説明

貯留型熱源装置、並びに、貯留型熱源システム

【課題】複数の貯留タンクを備えつつ、貯留タンク内に高温の湯水と低温の湯水とが混在することによる熱エネルギーロスを最小限に抑制可能な貯留型熱源装置、並びに、貯留型熱源システムの提供を目的とする。
【解決手段】貯留型熱源システム1は、基本ユニット2とサブユニット3とを有し、両者を配管接続することによって構築されている。貯留型熱源システム1は、サブタンク貯湯運転において基本ユニット2に設けられたメインタンク10と増設ユニット3に設けられたサブタンク50との間で湯水の置換を行うことにより、メインタンク10に蓄えられている高温の湯水をサブタンク50に貯留することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯留型熱源装置、並びに、貯留型熱源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているように2つの貯留タンクを備えた貯留型熱源装置が提供されている。下記特許文献1に記載の貯留型熱源装置は、外部の給水源から供給された低温の湯水をヒートポンプユニットからなる熱源において加熱し、この加熱された湯水を各貯留タンクに分配して貯留する構成とされている。そして、ヒートポンプユニットの立ち上がり時に、各貯留タンクの底部に給水源から供給された湯水を導入することにより、各貯留タンクに蓄えられている湯水を押し出して給湯に使用する。そのため、下記特許文献1に開示されている貯留型熱源装置は、ヒートポンプユニットのような立ち上がり時に大きな熱エネルギーが得られない熱源を採用しつつ、給湯運転の開始直後から所望の温度に調整された湯水を給湯用として供給することができる。
【特許文献1】特開2005−226858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したように、特許文献1に開示されている貯留型熱源装置は、熱源において加熱された湯水を2つの貯留タンクに分配して貯留する構成が採用されている。そのため、上記した貯留型熱源装置では、湯水を加熱して貯留する貯留運転の実施時に、各貯留タンクに加熱状態で流入する湯水の量が少ない。よって、上記した構成では、貯留運転の実施中に、各貯留タンク内に貯留されている低温の湯水の量に対して、加熱され高温状態にある湯水の量が少量である期間が長いものと想定される。
【0004】
また、特許文献1に開示されている貯留型熱源装置では、熱源としてヒートポンプユニットが採用されている。ヒートポンプユニットのように湯水の加熱能力が低い熱源を採用した場合は、湯水を十分加熱するために湯水の流速が極めて低速とされることが多い。そのため、特許文献1に開示されている貯留型熱源装置では、各貯留タンクに分配されて流入する湯水の流量が少ないばかりか、その流速も低速であり、各貯留タンクに高温の湯水が所定量だけ溜まるまでの期間、すなわち大量の低温の湯水と少量の高温の湯水とが単一の貯留タンク内に存在する期間がさらに長引くものと想定される。
【0005】
上記したように、貯留タンク内に存在する低温の湯水の量に対して高温の湯水の量が少量であったりこの期間が長く続くと、高温の湯水が放熱しやすく、その分だけ熱エネルギーロスが発生する。また、このようにして加熱した湯水が放熱してしまうと、場合によっては先に加熱した湯水を再加熱せねばならず、その分もエネルギーロスが発生することとなる。さらに、貯留タンク内において高温の湯水が放熱してしまうと、貯留タンクから導出して給湯などのために供給可能な湯水の量が減ってしまったり、供給可能な湯水の温度が低下してしまい、使用感が損なわれてしまうといった問題も発生しかねない。そのため、複数の貯留タンクを持つ貯留型熱源装置や、貯留型熱源装置を組み合わせて貯留型熱源システムを構築する場合は、熱エネルギー効率等の観点から、貯留タンク内に存在する低温の湯水の量に対して高温の湯水の量が少量となったり、このような状態である期間が長く続くのを防止する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、複数の貯留タンクを備えつつ、貯留タンク内に高温の湯水と低温の湯水とが混在することによる熱エネルギーロスを最小限に抑制可能な貯留型熱源装置、並びに、貯留型熱源システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、増設ユニット用の貯留型熱源装置に対して配管接続して貯留型熱源システムを構築可能な基本ユニット用の貯留型熱源装置であって、熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1貯留タンクの底部側に繋がる底部側接続流路と、第1貯留タンクの頂部側に繋がる頂部側接続流路とを有する貯留型熱源装置であって、液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路とを備え、当該第2液体流路が、本流部と、当該本流部から分岐され第2貯留タンクの頂部側に繋がる頂部側分岐部と、前記本流部から分岐され第2貯留タンクの底部側に繋がる底部側分岐部と、頂部側分岐部および底部側分岐部と本流部との導通状態を調整可能な流路調整手段とを有する増設ユニット用の貯留型熱源装置に対して配管接続可能なものであり、頂部側接続流路に増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2液体流路の本流部を配管接続可能であり、底部側接続流路に増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2底部側流路を配管接続可能であることを特徴とする貯留型熱源装置である。
【0008】
本発明の貯留型熱源装置は、第1貯留タンクに貯留されている液体を第1液体流路を介して第1貯留タンクの底部側から導出して熱源において加熱し、頂部側に熱源で加熱された液体を導入することにより、第1貯留タンク内の液体を加熱することができる。また、本発明の貯留型熱源装置は、頂部側接続流路に増設ユニットの第2液体流路の本流部を配管接続し、底部側接続流路に増設ユニットの第2底部側流路を配管接続した状態において、第2液体流路に設けられた流路調整手段を調整して第2液体流路の本流部と頂部側分岐部とを導通させることにより、第1貯留タンクに加熱された状態で貯留されている液体の一部又は全部を、第2貯留タンクに存在する低温の液体の一部又は全部と置換することができる。
【0009】
さらに詳細には、第1貯留タンクに加熱された状態で貯留されている液体の一部又は全部を第1貯留タンクの頂部側から頂部側接続流路を介して取り出し、これを第2液体流路の本流部および頂部側分岐部を介して第2貯留タンクの頂部側に導入することができる。また、これに伴い、第2貯留タンク内の液体を第2貯留タンクの底部側から押し出し、第1貯留タンクに底部側から導入することができる。そのため、本発明の貯留型熱源装置は、増設ユニットを構成する貯留型熱源装置を配管接続した状態において、第1貯留タンクに高温の液体を所定量貯留された時点で第1貯留タンク内の液体と第2貯留タンク内の液体とを置換することができ、第2貯留タンク内に高温の液体を貯留する際や第2貯留タンクに高温の液体を貯留している間に、低温の液体が大量存在する状況下で高温の液体が少量存在することによる熱エネルギーロス等を解消することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、底部側接続流路が、第1底部側流路に対して接続されており、第1底部側流路から第1貯留タンクを経て第1頂部側流路に至る経路の中途であって頂部側接続流路と第1頂部側流路との接続部分A、又は、底部側接続流路と第1底部側流路との接続部分Bから前記接続部分Aに至る経路の中途に第1貯留タンクに対する液体の流入あるいは第1貯留タンク内に貯留されている液体の流出を阻止可能な弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯留型熱源装置である。
【0011】
本発明の貯留型熱源装置は、第1底部側流路から第1貯留タンクを経て第1頂部側流路に至る経路の中途に設けられた弁を閉じることにより第1貯留タンクに対する液体の流出入を阻止することができる。そのため、本発明の貯留型熱源装置により貯留型熱源システムを構築すると、前記した弁を閉じた状態で外部から第2貯留タンクの底部側に液体を導入すると、第2貯留タンク内に貯留されている液体を第2頂部側流路を介して取り出すことができる。従って、本発明の貯留型熱源装置を用いれば、第2貯留タンク内に貯留されている液体を外部に供給可能な貯留型熱源システムを構築することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、頂部側接続流路が第1頂部側流路の中途に接続されており、第1頂部側流路の中途であって、頂部側接続流路と第1頂部側流路との接続部分Aと第1頂部側流路と第1貯留タンクとの接続部分Cとの間にタンク接続流路が接続されており、当該タンク接続流路に、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2頂部側流路を配管接続可能であり、前記第1頂部側流路とタンク接続流路との接続部分D、又は、底部側接続流路と第1底部側流路との接続部分Bから前記接続部分Dに至る経路の中途に第1貯留タンクに対する液体の流入あるいは第1貯留タンク内に貯留されている液体の流出を阻止可能な弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯留型熱源装置である。
【0013】
かかる構成によれば、第1底部側流路から第1貯留タンクを経て第1頂部側流路に至る経路に設けられた弁を閉じ、第2液体流路の底部側分岐部と本流部とが導通するように調整することにより、第2貯留タンク内の液体を頂部側から取り出し、底部側に戻す循環流を発生させ、第2貯留タンク内に液体を介して貯留されている熱エネルギーを第2貯留タンクの外部に取り出すことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、第1頂部側流路とタンク接続流路との導通状態を切り替え可能な流路切替手段を有することを特徴とする請求項3に記載の貯留型熱源装置である。
【0015】
かかる構成によれば、流路切替手段により増設ユニットを構成する第2貯留タンクにおける液体の流出入を調整することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、基本ユニット用の貯留型熱源装置に対して配管接続して貯留型熱源システムを構築可能な増設ユニット用の貯留型熱源装置を構成するものであり、液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路とを有し、当該第2液体流路が、本流部と、当該本流部から分岐された頂部側分岐部と、前記本流部から分岐された底部側分岐部と、頂部側分岐部および底部側分岐部と本流部との導通状態を調整可能な流路調整手段と、第2液体流路を流れる液体と他の液体との間で熱エネルギーを授受可能な熱交換器とを備えたものであり、頂部側分岐部が第2貯留タンクの頂部側に接続され、底部側分岐部が第2貯留タンクの底部側に接続された貯留型熱源装置であって、熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1貯留タンクの底部側に繋がる底部側接続流路と、第1貯留タンクの頂部側に繋がる頂部側接続流路とを有する基本ユニット用の貯留型熱源装置に対して配管接続可能なものであり、基本ユニットを構成する貯留型熱源装置の頂部側接続流路に第2液体流路の本流部を接続可能であり、底部側接続流路に第2底部側流路を配管接続可能であることを特徴とする貯留型熱源装置である。
【0017】
本発明の貯留型熱源装置は、第2液体流路が頂部側分岐部と底部側分岐部とを有し、流路調整手段を調整することにより頂部側分岐部および底部側分岐部と本流部との導通状態を調整することができる。そのため、本発明の貯留型熱源装置は、基本ユニットを構成する貯留型熱源装置の頂部側接続流路に第2液体流路の本流部を接続し、底部側接続流路に第2底部側流路を接続した状態において、頂部側分岐部と本流部とが導通するように流路調整手段を調整した状態で液体を循環させると、第1貯留タンクに貯留されている液体と、第2貯留タンクに貯留されている液体とを置換することができる。
【0018】
さらに詳細に説明すると、本発明の貯留型熱源装置を用いて貯留型熱源システムを構築した場合、頂部側分岐部と本流部とが導通するように流路調整手段を調整した状態で液体を循環させると、基本ユニット用の貯留型熱源装置の第1貯留タンクの頂部側に存在する高温の液体の一部又は全部を第1貯留タンクの頂部側から頂部側接続流路を介して取り出し、これを第2液体流路の本流部および頂部側分岐部を介して第2貯留タンクの頂部側に導入することができる。また、第2貯留タンクの頂部側から液体を導入すると、第2貯留タンク内の液体が第2貯留タンクの底部側から押し出され、第1貯留タンクの底部側に導入される。そのため、本発明の貯留型熱源装置を用いて貯留型熱源システムを構築すれば、第1貯留タンクに貯留されている高温の液体と第2貯留タンク内の液体とを置換することにより第2貯留タンク内に高温の液体を貯留することができ、第2貯留タンク内に高温の液体を貯留する際や第2貯留タンクに高温の液体を貯留している間に、大量の低温の液体と少量の高温の液体とが混在することによる熱エネルギーロス等を防止することができる。
【0019】
ここで、上記請求項5に記載の貯留型熱源装置は、第2頂部側流路が、第2液体流路の本流部に直接的あるいは間接的に接続されており、液体を圧送可能なポンプが、第2液体流路の本流部の中途に配されており、熱交換器が、第2液体流路の本流部及び/又は底部側分岐部に配されていることが望ましい(請求項6)。
【0020】
本発明の貯留型熱源装置は、流路調整手段を本流部が底部側分岐部と導通し、頂部側分岐部と実質的に非導通である状態としてポンプを作動させることを条件として、第2貯留タンク内の液体が第2頂部側流路を介して取り出され、熱交換器を通過して第2貯留タンクの底部側に戻る循環流を発生させることができる。そのため、本発明によれば、第2貯留タンクに貯留されている液体を介して熱交換器において必要とされる熱エネルギーを供給することができる。
【0021】
請求項5に記載の貯留型熱源装置は、液体を圧送可能なポンプが、第2液体流路の本流部に配された構成であることが望ましい(請求項7)。
【0022】
かかる構成によれば、第2液体流路の中途に設けられたポンプを作動させることにより、第1貯留タンクと第2貯留タンクとの間で液体を循環させ、両者の間で液体を置換することができる。
【0023】
本発明の貯留型熱源装置を用いて貯留型熱源システムを構築すれば、基本ユニットを構成する貯留型熱源装置側に、第1貯留タンクと第2貯留タンクとの間で液体を循環させるためのポンプを設ける必要がない。そのため、本発明の貯留型熱源装置を増設ユニット用に用いれば、基本ユニットを構成する貯留型熱源装置の装置構成を簡略化することができる。
【0024】
また特に、上記請求項6に記載の発明のように熱交換器を第2液体流路の本流部や底部側分岐部に設ける場合は、ポンプを第1貯留タンクと第2貯留タンクとの間で液体を置換するためだけでなく、第2貯留タンク内の液体を第2頂部側流路を介して取り出し、熱交換器に供給するためにも使用できる。すなわち、本発明によれば、ポンプを複数の用途に共用することができ、貯留型熱源装置の装置構成の簡略化に資することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、熱交換器が、第2液体流路の本流部に配されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の貯留型熱源装置である。
