説明

貯留設備

【課題】大容量の貯留槽を有する場合であっても、バラ物が形成するブリッジを容易に崩壊させるとともにブリッジの形成を防止可能であり、安価な貯留設備の提供。
【解決手段】バラ物の貯留槽10を備える貯留設備1をであって、貯留槽10の床面14に形成された開口部16の列18A、18Bと、列18A、18Bに沿って設置されたベルト36A、36B、36Cと、ベルト36A、36B、36Cの巻き取りと繰り出しを行う巻取プーリ24A、24B、24Cと、床面14においてベルト36A、36B、36Cが架け回されて床面14から所定距離上方に設けられた支持プーリ30A、30B、30Cと、を備える貯留設備1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留槽内でバラ物が形成するブリッジを少なくする貯留設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ストックヤードや船舶等において、バラ物を貯留設備の貯留槽に搬入して貯留し、必要に応じて貯留槽から払い出している。
貯留槽内で、バラ物がブリッジを形成すると、払い出しが妨げられ、貯留槽の容積効率が低下する原因となる。特に、バラ物の含水率が高い場合、大きなブリッジが形成されやすく、容積効率の低下が著しい。
【0003】
この問題に対処するため、撹拌装置を備える貯留設備(第1の背景技術)が提唱されている(特許文献1参照)。この貯留設備の貯留槽内には、中段スクリューが撹拌装置として設置されている。中段スクリューが回転して、ブリッジが崩壊する。
また、側壁を変形可能に構成した貯留設備(第2の背景技術)が提唱されている(特許文献2参照)。この貯留設備では、貯留槽をなすホッパーの側壁に可撓性ライナーが内張りされており、駆動装置によって可撓性ライナーが周期的に動き、ホッパーの側壁が変形する。ホッパーの側壁が変形して、ブリッジが崩壊する。
【0004】
大容量の貯留槽を有する貯留設備用に、伸縮可能なプラウを備えるロータリープラウ装置を移動可能に設置した貯留設備(第3の背景技術)が提唱されている(特許文献3参照)。この貯留設備の貯留槽内では、ロータリープラウ装置が移動し、伸縮したプラウが回転して、ブリッジが崩壊する。
なお、以下の説明において、「小容量の貯留槽を有する貯留設備」のことを「小容量貯留設備」といい、「大容量の貯留槽を有する貯留設備」のことを「大容量貯留設備」という。
【特許文献1】特開平11−208810号公報
【特許文献2】特開2003−54684号公報
【特許文献3】特開平10−181887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1及び第2の背景技術に係る各貯留設備は、小容量貯留設備に主に適用される。しかし、第1及び第2の背景技術に係る各貯留設備を大容量貯留設備に適用することは、以下の問題があり困難である。
第1の背景技術に係る貯留設備を大容量貯留設備に適用する場合、撹拌装置を大型化する必要がある。撹拌装置が大型化すると、撹拌装置をなす中段スクリューの軸が長大となり、設備コストが高価になる。
【0006】
第2の背景技術に係る貯留設備を大容量貯留設備に適用する場合、側壁を変形させる駆動装置を大型化したり駆動装置の数を増やす必要がある。駆動装置を大型化等すると、必要なアクチュエータ等の数が増え、駆動装置の構成が複雑化し、作動不良や故障が発生しやすくなり、設備コストが高価になる。
また、第3の背景技術に係る貯留設備を適用した大容量貯留設備では、ロータリープラウ装置の移動範囲が広く、ロータリープラウ装置の移動路をカバーで覆う必要があり、カバーが大きなデッドスペースを形成する。このデッドスペースによって貯留設備の容積効率が低下するのみならず、カバー上にブリッジが形成される。
