説明

貯湯式給湯機

【課題】注湯弁が開いたままの状態を検出し、貯湯タンクから浴槽への湯水が供給され続けることを防止する貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】湯水を貯える貯湯タンク1と、貯湯タンク1内の湯水を沸き上げる熱源機と、貯湯タンク1から高温水を出湯する給湯管9と、給湯管9と水を供給する給水管12とを接続する湯水混合弁13bと、湯水混合弁13bで混合された湯水を浴槽へと注湯する浴槽注湯管24と、浴槽30への湯水の供給を開始または停止する浴槽注湯弁25と、浴槽30へ供給する湯水の流量を検知する流量検知手段26とを備え、浴槽注湯弁25に湯水の供給を停止する信号が出力されているにも関わらず、流量検知手段26で浴槽30への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、浴槽注湯弁25に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクを有し、貯湯タンク内の湯水を浴槽に供給することで湯張り運転が可能な貯湯式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貯湯式給湯機は、浴槽への湯張り運転を行うときに、浴槽へ貯湯タンク内の湯水を注湯する注湯弁を閉止した後の浴槽への湯の供給状態を監視する機能は設けられていなかった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−042534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の構成では、注湯弁に対して停止出力を行っているにもかかわらず、注湯弁が開いたまま故障が発生する場合や、注湯弁にゴミが噛みこんで十分な閉塞能力が得られなかった場合などにおいては、貯湯タンクから浴槽へ湯水が供給され続ける状態となり、浴槽から湯水が溢れてしまうという不具合があった。また貯湯タンクには、限られた容量の湯しか貯えておくことができず、浴槽へ湯の供給が続く状態になると湯切れが発生してしまう。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、注湯弁が開いたまま故障が発生した場合や、注湯弁にゴミが噛みこんで十分な閉塞能力が得られない場合にも、その状態を検出し、貯湯タンクから浴槽への湯水が供給され続けることを防止する貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる熱源機と、前記貯湯タンクから高温水を出湯する給湯管と、前記給湯管と水を供給する給水管とを接続する湯水混合弁と、前記湯水混合弁で混合された湯水を浴槽へと注湯する浴槽注湯管と、前記浴槽への湯水の供給を開始または停止する浴槽注湯弁と、前記浴槽へ供給する湯水の流量を検知する流量検知手段とを備え、前記浴槽注湯弁に湯水の供給を停止する信号が出力されているにも関わらず、前記流量検知手段で前記浴槽への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、前記浴槽注湯弁に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力することを特徴とするもので、注湯弁が開いたままの故障やゴミの噛みこみを解消することができる。
【0006】
また、本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる熱源機と、前記貯湯タンクから高温水を出湯する出湯管と、前記出湯管と水を供給する給水管とを接続する湯水混合弁と、前記湯水混合弁で混合された湯水を浴槽へと注湯する浴槽注湯管と、前記浴槽への湯水の供給を開始または停止する浴槽注湯弁と、前記貯湯タンク内の湯水と前記浴槽内の湯水との熱交換を行う風呂熱交換器と、前記浴槽注湯管に接続されるとともに前記浴槽の湯水を循環させて前記風呂熱交換器に通水する風呂循環回路と、前記風呂循環回路の湯水の循環を検知する湯水検知手段とを備え、前記浴槽注湯弁に湯水の供給を停止する信号が出力されているにも関わらず、前記流量検知手段で前記浴槽への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、前記浴槽注湯弁に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力することを特徴とするもので、風呂熱交換器を備えた回路においても、