【0026】
かかる構成によれば、第2貯留タンク内の液体に加えて、第1貯留タンク内の液体についても熱交換器に供給することができる。従って、本発明によれば、第1,2貯留タンクの双方に貯留されている液体を熱交換器における熱交換に有効利用することができる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、第1頂部側流路の中途に繋がるタンク接続流路を備えた基本ユニット用の貯留型熱源装置に配管接続されるものであり、第2頂部側流路を前記タンク接続流路に配管接続可能であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の貯留型熱源装置である。
【0028】
かかる構成によれば、第2底部側流路を介して第2貯留タンク内に液体を導入することにより、第2貯留タンクの頂部側に存在する液体を第2頂部側流路を介して第2貯留タンクから取り出し、基本ユニット用の貯留型熱源装置を構成する第1頂部側流路に供給することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明は、第2頂部側流路と第2液体流路とが接続されており、第2頂部側流路と第2液体流路との導通状態を調整可能な流路調整手段を有することを特徴とする請求項9に記載の貯留型熱源装置である。
【0030】
かかる構成によれば、流路調整手段により第2頂部側流路と第2液体流路とが導通した状態とすることにより、第2貯留タンク内の液体が第2貯留タンクの頂部側から流出し、底部側に戻る循環流を発生させることができる。
【0031】
請求項11に記載の発明は、基本ユニット用の貯留型熱源装置と増設ユニット用の貯留型熱源装置とを有し、両者を配管接続して構成される貯留型熱源システムであって、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置が、熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1貯留タンクの底部側に繋がる底部側接続流路と、第1貯留タンクの頂部側に繋がる頂部側接続流路とを有するものであり、増設ユニット用の貯留型熱源装置が、請求項5〜10のいずれかに記載の貯留型熱源装置によって構成されており、基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路に、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2液体流路の本流部が配管接続され、基本ユニット用の貯留型熱源装置の底部側接続流路に、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2底部側流路が配管接続されていることを特徴とする貯留型熱源システムである。
【0032】
本発明の貯留型熱源システムは、基本ユニットを構成する貯留型熱源装置において第1貯留タンクに貯留されている液体を第1液体流路を介して熱源との間で循環させることにより加熱することができる。また、本発明の貯留型熱源システムは、第2液体流路に設けられた流路調整手段を調整して基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路と、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2液体流路の本流部とを導通した状態とすることにより、第1貯留タンクに加熱された状態で貯留されている液体の一部又は全部を、第2貯留タンクに存在する低温の液体の一部又は全部と置換することができる。そのため、本発明の貯留型熱源システムは、第1貯留タンク内の高温の液体と第2貯留タンク内の低温の液体とを一度に置換することができる。従って、本発明の貯留型熱源システムは、第2貯留タンク内に高温の液体を貯留する際や第2貯留タンクに高温の液体を貯留している間に、大量の低温の液体と少量の高温の液体とが単一のタンク内に存在することによる熱エネルギーロス等を解消することができる。
【0033】
請求項12に記載の発明は、基本ユニット用の貯留型熱源装置と増設ユニット用の貯留型熱源装置とを有し、両者を配管接続して構成される貯留型熱源システムであって、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置が、請求項1〜4のいずれかに記載の貯留型熱源装置によって構成されており、増設ユニット用の貯留型熱源装置が、液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路とを有し、当該第2液体流路が、本流部と、当該本流部から分岐された頂部側分岐部と、前記本流部から分岐された底部側分岐部と、頂部側分岐部および底部側分岐部と本流部との導通状態を調整可能な流路調整手段と、第2液体流路を流れる液体と他の液体との間で熱エネルギーを授受可能な熱交換器とを備えたものであり、頂部側分岐部が第2貯留タンクの頂部側に接続され、底部側分岐部が第2貯留タンクの底部側に接続されたものであり、基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路に、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2液体流路の本流部が配管接続され、基本ユニット用の貯留型熱源装置の底部側接続流路に、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2底部側流路が配管接続されていることを特徴とする貯留型熱源システムである。
【0034】
本発明の貯留型熱源システムは、基本ユニット用の貯留型熱源装置において加熱され、第1貯留タンクに貯留されている高温の液体の一部又は全部と、増設ユニット用の貯留型熱源装置に設けられた第2貯留タンクに貯留されている液体の一部又は全部とを置換させることができる。そのため、本発明の貯留型熱源システムは、第1貯留タンク内の高温の液体と第2貯留タンク内の低温の液体とを一度に置換することができる。従って、本発明の貯留型熱源システムは、第2貯留タンク内に高温の液体を貯留する際や第2貯留タンクに高温の液体を貯留している間に、大量の低温の液体と少量の高温の液体とが単一のタンク内に存在することによる熱エネルギーロス等を解消することができる。
【0035】
請求項13に記載の発明は、基本ユニット用の貯留型熱源装置と、増設ユニット用の貯留型熱源装置とを有し、両者を配管接続して構成される貯留型熱源システムであって、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置が、熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1頂部側流路の中途に接続された頂部側接続流路と、第1頂部側流路の中途に流路切替手段を介して接続されたタンク接続流路と、第1底部側流路の中途に接続された底部側接続流路とを有し、前記第1頂部側流路と頂部側接続流路との接続部分Aと、第1頂部側流路と第1貯留タンクとの接続部分Cとの間に前記流路切替手段が配されており、第1底部側流路を介して第1貯留タンクに底部側から液体を導入することにより、第1貯留タンクの頂部側に貯留されている液体を第1頂部側流路を介して第1貯留タンクの外部に導出可能であり、第1貯留タンクに貯留されている液体を第1液体流路を介して第1貯留タンクの底部側から導出して熱源において加熱し、熱源で加熱された液体を第1貯留タンクに頂部側から導入することにより第1貯留タンク内の液体を加熱可能なものであり、前記増設ユニット用の貯留型熱源装置が、液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路とを有し、前記第2頂部側流路および第2底部側流路を介して第2貯留タンク内に対して液体を導出入させることが可能なものであり、前記第2液体流路が、基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路に配管接続された本流部と、当該本流部から分岐され第2貯留タンクの頂部側に接続された頂部側分岐部と、前記本流部から分岐され第2貯留タンクの底部側に接続された底部側分岐部とを有し、中途に液体を圧送可能なポンプと、第2加熱系の外部にある熱負荷に供給する液体を第2液体流路を流れる液体との熱交換により加熱可能な熱交換器とを備え、本流部を流れる液体を頂部側分岐部あるいは底部側分岐部のいずれか一方に選択的に流通させることが可能なものであり、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置のタンク接続流路と、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2頂部側流路とが配管接続され、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置の底部側接続流路と、増設ユニット用の第2底部側流路とが配管接続されていることを特徴とする貯留型熱源システムである。
【0036】
かかる構成によれば、基本ユニット用の貯留型熱源装置において加熱され、第1貯留タンクに貯留されている液体の一部又は全部と、増設ユニット用の貯留型熱源装置において第2貯留タンクに貯留されている液体の一部又は全部とを置換し、第2貯留タンクに高温の液体を貯留することができる。従って、本発明の貯留型熱源システムでは、第1貯留タンクと第2貯留タンクとの間で一度にある程度まとまった量の液体を置換することができ、低温の液体と高温の液体とが単一のタンク内に存在することによる熱エネルギーロス等を解消することができる。
【0037】
上記した構成によれば、第2貯留タンクの頂部側に存在する液体を第2頂部側流路を介して取り出すことにより、第1頂部側流路を経由し、第2液体流路の本流部および底部側接続流路を通過して第2貯留タンクの底部側に戻る液体の循環流を発生させ、第2液体流路の中途に設けられた熱交換器に熱エネルギーを供給することができる。
【0038】
さらに、上記した構成によれば、第2貯留タンクに貯留されている液体を第2頂部側流路を介して取り出し、第1頂部側流路を経由して貯留型熱源システムの外部に供給することも可能である。すなわち、上記した構成によれば、第2貯留タンクに貯留されている液体を、熱交換器に対して熱エネルギーを供給する媒体として利用するだけでなく、外部に供給することも可能である。よって、本発明によれば、第2貯留タンクに貯留されている液体を様々な用途に使用可能な貯留型熱源システムを提供することができる。
【0039】
請求項14に記載の発明は、基本ユニット用の貯留型熱源装置と、増設ユニット用の貯留型熱源装置とを有し、両者を配管接続して構成される貯留型熱源システムであって、前記基本ユニットを構成する貯留型熱源装置が、熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1貯留タンクの頂部側に接続された頂部側接続流路と、第1底部側流路の中途に接続された底部側接続流路とを有し、第1底部側流路を介して第1貯留タンクに底部側から液体を導入することにより、第1貯留タンクの頂部側に貯留されている液体を第1頂部側流路を介して第1貯留タンクの外部に導出可能であり、第1貯留タンクに貯留されている液体を第1液体流路を介して第1貯留タンクの底部側から導出して熱源において加熱し、熱源で加熱された液体を第1貯留タンクに頂部側から導入することにより第1貯留タンク内の液体を加熱可能なものであり、前記増設ユニット用の貯留型熱源装置が、液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路とを有し、前記第2頂部側流路および第2底部側流路を介して第2貯留タンク内に対して液体を導出入させることが可能なものであり、前記第2液体流路が、基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路に配管接続された本流部と、当該本流部から分岐され第2貯留タンクの頂部側に接続された頂部側分岐部と、前記本流部から分岐され第2貯留タンクの底部側に接続された底部側分岐部とを有し、中途に液体を圧送可能なポンプと、第2加熱系の外部にある熱負荷に供給する液体を第2液体流路を流れる液体との熱交換により加熱可能な熱交換器とを備え、本流部を流れる液体を頂部側分岐部あるいは底部側分岐部のいずれか一方に選択的に流通させることが可能なものであり、前記第2頂部側流路が、第2液体流路、頂部側接続流路、あるいは、第2液体流路と頂部側接続流路とを繋ぐ配管の中途に接続され、前記第2底部側流路が、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置の底部側接続流路に配管接続されていることを特徴とする貯留型熱源システムである。
【0040】
かかる構成によれば、基本ユニット用の貯留型熱源装置において加熱されて第1貯留タンクに貯留されている液体の一部又は全部と、第2貯留タンクに貯留されている液体の一部又は全部とを置換することにより、第2貯留タンクに高温の液体を貯留することができる。そのため、本発明の貯留型熱源システムによれば、第1貯留タンクに貯留されている高温の液体を一度にまとめて第2貯留タンクに供給し、第2貯留タンク内の低温の液体と置換することができる。従って、本発明によれば、第2貯留タンクにおける高温の液体が放熱等して熱エネルギーロスを起こす可能性を最小限に抑制できる。
【0041】
上記した構成によれば、第2貯留タンクの頂部側に存在する液体を第2頂部側流路を介して取り出し、これを第2液体流路の本流部および底部側接続流路を通過させて第2貯留タンクの底部側に戻すことにより、第2液体流路の中途に設けられた熱交換器に熱エネルギーを供給することができる。
【0042】
また、上記した構成によれば、第1貯留タンクに貯留されている液体についても、第1頂部側流路および頂部側接続流路を介して基本ユニット用の貯留型熱源装置から取り出し、これを第2液体流路の本流部、底部側分岐部、第2貯留タンク、第2底部側流路、並びに、底部側接続流路を通過させ、第1貯留タンクの底部側に戻すことができる。従って、上記した構成によれば、熱交換器と第1貯留タンクとの間で液体の循環流を発生させ、第1貯留タンク内に液体を介して貯留されている熱エネルギーを熱交換器に供給することができる。従って、本発明によれば、第2貯留タンクに貯留されている液体だけでなく、第1貯留タンクに貯留されている液体についても熱交換器に供給することができる。
【0043】
