低温範囲とするように構成されている。
つまり、前記給水路16を通して供給された水の温度は前記貯湯用熱交換器22にて加熱されることなく貯湯槽2に存在する間に、上方の湯水からの伝熱及び貯湯槽2の周壁からの伝熱により上昇するものであり、そして、貯湯槽に存在する時間が長くなる等により、湯水の温度上昇の程度が大きくなると、湯水の水質が低下し易くなる。
そこで、給水路16を通して供給されて貯湯用熱交換器22にて加熱されることなく貯湯槽に存在する湯水の温度が上昇したとしても、その湯水の水質を良好な状態に維持することが可能な上昇温度が、予め、実験等により求められて、その求められた温度が前記設定余裕温度に設定される。ちなみに、前記設定余裕温度は、5°Cに設定される。
【0170】
以下、図6に示すフローチャートに基づいて、前記運転制御部5の制御動作について説明する。
ステップ#21にて、運転周期の開始時点になったと判別すると、運転形態設定処理を実行して、燃料電池1の運転形態を定め、その定めた運転形態にて燃料電池1を運転する燃料電池運転処理を実行する(ステップ#22,23)。
【0171】
ステップ#21にて、運転周期の開始時点ではないと判別すると、ステップ#24において、滞留時間を演算する処理を実行する。
この処理においては、管理用時間の開始時点毎に、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データに基づいて、貯湯槽2内の湯水における管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックによるブロック分けを更新し、各ブロック毎に給水日時、湯水量を特定し、更に、各ブロック毎に滞留時間を演算する。
【0172】
続いて、ステップ#25において、滞留時間が設定滞留許容時間以上となるブロックが存在するか否かを判別し、存在しないと判別するきは、ステップ#23に戻って燃料電池運転処理を継続する。
ステップ#25において、滞留時間が設定滞留許容時間以上となるブロックが存在すると判別するときは、槽上部温度センサStの検出温度が前記設定低温範囲の温度になって、終了条件を満たすまで水質向上処理として湯水入替処理を実行し、終了条件を満たすと、燃料電池1を停止させて、次の運転周期の開始時点になるまで燃料電池1の運転を待機し、次の運転周期の開始時点になると(ステップ#26〜29)、ステップ#22に戻って運転形態設定処理を実行する。
【0173】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態を説明する。
先ず、水質向上処理の要否を判別する処理について説明する。
前記運転制御部5は、前記給水路16から前記貯湯槽への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ、前記貯湯用循環路18を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データ、及び、前記貯湯槽2の容量データに基づいて、湯水が前記給水路16を通して供給されてから前記加熱部H(即ち、貯湯用熱交換器22)にて加熱されることなく前記貯湯槽2に貯留される非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、湯水が前記貯湯用熱交換器22にて加熱されてから前記加熱部Hにて再加熱されることなく前記貯湯槽2に貯留される非再加熱貯留時間が前記設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、前記貯湯槽2の全体又は略全体を前記加熱部Hにて加熱した湯で満たすように前記湯水循環ポンプ19を作動させ且つ前記加熱部Hを加熱作動させる全体加熱処理を実行し、且つ、前記給水路16を通して供給されてから前記貯湯槽2に滞留する滞留時間が前記設定非加熱許容時間よりも長い設定滞留許容時間以上となる湯水が存在すると判別すると、前記貯湯槽2の湯水の全量又は略全量を前記給水路からの水に入れ替える湯水入替処理を実行するように構成されている。
【0174】
前記運転制御部5により時系列的な給水量データ、時系列的な湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データを管理するデータ管理処理は、上記の第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0175】
以下、前記非加熱貯留時間、非再加熱貯留時間滞留時間及び前記滞留時間の管理について説明を加えるが、この第3実施形態においても、上記の第1実施形態と同様に、図2に示す如き時系列的な管理用時間当たりの給水量データ及び時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データが運転制御部5により管理されるとして、説明する。
図7に示すように、図3に示す第1実施形態と同様に、管理用時間の開始時点毎に、貯湯槽2内の湯水を管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックに分けるブロック分けが行われ、各ブロック内に、各ブロックの給水日時、加熱日時、湯水量をそれぞれ(1/1,1)(−)(140)、あるいは、(1/1,1)(1/1,2)(10)の如く示す。
つまり、各ブロック内における左端の()内に給水日時を、中央の()内に加熱日時を、右端の()内に湯水量を示す。
例えば、1月1日の8:00のブロック分けにおける最下部のブロックは給水ブロックであり、その内部の(1/1,1)(−)(140)については、左端の()内の「1/1,1」は、給水日時が1月1日の1時であることを示し、中央の()内の「−」は、給水されたままで加熱されていないことを示し、右端の()内の「140」は湯水量が140リットルであることを示す。
又、下から2番目のブロックは加熱済みブロックであり、その内部の(1/1,1)(1/1,2)(10)については、左端の()内の「1/1,1」は、給水日時が1月1日の1時であることを示し、中央の()内の「1/1,2」は、加熱日時が1月1日の2時であることを示し、右端の()内の「10」は湯水量が10リットルであることを示す。
【0176】
1月1日の2時から7時までの6時間は、毎時10リットルずつ貯湯槽2の湯水が循環されるので、毎時、10リットルの湯水が貯湯槽2の底部から取り出されて、貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち貯湯槽2の上部に戻されることになり、1月1日の8時台の管理用時間の開始時点では、図7の(イ)に示すように、給水日時が1月1日の1時で湯水量が140リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、……………、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の7時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックの7個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0177】
1月1日の8時台は、給水路16を通しての貯湯槽2への給水と貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環とが並行して行われており、上述の第1実施形態と同様に、貯湯槽2の底部に供給された40リットルの水のうち、貯湯用循環路22を通して循環された10リットルを除いた30リットルを給水循環並行時給水量として、その給水循環並行時給水量の水が貯湯槽2の底部に貯留されることとする。