湯水検知手段にて湯水が供給され続けている状態を検知し、注湯弁が開いたままの故障やゴミの噛みこみを解消することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、注湯弁が開いたまま故障が発生した場合や、注湯弁にゴミが噛みこんで十分な閉塞能力が得られない場合にも、その状態を検出し、貯湯タンクから浴槽への湯水が供給され続けることを防止する貯湯式給湯機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる熱源機と、前記貯湯タンクから高温水を出湯する出湯管と、前記出湯管と水を供給する給水管とを接続する湯水混合弁と、前記湯水混合弁で混合された湯水を浴槽へと注湯する浴槽注湯管と、前記浴槽への湯水の供給を開始または停止する浴槽注湯弁と、前記浴槽へ供給する湯水の流量を検知する流量検知手段とを備え、前記浴槽注湯弁に湯水の供給を停止する信号が出力されているにも関わらず、前記流量検知手段で前記浴槽への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、前記浴槽注湯弁に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力することにより、注湯弁が開いたままの故障やゴミの噛みこみを解消することができ、タンクから浴槽へ湯水が供給され続けることを防ぎ、貯湯タンクの湯切れを抑制し、湯切れ発生時に電気料金が割高な昼間時間帯に沸き上げ運転を行う場合の電気代の高騰を防止することができる。
【0009】
第2の発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる熱源機と、前記貯湯タンクから高温水を出湯する出湯管と、前記出湯管と水を供給する給水管とを接続する湯水混合弁と、前記湯水混合弁で混合された湯水を浴槽へと注湯する浴槽注湯管と、前記浴槽への湯水の供給を開始または停止する浴槽注湯弁と、前記貯湯タンク内の湯水と前記浴槽内の湯水との熱交換を行う風呂熱交換器と、前記浴槽注湯管に接続されるとともに前記浴槽の湯水を循環させて前記風呂熱交換器に通水する風呂循環回路と、前記風呂循環回路の湯水の循環を検知する湯水検知手段とを備え、前記浴槽注湯弁に湯水の供給を停止する信号が出力されているにも関わらず、前記流量検知手段で前記浴槽への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、前記浴槽注湯弁に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力することにより、貯湯タンク内の湯水を使用して浴槽内の湯水の追い焚きが可能な風呂熱交換器を備えた回路においても、湯水検知手段にて湯水が供給され続けている状態を検知し、注湯弁が開いたままの故障やゴミの噛みこみを解消することができ、タンクから浴槽へ湯水が供給され続けることを防ぎ、貯湯タンクの湯切れを抑制し、湯切れ発生時に電気料金が割高な昼間時間帯に沸き上げ運転を行う場合の電気代の高騰を防止することができる。
【0010】
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第1または第2の発明において、浴槽注湯弁に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力しても、流量検知手段または湯水検知手段で浴槽への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、湯水混合弁の開度を水側に全開にすることにより、貯湯タンクからの湯の使用を停止することができるので、無駄に貯湯タンク内の湯水を使用することを防止する。
【0011】
第4の発明の貯湯式給湯機は、特に第1〜3の発明において、貯湯タンクの略中部から中温を出湯させる中温出湯管を備え、湯水混合弁と出湯管との間に、前記中温出湯管から出湯する中温水と前記出湯管から出湯する高温水とを混合する中温混合弁を設けることにより、中温水を使用することにより高温水の使用を減らし、より効率的な湯の使用が可能
となる。
【0012】
第5の発明の貯湯式給湯機は、特に第1〜4の発明において、ユーザが動作を入力する操作部と、運転状況および設定内容を表示する表示部とを有したリモコンを備え、浴槽注湯弁に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力しても、流量検知手段または湯水検知手段で浴槽への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、前記表示部には湯の供給が停止しないことのメッセージを表示することにより、サービスマンが当該機器の修理を行う際の不良箇所の特定に役立てることができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態における貯湯式給湯機の構成図である。なお、図1に示す矢印は湯水または冷媒が循環する方向を示している。本実施の形態の貯湯式給湯機は、湯を貯える貯湯タンク1と、貯湯タンク1に貯えられた湯水を循環する循環ポンプ2と、冷媒と湯水が熱交換を行う水冷媒熱交換器3とを順次環状に給湯配管で接続し、図1に太線で示す給湯回路4を有し、さらに貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱源として、水冷媒熱交換器3と、冷媒を圧縮する圧縮機5と、外気から熱を吸熱する蒸発器6と、冷媒を減圧する膨張弁7とを順次環状に冷媒配管で接続し、図1に太線で示す冷媒回路8を有する。