請求項15に記載の発明は、基本ユニット用の貯留型熱源装置と、増設ユニット用の貯留型熱源装置とを有し、両者を配管接続して構成される貯留型熱源システムであって、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置が、熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1頂部側流路の中途に接続された頂部側接続流路と、第1頂部側流路の中途に流路切替手段を介して接続されたタンク接続流路と、第1底部側流路の中途に接続された底部側接続流路とを有し、前記第1頂部側流路と頂部側接続流路との接続部分Aと、第1頂部側流路と第1貯留タンクとの接続部分Cとの間に前記流路切替手段が配されており、第1底部側流路を介して第1貯留タンクに底部側から液体を導入することにより、第1貯留タンクの頂部側に貯留されている液体を第1頂部側流路を介して第1貯留タンクの外部に導出可能であり、第1貯留タンクに貯留されている液体を第1液体流路を介して第1貯留タンクの底部側から導出して熱源において加熱し、熱源で加熱された液体を第1貯留タンクに頂部側から導入することにより第1貯留タンク内の液体を加熱可能なものであり、前記増設ユニット用の貯留型熱源装置が、液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路と、第2頂部側流路の中途に接続された頂部分岐流路とを有し、前記第2頂部側流路および第2底部側流路を介して第2貯留タンク内に対して液体を導出入させることが可能なものであり、前記第2液体流路が、基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路に配管接続された本流部と、当該本流部から分岐され第2貯留タンクの頂部側に接続された頂部側分岐部と、前記本流部から分岐され第2貯留タンクの底部側に接続された底部側分岐部とを有し、中途に液体を圧送可能なポンプと、第2加熱系の外部にある熱負荷に供給する液体を第2液体流路を流れる液体との熱交換により加熱可能な熱交換器とを備え、本流部を流れる液体を頂部側分岐部あるいは底部側分岐部のいずれか一方に選択的に流通させることが可能なものであり、前記頂部分岐流路が、第2液体流路、頂部側接続流路、あるいは、第2液体流路と頂部側接続流路とを繋ぐ配管の中途に接続され、前記第2頂部側流路が、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置のタンク接続流路に配管接続され、前記第2底部側流路が、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置の底部側接続流路に配管接続されていることを特徴とする貯留型熱源システムである。
【0044】
かかる構成によれば、基本ユニット用の貯留型熱源装置において加熱されて第1貯留タンクに貯留されている液体の一部又は全部と、第2貯留タンクに貯留されている液体の一部又は全部とを置換し、第2貯留タンクに高温の液体を貯留することができる。そのため、本発明の貯留型熱源システムによれば、第1貯留タンクに貯留されている高温の液体を一度にまとめて第2貯留タンクに供給することにより、第2貯留タンク内の低温の液体と置換することができる。従って、本発明によれば、第2貯留タンクに高温の液体の量に対して低温の液体が大量に存在することによる熱エネルギーロス等を最小限に抑制できる。
【0045】
上記した構成によれば、第2貯留タンクの頂部側に存在する液体を第2頂部側流路を介して取り出し、これを第2液体流路の本流部および底部側接続流路を通過させて第2貯留タンクの底部側に戻すことにより、第2液体流路の中途に設けられた熱交換器に熱エネルギーを供給することができる。また、上記した構成によれば、第1貯留タンクに貯留されている液体についても、頂部側接続流路、第2液体流路の本流部、底部側分岐部、第2貯留タンク、第2底部側流路、並びに、底部側接続流路を通過させることにより、熱交換器と第1貯留タンクとの間で液体の循環流を発生させることができる。従って、本発明によれば、第2貯留タンクに貯留されている液体だけでなく、第1貯留タンクに貯留されている液体についても熱交換器に供給することができる。
【0046】
さらに、本発明の貯留型熱源システムでは、第2貯留タンクに貯留されている液体を第2頂部側流路および第1頂部側流路を介して取り出し、外部に供給することも可能である。従って、本発明の貯留型熱源システムでは、第2貯留タンクに貯留されている液体を様々な用途に使用することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、複数の貯留タンクを備えつつ、貯留タンク内に高温の湯水と低温の湯水とが混在することによる熱エネルギーロスを最小限に抑制可能な貯留型熱源装置、並びに、貯留型熱源システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(第1実施形態)
続いて、本発明の第1の実施形態にかかる貯留型熱源システムおよび貯留型熱源装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、1は本実施形態の貯留型熱源システムである。貯留型熱源システム1は、図示するように基本ユニット2(貯留型熱源装置)と増設ユニット3(貯留型熱源装置)と熱源5とに大別され、両者を配管接続することによって構成されている。基本ユニット2および増設ユニット3は、それぞれ湯水(液体)を貯留可能なメインタンク10(第1貯留タンク)およびサブタンク50(第2貯留タンク)を備えており、メインタンク10およびサブタンク50を中心として第1加熱系統H1(第1加熱系)および第2加熱系統H2(第2加熱系)を形成した構成とされている。
【0049】
基本ユニット2は、ヒートポンプ回路によって構成される熱源5において発生する熱エネルギーを利用して湯水を加熱してメインタンク10に貯留することができる構成とされている。基本ユニット2は、単独でも給湯用の湯水の供給や、図示しない浴槽内の湯水の追い焚きを実施することができる構成とされている。
【0050】
基本ユニット2は、メインタンク10と、加熱用循環流路11(第1液体流路)とを備えている。基本ユニット2は、加熱用循環流路11を流れる湯水(液体)を介して熱源5において発生する熱エネルギーを回収し、これをメインタンク10に貯留可能な構成とされており、単独でも貯留型熱源装置として機能する。さらに具体的に説明すると、基本ユニット2は、メインタンク10を中心として構成されており、これに加熱用循環流路11や風呂用循環流路13、第1頂部側流路15、第1底部側流路16が接続された構成とされている。
【0051】
加熱用循環流路11は、図1に示すように、メインタンク10の頂部10aと底部10bとを繋ぐ循環流路を構成している。加熱用循環流路11の中途には、熱源5が接続されている。さらに具体的には、加熱用循環流路11は、メインタンク10の底部10bに繋がる熱源往き流路11aと、頂部10aに繋がる熱源戻り流路11bとに大別され両者の間に熱源5が接続されている。加熱用循環流路11は、熱源戻り流路11bの中途に循環ポンプ12を有し、これを作動させることにより、メインタンク10の底部10b側から熱源往き流路11aを介して流出し、熱源5および熱源戻り流路11bを通過してメインタンク10の頂部10a側に戻る湯水の循環流を発生させることができる。
【0052】
メインタンク10には、高さ方向、すなわち内部に貯留される湯水の水位の昇降方向に複数(本実施形態では5つ)の温度センサ14a〜14eを取り付けた構成とされている。各温度センサ14a〜14eは、それぞれ取り付けられている高さ位置に貯留されている湯水の温度を検知するための温度検知手段として機能すると共に、メインタンク10内に貯留されている所定温度あるいは温度範囲の湯水の量を検知するための残量検知手段としての役割も果たすものである。
【0053】
さらに詳細には、本実施形態の貯留型熱源システム1は、後述するように循環ポンプ12を作動させることによりメインタンク10内の湯水が底部10b側から取り出され、熱源5において熱交換加熱された後、頂部10a側に戻る構成とされている。
【0054】
ここで、一般的にこのようにしてメインタンク10内に液体を加熱して頂部10a側に戻す場合は、メインタンク10の頂部10a側に残存している液体との温度差が所定温度以上(湯水の場合は、約10℃以上)であることを条件として温度帯の異なる液体が層状に貯留され、いわゆる温度成層を形成することが知られている。
【0055】
かかる知見に基づき、本実施形態の貯留型熱源システム1では、循環ポンプ12を作動させることにより頂部10a側からメインタンク10に戻される湯水の流速が前記した温度成層を崩さない程度に緩やかになるように調整されている。そのため、熱源5の作動状況下において循環ポンプ12を循環させると、メインタンク10内の頂部10a側に高温の湯水が流入し、メインタンク10内に高さ方向に温度帯の異なる湯水が層状に貯留され、いわゆる温度成層が形成される。従って、貯留型熱源システム1では、メインタンク10に設けられた各温度センサ14a〜14eの検知温度と、これらの温度センサ14a〜14eの取り付け位置との相関関係に基づいて、所定温度以上の湯水がどれだけメインタンク10に貯留されているかを判断することができる。
【0056】
さらに具体的には、例えば温度センサ14a〜14cの検知温度がそれぞれ所定温度以上であり、これら以外の温度センサ14d,14eの検知温度が所定温度未満である場合は、メインタンク10の頂部10a側から温度センサ14cの取り付け位置までの容量に相当する量の湯水が所定温度以上に加熱された状態で貯留されているものと判断することができる。
【0057】
熱源5は、従来公知のものと同様に二酸化炭素等を熱媒として作動するものであり、ガスや液体燃料を燃焼する燃焼装置等に比べ、作動に伴って単位時間あたりに発生する熱エネルギー量が小さい。そのため、基本ユニット2は、熱エネルギーの使用に先立って熱源5を作動させ、これに伴って発生する熱エネルギーを湯水を介してメインタンク10に貯留しておき、これを用いて給湯や風呂の追い焚きを実施できる構成とされている。
【0058】
第1頂部側流路15は、メインタンク10の頂部10a側の位置(接続部分C)に接続された流路であり、主としてメインタンク10内の湯水を取り出すために使用される流路である。第1頂部側流路15は、末端に配管接続口15aが設けられており、これに第1加熱系統H1の外部に設けられたカラン等を配管接続することができる構成とされている。
【0059】
第1頂部側流路15の中途(接続部分D)には三方弁17が設けられており、これを介してタンク接続流路18が接続されている。また、第1頂部側流路15の中途であって、三方弁17よりも第1頂部側流路15の末端側、すなわちメインタンク10から第1頂部側流路15を介して湯水を取り出す際における湯水の流れ方向下流側の位置(接続部分A)には、頂部側接続流路19が接続されている。タンク接続流路18および頂部側接続流路19の末端には、それぞれ配管接続口18a,19aが設けられている。配管接続口18a,19aは、それぞれ基本ユニット2に対して増設ユニット3を配管接続するための接続口として機能するものであり、増設ユニット3の非接続時は閉止されている。
【0060】
第1底部側流路16は、メインタンク10の底部10b側に接続された流路であり、図示しない給水源等から供給される上水(湯水)をメインタンク10内に導入するために使用される流路である。第1底部側流路16は、末端に配管接続口16aが設けられており、これに第1加熱系統H1の外部に設けられた給水源等に配管接続することができる構成とされている。
【0061】
第1底部側流路16の中途(接続部分B)には、底部側接続流路21が接続されている。底部側接続流路21の末端には配管接続口21aが設けられている。配管接続口21aは、基本ユニット2に対して増設ユニット3を配管接続するための接続口として機能するものであり、増設ユニット3の非接続時は閉止されている。
【0062】
風呂用循環流路13は、メインタンク10の頂部10a側の部位と、底部10b側の部位とを配管接続して構成された流路である。風呂用循環流路13の中途には、追焚一次側循環ポンプ26と風呂用熱交換器27とが設けられている。基本ユニット2は、追焚一次側循環ポンプ26を作動させることにより、メインタンク10の頂部10a側に貯留されている湯水を取り出して風呂用熱交換器27に供給し、底部10b側に戻すことができる。
【0063】
風呂用熱交換器27は、いわゆる液−液熱交換器によって構成されている。上記した風呂用循環流路13を構成する配管は、風呂用熱交換器27の一次側に接続されている。また、風呂用熱交換器27の二次側には、風呂往き流路28および風呂戻り流路29が接続されており、図示しない浴槽と風呂用熱交換器27との間で浴槽内の湯水を循環可能な風呂系統(熱エネルギー供給系統)を構成している。風呂戻り流路29の中途には、追焚二次側循環ポンプ30が設けられている。また、風呂往き流路28および風呂戻り流路29の末端には、それぞれ配管接続口28a,29aが設けられている。
【0064】
基本ユニット2は、配管接続口28a,29aに図示しない浴槽に繋がる流路を接続することにより、浴槽と風呂用熱交換器27とを繋ぐ一連の循環流路を形成することができる。そのため、浴槽との間で循環流路を形成した状態で追焚一次側循環ポンプ26および追焚二次側循環ポンプ30を作動させると、浴槽内の湯水を順次風呂用熱交換器27に供給し、これを風呂用循環流路13内を流れる湯水との熱交換により加熱(追い焚き)することができる。
【0065】
増設ユニット3は、上記した基本ユニット2と同様にサブタンク50(第2貯留タンク)を有し、これに貯留された湯水を用いて外部に設けられた暖房等の負荷端末(図示せず)との間で循環する不凍液等の熱媒体を熱交換加熱可能な構成とされている。サブタンク50は、上記したメインタンク10とほぼ同一の容量を有する。
【0066】
サブタンク50は、上記したメインタンク10と同様に高さ方向、すなわち内部に貯留される湯水の水位の昇降方向に複数(本実施形態では5つ)の温度センサ51a〜51eを取り付けた構成とされている。温度センサ51a〜51eは、それぞれ上記した温度センサ14a〜14eと同様に、サブタンク50に貯留されている湯水の温度を検知するための温度検知手段としての機能と、サブタンク50内に貯留されている所定温度あるいは温度範囲の湯水の量を検知するための残量検知手段としての機能とを有する。
【0067】
サブタンク50の頂部50aおよび底部50bには、それぞれ第2頂部側流路52および第2底部側流路53が接続されている。第2頂部側流路52および第2底部側流路53の末端部分には、配管接続口52a,53aが設けられている。配管接続口52a,53aは、それぞれ増設ユニット3を基本ユニット2に配管接続するために使用されるものである。
【0068】
増設ユニット3は、湯水搬送流路60(第2液体流路)を有する。湯水搬送流路60は、中途にポンプ61と熱交換器62と三方弁63(流路調整手段)とを有し、一端側に配管接続口60aを有する。湯水搬送流路60は、三方弁63が設けられた部位において頂部側分岐部65と底部側分岐部66とに分岐されている。すなわち、湯水搬送流路60は、三方弁63のポート63aにポンプ61や熱交換器62を中途に有する部分(以下、必要に応じて本流部67と称す)が接続されており、三方弁63のポート63b,63cのそれぞれに頂部側分岐部65および底部側分岐部66を構成する配管が接続された構成とされている。そのため、増設ユニット3は、三方弁63を調整することにより、本流部67と頂部側分岐部65とが連通した状態や、本流部67と底部側分岐部66とが連通した状態に切り替えることができる。
【0069】
熱交換器62はいわゆる液−液熱交換器であり、この一次側に湯水搬送流路60の本流部67が接続されている。熱交換器62の二次側には、暖房往き流路70および暖房戻り流路71が接続されており、これらの末端に配管接続口70a,71aが設けられている。また、暖房戻り流路71の中途には、暖房二次側循環ポンプ72が設けられている。そのため、暖房等の負荷端末に繋がる配管を接続すれば、暖房二次側循環ポンプ72の作動状態とすることにより熱交換器62と負荷端末との間で湯水や不凍液等の熱媒体(液体)を循環させることが可能な循環系統を構築することができる。