本発明は、上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、貯留槽の容量の大小を問わずに、貯留槽内でバラ物のブリッジを崩壊させることができ、設備コストが安価になる貯留設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項1の発明に係る貯留設備は、バラ物の貯留槽を備える貯留設備であって、貯留槽の床面に形成された開口部の列と、開口部の列に沿って設置されたベルトと、ベルトの巻き取りと繰り出しを行う巻取プーリと、貯留槽の前後端部で床面より所定距離上方に設けられて前記ベルトが架け回されている支持プーリと、を備える。
【0008】
ベルトを巻取プーリから繰り出すと貯留槽の床面にベルトが自重で接する。ベルトが床面に接した状態でバラ物を貯留槽に搬入して貯留する。バラ物を開口部から払い出すと、ベルト上にバラ物の堆積がブリッジとして残る。巻取プーリがベルトを巻き取ると、床面に接している部分のベルトが支持プーリを介して巻取プーリによって長手方向支持プーリ側に引っ張られる。支持プーリは床面から所定距離上方に設けられているので、まず、支持プーリ近傍で、床面に接しているベルトが部分的に引っ張られて床面から持ち上がる。ベルトが部分的に持ち上がると、持ち上がった部分のベルトが長手方向に傾斜し、長手方向に傾斜したベルト上のブリッジが崩壊する。さらに、巻取プーリがベルトを巻き取ると、床面に接していたベルトが支持プーリ側から次第に持ち上がり、ベルト上のブリッジが支持プーリ側から次第に崩壊する。
ベルト、巻取プーリ、支持プーリは安価であり、巻取プーリを回転させるモータも安価であるので、設備コストが安価となる。貯留槽の容量に応じて、ベルト、巻取プーリ、支持プーリ、モータの数を容易に増減できる。
【0009】
請求項2の発明に係る貯留設備は、請求項1記載の貯留設備であって、巻取プーリ及び支持プーリが、大径部と、大径部の端に形成された小径部と、を有する。
巻取プーリがベルトを巻き取る際、巻取プーリの大径部からベルトの長手方向に働く引張力は、巻取プーリの小径部からベルトの長手方向に働く引張力よりも大きい。
また、巻取プーリがベルトを巻き取ると、巻取プーリが支持プーリを介して貯留槽の床面に接している部分のベルトを長手方向支持プーリ側に引っ張ることとなる。支持プーリの大径部を介して床面上のベルトの長手方向に働く引張力は、支持プーリの小径部を介して床面上のベルトの長手方向に働く引張力よりも大きい。
【0010】
したがって、巻取プーリがベルトを巻き取ると、床面上のベルトの幅方向の一部分が、大きな引張力で引っ張られて高く持ち上がり、ベルトが幅方向に傾斜し、ベルト上のブリッジが崩壊する。
ベルトが幅方向に傾斜するので、バラ物が傾斜方向下側に落下して開口部に入り、ベルトと床面との間にバラ物が入り込みにくい。
なお、巻取プーリ及び支持プーリを円筒プーリとし、円筒プーリの端部にテーパを形成し、テーパ部分を小径部とすることができる。また、巻取プーリ及び支持プーリを大径のプーリと小径のプーリとから形成してもよい。
【0011】
請求項3の発明に係る貯留設備は、請求項1又は請求項2に記載の貯留設備であって、巻取プーリ及び支持プーリの長さがベルトの幅よりも短い。
巻取プーリの長さがベルトの幅よりも短いので、巻取プーリが巻き取る部分のベルトの幅方向には、巻取プーリが接触する接触部分と巻取プーリが接触しない非接触部分とが存在する。巻取プーリがベルトを巻き取る際、ベルトの幅方向において、巻取プーリから接触部分のベルトの長手方向に働く引張力が、巻取プーリから非接触部分のベルトの長手方向に働く引張力よりも大きい。
【0012】
また、支持プーリの長さがベルトの幅よりも短いので、支持プーリに架け回されている部分のベルトの幅方向には、支持プーリが接触する接触部分と支持プーリが接触しない非接触部分とが存在する。巻取プーリがベルトを巻き取り、支持プーリを介して貯留槽の床面に接している部分のベルトを長手方向支持プーリ側に引っ張る際、支持プーリとの接触部分からベルトの長手方向に働く引張力は、支持プーリとの非接触部分からベルトの長手方向に働く引張力よりも大きい。
