説明

資材搬入管理装置及び方法

【課題】建設工事における資材搬入管理を円滑に行なうことができる資材搬入管理装置及び方法を提供する。
【解決手段】建設エリアに複数の機器ユニットを建設する際に、資材置場エリア又は建設エリアへの建設用資材の搬入を管理する資材搬入管理装置であって、建設エリア及び資材置場エリアの情報が格納されたエリア情報データベース21と、資材置場エリアを区画し、一辺が道路に隣接し且つ前記道路に連結する重機用通路が区画内を貫通した単位区画を複数設定するとともに、建設エリアを機器ユニット毎にエリア分けし、資材設置可能な小エリアを複数設定してエリア情報データベース21に蓄積するエリア区画手段31と、前記エリア情報データベースに蓄積された前記単位区画又は前記小エリアに資材搬入の優先順位を付与する場所優先順位付与手段33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設エリアに複数の機器ユニットを建設する際に、前記建設エリアとは別に設けられた資材置場エリア又は前記建設エリアへの建設用資材の搬入を管理する資材搬入管理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にプラントの建設工事においては、施工前に全体の建設計画を立案し、この建設計画に基づいて資材を調達して資材置場に搬入し、必要に応じて資材置場から建設エリアに資材を移動させて施工を行なうようになっている。資材置場の状況管理は工事工程を計画通り進める上で非常に重要であり、着工前の建設計画時における詳細な計画立案、工事進捗時の納入遅れ等に対応した迅速且つ正確な計画再構築が必要である。
【0003】
従来、建設計画時の資材搬入管理は、各資材の容量(占有面積)から、判明している資材納期に併せて積算する方式で必要資材置場面積を見積って資材搬入計画を作成するようにしていた。しかし、広大な資材置場の中で適切な場所に適切な資材を設置するように管理することは困難であった。
【0004】
そこで近年、これらの資材管理をコンピュータによって支援する技術が提案、実用化されつつある。例えば、特許文献1(特開2007−210800号公報)には、資材保管場所情報と、資材管理対象物の位置情報と、資材管理対象物の寸法等の設計情報とから資材保管場所の空きエリアを算出して、空きエリアの幅から資材の搬出し易い位置を選択するようにした資材ロケーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−210800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、資材置場における各資材の設置場所までの詳細な計画は実施されていないのが実情である。このため、実工事進捗時においては資材到着時点で当該資材の置場を判断し、これを決定しているため、その後の進捗を見据えた適切な配置とならない場合がある。また、納入遅れが重なると資材置場面積が不足する事態が発生する可能性がある。
さらに、予め設けられた資材置場のみでは資材置場面積が不足する場合に、資材置場以外にどのエリアに資材を設置すればよいか判断し難かった。さらにまた、広大な資材置場のどこに資材を搬入するかが不明瞭であった。
【0007】
また、特許文献1に開示されるシステムは、資材保管場所と資材管理対象物の関係性から適切な空きエリアを算出するのみであり、建設工事の各作業に紐付いた資材の入荷情報に基づいて資材管理を行なうものではなく、建設計画に沿った資材搬入管理を行なうことはできなかった。
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、建設工事における資材搬入管理を円滑に行なうことができる資材搬入管理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る資材搬入管理装置は、建設エリアに複数の機器ユニットを建設する際に、前記建設エリア又は前記建設エリアとは別に設けられた資材置場エリアへの建設用資材の搬入を管理する資材搬入管理装置であって、前記建設エリアに関する情報と前記資材置場エリアに関する情報とが格納されたエリア情報データベースと、前記資材置場エリアを区画し、一辺が道路に隣接し且つ前記道路に連結する重機用通路が区画内を貫通した単位区画を複数設定するとともに、前記建設エリアを機器ユニット毎に複数の小エリアにエリア分けし、前記機器ユニットの建設前で資材設置可能な小エリアを複数設定して、前記複数の単位区画と前記複数の小エリアを前記エリア情報データベースに蓄積するエリア区画手段と、前記エリア情報データベースに蓄積された前記単位区画又は前記小エリアに資材搬入の優先順位を付与する場所優先順位付与手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
前記機器ユニットは、配管や電気系統、構造物を含み、一つ以上の機能を発揮する機器、装置又は設備である。前記建設エリアは複数の機器ユニットが建設される場所であり、前記小エリアは建設エリアのうち一つの機器ユニットが建設される場所である。前記資材置場エリアは主に資材を置くために建設エリアとは別に設けられた場所であり、前記単位区画は資材置場エリアを区画して形成される場所である。単位区画は、通路に設置されたクレーン等の重機のアーム幅に応じてその幅等の区画寸法が設定されることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、資材置場エリアを区画して設定された複数の単位区画と、建設エリアをエリア分けして設定された複数の小エリアとに資材を搬入するようにしたため、資材設置面積を増大することができ、また資材置場エリア及び建設エリアを夫々小面積に区分けしているため、符番もしくは名称を明確化することにより、資材を搬入する場所が明瞭化する。
また、単位区画は、一辺が道路に隣接し且つ前記道路に連結する重機用通路が区画内を貫通した構成を備えるため、重機の通路が確保でき資材を円滑に搬入、移動することが可能となる。
さらに、小エリア又は単位区画において資材搬入の優先順位を付与して、優先順位に基づいて資材を搬入するようにしたため、搬入される資材と資材設置場所との紐付けがされ、広大な建設エリア又は資材置場の中でどの場所に資材を搬入すればよいかが明瞭となり、作業の円滑化が図れる。
【0011】