【0070】
増設ユニット3は、図1に示すように、上記した第2頂部側流路52および第2底部側流路53の末端に設けられた配管接続口52a,53aと、基本ユニット2側のタンク接続流路18および底部側接続流路21の末端に設けられた配管接続口18a,21aとの間を配管76,77を用いて接続すると共に、湯水搬送流路60の末端に設けられた配管接続口60aと基本ユニット2側の頂部側接続流路19の末端に設けられた配管接続口19aとの間を配管75を用いて接続することにより、基本ユニット2に接続することができる。
【0071】
上記した貯留型熱源システム1は、基本ユニット2だけでも給湯運転や浴槽に貯留されている湯水の追焚といったような運転を実施することも可能であるが、増設ユニット3を配管接続することにより、貯湯能力を向上させたり、運転方法をさらに拡張することができる。さらに具体的には、貯留型熱源システム1は、基本ユニット2に対して増設ユニット3が接続された状態であっても、増設ユニット3が非接続の状態であっても、メインタンク貯湯運転、メインタンク給湯運転および追焚運転を実施することができる。また、貯留型熱源システム1は、基本ユニット2に対して増設ユニット3を配管接続することにより、サブタンク貯湯運転や、暖房運転、サブタンク給湯運転も実施可能な状態となる。以下、各運転方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0072】
(メインタンク貯湯運転)
メインタンク貯湯運転は、基本ユニット2を構成するメインタンク10内に所定の温度まで加熱された湯水を貯留する運転方法である。貯留型熱源システム1がメインタンク貯湯運転を実施する場合は、熱源5および循環ポンプ12が作動状態とされる。これにより、図2にハッチングや矢印で示すように、加熱用循環流路11にメインタンク10の底部10b側から湯水が取り出され、メインタンク10の頂部10aに戻る湯水の循環流が発生する。
【0073】
上記したような湯水の循環流が発生すると、加熱用循環流路11を流れる湯水が、中途に設けられた熱源5において熱交換加熱される。熱交換加熱された湯水は、加熱用循環流路11の熱源戻り流路11bを通過し、メインタンク10内に形成されている湯水の温度成層を崩さない程度の流速で頂部10a側から戻される。
【0074】
熱源5および循環ポンプ12が作動し続けると、メインタンク10内の湯水が頂部10a側から徐々に加熱され、高温になっていく。メインタンク10に取り付けられた温度センサ14a〜14eの検知温度に基づき、メインタンク10内に所定の温度以上の湯水が所定量以上貯留されたことが確認されると、熱源5および循環ポンプ12の動作が停止され、メインタンク貯湯運転が完了する。
【0075】
上記したように、貯留型熱源システム1がメインタンク貯湯運転を実施する場合は、増設ユニット3はメインタンク10に貯留される湯水の加熱に関与しない。すなわち、貯留型熱源システム1は、増設ユニット3の非存在下においてもメインタンク10内に貯留される湯水を加熱することができる。そのため、貯留型熱源システム1は、図1や図2に示すように増設ユニット3を配管接続した場合だけでなく、増設ユニット3を配管接続せず基本ユニット2を単独で使用する場合についても、上記同様の動作を行うことにより給湯運転を実施し、メインタンク10内に高温の湯水を貯留することができる。
【0076】
(サブタンク貯湯運転)
サブタンク貯湯運転は、増設ユニット3を構成するサブタンク50内に所定の温度まで加熱された湯水を貯留するための運転であり、本実施形態の貯留型熱源システム1において特徴的な運転方法である。サブタンク貯湯運転は、図3に矢印やハッチングで示すように上記したメインタンク貯湯運転でメインタンク10に貯留された高温の湯水と、サブタンク50に存在する湯水とを置換することにより、サブタンク50に高温の湯水を貯留する運転である。
【0077】
さらに具体的に説明すると、サブタンク貯湯運転を実施する場合は、基本ユニット2側において、第1頂部側流路15の中途に設けられた三方弁17のポート17b,17c間が連通し、タンク接続流路18が接続されたポート17aが閉止された状態とされる。また、増設ユニット3側では、湯水搬送流路60に設けられた三方弁63のポート63a,63cが開状態とされ、ポート63bが閉状態とされる。これにより、湯水搬送流路60の本流部67と頂部側分岐部65とが連通した状態とされる。
【0078】
上記したようにして三方弁17,63の開度が調整されると、湯水搬送流路60の本流部67に設けられたポンプ61が作動状態とされる。これにより、基本ユニット2とサブユニット3との間で、図3に矢印で示すような湯水の循環流が発生する。さらに詳細には、ポンプ61が作動すると、メインタンク10の頂部10a側に貯留されている湯水が第1頂部側流路15を介して導出される。メインタンク10から導出された湯水は、第1頂部側流路15の中途に接続された頂部側接続流路19および配管75を介して湯水搬送流路60に流入する。湯水搬送流路60を流れる湯水は、三方弁63のポート63a,63c間を通過して頂部側分岐部65に流入する。すなわち、メインタンク10の頂部10a側から取り出された高温の湯水がサブタンク50の頂部50a側から流入する。
【0079】
上記したようにしてサブタンク50の頂部50a側に高温の湯水が流入すると、貯留タンク50の底部50b側に存在する低温の湯水が第2底部側流路53を介して導出される。そして、この低温の湯水は配管接続口21a,53a間を繋ぐ配管77および基本ユニット2側の底部側接続流路21を流れ、メインタンク10に底部10b側から流入する。
【0080】
上記したようにしてメインタンク10内に貯留されている高温の湯水とサブタンク50内に貯留されている低温の湯水との置換が進行すると、やがてメインタンク10内に高温の湯水がなくなっていく。すなわち、本実施形態の貯留型熱源システム1では、サブタンク貯湯運転がある程度進行すると、メインタンク10に取り付けられた温度センサ14aの検知温度が所定の温度を下回る状態になり、サブタンク貯湯運転の開始時にメインタンク10に存在していた高温の湯水がサブタンク50内に存在していた低温の湯水と置換され、サブタンク50の頂部50a側に貯留された状態になる。そこで、メインタンク10内に存在していた高温の湯水がなくなる、すなわち温度センサ14aの検知温度が所定温度を下回った状態になると、サブタンク50に高温の湯水が貯留された状態になり、サブタンク貯湯運転が完了する。
【0081】
上記したようにしてサブタンク貯湯運転が完了すると、サブタンク50内の低温の湯水と置換された分だけメインタンク10内に存在していた高温の湯水がなくなる。そのため、サブタンク貯湯運転が完了した時点、あるいは、サブタンク貯湯運転を実施している最中に、必要に応じて上記したようにしてメインタンク貯湯運転が実施され、メインタンク10内に後に実施されるメインタンク給湯運転や追焚運転において必要とされる量だけ高温の湯水がメインタンク10に補充される。なお、サブタンク貯湯運転とメインタンク貯湯運転を同時に実施する場合は、メインタンク貯湯運転に伴って加熱用循環流路11を循環する湯水の流量が、サブタンク貯湯運転に伴ってメインタンク10とサブタンク50との間で流れる湯水の流量よりも少量とされる。
【0082】
(暖房運転)
暖房運転は、配管接続口70a,71aに対して配管接続された負荷端末(図示せず)との間で循環する液体を加熱する運転である。暖房運転は、上記したサブタンク貯湯運転の実施後、サブタンク50に貯留されている高温の湯水を図4に矢印やハッチングで示すように循環させることにより実施される。
【0083】
さらに具体的には、貯留型熱源システム1が暖房運転を実施する場合は、基本ユニット2に設けられた三方弁17のポート17a,17bが連通した状態とされ、ポート17cが閉止した状態とされる。また、湯水搬送流路60に設けられた三方弁63のポート63a,63bが連通した状態とされ、ポート63cが閉止した状態とされる。すなわち、三方弁63を開度調整することにより、湯水搬送流路60の本流部67が底部側分岐部66を介してサブタンク50の底部50b側に連通するように流路が切り替えられる。
【0084】
上記したように三方弁17,63が開度調整された状態で湯水搬送流路60の中途に設けられたポンプ61を作動させると、図4に矢印で示すようにサブタンク50内に貯留されている湯水が頂部50a側から取り出され、サブタンク50の底部側に戻る循環流が発生する。すなわち、ポンプ61を作動させると、湯水は、サブタンク50の頂部50a側に接続された第2頂部側流路52を介して取り出され、配管76→タンク接続流路18→第1頂部側流路15→頂部側接続流路19→配管75→湯水搬送流路60の本流部67→底部側分岐部66の順で流れた後、サブタンク50の底部50b側に流入する。これにより、サブタンク50から取り出された高温の湯水が湯水搬送流路60の本流部67に設けられた熱交換器62の一次側に順次供給される。
【0085】
一方、ポンプ61の作動とほぼ並行して、暖房戻り流路71に設けられた暖房二次側循環ポンプ72が作動状態とされる。これにより、図4に矢印で示すように負荷端末と熱交換器62の二次側との間で熱媒体の循環流が起こる。
【0086】
暖房二次側循環ポンプ72の作動に伴って、負荷端末から熱交換器62の二次側に供給された熱媒体は、湯水搬送流路60の本流部67を流れる高温の湯水との熱交換により加熱された後、暖房往き流路70を介して負荷端末に供給される。
【0087】
(メインタンク給湯運転)
メインタンク給湯運転は、基本ユニット2に設けられたメインタンク10に貯留されている高温の湯水を配管接続口15aに配管接続されたカラン等に供給するための運転である。メインタンク給湯運転を実施する場合は、三方弁17のポート17b,17cが開状態とされ、ポート17aが閉状態とされる。また、増設ユニット3に設けられた三方弁63が閉状態とされる。これにより、第1頂部側流路15を流れる湯水が、タンク接続流路18や頂部側接続流路19を介して増設ユニット3側に流れない状態となる。
【0088】
上記したように三方弁17,63の開度調整がなされた状態で配管接続口16aに配管接続された給水源から湯水が供給されると、この湯水は第1底部側流路16を介してメインタンク10に底部10b側から流入する。これに伴い、メインタンク10の頂部10a側に貯留されている高温の湯水が第1頂部側流路15を介してメインタンク10から取り出され、配管接続口15aに配管接続されたカラン等に供給される。
【0089】
(サブタンク給湯運転)
サブタンク給湯運転は、増設ユニット3側に設けられたサブタンク50内に貯留されている湯水を第2頂部側流路52および第1頂部側流路15を介して取り出し、配管接続口15aに配管接続されたカラン等に供給する運転である。さらに具体的には、サブタンク給湯運転を実施する場合は、三方弁17のポート17a,17bが開状態とされると共に、ポート17cが閉状態とされ、メインタンク10内の湯水を頂部10a側から導出できない状態とされる。また、増設ユニット3に設けられた三方弁63のポート63a〜63cが閉状態とされる。これにより、第1頂部側流路15を流れる湯水が、湯水搬送流路60や頂部側接続流路19を介して増設ユニット3側に流れ込んだり、サブタンク50内に貯留されている湯水が頂部50a側に接続された頂部側分岐部65を構成する配管を介して流出するのが阻止される。すなわち、三方弁63を閉状態とすることにより、湯水搬送流路60を介してサブタンク50に対して湯水が流出入できない状態とされる。
【0090】
上記したように三方弁17,63の開度調整がなされた状態で配管接続口16aに接続された給水源から湯水が供給されると、この湯水は第1底部側流路16からこれに接続された底部側接続流路21に流れ込んだ後、配管77および第2底部側流路53を介してサブタンク50に底部50b側から流入する。サブタンク50の底部50b側から湯水が流入すると、この湯水によってサブタンク50内に貯留されている高温の湯水が上方に押し上げられ、第2頂部側流路52を介して導出される。そして、この高温の湯水は、配管76およびタンク接続流路18を介して第1頂部側流路15に流れ込み、配管接続口15aに接続された配管を介してカラン等に供給される。
【0091】
(追焚運転)
追焚運転は、風呂往き流路28および風呂戻り流路29の末端に設けられた配管接続口28a,29aに配管接続された浴槽(図示せず)内に貯留されている湯水を加熱する運転である。追焚運転を実施する場合は、追焚一次側循環ポンプ26および追焚二次側循環ポンプ30が作動状態とされる。風呂一次側循環ポンプ26が作動すると、メインタンク10に貯留されている湯水がメインタンク10の頂部10a側から風呂用循環流路13に流出し、底部10b側に戻る循環流を形成する。風呂用循環流路13を流れる湯水は、中途に設けられた風呂用熱交換器27の一次側を通過する。
【0092】
一方、風呂二次側循環ポンプ30が作動すると、浴槽内の湯水が風呂戻り流路29を介して風呂用熱交換器27の二次側に供給される。風呂用熱交換器27の二次側に流入した湯水は、風呂用循環流路13を介して一次側に供給された高温の湯水との熱交換により加熱された後、風呂往き流路28を介して浴槽側に戻される。
【0093】
上記したように、本実施形態の貯留型熱源システム1は、基本ユニット2の第1頂部側流路15から分岐したタンク接続流路18や頂部側接続流路19に対して増設ユニット3の第2頂部側流路52や湯水搬送流路60を接続すると共に、基本ユニット2の第1底部側流路16から分岐した底部側接続流路21に増設ユニット3の第2底部側流路53を接続するだけで構築できる。すなわち、貯留型熱源システム1は、基本ユニット2と増設ユニット3との間を配管75〜77で配管接続するだけで構築でき、増設ユニット3を熱源5に対して直接的に配管接続する必要がない。そのため、貯留型熱源システム1は、増設ユニット3の増設に際して配管接続すべき箇所が少なく、増設ユニット3を容易に増設することができる。また、貯留型熱源システム1は、増設ユニット3の増設に際して必要となる配管数が少ないため、その分だけ湯水の移動に伴って放熱する箇所も少なく、熱エネルギーの放出量が少ない。
【0094】
本実施形態の貯留型熱源システム1は、湯水搬送流路60に設けられた三方弁63を調整して基本ユニット2の頂部側接続流路19と、増設ユニット3の湯水搬送流路60の本流部67とを導通した状態としてポンプ61を作動状態とすることにより、メインタンク10に加熱された状態で貯留されている湯水の一部又は全部をメインタンク10の頂部10a側から取り出してサブタンク50に頂部50a側から導入すると共に、サブタンク50に存在する低温の湯水の一部又は全部を底部50b側から取り出してメインタンク10の底部10b側に導入することができる。すなわち、貯留型熱源システム1は、メインタンク10とサブタンク50との間で湯水の置換を行うことにより、サブタンク50内に高温の湯水を貯留することができる。
【0095】
本実施形態の貯留型熱源システム1では、メインタンク貯留運転を実施してメインタンク10内にサブタンク50内に貯留するための高温の湯水が貯留すべき量以上に貯留された状態でサブタンク貯留運転が実施される。そのため、貯留型熱源システム1は、サブタンク貯湯運転の実施時にメインタンク10とサブタンク50との間で流れる湯水の流速や流量を、メインタンク貯留運転の際に加熱用循環流路11を循環する湯水の流速や流量よりも大きくすることができる。そのため、貯留型熱源システム1は、メインタンク10からサブタンク50への高温の湯水の移動に伴って放熱することによるエネルギーロスや、サブタンク50において高温の湯水が少量だけ存在することによるエネルギーロスが発生しにくい。
