説明

貯蔵性及び機能性が向上した缶キムチ

本発明は、白菜、カラシナ、チョンガ大根、大根、ネギ、えごまの葉、イヌヤフシソウ、及びニラからなる群から選択される何れか一つ以上をキムチの主材料として使い、キトサン、ビタミンC、及びグレープフルーツ種子抽出物のうちから選択された一つ以上をキムチの主材料100重量部を基準にして0.01ないし1.0重量部含み、イワシ塩辛の汁及びアミの塩辛のうちから選択された一つ以上の塩辛と醗酵水を含有する充填液とがキムチの主材料100重量部を基準にして25ないし55重量部含む缶キムチであって、缶キムチ内のリューコノストック属菌数が1.0×10CFU/ml〜5.0×10CFU/mlであることを特徴とする缶キムチ。本発明の缶キムチは、脱気工程及び低温殺菌を通じて乳酸菌数を一定の範囲で制御することで、キムチ組職感の損失を減らすことができ、ガス発生を抑制して安定性を獲得し、缶キムチの抗突然変異性及び坑癌効果を増進させる優れた効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵性及び機能性が向上した缶キムチに関する。より詳細には、缶キムチ内の乳酸菌数を一定の数値範囲内に調節することで、醗酵キムチ固有の組職感を保持しながらキムチの貯蔵性及び機能性を向上させた缶キムチに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、女性の社会進出の増大、所得レベルの向上、食生活の変化などで食べ物の調理時間の短縮、及び便利性のためにインスタント食品に対する選好傾向が次第に増加している。キムチも作るよりも市販のキムチ製品を購入して摂取する傾向が多く増加している。キムチが世界的な食品として認識されることによって、在外韓国人だけではなく、世界人に対する輸出も増加する趨勢にある。このため、市販キムチの需要はさらに増加している。既製品のキムチの購買は、食べ物の調理時間を短縮することができる。国民所得の増加によってレジャー生活の増大やこれによる外食機会が拡大し、キムチにおいても高品質化及び簡便化が要求されている。
【0003】
しかし、キムチは、貯蔵中に一連の関与微生物と酵素などによって続いて醗酵が進行する。キムチの発酵ガスすむと、一定期間後には、酸っぱくなって組職が軟化し、不快臭が生成し、結局品質が低下するなど、さまざまな問題点が発生して貯蔵性を失い、結果として、食用することができない状態となる。キムチの韓国での流通期間は、常温である場合に7日未満であり、冷蔵流通である場合にも2〜4週程度で非常に短いのが実情である。この期間が経てば、ガス生成のために包装が脹れ上がって、キムチと包装容器との間に隙間が生じ、キムチが容器内で空転することで破損を引き起こして商品性が落ちる。
【0004】
したがって、製品としてのキムチの商業的な価値を高めるためには、キムチの保存性を延長することができる方法の開発が必要である。キムチの貯蔵性向上のための研究としては、放射線照射、防腐剤添加などの様々なアプローチがなされているが、消費者がこのような処理を忌避して問題になっている。この観点から、pH変化を抑制するための緩衝剤、または酸味緩衝作用があるNa−アセテートとNa−マレイン酸添加、リン酸塩とNa−クエン酸塩との混合塩など塩混合物添加が研究されている。ソルビン酸(sorbic acid)、ポリブチルベンゾエート(polybutyl benzoate)、デヒドロ酢酸ナトリウム(sodium dehydroacetate)などの保存料添加、クエン酸(citric acid)とクエン酸塩とを混合したpH調整剤の添加で醗酵速度を遅延させて可食期間を延長する研究が進められている。また、醗酵性糖を除去したキムチを製造して、貯蔵性向上に肯定的な効果があると報告されたことがある。その他にも、レトルトパウチ(retort pouch)貯蔵、加熱殺菌、保存料添加法、副材料添加法、キトサンの添加、缶詰法を利用した多くの研究がなされており、特に、天然保存料の添加による熟成遅延についての研究が活発に進められている。
【0005】
そして、キムチを商品化するに当たって、貯蔵性及び流通期間が短い問題を解決するために、さまざまな方法が講究されている。このような商品化されたキムチの商品性を向上させるための長期包装方法のうちの一つである金属缶は、食品包装容器の3大機能である長期保存性と便利性、商品性面でその他のものの包装容器より卓越な比較優位の長所があり、取り扱いと携帯とが簡便である。缶食品の製造と利用とにおいて、問題となるのは、密封不良及び殺菌不足による変敗と容器からの錫など重金属の溶出である。また、貯蔵する間にキムチ中の有機酸は金属缶の腐食に影響を与え、安定的な側面で問題となることがある。
【0006】
一方、加工食品に含有された重金属は、原料から由来するか、製造、加工及び流通中に容器包装から溶出されるものと見られるが、人体に蓄積される場合、さまざまな慢性中毒症状を起こす原因となる。しかし、農産物缶詰製品のうち比較的にpHが低い製品を選択して貯蔵期間によるpH変化及び重金属(Pb、Sn)の経時変化を調査した研究によれば、缶詰製品のうち重金属に該当する鉛と錫との場合、貯蔵期間によって含量が増加し、pHが比較的に低い缶詰の場合、その溶出程度が多少高く、pHが4以上である缶キムチでは、他の試料に比べて錫含量が比較的に低く表われたという。貯蔵期間が12ヶ月経過された後にも、鉛、錫含量はいずれも基準値に比べて非常に低くて食品として安全なものであるという研究報告がある。
【0007】
既存の市販の缶キムチは、保存性向上のために加熱殺菌方法を採択しているが、キムチは乳酸菌が生きている製品であるので、キムチ固有の味が消え、加熱臭の発生及び組職が柔らかくなるなどの問題点があった。
【0008】
本発明者らは、このような問題点を勘案してキムチの乳酸菌を効果的に制御して、缶キムチの貯蔵性を改善し、味の増進、添加物による機能性及び安定性を考慮した缶キムチを製造すべく本発明を案出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、低温殺菌を用いて缶キムチ内のリューコノストック属(Leuconostoc sp)菌数を特定の数値範囲内に制御することで、醗酵キムチ固有の組職感を保持しながら、味、貯蔵性及び機能性を向上させた缶キムチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を果たすための本発明は、白菜、カラシナ、チョンガ大根、大根、ネギ、えごまの葉、イヌヤフシソウ及びニラからなる群から選択される何れか一つ以上をキムチの主材料として使い、キトサン、ビタミンC、及びグレープフルーツ種子抽出物(Grapefruit seed extract)のうちから選択された一つ以上をキムチの主材料100重量部を基準にして0.01ないし1.0重量部含み、イワシ塩辛の汁及びアミの塩辛のうちから選択された一つ以上の塩辛と醗酵水を含有する充填液とがキムチの主材料100重量部を基準にして25ないし55重量部含む缶キムチであって、前記缶キムチ内のリューコノストック属(Leuconostoc sp)菌数が1.0×10CFU/ml〜5.0×10CFU/mlであることを特徴とする缶キムチを提供する。
