説明

質量分析法を用いた生体分子の検出および定量

本発明は部分的には、質量分析法によって検出可能なデテクター・オリゴヌクレオチドを用いて標的核酸を検出するための方法に関連する。この方法は、核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を用いて、ハイブリダイズされた二重鎖からアニーリングされたオリゴヌクレオチドプローブを切断し、質量分析法による検出のための標識を遊離させる。このプロセスはPCR増幅アッセイに容易に組み込める。この方法はまた、標的核酸の定量分析に関する実施形態を包含する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
多重化アッセイにおいて核酸を検出および定量するための現行の方法は、検出のために蛍光色素を利用するアッセイに特に限られている。例えば、Whiteは、TaqMAN(登録商標)アッセイを用いる多重化の問題を考察している(非特許文献1)。他の問題のなかでも、蛍光色素は、限られた多重化の選択肢しかもたらさず、プライマー伸長およびライゲーションベースのSNP分析、続いてユニバーサルPCRおよびチップ・アレイに対するハイブリダイゼーションを例えば用いることによって、これらの限界を克服しようとする現在利用可能な方法はしばしば、極めて時間を浪費するものである(例えば、1〜2日)。
【0002】
質量分析法の使用では、検出チャネル数の増大のおかげで改良された多重化のための溶液が得られるが、以前に開示された質量分析に基づく方法の実用性は、さらに改善され得る。例えば、PCR増幅したDNAに対するペプチド核酸(PNA)プローブの高い特異性のハイブリダイゼーションの使用、および引き続く質量分析法による検出は、Rossによって記載されている(非特許文献2)。また、プライマー伸長法および質量分析法によるプライマー伸長生成物の検出は、Haffによって記載されている(非特許文献3)。さらなる質量分析法に基づく方法は、Jurinkeらによって記載されている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】White、「Trends in Biotechnology」、1996年、第14巻、第12号、p.478−483
【非特許文献2】Ross、「Anal. Chem」、1997年、第69巻、p.4197
【非特許文献3】Haff、「Nucleic Acids Res.」、1997年、第25巻、p.3749
【非特許文献4】Jurinkeら、「Adv Biochem Eng Biotechnol」、2002年、第77巻、p.57−74
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要旨)
本発明は一部は、核酸のような標的生体分子を特定および定量するため、ならびに標的生体分子配列、例えば、核酸配列またはヌクレオチド配列を検出するための方法を提供する。本発明の方法は、複数の標的核酸を、PCR後の酵素的処理を省いたままで、単一のサンプルまたは複数のサンプル中で同時に検出するために有益である。大セットの特有の、質量識別可能な生成物(MDP’s)を生成してもよく、これによって複数の標的核酸の同時の検出が可能になる。さらに本明細書で記載されるとおり、1つ以上の標的核酸を、標準的な増幅方法によって増幅して、ここでこの増幅プロセスがデテクター(detector)プローブを切断かつ分解し、これが質量分析法によって検出可能な特異的な質量識別可能な生成物を生じる。複数のMDPの検出によって、複数の標的核酸の特定および/または定量が可能になる。
【0005】
各々の質量識別可能な生成物(MDP)は、特有の物理的特徴を有し、その特徴によって、同じアッセイで用いられる他の質量識別可能な生成物に比較した場合、特異的に特定することが可能になる。この質量識別可能な生成物は、この相違に基づいて分離および特定され得る。例えば、MDPは、その固有の、所定の質量に基づいてお互いから異なり得、かつ質量分析法によって検出され得る。従って、質量分析による分析で、標的核酸の存在が、この質量識別可能な生成物を通じて間接的に明らかになる。
【0006】
従って、本発明は部分的には、増幅反応において標的核酸配列を検出、必要に応じて定量する方法を提供し、この方法は:1セットのオリゴヌクレオチドプライマーを提供する工程であって、ここで第一のプライマーがこの標的核酸配列の一方の鎖における領域に相補的な配列を含み、かつ第二のプライマーがこの標的核酸配列の第二の鎖における領域に相補的な配列を含む、工程と;この標的核酸の領域に相補的な配列を含む少なくとも1つのデテクター(detector)オリゴヌクレオチドを提供する工程であって、ここでこのデテクター・オリゴヌクレオチドが、第一の工程のオリゴヌクレオチドプライマーによって結合される標的核酸配列内でアニーリングし、それによって、アニーリングされた二重鎖を作製し、さらに、各々のオリゴヌクレオチドプライマーが、同じ核酸鎖にアニーリングされた任意のデテクター・オリゴヌクレオチドの上流の相補的なテンプレートに対してアニーリングするように選択される工程と;この標的核酸配列を増幅する工程であって、(i)この標的配列内に含まれるテンプレート核酸配列に対してオリゴヌクレオチドプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドをアニーリングさせる工程、ならびに(ii)プライマーオリゴヌクレオチドを伸長させる工程であって、上記核酸増幅酵素がプライマー伸長生成物を合成し、一方でこの核酸増幅酵素の5’→3’ヌクレアーゼ活性が同時に、デテクター・オリゴヌクレオチドおよびその相補的なテンプレート核酸配列を含むアニーリングされた二重鎖からMDP’sを遊離し、これによって1つ以上のMDP’sを作製する工程という、増幅サイクル工程を可能にする条件下で、テンプレート依存性重合化剤として、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素を使用する、標的核酸配列を増幅する工程と;質量分析法によって1つ以上のMDPを検出し、それによってサンプル中の標的配列の有無を検出する工程と、を包含する。代表的には、増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応である。この増幅反応はまた、複数の標的が特定される多重反応であってもよい。関連の実施形態では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000より多く、かつ標的核酸の間の全ての数、またはより多い標的核酸が、単一の反応で、または多重化反応で検出される。別の実施形態では、2つ以上のデテクター・オリゴヌクレオチドを用いて、多重化反応における2つ以上の標的核酸を検出する。
【0007】
ある実施形態では、複数の多形性、例えば、単一ヌクレオチド多形態(一塩基遺伝子多型)(single nucleotide polymorphisms)(SNP’s)、または遺伝子を、標的増幅の条件下で1つの試薬と標的核酸とを組み合わせることによって同時に決定され得る。各々の対の試薬は、標的核酸に結合するオリゴヌクレオチドプライマー、およびデテクター・オリゴヌクレオチド(改変されていてもいなくてもよい)を含む。SNP遺伝子型決定の場合、デテクター・オリゴヌクレオチドは、SNPの部位に結合し、かつオリゴヌクレオチドは、以後の遊離の際に検出可能な検出特徴を有する。好ましい実施形態では、この検出特徴は、質量分析法によって検出可能である。遺伝子発現分析の場合には、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、遺伝子特異的配列に結合して、オリゴヌクレオチドは、その引き続く遊離の際に検出可能な検出特徴を有する。配列増幅の条件は、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ、dNTPs、および効率的な配列増幅を可能にする補助的な試薬を使用し得る。補助的な試薬の例としては、限定はしないが、ベタイン、CGリッチ領域についてはDMSO、界面活性剤およびピロホスファターゼが挙げられる。配列増幅が使用され、これによって標的核酸に結合されたデテクター・オリゴヌクレオチドが切断、および/または分解され、遊離され、および引き続いて、質量分析法によって検出される。各々のSNPまたは特定のMDPに関連する遺伝子を有することによって、当業者は、SNP、またはサンプルに存在する遺伝子を決定し得る。
【0008】
別の関連の実施形態では、サンプル中の標的核酸配列を検出するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅方法が提供され、この方法は以下の工程:サンプルを含むPCR反応物に1セットのオリゴヌクレオチドプライマーを提供する工程であって、第一のPCRプライマーが標的核酸配列の一方の鎖における領域に相補的な配列を含み、第二のPCRプライマーがこの標的核酸配列の第二の鎖における領域に相補的な配列を含む、工程と;標的核酸の領域に相補的な配列を含む少なくとも1つのデテクター・オリゴヌクレオチドを提供する工程であって、ここでこのデテクター・オリゴヌクレオチドが、第一の工程PCRプライマーによって結合される標的核酸配列内でアニーリングし、それによって、アニーリングされた二重鎖を作製し、さらに、各々のPCRプライマーが、同じ核酸鎖にアニーリングされた任意のデテクター・オリゴヌクレオチドの上流の相補的なテンプレートに対してアニーリングするように選択される工程と;増幅工程であって、(i)標的配列内に含まれるテンプレート核酸配列に対してプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドをアニーリングさせる工程、ならびに(ii)前記核酸ポリメラーゼ酵素がプライマー伸長生成物を合成し、一方でこの核酸ポリメラーゼ酵素の5’→3’ヌクレアーゼ活性が同時に、デテクター・オリゴヌクレオチドおよびその相補的なテンプレート核酸配列を含むアニーリングされた二重鎖からMDP’sを遊離し、これによって1つ以上のMDP’sを作製するプライマーを伸長する工程という、PCRサイクリング工程を可能にする条件下で、テンプレート依存性重合化剤として、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する核酸ポリメラーゼ酵素を使用して標的核酸配列を増幅する工程と;質量分析法によって1つ以上のMDPを検出し、それによってサンプル中の標的配列の有無を検出する工程と、を包含する。別の実施形態では、PCRサイクリングを可能にする条件は必要に応じて鎖の変性を包含し得る。
【0009】
本発明はまた部分的には、標的核酸を検出する方法を提供し、この方法は、以下の工程:この標的核酸に対してオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングし、この同じ標的核酸に対してデテクター・オリゴヌクレオチドをアニーリングする工程と;このデテクター・オリゴヌクレオチドの方向にこのオリゴヌクレオチドプライマーを伸長するように酵素を導入する工程であって、この酵素がこのデテクター・オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を切断しそれによってその少なくとも一部を遊離し、それによって1つ以上のMDPを生成する工程と;質量分析計によって1つ以上のMDPを検出する工程を包含する。関連の実施形態では、上記デテクター・オリゴヌクレオチドの一部は、部分的に切断され得、従って標的核酸から解離し得る。従って、この実施形態では、MDPは、標的核酸から解離する部分的に切断されたデテクター・オリゴヌクレオチドを含んでもよく、引き続き質量分析計によって検出される。別の実施形態では、第一のオリゴヌクレオチドの合成生成物に結合する第二のオリゴヌクレオチドが導入され、これによって指数関数的増幅が引き続き生じ得る。関連の実施形態では、標的核酸は最初は一本鎖核酸分子、例えば、cDNAである。
【0010】
本発明はまた、部分的には、サンプル中の標的核酸配列を検出する非増幅ベースの方法を提供し、この方法は以下の工程:標的核酸を含むサンプルと、(i)3’末端および5’末端を備え、かつ標的核酸の領域に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと、および(ii)3’末端および5’末端を備え、かつこの標的核酸配列の第二の領域に相補的な配列を含むデテクター・オリゴヌクレオチドとを接触させ、これによって(iii)ハイブリダイゼーション条件下で、二重鎖の混合物であって、このオリゴヌクレオチドプライマーにおよびこのデテクター・オリゴヌクレオチドにアニーリングされた標的核酸を含む二重鎖混合物を作成し、その結果このオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端がデテクター・オリゴヌクレオチドの5’末端の上流である、工程と;この第一の工程由来のサンプルを、このアニーリングされたデテクター・オリゴヌクレオチドまたはその少なくとも1つのフラグメントを切断および遊離するのに十分な条件下で切断剤に対して暴露させ、それによって1つ以上のMDPを生成する工程と;質量分析によって1つ以上のMDPを検出し、それによってサンプル中の標的核酸配列の有無を検出する工程とを包含する。
【0011】
本発明はさらに、部分的には、標的核酸を検出する方法を提供し、この方法は、標的核酸に対してデテクター・オリゴヌクレオチドをアニーリングする工程と;切断剤を導入して、デテクター・オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を切断する工程と;この部分的に切断されたデテクター・オリゴヌクレオチドまたはそのフラグメントを、質量分析法によって検出する工程とを包含する。
【0012】
ある実施形態では、この検出条件によってデテクター・オリゴヌクレオチドを置換および分解する、オリゴヌクレオチドプライマーの伸長が可能になり、それによってオリゴヌクレオチドフラグメントおよび/またはそれに結合される任意の検出特徴が得られる。ある実施形態では、標的核酸が、増幅反応によって検出方法の前に増幅される。別の実施形態では、検出前の全工程は単独の閉じた反応容器中で同時に行う。別の実施形態では、この方法の増幅または伸長の工程は、シグナルが検出されるまで繰り返す。関連の実施形態では、増幅の工程の回数を決定する。
【0013】
特定の実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドをオリゴヌクレオチドのプライマー(単数または複数)に対して高濃度で導入する。また、ある実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、酵素によって伸長できない場合もあり得る。別の実施形態では、2つ以上のデテクター・オリゴヌクレオチドを用いて、単一の標的核酸を検出するか、または2つ以上のデテクター・オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドプライマーによって結合される標的核酸配列内でアニーリングする。
【0014】
ある実施形態では、この切断剤は酵素である。ある実施形態では、この酵素は5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する。他の実施形態では、この酵素は標的核酸を増幅し得るポリメラーゼ活性を有する。ある実施形態では、この酵素はDNAポリメラーゼであり、他の実施形態では、この酵素はRNA依存性DNAポリメラーゼ、DNA依存性RNAポリメラーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼ、またはDNA依存性DNAポリメラーゼである。例示的なDNAポリメラーゼとしては、TaqポリメラーゼおよびE.coli DNAポリメラーゼIが挙げられる。別の実施形態では、この酵素は熱安定性である。
【0015】
本発明は部分的には、デテクター・オリゴヌクレオチドの置換および/または分解から生じるMDPの作成を提供する。一実施形態では、同じデテクター・オリゴヌクレオチドからの2つ以上の質量識別可能な生成物(MDP)が、標的核酸に対応する質量特異的な検出シグナルを作成する、質量分析法によって検出される。別の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対して非相補的であるヌクレオチドの配列を含む。この非相補的な領域は、デテクター・オリゴヌクレオチドの5’末端であっても、デテクター・オリゴヌクレオチドの真ん中であっても(このデテクター・オリゴヌクレオチドが標的核酸に対して依然としてアニーリングし得る場合)、またはデテクター・オリゴヌクレオチドの3’末端であってもよい。他の実施形態では、このMDPは、遊離の際に固体支持体に結合し得る。例えば、MDPは、MALDI−TOF質量分析法分析のマトリックスに直接結合し得る。別の実施形態では、1つ以上のMDPが、例えば、ユニバーサルプライマーシステムを用いることによって、その遊離後に増幅される。
【0016】
ある実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、ユニバーサルプライマーを利用して、酵素的修飾から生じる配列特異的プライマーまたはオリゴヌクレオチドを増幅する核酸検出方法に組み込まれ、ここでこの増幅プロセスが質量分析によって検出可能な質量識別可能な生成物を生じる。さらに詳細には、本発明の実施形態は、複数の標的核酸配列であって、各々が3’→5’に第一、第二および第三の標的ドメインを含み、この第一の標的ドメインが検出位置を含み、第二の標的ドメインが少なくとも1つのヌクレオチドである配列を提供する工程と、標的核酸配列と各々の標的配列についてのプローブのセットとを接触させる工程であって、各々のセットが:第一のプローブ(5’→3’方向に、第一のユニバーサルプライミング配列を含む第一のドメインと、第二のドメイン(デテクター・オリゴヌクレオチド結合ドメインを含む)および第三のドメイン(標的配列の第一の標的ドメインに実質的に相補的な配列を含む)、ならびに3’の4つの末端塩基内のインテロゲーション位置を含む)、第二のプローブ(第一のドメイン(標的配列の第三の標的ドメインに実質的に相補的な配列を含み、1セットの第一のハイブリダイゼーション複合体を形成する)、および第二のドメイン(第二のユニバーサルプライミング配列)を含む)工程と、この第一のハイブリダイゼーション複合体と、少なくとも第一のユニバーサルプライマー(第一のユニバーサルプライミング配列にハイブリダイズする)と、伸長酵素とdNTPsとを、このインテロゲーション位置が検出位置で塩基と相補的である場合、第一のプローブの伸長が第二の標的ドメインを通じて生じて、第二のハイブリダイゼーション複合体を形成するような条件下で接触させる工程と、この第二のハイブリダイゼーション複合体とリガーゼとを接触させて伸長された第一のプローブを第二のプローブに対して連結して増幅テンプレートを形成する工程とを包含する。この実施形態はさらに、デテクター・オリゴヌクレオチドを導入し、ここで特異的なデテクター・オリゴヌクレオチドが、配列特異的な増幅テンプレートにアニーリングする工程と、酵素を導入して増幅テンプレートを増幅する工程と、増幅反応から生じる1つ以上のMDPを検出する工程と、ここで標的核酸配列の有無を決定する工程とを包含する。別の実施形態では、本発明の方法は、米国特許第6,797,470号;米国特許第6,890,741号、米国特許第6,812,005号、米国特許第6,890,741号、米国特許出願公開20020006617号、米国特許出願公開第20030036064号、米国特許出願公開第20030104434号、米国特許出願公開第20030211489号、米国特許出願公開第20030108900号、米国特許出願公開第20030170684号、米国特許出願公開第20040121364号、米国特許出願公開第20040224352号、米国特許出願公開第20040224352号(その全てが参照によって本明細書に援用される)に開示される方法と組み合わせて利用される。
【0017】
ある実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドは修飾されず、この場合、オリゴヌクレオチドフラグメントを含む未修飾のMDPは質量分析法によって検出される。他の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、1つ以上のヌクレオシド修飾を含む。ヌクレオシド修飾は、ヌクレオチド、リン酸骨格または糖部分に対する修飾を包含する。ヌクレオシド修飾は、デテクター・オリゴヌクレオチドの非相補的領域に存在しても、デテクター・オリゴヌクレオチドの5’末端に存在しても、デテクター・オリゴヌクレオチドの3’末端に存在しても、またはデテクター・オリゴヌクレオチドの真ん中に存在してもよく、これによって、標的核酸に対するデテクター・オリゴヌクレオチドの標的特異的ハイブリダイゼーションが保証される。別の実施形態では、ヌクレオシド修飾は、同位体濃縮、同位体枯渇およびハロゲン修飾からなる群より選択される。別の実施形態では、同位体コードは、重水素、または他の適切な同位体の導入によって達成される。
【0018】
特定の実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドは、1つ以上の切断認識部位を含む。別の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、1つ以上の非分解性ヌクレオチドを含む。なお別の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、1つ以上の切断認識部位および1つ以上の非分解性ヌクレオチドを含む。
【0019】
好ましい実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、1つ以上のロックド核酸(locked nucleic acids)(LNAs)を含み、これが非分解性ヌクレオチドとして機能して、これによって切断のポイントを制御する。LNAsは、その相補体と極めて安定に結合して、新生のデオキシヌクレオチドに対する極めて低率の切断を有する。この効果は、2つを置くことまたはお互いに対して隣接するLNAによってさらに増強され得る。さらに、LNAは、それらが組み込まれるオリゴヌクレオチドの融解温度を高める。質量分解産物の切断部位は、このようにして生成物のサイズの予測性および適切な特定のために制御される。
【0020】
別の実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドは、1つ以上のペプチド核酸(PNAs)を含む。
【0021】
