貯溜ホッパ、それを備えた組合せ計量装置及び包装装置
【課題】物品の性状等によらず、貯溜ホッパから排出される物品の尾引きを抑制することができ、さらなる処理の高速化を達成可能な貯溜ホッパ、それを備えた組合せ計量装置及び包装装置を提供することを課題とする。
【解決手段】上方から供給される物品を一時貯溜した後下方に排出する貯溜ホッパ3であって、貯溜部内に、物品受入れ後、物品の態様に応じて物品に対する保持状態を変更する物品保持変更機構60の保持部材64を備える。
【解決手段】上方から供給される物品を一時貯溜した後下方に排出する貯溜ホッパ3であって、貯溜部内に、物品受入れ後、物品の態様に応じて物品に対する保持状態を変更する物品保持変更機構60の保持部材64を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方から供給される物品を一時貯溜した後、下方に排出する貯溜ホッパ、それを備えた組合せ計量装置及び包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ計量装置は、周知のように、組合せ演算によって選択された複数の計量ホッパから排出された物品を、シュート等を介して貯溜ホッパに受け渡し、該貯溜ホッパ内に一時貯溜した後、下方に配設された包装装置等に排出するように構成されている。
【0003】
その場合に、前記各ホッパの開閉動作や包装装置での包装動作は、先に計量した一群の物品と、後に計量した一群の物品との間隔を適切に確保するため、所定の時間間隔で行われるようになっており、この時間間隔を短縮することが処理の高速化につながるが、そのためには、組合せ計量装置から包装装置への物品の受け渡しが適切に行われる必要がある。
【0004】
しかし、物品の性状によっては、特許文献1に記載されているように、該物品がシュート上で飛び跳ねたりすることにより貯溜ホッパへの物品の到着が遅れ、到達したときには該ホッパが次の開状態になっていることがあり、この場合、該物品が貯溜ホッパで貯溜されることなく通常と異なるタイミングで包装装置に供給され、包装不良が生じる場合がある。そこで、特許文献1に記載の装置においては、前記貯溜ホッパ(タイミングホッパ)の下方に、該貯留ホッパに対して開閉タイミングを後にずらした第2の貯溜ホッパを設けて、上方の貯溜ホッパで貯溜されることなく通過してきた物品を該第2の貯溜ホッパで一時貯溜した上で排出すると共に、これにあわせて包装装置の作動タイミングを後にずらすことにより、包装装置に物品を良好に受け渡し可能としている。
【0005】
一方、特許文献2には、貯溜ホッパ(タイミングホッパ)のゲートの開閉動作を物品の性状や量にかかわらず一律に行わせることの無駄に着目し、貯溜ホッパのゲートの開閉スピード及び開度を物品の種類や量に応じて設定可能としたものが開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、貯溜ホッパから物品容器に物品を排出するものにおいて、物品容器の形状や開口寸法が物品により異なる場合でも、該容器内に適切に物品を排出可能なように、貯溜ホッパ(物品排出用ホッパ)内に、物品容器の開口寸法や物品の性状、容量等に応じた寸法の開口を有する交換可能な内筒を設け、該内筒内を通過させて物品を排出することが開示されている。
【0007】
【特許文献1】実開昭62−143601号公報
【特許文献2】特許2681104号公報
【特許文献3】特開平11−292190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記特許文献1に記載のものにおいては、貯溜ホッパと第2の貯溜ホッパを上下に設けるので、装置の高さが高くなるという問題がある。また、特許文献3に記載のものにおいては、内筒を物品の性状や量等に応じて多数準備する必要があるだけでなく、処理する物品がかわる度に内筒を交換しなければならないという問題がある。また、内筒の径が小さい場合、上方からの物品が流入しにくくなるという問題もある。
【0009】
また、さらなる高速運転を行おうとすると、物品と貯溜ホッパ(または内筒)自体の内面との接触抵抗による尾引きが無視できなくなってくるが、この問題についてこれらの特許文献1〜3には提起すらされておらず、いかに対処すべきかという課題がある。
【0010】
そこで、本発明は、物品の性状等によらず、貯溜ホッパから排出される物品の尾引きを抑制することができ、さらなる処理の高速化を達成可能な貯溜ホッパ、それを備えた組合せ計量装置及び包装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0012】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、上方から供給される物品を一時貯溜したのち下方に排出する貯溜ホッパであって、貯溜部内に、物品受入れ後、物品の態様に応じて物品に対する保持状態を変更する物品保持変更手段が備えられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の貯溜ホッパにおいて、上方から供給される物品を一時貯溜した後下方に排出する貯溜ホッパであって、貯溜部内に、寄せ集められた状態を維持して物品が排出されるように、物品受入れ後、物品に対する保持状態を変更する物品保持変更手段が備えられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の貯溜ホッパにおいて、前記物品保持変更手段は、物品を受け入れる状態と、物品を寄せ集める状態と、排出時に物品を解放する状態とに、保持状態を変更することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の貯溜ホッパにおいて、前記物品保持変更手段は、貯溜部内で物品の収容空間を形成する保持部材と、該保持部材を作動させて、物品収容空間の大きさを変更する駆動手段とを有しており、該駆動手段は、前記保持部材を、物品を受け入れる状態においては収容空間が大きくなるように作動させておき、物品を寄せ集める状態においては収容空間が小さくなるように作動させ、排出時に物品を解放する状態においては収容空間が大きくなるように作動させることを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の貯溜ホッパにおいて、前記保持部材は、複数の部材で構成されており、前記駆動手段は、これらの複数の部材を、物品を受け入れる状態においては離反させておき、物品を寄せ集める状態においては接近させ、排出時に物品を解放する状態においては離反させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2から請求項5のいずれかに記載の貯溜ホッパにおいて、ゲートは、上部を中心として回動可能な一対の部材で構成され、閉じた状態のときに物品収容空間を形成し、開いた状態のときに下部開口を形成し、側面視で先端側がとがった下向きのくちばし状とされていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項2から請求項6のいずれかに記載の貯溜ホッパにおいて、前記保持部材は、ゲートが閉じた状態において、ゲート先端まで延びていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、組合せ演算によって選択された複数の計量ホッパから排出された物品を一時貯溜した後下方に排出する排出手段を有する組合せ計量装置であって、前記排出手段として、前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の貯溜ホッパが備えられていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、上方から供給される物品を一時貯溜する物品受入手段を有し、該物品受入手段から下方に排出された物品を包装する包装装置であって、前記物品受入手段として、前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の貯溜ホッパが備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
次に、本発明の効果について説明する。
【0022】
まず、請求項1に記載の発明によれば、物品収容空間内への物品の受入れ後、物品保持変更手段の物品に対する保持状態が、物品の態様に応じて変更されることとなる。したがって、物品受け入れ後の物品保持変更手段による保持状態を物品の態様に適した状態とすれば、物品の尾引きを生じにくくすることができ、ひいては処理の高速化が可能となる。ここで、物品の態様とは、物品の量(体積、重量等)や性状(割れやすさ、粘着度合い等)を含む概念である。
【0023】
なお、物品保持変更手段を、物品の性状や量に応じて物品に対する保持状態を変更可能に構成すれば、該手段を物品毎に交換する必要がない。
【0024】
また、請求項2に記載の発明によれば、物品収容空間内への物品の受入れ後、物品保持変更手段の物品に対する保持状態が、物品が寄せ集められた状態を維持して排出されるように変更されるので、物品の尾引きが生じにくくなり、したがって、処理の高速化が可能となる。
【0025】
また、請求項3に記載の発明によれば、物品保持変更手段は、物品を受け入れる状態と、物品を寄せ集める状態と、排出時に物品を解放する状態とに、保持状態を変更するので、物品の受け入れが阻害されることがなく、また、排出時における物品と物品保持変更手段との接触がなくなって物品の尾引きが生じ難くなる。なお、物品と物品保持変更手段との接触がほとんど問題とならない場合は、排出時の物品を解放する状態を省略することも可能であり、これも請求項1に含まれる。