【0096】
なお、貯留型熱源システム1は、サブタンク貯湯運転時においてメインタンク10およびサブタンク50に貯留されている湯水の全量を一度に置換する場合は、メインタンク10とサブタンク50との間を流れる湯水の流速や流量が大きいほど上記したようなエネルギーロスを最小限に抑制できるが、メインタンク10やサブタンク50に貯留されている湯水の一部を置換する場合は、エネルギーロスの観点からすると、湯水の流速や流量をメインタンク10やサブタンク50内に貯留されている湯水が形成している温度成層を崩さない程度に抑制することが好ましい場合もある。すなわち、サブタンク貯湯運転の実施時における湯水の流速や流量が極端に大きく、高温の湯水と低温の湯水とが混合され、前記した温度成層が崩れてしまうと、給湯運転や暖房運転においてカランや熱交換器62に供給するには低温になってしまい、使用価値の低い湯水が大量に発生することとなる。そのため、このような事態が懸念される場合は、メインタンク10とサブタンク50との間を流れる湯水の流速や流量は、前記した温度成層を崩さない範囲内でなるべく大きくすることが望ましい。
【0097】
上記したように本実施形態の貯留型熱源システム1は、サブタンク貯留運転を実施する際にメインタンク10の頂部10a側から取り出した高温の湯水をサブタンク50の頂部50a側から導入することができる。また、サブタンク貯留運転を実施する場合は、サブタンク50内に存在する低温の湯水が底部50b側から取り出され、メインタンク10の底部10b側に導入される。そのため、本実施形態の貯留型熱源システム1は、メインタンク10とサブタンク50との間で湯水の置換を行っても、メインタンク10およびサブタンク50内に形成されている温度成層が崩れにくい。また、貯留型熱源システム1は、高温の湯水と低温の湯水とが混ざり合って各タンク10,50に貯留されている湯水の温度が給湯や暖房用の熱媒体の加熱に適さない温度になり使用価値の低い状態になる可能性も低い。従って、貯留型熱源システム1は、メインタンク10およびサブタンク50において温度成層が崩れることによりエネルギーロスが発生したり、各タンク10,50に貯留されている湯水が使用価値の低い状態になるといったような不具合が発生する可能性を最小限に抑制できる。
【0098】
本実施形態では、頂部側接続流路19が第1頂部側流路15の中途に接続されており、第1頂部側流路15の中途であって、頂部側接続流路19と第1頂部側流路15との接続部分Aと第1頂部側流路15とメインタンク10との接続部分Cとの間に三方弁17を介してタンク接続流路18が接続されている。すなわち、三方弁17が、前記接続部分Aと接続部分Cとの間に設けられており、これを用いてメインタンク10に対する湯水の流出入を阻止することができる構成とされている。さらに、本実施形態では、タンク接続流路18に対して第2頂部側流路52が配管接続されている。そのため、三方弁17のポート17cを閉止し、ポート17a,17bが連通した状態にすることにより、メインタンク10内の湯水だけでなく、サブタンク50内の湯水も給湯用に使用することができる。
【0099】
上記実施形態では、第2頂部側流路52をタンク接続流路18および配管76を介して第1頂部側流路15に対して接続した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2頂部側流路52の末端に配管接続口を設けるなどして第1頂部側流路15に接続しない構成としてもよい。かかる構成とした場合、第2頂部側流路52の末端にある配管接続口にカラン等を配管接続することにより、サブタンク50に貯留されている湯水をカラン等に供給(給湯)することが可能となる。
【0100】
本実施形態では、三方弁17によりメインタンク10に対する湯水の流出入と、サブタンク50に対する湯水の流出入の双方を制御可能な構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えばメインタンク10における湯水の流出入を制御するための弁と、サブタンク50における湯水の流出入を制御するための弁とを別々に設けた構成としてもよい。
【0101】
さらに具体的には、メインタンク10における湯水の流出入を制御するための弁は、例えば第1頂部側流路15とタンク接続流路18との接続部分D(三方弁17が設けられた位置)と第1頂部側流路15とメインタンク10との接続部分Cとの間や、第1底部側流路16の中途であって、前記した接続部分Bとメインタンク10の底部10bとの間に設けてもよい。また、サブタンク50における湯水の流出入を制御するための弁は、タンク接続流路18や第2頂部側流路52、配管76等の中途に設けられていてもよい。
【0102】
また同様に、増設ユニット3において本流部67と頂部側分岐部65および底部側分岐部66との分岐部に三方弁63を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、増設ユニット3は、三方弁63を設ける代わりに、頂部側分岐部65および底部側分岐部66の中途にそれぞれ開閉弁等を設けた構成としてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、増設ユニット3側に設けられたポンプ61を用いてサブタンク貯湯運転や、サブタンク50内に貯留されている湯水を使用するサブタンク給湯運転や暖房運転といった運転を実施することができる構成とされている。換言すれば、貯留型熱源システム1は、基本ユニット2のみで実施可能なメインタンク貯湯運転や、メインタンク給湯運転、追焚運転の際にポンプ61を使用する必要がない。本実施形態では、増設ユニット3側にポンプ61が設けられているため、基本ユニット2に対して増設ユニット3を増設することによってポンプ61も追加される構成とされている。従って、上記した構成によれば、増設ユニット3が接続されることを見込んで基本ユニット2にポンプ61を設ける必要がなく、その分だけ基本ユニット2の構成を簡略化することができる。
【0104】
上記実施形態では、ポンプ61を湯水搬送流路60の本流部67に設けているため、ポンプ61をサブタンク貯湯運転の際の湯水の圧送だけでなく、暖房運転の際の湯水の圧送にも併用することができ、その分だけ増設ユニット3の構成がシンプルである。なお、増設ユニット3は、ポンプ61を湯水搬送流路60の本流部67に設けた構成に限られるものではない。さらに具体的には、増設ユニット3は、ポンプ61を設ける代わりに、湯水搬送流路60の頂部側分岐部65および底部側分岐部66にポンプを設けた構成としてもよい。かかる構成とした場合は、本流部67にポンプ61を設ける場合に比べてポンプの台数が増加するが、上記した構成とした場合と同様にサブタンク貯湯運転や暖房運転を実施することができる。
【0105】
本実施形態の貯留型熱源システム1は、基本ユニット2と熱源5とが別々に設けられた構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、基本ユニット2内に組み込まれた構成であってもよい。また、上記実施形態では、熱源5としてヒートポンプユニットを採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、従来公知の燃料電池やガスエンジン等、適宜の熱源を採用することができる。
【0106】
上記実施形態では、メインタンク10の容量とサブタンク50の容量とが略同一であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、メインタンク10の容量とサブタンク50の容量とが異なるものであってもよい。
【0107】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態にかかる貯留型熱源システム80について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、貯留型熱源システム80は、上記第1実施形態の貯留型熱源システム1と大部分が同一の構成であるため、共通する部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0108】
貯留型熱源システム80は、上記した貯留型熱源システム1と同様に基本ユニット2と増設ユニット3とを配管接続して構成される点において構成が共通しているが、基本ユニット2および増設ユニット3内における配管構成が一部異なる。さらに具体的に説明すると、上記実施形態では、基本ユニット2においてメインタンク10の頂部10aに接続された第1頂部側流路15の中途に三方弁17を有し、これを介してタンク接続流路18が接続され、この末端に配管接続口18aが設けられた構成であった。しかし、本実施形態で採用されている基本ユニット2は、三方弁17やタンク接続流路18は設けられておらず、第1頂部側流路15の中途に頂部側接続流路19のみが接続された構成とされている。
【0109】
また、上記第1実施形態では、増設ユニット3においてサブタンク50の頂部50aに接続された第2頂部側流路52の末端に配管接続口52aを設けた構成であった。しかし、本実施形態で採用されている増設ユニット3では、第2頂部側流路52が三方弁81(流路調整手段)を介して湯水搬送流路60の本流部67の中途に接続されている。すなわち、三方弁81を構成する3つのポート81a〜81cのうち、ポート81a,81bには本流部67を構成する配管が接続されており、ポート81cには第2頂部側流路52が接続されている。
【0110】
本実施形態の貯留型熱源システム80は、頂部側接続流路19および湯水搬送流路60の末端に設けられた配管接続口19a,60a間を配管75で配管接続すると共に、底部側接続流路21および第2底部側流路53の末端に設けられた配管接続口21a,53a間を配管77で配管接続して構築されている。そのため、貯留型熱源システム80は、貯留型熱源システム1において採用されていた配管76の分だけ基本ユニット2と増設ユニット3とを配管接続するのに要する配管が少なくて済む。
【0111】
続いて、本実施形態の貯留型熱源システム80の動作について図面を参照しながら詳細に説明する。貯留型熱源システム80は、メインタンク貯湯運転や、サブタンク貯湯運転、サブタンク暖房運転、メインタンク暖房運転、給湯運転、追焚運転を実施することができる。以下、貯留型熱源システム80の動作を各運転方法毎に説明する。
【0112】
(メインタンク貯湯運転)
メインタンク貯湯運転は、上記した貯留型熱源システム1におけるメインタンク貯湯運転とほぼ同様にして実施される。すなわち、メインタンク貯湯運転を実施する場合は、増設ユニット3に設けられた三方弁81が閉止された状態とされ、この状態で熱源5と循環ポンプ12が作動状態とされる。これにより、図9に矢印やハッチングで示すように、メインタンク10内に貯留されている湯水が加熱用循環流路11の熱源往き流路11aを介して底部10b側から取り出される。底部10b側から取り出された湯水は、熱源5において加熱され、熱源戻り流路11bを介してメインタンク10に頂部10aから戻される。このようにしてメインタンク10内の湯水の加熱が開始された後、温度センサ14a〜14eにより、メインタンク10内に所定の温度以上の湯水が所定量だけ貯留されたことが確認されると、熱源5および循環ポンプ12が停止状態とされ、メインタンク貯湯運転が完了する。
【0113】
(サブタンク貯湯運転)
サブタンク貯湯運転は、上記したメインタンク貯湯運転においてメインタンク10に貯留された高温の湯水をサブタンク50に貯留されている低温の湯水と置換することにより、サブタンク50に高温の湯水を貯留する運転方法である。貯留型熱源システム80がサブタンク貯湯運転を実施する場合は、先ず三方弁81のポート81a,81bが開状態とされると共に、ポート81cが閉状態とされる。また、三方弁63のポート63a,63cが開状態とされると共に、ポート63bが閉状態とされる。すなわち、三方弁63を開度調整することにより、湯水搬送流路60の本流部67を流れる湯水を頂部側分岐部65を介してサブタンク50に頂部50a側から導入可能であり、底部50b側に流入できないように流路が切り替えられる。
【0114】
上記したようにして三方弁63,81の開度調整がなされると、ポンプ61が作動状態とされる。これにより、図10にハッチングや矢印で示すようにメインタンク10内に貯留されている高温の湯水が頂部10a側から第1頂部側流路15を介して取り出される。この後、メインタンク10から取り出された湯水は、頂部側接続流路19→配管75→湯水搬送流路60の本流部67→頂部側分岐部65の順で流れ、サブタンク50に頂部50a側から流入する。
【0115】
サブタンク50の頂部50a側から高温の湯水が流入すると、サブタンク50内に存在している低温の湯水が底部50b側から第2底部側流路53を介して流出する。そして、この低温の湯水は、配管77および底部側接続流路21を流れた後、メインタンク10に底部10b側から流入する。このようにしてメインタンク10内に貯留されている高温の湯水と、サブタンク50内に貯留されている低温の湯水との置換が進行するうちに、温度センサ14a〜14eによりメインタンク10内に存在する高温の湯水の残量が所定量を下回ること、あるいは、温度センサ51a〜51eによりサブタンク50内に所定量を上回る高温の湯水が存在することが確認されると、ポンプ61が停止状態とされ、サブタンク貯湯運転が完了する。
【0116】
上記のようにしてサブタンク貯湯運転が完了すると、サブタンク50内の低温の湯水との置換により取り出された分だけメインタンク10内に存在していた高温の湯水が減少する。そのため、サブタンク貯湯運転が完了した時点、あるいは、サブタンク貯湯運転を実施している最中にメインタンク貯湯運転が適宜実施され、メインタンク10内に後に実施される給湯運転や追焚運転において必要とされる量だけ高温の湯水がメインタンク10に補充される。なお、サブタンク貯湯運転とメインタンク貯湯運転を同時に実施する場合は、メインタンク貯湯運転に伴って加熱用循環流路11を循環する湯水の流量が、サブタンク貯湯運転に伴ってメインタンク10とサブタンク50との間で流れる湯水の流量よりも少量とされる。
【0117】
(サブタンク暖房運転)
サブタンク暖房運転は、上記したサブタンク貯湯運転によってサブタンク50に貯留された湯水を用い、熱交換器62と配管接続口70a,71aに配管接続された負荷端末との間で循環する熱媒体を加熱する運転である。サブタンク暖房運転が実施される場合は、先ず湯水搬送流路60に設けられた三方弁81のポート81b,81cが開状態とされる。これにより、増設ユニット3を構成する流路が基本ユニット2を構成する流路から独立した状態とされる。
【0118】
また、サブタンク暖房運転を実施する場合は、三方弁63のポート63a,63bが開状態とされ、ポート63cが閉状態とされる。すなわち、三方弁63を開度調整することにより、湯水搬送流路60の本流部67を流れる湯水を底部側分岐部66を介してサブタンク50に底部50b側から導入可能であり、頂部50a側に流入できないように流路が切り替えられる。
【0119】
三方弁63,81が上記したようにして開度調整されると、ポンプ61および暖房二次側循環ポンプ72が作動状態とされる。これにより、図11にハッチングや矢印で示すようにサブタンク50と熱交換器62の一次側との間で湯水が循環し、負荷端末と熱交換器62の二次側との間で熱媒体が循環する。すなわち、ポンプ61が作動すると、サブタンク50内に貯留されている高温の湯水が第2頂部側流路52を介して頂部50a側から取り出され、三方弁81を介して湯水搬送流路60の本流部67に流入する。本流部67を流れる高温の湯水は、熱交換器62の一次側を流れて放熱した後、三方弁63および底部側分岐部66を通過してサブタンク50に底部50b側から流入する。