ある実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、1つ以上の検出部位を含む。一実施形態では、この検出部分は、任意の1つ以上のコンポマー、糖、ペプチド、タンパク質、抗体、化合物(例えば、ビオチン)、質量タグ(例えば、金属イオンまたは化学基)、蛍光タグ、チャージタグ(例えば、ポリアミンまたはチャージ色素など)、および疎水性タグであってもよい。関連の実施形態では、検出部分は、質量識別可能な生成物(MDP)または質量分析法によって検出されるMDPの一部である。特定の実施形態では、検出部分は、蛍光タグまたは質量分析法によって検出される標識である。ある実施形態では、検出部分は、デテクター・オリゴヌクレオチドの5’末端であり、検出部分は、デテクター・オリゴヌクレオチドの非相補的領域に結合されるか、または検出部分は、非相補的配列の5’末端である。別の実施形態では、その検出部分は、内部ヌクレオチド内に組み込まれるか、もしくは連結されるか、またはデテクター・オリゴヌクレオチドの3’末端でヌクレオチドに連結される。さらに別の実施形態では、1つ以上の検出部分を、単独でまたは組み合わせていずれかで用いる。
【0022】
特定の実施形態では、この検出部分は合成ポリマーまたはバイオポリマー(生体高分子)またはそのいくつかの組み合わせであるが、他の実施形態では、この検出部分は、質量分析計によって検出され得る任意の化合物である。特定の実施形態では、この検出部分は、モノマーユニットを含むバイオポリマーであり、ここで各々のモノマー単位は、アミノ酸、核酸およびサッカライドのうちの任意の1つ以上から別々にかつ独立して選択される。アミノ酸および核酸は、好ましいモノマー単位である。各々のモノマー単位は、別々にかつ独立して選択され得るので、バイオポリマー検出部分は、ポリ核酸、ペプチド、ペプチド核酸、オリゴヌクレオチドなどであってもよい。
【0023】
ある実施形態では、この検出部分は、合成ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルフェノール、ポリプロピレングリコール、ポリメチルメタクリレート、およびその誘導体である。合成ポリマーは代表的には、本質的にエチレングリコール、ビニルフェノール、プロピレングリコール、メチルメタクリレートおよびその誘導体からなる群より選択されるモノマー単位を含んでもよい。さらに代表的には、検出部分は、ポリエチレングリコール単位を含むポリマーであってもよい。
【0024】
本発明は部分的には、特定の標的核酸配列に結合するプローブとして機能するデテクター・オリゴヌクレオチドを提供する。ある実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは選択的に遺伝子特異的配列に結合し、これによって遺伝子発現分析が可能になる。別の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは選択的に、対立遺伝子特異的配列に結合する。関連の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドの対立遺伝子特異的ヌクレオチド塩基(単数または複数)は、検出部分またはヌクレオシド修飾を含む。好ましい実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドの対立遺伝子特異的ヌクレオチド塩基(単数または複数)は、このデテクター・オリゴヌクレオチドの真ん中にまたは5’末端に向かって入る。
【0025】
本発明はまた部分的には、エピジェネティックな相違、例えば、メチル化、アセチル化および他の非配列変化修飾に基づいて標的核酸を検出する方法を提供する。一実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的核酸のメチル化状況に基づいてメチル化特異的配列に選択的に結合する。関連の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、選択的に、亜硫酸水素塩処理の前、あるいは亜硫酸水素塩処理後の標的核酸のメチル化状況に基づいて、メチル化特異的配列に結合する。別の実施形態では、標的核酸は、メチル化DNAに結合し得るポリペプチドで容器をコーティングすること;このポリペプチドと、メチル化および/または非メチル化DNAを含むサンプルとを接触させること;ならびにメチル化DNAに対するこのようなポリペプチドの結合を検出することによってメチル化DNAについて選択的に富化される(増幅の前または増幅の後のいずれか)。メチル化DNAを検出するための方法は、PCT特許公開第WO06056478A1(参照によって本明細書に援用される)に記載される。
【0026】
本発明は、部分的には、標的核酸を検出する方法を提供する。一般には、この方法は、複数のデテクター・オリゴヌクレオチド(各々のデテクター・オリゴヌクレオチドが、上記のように、所定のアッセイ(例えば、対立遺伝子特異的、遺伝子特異的、配列特異的、メチル化特異的など)について特異的に設計される)を得る工程を包含する。各々のデテクター・オリゴヌクレオチドが大多数で、標的核酸の有無に関連する1つ以上の特有の質量識別可能な生成物を生じ得ることが好ましい。「特有の質量分析可能な生成物」とは、各々のデテクター・オリゴヌクレオチドが大多数で、他の全てのデテクター・オリゴヌクレオチドから異なる質量識別可能な生成物(単数または複数)を複数で生じるということを意味する。複数は一般に、2つ以上のデテクター・オリゴヌクレオチドを含むことが理解される。次に、標的分子を複数のデテクター・オリゴヌクレオチドと、MDP(質量分析法によって分析される)の生成を可能にするのに適切な条件下で接触させる。代表的には、質量は、特定の標的核酸の指標である。この方法では、標的分子は、MDPの特有の組み合わせに従って特定され得る。実施例1は、Rhesus D遺伝子のエキソン10の検出のための配列特異的なアッセイの例を提供する。別の実施例では、アッセイは、標的核酸の各々の特定のSNPについて設計され、ここでアッセイのデテクター・オリゴヌクレオチドは、どのSNPが存在するかに依存して特有のMDPを生じる。2つのSNPが、特定の位置で検出されるべき場合、2つの対立遺伝子特異的デテクター・オリゴヌクレオチドを特有のMDPとともに用いる。遺伝子発現分析のためには、遺伝子特異的デテクター・オリゴヌクレオチドおよび競合因子を用いてもよい。例えば、参照によって本明細書に援用される、米国特許出願公開第20040081993号(Cantorら)を参照のこと。
【0027】
ある実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーは、対立遺伝子特異的配列に選択的に結合する。ある実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端は、デテクター・オリゴヌクレオチドの5’末端の少なくとも1塩基上流である。
【0028】
本発明は部分的には、質量分析法によってMDPを検出する方法を提供する。ある実施形態では、この検出は、質量分析法によって行われ、この質量分析は以下のうちの1つであってもよい:MALDI−TOF MS、Tandem MS、ESI−TOF、ESI−イオントラップ、LC−MS、GC−MS、イオン移動度MS、レーザー脱離イオン化質量分析法(LDI−MS)および四重極MS。他の質量分析法デバイスおよび方法(既存であるか、または開発され得る)は、本発明の範囲内である。
【0029】
本発明はまた部分的には、生体分子、例えば、標的核酸を検出および定量する方法を提供し、PCR産物の生成は、質量識別可能な生成物(MDP)の検出によってモニターされる。一実施形態では、この検出はリアルタイムで行われる。ある実施形態では、このリアルタイムの検出は、エレクトロスプレー質量分析計またはLC−MSで行われる。別の実施形態では、1つ以上のMDPが、増幅プロセスの間特定の時間に対応する質量分析関連の媒体の特定の位置にスポットされる。質量分析関連の媒体の例は、MALDI−TOF MSに適切なマトリックスである。別の実施形態では、競合因子テンプレート核酸が導入され、ここでこのテンプレート核酸は内部コントロールとして機能する。さらに別の実施形態では、この増幅サイクルの回数は、定量的結果を得るように決定する。反応混合物中に存在する出発標的核酸の量は、サイクルの閾値(Ct)、または当該分野で公知の任意の他の方法によって定量されてもよい。
【0030】
また本明細書で提供されるのは、標的核酸配列を検出するための方法であって、質量識別可能な生成物を含む核酸サンプルを質量分析法によって分析する工程を包含し、ここでこの質量識別可能な生成物は、(a)標的核酸に対してオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングする工程と;(b)この同じ標的核酸に対してデテクター・オリゴヌクレオチドをアニーリングする工程と;(c)この標的核酸と、このオリゴヌクレオチドプライマーをこのデテクター・オリゴヌクレオチドの方向に伸長する酵素とを接触させる工程とを包含し、ここで:このデテクター・オリゴヌクレオチドまたはその一部は、標的核酸配列に対して相補的であり、この酵素は、このデテクター・オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を切断しそれによってその少なくとも一部を遊離し、それによって1つ以上の質量識別可能な生成物を生成し;それによってこの標的核酸配列が、質量分析可能な生成物を質量分析法によって特定することによって検出される、方法である。特定の実施形態では、上記第一のオリゴヌクレオチドの合成生成物に対して結合する第二のオリゴヌクレオチドが導入され、これによって指数関数的増幅が引き続き生じ得る。
【0031】
また標的核酸配列を検出するための方法も提供され、この方法は、質量識別可能な生成物を含む核酸サンプルを質量分析法によって分析する工程を包含し、ここでこの質量識別可能な生成物は、(a)標的生体分子と、検出可能なプローブがこの標的生体分子に特異的に結合する条件下で、テンプレート核酸として機能するオリゴヌクレオチドを含むこの検出可能なプローブとを接触させる工程と;(b)このテンプレート核酸に対してオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングする工程と;(c)この同じテンプレート核酸に対してデテクター・オリゴヌクレオチドをアニーリングする工程と;(d)このテンプレート核酸と、このオリゴヌクレオチドプライマーをこのデテクター・オリゴヌクレオチドの方向に伸長する酵素とを接触させる工程とから生じ、ここで:このデテクター・オリゴヌクレオチドまたはその一部は、標的核酸配列に対して相補的であり、この酵素は、このデテクター・オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を切断しそれによってその少なくとも一部を遊離し、それによって1つ以上の質量識別可能な生成物を生成し;それによってこの標的核酸配列が、質量分析可能な生成物を質量分析法によって特定することによって検出される。特定の実施形態では、上記第一のオリゴヌクレオチドの合成生成物に対して結合する第二のオリゴヌクレオチドが導入され、これによって指数関数的増幅が引き続き生じ得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1−1】図1は、質量分析法を用いる標的核酸の検出の略図である。反応成分としては、標的核酸、フォワードおよびリバースPCRプライマー、デテクター・オリゴヌクレオチド、増幅酵素、および増幅試薬、例えば、緩衝液(単数または複数)およびヌクレオチドが挙げられる。工程Aでは、プライマーの伸長が生じる。伸長の間、デテクター・オリゴヌクレオチドが置換されて分解される(工程B)。各々の増幅サイクルの間、質量識別可能な生成物(MDP)(これはこの図では変性生成物とも呼ばれる)が酵素の5’ヌクレアーゼ活性によって生成される(工程C)。増幅後、MDPは必要に応じて調整されて、質量分析法によって後に検出され得る。反応の副産物としては、とりわけ、PCR生成物、レフトオーバープライマー(leftover primer)、非分解性のオリゴヌクレオチドプライマー、およびMDPが挙げられる(工程D)。工程Eは、例示的なスペクトログラムであり、y軸は任意の強度(arbitrary intensity)(a.i.)であり、かつx軸は質量電荷比(mass over charge)(m/z)である。MDPの存在によって標的核酸の存在が確認される。
【図1−2】図1は、質量分析法を用いる標的核酸の検出の略図である。反応成分としては、標的核酸、フォワードおよびリバースPCRプライマー、デテクター・オリゴヌクレオチド、増幅酵素、および増幅試薬、例えば、緩衝液(単数または複数)およびヌクレオチドが挙げられる。工程Aでは、プライマーの伸長が生じる。伸長の間、デテクター・オリゴヌクレオチドが置換されて分解される(工程B)。各々の増幅サイクルの間、質量識別可能な生成物(MDP)(これはこの図では変性生成物とも呼ばれる)が酵素の5’ヌクレアーゼ活性によって生成される(工程C)。増幅後、MDPは必要に応じて調整されて、質量分析法によって後に検出され得る。反応の副産物としては、とりわけ、PCR生成物、レフトオーバープライマー(leftover primer)、非分解性のオリゴヌクレオチドプライマー、およびMDPが挙げられる(工程D)。工程Eは、例示的なスペクトログラムであり、y軸は任意の強度(arbitrary intensity)(a.i.)であり、かつx軸は質量電荷比(mass over charge)(m/z)である。MDPの存在によって標的核酸の存在が確認される。
【図2】図2は、デテクター・オリゴヌクレオチドが5’非相補性領域を含む、質量分析法を用いる標的核酸の検出の略図である。工程Bでは、酵素は、デテクター・オリゴヌクレオチドの5’非相補性領域を遊離し、これは工程Cで検出される。図9は、実験的なスペクトログラムを示し、ここで5’非相補性MDPが生成され検出される。この図の底部で「標的NSを特定する」という用語は、「標的ヌクレオチド配列を特定する」ことを指す。
【図3】図3は、質量分析法を用いる標的核酸の略図であって、ここでデテクター・オリゴヌクレオチドは3’非相補性領域を含む。工程Bでは、この酵素は、デテクター・オリゴヌクレオチドの3’非相補性領域を遊離し、これが工程Cで検出される。この図の底部で「標的NSを特定する」という用語は、「標的ヌクレオチド配列を特定する」ことを指す。一実施形態では、本発明は部分的には、切断および検出される3’非相補性領域を包含し得る。さらに関連の実施形態では、3’非相補性領域の上流のこのハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは、非切断性または非分解性であり、これによって特有の既定の切断生成物が生じる。
【図4−1】複数の標的核酸を検出するための多重化アッセイの略図である。アッセイは4つの標的(1〜4)の各々の標的について設計され、ここで各々の標的は、特定の長さ(L1−L4)の5’非相補性領域を有する特有のデテクター・オリゴヌクレオチドを有する。増幅の際(工程A)、MDPの5’非相補性領域は、標的が存在する場合に生成される。この特定の実施例では、標的1および4が存在し、そのためL1およびL4のMDPが生成されて、質量分析法によって検出される(工程Bのスペクトログラムで図示される)。
【図4−2】複数の標的核酸を検出するための多重化アッセイの略図である。アッセイは4つの標的(1〜4)の各々の標的について設計され、ここで各々の標的は、特定の長さ(L1−L4)の5’非相補性領域を有する特有のデテクター・オリゴヌクレオチドを有する。増幅の際(工程A)、MDPの5’非相補性領域は、標的が存在する場合に生成される。この特定の実施例では、標的1および4が存在し、そのためL1およびL4のMDPが生成されて、質量分析法によって検出される(工程Bのスペクトログラムで図示される)。
【図5】図5は、本発明のリアルタイム実施形態の略図である。このスキームは図1に示されるものと同様であるが、質量分析法による分析を、あらゆるサイクルの後に、または所定の時点で行う(例えば、5サイクルごとの後に)。標的核酸が存在する場合、変性生成物(すなわち、MDP)シグナル強度は、あらゆるサイクルごとに増大するが、プライマーおよび未変性のデテクター・オリゴヌクレオチドシグナル強度は消費および分解に起因して減少する。
【図6−1】図6は、標的生体分子を検出するためにユニバーサルプライマーが利用されるアッセイのバリエーションの略図である。この詳細な図では、遺伝子型決定アッセイが示され、ここでは、各々の単一ヌクレオチド多形態(一塩基遺伝子多型)(SNP)が特有のセットのプライマーを有する。例えば、SNP3は、それぞれC対立遺伝子およびG対立遺伝子に対応する、配列領域5および6(S5およびS6)を有する対立遺伝子特異的プライマーを用いてアッセイされる。下流のプライマーも導入され、CS3、またはコモン・プライマー3(common primer 3)と命名される。工程Aでは、このプライマーは、標的にハイブリダイズして、対立遺伝子が存在するとき、対立遺伝子特異的プライマー伸長が生じる。伸長の際に、連結生成物が形成される。この連結生成物のアッセイ特異的な配列領域に相補的であるデテクター・オリゴヌクレオチドが導入され、cS5およびcS6、またはSNP3アッセイについては相補的プライマー5および6と命名される。ユニバーサルプライマーを用いる連結生成物の増幅の際、デテクター・オリゴヌクレオチド(cS5およびcS6)を置換および分解して、MDPを生成し、これを質量分析法によって検出する。例示的な質量スペクトログラムによって、SNP1については対立遺伝子A、SNP2については対立遺伝子T、およびSNP3については対立遺伝子CおよびGの両方(ヘテロ接合性)の存在が明らかになる。
【図6−2】図6は、標的生体分子を検出するためにユニバーサルプライマーが利用されるアッセイのバリエーションの略図である。この詳細な図では、遺伝子型決定アッセイが示され、ここでは、各々の単一ヌクレオチド多形態(一塩基遺伝子多型)(SNP)が特有のセットのプライマーを有する。例えば、SNP3は、それぞれC対立遺伝子およびG対立遺伝子に対応する、配列領域5および6(S5およびS6)を有する対立遺伝子特異的プライマーを用いてアッセイされる。下流のプライマーも導入され、CS3、またはコモン・プライマー3(common primer 3)と命名される。工程Aでは、このプライマーは、標的にハイブリダイズして、対立遺伝子が存在するとき、対立遺伝子特異的プライマー伸長が生じる。伸長の際に、連結生成物が形成される。この連結生成物のアッセイ特異的な配列領域に相補的であるデテクター・オリゴヌクレオチドが導入され、cS5およびcS6、またはSNP3アッセイについては相補的プライマー5および6と命名される。ユニバーサルプライマーを用いる連結生成物の増幅の際、デテクター・オリゴヌクレオチド(cS5およびcS6)を置換および分解して、MDPを生成し、これを質量分析法によって検出する。例示的な質量スペクトログラムによって、SNP1については対立遺伝子A、SNP2については対立遺伝子T、およびSNP3については対立遺伝子CおよびGの両方(ヘテロ接合性)の存在が明らかになる。
【図7−1】図7は、非核酸検出(例えば、タンパク質検出)に有用な本発明の実施形態の略図である。各々のアプタマーは、標的結合ドメイン(A1〜A3)、特有の配列(S)(ここに特有の相補的なデテクター・オリゴヌクレオチド(CS)が引き続く増幅の間に結合し得る)、およびユニバーサルプライマー結合部位を含む。工程Aでは、標的タンパク質が免疫化抗体に結合する。工程Bでは、非結合試薬が洗浄によって除去され、アプタマーのライブラリーが付加される。相補的なアプタマーが標的タンパク質に結合し、非相補的なアプタマーが洗い流される。ユニバーサルプライマーおよび配列特異的デテクター・オリゴヌクレオチドが付加される(工程C)。増幅の際、デテクター・オリゴヌクレオチドが置き換えられ、分解されて、MDPが生じ、これが質量分析法によって検出される(工程D)。MDP1およびMDP3の存在は、それぞれタンパク質1およびタンパク質3の存在を示す。
【図7−2】図7は、非核酸検出(例えば、タンパク質検出)に有用な本発明の実施形態の略図である。各々のアプタマーは、標的結合ドメイン(A1〜A3)、特有の配列(S)(ここに特有の相補的なデテクター・オリゴヌクレオチド(CS)が引き続く増幅の間に結合し得る)、およびユニバーサルプライマー結合部位を含む。工程Aでは、標的タンパク質が免疫化抗体に結合する。工程Bでは、非結合試薬が洗浄によって除去され、アプタマーのライブラリーが付加される。相補的なアプタマーが標的タンパク質に結合し、非相補的なアプタマーが洗い流される。ユニバーサルプライマーおよび配列特異的デテクター・オリゴヌクレオチドが付加される(工程C)。増幅の際、デテクター・オリゴヌクレオチドが置き換えられ、分解されて、MDPが生じ、これが質量分析法によって検出される(工程D)。MDP1およびMDP3の存在は、それぞれタンパク質1およびタンパク質3の存在を示す。
【図7−3】図7は、非核酸検出(例えば、タンパク質検出)に有用な本発明の実施形態の略図である。各々のアプタマーは、標的結合ドメイン(A1〜A3)、特有の配列(S)(ここに特有の相補的なデテクター・オリゴヌクレオチド(CS)が引き続く増幅の間に結合し得る)、およびユニバーサルプライマー結合部位を含む。工程Aでは、標的タンパク質が免疫化抗体に結合する。工程Bでは、非結合試薬が洗浄によって除去され、アプタマーのライブラリーが付加される。相補的なアプタマーが標的タンパク質に結合し、非相補的なアプタマーが洗い流される。ユニバーサルプライマーおよび配列特異的デテクター・オリゴヌクレオチドが付加される(工程C)。増幅の際、デテクター・オリゴヌクレオチドが置き換えられ、分解されて、MDPが生じ、これが質量分析法によって検出される(工程D)。MDP1およびMDP3の存在は、それぞれタンパク質1およびタンパク質3の存在を示す。
【図8】図8は、PCR増幅の間のエキソン10特異的なデテクター・オリゴヌクレオチドから生成されたMDPを示す質量スペクトログラムである(質量は1900〜3000Daにおよぶ)。2123.6Da、2437.0Daおよび2726.2Daの質量シグナルは、第一のハイブリダイズされたTヌクレオチドで切断されたポリAタグ(6アデニン)(AAAAAAT)、第一の2つのハイブリダイズされたヌクレオチドの後ろで切断されるポリAタグ(AAAAAATA)、および最初の3つのハイブリダイズされたヌクレオチドの後ろで切断されるポリAタグ(AAAAAATAC)を含む5’MDPに相当する。Y軸は、シグナル強度であって、X軸は質量対電荷比である。
【図9】図9は、PCR増幅の間に生成されたエキソン5特異的なデテクター・オリゴヌクレオチドから生成されたMDPを示す質量スペクトログラムである(質量は2500〜7000Daにおよぶ)。5765および6335.9Daの質量シグナルは、残りの、未使用のPCRプライマーに相当する。2741.6Daおよび3032.6Daの質量シグナルは、最初のハイブリダイズされたTヌクレオチドで切断されるポリAタグ(8アデニン)(AAAAAAAAT)、および最初の2つのハイブリダイズされたヌクレオチドの後ろで切断されるポリAタグ(AAAAAATC)を含む5’MDPに相当する。Y軸は、シグナル強度であって、X軸は質量対電荷比である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(詳細な説明)
