赤外線センサ
【課題】検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのうち、侵入物体を検知しない検知ゾーンを容易かつ的確に設定することができる赤外線センサを提供する。
【解決手段】赤外線センサ1は、第1の方向において複数のレンズを備えた集光レンズ101と、赤外線を受光する受光素子103と、赤外線を遮光する遮光部材161〜163と、遮光部材を支持する遮蔽ガイド120を有する。遮光部材及び遮蔽ガイドのうち一方には、各レンズを示す複数の識別情報が表示される。互いに隣接する二つの識別情報は、それぞれ対応する二つのレンズの相互の位置関係と同一の位置関係で表示される。遮光部材及び遮蔽ガイドのうち他方は、遮光部材の先端部分で遮蔽されているレンズ、または、そのレンズに隣接する遮蔽されていないレンズを示す識別情報の表示を指し示す指示手段を備える。
【解決手段】赤外線センサ1は、第1の方向において複数のレンズを備えた集光レンズ101と、赤外線を受光する受光素子103と、赤外線を遮光する遮光部材161〜163と、遮光部材を支持する遮蔽ガイド120を有する。遮光部材及び遮蔽ガイドのうち一方には、各レンズを示す複数の識別情報が表示される。互いに隣接する二つの識別情報は、それぞれ対応する二つのレンズの相互の位置関係と同一の位置関係で表示される。遮光部材及び遮蔽ガイドのうち他方は、遮光部材の先端部分で遮蔽されているレンズ、または、そのレンズに隣接する遮蔽されていないレンズを示す識別情報の表示を指し示す指示手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンの熱変化を検出する焦電型の赤外線センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、監視領域に侵入する侵入物体を検出するために、焦電型の赤外線センサ(PIRセンサ;Passive InfraRed Sensor)が広く開発されている。このようなPIRセンサが侵入物体を検出する検知エリアは、一般に各々離間した複数の検知ゾーンによって構成される。PIRセンサは、例えば集光レンズを用いて、各検知ゾーンからの赤外線(熱線)を集光する。PIRセンサに用いられる集光レンズは、例えば複数のレンズを2次元に配列したレンズアレイからなり、各レンズは、それぞれ対応する検知ゾーンから放射された赤外線を焦電素子で受光するようにアライメント調整されている。そしてPIRセンサは、焦電素子で受光した各検知ゾーンからの赤外線の熱エネルギーの時間的な変化を検出することにより、侵入物体を検出する。
【0003】
このようなPIRセンサで侵入物体を監視するとき、正規の利用者が通行するための道路、侵入物体を監視すべきでない領域が写る窓、第三者のプライバシーを侵害するおそれのあるドア等、検知エリアの一部では侵入物体を検出しないようにしたい(検知エリアの範囲を限定したい)場合がある。その場合、PIRセンサは、対応する検知ゾーンからの赤外線が焦電素子へ入射しないように遮光部材を用いて赤外線を遮光する必要がある。そのために従来のPIRセンサは、例えば侵入物体を検出すべきでない検知ゾーンからの赤外線を集光するレンズのレンズ面に遮光シールを貼ることにより、その検知ゾーンからの赤外線を遮光していた。しかしながら、レンズアレイの各レンズ面は非常に小さいため、遮光シールを貼る作業は困難であり、PIRセンサを設置する作業者は遮光シールを貼る作業に多大な時間を要していた。
【0004】
これに対して、特許文献1には、検知エリアの範囲を限定することが可能な人体検知装置が提案されている。この人体検知装置では、天井面に固定されたケース内に熱線センサが収容され、熱線センサの、レンズアレイからなる受光レンズを伸縮自在に覆うように、一端部がケース(天井側)に固定された円筒形の蛇腹状の遮光フードが設けられている。そしてその遮光フードを伸張させることにより、人体検知装置は、レンズアレイの一部のレンズからの熱線を遮断して、そのレンズに対応する検知ゾーンを検知エリアから外すことが可能となる。
さらに、特許文献1に開示された他の実施形態では、人体検知装置において、レンズアレイの各レンズに対応する区画に分割された透光性のシェードを有するプレートが受光レンズを覆うように設けられている。この実施形態では、人体検知装置内にシェードの各区画の形状及び大きさに合わせた遮光チップが用意されている。そしてその遮光チップをシェードの、遮光するレンズに対応する区画に取り付けることにより、人体検知装置は、そのレンズからの熱線を遮断して、そのレンズに対応する検知ゾーンを検知エリアから外すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−132755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
円筒形の蛇腹状の遮光フードを用いて受光レンズを遮光する場合、作業者は検知エリアから検知ゾーンを外す作業を容易にすることができる。しかしながら、遮光フードをどれだけ伸張させるとレンズアレイのどのレンズが遮光されるかが示されないため、作業者は、どの検知ゾーンが検知エリアから外れているかを容易に確認することができず、検知エリアから外す検知ゾーンを的確に設定することができなかった。
一方、遮光チップを用いて受光レンズを遮光する場合、作業者は検知エリアから外す検知ゾーンを的確に設定することができるが、遮光チップ自体が非常に小さいため、取り付ける作業が煩雑であるとともに、その遮光チップを紛失するおそれもあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのうち、侵入物体を検知しない検知ゾーンを容易かつ的確に設定することができる赤外線センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するための本発明は、赤外線センサを提供する。係る赤外線センサは、第1の方向において複数のレンズを備え、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのそれぞれから放射される赤外線を、複数のレンズのうち当該検知ゾーンに対応するレンズにより集光する集光レンズと、集光レンズにより集光した赤外線を受光する受光素子と、赤外線を遮光する材料で短冊状に形成された遮光部材であって、集光レンズの一面に沿って第1の方向にスライド移動可能に配置され、複数のレンズのうち、遮光部材の先端から集光レンズの一端までの間に位置するレンズを遮蔽する遮光部材と、集光レンズの一端側に取り付けられ、遮光部材を支持する遮蔽ガイドと、受光素子が受光した赤外線に応じた検知信号を出力する信号処理部と、を有し、遮光部材及び遮蔽ガイドのうちの一方には、複数のレンズのそれぞれを示す複数の識別情報が、隣接する二つの識別情報の位置関係がそれぞれ対応する二つのレンズの相互の位置関係と同一の位置関係で表示され、遮光部材及び遮蔽ガイドのうちの他方には、遮光部材の先端部分で遮蔽されているレンズ、または、当該レンズに隣接する遮蔽されていないレンズを示す識別情報の表示を指し示す指示手段を備える。
【0009】
また、本発明に係る赤外線センサにおいて、集光レンズは、第1の方向と直交する第2の方向において、それぞれ第1の方向に複数のレンズを備える複数の段を構成し、遮光部材は、複数の段ごとに配置され、遮蔽ガイドは、複数の段ごとに取り付けられ、遮光部材の各段を独立してスライド移動可能に支持し、指示手段は、複数の段ごとに設けられ、各段の遮光部材の位置に応じてレンズを示す識別情報の表示を指し示すことが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る赤外線センサにおいて、遮蔽ガイドは、遮光部材の先端が第1の方向に隣接するレンズの間の境界の位置毎に当該遮光部材を係止させるための係止手段を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明の他の形態は、赤外線センサを提供する。係る赤外線センサは、複数のミラーからなり、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのそれぞれから放射される赤外線を、複数のミラーのうち当該検知ゾーンに対応するミラーにより集光する集光ミラーと、集光ミラーにより集光した赤外線を受光する受光素子と、赤外線を透過する材料で形成され、集光ミラーの前面に配置されるカバーと、赤外線を遮光する材料で短冊状に形成された遮光部材であって、カバーの一面に沿って第1の方向にスライド移動可能に配置され、遮光部材の先端からカバーの一端までの領域を遮蔽する遮光部材と、カバーの一端側に取り付けられ、遮光部材を支持する遮蔽ガイドと、受光素子が受光した赤外線に応じた検知信号を出力する信号処理部と、を有し、遮光部材及び遮蔽ガイドのうちの一方には、複数のミラーのそれぞれを示す複数の識別情報が、隣接する二つの識別情報の位置関係がそれぞれ対応する二つのミラーで集光する赤外線が通過するカバー上の面領域の相互の位置関係に応じた位置関係で表示され、遮光部材及び遮蔽ガイドのうちの他方には、遮光部材の先端部分で遮蔽されている面領域、または、当該面領域に隣接する遮蔽されていない面領域に対応するミラーを示す識別情報の表示を指し示す指示手段を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る赤外線センサは、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのうち、侵入物体を検知しない検知ゾーンを容易かつ的確に設定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した赤外線センサの外観を示す概略斜視図である。
【図2】赤外線センサの断面図である。
【図3】赤外線センサの外側から見た、筐体から取り外された本体部分の斜視図である。
【図4】赤外線センサの内側からみた、筐体から取り外された本体部分の斜視図である。
【図5】赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して左側から見た本体部分の概略側面図である。
【図6】赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して右側から見た本体部分の概略側面図である。
【図7】前面支持部の概略斜視図である。
【図8】集光レンズの概略斜視図である。
【図9】(a)は集光レンズを赤外線センサの内側から見た模式図であり、(b)は集光レンズを赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して左側から見た模式図であり、(c)は集光レンズを赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して右側から見た模式図である。
【図10】検知ゾーンと集光レンズと焦電素子の関係を表す模式図である。
【図11】背面支持部の概略斜視図である。
【図12】(a)は延長部分を上側から見た断面図であり、(b)は延長部分を赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して左側から見た模式図である。
【図13】遮蔽ガイドに配置された遮光シートの模式図である。
【図14】遮光シートをスライド移動させたときの模式図である。
【図15】(a)〜(c)は、それぞれ遮光シートの表面に示す識別情報の変形例を示す模式図である。
【図16】(a)、(b)は、それぞれ、遮蔽ガイドに識別情報を表示し、遮光シートを指示手段として用いる場合の変形例を示す模式図である。
【図17】(a)〜(c)は、それぞれ、遮蔽ガイドに識別情報を表示し、遮光シートを指示手段として用いる場合のさらなる変形例を示す模式図である。
【図18】反射型のPIRセンサの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態である赤外線センサについて図を参照しつつ説明する。
この赤外線センサは、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのそれぞれから放射された赤外線を、集光レンズアレイのうちのその検知ゾーンに対応するレンズにより集光して焦電素子で受光し、各検知ゾーンにおける熱エネルギーの時間的な変化を検出する。この赤外線センサは、赤外線を遮光する材料で形成された短冊状の遮光シートを集光レンズの内側の面に沿ってスライド移動できるように支持する遮蔽ガイドを備える。赤外線センサを設置する作業者は、遮光シートをスライド移動させることにより集光レンズアレイのうちの所望のレンズを遮蔽し、そのレンズで集光する赤外線を遮光させることができる。さらに、この遮光シート上には、遮光シートが何れかのレンズを遮蔽する位置にスライド移動されたときに、遮蔽ガイドにより予め指し示された位置に、遮蔽されているレンズの番号又は遮蔽されていないレンズの番号が表れるように、各レンズの番号が印刷されている。これにより、赤外線センサは、赤外線を遮光する検知ゾーンの容易かつ的確な設定を可能にすることを図る。