従って、1月1日の9時台の管理用時間の開始時点では、図7の(ロ)に示すように、給水日時が1月1日の8時で湯水量が30リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時で湯水量が140リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の4時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックの5個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0178】
1月1日の9時から18時までの10時間は、毎時10リットルずつ貯湯槽2の湯水が循環されるので、毎時、10リットルの湯水が貯湯槽2の底部から取り出されて、貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち貯湯槽2の上部に戻されることになり、1月1日の19時台の管理用時間の開始時点では、図7の(ハ)に示すように、給水日時が1月1日の1時で湯水量が70リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、……………、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の18時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックの14個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0179】
1月1日の19時台は、給水路16を通して100リットルの水が貯湯槽2の底部に供給され、貯湯用循環路18を通しての循環が行われていないので、貯湯槽2の上部の100リットル分の湯水が貯湯槽2から給湯路17に送出されたことになり、1月1日の20時台の管理用時間の開始時点では、図7の(ニ)に示すように、給水日時が1月1日の19時で湯水量が100リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時で湯水量が70リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の4時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックの5個のブロックが下方から上方に並ぶ状態でブロック分けされる。
【0180】
上述の如く、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データに基づいて、各管理用時間の開始時点において、貯湯槽2内の湯水を給水ブロック及び加熱済みブロックにてブロック分けすると共に、各ブロック毎に、給水日時、加熱日時、湯水量を特定することができ、例えば、1月3日の9時台、1月3日の20時台及び1月4日の2時台の夫々の管理用時間の開始時点においては、図7の(ホ)〜(ト)に示すように、貯湯槽2内の湯水を、管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックにてブロック分けすると共に、各ブロック毎に、給水日時、加熱日時、湯水量を特定することができる。
【0181】
更に、1月4日の3時台の管理用時間以降の時系列的な管理用時間当たりの給水量データ及び時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データについての図示及び説明を省略するが、1月7日の1時台の管理用時間の開始時点においては、図7の(チ)に示すように、貯湯槽2内の湯水が、管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックにてブロック分けされると共に、各ブロック毎に、給水日時、加熱日時、湯水量が特定される。
ちなみに、図7の(チ)に示すように、上方の3つのブロックは、下から、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月6日の16時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月6日の17時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月6日の18時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックであるが、これらの加熱済みブロックは、図7の(ト)に示す下から2番目から4番目の加熱済みブロックが貯湯用熱交換器22にて再加熱された加熱済みブロックである。
【0182】
そして、管理用時間の開始時点毎に、各給水ブロック毎の給水日時に基づいて、各給水ブロック毎に非加熱貯留時間及び滞留時間を求め、各加熱済みブロック毎の給水日時及び加熱日時に基づいて、各加熱済みブロック毎に非再加熱貯留時間及び滞留時間を求めることができる。
例えば、図7の(ホ)に基づいて説明すると、1月3日の9時台の管理用時間の開始時点においては、下から1番目から3番目のブロックが給水ブロックであり、それらのうち下から3番目の給水ブロックの給水日時は1月1日の1時であって、最も過去となり、その給水ブロックの非加熱貯留時間及び滞留時間は共に56時間となる。
又、下から4番目から最上部までの10ブロックが加熱済みブロックであり、それらのうち下から4番目の加熱済みブロックの加熱日時は1月1日の2時であって、最も過去となり、その加熱済みブロックの非再加熱貯留時間は55時間になり、それらのうち下から4番目から6番目の加熱済みブロックの給水日時は1月1日の1時であって、最も過去となり、その加熱済みブロックの滞留時間は56時間になる。
【0183】
図7の(ト)に基づいて説明すると、1月4日の2時台の管理用時間の開始時点においては、給水ブロックは最下部のブロックだけであり、その給水ブロックの給水日時は1月3日の19時であるので、非加熱貯留時間及び滞留時間共に7時間となり、又、加熱済みブロックは下から2番目から最上部までの6ブロックであり、それらのうち下から2番目の加熱済みブロックの加熱日時は1月1日の2時であって、最も過去となり、その加熱済みブロックの非再加熱貯留時間は72時間になり、それらのうち下から2番目から4番目の加熱済みブロックの給水日時は1月1日の1時であって、最も過去となり、その加熱済みブロックの滞留時間は73時間になる。
【0184】
図7の(チ)に基づいて説明すると、1月7日の1時台の管理用時間の開始時点においては、給水ブロックは最下部のブロックだけであり、その給水ブロックの給水日時は1月6日の18時であるので、非加熱貯留時間及び滞留時間共に7時間となり、又、加熱済みブロックは下から2番目から最上部までの3ブロックであり、それらのうち下から2番目の加熱済みブロックの加熱日時は1月6日の16時であって、最も過去となり、その加熱済みブロックの非再加熱貯留時間は9時間になり、それらのうち下から2番目から4番目の加熱済みブロックの給水日時は1月1日の1時であって、最も過去となり、その加熱済みブロックの滞留時間は144時間になる
【0185】