前記缶内にラクトバシラス属菌が1.0×10CFU/ml未満に存在することが望ましい。
【0011】
前記塩辛の含量が、キムチの主材料100重量部を基準にして4ないし8重量部混合されることが望ましい。
【0012】
前記醗酵水は、キムチの主材料100重量部に対してニンニク1.4〜2.8重量部、生姜0.6〜1.2重量部、砂糖1.0〜2.0重量部及び千切り大根13〜26重量部を含む味付けを塩水に添加してpHが3.8〜4.1になるまで醗酵させて製造された醗酵水であることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、低熱殺菌を用いて貯蔵性、官能性及び機能性が向上した缶キムチに関するものである。本発明の缶キムチの製造法によれば、漬けた白菜を醗酵時に調味料と混合して白キムチ形態で醗酵させることで、醗酵時間を短縮して味を増進させる。醗酵白キムチを缶に充填する前に唐辛子粉を添加すれば、色度低下によるキムチの色低下を防止することができ、缶の充填液で醗酵白菜を抜き取って残りの醗酵水にイワシ塩辛の汁とアミの塩辛とを添加して製造することで、キムチの菌数には影響を与えずにキムチ味を増進させることができる。醗酵白菜の洗浄工程で次亜塩素酸処理と超音波洗浄とを併用することで、効率的に菌を除去して次亜塩素酸処理による組職感損失を減らすことができ、缶充填後に脱気工程と低温殺菌とをすることで、菌数を減らしてガス発生を抑制して安定性を獲得し、キトサンとビタミンCとを後添して缶キムチの抗突然変異性及び坑癌効果を増進させる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の缶キムチ製造時に唐辛子粉を後添する場合、官能評価と乳酸菌数とを示した図である。
【図2】本発明の缶キムチ製造時に醗酵水に塩辛を添加した時、缶キムチの官能評価と乳酸菌数とを示した図である。
【図3】本発明の缶キムチ製造時にキトサンを後添した時、缶キムチの官能評価と乳酸菌数とを示した図である。
【図4】本発明の缶キムチ製造時に金属缶への充填率を異ならせた時、缶キムチの官能評価と乳酸菌数とを示した図である。
【図5】本発明の缶キムチ製造時に充填後、脱気工程を実施した時、缶キムチの乳酸菌数と理化学的特性とを示した図である。
【図6】本発明の缶キムチ製造時に充填後、低温殺菌を実施した時、缶キムチの乳酸菌数を示した図である。
【図7】本発明の缶キムチを20℃、35℃で長期間保管しながら菌数の変化を測定した結果を示した図である。
【図8】本発明の缶キムチをラットの餌に添加して体重及び食餌摂取変化を測定したものである。
【図9】本発明の缶キムチのマウス末梢血の網状赤血球(mouse peripheral reticulocyte)を利用した小核誘発抑制能(ability toinhibit the formation of micronuclei)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面を参考してより詳しく説明する。
【0016】
本発明の缶キムチの主材料は、白菜、カラシナ、チョンガ大根、大根、ネギ、えごまの葉、イヌヤフシソウ、ニラからなる群から選択された一つ以上が利用される。本発明の缶キムチの種類は、特別にこれに限定されるものではない。前記キムチ材料を用いて、白菜キムチ、カラシナキムチ、カクテギ、白キムチ、チョンガキムチ、イヌヤフシソウキムチ、ニラキムチ、えごまの葉キムチ、ネギキムチなどが製造可能である。
【0017】
本発明の缶キムチには、塩辛と醗酵水を含有する充填液とがキムチの主材料100重量部を基準にして25ないし55重量部含むことが望ましい。
【0018】
塩辛は、好ましくは、イワシ塩辛の汁及びアミの塩辛及びこれらの混合物から選択されたものを使い、缶キムチ製造時に官能性を高めるために塩辛を使う。塩辛を醗酵水に標準配合比の比率ほど入れてともに沸かした後、充填液として使う。塩辛の含量は、キムチの主材料100重量部を基準にして4ないし8重量部混合されることが望ましい。
【0019】
醗酵水は、キムチ材料に、ニンニク、生姜、砂糖、及び千切り大根などがキムチ味付けの材料として使われ、キムチの主材料100重量部を基準にしてニンニク1.4〜2.8重量部、生姜0.6〜1.2重量部、砂糖1.0〜2.0重量部及び千切り大根13〜26重量部を含む調味料を塩水に漬けて、pHが3.8〜4.1になるまで醗酵させて製造する。前記含量範囲を外れる場合には、本発明による缶キムチの官能性が低下するために望ましくない。
【0020】
本発明は、白菜を利用した白菜キムチだけではなく、カラシナキムチ、チョンガキムチ、カクテギ、ネギキムチ、イヌヤフシソウキムチ、えごまの葉キムチ、ニラキムチなどに利用され、キムチの種類によってキムチ調味料の種類と含量は、多様に調節可能である。
【0021】
本発明の缶キムチは、リューコノストック属(Leuconostoc sp)菌数が1.0×10CFU/ml〜5.0×10CFU/mlである範囲内に制御される。缶内のリューコノストック属(Leuconostoc sp)菌数が1.0×10CFU/ml未満である場合には、キムチの味感を生かすことができなくて、望ましくなく、リューコノストック属(Leuconostoc sp)菌数が5.0×10CFU/mlを超過する場合には、缶内のガス生成が促進されて缶の貯蔵安定性が低下するために望ましくない。
【0022】
本発明による缶キムチは、ラクトバシラス属菌が1.0×10CFU/ml未満に存在することが望ましい。缶キムチ内にラクトバシラス属菌が1.0×10CFU/ml以上に存在する場合には、ラクトバシラス菌は酸味を生成してキムチが缶内で醗酵が進行して漬かれるために望ましくない。
【0023】
本発明による缶キムチは、ラクトバシラス属菌が1.0×10CFU/ml未満に存在することが望ましい。缶キムチ内にラクトバシラス属菌が1.0×10CFU/ml以上に存在する場合には、ラクトバシラス菌は酸味を生成してキムチが缶内で醗酵が進行して漬かれるために望ましくない。
【0024】
本発明による缶キムチは、白菜の漬け、漬けた白菜と味付けとの混合醗酵、洗浄、後添材料の添加、充填及び低温殺菌の工程段階によって製造可能である。
【0025】
まず、白菜を塩漬けにする段階は、白菜を一定のサイズで切断した後、塩水で漬けた後、漬けた白菜は流れる水道水で数回反復して洗った後、水分を抜き取って準備する。