【0015】
図1は、赤外線センサの外観を示す概略斜視図である。本実施形態の赤外線センサ1は、検知エリアに侵入する侵入物体を検出する、焦電素子および集光レンズを用いた焦電型の赤外線センサ(PIRセンサ)である。図1に示すように、赤外線センサ1は、センサ本体10及び筐体11を有する。センサ本体10は、侵入物体を検出する機能を実現する部分であり、前面支持部100と、前面支持部100に取り付けられた集光レンズ101を備える。この前面支持部100が筐体11に取り付けられることにより、センサ本体10は筐体11に固定される。筐体11は、例えば射出成形された樹脂などからなり、略直方体の形状を有する。例えば、検知エリアが屋内である場合、筐体11は、集光レンズ101が検知エリアに向くように、屋内の天井や壁などに取り付けられる。
なお、以下では、便宜上、赤外線センサ1が水平に設置された場合に、水平面に平行で、かつ赤外線センサ1が検知エリアを向く方向と直交する方向をx軸、水平面と直交する方向(鉛直方向)をy軸、水平面に平行で、かつ赤外線センサ1が検知エリアを向く方向をz軸とする座標系を設定する。また、以下では、y軸の上方向を上側とし、y軸の下方向を下側として説明する。
【0016】
図2に、図1の矢視A−A’における赤外線センサ1の概略断面図を示す。図2に示すように、センサ本体10は、前面支持部100及び集光レンズ101に加えて、背面支持部102、焦電素子103、信号処理部104及び信号線105を備える。背面支持部102、焦電素子103及び信号処理部104は、筐体11内に備えられ、信号線105は、筐体11内部から外部へ向けて配置される。
集光レンズ101は、前面支持部100と背面支持部102にはさまれて固定される。赤外線センサ1が侵入物体を検出する検知エリアは、各々離間した複数の検知ゾーンによって構成される。赤外線センサ1は集光レンズ101を用いて、各検知ゾーンからの赤外線(熱線)を焦電素子103に集光する。焦電素子103は背面支持部102に、集光レンズ101により集光された赤外線を受光する方向を向くように取り付けられる。
また、各検知ゾーンは一対のゾーンからなり、焦電素子103は、例えば逆極性で接続された一対の焦電素子で構成される。一方の焦電素子は、各検知ゾーンの一対のゾーンのうち、一方のゾーンからの赤外線を受光して正電圧に変換し、他方の焦電素子は、他方のゾーンからの赤外線を受光して負電圧に変換して信号処理部104に出力する。この信号処理部104は回路基板に実装されるCPU、ROM、RAM等により構成される。そして回路基板は、焦電素子103が受光する赤外線を遮らないように、センサ本体10の、焦電素子103の背面側に取り付けられる。
一対のゾーンを横切る方向に侵入物体が通過すると、焦電素子103が出力する電圧は正電圧から負電圧(または負電圧から正電圧)に変化する。そこで信号処理部104は、焦電素子103から出力された電圧変化の大きさに基づいて検知エリアに侵入物体が存在する確かさの度合いを表す検知信号を生成し、信号線105を介して外部に出力する。
【0017】
図3に、筐体11から取り外されたセンサ本体10を赤外線センサ1の外側(検知エリア側)から見た概略斜視図を示し、図4に、筐体11から取り外されたセンサ本体10を赤外線センサ1の内側(検知エリアと反対側)から見た概略斜視図を示す。また、図5に、赤外線センサ1が検知エリアを向く方向に対して左側からセンサ本体10を見た概略側面図を示し、図6に、赤外線センサ1が検知エリアを向く方向に対して右側からセンサ本体10を見た概略側面図を示す。図3〜図6に示すように、センサ本体10の背面支持部102には、集光レンズ101の一部を遮蔽するための遮光シート161〜166が配置される。この遮光シート161〜166は、センサ本体10が筐体11に取り付けられたときは、筐体11内に備えられる。
【0018】
図7に前面支持部100を検知エリア側から見た模式図を示す。前面支持部100は、例えば射出成型された樹脂などからなる。前面支持部100は、略矩形の板状の形状を持つ矩形部106を有し、矩形部106の上側の二つの角は略直角であり、下側の二つの角が丸みを帯びている。矩形部106の上側の縁には、矩形部106と直角をなすように検知エリア側に突出する半円板状の突出部108が形成される。また矩形部106には、下側に凸な半円状に切り欠かれた窓107が形成される。また検知エリア側から見て矩形部106の左右の縁には、前面支持部100を筐体11に取り付けるための、ネジ穴を備えた取付部110が形成される。
【0019】
図8に集光レンズ101の概略斜視図を示す。集光レンズ101は、透明樹脂からなり、球面を、その中心を通り互いに直交する二つの面で切断した4分の1球面の形状を有する。集光レンズ101は、二つの切断面のうちの一方に沿って広がるフランジ111と、二つの切断面のうちの他方において球面に沿って広がるフランジ112を備える。集光レンズ101は、球面の外側が検知エリア側を向くように赤外線センサ1の内側から前面支持部100の半円状の窓107にはめられる。
集光レンズ101の球面における、フランジ111側を底面としたときの頂部を中心とする中央凸状部には複数のレンズを2次元に配列した集光レンズアレイ113が配置される。図9(a)に集光レンズ101を赤外線センサ1の内側(検知エリアと反対側)から見た模式図を示し、図9(b)に集光レンズ101を赤外線センサ1が検知エリアを向く方向に対して左側から見た模式図を示し、図9(c)に集光レンズ101を赤外線センサ1が検知エリアを向く方向に対して右側から見た模式図を示す。図9(a)〜(c)に示すように、集光レンズ101には、赤外線センサ1が水平に設置されたときの鉛直方向(y軸方向)に3段(上段部分、中段部分、下段部分)にそれぞれ複数のレンズが形成される。集光レンズ101には、上段部分に七つのレンズ(A1〜A7)が形成され、中段部分に七つのレンズ(B1〜B7)が形成され、下段部分に三つのレンズ(C1〜C3)が形成される。各レンズは、対応する検知ゾーンから放射された赤外線を焦電素子に集光するようにアライメント調整される。なお、集光レンズアレイの各レンズはどのようなものでもよいが、本実施形態では、フレネルレンズを用いるものとして説明する。
【0020】
図10に、検知ゾーンと集光レンズと焦電素子の関係を表す模式図を示す。図10は、検知エリア1000及び赤外線センサ1の集光レンズ101を上側から鉛直方向にみた模式図を示す。図10には、簡略化のため、集光レンズ101の下段部分のレンズC1、C2、C3(1001、1002、1003)と、レンズC1、C2、C3が赤外線を集光する検知ゾーンC1’、C2’、C3 ’(1011、1012、1013)のみを示す。図10に示すように、各レンズ1001、1002、1003は、それぞれ対応する検知ゾーン1011、1012、1013から放射された赤外線を焦電素子103に集光するようにアライメント調整される。
【0021】
図11に、背面支持部102の概略斜視図を示す。背面支持部102は、前面支持部100と同様に、例えば射出成形された樹脂などからなる。背面支持部102の前面部(検知エリア側の面)114は、集光レンズ101の球面及びフランジ111に略一致する形状に形成される。前面部114のうち、集光レンズ101の球面に一致する形状に形成された突出部115において、集光レンズアレイと対向する領域には穴116が設けられ、その穴116の奥には焦電素子103が集光レンズ101を向くように配置される。また、集光レンズ101と背面支持部102の間に遮光シートを通すために、突出部115上には、集光レンズアレイの各段が形成される方向(x軸方向)に遮光シートと略同一の厚さのくぼみ117が設けられる。また、突出部115を上側から見た面は、集光レンズ101のフランジ112に沿って形成される半円状の開口を覆うように半円板118で形成される。
【0022】
また、前面部114の、集光レンズ101のフランジ111と対向する領域の背面には、突出部115に沿った面の延長部分120が形成される。図12(a)に図11の矢視B−B’における延長部分120の概略断面図を示す。図12(a)に示すように、延長部分120には、突出部115に沿うように、貫通溝121が設けられる。この貫通溝121は遮光シートを通すための溝であり、集光レンズアレイの段数と同数(三つ)の貫通溝が、それぞれ集光レンズアレイの各段とy軸方向に同じ位置に同じ高さをもつように設けられる。
一方、図12(b)に延長部分120を赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して左側から見た模式図を示す。図12(b)に示すように、延長部分120は、赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して横側から見ると略矩形の形状を有し、この延長部分120の外側(赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して左側)には各貫通溝121に連通する窓122〜124が設けられる。この窓122〜124は、延長部分に配置された遮光シート161〜163の表面を露出させて作業者が後述する遮光シートに記載されたレンズの識別情報を目視するための窓である。なお、赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して右側にも延長部分が形成されるが、延長部分120と同様の構造をもつため、説明を省略する。以降、この延長部分を遮蔽ガイドと称する。
また、各窓のy軸方向の境界を形成する、各貫通溝121の内壁面の少なくとも一方には、窓の内側に向けて突起した突起部131〜135が形成される。突起部131〜135は、それぞれz軸方向の位置が一致するように形成される。これらの突起部131〜135は、遮光シートを係止させるための係止手段として機能するとともに、作業者に遮光シートの表面に印刷された情報を指し示すための指示手段として機能する。
【0023】
図3乃至6に示した遮光シート161〜166は、赤外線を遮光する材料(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)材に黒色インクを塗ったもの)により短冊状に形成された、弾性遮光部材である。遮光シート161は図9に示したレンズA1〜A4の何れかを通過する赤外線を遮光し、遮光シート162はレンズB1〜B4の何れかを通過する赤外線を遮光し、遮光シート163はレンズC1〜C2の何れかを通過する赤外線を遮光するための遮光部材である。また遮光シート164はレンズA4〜A7の何れかを通過する赤外線を遮光し、遮光シート165はレンズB4〜B7の何れかを通過する赤外線を遮光し、遮光シート166はレンズC2〜C3の何れかを通過する赤外線を遮光するための遮光部材である。そのため、各遮光シートの幅は、それぞれ赤外線を遮光するレンズのy軸方向の長さと略同一である。各遮光シートは、集光レンズ101側の先端の位置から各遮光シートが配置される遮蔽ガイド側に位置する全てのレンズを遮蔽する。遮光シート161〜166は、概略、同様の形状を有するので、以下では代表して遮光シート161について説明する。
【0024】
図13に、遮蔽ガイドに配置された遮光シート161の模式図を示す。遮光シート161は、貫通溝121を通って遮蔽ガイド120に配置される。遮光シート161は、貫通溝121を通って集光レンズ101側にスライド移動され、さらに集光レンズ101と背面支持部102のくぼみ117の間を通って、その表面が集光レンズ101の内側の面に沿うようにスライド移動される。図13においては、集光レンズ101のうちレンズA1のみが遮光シート161により遮蔽され(実線で図示)、レンズA2〜A4は遮蔽されていない(破線で図示)。
【0025】
なお、遮光シートは、集光レンズ101の外側の面に沿うようにスライド移動するようにしてもよい。その場合、集光レンズ101の外側面に赤外線を透過する窓カバーを覆い被せ、この窓カバーの内側面に、背面支持部102に設けたくぼみ117と同様な、各遮光シートのスライド移動を案内するくぼみを設ける。
【0026】