【0026】
そして、請求項4に記載の発明によれば、物品を受け入れる状態においては、収容空間が大きくされるので、物品を受け入れやすくなる。そして、収容空間が小さくなることにより、物品が寄せ集められる。そして、排出時に物品を解放する状態においては、収容空間が大きくなることにより、物品が解放されることとなる。
【0027】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明が具体化されることとなる。すなわち、物品を受け入れる状態においては、保持部材を構成する複数の部材が離反することにより収容空間が大きくなり、物品を寄せ集める状態においては、これら複数の部材が接近することにより収容空間が小さくなり、排出時に物品を解放する状態においては、これら複数の部材が離反することにより収容空間が大きくなることとなる。
【0028】
また、請求項6に記載の発明によれば、ゲートによっても物品を寄せ集めることができる。
【0029】
そして、請求項7に記載の発明によれば、物品収容空間の下部に溜まっている物品についても良好に寄せ集めることができる。
【0030】
さらに、請求項8に記載の発明によれば、請求項1から請求項7の作用効果が組合せ計量装置において実現されることとなる。また、物品保持手段は、貯溜ホッパ内に配設されているので、組合せ計量装置の高さが高くなることもない。
【0031】
さらに、請求項9に記載の発明によれば、請求項1から請求項7の作用効果が包装装置において実現されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態に係る組合せ計量装置1は、機台11に、所定重量に計量した物品を所定時間ごとに排出する計量部2と、該計量部2で所定重量に計量された物品を上部開口3aから受け入れて一旦貯溜した後、下方に配置された包装装置4の受入開口4aへ供給する貯溜ホッパ3とを有している。
【0034】
計量部2は、上方の物品供給装置(不図示)から物品が投下される分散テーブル21と、分散テーブル21の周囲に放射状に配設された複数の振動トラフ22…22と、該振動トラフ22…22に対応して円形に配置された複数のプールホッパ23と、該プールホッパ23…23に対応して下方に配置された計量ホッパ24と、該計量ホッパ24…24の下方に配置された集合シュート25とを有している。
【0035】
分散テーブル21は、円錐形状のテーブルであり、振動器211で微小振動させられることにより、物品を放射状に形成された複数経路に分散して周縁部21aから落下させる。振動トラフ22は、分散テーブル21で複数経路に分散された物品を受け止めて、振動器221で振動させられることにより、プールホッパ23に物品を略一定量ずつ供給する。なお、振動トラフ22の上面は、物品がプールホッパ23に移動しやすいようにわずかに傾斜している。プールホッパ23は、供給された物品を一時的に保持し、直下の計量ホッパ24が空のときに落下排出する。計量ホッパ24…24は、ロードセルで物品の重量を計測する。そして、この計測された物品の重量の組合せ演算を行って所定の目標重量となる計量ホッパ24…24を選択し、該選択された計量ホッパ24…24から物品を集合シュート25に落下排出させる。集合シュート25は、計量ホッパ24から供給される物品(物品群)を一箇所に集合させ、下部の排出口25aから排出する。
【0036】
貯溜ホッパ3は、集合シュート25から排出される物品を一旦貯溜した後、包装装置4の作業サイクルに合せた所定タイミングで排出するもので、図2、図3、図4に示すように、機台11のフレーム部材11a,11a間に間隔を開けて設けられた軸状部材12,12に、板部材33a,33a,33b,33bで枠状に構成されたブラケット33が架設されることにより、機台11に支持されている。なお、フレーム部材11a,11aに、軸状部材12,12の軸方向へのブラケット33の移動を防止する板部材13が固定されている。一対のゲート31,32は、物品を受け止める底面部31a,32aと、底面部31a,32aの両側端から延設された側面部31b,31c,32b,32cとを有し、前記ブラケット33の板部材33a,33aに支持ピン34…34を介して支持されている。ゲート31の基端部311とゲート32の基端部321とはリンク35,35を介して連結されており、後述するゲート駆動機構50を作動させることにより、ゲート31,32が支持ピン34,34を中心として図3に実線で示す内方に貯溜部が形成される閉鎖位置と、一転鎖線で示す下部に開口3cが形成される解放位置との間で回動(揺動)するようになっている。
【0037】
ここで、ゲート31,32は、底面部31a,32a、及び側面部31b,31c,32b,32cが下方側ほど内方側に位置するように傾斜して、先端(下端)側がとがったくちばし状の形状とされ、上方から貯溜部内に入ってきた物品が、前記各面部に沿って落下しつつ自然と中央に寄せ集められるようになっている。
【0038】
図1に示すように、機台11におけるゲート32の側方には、ゲート31,32を回動開閉させるゲート駆動装置5が固定されている。ゲート駆動装置5は、モーター駆動される回転軸51に取り付けられたクランクアーム52と、該クランクアーム52とゲート32とを連結する揺動リンク53とを有し、回転軸51を半回転させると、ゲート31,32が、前述のように、図3において実線で示される閉鎖位置から一点鎖線で示される開放位置まで揺動し、さらに半回転させると元の閉鎖位置へ揺動するように構成されている。
【0039】
図1に戻り、包装装置4は、不図示のフィルムロールから繰り出される帯状フィルムをフォーマ41に導入し、チューブ42の周囲に巻きつけて帯状に成形する。チューブ42の下方側面には、不図示の吸着ベルトが設けられ、筒状に成形されたフィルムを下方に搬送する。筒状フィルムは、搬送中に側面の重複部及び下端部が溶着シールされ、貯溜ホッパ3から受入開口4aを介して物品が供給された後、上端部が溶着シールされ、物品を完全包装した袋となる。なお、包装装置4は、物品の種類や量等に応じて、使用する帯状フィルムを変更したり、受入開口4aの大きさが異なるフォーマ41やチューブ42に交換可能とされている。
【0040】
ところで、本実施の形態においては、図2、図5、図6に示すように、貯溜ホッパ3に、貯溜部内での物品の状態を変更させる物品保持変更機構60が備えられている。
【0041】
この物品保持変更機構60は、貯溜部内に配設される保持部材64,64と、これらの保持部材64,64を水平方向に接近離反させる駆動手段とを有している。
【0042】
保持部材64は、図2、図5、図6に示すように、板状の部材であり、連結部材63に接合される基面部64aと、該基面部64aの両側端から、対向する保持部材64側に接近しつつ左右に延びる側面部64b,64bとを有している。ここで、物品Xは、後述するガイド部材70により、両保持部材64,64間に供給されるようになっている。つまり、両保持部材64,64により、貯溜部内で実質的に物品が収容される物品収容空間3bを形成するようになっている。
【0043】
駆動手段は、保持部材64,64ごとに、機台11に固定された取付台14上にシリンダロッド61aの軸方向がゲート31,32の開閉方向と直行する方向となるように配設されたエアシリンダ61と、該エアシリンダ61のシリンダロッド61aと保持部材64とを連結する第1、第2連結部材62,63とを有し、エアシリンダ61,61のシリンダロッド61a,61aを同時に伸縮させることにより、保持部材64,64を図2、図6に実線で示すように離間した状態と、仮想線で示すように接近した状態との間で移動させるようになっている。詳しくは、駆動手段は、保持部材64,64を、ホッパ3が物品を受け入れる状態においては、図6に示すように、離反させておき、物品が投入されると、接近させ、物品排出時には、ゲート31,32の開放と同時に離反させて、物品Xを解放するようになっている。なお、保持部材64,64の接近時の間隔は、寄せ集まった物品Xが、平面視で受入開口4aよりも小さくなるように設定されている。
【0044】
集合シュート25の排出口25aと、貯溜ホッパ3の上部開口3aとの間には、上下に開口部70a,70bを有するガイド部材70が設けられている。このガイド部材70の下部開口部70bは、保持部材64,64が離反した状態において、内縁が保持部材64,64よりも内側に位置しており、集合シュート25の排出口25aから排出された物品が保持部材64,64同士の間に導かれるようになっている。
【0045】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0046】
すなわち、組合せ計量装置1にその上方から物品が供給されると、分散テーブル21、振動トラフ22…22、プールホッパ23…23を介して、計量ホッパ24…24に供給され、これらの計量ホッパ24…24から、所定時間毎に、集合シュート25を介して貯溜ホッパ3に物品が供給される。
【0047】
その場合に、貯溜ホッパ3は、物品を受け入れる状態においては、図6に実線で示すように、ゲート駆動装置5によりゲート31,32が閉じた状態に制御される。また、エアシリンダ61,61のシリンダロッド61a,61aが縮長した状態に制御され、これにより、保持部材64,64同士が離反し、収容空間3bが大きくなる。したがって、図7に示すように上方から供給される物品Xを良好に受け入れることができる。その場合に、集合シュート25の排出口25aと、貯溜ホッパ3の上部開口3aとの間には、ガイド部材70が設けられているので、集合シュート25の排出口25aから排出された物品Xを収容空間3b内に良好に導くことができる。