【0026】
次いで、醗酵液製造及び混合醗酵段階を行う。醗酵液は、小麦粉と水とを混合して沸かして糊を製造し、天日塩で製造された塩水に添加し、漬けた白菜に、ニンニク、生姜、砂糖及び千切り大根で構成された味付けを前記塩水に添加し、天日塩を用いて最終塩度を調節する。前記醗酵液を漬けた白菜に添加して、白キムチ形態で20℃でpH3.8〜4.1になるまで醗酵させる。従来には、キムチ材料と混合味付けとを別途にそれぞれ醗酵させて缶に充填する前に混合することで、熟成されていないキムチの味を表わした。しかし、本発明は、キムチ材料と味付けを白キムチ形態でともに醗酵させて醗酵時間を短縮し、味の増進効果が得られる。
【0027】
次いで、洗浄段階では、キムチ材料と混合味付けの白キムチ形態を醗酵させた後、水道水で洗浄する。次に、一定のサイズで切断して次亜塩素酸ナトリウム水溶液に前記切断された醗酵白菜を入れて殺菌処理及び/または超音波洗浄機械を用いて超音波を発生させて超音波洗浄をした後、脱水乾燥過程を経る。望ましくは、洗浄方法としては、次亜塩素酸ナトリウムと超音波洗浄とを併用する。次亜塩素酸処理の回数と時間とを短縮して効率的に醗酵白キムチにある菌を除去することができる。
【0028】
次いで、充填段階は、缶を製造する時に固形分、すなわち、白菜と味付けとを和えて作われたものを缶に充填後、充填液(醗酵水+塩辛)を添加する。この充填液の添加目的は、キムチの味を生かして殺菌を容易にさせるためである。充填液を添加することで、脱気及び低温殺菌の過程を経ながら熱伝逹を容易にして内部温度が殺菌温度まで上がるように助ける役割をし、それによって殺菌を均一にさせる。また、缶キムチの場合は、白菜自体の味も重要であるが、白菜を洗浄する工程があるために消失されることを補完することが必要であるが、充填液はまさにこのような役割をして味を増進させる。
【0029】
次亜塩素酸処理及び超音波洗浄による殺菌処理過程を経た醗酵白菜、唐辛子粉とキトサン、ビタミンC、及びグレープフルーツ種子抽出物(Grapefruit seed extract)のうちから選択された一つ以上を前記醗酵された千切り大根を混合してキムチを製造した。
【0030】
唐辛子粉は、エタノールで殺菌して使うか、英陽産の低菌数唐辛子粉を使う。本発明によれば、混合味付けを製造する時、唐辛子粉を混合するものではなく、缶に充填する前に唐辛子粉を添加することで、菌数の大きな増加なしにキムチの色度のみを増加させることが特徴である。
【0031】
乳酸菌死滅効果を得るために、グレープフルーツ種子抽出物が添加される。ラクトバシラス属菌は表われないことで貯蔵性確保に効果的である。キトサン及びビタミンCは、独立的には大きく菌数減少効果を表わさないが、異なるものとともに添加した時、上昇効果が得られる。したがって、白菜自体の初期の菌数を調節することも重要であるが、実際缶キムチ工程で使う添加物と殺菌工程とが互いに効果を増進させる。
【0032】
選択された添加物をキムチの主材料100重量部を基準にして0.01ないし1.0重量部含むことが望ましい。前記添加物が、キムチの主材料100重量部を基準にして0.01未満である場合には、添加効果が微小で望ましくなく、1.0重量部を超過する場合には、乳酸菌数の制御効果が低下して望ましくない。
【0033】
缶にキムチを充填した後、脱気工程と65℃で30分間低温殺菌とを経ることで、乳酸の菌数を特定の数値範囲内に制御してガス生成を抑制し、キトサンとビタミンCとを後添して抗突然変異及び坑癌効果を増進させることができる。
【0034】
このような段階によって製造された缶キムチは、ラクトバシラス属(Lactobacillus sp.)菌株の成長と雑菌の生成とを制御することで、菌数を特定の範囲の一定状態(steady state)に保持して保管中にガスが発生せず、貯蔵期間が延長される効果を表わす。
【0035】
<実施例1>
1.白菜の塩漬け及び醗酵
白菜(Brassica campestris L.)は、大韓民国の釜山に位置した‘可楽(ガラック)新1号’という商号の釜田市場からそれぞれ購入し、大根(Raphanussativus L.)は、大韓民国の釜山に位置した‘青雲(チョンウン)’という商号の釜田市場からそれぞれ購入した。唐辛子粉(Capsicum annum L.)は、英陽農協の清潔唐辛子粉の加工工場から購入し、ニンニク(Aliium sativum L.)及び生姜(Zingiberoffinale Rosc.)は、釜山の釜田市場から購入して使った。塩辛は清浄イワシ塩辛の汁((株)大象)、アミの塩辛はハソンジョンアミの塩辛((株)ハソンジョン総合食品)、塩は天日塩((株)宇一)を使った。
【0036】
白菜を1/4株に分けて切断した後、10%塩水で12時間漬けた後、漬けた白菜は流れる水道水で3回反復して洗った後、3時間水分を抜き取って準備する。醗酵液は、小麦粉と水とを2:8で混合して沸かして糊を製造し、前記糊を天日塩で製造された2.5%の塩水に2.5重量%添加し、漬けた白菜100重量部に対してニンニク1.4重量部、生姜0.6重量部、砂糖1.0重量部及び千切り大根13重量部で構成された味付けを前記塩水に添加し、天日塩を用いて最終塩度2.5%になるように調節して製造した。前記醗酵液を漬けた白菜に対して白菜:醗酵液=1.1:1の比率で添加して白キムチ形態で20℃でpH3.8〜3.9になるまで醗酵させた。
【0037】
2.缶キムチ内の乳酸菌数制御
缶キムチの菌数を一定の数値範囲内に制御するための段階を進行した。細部的には、洗浄による菌数制御と洗浄以後の菌数制御とに分類した。
【0038】
A.洗浄による菌数制御
醗酵が終わった白菜を水道水を使って1回洗った後、3cm×3cmのサイズで切断して準備した。400ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液(YAKURI PURE CHEMICAL CO.,LTD./東京 日本)に、前記切断された醗酵白菜を入れて5分間殺菌処理するか、または超音波洗浄機械を用いて約27,000Hzの超音波を発生させて5分以内で超音波洗浄をした後、30分脱水乾燥過程を経た。
【0039】
次亜塩素酸処理を1回に限定して白菜の初期菌数を制御し、超音波洗浄機((株)GM saver)を使ってさらに菌数を減らす効果を見た。
【0040】
pHは、pHメーター(Istek model 735−P、大韓民国)を使って室温で測定し、酸度は、試料20mlに蒸溜水を加えて20倍希釈した後、10mlを取ってAOAC方法で測定した。AOAC方法によれば、0.1%フェノ―ルフタレインを指示薬を1ml添加して0.1N NaOHで滴定して紅色を帯びる点を終末点にした。滴定値は、乳酸に換算して含量%に表わした。
【0041】
【数1】