例えば、図13に示しているように、レンズA1のみを遮蔽する場合、作業者は、遮光シート161を集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するようにスライド移動させなければならない。しかし、集光レンズアレイの各レンズの境界が不鮮明な場合、集光レンズアレイのレンズ面が作業者が見にくい位置にある場合等、作業者が集光レンズアレイの各レンズの境界位置を直接目視して遮光シートの位置を合わせるのは困難である。そこで、遮光シート161の表面には、遮光シート161の集光レンズ101側の先端が各レンズの境界に位置するときに、遮蔽ガイド120の集光レンズ101側の端部141と対抗する側の端部142に合う位置に境界線171〜174がシルク印刷される。遮光シート161は集光レンズ101のレンズ面上を沿ってスライド移動する。そのため、あるレンズを遮蔽した状態からその隣に位置する遮蔽されていないレンズを遮蔽するために遮光シート161をスライド移動させた場合、遮蔽ガイド120上においてスライド移動した距離は、そのスライド移動により遮蔽されたレンズのレンズ幅と略同一である。そこで、境界線171と境界線172の間の長さはレンズA2のレンズ幅と略同一にし、境界線172と境界線173の間の長さはレンズA3のレンズ幅と略同一にし、境界線173と境界線174の間の長さはレンズA4のレンズ幅と略同一にする。
【0027】
これにより、作業者は、遮光シート161に印刷された境界線を端部142に合わせて、遮光シートをスライド移動させる位置を容易に調整することができる。また、遮光シート162〜165についても同様に境界線が印刷される。
【0028】
また、遮光シート161は、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに、遮蔽ガイド120の突起部131、132と合う位置に切り欠き部181、185を備える。同様に、遮光シート161は、遮光シート161の集光レンズ101側の先端が、それぞれレンズA2とレンズA3の境界、レンズA3とレンズA4の境界、レンズA4とレンズA5の境界に位置するときに、突起部131、132と合う位置に切り欠き部182〜184、186〜187を備える。これらの切り欠き部181〜184、185〜188は、突起部131、132と略同一の形状、大きさをもつ。
また、遮光シート161において各切り欠き部が設けられる長手方向の間隔は、各境界線が印刷される間隔と同様に、各レンズにおける遮光シート161がスライド移動する方向のレンズ幅に応じて定められる。つまり、切り欠き部181、185と切り欠き部182、186の間の長さはレンズA2のレンズ幅と略同一にし、切り欠き部182、186と切り欠き部183、187の間の長さはレンズA3のレンズ幅と略同一にし、切り欠き部183、187と切り欠き部184、188の間の長さはレンズA4のレンズ幅と略同一にする。
【0029】
作業者は、これらの切り欠き部181〜184、185〜188を遮蔽ガイド120の突起部131、132にはめることにより、遮光シート161を所望のレンズを遮蔽した位置で固定させることができる。つまり、遮蔽ガイド120の突起部131、132は、遮光シート161の集光レンズ101側の先端を集光レンズ101の隣接するレンズの間の境界の位置に係止させるための係止手段として機能する。また、遮光シート162〜165も同様に切り欠き部を備える。
なお、上述した通り、遮光シートは弾性をもち、緩ませながら遮蔽ガイド120内をスライド移動することができる。そのため、遮光シートは緩ませることにより突起部に引っかからないようにスライド移動させ、切り欠き部を突起部にはめた状態で張り詰めることにより係止させることができる。
【0030】
また、遮光シート161の表面には、集光レンズアレイの各レンズを示す識別情報が表示される。例えば図13に示すように、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに、指示手段である遮蔽ガイド120の突起部131の近傍となる位置に、遮蔽しているレンズの番号であるA1が識別情報としてシルク印刷される。
さらに遮光シート161の表面には各境界線で囲まれた領域ごとに、レンズの番号A2、A3、A4が識別情報として印刷される。したがって、各識別情報が印刷される長手方向の間隔は、各切り欠き部が設けられる間隔または各境界線が印刷される間隔とおよそ一致する。
【0031】
上述した通り、作業者は、遮蔽ガイド120の突起部131を指示手段として遮光シートに印刷された番号を目視することにより、どのレンズが遮光シートにより赤外線を遮光している状態であるかを確認できる。一方、遮光シート161に印刷されたレンズの番号は、遮蔽ガイド120の端部142の近傍に表されており、作業者はこの端部142を目印としてレンズの番号A1を確認することもできる。つまりこの場合、遮蔽ガイド120の端部142が指示手段として機能するともいえる。
【0032】
図14に、遮光シート161をスライド移動させてレンズA1とA2を遮蔽する場合の例を示す。図14に示すように、作業者は、境界線172を遮蔽ガイド120の端部142に合わせるように遮光シート161をスライド移動させることにより、遮光シート161の先端をレンズA2とレンズA3の境界まで移動させることができる。このとき突起部131の近傍には、番号A2が表示される。作業者は、突起部131を目印として番号A2を目視することにより、レンズA2と、レンズA2より遮蔽ガイド120側にあるレンズA1が遮光シートにより赤外線を遮光している状態であることを確認できる。
同様に作業者は、境界線173または境界線174を端部142に合わせることにより、遮光シート161の先端がレンズA3とレンズA4の境界またはレンズA4とレンズA5の境界に位置するようにスライド移動させることができる。このとき作業者は、突起部131を目印として番号A3または番号A4を目視することにより、レンズA1〜A3またはレンズA1〜A4が遮光シートにより赤外線を遮光している状態であることを確認できる。このように本実施形態では、指示手段は、遮蔽しているレンズのうち、集光レンズの外側(遮蔽ガイド120側)から見て最も奥方のレンズの番号を指し示す。
【0033】
なお、遮光シートの先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、指示手段が指し示す識別情報は、遮蔽しているレンズのうち、遮光シートの集光レンズ側の先端に最も近いレンズの番号に限られない。図15(a)〜(c)に遮光シートの表面に示す識別情報の変形例を示す。図15(a)に示すように、遮光シートの集光レンズ側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、指示手段が指し示す識別情報は、その遮光シートが遮蔽している全てのレンズの番号としてもよい。その場合、遮光シート161には、集光レンズ101側から順に、A1、A1/A2、A1/A2/A3、A1/A2/A3/A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。そして、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに突起部131の近傍となる位置には、番号A1が印刷される。この場合、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA2とレンズA3の境界に位置するとき指示手段は番号A1/A2を指し示し、先端がレンズA3とレンズA4の境界に位置するとき指示手段は番号A1/A2/A3を指し示し、先端がレンズA4とレンズA5の境界に位置するとき指示手段は番号A1/A2/A3/A4を指し示す。これにより作業者は、遮光シートにより遮蔽されている全てのレンズをより直感的に識別することができる。
【0034】
あるいは、図15(b)に示すように、遮光シートの集光レンズ側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、指示手段が指し示す識別情報は、遮光シートの集光レンズ側の先端で遮蔽しているレンズ(最も奥方の遮蔽レンズ)に隣接する遮蔽していないレンズの番号としてもよい。その場合、遮光シート161には、集光レンズ101側から順に、A1、A2、A3、A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。例えば、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに突起部131の近傍となる位置には、遮蔽していないレンズの番号であるA2が印刷される。そして、遮光シート161の先端がレンズA2とレンズA3の境界に位置するとき指示手段は番号A3を指し示し、先端がレンズA3とレンズA4の境界に位置するとき指示手段は番号A4を指し示す。また、遮光シート161の先端がレンズA1の手前側の境界に位置するとき指示手段は番号A2を指し示す。これにより作業者は、遮光シートにより遮蔽されていないレンズをより直感的に識別することができる。
【0035】
あるいは、図15(c)に示すように、遮光シートの集光レンズ側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、指示手段が指し示す識別情報は、その遮光シートが遮蔽していない全てのレンズの番号としてもよい。その場合、遮光シート161には、集光レンズ101側から順に、A1/A2/A3/A4、A2/A3/A4、A3/A4、A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。そして、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに突起部131の近傍となる位置には、番号A2/A3/A4が印刷される。この場合、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA2とレンズA3の境界に位置するとき指示手段は番号A2/A3/A4を指し示し、先端がレンズA3とレンズA4の境界に位置するとき指示手段は番号A3/A4を指し示し、先端がレンズA4とレンズA5の境界に位置するとき指示手段は番号A4を指し示す。この場合も作業者は、遮光シートにより遮蔽されていないレンズをより直感的に識別することができる。
なお、図13〜15の例では、遮蔽ガイド120の窓122は指示するレンズを含む複数の識別情報が露出する大きさとなっているが、支持するレンズの識別情報のみ露出する大きさに構成してもよい。
【0036】
また、例えば遮光シートがスライド移動する方向の、遮蔽ガイド120の窓122側の表面(以降、窓側面と称する)に識別情報を印刷しておき、遮光シート161上に△印等のマーカを印刷して遮光シート161を指示手段として用いてもよい。図16(a)、(b)に、遮蔽ガイドに識別情報を表示し、遮光シートを指示手段として用いる場合の変形例を示す。図16(a)は、遮光シート161をスライド移動させてレンズA1を遮蔽する場合の例を示し、図16(b)は、遮光シート161をスライド移動させてレンズA1とA2を遮蔽する場合の例を示す。
図16(a)に示すように、遮蔽ガイド120の窓側面151には、集光レンズ101と反対側から順に、A1、A2、A3、A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。一方、遮光シート161には、指示手段として、遮光シートの集光レンズ101側の先端が、レンズA1とレンズA2の境界に位置するときに、遮蔽されているレンズの番号である番号A1を指し示す位置に△印等のマーカが印刷される。これにより、図16(b)に示すように、遮光シート161が集光レンズ101側の先端がレンズA2とレンズA3の境界に位置するようにスライド移動されたときには、遮光シート161に印刷されたマーカは番号A2を指し示す。同様に、遮光シート161の集光レンズ101側の先端が、レンズA3とレンズA4の境界、レンズA4とレンズA5の境界に位置するようにスライド移動されたときには、遮光シート161に印刷されたマーカは、それぞれ番号A3、A4を指し示す。つまり、遮光シートの指示手段は、遮光シートの集光レンズ101側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、遮蔽しているレンズのうち、遮光シートの集光レンズ側の先端に最も近いレンズの番号を指し示す。
【0037】