また、前記エリア区画手段で設定された前記資材設置可能な小エリアの夫々における資材設置可能な面積推移を算出する面積推移算出手段を備え、前記場所優先順位付与手段で、前記小エリアに前記単位区画より高い優先順位を付与するようにし、前記算出された面積推移に応じて前記資材設置可能な小エリアに優先的に前記資材を搬入することが好ましい。
小エリアは建設エリアの一部であるため、資材が使用される小エリア(施工現場)の近隣に位置する他の小エリアに資材を搬入することで資材の移動が円滑に行なえるとともに工数削減の効果も得られる。しかし、予定の時期になると小エリアでは機器ユニットの建設が着工されるため、未着工で空いている小エリアの領域に資材を搬入する必要がある。そこで、各小エリアにおいて資材設置可能な時期と面積とを算出しておき、これらが資材搬入時期と占有面積に合致する小エリアが存在する場合には、その小エリアの優先順位を最も高くすることにより、確実に資材が設置でき、且つ効率的な資材搬入を可能とすることができる。
【0012】
また、前記場所優先順位付与手段では、前記エリア区画手段で設定された複数の前記単位区画のそれぞれにおいて、前記資材が使用される小エリア及び前記道路に最も近い位置を選定し、選定された複数の前記位置の中で、前記道路との距離が最も小さい前記位置に高い優先順位を付与することが好ましい。
単位区画の場所優先順位を設定する時は、複数の単位区画において、まず資材が使用される小エリア及び前記道路に最も近い位置を夫々選定することで、各単位区画の中で最も効率的に資材を搬入、移動できる位置が求められる。さらに、これらの選定された複数の位置の中で道路との距離が最も小さい位置に高い優先順位を付与し、この高い優先順位が付与された単位区画の位置に資材を搬入することで、より短時間で且つ効率的に資材を搬入、移動することが可能となる。尚、ここでいう搬入とは、納入された資材を保管場所まで運搬することであり、移動とは資材を保管場所から建設現場まで横持ち(移動)することである。また、小エリアに最も近い位置とは、道路又は通路を介した距離が最も近いことを意味する。
【0013】
さらに、前記場所優先順位付与手段は、例えば前記単位区画内又は前記資材設置可能な小エリア内では、前記通路に隣接する側が資材設置場所の優先順位が高く、且つ前記道路側の位置が資材設置場所の優先順位が高くなると言うように、一定のルールに則り設定することが好ましい。
これは、単位区画内又は資材設置可能な小エリア内においては、通路に隣接する側及び道路側の位置の方が資材の搬入、移動が容易であるため優先順位を高く設定することにより資材の搬入、移動が円滑に行なえ、作業時間も短縮できる。尚、単位区画内又は資材設置可能な小エリア内における場所優先順位は、通路に隣接する側及び道路側の位置から通路又は道路の位置関係に応じて低くなるように設定するとよい。
【0014】
また、前記資材の情報を、前記複数の機器ユニットの建設作業のうち同一種の繰り返し作業が夫々括り出された作業群の情報と関連付けてこれらを格納した資材情報データベースと、前記資材情報データベースに格納した資材情報に、該資材情報と関連付けられた作業群の工程順に基づいて前記資材の優先順位を付与する資材優先順位付与手段と、前記資材優先順位と前記場所優先順位とを対応させて前記資材の搬入場所を決定する搬入場所決定手段とを備えることが好ましい。
【0015】
前記作業群は、例えば過去の建設工事における工事日報、または予測される建設工事に基づいて同一種の繰り返し作業を抽出し、グループ化したものである。繰り返しの回数には1回を含むものとする。建設計画の作成において、建設工事に含まれる多数の作業を、同一種の繰り返し作業毎に括り出し、これをグループ化した作業群とすることで、各作業群毎に必要とされる作業員、重機を定量化しやすくなる。
さらに、資材の入荷日又は入荷順に関係なく、作業群の工程順に基づいて資材優先順位を付与し、建設工事において先に使用される資材の優先順位を高く設定することにより、最も取り出しやすい場所に資材優先順位の高い資材を搬入することが可能で、作業の効率化が図れる。
【0016】
さらに、前記搬入場所決定手段により前記資材を前記小エリアに設置することが決定した時、前記資材の設置期間と前記小エリアの着工時期とを比較し、前記設置期間と前記着工時期とが重なる場合には前記資材の設置場所を前記小エリアから前記単位区画に変更する搬入場所修正手段を備えることが好ましい。
このように、資材の設置期間と小エリアの着工時期とが少しでも重なる場合には、資材の設置場所を小エリアから単位区画に変更することにより、資材が邪魔になり小エリアの着工時期を遅らせてしまうことを防止できる。
【0017】
さらにまた、前記エリア情報データベースに蓄積された複数の前記単位区画からなる資材置場と、複数の前記小エリアからなる建設エリアを、前記場所優先順位付与手段で付与された場所優先順位とともにレイアウト表示する出力手段を備えることが好ましい。
このように、単位区画に区画された資材置場と、小エリアにエリア分けされた建設エリアとを場所優先順位とともにレイアウト表示することにより、どこに資材を搬入するかを瞬時に把握することが可能となる。
【0018】
また、前記資材搬入管理装置は、前記作業群の時系列位置を決定して建設計画を作成する建設計画管理装置に接続可能であって、前記資材の占有面積に対応した資材設置面積を、前記小エリア及び前記単位区画の少なくともいずれかに確保できるか否かを判断する資材受入判断手段と、前記資材受入判断手段で前記資材に対応した資材設置面積を確保できないと判断された場合に、前記資材優先順位を修正するとともに、修正された前記資材優先順位に基づいて前記建設計画管理装置に建設工程の修正指示を出力する計画修正手段とを備えることが好ましい。
このように、小エリアの着工時期に必要とされる資材が、小エリア及び単位区画の何れにも設置できず、資材設置場所が不足する場合に、資材設置場所への搬入工程と、これに対応して建設工程とを修正することによって、資材設置場所が不足する問題を解消できる。建設工程の修正とは、作業群の前後相関の変更や時系列位置の変更等である。
【0019】
さらに、前記資材受入判断手段で前記資材に対応した資材設置面積を確保できると判断された場合に、資材搬入計画または建設計画における変動可能な変化値が、初期計画に対して予め設定された許容限界内か否かを判定する変化値判定手段を備え、前記変化値判定手段で、前記変化値が前記許容限界を超えている場合には、前記計画修正手段により前記資材優先順位を修正するとともに、前記建設計画管理装置に建設工程の修正指示を出力することが好ましい。