【0013】
巻取プーリがベルトを巻き取ると、床面上のベルトの幅方向の一部分が、大きな引張力で引っ張られて高く持ち上がり、ベルトが幅方向に傾斜し、ベルト上のブリッジが崩壊する。
ベルトが幅方向に傾斜するので、バラ物が傾斜方向下側に落下して開口部に入り、ベルトと床面との間にバラ物が入り込みにくい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る貯留設備は上記のような構成を有するので、貯留槽の容量の大小を問わずに、貯留槽内でバラ物のブリッジを崩壊させることができ、設備コストが安価になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を図1〜図11を参照しつつ説明する。
図1〜図3に示す貯留設備1は、貯留槽10と払い出しピット20A、20Bを有する。
貯留槽10は長手方向左右の側壁12A、12B、長手方向前後の側壁12C、12D及び床面14を有し、上部がバラ物Mを搬入可能に開放している。床面14には開口部16の列18A、18Bがそれぞれ長手方向に形成されている。床面14上には、図6に示すベルト36A、36B、36Cが長手方向に敷設されており、側壁12A側からベルト36A、開口部16の列18A、ベルト36B、開口部16の列18B、ベルト36Cが順番に並んでいる。
【0016】
払い出しピット20Aが開口部16の列18Aの直下に形成されており、払い出しピット20Bが開口部16の列18Bの直下に形成されている。払い出しピット20A、20Bにはそれぞれベルトコンベヤ22が設置されている。
側壁12Cの上部に、巻取プーリ24A、24B、24Cが設けられている。巻取プーリ24Aが側壁12A側に位置し、巻取プーリ24Bが側壁12B側に位置し、巻取プーリ24Cが中央に位置している。同様に、側壁12Dの上部にも、巻取プーリ24A、24B、24Cが設けられている。各巻取プーリ24A、24B、24Cは駆動装置(図示せず)に接続されて回転可能に構成されており、図6に示すベルト36A、36B、36Cの各長手方向端部分42がそれぞれ巻取プーリ24A、24B、24Cに接続されている。
【0017】
図4に示すように、巻取プーリ24Aは円筒プーリであり、円筒部分と円筒部分の一方の端部分に形成されたテーパとを有し、円筒部分が大径部26をなし、テーパ部分が小径部28をなす。巻取プーリ24Bは巻取プーリ24Aと同じ形状を有し、大径部26と小径部28を有する。巻取プーリ24Cは両端部分にテーパを有する円筒プーリであり、中央の円筒部分が大径部26をなし、テーパ部分が小径部28をなす。巻取プーリ24A、24Bの各小径部28が、それぞれ巻取プーリ24C側に位置している。巻取プーリ24A、24B、24Cの各長さは、ベルト36A、36B、36Cの各長手方向端部分42の幅に対応した長さである。
床面14の側壁12C側端部に、支持プーリ30A、30B、30Cが設けられている。支持プーリ30Aが側壁12A側に位置し、支持プーリ30Bが側壁12B側に位置し、支持プーリ30Cが中央に位置している。同様に、床面14の側壁12D側端部に、支持プーリ30A、30B、30Cが設けられている。
【0018】
図5に示すように、支持プーリ30Aは円筒プーリであり、円筒部分と円筒部分の一方の端部分に形成されたテーパとを有し、円筒部分が大径部32をなし、テーパ部分が小径部34をなす。巻取プーリ24Bは巻取プーリ24Aと同じ形状を有し、大径部32と小径部34を有する。巻取プーリ24Cは両端部分にテーパを有する円筒プーリであり、中央の円筒部分が大径部32をなし、テーパ部分が小径部34をなす。支持プーリ30A、30Bの各テーパ部34は、それぞれ支持プーリ30C側に位置している。支持プーリ30A、30B、30Cの各長さは、ベルト36A、36B、36Cの各長手方向中央部分44の幅に対応した長さである。各支持プーリ30A、30B、30Cの大径部32は床面14から距離Hだけ上方に位置している(図2及び図3を参照)。
