説明

貯湯式給湯装置

【課題】ヒートポンプを加熱源とする床暖房機能が付加されたヒートポンプ給湯機において、暖房運転が行われたときの湯切れ防止を目的とする。
【解決手段】湯量設定手段23で設定された運転モードが予め定めた運転モード以外のとき、端末側リモコン21で運転開始の指示がなされた場合、端末側リモコン21の表示部24に運転モードの変更を案内する文字情報を表示するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内に成層状態で貯留された湯水を利用して床暖房装置等の負荷側端末に熱量を供給する温水暖房機能を備えた貯湯式給湯装置に関し、特に、暖房運転時における沸き上げ能力変更手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の温水を用いた床暖房装置は、一般地ではガス給湯暖房機が、また寒冷地では石油を用いた温水ボイラが熱源機として多く使用されている。しかし、近年、給湯器の分野ではCO2冷媒を用いた、ヒートポンプ給湯器が発売され、ランニングコストの安さと、環境にやさしい製品であることから急速に普及しており、また、この技術を用いて暖房機能が付加された多機能タイプが登場している。
【0003】
ヒートポンプ給湯機は、370Lや460Lの貯湯タンクを持ち、深夜の安い電気を使って沸き上げを行い、それにさらにヒートポンプ運転の高効率が掛け合わされて、ガス給湯器に比べて約1/5のコストで給湯がまかなえる、というものである。
【0004】
従来のこの種の暖房機能が付加されたヒートポンプ給湯器は、1つの部屋の床暖房パネルを複数の領域に分割して領域ごとに暖房するものであり、床暖房パネルと電磁三方弁、ヒートポンプと熱交換可能な熱交換器、及び貯湯槽に蓄えられた高温の湯水と熱交換可能な熱交換器からなる熱循環回路を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
熱循環回路中には湯水が循環しており、ヒートポンプと熱交換可能な熱交換器または貯湯槽に蓄えられた高温の湯水と熱交換可能な熱交換器から得られた熱量を床暖房パネルで放熱する。
【0006】
また、それぞれの床暖房パネルに対応して電磁開閉弁が設けられており、床暖房パネルの立ち上げが終了したとき、各電磁開閉弁のオン・オフのデューティー比を調節することにより、各床暖房パネルの定常状態を維持していた。
【特許文献1】特開2002−364866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記暖房機能が付加されたヒートポンプ給湯機は、暖房機能が付加されたタイプでは、上記従来の給湯負荷に加えて、暖房負荷がプラスされるため、深夜電力で沸かした湯だけでは不足するケースが多く、不足分は昼間の運転で補うようにしている。もし、使用者が夏場等で使用湯量が少ないときにランニングコストを下げるため深夜電力のみを使う設定にしていた場合や沸き上げ湯量が少な目になるような運転モードに設定されていた場合、冬場になってその設定のまま暖房運転を行うと湯切れの恐れが高い。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、使用者が深夜電力のみを使う設定にしていた場合や沸き上げ湯量が少な目になるような運転モードに設定されていた場合に、暖房運転を行うと暖房端末用リモコン操作時に沸き上げ運転モードの設定変更を促す表示を行い、使用者に報知することで湯切れを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の貯湯式給湯装置は、湯水を貯湯するタンクと、前記タンク内の湯水を下部から上部に循環させながら成層状態で沸き上げる沸き上げ手段と、前記沸き上げ手段を予め設定した条件で動作させ所定の沸き上げ湯量を確保するための運転モードを複数段に設定可能な湯量設定手段と、前記タンク内の湯水を上部から下部に循環させながら暖房用熱交換器を介して負荷側端末に熱量を供給する暖房回路と、前記負荷側端末の運転/停止の指示を行う端末側リモコンとを備え、前記湯量設定手段で設定された運転モードが予め定めた運転モード以外のとき、前記端末側リモコンで運転開始の指示がなされた場合、前記端末側リモコンの表示部に運転モードの変更を案内する文字情報を表示するようにしたものである。
【0010】