なお、変化値とは、資材搬入計画または建設計画で変動可能なコスト、工期、または資材設置場所の許容面積等である。これらの変化値は変動可能ではあるが、それぞれ許容限界が存在する。
資材搬入計画は、資材の搬入時期、資材の優先順位に基づいた資材の搬入順、場所の優先順位に基づいた資材の設置場所、資材設置場所から施工現場までの移送時期等を含む。建設計画は、作業群の前後相関や時系列位置が設定された一連の建設工程を複数含む。
このように、初期計画からの修正により、資材搬入計画または建設計画の変化値が許容限界を超えてしまった場合に、資材設置場所への搬入工程と、これに対応して建設工程とを修正することによって、コストや工期等が大幅に増大してしまうことを防止できる。
【0020】
また、本発明に係る資材搬入管理方法は、建設エリアに複数の機器ユニットを建設する際に、前記建設エリア又は前記建設エリアとは別に設けられた資材置場エリアへの建設用資材の搬入を管理する資材搬入管理方法であって、前記建設エリアに関する情報と前記資材置場エリアに関する情報とが格納されたエリア情報データベースと、前記エリア情報データベースに基づいて資材の搬入場所を演算する処理装置とを備え、前記処理装置にて、前記資材置場エリアを区画し、一辺が道路に隣接し且つ前記道路に連結する重機用通路が区画内を貫通した単位区画を複数設定するとともに、前記建設エリアを機器ユニット毎に複数の小エリアにエリア分けし、前記機器ユニットの建設前で資材設置可能な小エリアを複数設定して、前記複数の単位区画と前記複数の小エリアを前記エリア情報データベースに蓄積する工程と、前記エリア情報データベースに蓄積された前記単位区画又は前記小エリアに場所優先順位を付与する工程とを備えることを特徴とする。
【0021】
また、前記処理装置にて前記エリア情報データベースに蓄積された前記資材設置可能な小エリアの夫々における資材設置可能な面積推移を算出する工程を備え、前記場所優先順位を付与する工程で、前記算出された面積推移に基づいて資材設置可能な前記小エリアが存在する場合に、前記処理装置により前記小エリアに前記単位区画より高い優先順位を付与することが好ましい。
さらに、前記場所優先順位を付与する工程で、前記エリア情報データベースに蓄積された複数の前記単位区画のそれぞれにおいて、前記資材が使用される小エリア及び前記道路に最も近い位置を選定し、選定された複数の前記位置の中で、前記道路との距離が最も小さい前記位置に高い場所優先順位を付与することが好ましい。
【0022】
また、前記資材の情報を、前記複数の機器ユニットの建設作業のうち同一種の繰り返し作業が夫々括り出された作業群の情報と関連付けてこれらを格納した資材情報データベースを備え、前記処理装置にて、前記資材情報データベースに格納した資材情報に、該資材情報と関連付けられた作業群の工程順に基づいて前記資材の優先順位を付与する工程と、前記資材優先順位と前記場所優先順位とを対応させて前記資材の搬入場所を決定する工程とを備えることが好ましい。
さらにまた、前記搬入場所を決定する工程により前記資材を前記小エリアに設置することが決定した後、前記資材の設置期間と前記小エリアの着工時期とを比較し、前記設置期間と前記着工時期とが重なる場合には前記資材の設置場所を前記小エリアから前記単位区画に変更する工程を備えることが好ましい。
【0023】
また、前記処理装置は、前記作業群の時系列位置が設定された建設計画を作成する建設計画管理装置に接続可能であって、前記処理装置にて、前記資材の占有面積に対応した資材設置面積を、前記小エリア及び前記単位区画の少なくともいずれかに確保できるか否かを判断する工程と、前記資材設置面積が確保できるか否かを判断する工程で前記資材に対応した資材設置面積を確保できないと判断された場合に、前記資材優先順位を修正するとともに、修正された前記資材優先順位に基づいて前記建設計画管理装置に建設工程の修正指示を出力する工程とを備えることが好ましい。
【0024】
さらに、前記処理装置では、前記資材設置面積が確保できるか否かを判断する工程で前記資材に対応した資材設置面積を確保できると判断された場合に、資材搬入計画または建設計画における変動可能な変化値が、初期計画に対して予め設定された許容限界内か否かを判断し、前記変化値が前記許容限界を超えている場合には、前記資材優先順位を修正するとともに、前記建設計画管理装置に建設工程の修正指示を出力することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
以上記載のごとく本発明の資材搬入管理装置及び方法によれば、資材置場エリアを区画して設定された複数の単位区画と、建設エリアをエリア分けして設定された複数の小エリアとに資材を搬入するようにしたため、資材設置面積を増大することができ、また資材置場エリア及び建設エリアを夫々小面積に区分けしているため、符番もしくは名称を明確化することにより、資材を搬入する場所が明瞭化する。
また、単位区画は、一辺が道路に隣接し且つ前記道路に連結する重機用通路が区画内を貫通した構成を備えるため、重機の通路が確保でき資材を円滑に搬入、移動することが可能となる。
さらに、小エリア又は単位区画において資材搬入の優先順位を付与して、優先順位に基づいて資材を搬入するようにしたため、搬入される資材と資材設置場所との紐付けがされ、広大な建設エリア又は資材置場の中でどの場所に資材を搬入すればよいかが明瞭となり、作業の円滑化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図3】建設エリアをエリア分けした図である。
【図4】資材設置可能な面積推移を示すグラフである。
【図5】資材設置箇所の優先順位を示す図である。
【図6】単位区画内の優先順位を説明する図である。
【図7】作業群の工程順が設定された建設工程表である。
【図8】資材データベースの具体例を示す図である。
【図9】資材の設置期間を表す模式図である。
【図10】本発明の実施形態の変形例に係る装置のブロック構成図である。
【図11】本発明の実施形態の変形例に係る装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図12】資材搬入工程の変更例で、(A)は資材置場に超過が発生した状態を示す模式図、(B)は資材搬入時期を前倒しした場合の模式図、(C)は資材搬入時期を分散させた場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
