説明

貯湯式給湯装置

【課題】貯湯式給湯装置にて使用するミストサウナの温水温度を安定させる。
【解決手段】入水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクとこの貯湯タンク内の貯湯水を加熱する熱源を設け、貯湯水の温度を検知する貯湯温センサと、入水管には給水温度T2を検知する給水温センサと逆止弁とを設け、貯湯水の沸き上げや給湯温度等の制御を行う制御装置と混合調節器と流量センサと給湯温センサを備える貯湯式給湯装置に於いて、貯湯温センサで検知した貯湯温度T1と給水温センサで検知した給水温度T2と給湯温センサで検知した給湯温度T3と流量センサで検知した給湯流量Qによって、出湯管からの温水流量を推定することで、流量センサでの給湯流量Qに応じた混合調整器のフィードバック制御の開始流量と停止流量を可変する混合調節器制御手段を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はヒートポンプ加熱式の貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものには、ガスや石油の燃焼の加熱により、給湯暖房機から供給されるお湯を加熱することによってミストを発生させるミストサウナ装置であって、給湯暖房機との間の双方向通信手段と、この給湯暖房機の最低給湯流量までお湯の流量を絞る制御手段とを備え、給湯暖房機の最低着火流量をミストサウナに伝達し、この量に合わせるようミスト低発生域制御手段である給湯配管のお湯流量調整弁を調整をしていた。したがって、お湯流量調整弁を調整することによって、ミストの最低発生量を給湯暖房機の最低着火量とすることができ、省エネが可能となるものであった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000−237273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、浴室におけるミストサウナでは、約1リットル/分程度の少しの水量しか使用されないため、ミストサウナだけの使用では、ガスや石油の熱源機の熱交換器等が空焚き状態となり、過熱防止装置等が働き、バーナ燃焼が作動しない問題が有った。又、電気温水器やヒートポンプ加熱式の給湯機等貯湯タンク内の温水を利用してミストサウナを行う場合でも、貯湯水と給水(水道水)を混合して所望の給湯温度を得るには、貯湯水の温度が高いほど湯側の流量が少なくなり、湯側の流量が極端に少なくなった時には、貯湯タンクの入水管に備えた逆止弁が作動して閉止した場合には湯側の供給も停止するため、ミストサウナに供給する給水温度の制御ができなくなる問題が有った。
また、出湯管は高温になるために、直接出湯管に流量センサを取り付けて、出湯管を通過する温水流量によって混合弁通過後のミストサウナへの温水温度をコントロールすることはできないものだった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し、上記欠点を解決する為、特にその構成を、入水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクとこの貯湯タンク内の貯湯水を加熱する熱源を設け、前記貯湯水の温度を検知する貯湯温センサと、前記入水管には給水温度T2を検知する給水温センサと逆止弁とを設け、前記貯湯水の沸き上げや給湯温度等の制御を行う制御装置と、前記入水管からバイパスさせこの入水管の水を前記出湯管からの温水に合流させるバイパス管と、このバイパス管からの水と出湯管からの温水を混合して所望の設定温度に調節する混合調節器と、この混合調節器の下流で出湯口との間に流量センサと給湯温センサを備える貯湯式給湯装置に於いて、前記貯湯温センサで検知した貯湯温度T1と給水温センサで検知した給水温度T2と給湯温センサで検知した給湯温度T3と流量センサで検知した給湯流量Qによって、前記出湯管からの温水流量を推定することで、流量センサでの給湯流量Qに応じた混合調整器のフィードバック制御の開始流量と停止流量を可変する混合調節器制御手段を設けたものである。
【0005】
また、前記混合調節器制御手段にて算出する推定湯側流量q1は、
推定湯側流量q1=給湯流量Q×(貯湯温度T1−給湯温度T3)/(貯湯温度T1−給水温度T2)
の式から求めるようにしたものである。