上記発明によれば、貯湯タンク内の保有熱量が給湯運転以外の用途で使用されたとき、湯切れ現象を起こす恐れがある運転モードに設定されている場合は、端末側リモコンで暖房運転等、給湯運転以外の運転開始信号が出力されたとき、タンク側の沸き上げ運転モードを湯切れ現象が発生しない運転モード、つまり現在の運転モードより貯湯タンク内の保有熱量を高めるように運転するモードに変更するように案内する文字情報を端末側リモコンの表示部に表示するようにしているため、使用者は負荷側端末の使用状況に応じて貯湯タンク内の保有熱量を高める必要があると判断した場合は、運転モードを変更することができ、また、負荷側端末の使用が短期間で運転モードの変更を必要としないと判断したときは現在の運転モードで運転を継続することができる、というように使用者の使用状況に基づいた判断で運転モードの設定を任意に行うことができ、負荷側端末の運転追加に伴う湯切れ防止に対する警告を行うことができるとともに、使用状況に応じた運転モードの選択を自由に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
省エネ運転を重視して貯湯タンク内の沸き上げ湯量が少な目に貯留される運転モードに設定された場合において、端末用リモコンで負荷側端末の運転開始の指示が出力されたとき、運転モードの変更を案内する文字情報を端末用リモコンの表示部に表示するようにしているため、負荷側端末の運転追加に伴う湯切れ防止に対する警告を行うことができるとともに、使用状況に応じた運転モードの選択を自由に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、湯水を貯湯するタンクと、前記タンク内の湯水を下部から上部に循環させながら成層状態で沸き上げる沸き上げ手段と、前記沸き上げ手段を予め設定した条件で動作させ所定の沸き上げ湯量を確保するための運転モードを複数段に設定可能な湯量設定手段と、前記タンク内の湯水を上部から下部に循環させながら暖房用熱交換器を介して負荷側端末に熱量を供給する暖房回路と、前記負荷側端末の運転/停止の指示を行う端末側リモコンとを備え、前記湯量設定手段で設定された運転モードが予め定めた運転モード以外のとき、前記端末側リモコンで運転開始の指示がなされた場合、前記端末側リモコンの表示部に運転モードの変更を案内する文字情報を表示するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
そして、貯湯タンク内の保有熱量が給湯運転以外の用途で使用されたとき、湯切れ現象を起こす恐れがある運転モードに設定されている場合は、端末側リモコンで暖房運転等、給湯運転以外の運転開始信号が出力されたとき、タンク側の沸き上げ運転モードを湯切れ現象が発生しない運転モード、つまり現在の運転モードより貯湯タンク内の保有熱量を高めるように運転するモードに変更するように案内する文字情報を端末側リモコンの表示部に表示するようにしているため、使用者は負荷側端末の使用状況に応じて貯湯タンク内の保有熱量を高める必要があると判断した場合は、運転モードを変更することができ、また、負荷側端末の使用が短期間で運転モードの変更を必要としないと判断したときは現在の運転モードで運転を継続することができる、というように使用者の使用状況に基づいた判断で運転モードの設定を任意に行うことができ、負荷側端末の運転追加に伴う湯切れ防止に対する警告を行うことができるとともに、使用状況に応じた運転モードの選択を自由に行うことができる。
【0014】
第2の発明は、湯量設定手段で設定される運転モードは、使用湯量を学習しながら湯切れ現象が発生しない必要湯量を常に確保するように運転する通常運転モードと、前記通常運転モードより少な目の湯量を確保するように運転する節約運転モードを有し、前記通常運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは、前記端末側リモコンの表示部に運転情報を表示して負荷側端末の運転を継続し、前記節約運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは、前記端末側リモコンの表示部に運転モードを通常運転モードに変更するように案内する文字情報を表示するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