図17(a)〜(c)に、遮蔽ガイドに識別情報を表示し、遮光シートを指示手段として用いる場合のさらなる変形例を示す。図17(a)に示す例では、遮光シート161の指示手段は、遮光シートの集光レンズ101側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、遮蔽している全てのレンズの番号を指し示す。その場合、窓側面151には、集光レンズ101と反対側から順に、A1、A1/A2、A1/A2/A3、A1/A2/A3/A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。そして、遮光シート161には、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに番号A1を指し示す位置にマーカが印刷される。
【0038】
また図17(b)に示す例では、遮光シート161の指示手段は、遮蔽シートの集光レンズ101側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、遮蔽していないレンズのうち、遮光シートの集光レンズ側の先端に最も近いレンズの番号を指し示す。その場合、窓側面151には、集光レンズ101と反対側から順に、A1、A2、A3、A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。そして、遮光シート161には、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに遮蔽していないレンズの番号であるA2を指し示す位置にマーカが印刷される。
【0039】
また図17(c)に示す例では、遮光シート161の指示手段は、遮光シートの集光レンズ101側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、遮蔽していない全てのレンズの番号を指し示す。その場合、窓側面151には、集光レンズ101と反対側から順に、A1/A2/A3/A4、A2/A3/A4、A3/A4、A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。そして、遮光シート161には、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに番号A2/A3/A4を指し示す位置にマーカが印刷される。
上述したように、遮蔽ガイド120に識別情報を表示し、遮光シート161を指示手段として用いる場合も、遮光シート161上に識別情報を印刷しておき、遮蔽ガイド120を指示手段として用いる場合と同様の効果が得られる。
【0040】
上述したように、互いに隣接する二つの識別情報は、その二つの識別情報にそれぞれ対応する二つのレンズの相互の位置関係と同一の位置関係をもつように遮蔽シート上に表示される。
【0041】
以上説明してきたように、本発明の一実施形態による赤外線センサは、各検知ゾーンから放射された赤外線を集光レンズアレイの、その検知ゾーンに対応するレンズにより集光して焦電素子で受光し、各検知ゾーンにおける熱エネルギーの時間的な変化を検出する。この赤外線センサは、集光レンズの内側の面に沿ってスライド移動可能な、赤外線を遮光する遮光シートと、遮光シートを支持する遮蔽ガイドを備える。これにより作業者は、遮光シートをスライド移動させて集光レンズの所望のレンズを遮蔽し、そのレンズにより集光する赤外線を遮光させることができ、侵入物体を検知しない検知ゾーンを容易に設定することができる。
さらに、この遮光シート又は遮蔽ガイドのいずれか一方には、各レンズを示す識別情報が表示され、互いに隣接する二つの識別情報は、その二つの識別情報にそれぞれ対応する二つのレンズの相互の位置関係と同一の位置関係をもつように表示される。その他方は、遮光部材により遮蔽されているレンズのうち、遮光シートの集光レンズ側の先端に最も近いレンズを示す識別情報と、遮光部材により遮蔽されていないレンズのうち、遮光シートの集光レンズ側の先端に最も近いレンズを示す識別情報とのうちの何れか一方を指し示す指示手段を備える。これにより作業者は、遮光シートがどのレンズを遮蔽する位置までスライド移動した状態であるかを容易に確認できるので、侵入物体を検知しない検知ゾーンを的確に設定することができる。
また、集光レンズアレイは複数の段で構成され、遮光シートは各段ごとに備えられ、遮蔽ガイドは各段ごとに独立してスライド移動可能に遮光シートを支持する。これにより、作業者は、侵入物体を検知しない検知ゾーンを柔軟に設定することができる。
また、遮光シートは十分に大きいため、作業者にとって取り扱いやすく、さらに紛失するおそれも少ない。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、遮蔽ガイドには、指示手段として、遮光シートに表示された識別情報を指し示す位置に△印等のマーカが設けられてもよい。その場合、遮光シートの表面には、その遮光シートのレンズ側の先端部分が遮蔽しているレンズの番号がそのマーカが示す位置に表れるように各レンズの番号を印刷しておく。あるいは、遮蔽ガイドの窓部分を不透明な部材(例えばプラスチック板に黒色インクを塗ったもの)で覆い、指示手段として確認孔を設けてもよい。その場合、遮光シートの表面には、その遮光シートのレンズ側の先端部分が遮蔽しているレンズの番号がその確認孔の位置に表れるように各レンズの番号を印刷しておく。これにより作業者は、容易に遮光シートにより赤外線が遮光されているレンズを確認することができる。
【0043】
また、本実施形態では、各遮光シートが、集光レンズを正面からみて左右方向の中央の位置にあるレンズまで遮光する例を示したが、各遮光シートは、各段の全てのレンズを遮光できるように形成されてもよい。また、各遮光シートは、集光レンズの複数のレンズのうち一部のレンズのみを遮光するように、その一部のレンズを遮光する部分以外の部分は、透明樹脂等の透過性の材料で形成してもよい。その場合、遮光シートには、その遮光シートをスライド移動させたときに、その遮光シートにより遮光されているレンズの番号と遮光されていないレンズの番号が指示手段が指し示す位置に表れるように各レンズの番号を印刷しておく。これらにより、赤外線センサは、侵入物体を検知しない検知ゾーンをより柔軟に設定することができる。
【0044】
また、本実施形態では、集光レンズを用いたPIRセンサの例を示したが、本発明は、例えば反射型のPIRセンサにも適用できる。
図18に反射型の赤外線センサの模式図を示す。反射型の赤外線センサ1800は、集光ミラー1801、焦電素子1802及び透過部材1803を有する。反射型のPIRセンサを用いる場合も、検知エリアは、各々離間した複数の検知ゾーンによって構成される。集光ミラー1801は、複数のミラーからなる集光ミラーアレイであり、各ミラーは、対応する検知ゾーンから放射された赤外線を焦電素子1802に集光するようにアライメント調整される。一方、カバー1803は、赤外線を透過する樹脂等の材料で形成され、赤外線センサ1800は、カバー1803を透過してきた各検知ゾーンからの赤外線1810、1811を、その検知ゾーンに対応するミラーにより集光して焦電素子1802で受光する。これにより、赤外線センサ1800は、各検知ゾーンにおける熱エネルギーの時間的な変化を検出する。
【0045】
赤外線センサ1800では、検知ゾーンから放射された赤外線を適宜遮光するために、カバー1803について各ミラーに対応する複数の面領域を定めておく。各面領域は、対応するミラーで集光する赤外線の光束が透過する領域であり、赤外線センサ1800の正面(検知エリア側)からみて水平方向及び垂直方向に区分して定められる。例えば、遮光すべきミラーで集光する赤外線が透過するカバー1803上の領域が、隣接するミラーで集光する赤外線が透過するカバー1803上の領域と一部が重なる場合でも、その遮光すべきミラーで集光する赤外線の光束が通る部分全体を遮蔽するように面領域は定められる。
【0046】
そして集光レンズを用いた赤外線センサで用いられる遮光シート及び遮蔽ガイドは、集光レンズをカバー1803に置き換え、各レンズ面をカバー1803の各面領域に置き換えることにより、反射型の赤外線センサ1800に適用することができる。なお、遮光シートまたは遮蔽ガイドの一方には、識別情報としてミラーの番号が各ミラーに対応して印刷される。各識別情報は、遮光シートのカバー1803側の先端が特定の面領域を通る赤外線を遮光する位置にあるときに、その特定の面領域に対応するミラーの番号が指示手段により指し示される位置に印刷される。そのために、互いに隣接する二つの識別情報は、それぞれ対応する二つのミラーに対応する二つの面領域の位置関係に対応した位置関係をもつように印刷される。一方、遮光シートまたは遮蔽ガイドの他方は識別情報を指し示す指示手段を備える。この指示手段は、遮光シートにより遮蔽されている面領域のうち、その遮光シートのカバー1803側の先端に最も近い面領域に対応するミラーの番号を示す識別情報を指し示す。あるいは、この指示手段は、遮光シートにより遮蔽されていない面領域のうち、カバー1803側の先端に最も近い面領域に対応するミラーの番号を指し示す。これにより、反射型のPIRセンサに本発明を適用することができ、集光レンズを用いたPIRセンサの場合と同様の効果を得ることができる。
【0047】
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 赤外線センサ
10 センサ本体
11 筐体
100 前面支持部
101 集光レンズ
102 背面支持部
103 焦電素子
104 信号処理部
105 信号線
106 矩形部
107 窓
108 突出部
110 取付部
111、112 フランジ
113 集光レンズアレイ
114 前面部
115 突出部
116 穴
117 くぼみ
118 半円板
120 延長部分、遮蔽ガイド
121 貫通溝
122〜124 窓
131〜135 突起部
141、142 遮蔽ガイドの端部
151 遮蔽ガイドの窓側面
161〜166 遮光シート
171〜174 境界線
181〜184 切り欠き部
1800 赤外線センサ
1801 焦電素子
1802 集光ミラー
1803 カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンの熱変化を検出する焦電型の赤外線センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、監視領域に侵入する侵入物体を検出するために、焦電型の赤外線センサ(PIRセンサ;Passive InfraRed Sensor)が広く開発されている。このようなPIRセンサが侵入物体を検出する検知エリアは、一般に各々離間した複数の検知ゾーンによって構成される。PIRセンサは、例えば集光レンズを用いて、各検知ゾーンからの赤外線(熱線)を集光する。PIRセンサに用いられる集光レンズは、例えば複数のレンズを2次元に配列したレンズアレイからなり、各レンズは、それぞれ対応する検知ゾーンから放射された赤外線を焦電素子で受光するようにアライメント調整されている。そしてPIRセンサは、焦電素子で受光した各検知ゾーンからの赤外線の熱エネルギーの時間的な変化を検出することにより、侵入物体を検出する。
【0003】
このようなPIRセンサで侵入物体を監視するとき、正規の利用者が通行するための道路、侵入物体を監視すべきでない領域が写る窓、第三者のプライバシーを侵害するおそれのあるドア等、検知エリアの一部では侵入物体を検出しないようにしたい(検知エリアの範囲を限定したい)場合がある。その場合、PIRセンサは、対応する検知ゾーンからの赤外線が焦電素子へ入射しないように遮光部材を用いて赤外線を遮光する必要がある。そのために従来のPIRセンサは、例えば侵入物体を検出すべきでない検知ゾーンからの赤外線を集光するレンズのレンズ面に遮光シールを貼ることにより、その検知ゾーンからの赤外線を遮光していた。しかしながら、レンズアレイの各レンズ面は非常に小さいため、遮光シールを貼る作業は困難であり、PIRセンサを設置する作業者は遮光シールを貼る作業に多大な時間を要していた。
【0004】
これに対して、特許文献1には、検知エリアの範囲を限定することが可能な人体検知装置が提案されている。この人体検知装置では、天井面に固定されたケース内に熱線センサが収容され、熱線センサの、レンズアレイからなる受光レンズを伸縮自在に覆うように、一端部がケース(天井側)に固定された円筒形の蛇腹状の遮光フードが設けられている。そしてその遮光フードを伸張させることにより、人体検知装置は、レンズアレイの一部のレンズからの熱線を遮断して、そのレンズに対応する検知ゾーンを検知エリアから外すことが可能となる。