【0042】
【表1】

【0043】
表1に表われたように、次亜塩素酸5分処理後、超音波処理した群から総菌数と酵母数とが漬けた白菜に比べてそれぞれ10ずつ減少した。一方、超音波洗浄時間が長くなるによってまた総菌数と酵母数は、また増加して洗浄効果を見られなかった。乳酸菌の場合、超音波洗浄群と超音波及び次亜塩素酸並行群のいずれからリューコノストック属が10ずつ減少したが、ラクトバシラス属では、洗浄効果を観察することができなかった。
【0044】
洗浄時間によって洗浄効果が変わることを見て、超音波洗浄時間を分けて効果を見た。また、醗酵程度によって菌の変化があるために、初期菌数を異ならせて菌の除去効果を調べた。pHを4.1と3.8とにそれぞれにして超音波洗浄機に白菜を3×4cm程度になるように切断後、洗浄機に入れて、30秒間隔で総菌数、酵母、乳酸菌の数を測定した。
【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
表2に表われたように、総菌数、酵母、乳酸菌いずれも初期の菌数が10CFU/ml程度であったが、超音波処理30秒にそれぞれ10ずつ減少した後、超音波処理5分までは超音波洗浄時間が長くなっても大きな変化なしに10CFU/mlを保持したが、超音波洗浄5分でまた菌数が増加する傾向を見せた。
【0048】
表3に表われたように、総菌数、酵母、乳酸菌は、pH4.1まで醗酵させた醗酵白菜に比べてそれぞれ10程度高値を表わし、超音波処理30秒にそれぞれ10ずつ減少した。総菌数と酵母数は、超音波処理1分に再び10減少して10CFU/mlになった。
【0049】
したがって、超音波洗浄を通じて総菌数と酵母数とを10ずつ減らすことができた。菌が死滅されることではなく、白菜から洗われることなので、時間が長くなれば菌の洗浄効果は見られないと判断される。
【0050】
B.洗浄以後の菌数制御
醗酵白菜の洗浄後、金属缶に充填する段階で後添副材料の効果と充填醗酵水を調整して菌数制御と味の増進効果とを調査した。
【0051】
次亜塩素酸ナトリウムによる処理及び超音波洗浄による殺菌処理過程を経た醗酵白菜1kg当たり唐辛子粉64g、キトサン5g、ビタミンC1g、グレープフルーツ種子抽出物(Grapefruit seed extract(GFSE、1.5g/10g蒸溜水、model DF−100、(株)FA bank)1,500ppmと、前段階で醗酵された千切り大根を混合してキムチを製造した。唐辛子粉は、70%エタノールで殺菌して使用した。又は、大韓民国の英陽から生産された低菌数唐辛子粉を殺菌なしに使った。
【0052】
また、醗酵白菜製造時に生じた醗酵水に磨いたアミの塩辛及びイワシ塩辛の汁を8:0.5:0.5の比率で混合して沸かした後、冷却して充填時に添加する充填醗酵水を準備した。
【0053】
(1)唐辛子粉後添加
醗酵段階で副材料が添加されるために、混合時に味付け形態を異ならせて、味の増進効果と乳酸菌数に及ぼす影響とを調べた。
【0054】
混合味付け、すなわち、標準化された比率を使って味付けの製造後、乾燥したものを対照群にし、混合時に他の副材料の添加なしに唐辛子粉のみを使ったもの、唐辛子粉とともにニンニク、生姜粉末を添加したもの、唐辛子粉を70%エタノールに殺菌したものを比べた。
【0055】
色度は、醗酵させた混合味付けを熱風乾燥器〔J−300M、(株)JISICO〕を使って乾燥した後、磨砕〔GP−2003/2005、(株)グリーンピア9段〕して蒸溜水で10倍希釈後、ミノルタ Chroma Meter(CT−310、日本)でL(Lightness)、a(+:Red、−:Green)、b(+:Yellow、−:Blue)を測定した。
【0056】
唐辛子粉の殺菌は、70%エタノールに30秒、1分、2分間浸して、掬い上げて総菌数と色度とを調べた結果、70%エタノールを使って唐辛子粉を殺菌することが30秒以内では大きく変化がなかったが、時間が長くなるほどむしろ菌が増加する傾向を示し、これは時間が進行するほど色素が唐辛子粉から抜けたので、殺菌の効果がないと判断される。
【0057】
官能側面で効果を見るために、70%エタノール殺菌唐辛子粉を用いて缶を製造した。70%エタノール殺菌過程を経ていない唐辛子粉を使った群とニンニク、生姜パウダーを70%エタノール殺菌過程を経ていない唐辛子粉とともに添加した群、従前の混合乾燥味付け使用缶を対照群にした。
【0058】
図1に表われたように、官能結果を見れば、混合味付けを使ったものは外観上低点数を得て、臭い(moldy smell)、苦味などで高数値を表わした。一方、唐辛子粉のみを添加した群は、同じ項目で低点数を見せ、唐辛子粉とニンニク、生姜を添加した缶は、外観を除いては混合味付けと類似した。総合的評価を見れば、唐辛子粉のみを添加した群が最も高点数を見せ、混合味付けを使った群が最も低点数を見せた。
【0059】
対照群と異なる群からラクトバシラス属(Lactobacillus sp.)は発見されず、リューコノストック属(Leuconostoc sp.)の数の急激な変化はなかった。すなわち、すべての形態が、菌数には大きく影響を及ぼさないということが分かった。
【0060】
(2)塩辛添加
イワシ塩辛の汁、アミの塩辛、イワシ塩辛の汁とアミの塩辛とを混合したものをそれぞれ缶製造時に充填液として使って缶を製造した後、官能評価をした。塩辛は、地域的に使うものが異なるために口当たりも多様である。したがって、ソウル京幾地方と釜山慶南地方とを分けて実施した。
【0061】
図2に表われたように、ソウル京幾地方では、外観、苦味、金属臭、酸味などの項目では、すべての群が類似している結果を表わした。しかし、総合的な評価でイワシ塩辛の汁を使った群は、最も低点数を受け、イワシ塩辛の汁とアミの塩辛とを混ぜて混合したものが最も高点数を受けた。
【0062】
釜山慶南地方では、酸味、辛味で他の群に比べてイワシ塩辛の汁とアミの塩辛との混合が少し低い差を見せ、外観と組職感(硬さ)では大きく差が表われなかった。総合的な評価では、ヒシコ漬けを使ったものが最も高点数を受けたが、イワシ塩辛の汁とアミの塩辛とを混合したものと大きく差がなかった。
【0063】
菌数検査でも、ラクトバシラス属はいずれも表われず、リューコノストック属と総菌数でも、すべての群が大きく差がなかった。したがって、塩辛の種類は、缶キムチで菌数に大きな変化がなく、貯蔵性には影響を与えなかった。したがって、味を出して栄養学的に意味がある塩辛の使用が味の増進に効果があるものと見せて缶キムチの製造時にヒシコ漬けとアミの塩辛とを混合した塩辛を選択的に使うことができるということを確認した。
【0064】
(3)キトサン添加
缶キムチ製造時に保存性を高めるためにキトサンを添加して、菌数、組職感及び官能的な面を調査した。
【0065】
組職感は、キトサンを白菜の重さ対比0.5%、1%、1.5%、2%に添加して測定した(図3)。結果、0.5%、1%添加した群は対照群に比べて組職感が向上したが、1.5%と2%では大きく差が表われなかった。
【0066】
そして、0.5%、1%、2%に官能評価を実施した結果、2%群は臭い、苦味などで高点数を得て、外観では最も低く評価された。一方、0.5%群は臭い、苦味、金属臭で低点数を受け、外観では最も良く評価された。組職感は、すべての群で大きく差がなかった。総合的な評価を見れば、やはり2%は最も低点数を受け、1%がその次であり、0.5%が最も高点数を得たことで最も官能性に優れたと判断される。
【0067】
図3に表われたように、初期にはキトサンとキトオリゴ糖とを使った群いずれも使わなかったものと大きな差がなく、8週保管後にも大きく差がなかった。
【0068】
これは、缶の特性上、菌を制御した後、キムチが作られるので、キトサンが貯蔵性には大きく影響を及ぼさないためと判断される。しかし、官能的な部分の改善と組職感の側面で見る時、添加することが最も効果的である。
【0069】
(4)充填率による変化
醗酵水は、白菜の味を強める役割もあるが、缶の製造後、殺菌時に内部品温を上げるのに手助けになって殺菌をより効率的にさせる役割をする。したがって、固形分と醗酵水との比率を異ならせて効果を見た。
【0070】