そして、湯量が使用されたときは所定の条件下で昼間時間帯でも追加沸き上げ動作を行い湯切れ防止の運転を行うようにした通常運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは端末側リモコンの表示部に運転情報を表示してそのまま負荷側端末の運転を継続するようにし、湯量が使用されても昼間時間帯は追加沸き上げ動作を行わないようにしたり、昼間時間帯に行う追加沸き上げ動作の沸き上げ湯量を少な目に制限した節約運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは端末側リモコンの表示部に運転モードを通常運転モードに変更するように案内する文字情報を表示するようにしているため、使用者の使用状況に基づいた判断で運転モードの設定を任意に行うことができ、負荷側端末の運転追加に伴う湯切れ防止に対する警告を行うことができるとともに、使用状況に応じた運転モードの選択を自由に行うことができる。
【0016】
第3の発明は、湯量設定手段で設定される運転モードは、常にタンク全量が所定の温度で沸き上げられた状態を保持するように運転する第1運転モードと、湯量の使用実績を学習しながら常に必要湯量を確保するように運転する第2運転モードと、深夜時間帯のみ所定の温度でタンク全量を沸き上げるように運転する第3運転モードと、湯量の使用実績を学習しながら常に少な目の湯量を確保するように運転する第4運転モードを有し、前記第1運転モードまたは第2運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは、前記端末側リモコンの表示部に運転情報を表示して負荷側端末の運転を継続し、前記第3運転モードまたは第4運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは、前記端末側リモコンの表示部に運転モードを第2運転モードまたは第1運転モードに変更するように案内する文字情報を表示するようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
そして、運転モードを第1運転モード〜第4運転モードまで更に細かく設定して使用状況に応じた最適な沸き上げ湯量を確保するようにしたものにおいても、給湯運転以外にタンク内熱量を使用したとき湯切れ現象が発生すると想定される第3運転モード及び第4運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは、端末側リモコンの表示部に運転モードを第2運転モードまたは第1運転モードに変更するように案内する文字情報を表示するようにしているため、使用者の使用状況に基づいた判断で運転モードの設定を任意に行うことができ、負荷側端末の運転追加に伴う湯切れ防止に対する警告を行うことができるとともに、使用状況に応じた運転モードの選択を自由に行うことができる。
【0018】
第4の発明は、端末側リモコンの表示部における運転モードの変更案内表示は、運転指示が出力されてから所定期間、表示部の全面に文字情報を表示するようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
そして、運転モードの変更案内は表示部の全面に文字情報を表示するようにしているため、わかりやすく、かつ確実に使用者に報知することができる。
【0020】
第5の発明は、端末側リモコンの表示部における運転モードの変更案内表示は、運転モードの変更指示が出力されないとき、所定周期で表示部の全面に文字情報を表示するようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
そして、所定周期で運転モードの変更の必要性を報知するようにしているため、わかりやすく、かつ確実に使用者に報知することができる。
【0022】
第6の発明は、端末側リモコンの表示部における運転モードの変更案内表示は、運転モードの変更指示が出力されたとき、通常の運転情報を表示する画面に変更するようにしたことを特徴とするものである。
【0023】
そして、運転モードの変更指示が出力されたとき、表示形態の異なる運転情報画面に切り替わるようにしているため、使用者に運転モードが切り替わったことを確実に報知することができ、今までの運転モードとは異なったことを認識してもらうことができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における貯湯式給湯装置の構成図を示すものである。
【0026】