【0048】
そして、物品Xが投入された後(例えば物品Xの投入制御が開始されてから所定時間後)、エアシリンダ61,61のシリンダロッド61a,61aが伸長した状態に制御され、これにより、図8に示すように、保持部材64,64同士が接近して、収容空間3bが小さくなり、物品Xが中央側に寄せ集められて塊状となる。
【0049】
そして、物品排出時には(例えば物品Xの投入制御が開始されてから第2所定時間後)、ゲート駆動装置5によりゲート31,32が開いた状態に制御されると同時に、エアシリンダ61,61のシリンダロッド61a,61aが縮長した状態に制御され、これにより、図9に示すように、保持部材64,64が離反して収容空間3bが大きくなり、物品Xが解放され、その結果、下方に落下することとなる。その場合に、ゲート31,32の開動作に際して、保持部材64,64の離反動作が行われるので、物品Xと保持部材64,64との接触抵抗がなくなって、物品Xが寄せ集められた状態、つまり塊の状態を維持して下方に排出されることとなり、その結果、物品Xの尾引きが生じ難くなる。
【0050】
また、この排出時、物品Xが寄せ集められて塊状となっているだけでなく、保持部材64,64の接近時の間隔は、寄せ集まった物品Xが、平面視で受入開口4aよりも小さくなるように設定されているので、該物品Xが、包装装置4の受入開口4a及びそれに続く物品落下経路内を抵抗なくスムーズに通過することとなる。
【0051】
以上のように、物品収容空間3b内への物品の受入れ後、物品保持変更手段の物品に対する保持状態が、物品が寄せ集められた状態を維持して排出されるように変更されるので、物品の尾引きが生じにくくなり、したがって、処理の高速化が可能となる。なお、エアシリンダ61,61への供給エア圧を可変とすることにより、またはエアシリンダ61,61に代えて例えばモータ等を用いることにより、物品保持変更機構60の保持部材64,64の接近時の間隔を変更可能に構成すれば、物品の寄せ集めの状態をその性状や量に応じて変更することが可能となり、該機構60を物品毎に交換する必要がなくなる。
【0052】
また、ゲート31,32は、側面視で先端側がとがった下向きのくちばし状とされているので、ゲート31,32によっても物品を寄せ集めることもできる。
【0053】
さらに、保持部材64,64は、貯溜貯溜ホッパ3の内部空間に配設されているので、組合せ計量装置1の高さが高くなることもない。
【0054】
なお、物品保持変更機構60の保持部材64と物品との接触抵抗がほとんど問題とならない場合は、排出時の物品を解放する状態を省略することも可能であり、これも請求項1に含まれるものである。
【0055】
なお、本実施の形態では、保持部材64,64は、側面視でほぼ上下に延びているが、下方ほど離間距離が長くなるハの字状に傾斜させてもよい。
【0056】
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0057】
この第2の実施の形態においては、図10〜図12に示すように、貯溜ホッパ103のゲート131,132は、底面部131a,132aと、該底面部131a,132aの両側端から直行する方向に延びる側面部131b,131c,132b,132cとを有し、その開口部130aは平面視で四角形となっている。
【0058】
また、保持部材164は、図11によくあらわれているように、正面視で略逆2等辺三角形状とされており、基面部164aと、該基面部164aの両側部上部から、対向する保持部材164側に接近しつつ左右に延びる側面部164b,164bとを有している。ここで、保持部材164は、ゲート131,132の閉状態において、先端がゲート131,132の先端まで延び、側縁部164c,164cがゲート131,132の内面に近接するように設けられている。ガイド部材170の下部開口170bの内縁は、平面視で保持部材164の内側となるように、四角形状とされている。
【0059】
次に、第2の実施の形態に係る貯溜ホッパ103による作用効果について説明すると、基本的には第1の実施の形態と同様であるが、前記保持部材164,164の下端が、ゲート131,132の先端(下端)まで延びているので、物品収容空間103bの下部に溜まっている物品Xについても図12に仮想線で示すように、良好に寄せ集めることができる。
【0060】
なお、前記第1、第2の実施の形態では、貯溜ホッパ3を組合せ計量装置1の一部(排出手段)として説明したが、包装装置4の一部(物品受入手段)として構成することも可能である。
【0061】
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0062】
この第3の実施の形態においては、第2の実施の形態に係る組合せ計量装置において、物品保持変更機構160のエアシリンダとして、該エアシリンダにエアを供給するエア供給ポンプのエア供給圧を制御することによりシリンダロッドのストロークを任意に変更可能なものが用いられている。また、保持部材164,164の間隔が後述する所定の間隔となるように(シリンダロッドのストロークが所定のストロークとなるように)エア供給ポンブを制御するコントローラが備えられている。なお、本実施の形態においては、第2の実施の形態に係る貯溜ホッパを例として説明するが、第1の実施の形態に係る貯溜ホッパに対しても適用可能である。
【0063】
コントローラの記憶部には、比重(物品Xの多数の構成物間に隙間空間が存在する場合はその隙間空間を含んだ体積により算出された比重)、安息角、物品形状(例えばスティック状物の長さ等)等の物品Xに関する種々のパラメータが物品毎に予め記憶されている。
【0064】
また、コントローラにはキーボードやポインティングデバイスあるいはタッチパネル等の入力装置が接続されており、該入力装置から、保持部材164,164の間隔を自動設定するための情報、例えば物品名、物品がスティック状のものか、物品が割れやすいものか、物品が割れるのが好ましくないか否か等の情報が入力可能とされている。なお、保持部164,164の間隔を直接入力することも可能となっている。
【0065】
そして、コントローラは、入力装置から入力された情報等に基づいて対応する物品のパラメータを読み出し、このパラメータ等に基づいて物品受け入れ前及び受け入れ後の保持部材164,164の所定の間隔を自動で算出し、この間隔に対応する信号をエア供給ポンプに出力するようになっている。なお、保持部材164,164の間隔を直接入力した場合は、その間隔に対応する信号がをエア供給ポンプに出力される。
【0066】
次に、性状等の態様の異なる物品について具体例をいくつか挙げて説明する。
【0067】
まず、物品Xが割れやすいもの(ポテトチップス等)の場合について説明する。なお、この場合、商品価値上物品Xが割れてもよい場合と、割れるのが好ましくない場合とがあるが、まず第1の例として、割れるのが好ましくない場合について説明する。
【0068】
この場合、入力装置から、物品Xとしてポテトチップスと設定すると共に、その属性として割れてもよいと設定する。
【0069】
そうすると、コントローラは、ポテトチップスに関するパラメータ(比重及び安息角等)を記憶部から読み出す。そして、物品Xの受け入れ前における保持部材164,164の間隔として、該保持部材164,164が最大限に離反することとなる第1所定間隔間隔S1に設定する。一方、計量重量(計量設定値)と、前記読み出された比重及び安息角とに基づいて物品の体積を算出すると共に、該体積と、ゲート131,132及び保持部材164,164で形成される空間の形状とを考慮して、物品Xの構成物を寄せ集めたとしても物品Xの構成物が割れることがない間隔を算出し、この間隔を物品Xの受入後の第2所定間隔S2として設定する。そして、物品Xの受け入れ前及び受け入れ後において、保持部材164,164の間隔がそれぞれ第1、第2所定間隔S1,S2となるようにエア供給ポンプを作動させる。
【0070】
このような構成によれば、物品Xの受入時には、図14(a)に示すように、保持部材164,164が第1所定間隔S1まで最大限に離反してその間隔が広くなっているので、物品Xが良好に受け入れられることとなる。そして、物品Xの受入後においては、図14(b)に示すように、保持部材164,164の間隔が第2所定間隔S2まで狭くなることにより、物品Xが中央に寄せ集められて塊状となる。その場合に、この第1例においては、このように寄せ集めたとしても物品Xが割れることがなく、商品価値が損なわれることがない。そして、物品排出時には、図14(c)に示すように、ゲート131,132の解放と同時に保持部材164,164が離反し、その結果、物品Xが塊状のまま落下することとなる。つまり、物品の尾引きが生じにくくなる。
【0071】
次に、第2の例として、物品Xが割れやすいもの(ポテトチップス等)で、商品価値上割れてもよい場合について説明する。
【0072】
この場合、入力装置から、物品としてポテトチップスと設定すると共に、その属性として割れるのが好ましくないと設定する。
【0073】