本発明の実施形態に係る資材搬入管理装置は、建設エリアに複数の機器ユニットを建設する際に、前記建設エリアとは別に設けられた資材置場エリア又は前記建設エリアへの建設用資材の搬入を管理する装置である。
【0028】
複数の機器ユニットからなる建設対象物としては、例えば各種プラントが挙げられる。プラントとは、付加価値を生み出す機能を発揮するために配置され又は組み合わされた複数の機器ユニットからなる複合体である。プラントの例としては、火力発電プラント、原子力発電プラント、石油化学プラント、石油精製プラント、ごみ処理プラント等が挙げられる。前記機器ユニットは、配管や電気系統、構造物を含み、一つ以上の機能を発揮する機器、装置又は設備である。火力発電プラントを例に挙げると機器ユニットとしては、発電ボイラ、焼却炉、排ガス処理装置等となる。尚、本発明では、機器ユニットとして、作業員の休憩所や事務所等の建造物を含むものとする。
建設エリアは、複数の機器ユニットが建設される場所である。資材置場エリアは、主に資材を置くために、建設エリアとは別に設けられた場所である。
【0029】
図1は本発明の実施形態に係る装置のブロック構成図である。
資材搬入管理装置100は、主に、入力手段1と、データベース装置2と、各種演算処理を行う処理装置3と、出力手段4とを備えたコンピュータで構成される。尚、データベース装置2は、処理装置3とは異なるハードウェアであってもよく、この場合は公衆回線又は専用回線で且つ有線又は無線通信を介して処理装置3に接続されるようにする。
【0030】
入力手段1は、資材搬入日等の情報を入力する装置である。
データベース装置2は、複数のデータベースを有しており、少なくともエリア情報データベース21、資材情報データベース22、建設工程データベース23を備えている。
前記エリア情報データベース21は、建設エリアに関する情報と、資材置場エリアに関する情報とが格納されたデータベースである。図3に示されるように、建設エリアと資材置場エリアは別に設けられている。さらに、エリア情報データベース21には、後述するエリア区画手段31で設定される単位区画と小エリアに関する情報が蓄積されるようになっている。
【0031】
前記資材情報データベース22は、図8に示されるように、資材の情報を、複数の機器ユニットの建設作業のうち同一種の繰り返し作業が夫々括り出された作業群の情報と関連付けてこれらを格納したデータベースである。前記作業群は、例えば過去の建設工事における工事日報、または予測される建設工事に基づいて同一種の繰り返し作業を抽出し、グループ化したものである。繰り返しの回数には1回を含むものとする。このように建設計画の作成において、建設工事に含まれる多数の作業を、同一種の繰り返し作業毎に括り出し、これをグループ化した作業群とすることで、各作業群毎に必要とされる作業員、重機を定量化しやすくなる。
前記建設工程データベース23は、図7に示されるように、作業群の工程順が設定されたデータベースである。建設工程データベース23は、エリア情報データベース21、資材情報データベース22とリンクされているのが通例である。
【0032】
処理装置3は、主に、エリア区画手段31と、面積推移算出手段32と、場所優先順位付与手段33と、資材優先順位付与手段34と、搬入場所決定手段35と、搬入場所修正手段36とを備えている。
前記エリア区画手段31は、図5に示されるように、資材置場エリアを区画し、一辺が道路に隣接し且つ前記道路に連結する重機用通路が区画内を貫通した単位区画を複数設定する。尚、単位区画は、資材置場エリアを区画して形成される場所であり、通路に設置されたクレーン等の重機のアーム幅に応じてその面積が設定されることが好ましい。また、図3に示されるように、建設エリアを機器ユニット毎に複数の小エリアにエリア分けし、機器ユニットの建設前で資材設置可能な小エリアを複数設定する。尚、小エリアは、建設エリアのうち一つの機器ユニットが建設される場所である。これらの単位区画及び小エリアに関する情報は、エリア情報データベース21に蓄積される。
【0033】
前記面積推移算出手段32は、各小エリアにおいて資材設置可能な面積の推移を算出する手段である。単位区画においても同様に面積推移を算出してもよい。
算出結果は、建設工程データベース23に基づいて例えば図4(a)〜(c)のグラフのように表される。同グラフにおいて、段差状の直線は資材を設置可能な面積の推移を表し、一点鎖線は搬入資材による占有面積を示している。
【0034】
前記場所優先順位付与手段33は、エリア区画手段31で設定された単位区画又は資材設置可能な小エリアの夫々に資材搬入の優先順位を付与する。
優先順位を付与する方法の一つとして、面積推移算出手段32で算出された面積推移に基づいて資材設置可能な小エリアが存在する場合には、この小エリアに単位区画より高い優先順位を付与する。
小エリアは建設エリアの一部であるため、資材が使用される小エリアの近隣に位置する他の小エリアに資材を搬入することで資材の移動が円滑に行なえるとともに工数削減の効果も得られる。しかし、予定の時期になると小エリアでは機器ユニットの建設が着工されるため、未着工で空いている小エリアの領域に資材を搬入する必要がある。そこで、図4に示すように各小エリアにおいて資材設置可能な時期と面積とを算出しておき、これらが資材搬入時期と占有面積に合致する小エリアが存在する場合には、その小エリアの優先順位を最も高くすることにより、確実に資材が設置でき、且つ効率的な資材搬入を可能とすることができる。
【0035】
また、資材設置可能な小エリアが存在しない場合には、エリア情報データベース21に蓄積された複数の単位区画のそれぞれにおいて、資材が使用される小エリア及び道路に最も近い位置を夫々選定し、選定された複数の位置の中で、道路との距離が最も小さい位置に高い場所優先順位を付与することが好ましい。
図5を参照して、単位区画の優先順位を設定する例を説明する。ここで、資材が使用される小エリア(施工現場)はB排ガス処理エリアとする。
まず、複数の単位区画a、b、・・・において、B排ガス処理エリア及び道路に最も近い位置を夫々選定する。このとき、B排ガス処理エリアに最も近い位置とは、道路又は通路を介した距離が最も近い位置をいう。図5のa区画では位置1−1、1−2がB排ガス処理エリア及び道路に最も近い位置となる。
【0036】