また、前記熱源は貯湯タンクとヒーポン循環回路で接続したヒートポンプ加熱手段としたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、給湯流量と貯湯温度と給水温度と給湯温度から計算により推定した湯側流量を求めて湯水の混合装置を制御するので、湯側流量が少なく入水管に備えた逆止弁が作動したばあいでもスムーズな給湯温度の制御することができるものである。
また、推定湯側流量q1=給湯流量Q×(貯湯温度T1−給湯温度T3)/(貯湯温度T1−給水温度T2)の計算式を使用することにより、よりスムーズな給湯温度の制御をすることができるものである。
また、熱源に貯湯タンクとヒーポン循環回路で接続したヒートポンプ加熱手段を使用することにより、より経済的で安全な貯湯式給湯装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を実施するために好適な実施例を図1を元に説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク2等を収納するタンクユニット、3は貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒーポンユニット(ヒートポンプ式加熱手段)で、内部には圧縮機4と凝縮器としての冷媒−水熱交換器5と電子膨張弁6と強制空冷式の蒸発器7とで構成され、このヒーポンユニット3には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。また、前記圧縮機4や電子膨張弁6等によりヒートポンプサイクルを駆動制御するヒーポン制御部8を設けている。
【0008】
9は前記貯湯タンク2の下部と冷媒−水熱交換器5を接続するヒーポン往き管で、前記タンクユニット1内のヒーポン往き管9にヒーポン循環ポンプ10が取り付けられている。
【0009】
11は前記貯湯タンク2の上部と暖房用熱交換器12を接続する暖房往き管で、暖房用熱交換器12側と貯湯タンク2の間に三方弁13を備えている。14は前記暖房往き管11の中間に備えた三方弁13と冷媒−水熱交換器5とを接続したヒーポン戻り管。
15は前記暖房用熱交換器12と貯湯タンク2の中間部を接続する中間戻し管で、1次側暖房循環ポンプ16を備えている。
【0010】
前記貯湯タンク2には略等間隔で上下方向に5個の貯湯センサ17a〜17eを設け、貯湯タンク2内に蓄えられるお湯の温度(貯湯温度T1)と、貯湯量を検知するものである。
18は前記貯湯タンク2の下部に接続され貯湯タンク2に水を給水する入水管で、水道水の温度(給水温度T2)を検知する給水温センサ19と、貯湯水の水道への逆流を防止する逆止弁20を備えている。
21は前記貯湯タンク2の上部に接続され貯湯されている高温水を出湯する出湯管。22は前記貯湯タンク2の中間位置に接続された中間出湯管。23は前記出湯管21からの湯水と前記中間出湯管22からの湯水とを任意の温度になるよう混合する中間混合弁。24は前記入水管18から分岐されたバイパス管。25は前記中間混合弁23からの湯水を出湯する第2出湯管。26はこの第2出湯管25の高温水と前記バイパス管24から給水される水道水とを給湯設定温度に混合する給湯混合弁(混合調節器)である。
【0011】
27は前記給湯混合弁26からの湯水を出湯する第3出湯管で、給湯流量Qを検知する流量センサ28と給湯温度T3を検知する給湯温センサ29を備え、この貯湯温センサ29の給湯温度T3に応じて、前記給湯混合弁26の温水と水道水の割合を調節して給湯温度T3を設定温度に近づけるべくコントロールしている。30は前記第3出湯管27をタンクユニット1外へ導出する出湯口である。31は前記出湯口30と給湯栓32やシャワー等(図示せず)を接続する給湯管である。
【0012】
33は内部に浴槽34を備えた浴室で、内側壁面にミストサウナ運転で約60℃の霧を発生するミストノズル35を設けている。このミストノズル35は前記出湯口30とミストサウナ配管36で接続されている。
【0013】
37は前記暖房用熱交換器12の2次側に暖房往き管38と暖房戻り管39で接続された暖房用放熱器で、前記暖房戻り管39の途中に2次側暖房循環ポンプ40を接続し、前記暖房用熱交換器12と暖房往き管38と暖房用放熱器37と暖房戻り管39を連通して2次側暖房循環回路41を形成している。
【0014】
42は前記混合弁23・26や三方弁13、循環ポンプ10・16・40等の駆動制御を行うと共に、前記ヒーポン制御部8に指令を発し、予めプログラミングされたマイクロコンピュータを主体として構成されている制御装置である。
【0015】