本発明は、現行の核酸検出および定量方法を上回るいくつかの利点、例えば、多重化の増大、アッセイ簡便性、はやいサイクリング時間、およびPCR後処理なしなどをもたらす。現行の方法はしばしば、固相精製、移動および洗浄工程、ならびにPCR後の酵素反応を含む多段階の反応を要し、この全てが全体のアッセイ時間および費用を増大させ、それによって方法の適用性が制限される。例えば、TaqMan−ベースのQPCR方法は、それらが色素を用いることによって制限されるが、本発明の方法は各々のアッセイについて示される固有の検出特徴の数で制限されるだけである。これによって、有限な質量範囲にまたがるMDPの一義的な検出が可能になる。
【0034】
このアッセイはまた単純である。一実施形態では、1つの増幅または伸長工程(閉じた試験管内で起きる)しかなく、そのため生成物は増幅後酵素反応に移動されることも、それに供されることもない。また、増幅工程によって、はやいサイクリングが可能になり(すなわち、アッセイはプラトー期で終わる)、そのため速度および回転時間は、サイクリング速度によって制限されるだけであり−はやいサイクルが用いられ得る。結局、増幅後の処理はない。例えば、どの生成物も固体支持体に捕獲されることも、捕獲プローブに結合されてさらに酵素によって操作されることも必要もない。
【0035】
本発明は、限定はしないが、診断、科学捜査および保安用途、例えば、個人(例えば、航空機の搭乗客)の特定を含むある範囲の適用のために1つ以上のサンプルから多数の配列を同時に特定および定量するという利点を提供する。特定の適用では、本発明は、特定の疾患(単数または複数)に関連する複数の多形性の有無について1つ以上のサンプルを分析する、特定の疾患(単数または複数)に関連する1つ以上の遺伝子の発現を分析する、または、数日ではなく数時間で行うことができる、単純な高速多重アッセイにおいて1つ以上のサンプルの起源を特定するという利点を提供する。
【0036】
本発明の方法は、限定はしないが、核酸検出、例えば、配列認識、SNP検出、転写分析またはmRNA決定、対立遺伝子決定、変異決定およびメチル化分析を含む生体分子標的の検出/分析のための多重化アッセイを行うのに有用性を見出す。別の実施形態では、本発明の方法は、非核酸生体分子、例えば、タンパク質またはペプチドの検出および定量のための近接性ライゲーション、またはイムノアッセイベースの方法と組み合わせて用いられてもよい。例えば、一実施形態では、本発明のデテクター・オリゴヌクレオチドは、核酸増幅反応のためのテンプレートとして引き続き機能する、早期近接性ライゲーション反応またはイムノアッセイの間に生成される連結された複合体に対してアニーリングされる。ライゲーション複合体の増幅の際、質量識別可能な生成物を本明細書に記載のように作成して検出し、これによって多重化の増大を可能にする。近接性ライゲーションおよびイムノアッセイは、さらに、米国特許第5,665,539号;米国特許第6,511,809号;米国特許第6,878,515号;米国特許出願公開第20050233351号;米国特許出願公開第20020064779号に;ならびにRoger Brentおよび彼の共同研究者によって、Molecular Sciences Institute(Berkeley,CA)in. Nat Methods.2005 Jan;2(1):31〜7(その全てが参照によって本明細書に援用される)に記載される。
【0037】
質量分析方法によって検出可能な質量識別可能な生成物を生成する増幅ベースの方法を用いる利点は、多くの標的核酸を同じ時点で同時に検出する能力である。本発明の方法は、既存の蛍光発色段ベースの方法によって生成される広範な重複するスペクトルに起因して限定される。従って、蛍光多重化のための上限は約10の異なる標識である可能性が最も高い。現在の質量分析ベースの方法は、約50−plexesまでの多重化反応に有用である。本明細書に開示される質量分析ベースの方法では、種々の標的の約50または数百、おそらくは数千さえ超える多重化が可能である。この高レベルの多重化能力に起因して、多くのアッセイを同時に用いるだけでなく、任意の個々のデテクター・オリゴヌクレオチドを多くの異なる検出特徴で標識することができる。
【0038】
結局、このアッセイは、初回の回転および多重化能力を必要とする任意の分野(例えば、公安)で多大な有用性を有する。このアッセイは高速かつ強固であり、検出プラットフォームは小さく、極めて正確、かつ使用が簡単であり、これによって本発明の方法は、広範な適用に理想的であり、この適用としては、臨床サンプル内の感染性因子の検出、科学捜査、診断、研究(例えば、クローン内の遺伝子(cDNA)インサートの検出)、セキュリティおよび屋外での使用が挙げられる。
【0039】
(A.定義)
「サンプル」という用語は、本明細書において用いる場合、核酸を含む試料または培養物(例えば、微生物培養物)を包含する。「サンプル」という用語はまた、生物学的サンプルおよび環境サンプルの両方を包含するものとする。サンプルは、合成由来の試料を含んでもよい。生物学的サンプルとしては、全血、血清、血漿、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、脳脊髄液、脊髄液、洗浄液(例えば、気管支肺胞洗浄液、胃液、腹膜液、管洗浄液、耳洗浄液、関節鏡検査洗浄液)、生検サンプル、尿、便、喀痰、唾液、鼻粘膜、前立腺液、精液、リンパ液、胆汁、涙液、汗、母乳、乳汁、胚細胞、および胎児細胞が挙げられる。好ましい実施形態では、この生物学的サンプルは血液であり、さらに好ましくは血漿である。本明細書において用いる場合、「血液」という用語は、慣習的に規定されるとおり、全血または血液の任意の画分、例えば、血清および血漿を包含する。血漿とは、抗凝血剤で処置した血液の遠心分離から生じる全血の画分をいう。血清とは、血液サンプル凝固後に残る液体の水様の部分をいう。環境的サンプルとしては、環境物質、例えば、表面物質、土壌、水および工業的サンプル、ならびに食物および乳加工の機器、装置、装備、用具、破棄可能および破棄不能な物品から得られるサンプルが挙げられる。これらの例は本発明に適用可能なサンプルのタイプを制限すると解釈されるべきではない。
【0040】
本明細書において用いる場合、「標的」または「標的核酸」という用語は、任意の分子であってその存在が検出もしくは測定されるべきであり、その機能、相互作用または特性が研究されるべきである任意の分子を意味するものとする。従って、標的は本質的に、検出可能なプローブ(例えば、デテクター・オリゴヌクレオチド)もしくはアッセイが存在するか、または当業者によって生成され得る任意の分子を包含する。例えば、標的は生体分子、例えば、核酸分子、ポリペプチド、脂質、または炭水化物であってもよく、これは検出可能なプローブ(例えば、抗体)と結合し得るか、そうでなければ接触し得、ここでこの検出可能なプローブはまた、本発明の方法によって検出され得る核酸を含む。本明細書において用いる場合、「検出可能なプローブ」とは、目的の標的生体分子に対してハイブリダイズまたはアニーリングし得、かつ本明細書に記載のような標的生体分子の特異的な検出を可能にする任意の分子または因子をいう。本発明の一局面では、標的は核酸であり、検出可能なプローブは、デテクター・オリゴヌクレオチドである。「核酸」および「核酸分子」という用語は、本開示全体にわたって交換可能に用いられ得る。この用語はオリゴヌクレオチド、オリゴ、ポリヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド(DNA)、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA(mtDNA)、相補的DNA(cDNA)、細菌DNA、ウイルスDNA、ウイルスRNA、RNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、siRNA、触媒性RNA、クローン、プラスミド、M13、P1、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、増幅核酸、アンプリコン、PCR産物、および他のタイプの増幅核酸、RNA/DNAハイブリッドおよびポリアミド核酸(PNA)をいい、その全てが一本鎖型であっても二本鎖型であってもよく、他に限定しなければ、天然に存在するヌクレオチド、ならびにそれらの組み合わせおよび/または混合物と同様の方式で機能し得る天然のヌクレオチドの公知のアナログを包含する。従って、「ヌクレオチド」という用語は、天然に存在するヌクレオチド、および修飾された/天然には存在しないヌクレオチド(ヌクレオシドの三リン酸塩、二リン酸塩、および一リン酸塩、ならびにポリ核酸またはオリゴヌクレオチド内に存在する一リン酸塩モノマー)の両方を指す。ヌクレオチドはまた、リボ;2’−デオキシ;2’,3’−デオキシ、ならびに当該分野で周知のありとあらゆる他のヌクレオチド模倣物であってもよい。模倣物としては、鎖終止ヌクレオチド、例えば、3’−O−メチル、ハロゲン化塩基または糖置換基;別の糖構造(非糖、アルキル環構造を含む);イノシンを含む別の塩基;デアザ−修飾;χ(chi)およびψ(psi)、リンカー修飾;質量標識修飾;ホスホジエステル修飾または置換(ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、アミド、エステル、エーテルを含む);ならびに塩基または完全なインターヌクレオチド間置換(光切断性ニトロフェニル部分などの切断性結合を含む)が挙げられる。
【0041】
標的の有無は、定性的または定量的に測定され得る。標的は、例えば、単純もしくは複雑な混合物を含む種々の異なる形態であっても、または実質的に精製された形態であってもよい。例えば、標的は、他の成分を含むサンプルの一部であってもよいし、またはサンプルの唯一もしくは主要な成分であってもよい。従って、標的は、細胞丸ごともしく組織の成分であっても、細胞もしくは組織の抽出物であっても、その分画された溶解液であっても、または実質的に精製された分子であってもよい。また、標的は、公知または未知の配列または構造のいずれを有してもよい。
【0042】
「アミノ酸」という用語は、本明細書において用いる場合、天然に存在するアミノ酸、および任意の修飾されたアミノ酸(当該分野で周知である方法によって合成されるか、または得ることができる)を指す。
【0043】
「増幅反応」という用語は、核酸の標的配列のコピーを増幅するための任意のインビトロ方法をいう。
【0044】
「増幅する」とは、増幅を可能にするために十分な条件に対して溶液を供する工程をいう。増幅反応の成分としては、限定はしないが、例えば、プライマー、ポリヌクレオチドテンプレート、ポリメラーゼテンプレート、ポリメラーゼ、ヌクレオチド、dNTPなどが挙げられ得る。「増幅する」という用語は代表的には、標的核酸における「指数関数的」増大をいう。しかし、「増幅する」とは本明細書において用いる場合また、核酸の選択標的配列の数の直線的な増大をいい、ただし一度だけの単回プライマー伸長工程とは異なる。
【0045】
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」とは、標的の二本鎖DNAの特異的なセグメントまたは配列がゲノム進行で増幅される方法をいう。PCRは、当該分野で周知である;例えば、米国特許第4,683,195号、および同第4,683,202号;ならびにPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Innisら、編、1990を参照のこと。
【0046】
「オリゴヌクレオチド」は本明細書において用いる場合、ホスホジエステル結合によって連結される天然または修飾されたヌクレオシドの単量体の直線状のオリゴマー、またはそのアナログを指す。オリゴヌクレオチドとしては、標的核酸に特異的に結合し得る、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、そのアノマー型、ペプチド核酸(PNAs)、などが挙げられる。通常の単量体は、ホスホジエステル結合またはそのアナログによって連結されて、2〜3個の単量体単位(例えば、3〜4)、から数十個の単量体単位(例えば、40〜60)のサイズにおよぶオリゴヌクレオチドを形成する。オリゴヌクレオチドが、「ATGCCTG」のような文字の配列によって提示されるときはいつでも、別段の注記がない限り、そのヌクレオチドは左から右に5’→3’の順序であること、および「A」がデオキシアデノシンを示し、「C」がデオキシシチジンを示し、「G」がデオキシグアノシンを示し、「T」はデオキシチミジンを示し、「U」はリボヌクレオシド、ウリジンを示すことが理解される。通常は、オリゴヌクレオチドは、4つの天然のデオキシヌクレオチドを含む;しかし、それらはまた、リボヌクレオシド、または天然のヌクレオチドアナログを含んでもよい。酵素が特異的なオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド基質、例えば、一本鎖DNA、RNA/DNA二重鎖などの要件を活性について有するならば、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド基質の適切な組成物生物の選択は、当業者の知識の十分に範囲内である。
【0047】
本明細書において用いる場合、「オリゴヌクレオチドプライマー」、または単に「プライマー」とは、標的核酸テンプレート上で配列にハイブリダイズして、デテクター・オリゴヌクレオチドの検出を容易にするポリヌクレオチド配列をいう。本発明の増幅実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーは、核酸合成の開始点として機能する。非増幅の実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーは、切断剤によって切断され得る構造を作成するために用いられ得る。プライマーは、種々の長さであってもよく、しばしば50ヌクレオチド長未満、例えば、12〜25ヌクレオチド長である。PCRにおける使用のためのプライマーの長さおよび配列は、当業者に公知の原理に基づいて設計され得る。
【0048】
「デテクター・オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書において用いる場合、目的の標的核酸に対してハイブリダイズまたはアニーリングし得、かつこの標的核酸の特異的な検出を可能にするポリヌクレオチド配列を指す。
【0049】
「ミスマッチヌクレオチド」または「ミスマッチ」とは、標的配列に対してその位置(単数または複数)で相補的でないヌクレオチドをいう。デテクター・オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのミスマッチを有してもよいが、2、3、4、5、6または7以上のミスマッチヌクレオチドを有してもよい。
【0050】
本明細書において用いる場合、「多形性」という用語は、対立遺伝子改変体をいう。多形性とは、単一ヌクレオチド多形態(一塩基遺伝子多型)(SNP’s)および単純な配列長さ多形性を包含し得る。多形性は、別の対立遺伝子に比べた一対立遺伝子での1つ以上のヌクレオチド置換基に起因し得、または挿入もしくは欠失、複製、反転および当該分野で公知の他の変更に起因し得る。
【0051】
本明細書において用いる場合、「質量識別可能な生成物」という用語は、「切断生成物」、「分解生成物」、または「プローブフラグメント」と交換可能に用いられ得る。この略語に加えて、「MDP」を用いてもよい。「質量識別可能な生成物」という用語は、本明細書の方法によって記載されるようなデテクター・オリゴヌクレオチドの切断および遊離から生じる1つ以上の分解生成物をいう。質量識別可能な生成物(MDP)とは、限定はしないが、未修飾のデテクター・オリゴヌクレオチド・フラグメント、修飾されたデテクター・オリゴヌクレオチド・フラグメント(例えば、同位体が富化されるか、または枯渇されたオリゴヌクレオチドフラグメント)、検出部分を含むオリゴヌクレオチドフラグメント、デテクター・オリゴヌクレオチドから遊離された検出部分、および標的核酸に相補的でないデテクター・オリゴヌクレオチド・フラグメントを含んでもよい。質量識別可能な生成物はまた、デテクター・オリゴヌクレオチドの部分的分解の際、標的核酸から解離する部分的に切断されたデテクター・オリゴヌクレオチド・フラグメントを含んでもよい。
【0052】
本明細書において用いる場合、「質量特異的な検出サイン(mass−specific detection signature)」という用語は、2つ以上の質量識別可能な生成物が検出され、従って、標的核酸について2つ以上の質量ピークを有するスペクトログラムを生じる場合をいう。デテクター・オリゴヌクレオチドの切断の際、質量分析方法によって検出可能である複数のMDPが生成され得る。各々の検出アッセイは、それ自体の質量特異的検出サインを有し得、このサインは、同じ標的核酸に対応する種々の質量を有する複数の切断産物を含む。
【0053】
本明細書において用いられる「修飾された」という用語は、検出特徴を含むように変更されているデテクター・オリゴヌクレオチドをいう。
【0054】
「検出特徴(detection feature)」という用語は、本明細書において用いる場合、例えば、質量の相違またはサイズの相違によって、質量分析法または任意の他の大きさに基づく分離方法、例えば、ゲル電気泳動(アクリルアミドまたはアガロースゲル、紙などを含む種々の支持体上)、クロマトグラフィーまたは濾過によって検出可能である分離特徴を作成するために導入されている修飾をいう。分離の特徴によって、特異的なMDPまたはサブセットのMDPをより大きいセットのMDPから検出することが可能になる。検出特徴としては、限定はしないが、検出部分、およびヌクレオシド修飾が挙げられる。
【0055】
「検出部分」という用語は本明細書において用いる場合、検出可能な(好ましくは定量化可能な)効果をもたらすために用いられ得、かつ核酸(例えば、デテクター・オリゴヌクレオチド)に結合されるか、または組み込まれ得る任意の原子または分子をいう。1つの好ましい実施形態では、この検出部分は、特有の質量によって特徴付けられる部分であり、これによって、質量に基づく分離において、例えば、質量分析法、ゲル電気泳動、クロマトグラフィーまたは濾過による、特異的な特定が可能になる。検出部分としては限定はしないが、ヌクレオチド、コンポマー(compomer)、糖、ペプチド、タンパク質、および抗体、化合物、金属化合物、電子吸着物質、結合部分、例えば、ビオチン、質量タグ、蛍光タグ、チャージタグ(charge tag)、揮発性タグおよび疎水性タグが挙げられる。本発明と組み合わせて用いられ得る検出部分のさらなる例は、参照によって本明細書に援用される、米国特許出願公開第20030194717号(出願番号10/221,666)に示される。
【0056】
「コンポマー(compomer)」という用語は、本明細書において用いる場合、アッセイされているサンプル中の特定の標的分子の存在を間接的に示すためのコンポマーテンプレートから、標的検出アッセイで合成された分子である。コンポマーは1つ以上のサブユニットからなる。コンポマー重合化のための特に好ましいサブユニットは、核酸塩基のサブユニットである。コンポマーは、参照によって全体が本明細書に援用される、米国特許出願公開第20050287533号(シリアルナンバー10/874898)に詳細に記載される。
【0057】
「ヌクレオシド修飾」という用語は、本明細書において用いる場合、デテクター・オリゴヌクレオチドの変更を分子レベルで指す(例えば、塩基部分、糖部分、またはリン酸塩骨格)。ヌクレオシド修飾としては限定はしないが、切断ブロッカーまたは切断誘導因子の導入、副溝・バインダーの導入、同位体富化、同位体枯渇、重水素の導入、およびハロゲン修飾が挙げられる。ヌクレオシド修飾はまた、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増大するか、またはデテクター・オリゴヌクレオチドの融点を増大する部分を含み得る。例えば、ヌクレオチド分子は、ヌクレアーゼによる切断に耐性である、ロックド核酸(locked nucleic acid)(LNA)ヌクレオチドを生じる2’および4’炭素を接続する外部架橋で修飾されてもよい。
【0058】
標的ポリヌクレオチドについてのプローブのような、別の分子に対する1分子の結合について言及する「特異的」または「特異性」という用語は、2つの分子の間の安定な複合体の認識、接触および形成であって、同時に他の分子とのその分子の認識、接触または複合体形成が実質的に少ないことをいう。本明細書において用いる場合、「アニーリングする(anneal)という用語は、2つの分子の間の安定な複合体の形成をいう。
【0059】
プローブは、そのプローブの少なくとも1つの領域が核酸配列の相補体の少なくとも1つの領域と実質的な配列同一性を共有する場合に核酸配列に「ハイブリダイズ可能である」。「実質的な配列同一性」とは、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、さらに好ましくは少なくとも90%、95%、または99%、最も好ましくは100%の配列同一性である。DNA配列およびRNA配列の配列同一性を決定する目的のため、UおよびTはしばしば、同じヌクレオチドとみなす。例えば、配列ATCAGCを含むプローブは、配列GCUGAUを含む標的RNA配列にハイブリダイズし得る。
【0060】
本明細書において用いる場合、「切断剤(cleavage agent)」という用語は、限定はしないが酵素を含む、質量分析可能な生成物を生じるデテクター・オリゴヌクレオチドを切断し得る任意の手段をいう。増幅が生じない方法については、切断剤は単に、デテクター・オリゴヌクレオチドまたはそのフラグメントを切断、分解、そうでなければ遊離するように機能し得る。切断剤は酵素であってもよい。切断剤は、天然であっても、未修飾であってもまたは修飾であってもよい。
【0061】
増幅が生じる方法については、切断剤は好ましくは、合成(または重合化)活性およびヌクレアーゼ活性を有する酵素である。このような酵素はしばしば、核酸増幅酵素である。核酸増幅酵素の例は、核酸ポリメラーゼ酵素、例えば、Thermus aquaticus(Taq)DNA polymerase(TaqMAN(登録商標))またはE.coli DNAポリメラーゼIである。この酵素は天然に存在しても、合成であっても、未修飾であってもまたは修飾であってもよい。
【0062】
「ポリメラーゼ」という用語は、テンプレートとしてDNAまたはRNAを用いてヌクレオチド鎖に対するヌクレオチド単位の付加によって、ポリヌクレオチド合成を触媒する酵素をいう。この用語は、完全な酵素または触媒性ドメインのいずれかを指す。
【0063】
(B.誘導)