【0015】
本実施の形態において冷媒回路8は、水冷媒熱交換器3、圧縮機5、蒸発器6、膨張弁7が冷媒配管によって環状に接続され、冷媒には二酸化炭素を使用しているため、高圧側が臨界圧力を超える。そのため、水冷媒熱交換器3を流通する水に熱を奪われて温度が低下しても凝縮することがなく、水冷媒熱交換器で冷媒と水との間で温度差を形成しやすくなり、高温の湯が得られ、かつ、熱交換効率を高くすることができる。また、比較的安価でかつ安定な二酸化炭素を冷媒に使用しているので、製品コストを抑えるとともに、信頼性を向上させることができる。また、二酸化炭素はオゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も代替冷媒HFC−407Cの約1700分の1と非常に小さいため、地球環境に優しい製品を提供できる。また、圧縮機5で冷媒が圧縮され、圧縮機5から吐出された冷媒が水冷媒熱交換器3で放熱し、膨張弁7で減圧されたあと、蒸発器6で空気から熱を吸収し、ガス状態で再び圧縮機5に吸入される。
【0016】
また、貯湯タンク1の上部には、高温を出湯する給湯管9が接続されており、貯湯タンク1の下部には、水を供給するための給水管10が、上水道からの水道圧を減圧させる減圧弁11を介して接続されている。給湯管9は、給水管10から分岐された給水管12と湯水混合弁13aにて接続され、湯水混合弁13aにて適温に混合された後、カラン14やシャワー15から出湯される。また、湯水混合弁13aの出湯側の配管には、サーミスタ(湯温検出手段)17aが配設されており、湯水混合弁13aは、サーミスタ17aが目標温度になるように制御されている。カラン14(シャワー15)から出湯すると貯湯タンク1内に貯えられている高温の湯が使用され、それに伴い給水管10から貯湯タンク1内に給水されるため、貯湯タンク1内は常に湯水で満たされた状態となっている。
【0017】
また、貯湯タンク1内の湯水の沸き上げ時には、循環ポンプ2が駆動することにより、貯湯タンク1の下部に配設されたヒートポンプ往き口から貯湯タンク1内の湯水が出水され水冷媒熱交換器3に流れる。水冷媒熱交換器3では湯水と冷媒とが熱交換することで高温の温が生成され、貯湯タンク1の上部に配設されたヒートポンプ戻り口から貯湯タンク1内に返流される。そして貯湯タンク1内では比重差によって、上部が高温、下部が低温の湯温の温度層が形成される。貯湯タンク1には、貯湯タンク1内の湯水の温度を検出す
る複数のサーミスタ(残湯温度検出手段)16a、16b、16c、16dが配置されている。残湯温度検出手段の検出温度によって湯と水が分離している境界を判定し、貯湯タンク1内の貯湯量を判断している。
【0018】
また、貯湯タンク1の上部には、高温を出湯する給湯管21が接続されており、給湯管21は、浴槽30の水と、貯湯タンク1内の水とが熱交換する風呂熱交換器22に接続されている。また、風呂熱交換器22から流出する熱交換を行った後の湯は、貯湯タンク1の下部に返流される。このように本実施の形態の貯湯式給湯機は、貯湯タンク1と、風呂熱交換器22と、循環ポンプ(以下、追い焚きポンプ)28とを環状に給湯配管で接続し、図1に太線で示す風呂追炊き回路23を有する。
【0019】
また、本実施の形態の貯湯式給湯機は、浴槽30を有しており、給湯管9と給水管12とが湯水混合弁13bにて接続され、湯水混合弁13bにて適温に混合された後、浴槽注湯管24を経て、浴槽30に注湯される。浴槽注湯管24には、浴槽への湯水の供給を開始および停止する浴槽注湯弁25が介設されており、浴槽注湯弁25の下流側に流量検知手段である流量センサ26を備えている。
【0020】
また、浴槽30には、アダプタ27が取り付けられており、アダプタ27には、往き管31と戻り管32とが接続されている。戻り管32と、湯水の有無を検知するフローセンサ33と、風呂熱交換器22と、循環ポンプ(以下、風呂ポンプ)34と、往き管31とを順次環状に給湯配管で接続し、図1に太線で示す風呂循環回路35を有する。また風呂熱交換器22とフローセンサ33との間に、浴槽注湯管24が接続される。
【0021】