次いで、図6に示すように、各単位区画において、選定された位置と道路との距離xを求める。そして、距離xが小さい順から高い優先順位を付与する。図5では、優先順位は、位置1−1>1−2>2−1>2−2>1−3>1−4>2−3>2−4・・・となる。ここで、xは工事の進行とともに大きくなるものではなく、設置していた資材が使われてしまうことで小さな値にも変動する。
また、搬入した資材が大型で占有面積が大きく、例えば位置1−1と位置1−3とを占有した場合、その後の優先順位は、位置1−2>2−1>2−2>1−4>2−3>2−4・・・となる。
【0037】
このように、複数の単位区画において、まず資材が使用される小エリア及び前記道路に最も近い位置を夫々選定することで、各単位区画の中で最も効率的に資材を搬入、移動できる位置が求められる。さらに、これらの選定された位置の中で道路に最も近い位置に高い優先順位を付与し、この高い優先順位が付与された単位区画の位置に資材を搬入することで、より短時間で且つ効率的に資材を搬入、移動することが可能となる。
【0038】
さらに、場所優先順位付与手段33では、資材が使用される小エリアへの距離が同一の単位区画と資材設置可能な小エリアとでは、資材設置可能な小エリアの方が資材設置場所の優先順位が高くなるように設定してもよい。このように、資材が使用される小エリアへの距離が同一である場合、資材設置可能な小エリアの方が単位区画よりも場所優先順位が高くなるように設定することにより、資材を取り出しやすい建設エリアに資材を設置することが多くなり、資材の移動が円滑に行なえる。
【0039】
さらにまた、場所優先順位付与手段33では、単位区画内又は資材設置可能な小エリア内では、通路に隣接する側が資材設置場所の優先順位が高く、且つ道路側の位置が資材設置場所の優先順位が高くなるように設定することが好ましい。これは、単位区画内又は資材設置可能な小エリア内においては、通路に隣接する側及び道路側の位置の方が資材の搬入、移動が容易であるため優先順位を高く設定することにより資材の搬入、移動が円滑に行なえ、作業時間も短縮できる。尚、単位区画内又は資材設置可能な小エリア内における場所優先順位は、通路に隣接する側及び道路側の位置から通路又は道路の距離に比例して低くなるように設定するとよい。
【0040】
前記資材優先順位付与手段34は、資材情報データベースに格納した資材情報に、該資材情報と関連付けられた作業群の工程順に基づいて前記資材の優先順位を付与する手段である。
前記搬入場所決定手段35は、資材優先順位付与手段34で設定された資材優先順位と、場所優先順位付与手段33で設定された場所優先順位とを対応させて、前記資材の搬入場所を決定する手段である。即ち、優先順位の高い資材は優先順位の高い資材設置場所に搬入する。
前記搬入場所修正手段36は、搬入場所決定手段35により資材を小エリアに設置することが決定した時、資材の設置期間と小エリアの着工時期とを比較し、設置期間と着工時期とが重なる場合には資材の設置場所を小エリアから単位区画に変更する手段である。図9に示されるように、単位区画又は小エリア毎に、資材を入荷して移動させるまでの設置期間と、小エリアの着工時期とを比較し、これが時間軸に対して重なる場合には、この小エリアに資材を搬入せず単位区画に搬入する。
【0041】
図2のフローを参照して、本発明に係る資材搬入管理装置の処理フローを説明する。
まず、作業群を工程順に並べて図7に示されるような建設計画を作成する(S1)。また、エリア区画手段31により、図3に示されるように建設エリアを機器ユニット毎にエリア分けして複数の小エリアを設定するとともに、図5に示されるように資材置場エリアを区画して複数の単位区画を設定する(S2)。複数の単位区画及び複数の小エリアに関する情報は、エリア情報データベース21に蓄積する。
面積推移算出手段32により、図4に示されるように、複数の小エリアにおいて、資材設置可能な面積推移を算出する(S3)。
【0042】
このように、資材置場エリアを区画して設定された複数の単位区画と、建設エリアをエリア分けして設定された複数の小エリアとに資材を搬入するようにしたため、資材設置面積を増大することができ、また資材置場エリア及び建設エリアを夫々小面積に区分けしているため、資材搬入の優先順位を設定しやすくなる。また、単位区画は、一辺が道路に隣接し且つ前記道路に連結する重機用通路が区画内を貫通した構成を備えるため、重機の通路が確保でき資材を円滑に搬入、移動することが可能となる。さらに、単位区画又は小エリアの夫々における資材設置可能な面積推移を算出することにより、確実に資材が設置できる時期と面積を把握することが可能となる。
【0043】
次いで、場所優先順位付与手段33により単位区画または小エリアに優先順位を付与する(S4)。ここでは資材が使用される小エリア及び道路に対する距離に基づいて資材設置場所の優先順位を付与することにより、資材設置場所に搬入した資材を最も短時間で資材使用場所に移動させることが可能となり、作業の効率化及び時間の短縮化が可能となる。
同様に、資材優先順位付与手段34により、資材情報に関連付けられた作業群の工程順に基づいて資材の優先順位を付与する(S5)。場所優先順位付与又は資材優先順位付与は、予めエリア情報データベース21又は資材情報データベース22に設定しておいてもよい。このように資材の入荷日又は入荷順に関係なく、作業群の工程順に基づいて資材優先順位を付与し、建設工事において先に使用される資材の優先順位を高く設定することにより、最も取り出しやすい場所に資材優先順位の高い資材を搬入することが可能で、作業の効率化が図れる。
【0044】
搬入場所が建設エリアに配置された小エリアか、又は資材置場に配置された単位区画かを判断し(S6)、搬入場所が単位区画である場合には単位区画に資材を搬入し(S8)、着工時期がきたら施工現場である小エリアに移送して据付する(S11)。搬入場所が小エリアである場合には、搬入場所修正手段36により、資材の設置期間と小エリアの着工時期とを比較し(S7)、資材の設置期間と小エリアの着工時期が少しでも重なる場合には、搬入場所を小エリアから単位区画に変更して単位区画に資材を搬入する(S9)。そして、資材の使用時期になったら横持ち作業(S10)により資材を機器ユニットが建設される小エリアに資材を搬入し(S8)、据付する(S11)。一方、資材の設置期間と小エリアの着工時期が全く重ならない場合には、搬入場所を小エリアとしたまま小エリアに資材を搬入し(S8)、着工時期がきたら施工現場である小エリアに移送して据付する(S11)。このように、資材の設置期間と小エリアの着工時期とが重なる場合には、資材の設置場所を小エリアから単位区画に変更することにより、搬入資材が邪魔になり小エリアの着工時期を遅らせてしまうことを防止できる。