本発明は部分的には、質量分析法によって検出されるべきハイブリダイゼーションプローブを使用する定量的増幅プロセス、ならびに合成かつヌクレアーゼ活動し得る単一の酵素を含む反応に関連する。対照的に、いずれかに記載される特定の定量的増幅適用は、(a)質量分析以外の方法によって検出される検出標識、例えば、蛍光タグを含むハイブリダイゼーションプローブ(例えば、米国特許第5,210,015号を参照のこと)、または(b)非増幅ベースの方法において切断構造を切断するために使用される複数の切断剤(例えば、米国特許第5,719,028号を参照のこと)を要する。本明細書に記載される実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドは、テンプレートを増幅するプライマーとともに増幅反応物中に含まれる。さらに、デテクター・オリゴヌクレオチドまたはそのフラグメントは、多重化の増強レベルを可能にする質量分析法によって検出される。ある実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、修飾されており、他の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは未修飾である。この増幅条件、酵素特性、デテクター・オリゴヌクレオチド特性、デテクター・オリゴヌクレオチド結合特性および質量識別可能な生成物検出方法は、本明細書において以降にさらに詳細に記載される。
【0064】
(C.増幅条件)
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、多重化方式で正確かつ鋭敏な核酸分析を可能にする、改変された定量的増幅方法を使用する。米国特許第4,683,195号、および同第4,683,202号(MullisおよびMullisら)に記載されるようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、クローニングも精製もなしに、ゲノムDNAの混合物中で標的配列のセグメントの濃度を増大するための方法を記載する。PCRを用いれば、標的の濃度を容易に検出可能なレベルまで直接増大し得る。この標的配列を増幅するためのプロセスは、二本鎖標的配列のそれぞれの鎖に相補的であるモル過剰の2つのオリゴヌクレオチドプライマーを、所望の標的配列を含むDNA混合物に対して導入する工程を包含する。この混合物は変性され、次いでハイブリダイズされる。ハイブリダイゼーション後、このプライマーは、ポリメラーゼで伸長されて、相補的な鎖が形成される。変性、ハイブリダイゼーション、およびポリメラーゼ伸長の工程を必要なたびに繰り返して、所望の標的配列の比較的高濃度のセグメントを得る。
【0065】
本発明の方法によって、増幅反応を、単独の閉じた反応容器中で同時に行うことが可能になり、ここでは増幅工程をシグナルが検出されるまで反復してもよい。この合成の副産物は、一ヌクレオチド、二ヌクレオチドおよびより大きいヌクレオチドフラグメントの混合物からなるデテクター・オリゴヌクレオチド由来のオリゴヌクレオチドフラグメントである。このデテクター・オリゴヌクレオチドは、質量分析方法によって検出可能な検出特徴を含むように修飾してもよいし、またはオリゴヌクレオチドフラグメントは、所定の分子量または大きさの質量識別可能な生成物を得るために修飾してもよい。変性、デテクター・オリゴヌクレオチドおよびプライマーアニーリングの反復サイクル、ならびにプライマー伸長およびデテクター・オリゴヌクレオチドの切断によって、プライマーによって規定される標的領域の指数関数的蓄積、および質量識別可能な生成物の指数関数的生成が得られる。十分なサイクルを行って、MDPの検出可能な種を達成する。
【0066】
本発明によって、特に現在利用可能なアッセイに比べて、多重アッセイをより容易に設計して行う能力を含む、多くの利点が得られる。多重化アッセイでは、いくつかの標的核酸を同時に検出し得る。多重形式では、特に設計されたデテクター・オリゴヌクレオチドのセットを用い、その結果得られた質量識別可能な生成物は、お互いから識別され得る特有の質量を有する。多重化実験を用いれば、2つ以上の標的核酸、10以上の標的核酸、100以上の標的核酸、または1,000以上の標的核酸を同じアッセイで検出し得る。多重アッセイで用いられるデテクター・オリゴヌクレオチドの数は、検出されるべき標的核酸の数以上である。例えば、多重化実験を用いて10個の標的核酸を検出する場合、10個以上のデテクター・オリゴヌクレオチド(固有の質量の10個以上の質量識別可能な生成物を生じる)を用いる。単独のアッセイで検出され得る分析物の数は、単独のアッセイで検出され得る質量識別可能な生成物の数によってのみ制限される。本明細書に記載される場合、質量分析法は、質量のわずかな差を解析し得、これによって単一のアッセイにおける多数のデテクター・オリゴヌクレオチドの使用が可能になる。
【0067】
(D.プライマーの特性)
オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、任意の適切な方法、例えば、当業者に周知であるリン酸トリエステルおよびリン酸ジエステルを用いる方法などを用いて調製され得る。ある実施形態では、1つ以上の検出部分がデテクター・オリゴヌクレオチドに含まれる。このオリゴヌクレオチドはまた、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で、例えば、副溝・バインダーまたはインターカレート剤を用いて修飾されてもよい。
【0068】
増幅反応のためのプライマーを公知のアルゴリズムに従って設計する。このプライマーを、標的核酸に隣接する配列にハイブリダイズするように設計する。代表的には、市販のまたは特注のソフトウェアは、アニーリング温度が融点に近いようなプライマーを設計するアルゴリズムを用いる。増幅プライマーは通常少なくとも12塩基、たいていの場合は約15、18または20塩基長である。プライマーは代表的には、特定の反応に関与する全てのプライマーがお互いの5℃以内、最も好ましくは2℃以内の融点を有するように設計される。プライマーはさらに、それ自体またはお互いに対するプライミングを回避するように設計される。プライマー濃度はしばしば増幅される標的配列の量に結合するのに十分であり、それによって増幅された配列の量の正確な評価が得られる。当業者は、プライマーの濃度がプライマーの結合親和性、および結合されるべき配列の量に従って変化するということを認識する。代表的なプライマー濃度は、0.01μM〜1.0μMにおよぶ。また、プライマー濃度は、デテクター・オリゴヌクレオチド濃度に対して変化し得、ここでデテクター・オリゴヌクレオチド濃度は、プライマー濃度よりも大きい。
【0069】
別の実施形態では、フォワードおよびリバースプライマーの濃度は、お互いに対して変化してもよく(ときに非対称PCRとも呼ばれる条件)、これによってテンプレートDNAの1方の鎖を他よりも優先的に増幅し得る。好ましい実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドが結合する鎖が優先的に増幅される。
【0070】
増幅反応は、プライマーが標的配列テンプレートにハイブリダイズしてポリメラーゼによって伸長される条件下でインキュベートされる。このような反応条件は、目的の標的核酸およびプライマーの組成に依存して変化してもよい。増幅反応サイクル条件は、プライマーが標的テンプレート配列に特異的にハイブリダイズして伸長されるように選択される。標的テンプレートに特異的にハイブリダイズするプライマーは、分析されるサンプル中に存在し得る他の核酸に比較して優先的に標的核酸を増幅する。
【0071】
(E.酵素の特性)
本発明は、検出可能な質量識別可能な生成物を分解および遊離する切断剤の使用を組み込む。異なるタイプの核酸を切断するために用いられ得る、いくつかのヌクレアーゼが当該分野で公知である。例えば、二本鎖DNAを切断し得るヌクレアーゼ(例えば、DNAseIおよびエキソヌクレアーゼIII)、または一本鎖DNAを切断し得るヌクレアーゼ(例えば、ヌクレアーゼS1)が利用される。ヌクレアーゼとしては、単にヌクレアーゼとして機能する酵素、およびヌクレアーゼ活性を含む多機能酵素、例えば、5’ヌクレアーゼ活性を有するTaqポリメラーゼのようなDNAポリメラーゼなどが挙げられる。種々の細菌種由来の、または設計された変異体に由来するTaqポリメラーゼのいくつかの誘導体(核酸ハイブリッドの特定の構造を切断する)が公知である(Kaiserら、J.Biol.Chem.274:21387〜21394(1999);Lyamichevら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:6143〜6148(1999);Maら、J.Biol.Chem.275:24693〜24700(2000))。例えば、特異的な核酸構造でのみ切断するCleavase(商標)酵素(Third Wave Technologies)が開発されている。好ましい実施形態では、切断剤は、ポリメラーゼ活性およびヌクレアーゼ活性を有する酵素であり、ここでは質量識別可能な生成物が生成されながら標的核酸が指数関数的に増幅される。
【0072】
いくつかの実施形態では、この酵素は、デテクター・オリゴヌクレオチドの1ヌクレオチドを、標的に対してハイブリダイズされるデテクター・オリゴヌクレオチド領域の5’末端へ切断する。別の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドごとに切断されることはない。代わりに、切断は、2つ以上のヌクレオチドの質量識別可能な生成物を生じる検出部分の導入またはヌクレオシド修飾を通じて調節される。好ましい実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドは、再生可能かつ識別可能なMDPを生じるような方法で切断される。
【0073】
(F.デテクター・オリゴヌクレオチド特性)
本発明のデテクター・オリゴヌクレオチドは、任意の安定なサイズであってもよく、代表的には、約6〜約100ヌクレオチド、さらに好ましくは約6〜約80ヌクレオチド、それより頻繁には約10〜約40ヌクレオチドの範囲である。デテクター・オリゴヌクレオチドの正確な配列および長さは、部分的には、それが結合する標的ポリヌクレオチドの性質に依存する。この結合の位置および長さは、特定の実施形態について、適切なアニーリングおよび融解の物性を得るように変化されてもよい。このようなデザインの選択を行うための手引きは、多くの当該分野で認識される引用文献に見ることができる。デテクター・オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを、標的核酸を増幅するためのプライマーを用いる標的配列の増幅と組み合わせれば、サンプル中の標的核酸配列の量の定量的な決定が得られる。好ましい実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、非延長性であり(例えば、3’ジデオキシヌクレオチドの導入を通じて)、それによって、増幅のアーチファクトの可能性が減る。
【0074】
このデテクター・オリゴヌクレオチドはまた、標的核酸配列に対するミスマッチを、例えば、標的核酸配列の不変の(非多形的な)位置で、含み得る。ある実施形態では、さらなるヌクレオチド、例えば、2、3、4、5、6または7つ以上のヌクレオチドが標的核酸に対してミスマッチであり得る。ある実施形態では、このさらなるミスマッチが、標的核酸配列とのハイブリダイゼーションの前に、上流のデテクター・オリゴヌクレオチド配列とのステム−ループ構造を形成する。このミスマッチヌクレオチドは、デテクター・オリゴヌクレオチドに対して5’側に存在しても、3’側に存在しても、または内部に存在してもよい。3’ミスマッチの例は、参照によって本明細書に援用される、米国特許出願公開第20060024695号に記載される。別の実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドの相補的領域の5’末端は、GCクランプを含んでもよい。
【0075】
デテクター・オリゴヌクレオチドは、修飾されても、未修飾でもよい。修飾されるオリゴヌクレオチドは、検出部分またはヌクレオシド修飾を含んでもよい。検出部分およびヌクレオシド修飾、ならびにそれらを作成および使用する方法の例は、米国特許第5,174,962号;米国特許第5,360,819号;米国特許第5,516,931号;米国特許第6,268,129号;米国特許第6,635,452号;米国特許第6,322,980号;米国特許第6,514,700号;米国特許第6,649,351号;米国特許第6,613,509号;および米国特許出願公開第20060172319(全てが参照によって本明細書に援用される)に記載される。
【0076】
「検出部分」という用語は、質量標識、タグまたはシグナルをいう。本発明の検出部分のタイプの例としては、化合物のレパートリー、好ましくは、類似の質量分光脱離特性を共有し、かつ類似または同一のカップリング化学を有しており複数の検出部分改変体の合成を合理化するものが挙げられる。本発明の検出部分は、質量分析計によって検出可能である。質量分析技術の代表的なタイプとしては、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法、直接レーザー脱離質量分析法、エレクトロスプレーイオン化質量分析法、二次中性粒子質量分析法、および二次イオン質量分析法が挙げられ、レーザー脱離イオン化が好ましい。ダイナミックレンジの質量スペクトル測定は、一般に、シグナルの処理および分析における対数増幅器および/または可変減衰器の使用によって拡張できる。
【0077】
他の関連の実施形態では、ヌクレオチドは、限定はしないが放射性分子、蛍光分子、抗体、抗体フラグメント、ハプテン、炭水化物、ビオチン、ビオチンの誘導体、リン光部分、発光部分、電気化学発光部分、着色部分、および検出可能な電子スピン共鳴、電気容量、比誘電率、または導電率を有する部分を含むデテクター・オリゴヌクレオチドの検出、切断、または切断耐性を可能にする任意のタイプの化学基または部分で標識され得る。ヌクレオチドは、1つまたは2つ以上のタイプの化学基または化学部分で標識され得る。各々のヌクレオチドは、同じ化学基または部分で標識されてもよい。あるいは、各々の異なるヌクレオチドが、異なる化学基または部分で標識されてもよい。この標識されたヌクレオチドは、dNTPs、ddNTPs、またはdNTPsおよびddNTPsの両方の混合物であってもよい。未標識のヌクレオチドはdNTPs、ddNTPs、またはdNTPsおよびddNTPsの両方の混合物であってもよい。
【0078】
ヌクレオチドの任意の組み合わせを用いて、限定はしないが未標識のデオキシヌクレオチド、標識されたデオキシヌクレオチド、未標識のジデオキシヌクレオチド、標識されたジデオキシヌクレオチド、標識および未標識のデオキシヌクレオチドの混合物、標識および未標識のジデオキシヌクレオチドの混合物、標識デオキシヌクレオチドおよび標識ジデオキシヌクレオチドの混合物、標識デオキシヌクレオチドおよび未標識ジデオキシヌクレオチドの混合物、未標識デオキシヌクレオチドおよび未標識ジデオキシヌクレオチドの混合物、未標識デオキシヌクレオチドおよび標識ジデオキシヌクレオチドの混合物、ジデオキシヌクレオチドアナログ、デオキシヌクレオチドアナログ、ジデオキシヌクレオチドアナログおよびデオキシヌクレオチドアナログの混合物、リン酸化ヌクレオシドアナログ、2’−デオキシヌクレオチド−5’−三リン酸塩、および修飾された2’−デオキシヌクレオチド−5’−三リン酸塩を含むヌクレオチドを組み込んでもよい。
【0079】
4つ全てのヌクレオチドを、異なる蛍光基で標識してもよく、これによって1つの反応を4つ全ての標識されたヌクレオチドの存在下で行うことが可能になる。あるいは、4つの別個の「フィルイン(fill in)」反応を目的の各々の遺伝子座について行ってもよい;各々の4つの反応は、異なる標識ヌクレオチド(例えば、ddATP、ddTTP、ddGTP、またはddCTP、ここでは、標識されたヌクレオチドを示す)を含む。各々のヌクレオチドは、異なる化学基で標識されても、または同じ化学基で標識されてもよい。この標識されたヌクレオチドは、ジデオキシヌクレオチドであっても、またはデオキシヌクレオチドであってもよい。
【0080】
別の実施形態では、ヌクレオチドは、限定はしないが、フルオレセイン、ピレン、7−メトキシクマリン、Cascade Blue.TM.、Alexa Flur 350、Alexa Flur 430、Alexa Flur 488、Alexa Flur 532、Alexa Flur 546、Alexa Flur 568、Alexa Flur 594、Alexa Flur 633、Alexa Flur 647、Alexa Flur 660、Alexa Flur 680、AMCA−X、ジアルキルアミノクマリン、Pacific Blue、Marina Blue、BODIPY 493/503、BODIPY Fl−X、DTAF、Oregon Green 500、Dansyl−X、6−FAM、Oregon Green 488、Oregon Green 514、Rhodamine Green−X、Rhodol Green、Calcein、Eosin、臭化エチジウム、NBD、TET、2’、4’、5’、7’テトラブロモスルホンフルオレセイン、BODIPY−R6G、BODIPY−Fl BR2、BODIPY 530/550、HEX、BODIPY 558/568、BODIPY−TMR−X.、PyMPO、BODIPY 564/570、TAMRA、BODIPY 576/589、Cy3、Rhodamine Red−x、BODIPY 581/591、carboxyXrhodamine、Texas Red−X、BODIPY−TR−X.、Cy5、SpectrumAqua、SpectrumGreen #1、SpectrumGreen #2、SpectrumOrange、SpectrumRed、またはナフトフルオレセインを含む蛍光色素で標識され得る。
【0081】
検出部分は、バイオポリマー、および合成のポリマーを含むありとあらゆる種々のタイプの化合物を含んでもよい。検出部分として、単独でまたはポリマー型で用いられ得る代表的な生物学的モノマー単位としては、ペプチド核酸(PNA)アミノ酸、非天然のアミノ酸、核酸、糖類、炭水化物、ペプチド模倣物および核酸模倣物が挙げられる。好ましいペプチドは天然に存在し、安定で、かつ比較的小型である(例えば、ニューロペプチド・サブスタンスP)。好ましいアミノ酸としてはまた、単純な脂肪族側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン)、芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシンおよびヒスチジン)、酸素およびイオウを含む側鎖を有するアミノ酸(例えば、セリン、トレオニン、メチオニン、およびシステイン)、カルボン酸基またはアミド基を含む側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミン)、および強い塩基性の基を含む側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジンおよびアルギニン)、およびプロリンが挙げられる。上記のアミノ酸の誘導体も、モノマー単位として考慮される。本明細書において用いられるアミノ酸誘導体は、その構造内にアミノ置換カルボン酸の塩基性アミノ酸コアを含む任意の化合物であって、代表的な例としては限定はしないが、アザセリン、フルオロアラニン、GABA、オルニチン、ノルロイシンおよびサイクロセリンが挙げられる。上記のアミノ酸由来のペプチドも、モノマー単位として用いられ得る。代表的な例としては、天然に存在するペプチドおよび合成のペプチドの両方が挙げられ、ここで約500ダルトンを超える分子量、約500〜5000ダルトンのペプチドが好ましい。糖類の代表的な例としては、リボース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトースおよび2〜7個の炭素の鎖から構成される他の糖誘導体が挙げられる。代表的な多糖類(ポリサッカライド)としては、グリコシド結合を介して連結された上記の糖類単位の組み合わせが挙げられる。一般には任意の1検出部分内のポリマー単位の配列は、重要ではない;総量は、標識の重要な特徴である。本発明のある実施形態では、ペプチド検出部分をヌクレオチドと組み合わせて、MDPのライブラリーを得る。例えば、同じペプチド(例えば、サブスタンスP:以下の配列:Arg Pro Lys Pro Gln Gln Phe Phe Gly Leu Metを有する11アミノ酸のポリペプチド)を、種々の量のヌクレオチドのライブラリー(例えば、全ての可能な4マー)に結合体化する。
【0082】
本発明に従うモノマー単位は、核酸塩基の化合物、またはヌクレオシド修飾から構成され得る。本明細書において用いる場合、核酸塩基という用語は、その構造内にプリン、ピリミジン、核酸、ヌクレオシド、ヌクレオチドまたはこれらの任意の誘導体、例えば、保護された核塩基、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、フォリン酸アナログ、ホスホン酸メチル誘導体、ホスホトリエステル誘導体、ボラノホスフェート(borano phosphate)誘導体、またはホスホロチオエート誘導体を含む任意の部分を指す。
【0083】
本発明による検出部分はまた、規定の質量値を有しており、バイオアッセイの間に水溶性を保持しており、質量分析法によって検出可能である任意の有機または無機ポリマーを含んでもよい。代表的な合成のモノマー単位(ポリマー型で質量単位として用いられ得る)としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルフェノール、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレングリコール、ポリピロールおよびそれらの誘導体が挙げられる。広範な種々のポリマーが当業者に容易に利用可能である。ポリマーは、単一のタイプのモノマー単位、またはモノマー単位の組み合わせから構成し、混合されたポリマーを作製してもよい。任意の検出部分内のポリマー単位の配列は、重要ではない;総質量が標識の重要な特徴である。
【0084】
約500Da未満の質量を有する不揮発性検出部分については、通常有意なイオン形質が必要である;代表的な例としては、四級アンモニウム塩のポリエチレングリコールオリゴマー(例えば、R−−(O−−CH−−CH −−N(CHCl)およびカルボン酸および塩のポリエチレングリコールオリゴマー(例えば、R−−(O−−CH −−CH −−CO −−Na)が挙げられる。
【0085】
不揮発性検出部分の例としては代表的には約500Da未満の分子量のポリエチレングリコールおよび低分子ペプチド(天然または修飾)の低分子オリゴマーが挙げられる。これらの場合、本明細書において考慮される全ての場合について、質量分析は電子付着によってではない。
【0086】