図1において、貯湯式給湯装置は湯を加熱するヒートポンプユニット1と、その湯を貯留するタンクユニット2から構成されている。ヒートポンプユニット1は、圧縮機15や蒸発器16、熱交換器17から構成されており、その内部を循環する二酸化炭素等の冷媒により熱交換器17で放熱を行うことによって湯を加熱する。
【0027】
タンクユニット2は、ヒートポンプユニット1により加熱された湯を蓄える貯湯タンク3を備え、沸き上げポンプ4を介して貯湯タンク3の下部にある低温水がヒートポンプユニット1に供給され、熱交換器17を介して沸き上げを行う。そして、沸き上げられた湯は貯湯タンク3の上部に戻される。
【0028】
以上のように構成された沸き上げ手段によって、深夜電力時間帯に貯湯タンク3内の湯水全量が所定の沸き上げ条件に基づいて沸き上げられる。また、貯湯タンク3内の湯水が使用され所定の残湯量を下回ると昼間時間帯において追加沸き上げ運転が行われ所定の沸き上げ湯量を確保するように運転が行われる。
【0029】
この追加沸き上げ運転の開始条件及び停止条件は使用者が湯量設定手段を内蔵した台所リモコン23で設定する運転モードに応じて設定されており、例えば、第1運転モードとなる「たっぷりモード」は、深夜電力時間帯における全量沸き上げ運転時の条件として貯湯タンク3内の湯水が最高の設定温度90℃になるように沸き上げられ、昼間時間帯において湯量が使用されると直ぐに追加沸き上げ動作に入って常に貯湯タンク3内の湯量が最高設定温度に保持されるように運転が行われる運転モードであり、第2運転モードとなる「おまかせモード」は、深夜電力時間帯における全量沸き上げ運転時の条件として貯湯タンク3内の湯水が最高の設定温度90℃から少し低めの設定温度80℃の間で所定期間内の使用湯量の実績を学習して設定し全量沸き上げられ、昼間時間帯においても同様に所定期間内の使用湯量の実績を学習して残湯温度検出器の信号を用いて湯切れ現象が発生しない必要湯量を確保するように運転が行われる運転モードであり、前記第1運転モードあるいは第2運転モードを通常運転モードと設定している。
【0030】
また、第3運転モードとなる「深夜モード」は、深夜電力時間帯における全量沸き上げ運転時の条件として貯湯タンク3内の湯水が予め設定した温度になるように沸き上げられ、昼間時間帯においては湯量が使用されても追加沸き上げ運転を行わず、深夜電力時間帯に沸き上げた湯量だけで必要湯量をまかなうようにした運転モードであり、省エネ運転を意識した節約運転モードの1つである。第4運転モードとなる「節約モード」は、深夜電力時間帯における全量沸き上げ運転時の条件として貯湯タンク3内の湯水が予め設定した75℃〜65℃の間で所定期間内の使用湯量の実績を学習して設定し全量沸き上げられ、昼間時間帯においても同様に所定期間内の使用湯量の実績を学習して残湯温度検出器の信号を用いて予め設定した少な目の沸き上げ湯量になるように運転する運転モードであり、省エネ運転をさらに意識した節約運転モードの1つである。
【0031】
以上のように台所リモコン23に設けられた湯量設定手段で予め設定された運転モードに基づいて沸き上げられた高温の湯は、貯湯タンク3の上部から取り出され、蛇口18から出湯される以外に、暖房用熱交換器5及び浴槽用熱交換器19を介して放熱される。そして放熱された湯は、貯湯タンク3の下部へ戻される。図1では、貯湯タンク3の上部から暖房用熱交換器5または浴槽用熱交換器19を介して貯湯タンク3の下部へ接続される放熱回路を形成している。
【0032】
また、放熱回路内では暖房用熱交換器5、浴槽用熱交換器19はそれぞれが並列となるように接続されており、片方の熱交換器から放熱することもできれば、両方の熱交換器から同時に放熱することもできる。
【0033】
浴槽用熱交換器19を介して放熱された熱は、浴槽20を沸き上げる以外にも沸き増しを行うために利用される。また、暖房用熱交換器5を介して放熱された熱は、暖房パネル13(13a及び13b)を介して床暖房として機能する。
【0034】
床暖房は、暖房用熱交換器5、暖房循環ポンプ8、暖房戻りサーミスタ9、暖房往きサーミスタ10、膨張タンク11、熱動弁12、暖房パネル13により形成される暖房回路により行われる。床暖房の温度制御は、暖房循環ポンプ8をオンして、湯を循環させながら、暖房往きサーミスタ10の温度に応じて暖房熱交ポンプ6の流量を制御して、目標の湯温になるように動作している。
【0035】
床暖房パネル13は、13a、13bの2系統が接続されており、暖房回路上を並列に分岐させて、床暖房パネル13a及び13bが並列となるように設置される。また、各床暖房パネル13aと13bにそれぞれ対応して熱動弁12(12a、12b)が接続されている。また、膨張タンク11は暖房水の膨張、収縮を吸収するものである。