製造条件が確立された普通の缶中の固形物キムチ材料と醗酵水の含量比率は、固形物128g+醗酵水32gである。固形物120g+醗酵水40gと固形物110g+醗酵水50gとの組成で配合して充填させた缶キムチを製造して菌数変化を観察した。
【0071】
図4に表われたように、固形物の減少及び醗酵水の増加は、リューコノストック属菌を多少減少させる傾向を見せた。総菌数も多少減少させる傾向を見せた。これは、低温殺菌過程で醗酵水の量の増加によって缶内部でのキムチの品温を高めて殺菌温度に到逹する時間を短縮させて長く持続させることで、殺菌の効果を高めると見える。
【0072】
充填率の変化は、品温と関連してある程度の菌の減少をもたらしたが、官能的な面で落ちることが見られた。すなわち、多量の添加より適正な比率を保持することがさらに官能改善には効果的であった。
【0073】
(5)脱気工程による菌数制御
キムチを缶に充填して蓋巻き締め前に97℃程度のスチームを缶を通過させながら、空気を除去して品温を上げる脱気工程を実施し、蓋巻き締め後に低温殺菌して殺菌効果及びガス生成有無を観察した。
【0074】
脱気工程は、総菌数とリューコノストック属の菌数とを10cells/mlから10cells/mlに減少させた。脱気後に低温殺菌を行えば、総菌数とリューコノストック属の菌数は、10cells/mlから10cells/mlにさらに減少した。図5によれば、ラクトバシラス属菌は、脱気工程のみでも完全に消滅された。また、ガス生成有無を観察した結果では、脱気及び低温殺菌工程を経ていない缶でガスが生成して膨れ上がる現象を表わした。脱気及び低温殺菌工程を経ずに3日間室温に放置した缶は、缶内に残っている空気によって醗酵が進行して製造3日後に適熟期のキムチに到逹した。したがって、脱気工程の追加は、低温殺菌を効率的にさせて菌数を減らすことで、貯蔵性を確保するのに大きな助けになることが分かった。
【0075】
(6)低温殺菌などによる菌数制御
缶製造が終わった後、65℃で30分低温殺菌をするが、缶製造時に添加されるグレープフルーツ種子抽出物とキトサンとが低温殺菌に及ぼす程度を白菜汁培地に菌を接種して、それぞれの処理をして見た。
【0076】
白菜汁培地を製造するために、白菜を外葉を除去して緑汁器で搾汁して汁液はオーガンディーで濾過した後、遠心分離機で3,000×gで20分間遠心分離した。遠心分離した白菜汁は、塩の含量が2.5%になるように塩を添加してメンブレインフィルター(0.45μm)で濾過した。培地に各段階に必要なほどの副材料を添加した後、菌を接種して平板培養して測定した。
【0077】
初期菌数にも殺菌効果が影響を受けるかを調べるために、菌数を10及び108の2つに分離して実験した。具体的に、グレープフルーツ種子抽出物1,500ppm、キトサン0.5%、低温殺菌65℃の温度で30分を適用した。グレープフルーツ種子抽出物、キトサン、低温殺菌をそれぞれ単独にしたもの、グレープフルーツ種子抽出物とキトサン;グレープフルーツ種子抽出物と低温殺菌処理;キトサンと低温殺菌処理;グレープフルーツ種子抽出物、キトサン及び低温殺菌処理のように三種のすべて処理したものの効果を実験した。図6に得られた結果を示す。
【0078】
まず、初期菌数が10CFU/mlでは、大部分効果が大きく表われた。グレープフルーツ種子を使った群は、ラクトバシラス属菌及びリューコノストック属菌がすべて死滅し、低温殺菌は10〜10CFU/ml程度の除去効果があった。そして、グレープフルーツ種子抽出物を含んで処理した群は、ラクトバシラス属菌及びリューコノストック属菌がすべて死滅した。
【0079】
一方、初期菌数が1×10CFU/mlでは、他の様相を見せた。低温殺菌とキトサン処理が入った群を除いてはラクトバシラス属菌はすべて死滅し、リューコノストック属は10〜10CFU/ml程度の減少効果が表われた。三種をすべて処理した群からもラクトバシラス属菌は表われず、リューコノストック属菌も10CFU/ml程度の死滅効果を見せた。
【0080】
グレープフルーツ種子抽出物が添加された群からは、菌数が少ない時、多い時にすべて菌の死滅効果が表われ、特に、ラクトバシラス属菌は表われないことで貯蔵性確保に効果的であることが分かった。キトサンは、独立的には大きく菌数減少効果を見せないが、異なるものとともに添加した時、効果が表われると考えられる。したがって、白菜自体の初期の菌数を調節することも重要であるが、実際缶キムチ工程で使う添加物と殺菌工程とが互いに効果を増進させるということが分かった。そして、グレープフルーツ種子抽出物、キトサン、低温殺菌をすべて並行した群から効果が表われた。
【0081】
比較例1
販売中である缶キムチ(Wangキムチ、製造社:三振誌F)を使って乳酸菌数を測定した。構成成分は、白菜75%、精製塩3.15%、ネギ2.65%、唐辛子粉2.61%、白砂糖1.15%、ニンニク0.33%、生姜0.17%、L−グルタミンナトリウム0.1%、精製水14.84%であった。pHは4.2であり、酸度(latic acid)は0.81に表われた。リューコノストック属菌とラクトバシラス属菌は、すべて存在しなかった。これは、95℃で30分間高温殺菌を通じて醗酵キムチに存在する乳酸菌が死滅したためである。したがって、醗酵キムチ固有の組職感を保持することができなかった。
【0082】
比較例2
販売中である缶キムチ(ペンギン缶キムチ、製造社:(株)金韓)を使って乳酸菌数を測定した。構成成分は、白菜84.21%(国産)、唐辛子粉、大根、ニンニク、生姜であった。pHは3.7であり、酸度(latic acid)は1.04に表われた。リューコノストック属菌とラクトバシラス属菌は、すべて存在しなかった。やはり高温殺菌を通じて醗酵キムチに存在する乳酸菌が死滅したためである。したがって、醗酵キムチ固有の組職感を保持することができなかった。
【0083】
評価結果1:缶キムチの貯蔵性調査
実施例1の白菜缶キムチは、製造工程上の多様な方法を通じて缶内の乳酸菌のうちからリューコノストック属菌数を1.0×10CFU/ml〜5.0×10CFU/mlの範囲で制御し、ラクトバシラス属菌を死滅して存在させないように制御した。実施例1の白菜缶キムチを20℃、35℃で長期間保管しながら菌数の変化を測定した。図7に表われたように、室温で貯蔵する6ヶ月間にリューコノストック属菌は1.0×10CFU/mlをそのまま保持し、ラクトバシラス属菌は全然表われなかった。総菌数も大きな変化がなかった。乳酸菌の最適温度範囲である35℃でやはり大きな菌数の変化は見えなかった。したがって、実施例1による缶キムチは、室温で長期間保存時にも貯蔵性が問題にならない缶キムチということが分かる。
【0084】
評価結果2:缶キムチの機能性調査
実施例1のうちから缶キムチの健康機能性増進のために、坑癌及び抗酸化性などの機能性が高いキトサンとビタミンCとを添加して、それぞれの機能性を見た。
【0085】
抗突然変異効果
キトサンとビタミンCとを入れていない缶に入る前のキムチと缶に入れたキムチとを対照群にしてキトサンのみ添加した缶、ビタミンCのみ添加した缶、キトサンとビタミンCいずれも添加した缶をそれぞれメタノール抽出物を用いて機能性を見た。サルモネラティフィリウム(Salmonella typhimurium)TA100菌を利用したエームス試験(Ames test)で間接突然変異源であるアフラトキシンB(AFB、シグマ社)に対する抗突然変異効果を見た。
【0086】
このために、製造された缶キムチを凍結乾燥して粉末化した後、それぞれ20倍のメタノールを添加、12時間撹拌を2回反復した後、濾過してロータリーエバポレータ(EYELA,Tokyo Rikakikai Co.,日本)で濃縮してメタノール抽出物を得た。これら抽出物は、DMSOに希釈して細胞に処理した。
【0087】
直接突然変異源であるN−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)は、アルドリッチケミカルコーポレーション(アメリカ)から購入して蒸溜水に溶かして使った。サルモネラティフィリウム(Salmonellatyphimurium)LT−2 ヒスチジン(histidine)栄養要求性であるサルモネラティフィリウム(Salmonellatyphimurium)TA100は、アメリカカリフォルニア大学のAmes B.N.博士から提供されて実験に使った。
【0088】
【表4】