43は前記制御装置42に接続されたリモコンで、台所や浴室の壁面に設置され給湯装置の運転停止や給湯温度の設定等を行うものであり、前面の操作部44には運転スイッチ45やミストサウナ運転スイッチ46、給湯温度設定スイッチ47と液晶表示やランプ等によって各種の表示を行う表示部48を備えている。
【0016】
前記ミストサウナ運転スイッチ46は押圧によって、ミストサウナの運転を開始するものであり、前記制御装置42に備えた混合調節器制御手段としてのミストサウナ制御部49にて、自動的に給湯設定温度を約60℃の最高温度に設定すると共に、給湯流量Qを1.0リットル/分に設定し、前記ミストノズル35から出湯を開始する。
そして、
推定湯側流量q1=給湯流量Q×(貯湯温度T1−給湯温度T3)/(貯湯温度T1−給水温度T2)
の計算を行い、推定湯側流量q1が0.6リットル/分より大きい場合に前記給湯温度T3を基にフィードバック制御を開始し、推定湯側流量q1が0.4リットル/分より小さくなった時にはフィードバック制御を停止する、フィードバック制御を停止した後の、温水と水道水の割合はフィードバック制御を停止する直前の状態を継続することで、前記湯側流量q1が低下して逆止弁20が作動するような場合が有っても、給湯温度T3を比較的安定させることができるものである。
又、フィードバック制御停止状態であっても、ミストサウナ運転時に給湯栓32やシャワーを使用して流量センサ28での給湯流量Qが大流量に変化し、推定湯側流量q1が0.6リットル/分より大きいくなった時には、再びフィードバック制御を開始しすることで給湯温度T3を安定させることができるものである。
【0017】
前記給湯温度設定スイッチ47による設定は、約35℃から約60℃の間で使用者の好みの温度に設定されるものであり、前記給湯温センサ29にて検知された湯温を基に制御装置42が給湯混合弁26の弁開度を調整し、給湯温度を設置値に近づけるものである。
【0018】
50はヒーポン循環回路で、前記冷媒−水熱交換器5とヒーポン戻り管14と三方弁13と上部配管11と貯湯タンク2とヒーポン往き管9とを連通して形成している。
51は1次側暖房循環回路で、前記貯湯タンク2と上部配管11と暖房用熱交換器12と中間戻し管15と貯湯タンク2を連通して形成している。
54は前記ミストサウナ配管36に備えた開閉弁で、ミストサウナ運転時には開弁して温水をミストノズル35に送り、ミストサウナ停止時には閉弁するものである。
【0019】
ここで、貯湯タンク2内にヒーポンユニット3で加熱された高温水を貯湯する貯湯運転について説明する。
制御装置42は深夜時刻になると電力単価が安価な深夜時間帯内で朝の所定時刻までに沸き上がるように貯湯運転を開始し、三方弁13をヒーポンユニット3と貯湯タンク2とが連通するように切換え、ヒーポン循環ポンプ10とヒーポンユニット3を駆動および起動して、貯湯タンク2の下部から取り出した湯水をヒーポンユニット3により沸き上げ温度まで沸き上げて貯湯タンク2の上部配管11から積層させるように貯湯する。そして、所望の熱量を貯湯するとヒーポン循環ポンプ10およびヒーポンユニット3の運転を停止して貯湯運転を終了する。
【0020】
次に、図2のフローチャートを元にミストサウナの動作について説明する。
リモコン43の運転スイッチ45がONされ、ステップ1にてミストサウナ運転スイッチ45がONされると、ミストサウナ配管36の開閉弁52が開弁される。すると、水道圧によって入水管18やバイパス管24に水道水が流れミストノズル35より霧の噴出が始まる。この時、流量センサ28によって給湯流量Qの初期値が約1リットル/分の小水量に、給湯設定温度が60℃に設定されると共に、ステップ2にて給湯流量Qと貯湯温度T1と給水温度T2と給湯温度T3が読み込まれ、推定湯側流量q1が前記の計算式にて算出されステップ3に進む。
【0021】
ステップ3ではステップ2で算出した推定湯側流量q1とフィードバック制御開始流量(ここでは0.6リットル/分)と比較してYesならばステップ4に進み、給湯混合弁26を給湯温度T3によってフィードバック制御を開始する。Noならば逆止弁20が作動して給湯温度T3が不安定になる事を防止するために、ステップ6に進んで給湯混合弁26の湯水のバランスを制御せずに前回給湯停止時の湯水の割合を継続する。
【0022】
次に、ステップ5では逆止弁20が作動する最低流量(ここでは0.4リットル/分)と比較してYesならばステップ6に進んで、フィードバック制御を中断して給湯混合弁26の湯水のバランスを制御せずに中断直前の湯水の割合を継続する。また、ステップ5でNoであった場合にはステップ4に戻ってフィードバック制御を継続する。
【0023】