【0120】
上記したように、ポンプ61を作動させ、熱交換器62との間で湯水を循環させると、サブタンク50の頂部50a側に存在する高温の湯水が順次熱交換器62の一次側に供給され、暖房戻り流路71を介して熱交換器62の二次側に供給される熱媒体が熱交換加熱される。熱交換器62において加熱された熱媒体は、暖房往き流路70を介して負荷端末に供給される。
【0121】
(メインタンク暖房運転)
メインタンク暖房運転は、メインタンク貯湯運転によってメインタンク10に貯留されている高温の湯水を熱交換器62の一次側に供給することにより、負荷端末から熱交換器62の二次側に供給される熱媒体を加熱する運転方法である。メインタンク暖房運転は、メインタンク10に給湯運転や追焚運転に備えて貯留されている湯水を負荷端末に供給する熱媒体の加熱に使用する運転方法である。そのため、貯留型熱源システム80では、サブタンク50に負荷端末に供給する熱媒体の加熱に適した温度の湯水が貯留されていなかったり、サブタンク50に貯留されている高温の湯水の量が熱媒体を加熱するには少ないにもかかわらず、負荷端末に供給する熱媒体を加熱せねばならない場合にメインタンク暖房を実施する構成とされている。
【0122】
メインタンク暖房運転が実施される場合についても、先ず三方弁63,81の開度調整がなされる。さらに具体的には、メインタンク暖房運転を実施する場合は、三方弁81のポート81a,81bが開状態とされると共に、ポート81cが閉状態とされる。これにより、基本ユニット2側から湯水搬送流路60の本流部67に流入する湯水が熱交換器62側に流入可能であり、サブタンク50内の湯水が頂部50aに接続された第2頂部側流路52を介して本流部67側に流出不可能な状態となる。
【0123】
三方弁63は、ポート63a,63bが開状態とされ、ポート63cが閉状態とされる。これにより、湯水搬送流路60の本流部67を流れ、熱交換器62において放熱して低温になった湯水がサブタンク50の頂部50a側に流入できない状態とされる。
【0124】
上記したように三方弁63,81の開度が調整されると、ポンプ61が作動状態とされる。これにより、図12に矢印やハッチングで示すようにメインタンク10の頂部10a側から取り出された湯水が熱交換器62の一次側を流れ、底部10b側に戻る循環流が形成される。さらに具体的には、ポンプ61が作動すると、メインタンク10に貯留されている高温の湯水が、第1頂部側流路15を介して取り出され、頂部側接続流路19→配管75→湯水搬送流路60の本流部67→底部側分岐部66の順で流れ、サブタンク50の底部50b側に流入する。この際、サブタンク50の底部50b側に流入する湯水は、本流部67を通過する際に熱交換器62において放熱し、低温になっているものと想定される。
【0125】
サブタンク50の底部50b側に湯水が流入すると、この流入した湯水や底部50b側に存在していた低温の湯水が底部50bに接続された第2底部側流路53を介してサブタンク50から取り出される。
【0126】
ここで、上記したように、メインタンク暖房運転は、サブタンク50内に高温の湯水が十分存在していない場合に実施される。また、貯留型熱源システム80では、サブタンク貯湯運転を実施する際にメインタンク10から取り出した高温の湯水をサブタンク50の頂部50a側から導入してサブタンク50内に貯留する構成とされている。そのため、仮に高温の湯水がサブタンク50内に多少残存していたとしても、この高温の湯水は頂部50a側に存在しており、底部50b側には殆ど存在していないものと想定される。そのため、メインタンク暖房運転を実施する場合にサブタンク50の底部50b側に存在している湯水は、メインタンク10から取り出され熱交換器62において放熱してサブタンク50の底部50b側に流入する湯水と同様に低温であり、サブタンク50から取り出されても熱的な損失が起こったり、サブタンク50内に形成されている温度成層が崩れるといったような不具合が起こらないものと想定される。
【0127】
上記したようにしてサブタンク50の底部50b側から取り出された低温の湯水は、配管77および底部側接続流路21を介してメインタンク10の底部10b側に戻される。
【0128】
一方、暖房二次側循環ポンプ72の作動に伴い、暖房戻り流路71を介して負荷端末側から熱交換器62の二次側に供給された熱媒体は、湯水搬送流路60を流れる高温の湯水との熱交換により加熱される。熱交換器62において加熱された熱媒体は、暖房往き流路70を介して負荷端末側に戻される。
【0129】
(給湯運転)
給湯運転は、上記した貯留型熱源システム1におけるメインタンク給湯運転と同様にして実施される。すなわち、給湯運転を実施する場合は、三方弁63,81が閉状態とされる。この状態で配管接続口15aに配管接続されたカラン等を開くと、図13に矢印やハッチングで示すように配管接続口16aに配管接続された外部の給水源から低温の湯水が供給され、メインタンク10に底部10b側から流入する。これに伴い、メインタンク10の頂部10a側に存在する高温の湯水が第1頂部側流路15を介して流出し、カラン等に供給される。
【0130】
(追焚運転)
追焚運転についても、上記した貯留型熱源装置1と同様に、メインタンク10に貯留されている湯水を利用して実施される。すなわち、追焚運転を実施する場合は、追焚一次側循環ポンプ26および追焚二次側循環ポンプ30が作動状態とされる。これにより、図14に矢印やハッチングで示すように、メインタンク10に貯留されている湯水がメインタンク10の頂部10a側から風呂用循環流路13に流出し、底部10b側に戻る循環流を形成すると共に、浴槽内の湯水が風呂往き流路28および風呂戻り流路29を介して循環する。これにより、浴槽内の湯水が、風呂用熱交換器27において風呂用循環流路13を流れる高温の湯水との熱交換により加熱される。
【0131】
上記したように、本実施形態の貯留型熱源システム80は、基本ユニット2と増設ユニット3との間を2本の配管75,77で配管接続するだけで構築でき、増設ユニット3を熱源5に対して直接的に配管接続する必要がない。また、貯留型熱源システム80は、上記した貯留型熱源システム1よりも増設ユニット3の増設に際して配管接続すべき箇所がさらに少なく、その分だけ増設ユニット3をさらに容易に増設することができる。さらに、貯留型熱源システム80は、増設ユニット3の増設に際して必要となる配管数が2本だけであるため、湯水の移動に伴って放熱する箇所も少なく、熱エネルギーの放出量が少ない。
【0132】
本実施形態の貯留型熱源システム80についても、上記した貯留型熱源システム1と同様に三方弁63を調整してメインタンク10およびサブタンク50の頂部10a,50a間および底部10b,50b間が連通した状態とすることができ、この状態でポンプ61を作動させることによりメインタンク10とサブタンク50との間で湯水の置換(サブタンク貯湯運転)を行うことができる。
【0133】
また、本実施形態の貯留型熱源システム80は、メインタンク10内にサブタンク50に貯留したい温度に加熱された湯水が、サブタンク50に貯留したい量以上に確保された状態でサブタンク貯湯運転を実施する構成とされている。そのため、サブタンク50内に大量の低温の湯水と少量の高温の湯水とが混在する可能性が低く、その分だけサブタンク貯湯運転時のエネルギーロスが少ない。
【0134】
さらに、貯留型熱源システム80は、貯留型熱源システム1と同様に、サブタンク貯湯運転を実施する場合にメインタンク10およびサブタンク50間を流れる湯水の流速や流量が、メインタンク貯湯運転を実施する場合に加熱用循環流路11を流れる湯水の流速や流量よりも大きい。そのため、本実施形態の貯留型熱源システム80は、サブタンク50内に大量の低温の湯水と少量の高温の湯水とが混在することによるエネルギーロスや、メインタンク10およびサブタンク50間を湯水が流れる際の放熱によるエネルギーロスを最小限に抑制することができる。
【0135】
なお、貯留型熱源システム80において、サブタンク貯湯運転時にメインタンク10とサブタンク50との間を流れる湯水の流速や流量は、エネルギーロスの観点から、各タンク10,50に形成される温度成層が崩れない範囲内で大きくとることが望ましい。
【0136】
貯留型熱源システム80は、サブタンク貯留運転を実施する際にメインタンク10の頂部10a側から取り出した高温の湯水をサブタンク50に頂部50a側から導入し、サブタンク50の底部50b側に存在する低温の湯水を底部50b側から取り出し、メインタンク10に底部10b側から導入する構成とされている。そのため、貯留型熱源システム80は、サブタンク貯留運転を実施する際に、メインタンク10およびサブタンク50内に温度成層が形成あるいは維持される。従って、本実施形態の貯留型熱源システム80は、高温の湯水と低温の湯水とが混ざり合うことによるエネルギーロスが起こったり、使用価値の低い中途半端な温度の湯水が大量に発生する可能性が極めて低い。
【0137】
本実施形態では、第2頂部側流路52が三方弁81を介して湯水搬送流路60の本流部67に接続されており、ポンプ61が本流部67に設けられている。そのため、貯留型熱源システム80は、サブタンク暖房運転を実施する際に、三方弁81をポート81b,81c間が導通するように開度調整すれば、増設ユニット3内で湯水を循環させ、サブタンク50に貯留されている湯水を熱交換器62の一次側に供給することができる。すなわち、本実施形態では、上記した貯留型熱源システム1においてサブタンク暖房運転を実施する場合のように、サブタンク50に貯留されている湯水が一旦増設ユニット3から取り出されたり、基本ユニット2と増設ユニット3を繋ぐ配管75,76や基本ユニット2内を経由することなく熱交換器62に供給される。従って、本実施形態の貯留型熱源システム80は、サブタンク暖房運転の実施時にサブタンク50から熱交換器62に至る経路の長さが短く、その分だけエネルギーロスが少ない。
【0138】
本実施形態では、湯水搬送流路60の本流部67に熱交換器62が設けられている。すなわち、サブタンク50の頂部50a側から湯水を取り出した場合であっても、メインタンク10の頂部10a側から湯水を取り出した場合であってもタンク10,50から取り出された湯水が通過する位置に熱交換器62が設けられている。そのため、本実施形態の貯留型熱源システム80は、サブタンク50から取り出した湯水を熱交換器62に供給するサブタンク暖房運転と、メインタンク10から取り出した湯水を熱交換器62に供給するメインタンク暖房運転の双方を実施することができる。
【0139】
本実施形態では、上記したような観点から湯水搬送流路60の本流部67に熱交換器62を配した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば湯水搬送流路60の頂部側分岐部65や底部側分岐部66に熱交換器62を配した構成としてもよい。頂部側分岐部65に熱交換器62を配した場合は、サブタンク暖房運転が実施できなくなるが、いずれの構成としても熱交換器62に熱エネルギーを供給することができる。
【0140】
本実施形態では、三方弁81によりサブタンク50からの湯水の流出の制御と、湯水搬送流路60の本流部67における湯水の流れの制御を実施可能な構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、増設ユニット3は、第2頂部側流路52および湯水搬送流路60の本流部67のそれぞれに開閉弁等を設けた構成としてもよい。また同様に、増設ユニット3は、本流部60と頂部側分岐部65および底部側分岐部66との分岐部に三方弁63を設ける代わりに、頂部側分岐部65および底部側分岐部66の中途にそれぞれ開閉弁等を設けた構成としてもよい。
【0141】
貯留型熱源システム80は、増設ユニット3側に設けられたポンプ61を用いてサブタンク貯湯運転や、メインタンク暖房運転、サブタンク暖房運転を実施することができる。すなわち、貯留型熱源システム80では、増設ユニット3側にポンプ61が設けられているため、増設ユニット3を基本ユニット2に対して増設することによりポンプ61も追加される構成とされている。従って、上記した構成によれば、増設ユニット3が接続されることを見込んで基本ユニット2にポンプ61を設ける必要がなく、その分だけ基本ユニット2の構成を簡略化することができる。
【0142】
本実施形態では、基本ユニット2の第1頂部側流路15や第1底部側流路16にメインタンク10に対する湯水の流出入を阻止可能な弁が設けられておらず、上記実施形態の貯留型熱源システム1のようにサブタンク50内の湯水を給湯に使用しない構成とされている。そのため、貯留型熱源システム80では、サブタンク50内の湯水を暖房運転専用に使用することができる。従って、貯留型熱源システム80は、暖房運転に使用するための湯水を十分確保することができる。
【0143】
なお、本実施形態の貯留型熱源システム80についても、第1頂部側流路15や第1底部側流路16にメインタンク10に対する湯水の流出入を阻止可能な弁を設けた構成とすれば、サブタンク50内の湯水を給湯用に供給可能な構成とすることも可能である。すなわち、第1頂部側流路15の接続部分A,C間や、第1底部側流路16の接続部分Bとサブタンク50の底部50bとの間に弁を設けた構成とすれば、この弁を閉じた状態で外部の給水源から低温の湯水を供給することにより、サブタンク50に底部50b側から低温の湯水を導入し、頂部50a側に存在する湯水をサブタンク50から取り出すことができる。かかる構成によれば、貯留型熱源システム80についても、サブタンク給湯運転を実施することができる。
【0144】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態にかかる貯留型熱源システム100について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、貯留型熱源システム100は、上記第1,2実施形態の貯留型熱源システム1,80と大部分が同一の構成であるため、共通する部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0145】
貯留型熱源装置100は、上記した貯留型熱源システム1,80を組み合わせたような流路構成を有する。さらに具体的には、本実施形態の貯留型熱源システム100で採用されている基本ユニット2は、上記第1実施形態の貯留型熱源システム1で採用されていたものと同一の流路構成を有する。すなわち、基本ユニット2を構成するメインタンク10の頂部10aに接続された第1頂部側流路15は、その中途においてタンク接続流路18と頂部側接続流路19とに分岐されている。第1頂部側流路15の中途であって、タンク接続流路18との分岐部には、三方弁17が配されている。また、頂部側接続流路19は、三方弁17よりもメインタンク10の頂部10aから流出する湯水の流れ方向下流側の位置に接続されている。
【0146】
貯留型熱源装置100において採用されている増設ユニット3についても、上記第1,2実施形態の貯留型熱源システム1,80で採用されているものを組み合わせたような流路構成とされている。さらに具体的には、貯留型熱源装置100において採用されている増設ユニット3は、貯留型熱源システム80で採用されていたものと同様に、湯水搬送流路60の本流部67に三方弁81を有する。
【0147】