さらに、特許文献1に開示された他の実施形態では、人体検知装置において、レンズアレイの各レンズに対応する区画に分割された透光性のシェードを有するプレートが受光レンズを覆うように設けられている。この実施形態では、人体検知装置内にシェードの各区画の形状及び大きさに合わせた遮光チップが用意されている。そしてその遮光チップをシェードの、遮光するレンズに対応する区画に取り付けることにより、人体検知装置は、そのレンズからの熱線を遮断して、そのレンズに対応する検知ゾーンを検知エリアから外すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−132755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
円筒形の蛇腹状の遮光フードを用いて受光レンズを遮光する場合、作業者は検知エリアから検知ゾーンを外す作業を容易にすることができる。しかしながら、遮光フードをどれだけ伸張させるとレンズアレイのどのレンズが遮光されるかが示されないため、作業者は、どの検知ゾーンが検知エリアから外れているかを容易に確認することができず、検知エリアから外す検知ゾーンを的確に設定することができなかった。
一方、遮光チップを用いて受光レンズを遮光する場合、作業者は検知エリアから外す検知ゾーンを的確に設定することができるが、遮光チップ自体が非常に小さいため、取り付ける作業が煩雑であるとともに、その遮光チップを紛失するおそれもあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのうち、侵入物体を検知しない検知ゾーンを容易かつ的確に設定することができる赤外線センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するための本発明は、赤外線センサを提供する。係る赤外線センサは、第1の方向において複数のレンズを備え、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのそれぞれから放射される赤外線を、複数のレンズのうち当該検知ゾーンに対応するレンズにより集光する集光レンズと、集光レンズにより集光した赤外線を受光する受光素子と、赤外線を遮光する材料で短冊状に形成された遮光部材であって、集光レンズの一面に沿って第1の方向にスライド移動可能に配置され、複数のレンズのうち、遮光部材の先端から集光レンズの一端までの間に位置するレンズを遮蔽する遮光部材と、集光レンズの一端側に取り付けられ、遮光部材を支持する遮蔽ガイドと、受光素子が受光した赤外線に応じた検知信号を出力する信号処理部と、を有し、遮光部材及び遮蔽ガイドのうちの一方には、複数のレンズのそれぞれを示す複数の識別情報が、隣接する二つの識別情報の位置関係がそれぞれ対応する二つのレンズの相互の位置関係と同一の位置関係で表示され、遮光部材及び遮蔽ガイドのうちの他方には、遮光部材の先端部分で遮蔽されているレンズ、または、当該レンズに隣接する遮蔽されていないレンズを示す識別情報の表示を指し示す指示手段を備える。
【0009】
また、本発明に係る赤外線センサにおいて、集光レンズは、第1の方向と直交する第2の方向において、それぞれ第1の方向に複数のレンズを備える複数の段を構成し、遮光部材は、複数の段ごとに配置され、遮蔽ガイドは、複数の段ごとに取り付けられ、遮光部材の各段を独立してスライド移動可能に支持し、指示手段は、複数の段ごとに設けられ、各段の遮光部材の位置に応じてレンズを示す識別情報の表示を指し示すことが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る赤外線センサにおいて、遮蔽ガイドは、遮光部材の先端が第1の方向に隣接するレンズの間の境界の位置毎に当該遮光部材を係止させるための係止手段を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明の他の形態は、赤外線センサを提供する。係る赤外線センサは、複数のミラーからなり、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのそれぞれから放射される赤外線を、複数のミラーのうち当該検知ゾーンに対応するミラーにより集光する集光ミラーと、集光ミラーにより集光した赤外線を受光する受光素子と、赤外線を透過する材料で形成され、集光ミラーの前面に配置されるカバーと、赤外線を遮光する材料で短冊状に形成された遮光部材であって、カバーの一面に沿って第1の方向にスライド移動可能に配置され、遮光部材の先端からカバーの一端までの領域を遮蔽する遮光部材と、カバーの一端側に取り付けられ、遮光部材を支持する遮蔽ガイドと、受光素子が受光した赤外線に応じた検知信号を出力する信号処理部と、を有し、遮光部材及び遮蔽ガイドのうちの一方には、複数のミラーのそれぞれを示す複数の識別情報が、隣接する二つの識別情報の位置関係がそれぞれ対応する二つのミラーで集光する赤外線が通過するカバー上の面領域の相互の位置関係に応じた位置関係で表示され、遮光部材及び遮蔽ガイドのうちの他方には、遮光部材の先端部分で遮蔽されている面領域、または、当該面領域に隣接する遮蔽されていない面領域に対応するミラーを示す識別情報の表示を指し示す指示手段を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る赤外線センサは、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのうち、侵入物体を検知しない検知ゾーンを容易かつ的確に設定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した赤外線センサの外観を示す概略斜視図である。
【図2】赤外線センサの断面図である。
【図3】赤外線センサの外側から見た、筐体から取り外された本体部分の斜視図である。
【図4】赤外線センサの内側からみた、筐体から取り外された本体部分の斜視図である。
【図5】赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して左側から見た本体部分の概略側面図である。
【図6】赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して右側から見た本体部分の概略側面図である。
【図7】前面支持部の概略斜視図である。
【図8】集光レンズの概略斜視図である。
【図9】(a)は集光レンズを赤外線センサの内側から見た模式図であり、(b)は集光レンズを赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して左側から見た模式図であり、(c)は集光レンズを赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して右側から見た模式図である。
【図10】検知ゾーンと集光レンズと焦電素子の関係を表す模式図である。
【図11】背面支持部の概略斜視図である。
【図12】(a)は延長部分を上側から見た断面図であり、(b)は延長部分を赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して左側から見た模式図である。
【図13】遮蔽ガイドに配置された遮光シートの模式図である。
【図14】遮光シートをスライド移動させたときの模式図である。
【図15】(a)〜(c)は、それぞれ遮光シートの表面に示す識別情報の変形例を示す模式図である。
【図16】(a)、(b)は、それぞれ、遮蔽ガイドに識別情報を表示し、遮光シートを指示手段として用いる場合の変形例を示す模式図である。
【図17】(a)〜(c)は、それぞれ、遮蔽ガイドに識別情報を表示し、遮光シートを指示手段として用いる場合のさらなる変形例を示す模式図である。
【図18】反射型のPIRセンサの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態である赤外線センサについて図を参照しつつ説明する。
この赤外線センサは、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのそれぞれから放射された赤外線を、集光レンズアレイのうちのその検知ゾーンに対応するレンズにより集光して焦電素子で受光し、各検知ゾーンにおける熱エネルギーの時間的な変化を検出する。この赤外線センサは、赤外線を遮光する材料で形成された短冊状の遮光シートを集光レンズの内側の面に沿ってスライド移動できるように支持する遮蔽ガイドを備える。赤外線センサを設置する作業者は、遮光シートをスライド移動させることにより集光レンズアレイのうちの所望のレンズを遮蔽し、そのレンズで集光する赤外線を遮光させることができる。さらに、この遮光シート上には、遮光シートが何れかのレンズを遮蔽する位置にスライド移動されたときに、遮蔽ガイドにより予め指し示された位置に、遮蔽されているレンズの番号又は遮蔽されていないレンズの番号が表れるように、各レンズの番号が印刷されている。これにより、赤外線センサは、赤外線を遮光する検知ゾーンの容易かつ的確な設定を可能にすることを図る。
【0015】
図1は、赤外線センサの外観を示す概略斜視図である。本実施形態の赤外線センサ1は、検知エリアに侵入する侵入物体を検出する、焦電素子および集光レンズを用いた焦電型の赤外線センサ(PIRセンサ)である。図1に示すように、赤外線センサ1は、センサ本体10及び筐体11を有する。センサ本体10は、侵入物体を検出する機能を実現する部分であり、前面支持部100と、前面支持部100に取り付けられた集光レンズ101を備える。この前面支持部100が筐体11に取り付けられることにより、センサ本体10は筐体11に固定される。筐体11は、例えば射出成形された樹脂などからなり、略直方体の形状を有する。例えば、検知エリアが屋内である場合、筐体11は、集光レンズ101が検知エリアに向くように、屋内の天井や壁などに取り付けられる。
なお、以下では、便宜上、赤外線センサ1が水平に設置された場合に、水平面に平行で、かつ赤外線センサ1が検知エリアを向く方向と直交する方向をx軸、水平面と直交する方向(鉛直方向)をy軸、水平面に平行で、かつ赤外線センサ1が検知エリアを向く方向をz軸とする座標系を設定する。また、以下では、y軸の上方向を上側とし、y軸の下方向を下側として説明する。
【0016】
図2に、図1の矢視A−A’における赤外線センサ1の概略断面図を示す。図2に示すように、センサ本体10は、前面支持部100及び集光レンズ101に加えて、背面支持部102、焦電素子103、信号処理部104及び信号線105を備える。背面支持部102、焦電素子103及び信号処理部104は、筐体11内に備えられ、信号線105は、筐体11内部から外部へ向けて配置される。
集光レンズ101は、前面支持部100と背面支持部102にはさまれて固定される。赤外線センサ1が侵入物体を検出する検知エリアは、各々離間した複数の検知ゾーンによって構成される。赤外線センサ1は集光レンズ101を用いて、各検知ゾーンからの赤外線(熱線)を焦電素子103に集光する。焦電素子103は背面支持部102に、集光レンズ101により集光された赤外線を受光する方向を向くように取り付けられる。
また、各検知ゾーンは一対のゾーンからなり、焦電素子103は、例えば逆極性で接続された一対の焦電素子で構成される。一方の焦電素子は、各検知ゾーンの一対のゾーンのうち、一方のゾーンからの赤外線を受光して正電圧に変換し、他方の焦電素子は、他方のゾーンからの赤外線を受光して負電圧に変換して信号処理部104に出力する。この信号処理部104は回路基板に実装されるCPU、ROM、RAM等により構成される。そして回路基板は、焦電素子103が受光する赤外線を遮らないように、センサ本体10の、焦電素子103の背面側に取り付けられる。
一対のゾーンを横切る方向に侵入物体が通過すると、焦電素子103が出力する電圧は正電圧から負電圧(または負電圧から正電圧)に変化する。そこで信号処理部104は、焦電素子103から出力された電圧変化の大きさに基づいて検知エリアに侵入物体が存在する確かさの度合いを表す検知信号を生成し、信号線105を介して外部に出力する。
【0017】
図3に、筐体11から取り外されたセンサ本体10を赤外線センサ1の外側(検知エリア側)から見た概略斜視図を示し、図4に、筐体11から取り外されたセンサ本体10を赤外線センサ1の内側(検知エリアと反対側)から見た概略斜視図を示す。また、図5に、赤外線センサ1が検知エリアを向く方向に対して左側からセンサ本体10を見た概略側面図を示し、図6に、赤外線センサ1が検知エリアを向く方向に対して右側からセンサ本体10を見た概略側面図を示す。図3〜図6に示すように、センサ本体10の背面支持部102には、集光レンズ101の一部を遮蔽するための遮光シート161〜166が配置される。この遮光シート161〜166は、センサ本体10が筐体11に取り付けられたときは、筐体11内に備えられる。
【0018】