【0019】
図1、図2、図3及び図6に示すように、ベルト36Aの長手方向端部分42が巻取プーリ24Aに接続されており、長手方向中央部分44が支持プーリ30A同士の間に架け渡されている。ベルト36Aはベルト本体38と張出部40とを有する。ベルト本体38がベルト36Aの長手方向全体に亘って連続している。ベルト36Aの長手方向中央部分44において、張出部40がベルト本体38の片側(開口部16の列18A側)から幅方向に張り出している。
【0020】
ベルト36Aの長手方向中央部分44の幅方向において、張出部40側の縁が開口部16の列18Aに隣接しており、反対側の縁が側壁12Aに隣接している。
ベルト36Bはベルト36Aと左右対称の形状を有し(図3及び図6を参照)、ベルト36Aと同様、長手方向端部分42が巻取プーリ24Bに接続され、長手方向中央部分44が支持プーリ30B同士の間に架け渡されている。ベルト36Bの長手方向中央部分44の幅方向において、張出部40側の縁が開口部16の列18Bに隣接しており、反対側の縁が側壁12Bに隣接している。
【0021】
ベルト36Cは、長手方向端部分42が巻取プーリ24Cに接続され、長手方向中央部分44が支持プーリ30C同士の間に架け渡されている。ベルト36Cはベルト本体38と張出部40とを有する。ベルト本体38がベルト36Cの長手方向全体に亘って連続している。ベルト36Cの長手方向中央部分44において、張出部40がベルト本体38から幅方向両側にそれぞれ張り出している。ベルト36Cの長手方向中央部分44の幅方向において、一方の張出部40の縁が開口部16の列18Aに隣接しており、他方の張出部40の縁が開口部16の列18Bに隣接している。
【0022】
次に、作用について説明する。
まず、貯留槽10が空となった状態で、巻取プーリ24A、24B、24Cからそれぞれベルト36A、36B、36Cの各ベルト本体38を繰り出すと、ベルト36A、36B、36Cの各長手方向中央部分44が弛み、自重で床面14に接する(図2及び図3を参照)。
ベルト36A、36B、36Cの各長手方向中央部分44が床面14に接した状態で、バラ物Mを貯留槽10に搬入して貯留する。必要に応じてバラ物Mを貯留槽10から払い出す。バラ物Mは列18A、18Bの各開口部16に落下し、各開口部16から払い出しピット20A、20Bのベルトコンベヤ22に払い出される。
【0023】
バラ物Mを貯留槽10から払い出すと、バラ物Mの一部がベルト36A、36B、36C上に残されてブリッジBA、BB、BCとなり(図7〜図9を参照)、バラ物Mの払い出し量が減少する。
バラ物Mの払い出し量が減少してきたら、巻取プーリ24A、24B、24Cによってベルト36A、36B、36Cを少しずつ巻き取る。
【0024】
巻取プーリ24Aがベルト36Aの長手方向端部分42のベルト本体38を巻き取ると、引張力が巻取プーリ24Aから長手方向端部分42のベルト本体38の長手方向に働き、さらに、支持プーリ30Aを介して、床面14上のベルト36Aの長手方向中央部分44の長手方向に働く。支持プーリ30A近傍で床面14に接していたベルト36Aの長手方向中央部分44が床面14から持ち上がり、長手方向に傾斜する(図10及び図11を参照)。
【0025】
巻取プーリ24Aからベルト36Aの長手方向端部分42のベルト本体38の長手方向に働く引張力は、巻取プーリ24Aの大径部26から働く引張力と、巻取プーリ24Aの小径部28から働く引張力とからなる。巻取プーリ24Aの大径部26から働く引張力は、巻取プーリ24Aの小径部28から働く引張力よりも大きい。
巻取プーリ24Aから支持プーリ30Aを介してベルト36Aの長手方向中央部分44のベルト本体38の長手方向に働く引張力は、支持プーリ30Aの大径部32を介して働く引張力と、支持プーリ30Aの小径部34を介して働く引張力とからなる。支持プーリ30Aの大径部32を介して働く引張力は、支持プーリ30Aの小径部34を介して働く引張力よりも大きい。