そして、前記設定非加熱許容時間を例えば72時間(3日間)に設定し、前記設定滞留許容時間を144時間(6日間)に設定する。
すると、1月4日の2時台の管理用時間の開始時点において、非再加熱貯留時間が設定非加熱貯留時間以上となる湯水のブロックが存在すると判別されることになる。
又、1月7日の1時台の管理用時間の開始時点において、滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水のブロックが存在すると判別されることになる。
【0186】
つまり、前記運転制御部5は、管理用時間の開始時点において、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データに基づいて、貯湯槽2内の湯水を、管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックにて、各ブロックが給水路16を通しての給水の順序及び貯湯用循環路18を通しての湯水の循環の順序に対応して並び且つ各ブロックの湯水量を合計した合計湯水量が容量データに等しくなる状態で上下方向にブロック分けし、且つ、各給水ブロック毎に、給水日時及び湯水量を特定し、各加熱済みブロック毎に、給水日時、加熱日時及び湯水量を特定するように構成されている。
ちなみに、前記運転制御部5は、前記給水路16を通して供給されて貯湯用熱交換器22にて加熱されたのち、再度貯湯用熱交換器22にて加熱された加熱済みブロックについては、最も新しい再加熱日時を加熱日時として特定するように構成されている。
又、前記運転制御部5は、管理用時間の開始時点において、各給水ブロック毎に、夫々の給水日時に基づいて非加熱貯留時間及び滞留時間を求め、各加熱済みブロック毎に、夫々の加熱日時に基づいて非再加熱貯留時間を求め且つ夫々の給水日時に基づいて滞留時間を求めるように構成されている。
【0187】
次に、前記全体加熱処理及び前記湯水入替処理について説明を加える。
上記の第1実施形態と同様に、前記運転制御部5は、前記全体加熱処理として、前記給水切換三方弁28を前記槽迂回給水状態、即ち、湯水送出停止状態に切り換えた状態で、前記貯湯温度センサShの検出温度が前記目標貯湯温度になるように前記湯水循環ポンプ19を作動させ且つ前記燃料電池1を現電力負荷追従運転させる湯水送出停止状態の全体加熱処理を実行するように構成されている。
又、上記の第1実施形態と同様に、前記運転制御部5は、槽底部温度センサSbの検出温度が設定高温範囲の温度になると、湯水送出停止状態の全体加熱処理を終了する終了条件を満たすと判別するように構成されている。
【0188】
前記運転制御部5は、前記湯水入替処理として、上記の第2実施形態と同様に、前記貯湯用循環路18における湯水循環量を通常時よりも少なくすべく前記湯水循環ポンプ19の作動を制御する又は貯湯用循環路18における湯水の循環を停止させるべく湯水循環ポンプ19の作動を制御する湯水入替促進処理を実行するように構成されている。
又、前記運転制御部5は、上記の第2実施形態と同様に、前記槽上部温度センサStの検出温度が前記設定低温範囲の温度になると、湯水入替促進処理を終了する終了条件を満たすと判別するように構成されている。
【0189】
以下、図8に示すフローチャートに基づいて、前記運転制御部5の制御動作について説明する。
ステップ#41にて、運転周期の開始時点になったと判別すると、運転形態設定処理を実行して、燃料電池1の運転形態を定め、その定めた運転形態にて燃料電池1を運転する燃料電池運転処理を実行する(ステップ#42,43)。
【0190】
ステップ#41にて、運転周期の開始時点ではないと判別すると、ステップ#44において、非加熱貯留時間、非再加熱貯留時間及び滞留時間を演算する処理を実行する。
この処理においては、管理用時間の開始時点毎に、時系列的な管理用時間当たりの給水量データ、時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データ及び貯湯槽2の容量データに基づいて、貯湯槽2内の湯水における管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックによるブロック分けを更新して、各給水ブロック毎に、給水日時及び湯水量を特定すると共に非加熱貯留時間及び滞留時間を求め、且つ、各加熱済みブロック毎に、給水日時、加熱日時及び湯水量を特定すると共に非再加熱貯留時間及び滞留時間を求める。
【0191】
続いて、ステップ#45において、非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となるブロックが存在するか否かを判別し、存在しないと判別するときは、ステップ#46において、非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となるブロックが存在するか否かを判別し、存在しないと判別するときは、ステップ#47において、滞留時間が設定滞留許容時間以上となるブロックが存在するか否かを判別し、存在しないと判別するときは、ステップ#43に戻って燃料電池運転処理を継続する。
【0192】
ステップ#45において非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となるブロックが存在すると判別するとき、又は、ステップ#46において非再加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となるブロックが存在すると判別するときは、槽底部温度センサSbの検出温度が設定高温範囲の温度になって終了条件を満たすまで湯水送出停止状態の全体加熱処理を実行し、終了条件を満たすと、燃料電池1を停止させて、次の運転周期の開始時点になるまで燃料電池1の運転を待機し、次の運転周期の開始時点になると(ステップ#48,49,52,53)、ステップ#42に戻って運転形態設定処理を実行する。
ステップ#47において、滞留時間が設定滞留許容時間以上となるブロックが存在すると判別すると、槽上部温度センサStの検出温度が前記設定低温範囲の温度になって終了条件を満たすまで湯水入替促進処理を実行し、終了条件を満たすと、燃料電池1を停止させて、次の運転周期の開始時点になるまで燃料電池1の運転を待機し、次の運転周期の開始時点になると(ステップ#50〜53)、ステップ#42に戻って運転形態設定処理を実行する。
【0193】
〔第4実施形態〕
この第4実施形態は、給水路16から貯湯槽2への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データを求めるための構成の別の実施形態を説明するものであり、水質向上処理の要否を判別する処理及び水質向上処理は上記の第1〜第3実施形態のうちのいずれかの実施形態で説明したものを採用することができる。
【0194】
図9に示すように、この第4実施形態のコージェネレーションシステムは、上記の第1実施形態にて設けられた送出量センサQsが省略され、前記給水路16からの水を前記貯湯槽2を迂回して前記給湯路17に供給する混合給水路34、その混合給水路34を通して供給される水と貯湯槽2から給湯路17を通して送出される湯水との混合比率を調節自在な混合手段としての混合三方弁35、及び、前記給湯路17における前記混合給水路34の接続箇所よりも下流側にて前記給湯路17を通流する湯水の単位時間当たりの流量を検出する混合後湯水送出量検出手段としての混合後湯水送出量センサQmが追加して設けられている。
【0195】