そうすると、コントローラは、第1例同様、ポテトチップスに関するパラメータ(比重及び安息角等)を記憶部から読み出すと共に、物品Xの受け入れ前における保持部材164,164の間隔として、該保持部材164,164が最大限に離反することとなる第1所定間隔間隔S1′に設定する。一方、計量ホッパで計量された重量と、前記読み出された比重及び安息角とに基づいて物品の体積を算出すると共に、該体積と、ゲート131,132及び及び保持部材164,164とで形成される空間の形状を考慮して、物品Xの構成物を寄せ集めたときに、物品が保持部材164,164で挟まれることにより、あるいは保持部材164,164の接近で物品Xの構成物同士が当接することにより、所定の状況まで物品Xの構成物が割れることとなる間隔を算出し、この間隔を第2所定間隔S2′として設定する。ここで、この間隔は、割れないのが好ましい場合よりも狭くなる。そして、物品Xの受け入れ前及び受け入れ後において、保持部材164,164の間隔がそれぞれ第1、第2所定間隔S1′,S2′となるようにエア供給ポンプを作動させる。
【0074】
このような構成によれば、物品Xの受入時には、図15(a)に示すように、保持部材164,164が第1所定間隔S1′まで最大限に離反してその間隔が広くなっているので、物品Xが良好に受け入れられることとなる。そして、物品Xの受入後においては、図15(b)に示すように、保持部材164,164の間隔が第2所定間隔S2′まで狭くなることにより、物品Xが割れながら中央に寄せ集められる。つまり、物品Xは、受入時よりも体積(物品Xにより占有される空間を含む体積)が小さくなり、塊状となる。その場合に、この第2例においては、第1例の場合よりも第2所定間隔間隔S2′が小さいので、より体積が小さな塊状となる。そして、物品排出時には、図15(c)に示すように、ゲート131,132の解放と同時に保持部材164,164が離反し、その結果、物品Xが塊状のまま落下することとなる。つまり、物品の尾引きが生じにくくなる。
【0075】
次に、第3の例として、物品Xが複数のスティック状物でなるものの場合について説明する。
【0076】
この場合、入力装置から、物品としてスティック状物と設定する。
【0077】
そうすると、コントローラは、第1、第2例同様、スティック状物に関するパラメータ(比重等)を記憶部から読み出すと共に、物品Xの受け入れ前の間隔として、保持部材164,164が最大限に離反することとなる第1所定間隔間隔S1″に設定する。一方、物品の受入後の所定の間隔として、計量重量と、前記読み出されたスティック状物に関する比重及び形状(長さ等)に基づいて物品の体積及び水平断面積を算出すると共に、この水平断面積と、ゲート131,132及び保持部材164,164とで形成される空間の形状を考慮して、物品Xの構成物を寄せ集めたときに、該物品Xが密集することとなる間隔を算出し、この間隔を所定の第2所定間隔S2″として設定する。そして、保持部材164,164の間隔がこの間隔となるように、エア供給ポンプを作動させる。
【0078】
このような構成によれば、物品Xの受入時には、図16(a)に示すように、保持部材164,164が第1所定間隔S1″まで最大限に離反してその間隔が広くなっているので、物品Xが良好に受け入れられることとなる。そして、物品Xの受入後においては、図16(b)に示すように、保持部材164,164の間隔が第2所定間隔S2″まで狭くなることにより、スティック状物が縦に並んで密集した状態で中央に寄せ集められる。そして、物品排出時には、図16(c)に示すように、ゲート131,132の解放と同時に保持部材164,164が離反し、その結果、物品Xが塊状のまま落下することとなる。つまり、物品の尾引きが生じにくくなる。
【0079】
なお、前記第1〜第3例においては、物品に関する情報を入力することにより、保持部材164,164の間隔が自動設定されるようにしてあるが、該間隔を入力装置から直接入力することにより、保持部材164,164の間隔を設定することももちろん可能である。
【0080】
なお、前記実施の形態においては、保持部材161,164の間隔を変更させるためのアクチュエータとしてエアシリンダを用いたが、モータを用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、上方から供給される物品を一時貯溜した後、下方に排出する貯溜ホッパにおいて、貯溜ホッパから排出される物品の尾引きを抑制することができ、さらなる処理の高速化を達成することができるようになったものであり、該貯溜ホッパを備えた組合せ計量装置及び包装装置にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態に係る貯溜ホッパ、それを備えた組合せ計量装置及び包装装置の正面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である(ガイド部材70は省略している)。
【図3】図2のB−B矢視図である(手前側の物品保持変更機構60は省略している)。
【図4】図2のC−C矢視図である。
【図5】図2のD−D矢視図である。
【図6】図2のE−E矢視図である。
【図7】物品を受け入れた直後における図6相当の図である。
【図8】物品を寄せ集めた状態における図6相当の図である。
【図9】物品排出時における図6相当の図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る貯溜ホッパの図2相当の平面図である。
【図11】図10のF−F矢視図である。
【図12】図10のG−G矢視図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態において、物品が割れやすいが、割れるのが好ましくないものの場合における保持部材の作動の説明図である。
【図14】物品が割れやすく、割れてもよい物品のものの場合における保持部材の作動の説明図である。
【図15】物品がスティック状のものの場合における保持部材の作動の説明図である。
【符号の説明】
【0083】
1 組合せ計量装置
3,103 貯留ホッパ
3b,103b 物品収容空間
4 包装装置
24 計量ホッパ
31,32,131,132 ゲート
60,160 物品保持変更機構
61 エアシリンダ(駆動手段)
62,63 連結部材(駆動手段)
64,64,164,164 保持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方から供給される物品を一時貯溜した後、下方に排出する貯溜ホッパ、それを備えた組合せ計量装置及び包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ計量装置は、周知のように、組合せ演算によって選択された複数の計量ホッパから排出された物品を、シュート等を介して貯溜ホッパに受け渡し、該貯溜ホッパ内に一時貯溜した後、下方に配設された包装装置等に排出するように構成されている。
【0003】
その場合に、前記各ホッパの開閉動作や包装装置での包装動作は、先に計量した一群の物品と、後に計量した一群の物品との間隔を適切に確保するため、所定の時間間隔で行われるようになっており、この時間間隔を短縮することが処理の高速化につながるが、そのためには、組合せ計量装置から包装装置への物品の受け渡しが適切に行われる必要がある。
【0004】
しかし、物品の性状によっては、特許文献1に記載されているように、該物品がシュート上で飛び跳ねたりすることにより貯溜ホッパへの物品の到着が遅れ、到達したときには該ホッパが次の開状態になっていることがあり、この場合、該物品が貯溜ホッパで貯溜されることなく通常と異なるタイミングで包装装置に供給され、包装不良が生じる場合がある。そこで、特許文献1に記載の装置においては、前記貯溜ホッパ(タイミングホッパ)の下方に、該貯留ホッパに対して開閉タイミングを後にずらした第2の貯溜ホッパを設けて、上方の貯溜ホッパで貯溜されることなく通過してきた物品を該第2の貯溜ホッパで一時貯溜した上で排出すると共に、これにあわせて包装装置の作動タイミングを後にずらすことにより、包装装置に物品を良好に受け渡し可能としている。
【0005】
一方、特許文献2には、貯溜ホッパ(タイミングホッパ)のゲートの開閉動作を物品の性状や量にかかわらず一律に行わせることの無駄に着目し、貯溜ホッパのゲートの開閉スピード及び開度を物品の種類や量に応じて設定可能としたものが開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、貯溜ホッパから物品容器に物品を排出するものにおいて、物品容器の形状や開口寸法が物品により異なる場合でも、該容器内に適切に物品を排出可能なように、貯溜ホッパ(物品排出用ホッパ)内に、物品容器の開口寸法や物品の性状、容量等に応じた寸法の開口を有する交換可能な内筒を設け、該内筒内を通過させて物品を排出することが開示されている。
【0007】
【特許文献1】実開昭62−143601号公報
【特許文献2】特許2681104号公報
【特許文献3】特開平11−292190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記特許文献1に記載のものにおいては、貯溜ホッパと第2の貯溜ホッパを上下に設けるので、装置の高さが高くなるという問題がある。また、特許文献3に記載のものにおいては、内筒を物品の性状や量等に応じて多数準備する必要があるだけでなく、処理する物品がかわる度に内筒を交換しなければならないという問題がある。また、内筒の径が小さい場合、上方からの物品が流入しにくくなるという問題もある。
【0009】