【0089】
【表5】

【0090】
表4に表われたように、低濃度メタノール抽出物1.25(mg/plate)では、何も添加していないキムチが缶に充填前には16%、充填して殺菌を経た後には4%の阻害率が表われた。キトサンのみを入れた群は8%、ビタミンCのみを入れた群は2%の阻害率を有し、二つすべて処理した群からは23%に表われた。メタノール抽出物2.5(mg/plate)で抗突然変異効果が缶に入れる前のキムチは37%程度であったが、缶に充填、殺菌工程を経た後は22%であったが、最終キトサンとビタミンCとをすべて入れた缶では46%に表われた。
【0091】
また、直接突然変異源であるMNNGに対する効果を見れば、メタノール抽出物1.25(mg/plate)で添加物を使っていない群からは充填前14%、充填後3%であったが、キトサン添加群は12%、ビタミン添加群は11%、すべて添加した缶では16%に表われた。2.5(mg/plate)で充填前状態のキムチで33%だったのが、缶で製造された後は23%、キトサンを添加した群は33%であったが、ビタミンCのみ添加した群は32%で大きな差がなかった。二つのすべて添加した群は46%程度の効果があった。AFBを突然変異源として使ったものと類似している様相を表わした(表5)。
【0092】
結論的に、メタノール抽出物の添加濃度が高くなるほど阻害効果が高かった。缶に充填されてすべての過程を経たキムチの抗突然変異効果は缶で製造される前のものより減少し、キトサンとビタミンCとを添加すれば、ある程度が増加し、二つすべてを添加した群が最も抗突然変異効果が高いと表われた。
【0093】
坑癌効果
缶キムチのインビトロ(In vitro)坑癌効果を調べるために、HT−29人体結腸癌細胞とAGS人体胃癌細胞との成長抑制効果を観察した。
【0094】
AGS人体胃癌細胞(AGS human gastric adenocarcinoma cell)は、韓国細胞株銀行(ソウル医大)から分譲され、100units/mlのペニシリン−ストレプトマイシンと10%のFBSが含有されたRPMI 1640とを使って37℃、5% CO培養器で培養した。
【0095】
MTT分析のために、96ウェルプレートにウェル当たり1×10cells/mlになるようにseeding、すなわち、100μlずつ加えた後、ここに、培養培地を80μl添加した。試料は、各濃度別にPBSで希釈した後、各ウェル当たり20μlずつ添加し、一カラムには試料の代わりにPBSのみ20μl添加して100%生存群にした。このプレートをまた37℃、5% CO培養器で72時間培養した後、540nmで吸光度を測定して生存細胞数を測定した。
【0096】
生存率を計算するために、各ウェルから一カラムの平均値を求めて対照群(100%生存群)の平均値に対する百分率の値を算出した。この百分率は、比較した試験群の細胞生存率に該当する値で細胞の生存率は、次のような式で計算した。
【0097】
【数2】