説明を加えると、前記給水路16における前記槽迂回給水路27の分岐箇所よりも上流側の箇所から分岐された前記混合給水路34が、前記給湯路17における前記給湯用補助加熱器24と前記給湯熱負荷計測手段31との間の箇所に接続され、その給湯路17と混合給水路34との接続部分に、前記混合三方弁35が設けられている。
前記給湯熱負荷計測手段31は、給湯負荷検出用温度センサ31sと給湯負荷検出用流量センサ31qとを備えて構成され、その給湯負荷検出用流量センサ31qが前記混合後湯水送出量センサQmに兼用されるように構成されている。
【0196】
以下、前記運転制御部5の制御動作について説明する。
先ず、目標給湯温度の湯を給湯先に供給するための制御動作について説明する。
運転制御部5は、前記給湯用補助加熱器24の流入温度センサにて検出される湯水の温度が目標給湯温度よりも高いときは、給湯負荷検出用温度センサ31sの検出温度が目標給湯温度になるように混合三方弁35の作動を制御するように構成されている。
又、運転制御部5は、前記給湯用補助加熱器24の流入温度センサにて検出される湯水の温度が目標給湯温度よりも低いときは、前記流入温度センサにて検出される湯水の温度及び前記混合後湯水送出量センサQmにて検出される湯水の流量に基づいて、前記貯湯槽2から送出される湯水を目標給湯温度に加熱するために要する前記給湯用補助加熱器24の必要燃焼量を求めて、その求めた必要燃焼量が前記給湯用補助加熱器24の燃焼量調節範囲における最小燃焼量よりも大きいか否かを判別し、必要燃焼量が最小燃焼量よりも大きい場合は、前記給湯用補助加熱器24の流出温度センサの検出温度が目標給湯温度になるように前記給湯用補助加熱器24の燃焼量を調節し、且つ、混合給水路34からの水の混合量を0にすべく、前記混合給水路34側を閉じるように前記混合三方弁35の作動を制御し、必要燃焼量が最小燃焼量以下の場合は、前記給湯用補助加熱器24の燃焼量を最小燃焼量に調節し、且つ、給湯負荷検出用温度センサ31sにて検出される湯水の温度が目標給湯温度になるように前記混合三方弁35の作動を制御するように構成されている。
【0197】
次に、前記給水路17から前記貯湯槽2への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データを求めるための制御動作について、説明する。
即ち、前記運転制御部5は、前記給湯路17にて前記混合三方弁35に供給される湯水の温度、前記混合給水路34にて前記混合三方弁35に供給される水の温度、前記目標給湯温度及び前記混合後湯水送出量センサQmの検出情報に基づいて、前記時系列的な給水量データを求めるように構成されている。
ちなみに、前記給湯用補助加熱器24の流出温度センサにより、前記給湯路17にて前記混合三方弁35に供給される湯水の温度が検出され、前記給水温度センサSiにより、前記混合給水路34にて前記混合三方弁35に供給される水の温度が検出される。
【0198】
以下、前記運転制御部5により前記時系列的な給水量データを求めるための演算式について説明する。
前記給湯路17にて前記混合三方弁35に供給される湯水の温度をTyとし、前記混合給水路34にて前記混合三方弁35に供給される水の温度をTwとし、目標給湯温度をTpとし、混合後湯水送出量センサQmにて検出される湯水の流量をVmとし、時系列的な給水量データをVxとすると、下記の式13が成り立ち、その式13から導き出される下記の式14に基づいて、時系列的な給水量データVxが求められる。
【0199】
Ty×Vx+Tw×(Vm−Vx)=Tp×Vm……………(式13)
Vx={(Tp−Tw)×Vm}÷(Ty−Tw)……………(式14)
【0200】
但し、前記混合給水路34側を閉じるように前記混合三方弁35の作動が制御されているときは、混合後湯水送出量センサQmにて検出される湯水の流量が時系列的な給水量データとされる。
【0201】
前記給湯用補助加熱器24が作動していない状態では、前記給湯路17にて前記混合三方弁35に供給される湯水の温度は貯湯槽2から送出される湯水の温度になるので、前記運転制御部5が、前記貯湯槽2から送出される湯水の温度、前記混合給水路34にて供給される水の温度、前記目標給湯温度及び前記混合後湯水送出量センサQmの検出情報に基づいて、前記時系列的な給水量データVxを求めるように構成されることになる。
【0202】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 貯湯用循環路18を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データを得る方法は、上記の第1〜第3の各実施形態において例示した方法、即ち、循環量センサQcの検出情報に基づいて得る方法に限定されるものではない。
例えば、貯湯温度センサShの検出温度を目標貯湯温度にするための貯湯用循環路18における単位時間当たりの湯水循環量は、燃料電池1の発電出力に応じて概ね決まるので、燃料電池1の発電出力と貯湯用循環路18における単位時間あたりの湯水循環量との関係を予め設定して運転制御部5のメモリに記憶させておいて、運転制御部5を、前記関係に基づいて時系列的な湯水循環量データを得るように構成しても良い。
又、加熱部Hのエネルギ消費量(上記の実施形態では、燃料電池1のエネルギ消費量)、加熱部Hの熱効率(上記の実施形態では燃料電池1の電池熱効率)、貯湯温度センサShの検出温度、及び、給水温度センサSiの検出温度に基づいて、演算により時系列的な湯水循環量データを得るように構成しても良い。
【0203】
(ロ) 単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データを得る方法は、上記の第1〜第3の各実施形態において例示した方法、即ち、送出量センサQsの検出情報に基づいて得る方法に限定されるものではない。
例えば、給水路16に、貯湯槽2に供給される単位時間当たりの給水量を検出する給水量センサを設けて、その給水量センサの検出情報に基づいて、時系列的な給水量データを得るように構成しても良い。
又、給水路16から貯湯槽2への単位時間当たりの給水量は概ね決まっているので、単位時間当たりの設定給水量を予め設定して運転制御部5のメモリに記憶させておいて、運転制御部5を、単位時間当たりの設定給水量に基づいて時系列的な給水量データを得るように構成しても良い。
【0204】
(ハ) 給水路16から貯湯槽2への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ、及び、貯湯用循環路18を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データを管理するに当たって、給水路16を通しての貯湯槽2への給水と貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環とが並行して行われるときは、上記の第1〜第3の各実施形態においては、前記時系列的な給水量データ及び前記時系列的な湯水循環量データの両方を管理するように運転制御部5を構成する場合について例示したが、前記時系列的な給水量データのみを管理するように運転制御部5を構成しても良い。
この場合、前述のように給水と湯水の循環とが並行して行われる管理用時間の間は、循環量センサQcにて検出される時系列的な単位時間当たりの湯水循環量データの読み込み処理を行わないように運転制御部5を構成することになる。