以上のように構成された貯湯式給湯機について、以下、浴槽への湯張り運転について説明する。
【0022】
浴槽30への湯張りは、給湯管9から出湯する高温水と、給水管12からの水とを混合弁13bで適温に混合されて、風呂循環回路35に供給される。本実施の形態では混合弁13bの出湯側の配管には、サーミスタ(湯温検出手段)17bが配設されており、湯水混合弁13bは、サーミスタ17bが目標温度になるように制御されている。風呂循環回路35に供給された後の湯水は、往き管31、戻り管32に分かれ、アダプタ27から給湯される。
【0023】
浴槽注湯管24には、浴槽注湯弁25と流量センサ26とが介設されており、マイクロコンピュータ(制御装置)18から浴槽30への注湯を開始する開始信号/浴槽30への注湯を停止する停止信号に応じて浴槽注湯弁25の開閉が行われ、流量センサ26によって検出した給湯量の情報がマイクロコンピュータ18へ入力される。つまり流量センサ26の情報(給湯量の検出情報)から、浴槽注湯弁25の開状態/閉状態を判断することができる。
【0024】
次に、浴槽内の湯水の追い焚き運転について説明する。
【0025】
浴槽30内の湯水の追い焚きは、貯湯タンク内の湯水を循環させる風呂追炊き回路23と、浴槽30内の湯水を循環させる風呂循環回路35とが、風呂熱交換器22にて熱交換を行うことによって実現している。
【0026】
浴槽30内の湯水を追い炊きするときは、風呂追炊き回路23において、追い焚きポンプ28が駆動することによって貯湯タンク1内の湯が給湯管21を経て風呂熱交換器22に流入し、風呂熱交換器22で放熱した後、貯湯タンク1の下部に返流される。
【0027】
同時に、風呂循環回路35において、風呂ポンプ34が駆動することによって浴槽30内の湯が風呂熱交換器22に流入し、風呂熱交換器22で受熱した後、浴槽30に返流される。また風呂循環回路35には、風呂熱交換器22の入口側にサーミスタ(風呂温度検出手段)37、風呂熱交換器22の出口側に湯水検知手段であるフローセンサ33が設けられており、サーミスタ37の検出した温度が所定の温度になった時に、追い炊きポンプ28および風呂ポンプ34を停止し、風呂の追い炊き運転を終了する。
【0028】
フローセンサ33では、湯水の有無を検知すると、湯水の有無情報がマイクロコンピュータ18へ入力される。フローセンサ33を戻り管32に介設することで、浴槽30への湯水の供給方向と、風呂の追い炊き時の湯水の流通方向とが同じ方向となるため、フローセンサ33でも風呂注湯弁25の開状態/閉状態を判断することができる。また、風呂ポンプ34を駆動させることで浴槽30内の湯水を風呂循環回路35に通水させるが、風呂ポンプ34を駆動させてもフローセンサ33で湯水を検知しない場合は、アダプタ27よりも浴槽30内の湯水の水面が下にあることを意味し、フローセンサ33によって浴槽30内の湯水の水面位置を判断することもできる。
【0029】
図2は、本実施の形態における貯湯式給湯機の湯張り運転のフローチャートである。図2を用いて本実施の形態における貯湯式給湯機の湯張り運転について説明する。
【0030】
(ステップ1)浴槽30への湯張り運転を行うために、ユーザーがリモコン50の操作部51で湯張り運転開始の操作を行い、湯張り運転が開始する。次に、ステップ2に進む。
【0031】
(ステップ2)湯張り運転が開始されると、マイクロコンピュータ18から浴槽注湯弁25に給湯開始の出力が行われ、浴槽注湯弁25が開状態となり浴槽30への給湯が開始される。次に、ステップ3に進む。
【0032】
(ステップ3)流量センサ26で浴槽30への給湯量を計測し、予め定められた所定量に到達したかどうかを判断する。所定量に未達の場合には、所定量になるまで計測を継続し、所定量に達していれば、ステップ4に進む。
【0033】
(ステップ4)浴槽30への給湯量が所定量に達すると同時に、マイクロコンピュータ18から浴槽注湯弁25に給湯停止の出力が行われ、浴槽注湯弁25を閉状態にさせる。次に、ステップ5に進む。
【0034】
(ステップ5)流量センサ26の出力情報を基に、給湯がなしの状態であれば、ステップ9に進み、給湯がある場合であれば、ステップ6に進む。
【0035】
(ステップ6)給湯がある場合には、浴槽注湯弁25が開いたまま故障が発生したか、浴槽注湯弁25にゴミが噛みこんで十分な閉塞能力を得ることができていないと判断し、浴槽注湯弁25に対して、開状態になる信号と閉状態になる信号とを予め定められた所定回数分、交互に繰り返して出力させる。次に、ステップ7に進む。
【0036】