【0098】
【表6】

【0099】
表6に表われたように、AGS人体胃癌細胞では、0.1(mg/ml)では缶に入れる前のキムチ6%、缶に入れて低温殺菌工程を経た缶は5%で大きく差がなかった。しかし、キトサンとビタミンCとを添加した群は、13%、12%で少し効果が表われ、二つすべて添加して作られた缶は24%で最も大きく効果が表われた。また、2.0(mg/ml)の濃度でまた類似しているように表われた。缶に入れる前と缶に入れて殺菌工程を経た群は、12%、10%で比較的低く、キトサンとビタミンCとを添加した缶は、それぞれ36%、31%であった。すべて添加した缶は、48%を表わすことと見る時、キトサンとビタミンCとの添加で癌細胞成長の効果が表われるということが分かった。やはりキトサンとビタミンCとの添加で癌細胞成長の抑制効果が表われた。
【0100】
試料が1.0mg/mlで使われた場合のHT−29人体結腸癌細胞では、添加剤がない場合、缶に入れる前の状態での坑癌活動度は5%、缶に入れて低温殺菌工程を経た缶は4%で大きく差がなかった。しかし、キトサンとビタミンCとを添加した群は7%、6%で、すべて添加して作られた缶は13%で最も大きな効果が表われた。また、2.0(mg/ml)の濃度でまた類似しているように表われた。キトサンとビタミンCとを添加した缶は、それぞれ12%、8%であった。すべて添加した缶は、26%を表わすことと見る時、キトサンとビタミンCとの添加で癌細胞成長の抑制効果が分かった。
【0101】
評価結果3:缶キムチの安定性(毒性評価)調査
キムチを缶に貯蔵する場合、重金属や内部コーティング剤とキムチの反応物とによって生成されることができる反応物に対する安全性を調べるために、毒性有無を確認した。本実験では、エポキシフェノール缶とラミネート缶とを使った。
【0102】
実験例1:インビトロ(In vitro)実験
1.サルモネラティフィリウム(Salmonella typhimurium)TA100を利用した毒性実験
缶キムチ製造後、貯蔵期間が4ヶ月になった実施例1の缶キムチを使って、缶素材の毒性有無を観察した。試料の菌株に対する毒性の有無を見るために、滅菌されたキャップテストチューブに上層寒天2mlを分周した後、菌株100μlと希釈された試料100μlとを添加して軽くボルテックスした後、栄養寒天培地(nutrient agar plate)に分周、固化させて37℃で24時間あるいは48時間培養させた後、その毒性の有無を判定した。
【0103】
【表7】

【0104】
表7に表われたように、一般白菜キムチとラミネート缶内の白菜キムチでは、毒性を観察できなかったが、エポキシフェノール缶の内部に貯蔵したキムチでは、約20%以下の毒性を表わした。
【0105】
2.細胞毒性
細胞に対する缶キムチ試料の毒性を検討した。やはり缶の塗料によってメタノール抽出物を使って3T3−L1の正常細胞を用いて毒性を見た。
【0106】
【表8】

【0107】
表8に表われたように、1.0〜4.0mg/ml添加濃度まで正常細胞に対してすべての群から95%以上の高生存率を表わした。これより高濃度では、正常細胞に対する毒性の増加がすべての群から表れるので、濃度が高くてそんなことであって、缶の塗料による差ではないと見られる。したがって、塗料による正常細胞に対する毒性は表われなかった。
【0108】
実験例2:インビボ(In vivo)実験
1.ラットを利用した毒性実験
本実験に使った動物は、雄性スプラグドーリー(Sprague−Dawley(SD))ラット(韓国化学研究所、大田)で、体重が80g前後のものを使って6週間飼育した。飼育時に水と飼料とは十分な量を供給し、動物実験室は温図22±1℃、相対湿度55±5%を保持し、12時間間隔でライト−ダークサイクル(light−dark cycle)を保持した。
【0109】
実験食餌に添加する試料を凍結乾燥して粉末化した後、一般成分を分析した。一般成分はA.O.A.C標準試験方法によって、水分定量は105℃常圧加熱乾燥法、粗タンパク質はマイクロ‐キジェダール(micro−Kjedahl)法、粗脂肪はソックスレー(soxhlet)抽出法、粗灰分は550℃直接灰化法で測定した。この組成のうち、タンパク質、脂肪、炭水化物、纎維素の量を考慮してAIN−93M食餌に基づいて製造した。AIN−93を対照群にし、宗家キムチと塗料とを異ならせた2種の缶キムチを凍結乾燥して粉末化した後、その粉末を5%添加した食餌を一般成分を考慮してエネルギーレベルが同一になるように調剤した。実験食餌のうち、カゼインはPC&S(アメリカ)で、メチオニン、L−シスチン、酒石酸水素コリン(choline bitartrate)、セルロース(cellulose)、トウモロコシ澱粉(corn starch)、トウモロコシ油(corn oil)、大豆油(soybean oil)、及びTBHQ(tert−Butylhydro quinone)は、シグマケミタルコーポレーション(アメリカ)で、デキストリン化トウモロコシ澱粉ミネラルミクスチュア(dextrinized−corn starch mineral mixture)、総合ビタミン(vitamin mixture)は、DyInc(アメリカ)製品を使った。シクロースは、一般試薬商社から購入した。
【0110】
【表9】

【0111】
i).体重及び食餌摂取変化
AIN−93食餌のみ摂取させた正常群に比べて見れば、キムチ試料を添加した群が体重増加率は大きな差がない。しかし、体重が4週までは正常群とさまざまなキムチ試料を添加した群とが5〜10g程度差があったが、その後からは10g以上差を見せる群はなかった。平均食餌摂取量は、25〜30gで期間が長くなって重さが増えるほど少しずつ増える傾向は類似した(図8)。



【0112】
ii).各臓器の重量変化
食餌摂取が、それぞれの臓器に及ぼす影響を調べるために、各臓器の重量を測定した。
【0113】
【表10】

【0114】
表10に表われたように、まず、解毒作用を担当する肝の重量比は正常群(Normal)と比べた時、対照群(キムチ A)、エポキシフェノール缶キムチ(CK−E)、ラミネート缶キムチ(CK−L)は少し増加し、正常群を除外した残りの群は類似した。腎臓の場合も正常群に比べてキムチを摂取した群から大きく表われ、特に、エポキシフェノール缶は大きく増加した。免疫界に関係する脾臓の場合、正常群より残りの群が増加し、特に、エポキシフェノール缶が大きく表われたが、有意的な差は見えなかった。また、生殖器の重量比は、正常群に比べてキムチ試料を添加した群がすべて高重量比を表わしたが、有意的な差はない。
【0115】
iii).血清での肝毒性検査
肝毒性検査のために、血清アミノトランスフェラーゼ(aminotransferase)の活性は、ライトマン(Reitman)とフランケル(Frankel)との方法に準じて調剤されたkit(牙山(アサン)製薬)を使ってアラニントランスアミナーゼ(alanine transaminase、100ml当たりDL−アラニン1,780mg及びα−ケトグルタル酸(ketoglutaric acid)29.2mg含有)及び基質液1.0mlを加えて37℃で5分間前培養(preincubation)させた後、血清0.2mlを入れて37℃でアラニントランスアミナーゼは30分、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(aspartate transaminase)は60分反応させた後、呈色試薬(2,4−dinitrophenylhydrazine、19.8mg/100ml含有)1.0mlを添加した後、0.4N NaOH溶液1.0mlを加えて混合した後、10分間室温で放置して波長505nmで吸光度を測定して、その活性度を標準検量線に準じて血清1ml当たりカーメン単位で表示した。
【0116】
【表11】