また、さらなる高速運転を行おうとすると、物品と貯溜ホッパ(または内筒)自体の内面との接触抵抗による尾引きが無視できなくなってくるが、この問題についてこれらの特許文献1〜3には提起すらされておらず、いかに対処すべきかという課題がある。
【0010】
そこで、本発明は、物品の性状等によらず、貯溜ホッパから排出される物品の尾引きを抑制することができ、さらなる処理の高速化を達成可能な貯溜ホッパ、それを備えた組合せ計量装置及び包装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0012】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、上方から供給される物品を一時貯溜したのち下方に排出する貯溜ホッパであって、貯溜部内に、物品受入れ後、物品の態様に応じて物品に対する保持状態を変更する物品保持変更手段が備えられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の貯溜ホッパにおいて、上方から供給される物品を一時貯溜した後下方に排出する貯溜ホッパであって、貯溜部内に、寄せ集められた状態を維持して物品が排出されるように、物品受入れ後、物品に対する保持状態を変更する物品保持変更手段が備えられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の貯溜ホッパにおいて、前記物品保持変更手段は、物品を受け入れる状態と、物品を寄せ集める状態と、排出時に物品を解放する状態とに、保持状態を変更することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の貯溜ホッパにおいて、前記物品保持変更手段は、貯溜部内で物品の収容空間を形成する保持部材と、該保持部材を作動させて、物品収容空間の大きさを変更する駆動手段とを有しており、該駆動手段は、前記保持部材を、物品を受け入れる状態においては収容空間が大きくなるように作動させておき、物品を寄せ集める状態においては収容空間が小さくなるように作動させ、排出時に物品を解放する状態においては収容空間が大きくなるように作動させることを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の貯溜ホッパにおいて、前記保持部材は、複数の部材で構成されており、前記駆動手段は、これらの複数の部材を、物品を受け入れる状態においては離反させておき、物品を寄せ集める状態においては接近させ、排出時に物品を解放する状態においては離反させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2から請求項5のいずれかに記載の貯溜ホッパにおいて、ゲートは、上部を中心として回動可能な一対の部材で構成され、閉じた状態のときに物品収容空間を形成し、開いた状態のときに下部開口を形成し、側面視で先端側がとがった下向きのくちばし状とされていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項2から請求項6のいずれかに記載の貯溜ホッパにおいて、前記保持部材は、ゲートが閉じた状態において、ゲート先端まで延びていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、組合せ演算によって選択された複数の計量ホッパから排出された物品を一時貯溜した後下方に排出する排出手段を有する組合せ計量装置であって、前記排出手段として、前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の貯溜ホッパが備えられていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、上方から供給される物品を一時貯溜する物品受入手段を有し、該物品受入手段から下方に排出された物品を包装する包装装置であって、前記物品受入手段として、前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の貯溜ホッパが備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
次に、本発明の効果について説明する。
【0022】
まず、請求項1に記載の発明によれば、物品収容空間内への物品の受入れ後、物品保持変更手段の物品に対する保持状態が、物品の態様に応じて変更されることとなる。したがって、物品受け入れ後の物品保持変更手段による保持状態を物品の態様に適した状態とすれば、物品の尾引きを生じにくくすることができ、ひいては処理の高速化が可能となる。ここで、物品の態様とは、物品の量(体積、重量等)や性状(割れやすさ、粘着度合い等)を含む概念である。
【0023】
なお、物品保持変更手段を、物品の性状や量に応じて物品に対する保持状態を変更可能に構成すれば、該手段を物品毎に交換する必要がない。
【0024】
また、請求項2に記載の発明によれば、物品収容空間内への物品の受入れ後、物品保持変更手段の物品に対する保持状態が、物品が寄せ集められた状態を維持して排出されるように変更されるので、物品の尾引きが生じにくくなり、したがって、処理の高速化が可能となる。
【0025】
また、請求項3に記載の発明によれば、物品保持変更手段は、物品を受け入れる状態と、物品を寄せ集める状態と、排出時に物品を解放する状態とに、保持状態を変更するので、物品の受け入れが阻害されることがなく、また、排出時における物品と物品保持変更手段との接触がなくなって物品の尾引きが生じ難くなる。なお、物品と物品保持変更手段との接触がほとんど問題とならない場合は、排出時の物品を解放する状態を省略することも可能であり、これも請求項1に含まれる。
【0026】
そして、請求項4に記載の発明によれば、物品を受け入れる状態においては、収容空間が大きくされるので、物品を受け入れやすくなる。そして、収容空間が小さくなることにより、物品が寄せ集められる。そして、排出時に物品を解放する状態においては、収容空間が大きくなることにより、物品が解放されることとなる。
【0027】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明が具体化されることとなる。すなわち、物品を受け入れる状態においては、保持部材を構成する複数の部材が離反することにより収容空間が大きくなり、物品を寄せ集める状態においては、これら複数の部材が接近することにより収容空間が小さくなり、排出時に物品を解放する状態においては、これら複数の部材が離反することにより収容空間が大きくなることとなる。
【0028】
また、請求項6に記載の発明によれば、ゲートによっても物品を寄せ集めることができる。
【0029】
そして、請求項7に記載の発明によれば、物品収容空間の下部に溜まっている物品についても良好に寄せ集めることができる。
【0030】
さらに、請求項8に記載の発明によれば、請求項1から請求項7の作用効果が組合せ計量装置において実現されることとなる。また、物品保持手段は、貯溜ホッパ内に配設されているので、組合せ計量装置の高さが高くなることもない。
【0031】
さらに、請求項9に記載の発明によれば、請求項1から請求項7の作用効果が包装装置において実現されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態に係る組合せ計量装置1は、機台11に、所定重量に計量した物品を所定時間ごとに排出する計量部2と、該計量部2で所定重量に計量された物品を上部開口3aから受け入れて一旦貯溜した後、下方に配置された包装装置4の受入開口4aへ供給する貯溜ホッパ3とを有している。
【0034】
計量部2は、上方の物品供給装置(不図示)から物品が投下される分散テーブル21と、分散テーブル21の周囲に放射状に配設された複数の振動トラフ22…22と、該振動トラフ22…22に対応して円形に配置された複数のプールホッパ23と、該プールホッパ23…23に対応して下方に配置された計量ホッパ24と、該計量ホッパ24…24の下方に配置された集合シュート25とを有している。
【0035】
分散テーブル21は、円錐形状のテーブルであり、振動器211で微小振動させられることにより、物品を放射状に形成された複数経路に分散して周縁部21aから落下させる。振動トラフ22は、分散テーブル21で複数経路に分散された物品を受け止めて、振動器221で振動させられることにより、プールホッパ23に物品を略一定量ずつ供給する。なお、振動トラフ22の上面は、物品がプールホッパ23に移動しやすいようにわずかに傾斜している。プールホッパ23は、供給された物品を一時的に保持し、直下の計量ホッパ24が空のときに落下排出する。計量ホッパ24…24は、ロードセルで物品の重量を計測する。そして、この計測された物品の重量の組合せ演算を行って所定の目標重量となる計量ホッパ24…24を選択し、該選択された計量ホッパ24…24から物品を集合シュート25に落下排出させる。集合シュート25は、計量ホッパ24から供給される物品(物品群)を一箇所に集合させ、下部の排出口25aから排出する。
【0036】