【0045】
次に、図10〜図12を参照して本実施形態の変形例につき説明する。本変形例では、資材の設置場所が不足する場合にも適用可能な構成となっている。
図10は本発明の実施形態の変形例に係る装置のブロック構成図で、図11は本発明の実施形態の変形例に係る装置の処理フローを示すフローチャートである。本変形例の資材搬入管理装置100は、建設計画を作成する建設計画管理装置200に接続可能となっている。
図10を参照して、資材搬入管理装置100は、入力手段1と、データベース装置2と、各種演算処理を行う処理装置3と、出力手段4とを備えたコンピュータで構成され、処理装置3は、主に、エリア区画手段31と、面積推移算出手段32と、場所優先順位付与手段33と、資材優先順位付与手段34と、搬入場所決定手段35と、搬入場所修正手段36、資材受入判断手段37と、計画修正手段38と、変化値判定手段39とを備えている。なお、図1に示した実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0046】
資材受入判断手段37は、資材の占有面積に対応した資材設置面積を、小エリア及び単位区画の少なくともいずれかに確保でき、資材を受入可能か否かを判断する。
計画修正手段38は、資材受入判断手段37で前記資材に対応した資材設置面積を確保できないと判断された場合に、資材優先順位を修正するとともに、修正された資材優先順位に基づいて後述する建設計画管理装置200に建設工程の修正指示を出力する。建設工程の修正とは、作業群の前後相関の変更や時系列位置の変更等である。
変化値判定手段39は、資材受入判断手段37にて搬入する資材に対応した資材設置面積を確保できると判断された場合に、資材搬入計画または建設計画で変動可能な変化値が、初期計画に対して予め設定された許容限界内か否かを判定する。
なお、変化値とは、コスト、工期、または資材設置場所の許容面積等である。これらの変化値は変動可能ではあるが、それぞれ許容限界が存在する。また、資材搬入計画は、資材の搬入時期、資材の優先順位に基づいた資材の搬入順、場所の優先順位に基づいた資材の設置場所、資材設置場所から施工現場までの移送時期等を含む。建設計画は、作業群の前後相関や時系列位置が設定された一連の建設工程を複数含み、具体的には図7に示すように、作業群が時系列に並べられたものである。
【0047】
建設計画管理装置200は、主に、建設計画を作成する建設計画作成手段51、資材置場の許容面積に基づいて建設工程を修正する建設工程修正手段52を含む処理装置5と、標準工程データベース61、コストデータベース62、仕事量データベース63、建設工程データベース64を含むデータベース装置6とを備える。
尚、本実施形態における各手段、データベースは、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していてもよい。また、データベースの代わりにデータファイルであってもよいことは言うまでもなく、データベースとの記載にはデータファイルをも含んでいる。例えば、データベース装置6は資材搬入管理装置100と共有であってもよく、特に建設工程データベース64は、資材搬入管理装置100の建設工程データベース23と同一であってもよい。
【0048】
標準工程データベース61は、過去の建設工事における工事日報等を参照して作成された標準的な作業群の工程を格納したデータベースである。
コストデータベース62は、作業員の業種毎の人件費単価、クレーンの所定期間毎のリース費用等の情報を格納したデータベースである。
仕事量データベース63は、各作業に対する重機及び作業員の平均的な仕事量を格納したデータベースである。
建設工程データベース64は、建設計画作成手段51で作成された建設計画、または建設工程修正手段52で修正された建設工程を格納したデータベースである。
【0049】
建設計画作成手段51は、標準工程データベース61、コストデータベース62、仕事量データベース63に格納されたデータを基にして建設計画作成シミュレーションを行ない、建設計画を作成する。例えば、入力手段1により入力された設定パラメータに基づいて計画作成シミュレーションを行い、予め設定された制約条件を満たすように各作業群の時系列位置が設定された建設計画を作成する。このとき、計画作成手段51では、入力された設定パラメータのうち建設計画の全体に与えられる重機の使用台数及び作業員の人数に基づいて、重機の使用台数及び作業員の人数を作業群ごとに分配した建設計画を作成することが好ましい。そして、作成された建設計画は、建設工程データベース64、23に格納する。
建設工程修正手段52は、搬入資材の占有面積と、単位区画または小エリアの許容面積とに基づいて建設工程を修正する手段であり、主に、資材搬入管理装置100の計画修正手段38からの指示によって演算処理を実行する。
【0050】
図11のフローを参照して、本変形例に係る資材搬入管理装置の処理フローを説明する。なお、図2と同様の工程については説明を簡略化している。
まず、建設計画管理装置200の建設計画作成手段51で、作業群を工程順に並べて建設計画を作成する(S1)。また、エリア区画手段31により複数の小エリアと複数の単位区画を設定する(S2)。複数の単位区画及び複数の小エリアに関する情報は、エリア情報データベース21に蓄積する。面積推移算出手段32により、複数の小エリアにおいて資材設置可能な面積推移を算出する(S3)。
【0051】
次いで、場所優先順位付与手段33により単位区画または小エリアの優先順位を付与する(S4)。同様に、資材優先順位付与手段34により、資材情報に関連付けられた作業群の工程順に基づいて資材の優先順位を付与する(S5)。
搬入場所が建設エリアに配置された小エリアか、又は資材置場に配置された単位区画かを判断し(S6)、搬入場所が小エリアである場合には、搬入場所修正手段36により、資材の設置期間と小エリアの着工時期とを比較し(S7)、資材の設置期間と小エリアの着工時期が重ならない場合には、小エリアに資材を搬入し(S8)、着工時期がきたら施工現場である小エリアに移送して据付する(S11)。
【0052】