ちなみに、このような時系列的な給水量データ及び時系列的な湯水循環量データの管理形態にて上記の第1〜第3の各実施形態を実施する場合は、図2に示す時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データにおいて、前述のように給水と湯水の循環とが並行して行われる管理用時間、即ち、1月1日の8時台、1月2日の8時台、1月3日の8時台夫々の管理用時間における湯水循環量データを0として、実施することになる。
【0205】
(ニ) 給水路16を通しての貯湯槽2への給水と貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環とが並行して行われるときは、給水路16から貯湯槽2への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ及び貯湯用循環路18を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データについてはそれらの両方を管理するように運転制御部5を構成する場合、給水と循環とが並行して行われるときの具体的なデータの管理形態は、上記の第1〜第3の各実施形態において説明した管理形態、即ち、送出量センサQsにて検出される時系列的な単位時間当たりの給水量データを前記時系列的な給水量データとし、循環量センサQcにて検出される時系列的な単位時間当たりの湯水循環量データを前記時系列的な湯水循環量データとして管理する形態に限定されるものではない。
例えば、送出量センサQsにて検出される時系列的な給水量データから循環量センサQcにて検出される時系列的な湯水循環量データを減じたものを前記時系列的な給水量データとして管理し、前記時系列的な湯水循環量データを見掛け上0とする形態でも良い。
【0206】
(ホ) 上記の第2及び第3の各実施形態においては、運転形態設定処理にて定めた運転形態における運転予定時間帯では、貯湯用循環路18における湯水循環量を通常時よりも少なくすべく湯水循環ポンプ19の作動を制御する循環量減少用の湯水入替促進処理を実行する場合について例示したが、運転予定時間帯でも運転停止予定時間帯と同様に、貯湯用循環路18における湯水の循環を停止させるべく湯水循環ポンプ19の作動を制御する循環停止用の湯水入替促進処理を実行しても良い。
この場合は、燃料電池1を停止させるか、あるいは、燃料電池1の運転を継続したままでラジエータ33を作動させるように構成する。
つまり、貯湯用循環路18における湯水の循環を停止させると、貯湯用熱交換器22において冷却水を冷却する冷却源がなくなるので、燃料電池1を停止させるか、あるいは、燃料電池1の運転を継続したままでラジエータ33を作動させて、そのラジエータ33により冷却水を冷却するようにする。
この場合も、前記槽上部湯水温度センサStの検出温度が設定低温範囲の温度になるまで湯水入替促進処理を実行することになる。
【0207】
(ヘ) 湯水入替促進処理用の発電出力の設定方法は、上記の第2実施形態において例示した方法、即ち、運転形態設定処理にて定めた運転形態において設定されている発電出力に出力減少設定用比率を乗ずることにより設定する方法に限定されるものではなく、例えば、燃料電池1の発電出力調節範囲の最小出力に設定する方法でも良い。
【0208】
(ト) 上記の第1実施形態において、水質向上処理として、湯水送出停止状態の全体加熱処理に代えて、上記の第2実施形態において説明したのと同様に、湯水入替促進処理を実行しても良い。
又、上記の第2実施形態において、水質向上処理として、湯水入替促進処理に代えて、上記の第1実施形態において説明したのと同様に、湯水送出停止状態の全体加熱処理を実行しても良い。
【0209】
(チ) 全体加熱処理としては、上記の第1及び第3の各実施形態において例示した湯水送出停止状態の全体加熱処理に代えて、給水切換三方弁28を通常給水状態に切り換えた状態で、貯湯槽2の全体又は略全体を加熱部Hにて加熱した湯で満たすように湯水循環ポンプ19を作動させ且つ加熱部Hを加熱作動させる湯水送出許容状態の全体加熱処理を実行しても良い。
この場合、貯湯温度センサShの検出温度が目標貯湯温度になるように湯水循環ポンプ19を作動させ且つ燃料電池1をその発電出力が通常時よりも大きくなるように運転することにより、燃料電池1の熱出力が通常時よりも多くなって、貯湯用循環路18における湯水循環量が通常時よりも多くなるようにして、給湯路17を通して貯湯槽2の湯水が送出されても、貯湯槽2における加熱部Hにて加熱した湯の貯留量が増加するようにして、貯湯槽2の全体又は略全体を加熱部Hにて加熱した湯で満たすことができるようにする。
湯水入替処理としては、上記の第2及び第3の各実施形態において例示した湯水入替促進処理に代えて、貯湯槽2の湯水を排水する排水手段により貯湯槽2の湯水の全量を排水して給水路16からの水にて入れ替える形態の湯水入替処理を実行するように構成しても良い。
【0210】
(リ) 上記の第1実施形態において、設定非加熱許容時間の具体的な設定時間は、例示した時間以外に設定可能であり、上記の第2実施形態において、設定滞留許容時間の具体的な設定時間は、例示した時間以外に設定可能である。
又、上記の第3実施形態において、設定非加熱許容時間及び設定滞留許容時間夫々の具体的な設定時間は、例示した時間以外に設定可能である。
【0211】
(ヌ) 水質向上処理として湯水入替促進処理を実行する場合において、水質向上処理を終了するための終了条件を満たしたのち次の運転周期の開始時点までの燃料電池1の運転形態として、上記の第2及び第3の各実施形態では、燃料電池1を停止させて燃料電池1の運転を待機する形態を採用したが、それ以外の形態、例えば、運転形態設定処理にて定めた運転形態にて燃料電池1を運転する形態、現電力負荷追従運転にて燃料電池1を運転する形態等を採用しても良い。
【0212】
(ル) 前記加熱部Hとは別に、貯湯用循環路18を通流する湯水を加熱する別加熱手段を設けて、湯水送出停止状態及び湯水送出許容状態夫々の全体加熱処理においては、その別加熱手段を加熱作動させるように構成したり、加熱部H及び別加熱手段の両方を加熱作動させるように構成しても良い。
例えば、前記熱媒循環切換三方弁30を前記端末迂回通流状態に切り換え且つ前記熱媒循環ポンプ21を作動させる状態で前記熱媒用補助加熱器25を加熱作動させることにより、その熱媒用補助加熱器25にて加熱された熱媒を前記熱媒加熱用熱交換器23に供給して、その熱媒にて貯湯用循環路18を通流する湯水を加熱するように構成して、前記別加熱手段を、前記熱媒循環路20、前記熱媒用補助加熱器25、前記熱媒循環ポンプ21、前記熱媒加熱用熱交換器23等にて構成するようにしても良い。
あるいは、貯湯用循環路18を通流する湯水を直接加熱するように直接加熱式の補助加熱器(瞬間湯沸し器又は電気ヒータ等)を設けて、その直接加熱式の補助加熱器にて前記別加熱手段を構成するようにしても良い。
【0213】
(ヲ) 前記湯水入替処理においては、貯湯槽2のみでなく、貯湯用循環路18の湯水や給湯路17の湯水をも、給水路16を通して供給されたのち加熱部Hにて加熱されていない湯水にて入れ替えるように構成しても良い。
【0214】
(ワ) 上記の第1〜第3の各実施形態においては、時系列的な予測電力負荷及び時系列的な予測熱負荷等の負荷データを管理するための管理用時間と時系列的な給水量データや時系列的な湯水循環量データを管理するための管理用時間とを同一の時間に設定する場合について例示したが、異なる時間に設定しても良い。