貯溜ホッパ3は、集合シュート25から排出される物品を一旦貯溜した後、包装装置4の作業サイクルに合せた所定タイミングで排出するもので、図2、図3、図4に示すように、機台11のフレーム部材11a,11a間に間隔を開けて設けられた軸状部材12,12に、板部材33a,33a,33b,33bで枠状に構成されたブラケット33が架設されることにより、機台11に支持されている。なお、フレーム部材11a,11aに、軸状部材12,12の軸方向へのブラケット33の移動を防止する板部材13が固定されている。一対のゲート31,32は、物品を受け止める底面部31a,32aと、底面部31a,32aの両側端から延設された側面部31b,31c,32b,32cとを有し、前記ブラケット33の板部材33a,33aに支持ピン34…34を介して支持されている。ゲート31の基端部311とゲート32の基端部321とはリンク35,35を介して連結されており、後述するゲート駆動機構50を作動させることにより、ゲート31,32が支持ピン34,34を中心として図3に実線で示す内方に貯溜部が形成される閉鎖位置と、一転鎖線で示す下部に開口3cが形成される解放位置との間で回動(揺動)するようになっている。
【0037】
ここで、ゲート31,32は、底面部31a,32a、及び側面部31b,31c,32b,32cが下方側ほど内方側に位置するように傾斜して、先端(下端)側がとがったくちばし状の形状とされ、上方から貯溜部内に入ってきた物品が、前記各面部に沿って落下しつつ自然と中央に寄せ集められるようになっている。
【0038】
図1に示すように、機台11におけるゲート32の側方には、ゲート31,32を回動開閉させるゲート駆動装置5が固定されている。ゲート駆動装置5は、モーター駆動される回転軸51に取り付けられたクランクアーム52と、該クランクアーム52とゲート32とを連結する揺動リンク53とを有し、回転軸51を半回転させると、ゲート31,32が、前述のように、図3において実線で示される閉鎖位置から一点鎖線で示される開放位置まで揺動し、さらに半回転させると元の閉鎖位置へ揺動するように構成されている。
【0039】
図1に戻り、包装装置4は、不図示のフィルムロールから繰り出される帯状フィルムをフォーマ41に導入し、チューブ42の周囲に巻きつけて帯状に成形する。チューブ42の下方側面には、不図示の吸着ベルトが設けられ、筒状に成形されたフィルムを下方に搬送する。筒状フィルムは、搬送中に側面の重複部及び下端部が溶着シールされ、貯溜ホッパ3から受入開口4aを介して物品が供給された後、上端部が溶着シールされ、物品を完全包装した袋となる。なお、包装装置4は、物品の種類や量等に応じて、使用する帯状フィルムを変更したり、受入開口4aの大きさが異なるフォーマ41やチューブ42に交換可能とされている。
【0040】
ところで、本実施の形態においては、図2、図5、図6に示すように、貯溜ホッパ3に、貯溜部内での物品の状態を変更させる物品保持変更機構60が備えられている。
【0041】
この物品保持変更機構60は、貯溜部内に配設される保持部材64,64と、これらの保持部材64,64を水平方向に接近離反させる駆動手段とを有している。
【0042】
保持部材64は、図2、図5、図6に示すように、板状の部材であり、連結部材63に接合される基面部64aと、該基面部64aの両側端から、対向する保持部材64側に接近しつつ左右に延びる側面部64b,64bとを有している。ここで、物品Xは、後述するガイド部材70により、両保持部材64,64間に供給されるようになっている。つまり、両保持部材64,64により、貯溜部内で実質的に物品が収容される物品収容空間3bを形成するようになっている。
【0043】
駆動手段は、保持部材64,64ごとに、機台11に固定された取付台14上にシリンダロッド61aの軸方向がゲート31,32の開閉方向と直行する方向となるように配設されたエアシリンダ61と、該エアシリンダ61のシリンダロッド61aと保持部材64とを連結する第1、第2連結部材62,63とを有し、エアシリンダ61,61のシリンダロッド61a,61aを同時に伸縮させることにより、保持部材64,64を図2、図6に実線で示すように離間した状態と、仮想線で示すように接近した状態との間で移動させるようになっている。詳しくは、駆動手段は、保持部材64,64を、ホッパ3が物品を受け入れる状態においては、図6に示すように、離反させておき、物品が投入されると、接近させ、物品排出時には、ゲート31,32の開放と同時に離反させて、物品Xを解放するようになっている。なお、保持部材64,64の接近時の間隔は、寄せ集まった物品Xが、平面視で受入開口4aよりも小さくなるように設定されている。
【0044】
集合シュート25の排出口25aと、貯溜ホッパ3の上部開口3aとの間には、上下に開口部70a,70bを有するガイド部材70が設けられている。このガイド部材70の下部開口部70bは、保持部材64,64が離反した状態において、内縁が保持部材64,64よりも内側に位置しており、集合シュート25の排出口25aから排出された物品が保持部材64,64同士の間に導かれるようになっている。
【0045】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0046】
すなわち、組合せ計量装置1にその上方から物品が供給されると、分散テーブル21、振動トラフ22…22、プールホッパ23…23を介して、計量ホッパ24…24に供給され、これらの計量ホッパ24…24から、所定時間毎に、集合シュート25を介して貯溜ホッパ3に物品が供給される。
【0047】
その場合に、貯溜ホッパ3は、物品を受け入れる状態においては、図6に実線で示すように、ゲート駆動装置5によりゲート31,32が閉じた状態に制御される。また、エアシリンダ61,61のシリンダロッド61a,61aが縮長した状態に制御され、これにより、保持部材64,64同士が離反し、収容空間3bが大きくなる。したがって、図7に示すように上方から供給される物品Xを良好に受け入れることができる。その場合に、集合シュート25の排出口25aと、貯溜ホッパ3の上部開口3aとの間には、ガイド部材70が設けられているので、集合シュート25の排出口25aから排出された物品Xを収容空間3b内に良好に導くことができる。
【0048】
そして、物品Xが投入された後(例えば物品Xの投入制御が開始されてから所定時間後)、エアシリンダ61,61のシリンダロッド61a,61aが伸長した状態に制御され、これにより、図8に示すように、保持部材64,64同士が接近して、収容空間3bが小さくなり、物品Xが中央側に寄せ集められて塊状となる。
【0049】
そして、物品排出時には(例えば物品Xの投入制御が開始されてから第2所定時間後)、ゲート駆動装置5によりゲート31,32が開いた状態に制御されると同時に、エアシリンダ61,61のシリンダロッド61a,61aが縮長した状態に制御され、これにより、図9に示すように、保持部材64,64が離反して収容空間3bが大きくなり、物品Xが解放され、その結果、下方に落下することとなる。その場合に、ゲート31,32の開動作に際して、保持部材64,64の離反動作が行われるので、物品Xと保持部材64,64との接触抵抗がなくなって、物品Xが寄せ集められた状態、つまり塊の状態を維持して下方に排出されることとなり、その結果、物品Xの尾引きが生じ難くなる。
【0050】
また、この排出時、物品Xが寄せ集められて塊状となっているだけでなく、保持部材64,64の接近時の間隔は、寄せ集まった物品Xが、平面視で受入開口4aよりも小さくなるように設定されているので、該物品Xが、包装装置4の受入開口4a及びそれに続く物品落下経路内を抵抗なくスムーズに通過することとなる。
【0051】
以上のように、物品収容空間3b内への物品の受入れ後、物品保持変更手段の物品に対する保持状態が、物品が寄せ集められた状態を維持して排出されるように変更されるので、物品の尾引きが生じにくくなり、したがって、処理の高速化が可能となる。なお、エアシリンダ61,61への供給エア圧を可変とすることにより、またはエアシリンダ61,61に代えて例えばモータ等を用いることにより、物品保持変更機構60の保持部材64,64の接近時の間隔を変更可能に構成すれば、物品の寄せ集めの状態をその性状や量に応じて変更することが可能となり、該機構60を物品毎に交換する必要がなくなる。
【0052】
また、ゲート31,32は、側面視で先端側がとがった下向きのくちばし状とされているので、ゲート31,32によっても物品を寄せ集めることもできる。
【0053】
さらに、保持部材64,64は、貯溜貯溜ホッパ3の内部空間に配設されているので、組合せ計量装置1の高さが高くなることもない。
【0054】
なお、物品保持変更機構60の保持部材64と物品との接触抵抗がほとんど問題とならない場合は、排出時の物品を解放する状態を省略することも可能であり、これも請求項1に含まれるものである。
【0055】
なお、本実施の形態では、保持部材64,64は、側面視でほぼ上下に延びているが、下方ほど離間距離が長くなるハの字状に傾斜させてもよい。
【0056】
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0057】
この第2の実施の形態においては、図10〜図12に示すように、貯溜ホッパ103のゲート131,132は、底面部131a,132aと、該底面部131a,132aの両側端から直行する方向に延びる側面部131b,131c,132b,132cとを有し、その開口部130aは平面視で四角形となっている。
【0058】
また、保持部材164は、図11によくあらわれているように、正面視で略逆2等辺三角形状とされており、基面部164aと、該基面部164aの両側部上部から、対向する保持部材164側に接近しつつ左右に延びる側面部164b,164bとを有している。ここで、保持部材164は、ゲート131,132の閉状態において、先端がゲート131,132の先端まで延び、側縁部164c,164cがゲート131,132の内面に近接するように設けられている。ガイド部材170の下部開口170bの内縁は、平面視で保持部材164の内側となるように、四角形状とされている。
