説明

赤外線センサユニット

【課題】断熱性能に優れた小型化可能な赤外線センサユニットを提供する。
【解決手段】熱型赤外線センサとこれに対応する半導体装置とが共通の半導体基材上に形成された赤外線センサユニット。絶縁上層が半導体基材上に被覆されて、半導体基材の表層部に形成した半導体装置を覆う。熱型センサは、断熱支持部によって半導体装置の上方に支持されるセンサ台座に搭載され、センサ台座及び断熱支持部材は絶縁上層に積層された多孔質材料で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサユニット、更に詳しくは、共通の半導体基材上に形成された熱型赤外線センサとこれに関連する半導体装置を備えた赤外線センサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(米国特許第6359276号明細書)は、熱型赤外線センサと半導体装置とが半導体基材の上面に横に並んで配列された赤外線センサユニットを開示している。この熱型赤外線センサは多孔質の断熱支持部によって半導体基材に支持されており、この多孔質の断熱支持部は半導体基材の一部として実現されてこの上に赤外線センサを載置して残りの半導体基材との間を断熱している。多孔質の断熱支持部はセンサ台座とこのセンサ台座を半導体基材に結合する一組のブリッジで構成され、センサ台座及びブリッジは、半導体基材の表面に形成したドープ領域の表層部を陽極酸化により多孔質体に改質することで形成されている。このように、先行技術では半導体装置を備えた半導体基材を利用して、赤外線センサのための断熱支持部を与えている。しかしながら、ここでは、断熱支持部が半導体装置から横方向に離れた部分の半導体基材の表層部を陽極酸化することで得られるものであるため、赤外線センサを半導体装置の直上方に配置することが出来ないという問題がある。このような制限があるため、赤外線センサユニットを小型化することが困難である。特に、複数の赤外線センサユニットを2次元配列して熱画像センサを構築する場合は、センサユニットを密に並べることが出来ず、解像度が低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6359276号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、共通の半導体基材に形成される半導体装置と共に小型化が可能な赤外線センサユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る赤外線センサユニットは、半導体基材の上面に形成された半導体装置と、該半導体基材の上面に上記半導体装置を覆って形成された絶縁上層と、該絶縁上層の上の一部に形成された一対の端子パッドと、熱型赤外線センサと、該熱型赤外線センサを搭載するセンサ台座と、該センサ台座を上記半導体装置の上面から浮かして支持する支持部とを備えた赤外線センサユニットであって、上記絶縁上層の上面に後にエッチングで除去される犠牲層を積層して、該犠牲層の一部に上記端子パッドを露出させる一対の透孔を形成し、上記犠牲層の上面に多孔質材料の層を塗布すると共に上記多孔質材料で上記透孔を充填して多孔質層を形成し、該多孔質層を所定のパターンにエッチングして形成させる断熱構造体を備え、該断熱構造体が、上記透孔に充填された上記多孔質材料によって形成される一対のポストと、上記センサ台座と、各ポストから上記絶縁上層の上面と平行に延出して上記センサ台座に結合する一対の水平ビームとで構成され、各水平ビームに沿って上記熱型赤外線センサから上記端子パッドへそれぞれ上記ポストを通して延出する配線を備えており、上記犠牲層を除去することで、上記センサ台座が上記半導体装置の直上方に離間された状態で上記水平ビームと上記ポストとで構成される上記支持部によって上記半導体基材の上面に支持されていることを特徴とする。このため、赤外線センサを半導体装置の上方に、十分に断熱した状態で配置することが出来、赤外線センサユニット全体をコンパクトとし、複数の赤外線センサユニットが密に2次元配列されるような応用が可能となる。
【0006】
また、本発明に係る赤外線センサユニットの支持部は、上記絶縁上層に突出する一対のポストと、各ポストから延出して上記センサ台座に結合する一対の水平ビームとで構成され、水平ビームは絶縁上層の上面と平行に延出してセンサ台座を半導体装置と離間させて支持する。このようなポストを設けることで、センサ台座に載置される赤外線センサを半導体装置の上方で十分な距離を離して支持することができ、半導体基材及び半導体装置との間に十分な断熱を与えることができる。
【0007】
赤外線センサを通過する赤外線をこの赤外線センサに向けて反射する赤外線反射体を絶縁上層に形成することで、赤外線センサの感度を高めるようにしてもよい。
【0008】
また、赤外線反射膜と組み合わせて、或いは単独で、赤外線センサを被覆する赤外線吸収体を使用して、赤外線センサの感度を高めるようにしてもよい。
【0009】