また、貯留型熱源装置100において採用されている増設ユニット3は、貯留型熱源システム1で採用されていたものと同様に、サブタンク50の頂部50aに第2頂部側流路52が接続されており、その末端部分に配管接続口52aを有する。本実施形態では、第2頂部側流路52が中途で分岐されており、その分岐部分の流路(以下、第2頂部側分岐流路52bと称す)が三方弁81のポート81cに接続されている。すなわち、サブタンク50の頂部50a側と湯水搬送流路60の本流部67とが三方弁81を介して配管接続されており、この点を除いて貯留型熱源装置100において採用されている増設ユニット3は、貯留型熱源システム1で採用されているものとほぼ同一の構成とされている。
【0148】
続いて、本実施形態の貯留型熱源システム100の動作について図面を参照しながら詳細に説明する。上記第1実施形態の貯留型熱源システム1は、第2実施形態の貯留型熱源システム80のようにメインタンク10内の湯水を用いて負荷端末に供給する熱媒体を加熱するメインタンク暖房運転を実施できない構成であった。また、貯留型熱源システム80は、貯留型熱源システム1のようにサブタンク50内の湯水を給湯用に供給するサブタンク給湯運転を実施できない構成であった。しかし、本実施形態の貯留型熱源システム100は、これらの動作の双方を実施できる構成とされている。すなわち、貯留型熱源システム100は、貯留型熱源システム1,80の双方において実施可能なメインタンク貯湯運転や、サブタンク貯湯運転、追焚運転といった運転方法に加えて、メインタンク暖房運転やサブタンク暖房運転、メインタンク給湯運転、サブタンク給湯運転を実施することができる。以下、各運転方法で運転する場合における貯留型熱源システム100の動作について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0149】
(メインタンク貯湯運転)
貯留型熱源システム100におけるメインタンク貯湯運転は、上記した貯留型熱源装置1,80と同様にして実施される。すなわち、メインタンク貯湯運転は、三方弁17,63,81が閉止された状態で熱源5および循環ポンプ12を作動させることにより実施される。循環ポンプ12を作動させると、図16に矢印やハッチングで示すように、メインタンク10内の湯水が底部10b側から取り出され、熱源5で加熱された後、頂部10a側に戻される。温度センサ14a〜14eによりメインタンク10内に所定温度まで加熱された湯水が所定量貯留されたことが確認されると、熱源5および循環ポンプ12が停止し、メインタンク貯湯運転が完了する。
【0150】
(サブタンク貯湯運転)
貯留型熱源システム100におけるサブタンク貯湯運転は、上記した貯留型熱源装置80と同様にして実施される。すなわち、サブタンク貯湯運転を実施する場合は、三方弁81のポート81a,81bが開状態、ポート81cが閉状態とされると共に、三方弁63a,63cが開状態、ポート63bが閉状態とされる。そして、その後にポンプ61が作動状態とされる。これにより、図17に矢印やハッチングで示すようにメインタンク10に貯留されている高温の湯水が頂部10a側から第1頂部側流路15を介して取り出され、頂部側接続流路19→配管75→湯水搬送流路60の本流部67→頂部側分岐部65の順で流れた後、サブタンク50の頂部50a側に流入する。これに伴い、サブタンク50内に存在する低温の湯水は、第2底部側流路53を介して底部50b側から取り出され、配管77および底部側接続流路21を流れた後、メインタンク10の底部10b側に流入する。
【0151】
このようにしてメインタンク10とサブタンク50との間で湯水の置換が進行していくうちに、温度センサ14a〜14eによりメインタンク10における高温の湯水の残量が所定量以下になったこと、あるいは温度センサ51a〜51eによりサブタンク50内に高温の湯水が所定量以上貯留されていることが確認されると、サブタンク貯湯運転が完了する。
【0152】
(サブタンク暖房運転)
サブタンク暖房運転は、上記第2実施形態の貯留型熱源システム80と同様にして実施される。すなわち、サブタンク暖房運転を実施する場合は、三方弁17のポート17aが閉状態とされる。また、三方弁63は、ポート63a,63bが開状態とされ、ポート63cが閉止される。さらに、三方弁81は、ポート81aが閉止され、ポート81b,81cが開状態とされる。
【0153】
上記したように三方弁17,63,81の開度調整がなされた後、ポンプ61および暖房二次側循環ポンプ72が作動状態とされる。これにより、サブタンク50に貯留されている湯水が第2頂部側流路52を介して頂部50a側から取り出され、第2頂部側分岐流路52b→湯水搬送流路60の本流部67→底部側分岐部66の順で流れた後、サブタンク50の底部50b側に戻る。一方、暖房二次側循環ポンプ72の作動に伴って熱交換器62の二次側を流れる熱媒体は、本流部67の中途に設けられた熱交換器62において熱交換加熱され、負荷端末に供給される。
【0154】
(メインタンク暖房運転)
メインタンク暖房運転についても、上記第2実施形態の貯留型熱源システム80と同様にして実施される。すなわち、メインタンク暖房運転を実施する場合は、三方弁17のポート17aが閉状態とされる。また、三方弁63は、ポート63a,63bが開状態とされ、ポート63cが閉止される。さらに、三方弁81は、ポート81a,81bが開状態とされ、ポート81cが閉状態とされる。
【0155】
上記したように三方弁17,63,81の開度調整がなされた後、ポンプ61および暖房二次側循環ポンプ72が作動状態とされる。これにより、メインタンク10に貯留されている湯水が第1頂部側流路15を介して頂部10a側から取り出される。メインタンク10から取り出された高温の湯水は、頂部側接続流路19→配管75→湯水搬送流路60の本流部67→底部側分岐部66の順で流れた後、サブタンク50の底部50b側に流入する。そして、サブタンク50の底部50b側に流入した湯水や、サブタンク50の底部50b側に存在していた低温の湯水は、第2底部側流路53を介して取り出され、配管77および底部側接続流路21を流れてメインタンク10の底部10b側に戻る。一方、暖房二次側循環ポンプ72の作動に伴って熱交換器62の二次側を流れる熱媒体は、本流部67の中途に設けられた熱交換器62において熱交換加熱され、負荷端末に供給される。
【0156】
(メインタンク給湯運転)
メインタンク給湯運転は、上記第1,2実施形態の貯留型熱源システム1,80と同様にして実施される。すなわち、メインタンク給湯運転を実施する場合は、三方弁17のポート17aが閉状態とされると共に、ポート17b,17cが開状態とされ、メインタンク10内の湯水を第1頂部側流路15を介してメインタンク10から導出可能な状態とされる。また、三方弁81が閉状態とされる。この状態で配管接続口15aに配管接続されたカラン等が開栓されると、配管接続口16aに配管接続された外部の給水源からメインタンク10の底部10b側に低温の湯水が導入される。これに伴い、メインタンク10の頂部10a側に貯留されている高温の湯水がメインタンク10から押し出され、カラン等に供給される。
【0157】
(サブタンク給湯運転)
サブタンク給湯運転は、第1実施形態の貯留型熱源システム1において実施されたのとほぼ同様にして実施される。すなわち、サブタンク給湯運転を実施する場合は、三方弁81のポート81b,81cが開状態、ポート81aが閉状態とされると共に、三方弁17のポート17a,17bが開状態、ポート17cが閉状態とされる。この状態において配管接続口15aに配管接続されたカラン等が開栓されると、配管接続口16aに配管接続された外部の給水源からサブタンク50の底部50b側に低温の湯水が導入される。これに伴い、サブタンク50の頂部50a側に貯留されている高温の湯水がサブタンク50から押し出される。サブタンク50から押し出された湯水は、第2頂部側流路52→配管76→タンク接続流路18→第1頂部側流路15の順で流れ、カラン等に供給される。
【0158】
(追焚運転)
追焚運転についても、上記した貯留型熱源装置1と同様にして実施される。さらに具体的には、貯留型熱源装置100が追焚運転を実施する場合は、追焚一次側循環ポンプ26および追焚二次側循環ポンプ30が作動状態とされ、図22に矢印やハッチングで示すように、メインタンク10に貯留されている湯水が風呂用循環流路13を循環すると共に、浴槽内の湯水が風呂往き流路28および風呂戻り流路29を介して循環する。これにより、浴槽内の湯水が、風呂用熱交換器27において風呂用循環流路13を流れる高温の湯水との熱交換により加熱される。
【0159】
上記したように、本実施形態の貯留型熱源システム100は、上記第1実施形態の貯留型熱源システム1と同様に、基本ユニット2のタンク接続流路18や頂部側接続流路19と、増設ユニット3の第2頂部側流路52や湯水搬送流路60とを配管75,76で配管接続すると共に、基本ユニット2の底部側接続流路21と増設ユニット3の第2底部側流路53とを配管77で接続するだけで構築できる。また、貯留型熱源システム100は、基本ユニット2に対して増設ユニット3を増設する際に、増設ユニット3を熱源5に対して直接的に配管接続する必要がない。そのため、貯留型熱源システム100は、増設ユニット3の増設に際して配管接続すべき箇所が少なく、増設ユニット3を容易に増設することができる。また、貯留型熱源システム100は、増設ユニット3の増設に際して必要となる配管数が少ないため、その分だけ湯水の移動に伴って放熱し得る部位も少なく、熱エネルギーの放出量が少ない。
【0160】
本実施形態の貯留型熱源システム100は、上記した貯留型熱源システム1,80を組み合わせた構成であるため、基本ユニット2に対して増設ユニット3を配管接続することにより、基本ユニット2単独で実施可能な運転方法に加えて、サブタンク貯湯運転を実施したり、サブタンク50に貯留されている湯水を用いてサブタンク暖房運転、サブタンク給湯運転を実施することができる。また、貯留型熱源システム100は、メインタンク10に貯留されている湯水を用いてメインタンク暖房運転も実施することができる。そのため、本実施形態の貯留型熱源システム100は、メインタンク10およびサブタンク50に貯留されている湯水が持つ熱エネルギーを無駄にすることなく、様々な用途に活用することができる。
【0161】
本実施形態の貯留型熱源システム100は、貯留型熱源システム1,80と同様に三方弁17,63,81を設け、湯水の流れを制御する構成であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記第1,2実施形態において説明したように三方弁17,63,81に代えて開閉弁等を設け、これらによって湯水の流れを制御する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる基本ユニット、増設ユニット、並びに、貯留型熱源システムを示す作動原理図である。
【図2】図1に示す貯留型熱源システムがメインタンク貯湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図3】図1に示す貯留型熱源システムがサブタンク貯湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図4】図1に示す貯留型熱源システムが暖房運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図5】図1に示す貯留型熱源システムがメインタンク給湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図6】図1に示す貯留型熱源システムがサブタンク給湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図7】図1に示す貯留型熱源システムが追焚運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる基本ユニット、増設ユニット、並びに、貯留型熱源システムを示す作動原理図である。
【図9】図8に示す貯留型熱源システムがメインタンク貯湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図10】図8に示す貯留型熱源システムがサブタンク貯湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図11】図8に示す貯留型熱源システムがサブタンク暖房運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図12】図8に示す貯留型熱源システムがメインタンク暖房運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図13】図8に示す貯留型熱源システムが給湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図14】図8に示す貯留型熱源システムが追焚運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図15】本発明の第3実施形態にかかる基本ユニット、増設ユニット、並びに、貯留型熱源システムを示す作動原理図である。
【図16】図15に示す貯留型熱源システムがメインタンク貯湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図17】図15に示す貯留型熱源システムがサブタンク貯湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図18】図15に示す貯留型熱源システムがサブタンク暖房運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図19】図15に示す貯留型熱源システムがメインタンク暖房運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図20】図15に示す貯留型熱源システムがメインタンク給湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図21】図15に示す貯留型熱源システムがサブタンク給湯運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【図22】図15に示す貯留型熱源システムが追焚運転を実施する場合の湯水の流れを示す作動原理図である。
【符号の説明】
【0163】
1,80,100 貯留型熱源システム
2 基本ユニット(貯留型熱源装置)
3 増設ユニット(貯留型熱源装置)
5 熱源
10 メインタンク(第1貯留タンク)
10a,50a 頂部
10b,50b 底部
11 加熱用循環流路(第1液体流路)
15 第1頂部側流路
16 第1底部側流路
17 三方弁(弁)
18 タンク接続流路
19 頂部側接続流路
21 底部側接続流路
50 サブタンク(第2貯留タンク)
52 第2頂部側流路
52b 第2頂部側分岐流路
53 第2底部側流路
60 湯水搬送流路(第2液体流路)
61 ポンプ
62 熱交換器
63,81 三方弁(流路調整手段)
65 頂部側分岐部
66 底部側分岐部
67 本流部
75,76,77 配管
A,B,C,D 接続部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増設ユニット用の貯留型熱源装置に対して配管接続して貯留型熱源システムを構築可能な基本ユニット用の貯留型熱源装置であって、
熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1貯留タンクの底部側に繋がる底部側接続流路と、第1貯留タンクの頂部側に繋がる頂部側接続流路とを有する貯留型熱源装置であって、
液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路とを備え、当該第2液体流路が、本流部と、当該本流部から分岐され第2貯留タンクの頂部側に繋がる頂部側分岐部と、前記本流部から分岐され第2貯留タンクの底部側に繋がる底部側分岐部と、頂部側分岐部および底部側分岐部と本流部との導通状態を調整可能な流路調整手段とを有する増設ユニット用の貯留型熱源装置に対して配管接続可能なものであり、
頂部側接続流路に増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2液体流路の本流部を配管接続可能であり、
底部側接続流路に増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2底部側流路を配管接続可能であることを特徴とする貯留型熱源装置。
【請求項2】
底部側接続流路が、第1底部側流路に対して接続されており、
第1底部側流路から第1貯留タンクを経て第1頂部側流路に至る経路の中途であって頂部側接続流路と第1頂部側流路との接続部分A、又は、底部側接続流路と第1底部側流路との接続部分Bから前記接続部分Aに至る経路の中途に第1貯留タンクに対する液体の流入あるいは第1貯留タンク内に貯留されている液体の流出を阻止可能な弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯留型熱源装置。
【請求項3】
頂部側接続流路が第1頂部側流路の中途に接続されており、
第1頂部側流路の中途であって、頂部側接続流路と第1頂部側流路との接続部分Aと第1頂部側流路と第1貯留タンクとの接続部分Cとの間にタンク接続流路が接続されており、
当該タンク接続流路に、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2頂部側流路を配管接続可能であり、
前記第1頂部側流路とタンク接続流路との接続部分D、又は、底部側接続流路と第1底部側流路との接続部分Bから前記接続部分Dに至る経路の中途に第1貯留タンクに対する液体の流入あるいは第1貯留タンク内に貯留されている液体の流出を阻止可能な弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯留型熱源装置。
【請求項4】
第1頂部側流路とタンク接続流路との導通状態を切り替え可能な流路切替手段を有することを特徴とする請求項3に記載の貯留型熱源装置。
【請求項5】
基本ユニット用の貯留型熱源装置に対して配管接続して貯留型熱源システムを構築可能な増設ユニット用の貯留型熱源装置を構成するものであり、
液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路とを有し、
当該第2液体流路が、本流部と、当該本流部から分岐された頂部側分岐部と、前記本流部から分岐された底部側分岐部と、頂部側分岐部および底部側分岐部と本流部との導通状態を調整可能な流路調整手段と、第2液体流路を流れる液体と他の液体との間で熱エネルギーを授受可能な熱交換器とを備えたものであり、
頂部側分岐部が第2貯留タンクの頂部側に接続され、
底部側分岐部が第2貯留タンクの底部側に接続された貯留型熱源装置であって、
熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1貯留タンクの底部側に繋がる底部側接続流路と、第1貯留タンクの頂部側に繋がる頂部側接続流路とを有する基本ユニット用の貯留型熱源装置に対して配管接続可能なものであり、
基本ユニットを構成する貯留型熱源装置の頂部側接続流路に第2液体流路の本流部を接続可能であり、底部側接続流路に第2底部側流路を配管接続可能であることを特徴とする貯留型熱源装置。
【請求項6】
第2頂部側流路が、第2液体流路の本流部に直接的あるいは間接的に接続されており、
液体を圧送可能なポンプが、第2液体流路の本流部の中途に配されており、
熱交換器が、第2液体流路の本流部及び/又は底部側分岐部に配されていることを特徴とする請求項5に記載の貯留型熱源装置。
【請求項7】
液体を圧送可能なポンプが、第2液体流路の本流部に配されていることを特徴とする請求項5に記載の貯留型熱源装置。
【請求項8】
熱交換器が、第2液体流路の本流部に配されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の貯留型熱源装置。
【請求項9】
第1頂部側流路の中途に繋がるタンク接続流路を備えた基本ユニット用の貯留型熱源装置に配管接続されるものであり、
第2頂部側流路を前記タンク接続流路に配管接続可能であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の貯留型熱源装置。
【請求項10】
第2頂部側流路と第2液体流路とが接続されており、第2頂部側流路と第2液体流路との導通状態を調整可能な流路調整手段を有することを特徴とする請求項9に記載の貯留型熱源装置。
【請求項11】
基本ユニット用の貯留型熱源装置と増設ユニット用の貯留型熱源装置とを有し、両者を配管接続して構成される貯留型熱源システムであって、
前記基本ユニット用の貯留型熱源装置が、熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1貯留タンクの底部側に繋がる底部側接続流路と、第1貯留タンクの頂部側に繋がる頂部側接続流路とを有するものであり、
増設ユニット用の貯留型熱源装置が、請求項5〜10のいずれかに記載の貯留型熱源装置によって構成されており、
基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路に、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2液体流路の本流部が配管接続され、
基本ユニット用の貯留型熱源装置の底部側接続流路に、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2底部側流路が配管接続されていることを特徴とする貯留型熱源システム。
【請求項12】
基本ユニット用の貯留型熱源装置と増設ユニット用の貯留型熱源装置とを有し、両者を配管接続して構成される貯留型熱源システムであって、
前記基本ユニット用の貯留型熱源装置が、請求項1〜4のいずれかに記載の貯留型熱源装置によって構成されており、
増設ユニット用の貯留型熱源装置が、液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路とを有し、
当該第2液体流路が、本流部と、当該本流部から分岐された頂部側分岐部と、前記本流部から分岐された底部側分岐部と、頂部側分岐部および底部側分岐部と本流部との導通状態を調整可能な流路調整手段と、第2液体流路を流れる液体と他の液体との間で熱エネルギーを授受可能な熱交換器とを備えたものであり、
頂部側分岐部が第2貯留タンクの頂部側に接続され、
底部側分岐部が第2貯留タンクの底部側に接続されたものであり、
基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路に、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2液体流路の本流部が配管接続され、
基本ユニット用の貯留型熱源装置の底部側接続流路に、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2底部側流路が配管接続されていることを特徴とする貯留型熱源システム。
【請求項13】
基本ユニット用の貯留型熱源装置と、増設ユニット用の貯留型熱源装置とを有し、両者を配管接続して構成される貯留型熱源システムであって、
前記基本ユニット用の貯留型熱源装置が、熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1頂部側流路の中途に接続された頂部側接続流路と、第1頂部側流路の中途に流路切替手段を介して接続されたタンク接続流路と、第1底部側流路の中途に接続された底部側接続流路とを有し、
前記第1頂部側流路と頂部側接続流路との接続部分Aと、第1頂部側流路と第1貯留タンクとの接続部分Cとの間に前記流路切替手段が配されており、
第1底部側流路を介して第1貯留タンクに底部側から液体を導入することにより、第1貯留タンクの頂部側に貯留されている液体を第1頂部側流路を介して第1貯留タンクの外部に導出可能であり、
第1貯留タンクに貯留されている液体を第1液体流路を介して第1貯留タンクの底部側から導出して熱源において加熱し、熱源で加熱された液体を第1貯留タンクに頂部側から導入することにより第1貯留タンク内の液体を加熱可能なものであり、
前記増設ユニット用の貯留型熱源装置が、液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路とを有し、前記第2頂部側流路および第2底部側流路を介して第2貯留タンク内に対して液体を導出入させることが可能なものであり、
前記第2液体流路が、基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路に配管接続された本流部と、当該本流部から分岐され第2貯留タンクの頂部側に接続された頂部側分岐部と、前記本流部から分岐され第2貯留タンクの底部側に接続された底部側分岐部とを有し、中途に液体を圧送可能なポンプと、第2加熱系の外部にある熱負荷に供給する液体を第2液体流路を流れる液体との熱交換により加熱可能な熱交換器とを備え、本流部を流れる液体を頂部側分岐部あるいは底部側分岐部のいずれか一方に選択的に流通させることが可能なものであり、
前記基本ユニット用の貯留型熱源装置のタンク接続流路と、増設ユニット用の貯留型熱源装置の第2頂部側流路とが配管接続され、
前記基本ユニット用の貯留型熱源装置の底部側接続流路と、増設ユニット用の第2底部側流路とが配管接続されていることを特徴とする貯留型熱源システム。
【請求項14】
基本ユニット用の貯留型熱源装置と、増設ユニット用の貯留型熱源装置とを有し、両者を配管接続して構成される貯留型熱源システムであって、
前記基本ユニットを構成する貯留型熱源装置が、熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1貯留タンクの頂部側に接続された頂部側接続流路と、第1底部側流路の中途に接続された底部側接続流路とを有し、
第1底部側流路を介して第1貯留タンクに底部側から液体を導入することにより、第1貯留タンクの頂部側に貯留されている液体を第1頂部側流路を介して第1貯留タンクの外部に導出可能であり、
第1貯留タンクに貯留されている液体を第1液体流路を介して第1貯留タンクの底部側から導出して熱源において加熱し、熱源で加熱された液体を第1貯留タンクに頂部側から導入することにより第1貯留タンク内の液体を加熱可能なものであり、
前記増設ユニット用の貯留型熱源装置が、液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路とを有し、前記第2頂部側流路および第2底部側流路を介して第2貯留タンク内に対して液体を導出入させることが可能なものであり、
前記第2液体流路が、基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路に配管接続された本流部と、当該本流部から分岐され第2貯留タンクの頂部側に接続された頂部側分岐部と、前記本流部から分岐され第2貯留タンクの底部側に接続された底部側分岐部とを有し、中途に液体を圧送可能なポンプと、第2加熱系の外部にある熱負荷に供給する液体を第2液体流路を流れる液体との熱交換により加熱可能な熱交換器とを備え、本流部を流れる液体を頂部側分岐部あるいは底部側分岐部のいずれか一方に選択的に流通させることが可能なものであり、
前記第2頂部側流路が、第2液体流路、頂部側接続流路、あるいは、第2液体流路と頂部側接続流路とを繋ぐ配管の中途に接続され、
前記第2底部側流路が、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置の底部側接続流路に配管接続されていることを特徴とする貯留型熱源システム。
【請求項15】
基本ユニット用の貯留型熱源装置と、増設ユニット用の貯留型熱源装置とを有し、両者を配管接続して構成される貯留型熱源システムであって、
前記基本ユニット用の貯留型熱源装置が、熱源において発生した熱エネルギーによって加熱された液体を貯留可能な第1貯留タンクと、当該第1貯留タンクの頂部側に接続された第1頂部側流路と、第1貯留タンクの底部側に接続された第1底部側流路と、熱源と第1貯留タンクとの間で液体を循環させることが可能な第1液体流路と、第1頂部側流路の中途に接続された頂部側接続流路と、第1頂部側流路の中途に流路切替手段を介して接続されたタンク接続流路と、第1底部側流路の中途に接続された底部側接続流路とを有し、
前記第1頂部側流路と頂部側接続流路との接続部分Aと、第1頂部側流路と第1貯留タンクとの接続部分Cとの間に前記流路切替手段が配されており、
第1底部側流路を介して第1貯留タンクに底部側から液体を導入することにより、第1貯留タンクの頂部側に貯留されている液体を第1頂部側流路を介して第1貯留タンクの外部に導出可能であり、
第1貯留タンクに貯留されている液体を第1液体流路を介して第1貯留タンクの底部側から導出して熱源において加熱し、熱源で加熱された液体を第1貯留タンクに頂部側から導入することにより第1貯留タンク内の液体を加熱可能なものであり、
前記増設ユニット用の貯留型熱源装置が、液体を貯留可能な第2貯留タンクと、当該第2貯留タンクの頂部側に接続された第2頂部側流路と、第2貯留タンクの底部側に接続された第2底部側流路と、第2液体流路と、第2頂部側流路の中途に接続された頂部分岐流路とを有し、前記第2頂部側流路および第2底部側流路を介して第2貯留タンク内に対して液体を導出入させることが可能なものであり、
前記第2液体流路が、基本ユニット用の貯留型熱源装置の頂部側接続流路に配管接続された本流部と、当該本流部から分岐され第2貯留タンクの頂部側に接続された頂部側分岐部と、前記本流部から分岐され第2貯留タンクの底部側に接続された底部側分岐部とを有し、中途に液体を圧送可能なポンプと、第2加熱系の外部にある熱負荷に供給する液体を第2液体流路を流れる液体との熱交換により加熱可能な熱交換器とを備え、本流部を流れる液体を頂部側分岐部あるいは底部側分岐部のいずれか一方に選択的に流通させることが可能なものであり、
前記頂部分岐流路が、第2液体流路、頂部側接続流路、あるいは、第2液体流路と頂部側接続流路とを繋ぐ配管の中途に接続され、
前記第2頂部側流路が、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置のタンク接続流路に配管接続され、
前記第2底部側流路が、前記基本ユニット用の貯留型熱源装置の底部側接続流路に配管接続されていることを特徴とする貯留型熱源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−263496(P2007−263496A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90768(P2006−90768)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】