図7に前面支持部100を検知エリア側から見た模式図を示す。前面支持部100は、例えば射出成型された樹脂などからなる。前面支持部100は、略矩形の板状の形状を持つ矩形部106を有し、矩形部106の上側の二つの角は略直角であり、下側の二つの角が丸みを帯びている。矩形部106の上側の縁には、矩形部106と直角をなすように検知エリア側に突出する半円板状の突出部108が形成される。また矩形部106には、下側に凸な半円状に切り欠かれた窓107が形成される。また検知エリア側から見て矩形部106の左右の縁には、前面支持部100を筐体11に取り付けるための、ネジ穴を備えた取付部110が形成される。
【0019】
図8に集光レンズ101の概略斜視図を示す。集光レンズ101は、透明樹脂からなり、球面を、その中心を通り互いに直交する二つの面で切断した4分の1球面の形状を有する。集光レンズ101は、二つの切断面のうちの一方に沿って広がるフランジ111と、二つの切断面のうちの他方において球面に沿って広がるフランジ112を備える。集光レンズ101は、球面の外側が検知エリア側を向くように赤外線センサ1の内側から前面支持部100の半円状の窓107にはめられる。
集光レンズ101の球面における、フランジ111側を底面としたときの頂部を中心とする中央凸状部には複数のレンズを2次元に配列した集光レンズアレイ113が配置される。図9(a)に集光レンズ101を赤外線センサ1の内側(検知エリアと反対側)から見た模式図を示し、図9(b)に集光レンズ101を赤外線センサ1が検知エリアを向く方向に対して左側から見た模式図を示し、図9(c)に集光レンズ101を赤外線センサ1が検知エリアを向く方向に対して右側から見た模式図を示す。図9(a)〜(c)に示すように、集光レンズ101には、赤外線センサ1が水平に設置されたときの鉛直方向(y軸方向)に3段(上段部分、中段部分、下段部分)にそれぞれ複数のレンズが形成される。集光レンズ101には、上段部分に七つのレンズ(A1〜A7)が形成され、中段部分に七つのレンズ(B1〜B7)が形成され、下段部分に三つのレンズ(C1〜C3)が形成される。各レンズは、対応する検知ゾーンから放射された赤外線を焦電素子に集光するようにアライメント調整される。なお、集光レンズアレイの各レンズはどのようなものでもよいが、本実施形態では、フレネルレンズを用いるものとして説明する。
【0020】
図10に、検知ゾーンと集光レンズと焦電素子の関係を表す模式図を示す。図10は、検知エリア1000及び赤外線センサ1の集光レンズ101を上側から鉛直方向にみた模式図を示す。図10には、簡略化のため、集光レンズ101の下段部分のレンズC1、C2、C3(1001、1002、1003)と、レンズC1、C2、C3が赤外線を集光する検知ゾーンC1’、C2’、C3 ’(1011、1012、1013)のみを示す。図10に示すように、各レンズ1001、1002、1003は、それぞれ対応する検知ゾーン1011、1012、1013から放射された赤外線を焦電素子103に集光するようにアライメント調整される。
【0021】
図11に、背面支持部102の概略斜視図を示す。背面支持部102は、前面支持部100と同様に、例えば射出成形された樹脂などからなる。背面支持部102の前面部(検知エリア側の面)114は、集光レンズ101の球面及びフランジ111に略一致する形状に形成される。前面部114のうち、集光レンズ101の球面に一致する形状に形成された突出部115において、集光レンズアレイと対向する領域には穴116が設けられ、その穴116の奥には焦電素子103が集光レンズ101を向くように配置される。また、集光レンズ101と背面支持部102の間に遮光シートを通すために、突出部115上には、集光レンズアレイの各段が形成される方向(x軸方向)に遮光シートと略同一の厚さのくぼみ117が設けられる。また、突出部115を上側から見た面は、集光レンズ101のフランジ112に沿って形成される半円状の開口を覆うように半円板118で形成される。
【0022】
また、前面部114の、集光レンズ101のフランジ111と対向する領域の背面には、突出部115に沿った面の延長部分120が形成される。図12(a)に図11の矢視B−B’における延長部分120の概略断面図を示す。図12(a)に示すように、延長部分120には、突出部115に沿うように、貫通溝121が設けられる。この貫通溝121は遮光シートを通すための溝であり、集光レンズアレイの段数と同数(三つ)の貫通溝が、それぞれ集光レンズアレイの各段とy軸方向に同じ位置に同じ高さをもつように設けられる。
一方、図12(b)に延長部分120を赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して左側から見た模式図を示す。図12(b)に示すように、延長部分120は、赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して横側から見ると略矩形の形状を有し、この延長部分120の外側(赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して左側)には各貫通溝121に連通する窓122〜124が設けられる。この窓122〜124は、延長部分に配置された遮光シート161〜163の表面を露出させて作業者が後述する遮光シートに記載されたレンズの識別情報を目視するための窓である。なお、赤外線センサが検知エリアを向く方向に対して右側にも延長部分が形成されるが、延長部分120と同様の構造をもつため、説明を省略する。以降、この延長部分を遮蔽ガイドと称する。
また、各窓のy軸方向の境界を形成する、各貫通溝121の内壁面の少なくとも一方には、窓の内側に向けて突起した突起部131〜135が形成される。突起部131〜135は、それぞれz軸方向の位置が一致するように形成される。これらの突起部131〜135は、遮光シートを係止させるための係止手段として機能するとともに、作業者に遮光シートの表面に印刷された情報を指し示すための指示手段として機能する。
【0023】
図3乃至6に示した遮光シート161〜166は、赤外線を遮光する材料(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)材に黒色インクを塗ったもの)により短冊状に形成された、弾性遮光部材である。遮光シート161は図9に示したレンズA1〜A4の何れかを通過する赤外線を遮光し、遮光シート162はレンズB1〜B4の何れかを通過する赤外線を遮光し、遮光シート163はレンズC1〜C2の何れかを通過する赤外線を遮光するための遮光部材である。また遮光シート164はレンズA4〜A7の何れかを通過する赤外線を遮光し、遮光シート165はレンズB4〜B7の何れかを通過する赤外線を遮光し、遮光シート166はレンズC2〜C3の何れかを通過する赤外線を遮光するための遮光部材である。そのため、各遮光シートの幅は、それぞれ赤外線を遮光するレンズのy軸方向の長さと略同一である。各遮光シートは、集光レンズ101側の先端の位置から各遮光シートが配置される遮蔽ガイド側に位置する全てのレンズを遮蔽する。遮光シート161〜166は、概略、同様の形状を有するので、以下では代表して遮光シート161について説明する。
【0024】
図13に、遮蔽ガイドに配置された遮光シート161の模式図を示す。遮光シート161は、貫通溝121を通って遮蔽ガイド120に配置される。遮光シート161は、貫通溝121を通って集光レンズ101側にスライド移動され、さらに集光レンズ101と背面支持部102のくぼみ117の間を通って、その表面が集光レンズ101の内側の面に沿うようにスライド移動される。図13においては、集光レンズ101のうちレンズA1のみが遮光シート161により遮蔽され(実線で図示)、レンズA2〜A4は遮蔽されていない(破線で図示)。
【0025】
なお、遮光シートは、集光レンズ101の外側の面に沿うようにスライド移動するようにしてもよい。その場合、集光レンズ101の外側面に赤外線を透過する窓カバーを覆い被せ、この窓カバーの内側面に、背面支持部102に設けたくぼみ117と同様な、各遮光シートのスライド移動を案内するくぼみを設ける。
【0026】
例えば、図13に示しているように、レンズA1のみを遮蔽する場合、作業者は、遮光シート161を集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するようにスライド移動させなければならない。しかし、集光レンズアレイの各レンズの境界が不鮮明な場合、集光レンズアレイのレンズ面が作業者が見にくい位置にある場合等、作業者が集光レンズアレイの各レンズの境界位置を直接目視して遮光シートの位置を合わせるのは困難である。そこで、遮光シート161の表面には、遮光シート161の集光レンズ101側の先端が各レンズの境界に位置するときに、遮蔽ガイド120の集光レンズ101側の端部141と対抗する側の端部142に合う位置に境界線171〜174がシルク印刷される。遮光シート161は集光レンズ101のレンズ面上を沿ってスライド移動する。そのため、あるレンズを遮蔽した状態からその隣に位置する遮蔽されていないレンズを遮蔽するために遮光シート161をスライド移動させた場合、遮蔽ガイド120上においてスライド移動した距離は、そのスライド移動により遮蔽されたレンズのレンズ幅と略同一である。そこで、境界線171と境界線172の間の長さはレンズA2のレンズ幅と略同一にし、境界線172と境界線173の間の長さはレンズA3のレンズ幅と略同一にし、境界線173と境界線174の間の長さはレンズA4のレンズ幅と略同一にする。
【0027】
これにより、作業者は、遮光シート161に印刷された境界線を端部142に合わせて、遮光シートをスライド移動させる位置を容易に調整することができる。また、遮光シート162〜165についても同様に境界線が印刷される。
【0028】
また、遮光シート161は、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに、遮蔽ガイド120の突起部131、132と合う位置に切り欠き部181、185を備える。同様に、遮光シート161は、遮光シート161の集光レンズ101側の先端が、それぞれレンズA2とレンズA3の境界、レンズA3とレンズA4の境界、レンズA4とレンズA5の境界に位置するときに、突起部131、132と合う位置に切り欠き部182〜184、186〜187を備える。これらの切り欠き部181〜184、185〜188は、突起部131、132と略同一の形状、大きさをもつ。
また、遮光シート161において各切り欠き部が設けられる長手方向の間隔は、各境界線が印刷される間隔と同様に、各レンズにおける遮光シート161がスライド移動する方向のレンズ幅に応じて定められる。つまり、切り欠き部181、185と切り欠き部182、186の間の長さはレンズA2のレンズ幅と略同一にし、切り欠き部182、186と切り欠き部183、187の間の長さはレンズA3のレンズ幅と略同一にし、切り欠き部183、187と切り欠き部184、188の間の長さはレンズA4のレンズ幅と略同一にする。
【0029】
作業者は、これらの切り欠き部181〜184、185〜188を遮蔽ガイド120の突起部131、132にはめることにより、遮光シート161を所望のレンズを遮蔽した位置で固定させることができる。つまり、遮蔽ガイド120の突起部131、132は、遮光シート161の集光レンズ101側の先端を集光レンズ101の隣接するレンズの間の境界の位置に係止させるための係止手段として機能する。また、遮光シート162〜165も同様に切り欠き部を備える。
なお、上述した通り、遮光シートは弾性をもち、緩ませながら遮蔽ガイド120内をスライド移動することができる。そのため、遮光シートは緩ませることにより突起部に引っかからないようにスライド移動させ、切り欠き部を突起部にはめた状態で張り詰めることにより係止させることができる。
【0030】
また、遮光シート161の表面には、集光レンズアレイの各レンズを示す識別情報が表示される。例えば図13に示すように、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに、指示手段である遮蔽ガイド120の突起部131の近傍となる位置に、遮蔽しているレンズの番号であるA1が識別情報としてシルク印刷される。
さらに遮光シート161の表面には各境界線で囲まれた領域ごとに、レンズの番号A2、A3、A4が識別情報として印刷される。したがって、各識別情報が印刷される長手方向の間隔は、各切り欠き部が設けられる間隔または各境界線が印刷される間隔とおよそ一致する。
【0031】
