説明

貯湯式の電気給湯機

【課題】
貯湯タンクの湯切れが生じた場合などでも使用者に与える影響を小さく抑えることのできる、安全で使い勝手の良い貯湯式の電気給湯機を得る。
【解決手段】
電気給湯機は、貯湯タンク1、この貯湯タンクに蓄えられた湯の温度を検出するために貯湯タンク上部に取り付けられた温度センサ5、前記貯湯タンクの下部に水を給水する給水管6、この給水管6に取り付けられ給水温度を検出する温度センサ10、前記給水管6を通じて給水された給水圧により前記貯湯タンク1の上部から押し出された湯を導く給湯管7、前記貯湯タンク1をバイパスするバイパス管8、前記給湯管7から導かれた湯と前記バイパス管8により導かれた水とを混合し所望の温度の混合湯を作る混合弁2、混合湯の流量を検出する流量センサ3、及び前記混合湯の全流量を停止可能な電動弁4を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は給湯温度が異常であることを検出し給湯を停止または開始することのできる貯湯式の電気給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は従来の貯湯式給湯装置を示すシステム構成図である。図3において貯湯タンク1内の水は、夜間などに加熱手段7で加熱されて、全体が所定の沸き上げ温度に達する。貯湯タンク1内の沸きあがった湯は、昼間などに使用者の要求量だけ頂部から出湯され、水と混合されて給湯される。そして、出湯に見合う量の水が底部からタンク1内に補給されるとともに、タンク1内の水は、必要に応じて加熱手段7で追加加熱される。使用者は、所望の給湯温度Tuを人力手段14から入力し、出湯に混合される水の温度T0は、水温センサ13で検出され、貯湯タンク1内の湯温Tiは、タンクの縦方向に所定間隔をおいて設けられた複数の湯温センサ12a〜12fで検出される。湯量算出手段11は、上記各湯温センサ12a〜12が検出する湯温Tiと上記給湯温度Tuとの差(Ti−Tu)に、その温度センサが占めるタンクの容積Viを乗じて累加し、累加結果を給湯温度Tuと上記水温T0の差(Tu−T0)で除して混合水量Vxを求め、これに貯湯タンク1の全容積Vを加えて給湯可能湯量Vuを算出する。こうして算出された給湯可能湯量Vuは、表示手段15により数値等で表示される。かくて、使用者は、表示された数値等を見るだけで、貯湯タンク1内の残湯が、所望の給湯温度Tuに換算してどれだけの量あるかを知ることができ、湯不足に対する不安感が解消されるとともに、上記数値等を目安に追加過熱の程度を加減して、湯不足や湯余りを回避することができる、としている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−118572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の貯等式給湯装置のシステムでは貯湯タンクの温度を多くの温度センサを使用して細かく検出して使用者に給湯可能な残湯量を報知したり学習などによって使用者の生活パターンを模擬想定した貯湯運転を行うことで湯切れ防止や運転の効率向上に注力しているものの、実際にふろの湯張りなど給湯機能を使用中に湯切れが生じた場合の対処について言及しているものは見当たらない。
【0005】
本発明の目的は、貯湯タンクの湯切れが生じた場合などでも使用者に与える影響を小さく抑えることのできる、安全で使い勝手の良い貯等式の電気給湯機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、貯湯タンクを備えた貯湯式の電気給湯機において、前記貯湯タンクに蓄えられた湯の温度を検出するためにこの貯湯タンクの上部に取り付けられた温度センサと、前記貯湯タンクの下部に水を給水するための給水管と、前記給水管に取り付けられ給水温度を検出する温度センサと、前記給水管を通じて給水された給水圧により前記貯湯タンクの上部から押し出された湯を導く給湯管と、前記貯湯タンクをバイパスするバイパス管と、前記給湯管から導かれた湯と前記バイパス管により導かれた水とを混合し所望の温度の混合湯を作る混合弁と、混合湯の流量を検出する流量センサと、混合湯の全流量を停止できる電動弁とを備え、前記貯湯タンク上部の温度センサで検出した貯湯タンクの温度で給湯管から給湯される湯の温度を判別して前記電動弁を制御する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0007】
なお、前記電動弁は混合湯の全流量をゼロにできるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明よれば、給湯温度が異常であることを検出し給湯を停止または開始するようにしているので、安全で使い勝手の良い貯湯式の電気給湯機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の電気給湯機の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の貯湯式の電気給湯機の一実施例を示す図である。
【0011】
この給湯システムは、貯湯タンク1と、貯湯タンク1に蓄えられた湯の温度を検出する貯湯タンク1の上部に取り付けた温度センサ5と、貯湯タンクの下部に水を給水する給水管6と、前記給水管6に取り付けられ給水温度を検出する温度センサ10と、給水管6を通じて給水された給水圧により貯湯タンク1の上部から押し出された湯を導く給湯管7と、貯湯タンク1をバイパスするバイパス管8と、給湯管7から導かれた湯とバイパス管8により導かれた水とを混合し所望の温度の混合湯を作る混合弁2と、混合湯の流量を検出する流量センサ3と、混合湯の全流量をゼロとできる電動弁4とを備えた給湯動作を司る給湯サイクル系と、圧縮機13と、水冷媒熱交換器16と、減圧装置14と、空気熱交換器15が連通して閉回路を成し、ファン17により外気を取り込んで吸気熱交換器で吸熱し、水冷媒熱交換器16でその熱を貯湯タンク1の下部から循環ポンプ18によって導かれた低温水に与えて高温水を作り貯湯タンク1の上部に戻して貯湯する、熱源であるヒートポンプサイクル系から構成されている。
【0012】