【0026】
巻取プーリ24Aから長手方向中央部分44のベルト本体38の長手方向に働く引張力は、巻取プーリ24Aから長手方向中央部分44の張出部40の長手方向に働く引張力よりも大きい。したがって、床面14上のベルト36Aの長手方向中央部分44において、ベルト本体38が張出部40より大きな引張力で引っ張られる。
巻取プーリ24Aがベルト36Aを巻き取ると、支持プーリ30A近傍で、ベルト本体38が支持プーリ30A側に大きな引張力で引っ張られて高く持ち上がり、張出部40が少ししか持ち上がらず、幅方向において、ベルト36Aが開口部16の列18A側に傾斜する。床面14から持ち上がった部分のベルト36Aは、長手方向及び幅方向に傾斜し、ブリッジBAが崩壊し、崩壊したバラ物Mが列18Aの開口部16に落下し、開口部16から払い出しピット20Aのベルトコンベヤ22上に払い出される。
【0027】
さらに、巻取プーリ24Aによってベルト36Aを巻き取ると、床面14上のベルト36Aが支持プーリ30A側から次第に持ち上がり、ブリッジBAが支持プーリ30A側から次第に崩壊していく。
床面14から持ち上がった部分のベルト36Aでは、ベルト本体38が張出部40よりも高く持ち上がるので、崩壊したバラ物Mがベルト本体38側から張出部40側に落下し、ベルト36Aと床面14との間にバラ物Mが入り込みにくい。
【0028】
巻取プーリ24Aがベルト36Aを巻き取る場合と同様に、巻取プーリ24Bがベルト36Bを巻き取ると、ブリッジBBが支持プーリ30B側から次第に崩壊する。
巻取プーリ24Aがベルト36Aを巻き取る場合と同様に、巻取プーリ24Cがベルト36Cを巻き取ると、支持プーリ30C近傍でベルト36Cの長手方向中央部分44が床面14上から持ち上がり、長手方向に傾斜する。
【0029】
ベルト36Aと同様に、巻取プーリ24Cからベルト36Cの長手方向端部分42のベルト本体38の長手方向に働く引張力は、巻取プーリ24Cの大径部26から働く引張力と、巻取プーリ24Cの小径部28から働く引張力とからなる。巻取プーリ24Cの大径部26から働く引張力は、巻取プーリ24Cの小径部28から働く引張力よりも大きい。
【0030】
ベルト36Aと同様に、巻取プーリ24Cから支持プーリ30Cを介してベルト36Cの長手方向中央部分44のベルト本体38の長手方向に働く引張力は、支持プーリ30Cの大径部32を介して働く引張力と、支持プーリ30Cの小径部34を介して働く引張力とからなる。支持プーリ30Cの大径部32を介して働く引張力は、支持プーリ30Cの小径部34を介して働く引張力よりも大きい。
【0031】
ベルト36Aと同様に、巻取プーリ24Cから長手方向中央部分44のベルト本体38の長手方向に働く引張力は、巻取プーリ24Cから長手方向中央部分44の張出部40の長手方向に働く引張力よりも大きい。したがって、床面14上のベルト36Cの長手方向中央部分44において、ベルト本体38が両側の張出部40より大きな引張力で引っ張られる。
【0032】
巻取プーリ24Cがベルト36Cを巻き取ると、支持プーリ30C近傍で、ベルト本体38が支持プーリ30C側に大きな引張力で引っ張られて高く持ち上がり、両側の張出部40が少ししか持ち上がらず、幅方向において、ベルト36Aが山形に傾斜する。床面14から持ち上がった部分のベルト36Cは、長手方向及び幅方向に傾斜し、ブリッジBCが崩壊し、ブリッジBCのバラ物Mが列18A、18Bの各開口部16に落下し、開口部16から払い出しピット20A、20Bのベルトコンベヤ22上に払い出される。
【0033】
さらに、巻取プーリ24Cによってベルト36Cを巻き取ると、床面14上のベルト36Cが支持プーリ30C側から次第に持ち上がり、ブリッジBCが支持プーリ30C側から次第に崩壊していく。