【0117】
表11に表われたように、AIN−93食餌のみを摂取した正常群では、AST(カーメン単位/ml of serum)が134.8であるが、販売用キムチ群とエポキシフェノール缶群とは、それぞれ111.1と113.1とで大きく差が表われず、ラミネート缶も116.3で大きく異ならなかった。ALT(カーメン単位/ml of serum)は、AIN−93食餌のみ摂取した群は40.9であるのに比べて販売用キムチ群は36.1であり、残りのエポキシフェノール缶群とラミネート缶群とは33.5、32.8で大きく異ならないように表われた。
【0118】
IV).腎臓毒性検査
血中尿素濃度(BUN)は、高蛋白摂取や節食による組職崩壊時、そして、排泄障害や腎臓機能障害尿毒症などで増加する。したがって、腎臓毒性検査のために、血液尿素窒素(Blood urea nitrogen)は、ウレアーゼ酵素法に準じて調剤されたkit(牙山製薬)を使った。ウレアーゼ酵素0.1mlと緩衝液20mlとを混ぜたウレアーゼ酵素緩衝液に血清を加えて37℃で15分間反応させ、これに、サリチル酸とアルカリ次亜塩素酸(alkalic hypochlorous acid)とを加えて37℃で5分間反応させて生成されたインドフェノールをウレアナイトロジェン基準液(60mg/100ml urea−N)と比べて比色定量した。
【0119】
クレアチニン(Creatinine)は、Jaffmodified直接法(creatinine Jaff反応変法であって、ラウリル硫酸ナトリウムと硼砂とを使って蛋白及び炭化物を複合物に増色させて酸性試薬でクリアチニン成分のみ脱色させて比色する法)である。血清にピクリン酸試薬3mlを入れて37℃水槽で20分間放置後、吸光度値からこれに酸性試薬を二滴入れて37℃水槽で5分間放置後、読み取った吸光度値を差引いて標準(creatinine基準液)と対照して計算した。
【0120】
【表12】

【0121】
表12に表われたように、AIN−93食餌のみ摂取した対照群では、BNU数値が13.3mg/dlであり、キムチを摂取した群、エポキシフェノール缶キムチを摂取した群、ラミネート缶キムチを摂取した群でそれぞれのBNU数値は、12.1mg/dl、11.7mg/dl、11.7mg/dlで対照群とは有意的な差を見せなかった。また、エポキシフェノール缶キムチを摂取した群とラミネート缶キムチを摂取した群は、一般キムチを摂取した群と類似している値を表わした。
【0122】
クレアチン量の場合、AIN−93食餌のみを摂取した対照群のクレアチン量は、1.1mg/dlであり、キムチを摂取した群、エポキシフェノール缶キムチを摂取した群、ラミネート缶キムチを摂取した群でそれぞれのクレアチン量は、1.0mg/dl、1.2mg/dl、1.2mg/dlですべて正常範囲の以内の値を表わした。
【0123】
2.マウス末梢血の網状赤血球を利用した小核実験
エポキシフェノール缶とラミネート缶とに充填して製造した缶キムチ試料を1回経口投与して6時間後、小核誘発物質であるマイトマイシンCを注射して小核を誘発させたICRマウスから48時間後、末梢血であるしっぽ静脈から小核の誘発頻度を測定した。
【0124】
本実験に使った動物は、6〜7週齢の雄性ICR系マウス(韓国化学研究所、大田)で、体重が35g前後のものを使い、飼料は標準飼料で飼育した。飼育時に水と飼料とは十分な量を供給し、動物実験室は温図22±1℃、相対湿度55±5%を保持し、12時間間隔でライト−ダークサイクル(light−dark cycle)を保持した。
【0125】
陽性対照群であるマイトマイシンC(MMC、0.1mg/ml)は、アメリカシグマ会社から購入して生理食塩水に溶解させて0.1ml/10g−体重になるように腹腔注射した。試料は滅菌された蒸溜水を使って調剤し、マウス1kg当たり500mg、1,000mgを経口投与した。
【0126】
アクリジンオレンジ−コーティングされたスライドを製作するために、70℃であらかじめ加熱させたスライドガラスの中央に1mg/mlの濃度で蒸溜水に溶かしたアクリジンオレンジ溶液10μlを落とした後、ガラス棒で均一に塗抹して乾燥させた後、密封して使うまで常温で保管した。
【0127】
MMC投与48時間後にマウスのしっぽ血管から血液5μlを取ってアクリジンオレンジ−コーティングされたスライドに落とした後、カバーガラスで覆った後、2時間4℃に放置して細胞とアクリジンオレンジとを十分に反応させた。スライドは、蛍光顕微鏡(オリンパス、モデル U−ULH、日本)で400×で観察し、網状赤血球は、I型からIII型まで2,000個を係数し、そのうち小核を有する網状赤血球を係数して小核誘発頻度を決定した。
【0128】
図9に表われたように、対照群より多少高い小核誘発抑制能を見せ、エポキシフェノール缶キムチとラミネート缶キムチ群は、キムチと類似している小核誘発抑制能を見せた。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の缶キムチは、貯蔵性が非常に向上するだけではなく、官能特性、機能性及び安定性も優れた製品が得られるので、食品産業上に非常に有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
白菜、カラシナ、チョンガ大根、大根、ネギ、えごまの葉、イヌヤフシソウ及びニラからなる群から選択される何れか一つ以上をキムチの主材料として使い、
キトサン、ビタミンC、及びグレープフルーツ種子抽出物のうちから選択された一つ以上をキムチの主材料100重量部を基準にして0.01ないし1.0重量部含み、
イワシ塩辛の汁及びアミの塩辛のうちから選択された一つ以上の塩辛と醗酵水を含有する充填液とがキムチの主材料100重量部を基準にして25ないし55重量部含む缶キムチであって、
前記缶キムチ内のリューコノストック属菌数が1.0×10CFU/ml〜5.0×10CFU/mlであることを特徴とする缶キムチ。
【請求項2】
前記缶内にラクトバシラス属菌が1.0×10CFU/ml未満に存在することを特徴とする請求項1に記載の缶キムチ。
【請求項3】
前記塩辛の含量がキムチの主材料100重量部を基準にして4ないし8重量部混合されたことを特徴とする請求項1に記載の缶キムチ。
【請求項4】
前記醗酵水は、
キムチ材料100重量部に対してニンニク1.4〜2.8重量部、生姜0.6〜1.2重量部、砂糖1.0〜2.0重量部及び千切り大根13〜26重量部を含む味付けを塩水に添加してpHが3.8〜4.1になるまで醗酵させて製造された醗酵水であることを特徴とする請求項1に記載の缶キムチ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−510813(P2010−510813A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549510(P2009−549510)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/KR2008/000329
【国際公開番号】WO2009/091092
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(504093733)プサン ナショナル ユニバーシティー インダストリー−ユニバーシティー コーポレーション ファウンデーション (5)
【Fターム(参考)】