【0059】
次に、第2の実施の形態に係る貯溜ホッパ103による作用効果について説明すると、基本的には第1の実施の形態と同様であるが、前記保持部材164,164の下端が、ゲート131,132の先端(下端)まで延びているので、物品収容空間103bの下部に溜まっている物品Xについても図12に仮想線で示すように、良好に寄せ集めることができる。
【0060】
なお、前記第1、第2の実施の形態では、貯溜ホッパ3を組合せ計量装置1の一部(排出手段)として説明したが、包装装置4の一部(物品受入手段)として構成することも可能である。
【0061】
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0062】
この第3の実施の形態においては、第2の実施の形態に係る組合せ計量装置において、物品保持変更機構160のエアシリンダとして、該エアシリンダにエアを供給するエア供給ポンプのエア供給圧を制御することによりシリンダロッドのストロークを任意に変更可能なものが用いられている。また、保持部材164,164の間隔が後述する所定の間隔となるように(シリンダロッドのストロークが所定のストロークとなるように)エア供給ポンブを制御するコントローラが備えられている。なお、本実施の形態においては、第2の実施の形態に係る貯溜ホッパを例として説明するが、第1の実施の形態に係る貯溜ホッパに対しても適用可能である。
【0063】
コントローラの記憶部には、比重(物品Xの多数の構成物間に隙間空間が存在する場合はその隙間空間を含んだ体積により算出された比重)、安息角、物品形状(例えばスティック状物の長さ等)等の物品Xに関する種々のパラメータが物品毎に予め記憶されている。
【0064】
また、コントローラにはキーボードやポインティングデバイスあるいはタッチパネル等の入力装置が接続されており、該入力装置から、保持部材164,164の間隔を自動設定するための情報、例えば物品名、物品がスティック状のものか、物品が割れやすいものか、物品が割れるのが好ましくないか否か等の情報が入力可能とされている。なお、保持部164,164の間隔を直接入力することも可能となっている。
【0065】
そして、コントローラは、入力装置から入力された情報等に基づいて対応する物品のパラメータを読み出し、このパラメータ等に基づいて物品受け入れ前及び受け入れ後の保持部材164,164の所定の間隔を自動で算出し、この間隔に対応する信号をエア供給ポンプに出力するようになっている。なお、保持部材164,164の間隔を直接入力した場合は、その間隔に対応する信号がをエア供給ポンプに出力される。
【0066】
次に、性状等の態様の異なる物品について具体例をいくつか挙げて説明する。
【0067】
まず、物品Xが割れやすいもの(ポテトチップス等)の場合について説明する。なお、この場合、商品価値上物品Xが割れてもよい場合と、割れるのが好ましくない場合とがあるが、まず第1の例として、割れるのが好ましくない場合について説明する。
【0068】
この場合、入力装置から、物品Xとしてポテトチップスと設定すると共に、その属性として割れてもよいと設定する。
【0069】
そうすると、コントローラは、ポテトチップスに関するパラメータ(比重及び安息角等)を記憶部から読み出す。そして、物品Xの受け入れ前における保持部材164,164の間隔として、該保持部材164,164が最大限に離反することとなる第1所定間隔間隔S1に設定する。一方、計量重量(計量設定値)と、前記読み出された比重及び安息角とに基づいて物品の体積を算出すると共に、該体積と、ゲート131,132及び保持部材164,164で形成される空間の形状とを考慮して、物品Xの構成物を寄せ集めたとしても物品Xの構成物が割れることがない間隔を算出し、この間隔を物品Xの受入後の第2所定間隔S2として設定する。そして、物品Xの受け入れ前及び受け入れ後において、保持部材164,164の間隔がそれぞれ第1、第2所定間隔S1,S2となるようにエア供給ポンプを作動させる。
【0070】
このような構成によれば、物品Xの受入時には、図14(a)に示すように、保持部材164,164が第1所定間隔S1まで最大限に離反してその間隔が広くなっているので、物品Xが良好に受け入れられることとなる。そして、物品Xの受入後においては、図14(b)に示すように、保持部材164,164の間隔が第2所定間隔S2まで狭くなることにより、物品Xが中央に寄せ集められて塊状となる。その場合に、この第1例においては、このように寄せ集めたとしても物品Xが割れることがなく、商品価値が損なわれることがない。そして、物品排出時には、図14(c)に示すように、ゲート131,132の解放と同時に保持部材164,164が離反し、その結果、物品Xが塊状のまま落下することとなる。つまり、物品の尾引きが生じにくくなる。
【0071】
次に、第2の例として、物品Xが割れやすいもの(ポテトチップス等)で、商品価値上割れてもよい場合について説明する。
【0072】
この場合、入力装置から、物品としてポテトチップスと設定すると共に、その属性として割れるのが好ましくないと設定する。
【0073】
そうすると、コントローラは、第1例同様、ポテトチップスに関するパラメータ(比重及び安息角等)を記憶部から読み出すと共に、物品Xの受け入れ前における保持部材164,164の間隔として、該保持部材164,164が最大限に離反することとなる第1所定間隔間隔S1′に設定する。一方、計量ホッパで計量された重量と、前記読み出された比重及び安息角とに基づいて物品の体積を算出すると共に、該体積と、ゲート131,132及び及び保持部材164,164とで形成される空間の形状を考慮して、物品Xの構成物を寄せ集めたときに、物品が保持部材164,164で挟まれることにより、あるいは保持部材164,164の接近で物品Xの構成物同士が当接することにより、所定の状況まで物品Xの構成物が割れることとなる間隔を算出し、この間隔を第2所定間隔S2′として設定する。ここで、この間隔は、割れないのが好ましい場合よりも狭くなる。そして、物品Xの受け入れ前及び受け入れ後において、保持部材164,164の間隔がそれぞれ第1、第2所定間隔S1′,S2′となるようにエア供給ポンプを作動させる。
【0074】
このような構成によれば、物品Xの受入時には、図15(a)に示すように、保持部材164,164が第1所定間隔S1′まで最大限に離反してその間隔が広くなっているので、物品Xが良好に受け入れられることとなる。そして、物品Xの受入後においては、図15(b)に示すように、保持部材164,164の間隔が第2所定間隔S2′まで狭くなることにより、物品Xが割れながら中央に寄せ集められる。つまり、物品Xは、受入時よりも体積(物品Xにより占有される空間を含む体積)が小さくなり、塊状となる。その場合に、この第2例においては、第1例の場合よりも第2所定間隔間隔S2′が小さいので、より体積が小さな塊状となる。そして、物品排出時には、図15(c)に示すように、ゲート131,132の解放と同時に保持部材164,164が離反し、その結果、物品Xが塊状のまま落下することとなる。つまり、物品の尾引きが生じにくくなる。
【0075】
次に、第3の例として、物品Xが複数のスティック状物でなるものの場合について説明する。
【0076】
この場合、入力装置から、物品としてスティック状物と設定する。
【0077】
そうすると、コントローラは、第1、第2例同様、スティック状物に関するパラメータ(比重等)を記憶部から読み出すと共に、物品Xの受け入れ前の間隔として、保持部材164,164が最大限に離反することとなる第1所定間隔間隔S1″に設定する。一方、物品の受入後の所定の間隔として、計量重量と、前記読み出されたスティック状物に関する比重及び形状(長さ等)に基づいて物品の体積及び水平断面積を算出すると共に、この水平断面積と、ゲート131,132及び保持部材164,164とで形成される空間の形状を考慮して、物品Xの構成物を寄せ集めたときに、該物品Xが密集することとなる間隔を算出し、この間隔を所定の第2所定間隔S2″として設定する。そして、保持部材164,164の間隔がこの間隔となるように、エア供給ポンプを作動させる。
【0078】
このような構成によれば、物品Xの受入時には、図16(a)に示すように、保持部材164,164が第1所定間隔S1″まで最大限に離反してその間隔が広くなっているので、物品Xが良好に受け入れられることとなる。そして、物品Xの受入後においては、図16(b)に示すように、保持部材164,164の間隔が第2所定間隔S2″まで狭くなることにより、スティック状物が縦に並んで密集した状態で中央に寄せ集められる。そして、物品排出時には、図16(c)に示すように、ゲート131,132の解放と同時に保持部材164,164が離反し、その結果、物品Xが塊状のまま落下することとなる。つまり、物品の尾引きが生じにくくなる。
【0079】
なお、前記第1〜第3例においては、物品に関する情報を入力することにより、保持部材164,164の間隔が自動設定されるようにしてあるが、該間隔を入力装置から直接入力することにより、保持部材164,164の間隔を設定することももちろん可能である。
【0080】