本発明とは別の発明として、更に、赤外線センサユニットの製造方法を提供する。この製造方法は、半導体基材の上面に半導体装置を形成してから、半導体基材の上面に絶縁上層を形成して半導体装置を隠す。その後、絶縁上層の上面に一対の端子パッドを形成してから、犠牲層を積層し、各端子パッドに至る透孔を犠牲層内に形成する。次いで、多孔質材料を犠牲層の上に積層して多孔質層を形成すると共に、透孔に多孔質材料を充填する。その後、多孔質層の一部を選択的に除去することで所定形状の断熱構造が得られる。多孔質層の一部を除去する前若しくは後に、熱型赤外線センサを多孔質層に形成する。最後に、犠牲層を除去することで赤外線センサユニットを得る。この断熱構造は、上記の透孔に充填された多孔質材料で形成される一つのポストと、熱型赤外線センサを載置するセンサ台座と、各ポストから絶縁上層の上面に平行してセンサ台座に延出する一対の水平ビームとで構成される。各水平ビームには赤外線センサから各ポストを通して各端子パッドに至る配線が形成される。このため、犠牲層を除去することにより、センサ台座が水平ビーム及びポストによって半導体装置の上方に支持されることになる。この方法では、多孔質材料としては、半導体基材に制限されない適宜の材料から選択できて、十分な機械的強度と断熱性能を実現することが出来る。材料としては、酸化シリコン、シロキサン系有機ポリマー、シロキサン系無機ポリマーやシリカエアロゲルが使用できる。
【0010】
更に、多孔質材料のゾルゲル溶液をスピンコート法によって犠牲層の上に塗布することが好ましく、この場合は、均一な厚みの多孔質層を容易に形成できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の赤外線センサユニットは、断熱性能に優れ、且つ小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る赤外線センサユニットの斜視図である。
【図2】図1中の2−2線断面図である。
【図3】上記のセンサユニットの回路図である。
【図4】(A)〜(H)は上記の赤外線センサユニットの製造過程を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る赤外線センサユニットの斜視図である。
【図6】図5中の6―6線断面図である。
【図7】(A)〜(F)は上記の赤外線センサユニットの製造過程を示す断面図である。
【図8】(G)〜(K)は上記の赤外線センサユニットの製造過程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び2に、本発明の第1の実施形態に係る赤外線センサユニットを示す。この赤外線センサユニットは、単結晶シリコンの半導体基材10の表層部に形成した半導体装置20と、半導体装置20と離間した状態で半導体基材10に支持される熱型赤外線センサ30とで構成される。半導体装置20は、熱型赤外線センサ30に電気的に接続されて外部の処理回路へセンサ出力を与え、この処理回路において、赤外線センサで受光した赤外線の量に関するセンサ出力が分析されて、温度測定や赤外線を放射する対象物の存在を判定する。一つの典型的な使用形態としては、複数の赤外線センサを2次元配列して熱画像センサを構成することである。
【0014】
半導体装置20は、例えば、MOSFETであるトランジスタであり、トリガ信号に応じてオンオフされてセンサ出力を与える。このトランジスタは、既知の方法によって半導体基材10の上面に形成されるもので、ドレイン22とソース23を備えるドープされたウェル領域21と、ゲート24、ドレイン電極25、ソース電極26、及びゲート電極28を備える。これらの電極はそれぞれ赤外線センサユニットの上面に露出する端子パッドに電気的に接続される。以後、「トランジスタ」なる語句を、半導体装置20を代表するものとして使用するが、本発明は図示するような1個のトランジスタを使用することに限定されない。例えば、SiOやSiNからなる絶縁上層12が半導体基材10の上面の略全面に亘って形成されて、トランジスタ20を覆い隠しており、トランジスタ20に付随する電極パッドが上面に必要な場合は、この電極パッドを除いて絶縁上層が形成される。
【0015】
熱型赤外線センサ30はセンサ台座40上に形成され、センサ台座40は断熱支持部50によってトランジスタ20と離間した形で半導体基材10に支持される。熱型赤外線センサ30は、チタンのような金属をセンサ台座40上にパターン化された帯体32に形成したもので、入射する赤外線の量や強さに比例して変化する電気抵抗を与える。
【0016】