搬入場所が単位区画に設定された場合には、資材受入判断手段37により、資材の占有面積に対応した資材設置面積を小エリア及び単位区画の少なくともいずれかに確保でき、資材を受入可能か否かを判断し(S12)、資材の受入ができないと判断された場合には、計画修正手段38により資材優先順位を修正するとともに、修正された資材優先順位に基づいて後述する建設計画管理装置200に建設工程の修正指示を出力する(S13)。
そして、建設計画管理装置200の建設工程修正手段52により、資材の優先順位を修正するとともに、これ対応させて建設計画の少なくとも一部の建設工程を修正し、再度改定した建設計画をもとに(S2)以降の処理を行う。
【0053】
ここで、資材の優先順位の修正例を図12に示す。
図12は資材搬入工程の変更例で、(A)は資材置場に超過が発生した状態を示す模式図、(B)は資材搬入時期を前倒しした場合の模式図、(C)は資材搬入時期を分散させた場合の模式図である。図中アルファベットは資材を示す。
図12(A)に示すように、資材C1、資材C2、資材Dが同時期に搬入された時、資材Dを設置する場所がなくなることがある。この場合、図12(B)に示すように、資材Bと資材C1とを前倒しで据付する。これにより発生した資材設置場所の空きに資材Dを搬入する。また、図12(C)に示すように、(Y)を使った搬入遅れの各種パターンに対して建設工程を修正し、資材設置可能であるときの建設計画の全体工程の遅れ値を演算し、全体工程の遅れ値が最小であるパターンを選択してもよい。
【0054】
一方、資材受入判断手段37により資材の受入が可能であると判断された場合には、変化値判定手段39により、初期計画からの修正の有無を判断し(S14)、修正がある場合には資材搬入計画または建設計画の変化値が予め設定された許容限界内か否かを判定する(S15)。ここで変化値とは、例えば、資材搬入計画または建設計画に要されるコスト、工期または資材設置場所の許容面積等をいう。変化値が許容限界を超える場合には、計画修正手段38により資材優先順位を修正するとともに、建設計画管理装置200に建設工程の修正指示を出力する(S13)
初期計画からの修正がない場合、及び変化値が許容限界内である場合には、単位区画に資材を搬入し(S9)、資材の使用時期になったら横持ち作業(S10)により資材を機器ユニットが建設される小エリアに搬入し(S8)、着工時期がきたら施工現場である小エリアに移送して据付する(S11)。
【0055】
このように、小エリアの着工時期に必要とされる資材が、小エリア及び単位区画の何れにも設置できず、資材設置場所が不足する場合に、資材設置場所への搬入工程と、これに対応して建設工程とを修正することによって、資材設置場所が不足する問題を解消できる。また、初期計画からの修正により資材搬入計画または建設計画の変化値が許容限界を超えてしまった場合に、資材設置場所への搬入工程と、これに対応して建設工程とを修正することによって、コストや工期等が大幅に増大してしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0056】
1 入力手段
2 データベース装置
21 エリア情報データベース
22 資材情報データベース
23 建設工程データベース
3 処理装置
31 エリア区画手段
32 面積推移算出手段
33 場所優先順位付与手段
34 資材優先順位付与手段
35 搬入場所決定手段
36 搬入場所修正手段
37 資材受入判断手段
38 計画修正手段
39 変化値判定手段
4 出力手段
5 処理装置
51 建設計画作成手段
52 建設工程修正手段
6 データベース装置
61 標準工程データベース
62 コストデータベース
63 仕事量データベース
64 建設工程データベース
100 資材搬入管理装置
200 建設計画管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設エリアに複数の機器ユニットを建設する際に、前記建設エリア又は前記建設エリアとは別に設けられた資材置場エリアへの建設用資材の搬入を管理する資材搬入管理装置であって、
前記建設エリアに関する情報と前記資材置場エリアに関する情報とが格納されたエリア情報データベースと、
前記資材置場エリアを区画し、一辺が道路に隣接し且つ前記道路に連結する重機用通路が区画内を貫通した単位区画を複数設定するとともに、前記建設エリアを機器ユニット毎に複数の小エリアにエリア分けし、前記機器ユニットの建設前で資材設置可能な小エリアを複数設定して、前記複数の単位区画と前記複数の小エリアを前記エリア情報データベースに蓄積するエリア区画手段と、
前記エリア情報データベースに蓄積された前記単位区画又は前記小エリアに資材搬入の優先順位を付与する場所優先順位付与手段とを備えることを特徴とする資材搬入管理装置。
【請求項2】
前記エリア区画手段で設定された前記資材設置可能な小エリアの夫々における資材設置可能な面積推移を算出する面積推移算出手段を備え、
前記場所優先順位付与手段で、前記小エリアに前記単位区画より高い優先順位を付与するようにし、前記算出された面積推移に応じて前記資材設置可能な小エリアに優先的に前記資材を搬入するようにしたことを特徴とする請求項1記載の資材搬入管理装置。
【請求項3】
前記場所優先順位付与手段では、前記エリア区画手段で設定された複数の前記単位区画のそれぞれにおいて、前記資材が使用される小エリア及び前記道路に最も近い位置を選定し、選定された複数の前記位置の中で、前記道路との距離が最も小さい前記位置に高い優先順位を付与することを特徴とする請求項1又は2記載の資材搬入管理装置。
【請求項4】
前記場所優先順位付与手段は、前記単位区画内又は前記資材設置可能な小エリア内では、前記通路に隣接する側が資材設置場所の優先順位が高く、且つ前記道路側の位置が資材設置場所の優先順位が高くなるように設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の資材搬入管理装置。
【請求項5】
前記資材の情報を、前記複数の機器ユニットの建設作業のうち同一種の繰り返し作業が夫々括り出された作業群の情報と関連付けてこれらを格納した資材情報データベースと、
前記資材情報データベースに格納した資材情報に、該資材情報と関連付けられた作業群の工程順に基づいて前記資材の優先順位を付与する資材優先順位付与手段と、
前記資材優先順位と前記場所優先順位とを対応させて前記資材の搬入場所を決定する搬入場所決定手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の資材搬入管理装置。