上述した通り、作業者は、遮蔽ガイド120の突起部131を指示手段として遮光シートに印刷された番号を目視することにより、どのレンズが遮光シートにより赤外線を遮光している状態であるかを確認できる。一方、遮光シート161に印刷されたレンズの番号は、遮蔽ガイド120の端部142の近傍に表されており、作業者はこの端部142を目印としてレンズの番号A1を確認することもできる。つまりこの場合、遮蔽ガイド120の端部142が指示手段として機能するともいえる。
【0032】
図14に、遮光シート161をスライド移動させてレンズA1とA2を遮蔽する場合の例を示す。図14に示すように、作業者は、境界線172を遮蔽ガイド120の端部142に合わせるように遮光シート161をスライド移動させることにより、遮光シート161の先端をレンズA2とレンズA3の境界まで移動させることができる。このとき突起部131の近傍には、番号A2が表示される。作業者は、突起部131を目印として番号A2を目視することにより、レンズA2と、レンズA2より遮蔽ガイド120側にあるレンズA1が遮光シートにより赤外線を遮光している状態であることを確認できる。
同様に作業者は、境界線173または境界線174を端部142に合わせることにより、遮光シート161の先端がレンズA3とレンズA4の境界またはレンズA4とレンズA5の境界に位置するようにスライド移動させることができる。このとき作業者は、突起部131を目印として番号A3または番号A4を目視することにより、レンズA1〜A3またはレンズA1〜A4が遮光シートにより赤外線を遮光している状態であることを確認できる。このように本実施形態では、指示手段は、遮蔽しているレンズのうち、集光レンズの外側(遮蔽ガイド120側)から見て最も奥方のレンズの番号を指し示す。
【0033】
なお、遮光シートの先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、指示手段が指し示す識別情報は、遮蔽しているレンズのうち、遮光シートの集光レンズ側の先端に最も近いレンズの番号に限られない。図15(a)〜(c)に遮光シートの表面に示す識別情報の変形例を示す。図15(a)に示すように、遮光シートの集光レンズ側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、指示手段が指し示す識別情報は、その遮光シートが遮蔽している全てのレンズの番号としてもよい。その場合、遮光シート161には、集光レンズ101側から順に、A1、A1/A2、A1/A2/A3、A1/A2/A3/A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。そして、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに突起部131の近傍となる位置には、番号A1が印刷される。この場合、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA2とレンズA3の境界に位置するとき指示手段は番号A1/A2を指し示し、先端がレンズA3とレンズA4の境界に位置するとき指示手段は番号A1/A2/A3を指し示し、先端がレンズA4とレンズA5の境界に位置するとき指示手段は番号A1/A2/A3/A4を指し示す。これにより作業者は、遮光シートにより遮蔽されている全てのレンズをより直感的に識別することができる。
【0034】
あるいは、図15(b)に示すように、遮光シートの集光レンズ側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、指示手段が指し示す識別情報は、遮光シートの集光レンズ側の先端で遮蔽しているレンズ(最も奥方の遮蔽レンズ)に隣接する遮蔽していないレンズの番号としてもよい。その場合、遮光シート161には、集光レンズ101側から順に、A1、A2、A3、A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。例えば、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに突起部131の近傍となる位置には、遮蔽していないレンズの番号であるA2が印刷される。そして、遮光シート161の先端がレンズA2とレンズA3の境界に位置するとき指示手段は番号A3を指し示し、先端がレンズA3とレンズA4の境界に位置するとき指示手段は番号A4を指し示す。また、遮光シート161の先端がレンズA1の手前側の境界に位置するとき指示手段は番号A2を指し示す。これにより作業者は、遮光シートにより遮蔽されていないレンズをより直感的に識別することができる。
【0035】
あるいは、図15(c)に示すように、遮光シートの集光レンズ側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、指示手段が指し示す識別情報は、その遮光シートが遮蔽していない全てのレンズの番号としてもよい。その場合、遮光シート161には、集光レンズ101側から順に、A1/A2/A3/A4、A2/A3/A4、A3/A4、A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。そして、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに突起部131の近傍となる位置には、番号A2/A3/A4が印刷される。この場合、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA2とレンズA3の境界に位置するとき指示手段は番号A2/A3/A4を指し示し、先端がレンズA3とレンズA4の境界に位置するとき指示手段は番号A3/A4を指し示し、先端がレンズA4とレンズA5の境界に位置するとき指示手段は番号A4を指し示す。この場合も作業者は、遮光シートにより遮蔽されていないレンズをより直感的に識別することができる。
なお、図13〜15の例では、遮蔽ガイド120の窓122は指示するレンズを含む複数の識別情報が露出する大きさとなっているが、支持するレンズの識別情報のみ露出する大きさに構成してもよい。
【0036】
また、例えば遮光シートがスライド移動する方向の、遮蔽ガイド120の窓122側の表面(以降、窓側面と称する)に識別情報を印刷しておき、遮光シート161上に△印等のマーカを印刷して遮光シート161を指示手段として用いてもよい。図16(a)、(b)に、遮蔽ガイドに識別情報を表示し、遮光シートを指示手段として用いる場合の変形例を示す。図16(a)は、遮光シート161をスライド移動させてレンズA1を遮蔽する場合の例を示し、図16(b)は、遮光シート161をスライド移動させてレンズA1とA2を遮蔽する場合の例を示す。
図16(a)に示すように、遮蔽ガイド120の窓側面151には、集光レンズ101と反対側から順に、A1、A2、A3、A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。一方、遮光シート161には、指示手段として、遮光シートの集光レンズ101側の先端が、レンズA1とレンズA2の境界に位置するときに、遮蔽されているレンズの番号である番号A1を指し示す位置に△印等のマーカが印刷される。これにより、図16(b)に示すように、遮光シート161が集光レンズ101側の先端がレンズA2とレンズA3の境界に位置するようにスライド移動されたときには、遮光シート161に印刷されたマーカは番号A2を指し示す。同様に、遮光シート161の集光レンズ101側の先端が、レンズA3とレンズA4の境界、レンズA4とレンズA5の境界に位置するようにスライド移動されたときには、遮光シート161に印刷されたマーカは、それぞれ番号A3、A4を指し示す。つまり、遮光シートの指示手段は、遮光シートの集光レンズ101側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、遮蔽しているレンズのうち、遮光シートの集光レンズ側の先端に最も近いレンズの番号を指し示す。
【0037】
図17(a)〜(c)に、遮蔽ガイドに識別情報を表示し、遮光シートを指示手段として用いる場合のさらなる変形例を示す。図17(a)に示す例では、遮光シート161の指示手段は、遮光シートの集光レンズ101側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、遮蔽している全てのレンズの番号を指し示す。その場合、窓側面151には、集光レンズ101と反対側から順に、A1、A1/A2、A1/A2/A3、A1/A2/A3/A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。そして、遮光シート161には、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに番号A1を指し示す位置にマーカが印刷される。
【0038】
また図17(b)に示す例では、遮光シート161の指示手段は、遮蔽シートの集光レンズ101側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、遮蔽していないレンズのうち、遮光シートの集光レンズ側の先端に最も近いレンズの番号を指し示す。その場合、窓側面151には、集光レンズ101と反対側から順に、A1、A2、A3、A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。そして、遮光シート161には、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに遮蔽していないレンズの番号であるA2を指し示す位置にマーカが印刷される。
【0039】
また図17(c)に示す例では、遮光シート161の指示手段は、遮光シートの集光レンズ101側の先端が、遮蔽しているレンズと遮蔽していないレンズの境界に位置するときに、遮蔽していない全てのレンズの番号を指し示す。その場合、窓側面151には、集光レンズ101と反対側から順に、A1/A2/A3/A4、A2/A3/A4、A3/A4、A4と示される識別情報が、それぞれレンズA2のレンズ幅、レンズA3のレンズ幅、レンズA4のレンズ幅の間隔で印刷される。そして、遮光シート161には、遮光シート161の集光レンズ101側の先端がレンズA1とレンズA2の境界に位置するときに番号A2/A3/A4を指し示す位置にマーカが印刷される。
上述したように、遮蔽ガイド120に識別情報を表示し、遮光シート161を指示手段として用いる場合も、遮光シート161上に識別情報を印刷しておき、遮蔽ガイド120を指示手段として用いる場合と同様の効果が得られる。
【0040】
上述したように、互いに隣接する二つの識別情報は、その二つの識別情報にそれぞれ対応する二つのレンズの相互の位置関係と同一の位置関係をもつように遮蔽シート上に表示される。
【0041】
以上説明してきたように、本発明の一実施形態による赤外線センサは、各検知ゾーンから放射された赤外線を集光レンズアレイの、その検知ゾーンに対応するレンズにより集光して焦電素子で受光し、各検知ゾーンにおける熱エネルギーの時間的な変化を検出する。この赤外線センサは、集光レンズの内側の面に沿ってスライド移動可能な、赤外線を遮光する遮光シートと、遮光シートを支持する遮蔽ガイドを備える。これにより作業者は、遮光シートをスライド移動させて集光レンズの所望のレンズを遮蔽し、そのレンズにより集光する赤外線を遮光させることができ、侵入物体を検知しない検知ゾーンを容易に設定することができる。
さらに、この遮光シート又は遮蔽ガイドのいずれか一方には、各レンズを示す識別情報が表示され、互いに隣接する二つの識別情報は、その二つの識別情報にそれぞれ対応する二つのレンズの相互の位置関係と同一の位置関係をもつように表示される。その他方は、遮光部材により遮蔽されているレンズのうち、遮光シートの集光レンズ側の先端に最も近いレンズを示す識別情報と、遮光部材により遮蔽されていないレンズのうち、遮光シートの集光レンズ側の先端に最も近いレンズを示す識別情報とのうちの何れか一方を指し示す指示手段を備える。これにより作業者は、遮光シートがどのレンズを遮蔽する位置までスライド移動した状態であるかを容易に確認できるので、侵入物体を検知しない検知ゾーンを的確に設定することができる。
また、集光レンズアレイは複数の段で構成され、遮光シートは各段ごとに備えられ、遮蔽ガイドは各段ごとに独立してスライド移動可能に遮光シートを支持する。これにより、作業者は、侵入物体を検知しない検知ゾーンを柔軟に設定することができる。