断熱支持部50は半導体基材10上に突出する一対のポスト52と、各ポスト52からセンサ台座40の両端へ半導体基材10の上面と平行に延出する一対の水平ビーム54とで構成される。センサ台座40、ポスト52及び水平ビーム54は多孔質材料で形成されて、半導体基材10及びトランジスタ20から熱型赤外線センサ30を効率的に断熱的に隔離する。本実施形態で使用する多孔質材料は、多孔質シリカ(SiO)であり、その他、シロキサン系有機ポリマー、シロキサン系無機ポリマーやシリカエアロゲル等が使用される。パターン化された帯体32は水平ビーム54を経てポスト52へ延出して、絶縁上層12上の端子パッド14、15に電気接続される。図3に示すように、端子パッド14は基準電圧Vrefに接続され、端子パッド15はトランジスタ20のソース電極26に接続される。ゲート電極(図2では示されず)は埋め込み線27を介して対応する端子パッド28に接続され、パッド28を介してトランジスタ20のオンオフを制御する外部の回路に接続される。ドレイン電極25は埋め込み線29を介して端子パッド16に接続されて、対象物体からの赤外線放射を検出する外部回路へセンサ出力を与える。
【0017】
例えばアルミニウムのような金属でできた赤外線反射体17が絶縁上層12の上面に形成されて、熱型赤外線センサ30を通過した赤外線を熱型赤外線センサ30側に反射して熱型赤外線センサ30の感度を上げる。熱型赤外線センサ30と赤外線反射体17との距離(d)はd=λ/4と設定され、λは対象物体から赤外線の波長である。熱型赤外線センサ30を人体検出として使用する時は、人体からの赤外線の波長が10μmであることから、この距離(d)は2.5μmとなる。
【0018】
多孔質材料の多孔率は、十分な機械的強度と良好な断熱効果とを与える上で、40%〜80%が好ましい。
【0019】
尚、多孔質シリカ(SiO)は優れた断熱効果を有することで、水平ビーム54から半導体基材10熱コンダクタンスを最小とすると同時に、センサ台座40の熱容量を最小として、熱型赤外線センサ30の感度を高めることができる。
【0020】
上述した構成の赤外線センサユニットは、図4(A)〜(H)に示す過程を経て製造される。半導体基材10の上面にトランジスタ20を形成した後に、熱酸化によってSiOの絶縁上層12を形成して、図4(A)に示すように、半導体基材10の上面全体を被覆する。もしくは、SiNの絶縁上層12をCVD法によって形成する。次いで、アルミニウム層をスパッタリングによって絶縁上層12に形成した後に、これを選択的にエッチング除去して、図4(B)に示すように、絶縁上層12の上に端子パッド14、15と赤外線反射体17を形成する。その後、適宜のレジスト材料の犠牲層60をスピンコート法で絶縁上層12の上に塗布してから、これを部分的にエッチング除去して、図4(C)に示すように、端子パッド14を露出させる透孔62を形成する。犠牲層60は、この他、ポリイミドをスピンコート法で形成したり、金属の蒸着で形成したり、或いは、CVD法でポリシリコンを形成することができる。犠牲層60をレジスト材料とする場合、透孔62をリソグラフィーで形成し、犠牲層60をポリイミドとする場合は、透孔62をドライエッチングやウェットエッチングで形成し、犠牲層60を金属やポリシリコンとする場合は、透孔62をドライエッチングやウェットエッチングで形成することができる。
【0021】
次に、犠牲層60の上面全体へ、多孔質シリカ(SiO)をスピンコート法で塗布して、図4(D)に示すように、多孔質層70を形成すると共に透孔62内にポスト52を形成する。その後、多孔質層70を適宜のレジストでマスクして選択的にエッチング除去することで、図4(E)に示すように、センサ台座40と水平ビーム54を形成すると共に、各ポスト52内に通孔72を形成する。次に、チタンをスパッタリングによってセンサ台座40、水平ビーム54、及び通孔72内に蒸着させてから、図4(F)に示すように、チタン層80の上に窒化チタンの保護膜を形成する。この後、チタン層80及び保護膜を選択的に除去して、センサ台座40と水平ビーム54の上に熱型赤外線センサ30のパターン化された帯体32を形成して、図4(G)に示すように、帯体32がポスト52を通して端子パッド14、15に電気接続される。最後に、犠牲層60をエッチング除去して、図4(H)に示す赤外線センサユニットが得られる。
【0022】
図5及び図6は、本発明の第2の実施形態に係る赤外線センサユニットを示すもので、これは第1の実施形態と基本的に同一であり、熱型赤外線センサ30Aの構造が異なる。同様の部材については末尾に「A」を付加した番号で示し、重複した説明は簡潔さのために割愛する。
【0023】
熱型赤外線センサ30Aは、アモルファスシリコンの抵抗層130を下部電極131と上部電極132との間に配置して構成され、電極はそれぞれ配線136を介して端子パッド14A、15Aに接続される。電極間に配置した抵抗層130は、入射赤外線の量の変化に応じて変化する抵抗を示す。このように構成された熱型赤外線センサ30Aはセンサ台座40A上に搭載され、センサ台座40Aは断熱支持部材50Aによって半導体基材10A上に支持される。断熱支持部材50Aは多孔質材料で形成され、第1の実施形態と同様に、一対のポスト52Aと各ポスト52Aからセンサ台座40Aの両端に延出する一対の水平ビーム54Aとで構成される。赤外線吸収体134が上部電極132の上に設けられて赤外線を効率よく収集する。この赤外線吸収体134はSiON、Si、SiOまたは金黒で形成される。
【0024】