例えば、浴槽注湯弁25がパイロット弁で構成されており、給湯の開始信号ではソレノイドコイルに通電を行うことで発生する磁力により、シリンダー内のプランジャーが開の位置へ動き、停止信号ではソレノイドコイルに通電を止めることで、バネ圧によりプランジャーが閉の位置へ戻る構造であったとする。浴槽注湯弁30が開いたままの故障においては、何らかの要因により、プランジャーがシリンダー内で引っかかり、閉の位置へ戻らないことが想定される。そのため、開状態になる信号(開始信号)と閉状態になる信号(停止信号)を所定回数、交互に繰り返し出力することによって、磁力とバネ圧がプランジ
ャーに交互に加わることになり、引っかかりが解消されることが期待できる。またゴミの噛みこみに対しても、開状態になる信号(開始信号)と閉状態になる信号(停止信号)を所定回数、交互に繰り返し出力することによって、ゴミが除去されることが期待できる。
【0037】
(ステップ7)マイクロコンピュータ18から浴槽注湯弁25に給湯停止の出力が行われ、浴槽注湯弁25を閉状態にさせる。次に、ステップ8に進む。
【0038】
(ステップ8)再度、流量センサ26による給湯量の確認を行い、給湯がなしの状態であれば、ステップ9に進み、給湯がある場合には、ステップ10に進む。
【0039】
(ステップ9)給湯が正常に終了したとして、リモコン50の表示部52に、例えば「風呂運転が終了しました」などの表示を行うとともに、確実に給湯が停止したことが確認できたので、風呂ポンプ34を駆動することによって浴槽30内の水位が、アダプタ27を超えているかどうかの循環チェックや、浴槽30内の湯水の追い炊き運転など、次の動作へ移行する。
【0040】
(ステップ10)給湯が異常に終了したとして、浴槽注湯弁25が開状態のままなので、浴槽30内には水が流れ続けるが、リモコン50の表示部52に、例えば「風呂運転が終了しました」などの表示を行うことによって、風呂運転が確実に終了されていることをユーザーに知らせるとともに、その他の異常が発生していることをユーザーに知らせる。この時、例えば、「湯の供給が停止しません」などの表示を行うことによって、サービスマンが修理を行うときの不良箇所の特定に役立てることができる。また、この時湯水混合弁13bの開度を、水側に全開の位置まで駆動することによって、貯湯タンク1からの湯の無駄な流出を防止することができる。
【0041】
以上のように、本発明の実施の形態において、流量センサ26で浴槽30への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、浴槽注湯弁25に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数、交互に繰り返し出力することによって、浴槽注湯弁25が開いたままの故障やゴミの噛みこみを解消することができ、タンクから浴槽へ湯水が供給され続けることを防ぎ、貯湯タンクの湯切れを抑制することができる。
【0042】
また、本実施の形態においては、流量センサ26を用いて浴槽30への給湯が停止されているか否かを判断したが、風呂循環回路35に配設されているフローセンサ33を用いても同様の効果を得ることができる。
【0043】
(実施の形態2)
図3は、本実施の形態における貯湯式給湯機の構成図である。なお、実施の形態1と同じ部分については同じ符号を付して、その説明を省略する。本実施の形態では、浴槽30への出湯構成に、貯湯タンク1の中温部を出湯させる中温出湯管を設けた点で実施の形態1と相違し、その他の構成は同じである。以下、本実施の形態における貯湯式給湯機の構成について説明する。
【0044】
図3において、貯湯タンク1内の略中部に中温出湯管41を配設し、貯湯タンク1から中温水を出湯できる構成としている。浴槽30への出湯に伴い、貯湯タンク1の上方部に配設された給湯管9から高温の湯が出湯され、中温混合弁40にて高温水と中温水が混合され、さらにその下流で湯水混合弁13bによって水と混合される構成となっている。
【0045】
また、給湯温度によっては、高温水、中温水のどちらか一方のみを使用してもよく、高温水の出湯を抑えることができる。浴槽30へ供給する湯水の設定温度が、中温出湯管4
1から出湯される湯水の温度よりも低い場合には、中温混合弁40の入り口を中温水側に全開にしておくことで、高温水の出湯を抑えることができる。
【0046】
以上のように、浴槽30への給湯に中温水を使用することにより、高温水の使用を減らし、より効率的な湯の使用が可能となり、ひいてはランニングコストを低減することができる。
【0047】
また、実施の形態1と同様な制御を行うことで、浴槽注湯弁25の異常を解消することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明はヒートポンプ式の貯湯式給湯機に限らず、電気、ガス、石油、燃料電池などいずれの方式においても、一つの貯湯タンクから湯水を供給する貯湯式給湯機に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図