【0036】
床暖房の温度制御は、上記以外に放熱回路を流れる湯水の循環量を制御することにより行われる。すなわち、放熱回路上に暖房熱交ポンプ6と暖房熱交出口サーミスタ7を設け、循環する湯水の温度を暖房熱交出口サーミスタ7で検出し、その検出温度に応じて暖房熱交ポンプ6の回転数を制御する。
【0037】
また、負荷側端末である床暖房の温度設定は、負荷用リモコンである床暖房リモコン21により使用者が任意に設定できる。図2は、本発明の第1の実施の形態における床暖房リモコン21の外観図を示すもので、床暖房リモコン21は、床温度を設定する温度設定部14を備えている。
【0038】
以上のように構成された貯湯式給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0039】
まず、ヒートポンプユニット1による沸き上げは電気代の安価な深夜に貯湯タンク3全量を沸き上げる。そして、台所リモコン23で第3運転モード「深夜モード」が設定された場合は、深夜電力時間帯に行われる全量沸き上げ運転以降の沸き上げは行わず、貯湯タンク3のお湯を使い切ると給湯、ふろ湯張り、ふろ沸き増し、暖房運転はできなくなる。
【0040】
また、昼間追加沸き上げ運転を行う第2運転モード「おまかせモード」では、貯湯タンク3の残湯量や湯温が一定以下にならないようヒートポンプユニット1による追加沸き上げ運転を自動で行い湯切れしないように動作する。
【0041】
上記運転モードにおいて、節約運転モードとなる第3運転モードが設定された状態で、床暖房パネル13aに対応した床暖房リモコン21の運転切/入ボタンを操作して、床暖房運転をスタートすると、図3のように床暖房リモコン21の表示部に「台所リモコンで1日に沸かす湯量をおまかせに変更してください」という運転モードの変更を案内する文字情報を所定期間、通常の運転情報とは異なる表示形態で表示部全面に表示するようにしている。なお、本実施の形態では文字情報として「おまかせモード」への変更案内を表示するようにしているが、「たっぷりモード」への変更案内をするようにしてもよいことはいうまでもない。
【0042】
この床暖房リモコン21の表示部に運転モードの変更を案内する文字情報を表示することで、使用者がその使用状況に基づいた判断で運転モードの設定を任意に行うことができ、負荷側端末の運転追加に伴う湯切れ防止に対する警告を行うことができるとともに、使用状況に応じた運転モードの選択を自由に行うことができる。
【0043】
また、節約運転モードとなる第4運転モードが設定された状態で、床暖房パネル13aに対応した床暖房リモコン21の運転切/入ボタンを操作して、床暖房運転をスタートした場合も同様に運転モードの変更を案内する文字情報を所定期間、通常の運転情報とは異なる表示形態で表示部全面に表示するようにしている。
【0044】
そして、運転モードの変更案内により使用者が台所リモコン23で運転モードの変更を行ったときは、床暖房リモコン21の表示部における変更案内画面から通常の運転情報表示画面に切り替えるようにしており、この画面切り替えによって運転モードが節約運転モードから通常運転モードに切り替わったことを使用者が認識できるようにしている。
【0045】
また、通常運転モードとなる第1運転モードあるいは第2運転モードが設定された状態で、床暖房パネル13aに対応した床暖房リモコン21の運転切/入ボタンを操作して、床暖房運転をスタートした場合は、床暖房リモコン21の表示部24に通常の運転情報を表示して床暖房運転を継続するようにしている。
【0046】
なお、上記変更案内により使用者が運転モードの切替操作を行わない場合は、所定周期で床暖房リモコン21の表示部24を変更案内画面と運転情報表示画面に切り替えるようにして、使用者への報知を継続するようにし、使用者が運転モードの変更を行わないと判断した場合は別途設けた解除スイッチ等によって変更案内画面を消去することができるようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は温水を用いて、暖房を行うシステムのヒートポンプを加熱源とする熱源機の湯切れ防止に効果を発揮する沸き上げ運転制御技術に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1における貯湯式給湯装置の構成図