本実施例の給湯システムでは温度センサ5が貯湯タンク1内に高温湯の存在を検出している間は混合弁2で制御装置21からの要求の温度に応じて適温の湯を作って供給するが、温度センサ5が貯湯タンク1内の湯切れあるいは残湯量が少なくなったことを検出した場合には電動弁4を閉じて全流量をゼロとすることができる。これは浴槽への湯張り給湯の場合に有用な機能である。例えば浴槽への200Lの湯張りの途中(例えば150L)で貯湯タンク1内の湯が切れた場合、従来であれば電動弁4を備えていないために給湯を止めることができずに低温水が供給され、それまで浴槽に張った適温の湯の温度を下げてしまうこととなるが、本発明の電機給湯機では電動弁4を備えているために貯湯タンク1内の湯切れあるいは残湯量が少なくなったことを検出し、給湯を自動停止させ、浴槽内に張った湯の温度を適温に保つことができる。
【0013】
その後、給湯を一時停止させたままヒートポンプサイクルを運転し、貯湯タンク1への貯湯運転を行うことも可能である。ヒートポンプサイクルの運転により貯湯タンクに高温の湯がある一定量以上蓄えられたことを温度センサ5によって検出した後、一時停止させていた浴槽への湯張り運転を再開させ、浴槽への湯張りを完了させることもできる。
【0014】
このとき、貯湯タンク1への貯湯量を検出する温度センサとして、温度センサ5よりも貯湯タンク1の下部側に配置させた温度センサ11を用いても良い。
【0015】
また、給湯温度を温度センサ9によって監視しても良い。温度センサ9で給湯温度を監視することによって、給湯温度が制御装置21の制御範囲を逸脱した場合、すなわち高温(例えば60℃以上)となった場合や低温(例えば水温)となった場合に電動弁4を閉じることにより使用者がやけどをすることや、突然水がかかることによるショックを防止することができる。
【0016】
上記のように異常で給湯を一時停止したとき、使用者が制御装置21を手動操作することにより電動弁4を開くことが好ましい。このとき制御装置21は異常を報知し続けていても良い。この電動弁4はステッピングモータで駆動し、全開と全閉の中間の任意の位置で停止させることができるものであると開度を段階的に上げてゆき、給湯温度が異常でなくなったかどうかを確かめることができ、安全性を高めることができる。
【実施例2】
【0017】
図2は本発明の貯湯式の電気給湯機の他の実施例を示す図である。
【0018】
上記実施例1では貯湯を行うための熱源としてヒートポンプサイクルを想定したが、貯湯タンク1の内部に電気ヒータを設けても良い。この場合、貯湯タンク1の上部と下部の2ヶ所に、上部電気ヒータ19と下部電気ヒータ20を設置した2ヒータ式の構造とする。それ以外の給湯サイクルにおける構成は実施例1と同じである。
【0019】
貯湯タンク1の全量を沸き上げる場合は下部電気ヒータ20を用い、浴槽に湯張りしている途中などで湯切れあるいは残湯量が少なくなったことを検出し、給湯を一時停止した場合の沸き上げには上部電気ヒータ19を用いると沸き上げの効率が良く、使い勝手も良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の貯湯式の電気給湯機の一実施例を示す系統図。
【図2】本発明の他の実施例を示す系統図。
【図3】従来の貯湯式の電気給湯機を示す系統図。
【符号の説明】
【0021】
1 貯湯タンク
2 混合弁
3 流量センサ
4 電動弁
5 温度センサ(貯湯タンク上部)
6 給水管
7 給湯管
8 バイパス管
9 温度センサ(混合湯温度)
10 温度センサ(給水温度)
11 温度センサ(貯湯タンク下部)
12 温度センサ(給湯配管)
13 圧縮機
14 減圧装置
15 空気熱交換器
16 水冷媒熱交換器
17 ファン
18 循環ポンプ
19 上部電気ヒータ
20 下部電気ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクを備えた貯湯式の電気給湯機において、
前記貯湯タンクに蓄えられた湯の温度を検出するためにこの貯湯タンクの上部に取り付けられた温度センサと、前記貯湯タンクの下部に水を給水するための給水管と、前記給水管に取り付けられ給水温度を検出する温度センサと、前記給水管を通じて給水された給水圧により前記貯湯タンクの上部から押し出された湯を導く給湯管と、前記貯湯タンクをバイパスするバイパス管と、前記給湯管から導かれた湯と前記バイパス管により導かれた水とを混合し所望の温度の混合湯を作る混合弁と、混合湯の流量を検出する流量センサと、混合湯の全流量を停止できる電動弁とを備え、
前記貯湯タンク上部の温度センサで検出した貯湯タンクの温度で給湯管から給湯される湯の温度を判別して前記電動弁を制御する制御装置を備えたことを特徴とする貯湯式の電気給湯機。
【請求項2】
請求項1において、前記制御装置は、貯湯タンク上部の前記温度センサで検出した温度によって前記電動弁を閉じる或いは開くように制御することを特徴とする電気給湯機。
【請求項3】
請求項1または2において、貯湯タンク上部の前記温度センサで検出する温度に代えて、前記制御装置は、前記混合弁通過後の混合湯の温度を混合弁下流に設けた温度センサにより検出して前記電動弁を制御することを特徴とする貯湯式の電気給湯機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、貯湯タンクに貯湯する湯を作り出す熱源にヒートポンプを採用したことを特徴とする貯湯式の電気給湯機。
【請求項5】
請求項4において、前記ヒートポンプが使用する冷媒は二酸化炭素であることを特徴とする貯湯式の電気給湯機。
【請求項6】
請求項1〜3の何れかにおいて、貯湯タンクに貯湯する湯を作り出す熱源に電気ヒータを採用したことを特徴とする貯湯式の電気給湯機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−85450(P2009−85450A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252373(P2007−252373)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】