床面14から持ち上がった部分のベルト36Cでは、幅方向において山形に傾斜するので、崩壊したバラ物Mがベルト本体38側から張出部40側に落下し、ベルト36Cと床面14との間にバラ物Mが入り込みにくい。
なお、本実施の形態では、ベルト36A、36B、36Cの各長手方向中央部分44において、張出部40がベルト本体38から張り出しているが、ベルト36A、36B、36Cの全長に亘って張出部40がベルト本体38から張り出す構成とすることも可能である。
【0034】
本実施の形態において、巻取プーリ24A、24B、24Cは端部分に小径部28を有するが、巻取プーリ24A、24B、24Cの端部分に小径部28を形成せず大径部26のみとし、巻取プーリ24A、24B、24Cの長さをベルト36A、36B、36Cの各長手方向端部分42の幅よりも短く構成することも可能である(図13を参照)。同様に、支持プーリ30A、30B、30Cの端部分に小径部34を形成せず大径部32のみとし、支持プーリ30A、30B、30Cの長さをベルト36A、36B、36Cの各長手方向中央部分44の幅よりも短く構成することも可能である(図14を参照)。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る貯留設備の上面図である。
【図2】図1のI−I線断面図である。
【図3】図1のII−II線断面図である。
【図4】巻取プーリの構成図である。
【図5】支持プーリの構成図である。
【図6】ベルトの構成図である。
【図7】バラ物が各ベルト上でブリッジを形成した状態における貯留設備の上面図である。
【図8】図7のIII−III線断面図である。
【図9】図7のIV−IV線断面図である。
【図10】各ベルト上でブリッジが一部崩壊した状態における貯留設備の上面図である。
【図11】図10のV−V線断面図である。
【図12】変形例に係る巻取プーリの構成図である。
【図13】変形例に係る支持プーリの構成図である。
【符号の説明】
【0036】
1 貯留設備
10 貯留槽
12A、12B、12C、12D 側壁
14 床面
16 開口部
18A、18B 開口部の列
20A、20B 払い出しピット
22 ベルトコンベヤ
24A、24B、24C 巻取プーリ
26 巻取プーリの大径部
28 巻取プーリの小径部
30A、30B、30C 支持プーリ
32 支持プーリの大径部
34 支持プーリの小径部
36A、36B、36C ベルト
38 ベルト本体
40 ベルトの張出部
42 ベルトの長手方向端部分
44 ベルトの長手方向中央部分
M バラ物
BA、BB、BC ブリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラ物の貯留槽を備える貯留設備であって、
貯留槽の床面に形成された開口部の列と、開口部の列に沿って設置されたベルトと、ベルトの巻き取りと繰り出しを行う巻取プーリと、貯留槽の前後端部で床面より所定距離上方に設けられて前記ベルトが架け回されている支持プーリと、を備えることを特徴とする貯留設備。
【請求項2】
巻取プーリ及び支持プーリが、大径部と、大径部の端に形成された小径部と、を有することを特徴とする請求項1記載の貯留設備。
【請求項3】
巻取プーリ及び支持プーリの長さがベルトの幅よりも短いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貯留設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−114929(P2008−114929A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296768(P2006−296768)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(390003584)古河大塚鉄工株式会社 (5)
【Fターム(参考)】