【図2】実施の形態1における浴槽の湯張り運転のフローチャート
【図3】実施の形態2における貯湯式給湯機の構成図
【符号の説明】
【0050】
1 貯湯タンク
2 循環ポンプ
3 水冷媒熱交換器
4 給湯回路
5 圧縮機
6 蒸発器
7 膨張弁
8 冷媒回路
9 給湯管
10 給水管
11 減圧弁
12 給水管
13a、13b 湯水混合弁
14 カラン
15 シャワー
17a、17b サーミスタ(湯温検出手段)
18 制御装置(マイクロコンピュータ)
21 給湯管
22 風呂熱交換器
23 風呂追い炊き回路
24 浴槽注湯管
25 浴槽注湯弁
26 流量センサ(流量検出手段)
27 アダプタ
28 循環ポンプ(追い炊きポンプ)
30 浴槽
31 往き管
32 戻り管
33 フローセンサ
34 循環ポンプ(風呂ポンプ)
35 風呂循環回路
37 サーミスタ(風呂温度検出手段)
40 中温混合弁
41 中温出湯管
50 リモコン
51 操作部
52 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる熱源機と、前記貯湯タンクから高温水を出湯する出湯管と、前記出湯管と水を供給する給水管とを接続する湯水混合弁と、前記湯水混合弁で混合された湯水を浴槽へと注湯する浴槽注湯管と、前記浴槽への湯水の供給を開始または停止する浴槽注湯弁と、前記浴槽へ供給する湯水の流量を検知する流量検知手段とを備え、前記浴槽注湯弁に湯水の供給を停止する信号が出力されているにも関わらず、前記流量検知手段で前記浴槽への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、前記浴槽注湯弁に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力することを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる熱源機と、前記貯湯タンクから高温水を出湯する出湯管と、前記出湯管と水を供給する給水管とを接続する湯水混合弁と、前記湯水混合弁で混合された湯水を浴槽へと注湯する浴槽注湯管と、前記浴槽への湯水の供給を開始または停止する浴槽注湯弁と、前記貯湯タンク内の湯水と前記浴槽内の湯水との熱交換を行う風呂熱交換器と、前記浴槽注湯管に接続されるとともに前記浴槽の湯水を循環させて前記風呂熱交換器に通水する風呂循環回路と、前記風呂循環回路の湯水の循環を検知する湯水検知手段とを備え、前記浴槽注湯弁に湯水の供給を停止する信号が出力されているにも関わらず、前記流量検知手段で前記浴槽への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、前記浴槽注湯弁に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力することを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項3】
浴槽注湯弁に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力しても、流量検知手段または湯水検知手段で浴槽への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、湯水混合弁の開度を水側に全開にすることを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
貯湯タンクの略中部から中温を出湯させる中温出湯管を備え、湯水混合弁と出湯管との間に、前記中温出湯管から出湯する中温水と前記出湯管から出湯する高温水とを混合する中温混合弁を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の貯湯式給湯機。
【請求項5】
ユーザが動作を入力する操作部と、運転状況および設定内容を表示する表示部とを有したリモコンを備え、浴槽注湯弁に対して、湯水の供給を開始する開始信号と、湯水の供給を停止する停止信号とを、所定回数交互に繰り返し出力しても、流量検知手段または湯水検知手段で浴槽への湯水の供給が停止されていないことを検知すると、前記表示部には湯の供給が停止しないことのメッセージを表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−82635(P2008−82635A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264058(P2006−264058)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】