この赤外線センサユニットを製造する過程を図7(A)から図8(K)を参照して説明する。単結晶シリコンの半導体基材10A上にトランジスタ20Aを形成した後に、図7(A)に示すように、熱酸化によって形成するSiOの絶縁上層12Aで半導体基材10Aの上面全体を被覆する。次いで、スパッタリングによってアルミニウム層を絶縁上層12Aに被覆して、これを選択的にエッチング除去して、図7(B)に示すように、絶縁上層12A上に、端子パッド14A、15A、及び赤外線反射体17Aを残す。その後、図7(C)に示すように、適宜のレジスト材料の犠牲層60Aがスピンコート法にて絶縁上層12Aの全面に塗布され、犠牲層60Aの一部をエッチング除去することで、図7(D)に示すように、各端子パッド14A、15Aを露出させる透孔62Aを形成する。次いで、犠牲層60Aの上面全体へ、多孔質シリカ(SiO)をスピンコート法で塗布して、多孔質層70Aを形成すると共に透孔62A内にポスト52Aを形成した後に、一方のポスト52Aを部分的にエッチング除去して、図7(E)に示すように、端子パッド14Aを露出させる通孔72Aを形成する。次に、多孔質層70Aの上にクロムをスパッタリングで蒸着させた後に、一部をエッチング除去して、図7(F)に示すように、多孔質層70Aの上に、下部電極131とこれに対応する配線136を形成する。その後、アモルファスシリコンをCVD法によって下部電極131を介して多孔質層70Aの上に蒸着させ、これを選択的にエッチング除去して、図8(G)に示すように、下部電極131上に抵抗層130を形成する。次に、ポスト52A内に延出する多孔質層70Aを選択的にエッチング除去して、図8(H)に示すように、対応する端子パッド15Aを露出させる通孔72Aを形成する。更に、多孔質層70A及び抵抗層130の上にクロムを蒸着させた後に、その一部を選択的にエッチング除去して、図8(I)に示すように、上部電極132及びこの上部電極132から端子パッド15Aに延出する配線136を形成する。次に、多孔質層70Aへ、上部電極132や対応する配線136を介して、SiONの層を蒸着した後、エッチング除去して、図8(J)に示すように、上部電極132上に赤外線吸収体134を形成する。多孔質層70Aと適宜のレジストでマスクして選択的にエッチング除去することで、センサ台座40Aと水平ビーム54Aを形成し、その後、犠牲層60をエッチング除去して、図8(K)に示す赤外線センサユニットが得られる。
【0025】
上述の実施形態では、多孔質層及びこれに対応した部材は多孔質シリカで形成されているが、本発明は他の多孔質材料を使用することが可能であり、例えばメチル含有ポリシロキサンのようなシロキサン系有機ポリマーや、SiH含有シロキサンのようなシロキサン系無機ポリマーや、シリカエアロゲルが使用できる。
【0026】
更に、多孔質材料は、中空微粒子とマトリクス形成材料とからなる多孔質マトリクス組成物であってもよい。中空微粒子とは、外殻によって包囲された空洞部を有する粒子であり、外殻としては金属酸化物やシリカが好ましい。この中空微粒子は、日本特許公開公報2001−233611号公報に開示されたものや市販のものから選択される。特に、外殻としては、SiO、SiO、TiO、TiO、SnO、CeO、Sb、ITO、ATO、Alの単独材料またはこれらの材料のいずれかの組み合わせの混合物から選択される。多孔質マトリックス組成物は、基材上に塗布されて乾燥した後に、低熱伝導率で低比熱の多孔質層を形成する。この多孔質層内では、中空微粒子がフィラーとして分散してマトリックス内に捕捉される。マトリックス形成材料は、シロキサン結合を有する第1タイプのシリコン化合物、若しくは、膜や層を形成する際にシロキサン結合をもたらす第2タイプのシリコン化合物が含められる。第2タイプのシリコン化合物はシロキサン結合を有していてもよい。第1タイプ及び第2タイプのシリコン化合物としては、有機シリコン化合物、ハロゲン化シリコン化合物(例えば、塩化シリコンやフッ化シリコン)、或いは、有機基とハロゲンを含有する有機ハロゲン化シリコン化合物が挙げられる。
【0027】
シリコン化合物は、加水分解可能なオルガノシラン、オルガノシランを部分的にまたは完全に加水分解してできる加水分解化合物、或いは、加水分解化合物の縮合化合物であり、加水分解可能なオルガノシランは下記の一般式で示されるRnSiY4−n式中のRは同一又は異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜9の1価炭化水素基、nは0から2の整数、Yは加水分解可能な官能基を示す。上の式中のRとしては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、アラルキル基(例えば、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)、ハロゲン置換炭化水素基(例えば、クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基)、置換炭化水素基(例えば、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基)が含まれる。これらの中でも、合成の容易さ、あるいは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基が好ましい。