本発明の検出部分はまた、非ポリマーである、種々の不揮発性および揮発性の有機化合物を包含し得る。不揮発性の有機化合物の代表的な例としては、ヘム基、色素、有機金属化合物、ステロイド、フラーレン、レチノイド、カロテノイドおよび芳香族多環式炭化水素が挙げられる。
【0087】
シグナル重複を回避するためにデテクター・オリゴヌクレオチドで複数の検出部分を用いる場合が好ましい。単一の荷電を有する検出部分について大きい一次シグナルを示すことに加えて、シグナルを示すための検出部分の複数の荷電されたバージョンの電位、および検出部分の二量体化バージョンもある。シグナル検出部分の複数のシグナルの存在は、潜在的に、第二の検出部分の一次ピークのシグナルと重複しかつ不明瞭であり得る。従って代表的には、所定の分析のために用いられる検出部分の範囲は、多重に荷電されない質量範囲を有してもよいし、または二量体種は、全ての検出部分の検出を妨害し得、例えば、この検出部分は、最少の質量標識が最大の検出部分の質量の半分を超える質量範囲を有してもよい。
【0088】
他の検出部分としては、塩基に連結された蛍光およびクエンチャー(当該分野で周知である)が挙げられる。それらは、例えば、Life Technologies(Gaithersburg,Md.),Sigma−Genosys(The Woodlands,Tex.),Invitrogen(Carlsbad,Ca.),またはSynthetic Genetics(San Diego, Calif.)から入手できる。ある場合には、塩基に連結された蛍光を、オリゴヌクレオチド(塩基と連結された反応性基で合成した)の合成後修飾によってオリゴヌクレオチド中に組み込む。この蛍光は、糖または塩基の3’OHに結合されてもよい。塩基に連結された蛍光および/またはクエンチャーを用いて、特定の質量の特有のMDPを作製してもよく、次にこれを質量分析法によって検出してもよい。
【0089】
別の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、切断できない(すなわち、非分解性またはヌクレアーゼ耐性の)ヌクレオチドを含む。本明細書において記載されるとおり、本発明の酵素は、ヌクレアーゼ感受性であるデテクター・オリゴヌクレオチド中の任意の結合を切断し得る。しかし、標的結合部分(すなわち、標的核酸とハイブリダイズするかまたは相補的であるデテクター・オリゴヌクレオチドの部分)において少なくとも1つのヌクレアーゼ耐性結合を有する利点とは、デテクター・オリゴヌクレオチドが、切断の際に単一の大きさの種の質量識別可能な生成物を生じるということである。特に好ましい切断不能な(または切断耐性の)ヌクレオチドは、ロックド核酸(locked nucleic acid)(LNA)である。ロックド核酸はまた、アクセス不能なRNAとも呼ばれ、修飾されたRNAヌクレオチドである。LNAヌクレオチドのリボース部分は、しばしば、2’および4’炭素をつなぐ外部架橋で修飾される。LNAヌクレオチドは、所望の場合はいつでもオリゴヌクレオチド・デテクター中でDNAまたはRNA塩基とともに組み込まれ得る。一実施形態では、1つ以上のLNAをデテクター・オリゴヌクレオチドの相補性(またた標的結合部分)領域の5’末端中に組み込む。
【0090】
ロックドリボース(locked ribose)高次構造は、塩基のスタッキングおよび骨格のプレ組織化を増強し、それによって、LNAが組み込まれているデテクター・オリゴヌクレオチドの熱安定性(融点)を有意に増大する。この効果はさらにお互いに対して隣接する2つ以上のLNAを置くことによって増強され得る。下の実施例3を参照のこと。
【0091】
ヌクレアーゼ切断可能な結合としては、例えば、ホスホジエステル結合を挙げることが可能で、ヌクレアーゼ耐性結合としては、例えば、チオリン酸エステル、ホスフィン酸塩、メチルホスホネート、ホスホラミダイト、または亜リン酸誘導体以外のリンカー、例えば、アミドおよびボロン酸結合、またはアルキルシリルジエステルおよびペプチド核酸を挙げることができる。
【0092】
別の実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドは、酵素によって切断可能な基または結合を含む。酵素切断可能な遊離基としては、ホスホジエステルまたはアミド結合、ならびに、制限エンドヌクレアーゼ認識部位が挙げられる。
【0093】
別の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、副溝・バインダー(minor groove binder)(MGB)を含み、このMGBは、特定のアッセイに依存して、デテクター・オリゴヌクレオチドの5’末端、真ん中、または3’末端にある。副溝結合タンパク質および/または修飾された塩基DNAプローブ(結合体化された副溝・バインダー(MGB)と結合された)は、一本鎖DNA標的との極めて安定な二重鎖を形成し、これによって、ハイブリダイゼーションベースのアッセイに、さらに短いプローブを用いることが可能になる(例えば、米国特許第5,801,155号)。従って、ある実施形態では、副溝・バインダー基はまた、デテクター・オリゴヌクレオチド中に、例えば、プローブの3’末端で含まれる。種々の適切な副溝・バインダーは、文献に記載されている。例えば、米国特許第5,801,155号;Wemmer & Dervan,Current Opinon in Structural Biology 7:355−361−(1997);Walker,ら、Biopolymers 44:323−334(1997);Zimmer & Wahnert, Prog.Biophys.Molec.Bio.47:31〜112(1986);およびReddy,ら、Pharmacol.Therap.84:1〜111(1999)を参照のこと。オリゴヌクレオチドに対してリンカーを通じてMGBs(および他の部分)を結合するための適切な方法は、例えば、米国特許第5,512,677号;同第5,419,966号;同第5,696,251号;同第5,585,481号;同第5,942,610号および同第5,736,626号(その全てが参照によって本明細書に援用される)に記載される。
【0094】
別の実施形態では、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、同位体でコードされたヌクレオチドを含む。一例では、対立遺伝子特異的デテクター・オリゴヌクレオチドは、SNP対立遺伝子に対してハイブリダイズする同位体コードされたヌクレオチドを含む。この同位体コードされたデテクター・オリゴヌクレオチドが次に、同位体コードされた質量識別可能な生成物を生じる。一実施形態では、1つだけの同位体コードされたヌクレオチドまたは同位体コードされたヌクレオチドを含む短いフラグメント(例えば、2、3または4塩基)を生成して、質量分析法によって検出する。1つだけのヌクレオチドが検出される場合、精製は単純化される。なぜならリン酸骨格が存在せず、塩付加形成が最小化されるからである。例えば、米国特許第6,613,509号(参照によって本明細書に援用される)を参照のこと、これは、核酸への同位体の組み込みを記載している。
【0095】
別の実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドは、その融点(Tm)を増大するように修飾され得る。一実施形態では、このプライマー融点はしばしば、約58〜60℃であり、デテクター・オリゴヌクレオチドのTmはしばしば、プライマーのTmよりも10℃高い。両方のプライマーのTmはしばしば、ほぼ等しい。
【0096】
(G.デテクター・オリゴヌクレオチドの結合特性)
ある実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドの分解を、構造中の核酸の1つ以上が標的から解離され得る条件下で行う。一実施形態では、デテクター・オリゴヌクレオチドの全体または部分的な解離によって、複数の質量識別可能な生成物の形成が可能になる。ある実施形態では、このような解離は、温度の上昇によって誘導され、その結果1つ以上のオリゴヌクレオチドは標的鎖に対してもはやハイブリダイズできない。他の実施形態では、このような解離が生じる。なぜなら、オリゴヌクレオチド生成物の切断は、反応条件下で標的鎖に結合できない切断生成物のみを生じるからである。好ましい実施形態では、切断にかかわらずオリゴヌクレオチドが標的鎖と会合し(すなわち、ハイブリダイズし)その標的鎖から解離し得る条件を選択する。特に好ましい実施形態では、二重鎖構造の一部のとき切断され得るデテクター・オリゴヌクレオチドのコピー数が標的核酸鎖のコピー数を、部分的に切断されるデテクター・オリゴヌクレオチドが解離するとき十分な量で超え、標的鎖がデテクター・オリゴヌクレオチドのインタクトなコピーと会合する可能性が、デテクター・オリゴヌクレオチドの切断されたコピーと会合する可能性より大きいように条件を選択する。
【0097】
(H.質量識別可能な生成物の検出方法)
質量識別可能な生成物は、限定はしないが、長さ、質量、電荷または質量対電荷比を含む特定の物理的特質または検出特徴によって識別可能である。好ましい実施形態では、この検出特徴は質量である。別の関連の実施形態では、MDPは、限定はしないが、MALDI−TOF質量分析法での飛行時間質量を含む、物理的特質に関連する挙動によって識別可能であり得る。関連の実施形態では、1つ以上のデテクター・オリゴヌクレオチド由来のMDPを遊離して、質量スペクトルマトリックスから選択的に脱着させ、その結果非選択性のプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチド(すなわち、標的核酸が存在しない)は脱着しない。これらの実施形態については、MDPは、デテクター・オリゴヌクレオチドまたは反応混合物に存在する他の非MDPよりも質量スペクトルマトリックスからより効率的に脱着しなければならない。好ましい質量スペクトルマトリックスとしては、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシピコリン酸(3−HPA)、クエン酸二アンモニウム(ammoniumcitrate)(DAC)およびそれらの組み合わせが挙げられる。別の実施形態では、質量スペクトルマトリックスが、タンパク質の分析のために設計され得る。タンパク質分析のための例示的なマトリックスとしては、限定はしないが、DHBおよびCHCAが挙げられる。
【0098】
この方法はさらに、未切断または部分的に切断されたデテクター・オリゴヌクレオチド由来の1つ以上のデテクター・オリゴヌクレオチドのフラグメント(すなわち、MDP)を分離するさらなる工程を包含し得る。分離は、捕獲リガンド、例えば、ビオチンまたは他のアフィニティーリガンド、および捕捉剤、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、抗体、レセプター、MDPに相補的な捕獲プローブ、またはその機能的なフラグメント(捕獲リガンドに対して特異的な結合活性を有する)を用いて達成され得る。MDPは、捕捉剤に特異的な結合活性を有する捕獲リガンドを含んでもよい。MDPは当該分野で周知の方法を用いてビオチニル化されるかまたはアフィニティーリガンドに結合され得る。下の実施例4を参照のこと。捕獲リガンドおよび捕捉剤はまた、MDPの残りの部分に対して重量を付加するために用いられてもよく、この結果、これは、質量分析方法において検出されたMDPの質量範囲から排除され得る。一実施形態では、捕獲プローブは切断生成物のユニバーサル増幅のためのユニバーサルプライマーを有し得る。
【0099】
分離工程はまた、塩、酵素、または他の緩衝液成分をMDPから除去するために用いられ得る。当該分野で周知のいくつかの方法、例えば、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、または沈澱を用いて、サンプルを浄化してもよい。例えば、サイズ排除クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーを用いて、サンプルから塩を除去してもよい。分離方法の選択は、サンプルの量に依存し得る。例えば、少量のサンプルが利用可能であるか、または小型化された装置を用いる場合、マイクロ−アフィニティークロマトグラフィー分離工程を用いてもよい。さらに、分離工程が所望されるかどうか、および分離方法の選択は、用いられる検出方法に依存し得る。例えば、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化およびエレクトロスプレーイオン化の効率は、サンプルから塩を除去することによって改善され得る。例えば、塩は、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化でレーザーからエネルギーを吸収して、低いイオン化効率を生じ得る。
【0100】
質量分析方法は本発明の質量識別可能な生成物を検出するための好ましい方法であり、従って、標的核酸を特定および/または定量する。質量識別可能な生成物は、質量分析計でイオン化されて、イオンはその質量対電荷比に基づいて空間または時間で分離されてもよい。次いで、質量分析計は、各々のイオンに関連する質量を計算する。従って、質量分析法について言及される場合、質量という用語は、質量対電荷比を簡単に記載するために用いられ得る。
【0101】
質量分析法は、分子を分離および特定するための鋭敏かつ正確な技術である。一般には、質量分析計は、2つの主要な構成要素、イオンの発生のためのイオン源、およびイオンの質量対電荷比を測定するための質量選択性分析器(これらのイオンについて質量の測定値に変換される)を有する。いくつかのイオン化方法が当該分野で公知であって、本明細書に記載される。質量識別可能な生成物は、デテクター・オリゴヌクレオチドから、切断の前、間または後に荷電され得る。結果として、質量分析法によって測定される質量識別可能な生成物は常に電荷が必要ではない。なぜなら、電荷は、質量分析法手順を通じて獲得され得るからである。質量分析法では、MDPの任意の成分、例えば、電荷および検出部分を、MDPの質量に寄与するために用いてもよい。
【0102】
種々の質量分析法、例えば、四極子質量分析法、イオントラップ質量分析法、飛行時間質量分析法、ガスクロマトグラフィー質量分析法およびタンデム型質量分析法は、本明細書に記載されるとおり、種々のイオン源および質量分析器(カスタマイズされた検出プロトコールを設計するのに可塑性を可能にする)を利用し得る。さらに、質量分析計をプログラムして、全てのイオンをイオン源から質量分析計に、連続して、または同時に伝達してもよい。さらに、質量分析計をプログラムして、他のイオンをブロックしながら、特定の質量のイオンを質量分析計中に選択してもよい。
【0103】
質量分析計中のイオンの動きを正確に制御する能力によって、検出プロトコール中のより大きい選択肢が可能になり、これは、例えば、多重化実験から多数の質量識別可能な生成物が分析されている場合、有利であり得る。例えば、多数のMDPでの多重化実験では、一群の類似のレポーターから個々のレポーターを選択し、次いでそのレポーターを別々に分析することが有利であり得る。質量分析計によって検出される質量範囲を制御するのに基づく別の利点としては、非切断または部分的に切断されたタグ化プローブが分析されることを排除して、アッセイからバックグラウンドのノイズを減らす能力が挙げられる。
【0104】
質量分析計は、わずかな質量の相違を有するイオンを解像して、高い程度の正確性でイオンの質量を測定することができる。従って、類似の質量のMDPを同じ実験で一緒に用いることができる。なぜなら、質量分析計は、密接に関連するタグでさえ質量を区別し得る。質量分析方法を用いて達成される高い程度の解像および質量の正確性によって、多数のセットのタグ化プローブの使用が可能になる。なぜなら、得られたレポータータグは、お互いから識別され得るからである。多数のセットのタグ化プローブを使用する能力は、多重化実験を設計する場合有利である。
【0105】
質量識別可能な生成物の質量を検出するための質量分析法を用いる別の利点は、このタイプの質量分析の高い感度に基づく。質量分析法は、イオン源によって形成されるイオンの大部分を利用すること、およびこれらのイオンを質量分析器を通じて検出器に効率的に移動することによって高い感度を得る。この高レベルの感度のおかげで、限られた量のサンプルでさえ、質量分析法を用いて測定され得る。これは、各々のMDP種の量が少なくてもよい多重化実験で有利であり得る。
【0106】
質量分析法は、当該分野で周知である(Burlingameら、Anal.Chem.70:647R〜716R(1998);Kinter and Sherman, Protein Sequencing and Identification Using Tandem Mass Spectrometry Wiley−Interscience, New York(2000)を参照のこと)。質量分析法に関連する基本的なプロセスは、サンプル由来の気相イオンの生成、およびそれらの質量の測定である。
【0107】
気相イオンの動きは、質量分析計で生成された電磁場を用いて正確に制御され得る。これらの電磁場におけるイオンの動きは、イオンのm/zに比例し、これがm/z、従ってサンプルの質量を測定する基礎となる。これらの電磁場におけるイオンの動きによって、イオンが含まれて集束されることが可能になり、これが高感度の質量分析を説明する。m/z測定の経過の間、イオンを高い効率で、粒子検出器に移動して、これがこれらのイオンの到着を記録する。各々のm/zでのイオンの量は、グラフ上のピークによって実証され、ここでx軸はm/zであり、y軸は相対存在量である。種々の質量分析計は、種々のレベルの解像度を有する、すなわち、質量が密接に関連したイオンの間のピークを解像する能力である。この解像度は、R=m/δmとして規定され、ここでmはイオンの質量であり、δmは質量スペクトル中の2つのピークの間の質量の相違である。例えば、1000という解像度を有する質量分析計は、100.1というm/zを有するイオンから100.0というm/zを有するイオンを解像できる。
【0108】
いくつかのタイプの質量分析計が利用可能であり、また種々の構成で作製され得る。一般には、質量分析計は、以下の主要な構成要素を有する:サンプルインレット、イオン源、質量分析器、検出器、減圧(真空)システム、および装置制御システム、ならびにデータシステム。サンプルインレット、イオン源、および質量分析器の相違は一般に、装置のタイプおよびその能力を規定する。例えば、インレットは、キャピラリーカラム液体クロマトグラフィー源であってもよく、または直接のプローブもしくはステージ(例えば、マトリックス支援レーザー脱離で用いられる)であってもよい。共通のイオン供給源は、例えば、エレクトロスプレーであり、これは、ナノスプレーおよびマイクロスプレー、またはマトリックス支援レーザー脱離を含む。例示的な質量分析器としては、四重極質量フィルター、イオントラップ質量分析器、および飛行時間質量分析器が挙げられる。
【0109】
イオン形成プロセスは、質量スペクトル分析の出発点である。いくつかのイオン化方法が利用可能であり、イオン化方法の選択は、分析されるべきサンプルに依存する。例えば、ポリペプチドの分析のためには、比較的穏やかなイオン化手順、例えば、エレクトロスプレーイオン化(ESI)が所望され得る。ESIについては、サンプルを含む溶液を、高圧で微細なニードルを通過させて、強力な電場を作り、これによって質量分析計に向けられる高い荷電の液滴の微細なスプレーを生じる。他のイオン化手順としては、例えば、高速原子衝撃(fast−atom bombardment)(FAB)が挙げられ、これは、固体サンプルをたたいて脱離およびイオン化を生じる中性原子の高エネルギービームを用いる。マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix−assisted laser desorption ionization)(MALDI)は、UV吸収化合物マトリックス中で結晶化されているサンプルをたたくためにレーザーパルスが用いられる方法である。当該分野で公知の他のイオン化手順としては、例えば、プラズマおよびグロー放電、プラズマ脱離イオン化、共鳴イオン化、および二次イオン化が挙げられる。質量識別可能な生成物は、タグ化プローブからの切断の前、間または後にイオン化され得る。
【0110】
エレクトロスプレーイオン化(ESI)は、本明細書に記載される方法に有用であるいくつかの特性を有する。例えば、ESIは、イオン化または気化するのが困難であるポリペプチドなどの生物学的分子に用いられ得る。さらに、ESIの有効性は極めて高く、高度に鋭敏な測定法の基礎が得られる。さらに、ESI手順は、溶液から荷電された分子を生成し、これは溶液中にある質量識別可能な生成物を分析するのに便利である。対照的に、MALDIなどのイオン化手順は、イオン化の前にサンプルの結晶化を必要とする。
【0111】
ESIは、荷電された分子を溶液から直接生成し得るので、液体クロマトグラフィーシステム由来のサンプルと適合性である。例えば、質量分析計は、画分がクロマトグラフィーカラムから質量分析計に流れるように、HPLCのような液体クロマトグラフィーシステムのインレットを備えてもよい。この液体クロマトグラフィーシステムおよび質量分析計の直列的な配置は、時にLC−MSと呼ばれる。LC−MSシステムは、例えば、質量分析法による分析の前に切断されたMDPから未切断または部分的に切断されたMDPを分離するために用いられ得る。さらに、クロマトグラフィーを用いて、質量分析法による分析の前に、MDPサンプルから塩または他の緩衝成分を除去してもよい。例えば、逆相HPLCカラムを用いるサンプルの脱塩を、直列または非直結式で用いて、イオン化プロセスの有効性を増大し、これによって質量分析法による検出の感度を改善してもよい。
【0112】
種々のイオン源と対になり得る、種々の質量分析器が利用可能である。種々の質量分析器は、当業者に公知であり、かつ本明細書に記載のような種々の利点を有する。検出のために選択される質量分析計および方法は、特定のアッセイに依存する。例えば、検出のために少量のイオンが生成される場合、より感受性の質量分析器を用いてもよい。いくつかのタイプの質量分析器および質量分析方法が下に記載される。
【0113】
イオン移動度質量(ion mobility mass)(IM)分光測定は、質量分析計(MS)に対して新しい次元を加える気相分離方法である。IMは、その衝突断面積に基づいて気相を分離し、かつ飛行時間(time−to−flight)(TOF)質量分析計とカップリングされて、タンパク質およびペプチドの特定および特徴づけに用いられる強力なツールを作製し得る。従って、IM−MSは、質量識別可能な生成物がタンパク質またはペプチドである場合、本発明に特に有用である。IM−MSは、Verbeckらによって、Journal of Biomolecular Techniques(Vol 13, Issue 2,56〜61)にさらに詳細に考察される。
【0114】