又、運転周期の具体的な設定例は、上記の第1〜第3の各実施形態において例示した1日に限定されるものではない。
【0215】
(カ) 管理用時間の開始時点毎に、貯湯槽2内の湯水を管理用時間毎の給水ブロック及び管理用時間毎の加熱済みブロックにてブロック分けするに当たって、管理用時間の具体的な設定例は、上記の第1〜第3の各実施形態において例示した1時間に限定されるものではなく、1時間よりも短く設定しても良く、1時間よりも長く設定しても良い。
そして、時系列的な給水量データや時系列的な湯水循環量データは、上述のように設定した管理用時間毎に管理することになる。
従って、管理用時間毎の給水ブロックや管理用時間毎の加熱済みブロックの各ブロックの湯水の容量の最小値は、管理用時間が短くなるほど少なくなり、例えば、管理用時間を3分間に設定すると、各ブロックの湯水の容量の最小値は例えば0.5リットル程度になる。
ところで、貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環は、1日中継続して行われる、あるいは、数時間以上にわたって継続して行われる等、長時間にわたって継続して行われるものであるが、給水路16を通しての貯湯槽2への給水は、1分間、数分間等の短い実行時間で断続して行われるものである。
そこで、管理用時間を短く設定するほど、時系列的な給水量データを実際の貯湯槽2への給水形態に適応した状態で管理することができるので、水質向上処理をより一層的確に実行することができる。
【0216】
(ヨ) 前述のように、貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環は、長時間にわたって継続して行われるものであり、一方、給水路16を通しての貯湯槽2への給水は、短い実行時間で断続して行われるものであり、そして、管理用時間を1時間等、予測される給水の実行時間よりも長い時間に設定する場合、湯水の循環は管理用時間の全体にわたって連続して行われるが、給水は管理用時間内の一部の時間帯で行われることになる場合がある。
給水路16を通しての貯湯槽2への給水と貯湯用循環路18を通しての貯湯槽2の湯水の循環とが並行して行われる管理用時間においては、上記の第1〜第3の各実施形態では、実際の給水の実行時間に関係なく、給水が管理用時間の終了時点に対応する時刻に発生したとして、各給水ブロックの給水日時及び湯水量、並びに、各加熱済みブロックの加熱日時及び湯水量を管理する場合について例示したが、実際の給水の実行時間に基づいて、管理用時間内におけるいずれかの時刻に給水が発生したとして、給水ブロックの給水日時及び湯水量、並びに、加熱済みブロックの加熱日時及び湯水量を管理するように構成しても良い。但し、給水日時及び加熱日時はいずれも正時の時刻で管理する。
ちなみに、湯水の循環量を管理用時間における給水時刻よりも前の時間帯と給水時刻よりも後の時間帯とに配分する場合、一方の時間帯の配分量が設定下限量(例えば0.5リットル)未満の場合は、全量が他方の時間帯に循環されたとする。
【0217】
例えば、図2において、1月1日の8時台の管理用時間に発生している40リットルの給水は8:01に発生したとすると、8:01に40リットルの湯水が送出され、8:01から9:00までの間、10リットルの湯水が循環されたことになる。
すると、1月1日の9時台の管理用時間の開始時点での貯湯槽2のブロック分けの形態は、上記の第1実施形態の場合、給水日時が1月1日の8時で湯水量が30リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時で湯水量が140リットルの給水ブロック、加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の8時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックの5個のブロックが下方から上方に並ぶ形態となる。
上記の第3実施形態の場合、給水日時が1月1日の8時で湯水量が30リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時で湯水量が140リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の8時且つ加熱日時が1月1日の8時で湯水量が10リットルの加熱済みブロックの5個のブロックが下方から上方に並ぶ形態となる。
【0218】
又、図2において、1月1日の8時台の管理用時間に発生している40リットルの給水は8:30に発生したとすると、8:00から8:30の間に5リットルの湯水が循環され、8:30に40リットルの湯水が送出され、8:30から9:00までの間に5リットルの湯水が循環されたことになる。
すると、1月1日の9時台の管理用時間の開始時点での貯湯槽2のブロック分けの形態は、上記の第1実施形態の場合、給水日時が1月1日の8時で湯水量が30リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時で湯水量が140リットルの給水ブロック、加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の4時で湯水量が5リットルの加熱済みブロック、加熱日時が1月1日の8時で湯水量が5リットルの加熱済みブロックの6個のブロックが下方から上方に並ぶ形態となる。
上記の第3実施形態の場合、給水日時が1月1日の8時で湯水量が30リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時で湯水量が140リットルの給水ブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の2時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の3時で湯水量が10リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の1時且つ加熱日時が1月1日の4時で湯水量が5リットルの加熱済みブロック、給水日時が1月1日の8時且つ加熱日時が1月1日の8時で湯水量が5リットルの加熱済みブロックの6個のブロックが下方から上方に並ぶ形態となる。
【0219】
例えば、図2において、1月1日の8時台の管理用時間に発生している40リットルの給水は8:59に発生したとすると、8:00から8:59までの間に10リットルの湯水が循環させ、8:59に40リットルの湯水が送出されたことになる。
この場合、1月1日の9時台の管理用時間の開始時点での貯湯槽2のブロック分けの形態は、上記の第1実施形態では、図3の(ロ)に示す形態と同様であり、上記の第3実施形態では、図7の(ロ)に示す形態と同様である。
【0220】
(タ) 図9において破線にて示すように、上記の第4実施形態において、前記混合後湯水送出量センサQmに代えて、前記給水路16における前記混合給水路34の分岐箇所よりも上流側にて前記給水路16を通流する水の単位時間当たりの流量を検出する分岐前水供給量センサQn(分岐前水供給量検出手段に相当する)を設けて、前記運転制御部5を、前記給湯路17にて前記混合三方弁35に供給される湯水の温度、前記混合給水路34にて前記混合三方弁35に供給される水の温度、前記目標給湯温度及び前記分岐前水供給量センサQnの検出情報に基づいて、前記時系列的な給水量データを求めるように構成しても良い。