次に、ステップ6にてフィードバック制御を停止状態からステップ2に戻って推定湯側流量q1を監視することで逆止弁20が作動して給湯温度T3が極端に変動して最悪の場合、制御不能に陥ることを防止し、ミストノズル35へ比較的安定した温度の湯を供給することができるものである。
そして、リモコン43のミストサウナ運転スイッチ46がOFFされると、開閉弁52が閉じられミストサウナが停止する。ミストサウナ運転中に給湯栓32やシャワーが使用されると推定湯側流量q1が0.6リットル/分より大きくなりフィードバック制御を開始し、出湯温度を安定させることができるものである。
【0024】
次に、ユーザーが給湯栓32を開いて給湯する時の給湯運転について説明する。
給湯栓32が開かれると入水管18から貯湯タンク2内に給水されると同時に出湯管21から貯湯温水が出湯される。給湯混合弁26の湯水の割合は給湯停止時の割合に設定されており、推定湯側流量q1が0.6リットル/分を超えるのでフィードバック制御を開始し、リモコン43の給湯設定温度と給湯温センサ29の値に応じて中間混合弁23、給湯混合弁26を調整して給湯設定温度に近い湯温の給湯が行われる。
【0025】
次に、蓄熱暖房運転について説明する。
暖房の要求が発生すると、制御装置42は暖房の2次側の運転を開始すると共に、三方弁13を1次側暖房循環回路51が連通するように切換え、1次側暖房循環ポンプ16を駆動及び起動して、上部配管11から貯湯タンク2内の高温水を暖房用熱交換器12に供給し、2次側と熱交換して温度低下した温水を中間戻し管15から貯湯タンク2に戻して循環させ暖房を行うものである。
【0026】
以上のように、この発明によれば、給湯流量と貯湯温度と給水温度と給湯温度から計算により推定した湯側流量を求めて湯水の混合装置を制御するので、湯側流量が少なく入水管に備えた逆止弁が作動したばあいでもスムーズな給湯温度の制御することができるものである。
また、推定湯側流量q1=給湯流量Q×(貯湯温度T1−給湯温度T3)/(貯湯温度T1−給水温度T2)の計算式を使用することにより、よりスムーズな給湯温度の制御をすることができるものである。
また、熱源に貯湯タンクとヒーポン循環回路で接続したヒートポンプ加熱手段を使用することにより、より経済的で安全な貯湯式給湯装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施例の概略構成図。
【図2】同フローチャート図。
【符号の説明】
【0028】
1 タンクユニット
2 貯湯タンク
3 ヒーポンユニット
17 貯湯センサ
18 入水管
19 給水温センサ
20 逆止弁
21 出湯管
26 混合調節器(給湯混合弁)
28 流量センサ
29 給湯温センサ
30 出湯口
32 給湯栓
35 ミストノズル
42 制御装置
49 ミストサウナ制御部(混合調節器制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクとこの貯湯タンク内の貯湯水を加熱する熱源を設け、前記貯湯水の温度を検知する貯湯温センサと、前記入水管には給水温度T2を検知する給水温センサと逆止弁とを設け、前記貯湯水の沸き上げや給湯温度等の制御を行う制御装置と、前記入水管からバイパスさせこの入水管の水を前記出湯管からの温水に合流させるバイパス管と、このバイパス管からの水と出湯管からの温水を混合して所望の設定温度に調節する混合調節器と、この混合調節器の下流で出湯口との間に流量センサと給湯温センサを備える貯湯式給湯装置に於いて、前記貯湯温センサで検知した貯湯温度T1と給水温センサで検知した給水温度T2と給湯温センサで検知した給湯温度T3と流量センサで検知した給湯流量Qによって、前記出湯管からの温水流量を推定することで、流量センサでの給湯流量Qに応じた混合調整器のフィードバック制御の開始流量と停止流量を可変する混合調節器制御手段を設けたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記混合調節器制御手段にて算出する推定湯側流量q1は、
推定湯側流量q1=給湯流量Q×(貯湯温度T1−給湯温度T3)/(貯湯温度T1−給水温度T2)
の式から求めることを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記熱源は貯湯タンクとヒーポン循環回路で接続したヒートポンプ加熱手段であることを特徴とする請求項1又は2記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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