四重極質量分析法は、四重極質量フィルターまたは分析器を利用する。このタイプの質量分析器は、2セットの2つの電気的に接続されたロッドとして配置される4つのロッドから構成される。rfおよびdc電圧の組み合わせを、各々の対のロッドに供して、これが、質量フィルターの始まりから末端に移動するにつれて、イオンの周期的振動を生じる電場を生じる。これらの電場の結果は、1対のロッドにおける高域質量フィルター、および他の対のロッドにおける低域フィルターの生成である。高域フィルターと低域フィルターとの間の重複によって、両方のフィルターを通過し、かつ四重極の長さを横断し得る規定のm/zが残る。このm/zは四重極質量フィルター中で選択され安定なままであるが、全ての他のm/zは不安定な軌道を有し、かつ質量フィルター中で残らないままである。質量スペクトルは、加えられた電場を傾斜させることによって生じ、その結果増大するm/zは、質量フィルターを通じて通過し、検出器に達するように選択される。さらに、四重極はまた、rf−のみの電場を加えることによって全てのm/zのイオンを含みかつ伝えるように設定され得る。これによって四重極が質量分析計の領域におけるレンズまたは集束システムとして機能することが可能になり、ここでイオン伝達は質量フィルタリングなしで必要とされる。これは、下にさらに記載されるようなタンデム質量分析計で使用されるものである。
【0115】
四重極質量分析器、および本明細書に記載される他の質量分析器は、規定のm/zまたは質量範囲を分析するようにプログラムされ得る。質量分析計のこの特性は、本明細書に記載される本発明に有用である。切断された質量識別可能な生成物の質量の範囲は、アッセイの前に公知であるので、質量分析計は、計画された正確な質量範囲のイオンを伝達し、一方ではより高いまたは低い質量範囲のイオンは排除するようにプログラムされ得る。質量範囲を選択する能力は、アッセイ中のバックグラウンドノイズを低下させ得、従ってシグナル対ノイズ比を増大し得る。さらに、規定の質量範囲を用いて、任意の未切断のデテクター・オリゴヌクレオチド(質量識別可能な生成物の質量よりも高い質量である)の分析を省いてもよい。従って、質量分析計によって、固有の分離工程、ならびに質量識別可能な生成物の検出および特定を達成し得る。
【0116】
イオントラップ質量分析法は、イオントラップ質量分析器を利用する。これらの質量分析器では、全てのm/zのイオンが最初にトラップされて、質量分析器中で周期的に振動するように電場を加える。イオンは、八極子レンズシステムなどの集束デバイスを通じてイオン源からイオントラップに入る。イオントラッピングは、励起および電極を通る検出器へのエジェクションの前にトラッピング領域で生じる。質量分析は、トラップの外でかつ検出器の中に漸増するm/zのイオンを押し出す方式で、振動(oscillation)の振幅を増大する電圧を連続的に加えることによって達成される。四重極質量分析法とは対照的に、選択されたm/zを有するイオンを除く全てのイオンが質量分析器の電場に保持される。イオントラップに対する利点の1つは、それらが、一度に捕捉されるイオンの数を限るように注意さえすれば、極めて高い感度を有するということである。イオンの数の制御は、イオンがトラップ中に注入される時間を変化させることによって達成され得る。イオントラップの質量分離は、四重極質量フィルターのものと同様であるが、イオントラップは低いm/z限界を有する。
【0117】
飛行時間質量分析法は、飛行時間質量分析器を利用する。m/z分析のこの方法については、イオンは最初に定量の運動エネルギーを、電場(高電圧によって発生する)中での加速によって与えられる。加速後、イオンは、フィールドフリー(field−free)領域または「ドリフト」領域に入り、ここである速度(そのm/zに反比例する)で移動する。従って低いm/zを有するイオンは、高いm/zを有するイオンよりも急速に移動する。フィールドフリー領域の長さをイオンが移動するのに必要な時間を測定して、イオンのm/zを算出するために用いる。
【0118】
このタイプの質量分析における考慮の1つは、研究されるイオンのセットが同時に分析器に導入されるということである。例えば、このタイプの質量分析は、イオンを短い明確なパルスで生じるMALDIのようなイオン化技術に十分適している。別の考慮は、運動エネルギーの量を変動する、イオンによって生成される速度の広がりを制御することである。より長い飛行チューブ、イオン反射体、またはより高い加速電圧の使用によって、速度の広がりの影響を最小限にすることが補助され得る。飛行時間質量分析器は、四重極またはイオントラップ型の質量分析器よりも高レベルの感度および広いm/z範囲を有する。また、このタイプの質量分析器では、質量分析器のスキャンが必要でないので、データが迅速に獲得できる。
【0119】
ガスクロマトグラフィー質量分析法ではしばしば、標的をリアルタイムで検出するための素晴らしいソリューリョンが得られる。このシステムのガスクロマトグラフィー(GC)部分は、化学的混合物を分析物(例えば、MDP)のパルスに分離し、質量分析法(MS)は、この分析物を特定しかつ定量する。
【0120】
タンデム質量分析法は、上記のような質量分析器の組み合わせを利用し得る。タンデム質量分析計は、イオンのm/zに従ってそのイオンを分離するための第一の質量分析器を用いて、さらなる解析のために本発明のイオンを単離し得る。次いで、目的の単離されたイオンをフラグメントイオンに壊して(衝突活性化解離または衝突誘発性解離と呼ばれる)、そのフラグメントイオンを第二の質量分析器によって分析する。これらのタイプのタンデム質量分析計システムは、タンデム・イン・スペース・システム(tandem in space systems)と呼ばれる。なぜなら、2つの質量分析器が、通常は衝突セルによって空間中で分けられているからである。タンデム質量分析器システムはまた、タンデム・イン・タイム(tandem in time)システムを含み、ここでは、1つの質量分析器を用いるが、この質量分析器は、イオンを単離し、断片化を誘発し、次いで質量分析を行うために連続して用いられる。
【0121】
タンデム・イン・スペース(tandem in space)のカテゴリーの質量分析計は、2つ以上の質量分析器を有する。例えば、タンデム四重極質量分析計システムは、第一の四重極質量フィルター、続いて、衝突セル、続いて、第二の四重極質量フィルター、次いで検出器を有してもよい。別の配置は、第一の質量分析器のために四重極質量フィルターを、および第二の質量分析器のために飛行時間質量分析器を、2つの質量分析器を隔てる衝突セルとともに用いることである。他のタンデム・システムは当該分野で公知であり、これにはリフレクトロン飛行時間質量分析法、タンデムセクター質量分析法、およびセクター−四重極質量分析法が挙げられる。
【0122】
タンデム・イン・タイム(tandem in time)のカテゴリーの質量分析計は、種々の時点で種々の機能を果たす1つの質量分析器を有する。例えば、イオントラップ質量分析計を用いて、全てのm/zのイオンをトラップしてもよい。トラップから目的のイオンのm/zを除く全てのm/zのイオンをエジェクトする一連のrfスキャン機能を適用する。目的のm/zが単離された後、rfパルスを加えて、イオントラップ中のガス分子との衝突を生じて、イオンの断片化を誘導する。次いで、断片化されたイオンのm/z値を質量分析器によって測定する。イオンサイクロトロン共鳴装置(フーリエ変換質量分析器としても公知)は、タンデム・イン・タイム(tandem−in−time)のシステムの例である。
【0123】
いくつかのタイプのタンデム型質量分析実験を、その実験の各々の段階で選択されるイオンを制御することによって行ってもよい。異なるタイプの実験は、質量分析器の異なるモードの操作(時に「スキャン、走査」と呼ばれる)を利用する。最初の例では、質量スペクトルスキャンと呼ばれ、第一の質量分析器および衝突セルが全てのイオンを質量分析のために第二の質量分析器に伝える。第二の実施例では、プロダクトイオンスキャン(product ion scan)と呼ばれ、目的のイオンを第一の質量分析器中で質量選択し、次いで衝突セル中に断片化する。次いで、形成されたイオンを、第二の質量分析器をスキャンすることによって質量分析する。第三の実施例では、前駆体イオンスキャンと呼ばれ、第一の質量分析器をスキャンして、質量分析されるイオンを断片化のために衝突セルに連続的に伝える。第二の質量分析器は、検出器への伝達のために目的のプロダクトイオンを質量選択する。従って、この検出器シグナルは、共通のプロダクトイオンへ断片化され得る全ての前駆体イオンの結果である。他の実験フォーマットは、ニュートラル・ロス・スキャンを包含し、ここでは一定量の相違が質量スキャンについて説明される。これらの種々のタンデム質量分析計のスキャン手順の使用は、多重化実験のように単独の実験で多数のセットのレポータータグを測定する時に有利であり得る。
【0124】
代表的な適用では、反応の間に生成される質量識別可能な生成物の量を、サイクル閾値(cycle threshold)(Ct)の値(核酸の検出可能な量を生成するのに必要なサイクルの数に相当する)に基づいて決定する。Ct値の決定は、当該分野で周知である。要するに、PCRの間、形成されたアンプリコンの量が増大するにつれて、シグナル強度は測定可能なレベルまで増大して、反応が非対数期に入る後期のサイクルではプラトーに達する。反応の対数期の間のサイクル数に対してシグナル強度をプロットすることによって、測定可能なシグナルが得られる特定のサイクルを推論して、これを用いて、PCRの開始の前に標的の量を算出する。Ctを決定する例示的な方法は、加水分解プローブに関して、Heidら、Genome Methods 6:986〜94,1996に記載される。
【0125】
定量化のために、当業者は、コントロールを使用することを選択してもよく、コントロールによって、存在するかまたは導入される標的の量に関してシグナルが得られる。相対的な量のシグナルを絶対量へ変換することを可能にするコントロールは、質量識別可能な生成物の検出の前に各々のサンプルに、既知量の質量タグまたは質量標識を添加することによって達成される。例えば、DingおよびCantor Proc Natl Acad Sci USA.2003 Mar 18;100(6):3059〜64(定量的な遺伝子発現分析の方法を記載しており、ここでコントロールのヌクレオチドは、それを目的の遺伝子から識別するために人工的な一塩基変異多型(一塩基遺伝子多型)を含む)を参照のこと。MDPの検出を妨害しない任意の質量タグを、質量シグナルを正規化するために用いてもよい。このような標準は好ましくは、サンプル中の任意の分子タグの特性とは異なる分離特性を有し、同じまたは異なる質量サインを有し得る。
【0126】
(I.組成物およびキット)
別の局面では、本発明は、本発明の方法を行うためのキットを包含し、このようなキットは、1つ以上の標的核酸を検出または測定するための、プライマー(例えば、ユニバーサルプライマー)、およびデテクター・オリゴヌクレオチドを備える。このようなキットはさらに、検出のためにデテクター・オリゴヌクレオチドまたはそのフラグメントを切断して遊離する増幅反応を行うための酵素および適切な緩衝液を備える。特定の実施形態では、キットは、1つ以上の質量識別可能な生成物を生じ得る1つ以上のデテクター・オリゴヌクレオチド、および質量分析法と関連する1つ以上の試薬を備えてもよく、この後者は、例えば、1つ以上の質量標準(例えば、内部標準としての使用のため)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析法のためのマトリックス(例えば、3−ヒドロキシピコリン酸)、核酸結合樹脂(例えば、C18樹脂)、および/または核酸を調節するための溶液(例えば、塩溶液)であってもよい。
【実施例】
【0127】
本明細書において以降に提供される例は、本発明を例示するものであり、限定はしない。
【0128】
(実施例1)
RhD遺伝子のエキソン10の検出
検出アッセイを行って、Rhesus D遺伝子のエキソン10領域を検出した。PCRプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドの設計は、詳細な説明の節に従って行った。この特定のアッセイでは、デテクター・オリゴヌクレオチドは、6つのアデニンからなる非相補的な5’オーバーハングを担持する。標的配列(RhDのエキソン10)がサンプル中に存在するので、PCRプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズした。増幅の間、デテクター・オリゴヌクレオチドは、上流PCRプライマーから伸長するDNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって分解された。分解の間、5’ポリAタグを含んでいる質量識別可能な生成物(MDP’s)を遊離して、質量分光分析によって明瞭に特定した(図8を参照のこと)。これらの質量シグナルの検出によって、標的核酸の存在を確認した。
【0129】
プライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドの配列:
以下のプライマーを、RhesusD(RhD)遺伝子のエキソン10内の部分的な配列の増幅のために用いた:
フォワードPCRプライマー:5’CCTCTCACTGTTGCCTGCATT3’
リバースPCRプライマー:5’AGTGCCTGCGCGAACATT3’
以下のデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズして、分解され、MDP’sを生じ、これが質量分析法によって検出された:
デテクター・オリゴヌクレオチド:5’AAAAAAATTGCTGTCTGATCTTTATCCTCCGTTCCCT3’
PCRミックス:
PCRプライマーをPCRプライマーについては900nMという、デテクター・オリゴヌクレオチドについては200nMという最終濃度で用いた。
【0130】
このPCRミックスはまた、20ngというゲノムDNA(RhD+個体の)、25μlの2×PCR Mastermix(ABI TaqMan(登録商標)PCRマスターミックス(緩衝液およびAmpliTaq(登録商標)Gold酵素を含む))、および水を最終容積50μlまで含んだ。
【0131】
反応は、96−ウェルのABGeneマイクロタイタープレートで行った。
【0132】
(サイクリング条件:)
このPCRミックスを10分間、95℃で活性化し、次いで、95℃15秒間、および60℃1分間の40サイクルに供した。
【0133】
質量スペクトル分析のためのサンプル調製:
10μlのPCR生成物を新規な96−ウェルマイクロタイタープレートに移し、15mgのアンモニウムをロードしたイオン交換樹脂(Clean Resin,SEQUENOM(登録商標))を含む20μlの水をこのPCR産物に加えた。この反応混合物を15分間インキュベートして、穏やかに回転させた。
【0134】
ピンツール(pintool)デバイス(Nanodispenser,SEQUENOM(登録商標))を用いて、15nlの分析物を小型化チップアレイ(SpectroCHIP(登録商標)、SEQUENOM(登録商標))に移した。
【0135】
質量スペクトル解析:
データの獲得および分析は、卓上型、リニアMALDI−TOF質量分析計(Compact Analyzer, SEQUENOM(登録商標))を用いて行った。各々のスペクトルについて、少なくとも20のレーザーショットが蓄積された。標的核酸の存在(ここではRhD遺伝子のエキソン10)を、エキソン10特異的なデテクター・オリゴヌクレオチドの質量識別可能な生成物(MDP’s)によって特定した。MALDI−TOF MSスペクトルは、RhD遺伝子のエキソン10の検出を例示する(図8を参照のこと)。3つのMDPは、標的配列(RhD遺伝子のエキソン10)が、増幅の間に存在するとき、およびこのデテクター・オリゴヌクレオチドが増幅の間に標的核酸にハイブリダイズし得るときのみ生成され得る。
【0136】
(実施例2)
RhD遺伝子のエキソン5の検出
検出アッセイを行って、RhesusD遺伝子のエキソン5領域を検出した。PCRプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドの設計は詳細な説明の節に従って行った。この特定のアッセイでは、このデテクター・オリゴヌクレオチドは、8つのアデニンからなる非相補的な5’オーバーハングを担持する。標的配列(RhDのエキソン5)がサンプルに存在したので、PCRプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズした。増幅の間、デテクター・オリゴヌクレオチドは、上流PCRプライマーから伸長するDNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって分解された。分解の間、5’ポリAタグを含んでいる質量識別可能な生成物(MDP’s)を遊離して、質量分光分析によって明瞭に特定した(図9を参照のこと)。これらの質量シグナルの検出によって、標的核酸の存在を確認した。
【0137】
プライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドの配列:
以下のプライマーを、RhesusD(RhD)遺伝子のエキソン5内の部分的な配列の増幅のために用いた:
フォワードPCRプライマー:5’CGCCCTCTTCTTGTGGATG3’
リバースPCRプライマー:5’GAACACGGCATTCTTCCTTTC3’
以下のデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズして、分解され、MDP’sを生じ、これが質量分析法によって検出された:
デテクター・オリゴヌクレオチド:5’AAAAAAAATCTGGCCAAGTTTCAACTCTGCTCGCT3’
PCRミックス:
PCRプライマーをPCRプライマーについては900nMという、デテクター・オリゴヌクレオチドについては200nMという最終濃度で用いた。
【0138】
このPCRミックスはまた、20ngというゲノムDNA(RhD+個体の)、25μlの2×PCR Mastermix(ABI TaqMan(登録商標)PCRマスターミックス(緩衝液およびAmpliTaq(登録商標)Gold酵素を含む))、および水を最終容積50μlまで含んだ。
【0139】
反応は、96−ウェルのABGeneマイクロタイタープレートで行った。
【0140】
(サイクリング条件:)
このPCRミックスを10分間、95℃で活性化し、次いで、95℃で15秒間、および60℃で1分間の40サイクルに供した。
【0141】
質量スペクトル分析のためのサンプル調製:
10μlのPCR生成物を新規な96−ウェルマイクロタイタープレートに移し、15mgのアンモニウムをロードしたイオン交換樹脂(Clean Resin,SEQUENOM,Inc(登録商標))を含む20μlの水をこのPCR産物に加えた。この反応混合物を15分間インキュベートして、穏やかに回転させた。
【0142】
ピンツール(pintool)デバイス(Nanodispenser,SEQUENOM,Inc(登録商標))を用いて、15nlの分析物を小型化チップアレイ(SpectroCHIP(商標)、SEQUENOM,Inc(登録商標))に移した。
【0143】
質量スペクトル解析:
データの獲得および分析は、卓上型、リニアMALDI−TOF質量分析計(Compact Analyzer,SEQUENOM,Inc(登録商標))を用いて行った。各々のスペクトルについて、少なくとも20のレーザーショットが蓄積された。標的核酸の存在(ここではRhD遺伝子のエキソン5)を、エキソン5特異的なデテクター・オリゴヌクレオチドの質量識別可能な生成物(MDP’s)によって特定した。MALDI−TOF MSスペクトルは、RhD遺伝子のエキソン5の検出を例示する(図9を参照のこと)。3つのMDPは、標的核酸配列(RhD遺伝子のエキソン5)が、増幅の間に存在するとき、およびこのデテクター・オリゴヌクレオチドが増幅の間に標的核酸にハイブリダイズし得るときのみ生成され得る。
【0144】
(実施例3)
LNAおよび3’伸長ブロッカーを含む修飾されたデテクター・オリゴヌクレオチドを用いる性の決定のためのY染色体マーカーの10−plexセット
検出アッセイを行って、Y染色体に特異的な10の領域を検出した。PCRプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドは、当該分野で周知の方法を用いて本発明で記載される基準に合致するように設計した。例えば、デテクター・オリゴヌクレオチドは、PCRプライマーよりも約10℃高い融点を有するように設計した。さらにポリA/Gテールをこのデテクター・オリゴヌクレオチドの5’末端に付加して、ここで長さおよび配列は、MALDI−TOF MSで2000〜6000Da内の切断産物を、間隔を空けてかつ分離するために可変であった。
【0145】
この特定の多重化アッセイでは、デテクター・オリゴヌクレオチドは、複数のアデニンおよび/またはグアニンからなる非相補的な5’−オーバーハングを担持する。Y染色体が存在するサンプル(例えば雄性のサンプル)では、PCRプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズする。増幅の間、デテクター・オリゴヌクレオチドは、上流PCRプライマーから伸長するDNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって分解された。分解の間、10のアッセイのうち9が首尾よく、質量識別可能な生成物(MDP’s)(5’ポリAまたはポリA/Gタグを含んでいる)が遊離されて、MALDI−TOF質量測定分析によって明瞭に特定された。これらの質量シグナルの検出によって、標的核酸の存在を確認した。
【0146】
Y染色体テンプレートが存在しないサンプル(例えば、雌性サンプルまたは陰性コントロール(NTC)サンプル)では、PCRプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズせず、5’−ポリAまたはポリA/Gタグは検出されなかった。
【0147】
プライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチド配列:
下に示されるデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズして、分解され、質量分析法によって検出されるMDPを生じる。この配列は、「+」を含んでもよく、これは、ロックド核酸(LNA)、または「/3Phos/」および「/InvdT/」(これはそれぞれ、リン酸基および逆位デオキシチミンの導入を示す)を示している。
【0148】
ロックド核酸(locked nucleic acids)(LNAs)は、その補体を極めて安定に結合し、新生のデオキシヌクレオチドに対して切断の速度が極めて低下している。これは、切断のポイントを制御するように機能し、それによって、均一な切断生成物が生じる。この効果は、お互いに対して隣接する2つのLNAsを配置することによってさらに増強され得る。
【0149】