この場合、前記運転制御部5により前記時系列的な給水量データを求めるための演算式は、上記の式14において、混合後湯水送出量センサQmにて検出される湯水の流量Vmを、分岐前水供給量センサQnにて検出される湯水の流量Vnに置き換えたものとなる。
つまり、前記給湯用補助加熱器24が作動していない状態では、前記給湯路17にて前記混合三方弁35に供給される湯水の温度は貯湯槽2から送出される湯水の温度になるので、前記運転制御部5が、前記貯湯槽2から送出される湯水の温度、前記混合給水路34にて供給される水の温度、前記目標給湯温度及び前記分岐前水供給量センサQnの検出情報に基づいて、前記時系列的な給水量データVxを求めるように構成されることになる。
【0221】
(レ) 上記の第4実施形態、及び、上記の(タ)の別実施形態において、前記時系列的な給水量データVxを求めるに当たって、前記目標給湯温度に代えて、前記給湯路17を通して給湯先に供給される湯水の温度、即ち、前記給湯路17における前記混合三方弁35よりも下流側部分の湯水の温度を用いるように構成しても良い。ちなみに、前記給湯負荷検出用温度センサ31sにより、前記給湯路17における前記混合三方弁35よりも下流側部分の湯水の温度が検出される。
つまり、前記運転制御部5が、前記貯湯槽2から送出される湯水の温度、前記混合給水路34にて供給される水の温度、前記給湯路17における前記混合三方弁35よりも下流側部分の湯水の温度及び前記混合後湯水送出量センサQmの検出情報又は前記分岐前水供給量センサQnの検出情報に基づいて、前記時系列的な給水量データを求めるように構成されている。
この場合、前記運転制御部5により前記時系列的な給水量データを求めるための演算式は、上記の式14において、目標給湯温度Tpを、前記給湯路17における前記混合三方弁35よりも下流側部分の湯水の温度Tsに置き換えたものとなる。
【0222】
(ソ) 上記の第4実施形態において、給水路16から貯湯槽2への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データを求めるための構成として、上記の第4実施形態において説明した構成に代えて、前記混合三方弁35の制御情報及び前記混合後湯水送出量センサQmの検出情報に基づいて、前記時系列的な給水量データを求めるように構成しても良い。
この場合、例えば、混合三方弁35における混合給水路34が接続されたポートから流入する水の流量と混合三方弁における給湯路17の上流側が接続されたポートから流入する湯水の流量とを合わせた合計流量に対する混合三方弁における給湯路17の上流側が接続されたポートから流入する湯水の流量の比率を前記混合三方弁35の制御情報として得て、その比率を混合後湯水送出量センサQmにて検出される流量に乗ずることにより、前記時系列的な給水量データを求めることになる。
【0223】
(ツ) 図9において破線にて示すように、上記の第4実施形態において、前記混合後湯水送出量センサQmに代えて、前記給水路16における前記混合給水路34の分岐箇所よりも上流側にて前記給水路16を通流する水の単位時間当たりの流量を検出する分岐前水供給量検出手段としての分岐前水供給量センサQnを設けて、前記運転制御部5を、前記混合三方弁35の制御情報及び前記分岐前水供給量センサQnの検出情報に基づいて、前記時系列的な給水量データを求めるように構成しても良い。
この場合、例えば、混合三方弁35における混合給水路34が接続されたポートから流入する水の流量と混合三方弁における給湯路17の上流側が接続されたポートから流入する湯水の流量とを合わせた合計流量に対する混合三方弁における給湯路17の上流側が接続されたポートから流入する湯水の流量の比率を前記混合三方弁35の制御情報として得て、その比率を分岐前水供給量センサQnにて検出される流量に乗ずることにより、前記時系列的な給水量データを求めることになる。
【0224】
(ネ) 強制連続運転形態及び強制断続運転形態における設定増大出力の設定方法としては、上記の実施形態において例示した方法に限定されるものではない。
例えば、予測電力負荷に対して設定増大率大きい電力に設定する方法、発電出力調節範囲における最大出力に設定する方法、あるいは、複数段階の仮設定増大出力を総当りして、上記の式6〜式8により求める予測エネルギ削減量が最大の仮設定増大出力を設定増大出力に設定する方法でも良い。
又、抑制連続運転形態及び抑制断続運転形態における設定抑制出力の設定方法としては、上記の実施形態において例示した方法に限定されるものではない。
例えば、予測電力負荷に対して設定減少率小さい電力に設定する方法、発電出力調節範囲における最小出力に設定する方法、あるいは、複数段階の仮設定抑制出力を総当りして、上記の式6〜式8により求める予測エネルギ削減量が最大の仮設定抑制出力を設定抑制出力に設定する方法でも良い。
【0225】
(ナ) 上記の実施形態では、複数種の運転形態のうち予測エネルギ削減量が最大の運転形態を燃料電池1の運転形態に定めて、その定めた運転形態にて燃料電池1を運転するように構成する場合について例示したが、予め設定した運転形態、例えば、現電力負荷追従運転にて燃料電池1を運転するように構成しても良い。又、複数種の運転形態のうち、予測二酸化炭素削減量が高くなる又は予測光熱費メリットが高くなる運転形態を燃料電池1の運転形態に定めて、その定めた運転形態にて燃料電池1を運転するように構成しても良い。
【0226】
(ラ) 上記の実施形態では、加熱部Hを、熱電併給装置の一例としての燃料電池1から発生する熱を熱源とするように構成する場合について例示したが、ガスバーナや電気ヒータや電気式のヒートポンプ等の専用の熱源を備えて構成したり、ガスエンジンやガソリンエンジン等によりコンプレッサを駆動するエンジン駆動式のヒートポンプから発生する熱を熱源とするように構成することができる。
又、加熱部Hを熱電併給装置から発生する熱を熱源とするように構成する場合、熱電併給装置としては、上記の実施形態において例示した燃料電池1以外に、例えば、エンジン駆動式の回転式発電装置を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【図1】第1〜第3の各実施形態に係るコージェネレーションシステムの全体構成を示すブロック図
【図2】時系列的な管理用時間当たりの給水量データ及び時系列的な管理用時間当たりの湯水循環量データを示す図
【図3】第1実施形態における貯湯槽内の湯水のブロック分けを示す図
【図4】第1実施形態における制御動作のフローチャートを示す図
【図5】第2実施形態における貯湯槽内の湯水のブロック分けを示す図
【図6】第2実施形態における制御動作のフローチャートを示す図
【図7】第3実施形態における貯湯槽内の湯水のブロック分けを示す図
【図8】第3実施形態における制御動作のフローチャートを示す図
【図9】第4実施形態に係るコージェネレーションシステムの全体構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0228】
5 運転制御手段
2 貯湯槽
16 給水路
17 給湯路
18 貯湯用循環路
19 湯水循環手段
34 混合給水路
35 混合手段
H 加熱手段
Qm 混合後湯水送出量検出手段
Qn 分岐前水供給量検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に接続された給水路を通して水が供給され且つ上部に接続された給湯路を通して湯水が送出される貯湯槽と、
槽底部から取り出した湯水を槽上部に戻す形態で貯湯用循環路を通して前記貯湯槽の湯水を循環させる湯水循環手段と、