なお、前記実施の形態においては、保持部材161,164の間隔を変更させるためのアクチュエータとしてエアシリンダを用いたが、モータを用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、上方から供給される物品を一時貯溜した後、下方に排出する貯溜ホッパにおいて、貯溜ホッパから排出される物品の尾引きを抑制することができ、さらなる処理の高速化を達成することができるようになったものであり、該貯溜ホッパを備えた組合せ計量装置及び包装装置にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態に係る貯溜ホッパ、それを備えた組合せ計量装置及び包装装置の正面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である(ガイド部材70は省略している)。
【図3】図2のB−B矢視図である(手前側の物品保持変更機構60は省略している)。
【図4】図2のC−C矢視図である。
【図5】図2のD−D矢視図である。
【図6】図2のE−E矢視図である。
【図7】物品を受け入れた直後における図6相当の図である。
【図8】物品を寄せ集めた状態における図6相当の図である。
【図9】物品排出時における図6相当の図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る貯溜ホッパの図2相当の平面図である。
【図11】図10のF−F矢視図である。
【図12】図10のG−G矢視図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態において、物品が割れやすいが、割れるのが好ましくないものの場合における保持部材の作動の説明図である。
【図14】物品が割れやすく、割れてもよい物品のものの場合における保持部材の作動の説明図である。
【図15】物品がスティック状のものの場合における保持部材の作動の説明図である。
【符号の説明】
【0083】
1 組合せ計量装置
3,103 貯留ホッパ
3b,103b 物品収容空間
4 包装装置
24 計量ホッパ
31,32,131,132 ゲート
60,160 物品保持変更機構
61 エアシリンダ(駆動手段)
62,63 連結部材(駆動手段)
64,64,164,164 保持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から供給される物品を一時貯溜したのち下方に排出する貯溜ホッパであって、
貯溜部内に、物品受入れ後、物品の態様に応じて物品に対する保持状態を変更する物品保持変更手段が備えられていることを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項2】
請求項1に記載の貯溜ホッパにおいて、
前記物品保持変更手段は、寄せ集められた状態を維持して物品が排出されるように、物品受入れ後、物品に対する保持状態を変更することを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項3】
請求項2に記載の貯溜ホッパにおいて、
前記物品保持変更手段は、物品を受け入れる状態と、物品を寄せ集める状態と、排出時に物品を解放する状態とに、保持状態を変更することを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項4】
請求項3に記載の貯溜ホッパにおいて、
前記物品保持変更手段は、貯溜部内で物品の収容空間を形成する保持部材と、該保持部材を作動させて、物品収容空間の大きさを変更する駆動手段とを有しており、
該駆動手段は、前記保持部材を、物品を受け入れる状態においては収容空間が大きくなるように作動させておき、物品を寄せ集める状態においては収容空間が小さくなるように作動させ、排出時に物品を解放する状態においては収容空間が大きくなるように作動させることを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項5】
請求項4に記載の貯溜ホッパにおいて、
前記保持部材は、複数の部材で構成されており、
前記駆動手段は、これらの複数の部材を、物品を受け入れる状態においては離反させておき、物品を寄せ集める状態においては接近させ、排出時に物品を解放する状態においては離反させることを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれかに記載の貯溜ホッパにおいて、
ゲートは、上部を中心として回動可能な一対の部材で構成され、閉じた状態のときに物品収容空間を形成し、開いた状態のときに下部開口を形成し、側面視で先端側がとがった下向きのくちばし状とされていることを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれかに記載の貯溜ホッパにおいて、
前記保持部材は、ゲートが閉じた状態において、ゲート先端まで延びていることを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項8】
組合せ演算によって選択された複数の計量ホッパから排出された物品を一時貯溜した後下方に排出する排出手段を有する組合せ計量装置であって、
前記排出手段として、前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の貯溜ホッパが備えられていることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項9】
上方から供給される物品を一時貯溜する物品受入手段を有し、該物品受入手段から下方に排出された物品を包装する包装装置であって、
前記物品受入手段として、前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の貯溜ホッパが備えられていることを特徴とする包装装置。
【請求項1】
上方から供給される物品を一時貯溜したのち下方に排出する貯溜ホッパであって、
貯溜部内に、物品受入れ後、物品の態様に応じて物品に対する保持状態を変更する物品保持変更手段が備えられていることを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項2】
請求項1に記載の貯溜ホッパにおいて、
前記物品保持変更手段は、寄せ集められた状態を維持して物品が排出されるように、物品受入れ後、物品に対する保持状態を変更することを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項3】
請求項2に記載の貯溜ホッパにおいて、
前記物品保持変更手段は、物品を受け入れる状態と、物品を寄せ集める状態と、排出時に物品を解放する状態とに、保持状態を変更することを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項4】
請求項3に記載の貯溜ホッパにおいて、
前記物品保持変更手段は、貯溜部内で物品の収容空間を形成する保持部材と、該保持部材を作動させて、物品収容空間の大きさを変更する駆動手段とを有しており、
該駆動手段は、前記保持部材を、物品を受け入れる状態においては収容空間が大きくなるように作動させておき、物品を寄せ集める状態においては収容空間が小さくなるように作動させ、排出時に物品を解放する状態においては収容空間が大きくなるように作動させることを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項5】
請求項4に記載の貯溜ホッパにおいて、
前記保持部材は、複数の部材で構成されており、
前記駆動手段は、これらの複数の部材を、物品を受け入れる状態においては離反させておき、物品を寄せ集める状態においては接近させ、排出時に物品を解放する状態においては離反させることを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれかに記載の貯溜ホッパにおいて、
ゲートは、上部を中心として回動可能な一対の部材で構成され、閉じた状態のときに物品収容空間を形成し、開いた状態のときに下部開口を形成し、側面視で先端側がとがった下向きのくちばし状とされていることを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれかに記載の貯溜ホッパにおいて、
前記保持部材は、ゲートが閉じた状態において、ゲート先端まで延びていることを特徴とする貯溜ホッパ。
【請求項8】
組合せ演算によって選択された複数の計量ホッパから排出された物品を一時貯溜した後下方に排出する排出手段を有する組合せ計量装置であって、
前記排出手段として、前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の貯溜ホッパが備えられていることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項9】
上方から供給される物品を一時貯溜する物品受入手段を有し、該物品受入手段から下方に排出された物品を包装する包装装置であって、
前記物品受入手段として、前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の貯溜ホッパが備えられていることを特徴とする包装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−13258(P2008−13258A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114338(P2007−114338)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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