1つ以上のリン酸基または逆位のデオキシチミンの導入は、デテクター・オリゴヌクレオチドの相補的な部分の3’末端(これは、サイクリングの間DNAポリメラーゼによるデテクター・オリゴヌクレオチドの伸長を妨げる)をブロックするように機能する。このような望まれない伸長は、5’テールの切断が生じた後の標的への競合的結合、およびdNTPsのようなPCR反応成分の枯渇を含むいくつかの可能性のあるネガティブな効果を有し得る。
【0150】
以下のプライマーを、BPY2遺伝子内の部分的配列の増幅のために用いた(BPY2−2アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGATATTCTAGACTCTTCCAAGCC−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAAAAAGAGGAGTGTCACTCTAC−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド(複数のデテクター・オリゴヌクレオチドを異なるアッセイで個々に試験した):
5’−AAAAAAAAAAAAAT+T+TGCAAAGCCCAGCACTGA−3’
(ここで+はロックド核酸(LNA)である)
または
5’−AAAAAAAAAAAAAT+T+TGCAAAGCCCAGCACTGA/3Phos/−3’
または
5’−AAAAAAAAAAAAAT+T+TGCAAAGCCCAGCACTGA/3InvdT/−3’。
【0151】
以下のプライマーを、CDY1遺伝子内の二次的な部分的配列の増幅のために用いた(CDY1−1アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGATGTTAGCCAGGATTGTCTCG−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGACACCTGTAATCCCAGCATTTT−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−AAAAAAAAAG+C+TGAGGTGCTTGGATCACGA−3’
または
5’−AAAAAAAAAG+C+TGAGGTGCTTGGATCACGA/3Phos/−3’
または
5’−AAAAAAAAAG+C+TGAGGTGCTTGGATCACGA/3InvdT/−3’
以下のプライマーを、CDY1遺伝子内の部分的配列の増幅のために用いた(CDY1−2アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGCAATCCCGTGTCTTTCCT−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGGAACCAAATACTGTGTATTCCC−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−AAAAAAAAA+T+GGCTTCCCAGGAGTTTGAGG−3’
または
5’−AAAAAAAAA+T+GGCTTCCCAGGAGTTTGAGG/3Phos/−3’
または
5’−AAAAAAAAA+T+GGCTTCCCAGGAGTTTGAGG/3InvdT/−3’
以下のプライマーを、Y染色体のCYORF14領域内の部分的配列の増幅のために用いた(CYORF14−3アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGTTTACATCAACAAACAAGGG−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGCTACTGGGTCTAGCCTTATAAT−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−AAAAGGAAAAAA+G+AGGTTGACATGAAGTCATTTGCT−3’
または
5’−AAAAGGAAAAAA+G+AGGTTGACATGAAGTCATTTGCT/3Phos/−3’
または
5’−AAAAGGAAAAAA+G+AGGTTGACATGAAGTCATTTGCT/3InvdT//−3’
PRY遺伝子内の部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(PRY−2アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGTCACTGGGATCAGGACAGAC−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAGAGGAAACTGCTTCCCAAAC−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−AAAAAAAAAAAAAAA+A+GCTGCCAGCAAGGAGCCT−3’
または
5’−AAAAAAAAAAAAAAA+A+GCTGCCAGCAAGGAGCCT/3Phos/−3’
または
5’−AAAAAAAAAAAAAAA+A+GCTGCCAGCAAGGAGCCT/3InvdT/−3’
RBMY1A1遺伝子内の部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(RBMY1A1−1アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGGATGGGTTTTCTATGTGTGGG−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGTGAGTCTCTTAATAGCACTGAG−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−AAAAAAAAAAA+C+GGGAGGAGTCAGTGGGGA−3’
または
5’−AAAAAAAAAAA+C+GGGAGGAGTCAGTGGGGA/3Phos/−3’
または
5’−AAAAAAAAAAA+C+GGGAGGAGTCAGTGGGGA/3InvdT/−3’
RBMY1A1遺伝子内の二次的な部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(RBMY1A1−2アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAGCTAATTACTCATTTCCCCAG−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAGACTCAACAGGACAAGAGAC−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−AAAAAAAAAAAAAAAT+G+AGGACTTGTTTTGATTGAACCAA−3’
または
5’−AAAAAAAAAAAAAAAT+G+AGGACTTGTTTTGATTGAACCAA/3Phos/−3’
または
5’−AAAAAAAAAAAAAAAT+G+AGGACTTGTTTTGATTGAACCAA/3InvdT/−3’
RBMY2遺伝子内の部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(RBMY2−1アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGTGCAGAAAAGACCAAAGGAATC−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGATAGATGCCACATAACTTGAGC−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−AAAAAAAAAAAA+C+GAGGATCAGGGAGCACCC−3’
または
5’−AAAAAAAAAAAA+C+GAGGATCAGGGAGCACCC/3Phos/−3’
または
5’−AAAAAAAAAAAA+C+GAGGATCAGGGAGCACCC/3InvdT/−3’
XKRY遺伝子内の部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(XKRY−1アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAACGTTTTACCGAAGTGTTGT−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAAGCCAAAGGCTAATATGTAGG−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−AAAAAAAAAAAAT+G+ATGAACTACACGGCAATTATTGA−3’
または
5’−AAAAAAAAAAAAT+G+ATGAACTACACGGCAATTATTGA/3Phos/−3’
または
5’−AAAAAAAAAAAAT+G+ATGAACTACACGGCAATTATTGA/3InvdT/−3’
XKRY遺伝子内の二次的な部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(XKRY−3アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAGGCAAAATGTACTATGCCTAC−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGTCCTGTAGTCTCAACTATTCAG−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−AAAGGAAAAAA+T+GCTCACTTGGGCGAAGGAG−3’
または
5’−AAAGGAAAAAA+T+GCTCACTTGGGCGAAGGAG/3Phos/−3’
または
5’−AAAGGAAAAAA+T+GCTCACTTGGGCGAAGGAG/3InvdT/−3’。
【0152】
PCRミックス:
PCRプライマーをPCRプライマーについては900nMという、デテクター・オリゴヌクレオチドについては250nMという最終濃度で用いた。
【0153】
このPCRミックスはまた、25ngというゲノムDNA(雄性または雌性)、25μlの2×PCR Mastermix(ABI TaqMan(登録商標)PCRマスターミックス(緩衝液およびAmpliTaq(登録商標)Gold酵素を含む))、および水を最終容積50μlまで含んだ。
【0154】
反応は、96−ウェルのABGeneマイクロタイタープレートで行った。
【0155】
(サイクリング条件:)
このPCRミックスを10分間、95℃で活性化し、次いで、95℃で30秒間、60℃で30秒間、および72℃で1分間の55サイクルに供した。
【0156】
質量スペクトル分析のためのサンプル調製:
10μlのPCR生成物を新規な96−ウェルマイクロタイタープレートに移し、15mgのアンモニウムをロードしたイオン交換樹脂(Clean Resin,SEQUENOM,Inc(登録商標))を含む20μlの水をこのPCR産物に加えた。この反応混合物を15分間インキュベートして、穏やかに回転させた。
【0157】
ピンツール(pintool)デバイス(Nanodispenser,SEQUENOM,Inc(登録商標))を用いて、15nlの分析物を小型化チップアレイ(SpectroCHIP(商標)、SEQUENOM,Inc(登録商標))に移した。
【0158】
質量スペクトル解析:
データの獲得および分析は、卓上型、リニアMALDI−TOF質量分析計(Compact Analyzer,SEQUENOM,Inc(登録商標))を用いて行った。各々のスペクトルについて、少なくとも20のレーザーショットが蓄積された。標的核酸の存在(ここではY染色体上に見出される10個の特定の領域のうち9つ)を、プライマーセットについて特異的なデテクター・オリゴヌクレオチドの質量識別可能な生成物(MDP’s)によって首尾よく特定した。MALDI−TOF MSスペクトルは、10−plex反応の90%検出速度を例示する。10個のMDPは、標的配列(Y染色体特異的領域)が、増幅の間に存在するとき、およびこのデテクター・オリゴヌクレオチドが増幅の間に標的核酸にハイブリダイズし得るとき、首尾よく生成される。
【0159】
(実施例4)
5’ビオチン化デテクター・オリゴヌクレオチドおよびストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズを精製のために用いる、性の決定のためのY染色体マーカーの10−plexセット
検出アッセイを行って、Y染色体に特異的な10の領域を検出した。このアッセイは、ビオチン化デテクター・オリゴヌクレオチドおよびストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズをMDP’sの捕捉のために用いた追加の浄化工程を包含した。PCRプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドは、当該分野で周知の方法を用いて本発明で記載される基準に合致するように設計した。例えば、デテクター・オリゴヌクレオチドは、PCRプライマーよりも約10℃高い融点を有するように設計した。
【0160】
特定の多重化アッセイでは、デテクター・オリゴヌクレオチドは、複数のアデニンおよび/またはグアニンからなる非相補的な5’−オーバーハングを担持する。Y染色体が存在するサンプル(例えば雄性のサンプル)では、PCRプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズした。増幅の間、デテクター・オリゴヌクレオチドは、上流PCRプライマーから伸長するDNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって分解された。分解の間、10個の質量識別可能な生成物(MDP’s)(5’ポリAまたはポリA/Gタグを含んでいる)のうち9つが遊離されて、MALDI−TOF質量測定分析によって明瞭に特定された。これらの質量シグナルの検出によって、10個のアッセイのうち9つで標的核酸の存在が確認された。
【0161】
Y染色体テンプレートが存在しないサンプル(例えば、雌性サンプルまたは陰性コントロール(NTC)サンプル)では、PCRプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズせず、5’−ポリAまたはポリA/Gタグが検出されなかった。ユニプレックス(uniplex)反応を、全体的プロセスを通じて行い、次いでプールして単一のチップエレメント(これも成功することが証明された)で全てのアッセイを検出した。
【0162】
下に示されるデテクター・オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズして、分解され、質量分析法によって検出されるMDPを生じる。この配列は、「+」を含んでもよく、これは、ロックド核酸(LNA)、または「/3Phos/」および「/InvdT/」(これはそれぞれ、リン酸基および逆位デオキシチミンの導入を示す)を示している。またデテクター・オリゴヌクレオチドは、ビオチンに相当する「Biosg/」も含んでもよい。
【0163】
以下のプライマーをBPY2遺伝子内の部分的配列の増幅のために用いた(BPY2−2アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGATATTCTAGACTCTTCCAAGCC−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAAAAAGAGGAGTGTCACTCTAC−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド(複数のデテクター・オリゴヌクレオチドを種々のアッセイで個々に試験した):
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAAAAT+T+TGCAAAGCCCAGCACTGA−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAAAAT+T+TGCAAAGCCCAGCACTGA/3Phos/−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAAAAT+T+TGCAAAGCCCAGCACTGA/3InvdT−3’。
【0164】
以下のプライマーをCDY1遺伝子内の二次的な部分的配列の増幅のために用いた(CDY1−1アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGATGTTAGCCAGGATTGTCTCG−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGACACCTGTAATCCCAGCATTTT−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−5Biosg/AAAAAAAAAG+C+TGAGGTGCTTGGATCACGA−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAAG+C+TGAGGTGCTTGGATCACGA/3Phos/−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAAG+C+TGAGGTGCTTGGATCACGA/3InvdT/−3’
以下のプライマーを、CDY1遺伝子内の部分的配列の増幅のために用いた(CDY1−2アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGCAATCCCGTGTCTTTCCT−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGGAACCAAATACTGTGTATTCCC−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−5Biosg/AAAAAAAAA+T+GGCTTCCCAGGAGTTTGAGG−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAA+T+GGCTTCCCAGGAGTTTGAGG/3Phos/−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAA+T+GGCTTCCCAGGAGTTTGAGG/3InvdT/−3’
Y染色体のCYORF14領域内の部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(CYORF14−3アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGTTTACATCAACAAACAAGGG −3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGCTACTGGGTCTAGCCTTATAAT−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−5Biosg/AAAAGGAAAAAA+G+AGGTTGACATGAAGTCATTTGCT−3’
または
5’−5Biosg/AAAAGGAAAAAA+G+AGGTTGACATGAAGTCATTTGCT/3Phos/−3’
または
5’−5Biosg/AAAAGGAAAAAA+G+AGGTTGACATGAAGTCATTTGCT/3InvdT/−3’。
【0165】
以下のプライマーをPRY遺伝子内の部分的配列の増幅のために用いた(PRY−2アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGTCACTGGGATCAGGACAGAC−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAGAGGAAACTGCTTCCCAAAC−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAAAAAA+A+GCTGCCAGCAAGGAGCCT−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAAAAAA+A+GCTGCCAGCAAGGAGCCT/3Phos/−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAAAAAA+A+GCTGCCAGCAAGGAGCCT/3InvdT/−3’。
【0166】
RBMY1A1遺伝子内の部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(RBMY1A1−1アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGGATGGGTTTTCTATGTGTGGG−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGTGAGTCTCTTAATAGCACTGAG−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAA+C+GGGAGGAGTCAGTGGGGA−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAA+C+GGGAGGAGTCAGTGGGGA/3Phos/−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAA+C+GGGAGGAGTCAGTGGGGA/3InvdT/−3’。
【0167】
RBMY1A1遺伝子内の二次的な部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(RBMY1A1−2アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAGCTAATTACTCATTTCCCCAG−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAGACTCAACAGGACAAGAGAC−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAAAAAAT+G+AGGACTTGTTTTGATTGAACCAA−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAAAAAAT+G+AGGACTTGTTTTGATTGAACCAA/3Phos/−3’
または
5’−5Biosg/AAAAAAAAAAAAAAAT+G+AGGACTTGTTTTGATTGAACCAA/3InvdT/−3’。
【0168】