前記貯湯用循環路を通流する湯水を加熱する加熱手段と、
運転を制御する運転制御手段とが設けられた貯湯式の給湯装置であって、
前記運転制御手段が、前記給水路から前記貯湯槽への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ、前記貯湯用循環路を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データ、及び、前記貯湯槽の容量データに基づいて、湯水が前記給水路を通して供給されてから前記加熱手段にて加熱されることなく前記貯湯槽に貯留される非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、湯水が前記加熱手段にて加熱されてから前記加熱手段にて再加熱されることなく前記貯湯槽に貯留される非再加熱貯留時間が前記設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、前記貯湯槽の湯水の水質低下を抑制するための水質向上処理を実行するように構成されている貯湯式の給湯装置。
【請求項2】
底部に接続された給水路を通して水が供給され且つ上部に接続された給湯路を通して湯水が送出される貯湯槽と、
槽底部から取り出した湯水を槽上部に戻す形態で貯湯用循環路を通して前記貯湯槽の湯水を循環させる湯水循環手段と、
前記貯湯用循環路を通流する湯水を加熱する加熱手段と、
運転を制御する運転制御手段とが設けられた貯湯式の給湯装置であって、
前記運転制御手段が、前記給水路から前記貯湯槽への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ、前記貯湯用循環路を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データ、及び、前記貯湯槽の容量データに基づいて、前記給水路を通して供給されてから前記貯湯槽に滞留する滞留時間が設定滞留許容時間以上となる湯水が存在すると判別すると、前記貯湯槽の湯水の水質低下を抑制するための水質向上処理を実行するように構成されている貯湯式の給湯装置。
【請求項3】
底部に接続された給水路を通して水が供給され且つ上部に接続された給湯路を通して湯水が送出される貯湯槽と、
槽底部から取り出した湯水を槽上部に戻す形態で貯湯用循環路を通して前記貯湯槽の湯水を循環させる湯水循環手段と、
前記貯湯用循環路を通流する湯水を加熱する加熱手段と、
運転を制御する運転制御手段とが設けられた貯湯式の給湯装置であって、
前記運転制御手段が、前記給水路から前記貯湯槽への単位時間当たりの給水量についての時系列的な給水量データ、前記貯湯用循環路を通して循環される単位時間当たりの湯水循環量についての時系列的な湯水循環量データ、及び、前記貯湯槽の容量データに基づいて、
湯水が前記給水路を通して供給されてから前記加熱手段にて加熱されることなく前記貯湯槽に貯留される非加熱貯留時間が設定非加熱許容時間以上となる湯水、及び、湯水が前記加熱手段にて加熱されてから前記加熱手段にて再加熱されることなく前記貯湯槽に貯留される非再加熱貯留時間が前記設定非加熱許容時間以上となる湯水の少なくとも一方が存在すると判別すると、前記貯湯槽の全体又は略全体を前記加熱手段又はその加熱手段とは別の前記貯湯用循環路を通流する湯水を加熱する別加熱手段にて加熱した湯で満たすように前記湯水循環手段を作動させ且つ前記加熱手段又は前記別加熱手段を加熱作動させる全体加熱処理を実行し、且つ、
前記給水路を通して供給されてから前記貯湯槽に滞留する滞留時間が前記設定非加熱許容時間よりも長い設定滞留許容時間以上となる湯水が存在すると判別すると、前記貯湯槽の湯水の全量又は略全量を前記給水路からの水に入れ替える湯水入替処理を実行するように構成されている貯湯式の給湯装置。
【請求項4】
前記運転制御手段が、前記水質向上処理として、前記貯湯槽の湯水の全量又は略全量を前記給水路からの水に入れ替える湯水入替処理を実行するように構成されている請求項1又は2記載の貯湯式の給湯装置。
【請求項5】
前記運転制御手段が、前記水質向上処理として、前記貯湯槽の全体又は略全体を前記加熱手段又はその加熱手段とは別の前記貯湯用循環路を通流する湯水を加熱する別加熱手段にて加熱した湯で満たすように前記湯水循環手段を作動させ且つ前記加熱手段又は前記別加熱手段を加熱作動させる全体加熱処理を実行するように構成されている請求項1又は2記載の貯湯式の給湯装置。
【請求項6】
前記運転制御手段が、前記給水路を通しての前記貯湯槽への給水と前記貯湯用循環路を通しての前記貯湯槽の湯水の循環とが並行して行われるときは、前記時系列的な給水量データ及び前記時系列的な湯水循環量データについては、前記時系列的な給水量データのみを管理するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の貯湯式の給湯装置。
【請求項7】
前記運転制御手段が、前記給水路を通しての前記貯湯槽への給水と前記貯湯用循環路を通しての前記貯湯槽の湯水の循環とが並行して行われるときは、前記時系列的な給水量データ及び前記時系列的な湯水循環量データについては、それらの両方を管理するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の貯湯式の給湯装置。
【請求項8】
前記運転制御手段が、前記貯湯槽から前記給湯路に送出される単位時間当たりの湯水送出量についての時系列的な湯水送出量データを、前記時系列的な給水量データとして管理するように構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の貯湯式の給湯装置。
【請求項9】
前記給水路からの水を前記貯湯槽を迂回して前記給湯路に供給する混合給水路、及び、その混合給水路を通して供給される水と前記貯湯槽から前記給湯路を通して送出される湯水との混合比率を調節自在な混合手段が設けられ、
前記給水路における前記混合給水路の分岐箇所よりも上流側の箇所にて前記給水路を通流する水の単位時間当たりの流量を検出する分岐前水供給量検出手段、又は、前記給湯路における前記混合給水路の接続箇所よりも下流側にて前記給湯路を通流する湯水の単位時間当たりの流量を検出する混合後湯水送出量検出手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記混合手段にて混合されたのちの湯水の温度が目標給湯温度になるように前記混合手段の作動を制御し、且つ、
前記貯湯槽から送出される湯水の温度、前記混合給水路にて供給される水の温度、前記目標給湯温度及び前記分岐前水供給量検出手段の検出情報若しくは前記混合後湯水送出量検出手段の検出情報に基づいて、又は、前記混合手段の制御情報及び前記分岐前水供給量検出手段の検出情報若しくは前記混合後湯水送出量検出手段の検出情報に基づいて、前記時系列的な給水量データを求めるように構成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の貯湯式の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−115432(P2009−115432A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292221(P2007−292221)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】