また、遮光シートは十分に大きいため、作業者にとって取り扱いやすく、さらに紛失するおそれも少ない。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、遮蔽ガイドには、指示手段として、遮光シートに表示された識別情報を指し示す位置に△印等のマーカが設けられてもよい。その場合、遮光シートの表面には、その遮光シートのレンズ側の先端部分が遮蔽しているレンズの番号がそのマーカが示す位置に表れるように各レンズの番号を印刷しておく。あるいは、遮蔽ガイドの窓部分を不透明な部材(例えばプラスチック板に黒色インクを塗ったもの)で覆い、指示手段として確認孔を設けてもよい。その場合、遮光シートの表面には、その遮光シートのレンズ側の先端部分が遮蔽しているレンズの番号がその確認孔の位置に表れるように各レンズの番号を印刷しておく。これにより作業者は、容易に遮光シートにより赤外線が遮光されているレンズを確認することができる。
【0043】
また、本実施形態では、各遮光シートが、集光レンズを正面からみて左右方向の中央の位置にあるレンズまで遮光する例を示したが、各遮光シートは、各段の全てのレンズを遮光できるように形成されてもよい。また、各遮光シートは、集光レンズの複数のレンズのうち一部のレンズのみを遮光するように、その一部のレンズを遮光する部分以外の部分は、透明樹脂等の透過性の材料で形成してもよい。その場合、遮光シートには、その遮光シートをスライド移動させたときに、その遮光シートにより遮光されているレンズの番号と遮光されていないレンズの番号が指示手段が指し示す位置に表れるように各レンズの番号を印刷しておく。これらにより、赤外線センサは、侵入物体を検知しない検知ゾーンをより柔軟に設定することができる。
【0044】
また、本実施形態では、集光レンズを用いたPIRセンサの例を示したが、本発明は、例えば反射型のPIRセンサにも適用できる。
図18に反射型の赤外線センサの模式図を示す。反射型の赤外線センサ1800は、集光ミラー1801、焦電素子1802及び透過部材1803を有する。反射型のPIRセンサを用いる場合も、検知エリアは、各々離間した複数の検知ゾーンによって構成される。集光ミラー1801は、複数のミラーからなる集光ミラーアレイであり、各ミラーは、対応する検知ゾーンから放射された赤外線を焦電素子1802に集光するようにアライメント調整される。一方、カバー1803は、赤外線を透過する樹脂等の材料で形成され、赤外線センサ1800は、カバー1803を透過してきた各検知ゾーンからの赤外線1810、1811を、その検知ゾーンに対応するミラーにより集光して焦電素子1802で受光する。これにより、赤外線センサ1800は、各検知ゾーンにおける熱エネルギーの時間的な変化を検出する。
【0045】
赤外線センサ1800では、検知ゾーンから放射された赤外線を適宜遮光するために、カバー1803について各ミラーに対応する複数の面領域を定めておく。各面領域は、対応するミラーで集光する赤外線の光束が透過する領域であり、赤外線センサ1800の正面(検知エリア側)からみて水平方向及び垂直方向に区分して定められる。例えば、遮光すべきミラーで集光する赤外線が透過するカバー1803上の領域が、隣接するミラーで集光する赤外線が透過するカバー1803上の領域と一部が重なる場合でも、その遮光すべきミラーで集光する赤外線の光束が通る部分全体を遮蔽するように面領域は定められる。
【0046】
そして集光レンズを用いた赤外線センサで用いられる遮光シート及び遮蔽ガイドは、集光レンズをカバー1803に置き換え、各レンズ面をカバー1803の各面領域に置き換えることにより、反射型の赤外線センサ1800に適用することができる。なお、遮光シートまたは遮蔽ガイドの一方には、識別情報としてミラーの番号が各ミラーに対応して印刷される。各識別情報は、遮光シートのカバー1803側の先端が特定の面領域を通る赤外線を遮光する位置にあるときに、その特定の面領域に対応するミラーの番号が指示手段により指し示される位置に印刷される。そのために、互いに隣接する二つの識別情報は、それぞれ対応する二つのミラーに対応する二つの面領域の位置関係に対応した位置関係をもつように印刷される。一方、遮光シートまたは遮蔽ガイドの他方は識別情報を指し示す指示手段を備える。この指示手段は、遮光シートにより遮蔽されている面領域のうち、その遮光シートのカバー1803側の先端に最も近い面領域に対応するミラーの番号を示す識別情報を指し示す。あるいは、この指示手段は、遮光シートにより遮蔽されていない面領域のうち、カバー1803側の先端に最も近い面領域に対応するミラーの番号を指し示す。これにより、反射型のPIRセンサに本発明を適用することができ、集光レンズを用いたPIRセンサの場合と同様の効果を得ることができる。
【0047】
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 赤外線センサ
10 センサ本体
11 筐体
100 前面支持部
101 集光レンズ
102 背面支持部
103 焦電素子
104 信号処理部
105 信号線
106 矩形部
107 窓
108 突出部
110 取付部
111、112 フランジ
113 集光レンズアレイ
114 前面部
115 突出部
116 穴
117 くぼみ
118 半円板
120 延長部分、遮蔽ガイド
121 貫通溝
122〜124 窓
131〜135 突起部
141、142 遮蔽ガイドの端部
151 遮蔽ガイドの窓側面
161〜166 遮光シート
171〜174 境界線
181〜184 切り欠き部
1800 赤外線センサ
1801 焦電素子
1802 集光ミラー
1803 カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向において複数のレンズを備え、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのそれぞれから放射される赤外線を、前記複数のレンズのうち当該検知ゾーンに対応するレンズにより集光する集光レンズと、
前記集光レンズにより集光した赤外線を受光する受光素子と、
赤外線を遮光する材料で短冊状に形成された遮光部材であって、前記集光レンズの一面に沿って前記第1の方向にスライド移動可能に配置され、前記複数のレンズのうち、前記遮光部材の先端から前記集光レンズの一端までの間に位置するレンズを遮蔽する遮光部材と、
前記集光レンズの前記一端側に取り付けられ、前記遮光部材を支持する遮蔽ガイドと、
前記受光素子が受光した赤外線に応じた検知信号を出力する信号処理部と、を有し、
前記遮光部材及び前記遮蔽ガイドのうちの一方には、前記複数のレンズのそれぞれを示す複数の識別情報が、隣接する二つの識別情報の位置関係がそれぞれ対応する二つのレンズの相互の位置関係と同一の位置関係で表示され、
前記遮光部材及び前記遮蔽ガイドのうちの他方には、前記遮光部材の先端部分で遮蔽されている前記レンズ、または、当該レンズに隣接する遮蔽されていない前記レンズを示す識別情報の表示を指し示す指示手段を備える、
ことを特徴とする赤外線センサ。
【請求項2】
前記集光レンズは、前記第1の方向と直交する第2の方向において、それぞれ前記第1の方向に複数のレンズを備える複数の段を構成し、
前記遮光部材は、前記複数の段ごとに配置され、
前記遮蔽ガイドは、前記複数の段ごとに取り付けられ、前記遮光部材の各段を独立してスライド移動可能に支持し、
前記指示手段は、前記複数の段ごとに設けられ、各段の遮光部材の位置に応じて前記レンズを示す識別情報の表示を指し示す、請求項1に記載の赤外線センサ。
【請求項3】
前記遮蔽ガイドは、前記遮光部材の先端が前記第1の方向に隣接するレンズの間の境界の位置毎に当該遮光部材を係止させるための係止手段を備える、請求項1または2に記載の赤外線センサ。
【請求項4】
複数のミラーからなり、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのそれぞれから放射される赤外線を、前記複数のミラーのうち当該検知ゾーンに対応するミラーにより集光する集光ミラーと、
前記集光ミラーにより集光した赤外線を受光する受光素子と、
赤外線を透過する材料で形成され、前記集光ミラーの前面に配置されるカバーと、
赤外線を遮光する材料で短冊状に形成された遮光部材であって、前記カバーの一面に沿って第1の方向にスライド移動可能に配置され、前記遮光部材の先端から前記カバーの一端までの領域を遮蔽する遮光部材と、
前記カバーの前記一端側に取り付けられ、前記遮光部材を支持する遮蔽ガイドと、
前記受光素子が受光した赤外線に応じた検知信号を出力する信号処理部と、を有し、
前記遮光部材及び前記遮蔽ガイドのうちの一方には、前記複数のミラーのそれぞれを示す複数の識別情報が、隣接する二つの識別情報の位置関係がそれぞれ対応する二つのミラーで集光する赤外線が通過する前記カバー上の面領域の相互の位置関係に応じた位置関係で表示され、
前記遮光部材及び前記遮蔽ガイドのうちの他方には、前記遮光部材の先端部分で遮蔽されている前記面領域、または、当該面領域に隣接する遮蔽されていない前記面領域に対応する前記ミラーを示す識別情報の表示を指し示す指示手段を備える、
ことを特徴とする赤外線センサ。
【請求項1】
第1の方向において複数のレンズを備え、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのそれぞれから放射される赤外線を、前記複数のレンズのうち当該検知ゾーンに対応するレンズにより集光する集光レンズと、
前記集光レンズにより集光した赤外線を受光する受光素子と、
赤外線を遮光する材料で短冊状に形成された遮光部材であって、前記集光レンズの一面に沿って前記第1の方向にスライド移動可能に配置され、前記複数のレンズのうち、前記遮光部材の先端から前記集光レンズの一端までの間に位置するレンズを遮蔽する遮光部材と、
前記集光レンズの前記一端側に取り付けられ、前記遮光部材を支持する遮蔽ガイドと、
前記受光素子が受光した赤外線に応じた検知信号を出力する信号処理部と、を有し、
前記遮光部材及び前記遮蔽ガイドのうちの一方には、前記複数のレンズのそれぞれを示す複数の識別情報が、隣接する二つの識別情報の位置関係がそれぞれ対応する二つのレンズの相互の位置関係と同一の位置関係で表示され、
前記遮光部材及び前記遮蔽ガイドのうちの他方には、前記遮光部材の先端部分で遮蔽されている前記レンズ、または、当該レンズに隣接する遮蔽されていない前記レンズを示す識別情報の表示を指し示す指示手段を備える、
ことを特徴とする赤外線センサ。
【請求項2】
前記集光レンズは、前記第1の方向と直交する第2の方向において、それぞれ前記第1の方向に複数のレンズを備える複数の段を構成し、
前記遮光部材は、前記複数の段ごとに配置され、
前記遮蔽ガイドは、前記複数の段ごとに取り付けられ、前記遮光部材の各段を独立してスライド移動可能に支持し、
前記指示手段は、前記複数の段ごとに設けられ、各段の遮光部材の位置に応じて前記レンズを示す識別情報の表示を指し示す、請求項1に記載の赤外線センサ。
【請求項3】
前記遮蔽ガイドは、前記遮光部材の先端が前記第1の方向に隣接するレンズの間の境界の位置毎に当該遮光部材を係止させるための係止手段を備える、請求項1または2に記載の赤外線センサ。
【請求項4】
複数のミラーからなり、検知エリアに設定された複数の検知ゾーンのそれぞれから放射される赤外線を、前記複数のミラーのうち当該検知ゾーンに対応するミラーにより集光する集光ミラーと、
前記集光ミラーにより集光した赤外線を受光する受光素子と、
赤外線を透過する材料で形成され、前記集光ミラーの前面に配置されるカバーと、
赤外線を遮光する材料で短冊状に形成された遮光部材であって、前記カバーの一面に沿って第1の方向にスライド移動可能に配置され、前記遮光部材の先端から前記カバーの一端までの領域を遮蔽する遮光部材と、
前記カバーの前記一端側に取り付けられ、前記遮光部材を支持する遮蔽ガイドと、
前記受光素子が受光した赤外線に応じた検知信号を出力する信号処理部と、を有し、
前記遮光部材及び前記遮蔽ガイドのうちの一方には、前記複数のミラーのそれぞれを示す複数の識別情報が、隣接する二つの識別情報の位置関係がそれぞれ対応する二つのミラーで集光する赤外線が通過する前記カバー上の面領域の相互の位置関係に応じた位置関係で表示され、
前記遮光部材及び前記遮蔽ガイドのうちの他方には、前記遮光部材の先端部分で遮蔽されている前記面領域、または、当該面領域に隣接する遮蔽されていない前記面領域に対応する前記ミラーを示す識別情報の表示を指し示す指示手段を備える、
ことを特徴とする赤外線センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−211845(P2012−211845A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77988(P2011−77988)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]