【請求項6】
前記搬入場所決定手段により前記資材を前記小エリアに設置することが決定した時、前記資材の設置期間と前記小エリアの着工時期とを比較し、前記設置期間と前記着工時期とが重なる場合には前記資材の設置場所を前記小エリアから前記単位区画に変更する搬入場所修正手段を備えることを特徴とする請求項5記載の資材搬入管理装置。
【請求項7】
前記エリア情報データベースに蓄積された複数の前記単位区画からなる資材置場と、複数の前記小エリアからなる建設エリアを、前記場所優先順位付与手段で付与された場所優先順位とともにレイアウト表示する出力手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の資材搬入管理装置。
【請求項8】
前記資材搬入管理装置は、前記作業群の時系列位置を決定して建設計画を作成する建設計画管理装置に接続可能であって、
前記資材の占有面積に対応した資材設置面積を、前記小エリア及び前記単位区画の少なくともいずれかに確保できるか否かを判断する資材受入判断手段と、
前記資材受入判断手段で前記資材に対応した資材設置面積を確保できないと判断された場合に、前記資材優先順位を修正するとともに、修正された前記資材優先順位に基づいて前記建設計画管理装置に建設工程の修正指示を出力する計画修正手段とを備えることを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の資材搬入管理装置。
【請求項9】
さらに、前記資材受入判断手段で前記資材に対応した資材設置面積を確保できると判断された場合に、資材搬入計画または建設計画における変動可能な変化値が、初期計画に対して予め設定された許容限界内か否かを判定する変化値判定手段を備え、
前記変化値判定手段で、前記変化値が前記許容限界を超えている場合には、前記計画修正手段により前記資材優先順位を修正するとともに、前記建設計画管理装置に建設工程の修正指示を出力することを特徴とする請求項8記載の資材搬入管理装置。
【請求項10】
建設エリアに複数の機器ユニットを建設する際に、前記建設エリア又は前記建設エリアとは別に設けられた資材置場エリアへの建設用資材の搬入を管理する資材搬入管理方法であって、
前記建設エリアに関する情報と前記資材置場エリアに関する情報とが格納されたエリア情報データベースと、前記エリア情報データベースに基づいて資材の搬入場所を演算する処理装置とを備え、
前記処理装置にて、前記資材置場エリアを区画し、一辺が道路に隣接し且つ前記道路に連結する重機用通路が区画内を貫通した単位区画を複数設定するとともに、前記建設エリアを機器ユニット毎に複数の小エリアにエリア分けし、前記機器ユニットの建設前で資材設置可能な小エリアを複数設定して、前記複数の単位区画と前記複数の小エリアを前記エリア情報データベースに蓄積する工程と、
前記エリア情報データベースに蓄積された前記単位区画又は前記小エリアに場所優先順位を付与する工程とを備えることを特徴とする資材搬入管理方法。
【請求項11】
前記処理装置にて前記エリア情報データベースに蓄積された前記資材設置可能な小エリアの夫々における資材設置可能な面積推移を算出する工程を備え、
前記場所優先順位を付与する工程で、前記算出された面積推移に基づいて資材設置可能な前記小エリアが存在する場合に、前記処理装置により前記小エリアに前記単位区画より高い優先順位を付与することを特徴とする請求項10記載の資材搬入管理方法。
【請求項12】
前記場所優先順位を付与する工程で、前記エリア情報データベースに蓄積された複数の前記単位区画のそれぞれにおいて、前記資材が使用される小エリア及び前記道路に最も近い位置を選定し、選定された複数の前記位置の中で、前記道路との距離が最も小さい前記位置に高い場所優先順位を付与することを特徴とする請求項10又は11記載の資材搬入管理方法。
【請求項13】
前記資材の情報を、前記複数の機器ユニットの建設作業のうち同一種の繰り返し作業が夫々括り出された作業群の情報と関連付けてこれらを格納した資材情報データベースを備え、
前記処理装置にて、前記資材情報データベースに格納した資材情報に、該資材情報と関連付けられた作業群の工程順に基づいて前記資材の優先順位を付与する工程と、
前記資材優先順位と前記場所優先順位とを対応させて前記資材の搬入場所を決定する工程とを備えることを特徴とする請求項10乃至12の何れかに記載の資材搬入管理方法。
【請求項14】
前記搬入場所を決定する工程により前記資材を前記小エリアに設置することが決定した後、前記資材の設置期間と前記小エリアの着工時期とを比較し、前記設置期間と前記着工時期とが重なる場合には前記資材の設置場所を前記小エリアから前記単位区画に変更する工程を備えることを特徴とする請求項10乃至13の何れかに記載の資材搬入管理方法。
【請求項15】
前記処理装置は、前記作業群の時系列位置が設定された建設計画を作成する建設計画管理装置に接続可能であって、
前記処理装置にて、前記資材の占有面積に対応した資材設置面積を、前記小エリア及び前記単位区画の少なくともいずれかに確保できるか否かを判断する工程と、
前記資材設置面積が確保できるか否かを判断する工程で前記資材に対応した資材設置面積を確保できないと判断された場合に、前記資材優先順位を修正するとともに、修正された前記資材優先順位に基づいて前記建設計画管理装置に建設工程の修正指示を出力する工程とを備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の資材搬入管理方法。
【請求項16】
前記処理装置では、前記資材設置面積が確保できるか否かを判断する工程で前記資材に対応した資材設置面積を確保できると判断された場合に、資材搬入計画または建設計画における変動可能な変化値が、初期計画に対して予め設定された許容限界内か否かを判断し、前記変化値が前記許容限界を超えている場合には、前記資材優先順位を修正するとともに、前記建設計画管理装置に建設工程の修正指示を出力することを特徴とする請求項15記載の資材搬入管方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−79661(P2011−79661A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10869(P2010−10869)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】