【図2】同貯湯式給湯装置における床暖房リモコンの外観図
【図3】同貯湯式給湯装置における床暖房リモコンの表示図
【符号の説明】
【0049】
1 タンクユニット
2 ヒートポンプユニット(沸き上げ手段)
3 貯湯タンク
5 暖房用熱交換器
6 暖房熱交ポンプ
8 暖房循環ポンプ
10 暖房往きサーミスタ
12 熱動弁
13 床暖房パネル(負荷側端末)
21 床暖房リモコン(負荷側リモコン)
23 台所リモコン(湯量設定手段)
24 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯するタンクと、前記タンク内の湯水を下部から上部に循環させながら成層状態で沸き上げる沸き上げ手段と、前記沸き上げ手段を予め設定した条件で動作させ所定の沸き上げ湯量を確保するための運転モードを複数段に設定可能な湯量設定手段と、前記タンク内の湯水を上部から下部に循環させながら暖房用熱交換器を介して負荷側端末に熱量を供給する暖房回路と、前記負荷側端末の運転/停止の指示を行う端末側リモコンとを備え、前記湯量設定手段で設定された運転モードが予め定めた運転モード以外のとき、前記端末側リモコンで運転開始の指示がなされた場合、前記端末側リモコンの表示部に運転モードの変更を案内する文字情報を表示するようにした貯湯式給湯装置。
【請求項2】
湯量設定手段で設定される運転モードは、使用湯量を学習しながら湯切れ現象が発生しない必要湯量を常に確保するように運転する通常運転モードと、前記通常運転モードより少な目の湯量を確保するように運転する節約運転モードを有し、前記通常運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは、前記端末側リモコンの表示部に運転情報を表示して負荷側端末の運転を継続し、前記節約運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは、前記端末側リモコンの表示部に運転モードを通常運転モードに変更するように案内する文字情報を表示するようにした請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
湯量設定手段で設定される運転モードは、常にタンク全量が所定の温度で沸き上げられた状態を保持するように運転する第1運転モードと、湯量の使用実績を学習しながら常に必要湯量を確保するように運転する第2運転モードと、深夜時間帯のみ所定の温度でタンク全量を沸き上げるように運転する第3運転モードと、湯量の使用実績を学習しながら常に少な目の湯量を確保するように運転する第4運転モードを有し、前記第1運転モードまたは第2運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは、前記端末側リモコンの表示部に運転情報を表示して負荷側端末の運転を継続し、前記第3運転モードまたは第4運転モードに設定された状態で端末側リモコンから運転指示が出力されたときは、前記端末側リモコンの表示部に運転モードを第2運転モードまたは第1運転モードに変更するように案内する文字情報を表示するようにした請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
端末側リモコンの表示部における運転モードの変更案内表示は、運転指示が出力されてから所定期間、表示部の全面に文字情報を表示するようにした請求項1〜3のいずれか1項記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
端末側リモコンの表示部における運転モードの変更案内表示は、運転モードの変更指示が出力されないとき、所定周期で表示部の全面に文字情報を表示するようにした請求項1〜3のいずれか1項記載の貯湯式給湯装置。
【請求項6】
端末側リモコンの表示部における運転モードの変更案内表示は、運転モードの変更指示が出力されたとき、通常の運転情報を表示する画面に変更するようにした請求項1〜4のいずれか1項記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−85667(P2007−85667A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275744(P2005−275744)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】