【0028】
加水分解可能官能基としてはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基(−O−N=C−R(R’))、エノキシ基(−O−C(R)=C(R’)R”)、アミノ基、アミノキシ基(−O−N(R)R’)、アミド基(−N(R)−C(=O)−R’)が含まれ、これらの基において、R、R’、R”は、例えば、それぞれ独立に水素原子又は一価の炭化水素基等である)等が挙げられる。これらの中でも、入手の容易さからアルコキシル基が好ましい。
【0029】
加水分解性オルガノシランとしては、上記一般式(A)中のnが0〜2の整数である、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキシシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン類、アミドシラン類が含まれる。これらの中でも、入手の容易さからアルコキシシラン類が好ましい。n=0のテトラアルコキシシランとしてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが含まれ、n=1のオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランが含まれる。また、n=2のジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランが含まれる。
【0030】
上の実施形態においては、入射赤外線の量や変化率に応じて変化する電気抵抗値を示す赤外線センサを使用した例を示しているが、赤外線の入射量の変化に応じて、誘電率が変化するタイプのものや、熱起電力を発生するサーモパイル型や、電圧差を発生する焦電型のものが使用できる。
【符号の説明】
【0031】
10、10A 半導体基材
12、12A 絶縁上層
14、14A 端子パッド
15、15A 端子パッド
17、17A 赤外線反射体
20、20A 半導体装置
30、30A 熱型赤外線センサ
40、40A センサ台座
50、50A 断熱支持部
52、52A ポスト
54、54A 水平ビーム
60、60A 犠牲層
62、62A 透孔
70、70A 多孔質層
134 赤外線吸収体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基材の上面に形成された半導体装置と、該半導体基材の上面に前記半導体装置を覆って形成された絶縁上層と、該絶縁上層の上の一部に形成された一対の端子パッドと、熱型赤外線センサと、該熱型赤外線センサを搭載するセンサ台座と、該センサ台座を前記半導体装置の上面から浮かして支持する支持部とを備えた赤外線センサユニットであって、
前記絶縁上層の上面に後にエッチングで除去される犠牲層を積層して、該犠牲層の一部に前記端子パッドを露出させる一対の透孔を形成し、前記犠牲層の上面に多孔質材料の層を塗布すると共に前記多孔質材料で前記透孔を充填して多孔質層を形成し、該多孔質層を所定のパターンにエッチングして形成させる断熱構造体を備え、該断熱構造体が、前記透孔に充填された前記多孔質材料によって形成される一対のポストと、前記センサ台座と、各ポストから前記絶縁上層の上面と平行に延出して前記センサ台座に結合する一対の水平ビームとで構成され、各水平ビームに沿って前記熱型赤外線センサから前記端子パッドへそれぞれ前記ポストを通して延出する配線を備えており、前記犠牲層を除去することで、前記センサ台座が前記半導体装置の直上方に離間された状態で前記水平ビームと前記ポストとで構成される前記支持部によって前記半導体基材の上面に支持されていることを特徴とする赤外線センサユニット。
【請求項2】
前記半導体基材に、前記赤外線センサを通過した赤外線をこの赤外線センサへ反射する赤外線反射体が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサユニット。
【請求項3】
前記赤外線センサの上面が赤外線吸収体で覆われたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線センサユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−63359(P2012−63359A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243100(P2011−243100)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2006−222720(P2006−222720)の分割
【原出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】