RBMY2遺伝子内の部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(RBMY2−1アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGTGCAGAAAAGACCAAAGGAATC−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGATAGATGCCACATAACTTGAGC−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−/5Biosg/AAAAAAAAAAAA+C+GAGGATCAGGGAGCACCC−3’
または
5’−/5Biosg/AAAAAAAAAAAA+C+GAGGATCAGGGAGCACCC/3Phos/−3’
または
5’−/5Biosg/AAAAAAAAAAAA+C+GAGGATCAGGGAGCACCC/3InvdT/−3’
以下のプライマーをXKRY遺伝子内の部分的配列の増幅のために用いた(XKRY−1アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAACGTTTTACCGAAGTGTTGT−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAAGCCAAAGGCTAATATGTAGG−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−/5Biosg/AAAAAAAAAAAAT+G+ATGAACTACACGGCAATTATTGA−3’
または
5’−/5Biosg/AAAAAAAAAAAAT+G+ATGAACTACACGGCAATTATTGA/3Phos/−3’
または
5’−/5Biosg/AAAAAAAAAAAAT+G+ATGAACTACACGGCAATTATTGA/3InvdT/−3’
XKRY遺伝子内の二次的な部分的配列の増幅のために以下のプライマーを用いた(XKRY−3アッセイ):
フォワードPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGAGGCAAAATGTACTATGCCTAC−3’
リバースPCRプライマー:5’−ACGTTGGATGTCCTGTAGTCTCAACTATTCAG−3’
デテクター・オリゴヌクレオチド:
5’−/5Biosg/AAAGGAAAAAA+T+GCTCACTTGGGCGAAGGAG−3’
または
5’−/5Biosg/AAAGGAAAAAA+T+GCTCACTTGGGCGAAGGAG/3Phos/−3’
または
5’−/5Biosg/AAAGGAAAAAA+T+GCTCACTTGGGCGAAGGAG/3InvdT/−3’。
【0169】
PCRミックス:
PCRプライマーをPCRプライマーについては900nMという、デテクター・オリゴヌクレオチドについては250nMという最終濃度で用いた。
【0170】
このPCRミックスはまた、25ngというゲノムDNA(雄性または雌性)、25μlの2×PCR Mastermix(ABI TaqMan(登録商標)PCRマスターミックス(緩衝液およびAmpliTaq(登録商標)Gold酵素を含む))、および水を最終容積50μlまで含んだ。
【0171】
反応は、96−ウェルのABGeneマイクロタイタープレートで行った。
【0172】
(サイクリング条件:)
このPCRミックスを10分間、95℃で活性化し、次いで、95℃で30秒間、60℃で30秒間、および72℃で1分間の55サイクルに供した。
【0173】
ストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズを用いる質量スペクトル分析のためのサンプル調製(Invitrogen Corp(登録商標)):
ビーズ調製:
1.ミックスして50μlのビーズ−スピンをアリコートして、スピンして上清を除く
2.75μlの洗浄緩衝液(提供される)−スピンを添加して上清を除く
ビーズ結合:
3.ビーズに25μlの結合緩衝液(提供される)を添加する。
【0174】
4.35μlのナノピュア水をビーズを含む試験管に添加する。
【0175】
5.15μlのPCR/ヌクレアーゼ反応物をビーズを含む試験管に添加する。
【0176】
6.外界温度で15分間回転させる。
ビーズ洗浄:
7.乾燥するまでスピンして上清を除去する
8.1×洗浄緩衝液(提供される)を用いて洗浄する
9.スピンして上清を除去する
ビーズからの生成物溶出
10.25μlの25%NHOH(新鮮に調製)をビーズに添加する
11.60℃で10分間インキュベートする
12.スピンして上清を新しい試験管に取り出す(生成物を含む)
13.フタを空けて外界温度で60分間振盪する。
【0177】
ピンツール(pintool)デバイス(Nanodispenser,SEQUENOM,Inc(登録商標))を用いて、15nlの分析物を小型化チップアレイ(SpectroCHIP(商標)、SEQUENOM,Inc(登録商標))に移した。
【0178】
質量スペクトル解析:
データの獲得および分析は、卓上型、リニアMALDI−TOF質量分析計(Compact Analyzer,SEQUENOM,Inc(登録商標))を用いて行った。各々のスペクトルについて、少なくとも20のレーザーショットが蓄積された。標的核酸の存在(ここではY染色体上に見出される10個の特定の領域のうち9つ)を、プライマーセットについて特異的なデテクター・オリゴヌクレオチドの質量識別可能な生成物(MDP’s)によって特定した。MALDI−TOF MSスペクトルは、10−plex反応の90%検出速度を例示する。標的配列(Y染色体特異的領域)が、増幅の間に存在するとき、およびこのデテクター・オリゴヌクレオチドが増幅の間に標的核酸にハイブリダイズし得るときのみ、9個のMDPが生成された。ユニプレックス増幅、その後の各々の反応物の5μlをプールすることによって、同様の結果が生じた。
【0179】
***
本明細書に援用される各々の特許、特許出願、刊行物および書類の全体が参照によって援用される。上記の特許、特許出願、刊行物および書類の引用は、前述のいずれかが関連する先行技術であるという承認ではなく、これらの刊行物または書類の内容または日付に関して、いかなる承認を構成することもない。
【0180】
本発明の基本的な局面から逸脱することなく前述のものに対して改変を行い得る。本発明は、1つ以上の特異的な実施形態に関してかなり詳細に記載されてきたが、当業者は、本出願で詳細に開示される実施形態に対して変化がなされ得、さらにこれらの改変および改良は本発明の範囲および趣旨の範囲内であるということを認識する。
【0181】
本明細書に例示的に記載される本発明は適切には、本明細書に詳細に開示されない任意の要素の非存在下で行われてもよい。従って、例えば、本明細書において各々の場合には、「〜を含む」、「本質的に〜からなる」、および「〜からなる」という用語のいずれかは、他の2つの用語のいずれかで置換されてもよい。使用されている用語および表現は、説明の用語として用いられ、限定ではなく、このような用語および表現の使用は、示されかつ記載される特徴の任意の等価物またはその一部を排除せず、種々の改変が、特許請求される本発明の範囲内で可能である。「1つの、ある(a)(不定冠詞)」、または「1つの、ある(an)(不定冠詞)」、という用語は、それが要素のうちの1つ、または要素のうちの2つ以上のいずれが記載されるかを文脈上明らかにするのでない限り、それが修飾する要素のうちの1つを指しても、または複数を指してもよい(例えば、「1つの(不定冠詞、a)プライマー」とは、1つ以上のプライマーを意味し得る)。本明細書において用いる場合、「約」という用語は、ときには背景にあるパラメーターの10%内の値(すなわち、プラスマイナス10%)、ときには背景にあるパラメーターの5%内の値(すなわち、プラスマイナス5%)、ときには背景にあるパラメーターの2.5%内の値(すなわち、プラスマイナス2.5%)、またはときには背景にあるパラメーターの1%内の値(すなわち、プラスマイナス1%)、および時には、バリエーションなしのパラメーターをいう。例えば、「約100ヌクレオチド」の長さとは、90ヌクレオチド〜110ヌクレオチドの長さを含んでもよい。従って、本発明は、代表的な実施形態および任意の特徴によって詳細に開示されてきたが、本明細書に開示される概念の改変およびバリエーションが、当業者によって用いられ得、このような改変およびバリエーションが本発明の範囲内とみなされるということが理解されるべきである。
【0182】
本発明の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の標的核酸配列を検出する方法であって、以下の工程:
(a)標的核酸を含むサンプルと、(i)3’末端および5’末端を備え、かつ該標的核酸の領域に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに(ii)3’末端および5’末端を備え、かつ該標的核酸配列の第二の領域に相補的な配列を含むデテクター・オリゴヌクレオチドとを接触させ、これによって(iii)ハイブリダイゼーション条件下で二重鎖の混合物であって、該オリゴヌクレオチドプライマーにおよび該デテクター・オリゴヌクレオチドにアニーリングされた該標的核酸を含む二重鎖混合物を形成し、その結果該オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端が該デテクター・オリゴヌクレオチドの5’末端の上流である、工程と;
(b)工程(a)のサンプルを、該アニーリングされたデテクター・オリゴヌクレオチドまたはその少なくとも1つのフラグメントを切断および遊離するのに十分な条件下で切断剤に対して暴露させ、それによって1つ以上の質量識別可能な生成物を生成する工程と;
(c)質量分析によって1つ以上の質量識別可能な生成物を検出し、それによって該サンプル中の該標的核酸配列の有無を検出する工程と、
を包含する、方法。
【請求項2】
サンプル中の標的核酸配列を検出する増幅方法であって、以下の工程:
(a)該サンプルを含む増幅反応物に対して1セットのオリゴヌクレオチドプライマーを提供する工程であって、第一のプライマーが該標的核酸配列の一方の鎖における領域に相補的な配列を含み、第二のプライマーが該標的核酸配列の第二の鎖における領域に相補的な配列を含む、工程と
(b)該標的核酸配列の領域に相補的な配列を含む少なくとも1つのデテクター・オリゴヌクレオチドを提供する工程であって、ここで該デテクター・オリゴヌクレオチドが、工程(a)の該オリゴヌクレオチドプライマーによって結合される該標的核酸配列内でアニーリングし、それによって、アニーリングされた二重鎖を作製し、さらに、各々のオリゴヌクレオチドプライマーが、同じ核酸鎖にアニーリングされた任意のデテクター・オリゴヌクレオチドの上流の相補的なテンプレートに対してアニーリングするように選択される工程と;
(c)(i)該標的配列内に含まれるテンプレート核酸配列に対するオリゴヌクレオチドプライマーおよびデテクター・オリゴヌクレオチドのアニーリング、ならびに(ii)該プライマーオリゴヌクレオチドの伸長、の増幅サイクル工程を可能にする条件下で、テンプレート依存性重合化剤として、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素を使用して標的核酸配列を増幅する工程であって、該核酸増幅酵素がプライマー伸長生成物を合成し、一方で該核酸増幅酵素の該5’→3’ヌクレアーゼ活性が同時に、該デテクター・オリゴヌクレオチドおよびその相補的なテンプレート核酸配列を含むアニーリングされた二重鎖から質量識別可能な生成物を遊離させ、これによって1つ以上の質量識別可能な生成物を作製する工程と;
(d)質量分析法によって該1つ以上の質量識別可能な生成物を検出し、それによって該サンプル中の該標的配列の有無を検出する工程と、
を包含する、方法。
【請求項3】
標的核酸を検出する方法であって、以下の工程:
(a)該標的核酸に対してオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングして、同じ標的核酸に対してデテクター・オリゴヌクレオチドをアニーリングする工程と;
(b)該デテクター・オリゴヌクレオチドの方向に該オリゴヌクレオチドプライマーを伸長するように酵素を導入する工程であって、該酵素が該デテクター・オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を切断しそれによってその少なくとも一部を遊離し、それによって1つ以上の質量識別可能な生成物を生成する工程と;
(c)質量分析計によって1つ以上の質量識別可能な生成物を検出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項4】
工程a)およびb)が単一の閉じた反応容器中で同時に行われる、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
工程a)、b)およびc)が単一の閉じた反応容器中で同時に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記デテクター・オリゴヌクレオチドが酵素によって伸長できない、請求項2または3に記載の方法。
【請求項7】
2つ以上の標的核酸が、単一の多重化反応で検出される、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項8】
2つ以上のデテクター・オリゴヌクレオチドが、多重化反応で2つ以上の標的核酸を検出するために用いられる、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項9】
前記標的核酸が、核酸の混合物を含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項10】
前記核酸の混合物が、母の核酸および胎児の核酸を含み、さらに核酸の該混合物が、妊娠雌性由来のサンプルから得られている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第一のオリゴヌクレオチドの合成生成物に結合する第二のオリゴヌクレオチドが導入され、これによって引き続いて指数関数的増幅が生じ得る、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記標的核酸が最初は一本鎖核酸分子である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記切断剤が5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記酵素が5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記酵素が標的核酸を増幅し得るポリメラーゼ活性を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
前記同じデテクター・オリゴヌクレオチド由来の2つ以上の質量識別可能な生成物が、質量分析法によって検出され、さらに該2つ以上の質量識別可能な生成物が、標的核酸に対応する質量特異的な検出サインを生じる、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項17】
前記デテクター・オリゴヌクレオチドが、前記標的核酸に非相補的であるヌクレオチドの配列を含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項18】
前記デテクター・オリゴヌクレオチドが、1つ以上のヌクレオシド修飾を含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項19】
前記ヌクレオシド修飾が1つ以上のロックド核酸(LNA)の組み込みである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記デテクター・オリゴヌクレオチドが検出部分を含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項21】
前記検出部分が、糖、タンパク質、抗体、化合物、質量タグ、蛍光タグ、チャージタグおよび疎水性タグからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上の質量識別可能な生成物が、遊離の際に固体支持体に結合し得る、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上の質量識別可能な生成物がその遊離後に増幅される、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項24】
前記デテクター・オリゴヌクレオチドが、前記標的核酸のメチル化状態に基づいてメチル化特異的配列に選択的に結合する、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項25】
前記検出が、MALDI−TOF MS、Tandem MS、ESI−TOF、ESI−イオントラップ、LC−MS、GC−MSおよびLOI−MSからなる群より選択される質量分析法によって行われる、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項26】
前記検出が、リアルタイムで行われる、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項27】
競合因子テンプレート核酸が導入され、さらに該競合因子テンプレート核酸が内部コントロールとして機能する、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項28】
前記サンプル中の前記標的核酸配列の量が決定される、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項29】
前記デテクター・オリゴヌクレオチドが、副溝結合部位を含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項30】
標的生体分子を検出するための方法であって、以下の工程:
(a)検出可能なプローブを、標的生体分子を含むサンプルに導入する工程であって、該検出可能なプローブが、標的生体分子に結合するか、そうでなければ接触し、さらに該検出可能なプローブが、テンプレート核酸として機能するオリゴヌクレオチドを含む工程と;
(b)該テンプレート核酸に対してオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングし、同じテンプレート核酸に対してデテクター・オリゴヌクレオチドをアニーリングする工程と;
(c)該デテクター・オリゴヌクレオチドの方向に該オリゴヌクレオチドプライマーを伸長するように酵素を導入する工程であって、該酵素が該デテクター・オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を切断しそれによってその少なくとも一部を遊離し、それによって1つ以上の質量識別可能な生成物を生成する工程と;
(d)質量分析計によって該1つ以上の質量識別可能な生成物を検出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項31】
2つ以上の検出可能プローブが、工程(a)に導入される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記検出可能なプローブが標的生体分子に特異的に結合される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記2つ以上の検出可能プローブが前記標的生体分子と接触するとき、該検出可能なプローブは、連結してテンプレート核酸を形成するオリゴヌクレオチドを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
標的核酸配列を検出する方法であって、質量識別可能な生成物を含む核酸サンプルを質量分析計によって分析する工程を包含し、ここで該質量識別可能な生成物は、(a)標的核酸に対してオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングし;(b)同じ標的核酸に対してデテクター・オリゴヌクレオチドをアニーリングし;そして(c)該標的核酸と、該オリゴヌクレオチドプライマーを該デテクター・オリゴヌクレオチドの方向に伸長する酵素とを接触させることによって生じ、ここで:
該デテクター・オリゴヌクレオチドまたはその一部は、該標的核酸配列に対して相補的であり、
該酵素は、該デテクター・オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を切断しそれによってその少なくとも一部を遊離し、それによって1つ以上の質量識別可能な生成物を生成し;
それによって該標的核酸配列が、質量識別可能な生成物を質量分析法によって特定することによって検出される、方法。
【請求項35】
質量識別可能な生成物を含む核酸サンプルを質量分析法によって分析する工程を包含する、標的核酸配列を検出する方法であって、ここで該質量識別可能な生成物が、(a)標的生体分子と、検出可能なプローブが該標的生体分子に特異的に結合する条件下で、テンプレート核酸として機能するオリゴヌクレオチドを含む該検出可能なプローブとを接触させ;(b)該テンプレート核酸に対してオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングし;(c)該同じテンプレート核酸に対してデテクター・オリゴヌクレオチドをアニーリングし;そして(d)該テンプレート核酸と、該オリゴヌクレオチドプライマーを該デテクター・オリゴヌクレオチドの方向に伸長する酵素とを接触させることによって生じ、ここで:
該デテクター・オリゴヌクレオチドまたはその一部は、標的核酸配列に対して相補的であり、
該酵素は、該デテクター・オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を切断しそれによってその少なくとも一部を遊離し、それによって1つ以上の質量識別可能な生成物を生成し;
それによって該標的核酸配列が、質量識別可能な生成物を質量分析法によって特定することによって検出される、方法。
【請求項36】
前記第一のオリゴヌクレオチドの合成生成物に対して結合する第二のオリゴヌクレオチドが導入され、これによって引き続いて指数関数的増幅が生じ得る、請求項34または35に記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−511409(P2010−511409A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540433(P2009−540433)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/086425
【国際公開番号】WO2008/136868
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(504159534)セクエノム, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】